説明

チアジアゾール置換アリールアミド

式(I)[ここで、Rは場合により置換されているチアジアゾリルであり、R、R、R、R、R、R及びRは本明細書で定義されるとおりである]の化合物、又はその薬学的に許容しうる塩。さらに、P2X及び/又はP2X2/3受容体アンタゴニストに関連する疾患を処置するための化合物を使用する方法、ならびに、その化合物を作製する方法を開示する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、P2Xプリン受容体に関連する疾患の処置に有用な化合物に関し、より詳細には泌尿生殖器、疼痛、炎症性、胃腸、及び呼吸器の疾患、状態及び障害の処置に有用なP2X及び/又はP2X2/3アンタゴニストに関する。
【0002】
本発明は、式I:
【0003】
【化1】


[式中、
は、場合により置換されているチアジアゾリルであり;
は、場合により置換されているフェニル;場合により置換されているピリジニル;場合により置換されているピリミジニル、場合により置換されているピリダジニル;又は場合により置換されているチオフェニルであり;
は、水素;C1−6アルキル;又はシアノであり;
は、水素;又はC1−6アルキルであり;
は、C1−6アルキル;ハロ−C1−6アルキル;N−C1−6アルキルアミノ;N,N−ジ−(C1−6アルキル)−アミノ;C3−7シクロアルキル;アリール;ヘテロアリール;ヘテロシクリル;C3−7シクロアルキル−C1−6アルキル;ヘテロアリール−C1−6アルキル;ヘテロシクリル−C1−6アルキル;アリール−C1−6アルキル;アリールオキシ−C1−6アルキル;−(CR−C(O)−R[式中:mは0又は1であり;R及びRはそれぞれ独立して水素;又はC1−6アルキルであり;そしてRは水素;C1−6アルキル;C3−7シクロアルキル;アリール;ヘテロアリール;ヘテロシクリル;C3−7シクロアルキル−C1−6アルキル;アリール−C1−6アルキル;ヘテロアリール−C1−6アルキル;ヘテロシクリル−C1−6アルキル;C3−7シクロアルキルオキシ;アリールオキシ;ヘテロアリールオキシ;ヘテロシクリルオキシ;C3−7シクロアルキルオキシ−C1−6アルキル;アリールオキシ−C1−6アルキル;ヘテロアリールオキシ−C1−6アルキル;ヘテロシクリルオキシ−C1−6アルキルである];又は−NR10[式中Rは水素;又はC1−6アルキルであり;そしてR10は水素;C1−6アルキル;C3−7シクロアルキル;アリール;ヘテロアリール;ヘテロシクリル;C3−7シクロアルキル−C1−6アルキル;アリール−C1−6アルキル;ヘテロアリール−C1−6アルキル;又はヘテロシクリル−C1−6アルキルである]であり;
、R、及びRはそれぞれ独立して水素;C1−6アルキル;C1−6アルキルオキシ;ハロ;C1−6ハロアルキル;又はシアノである]で示される化合物、又はその薬学的に許容しうる塩を提供するものである。
【0004】
本発明はさらに、式I:
【0005】
【化2】


