説明

ターンテーブル及びターンテーブル上の物品の検出方法

【課題】ターンテーブルの回動部と基部との間の配線無しで物品を検出し、更に回動部に対する物品の偏りも検出できるようにする。
【解決手段】ターンテーブルの回動部4に設けた支持ピン18と弾性部材34により、突起14は物品に触れていない場合は上側に突出している。アーク状部材16から下側に空間を開けて近接センサ20が設けられ、突起14が物品に押されてアーク状部材16が下降すると、近接センサ20がオンして信号S1がオンする。これにより回動部4と車体側の基部との間の配線が不要になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はターンテーブル上の物品の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
スタッカークレーンなどの搬送機器では、特許文献1(JPH05−338719A)などに示されるように、昇降台上の物品の有無を検出している。ターンテーブル上の物品を検出する場合、最初に考えられることは、ターンテーブル上に反射型の光電センサなどを設けて、物品を検出することである。しかしこのようにするとセンサへの配線が問題となり、ターンテーブルの回転に伴って配線が捻れる。そこでリングとブラシとの組み合わせで回動部と基部とを接続し、センサに配線すると、ブラシとリングとの摩耗による発塵があり、ブラシなどが摩耗するのでメンテナンスも必要になる。
【特許文献1】JPH05−338719A
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明の課題は、ターンテーブルの回動部と基部との間の配線無しで、ターンテーブル上の物品を検出することにある。
この発明での追加の課題は、ターンテーブルのほぼ任意の回動角に対して、物品を検出できるようにすることにある。
この発明での追加の課題は、回動部に対する物品の偏りも検出できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明のターンテーブルでは、基部により回動部を水平面内で回動させ、
前記回動部の上面に配置された出没自在な少なくとも1個の突起と、
前記回動部の底面側に設けられ、かつ前記少なくとも1個の突起の出没に連動して、上下に移動する少なくとも1個の被検出部材と、
前記少なくとも1個の被検出部材を上向きに付勢する少なくとも1個の付勢部材と、
前記被検出部材の高さ位置を検出するための、前記回動部とは連動しない位置に設けた少なくとも1個のセンサ、とを備える。
【0005】
好ましくは、前記少なくとも1個の被検出部材は、回動部の回動中心近傍の位置を中心とする円周に沿って配置されている。この円周は、回動部の水平面内での端部付近を通過することが好ましい。
より好ましくは、前記少なくとも1個の被検出部材は複数個のアーク状部材からなり、各アーク状部材毎に、個別の突起と個別の付勢部材と個別のセンサとが設けられている。
【0006】
この発明では、基部により回動部を水平面内で回動させるターンテーブルに関して、
前記回動部の上面に配置された出没自在な突起を、回動部上の物品により下降させ、
前記回動部の底面側に配置されかつ上向きに付勢された被検出部材を、前記突起の下降により下降させ、
前記被検出部材の下降を前記回動部とは連動しない位置に設けたセンサで検出することにより、回動部上の物品を検出する。
なおこの明細書でのターンテーブルに関する開示は、そのままターンテーブル上の物品の検出方法にも当てはまる。
【発明の効果】
【0007】
この発明では、ターンテーブルの回動部上に物品が置かれると、突起が下降して被検出部材を下降させ、これをセンサで検出する。また被検出部材は付勢部材で上昇位置側に付勢され、物品が無い場合、突起も回動部から突出するように付勢される。これらのため、回動部と基部との配線無しで物品を検出できる。
【0008】
ここで回動部の回動中心の近傍を中心とする円周上に被検出部材を配置すると、回動部が回動してもセンサから見た被検出部材の配置は変わらず、ほぼ任意の回動角で物品を検出できる。ここに回動角は回動部が回動軸回りに回動する角度であり、回動部の向きを表す。
