説明

チェーファーコード及び車両用タイヤ

【課題】タイヤの加硫時又は使用時において、チェーファーコードとゴムとの接着性を向上させるチェーファーコード及び車両用タイヤを提供する。
【解決手段】Cu55重量%〜66重量%と残りがZnから成る組成で、粒径が20nm以下の結晶粒により形成された非結晶質性部と、20nmを超える結晶粒から成る結晶質性部とを積層した積層構造部分が形成されたブラスめっき鋼線において、ブラスめっき層の表面全体に対して積層構造部分の非結晶質性部の表面が占める面積割合が20%以上で積層構造部分の体積全体に対して非結晶質性部が占める体積割合が20%以上80%以下に形成し、このブラスめっき鋼線を層撚り構造については最外層シースフィラメントの50%以上、複撚り構造については最外層ストランドの最外層シースフィラメントの50%以上に適用してチェーファーコード20を作製し、これを車両用タイヤに適用した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、タイヤ補強用スチールコードの素線等に用いられ、表面にブラスめっき層が形成されたブラスめっき鋼線が撚られて形成されるチェーファー用のチェーファーコードとゴムとの接着性を向上させたチェーファーコード及び車両用タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、図6の断面図に示すように、ラジアルタイヤは、断面ほぼC字状に成型されたタイヤ内の気密を保持するためのインナーライナー2、その外周にはタイヤの骨材を成すカーカス3、ホイールのリムを保持するビードワイヤー4、リムの保持を補強するビードフィラー5、タイヤの周方向に層状に配置される複数のベルト6a〜6d、ベルト6a〜6dを保護するカバーゴム7、トレッドゴム8及びカーカス3がホイールリムに直接触れないように保護するように環状に形成されて複数本配置されるチェーファーコード20等から構成される。
【0003】
図7に示すように、上記チェーファーコード20は層撚り構造のもので、中央側に、本例では三角形状を成すように3本束ねて配置されるコアフィラメント51と、このコアフィラメント51を囲むように外周に配置される9本のシースフィラメント52sと、シースフィラメント52sの外周に配置されるラッピングフィラメント24とから成り、コアフィラメント51とシースフィラメント52sはストランドを成すもので、層撚り構造に形成され、その外周にラッピングフィラメント24が巻き付けられる構成である。この層撚りのものをさらに束ねて撚り構造としたものは複撚りとして公知である。
この場合、各コアフィラメント51,シースフィラメント52s,ラッピングフィラメント24は、図8に示すように、例えば、スチール鋼線50と、このスチール鋼線50の周りに被着され、かつ組成が銅Cu55〜66重量%と亜鉛Znとより成るブラスめっき層50aとから形成された線材より成る。
【0004】
チェーファーコード20を構成する各フィラメント51,52s,24のブラスめっき層50aを形成するブラスめっき中の銅Cuと、ゴムの弾性や強度を向上させるためにゴム中に含まれる硫黄Sとを結合させて、チェーファーコード20とゴムとの界面に硫化銅から成る接着層を形成させて初期接着性,過加硫時の接着性,耐熱接着性,動的接着性を得るようにしている。
すなわち、タイヤの製造時における加硫成型工程で加熱,加硫されることにより、ゴムに含まれる硫黄Sとブラスめっき層50aのブラスめっき中の銅Cuとを反応させてビード部近傍のゴムに対して接着,維持させることにより、ビード部のゴムを補強し、カーカス3をホイールリムとの接触から保護するようにしている。
【0005】
ブラスめっき層50aを有する図8のブラスめっき鋼線とゴムとの接着性能をより改善する方法としては、特許文献1や特許文献2に示すようにブラスめっき層50aのめっき成分にFeやNiなどの合金元素を添加して、その表面層を合金化する方法や、特許文献3に示すブラスめっきを施した鋼線にプラズマ照射を行って表面処理する方法や、特許文献4に示すように、めっき層最表面の酸素比率を限定する方法や、特許文献5に示すように、伸線加工後にブラスト処理を行う方法が知られている。
特許文献6では、ブラスめっき層の表面側に20nm以下の粒径の結晶粒から成る非結晶質性部を設け、この非結晶質性部により初期接着性能を確保するとともに、非結晶質性部の内層側の20nmを超える粒径の結晶粒から成る結晶粒質性部により接着耐久性を確保する方法が提案されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1乃至特許文献5に示す方法では、初期接着性や湿熱接着性の向上を目的とした方法であるため、重荷重車用や建設車両用のタイヤなどのように普通のタイヤに比べてビード部のゴムの厚さが厚い場合には、タイヤの加硫成型において長時間の加硫が必要にもかかわらず、上記ブラスめっき鋼線とゴムとの初期接着性に主眼が置かれていたため、ゴム厚の薄い部分などでは過加硫となり過加硫による接着不良が生じるおそれがあった。
