説明

ターボ機械システム

【課題】ターボ機械システムのターボ機械が備えるモータ及びその周囲の加熱を抑制する。
【解決手段】インペラ及び該インペラを直接回転駆動するモータを有するターボ機械S1aを備えるターボ機械システムであって、上記インペラが収容されるインペラ収容空間から排出された流体よりも低温の冷却ガスを上記モータが収容されるモータ収容空間に供給する冷却ガス供給手段S1cと、上記モータ収容空間から上記冷却ガスを排出する排気手段S1dとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インペラ及び該インペラを回転駆動するモータを有するターボ機械を備えるターボ機械システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、ターボ機械としては、特許文献1に記載されているような、インペラとこのインペラを回転駆動するモータとを直結して備えるターボブロワが知られている。
このようなインペラとモータとを直結して備えるターボ機械は、モータの駆動によってインペラが直接回転されることで気体(流体)に対する仕事を行う。具体的には、ターボ機械がターボブロワである場合には、インペラが回転されることによって気体(流体)が圧送される。
【0003】
このようなターボ機械は、当該ターボ機械を駆動するための駆動装置と共にターボ機械システムを構成しており、駆動装置から供給される電力によって駆動される。
より詳細には、駆動装置がターボ機械のモータに電力(電圧および電流)を供給し、モータが供給された電力の基本周波数に応じた回転数で回転することによって、インペラが直接回転される。
このようなターボ機械システムは、例えば、レーザ発振装置に搭載され、レーザの誘導放出を行うためのレーザガスの圧送を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−209815号公報
【特許文献2】特開平2−5585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ターボブロワに備えられるモータは、駆動することによって発熱する。モータ及びその周囲の加熱は、部品等の劣化につながるため、モータを冷却する必要がある。
例えば、特許文献2には、インペラの収容空間から排出された直後のレーザガスの一部を、モータの収容空間に供給し、これによってモータを冷却する方法が提案されている。
【0006】
しかしながら、レーザガスは、インペラの収容空間において、インペラからエネルギを受け取ることによって圧力が上昇すると共に加熱される。このため、インペラの収容空間から排出された直後のレーザガスの一部をモータの収容空間に供給した場合であっても、レーザガスが高温状態であるため、モータの冷却効果は期待できない。
【0007】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、ターボ機械システムのターボ機械が備えるモータ及びその周囲の加熱を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0009】
第1の発明は、インペラ及び該インペラを直接回転駆動するモータを有するターボ機械を備えるターボ機械システムであって、上記インペラが収容されるインペラ収容空間から排出された流体よりも低温の冷却ガスを上記モータが収容されるモータ収容空間に供給する冷却ガス供給手段と、上記モータ収容空間から上記冷却ガスを排出する排気手段とを備えるという構成を採用する。
【0010】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記冷却ガス供給手段が、上記インペラ収容空間から排出された後に冷却された上記流体を上記冷却ガスとして上記モータ収容空間に導入する導入管であるという構成を採用する。
【0011】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、上記排気手段が、上記冷却ガスを上記インペラ収容空間に繋がる流路に供給することなく外部に排出するという構成を採用する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、冷却ガス供給手段によってモータ収容空間に、インペラ収容空間から排出された流体よりも低温の冷却ガスが供給される。一方で、排気手段によってモータ収容空間に供給された冷却ガスがモータ収容空間から排出される。この結果、モータ収容空間に、上記流体よりも低温の冷却ガスの流れが形成され、モータが冷却ガスの流れの中に晒されることとなる。したがって、本発明によれば、モータをより効率的に冷却することが可能となる。