[式中:
は、場合により置換されているチアジアゾリルであり;
は、場合により置換されているフェニル;場合により置換されているピリジニル;場合により置換されているピリミジニル、場合により置換されているピリダジニル;又は、場合により置換されているチオフェニルであり;
は、水素;C1−6アルキル;又はシアノであり;
は、水素;又はC1−6アルキルであり;
は、C1−6アルキル;ハロ−C1−6アルキル;C1−6アルキルオキシ−C1−6アルキル、ヒドロキシ−C1−6アルキル、N−C1−6アルキルアミノ;N,N−ジ−(C1−6アルキル)−アミノ;C3−7シクロアルキル;アリール;ヘテロアリール;ヘテロシクリル;C3−7シクロアルキル−C1−6アルキル;ヘテロアリール−C1−6アルキル;ヘテロシクリル−C1−6アルキル;アリール−C1−6アルキル;アリールオキシ−C1−6アルキル;−(CRa*−C(O)−R’であり、式中:mは0又は1であり;Ra*及びRはそれぞれ独立して水素;又はC1−6アルキルであり;そしてR’は水素;C1−6アルキル;C3−7シクロアルキル;アリール;ヘテロアリール;ヘテロシクリル;C3−7シクロアルキル−C1−6アルキル;アリール−C1−6アルキル;ヘテロアリール−C1−6アルキル;ヘテロシクリル-C1−6アルキル;C3−7シクロアルキルオキシ;アリールオキシ;ヘテロアリールオキシ;ヘテロシクリルオキシ;C3−7シクロアルキルオキシ−C1−6アルキル;アリールオキシ−C1−6アルキル;ヘテロアリールオキシ−C1−6アルキル;ヘテロシクリルオキシ−C1−6アルキル;又はNR10であり、式中:Rは水素;又はC1−6アルキルであり;そしてR10は水素;C1−6アルキル;C3−7シクロアルキル;アリール;ヘテロアリール;ヘテロシクリル;C3−7シクロアルキル−C1−6アルキル;アリール−C1−6アルキル;ヘテロアリール−C1−6アルキル;又はヘテロシクリル−C1−6アルキルであり;そして、
、R、及びRはそれぞれ独立して水素;C1−6アルキル;C1−6アルキルオキシ;ハロ;C1−6ハロアルキル、又はシアノである]で示される化合物、又はその薬学的に許容しうる塩を提供するものである。
【0006】
本発明はまた、本化合物を含む医薬組成物、本化合物を使用する方法、及び、本化合物を調製する方法を提供する。
【0007】
特に指定のない限り、明細書及び特許請求の範囲を含むこの出願において使用される次の用語は、以下で与えられた定義を有する。明細書及び添付の特許請求の範囲に使用されるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、別様に文脈が明らかに指示していない限り複数の指示対象を含むということは注意されるべきである。
【0008】
「アゴニスト」は、他の化合物又は受容体部位の活性を高める化合物を指す。
【0009】
「アルキル」は、炭素原子及び水素原子のみからなり、1〜12個の炭素原子を有する一価の直鎖又は分岐飽和炭化水素部分を意味する。「低級アルキル」は、1〜6個の炭素原子のアルキル基、すなわちC−Cアルキルを指す。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、n−ヘキシル、オクチル、ドデシル等が含まれるが、これらに限定されない。
【0010】
「アルケニル」は、2〜6個の炭素原子の直鎖一価炭化水素基、又は、3〜6個の炭素原子の分岐一価炭化水素基を意味し、少なくとも一つの二重結合を含有し、例えばエテニル、プロペニル等である。
【0011】
「アルキニル」は、2〜6個の炭素原子の直鎖一価炭化水素基、又は、3〜6個の炭素原子の分岐一価炭化水素基を意味し、少なくとも一つの三重結合を含有し、例えばエチニル、プロピニル等である。
【0012】
「アルキレン」は、1〜6個の炭素原子の直鎖飽和二価炭化水素基、又は、3〜6個の炭素原子の分岐飽和二価炭化水素基を意味し、例えばメチレン、エチレン、2,2−ジメチルエチレン、プロピレン、2−メチルプロピレン、ブチレン、ペンチレン等である。
【0013】
「アルコキシ」、及び「アルキルオキシ」は、交換可能に使用されることができ、式−ORの部分を意味し、式中Rは本明細書で定義されるようなアルキル部分である。アルコキシ部分の例としては、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ等が含まれるが、これらに限定されない。
【0014】
「アルコキシアルキル」は、式R’−O−R’−の部分を意味し、式中、本明細書で定義されるように、R’はアルキルであり、R’はアルキレンである。例示的アルコキシアルキル基には、例として、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、1−メチル−2−メトキシエチル、1−(2−メトキシエチル)−3−メトキシプロピル、及び、1−(2−メトキシエチル)−3−メトキシプロピルが含まれる。
【0015】
「アルキルカルボニル」は、式−R’−R”の部分を意味し、式中、R’はオキソであり、R”は本明細書で定義されるようなアルキルである。
【0016】
「アルキルスルホニル」は、式−R’−R”の部分を意味し、式中、R’は−SO−であり、R”は本明細書で定義されるようなアルキルである。
【0017】
「アルキルスルホニルアルキル」は、−R’−R”−R”'の部分を意味し、式中、本明細書で定義されるように、R’はアルキレンであり、R”は、−SO−であり、R”’はアルキルである。
【0018】
「アミノ」は、式−NRR’の部分を意味し、式中、本明細書で定義されるように、R及びR’はそれぞれ独立して、水素又はアルキルである。したがってアミノには、「アルキルアミノ」(ここでR及びR’の一方はアルキルであり、もう一方は水素である)、及び「ジアルキルアミノ」(ここでR及びR’は双方ともアルキルである)が含まれる。
【0019】
「アルコキシアミノ」は、式−NR−OR’の部分を意味し、式中、本明細書で定義されるように、Rは水素又はアルキルであり、R’はアルキルである。
【0020】
「アルキルスルファニル」は、式−SRの部分を意味し、式中、Rは本明細書で定義されるようなアルキルである。
【0021】
「アミノアルキル」は、−R−R’基を意味し、式中、本明細書で定義されるように、R’はアミノであり、Rはアルキレンである。「アミノアルキル」には、アミノメチル、アミノエチル、1−アミノプロピル、2−アミノプロピル等が含まれる。「アミノアルキル」のアミノ部分は、アルキルで1回又は2回置換されて、それぞれ「アルキルアミノアルキル」及び「ジアルキルアミノアルキル」を提供することができる。「アルキルアミノアルキル」には、メチルアミノメチル、メチルアミノエチル、メチルアミノプロピル、エチルアミノエチル等が含まれる。「ジアルキルアミノアルキル」には、ジメチルアミノメチル、ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノプロピル、N−メチル−N−エチルアミノエチル等が含まれる。
【0022】
「アミノアルコキシ」は、−OR−R’基を意味し、式中、本明細書で定義されるように、R’はアミノであり、Rはアルキレンである。
【0023】
「アルキルスルホニルアミド」は、式−NR’SO−Rの部分を意味し、式中、Rはアルキルであり、R’は水素又はアルキルである。
【0024】
「アミノカルボニルオキシアルキル」又は「カルバミルアルキル」は、式−R−O−C(O)−NR’R”の基を意味し、式中、本明細書で定義されるように、Rはアルキレンであり、R’、R”はそれぞれ独立して水素又はアルキルである。
【0025】
「アルキニルアルコキシ」は、式−O−R−R’の基を意味し、式中、本明細書で定義されるように、Rはアルキレンであり、R’はアルキニルである。
【0026】
「アンタゴニスト」は、他の化合物又は受容体部位の作用を減少させるか、又は妨げる化合物を指す。
【0027】
「アリール」は、単環式、二環式又は三環式芳香族環からなる一価環式芳香族炭化水素部分を意味する。アリール基は場合により、本明細書で定義されるように置換されていることができる。アリール部分の例には、フェニル、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、インデニル、ペンタレニル、アズレニル、オキシジフェニル、ビフェニル、メチレンジフェニル、アミノジフェニル、ジフェニルスルフィジル、ジフェニルスルホニル、ジフェニルイソプロピリデニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾフラニル、ベンゾジオキシリル、ベンゾピラニル、ベンゾオキサジニル、ベンゾオキサジノニル、ベンゾピペラジニル(benzopiperadinyl)、ベンゾピペラジニル(benzopiperazinyl)、ベンゾピロリジニル、ベンゾモルホリニル、メチレンジオキシフェニル、エチレンジオキシフェニル等が含まれるが、これらに限定されず、部分的に水素化されたそれらの誘導体も含まれ、それぞれは場合により置換されている。ある特定の実施態様において、「アリール」は、フェニル又はナフチルを意味し、それぞれは場合により置換されている。多くの実施態様において、「アリール」は、場合により置換されているフェニルである。
【0028】
「アリールアルキル」及び「アラルキル」は交換可能に使用されることができ、−Ra’基を意味し、式中、本明細書で定義されるように、Ra’は、アルキレン基であり、Rは、アリール基であり;例えば、ベンジル、フェニルエチル、3−(3−クロロフェニル)−2−メチルペンチル等などのフェニルアルキルが、アリールアルキルの例である。
【0029】
「アリールスルホニル」は、式−SO−Rの基を意味し、式中、Rは本明細書で定義されるようなアリールである。
【0030】
「アリールオキシ」は、−O−Rの基を意味し、式中、Rは本明細書で定義されるようなアリールである。
【0031】
「アリールオキシアルキル」は、式−R−O−R’の基を意味し、式中、本明細書で定義されるように、Rはアルキレンであり、R’はアリールである。
【0032】
「アラルキルオキシ」は、式−O−R−R’の基を意味し、式中、本明細書で定義されるように、Rはアルキレンであり、R’はアリールである。
【0033】
「シアノアルキル」は、式−R’−R”の部分を意味し、式中、R’は本明細書で定義されるようなアルキレンであり、R”はシアノ又はニトリルである。
【0034】
「シクロアルキル」は、単環式又は二環式環からなる一価飽和炭素環式部分を意味する。シクロアルキルは、1個以上の置換基で場合により置換されていることができ、ここで各置換基は、独立して、特に示されていない限り、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、アミノ、モノアルキルアミノ、又はジアルキルアミノである。シクロアルキル部分の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等が含まれるが、これらに限定されず、これらの部分的に不飽和の誘導体も含まれる。
【0035】
「シクロアルキルアルキル」は、式−R’−R”の部分を意味し、式中、本明細書で定義されるように、R’はアルキレンであり、R”はシクロアルキルである。
【0036】
「シクロアルキルオキシ」は、式−O−Rの部分を意味し、式中、Rは本明細書で定義されるようなシクロアルキルである。
【0037】
「シクロアルキルオキシアルキル」は、式−R−O−R’の部分を意味し、式中、本明細書で定義されるように、Rはアルキレンであり、R’はシクロアルキルである。
【0038】
「ヘテロアルキル」は、1、2、又は3個の水素原子が、−ORa’、−NRb’c’、及び、−S(O)d’(ここでnは0〜2の整数である)からなる群から独立して選択される置換基で置き換えられた、本明細書で定義されるようなアルキル基を意味し、ここでヘテロアルキル基の連結点は炭素原子を介するという理解がなされ、式中、Ra’は、水素、アシル、アルキル、シクロアルキル、又はシクロアルキルアルキルであり;Rb’及びRc’は、互いに独立して、水素、アシル、アルキル、シクロアルキル、又はシクロアルキルアルキルであり;そしてnが0の場合、Rd’は、水素、アルキル、シクロアルキル、又はシクロアルキルアルキルであり、また、nが1又は2である場合、Rd’は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アミノ、アシルアミノ、モノアルキルアミノ、又はジアルキルアミノである。代表例には、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチルエチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシメチルエチル、3−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシブチル、2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、2−メチルスルホニルエチル、アミノスルホニルメチル、アミノスルホニルエチル、アミノスルホニルプロピル、メチルアミノスルホニルメチル、メチルアミノ−スルホニルエチル、メチルアミノスルホニルプロピル等が含まれるが、これらに限定されない。
【0039】
「ヘテロアリール」は、N、O又はSから選択される1、2又は3個の環ヘテロ原子を含有し、残りの環原子がCである、少なくとも1個の芳香族環を有する5〜12個の環原子の単環式又は二環式基を意味し、ここで、ヘテロアリール基の連結点は芳香族環上にあるという理解がなされる。ヘテロアリール環は、場合により本明細書で定義されるように置換されていてもよい。ヘテロアリール部分の例には、場合により置換されているイミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピラジニル、チエニル、ベンゾチエニル、チオフェニル、フラニル、ピラニル、ピリジル、ピロリル、ピラゾリル、ピリミジル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾピラニル、インドリル、イソインドリル、トリアゾリル、トリアジニル、キノキサリニル、プリニル、キナゾリニル、キノリジニル、ナフチリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アゼピニル、ジアゼピニル、アクリジニル等が含まれるが、これらに限定されず、部分的に水素化されたそれらの誘導体も含まれ、それぞれは場合により置換されている。
【0040】
「ヘテロアリールアルキル」又は「ヘテロアラルキル」は、式−R−R’の基を意味し、式中、本明細書で定義されるように、Rはアルキレンであり、R’はヘテロアリールである。
【0041】
「ヘテロアリールスルホニル」は、式−SO−Rの基を意味し、式中、Rは本明細書で定義されるようなヘテロアリールである。
【0042】
「ヘテロアリールオキシ」は、式−O−Rの基を意味し、式中、Rは本明細書で定義されるようなヘテロアリールである。
【0043】
「ヘテロアリールオキシアルキル」は、式−R−O−R’の基を意味し、式中、本明細書で定義されるように、Rはアルキレンであり、R’はヘテロアリールである。
【0044】
「ヘテロアラルキルオキシ」は、式−O−R−R’の基を意味し、式中、本明細書で定義されるように、Rはアルキレンであり、R’はヘテロアリールである。
【0045】
用語「ハロ」、「ハロゲン」、及び「ハロゲン化物」は、交換可能に使用されることができ、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨード置換基を指す。
【0046】
「ハロアルキル」は、1個以上の水素が同じ又は異なるハロゲンで置き換えられた、本明細書で定義されるようなアルキルを意味する。例示的ハロアルキルには、−CHCl、−CHCF、−CHCCl、ペルフルオロアルキル(例えば−CF)等が含まれる。
【0047】
「ハロアルコキシ」は、式−ORの部分を意味し、式中、Rは本明細書で定義されるようなハロアルキル部分である。例示的ハロアルコキシは、ジフルオロメトキシである。
【0048】
「ヘテロシクロアミノ」は、少なくとも1つの環原子がN、NH、又はN−アルキルであり、残りの環原子はアルキレン基を形成する、飽和環を意味する。
【0049】
「ヘテロシクリル」は、1、2又は3個、又は4個のヘテロ原子(窒素、酸素又は硫黄から選択される)を組み込んだ、1〜3個の環からなる一価飽和部分を意味する。ヘテロシクリル環は場合により、本明細書で定義されるように置換されていてもよい。ヘテロシクリル部分の例としては、場合により置換されているピペリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、アゼピニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キヌクリジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、チアジアゾリルイジニル(thiadiazolylidinyl)、ベンゾチアゾリジニル、ベンゾアゾリルイジニル、ジヒドロフリル、テトラヒドロフリル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、ジヒドロキノリニル、ジヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル等が含まれるが、これらに限定されない。
【0050】
「ヘテロシクリルアルキル」は、式−R−R’の部分を意味し、式中、本明細書で定義されるように、Rはアルキレンであり、R’はヘテロシクリルである。
【0051】
「ヘテロシクリルオキシ」は、式−ORの部分を意味し、式中、Rは本明細書で定義されるようなヘテロシクリルである。
【0052】
「ヘテロシクリルオキシアルキル」は、式−R−OR’の部分を意味し、式中、本明細書で定義されるように、Rはアルキレンであり、R’はヘテロシクリルである。
【0053】
「ヘテロシクリルアルコキシ」は、式−OR−R’の部分を意味し、式中、本明細書で定義されるように、Rはアルキレンであり、R’はヘテロシクリルである。
【0054】
「ヒドロキシアルコキシ」は、式−OR部分を意味し、式中、Rは本明細書で定義されるようなヒドロキシアルキルである。
【0055】
「ヒドロキシアルキルアミノ」は、式−NR−R’の部分を意味し、式中、本明細書で定義されるように、Rは水素又はアルキルであり、R’はヒドロキシアルキルである。
【0056】
「ヒドロキシアルキルアミノアルキル」は、式−R−NR’−R”の部分を意味し、式中、本明細書で定義されるように、Rはアルキレンであり、R’は水素又はアルキルであり、R”はヒドロキシアルキルである。
【0057】
「ヒドロキシカルボニルアルキル」又は「カルボキシアルキル」は、式−R−(CO)−OHの基を意味し、式中、Rは本明細書で定義されるようなアルキレンである。
【0058】
「ヒドロキシアルキルオキシカルボニルアルキル」又は「ヒドロキシアルコキシカルボニルアルキル」は、式−R−C(O)−O−R−OHの基を意味し、式中、各Rは、アルキレンであり、同じか又は異なることもできる。
【0059】
「ヒドロキシアルキル」は、同じ炭素原子が1を超えるヒドロキシ基を担持しないという条件で、1個以上、好ましくは1、2又は3個のヒドロキシ基で置換されている、本明細書で定義されるようなアルキル部分を意味する。代表例には、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル、2−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチルエチル、2,3−ジヒドロキシブチル、3,4−ジヒドロキシブチル、及び、2−(ヒドロキシメチル)−3−ヒドロキシプロピルが含まれるが、これらに限定されない。
【0060】
「ヒドロキシシクロアルキル」は、シクロアルキル基中の1、2又は3個の水素原子がヒドロキシ置換基で置き換えられている、本明細書で定義されるようなシクロアルキル部分を意味する。代表例には、2−、3−、又は4−ヒドロキシシクロヘキシル等が含まれるが、これらに限定されない。
【0061】
「ウレア」又は「ウレイド」は、式−NR’−C(O)−NR”R”’の基を意味し、式中、R’、R”、及びR”’はそれぞれ独立して、水素又はアルキルである。
【0062】
「カルバマート」は、式−O−C(O)−NR’R”の基を意味し、ここでR’及びR”はそれぞれ独立して水素又はアルキルである。
【0063】
「カルボキシ」は、式−C(O)−OHの基を意味する。
【0064】
「スルホンアミド」は、式−SO−NR’R”の基を意味し、式中、R’及びR”はそれぞれ独立して、水素又はアルキルである。
【0065】
「場合により置換されている」は、「アリール」、「フェニル」、「ヘテロアリール」、「シクロアルキル」、又は「ヘテロシクリル」に関連して使用される場合、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、ヒドロキシアルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アシルアミノ、モノ−アルキルアミノ、ジ−アルキルアミノ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、−COR、−SOR(式中、Rは、水素、アルキル、フェニル、又はフェニルアルキルである)、−(CR’R”)−COOR(式中、nは0〜5の整数であり、R’及びR”は、独立して水素又はアルキルであり、そしてRは水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、フェニル、又はフェニルアルキルである)、あるいは、−(CR’R”)−CONRa”b”(式中、nは0〜5の整数であり、R’及びR”は、独立して水素又はアルキルであり、そしてRa”及びRb”は互いに独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、フェニル、又はフェニルアルキルである)から選択される、1〜4個の置換基、好ましくは1又は2個の置換基で独立して場合により置換されている、アリール、フェニル、ヘテロアリール、シクロアルキル、又はヘテロシクリルを意味する。ある特定の実施態様において、「アリール」、「フェニル」、「ヘテロアリール」、「シクロアルキル」、又は「ヘテロシクリル」のための任意の置換基には、アルキル、ハロ、ハロアルキル、アルコキシ、シアノ、アミノ、及びアルキルスルホニルが含まれる。多くの実施態様において、置換基は、メチル、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、メトキシ、アミノ、及びメタンスルホニルである。
【0066】
「脱離基」は、有機合成化学においてそれに慣習的に関連する意味を有する基、すなわち置換反応条件下で置換可能な原子又は基を意味する。脱離基の例としては、ハロゲン、アルカン−又はアリーレンスルホニルオキシ、例えばメタンスルホニルオキシ、エタンスルホニルオキシ、チオメチル、ベンゼンスルホニルオキシ、トシルオキシ、及びチエニルオキシ、ジハロホスフィノイルオキシ、場合により置換されているベンジルオキシ、イソプロピルオキシ、アシルオキシ等が含まれるが、これらに限定されない。
【0067】
「モジュレーター」は、標的と相互作用する分子を意味する。相互作用には、本明細書で定義するようなアゴニスト、アンタゴニスト等が含まれるが、これらに限定されない。
【0068】
「場合による」又は「場合により」は、後に続いて記載される事象又は状況が起こってもよいが起こる必要もなく、そしてその記載が、その事象又は状況が起こる場合と起こらない場合とを含むことを意味する。
【0069】
「疾患」、及び「病態」は、いかなる疾患、状態、症状、障害又は徴候をも意味する。
【0070】
「不活性有機溶媒」又は「不活性溶媒」は、それに関連して記載されている反応条件下で不活性な溶媒を意味し、例えば、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、クロロホルム、塩化メチレン、又はジクロロメタン、ジクロロエタン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、ジオキサン、ピリジン等が含まれる。特記のない限り、本発明の反応に使用される溶媒は不活性溶媒である。
【0071】
「薬学的に許容しうる」は、一般的に安全で、非毒性であり、生物学的にもそれ以外でも望ましくないものでない、医薬組成物の調製に有用であることを意味し、獣医学的にもヒトに対しても薬学的使用を許容しうることを含む。
【0072】
化合物の「薬学的に許容しうる塩」は、本明細書で定義されたように薬学的に許容し得、かつ親化合物の所望の薬理学的活性を有する塩を意味する。そのような塩には、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等により形成された酸付加塩;又は、有機酸、例えば酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシナフトエ酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコン酸、2−ナフタレンスルホン酸、プロピオン酸、サリチル酸、コハク酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、トリメチル酢酸等により形成された酸付加塩;又は、親化合物中に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオンもしくはアルミニウムイオンによって置き換えらるか、又は有機塩基もしくは無機塩基と配位結合するかのいずれかの場合に形成された塩が含まれる。許容しうる有機塩基には、ジエタノールアミン、エタノールアミン、N−メチルグルカミン、トリエタノールアミン、トロメタミン等が含まれる。許容しうる無機塩基には、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、及び水酸化ナトリウムが含まれる。好ましい薬学的に許容しうる塩は、酢酸、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、マレイン酸、リン酸、酒石酸、クエン酸、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、及びマグネシウムから形成された塩である。薬学的に許容しうる塩に対する全ての言及には、同じ酸付加塩の本明細書で定義されるような溶媒付加形態(溶媒和物)又は結晶形(多形)が含まれることを理解するべきである。
【0073】
「保護基」は、合成化学で慣習的に関連する意味における他の非保護反応部位で、化学反応が選択的に実施されうるように、多官能化合物において1個の反応部位を選択的にブロックする基を意味する。本発明のいくつかのプロセスは、反応体に存在する反応性窒素原子及び/又は酸素原子をブロックする保護基に依存する。例えば、用語「アミノ保護基」及び「窒素保護基」は、本明細書において交換可能に使用され、合成手順の間に望ましくない反応に対して窒素原子を保護するよう意図された有機基を指す。例示的な窒素保護基には、トリフルオロアセチル、アセトアミド、ベンジル(Bn)、ベンジルオキシカルボニル(カルボベンジルオキシ、CBZ)、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル(BOC)等が含まれるが、これらに限定されない。当業者は、除去の容易さ、及び続く反応に耐える能力のためにどのように基を選択すべきか分かるであろう。
【0074】
「溶媒和物」は、溶媒の化学量論的量又は非化学量論的量のいずれかを含有する溶媒付加形態を意味する。幾つかの化合物は、溶媒分子を一定のモル比で結晶質固態中に捕捉する傾向を有し、したがって溶媒和物が形成される。溶媒が水の場合、形成される溶媒和物は水和物であり、溶媒がアルコールの場合、形成される溶媒和物はアルコラートである。水和物は、1つ以上の水の分子と、中で水がその分子状態をHOに保持する物質のうちの1つとの組み合わせにより形成され、そのような組み合わせにより1つ以上の水和物を形成することができる。
【0075】
「被検体」は、哺乳動物及び非哺乳動物を意味する。哺乳動物は、ヒト;ヒト以外の霊長類、例えばチンパンジー及び他の類人猿及びサル種など;家畜、例えばウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ及びブタなど;飼育動物、例えばウサギ、イヌ及びネコなど;齧歯動物、例えばラット、マウス及びモルモットなどを含む実験動物等が含まれるが、これらに限定されない、哺乳動物クラスの任意のメンバーを意味する。非哺乳動物の例としては、トリ等が含まれるが、これに限定されない。用語「被検体」は、特定の年齢又は性別を意味しない。
【0076】
「尿路の症状」と交換可能に使用される「尿路の障害」又は「尿路疾患」は、尿路における病理的変化を意味する。尿路障害の例としては、失禁、前立腺肥大症(BPH)、前立腺炎、排尿筋反射亢進、排尿開口部閉塞、頻尿、夜間頻尿症、尿意切迫、過活動膀胱、骨盤過敏症、切迫性尿失禁、尿道炎、前立腺痛、膀胱炎、特発性膀胱過敏症(idiophatic bladder hypersensitivity)等が含まれるが、これらに限定されない。
【0077】
「尿路の症状」と交換可能に使用される「尿路に関連する病態」又は「尿路病態」又は「尿路疾患」は、尿路における病理的変化、あるいは、膀胱平滑筋、又は尿貯蔵もしくは排尿の障害を引き起こすその神経支配の機能不全を意味する。尿路の症状には、過活動膀胱(排尿筋活動亢進としても知られている)、排尿開口部閉塞、排尿開口部不全、及び骨盤過敏症が含まれるが、これらに限定されない。
【0078】
「過活動膀胱」又は「排尿筋活動亢進」には、尿意急迫、頻尿、膀胱容量変化、失禁、排尿閾値、不安定な膀胱収縮、括約筋痙性、排尿筋反射亢進(神経因性膀胱)、排尿筋不安定性等として症候的に明らかにされた変化が含まれるが、これらに限定されない。
【0079】
「排尿開口部閉塞」には、前立腺肥大症(BPH)、尿道狭窄症疾患、腫瘍、低流速、排尿開始時の困難、尿意切迫、恥骨上痛等が含まれるが、これらに限定されない。
【0080】
「排尿開口不全」には、尿道の過剰運動性、内因性括約筋不全、混合性尿失禁、緊張性尿失禁等が含まれるが、これらに限定されない。
【0081】
「骨盤過敏症」には、骨盤痛、間質性(細胞)膀胱炎、前立腺痛、前立腺炎、外陰部痛、尿道炎、睾丸痛、過活動膀胱等が含まれるが、これらに限定されない。
【0082】
「呼吸障害」は、限定するものではないが、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、気管支痙攣等を指す。
【0083】
「胃腸障害」(「GI障害」)は、限定するものではないが、過敏性腸症候群(IBS)、炎症性腸疾患(IBD)、胆石仙痛及び他の胆管の障害、腎仙痛、下痢型IBS(diarrhea-dominant IBS)、GI膨満に関連する疼痛等を指す。
【0084】
「疼痛」には、限定するものではないが、炎症性疼痛;術後疼痛;内臓痛;歯痛;月経前疼痛;中枢痛;熱傷による疼痛;片頭痛又は群発頭痛;神経損傷;神経炎;神経痛;中毒;虚血傷害;間質性膀胱炎;癌性疼痛;ウィルス性、寄生性、又は細菌性感染症;外傷後損傷;あるいは、過敏性腸症候群に関連した疼痛が含まれる。
【0085】
「治療有効量」は、病態を処置するために被検体に投与される場合、病態に対してそのような処置を果たすのに十分な化合物の量を意味する。「治療有効量」は、化合物、処置されている病態、処置される疾患の重篤度、被検体の年齢及び相対的な健康状態、投与の経路及び形態、診察にあたる医師又は獣医の判断、ならびに、他の要因に応じて変化するであろう。
【0086】
変数を参照する場合、用語「上記で定義されたもの」及び「本明細書で定義されたもの」には、変数の広範囲の定義、ならびに存在するのであれば、好ましい、より好ましい、及び最も好ましい定義が包含される。
【0087】
病態を「処置する」又は病態の「処置」には、(i)病態を防ぐこと、すなわち病態に曝されているか又は罹患しやすくなっている可能性があるが、まだ病態の症状を経験又は表していない被検体において、病態の臨床症状を進展させないこと、(ii)病態を抑制すること、すなわち病態又はその臨床症状の進展を抑止すること、あるいは(iii)病態を軽減すること、すなわち病態又はその臨床症状の一時的又は永続的な後退を引き起こすことが含まれる。
【0088】
化学反応を参照する場合、用語「処理する」、「接触させる」、及び「反応させる」は、指示された及び/又は所望の生成物を生成するために、2つ以上の試薬を適切な条件下で加えるか又は混合することを意味する。指示された及び/又は所望の生成物を生成する反応が必ずしも、最初に加えられた2つの試薬の組み合わせからの直接の結果でなくてよいこと、すなわち混合物中に製造された1つ以上の中間体が存在してよく、最終的にそれが指示された及び/又は所望の生成物の形成につながることを認識すべきである。
【0089】
一般に、この出願において使用される命名法は、IUPAC体系的術語の作成のためのバイルシュタイン研究所のコンピュータ化されたシステムである、AUTONOM(商標)v.4.0に基づく。本明細書において示される化学構造は、ISIS(登録商標)バージョン2.2を使用して作成された。別途示されない限り、本明細書の構造における炭素、酸素、硫黄、又は窒素原子に現れるいかなる開放原子価も、水素原子の存在を示している。窒素含有ヘテロアリール環が窒素原子上の開放原子価を伴って示され、R、R、又はRなどの変数が、そのヘテロアリール環上に示される場合、このような変数は、開放原子価窒素に結合されるか又は連結されることができる。キラル中心が構造中に存在するが、キラル中心に対して特定の立体化学が示されていない場合、キラル中心に関連する双方のエナンチオマーが、その構造に包含される。本明細書に示される構造が多数の互変異性の形態で存在することができる場合、全てのそのような互変異性体がその構造に包含される。
【0090】
本明細書において特定された全ての特許及び刊行物は、参照によりそれらの内容全体を本明細書に引用したものとする。
【0091】
式Iの多くの実施態様において、Rは、C1−6アルキルで1回置換されているチアジアゾリルである。