また、重荷重車両や建設車両用タイヤのビード部では、ゴム厚が厚いために酸素,水分の浸入がほとんどなく、接着劣化は熱と歪による劣化が主体である。近年の重荷重車用や建設車両用タイヤの寿命が延びているため、タイヤサイド部のたわみが徐々に増大し、ビード部に生じる歪を増大させている。このため、走行時のタイヤの温度上昇も徐々に増大するため、ビード部の発熱によりカーカス3やチェーファーコード20とゴムとの接着に不良が生じるおそれがある。特にビード部のゴム−カーカス(プライコード)間では、その接着力が徐々に低下すると走行中に接着剥離を起こすおそれがあるため、従来の方法では、初期接着性,過加硫時の接着性,耐熱接着性,動的接着性のすべてを満たすことが困難となっている。
一方で、特許文献6の方法によれば、初期接着性能及び接着耐久性能については向上しているものの、一般的な伸線加工を施されためっき鋼線の製造方法に比べて潤滑性能を下げているため、断線が起こり易いといった問題点がある。このようなめっき鋼線を重荷重車両用タイヤのスチールコードによく用いられている層撚り構造や建設車両用タイヤのスチールコードによく用いられている複撚り構造をチェーファーコードに適用した場合には、上記鋼線の使用量が多いため断線の頻度が高いことが問題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−209386号公報
【特許文献2】特開2002−13081号公報
【特許文献3】特開2003−160895号公報
【特許文献4】特開2004−68102号公報
【特許文献5】特開平5−278147号公報
【特許文献6】特開2006−283270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するため、タイヤの加硫時又は使用時において、チェーファーコードとゴムとの初期接着性,過加硫時の接着性,耐熱接着性,動的接着性を向上させるチェーファーコード及び車両用タイヤを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の形態として、表面にブラスめっき層を有する鋼線によってコアフィラメントとシースフィラメントを形成した層撚り又は複撚り構造のタイヤのチェーファーコードであって、層撚り構造については最外層シースフィラメントの50%以上、複撚り構造については最外層ストランドの最外層シースフィラメントの50%以上に、ブラスめっき層の組成が銅及び亜鉛から成り、そのうち銅55重量%〜66重量%で、粒径が20nm以下の結晶粒により形成された非結晶質性部より成る上層と、粒径が20nmを超える結晶粒から成る結晶質性部より成る下層とが積層された積層構造部分として形成され、上記ブラスめっき層の表面全体に対して上記積層構造部分の非結晶質性部の表面が占める面積割合が20%以上で、上記積層構造部分の体積全体に対して非結晶質性部が占める体積割合が20%以上80%以下であるブラスめっき層より形成するようにした。
本発明によれば、タイヤ外側部分にビード部を被うようにワイヤーチェーファーが位置しているので、加硫時において、結晶構造の異なるブラスめっき層を有するブラスめっき鋼線から先に加硫が進行するので、長時間の加硫においてチェーファーコードよりも内側に位置するカーカスの過加硫を防止することができる。また、チェーファーコードの表面が異なる性質のブラスめっき層から成るので、タイヤの加硫時に上層部のブラスめっき層と露出する下層部のブラスめっき層がゴムと反応できるので、上層部のブラスめっき層と表面に露出する下層部のブラスめっき層とを適当な割合で組み合わせることでチェーファーコードをゴムにしっかりと接着させることができる。また、上記組成のブラスめっき層を有する鋼線を層撚り又は複撚りされたチェーファーコードのゴムと接触する最外層に位置するシースフィラメントに用いることで、チェーファーコードの断線が生じにくくなるので、タイヤの寿命を向上させることができる。さらに、ブラスめっき層の非結晶質性部のCuとゴム中のSとがまず反応して初期接着性能を確保し、結晶質性部のCuとゴム中のSがゆっくり反応することで過加硫による接着不良を防止して過加硫時の接着性を確保するとともにタイヤ使用時においても反応が継続されるので、タイヤ使用時の発熱による耐熱接着性やタイヤのたわみによりチェーファーコードに作用する歪により生じるゴムとチェーファーコードとの剥離を防止する動的接着性が得られる。
【0010】
本発明の第2の形態として、シースフィラメントは、ブラスめっき層の体積全体に対して積層構造部分が占める体積割合が50%以上のブラスめっき鋼線により構成した。