したがって、本発明によれば、ターボ機械システムのターボ機械が備えるモータ及びその周囲の加熱を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態のターボブロワシステムを搭載するレーザ発振装置の概略構成を模式的に示すシステム構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態のターボブロワシステムが備えるターボブロワの拡大断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態のターボブロワシステムの概略構成を示すシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明に係るターボ機械システムの一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
なお、以下の説明においては、ターボ機械システムの一例として、ターボブロワ(ターボ機械)を備えるターボブロワシステムについて説明する。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態のターボブロワシステムS1を搭載するレーザ発振装置SAの概略構成を模式的に示すシステム構成図である。
この図に示すように、本実施形態のターボブロワシステムS1は、レーザ発振装置SAに搭載されている。そして、図1に示すように、レーザ発振装置SAは、本実施形態のターボブロワシステムS1の他に、循環経路Aと、放電管Bと、第1電極Cと、第2電極Dと、高周波電源Eと、第1熱交換器Fと、第2熱交換器Gと、ボンベHと、バルブIとを備えている。
【0016】
循環経路Aは、レーザガスを循環させるための流路であり、本実施形態のターボブロワシステムS1が備えるターボブロワS1a(ターボ機械)と、第1熱交換器Fと、放電管Bと、第2熱交換器Gとが途中部位に配置されている。
【0017】
放電管Bは、内部においてレーザ光を生成するものであり、循環経路Aの途中部位に設置されることによって内部にレーザガスが通気される。
第1電極Cと第2電極Dとは、放電管Bを挟んで配置されている。そして、第1電極Cは高周波電源Eと接続され、第2電極Dはグランド接続されている。
そして、高周波電源Eから第1電極Cに高周波電力が供給されると、第1電極Cと第2電極Dとの間(すなわち放電管Bの内部)に高周波放電が生じ、これによってレーザ光が励起される。
【0018】
第1熱交換器Fは、レーザガスがターボブロワS1aから放電管Bに向かう循環経路Aの途中部位に配置されており、ターボブロワS1aから圧送されたレーザガスを冷却して放電管Bに向けて排出するものである。
第2熱交換器Gは、レーザガスが放電管BからターボブロワS1aに向かう循環経路Aの途中部位に配置されており、放電管Bから排出されたレーザガスを冷却してターボブロワS1aに向けて排出するものである。
【0019】
ボンベHは、循環経路Aに対して新たなレーザガスを供給するものであり、バルブIを介して第1熱交換器Fと放電管Bとの間に接続されている。
バルブIは、ボンベHから循環経路Aへ供給されるレーザガスの流量を調節するためのものである。
【0020】
本実施形態のターボブロワシステムS1は、ターボブロワS1a(ターボ機械)と、駆動装置S1bと、導入管S1c(冷却ガス供給手段)と、排気ポンプS1d(排気手段)を備えている。
【0021】
ターボブロワS1aは、インペラ及びインペラを回転駆動するモータを備え、モータが駆動することによってレーザガス(流体)を圧送するものである。
図2を参照して、当該ターボブロワS1aについてより詳しく説明する。図2は、ターボブロワS1aの概略構成を示す断面図である。この図に示すように、ターボブロワS1aは、ケーシング1と、インペラ2と、モータ3と、シャフト4と、軸受5と、ハーメチックコネクタ6と、水冷ジャケット7とを備えている。
【0022】
ケーシング1は、ターボブロワS1aの外形を形作ると共に、内部にレーザガスの流路や、インペラ2、モータ3、シャフト4及び軸受5等を収容するものである。
このケーシング1の内部には、図2に示すように、インペラ2を収容するインペラ収容空間K1やモータ3を収容するモータ収容空間K2が設けられている。また、ケーシング1は、レーザガスを吸入するための吸入口1aや、レーザガスを排出するための吐出口までなだらかに拡張するスクロール流路1bを備えている。そして、インペラ収容空間K1は、吸入口1aとスクロール流路1bとの間に配置されており、レーザガスの流路の一部とされている。
【0023】
また、本実施形態のターボブロワシステムS1においては、ターボブロワS1aのケーシング1に、モータ収容空間K2と導入管S1cと接続するための上部貫通孔1caと、モータ収容空間K2と排気ポンプS1dとを接続するための下部貫通孔1cbとが設けられている。
そして、図2に示すように、上部貫通孔1caは、モータ収容空間K2の上部に連通するように形成されている。また、下部貫通孔1cbは、モータ収容空間K2の下部に連通するように形成されている。
【0024】
インペラ2は、インペラ収容空間K1に収容されて配置され、回転することで吸入口1aから供給されるレーザガスをスクロール流路1bに圧送するものである。
【0025】
モータ3は、インペラ2を回転駆動するものであり、モータ収容空間K2に収容されている。そして、本実施形態においては、モータ3として誘導モータが用いられている。
