説明

ダニ駆除用水性液体組成物、スプレー容器入りダニ駆除用水性液体組成物およびダニ駆除方法

【課題】室温で高いダニ駆除効果を発揮するダニ駆除用水性液体組成物の提供。対象物に少量で、かつ、広範囲に塗布でき、高いダニ駆除効果を対象物に対して均一に付与できる容器入りダニ駆除用水性液体組成物およびダニ駆除方法の提供。
【解決手段】下記の(A)成分と、(B)成分と、(C)成分および/又は(D)成分とを含有するダニ駆除用水性液体組成物。(A)炭素数8〜22の長鎖炭化水素基を分子内に1つ以上有する3級アミン、該3級アミンの中和物および該3級アミンの4級化物からなる群から選択される1種以上の化合物。(B)炭素数5〜33である非環状脂肪族カルボン酸エステル化合物および炭素数8〜33である芳香族カルボン酸エステル化合物からなる群から選択される1種以上のカルボン酸エステル化合物。(C)カチオン変性シリカ微粒子又はアルミナ微粒子。(D)ポリエーテル変性シリコーン化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に洗濯機等による洗濯が困難な対象物に対する様々な種類のダニ駆除に好適なダニ駆除用水性液体組成物、該ダニ駆除用水性液体組成物がスプレー容器に収容されてなるスプレー容器入りダニ駆除用水性液体組成物、およびこれらを使用したダニ駆除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダニの一種であるチリダニが排泄する糞や死骸は、アレルギーの原因物質となることが知られており、また、他のダニの種の中には、吸血したり、寄生により痒みを発症させたりするものがある。そのため、これらのダニを殺傷(殺ダニ)したり忌避したりすること、すなわちダニ駆除が公衆衛生における重要な課題となっている。
しかしながら、気密性の高い現在の住居環境は、チリダニが生育し易いものになってきており、布団などの寝具類やカーペットをはじめ、住居内の多くの生活用品がダニアレルゲンで汚染されるようになってきている。また、ペットブームなどを背景として、家畜やペットに寄生したり吸血したりするダニが、ヒトに対しても影響を及ぼすことが危惧されている。
【0003】
上記背景から、高いダニ駆除効果が得られるダニ駆除方法について検討されている。
例えば、非特許文献1には、50℃以上の熱水で加熱することにより殺ダニができることが報告されている。
特許文献1には、分子内に窒素原子を有する有機化合物と、屋内ダニ誘引抑制剤とが併用された組成物(水性組成物も可能)が提案され、実施例として、ジ長鎖炭化水素基含有第4級アンモニウム塩と環状脂肪族カルボン酸エステル化合物とが併用された、ダニ誘引抑制効果を有する柔軟剤の技術が開示されている。
また、特許文献2には、特定の第4級アンモニウム塩を有効成分として含有する無気門類ダニ用殺ダニ剤が開示されている。
【非特許文献1】G.Lindy,「J.Allergy Clin.Immnol.」,vol.90,599(1992)
【特許文献1】特開2005−137868号公報
【特許文献2】特許第2609120号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非特許文献1の方法では、殺ダニ効果を発現させるためには加温することが必須であるため、使用場面が制限される。また、ダニを忌避する効果は無いため、得られるダニ駆除効果は一時的なものである。
また、特許文献1の実施例10において、ジ長鎖炭化水素基含有第4級アンモニウム塩と、環状脂肪族カルボン酸エステル化合物であるジヒドロジャスモン酸メチルとが併用された水性組成物が開示されている。本発明者らの評価によれば、このような「環状」脂肪族カルボン酸エステルを、カチオン性界面活性剤と併用しても、ダニ誘引抑制の相乗効果は不充分である。
【0005】
ところで、たとえばダニ駆除の対象物である布団やカーペット等は、家庭において、洗濯機等により洗濯することや乾燥することが困難である。これに対して、布団におけるダニの成育を抑制する処理が施された防ダニ布団や、ダニ駆除効果を有する成分(有効成分)を含有する組成物が容器に収容されてなる容器入り組成物等が開発されている。
しかしながら、防ダニ布団は、必ずしも満足し得るダニ駆除効果が得られるに至っていない。
また、従来の容器入り組成物についても充分なダニ駆除効果は得られておらず、該容器入り組成物を使用するダニ駆除方法により充分なダニ駆除効果を得るためには、該組成物を対象物に多量に塗布する必要がある。かかるダニ駆除方法では、対象物が該組成物によって湿りすぎてしまう等、洗濯機等による洗濯や乾燥が困難な対象物に対する方法として不適である。
【0006】
また、上記の特許文献2の実施例においては、対象物における塗布部の単位面積あたりの供試化合物(有効成分)量が0.5g/mである場合にダニ駆除効果が得られる例が示されている。この例においては、有効成分を含浸させた不織布と供試ダニの両方を、密閉されたポリエチレン袋(6cm×6cm)内に48時間入れた後の死虫率(%)を求める方法によりダニ駆除効果の評価がされているが、かかる方法では狭い空間のダニ駆除に限られてしまう。
これに対し、容器入り組成物を対象物に対して塗布するダニ駆除方法においては、組成物を対象物にできるだけ少量で、かつ、広範囲に塗布でき、少ない有効成分量により高いダニ駆除効果が得られ、さらには対象物のいずれの塗布部位であっても均一にダニ駆除効果を付与できることが求められる。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、室温で高いダニ駆除効果を発揮するダニ駆除用水性液体組成物の提供を課題とする。また、対象物に少量で、かつ、広範囲に塗布でき、高いダニ駆除効果を対象物に対して均一に付与できる容器入りダニ駆除用水性液体組成物およびダニ駆除方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討した結果、上記課題を解決するために、以下の手段を提供する。
すなわち、本発明のダニ駆除用水性液体組成物は、下記の(A)成分と、(B)成分と、(C)成分および/又は(D)成分とを含有することを特徴とする。
(A)炭素数8〜22の長鎖炭化水素基(ただし、該長鎖炭化水素基は、アミド基、エステル基又はエーテル基で分断されていてもよい。)を分子内に1つ以上有する3級アミン、該3級アミンの中和物および該3級アミンの4級化物からなる群から選択される1種以上の化合物。
(B)炭素数5〜33である非環状脂肪族カルボン酸エステル化合物および炭素数8〜33である芳香族カルボン酸エステル化合物からなる群から選択される1種以上のカルボン酸エステル化合物。
(C)カチオン変性シリカ微粒子又はアルミナ微粒子。
(D)ポリエーテル変性シリコーン化合物。
【0009】
本発明のダニ駆除用水性液体組成物においては、さらに、炭素数2〜6の一価アルコール、炭素数2〜6の多価アルコールおよび下記一般式(I)で表されるグリコールエーテル化合物からなる群から選択される1種以上の水溶性溶剤(E)を含有することが好ましい。
【0010】
【化1】

[式(I)中、Rは、炭素数2〜6のアルキル基又はフェニル基を表し;Rは炭素数2又は3のアルキレン基を表し;xは平均付加モル数を表し、2〜3の数である。]
【0011】
本発明のダニ駆除用水性液体組成物においては、前記(B)成分が、下記一般式(II)で表されるジカルボン酸ジエステル化合物であることが好ましい。
【0012】
【化2】