本発明によれば、非結晶質性部と結晶質性部とから成る積層構造部分が占める体積割合を50%以上としたことで、非結晶質性部のCuとゴム中のSとが加硫において、より長い時間反応できるので、チェーファーコードの内側に位置するカーカスの過加硫を防止することができる。
【0011】
本発明の第3の形態として、シースフィラメントは、ブラスめっき層の表面全体に対して非結晶質性部の表面が占める面積割合が80%以上のブラスめっき鋼線により構成した。
本発明によれば、非結晶質性部の表面が占める面積割合が80%以上となることで、加硫の初期に反応する面積が広がるので、広い面積での初期接着性能を向上させることができる。また、非結晶質性部の内側に位置する結晶質性部も過加硫時やタイヤ使用時において広い面積でゴムと反応できるので、過加硫時の接着性,耐熱接着性,動的接着性をより向上させることができる。
【0012】
本発明の第4の形態として、請求項1乃至請求項3いずれかに記載のチェーファーコードを適用して車両用タイヤを構成した。
本発明によれば、タイヤの加硫時における故障したタイヤの発生やタイヤ使用時におけるタイヤの故障を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る層撚り構造のチェーファーコードの断面図。
【図2】本発明に係る積層ブラスめっき鋼線の断面図。
【図3】本発明に係るブラスめっき鋼線の断面拡大図。
【図4】本発明に係る複撚り構造のチェーファーコードの断面図。
【図5】本発明に係るチェーファーコードの接着性能試験の評価表。
【図6】タイヤの概略構造断面図。
【図7】従来のチェーファーコードのコード構造の例示図。
【図8】従来のチェーファーコードのブラスめっき鋼線の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施形態
図1は、本発明に係る層撚り構造を有するチェーファーコード20の一例を示す断面図である。
チェーファーコード20は、層撚り構造のものでは、中央側に三角形を保って位置される3本のコアフィラメント21と、その周りに配置された9本のシースフィラメント22s,22tとより成り、全体を撚り合わせて成るコードと、上記コードにラッピングフィラメント24を巻いた層撚りのコード構造(コアフィラメント3本+シースフィラメント9本+ラッピングフィラメント1本)により構成される。
コアフィラメント21やシースフィラメント22s,22t及びラッピングフィラメント24は、それぞれ線径が異なり、例えば、コアフィラメント21は、0.24mm、シースフィラメント22s,22tは0.225mm、ラッピングフィラメント24は0.15mmの線径である。
【0015】
本実施形態では、図1のハッチングで示すように、上記シースフィラメントの全数のうち一部のシースフィラメント22s(シースフィラメント22tを除く)は、組成がCu55〜66重量%、Zn34〜45重量%の範囲で、重量%が100%となるようにCuとZnが組み合わされ、粒径が20nm以下の結晶粒により形成された非結晶質性部11mより成る上層と、粒径が20nmを超える結晶粒により形成された結晶質性部11nより成る下層とを積層して形成された積層ブラスめっき鋼線12により形成される(図3参照)。
なお、本例では、全シースフィラメントの残りのシースフィラメント22tは、例えば、銅Cu及び亜鉛Znから成るブラスめっき層11の組成割合が銅Cu55重量%〜66重量%で残りの割合が亜鉛Znから成り、結晶質性部11nのみから成る単層のブラスめっき鋼線12や、粒径が20nm以下の結晶粒により形成された非結晶質性部11mより成る上層と粒径が20nmを超える結晶粒により形成された結晶質性部11nより成る下層とが積層された積層構造部分13として形成され、ブラスめっき層11の表面全体に対して積層構造部分13の非結晶質性部11mの表面が占める面積割合が20%未満のブラスめっき層11から成るスチール鋼線50より成る。
【0016】
上記ブラスめっき層11の組成が銅Cu及び亜鉛Znから成り、そのうち銅Cu55重量%〜66重量%で、粒径が20nm以下の結晶粒により形成された非結晶質性部11mより成る上層と、粒径が20nmを超える結晶粒により形成された結晶質性部11nより成る下層とが積層された積層構造部分13として形成され、ブラスめっき層11の表面全体に対して積層構造部分13の非結晶質性部11mの表面が占める面積割合が20%以上で、積層構造部分13の体積全体に対して非結晶質性部11mが占める体積割合が20%以上80%以下である積層ブラスめっき鋼線12の表面の2層のブラスめっき層11は、図2,図3に示すように表面側に位置する上層部としての非結晶質性部11mとスチール鋼線側に位置する下層部としての結晶質性部11nとが積層された積層構造部分13を有し、表面からスチール鋼線までが下層部としての結晶質性部11nのみ(単層)から成る非積層構造部分14を有しても良い。この場合、非積層構造部分14とは、結晶質性部11nが表面側に露出し、非結晶質性部11mと積層されていない部分(非積層部分)である。従ってスチール鋼線はこれ等積層構造部分13と非積層構造部分14により被われている。本例では、上層部としての非結晶質性部11mは、組成がCu55〜66重量%、Zn34〜45重量%の範囲で、重量%が100%となるようにCuとZnを組み合わせたブラスめっきから成り、下層部としての結晶質性部11nも組成がCu55〜66重量%、Zn34〜45重量%の範囲で、重量%が100%となるようにCuとZnを組み合わせたブラスめっきから成る。