【0092】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アミノ、フェニル、ヘテロシクリル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキル−C1−6アルキル、又はシアノで1回場合により置換されているチアジアゾリルである。
【0093】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、ハロC1−6アルキルで1回場合により置換されているチアジアゾリルである。
【0094】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、C1−6アルキル又はハロC1−6アルキルで1回置換されているチアジアゾリルである。
【0095】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、ヒドロキシ−C1−6アルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、C1−6アルキルアミノ−C1−6アルキル、又はN,N−ジ−(C1−6アルキル)−アミノ−C1−6アルキルで1回置換されているチアジアゾリルである。
【0096】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソプロピル、イソブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、フェニル、トリフロロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、ペンタフルオロ−エチル、1,1−ジフルオロ−エチル、2,2−ジフルオロエチル、1−メトキシ−エチル、1−エトキシ−エチル、2−メトキシ−1−メチル−エチル、1−ヒドロキシ−エチル、イソプロポキシ、ジメチルアミノ、アゼチジン−2−イル、1−メチル−アゼチジン−2−イル、1−ジメチルアミノ−エチル、又はジメチルアミノ−メチルで1回場合により置換されているチアジアゾリルである。
【0097】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、又はシクロプロピルメチルから選択されるC1−6アルキルで1回置換されているチアジアゾリルである。
【0098】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、ペンタフルオロ−エチル、1,1−ジフルオロ−エチル、又は2,2−ジフルオロエチルから選択されるハロC1−6アルキルで1回場合により置換されているチアジアゾリルである。
【0099】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、イソプロピルで1回置換されているチアジアゾリルである。
【0100】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、場合により置換されている[1,2,5]チアジアゾリルである。
【0101】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、場合により置換されている[1,2,3]チアジアゾリルである。
【0102】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、場合により置換されている[1,2,3]チアジアゾール−4−イルである。
【0103】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、場合により置換されている[1,2,3]チアジアゾール−5−イルである。
【0104】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、場合により置換されている[1,2,5]チアジアゾール−3−イルである。
【0105】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、C1−6アルキルで場合により置換されている[1,2,3]チアジアゾール−5−イルである。
【0106】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキル−C1−6アルキル、又は、シアノで場合により置換されている[1,2,3]チアジアゾール−5−イルである。
【0107】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、ハロ−C1−6アルキルで場合により置換されている[1,2,3]チアジアゾール−5−イルである。
【0108】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、ヒドロキシ−C1−6アルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、C1−6アルキルアミノ−C1−6アルキル、又はN,N−ジ−(C1−6アルキル)−アミノ−C1−6アルキルで場合により置換されている[1,2,3]チアジアゾール−5−イルである。
【0109】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソプロピル、イソブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、フェニル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、ペンタフルオロ−エチル、1,1−ジフルオロ−エチル、2,2−ジフルオロエチル、1−メトキシ−エチル、1−エトキシ−エチル、2−メトキシ−1−メチル−エチル、1−ヒドロキシ−エチル、イソプロポキシ、ジメチルアミノ、アゼチジン−2−イル、1−メチル−アゼチジン−2−イル、1−ジメチルアミノ−エチル、又はジメチルアミノ−メチルで場合により置換されている[1,2,3]チアジアゾール−5−イルである。
【0110】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、又はシクロプロピルメチルで場合により置換されている[1,2,3]チアジアゾール−5−イルである。
【0111】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、イソプロピルで置換されている[1,2,3]チアジアゾール−5−イルである。
【0112】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、C1−6アルキルで場合により置換されている[1,2,3]チアジアゾール−3−イルである。
【0113】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキル−C1−6アルキル、又はシアノで場合により置換されている[1,2,3]チアジアゾール−3−イルである。
【0114】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、又はシクロプロピル−メチルで場合により置換されている[1,2,3]チアジアゾール−3−イルである。
【0115】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、ハロ−C1−6アルキルで場合により置換されている[1,2,5]チアジアゾール−3−イルである。
【0116】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、ヒドロキシ−C1−6アルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、C1−6アルキルアミノ−C1−6アルキル、又はN,N−ジ−(C1−6アルキル)−アミノ−C1−6アルキルで場合により置換されている[1,2,5]チアジアゾール−3−イルである。
【0117】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソプロピル、イソブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、フェニル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、ペンタフルオロ−エチル、1,1−ジフルオロ−エチル、2,2−ジフルオロエチル、1−メトキシ−エチル、1−エトキシ−エチル、2−メトキシ−1−メチル−エチル、1−ヒドロキシ−エチル、イソプロポキシ、ジメチルアミノ、アゼチジン−2−イル、1−メチル−アゼチジン−2−イル、1−ジメチルアミノ−エチル、又はジメチルアミノ−メチルで場合により置換されている[1,2,5]チアジアゾール−3−イルである。
【0118】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、又はシクロプロピル−メチルで場合により置換されている[1,2,5]チアジアゾール−3−イルである。
【0119】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、イソプロピルで置換されている[1,2,5]チアジアゾール−3−イルである。
【0120】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、4−イソプロピル−[1,2,5]チアジアゾール−3−イルである。
【0121】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、4−イソプロピル−[1,2,3]チアジアゾール−5−イルである。
【0122】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、ハロ又はメチルで独立して1回又は2回置換されているフェニルである。
【0123】
式Iの多くの実施態様において、Rは、4位においてメチル又はハロで置換され、場合により2位及び6位においてハロで置換されている、フェニルである。
【0124】
式Iの多くの実施態様において、Rは、4位においてメチル又はハロで置換され、場合により2位においてハロで置換されている、フェニルである。
【0125】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、4−メチル−フェニル、2−フルオロ−4−メチル−フェニル、2−クロロ−4−フルオロ−フェニル、4−クロロ−2−フルオロ−フェニル、2,4−ジクロロ−フェニル、2,4−ジフルオロ−フェニル、又は2−クロロ−4−メチル−フェニルである。
【0126】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、4−メチル−フェニル、又は4−クロロ−フェニルである。
【0127】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、4−メチル−フェニルである。
【0128】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、2−フルオロ−4−メチル−フェニルである。
【0129】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、2−クロロ−4−フルオロ−フェニルである。
【0130】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、4−クロロ−2−フルオロ−フェニルである。
【0131】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、2,4−ジクロロ−フェニルである。
【0132】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、2,4−ジフルオロ−フェニルである。
【0133】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、2−クロロ−4−メチル−フェニルである。
【0134】
式Iの多くの実施態様において、Rは、場合により置換されているピリジニルである。例示的ピリジニルには、ピリジン−2−イル、及び、ピリジン−2−オン−1−イルが含まれ、それぞれ場合により、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、ハロ、C1−6ハロアルキル、C1−6アルキルスルホニル、又はシアノのうちのいずれかで1、2、又は3回置換されている。好ましいピリジニルには、4−メチル−ピリジン−2−イル、4−フルオロ−ピリジン−2−イル、及び4−メチル−ピリジン−2−オン−1−イルが含まれる。
【0135】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、5位においてメチル又はハロで置換されているピリジン−2−イルである。
【0136】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、5位においてメチル又はハロで置換され、場合により3位においてハロで置換されている、ピリジン−2−イルである。
【0137】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、5−メチル−ピリジン−2−イル、5−クロロ−ピリジン−2−イル、5−フルオロ−ピリジン−2−イル、5−メチル−3−フルオロ−ピリジン−2−イル、5−メチル−3−クロロ−ピリジン−2−イル、3,5−ジフルオロ−ピリジン−2−イル、又は3,5−ジクロロ−ピリジン−2−イルである。
【0138】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、5−メチル−ピリジン−2−イルである。
【0139】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、5−クロロ−ピリジン−2−イルである。
【0140】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、5−フルオロ−ピリジン−2−イルである。
【0141】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、5−メチル−3−フルオロ−ピリジン−2−イルである。
【0142】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、5−メチル−3−クロロ−ピリジン−2−イルである。
【0143】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、3,5−ジフルオロ−ピリジン−2−イルである。
【0144】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、3,5−ジクロロ−ピリジン−2−イルである。
【0145】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、場合により置換されているピリダジニルである。そのような実施態様において、Rは、6−クロロ−ピリダジニル、又は、6−メチル−ピリダジニル、好ましくは6−クロロ−ピリダジニルであることができる。
【0146】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、場合により置換されているチオフェニルである。そのような実施態様において、Rは、C1−6アルキル又はハロで場合により置換されているチオフェン−2−イルであることができる。好ましいチオフェニルには、3−メチル−チオフェン−2−イル、5−メチル−チオフェン−2−イル、及び5−クロロ−チオフェン−2−イルが含まれる。
【0147】
式Iの多くの実施態様において、Rは、水素である。
【0148】
式Iの多くの実施態様において、Rは、水素である。式Iのある特定の実施態様において、Rは、フルオロであることができる。
【0149】
式Iの多くの実施態様において、Rは、水素である。
【0150】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、水素である。
【0151】
式Iの多くの実施態様において、Rは、C1−6アルキルである。そのような実施態様において好ましいC1−6アルキルは、メチルである。
【0152】
式Iの多くの実施態様において、Rは、C1−6アルキルである。そのような実施態様において好ましいC1−6アルキルは、メチルである。
【0153】
式Iの多くの実施態様において、Rは、水素であり、Rは、C1−6アルキル、好ましくはメチルである。
【0154】
式Iのある特定の実施態様において、R及びRは、水素である。
【0155】
式Iのある特定の実施態様において、R及びRのうちの一方は、C1−6アルキルであり、もう一方は水素であるか;あるいは、双方が水素である。
【0156】
式Iのある特定の実施態様において、R及びRは、それらが連結している原子と共に、C3−6炭素環を形成することができる。
【0157】
式Iのある特定の実施態様において、R及びRは、それらが連結している原子と共に、シクロプロピル基を形成することができる。
【0158】
式Iのある特定の実施態様において、R及びRは、それらが連結している原子と共に、場合によりヒドロキシで置換されているC3−6炭素環を形成する。
【0159】
式Iのある特定の実施態様において、R及びRは、それらが連結している原子と共に、シクロプロピル基を形成する。
【0160】
式Iのある特定の実施態様において、Rは水素であり、R及びRは、それらが連結している原子と共に、シクロプロピル基を形成する。
【0161】
式Iのある特定の実施態様において、Rは水素であり、R及びRは、それらが連結している原子と共に、場合によりヒドロキシで置換されているシクロペンチル基を形成する。
【0162】
式Iのある特定の実施態様において、R及びRは、それらが連結している原子と共に、それぞれO、N、及びSから独立して選択される1又は2個のヘテロ原子を含有するC4−6複素環を形成する。
【0163】
式Iのある特定の実施態様において、R及びRは、それらが連結している原子と共に、ピペリジニル基、又はオキセタニル環基を形成する。
【0164】
式Iのある特定の実施態様において、R及びRは、それらが連結している原子と共に、ピペリジン−3−イル基、又はオキセタン−3−イル基を形成する。
【0165】
式Iのある特定の実施態様において、R、R及びRは、それらが連結している原子と共に、1又は2個の窒素原子を含有し、そして場合によりハロ、アミノ、もしくはC1−6アルキルで置換されている、6員環ヘテロアリールを形成する。
【0166】
式Iのある特定の実施態様において、R、R及びRは、それらが連結している原子と共に、それぞれ場合によりメチル又はアミノで置換されている、2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリミジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、又はピリダジニルから選択されたヘテロアリールを形成する。
【0167】
式Iのある特定の実施態様において、R、R及びRは、それらが連結している原子と共に、2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル、2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル、1−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル、6−メチル−ピリジン−3−イル、ピリダジン−4−イル、6−アミノ−ピリジン−2−イル、2−アミノピリミジン−4−イル、又は、2−アミノ−ピリミジン−3−イルから選択されるヘテロアリールを形成する。
【0168】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、C1−6アルキル;C1−6アルキルオキシ−C1−6アルキル;ヒドロキシ−C1−6アルキル;C1−6アルキルスルファニル−C1−6アルキル;C1−6アルキルスルホニル−C1−6アルキル;アミノ−C1−6アルキル;N−C1−6アルキル−アミノ−C1−6アルキル;N,N−ジ−C1−6アルキル−アミノ−C1−6アルキル;C3−7シクロアルキル;場合により置換されているフェニル;ヘテロアリール、又はヘテロシクリル−C1−6アルキルである。
【0169】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、ハロで置換されているN−C1−6アルキル−アミノ−C1−6アルキルである。
【0170】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、C1−6アルキルオキシ−C1−6アルキル;ヒドロキシ−C1−6アルキル;ヘテロアリール、又はヘテロシクリル−C1−6アルキルである。
【0171】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、C1−6アルキルオキシ−C1−6アルキルオキシである。1つの好ましいC1−6アルキルオキシ−C1−6アルキルは、メトキシメチルである。
【0172】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、ヒドロキシ−C1−6アルキルである。1つの好ましいヒドロキシ−C1−6アルキルは、ヒドロキシメチルである。
【0173】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、ヘテロアリールである。
【0174】
がヘテロアリールである特定の実施態様において、そのようなヘテロアリールは、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラゾリル、イミダゾリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、3−オキソ−2,3−ジヒドロ-イソオキサゾリル、テトラゾリル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、イミダゾ[4,5−b]ピリジニル、及び、ベンゾイミダゾリルであることができ、それらの各々は場合により、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、ハロ、アミノ、N−C1−6アルキル−アミノ、又は、N,N−ジ−(C1−6アルキル)−アミノから独立して選択される1個以上の基で、1、2、又は3回置換されていることができる。より好ましくは、そのようなヘテロアリールは場合により、メチル、エチル、n−プロピル、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、アミノ、メチルアミノ、又は、ジメチルアミノから独立して選択される1個以上の基で1回又は2回置換されていることができる。
【0175】
がヘテロアリールである特定の実施態様において、そのようなヘテロアリールは、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラゾリル、又は、チアゾリルであることができ、それらの各々は場合により、メチル、エチル、n−プロピル、フルオロ、クロロ、アミノ、メチルアミノ、又は、ジメチルアミノから独立して選択される1個以上の基で1回又は2回置換されていることができる。
【0176】
がヘテロアリールである特定の実施態様において、そのようなヘテロアリールは、ピリジニル、ピリミジニル、又は、ピラジニルであることができ、それらの各々は場合により、メチル、フルオロ、クロロ、アミノ、メチルアミノ、又はジメチルアミノから独立して選択される1個以上の基で1回又は2回置換されていることができる。
【0177】
がヘテロアリールである特定の実施態様において、そのようなヘテロアリールは、ピリジニル、ピリミジニル、又はピラジニルであることができ、それらの各々は場合により、メチルで1回又は2回置換されていることができる。
【0178】
がヘテロアリール−C1−6アルキルである特定の実施態様において、ヘテロアリールは、ピリジニル、ピリミジニル、及びピラジニルから選択され、C1−6アルキルは、メチルである。
【0179】
式Iのある特定の実施態様において、Rがヘテロアリールである場合、そのようなヘテロアリールは、チオフェン−2−イル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル、ピリジン−4−イル、オキサゾール−2−イル、ピリミジン−2−イル、ピリダジン−4−イル、ピラジン−2−イル、5−メチル−ピラジン−2−イル、イミダゾール−1−イル、ピラゾール−1−イル、3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル、2−メチル−チアゾール−4−イル、3−(2−クロロ−フェニル)−[1,2,4]−オキサジアゾール−5−イル、3−(ピリジン−4−イル)−[1,2,4]−オキサジアゾール−5−イル、ピリダジン−3−イル、2−メチル−ピラゾール−3−イル、チアゾール−5−イル、1−メチル−イミダゾール−2−イル、6−クロロ−ピリミジン−4−イル、4−エチル−[1,2,4]−トリアゾール−3−イル、1,3,5−トリメチル−ピラゾール−4−イル、1,5−ジメチル−ピラゾール−4−イル、1,3−ジメチル−ピラゾール−4−イル、3−(2−メトキシ−エチル)−[1,2,4]−オキサジアゾール−5−イル、3−(ピリジン−3−イル−[1,2,4]−オキサジアゾール−5−イル、テトラゾール−5−イル、ピラゾール−3−イル、4−アミノ−2−メチル−ピリミジン−5−イル、2−アミノ−ピリミジン−4−イル、6−メトキシ−ピリダジン−3−イル、3−オキソ−2,3−ジヒドロ−イソオキサゾール−5−イル、3−メチル−チオフェン−2−イル、5−メチル−[1,3,4]−オキサジアゾール−2−イル、4−メチル−イソオキサゾール−3−イル、3−トリフルオロメチル−ピラゾール−1−イル、1−メチル−ピラゾール−3−イル、3−メチル−ピラゾール−1−イル、5−メチル−3−トリフルオロメチル−ピラゾール−1−イル、5−シクロプロピル−3−トリフルオロメチル−ピラゾール−1−イル、イミダゾ[2,1−b]−チアゾール−6−イル、チアゾール−4−イル、2−プロピル−ピラゾール−3−イル、2−エチル−ピラゾール−3−イル、5−アミノ−ピリダジン−2−イル、3−アミノ−ピリダジン−2−イル、3−クロロ−ピリダジン−2−イル、2−アミノ−ピリミジン−5−イル、1−メチル−イミダゾール−4−イル、6−アミノ−ピリジン−3−イル、6−アミノ−ピリダジン−2−イル、2−アミノ−ピリジン−4−イル、2−ジメチルアミノ−ピリミジン−5−イル、6−アミノ−ピリジン−2−イル、2−メチルアミノ−ピリジン−4−イル、2−ジメチルアミノ−ピリジン−4−イル、3−メチル−2−ジメチルアミノ−ピリジン−4−イル、ピリミジン−5−イル、2−メチル−ピリジン−4−イル、6−メチルアミノ−ピリジン−3−イル、6−ジメチルアミノ−ピリジン−3−イル、6−メチルアミノ−ピリミジン−4−イル、6−ジメチルアミノ−ピリジン−3−イル、6−メチルアミノ−ピリジン−3−イル、2−メチルアミノ−ピリミジン−5−イル、6−メチル−ピリジン−3−イル、4−メチル−チアゾール−2−イル、2,6−ジメチル−ピリジン−3−イル、イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル、6−メチル−ピリジン−2−イル、1−エチル−ピラゾール−3−イル、3−メチル−ピリジン−2−イル、4−メチル−チアゾール−5−イル、1−エチル−イミダゾール−2−イル、1−メチル−ピラゾール−4−イル、イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル、3,5−ジフルオロ−ピリジン−2−イル、6−フルオロ−ピリジン−2−イル、1,5−ジメチル−ピラゾール−3−イル、5−メチル−ピリジン−2−イル、6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル、5−メチル−イソオキサゾール−3−イル、5−メチル−イミダゾール−2−イル、5−メトキシ−ベンズイミダゾール−2−イル、[1,2,4]トリアゾール−3−イル、6−メチル−ピリダジン−3−イル、1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル、又は、8−メチル−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イルであることができる、
【0180】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、ヘテロシクリル−C1−6アルキルである。
【0181】
がヘテロシクリル−C1−6アルキルである実施態様において、そのようなヘテロシクリル−C1−6アルキルは、ヘテロシクリル−メチル、例えばモルホリノメチル、ピペリジニル−メチル、ピペラジニル−メチル、チオモルホリニルメチル、ピロリジニルメチル、又は、アゼチジニルメチルなどであることができ、それら各々のヘテロシクリル部分は場合により、メチル、メトキシ、ハロ、メタンスルホニル、オキソ、又はアセチルから独立して選択される1個以上の基で1回又は2回置換されていることができる。
【0182】
がヘテロシクリル−メチルである実施態様において、そのようなヘテロシクリルメチルは、モルホリン−4−イル−メチル、4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イル−メチル、4−アセチル−ピペラジン−1−イル−メチル、ピペリジン−1−イル、チオモルホリン−4−イル−メチル、4−メチル−ピペラジン−1−イル−メチル、3−オキソ−ピペラジン−1−イル−メチル、3−メトキシ−ピペリジン−1−イル−メチル、4−メトキシ−ピペリジン−1−イル−メチル、4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル−メチル、1−オキソ−チオモルホリン−4−イル−メチル、3−ヒドロキシ−ピロリジン−1−イル−メチル、アゼチジン−3−イル−メチル、4−メタンスルホニル−ピペリジン−1−イル−メチル、4−フルオロ−ピペリジン1−イル−メチル、4−アセチル−3−メチル−ピペラジン−1−イル−メチル、4−アセチル−3,5−ジメチル−ピペラジン−1−イル−メチル、2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル−メチル、4,4−ジフルオロ−ピペリジン1−イル−メチル、3−フルオロ−ピペリジン1−イル−メチル、4−メチル−4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル−メチル、又は3−フルオロ−4−メトキシ−ピペリジン1−イル−メチルであることができる。
【0183】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、ピラジン−2−イル、又は5−メチル−ピラジン−2−イルである。
【0184】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、ピラジン−2−イル、5−メチル−ピラジン−2−イル、6−メチル−ピリダジン−3−イル、又は、1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イルである。
【0185】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、5−メチル−ピラジン−2−イル、2−メチル−ピリミジン−5−イル、5−メチル−ピリミジン−2−イル、ヒドロキシメチル、又は、メトキシメチルである。
【0186】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、ヒドロキシメチルである。
【0187】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、メトキシメチルである。
【0188】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、ピラジン−2−イルである。
【0189】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、5−メチル−ピラジン−2−イルである。
【0190】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イルである。
【0191】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、2−メチル−ピリミジン−5−イルである。
【0192】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、6−メチル−ピリダジン−3−イルである。
【0193】
式Iのある特定の実施態様において、R、R、及びRは、水素である。
【0194】
式Iのある特定の実施態様において、R及びRは、水素である。
【0195】
式Iのある特定の実施態様において、R及びRのうちの一方はハロ又はC1−4アルコキシであり、もう一方は水素である。
【0196】
式Iのある特定の実施態様において、R及びRの双方が、ハロ又はC1−4アルコキシである。
【0197】
式Iのある特定の実施態様において、R及びRのうちの一方は、フルオロ、クロロ、又はメトキシであり、もう一方は水素である。
【0198】
式Iのある特定の実施態様において、R及びRの各々が独立して、フルオロ、クロロ、又はメトキシである。
【0199】
式Iのある特定の実施態様において、R及びRはフルオロである。
【0200】
式Iのある特定の実施態様において、R及びRのうちの一方はフルオロであり、もう一方は水素である。
【0201】
式Iのある特定の実施態様において、R及びRのうちの一方はクロロであり、もう一方は水素である。
【0202】
式Iのある特定の実施態様において、R及びRのうちの一方はメトキシであり、もう一方は水素である。
【0203】
式Iのある特定の実施態様において、Rはハロである。
【0204】
式Iのある特定の実施態様において、Rはフルオロである。
【0205】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、式A又はB;
【0206】
【化3】


