説明

チオフェン誘導体を用いたフォトクロミック材料および光記録媒体

【課題】熱安定性に優れ、高量子収率で光環化反応を起こすチオフェン誘導体を提供すること。
【解決手段】式〔1〕または〔2〕で表されるチオフェン誘導体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なチオフェン誘導体、並びにこのチオフェン誘導体を用いたフォトクロミック材料、および光記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトクロミック材料とは、光の照射によって状態の異なる二つの異性体を可逆的に生成する分子または分子集合体を含む材料である。
このフォトクロミック材料は、近年、光記録媒体、サングラス等の光学的フィルタ、マスキング用材料、ディスプレイ用材料などの各種用途に幅広く使用されている。
メタシクロファン誘導体は、フォトクロミック化合物としての研究報告があり、酸素が無い状態では、下記式〔I〕で表される可逆的光化学反応を起こすことが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
【化1】

【0004】
このメタシクロファン誘導体については、着色、退色の速度、波長特性、耐候性等に優れたフォトクロミック化合物を得る目的で、多くの化合物が合成されている(例えば、特許文献1〜9参照)。
さらに、メタシクロファン誘導体を用いたフォトクロミズムに関する研究(例えば、非特許文献2〜6参照)や、光学活性メタシクロファンを用いたエナンチオ選択的フォトクロミズム(例えば、特許文献10参照)の研究も行われている。
しかしながら、これらは全てメタシクロファン化合物を用いたものであり、本発明に関するチオフェン誘導体の合成例、および光記録媒体への応用例はない。
また、光学活性チオフェン誘導体を用いたエナンチオ選択的フォトクロミズム(例えば、特許文献11,12参照)が報告されているが、この化合物は、閉環体の熱安定性に課題を有している。
【0005】
【特許文献1】米国特許第3390192号明細書
【特許文献2】米国特許第3557218号明細書
【特許文献3】米国特許第3697585号明細書
【特許文献4】米国特許第3697592号明細書
【特許文献5】米国特許第3697604号明細書
【特許文献6】米国特許第3716595号明細書
【特許文献7】米国特許第3719709号明細書
【特許文献8】米国特許第3723547号明細書
【特許文献9】米国特許第3728394号明細書
【特許文献10】特開2003−206271号公報
【特許文献11】特開2004−262796号公報
【特許文献12】特開2006−335672号公報
【非特許文献1】H.Cerfontainら、Liebigs Ann./Recl.,1997,5,873-878
【非特許文献2】M.Takeshita, T.Yamato; Tetrahedron Lett.,2001,42,4345
【非特許文献3】R.H.Mitchell, T.R.Ward, Y.Wang; Heterocycles,2001,54,249
【非特許文献4】Y.-H.Lai, P.Chen; J.Org.Chem.,1997,62,606
【非特許文献5】Y.-H.Lai, P.Chen; J.Org.Chem.,1996,61,935
【非特許文献6】S.Murakami, T.Tsutsui, S.Saito, A.Miyazawa, T.Yamato, M.Tashiro; Chem. Lett.,1988,5
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、熱安定性に優れ、高量子収率で光環化反応を起こすチオフェン誘導体、並びにこのチオフェン誘導体を用いたフォトクロミック材料、および光記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、開環体および閉環体の両異性体とも熱安定性に優れ、しかも光環化反応の量子収率が高いチオフェン誘導体を見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、
1. 式〔1〕または式〔2〕で表されることを特徴とするチオフェン誘導体、
【化2】