【0017】
非結晶質性部11mは、粒径が20nm以下の結晶粒により形成される。具体的には、20nm以下の微細結晶粒により形成された部分と結晶粒が判別できない非結晶質により形成された部分から成る。結晶質性部11nは、粒径が20nmを超える結晶粒により形成された部分である。上記非結晶質性部11mは、ブラスめっき層11の表面全体に対して、積層構造部分13の非結晶質性部11mの表面が占める面積割合が20%以上で、積層構造部分13の体積全体に対して非結晶質性部11mが占める体積割合が20%以上80%以下となるように形成される。
非結晶質性部11mと結晶質性部11nとの判別は、電子顕微鏡により観察されるフィラメントの断面の後方散乱電子線パターンによってなされ、非積層構造部分14の結晶質性部11nでは銅の結晶方位と対応する菊池パターンが得られるが、積層構造部分13の非結晶質性部11mでは明確な菊池パターンが得られないため、明確な結晶構造を有していないことが判別される。
【0018】
このように本実施形態では、図2,図3に示すように、全シースフィラメントのうち一部のシースフィラメントはシースフィラメント22sにより形成され、シースフィラメント22tは、ブラスめっき層11の組成が銅Cu55重量%〜66重量%で残りの割合が亜鉛Znから成り、結晶質性部11nのみから成る単層のブラスめっき鋼線12や、粒径が20nm以下の結晶粒により形成された非結晶質性部11mより成る上層と粒径が20nmを超える結晶粒により形成された結晶質性部11nより成る下層とが積層された積層構造部分13として形成され、ブラスめっき層11の表面全体に対して積層構造部分13の非結晶質性部11mの表面が占める面積割合が20%未満のめっき組成のブラスめっきが施されたフィラメントで形成されている。
なお、シースフィラメント22sは全シースフィラメントのうち50%以上となるように構成される。本実施形態では、全シースフィラメント9本に対し6本が積層ブラスめっき鋼線12より成る。
【0019】
上記シースフィラメント22sの積層ブラスめっき鋼線12の積層構造部分13はブラスめっき層11の表面全体に対して積層構造部分13の表面が占める面積割合Aが20%以上であり、積層構造部分13の体積全体に対して非結晶質性部11mが占める体積割合Bが20%以上80%以下となるようにスチール鋼線がブラスめっきされたものである。
【0020】
上記構造のチェーファーコード20によれば、一部のシースフィラメント22s(本例のように層撚り構造の場合は最外層シースフィラメントの50%以上、複撚り構造の場合はコード外側でゴムと接するストランドの最外層シースフィラメントの50%以上)の積層ブラスめっき鋼線12の表面側に位置する非結晶質性部11mの格子欠陥濃度が極めて高く、その部分において活性度が高いため、Cu原子の拡散速度が速い。
これにより、タイヤを加硫するときにゴムと接触する積層ブラスめっき鋼線12の非結晶質性部11mにおいて、非結晶質性部11mから拡散するCuとゴム中の硫黄Sとが速やかに反応して積層ブラスめっき鋼線12とゴムとの界面に接着層が形成されるのでゴムとチェーファーコード20との初期接着性能が得られる。
【0021】
また、非結晶質性部11mの表面が上記ブラスめっき層11の表面全体に対して占める面積割合Aを80%以上とすれば、非結晶質性部11mとゴムとの接触面積が増えるため、加硫時の早い段階で積層ブラスめっき鋼線12とゴムとの接着層を広範囲に形成させて接着することが可能となり、チェーファーコード20とゴムとの初期接着性能を確実に向上させることができる。
また、チェーファーコード20を構成する積層ブラスめっき鋼線12の非結晶質性部11mの内側に非結晶質性部11mよりも活性度が低く、Cuの拡散速度が遅い結晶質性部11nを備えているので、長時間の加硫を行ったとしてもビード部におけるCuの供給過多により接着層が肥大化することがなく、過加硫による接着性の低下を防止することができる。
すなわち、チェーファーコード20を構成する積層ブラスめっき鋼線12は、初期の加硫の段階でゴム中に含まれるSと反応する非結晶質性部11mと、それ以降においてゴム中に含まれるSと反応する結晶質性部11nとを有しているので、タイヤの使用時におけるビード部に水分や熱による反応が進行してもCuが早期に枯渇することがない。従って、チェーファーコード20の初期接着性能と接着耐久性能を共に向上させることができる。