[式(II)中、R11は、炭素数4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基を表し;R12およびR13は、それぞれ独立して炭素数2〜8の炭化水素基を表す。]
【0013】
本発明のスプレー容器入りダニ駆除用水性液体組成物は、前記本発明のダニ駆除用水性液体組成物が、トリガー式スプレー容器、フィンガー式スプレー容器およびエアゾール式スプレー容器からなる群から選択されるスプレー容器に収容されてなることを特徴とする。
本発明のダニ駆除方法は、前記本発明のダニ駆除用水性液体組成物を使用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のダニ駆除用水性液体組成物によれば、室温で高いダニ駆除効果を発揮することができる。
また、本発明のスプレー容器入りダニ駆除用水性液体組成物およびダニ駆除方法によれば、対象物に少量で、かつ、広範囲に塗布でき、高いダニ駆除効果を対象物に対して均一に付与できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
≪ダニ駆除用水性液体組成物≫
本発明のダニ駆除用水性液体組成物(以下、単に「水性液体組成物」という場合がある)は、特定の3級アミン、該3級アミンの中和物および該3級アミンの4級化物からなる群から選択される1種以上の化合物(A)(以下、(A)成分という)と、特定のカルボン酸エステル化合物(B)(以下、(B)成分という)と、カチオン変性シリカ微粒子もしくはアルミナ微粒子(C)(以下、(C)成分という)および/又はポリエーテル変性シリコーン化合物(D)(以下、(D)成分という)とを含有する。
また、本発明のダニ駆除用水性液体組成物においては、さらに、特定の水溶性溶剤(E)(以下、(E)成分という)を含有することが好ましい。
【0016】
[(A)成分]
本発明の水性液体組成物は、炭素数8〜22の長鎖炭化水素基(ただし、該長鎖炭化水素基は、アミド基、エステル基又はエーテル基で分断されていてもよい。)を分子内に1つ以上有する3級アミン、該3級アミンの中和物および該3級アミンの4級化物からなる群から選択される1種以上の化合物(A)を含有する。
これらのなかでも、より高いダニ駆除効果が得られる点から、該3級アミンの中和物、該3級アミンの4級化物が好ましく、該3級アミンの4級化物、すなわち第4級アンモニウム塩が特に好ましい。
当該(A)成分は、環境適合性等と汎用性に優れた成分であり、製剤化において取扱いが容易な成分である。
【0017】
炭素数8〜22の長鎖炭化水素基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、また、飽和であっても不飽和であってもよい。
長鎖炭化水素基の炭素数は、より好ましくは10〜20であり、さらに好ましくは10〜18である。このような炭素数であると、より高いダニ駆除効果が得られ、これより炭素鎖長が短すぎることに起因する皮膚刺激性の懸念や、炭素鎖長が長すぎることに起因する水溶性溶剤(E)への分散性・溶解性の低下の懸念が抑えられる。
【0018】
ただし、該長鎖炭化水素基は、アミド基、エステル基又はエーテル基で分断されていてもよい。具体的には、該長鎖炭化水素基は、その鎖中に、アミド基(−NHCO−)、エステル基(−COO−)およびエーテル基(−O−)からなる群から選択される少なくとも1種の分断基を有し、その分断基によって鎖が分断されたものであってもよい。分断基を有すると、生分解性が向上する等の点から好ましい。該長鎖炭化水素基は、前記分断基によって1ヶ所が分断されていてもよく、2つ以上の分断基を有し、2ヶ所以上が分断されていてもよい。
なお、鎖中にこれら分断基を有する場合、分断基に存在する炭素原子は、該長鎖炭化水素基の炭素数にカウントするものとする。
【0019】
また、炭素数8〜22の長鎖炭化水素基には、ベンゼン環を含んでいてもよく、その場合、ベンゼン環に存在する炭素原子も該長鎖炭化水素基の炭素数としてカウントする。
(A)成分がベンゼン環を含む場合、該ベンゼン環は、炭素数8〜22の長鎖炭化水素基中とは別に存在していてもよい。
【0020】
なお、長鎖炭化水素基は、通常、工業的に使用される牛脂由来の未水添脂肪酸、不飽和部を水添もしくは部分水添して得られる脂肪酸、パーム椰子、油椰子などの植物由来の未水添脂肪酸もしくは脂肪酸エステル、あるいは不飽和部を水添もしくは部分水添して得られる脂肪酸又は脂肪酸エステル等を使用することにより導入される。
なお、長鎖炭化水素基が不飽和である場合、二重結合の位置はいずれの箇所にあっても構わないが、二重結合が1個の場合には、その二重結合の位置は長鎖炭化水素基の中央であるか、中央値を中心に分布していることが好ましい。
【0021】
上記のような(A)成分として具体的には、下記一般式(III)〜(V)で表される3級アミン、該3級アミンの中和物、該3級アミンの4級化物が挙げられる。
【0022】
【化3】

【0023】
上記式中、Rは、エステル基などの分断基を含まない炭素数8〜22、好ましくは10〜20の飽和もしくは不飽和の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基である。
は、炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基又は−(CH−CH(Y)−O)n’−H(式中、Yは水素原子又はCHであり、n’は2〜3である)で表される基である。
は、R又はRと同様である。
一方、Rは、エステル基、アミド基、エーテル基のうちの少なくとも1種の分断基を鎖中に有し、この分断基で分断された炭素数8〜22、好ましくは10〜20の飽和もしくは不飽和の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基である。
及びRは、それぞれ独立してR又はRと同様である。
【0024】
3級アミンの中和物としては、例えば、上記一般式(III)〜(V)で表される3級アミンの塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、クエン酸塩などの有機酸塩が挙げられ、具体的には、ジデシルモノメチルアミン塩酸塩、ステアリルジメチルアミン塩酸塩などを例示できる。
上記のように、3級アミン、該3級アミンの中和物、該3級アミンの4級化物の中では、4級化物、すなわち第4級アンモニウム塩が特に好ましく、炭素数10のジアルキル型第4級アンモニウム塩が最も好ましい。具体的には、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化パルミチルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム(塩化ステアリルトリメチルアンモニウムと塩化パルミチルトリメチルアンモニウムとの混合物、商品名:アーカードT−800(ライオンアクゾ社製))、N,N−ジアルカロイルオキシエチル−N−ヒドロキシエチルアンモニウムサルフェート(アルカロイル基の炭素数 C16:20質量%、C18:40質量%、C18F1:40質量%の混合物;商品名:TES−85E(ライオンアクゾ社製))等が挙げられ、なかでも塩化ジデシルジメチルアンモニウムが好ましい。
【0025】
なお、第4級アンモニウム塩を工業的に製造する際、主として4級化工程において副生物として塩化ナトリウムなどの無機塩が微量生成することがある。
本発明で使用可能な第4級アンモニウム塩には、第4級アンモニウム塩を使用する業界において公知であるように、製造工程に由来するこのような無機塩などの副生物が微量含まれていてもよい。また、第4級アンモニウム塩は、4級化反応溶媒としてしばしば用いられるエタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなどとの混合物として供給されるものであってもよい。
【0026】
また、「TES」とは、下記一般式(VI)で示される構造のアルカノールアミンと、ヨウ素価が10〜80で、かつ、不飽和基のシス体の比率が50質量%未満である脂肪酸および/又は脂肪酸メチルエステルとのエステル化物;該エステル化物の中和物、又は該エステル化物を4級化剤で4級化することによって得られる反応生成物のうちのいずれか1種以上である。
なお、この代表的な製造法は、特開2003−12471号公報の実施例1に記載されている。
【0027】
【化4】