また被検出部材を複数個のアーク状の部材で構成すると、被検出部材と被検出部材との隙間以外の任意の位置で物品を検出できる。そして物品が回動部上で偏って配置され、物品に触れない突起が生じると、物品の偏りも検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に本発明を実施するための最適実施例を示す。
【実施例】
【0010】
図1〜図4に、搬送車2上のターンテーブル3を例に、実施例を示す。ターンテーブル3は回動部4と基部6とを備え、基部6はリフタ8に固定され、図示しないモータとベアリングなどによりプレート状の回動部4を回動させる。リフタ8は、基部6と回動部4とからなるターンテーブル3を昇降させる。また10は走行車輪で、走行モータ12により駆動される。搬送車2は、回動部4上に液晶用のガラス基板のカセットなどの物品を載置して走行し、図示しない棚やステーションなどとの間で、リフタ8により回動部4を昇降させることにより、物品の受け渡しを行う。ターンテーブル3は搬送車2に限らず、搬送システムのステーションなどに設けても良く、回動角の範囲は任意で、任意の回動角だけ回動できるものでも、±180°の回動角だけ回動できるものでも良い。
【0011】
回動部4の上面は水平面であり、回動部4は基部6により鉛直な回動軸Zを中心に、例えば360°任意の角度に、あるいは±180°回動する。また回動軸Zは回動部4の水平面内の中心を通過する。回動軸Zを中心とする円周上に沿って複数個の突起14が設けられ、各突起毎にアーク状部材16が連結され、アーク状部材16は支持ピン18により回動部4によって支持されている。アーク状部材16は被検出部材の例で、鉄板などの磁性体のプレートからなり、軸Zを中心とする円周に沿って複数個配置されている。アーク状部材16は、突起14と支持ピン18とが連結されて、回動部4の底面側に配置されている。回動部4に対するアーク状部材16の配置を図3に示す。30は孔で、突起14は回動部4上に突き出した位置と、孔30内に没した位置の2つの位置をとることができる。支持ピン18は凹部36内に収められ、アーク状部材16と連結されて、弾性部材34により上向きに付勢されている。この結果、突起14が物品に触れていない場合、弾性部材34からの付勢力により、突起14は回動部4の上側に突出している。一方突起14が物品により下向きに押されると、弾性部材34が圧縮され、アーク状部材16は下降する。なお支持ピン18に代えて、突起14を凹部36内に配置し、弾性部材34で上向きに付勢しても良い。この場合、支持ピン18は不要である。また突起14とアーク状部材16は上下動及び回動が連動すれば良く、これらを連結する必要はない。
【0012】
アーク状部材16の下側に、近接センサ20〜23が設けられ、アーク状部材16の高さ位置を監視する。近接センサ20〜23は電磁石などを備え、磁性体からなるアーク状部材16の接近により、電磁石を流れる電流が変化することなどを検出する。そして突起14が押されてアーク状部材16が下降すると、近接センサ20〜23がオンして、信号S1〜S4がオンする。近接センサ20〜23に代えて光電センサなどを用いてもよく、センサはアーク状部材16の高さ位置の変化を監視するものであればよい。個別のアーク状部材16毎に少なくとも1個の突起14を設けると共に、支持ピン18や弾性部材34を設け、かつアーク状部材16毎に1個の近接センサ20〜23を設ける。実施例ではアーク状部材16を4個設けたが、2個や8個などを設けても良く、アーク状部材16の個数を増すほど、回動部4に対する物品の配置をより正確に検出できる。極端な場合、切れ目のない1個のリング状部材を被検出部材として、回動軸Zの反対側の向き合った位置に例えば2個の突起を設け、近接センサを例えば2個設けても良い。
【0013】
図4に搬送車2の制御系を示す。制御部40はターンテーブル駆動部41やリフタ駆動部42,走行駆動部43を制御して、搬送車2の走行やリフタの昇降、ターンテーブル3の回動などを制御する。また通信部44により、図示しない地上側のコントローラから搬送指令を受信し、搬送結果を報告する。制御部40には4個のセンサ信号S1〜S4が入力され、物品が回動部4上に偏らずに載置されていれば、4個のセンサ信号S1〜S4はいずれもオンである。また物品が載置されていない場合、4個のセンサ信号S1〜S4はいずれもオフである。物品が偏って回動部4に載置されると、オンするセンサ信号とオフするセンサ信号とが生じる。この結果、ターンテーブル上の物品の有無と、物品が正しい姿勢で載置されたかどうか、とを検出できる。