このモータ3は、かご型の導電材料(コイル)が内蔵されたモータロータ3aと、このモータロータ3aを囲んで配置されるモータステータ3bとを備えている。そして、駆動装置S1bからモータステータ3bに電力が供給されることによってモータロータ3aが回転する。
【0026】
シャフト4は、モータ3とインペラ2とを接続するものであり、モータ3の動力をインペラ2に伝達する。より詳細には、シャフト4は、図2に示すように、一端がインペラ2と固定された状態でモータロータ3aに挿通されており、モータロータ3aの回転と共に回転することによってモータ3の動力をインペラ2に伝達する。
なお、インペラ2とシャフト4との接続方法としては、例えば、ボルト及びナットを用いた接続方法、ネジによる接続方法、焼きばめによる接続方法、溶接による接続方法、一体型化による接続方法等が考えられる。これらのような方法で接続されていることにより、インペラ2は、シャフト4、モータロータ3aと一体的に回転する。すなわち、インペラ2は、モータ3に対して直結されており、モータ3によって直接回転駆動される。
ボルト及びナットを用いた接続方法は、インペラの中心部に回転軸方向に沿って貫通孔を設け、当該貫通孔にシャフトの一端側を挿通させ、シャフトの先端部を貫通孔開口から突出させ、シャフトの先端部に形成された雄ねじにナットを締結させ、ナットによってインペラ2の先端部を押えることにより、インペラ2をシャフト4に固定するものである。
ネジによる接続方法は、インペラ2とシャフト4とに直接ネジを切る構造である。どちらを雄ネジ、雌ネジとするかは任意である。
一体型化による接続方法は、接合部を作ることなく、一体的にインペラ2とシャフト4とが成形された構造である。
そして、このように締結されたインペラ2とシャフト4とは、モータローラ3aと一体的に回転する。
【0027】
軸受5は、シャフト4を直立状態で軸支するものであり、内輪がシャフト4に固定されると共に外輪がケーシング1に固定されている。
なお、図2に示すように、軸受5として、シャフト4のインペラ2寄りを軸支するインペラ側軸受5aと、シャフト4の地面寄りを軸支する地面側軸受5bとが設けられている。そして、地面側軸受5bは、ケーシング1に対して摺動可能とされており、予圧バネ8によって上方に付勢されている。このように地面側軸受5bが予圧バネ8によって付勢されることによって、軸受が最適に予圧され、回転時に軸受5(5a、5b)内部の玉の挙動を適正な状態に保つことが出来る。
【0028】
ハーメチックコネクタ6は、インペラ収容空間K1及びモータ収容空間K2を封じきった状態を維持しながらモータ3に対して電力供給を可能とするコネクタであり、外部に露出した状態でケーシング1に固定されている。
【0029】
水冷ジャケット7は、モータ3周りのケーシング1内に設けられており、冷却水によりモータの冷却を行う。
【0030】
図1に戻り、駆動装置S1bは、ターボブロワS1aのモータ3に電力を供給するものである。
【0031】
導入管S1cは、図1に示すように、インペラ2が収容されるインペラ収容空間K1から排出されるレーザガスX1よりも低温のレーザガスX2を冷却ガスとしてインペラ収容空間K1に供給するものである。
具体的には、導入管S1cは、第1熱交換器Fの下流において循環経路Aと接続されており、第1熱交換器Fによって冷却されたレーザガスX2を導入して、さらには上部貫通孔1caを介してモータ収容空間K2に供給する。すなわち、導入管S1cは、インペラ収容空間K1から排出された後に冷却されたレーザガスX2を、モータ3が収容されるモータ収容空間K2に導入する。
なお、モータ収容空間K2は、インペラ収容空間K1と微小な隙間等によって接続されており、その内部圧力がインペラ2の下流側の領域よりも低圧となっている。このため、導入管S1cを設置することのみで、レーザガスX2の一部をモータ収容空間K2に導入することができる。
【0032】
排気ポンプS1dは、モータ収容空間K2から、冷却ガスとして導入されたレーザガスXを排気するものである。
具体的には、排気ポンプS1dは、下部貫通孔1cbと接続されており、下部貫通孔1cbを介してモータ収容空間K2からレーザガスXを排気する。
そして、本実施形態においては、排気ポンプS1dは、モータ収容空間K2から排出したレーザガスX2を、インペラ収容空間K1に繋がる流路(例えば循環経路AやバルブIが設置される流路)に戻す(供給する)ことなく外部に排出する。
【0033】
このようなレーザ発振装置SAでは、駆動装置S1bによってターボブロワS1aが駆動されると、レーザガスが、ターボブロワS1a、第1熱交換器F、放電管B、第2熱交換器G、ターボブロワS1aの順で循環経路Aを循環する。
そして、高周波電源Eから第1電極Cに高周波電力が供給されると、放電管Bの内部に高周波放電が生じ、レーザLが励起されて放電管Bから射出される。
【0034】
レーザガスの動きに着目すると、ターボブロワS1aが駆動されると、循環経路Aにおいて滞留していたレーザガスは、ターボブロワS1aの吸入口1aを介してインペラ収容空間K1に吸入されてインペラ2によって下流側に圧送される。
インペラ収容空間K1から排出されたレーザガスは、インペラ2によって圧送される際にインペラ2からエネルギを受け取ることによって加熱される。つまり、インペラ収容空間K1から排出されたレーザガスは高温となっている。