【0028】
式(VI)中、R、R、Rの少なくとも1つは、1つ以上のヒドロキシ基を有する炭素数2〜6の炭化水素基である。A、B、Cは、それぞれ独立して炭素数2〜6のオキシアルキレン基であり、添字l、m、nは、それぞれ独立して0〜10の整数である。
【0029】
(A)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の水性液体組成物における(A)成分の含有割合は、該組成物全量に対して、0.05〜2質量%が好ましく、0.1〜1質量%がより好ましい。該含有割合の下限値以上であると、ダニ駆除効果がより向上する。一方、上限値以下であると、他の成分との配合バランスが良好となる。また、水性液体組成物を適度な粘度に調整でき、保存安定性が向上する。また、水性液体組成物をスプレー容器に収容して用いる際、より良好に噴霧できる。
【0030】
[(B)成分]
本発明の水性液体組成物は、炭素数5〜33である非環状脂肪族カルボン酸エステル化合物および炭素数8〜33である芳香族カルボン酸エステル化合物からなる群から選択される1種以上のカルボン酸エステル化合物(B)を含有する。
当該(B)成分と、前記(A)成分とを組み合わせて用いることにより、より高いダニ駆除効果が発揮される。
【0031】
前記非環状脂肪族カルボン酸エステル化合物又は前記芳香族カルボン酸エステル化合物は、いずれも、炭素数10〜26であることが好ましく、炭素数12〜20であることがより好ましい。
これら(B)成分における炭素数がそれぞれ下限値以上、好ましくは炭素数10以上であると、該化合物の揮発性が弱まり、目的とするダニ駆除効果の持続性が良好となる。該炭素数がそれぞれ上限値(33)以下、好ましくは炭素数26以下であると、液状の(B)成分においては流動性が高まり、固体状の(B)成分においては高すぎずに適度な融点を有し、水性液体組成物の調製の際の取扱いが良好となる。また、ダニ駆除効果も高くなる。
【0032】
該非環状脂肪族カルボン酸エステル化合物としては、たとえば、
(i)鎖状飽和モノカルボン酸エステル類:ギ酸エステル、酢酸エステル、プロパン酸エステル、ブタン酸エステル、ペンタン酸エステル、ヘキサン酸エステル、ヘプタン酸エステル、オクタン酸エステル、ノナン酸エステル、デカン酸エステル、ドデカン酸エステル、トリデカン酸エステル、テトラデカン酸エステル、ペンタデカン酸エステル、ヘキサデカン酸エステル、オクタデカン酸エステル、
(ii)鎖状不飽和モノカルボン酸エステル類:オレイン酸エステル、エライジン酸エステル、リノール酸エステル、リノレイン酸エステル、
(iii)鎖状飽和ジカルボン酸エステル類:シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸のモノエステル及びジエステル、
(iv)鎖状不飽和ジカルボン酸エステル類:マレイン酸、フマル酸のモノエステル及びジエステル、
(v)ヒドロキシカルボン酸エステル類:グリコール酸エステル、乳酸エステル、α−ヒドロキシブタン酸エステル、マンデル酸エステル、ベンジル酸エステル、リンゴ酸モノエステル、リンゴ酸ジエステル、酒石酸モノエステル、酒石酸ジエステル、クエン酸モノエステル、クエン酸ジエステル、クエン酸トリエステル、などを挙げることができる。
【0033】
該芳香族カルボン酸エステル化合物としては、たとえば、
(i)芳香族モノカルボン酸エステル:安息香酸エステル、o−トルイル酸エステル、m−トルイル酸エステル、p−トルイル酸エステル、キシリル酸エステル、クミン酸エステル、メシチレン酸エステル、サリチル酸エステル、m−ヒドロキシ安息香酸エステル、p−ヒドロキシ安息香酸エステル、没食子酸エステル、o−アニス酸エステル、m−アニス酸エステル、p−アニス酸エステル、クレオソート酸エステル、2−フランカルボン酸エステル、3−フランカルボン酸エステル、ピコリン酸エステル、
(ii)芳香族ジカルボン酸エステル:フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ジピコリン酸のモノエステル及びジエステル、
(iii)ヒドロケイ皮酸エステル、ケイ皮酸エステル、などを挙げることができる。
【0034】
上記のなかでも、ジカルボン酸ジエステル化合物、フェノール性水酸基を有する芳香族カルボン酸エステル化合物が好ましい。
【0035】
ジカルボン酸ジエステル化合物としては、たとえば、フタル酸ジエステル、イソフタル酸ジエステル、テレフタル酸ジエステル;アジピン酸ジエステル、ピメリン酸ジエステル、スベリン酸ジエステル、アゼライン酸ジエステル、セバシン酸ジエステル、ウンデカン二酸ジエステル、ドデカン二酸ジエステル等が好ましく挙げられる。
その中でも、非環状脂肪族ジカルボン酸ジエステル化合物がより好ましく、アジピン酸ジエステル、アゼライン酸ジエステル、セバシン酸ジエステル、ウンデカン二酸ジエステルがさらに好ましい。
非環状脂肪族ジカルボン酸ジエステル化合物のなかで好適な具体例としては、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジn−プロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジn−ブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジsec−ブチル、アジピン酸ジt−ブチル、アジピン酸ジペンチル、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジヘプチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル);
ピメリン酸ジエチル、ピメリン酸ジn−プロピル、ピメリン酸ジイソプロピル、ピメリン酸ジn−ブチル、ピメリン酸ジイソブチル、ピメリン酸ジsec−ブチル、ピメリン酸ジt−ブチル、ピメリン酸ジペンチル、ピメリン酸ジヘキシル、ピメリン酸ジヘプチル、ピメリン酸ジオクチル、ピメリン酸ジ(2−エチルヘキシル);
スベリン酸ジエチル、スベリン酸ジn−プロピル、スベリン酸ジイソプロピル、スベリン酸ジn−ブチル、スベリン酸ジイソブチル、スベリン酸ジsec−ブチル、スベリン酸ジt−ブチル、スベリン酸ジペンチル、スベリン酸ジヘキシル、スベリン酸ジヘプチル、スベリン酸ジオクチル、スベリン酸ジ(2−エチルヘキシル);
アゼライン酸ジエチル、アゼライン酸ジn−プロピル、アゼライン酸ジイソプロピル、アゼライン酸ジn−ブチル、アゼライン酸ジイソブチル、アゼライン酸ジsec−ブチル、酸ジt−ブチル、アゼライン酸ジペンチル、アゼライン酸ジヘキシル、アゼライン酸ジヘプチル、アゼライン酸ジオクチル、アゼライン酸ジ(2−エチルヘキシル);
セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジn−プロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジn−ブチル、セバシン酸ジイソブチル、セバシン酸ジsec−ブチル、セバシン酸ジt−ブチル、セバシン酸ジペンチル、セバシン酸ジヘキシル、セバシン酸ジヘプチル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル);
ウンデカン二酸ジエチル、ウンデカン二酸ジn−プロピル、ウンデカン二酸ジイソプロピル、ウンデカン二酸ジn−ブチル、ウンデカン二酸ジイソブチル、ウンデカン二酸ジsec−ブチル、ウンデカン二酸ジt−ブチル、ウンデカン二酸ジペンチル、ウンデカン二酸ジヘキシル、ウンデカン二酸ジヘプチル、ウンデカン二酸ジオクチル、ウンデカン二酸ジ(2−エチルヘキシル)等が挙げられる。
【0036】
フェノール性水酸基を有する芳香族カルボン酸エステル化合物において、フェノール性水酸基の数は、特に制限されるものではなく、1つのベンゼン環上に1〜5個のいずれであってもよい。なかでも、モノヒドロキシ安息香酸エステルが好ましい。
モノヒドロキシ安息香酸エステルとしては、たとえば、サリチル酸エステル、m−ヒドロキシ安息香酸エステル、p−ヒドロキシ安息香酸エステル等がより好ましく挙げられ、
好適な具体例としては、サリチル酸n−ペンチル、サリチル酸イソペンチル、サリチル酸シクロペンチル、サリチル酸n−ヘキシル、サリチル酸シクロヘキシル、サリチル酸フェニル、サリチル酸3−ヘキセニル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸p−トリル、サリチル酸n−ヘプチル、サリチル酸サリチル、サリチル酸フェネチル、サリチル酸n−オクチル、サリチル酸2−エチルヘキシル、サリチル酸n−ノニル、サリチル酸4−t−ブチルフェニル、サリチル酸ナフチル、サリチル酸ボルニル、サリチル酸シトロネリル、サリチル酸ゲラニル、サリチル酸メンチル、サリチル酸ロジニル;
m−ヒドロキシ安息香酸n−ペンチル、m−ヒドロキシ安息香酸イソペンチル、m−ヒドロキシ安息香酸シクロペンチル、m−ヒドロキシ安息香酸n−ヘキシル、m−ヒドロキシ安息香酸シクロヘキシル、m−ヒドロキシ安息香酸フェニル、m−ヒドロキシ安息香酸3−ヘキセニル、m−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、m−ヒドロキシ安息香酸p−トリル、m−ヒドロキシ安息香酸n−ヘプチル、m−ヒドロキシ安息香酸サリチル、m−ヒドロキシ安息香酸フェネチル、m−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、m−ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシル、m−ヒドロキシ安息香酸n−ノニル、m−ヒドロキシ安息香酸4−t−ブチルフェニル、m−ヒドロキシ安息香酸ナフチル、m−ヒドロキシ安息香酸ボルニル、m−ヒドロキシ安息香酸シトロネリル、m−ヒドロキシ安息香酸ゲラニル、m−ヒドロキシ安息香酸メンチル、m−ヒドロキシ安息香酸ロジニル;
p−ヒドロキシ安息香酸n−ペンチル、p−ヒドロキシ安息香酸イソペンチル、p−ヒドロキシ安息香酸シクロペンチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−ヘキシル、p−ヒドロキシ安息香酸シクロヘキシル、p−ヒドロキシ安息香酸フェニル、p−ヒドロキシ安息香酸3−ヘキセニル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸p−トリル、p−ヒドロキシ安息香酸n−ヘプチル、p−ヒドロキシ安息香酸サリチル、p−ヒドロキシ安息香酸フェネチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、p−ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシル、p−ヒドロキシ安息香酸n−ノニル、p−ヒドロキシ安息香酸4−t−ブチルフェニル、p−ヒドロキシ安息香酸ナフチル、p−ヒドロキシ安息香酸ボルニル、p−ヒドロキシ安息香酸シトロネリル、p−ヒドロキシ安息香酸ゲラニル、p−ヒドロキシ安息香酸メンチル、p−ヒドロキシ安息香酸ロジニル等を挙げることができる。
【0037】
上記のなかでも、ジカルボン酸ジエステル化合物が好ましく、非環状脂肪族ジカルボン酸ジエステル化合物がより好ましく、炭素数12〜20であるジカルボン酸ジエステル化合物がさらに好ましい。そのなかでも、(B)成分としては、下記一般式(II)で表されるジカルボン酸ジエステル化合物であることが特に好ましい。
【0038】
【化5】