【0022】
例えば、チェーファーコード20を構成する積層ブラスめっき鋼線12のブラスめっき層11が活性度の高い非結晶質性部11mのみで構成されている場合には、過酷な湿熱劣化環境において、ブラスめっき層11のCuがゴム中のSと反応してしまいブラスめっき層11の組成バランスが崩れてブラスめっき層11とスチール鋼線との界面が脆弱化し、チェーファーコード20自体の破壊の起点となるおそれがある。
本例では、表面側に非結晶質性部11mを形成し、その内側に結晶質性部11nである積層構造部分13を備えることで、耐久接着性能を向上させるようにしている。
【0023】
本例の積層ブラスめっき鋼線12では、上記積層構造部分13の非結晶質性部11mの表面の面積が上記ブラスめっき層11の表面全体の面積に占める面積割合Aを20%以上としている。これは、上記面積割合Aが20%未満の場合には、非結晶質性部11mからのCuの供給が少なくCu原子がゴム中に十分に拡散しないため、初期接着性能を得ることができなくなるからである。
【0024】
また、本例の積層ブラスめっき鋼線12では、上記積層構造部分13の非結晶質性部11mの積層構造部分13全体に占める体積割合Bを20%以上80%以下としている。
体積割合Bを20%未満とした場合には、非結晶質性部11mと結晶質性部11nとを積層した効果が得られないため、初期接着性能だけでなく、過加硫時の接着性能、及び、耐熱接着性能も得ることができない。
また、体積割合Bが80%を超えると加硫時にCu原子の拡散が進みすぎて、ビード部の発熱時にCuが枯渇してしまうので、十分な耐熱接着性能が得られない。
これに対して、体積割合Bを20%以上80%以下とすると、初期接着時における非結晶質性部11mからのCuの拡散、過加硫時における結晶質性部11nと非結晶質性部11mからのCuの供給、走行時の熱劣化時における非結晶質性部11mと結晶質性部11nからのCuの供給の3つがバランスよく機能する。これは、長時間の加硫後にも結晶質性部11nのCu成分が十分に残っているため、タイヤ使用時の発熱があってもCuを十分に供給することができるからである。
【0025】
以上説明したように、本実施形態によれば、例えば、重荷重車両用タイヤのチェーファーコード20に用いられる積層ブラスめっき鋼線12のブラスめっき層11の組成をCu55〜66重量%、Zn34〜45重量%とするとともに、上記ブラスめっき層11を、表面側の粒径が20nm以下の結晶粒から成る非結晶質性部11mと、内側の粒径が20nmを超える結晶粒から成り内部に結晶質性部11nとが積層された積層構造部分13を備えた構造とし、かつ、積層構造部分13の非結晶質性部11mの表面がブラスめっき層11の表面全体に占める面積割合Aを20%以上とし、積層構造部分13の非結晶質性部11mの積層構造部分13全体に占める体積割合Bを20%以上80%以下としたので、初期接着性能,過加硫時の接着性能,耐熱接着性能,動的接着性能を向上させることができる。
【0026】
また、上記のように複数本のブラスめっき鋼線が層撚り又は複撚り構造で撚り合わされて作製されるチェーファーコード20の、層撚りでは最外層の全シースフィラメントに対し50%以上のシースフィラメント22s、複撚りではコードの外側でゴムに接するストランドの最外層シースフィラメントの50%以上に用いることで、初期接着性能,過加硫時の接着性能,耐熱接着性能,動的接着性能の全てに優れたチェーファーコード20が得られ、重荷重車両や建設車両用タイヤのビード部の耐久性を向上できる。
また、コード外側のゴムと接しない部分であるコアフィラメントや内側のシースフィラメントには、従来のような、ブラスめっき層11の組成が銅Cu及び亜鉛Znから成り、そのうち銅Cu55重量%〜66重量%で、結晶質性部11nのみから成る単層のブラスめっき層11を有するブラスめっき鋼線12や、粒径が20nm以下の結晶粒により形成された非結晶質性部11mより成る上層と、粒径が20nmを超える結晶粒により形成された結晶質性部11nより成る下層とが積層された積層構造部分13として形成され、ブラスめっき層11の表面全体に対して積層構造部分13の非結晶質性部11mの表面が占める面積割合が20%未満のブラスめっき層11で形成されたフィラメントをチェーファーコード20に用いることで、本発明を適用したフィラメントで全て構成されたチェーファーコードを製造するときよりも断線回数を少なくすることができ、接着性能も確保できる。
【0027】
なお、上記実施形態では、チェーファーコード20の例として、コアフィラメント21,シースフィラメント22s,22t,ラッピングフィラメント24のコードの構造が3本+9本+1本の層撚り構造として説明したが、本発明はこれに限るものではなく、複撚り構造から成るチェーファーコードに適用することもできる。