【0014】
実施例では以下の効果が得られる。
(1) 近接センサ20〜23は、回動部4ではなく、基部6に直接、もしくは搬送車2の車体などに取り付ければよいので、回動部4と基部6との間の配線が不要である。回動部4が回動している途中であっても、近接センサ20〜23がアーク状部材16,16間の切れ目に面している位置以外であれば、物品を検出できる。またアーク状部材16は近接センサ20〜23で検出できる程度の幅があればよいので、小さな幅の軽量な部材でよい。アーク状部材16と突起14と、近接センサ20〜23、弾性部材34を、各々複数個設けると、ターンテーブルに対する物品の偏りも検出できる。
【0015】
図5に変形例のターンテーブル50を示し、特に指摘した点以外は、図1〜図4の実施例と同様である。回動部4は回動軸Zを中心に±180°回動し、その停止位置は図5の位置とこれを180°回動軸Z回りに回動させた位置の2通りである。そして回動部4の底面側に一対の被検出部材としてプレート51,52を設け、支持ピン18と図示しない弾性部材で支持し、突起14により下側に下降させて、近接センサ21,23により検出する。図5の変形例では、回動部4が停止位置に達した時以外は、物品の有無を検出できない。また物品が図5の左右方向に偏って配置されていても検出できない。これ以外の点では、図1〜図4の実施例と同様の効果が得られる。

【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例のターンテーブルを搭載した搬送車の平面図
【図2】図1の搬送車のII−II方向鉛直断面図
【図3】実施例のターンテーブルの要部鉛直方向部分断面図
【図4】実施例の搬送車の制御系を示すブロック図
【図5】変形例のターンテーブルの平面図
【符号の説明】
【0017】
2 搬送車
3 ターンテーブル
4 回動部
6 基部
8 リフタ
10 走行車輪
12 走行モータ
14 突起
16 アーク状部材
18 支持ピン
20〜23 近接センサ
30 孔
32 ピン
34 弾性部材
36 凹部
40 制御部
41 ターンテーブル駆動部
42 リフタ駆動部
43 走行駆動部
44 通信部
50 ターンテーブル
51,52 プレート
Z 回動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部により回動部を水平面内で回動させるターンテーブルであって、
前記回動部の上面に配置された出没自在な少なくとも1個の突起と、
前記回動部の底面側に設けられ、かつ前記少なくとも1個の突起の出没に連動して、上下に移動する少なくとも1個の被検出部材と、
前記少なくとも1個の被検出部材を上向きに付勢する少なくとも1個の付勢部材と、
前記被検出部材の高さ位置を検出するための、前記回動部とは連動しない位置に設けた少なくとも1個のセンサ、とを備えた、ターンテーブル。
【請求項2】
前記少なくとも1個の被検出部材は、回動部の回動中心近傍の位置を中心とする円周に沿って配置されている、請求項1のターンテーブル。
【請求項3】
前記少なくとも1個の被検出部材は複数個のアーク状部材からなり、各アーク状部材毎に、個別の突起と個別の付勢部材と個別のセンサとが設けられている、請求項2のターンテーブル。
【請求項4】
基部により回動部を水平面内で回動させるターンテーブルでの回動部上の物品の検出方法であって、
前記回動部の上面に配置された出没自在な突起を、回動部上の物品により下降させ、
前記回動部の底面側に配置されかつ上向きに付勢された被検出部材を、前記突起の下降により下降させ、
前記被検出部材の下降を、前記回動部とは連動しない位置に設けたセンサで検出することにより、回動部上の物品を検出する、
ターンテーブル上の物品の検出方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−120310(P2009−120310A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−295289(P2007−295289)
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】