{式中、Eは、それぞれ独立して、−(CH2n−〔nは、0または1を表す。〕、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)2−、または−NR5−〔R5は、水素原子、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数1〜10のアルキル基〈このアルキル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、またはフェニル基(このフェニル基は、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルコキシ基、または炭素数1〜10のアルキル基で任意に置換されていてもよい。)で任意に置換されていてもよい。〉、またはフェニル基(このフェニル基は、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルコキシ基、または炭素数1〜10のアルキル基で任意に置換されていてもよい。)を表す。〕を表し、Aは、−E−(Eは、前記と同じ。)、−E−(CH22−E−(Eは、それぞれ独立して前記と同じ。)、−E−(CH22−E−(CH22−E−(Eは、それぞれ独立して前記と同じ。)、−E−(CH22−E−(CH22−E−(CH22−E−(Eは、それぞれ独立して前記と同じ。)、または−E−(CH22−E−(CH22−E−(CH22−E−(CH22−E−(Eは、それぞれ独立して前記と同じ。)を表し、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、またはフッ素原子もしくは塩素原子で任意に置換されてもよい炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基を表すか、R1とR2とが一緒になってヘキサフルオロプロピレン基、炭素数3〜6のアルキレン基、−CO−NH−CNH−、−CO−NR5−CO−(R5は、前記と同じ。)、またはカルボン酸無水物を表し、R3およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルコキシ基、炭素数1〜10のアルキル基、フッ素原子もしくは塩素原子で任意に置換されてもよい炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、またはジフェニルアミノ基を表す。}
2. 前記R3およびR4が、それぞれ独立して、水素原子、メトキシ基、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基、またはトリフルオロメチル基である1のチオフェン誘導体、
3. 前記Aが、それぞれ独立して、−E−、−E−(CH22−E−、−E−(CH22−E−(CH22−E−[これらのEは、それぞれ独立して、−O−、−S−、または−NR5−〔R5は、水素原子、メチル基、エチル基〈これらメチル基およびエチル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヒドロキシル基、メトキシ基、またはフェニル基(このフェニル基は、メトキシ基またはメチル基で置換されていてもよい。)で任意に置換されていてもよい。〉、またはフェニル基(このフェニル基は、メトキシ基またはメチル基で置換されていてもよい。)を表す。〕を表す。]であり、前記R1およびR2が、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基、トリフルオロメチル基であるか、R1とR2とが一緒になってヘキサフルオロプロピレン基、炭素数3〜6のアルキレン基、−CO−NH−CNH−、−CO−NR5−CO−〔R5は、水素原子、メチル基、エチル基〈このメチル基およびエチル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヒドロキシル基、メトキシ基、フェニル基(このフェニル基は、メトキシ基またはメチル基で置換されていてもよい。)で任意に置換されていてもよい。〉、またはフェニル基(このフェニル基は、メトキシ基またはメチル基で置換されていてもよい。)を表す。〕、またはカルボン酸無水物である1または2のチオフェン誘導体、
4. 前記Eが、それぞれ独立して−O−または−S−であり、前記R1およびR2が、これらが一緒になってヘキサフルオロプロピレン基であり、前記R3およびR4が、メチル基である1〜3のいずれかのチオフェン誘導体、
5. 1〜4のいずれかのチオフェン誘導体から成るフォトクロミック材料、
6. 1〜4のいずれかのチオフェン誘導体を含有する記録層を備える光記録媒体
を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のチオフェン誘導体は、高い量子収率でフォトクロミズムを示すものであるうえに、開環体および閉環体の両異性体とも熱安定性に優れているため、光記録媒体として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
まず、上記式〔1〕および式〔2〕における各置換基を具体的に説明する。
上記式〔1〕,〔2〕中、Eは、それぞれ独立して、−(CH2n−(nは、0または1を表す。)、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)2−、または−NR5−〔R5は、水素原子、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数1〜10のアルキル基〈このアルキル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、またはフェニル基(このフェニル基は、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルコキシ基、または炭素数1〜10のアルキル基で任意に置換されていてもよい。)で任意に置換されていてもよい。〉、またはフェニル基(このフェニル基は、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルコキシ基、または炭素数1〜10のアルキル基で任意に置換されていてもよい。)を表す。〕を表す。
【0011】
ここで、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
炭素数3〜6のシクロアルキル基の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
炭素数1〜3のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基等が挙げられる。
【0012】
炭素数1〜10のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ノーマルブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基、ノーマルペンチル基、アミル基、イソアミル基、ターシャリーアミル基、ネオペンチル基、ノーマルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