[式(II)中、R11は、炭素数4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基を表し;R12およびR13は、それぞれ独立して炭素数2〜8の炭化水素基を表す。]
【0039】
前記式(II)中、R11は、炭素数4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基を表し、炭素数4の直鎖状のアルキレン基(ポリメチレン基)であることが好ましい。これにより、揮発性が低減してダニ駆除効果の持続性が向上する。また、水性液体組成物の製剤化などが容易となる。
【0040】
前記式(I)中、R12およびR13は、それぞれ独立して炭素数2〜8の炭化水素基を表す。
12およびR13の炭素数は、それぞれ炭素数2〜8であり、炭素数2〜4が好ましく、炭素数2〜3がより好ましく、炭素数3が最も好ましい。炭素数2以上であると、(B)成分の加水分解によりメタノールが生成するおそれがなく、環境適合性等の点で好ましい。炭素数8以下であると、水性液体組成物の製剤化などが容易となる。
12、R13における炭化水素基としては、アルキル基又は脂環式基であることが好ましく、アルキル基であることが特に好ましい。該アルキル基としては、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
12およびR13は、それぞれ異なった構造であってもよく、同じ構造であってもよい。
【0041】
前記一般式(II)で表されるジカルボン酸ジエステル化合物として具体的には、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジn−プロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジn−ブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジsec−ブチル、アジピン酸ジt−ブチル、アジピン酸ジペンチル、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジヘプチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)が好ましく挙げられ、アジピン酸ジイソプロピルが最も好ましい。
【0042】
(B)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の水性液体組成物における(B)成分の含有割合は、該組成物全量に対して、0.01〜5質量%が好ましく、0.05〜2質量%がより好ましく、0.1〜1質量%がさらに好ましい。該含有割合の下限値以上であると、ダニ駆除効果がより向上する。一方、上限値以下であると、特に(A)成分との配合バランスが良好となる。
【0043】
なお、(B)成分として好適な前記一般式(II)で表されるジカルボン酸ジエステル化合物は、その製造方法が特に制限されるものではなく、たとえば、炭素数4の非環状脂肪族ジカルボン酸と炭素数2〜8の一価アルコールとから誘導されるもの等が挙げられる。
【0044】
本発明の水性液体組成物において、(B)成分は、前記(A)成分の存在下において、他のエステル化合物に比べてダニ駆除の対象物に吸着しやすいため、(A)成分と併用した際には高いダニ駆除の相乗効果を発現し、優れたダニ駆除効果が得られるものと考えられる。
【0045】
水性液体組成物中の(A)成分と(B)成分との混合割合、(A)/(B)としては、質量比で(A)/(B)=20/1〜1/20であることが好ましく、(A)/(B)=10/1〜1/10であることがより好ましく、(A)/(B)=3/1〜1/2であることがさらに好ましい。
(A)/(B)が前記範囲であると、さらに高い相乗効果によって充分なダニ駆除効果が得られ、しかも適度な粘度で、かつ、安定な水性液体組成物を容易に調製できる。また、(A)/(B)の質量比が上限値以下であると前記相乗効果がより得られる。一方、(A)/(B)の質量比が下限値以上であると、(B)成分と後述の(E)成分との相溶性が良好となり、安定性がより向上する。
【0046】
[(C)成分および/又は(D)成分]
本発明の水性液体組成物は、前記(C)成分および/又は前記(D)成分を含有する。
(C)成分および/又は(D)成分を含有することにより、より高いダニ駆除効果が発揮される。特に、水性液体組成物をスプレー容器に収容して噴霧した際、対象物に対して充分なダニ駆除効果を付与できる。
【0047】
・(C)成分
本発明の水性液体組成物において、(C)成分は、カチオン変性シリカ微粒子(以下、(C1)成分という。)又はアルミナ微粒子(以下、(C2)成分という。)である。
(C1)成分又は(C2)成分は、いずれも環境適合性等に優れた成分であり、製剤化において取扱いが比較的容易な成分である。
【0048】
・・(C1)成分:カチオン変性シリカ微粒子
(C1)成分としては、アニオン性シリカ微粒子の表面がアルミナなどの酸化金属により被覆(カチオン変性)されたもの等が挙げられる。
シリカ微粒子とは、−SiO−を主骨格とする水不溶性の微粒子を示し、たとえばアモルファスシリカ、結晶性シリカ、又はアモルファスシリカを水中に分散させた形態のコロイダルシリカ等が挙げられる。なかでも、シリカ微粒子の分散安定性の点から、コロイダルシリカが好ましい。コロイダルシリカとしては、「スノーテックス」(商品名、日産化学工業(株)製)、「シリカドール」(商品名、日本化学工業(株)製)等の市販品を容易に入手でき、用いることができる。
通常、コロイダルシリカのシリカ微粒子表面は、シラノール基によりアニオン性を帯びている。このアニオン性シリカ微粒子表面が、アルミナ、酸化ジルコニウム等の酸化金属により被覆(コーティング)されたものが(C1)成分として好ましい。
これらの酸化金属によるコーティング方法は、特に限定されるものではなく、たとえばアルミナの場合、塩基性塩化アルミニウムで処理する方法等、従来公知の方法を用いることができる。
本発明において、(C1)成分としては、アルミナにより被覆(アルミナ変性)されたコロイダルシリカがより好ましい。
【0049】
(C1)成分の粒子径としては、下限値は1nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましい。上限値は1μm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることがさらに好ましく、20nm以下であることが特に好ましい。(C1)成分の粒子径が前記範囲内にあると、低温又は高温安定性に優れるため好ましい。また、下限値以上であると安定性が優れ、上限値以下であると、液性がより透明である。また、ダニ駆除の対象物に対して、より均一にダニ駆除効果を付与できる。
本明細書において、「シリカ微粒子の粒子径」は、BET法により、シリカ微粒子の比表面積から算出される値である。
【0050】
(C1)成分として具体的には、スノーテックスAK(商品名、日産化学工業(株)製;粒子径15nm)、シリカドール20P(商品名、日本化学工業(株)製;粒子径20nm)、Klebosol30CAL25(商品名、Clariant社製;粒子径25nm)等の市販品が好適なものとして挙げられる。
(C1)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0051】
・・(C2)成分:アルミナ微粒子
(C2)成分の粒子径としては、下限値は5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましい。上限値は0.1μm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。(C2)成分の粒子径が前記範囲内にあると、低温又は高温安定性に優れるため好ましい。また、下限値以上であると安定性に優れ、上限値以下であると、液性がより透明である。また、ダニ駆除の対象物に対して、より均一にダニ駆除効果を付与できる。
【0052】
(C2)成分として具体的には、アルミナゾル−520(商品名、日産化学工業(株)製;粒子径15nm)、アルミゾル−10(商品名、川研ファインケミカル(株))等の市販品が好適なものとして挙げられる。
(C2)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0053】
(C)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なかでも、(C)成分としては、アニオン性シリカ微粒子の表面がアルミナにより被覆されたカチオン変性シリカ微粒子およびアルミナ微粒子からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、アニオン性シリカ微粒子の表面がアルミナにより被覆されたカチオン変性シリカ微粒子がさらに好ましく、アルミナにより被覆されたコロイダルシリカが特に好ましい。
本発明の水性液体組成物における(C)成分の含有割合は、該組成物全量に対して、0.1〜2質量%が好ましく、0.3〜1質量%がより好ましい。該含有割合の下限値以上であると、ダニ駆除効果がより向上する。一方、上限値以下であると、他の成分との配合バランスが良好となる。また、経済面でも好ましい。
【0054】
・(D)成分
本発明の水性液体組成物において、(D)成分はポリエーテル変性シリコーン化合物である。
当該(D)成分を含有することにより、より高いダニ駆除効果が発揮される。特に、水性液体組成物をスプレー容器に収容して噴霧した際、対象物に対して充分なダニ駆除効果が得られる。また、対象物の風合い向上の効果も得られる。
当該(D)成分は、環境適合性等に優れた成分であり、製剤化において取扱いが比較的容易な成分である。
【0055】
(D)成分としては、シリコーンオイルを使用してもよく、シリコーンオイルが任意の乳化剤によって乳化分散された乳化物を使用してもよい。
(D)成分の分子構造は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、又は架橋していてもよい。
また、(D)成分は、1種類の有機官能基により変性されていてもよく、2種以上の有機官能基により変性されていてもよい。
(D)成分のなかでも、溶解性、保存安定性又は微粒子成分の分散安定性などが良好であることから、下記一般式(VII)で表されるポリエーテル変性シリコーン化合物が特に好ましい。
【0056】
【化6】