[式中、Rは、水素;C1−6アルキル;C1−6アルコキシ;C1−6アルキルスルホニル;フェニル;アミノ;N−C1−6アルキル−アミノ;N,N−ジ−C1−6アルキル−アミノ ハロ−C1−6アルキル;ハロ−C1−6アルコキシ;ヘテロ−C1−6アルキル;C3−6−シクロアルキル;C3−6シクロアルキル−C1−6アルキル;アミノカルボニル;ヘテロシクリルカルボニル;C1−6アルコキシ−カルボニル;又はシアノである]で示される基である。
【0207】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、式Aの基である。
【0208】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、式A1:
【0209】
【化4】


[式中、Rは、本明細書で定義されるとおりである]で示される基である。
【0210】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、式A2:
【0211】
【化5】


[式中、Rは、本明細書で定義されるとおりである]で示される基である。
【0212】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、水素;C1−6アルキル;C1−6アルコキシ;C1−6アルキル−スルホニル;アミノ;N−C1−6アルキル−アミノ;N,N−ジ−C1−6アルキル−アミノ ハロ−C1−6アルキル;ハロ−C1−6アルコキシ;ヘテロ−C1−6アルキル;C3−6シクロアルキル;C3−6シクロアルキル−C1−6アルキル;アミノカルボニル;ヘテロシクリル−カルボニル;C1−6アルコキシカルボニル;又は、シアノである。
【0213】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、ヒドロキシ−C1−6アルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、C1−6アルキル−アミノ−C1−6アルキル、及び、N,N−ジ−(C1−6アルキル)−アミノ−C1−6アルキルである。
【0214】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソプロピル、イソブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、フェニル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、ペンタフルオロ−エチル、1,1−ジフルオロ-エチル、2,2−ジフルオロエチル、1−メトキシ−エチル、1−エトキシ−エチル、2−メトキシ−1−メチル−エチル、1−ヒドロキシ−エチル、イソプロポキシ、ジメチルアミノ、アゼチジン−2−イル、1−メチル−アゼチジン−2−イル、1−ジメチルアミノ−エチル、又は、ジメチルアミノ−メチルである。
【0215】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、C1−6アルキル、又は、ハロ−C1−6アルキルである。
【0216】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、C1−6アルキルである。
【0217】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、C1−6アルコキシである。
【0218】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、C1−6アルキルスルホニルである。
【0219】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、アミノである。
【0220】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、N−C1−6アルキル−アミノである。
【0221】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、N,N−ジ−C1−6アルキル−アミノである。
【0222】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、ハロ−C1−6アルキルである。
【0223】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、ハロ−C1−6アルコキシである。
【0224】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、C3−6−シクロアルキルである。
【0225】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、C3−6シクロアルキル−C1−6アルキルである。
【0226】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、アミノカルボニルである。
【0227】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、ヘテロシクリルカルボニルである。
【0228】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、C1−6アルコキシカルボニルである。
【0229】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、シアノである。
【0230】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソプロピル、イソブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロ−エチル、1,1−ジフルオロ−エチル、1−メトキシ−エチル、1−エトキシ−エチル、2−メトキシ−1−メチル−エチル、1−ヒドロキシ−エチル、又はジメチルアミノ−メチルである。
【0231】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、又はシクロプロピルメチルである。
【0232】
式Iのある特定の実施態様において、Rは、イソプロピルである。
【0233】
式Iのある特定の実施態様において、本化合物はより具体的には、式II:
【0234】
【化6】


[式中:
Xは、C又はNであり;
11及びR12はそれぞれ独立して、水素;C1−6アルキル;C1−6アルキルオキシ;ハロ;ハロ−C1−6アルキル;ハロ−C1−6アルコキシ;C1−6アルキルスルホニル;又は、シアノであり;
及びRは、本明細書で定義されるとおりである]で示されるもの、又はその薬学的に許容しうる塩である。
【0235】
式IIのある特定の実施態様において、本発明の化合物は、式IIa又はIIb:
【0236】
【化7】


[式中、X、R、R、R11、及びR12は、本明細書で定義されるとおりである]で示されるものである。
【0237】
式Iのある特定の実施態様において、本化合物は、より具体的には式III:
【0238】
【化8】


[式中、
X、R、R、R11、及びR12は、本明細書で定義されるとおりである]で示されるもの、又はその薬学的に許容しうる塩である。
【0239】
式I、IIa、IIb、又はIIIのうちのいずれかのある特定の実施態様において、Rは:
【0240】
【化9】


[式中、
nは、0、1、又は2であり;
及びRはそれぞれ独立して、水素又はC1−6アルキルであり;
は、水素、C1−6アルキル、アセチル、又は、C1−6アルキル−スルホニルであり;
及びRはそれぞれ独立して、水素又はC1−6アルキルであり;
及びRはそれぞれ独立して、水素、C1−6アルキル、フルオロ、ヒドロキシ、又は、C1−6アルキルオキシであり;
及びRはそれぞれ独立して、水素又はC1−6アルキルであり;
、R、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して、水素、C1−6アルキル、ハロ、C1−6アルコキシ、C1−6アルキル−スルホニル ハロ−C1−6アルキル、又はシアノである]である。
【0241】
式I、IIa、IIb、又はIIIのうちのいずれかのある特定の実施態様において、Rは:
【0242】
【化10】


[式中、Rは本明細書で定義されるとおりである]である。
【0243】
式I、IIa、IIb、又はIIIのうちのいずれかのある特定の実施態様において、Rは:
【0244】
【化11】


である。
【0245】
式I、IIa、IIb、又はIIIのうちのいずれかのある特定の実施態様において、Rは:
【0246】
【化12】


である。
【0247】
ここでR、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、及びRのいずれも、アルキルであるか、又はアルキル部分を含有する場合、そのようなアルキルは、好ましくは低級アルキル、すなわちC1−6アルキルであり、より好ましくはC1−4アルキルである。
【0248】
本発明はまた、P2X受容体アンタゴニスト、P2X2/3受容体アンタゴニスト、又はその双方によって介在されるか、又は別様にそれらに関連する、疾患又は状態を処置するための方法を提供するものであり、この方法は、有効量の本発明の化合物を、処置を必要としている被検体に投与することを含む。
【0249】
疾患は、泌尿生殖器疾患又は尿路疾患でありうる。他の例では、疾患は、疼痛に関連する疾患でありうる。尿路疾患は:膀胱容量の減少;頻回排尿(frequenct micturition);切迫性尿失禁;緊張性尿失禁;膀胱反応亢進;前立腺肥大症;前立腺炎;排尿筋反射亢進;頻尿;夜間頻尿症;尿意切迫;過活動膀胱;骨盤過敏症;尿道炎;骨盤痛症候群;前立腺痛;膀胱炎;又は、特発性膀胱過敏症でありうる。
【0250】
疼痛に関連する疾患は:炎症性疼痛;術後疼痛;内臓痛;歯痛;月経前疼痛;中枢痛;熱傷による疼痛;片頭痛又は群発頭痛;神経損傷;神経炎;神経痛;中毒;虚血傷害;間質性膀胱炎;癌性疼痛;ウィルス性、寄生性、又は細菌性感染症;外傷後損傷;又は、過敏性腸症候群に関連した疼痛でありうる。
【0251】
疾患は、例えば慢性閉塞性肺障害(COPD)、喘息もしくは気管支痙攣などの呼吸障害、又は、例えば過敏性腸症候群(IBS)、炎症性腸疾患(IBD)、胆石仙痛及び他の胆管の障害、腎仙痛、下痢型IBS、GI膨満に関連する疼痛などの胃腸(GI)障害でありうる。
【0252】
本発明の方法にしたがう代表的化合物は、P2X及びP2X2/3受容体のpKi値と共に表1に示されている。
【0253】
【表1】



【0254】
本発明の化合物は、下記に示し記載した例示的合成反応スキームに記述されている種々の方法によって作製することができる。
【0255】
これらの化合物を調製するのに使用される出発物質及び試薬は一般的に、例えばAldrich Chemical Co.などの商業的供給元から入手可能であるか、又は、例えばFieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis; Wiley & Sons: New York, 1991, Volumes 1-15; Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds, Elsevier Science Publishers, 1989, Volumes 1-5 and Supplementals;及び、Organic Reactions, Wiley & Sons: New York, 1991, Volumes 1-40などの参考文献に記載されている以下の手順など当業者に知られている方法によって調製されるかのいずれかである。以下の合成反応スキームは、本発明の化合物を合成することができる幾つかの方法を例示しているに過ぎず、これらの合成反応スキームに対する種々の変更が、施されることができ、本出願に含まれる開示内容を参照した当業者に連想されるであろう。
【0256】
合成反応スキームの出発材料及び中間体を、所望であれば、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィー等を含むが、これらには限定されない従来の技術を使用して、単離及び精製することができる。そのような材料を、物理定数及びスペクトルデータを含む従来の手段を使用して特徴付けすることができる。
【0257】
特記のない限り、本明細書に記載される反応は、好ましくは不活性雰囲気下、大気圧で約−78℃〜約150℃、より好ましくは約0℃〜約125℃の反応温度範囲、最も好ましく、かつ好都合には約室温(又は周囲温度)、例えば約20℃で行われる。
【0258】
以下のスキームAは、式Iの特定の化合物を調製するために使用可能な1つの合成手順を例示しており、式中、Rは低級アルキルであり、X、R、R、R、R、R11、R12、及びRは、本明細書で定義されるとおりである。
【0259】
【化13】