ハロゲン原子等で任意に置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基の具体例としては、上記炭素数1〜10のアルキル基で例示した基に加え、トリフルオロメチル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、ベンジル基、メトキシベンジル基、メチルベンジル基、クロロベンジル基等が挙げられる。
ハロゲン原子等で任意に置換されていてもよいフェニル基としては、フェニル基、トリル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基等が挙げられる。
【0013】
中でも、Eとしては、−O−、−S−、または−NR5−〔R5は、水素原子、メチル基、エチル基〈これらのメチル基およびエチル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヒドロキシル基、メトキシ基、またはフェニル基(このフェニル基は、メトキシ基またはメチル基で置換されていてもよい。)で任意に置換されていてもよい。〉、またはフェニル基(このフェニル基は、メトキシ基またはメチル基で置換されていてもよい。)を表す。〕が好ましく、−O−、または−S−がより好ましい。
【0014】
Aは、−E−(Eは、上記と同じ。)、−E−(CH22−E−(Eは、それぞれ独立して上記と同じ。)、−E−(CH22−E−(CH22−E−(Eは、それぞれ独立して上記と同じ。)、−E−(CH22−E−(CH22−E−(CH22−E−(Eは、それぞれ独立して上記と同じ。)、または−E−(CH22−E−(CH22−E−(CH22−E−(CH22−E−(Eは、それぞれ独立して上記と同じ。)を表す。
この場合のEも、上記と同様、−O−、−S−、または−NR5−〔R5は、水素原子、メチル基、エチル基〈これらのメチル基およびエチル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヒドロキシル基、メトキシ基、またはフェニル基(このフェニル基は、メトキシ基またはメチル基で置換されていてもよい。)で任意に置換されていてもよい。〉、またはフェニル基(このフェニル基は、メトキシ基またはメチル基で置換されていてもよい。)を表す。〕が好ましく、−O−、または−S−がより好ましい。
【0015】
1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、またはフッ素原子もしくは塩素原子で任意に置換されてもよい炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基を表すか、R1とR2とが一緒になってヘキサフルオロプロピレン基、炭素数3〜6のアルキレン基、−CO−NH−CNH−、−CO−NR5−CO−〔R5は、水素原子、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数1〜10のアルキル基〈このアルキル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、フェニル基(このフェニル基は、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルコキシ基、または炭素数1〜10のアルキル基で任意に置換されていてもよい。)で任意に置換されていてもよい。〉、またはフェニル基(このフェニル基は、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルコキシ基、または炭素数1〜10のアルキル基で任意に置換されていてもよい。)を表す。〕、またはカルボン酸無水物を表す。
【0016】
ここで、フッ素原子または塩素原子で任意に置換されてもよい炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基の具体例としては、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基等が挙げられる。
炭素数3〜6のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基等が挙げられる。
なお、ハロゲン原子、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン原子等で任意に置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン原子等で任意に置換されていてもよいフェニル基の具体例は上述した基と同様のものが挙げられる。
【0017】
中でも、R1およびR2としては、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基、トリフルオロメチル基であるか、R1とR2とが一緒になってヘキサフルオロプロピレン基、炭素数3〜6のアルキレン基、−CO−NH−CNH−、−CO−NR5−CO−(R5は、水素原子、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、ベンジル基、メトキシベンジル基、メチルベンジル基、フェニル基、メチルフェニル基、またはメトキシフェニル基を表す。)、またはカルボン酸無水物であることが好ましく、それぞれ独立して水素原子、またはシアノ基であるか、R1とR2とが一緒になってヘキサフルオロプロピレン基、炭素数3〜6のアルキレン基、−CO−NR5−CO−(R5は、水素原子、またはメチルベンジル基を表す。)、またはカルボン酸無水物であることが、より好ましい。
【0018】
3およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルコキシ基、炭素数1〜10のアルキル基、フッ素原子もしくは塩素原子で任意に置換されてもよい炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、またはジフェニルアミノ基を表す。
ここで、炭素数3〜6のシクロアルコキシ基の具体例としては、シクロプロピルオキシ基等が挙げられる。
なお、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数1〜10のアルキル基、フッ素原子または塩素原子で任意に置換されてもよい炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基の具体例は上述した基と同様のものが挙げられる。
中でも、R3およびR4としては、水素原子、メチル基、メトキシ基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基、トリフルオロメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0019】
次に、式〔1〕および式〔2〕で表される各化合物の製造法について、Eが、−O−、−S−、または−NR5−(R5は上記と同じ。)の場合を例に挙げて、説明する。
上記式〔1〕および式〔2〕で示される化合物は、以下の方法で合成できる。
【0020】
【化3】