インペラ収容空間K1から排出されたレーザガスは、第1熱交換器Fにおいて冷却された後に、放電管Bに供給される。放電管Bでは高周波放電が生じレーザLが励起されるため、レーザガスは放電管Bにおいて再び加熱されて高温となる。
放電管Bから循環経路Aに排出されたレーザガスは、第2熱交換器Gによって冷却された後、再びターボブロワS1aに供給される。
【0035】
ここで、本実施形態のターボブロワシステムS1においては、導入管S1cによって、第1熱交換器Fによって冷却されたレーザガスX2の一部が図2に示すようにモータ収容空間K2に導入される。ここで、モータ収容空間K2に導入されるレーザガスXは、モータ収容空間K2の上部に連通される上部貫通孔1caを介してモータ収容空間K2に導入される。
また、モータ収容空間K2に導入されたレーザガスX2は、排気ポンプS1dによってモータ収容空間K2から排出される。ここで、モータ収容空間K2から排出されるレーザガスX2は、モータ収容空間K2の下部に連通される下部貫通孔1cbを介してモータ収容空間K2から排出される。
この結果、モータ収容空間K2内には、図2に示すように、上方から下方に向かうレーザガスX2の流れが形成され、この流れの中に晒されることによってモータ3が冷却される。
【0036】
なお、排気ポンプS1dによってモータ収容空間K2から排出されたレーザガスX2は、インペラ収容空間K1に繋がる流路(例えば循環経路AやバルブIが設置される流路)に戻されることなく外部に排出される。
【0037】
以上のような本実施形態のターボブロワシステムS1によれば、導入管S1cによってモータ収容空間K2に、インペラ収容空間K1から排出されたレーザガスX1よりも低温の冷却ガス(第1熱交換器Fの下流側のレーザガスX2)が供給される。一方で、排気ポンプS1dによってモータ収容空間K2に供給された冷却ガスがモータ収容空間K2から排出される。この結果、モータ収容空間K2に、上記インペラ収容空間K1から排出されたレーザガスX1よりも低温の冷却ガスの流れが形成され、モータ3が冷却ガスの流れの中に晒されることとなる。したがって、本実施形態のターボブロワシステムS1によれば、モータ3をより効率的に冷却することが可能となる。
したがって、本実施形態のターボブロワシステムS1によれば、モータ3及びその周囲の加熱を抑制することが可能となる。
【0038】
また、本実施形態のターボブロワシステムS1において、排気ポンプS1dによってモータ収容空間K2から排出されたレーザガスX2は、インペラ収容空間K1に繋がる流路(例えば循環経路AやバルブIが設置される流路)に戻されることなく外部に排出される。
モータ3を冷却したレーザガスX2は、軸受5の潤滑油等が混ざることによって劣化する。このような劣化したレーザガスX2を循環経路Aに戻した場合には、放電管Bやインペラ2が潤滑油等によって汚れることとなる。これに対して、本実施形態のターボブロワシステムS1によれば、劣化したレーザガスXは、戻されることなく外部に排出されるため、レーザガスに含まれる潤滑油等に起因する汚れを抑止することが可能となる。
なお、一般的に、レーザ発振装置は、繰り返し使用したレーザガスを排気するための排気ポンプを別途備えている。一方、本実施形態のターボブロワシステムS1を搭載するレーザ発振装置によれば、ターボブロワシステムS1の排気ポンプS1dを用いてレーザガスの排気を行うことができるため、従来レーザ発振装置が単独で備えていた排気ポンプを省略することができる。
【0039】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0040】
図3は、本実施形態のターボブロワシステムS2の概略構成を示すシステム構成図である。この図に示すように、駆動装置S1bは、ターボブロワのモータ3に電力を供給するものであり、コンバータ11と、インバータ12と、制御装置13と、正弦波フィルタ14とを備える。なお、通常は、コンバータ11とインバータ12と制御装置13とがユニット化され、このユニット化された装置をインバータと称する場合が多い。
【0041】
コンバータ11は、商用の三相交流電圧などを一度、直流電圧に変換して、出力するものである。
インバータ12は、制御装置13の制御の下、コンバータ11から入力される直流電圧から、PWM波形の電圧を生成するものである。このPWM波形の電圧は、パルス幅が時間とともに変化する矩形波であり、モータを回転させる基本周波数以外の高調波成分を多く含んでいる。
制御装置13は、インバータ12を制御することによって、インバータ12によって生成されるPWM波形の電圧の波形パターンを、要求されるモータ3の回転数に応じて変化させるものである。
【0042】
正弦波フィルタ14は、インバータ12とモータ3との間に介在され、インバータ12によって生成されたPWM波形の電圧を、正弦波状にするものである。
この正弦波フィルタ14としては、高調波成分を削除するローパスフィルタを用いることができる。なお、正弦波フィルタ14としては、バンドパスフィルタやバンドエリミネーションフィルタを用いることも可能であるが、回路の単純化及びコストの低減を考慮すると、ローパスフィルタを用いることが好ましい。