【0057】
前記式(VII)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜3の一価炭化水素基であり、溶解性の点から、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
【0058】
hは、エチレンオキサイドの平均付加モル数を表し、下限値としては1以上が好ましく、3以上がより好ましく、7以上がさらに好ましく、上限値としては50以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下がさらに好ましい。hがこの範囲内にあると、ダニ駆除効果が向上する。また、対象物の風合い向上の効果に優れるため好ましい。
iは、プロピレンオキサイドの平均付加モル数を表し、下限値は0以上であり、上限値としては10以下が好ましく、5以下がより好ましく、3以下がさらに好ましい。iがこの範囲内にあると、ダニ駆除効果が向上する。また、対象物の風合い向上の効果に優れるため好ましい。
エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの重合形態は、ランダム付加重合であってもよく、ブロック付加重合のどちらでもあってよい。
【0059】
jは、ジメチルシロキサン基の平均付加モル数を表し、下限値としては1以上が好ましく、20以上がより好ましく、60以上がさらに好ましく、上限値としては400以下が好ましく、300以下がより好ましく、250以下がさらに好ましい。jがこの範囲内にあると、ダニ駆除効果が向上する。また、対象物の風合い向上の効果及び溶解性に優れるため好ましい。
kは、メチルポリオキシアルキレンプロピルシロキサン基の平均付加モル数を表し、下限値としては1以上が好ましく、3以上がより好ましく、4以上がさらに好ましく、上限値としては40以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下がさらに好ましい。kがこの範囲内にあると、ダニ駆除効果が向上する。また、対象物の風合い向上の効果及び溶解性に優れるため好ましい。
ジメチルシロキサン基と、メチルポリオキシアルキレンプロピルシロキサン基との重合形態は、ランダム付加重合であってもよく、ブロック付加重合であってもよい。
jとkとの割合(j/k)としては、モル比でj/kの下限値が1以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、15以上であることがさらに好ましく、上限値が100以下であることが好ましく、50以下であることがより好ましく、30以下であることがさらに好ましい。j/kがこの範囲内にあると、ダニ駆除効果が向上する。また、対象物の風合い向上の効果及び溶解性に優れるため好ましい。
【0060】
前記一般式(VII)で表されるポリエーテル変性シリコーン化合物は、Si−H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、ポリオキシアルキレンアリルエーテルとを付加反応させる等の従来公知の方法により製造することができる。
【0061】
(D)成分として具体的には、
東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製のSH3771C、SH3775、SH3748、SH3749、SF8410、SH8700、BY22−008、BY22−012、BY22−068、SF8421、SILWET L−7001、SILWET L−7002、SILWET L−7602、SILWET L−7604、SILWET FZ−2104、SILWET FZ−2120、SILWET FZ−2161、SILWET FZ−2162、SILWET FZ−2164、SILWET FZ−2171;信越化学工業(株)製のKF352A、KF6008、KF615A、KF6016、KF6017;モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製のTSF4450、TSF4452等の市販品が好適なものとして挙げられる。
【0062】
(D)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の水性液体組成物における(D)成分の含有割合は、該組成物全量に対して、0.1〜2質量%が好ましく、0.3〜1質量%がより好ましい。該含有割合の下限値以上であると、ダニ駆除効果がより向上する。また、対象物の風合い向上の効果も得られる。一方、上限値以下であると、対象物にベタツキ等が生じることなく、(D)成分を含有することによる効果が得られる。
【0063】
本発明の水性液体組成物においては、前記(C)成分および/又は前記(D)成分を含有する。なかでも、ダニ駆除効果がより良好であることから、前記(C)成分および前記(D)成分の両成分を含有することがより好ましい。
【0064】
[(E)成分]
本発明のダニ駆除用水性液体組成物においては、さらに、炭素数2〜6の一価アルコール、炭素数2〜6の多価アルコールおよび下記一般式(I)で表されるグリコールエーテル化合物からなる群から選択される1種以上の水溶性溶剤(E)を含有することが好ましい。
当該(E)成分を、前記(A)成分および前記(B)成分と組み合わせて用いることにより、ダニ駆除の対象物に対して、高いダニ駆除効果をより均一に付与できる。
【0065】
【化7】