(式中、A、R1、R2、R3およびR4は、上記と同じ。Eは、−O−、−S−、または−NR5−(R5は上記と同じ。)を表し、Xはハロゲン原子を表す。)
【0021】
すなわち、ビス(クロロメチル)ジチエニルエテン誘導体〔A〕を、チオウレアと反応させた後、水酸化ナトリウムで加水分解することにより、ビス(メルカプトメチル)ジチエニルエテン誘導体〔B〕が得られる((a)工程)。
得られた〔B〕と、ジハロゲン化合物〔C〕とのカップリング反応により、目的とするチオフェン誘導体〔1〕が得られる((b)工程)。
一方、ビス(クロロメチル)ジチエニルエテン誘導体[A]を、ヨウ化ナトリウムを用いてヨウ素化することにより、ビス(ヨードメチル)ジチエニルエテン誘導体[D]が得られる((c)工程)。
得られた[D]と、ジトシレート化合物[E]とのカップリング反応により、チオフェン誘導体[1]が得られる((d)工程)。
さらに、チオフェン誘導体〔1〕を光化学反応により環化させ、閉環体チオフェン誘導体〔2〕に導くことができる((e)工程)。
【0022】
以下、各工程について詳細に説明する。
[1](a)工程
この工程は、ビス(クロロメチル)ジチエニルエテン誘導体〔A〕をチオウレアと反応させた後、水酸化ナトリウムで加水分解してビス(メルカプトメチル)ジチエニルエテン誘導体〔B〕を合成する工程である。
反応溶媒としては、通常、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの非プロトン性極性溶媒が用いられる。反応雰囲気は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気が好ましい。
反応温度は、特に制限されないが、操作上、20〜50℃程度が好ましい。
反応時間は、反応の速度に依存するが、通常、10〜20時間程度である。
【0023】
[2](b)工程
この工程は、水酸化カリウム、水素化ホウ素ナトリウムの存在化、ジハロゲン化合物〔C〕とビス(メルカプトメチル)ジチエニルエテン誘導体〔B〕とを希釈条件下でカップリングさせ、目的とするチオフェン誘導体〔1〕を合成する工程である。
反応溶媒としては、通常、メタノール、エタノールなどのアルコール類や、ジメチルホルムアミド(DMF)などの非プロトン性極性溶媒が用いられる。
反応温度は、溶媒の氷点から沸点の範囲であれば特に制限されないが、操作上、0〜100℃が好ましい。
反応時間は、反応の速度に依存するが、通常、数時間から数日程度である。
【0024】
[3](c)工程
この工程は、ヨウ化ナトリウムの存在下、ビス(クロロメチル)ジチエニルエテン誘導体[A]を、ビス(ヨードメチル)ジチエニルエテン誘導体[D]に変換する工程である。
反応溶媒としては、通常、アセトンやメチルエチルケトンのなどのケトン類が用いられる。
反応温度は、溶媒の氷点から沸点の範囲であれば特に制限されないが、操作上、30〜80℃が好ましい。
反応時間は、反応の速度に依存するが、通常、数時間から数日程度である。
【0025】
[4](d)工程
この工程は、水酸化カリウムの存在下、ビス(ヨードメチル)ジチエニルエテン誘導体[D]とジトシレート化合物[E]とのカップリング反応により、目的とするチオフェン誘導体[1]を合成する工程である。
反応溶媒としては、通常、メタノール、エタノールなどのアルコール類や、ジメチルホルムアミド(DMF)などの非プロトン性極性溶媒が用いられる。
反応温度は、溶媒の氷点から沸点の範囲であれば特に制限されないが、操作上、0〜100℃が好ましい。反応時間は、反応の速度に依存するが、通常、数時間から数日程度である。
【0026】
[5](e)工程
この工程は、(b)工程または(d)工程で得られたチオフェン誘導体〔1〕を光照射による分子内環化反応で閉環体チオフェン誘導体〔2〕に変換する工程である。
反応溶媒としては、出発物質が溶解し、光照射を阻害しない透明なものであれば特に制限はないが、メタノール、エタノール、アセトニトリル、アセトン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、ピリジン、ヘキサン、シクロヘキサン、ペンタン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン等が好ましい。
反応温度は、特に制限されないが、操作上、0〜100℃程度が好ましい。
反応時間は、反応の速度に依存するが、通常、10ピコ秒〜1分程度である。
【0027】
なお、各工程に用いられる反応溶媒としては、当該反応条件下において安定であり、かつ不活性で反応を妨げないものであれば、上述した各種溶媒に限定されるものではなく、例えば、水、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクタノールなど)、セロソルブ類(メトキシエタノール、エトキシエタノールなど)、非プロトン性極性有機溶媒類(ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセタミド、テトラメチルウレア、スルホラン、N,N−ジメチルイミダゾリジノンなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、脂肪族炭化水素類(ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、デカリン、石油エーテルなど)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリンなど)、ハロゲン系炭化水素類(クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素など)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトンなど)、低級脂肪族酸エステル(酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチルなど)、アルコキシアルカン類(ジメトキシエタン、ジエトキシエタンなど)、アセトニトリル等の各種溶媒から反応の起こり易さなどに応じて適宜選択して用いることができる。これらは1種単独で、または2種以上混合して用いることができる。
なお、これらの溶媒は、必要に応じて適当な脱水剤や乾燥剤を用いて非水溶媒として用いることもできる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、実施例にて採用した分析装置は、下記のとおりである。
NMR測定装置;JEOL AL300
質量測定装置;JEOL JMS−GCMATE II
吸収スペクトル測定装置;(株)日立製作所 U−3310
【0029】
[実施例1]
[1](a)工程
2−ビス(4−ヨードメチル−3,5−ジメチルチエン−2−イル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン〔B〕の合成
【化4】