【0260】
スキームAの工程1において、ニトロ安息香酸を硫酸条件下でヨウ素化に付し、ヨード−ニトロ安息香酸を得る。安息香酸化合物を、テトラキス−(トリフェニルホスフィン)パラジウム触媒の存在下でアリールボロン酸化合物と反応させてビフェニル酸化合物を得る。ビフェニル酸の酸性基を、工程3においてエステル化によって保護し、ビフェニル酸メチルエステルを形成する。次に工程4においてビフェニルエステルを還元に付し、ビフェニルアミンを形成する。工程5において、ビフェニルアミンをヨウ化メチレン又は同様のヨウ素化試薬で処理することによって、ヨウ素化反応を実施してヨード化合物を得る。工程6おいて、ヨード化合物を、パラジウム触媒の存在下、チアジアゾールで処理してチアジアゾールエステル化合物を得た。次に工程7において化合物は、塩基触媒加水分解を経て、対応するカルボン酸化合物を得る。次に化合物をアミンと反応させて、チアゾールアミド化合物を得、それは本発明にしたがう式Iの化合物である。
【0261】
スキームAの多くの変形が可能であり、それら自体を当業者に連想させるであろう。例えば、多くの実施態様において、工程7及び8を、工程6の前に実施することができる。さらに他の実施態様において、ヨード化合物を、ビストリブチルスズで処理してトリブチルスズ化合物(図示せず)を得、それを次にチアゾールトリフラートエステルと同様に反応させて、化合物を得てもよい。本発明の化合物を生成する具体的な詳細は、下記の実施例部分に記載されている。
【0262】
本発明の化合物は、膀胱排尿開口部閉塞に関連する尿路病態ならびに尿失禁状態、例えば膀胱容量の減少、頻回排尿、切迫性尿失禁、緊張性尿失禁、膀胱反応亢進、前立腺肥大症(BPH)、前立腺炎、排尿筋反射亢進、頻尿、夜間頻尿症、尿意切迫、過活動膀胱、骨盤過敏症、尿道炎、骨盤疼痛症候群、前立腺痛、膀胱炎、及び特発性膀胱過敏症、及び、他の過活動膀胱に関連する症状などを含む、広範囲にわたる泌尿生殖器の疾患、状態及び障害の処置のために有用である。
【0263】
本発明の化合物は、これらに限定されないが、例えば(関節リウマチ及び骨関節炎を含む)関節炎に関連する疼痛などの炎症性疼痛、術後疼痛、内臓痛、歯痛、月経前疼痛、中枢痛、熱傷による疼痛、片頭痛又は群発頭痛、神経損傷、神経炎、神経痛、中毒、虚血傷害、間質性膀胱炎、癌性疼痛、ウィルス性、寄生性、又は細菌性感染症、(骨折及びスポーツ損傷を含む)外傷後損傷、及び、例えば過敏性腸症候群などの腸機能障害に関連する疼痛を含む、多種多様の原因による疼痛に関連する疾患及び状態の処置における鎮痛剤としての有用性を見出すことが予想される。本発明は特に、炎症性疼痛、術後疼痛、内臓痛、歯痛、月経前疼痛、中枢痛、熱傷による疼痛、片頭痛又は群発頭痛、神経損傷、神経炎、神経痛、中毒、虚血傷害、間質性膀胱炎、癌性疼痛、ウィルス性、寄生性、又は細菌性感染症、外傷後損傷、あるいは過敏性腸症候群に関連する疼痛から選択される疼痛状態を処置するための方法を含み、該方法は、有効量の本発明の化合物を、処置を必要としている被検体に投与することを含む。
【0264】
さらに、本発明の化合物は、慢性閉塞性肺障害(COPD)、喘息、気管支痙攣等を含む呼吸障害を処置するのに有用である。
【0265】
加えて、本発明の化合物は、過敏性腸症候群(IBS)、炎症性腸疾患(IBD)、胆石仙痛及び他の胆管の障害、腎仙痛、下痢型IBS、GI膨満に関連する疼痛等を含む胃腸の障害を処置するのに有用である。
【0266】
本発明は、本発明の少なくとも1つの化合物、又は、個々の異性体、異性体のラセミもしくは非ラセミ混合物、又は、その薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物を、少なくとも1つの薬学的に許容しうる担体と、そして場合により他の治療的及び/又は予防的成分と共に含む、医薬組成物を含む。本発明はさらに、薬学的に許容しうる担体;及び、本発明の化合物を含む医薬組成物を含む。
【0267】
一般に、本発明の化合物は、治療有効量で、類似の有用性を提供する薬剤について許容される任意の投与形態により投与されることになる。適切な用量範囲は典型的には、例えば処置されるべき疾患の重篤度、被検体の年齢及び相対的な健康状態、使用される化合物の効力、投与経路及び形態、投与が向けられる適応症、ならびに関わる医師の好み及び経験などの数多くの要因に応じて、1日当たり1〜500mg、好ましくは1日当たり1〜100mg、最も好ましくは1日当たり1〜30mgである。そのような疾患を処置する当業者は、必要以上に実験を行うことなく、かつ個人的な知識及び本出願の開示に依存して、所与の疾患に対する本発明の化合物の治療有効量を突き止めることができるであろう。
【0268】
本発明の化合物は、経口(頬側及び舌下を含む)、直腸内、鼻腔内、局所、経肺、経膣もしくは非経口(筋肉内、動脈内、髄腔内、皮下及び静脈内を含む)投与に適切なものを含む医薬製剤として、又は、吸入もしくは通気による投与に適切な形態で、投与されてもよい。好ましい投与方法は、一般的に、苦痛の程度に従って調整することができる都合のよい1日投薬レジメンを使用する経口である。
【0269】
本発明の1つ以上の化合物は、1つ以上の従来の佐剤、担体、又は希釈剤と共に、医薬組成物及び単位投薬形態とすることができる。医薬組成物及び単位投薬形態は、追加の活性化合物もしくは有効成分と共に、又はそれらを伴わず、従来の成分を従来の割合で含むことができ、単位投薬形態は、使用されるべき1日の意図される投薬量範囲に相応する、あらゆる適切な有効量の活性成分を含有することができる。医薬組成物は、例えば錠剤もしくは充填カプセル剤、半固体剤、粉末剤、徐放性製剤などの固体剤として、又は、例えば液剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤もしくは経口使用のための充填カプセル剤などの液体として;あるいは、直腸又は膣内投与のための坐剤の形態;あるいは、非経口使用のための無菌の注射液剤の形態で、利用することができる。
【0270】
したがって、活性成分を1錠当たり約1mg、より広くは約0.01〜約100mg含有する製剤が、適切で代表的な単位投薬形態である。
【0271】
本発明の化合物は、多種多様な経口投与の投薬形態に製剤化されうる。医薬組成物及び投薬形態は、活性成分として、1もしくは複数の本発明の化合物、又はその薬学的に許容しうる塩を含むことができる。薬学的に許容しうる担体は、固体又は液体のいずれかであってよい。固体形態の調剤には、粉末剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤及び分散性顆粒剤が含まれる。固体担体は、希釈剤、風味剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁化剤、結合剤、防腐剤、錠剤崩解剤、又はカプセル化材料として働くことができる1種以上のの物質であってよい。粉末剤では、担体は一般に、微粉化した活性成分との混合物である微粉化した固体である。錠剤では、活性成分は一般に、必要な結合能力を有する担体と適切な割合で混合され、所望の形状及び大きさに成形される。粉末剤及び錠剤は、好ましくは活性化合物を約1〜約70%含有する。適切な担体には、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、低融点蝋、カカオバター等が含まれるが、これらに限定されない。用語「調剤」は、担体を有するか又は有しない活性成分がそれと関連する担体により周囲を囲まれているカプセル剤を提供する、担体としての封入材料を有する活性化合物の製剤を含むことを意図されている。同様に、カシェ剤及びトローチ剤が含まれる。錠剤、粉末剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤及びトローチ剤は、固体形態として経口投与に適切であることができる。
【0272】
経口投与に適切な他の形態には、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、水性液剤、水性懸濁剤を含む液体形態の調剤、又は、使用の直前に液体形態の調剤に変換されることが意図されている固体形態の調剤が含まれる。乳剤は、液剤、例えば、水性プロピレングリコール液剤に調製されることができるか、又は、例えばレシチン、ソルビタンモノオレアートもしくはアカシアなどの乳化剤を含有することができる。水性液剤は、活性成分を水に溶解し、適切な着色剤、風味剤、安定剤及び増粘剤を加えることにより調製することができる。水性懸濁液は、微粉化した活性成分を、例えば天然又は合成ガム、樹脂、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース及び他の周知の懸濁化剤などの粘性材料と共に水に分散することにより調製することができる。固体形態の調剤は、液剤、懸濁剤及び乳剤を含み、活性成分に加えて、着色剤、風味剤、安定剤、緩衝剤、人工及び天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤等を含有することができる。
【0273】
本発明の化合物は、非経口投与(例えば、注射によって、例えばボーラス注射又は持続性点滴によって)のために製剤化されることができ、アンプル、予め充填された注射器、小容量注入、又は、添加された防腐剤を含む複数用量容器の単位用量形態で提供されることもできる。組成物は、油性又は水性のビヒクル中の懸濁剤、液剤もしくは乳剤、例えば水性ポリエチレングリコールの液剤などの形態をとることができる。油性又は非水性担体、希釈剤、溶媒もしくはビヒクルの例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えば、オリーブ油)、及び注射用有機エステル(例えば、エチルオレアート)が含まれ、防腐剤、湿潤剤、乳化剤もしくは懸濁化剤、安定化剤及び/又は分散助剤などの製剤化剤(formulatory agents)を含有してよい。代替的には、活性成分は、滅菌固体の無菌分離によるか、もしくは、適切なビヒクル、例えば滅菌した発熱物質を含まない水を用いて、使用前の構成用溶液から凍結乾燥することにより得られる粉末形態であってよい。
【0274】
本発明の化合物は、軟膏、クリーム剤又はローション剤として、又は経皮パッチとして表皮への局所投与のために製剤化されてもよい。軟膏及びクリーム剤は、例えば、適切な増粘剤及び/又はゲル化剤を加え、水性又は油性基剤を用いて製剤化することができる。ローション剤は、水性又は油性基剤を用いて製剤化されることができ、また一般に、1つ以上の乳化剤、安定化剤、分散助剤、懸濁化剤、増粘剤又は着色剤も含有するであろう。口腔における局所投与に適する製剤には、通常はスクロース及びアカシア又はトラガカントである風味付けされた基剤中に活性剤を含むトローチ剤;ゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアカシアなどの不活性基剤中に活性成分を含む香錠;ならびに、適切な液体担体中に活性成分を含む口内洗浄薬が含まれる。
【0275】
本発明の化合物は、坐剤として投与するために製剤化されることができる。例えば脂肪酸グリセリド又はカカオバターの混合物などの低融点蝋を、最初に溶融して、活性成分を例えば撹拌により均質に分散させる。次に溶融した均質混合物を、都合のよい大きさの型に注ぎ、冷却するにまかせ、凝固させる。
【0276】
本発明の化合物は、膣内投与のために製剤化されることができる。活性成分に加えて、そのような担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム又はスプレーが適切であることが当技術分野において知られている。
【0277】
本化合物は、鼻腔内投与のために製剤化されることができる。液剤又は懸濁剤は、従来手段によって、例えば滴瓶、ピペット又はスプレーを用いて、直接鼻腔に適用されうる。製剤は、単一又は複数用量形態で提供されうる。後者の滴瓶又はピペットの場合、液剤又は懸濁剤の適切で所定の容量を患者が投与することで、このことを達成することができる。スプレーの場合、例えば計量噴霧スプレーポンプを用いて、このことを達成することができる。
【0278】
本発明の化合物は、エアゾール投与のために製剤化されることができ、それは特に気道に対するもので、鼻腔内投与を含む。化合物は概して、例えば5μm以下のオーダーの小さい粒径を有するであろう。そのような粒径は、当技術分野において知られている手段、例えば微粒子化により得ることができる。活性成分は、クロロフルオロカーボン(CFC)、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタンもしくはジクロロテトラフルオロエタン、又は二酸化炭素、又は他の適切なガスなどの適切な噴射剤を用いた加圧パック内に提供される。エアゾールはまた、レシチンなどの界面活性剤を都合よく含有することができる。薬剤の用量は、計量弁により制御することができる。代替的には、活性成分は、乾燥粉末の形態で、例えば、ラクトース、デンプン、デンプン誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリジン(PVP)などの適切な粉末基剤中の化合物の粉末混合物で提供されうる。粉末担体は、鼻腔内でゲルを形成することになる。粉末組成物は、単位用量形態で提供されてよく、例えばゼラチンのカプセルもしくはカートリッジ、又はブリスターパックなどの中に提供されてよく、そこから粉末剤が吸入器により投与されることができる。
【0279】
所望の場合、製剤は、活性成分の持続的又は制御的放出投与に適合するように、腸溶コーティングを用いて調製されうる。例えば本発明の化合物は、経皮又は皮下薬物送達装置に製剤化されうる。これらの送達系は、化合物の持続放出が必要な場合、及び、処置レジメンに対する患者のコンプライアンスが重要である場合に有利である。経皮送達系における化合物は、皮膚付着固体支持体に取り付けられることが多い。関心対象の化合物はまた、浸透向上剤、例えばアゾン(1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン)と組み合わせることができる。持続的放出送達系は、手術又は注射により皮下層に皮下的に挿入される。皮下インプラントは、化合物を脂溶性膜、例えばシリコーンゴム、又は生分解性高分子、例えばポリ乳酸内に封入するものである。
【0280】
医薬調剤は、好ましくは単位投薬形態である。そのような形態において、調剤は、適切な量の活性成分を含有する単位用量に細分化されている。単位投薬形態は、パッケージ調剤であることができ、そのパッケージは、パック入り錠剤、カプセル剤、及び、バイアル又はアンプル中の粉末剤など、調剤の別個の分量を含有する。また、単位投薬形態は、それ自体、カプセル剤、錠剤、カシェ剤、又はトローチ剤であることができるか、あるいは、これらのうちのいずれかの適切な数のパッケージ形態であることができる。
【0281】
他の適切な薬学的担体及びそれらの製剤は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy 1995, edited by E. W. Martin, Mack Publishing Company, 19th edition, Easton, Pennsylvaniaに記載されている。本発明の化合物を含有する代表的な医薬製剤を以下に記載する。
【0282】
実施例
以下の調製及び実施例は、当業者が本発明をより明確に理解し、実施できるように与えられている。これらは、本発明の範囲を制限するものと考えられるべきではなく、単に本発明の例示及び代表として考えられるべきである。
【0283】
特に指定のない限り、融点(すなわちMP)を含む全ての温度は、摂氏温度(℃)である。指示された及び/又は所望の生成物を生成する反応が必ずしも、最初に加えられた2つの試薬を組み合わせからの直接の結果でなくてよいこと、すなわち混合物中に生成された1つ以上の中間体が存在してよく、最終的にそれが指示された及び/又は所望の生成物の形成につながることを認識すべきである。以下の略語が、調製及び実施例において使用されうる。
【0284】
略語:DBU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン;DCM:ジクロロメタン/塩化メチレン;DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン;DME:1,2−ジメトキシエタン(glyme);DMF:N,N−ジメチルホルムアミド;DMFDMA:N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール;DMSO:ジメチルスルホキシド;DMAP:4−ジメチルアミノピリジン;ECDI:1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド;EtOAc:酢酸エチル;EtOH:エタノール;EtN:トリエチルアミン;gc:ガスクロマトグラフィー;HMPA:ヘキサメチルホスホルアミド;HOBt:N−ヒドロキシベンゾトリアゾール;hplc:高速液体クロマトグラフィー;IPA:イソプロパノール;mCPBA:m−クロロ過安息香酸;MeCN:アセトニトリル;NMM:N−メチルモルホリン;NMP:N−メチルピロリジノン;TEA:トリエチルアミン;THF:テトラヒドロフラン;LDA:リチウムジイソプロピルアミン;TLC:薄層クロマトグラフィー。
【0285】
調製1: (S)−2−メトキシ−1−メチル−エチルアミン
この調製で使用する合成手順を、以下のスキームBで概説する。
【0286】
【化14】

【0287】
工程1 (S)−Boc−2−アミノ−プロパノール
D−アラニン(3.5g、39.3mmol)を少量ずつ、還流THF中のLiAlH(2.89g、76.26mmol)の懸濁液に加えた。12時間還流を継続し、次に反応混合物を0℃まで冷却し、過剰試薬を、15%NaOH水溶液(3ml)及び水(9ml)を慎重に加えることによってクエンチした。室温で10分間撹拌した後、CHCl(40ml)中の(Boc)O(8.31g、38.13mmol)の溶液を加えた。反応混合物を60℃で6時間撹拌し、室温まで冷却し、無水NaSOのパッドを通して濾過して、濾液を真空下で濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる残留物の精製により、白色の固体として(S)−Boc−2−アミノ−プロパノールを収率63%で得た。MS(M+H)=176。
【0288】
工程2 (S)−Boc−2−メトキシ−1−メチル−エチルアミン
(S)−Boc−2−アミノ−プロパノール(2.00g、11.4mmol)の溶液に、AgO(5.89g、25.4mmol)、及びヨウ化メチル(16.00g、112.7mmol)を室温で次々に加えた。反応混合物を室温で2日間撹拌した。固体を濾別し、濾液を真空下で濃縮して、無色の油状物として(S)−Boc−2−メトキシ−1−メチル−エチルアミンを得、それをさらに精製することなく使用した。
【0289】
工程3 (S)−2−メトキシ−1−メチル−エチルアミン
(S)−Boc−2−メトキシ−1−メチル−エチルアミンをMeOH(40ml)に溶解し、3M HCl(10ml)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、次に溶媒を減圧下で除去し、残留物を追加的EtOH(20ml)によって共蒸発させ、塩酸塩の形態で明褐色の油状物として(S)−2−メトキシ−1−メチル−エチルアミンを得た(1.42g、100%)。MS(M+H)=90。
【0290】
(S)−2−エトキシ−1−メチル−エチルアミンを同様に調製した。L−アラニンから、(R)−2−メトキシ−1−メチル−エチルアミン、及び(R)−2−エトキシ−1−メチル−エチルアミンを同様に調製した。
【0291】
調製2: (S)−1−メチル−2−モルホリン−4−イル−エチルアミン
この調製で使用する合成手順を、以下のスキームCで概説する。
【0292】
【化15】