[式(I)中、Rは、炭素数2〜6のアルキル基又はフェニル基を表し;Rは炭素数2又は3のアルキレン基を表し;xは平均付加モル数を表し、2〜3の数である。]
【0066】
一価アルコールにおいて、炭素数は2〜6であり、炭素数2〜4であることが好ましい。
多価アルコールにおいて、炭素数は2〜6であり、炭素数2〜4であることが好ましい。
前記式(I)中、Rは、炭素数2〜6のアルキル基又はフェニル基であり、炭素数2〜6のアルキル基であることが好ましい。
は、炭素数2又は3のアルキレン基であり、炭素数2のアルキレン基(エチレン基)であることが好ましい。
xは、平均付加モル数を表し、2〜3の数である。
【0067】
(E)成分の好適な具体例としては、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等の一価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(好ましくは、重量平均分子量100〜3000のもの)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(好ましくは、重量平均分子量150〜500のもの)、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ペンタンジオール類、ヘキサンジオール類等の多価アルコール;エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル等のグリコールエーテル化合物が挙げられる。
上記のなかでも、対象物に対してより均一にダニ駆除効果を付与できることから、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エタノール、エチレングリコールがより好ましい。
ジエチレングリコールモノブチルエーテルは、該成分自体の環境適合性等が良好であり、また、水性液体組成物の製剤化が容易となることからも好ましい。
なお、エタノールとしては、発酵エタノール又は合成エタノールが使用できる。また、各種の変性剤を添加した変性アルコールも使用できる。
【0068】
(E)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の水性液体組成物における(E)成分の含有割合は、該組成物全量に対して、7〜40質量%が好ましく、12〜25質量%がより好ましい。該含有割合の下限値以上であると、高いダニ駆除効果を対象物に対してより均一に付与できる。一方、上限値以下であると、他の成分との配合バランスが良好となる。また、保存安定性が向上する。さらに、経済面でも好ましい。
【0069】
[その他の成分]
本発明のダニ駆除用水性液体組成物は、溶媒として水性溶媒を含有するものであって、保存安定性に優れ、環境適合性等も高いものである。
水性溶媒としては、水や、水溶性有機溶剤を含有する水を使用できる。
本明細書において、「水溶性有機溶剤」とは、25℃の温度条件下において該溶剤をイオン交換水に溶解し、濃度1質量%の水溶液とした際、その調製直後(調製から1分間以内)の水溶液が透明であることを示す。ここで「透明」とは、測定セルとして光路長が10mmのガラスセルを使用し、対照側のセルにイオン交換水を入れた場合、波長660nmの光透過率が95%以上であることを意味する。
【0070】
水としては、水道水、イオン交換水、精製水、蒸留水など、いずれも用いることができる。なかでも、水中に微量存在するカルシウムイオン、マグネシウムイオンなどの硬度成分や鉄イオンなどの金属イオンを除去した水が好ましく、コスト面等を考慮してイオン交換水が最も好ましい。
水溶性有機溶剤としては、前記(E)成分以外のものであって、上記条件を満足するものであれば特に制限されることなく使用できる。
【0071】
本発明の水性液体組成物のpHを調整するためには、塩酸、硫酸、リン酸、アルキル硫酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸、エチレンジアミン四酢酸、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等の短鎖アミン化合物、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属珪酸塩などのpH調整剤を用いることができる。
【0072】
本発明の水性液体組成物の粘度を調整するためには、水性液体組成物に、無機又は有機の水溶性塩類を含有する方法が挙げられる。
このような水溶性塩類としては、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム等を用いることができる。なかでも、塩化カルシウム、塩化マグネシウムが好ましい。
【0073】
本発明の水性液体組成物においては、任意成分として非イオン性界面活性剤を配合してもよい。非イオン性界面活性剤は、水性液体組成物を保存経日によっても安定な均一透明液体状またはエマルジョン状に維持する目的や、水性液体組成物の粘度を調整する目的などで使用されるものであって、必要に応じて、ダニ駆除効果を阻害しない範囲内で含有される。
非イオン性界面活性剤としては、例えば炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましく、アルキレンオキシドが平均2〜100モル付加されたものがより好ましい。特に、下記一般式(VIII)で表される非イオン性界面活性剤が好ましい。
【0074】
【化8】

【0075】
式(VIII)中、R14は、炭素数10〜18、好ましくは炭素数12〜18のアルキル基又はアルケニル基である。
15は、炭素数2又は3のアルキレン基であり、好ましくはエチレン基である。
pは、平均付加モル数であり、好ましくは2〜100であり、より好ましくは10〜80である。
「−T−」は、−O−、−N−、−NH−、−N(COH)−、−CON−、−CONH−および−CON(COH)−からなる群から選択される1種を示す。
また、qは、1又は2である。
「−T−」が、−O−、−NH−、−N(COH)−、−CONH−、−CON(COH)−のうちのいずれかである場合、qは1であり;「−T−」が−N−または−CON−の場合、qは2である。
【0076】
前記一般式(VIII)で表される非イオン性界面活性剤のより好ましい具体例としては、下記一般式(IX)で表されるものが挙げられる。
【0077】
【化9】