【0030】
脱気乾燥後アルゴン置換し、遮光した100mlナスフラスコに、2−ビス(4−クロロメチル−3,5−ジメチルチエン−2−イル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン1.0g(2.03mmol)、ヨウ化ナトリウム1.52g(10.15mmol)、およびアセトン50mlを加え、油浴上50℃で3時間加熱還流した。反応終了をTLCで確認後、反応溶液をろ過して、減圧下溶媒を留去し、残渣にクロロホルムを加えた。生成した白色固体をろ過し、ろ液を減圧下留去し、ヘキサンおよびクロロホルムの混合溶媒で再結晶して、化合物〔B〕を淡黄色板状結晶として収量0.96g、収率70%で得た。
m.p.:168〜173℃
1H−NMR(300MHz,CDCl3):δ= 1.69(s,6H),2.49(s,6H),4.19(s,4H)ppm.
【0031】
[2](b)工程
【化5】

【0032】
脱気乾燥後、アルゴン置換した300ml三つ口フラスコに、水素化ナトリウム240mg(10mmol、油性として480mg)、およびdry−THF30mlを加え、70℃に加熱した。この中に、(a)工程で得られた化合物〔B〕676mg(1.0mmol)およびジエチレングリコール106mg(1.0mmol)のdry−THF溶液60mlをゆっくり滴下した。滴下終了後、一晩攪拌した。反応器にエタノールを加えた後、反応混合物を氷浴中に注ぎ込み攪拌した。酢酸エチルで抽出し、チオ硫酸ナトリウムと飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、クロロホルム留分を減圧下濃縮した。さらにサイズ排除クロマトグラフィーにより単離精製し、メタノールおよびクロロホルムの混合溶媒により再結晶し、目的化合物を黄色の板状結晶として収量77.4mg(0.148mmol)、収率14.8%で得た。
m.p.:215〜222℃
1H−NMR(300MHz,CDCl3,TMS)δ= 1.61(s,6H), 2.47(s,6H), 3.42(t,4H, J = 8.4 Hz)3.54(t,4H, J = 8.4 Hz), 4.34(s,4H)ppm.
【0033】
[実施例2]
【化6】