また、チェーファーコード20を構成する9本のシースフィラメントに対し、6本のシースフィラメント22sに上記積層構造を有する積層ブラスめっき鋼線12を用いたが、全てのシースフィラメントを上記積層ブラスめっき鋼線12としても良い。要は、チェーファーコード20が、層撚り構造では最外層シースフィラメントの50%以上、複撚り構造では最外層ストランドの最外層シースフィラメントの50%以上が、ブラスめっき層の組成が銅及び亜鉛から成り、そのうち銅55重量%〜66重量%で、粒径が20nm以下の結晶粒により形成された非結晶質性部より成る上層と、粒径が20nmを超える結晶粒から成る結晶質性部より成る下層とが積層された積層構造部分として形成され、ブラスめっき層の表面全体に対して積層構造部分の非結晶質性部の表面が占める面積割合が20%以上で、積層構造部分の体積全体に対して非結晶質性部が占める体積割合が20%以上80%以下となるような所望の非結晶質性部割合のブラスめっき鋼線12により構成されれば、本発明の効果を十分に発揮させることができる。
【0028】
上記シースフィラメントの中の上記積層ブラスめっき鋼線12の割合が50%に満たない場合には、過加硫時及び熱劣化時におけるCuの供給量が少なくなり、本発明の効果が十分に発揮されないので、ゴムとの接着性が低下する。従って、上記全シースフィラメントの50%以上を積層ブラスめっき鋼線12とすることが好ましい。
【0029】
また、例えば、図4に示す如く、チェーファーコード20を複撚り構造(図1の層撚りのものを複数本撚って束ねたもの)とする場合には、チェーファーコード20を構成する最外層のシースストランド23の最外層のシースフィラメントの一部(50%以上)に上記積層ブラスめっき鋼線12が含まれるようにチェーファーコード20を形成することが好ましい。
なお、本例では、本発明のブラスめっき鋼線12を層撚りの場合には最外層シースフィラメントに50%以上、複撚り構造の場合には最外層ストランドの最外層シースフィラメントに50%以上用いる。
さらに、好ましい形態として層撚りの場合には、最外層シースフィラメントに100%、複撚りの場合には、最外層ストランドの最外層シースフィラメントに100%適用し、かつ、それ以外のフィラメントについては、従来のフィラメントを適用すれば良い。
【0030】
実施例
以下、本発明の効果を調べるために、図5の表に示すように、チェーファーコード20の製造時の断線率,チェーファーコード20とゴムとの初期接着性能,過加硫時の接着性能,耐熱接着性能,動的接着性能について調べ、従来例,比較例,発明例1,2の4つのパターンに対して評価を行った。なお、上記各接着性能の評価は、JIS G3510(1992)を参考にし、規定に従ってゴム接着試験を行った。
【0031】
従来例は、チェーファーコード20のコード構造が、線径0.24mmのコアフィラメント3本、線径0.225mmのシースフィラメント9本、線径0.15mmのラッピングフィラメント1本の層撚り構造から成る。上記、コアフィラメント,シースフィラメント,ラッピングフィラメントは、非結晶質性部11mと結晶質性部11n共にブラスめっき組成比がCu:63重量%,Zn:37重量%のブラスめっき層11を有する積層ブラスめっき鋼線12から成り、全フィラメントの非結晶質性部11mの割合において、面積割合Aが60%,体積割合Bが15%の積層ブラスめっき鋼線12から成る。また、非結晶質性部11mは粒径が20nm以下の結晶粒により形成され、結晶質性部11nは20nmを超える結晶粒により形成される。
【0032】
発明例1は、従来例のチェーファーコード20のコード構造において、シースフィラメントの非結晶質性部11mの割合が、面積割合Aが98%,体積割合Bが45%となるように形成された積層ブラスめっき鋼線12で全シースフィラメントに適用した以外は、従来例と同じ構成である。
【0033】
発明例2は、従来例のチェーファーコード20のコード構造において、シースフィラメントの非結晶質性部11mの割合が、面積割合Aが98%,体積割合Bが45%となるように形成された積層ブラスめっき鋼線12を全シースフィラメントに対して56%(5本)で構成し、その他のシースフィラメント、コアフィラメントやラッピングフィラメントは従来例と同じ構成である。
【0034】
比較例は、従来例のチェーファーコード20のコード構造において、シースフィラメントの非結晶質性部11mの割合が、面積割合Aが98%,体積割合Bが45%となるように形成された積層ブラスめっき鋼線12を全シースフィラメントに対して30%(3本)で構成し、その他のシースフィラメント、コアフィラメントやラッピングフィラメントは従来例と同じ構成である。
【0035】
上記4種類のチェーファーコード20を実際に作成し、JIS G3510(1992)を参考にして、各チェーファーコード20にトリートゴムを被覆して試験片としてのチェーファートリートを作製した。