【0293】
工程1 メタンスルホン酸2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピルエステル
CHCl中の(S)−Boc−2−アミノ−プロパノール(4.91g、0.028mol)、EtN(1.5当量)の溶液に、メタンスルホニルクロリド(1.1〜1.2当量)を0℃で加えた。反応物を0℃で30分間撹拌した。水(5ml)を加え、有機層を分離し、飽和水性NaHCO、ブラインで洗浄して、MgSOで乾燥させた。溶媒を真空下で除去して、白色の固体としてメタンスルホン酸2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピルエステルを収率98%で得た。MS(M+H)=254。
【0294】
工程2 (1−メチル−2−モルホリン−4−イル−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
CHCN(20ml)中のメタンスルホン酸2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピルエステル(23mmol)の溶液に、モルホリン(28mmol)及びKCO(23mmol)を室温で加えた。反応混合物を50℃にし、同じ温度で一晩保った。反応混合物を冷却し、溶媒を減圧下で除去して、残留物をCHCl(50ml)及びHO(50ml)で処理した。有機層を分離し、水層をCHClで抽出した。合わせた有機層を、NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去して、残留物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)によって精製して、粘性液体として(1−メチル−2−モルホリン−4−イル−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルを収率62%で得た。MS(M+H)=245。
【0295】
工程3 (S)−1−メチル−2−モルホリン−4−イル−エチルアミン
メタノール(10ml)中の(1−メチル−2−モルホリン−4−イル−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(0.30g、1.22mmol)の溶液に、0℃で2N HCl(5ml)を加えた。反応混合物を室温まで温まるにまかせて、一晩撹拌した。溶媒を真空下で除去して、明黄色の固体として(S)−1−メチル−2−モルホリン−4−イル−エチルアミンを得た(250mg、96%)。MS(M+H)=145。
【0296】
(S)−1−メチル−2−チオモルホリン−4−イル−エチルアミン、(S)−1−[4−(2−アミノ−プロピル)−ピペラジン−1−イル]−エタノン、(S)−1−(2−アミノ−プロピル)−ピペリジン−4−オール、(S)−1−(2−アミノ−プロピル)−ピペリジン−3−オール、(S)−1−メチル−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エチルアミン、(S)−1−メチル−2−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イル)−エチルアミン、(S)−4−(2−アミノ−プロピル)−ピペラジン−2−オン、1−メチル−2−ピペリジン−1−イル−エチルアミン、1−(2−アミノ−プロピル)−ピロリジン−3−オール、(S)−2−(4−メトキシ−ピペリジン−1−イル)−1−メチル−エチルアミン、(S)−2−(3−メトキシ−ピペリジン−1−イル)−1−メチル−エチルアミン、(S)−2−(4−メタンスルホニル−ピペリジン−1−イル)−1−メチル−エチルアミン、及び、他の2−アミノ−1−ヘテロシクリルプロパンを同様に調製した。
【0297】
調製3: (S)−2−(1,1−ジオキソ−1λ*6*−チオモルホリン−4−イル)−1−メチル−エチルアミン
この調製で使用する合成手順を、以下のスキームDで概説する。
【0298】
【化16】

【0299】
工程1 (1−メチル−2−オキソ−2−チオモルホリン−4−イル−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
CHCl中の2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオン酸(3.5g、18.5mmol)、HOBt(22.2mmol)、NMP(22.2mmol)及びEDCI(22.2mmol)の溶液に、チオモルホリン(2.29g、22.2mmol)を0℃で加えた。反応混合物を0℃で一晩撹拌して、次に2%水性NaOH、水、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させた。溶媒を真空下で除去して、(1−メチル−2−オキソ−2−チオモルホリン−4−イル−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(5.0g)を収率98%で得た。MS(M+H)=275。
【0300】
工程2 [2−(1,1−ジオキソ−1λ−チオモルホリン−4−イル)−1−メチル−2−オキソ−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
CHCl中の(1−メチル−2−オキソ−2−チオモルフィン−4−イル−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(5.0g、18.2mmol)の溶液に、m−CPBA(11.4g、46.25mmol)を0℃で加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。固体を濾過によって除去し、濾液をNaによって洗浄し、NaSOで乾燥させた。溶媒を真空下で除去して、[2−(1,1−ジオキソ−1λ−チオモルホリン−4−イル)−1−メチル−2−オキソ−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(5.6g)を収率100%で得た。MS(M+H)=307。
【0301】
工程3 2−アミノ−1−(1,1−ジオキソ−1λ−チオモルホリン−4−イル)−プロパン−1−オン
CHCl(70ml)中の[2−(1,1−ジオキソ−1λ−チオモルホリン−4−イル)−1−メチル−2−オキソ−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(5.6g、18.2mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(5ml)を0℃で加えた。反応混合物を室温まで温まるにまかせて、3時間撹拌した。減圧下でCHCl及び過剰トリフルオロ酢酸を除去した後、2−アミノ−1−(1,1−ジオキソ−1λ−チオモルホリン−4−イル)−プロパン−1−オン(6.0g、収率100%)を白色の固体として得た。MS(M+H)=207。
【0302】
工程4 (S)−2−(1,1−ジオキソ−1λ−チオモルホリン−4−イル)−1−メチル−エチルアミン
2−アミノ−1−(1,1−ジオキソ−1λ−チオモルホリン−4−イル)−プロパン−1−オン(6.0g、18.2mmol)及びBH(THF中1M、110ml)の混合物を、48時間加熱還流して、次に室温まで冷却して、MeOHによってクエンチした。揮発性物質を真空下で除去した。2N HCl(100ml)を残留物に加え、18時間加熱還流した。溶媒を真空下で除去し、白色の固体として(S)−2−(1,1−ジオキソ−1λ−チオモルホリン−4−イル)−1−メチル−エチルアミン(4.5g)を収率90%で得た。MS(M+H)=193。
【0303】
調製4: 1−ピラジン−2−イル−エチルアミン
この調製で使用する合成手順を、以下のスキームEで概説する。
【0304】
【化17】

【0305】
メタノール(50ml)中の1−ピラジン−2−イル−エタノン(2.0g、15.85mmol)及び酢酸アンモニウム(19.337g、158.5mmol)の溶液に、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.7g、11.1mmol)を一度に加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。メタノールの除去後、水(20ml)を残留物に加えて、得られた溶液を、水酸化ナトリウムを加えることによってpH=13まで塩基性化した。水溶液をジクロロメタンによって抽出し、合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下での溶媒の除去によって、1−ピラジン−2−イル−エチルアミン 14.62gを収率75%で得た。MS(M+H)=124。
【0306】
適切なヘテロアリールメチルケトン、又はフェニルメチルケトンから:1−ピリジン−2−イル−エチルアミン、1−ピリジン−3−イル−エチルアミン、1−ピリジン−4−イル−エチルアミン、1−(2−フルオロ−フェニル)−エチルアミン、1−(3−フルオロ−フェニル)−エチルアミン、1−(4−メタンスルホニル−フェニル)−エチルアミン、1−チエン−3−イル−エチルアミン、1−フラン−2−イル−エチルアミン、1−(5−メチル−フラン)−2−イル−エチルアミン、1−チアゾール−2−イル−エチルアミン、1−チエン−2−イル−エチルアミン、1−ピリミジン−2−イル−エチルアミン、C−(6−メチル−ピリダジン−3−イル)−メチルアミン、C−(5−メチル−ピラジン−2−イル)−メチルアミン、及び1−ピリダジン−4−イル−エチルアミンを同様に調製した。
【0307】
調製5: 5−ヨード−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミド
この調製で使用する合成手順を、以下のスキームFで概説する。
【0308】
【化18】

【0309】
工程1 3−ヨード−5−ニトロ−安息香酸
発煙硫酸(250ml)中のヨウ素(137.95g、0.5436mmol)の撹拌された溶液に、m−ニトロ安息香酸(64.6g、0.3866mmol)を室温で加えた。反応混合物を2時間にわたってゆっくりと85℃まで加熱し、同じ温度でさらに12時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、氷に注ぎ、水溶液をジクロロメタンで抽出した。有機相を分離し、水、2.0M Na溶液及びブラインで洗浄し、次にNaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、淡黄色の固体として、3−ヨード−5−ニトロ安息香酸 111gを収率98%で得た。MS(M+H)=294。
【0310】
工程2 4’−メチル−5−ニトロ−ビフェニル−3−カルボン酸
トルエン 300ml及びエタノール50ml中の3−ヨード−5−ニトロ安息香酸(15.48g、52.83mmol)及びPd(PhP)(1.84g、1.69mmol)の撹拌溶液に、p−トリルボロン酸(7.87g、58.11mmol)、及び水 20ml中のCsCO(18.89g、58.11mmol)の溶液を室温で加えた。反応物を18時間還流させ、次に室温まで冷却した。その溶液に2N NaOHを加え、反応混合物を30分間撹拌した。有機相を分離し、水相を12N HClを使用してpH<4に調整した。得られた固体沈殿物を濾過して、トルエンで洗浄し、明黄色の固体(97.2%)として4’−メチル−5−ニトロ−ビフェニル−3−カルボン酸 13.2gを得た。MS(M+H)=258。
【0311】
工程3 4’−メチル−5−ニトロ−ビフェニル−3−カルボン酸(2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミド
NMP(9.29ml、84.38mmol)、CHCl(180ml)及びDMF(20ml)中の、4’−メチル−5−ニトロ−ビフェニル−3−カルボン酸(15.49g、60.27mmol)、HOBt(11.44g、84.38mmol)、及び2−アミノ−1−メトキシ−1−プロパン(7ml、66.31mmol)の撹拌溶液に、EDCI(16.17g、84.38mmol)を0℃で少量ずつ加えた。混合物を室温まで温まるにまかせて、同じ温度で14時間撹拌した。反応混合物を、2N HCl、2N NaOH、飽和水性NaHCO、ブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、黄色の油状物として4’−メチル−5−ニトロ−ビフェニル−3−カルボン酸(2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミドを得た(16.5g、83.5%)。MS(M+H)=329。
【0312】
工程4 5−アミノ−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミド
メタノール 250ml中の4’−メチル−5−ニトロ−ビフェニル−3−カルボン酸(2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミド(39mmol)の撹拌溶液に、SnCl(117mmol)を室温で一度に加えた。反応混合物を3時間加熱還流した。溶媒を減圧下で除去し、残留物を酢酸エチルで希釈し、飽和NaHCO溶液で処理した。固体を濾別し、濾液を、飽和水性NaHCO、ブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、黄色の油状物として5−アミノ−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミド(10.5g、90.3%)を得た。MS(M+H)=299。
【0313】
工程5 5−ヨード−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミド
5−アミノ−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(2−メトキシ−1−メチルエチル)−アミド(5.3g、17.8mmol)、亜硝酸イソアミル(13.5ml、88.9mmol)及びジヨードメタン(8ml、106.7mmol)の混合物を、室温で1時間撹拌した。次に混合物を65℃まで加熱して、8時間保ち、LC/MSは反応が完了したことを示した。反応混合物を室温まで冷却し、過剰ジヨードメタンからのヨードベンゼンの分離を、反応混合物をピペリジン−CHCN(v/v=90ml/90ml)の撹拌溶液に室温で加えることによって実施した。活発な発熱反応が起こった。過剰な揮発性試薬を80℃で、回転蒸発によって除去した。残留物を酢酸エチルで希釈し、10%塩酸、水及びブラインで洗浄した。有機層を分離して、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=10:1)によって精製し、黄色の固体として5−ヨード−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミドを得た(5.2g、83.8%)。MS(M+H)=410。
【0314】
工程3での適切なアミン化合物を使用して:5−ヨード−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド、MS(M+H)=444;5−ヨード−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−アミド、MS(M+H)=396;5−ヨード−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−メチル−2−モルホリン−4−イル−エチル)−アミド、MS(M+H)=465;5−ヨード−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸[2−(1,1−ジオキソ−1λ−チオモルホリン−4−イル)−1−メチル−エチル]−アミド、MS(M+H)=513;及び、5−ヨード−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(ピラジン−2−イルメチル)−アミド、MS(M+H)=430を同様に調製した。
【0315】
調製6: 5−ヨード−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸
この調製で使用する合成手順を、以下のスキームGで概説する。
【0316】
【化19】

【0317】
工程1 4’−メチル−5−ニトロ−ビフェニル−3−カルボン酸メチルエステル
メタノール中の4’−メチル−5−ニトロ−ビフェニル−3−カルボン酸(10.00g、0.039mol)の溶液に、SOCl(5.09g、0.043mol)を0℃で加えた。反応混合物を室温まで温まるにまかせて、次に2時間加熱還流した。溶媒を真空下で除去して、明黄色の固体として4’−メチル−5−ニトロ−ビフェニル−3−カルボン酸メチルエステル(9.72g、92%)を得た。MS(M+H)=273。
【0318】
工程2 5−アミノ−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸メチルエステル
調製5の工程4の手順を使用し、SnClを使用して4’−メチル−5−ニトロ−ビフェニル−3−カルボン酸メチルエステルを還元し、5−アミノ−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸メチルエステル、MS(M+H)=242を得た。
【0319】
工程3 5−ヨード−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸メチルエステル
調製5の工程5の手順を使用して、5−アミノ−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸メチルエステルを、ヨウ化メチレン及び硝酸イソアミルで処理して、5−ヨード−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸、MS(M+H)=353を得た。
【0320】
2’−フルオロ−5−ヨード−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸メチルエステル、MS(M+H)=371を同様に調製した。
【0321】
調製7: 3−ヨード−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−安息香酸メチルエステル
この調製で使用する合成手順を、以下のスキームHで概説する。
【0322】
【化20】

【0323】
工程1 3−ヨード−5−ニトロ−安息香酸メチルエステル
メタノール(50ml)中の3−ヨード−5−ニトロ安息香酸(20.00g、0.068mol)の溶液に、SOCl(5.45ml、0.075mol)を0℃で加えた。反応混合物を室温まで温まるにまかせて、次に2時間加熱還流した。反応物を冷却し、溶媒を真空下で除去し、明黄色の固体として3−ヨード−5−ニトロ−安息香酸メチルエステルを得た(20.67g、99%)。MS(M+H)=309。
【0324】
工程2 3−ニトロ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−安息香酸メチルエステル
DMSO(40ml)中の3−ヨード−5−ニトロ−安息香酸メチルエステル(10g、0.0326mol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(9.1g、0.0358mol)、KOAc(9.59g、0.098mol)、及びPdCl(dppf)(798mg、0.98mmol)の溶液をN雰囲気下で80℃に4時間加熱した。混合物を室温まで冷却しEtOで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、得られた粗3−ニトロ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−安息香酸メチルエステルを、次の工程で精製せずに使用した。
【0325】
工程3 3−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−5−ニトロ−安息香酸メチルエステル
DME/HO(5ml/1ml)中の2−ブロモ−5−メチルピリジン(1.24g、7mmol)、Pd(PPh(226mg、0.2mmol)、及びKPO(2.76g、13mmol)の溶液に、3−ニトロ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−安息香酸メチルエステル(2.00g、6.5mmol)をN雰囲気下で加えた。混合物を130℃で0.5時間マイクロ波放射線に付した。反応混合物を冷却し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl/MeOH)によって精製し、白色の固体として3−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−5−ニトロ−安息香酸メチルエステルを得た(700mg、40%)。
【0326】
工程4 3−アミノ−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−安息香酸メチルエステル
メタノール/酢酸エチル中の3−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−5−ニトロ−安息香酸メチルエステル(4g、14.7mmol)の溶液にSnCl(11.15g、58.8mmol)を室温で加えた。反応混合物を3時間還流し、次に冷却した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をHOに溶解し、NaCOを加えることによってpH=9まで塩基性化した。混合物をCHClで抽出し、有機相を水、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、白色の固体として3−アミノ−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−安息香酸メチルエステル(3.2g、90%)を得た。
【0327】
工程5 3−ヨード−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−安息香酸メチルエステル
調製5の工程5の手順を使用して、3−アミノ−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−安息香酸メチルエステルを、ヨウ化メチレン及び硝酸イソアミルで処理し、3−ヨード−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−安息香酸メチルエステル、MS(M+H)=353を得た。
【0328】
工程1のメタノールの代わりにエタノールを使用して、3−ヨード−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−安息香酸エチルエステル、MS(M+H)=368を同様に調製した。
【0329】
調製8: 3−ブロモ−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−安息香酸メチルエステル
この調製で使用する合成手順を、以下のスキームIで概説する。
【0330】
【化21】