【0034】
脱気乾燥後アルゴン置換した200ml三つ口フラスコに、水素化ナトリウム144mg(6.0mmol、油性として240g)およびdry−THF30mlを加え、70℃に加熱した。この中に、実施例1の(a)工程で得られた化合物〔B〕683mg(1.01mmol)およびトリエチレングリコール152mg(1.01mmol)のdry−THF溶液50mlをゆっくり滴下した。滴下終了後、一晩攪拌した。反応器にエタノールを加えた後、反応混合物を氷浴中に注ぎ込み攪拌した。ジクロロメタンで有機物を抽出し、飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、クロロホルム留分を減圧下濃縮した。さらにサイズ排除クロマトグラフィーにより単離精製し、メタノールおよびクロロホルムの混合溶媒により再結晶し、目的化合物をオレンジの針状結晶として収量36mg(0.063mmol)、収率6.3%で得た。
m.p.:168〜171℃
1H−NMR(300MHz,CDCl3,TMS)δ= 1.67(s,6H), 2.46(s,6H), 3.50(t,4H, J = 10.2 Hz), 3.63(t,4H, J = 10.2 Hz),4.36(s,4H)ppm.
【0035】
[実施例3]
【化7】

【0036】
脱気乾燥後アルゴン置換した500ml三つ口フラスコに、水酸化カリウム0.353g(6.3mmol)、水素化ホウ素ナトリウム0.101g(2.7mmol)、およびエタノール300mlを加え、95℃で加熱還流しながら2−ビス(4−メルカプトメチル−3,5−ジメチルチエン−2−イル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン0.733g(1.5mmol)およびトリエチレングリコールジトシレート0.688(1.5mmol)のTHF溶液70mlを、24時間かけて滴下した。反応終了をTLCで確認した後、反応液を減圧下溶媒留去し、有機物をジクロロメタンで抽出した後、飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、ろ液を減圧下溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、クロロホルムとメタノール留分より分取した。さらにサイズ排除クロマトグラフィーにより単離精製し、メタノールにより再結晶し、目的化合物を黄色プリズム晶として収量0.158g(0.262mmol)、収率17.5%で得た。
m.p.:124〜132℃
EI−MS:(70eV)m/z=602[M+]
1H−NMR(300MHz,CDCl3,TMS):δ= 1.60(s,6H), 2.45(s,6H), 2.63(t,4H, J = 12 Hz), 3.57(s,4H), 3.69(m,8H)ppm.
【0037】
[実施例4]
【化8】