なお、チェーファートリートの作製は、12本/インチのコード間隔で平行に配置してトリートゴムで挟むように作製した。
【0036】
上記、従来例のチェーファートリート,比較例及び発明例1,2のチェーファートリートに対して初期接着性能,過加硫時の接着性能,耐熱接着性能,動的接着性能等のゴム接着試験を以下の条件で行った。
初期接着性能の評価では、従来例,比較例,発明例1,2のチェーファートリートに145℃×60分の加硫を行ったものを用いた。
過加硫時の接着性能の評価では、比較例,発明例1〜3のチェーファートリートに145℃×300分の加硫を行ったものを用いた。
耐熱接着性能の評価では、従来例,比較例,発明例1,2のチェーファートリートに145℃×300分の加硫を行った後に、さらに100℃の高温環境に20日間放置したものを用いた。
なお、上記各接着性能の評価は、試験後のチェーファーコードに付着しているゴム量を測定し、このゴム量を指標(INDEX)として表し、INDEXが100よりも小さいとゴム付着量が少ないことを示している。すなわち、INDEXが小さいと接着性が弱いことを示す。
動的接着性能の評価では、上記各チェーファーコードを用いて実際にタイヤを製造し(サイズ:18.00R25)、時速20km/hでステップロード(荷重;TRA規格100%・10トン内圧800kPa、72時間毎に荷重20%アップ)のドラム試験を実施した。なお、上記タイヤは重荷重車両及び建設車両用タイヤに適用した例である。
320時間走行後停止した後、第1リムライン下10cmの領域で、チェーファーコードに隣接するカーカス3(プライコード)のゴム被覆率より求めた。すなわち、接着試験と同様に、カーカス3に付着しているゴム量を測定し、このゴム量をINDEXとして表し、INDEXが100よりも小さいとゴム付着量が少ないことを示し、接着性が弱いことを示している。
【0037】
断線率の評価は、各チェーファーコードに用いるフィラメント製造時に、材料となる銅線を伸線するときに、伸線1トンあたりの断線回数を測定して指標(INDEX)として表し評価した。なお、断線率のINDEXは、従来例の結果を基準値100として比較例,発明例1,2について評価した。INDEXが100より大きい場合には断線しやすく、小さい場合には断線しづらいことを示す。
【0038】
図5の表に示すように、断線率は、本発明の構造のめっき層を有するフィラメントの割合を減らすことで低く抑えることができる。
【0039】
初期接着性能は、従来例,比較例,発明例1,2においてほぼ変化が見られない。これはいずれのチェーファーコード20を構成する積層ブラスめっき鋼線12が表面側に非結晶質性部11mを有していることによるものである。特に初期接着性能では、非結晶質性部11mの面積割合Aに依存する部分が多く、従来例,比較例,発明例1,2共に本発明における面積割合Aが20%以上を満たしていることによるため差が生じていない。つまり、初期接着性において、非結晶質性部11mが形成されたことで初期接着性が確保されていることが分かる。
【0040】
過加硫時の接着性能は、従来例において、非結晶質性部11mの体積割合Bが20%未満のため、非結晶質性部11mと結晶質性部11nとを積層した効果が得られないため過加硫時の接着性能が得られていないことが分かる。比較例,発明例1,2は過加硫時の接着性能が得られている。本発明の非結晶質性部11mの体積割合Bが20%以上80%以下の範囲の体積割合Bが45%であるため、これは、過加硫時における結晶質性部11nと非結晶質性部11mからのCuの供給、走行時の熱劣化時における非結晶質性部11mと結晶質性部11nからのCuの供給の3つがバランスよく機能するからである。すなわち、長時間の加硫後にも結晶質性部11nのCu成分が十分に残っておりCuを十分に供給することができるからである。
【0041】
耐熱接着性能は、比較例,発明例1,2のシースフィラメントにおいて非結晶質性部11mの割合が、面積割合A,体積割合B共に多いフィラメントを含むことにより、従来例に比べていずれも耐熱接着性能が向上していることが分かる。特に積層ブラスめっき鋼線12において体積割合Bが20%以上80%以下、面積割合Aが20%以上のシースフィラメントを含む割合が多くなるほどその効果は顕著となる。すなわち、比較例,発明例1,2において、体積割合Bが20%以上80%以下の範囲にあり、かつ、面積割合Aが20%以上であるため、タイヤ使用時における発熱に対して非結晶質性部11mと結晶質性部11nのCu成分が十分に残っておりCuを供給することができるからである。
【0042】