【0078】
式(IX)中、R16は、上記一般式(VIII)におけるR14と同じである。
rは、エチレンオキシドの平均付加モル数であり、好ましくは10〜100であり、より好ましくは20〜80である。
【0079】
このような非イオン性界面活性剤を含有することにより、水性液体組成物は相分離を起こしにくくなり、保存安定性が一層向上する場合が多い。
水性液体組成物中の非イオン性界面活性剤の含有割合は、特に制限されるものではなく、0.0001〜10質量%であることが好ましい。該含有割合が前記範囲であれば、ダニ駆除効果を阻害することなく、充分な保存安定性が得られやすい。
【0080】
本発明の水性液体組成物は、任意成分としてさらに多価アニオン性物質を含有すると、一層高いダニ駆除効果が得られることがある。
多価アニオン性物質の具体例としては、シュウ酸、酒石酸、クエン酸などの多価カルボン酸や、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)、アミノトリメチレンホスホン酸又はこれらの塩が挙げられる。これらのなかでは、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)、アミノトリメチレンホスホン酸又はそれらの塩がより好ましい。
また、塩の種類としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩などが挙げられる。
【0081】
本発明の水性液体組成物は、さらに、ダニ駆除効果を阻害しない範囲内で、pHバッファー剤、無機又は有機の水溶性塩類、香料、酸化防止剤、抗菌剤、染料、消泡剤など、界面活性剤を含有する公知の水性液体組成物に含まれ得るその他の成分を含有することができる。
なお、以上説明した各任意成分は、水性液体組成物の調製時において、いかなるタイミングで加えられてもよい。
【0082】
水性液体組成物のpHは、特に制限されるものではなく、水性液体組成物(原液)のpHが4〜8の範囲であることが好ましく、pH5〜7の範囲であることがより好ましい。該範囲であると、(A)成分および(B)成分(特に(B)成分)の化学的安定性が良好であり、環境適合性等の点でも好ましい。
本明細書において、「水性液体組成物のpH」は、水性液体組成物の原液を25℃に調整し、ガラス電極式pHメーター(製品名:ホリバF−22、(株)堀場製作所製)を用いて、JIS K3362−1998に準拠して測定される値を示す。
【0083】
水性液体組成物の粘度は、特に制限されるものではなく、水性液体組成物を容器から排出する際の排出性や、洗濯機への投入の際のハンドリング性などの点から、500mPa・s以下であることが好ましく、保存経日による粘度上昇を考慮すると、配合直後の粘度は200mPa・s以下であることがより好ましく、5〜50mPa・sであることがさらに好ましい。
特に、(A)成分として長鎖炭化水素基を2つ以上有する化合物を用いた場合、該化合物の水性液体組成物中の含有割合に応じて、水性液体組成物の粘度が急激に増加することがある。その場合には、前記水溶性塩類を添加したり、前記非イオン性界面活性剤を添加したりすることにより、粘度調整することが好ましい。
本明細書において、「水性液体組成物の粘度」は、水性液体組成物(原液)を25℃に調整し、B型粘度計(TOKIMEC社製)を用いて、No.2ローター、30rpm、10回転後の示度を示す。
【0084】
以上説明した前記(A)成分と、前記(B)成分と、前記(C)成分および/又は前記(D)成分とを含有するダニ駆除用水性液体組成物によれば、室温で高いダニ駆除効果を発揮することができる。さらに、前記(E)成分を含有する該ダニ駆除用水性液体組成物は、高いダニ駆除効果を対象物に対して均一に付与できる。よって、該ダニ駆除用水性液体組成物を使用することによって、効果的にダニ駆除ができる。
また、該ダニ駆除用水性液体組成物は、スプレー容器に収容して噴霧した際、対象物に対して充分なダニ駆除効果が得られることから、スプレー容器用として特に好適である。
【0085】
≪スプレー容器入りダニ駆除用水性液体組成物≫
本発明のスプレー容器入りダニ駆除用水性液体組成物は、上記本発明のダニ駆除用水性液体組成物が、トリガー式スプレー容器、フィンガー式スプレー容器およびエアゾール式スプレー容器からなる群から選択されるスプレー容器に収容されてなるものである。
【0086】
(スプレー容器)
本発明において、スプレー容器は、トリガー式スプレー容器、フィンガー式スプレー容器およびエアゾール式スプレー容器からなる群から選択され、いずれのスプレー容器も特に制限されるものではない。
トリガー式スプレー容器としては、直圧型であってもよく、蓄圧型であってもよく、たとえば、特開平9−268473号公報、特開平9−256272号公報、特開平10−76196号公報等に記載のものが挙げられる。
フィンガー式スプレー容器としては、特開平9−256272号公報等に記載のものが挙げられる。
エアゾール式スプレー容器としては、特開平9−58765号公報等に記載のものが挙げられる。噴射剤としては、LPG(液化プロパンガス)、DME(ジメチルエーテル)、炭酸ガス、窒素ガス、二酸化窒素ガス等を使用でき、これらを単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
上記スプレー容器のなかでも、ダニ駆除用水性液体組成物を詰め替えることにより繰り返し使用ができることや経済性の点から、トリガー式スプレー容器又はフィンガー式スプレー容器が好ましい。
【0087】
スプレー容器入りダニ駆除用水性液体組成物は、ダニ駆除の対象物に対して均一にダニ駆除効果が付与されるように、該水性液体組成物が均一に細かく霧状に噴霧されることが好ましい。
【0088】
上記本発明のダニ駆除用水性液体組成物は、上記スプレー容器に収容される内容液として特に好適であり、上記スプレー容器からの排出性に優れる。また、該水性液体組成物を上記スプレー容器から排出すると、該水性液体組成物を、対象物に少量で、かつ、広範囲に噴霧することができる。
【0089】
≪ダニ駆除方法≫
本発明のダニ駆除方法は、上記本発明のダニ駆除用水性液体組成物又はスプレー容器入りダニ駆除用水性液体組成物(以下、これらをまとめて単に「水性液体組成物」ということがある。)を使用する方法である。
ダニ駆除方法として具体的には、たとえば、
(1)ダニ駆除の対象物の表面に本発明の水性液体組成物を直接付着させる方法、
(2)繊維製品の洗濯すすぎ工程中に本発明の水性液体組成物を使用する方法、などが挙げられ、なかでも方法(1)が特に好ましい。
【0090】
方法(1)において、ダニ駆除の対象物の表面に水性液体組成物を直接付着させる具体的な方法としては、水性液体組成物をスプレー容器などに収容して対象物の表面に直接噴霧する方法、水性液体組成物を対象物の表面に綿棒、ハケ、ローラーなどで塗布する方法;ティッシュペーパーやキッチンペーパーなどの紙や布に水性液体組成物を含ませて対象物の表面に塗布する方法などが挙げられる。
ダニ駆除の対象物としては、住居内でダニが存在すると考えられる対象物であれば特に限定されるものではなく、たとえば、布団などの寝具類、カーペット、じゅうたん、畳、ぬいぐるみ、ソファー、マット、家具や床などの木質表面、プラスチック製品の表面、衣料などが挙げられる。
前記方法(1)は、特に洗濯機等により洗濯することが困難な対象物に対して有効である。
【0091】
方法(1)において、本発明の水性液体組成物をスプレー容器に収容して対象物の表面に直接噴霧する場合、スプレー容器からの噴霧量としては、対象物100質量部に対して1〜100質量部であることが好ましく、5〜50質量部であることがより好ましい。
また、スプレー容器からの水性液体組成物の噴霧量は、対象物における塗布部の単位面積あたり1〜100g/mであることが好ましく、2〜50g/mであることがより好ましく、さらに好ましくは、5〜20g/mである。
また、対象物における塗布部の単位面積あたりの(A)成分量が0.0001〜0.1g/mであることが好ましく、0.001〜0.2g/mであることがより好ましい。
【0092】
以上説明した本発明のダニ駆除方法によれば、対象物に少量で、かつ、広範囲に塗布でき、高いダニ駆除効果を対象物に対して均一に付与できる。
また、本発明のダニ駆除方法により、布団やカーペット等の洗濯機等による洗濯が困難な対象物に対するダニ駆除を簡便に行うことができる。
【実施例】
【0093】
次に、実施例及び比較例を挙げるが、本発明は下記例によって何ら限定されるものではない。なお、特に断りが無い限り、「水」は「イオン交換水」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。
実施例及び比較例において、ダニ駆除効果は、下記の評価方法によって求められる「ダニ忌避率」を指標とした。
【0094】
[実施例1〜26、比較例1〜12]
表1に示した成分とイオン交換水とを用いて、以下に示す方法により、各成分が表2〜4に示す濃度(質量%)になるように水性液体組成物を調製した。
なお、水性液体組成物は、各表に記載の成分の合計が100質量%となるように調製した。各成分は50℃に保温したものを用いた。
(水性液体組成物の調製)
(A)成分、(B)成分、(D)成分、(E)成分および非イオン性界面活性剤を混合し、次いで、(C)成分とイオン交換水とを加えて各例の水性液体組成物を調製した。
イオン交換水を配合する際には、必要に応じて、高速撹拌を加えながらゆっくり配合した。そして、この水性液体組成物を室温とした後、0.1N塩酸又は0.1N水酸化ナトリウムを用いて、pH5.0に調整した。
pH測定は、水性液体組成物を25℃に調整し、ガラス電極式pHメーター(製品名:ホリバF−22、(株)堀場製作所製)を用いて測定した。測定方法は、JISK3362−1998に準拠して行った。
【0095】
(表1に示した(D)成分について)。
・ポリエーテル変性シリコーンA:実験室合成品
前記一般式[VII]において、R=メチル基、h=10、i=0、j=210、k=9;分子中のポリオキシエチレン鎖の質量比20質量%、動粘度8000mm/s。
(CHSiO(CHCHSiO)210(CHHSiO)Si(CH
で表されるハイドロジェンシロキサン828g、
平均組成 CH=CHCHO(CHCHO)
で表されるアリル化ポリエーテル210g、エチルアルコール726gおよび塩化白金酸のClが中和されたものを、白金がアリル化ポリエーテルに対して質量で5ppmとなるように秤量し、反応温度80℃で撹拌して5時間反応させた。反応終了後、減圧留去することにより、ポリエーテル変性シリコーンを得た。
このポリエーテル変性シリコーン90gに対して、10gのジエチレングリコールモノブチルエーテルを添加して使用した。
【0096】
・ポリエーテル変性シリコーンB:商品名「SH3775」、東レ・ダウコーニング製;動粘度1600mm/s)。
【0097】
<ダニ駆除効果の評価>
得られた水性液体組成物がスプレー式容器又は塗付容器に収容されてなるものを用いて、下記に示す方法により、ダニ忌避率を求めた。
なお、表2〜4に記載の例は、水性液体組成物又は容器入り水性液体組成物をダニ駆除に使用する場合を想定したものである。
【0098】
(評価試料の作製)
以下に示す、綿布、トリガー式スプレー容器および塗付容器を用いて、評価試料である布片5枚を作製した。
綿布:かなきん3号、日本規格協会、大きさ20cm×20cm、約4.2g/枚。
トリガー式スプレー容器:吉野工業所(株)製(AKSRMトリガー、噴口径0.45mm、容量300mL)。
塗付容器:トッププレケアエリソデ(商品名、ライオン(株)製)に使用されている容器(特開2006−008937公報の図1等参照)。
具体的には、実施例1〜26および比較例1〜10の水性液体組成物をトリガー式スプレー容器に収容し、綿布に対して水性液体組成物0.42gを噴霧し、1時間自然乾燥させた後、直径4cmの円形状に切り抜いた布片5枚を作製し、評価試料とした(噴霧処理)。
また、比較例11〜12の水性液体組成物を塗付容器に収容し、綿布に対して水性液体組成物0.42gを塗り付け、1時間自然乾燥させた後、直径4cmの円形状に切り抜いた布片5枚を作製し、評価試料とした(塗付処理)。
評価試料の対照試料として、水性液体組成物を塗布しない未処理の布片(直径4cmの円形状)を用いた。
【0099】
(ダニ忌避率の測定)
「動物忌避剤の開発と応用(シーエムシー、(1999))」の126頁に記載された方法に準じて、ダニ忌避率を求めてダニ駆除効果を判定した。
具体的には、上記で作製された評価試料(噴霧処理、塗付処理)の布片5枚をそれぞれシャーレ(1)内に置き、該布片の上にダニを含まない培地を0.05g置いた。
次いで、このシャーレ(1)を、直径9cmのシャーレ(2)の中央に置き、シャーレ(1)とシャーレ(2)の間にヤケヒョウヒダニ約1万匹を生育させた培地を均一に広げ、25℃、相対湿度75%RH、全暗状態で24時間放置した。
24時間後、シャーレ(1)内に存在するダニ匹数を実体顕微鏡で観察してカウントした(試料試験)。
一方、対照試料(未処理)の布片を用いて、上記試料試験と同じように試験を行った(対照試験)。
そして、下記式により、ダニ忌避率(%)を求めた。
【0100】
ダニ忌避率(%)=(対照試験におけるダニ匹数−試料試験におけるダニ匹数)/(対照試験におけるダニ匹数)×100
【0101】
本試験により求められるダニ忌避率(%)は、約50%以上であることが望ましく、このようなダニ忌避率であると、有意にダニ駆除効果を有していると判断できる。
ダニ駆除効果の評価においては、評価試料の布片5枚におけるダニ忌避率の平均値(%)を求め、該評価を行った。その結果を表2〜4に示す。
【0102】
<ダニ駆除効果の均一性の評価>
ダニ駆除効果の均一性の評価は、上記測定により求められた評価試料の布片5枚それぞれのダニ忌避率(%)から、下記式により、各例の水性液体組成物ごとにダニ忌避率変動計数(CV;%)を算出し、下記均一性の基準に基づいて該評価を行った。その結果を表2〜4に示す。
【0103】
ダニ忌避率変動計数(CV;%)=布片5枚におけるダニ忌避率の標準偏差/布片5枚におけるダニ忌避率の平均値×100
【0104】
(均一性の基準)
◎:CV(%)が15%以下であった。
○:CV(%)が15%超25%未満であった。
△:CV(%)は25%超30%未満であった。
×:CV(%)は30%以上であった。
【0105】
【表1】