【0038】
脱気乾燥後アルゴン置換した500ml三つ口フラスコに、水酸化カリウム0.421g(1.5mmol)、水素化ホウ素ナトリウム0.142g(3.8mmol)、およびエタノール250mlを加え、95℃で加熱還流しながら2−ビス(4−メルカプトメチル−3,5−ジメチルチエン−2−イル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン0.733g(1.5mmol)およびテトラエチレングリコールジトシレート0.754g(2.0mmol)のTHF溶液50mlを24時間かけて滴下した。一晩攪拌し、反応終了をTLCで確認した後、反応液を減圧下溶媒留去しジクロロメタンで抽出した後、飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、ろ液を減圧下溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、クロロホルムとメタノール混合溶媒の留分を減圧下濃縮した。さらにサイズ排除クロマトグラフィーにより単離精製し、メタノールおよび水の混合溶媒から再結晶し、目的化合物を黄色プリズム晶として収量98.4mg(0.152mmol)、収率9.86%で得た。
m.p.:106〜107℃
1H−NMR(300MHz,CDCl3,TMS)δ= 1.65(s,6H),2.46(s,6H), 2.59(t,4H, J = 12.6 Hz), 3.55(m,16H) ppm.
【0039】
[実施例5]
【化9】

【0040】
実施例1で得られた化合物のジクロロメタン溶液に紫外光を照射することによって、閉環体を合成した。
【0041】
[実施例6]
【化10】

【0042】
実施例2で得られた化合物のジクロロメタン溶液に紫外光を照射することによって、閉環体を合成した。
【0043】
[実施例7]
【化11】

【0044】
実施例3で得られた化合物のジクロロメタン溶液に紫外光を照射することによって、閉環体を合成した。
【0045】
[実施例8]
【化12】

【0046】
実施例4で得られた化合物のジクロロメタン溶液に紫外光を照射することによって、閉環体を合成した。
【0047】
[吸収スペクトルの測定]
上記実施例5〜8で得られた閉環体について、吸収スペクトル測定装置(U−3310、(株)日立製作所)にて吸収スペクトルを測定した。可視部における最大吸収波長を表1に示す。
【0048】
【表1】

【0049】
[光閉環反応の量子収率]
実施例5および6における光閉環反応の量子収率を表2に示す。光閉環反応の量子収率は、ビス(2−メチル−1−ベンゾチエン−3−イル)ヘキサフルオロシクロペンテンのヘキサン溶液の着色および消色速度との比較により求めた(K. Uchida, E.Tsuchida, Y.Aoi, S.Nakamura, M.Irie, Chem. Lett. 1999, 63-64.)。
なお、特許文献12記載の下記チオフェン誘導体開環体の光閉環量子収率を比較例1として表2に併せて示す。
【0050】
【化13】

【0051】
【表2】

【0052】
表2に示されるように、本発明のチオフェン誘導体を用いたフォトクロミック材料の光閉環量子収率は、特許文献12記載のチオフェン誘導体に比べて著しく高いことがわかる。
【0053】
[閉環体の熱安定性]
上記実施例5〜8で得られた閉環体について、暗所にて熱安定性を測定した。具体的には、種々の温度における閉環体の開環体への熱戻りの速度を求め、アレーニウスの式によって活性化エネルギーと頻度因子を求めた。また、得られた活性化エネルギーと頻度因子から20℃における半減期を算出した。結果を表3に示す。
なお、特許文献12記載の下記チオフェン誘導体閉環体についても同様の測定を行い、その結果を比較例2として表3に併せて示す。
【0054】
【化14】

【0055】
【表3】

【0056】
表3に示されるように、実施例5〜8で得られた閉環体は、比較例2と比べ、熱安定性が大きく向上していることがわかる。
以上のとおり、本発明のチオフェン誘導体は高い量子収率でフォトクロミズムを示すのみならず、光異性化体の室温における半減期が長く、光メモリー材料として実用化に耐え得るだけの安定性を有するものであるため、光記録媒体の材料として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施例1で得られた化合物のジクロロメタン溶液に紫外光を照射したときの照射時間による吸収スペクトル変化を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式〔1〕または式〔2〕で表されることを特徴とするチオフェン誘導体。
【化1】