動的接着性能は、耐熱接着性能と同様に、比較例,発明例1,2のシースフィラメントにおいて非結晶質性部の割合が、面積割合A,体積割合Bが多いフィラメントを含むことにより、いずれも従来例に比べて耐熱接着性能が向上していることが分かる。特に積層ブラスめっき鋼線12において体積割合Bが20%以上80%以下、面積割合Aが20%以上のシースフィラメントを含む割合が多くなるほどその効果は顕著に示されている。すなわち、比較例,発明例1,2において、体積割合Bが20%以上80%以下の範囲にあり、かつ、面積割合Aが20%以上であるため、タイヤの使用時における発熱に対して非結晶質性部11mと結晶質性部11nのCu成分が十分に残っておりCuを供給することができるからである。特に発明例1及び発明例2では、90%を超える動的接着性能を有しており、本発明の効果が十分に得られていることが分かる。
【0043】
以上の結果から、シースフィラメントの積層ブラスめっき鋼線12に占める非結晶質性部11mの面積割合Aと体積割合Bの多い積層ブラスめっき鋼線12の割合が多いほど、耐熱接着性能と動的接着性能の改善効果が大きいことから、過加硫時及び熱劣化時におけるCuの供給量を確保するためには、全シースフィラメントに占める積層ブラスめっき鋼線12の割合が大きい方が有利である。
特に耐熱接着性能と動的接着性能について、十分に性能を満足できるチェーファーコードは、発明例1及び発明例2の時である。すなわち、チェーファーコードを構成する積層ブラスめっき鋼線12のうち、50%以上が非結晶質性部11mの面積割合Aが20%以上で、体積割合Bが20%以上80%以下の積層ブラスめっき鋼線12を含むことが好ましい。上記積層ブラスめっき鋼線12において、より好ましくは面積割合Aが80%となるように非結晶質性部11mを形成してもよく、また、体積割合Bが45%以上80%以下となるように形成してもよい。
【0044】
本発明のチェーファーコードは初期接着性能,耐熱性能及び動的接着性能に優れるため、タイヤのうち特に重荷重車両用や建設車両用タイヤにおいて重荷重化,ロングライフ化,高速走行における発熱によりビード部が高温となったときでも、ビード部に作用する歪や熱から、ゴム−チェーファーコード間,チェーファーコード−カーカス間,カーカス−ビード間等の接着力の低下を防止してビード部近傍における耐久性を向上させることができる。
また、過加硫時の接着性能に優れるため、特に加硫時間が長くなる建設車両用タイヤにおいてビード部近傍の耐久性向上に効果的である。
【符号の説明】
【0045】
2 インナーライナー、3 カーカス、4 ビードワイヤー、5 ビードフィラー、
6a〜6d ベルト、7 カバーゴム、8 トレッドゴム、
11 ブラスめっき層、11m 非結晶質性部、11n 結晶質性部、
12 ブラスめっき鋼線、13 積層構造部分、20 チェーファーコード、
21 コアフィラメント、22s;22t シースフィラメント、
24 ラッピングフィラメント、50 スチール鋼線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にブラスめっき層を有する鋼線によってコアフィラメントとシースフィラメントを形成した層撚り又は複撚り構造のタイヤのチェーファーコードであって、
層撚り構造については最外層シースフィラメントの50%以上、
複撚り構造については最外層ストランドの最外層シースフィラメントの50%以上に、
ブラスめっき層の組成が銅及び亜鉛から成り、そのうち銅55重量%〜66重量%で、粒径が20nm以下の結晶粒により形成された非結晶質性部より成る上層と、粒径が20nmを超える結晶粒から成る結晶質性部より成る下層とが積層された積層構造部分として形成され、
上記ブラスめっき層の表面全体に対して上記積層構造部分の非結晶質性部の表面が占める面積割合が20%以上で、上記積層構造部分の体積全体に対して非結晶質性部が占める体積割合が20%以上80%以下であるブラスめっき層より形成したことを特徴とするチェーファーコード。
【請求項2】
上記シースフィラメントは、上記ブラスめっき層の体積全体に対して上記積層構造部分が占める体積割合が50%以上のブラスめっき鋼線より成ることを特徴とする請求項1に記載のチェーファーコード。
【請求項3】
上記シースフィラメントは、上記ブラスめっき層の表面全体に対して上記非結晶質性部の表面が占める面積割合が80%以上のブラスめっき鋼線より成ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のチェーファーコード。
【請求項4】
上記請求項1乃至請求項3いずれかに記載のチェーファーコードを適用したことを特徴とする車両用タイヤ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−42902(P2011−42902A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−192374(P2009−192374)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】