【0331】
工程1 3−ブロモ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−安息香酸メチルエステル
3−ブロモ−5−ヨード−安息香酸メチルエステル(14.16g、41.53mmol)、ビス(ピナコラト)−ジボラン(11.60g、45.7mmol)、PdCl(dppf)(1.02g、1.256mmol)、及び酢酸カリウム(12.22g、124.6mmol)を、DMSO 50mlに加え、反応混合物を80℃で20時間撹拌し、次に室温まで冷却した。反応混合物を水で希釈し、ジエチルエーテルで抽出した。合わせた有機抽出物をMgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して3−ブロモ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−安息香酸メチルエステル 18.5gを得、それを次の工程でさらに精製しないで直接使用した。
【0332】
工程2 3−ブロモ−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−安息香酸メチルエステル
DME 300ml中の2−ブロモ−5−メチル−ピリジン(10.27g、59.68mmol)及びパラジウムテトラキス(トリフェニルホスフィン)(1.88g、1.65mmol)の混合物を、窒素下60℃で30分間撹拌した。この混合物に、3−ブロモ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−安息香酸メチルエステル(18.5g、54.25mmol)を加え、それに続いて水 40ml中のKPO(23.03g、108.5mmol)を加えた。混合物を8時間還流し、次に室温まで冷却し、水とEtOAcとの間で分割した。合わせた有機層を水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過して、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(5:1 EtOAc/ヘキサン)によって精製し、3−ブロモ−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−安息香酸メチルエステル 8.5g、MS(M+H)=306を得た。
【0333】
3−ブロモ−5−(2−クロロ−5−メチル−ピリジン−2−イル)−安息香酸メチルエステル、MS(M+H)=341;3−ブロモ−5−(2−フルオロ−5−メチル−ピリジン−2−イル)−安息香酸メチルエステル、MS(M+H)=325;及び3−ブロモ−5−(5−クロロ−ピリジン−2−イル)−安息香酸メチルエステル、MS(M+H)=327を同様に調製した。
【0334】
調製9: トリフルオロ−メタンスルホン酸4−イソプロピル−[1,2,5]チアジアゾール−3−イルエステル
この調製で使用する合成手順を、以下のスキームJで概説する。
【0335】
【化22】

【0336】
工程1 4−イソプロピル−[1,2,5]チアジアゾール−3−オール
一塩化硫黄(13.27g、98.24mmol)を乾燥DMF 20mlに加え、それに続いて(S)−2−アミノ−3−メチル−ブチルアミド(5.0g、152.62mmol)を加えた。混合物を窒素雰囲気下で6時間撹拌し、次に氷水上に慎重に注いだ。得られた混合物をジエチルエーテルで抽出し、合わせた有機抽出物をMgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、4−イソプロピル−[1,2,5]チアジアゾール−3−オールの黄色の油状物を得た。
【0337】
工程2 トリフルオロメタンスルホン酸4−イソプロピル−[1,2,5]チアジアゾール−3−イルエステル
トリフルオロメタンスルホン酸4−イソプロピル−[1,2,5]チアジアゾール−3−イルエステルを、Org. Biomol. Chem. Vol. 4 (2006), 3681-3693で報告されている手順にしたがって調製した。簡潔には、4−イソプロピル−[1,2,5]チアジアゾール−3−オール(0.25g、1.73mmol)をジクロロメタン 0.25ml中に取り込み、トリエチルアミン(0.175g、1.73mmol)をその混合物に加えた。反応混合物を0℃に冷却し、窒素雰囲気下で撹拌し、トリフルオロメタンスルホニル無水物(0.978g、3.467mmol)を滴加した。反応混合物を4時間撹拌し、次に粒状シリカを反応混合物に加えた。そのシリカをシリカカラム上に乾燥装填し、フラッシュクロマトグラフィー(1:1 ジクロロメタン/ヘキサン)により油状物としてトリフルオロ−メタンスルホン酸 4−イソプロピル−[1,2,5]チアジアゾール−3−イルエステル 0.27gを得た。
【0338】
調製10: 4−イソプロピル−[1,2,3]チアジアゾール
この調製で使用する合成手順を、以下のスキームKで概説する。
【0339】
【化23】

【0340】
工程1 N’−[1,2−ジメチル−プロパ−(Z)−イリデン]−ヒドラジンカルボン酸エチルエステル
ヒドラジンカルボン酸エチルエステル(4.40g、42.2mmol)及び酢酸(60um、1.0mmol)を、メチルイソプロピルケトン 20ml(過剰)に加え、混合物を室温で18時間撹拌した。水(40ml)を加え、混合物を塩化メチレンで抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、粗N’−[1,2−ジメチル−プロパ−(Z)−イリデン]−ヒドラジンカルボン酸エチルエステル 7.25gを油状物として得、それを次の工程で直接使用した。
【0341】
工程2 4−イソプロピル−[1,2,3]チアジアゾール
1,2−ジクロロエタン(100ml)中のN’−[1,2−ジメチル−プロパ−(Z)−イリデン]−ヒドラジンカルボン酸エチルエステル(7.2g、0.1mmol)及び塩化チオニル(22ml、0.3mmol)の混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、飽和水性NaHCOをその残留物に加えた。混合物を塩化メチレンで抽出し、合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をクロマトグラフィーに付し(0%〜10% EtOAc/ヘキサン)、4−イソプロピル−[1,2,3]チアジアゾール 5.0gを第1画分として得た。4,5,5−トリメチル−1−オキソ−1,5−ジヒドロ−1λ*4*−[1,2,3]チアジアゾール−2−カルボン酸エチルエステル(11.2g)を、副生成物として第2画分中に得た。
【0342】
実施例1: 3−(4−イソプロピル−[1,2,3]チアジアゾール−5−イル)−N−(5−メチル−ピラジン−2−イルメチル)−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−ベンズアミド
この調製で使用する合成手順を、以下のスキームLで概説する。
【0343】
【化24】

【0344】
工程1 3−ヨード−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−安息香酸エチルエステル
3−アミノ−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−安息香酸エチルエステル(3.7g、14.45mmol)をアセトニトリル 50mlに加え、混合物を室温で撹拌した。亜硝酸イソアミル(9.7ml、72.27mmol)をゆっくりと加え、それに続いてヨウ化メチレン(7.0ml、86.7mmol)を加えた。反応混合物を30分間60℃までゆっくりと加熱し、次に室温まで冷却した。反応混合物を水と酢酸エチルとの間で分割し、有機相を分離し、水及びブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を液体クロマトグラフィー(30%〜100% 塩化メチレン/ヘキサン)によって精製し、3−ヨード−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−安息香酸エチルエステル、MS(M+H)=368を得た。
【0345】
工程2 3−(4−イソプロピル−[1,2,3]チアジアゾール−5−イル)−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−安息香酸エチルエステル
DMF 10ml中の3−ヨード−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−安息香酸エチルエステル(367mg、1mmol)、4−イソプロピル−[1,2,3]チアジアゾール(640mg、5mmol)、パラジウムIIテトラキス(トリフェニルホスフィン)(35mg、0.03mmol)、及び酢酸カリウム(196mg、2mmol)の混合物を120℃まで温め、16時間撹拌した。反応混合物を冷却して、シリカカラム上に直接移し、液体クロマトグラフィー(0%〜10% EtOAc/ヘキサン)によって精製し、3−(4−イソプロピル−[1,2,3]チアジアゾール−5−イル)−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−安息香酸エチルエステル 250mg、MS(M+H)=368を得た。
【0346】
工程3 3−(4−イソプロピル−[1,2,3]チアジアゾール−5−イル)−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−安息香酸
THF 10ml中の3−(4−イソプロピル−[1,2,3]チアジアゾール−5−イル)−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−安息香酸エチルエステル(250mg、0.68mmol)の混合物を0℃に冷却し、LiOH(0.5mlの2N水溶液)を加えた。反応混合物を室温まで温まるにまかせて、16時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残留物を3N HCl水溶液を用いてpH6まで酸性化した。混合物を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機画分をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、3−(4−イソプロピル−[1,2,3]チアジアゾール−5−イル)−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−安息香酸 200mg、MS(M+H)=340を得た。
【0347】
工程4 3−(4−イソプロピル−[1,2,3]チアジアゾール−5−イル)−N−(5−メチル−ピラジン−2−イルメチル)−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−ベンズアミド
3−(4−イソプロピル−[1,2,3]チアジアゾール−5−イル)−N−(5−メチル−ピラジン−2−イルメチル)−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−ベンズアミドを、米国特許出願公開第2008004442号における実施例7のカルボジイミドをベースとするアミド合成手順を使用して調製した。簡潔には、3−(4−イソプロピル−[1,2,3]チアジアゾール−5−イル)−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−安息香酸、C−(5−メチル−ピラジン−2−イル)−メチルアミン、EDCI、HOBt、及びEtNを塩化メチレンに加え、その混合物を室温で16時間撹拌し、次に水と塩化メチレンとの間で分割した。合わせた有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、3−(4−イソプロピル−[1,2,3]チアジアゾール−5−イル)−N−(5−メチル−ピラジン−2−イルメチル)−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−ベンズアミド、MS(M+H)=445を得た。
【0348】
実施例2: 3−(4−イソプロピル−[1,2,5]チアジアゾール−3−イル)−N−(5−メチル−ピラジン−2−イルメチル)−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−ベンズアミド
この調製で使用する合成手順を、以下のスキームMで概説する。
【0349】
【化25】

【0350】
工程1 3−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−5−トリプロピルスタンナニル−安息香酸メチルエステル(3-(5-Methyl-pyridin-2-yl)-5-tripropylstannanyl-benzoic acid methyl ester)
J. Med. Chem. Vol. 50 (2007) 3380-3387の手順に概してしたがって、トルエン 15ml中の3−ヨード−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−安息香酸メチルエステル(0.619g、1.75mmol)、パラジウムIIテトラキス(トリフェニルホスフィン)(0.205g、0.175mmol)、及びビストリブチルスズ(7.126g、12.28mmol)を撹拌しながら100℃まで20時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、氷水を加えた。混合物をEtOAcで抽出し、合わせた有機抽出物を水及びブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を、シリカを通してフラッシュクロマトグラフィー(12:1 EtOAc/ヘキサン)によって精製し、粗3−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−5−トリプロピルスタンナニル−安息香酸メチルエステル 0.891gを得た。
【0351】
工程2 3−(4−イソプロピル−[1,2,5]チアジアゾール−3−イル)−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−安息香酸メチルエステル
塩化リチウム(0.094g)及びパラジウムIIテトラキス(トリフェニルホスフィン)(0.048g)を窒素雰囲気下で乾燥THFに懸濁させた。この懸濁液に、乾燥THF 6ml中の3−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−5−トリプロピルスタンナニル−安息香酸メチルエステル(0.656g、1.27mmol)、及びトリフルオロ−メタンスルホン酸4−イソプロピル−[1,2,5]チアジアゾール−3−イルエステル(0.26g、0.942mmol)の溶液を加えた。反応混合物を70時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却し、氷水を加えた。1時間後、混合物をEtOAcで抽出し、合わせた有機層を水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(17:1 EtOAc/ヘキサン)によって精製し、3−(4−イソプロピル−[1,2,5]チアジアゾール−3−イル)−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−安息香酸メチルエステル 0.118g、MS(M+H)=354を得た。
【0352】
工程3 3−(4−イソプロピル−[1,2,5]チアジアゾール−3−イル)−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−安息香酸
実施例1の工程3の手順にしたがって、3−(4−イソプロピル−[1,2,5]チアジアゾール−3−イル)−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−安息香酸メチルエステルを、3−(4−イソプロピル−[1,2,5]チアジアゾール−3−イル)−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−安息香酸、MS(M+H)=340に加水分解した。
【0353】
工程4 3−(4−イソプロピル−[1,2,5]チアジアゾール−3−イル)−N−(5−メチル−ピラジン−2−イルメチル)−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−ベンズアミド
実施例1の工程4の手順にしたがって、3−(4−イソプロピル−[1,2,5]チアジアゾール−3−イル)−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−安息香酸を、C−(5−メチル−ピラジン−2−イル)−メチルアミンと反応させて、3−(4−イソプロピル−[1,2,5]チアジアゾール−3−イル)−N−(5−メチル−ピラジン−2−イルメチル)−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−ベンズアミド、MS(M+H)=445を得た。
【0354】
実施例3: 4’−メチル−5−[1,2,3]チアジアゾール−4−イル−ビフェニル−3−カルボン酸(2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミド
この調製で使用する合成手順を、以下のスキームNで概説する。
【0355】
【化26】

【0356】
工程1 5−アセチル−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミド
無水DMF 3ml中の5−ヨード−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミド(1.0g、1当量)の撹拌溶液に、LiCl(520mg、5当量)、Pd(dba)(18.34mg、1.3%当量)、DIPEA(0.8545ml、2当量)、及び無水酢酸(1.1636ml、5当量)を室温で加え、反応混合物をマイクロ波照射下150℃で1時間加熱した。反応混合物をEtOAcで希釈し、有機層を分離し、水及びブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残留物をシリカゲルでヘキサン−酢酸エチル(8:1〜2:1)を用いてフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、5−アセチル−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミド(538mg、75%)、MS(M+H)=326を得た。
【0357】
工程2 5−(p−トルエンスルホニルヒドラジドアセチル)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミド
エタノール 5ml中に溶解した5−アセチル−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミド(180mg、0.554mmol)の撹拌溶液に、(p−トリルスルホニル)ヒドラジド(108.6mg、0.554mmol)を加え、反応混合物を2時間還流した。減圧下で溶媒を除去することによって粗5−(p−トルエンスルホニルヒドラジドアセチル)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミドを得、それを次の工程で直接使用した。
【0358】
工程3 4’−メチル−5−[1,2,3]チアジアゾール−4−イル−ビフェニル−3−カルボン酸(2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミド
無希釈塩化チオニル(7ml)を氷浴内で冷却し、工程2からの5−(p−トルエンスルホニルヒドラジドアセチル)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミドを一度に加えて、室温で20分間撹拌した。反応混合物を60℃に1.5時間加熱し、次に室温まで冷却した。塩化チオニルを真空下で除去し、残留物をEtOAcで抽出した。有機相をNaSOで乾燥させ、濾過して真空下で濃縮した。残留物をシリカゲルでn−ヘキサン−酢酸エチル(2:1)で溶離するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、淡黄色の固体として4’−メチル−5−[1,2,3]チアジアゾール−4−イル−ビフェニル−3−カルボン酸(2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミド(収率48.3%) 98mg、MS(M+H)=368を得た。
【0359】
実施例4: 製剤
種々の経路による送達のための医薬調剤を、以下の表で示すように製剤化した。表で使用される「活性成分」又は「活性化合物」は、式Iの化合物の1つ以上を意味する。
【0360】
【表2】

【0361】
成分を混合して、それぞれ約100mgを含有するカプセル剤に分配し;1つのカプセル剤は、1日の総投薬量に近似した。
【0362】
【表3】

【0363】
成分を合わせてメタノールなどの溶媒を使用して粒状化した。次に製剤を乾燥させ適切な錠剤機を用いて(活性化合物 約20mgを含有する)錠剤に形成した。
【0364】
【表4】

【0365】
成分を混合して経口投与のために懸濁液を形成した。
【0366】
【表5】

【0367】
活性成分を注射用の水の一部に溶解した。次に十分な量の塩化ナトリウムを撹拌しながら加えて、溶液を等張にした。注射用の水の残りで溶液の重量にして、0.2μm膜フィルターを通して濾過し、滅菌条件下で包装した。
【0368】
【表6】