【0106】
【表2】

【0107】
【表3】

【0108】
【表4】

【0109】
表2〜4に示すように、(A)成分と、(B)成分と、(C)成分および/又は(D)成分とを併用した、本発明に係る実施例1〜26の水性液体組成物においては、室温で高いダニ駆除効果が発揮されることが確認できた。
一方、(A)〜(D)成分のうち一成分のみを含有する比較例1〜4の水性液体組成物は、ダニ駆除効果が悪かった。また、(C)成分および(D)成分をいずれも欠く比較例5〜10の水性液体組成物は、実施例1〜26の水性液体組成物に比べて、ダニ駆除効果が低いことが確認された。
【0110】
実施例1〜6、9〜11と、その他の実施例との比較から、本発明の水性液体組成物は、(A)成分と、(B)成分と、(C)成分および/又は(D)成分とに加えて、さらに、(E)成分を含有することにより、高いダニ駆除効果を対象物に対してより均一に付与できることが確認できた。
【0111】
また、水性液体組成物がトリガー式スプレー容器に収容された実施例7〜8の容器入り水性液体組成物によれば、高いダニ駆除効果を対象物に対して均一に付与できることが確認できた。
一方、水性液体組成物が塗付容器に収容された比較例11〜12の容器入り水性液体組成物は、対象物に対するダニ駆除効果の均一性が悪いことが確認された。
【0112】
実施例1〜26は、いずれも、水性液体組成物がトリガー式スプレー容器に収容されてなる容器入り水性液体組成物であり、水性液体組成物を、対象物に少量で、かつ、広範囲に塗布できることが確認できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)成分と、(B)成分と、(C)成分および/又は(D)成分とを含有することを特徴とするダニ駆除用水性液体組成物。
(A)炭素数8〜22の長鎖炭化水素基(ただし、該長鎖炭化水素基は、アミド基、エステル基又はエーテル基で分断されていてもよい。)を分子内に1つ以上有する3級アミン、該3級アミンの中和物および該3級アミンの4級化物からなる群から選択される1種以上の化合物。
(B)炭素数5〜33である非環状脂肪族カルボン酸エステル化合物および炭素数8〜33である芳香族カルボン酸エステル化合物からなる群から選択される1種以上のカルボン酸エステル化合物。
(C)カチオン変性シリカ微粒子又はアルミナ微粒子。
(D)ポリエーテル変性シリコーン化合物。
【請求項2】
さらに、炭素数2〜6の一価アルコール、炭素数2〜6の多価アルコールおよび下記一般式(I)で表されるグリコールエーテル化合物からなる群から選択される1種以上の水溶性溶剤(E)を含有する請求項1に記載のダニ駆除用水性液体組成物。
【化1】

[式(I)中、Rは、炭素数2〜6のアルキル基又はフェニル基を表し;Rは炭素数2又は3のアルキレン基を表し;xは平均付加モル数を表し、2〜3の数である。]
【請求項3】
前記(B)成分が、下記一般式(II)で表されるジカルボン酸ジエステル化合物である請求項1又は請求項2に記載のダニ駆除用水性液体組成物。
【化2】

[式(II)中、R11は、炭素数4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基を表し;R12およびR13は、それぞれ独立して炭素数2〜8の炭化水素基を表す。]
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のダニ駆除用水性液体組成物が、トリガー式スプレー容器、フィンガー式スプレー容器およびエアゾール式スプレー容器からなる群から選択されるスプレー容器に収容されてなることを特徴とするスプレー容器入りダニ駆除用水性液体組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のダニ駆除用水性液体組成物を使用することを特徴とするダニ駆除方法。

【公開番号】特開2009−114118(P2009−114118A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−288318(P2007−288318)
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】