{式中、Eは、それぞれ独立して、−(CH2n−〔nは、0または1を表す。〕、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)2−、または−NR5−〔R5は、水素原子、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数1〜10のアルキル基〈このアルキル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、またはフェニル基(このフェニル基は、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルコキシ基、または炭素数1〜10のアルキル基で任意に置換されていてもよい。)で任意に置換されていてもよい。〉、またはフェニル基(このフェニル基は、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルコキシ基、または炭素数1〜10のアルキル基で任意に置換されていてもよい。)を表す。〕を表し、
Aは、−E−(Eは、前記と同じ。)、−E−(CH22−E−(Eは、それぞれ独立して前記と同じ。)、−E−(CH22−E−(CH22−E−(Eは、それぞれ独立して前記と同じ。)、−E−(CH22−E−(CH22−E−(CH22−E−(Eは、それぞれ独立して前記と同じ。)、または−E−(CH22−E−(CH22−E−(CH22−E−(CH22−E−(Eは、それぞれ独立して前記と同じ。)を表し、
1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、またはフッ素原子もしくは塩素原子で任意に置換されてもよい炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基を表すか、R1とR2とが一緒になってヘキサフルオロプロピレン基、炭素数3〜6のアルキレン基、−CO−NH−CNH−、−CO−NR5−CO−(R5は、前記と同じ。)、またはカルボン酸無水物を表し、
3およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルコキシ基、炭素数1〜10のアルキル基、フッ素原子もしくは塩素原子で任意に置換されてもよい炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、またはジフェニルアミノ基を表す。}
【請求項2】
前記R3およびR4が、それぞれ独立して、水素原子、メトキシ基、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基、またはトリフルオロメチル基である請求項1記載のチオフェン誘導体。
【請求項3】
前記Aが、それぞれ独立して、−E−、−E−(CH22−E−、−E−(CH22−E−(CH22−E−[これらのEは、それぞれ独立して、−O−、−S−、または−NR5−〔R5は、水素原子、メチル基、エチル基〈これらメチル基およびエチル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヒドロキシル基、メトキシ基、またはフェニル基(このフェニル基は、メトキシ基またはメチル基で置換されていてもよい。)で任意に置換されていてもよい。〉、またはフェニル基(このフェニル基は、メトキシ基またはメチル基で置換されていてもよい。)を表す。〕を表す。]であり、
前記R1およびR2が、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基、またはトリフルオロメチル基であるか、R1とR2とが一緒になってヘキサフルオロプロピレン基、炭素数3〜6のアルキレン基、−CO−NH−CNH−、−CO−NR5−CO−〔R5は、水素原子、メチル基、エチル基〈これらのメチル基およびエチル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヒドロキシル基、メトキシ基、フェニル基(このフェニル基は、メトキシ基またはメチル基で置換されていてもよい。)で任意に置換されていてもよい。〉、またはフェニル基(このフェニル基は、メトキシ基またはメチル基で置換されていてもよい。)を表す。〕、またはカルボン酸無水物である請求項1または2記載のチオフェン誘導体。
【請求項4】
前記Eが、それぞれ独立して−O−または−S−であり、
前記R1およびR2が、これらが一緒になってヘキサフルオロプロピレン基であり、
前記R3およびR4が、メチル基である請求項1〜3のいずれか1項記載のチオフェン誘導体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載のチオフェン誘導体から成るフォトクロミック材料。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項記載のチオフェン誘導体を含有する記録層を備える光記録媒体。

【図1】
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【公開番号】特開2009−62317(P2009−62317A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−231203(P2007−231203)
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年3月12日 社団法人日本化学会発行の「日本化学会第87春季年会 2007年 講演予稿集I」に発表
【出願人】(000003986)日産化学工業株式会社 (510)
【Fターム(参考)】