そして、正弦波フィルタ14は、ハーメチックコネクタを介して、モータ3のモータステータ3bと電気的に接続されており、正弦波状の電圧をモータステータ3bに供給する。
【0043】
このような構成を有する本実施形態のターボブロワシステムS2によれば、インバータ12が制御装置13の制御の下に、コンバータ11から出力された直流電圧からPWM波形の電圧を生成する。
続いて、正弦波フィルタ14がPWM波形の電圧から高調波成分が除去することで正弦波状の電圧を出力する。
そして、正弦波状の電圧がハーメチックコネクタを介してモータステータ3bに供給され、これによってモータロータ3aが回転し、さらにはシャフト4を介してインペラ2が回転駆動される。
【0044】
このように本実施形態のターボブロワシステムS2においては、インバータ12によって生成される電圧が、正弦波フィルタ14によって正弦波状にされて高調波成分が除去される。
モータ3の発熱量は、供給される電圧に含まれる高調波成分に影響して増大する。このため、本実施形態のターボブロワシステムS2のように高調波成分が電圧から除去され、この高調波成分が除去された電圧がモータ3に供給されることによって、モータ3の発熱量を抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態のターボブロワシステムS1においては、モータ3として誘導モータを用いている。誘導モータの場合、モータロータにかご型の導電材料(コイル)が内蔵されており、ロータ部に電気損失を伴うものの、本実施形態によれば、回転に必要な基本周波数成分以外の損失を抑えることができる。 またモータとしては、永久磁石モータを用いることとしても良い。永久磁石モータは、モータロータ3a内に電流を通すコイルが存在しないため、モータロータ3aにおける電力損失がない。このため、モータ自体の発熱量をさらに抑制することが可能となる。
【0046】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0047】
例えば、上記実施形態においては、本発明のターボ機械がターボブロワである構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明のターボ機械として、例えばターボポンプ等を用いることも可能である。
【0048】
また、上記実施形態においては、本発明の冷却ガス供給手段が導入管S1cである構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、インペラ収容空間K1から排出されるレーザガスX1よりも低温の冷却ガスをモータ収容空間K2に供給可能なものであれば、本発明の冷却ガス供給手段として用いることができる。例えば、ボンベHを冷却ガス供給手段として用いることもできる。
さらに、本発明において、冷却ガスはレーザガスに限定されるものではなく、他の流体を冷却ガスとして用いることもできる。
【0049】
また、上記実施形態においては、ターボブロワシステムがレーザ発振装置に搭載されるために、インペラ収容空間K1及びモータ収容空間K2を外部と隔離するためにハーメチックコネクタ6を用いる構成を採用した。
しかしながら、本発明のターボブロワシステムが、インペラ収容空間K1及びモータ収容空間K2を外部と隔離する必要がない装置に搭載される場合には、ハーメチックコネクタ6に替えて通常のコネクタを用いることができる。
【符号の説明】
【0050】
S1,S2……ターボブロワシステム、S1a……ターボブロワ、S1b……駆動装置、S1c……導入管(冷却ガス供給手段)、S1d……排気ポンプ(排気手段)、X2……レーザガス(冷却ガス)、K1……インペラ収容空間、K2……モータ収容空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インペラ及び該インペラを直接回転駆動するモータを有するターボ機械を備えるターボ機械システムであって、
前記インペラが収容されるインペラ収容空間から排出された流体よりも低温の冷却ガスを前記モータが収容されるモータ収容空間に供給する冷却ガス供給手段と、
前記モータ収容空間から前記冷却ガスを排出する排気手段と
を備えることを特徴とするターボ機械システム。
【請求項2】
前記冷却ガス供給手段は、前記インペラ収容空間から排出された後に冷却された前記流体を前記冷却ガスとして前記モータ収容空間に導入する導入管であることを特徴とする請求項1記載のターボ機械システム。
【請求項3】
前記排気手段は、前記冷却ガスを前記インペラ収容空間に繋がる流路に供給することなく外部に排出することを特徴とする請求項1または2記載のターボ機械システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−52551(P2011−52551A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−199868(P2009−199868)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】