【0369】
成分を一緒に溶融し、蒸気浴で混合し、2.5gの全重量を含有する型に注いだ。
【0370】
【表7】

【0371】
水以外の全ての成分を合わせ、撹拌しながら約60℃まで加熱した。次に約60℃の充分な量の水を、激しく撹拌しながら加えて、成分を乳化し、次に水を適量、すなわち約100g加えた。
【0372】
鼻腔スプレー用製剤
活性化合物を約0.025〜0.5%含有する幾つかの水性懸濁液を、鼻腔スプレー用製剤として調製する。製剤は、場合により例えば、微晶質セルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、デキストロース等などの不活性成分を含有する。塩酸を加えてpHを調整することもできる。鼻腔スプレー用製剤は、典型的には1回の作動で製剤を約50〜100μl送達する鼻腔スプレー計量ポンプを介して送達することができる。典型的な投薬スケジュールは、4〜12時間毎に2〜4回のスプレーである。
【0373】
実施例5: P2X/P2X2/3FLIPR(蛍光定量的画像処理プレートリーダー)アッセイ
CHO−K1細胞にクローン化ラットP2X又はヒトP2X2/3受容体サブユニットをトランスフェクションし、フラスコ内で継代培養した。FLIPR実験の18〜24時間前に、細胞をそれらのフラスコから放出し、遠心分離し、2.5×10細胞/mlで栄養培地中に再懸濁した。細胞を50,000細胞/ウェルの密度で黒色の壁の96ウェルプレート内に分注し、5% CO内37℃で一晩インキュベートした。実験の当日、細胞をFLIPR緩衝液(カルシウム及びマグネシウムを含まないハンクス平衡塩類溶液(Hank's balanced salt solution)、10mM HEPES、2mM CaCl、2.5mM プロベネシド;FB)中で洗浄した。各ウェルは、FB 100μl、及び蛍光色素Fluo−3 AM[2μM最終濃度] 100μlを与えられた。1時間の37℃での色素添加インキュベーション後、細胞をFBで4回洗浄し、最終的に75μl/ウェルのFBを各ウェル内に残した。
【0374】
試験化合物(10mM DMSO中に溶解しFBで順次希釈した)又はビヒクルを各ウェルに加え(4×溶液 25μl)、室温で20分間平衡化させた。次にプレートをFLIPR内に置いて、基準蛍光測定値(488nmでの励起及び510〜570nmでの発光)を、100μl/ウェルのアゴニスト又はビヒクル添加前10秒間に得た。アゴニストは、α,β−meATPの2×溶液であり、1μM(P2X)又は5μM(P2X2/3)の最終濃度を生成した。アゴニスト添加後、1秒間隔でさらに2分間蛍光を測定した。イオノマイシンの最終添加(5μM、最終濃度)を、FLIPR試験プレートの各ウェルに行い、細胞生存度、及び色素結合した細胞質カルシウムの最大蛍光を確立した。α,β−meATPの添加に応答するピーク蛍光(試験化合物の欠如及び存在下で)を測定し、非線形回帰を使用して阻害曲線を作成した。PPADS、すなわち標準的P2Xアンタゴニストを陽性対照として使用した。
【0375】
上記手順を使用して、本発明の化合物は、表1で示すようにP2X及びP2X2/3受容体の活性を示した。
【0376】
実施例6: 喘息及び肺機能についてのインビボアッセイ
BALb/cJマウスを標準的免疫プロトコルで免疫化した。簡潔には、マウス(N=8/グループ)を、0日目及び14日目に腹腔内でアラム(alum)中のオボアルブミン(OVA;10μg)により免疫化した。次にマウスを21日目及び22日目にエアゾール化OVA(5%)で攻撃した。動物はビヒクル(経口)又は本発明の化合物(100mg/kg、経口)を全て20日目から与えられた。
【0377】
肺機能を、エアゾールメタコリン誘発に応答したPenHを測定するためBuxcoシステムを使用して23日目に評価した。次にマウスを安楽死させ、血漿サンプルを研究の最後に収集した。
【0378】
実施例7: 容量誘発膀胱収縮アッセイ
雌のスプラーグドーリーラット(200〜300g)を、ウレタン(1.5g/kg、皮下)で麻酔した。動物に気管切開を施し、頸動脈及び大腿静脈にそれぞれ血圧測定及び薬物投与のためカニューレを挿入した。開腹術を施し、尿管を結紮し、結紮部の近位を横切開した。外尿道口を絹縫合糸により結紮し、膀胱に、生理食塩水注入及び膀胱圧測定のためのドームを介してカニューレを挿入した。
【0379】
15〜30分の安定化期間に続いて、持続的な容量誘発膀胱収縮(VIBC)が観察されるまで、膀胱に室温の生理食塩水を100μl/分で注入した。次に、膀胱を排液する前の30分間、注入速度を3〜5μl/分まで低下させ、そして30分間安静にさせた。全てのその後の注入を、より低い注入速度を30分の代わりに15分間だけ維持したことを除き、示したとおりに実施した。膀胱充填及び排液サイクルを、閾値容量(TV;最初の排尿膀胱収縮を誘発するのに必要とされる容量)が、連続する2つの基準値の10%未満に変化し、収縮頻度が、よりゆっくりとした注入速度に続く10分間に2回収縮以内であるまで、繰り返した。いったん再現性のあるTV及びVIBCを確立したら、膀胱を排液し、動物に次のスケジュールされた注入の開始3分前に、薬物又はビヒクル(0.5ml/kg、静脈内)を投与した。
【0380】
実施例8: ホルマリン疼痛アッセイ
雄のスプラーグドーリーラット(180〜220g)を、個々のプレキシガラスシリンダー内に置き、30分間テスト環境に順応させた。ビヒクル、薬物又は陽性対照(モルヒネ2mg/kg)を5ml/kgで皮下に投与した。投与15分後、ホルマリン(50μl中5%)を、26ゲージ針を使用して右の後足の足底面に注射した。ラットを観察室に直ちに戻した。観察室周辺に配置した鏡によって、ホルマリンを注射した足の妨害されない観察を可能にする。各動物の侵害防衛機構行動(nociphensive behavior)の持続期間を、自動行動タイマーを使用して盲検観察者が記録した。後足をなめること、及び後足の震え/持ち上げを、別個に5分間のビンごとに計60分間記録した。時間0から5分の秒数におけるなめること又は震えに費やされた時間の合計を初期と考え、一方後期を15から40分までのなめること又は震えに費やされた秒数の合計としてとられた。血漿サンプルを収集した。
【0381】
実施例9: 結腸疼痛アッセイ
成体雄スプラーグドーリーラット(350〜425g;Harlan, Indianapolis, IN)を、動物ケア施設においてケージ当たり1〜2匹で収容した。ラットを、腹腔内投与したペントバルビタールナトリウム(45mg/kg)で深く麻酔した。電極を、筋電図(EMG)記録のために外腹斜筋系に設置し固定した。電極リード線を皮下を通して入れ、将来のアクセスのために首筋で外面化させた。手術後、ラットを別個に収容して試験前の4〜5日間回復させた。
【0382】
下行結腸及び直腸を、可撓管周りに結び付けた長さ7〜8cmの可撓性ラテックスバルーンの圧力制御した膨張によって拡張させた。バルーンを潤滑にし、肛門を介して結腸に挿入して、バルーンカテーテルを尾の根元にテープで留めることによって固定した。結腸直腸拡張(CRD)は、ソレノイドゲートを定圧空気だめに開放することによって達成した。結腸内圧力を圧力制御装置によって制御して連続的に監視した。応答を、内臓運動応答(VMR)、すなわち腹部及び後肢筋系の収縮として定量化した。外腹斜筋系の収縮によって生成されるEMG活動を、Spike2ソフトウェア(Cambridge Electronic Design)を使用して定量化した。各拡張試験は60秒持続し、EMG活動を、拡張前の20秒間(基準)、拡張中の20秒間、拡張後の20秒間、定量化した。拡張中に記録されたカウント総数の基準を超える増加を、応答として定義した。CRD(10、20、40及び80mmHg、20秒、4分間隔)に対する安定した基準応答を、いかなる処置の前の意識のある、鎮静させていないラットにおいて得た。
【0383】
化合物を最初に、急性内臓痛覚モデル、及び約6cmの深さに挿入された胃管栄養針で結腸内に点滴注入されたザイモサン(1ml、25mg/ml)による結腸内処置によって生じた結腸過敏症モデルにおける、結腸拡張への応答に対する効果について評価した。実験群は、各々8匹のラットからなる。
【0384】
急性内臓痛覚:急性内臓痛覚への薬物の効果を試験するために、基準応答が確立された後に、薬物、ビヒクル、又は陽性対照(モルヒネ、2.5mg/kg)の3用量のうちの1つを投与した;拡張への応答を、次の60〜90分にわたって追った。
【0385】
内臓過敏症:ザイモサンでの結腸内処置後、薬物又はビヒクルの効果を試験するため、基準応答が確立された後に結腸内処置を施した。薬物試験の4時間前に、拡張への応答を査定して過敏症の存在を確立した。ザイモサン処置ラットにおいて、薬物、ビヒクル、又は陽性対照(モルヒネ、2.5mg/kg)の3用量のうちの1つの投与をザイモサン処置の4時間後に施し、拡張への応答を次の60〜90分間にわたって追った。
【0386】
実施例10: 坐骨神経の慢性絞扼損傷に罹ったラットにおける冷感異痛
冷感異痛に対する本発明の化合物の効果を、ラットにおける神経因性疼痛の慢性絞扼損傷(CCI)モデルを使用して決定し、冷感異痛を、金属プレート床を有し水の深さが1.5〜2.0cmで温度が3〜4℃の冷水浴中で計測した(Gogas, K.R. et al., Analgesia, 1997, 3, 1-8)。
【0387】
具体的には、CCIラットを麻酔し;坐骨神経の三分枝の位置を確認し、三分枝の近位の坐骨神経の周囲に、4つの結紮(4−0又は5−0クロム腸線(chromic gut))を設置した。次にラットを手術から回復させた。手術後4〜7日目に、ラットを最初に、個々に氷水浴中に動物を置き、1分間の損傷した足の総持ち上げを記録することによって、低温誘導された異痛について査定した:損傷した足が水の外に持ち上げられた。移動又は身体の再位置付けに関連する足の持ち上げは記録しなかった。手術後4〜7日目に、1分間に5回以上の持ち上げを表したラットを、冷感異痛を示したとみなし、その後の研究に使用した。急性研究において、ビヒクル、参照化合物、又は本発明の化合物を、試験の30分前に皮下(s.c.)に投与した。冷感異痛に対する本発明の化合物の繰り返し投与の効果を、以下のレジメンの最終経口用量に続く14、20、又は38時間に決定した:ビヒクル、参照化合物、又は本発明の化合物を7日間、〜12時間間隔で(1日2回)経口(p.o.)投与した。
【0388】
実施例11: C3H/HeJマウスにおける癌性骨疼痛
骨疼痛に対する本発明の化合物の効果を、C3H/HeJマウスの大腿遠位への2472肉腫細胞の髄内注射に続く7日目〜18日目の間に決定した。
【0389】
具体的には、髄内注射後の骨に溶解性病変を形成すると先に示されているNCTC2472腫瘍細胞(American Type Culture Collection, ATCC)を、ATCCの推奨にしたがって成長させ維持した。ほぼ10個の細胞を、麻酔したC3H/HeJマウスの大腿遠位の髄腔内に直接注射した。約7日目から始めて、マウスを、自然発生的な侵害防衛機構行動(尻込み及び防御)、触感によって引き起こされた侵害防衛機構行動(尻込み及び防御)、強制歩行に対する防御及び肢使用について査定した。本発明の化合物の効果を、7日目〜15日目の単一急性(皮下)投与に続いて決定した。加えて、7日目から15日目まで、本発明の化合物の繰り返し(1日2回)投与の効果を、7、9、11、13、及び15日目の最初の投薬の1時間以内に決定した。
【0390】
本発明はその特定の実施態様を参照して記載されてきたが、種々の変更がなされてよく、本発明の真の精神及び範囲から逸脱せずに等価物が置換されてよいということが当業者により理解されるべきである。加えて、多くの変更が、特定の状況、材料、物質の組成、プロセス、プロセスステップを本発明の目的の精神及び範囲に適合させるようになされてよい。そのような変更の全ては、本明細書に添付された特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化27】


[式中:
は、場合により置換されているチアジアゾリルであり;
は、場合により置換されているフェニル;場合により置換されているピリジニル;場合により置換されているピリミジニル、場合により置換されているピリダジニル;又は場合により置換されているチオフェニルであり;
は、水素;C1−6アルキル;又はシアノであり;
は、水素;又はC1−6アルキルであり;
は、C1−6アルキル;ハロ−C1−6アルキル;C1−6アルキルオキシ−C1−6アルキル、ヒドロキシ−C1−6アルキル、N−C1−6アルキルアミノ;N,N−ジ−(C1−6アルキル)−アミノ;C3−7シクロアルキル;アリール;ヘテロアリール;ヘテロシクリル;C3−7シクロアルキル−C1−6アルキル;ヘテロアリール−C1−6アルキル;ヘテロシクリル−C1−6アルキル;アリール−C1−6アルキル;アリールオキシ−C1−6アルキル;−(CRa*−C(O)−R8’[式中:mは0又は1であり;Ra*及びRはそれぞれ独立して水素;又はC1−6アルキルであり;そしてR8’は水素;C1−6アルキル;C3−7シクロアルキル;アリール;ヘテロアリール;ヘテロシクリル;C3−7シクロアルキル−C1−6アルキル;アリール−C1−6アルキル;ヘテロアリール−C1−6アルキル;ヘテロシクリル−C1−6アルキル;C3−7シクロアルキルオキシ;アリールオキシ;ヘテロアリールオキシ;ヘテロシクリルオキシ;C3−7シクロアルキルオキシ−C1−6アルキル;アリールオキシ−C1−6アルキル;ヘテロアリールオキシ−C1−6アルキル;ヘテロシクリルオキシ−C1−6アルキルである];又は−NR10[式中:Rは水素;又はC1−6アルキルであり;そしてR10は水素;C1−6アルキル;C3−7シクロアルキル;アリール;ヘテロアリール;ヘテロシクリル;C3−7シクロアルキル−C1−6アルキル;アリール−C1−6アルキル;ヘテロアリール−C1−6アルキル;又はヘテロシクリル−C1−6アルキルである]であり;
、R、及びRはそれぞれ独立して水素;C1−6アルキル;C1−6アルキルオキシ;ハロ;C1−6ハロアルキル;又はシアノである]で示される化合物、又はその薬学的に許容しうる塩。
【請求項2】
が、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、又はシクロプロピルメチルから選択されるC1−6アルキルで1回置換されているチアジアゾリルである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
が、場合により置換されている[1,2,3]チアジアゾール−4−イル、又は、場合により置換されている[1,2,3]チアジアゾール−5−イル、又は、場合により置換されている[1,2,5]チアジアゾール−3−イルである、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
が、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、もしくはシクロプロピルメチルで場合により置換されている、[1,2,3]チアジアゾール−5−イル、又は、[1,2,3]チアジアゾール−3−イルである、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
が、4−イソプロピル−[1,2,5]チアジアゾール−3−イル、又は4−イソプロピル−[1,2,3]チアジアゾール−5−イルである、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
が、4位においてメチル又はハロで置換されており、場合により2位及び6位においてハロで置換されている、フェニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
が、5位でメチル又はハロで置換されているピリジン−2−イルである、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
及びRのうちの一方が、C1−6アルキルであり、もう一方が水素であるか;あるいは、双方が水素である、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
が、ヘテロアリール−C1−6アルキルであり、ここでヘテロアリールは、ピリジニル、ピリミジニル、及び、ピラジニルから選択され、C1−6アルキルはメチルである、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
が、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、ピラジン−2−イル、5−メチル−ピラジン−2−イル、6−メチル−ピリダジン−3−イルであるか;あるいは、Rが、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、5−メチル−ピラジン−2−イル、2−メチル−ピリミジン−5−イル、又は5−メチル−ピリミジン−2−イルである、請求項1記載の化合物。
【請求項11】
、R、及びRが水素である、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
式II:
【化28】


[式中、
Xは、C又はNであり;
11及びR12はそれぞれ独立して、水素;C1−6アルキル;C1−6アルキルオキシ;ハロ;ハロ−C1−6アルキル;ハロ−C1−6アルコキシ;C1−6アルキルスルホニル;又は、シアノであり;
及びRは、本明細書で定義されるとおりである]で示される請求項1記載の化合物、又はその薬学的に許容しうる塩。
【請求項13】
式III:
【化29】


[式中、
X、R、R、R11、及びR12は、本明細書で定義されるとおりである]で示される請求項1記載の化合物、又はその薬学的に許容しうる塩。
【請求項14】
薬学的に許容しうる担体;及び、請求項1〜13のいずれか1項記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項15】
膀胱容量の減少、頻回排尿、切迫性尿失禁、緊張性尿失禁、膀胱反応亢進、前立腺肥大症、前立腺炎、排尿筋反射亢進、頻尿、夜間頻尿症、尿意切迫、過活動膀胱、骨盤過敏症、尿道炎、骨盤痛症候群、前立腺痛、膀胱炎、又は、特発性膀胱過敏症から選択される尿路疾患;あるいは、炎症性疼痛、術後疼痛、内臓痛、歯痛、月経前疼痛、中枢痛、熱傷による疼痛、片頭痛又は群発頭痛、神経損傷、神経炎、神経痛、中毒、虚血傷害、間質性膀胱炎、癌性疼痛、ウィルス性、寄生性、又は細菌性感染症、外傷後損傷、又は、過敏性腸症候群に関連した疼痛から選択される疼痛状態;あるいは、慢性閉塞性肺障害(COPD)、喘息、及び気管支痙攣から選択される呼吸障害を処置するための方法であって、有効量の請求項1〜13のいずれか1項記載の化合物を、それを必要としている被検体に投与することを含む、方法。
【請求項16】
泌尿生殖器、疼痛、炎症、胃腸及び呼吸器の疾患、状態、ならびに障害を処置するための、請求項1〜13のいずれか1項記載の化合物。
【請求項17】
泌尿生殖器、疼痛、炎症、胃腸及び呼吸器の疾患、状態、ならびに障害を処置するための医薬を調製するための、請求項1〜13のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項18】
本明細書に前述の発明。

【公表番号】特表2012−512222(P2012−512222A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541309(P2011−541309)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066488
【国際公開番号】WO2010/069794
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】