説明

チキソトロピー付与剤

【課題】鎖状粘土鉱物粒子からなり、且つ揺変係数の大きい高チキソトロピー付与剤を提供する。
【解決手段】セピオライト粒子からなり、揺変係数(TI)が、分散媒としてジエチルヘキシルフタレート(DOP)を用いたセピオライト粒子濃度が7重量%の分散液において4.2以上であり、分散媒として水を用いたセピオライト粒子濃度が3重量%の分散液において7.5以上であり、且つ0.125g/ml以下の嵩比重、及びレーザ法で測定した二次粒子の粒度分布において、1.0μmより大きく30μm以下の粒径のものが70重量%以上で、1.0μm以下の粒径のものが5乃至30重量%の範囲にあることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チキソトロピー付与剤に関するものであり、より詳細には、セピオライト粒子からなり、特に揺変係数(TI)が大きく、塗料用若しくは接着剤用として使用される高チキソトロピー付与剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、塗料等の分野では、塗料の調製時(各成分の混合時)や塗布時では低粘性を示すことが作業性の点で要求され、このために、高剪断力下では粘性を低下させるチキソトロピー付与剤が使用される。また、塗布後では、高粘性を示すことが垂れ等を防止するために必要であり、揺変係数(TI)の大きい高チキソトロピー性が要求される。
【0003】
また、セピオライトやアタパルジャイト等の鎖状粘土鉱物(ホルマイト)は、タルク(滑石)レンガを交互に積み重ねたような三次元の鎖状構造を有している。この鎖状の隙間に形成された空孔は大きな表面積を示し、これは、鎖状粘土鉱物をスラリーにしたときの高粘性や揺変性を示す要因となり、例えばチキソトロピー性及びレオペクシー性を有していることが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平4−228461号公報(段落「0007」、 段落「0025」)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、セピオライト等の鎖状粘土鉱物は、天然に産出するものであり、その産地等により、不純物含量等が異なっており、全ての鎖状粘土鉱物が大きな揺変係数(TI)をもっていないため、安定してしかも高いチキソトロピーを付与することができる剤が求められているのが現状である。
【0006】
従って、本発明の目的は、鎖状粘土鉱物粒子からなり、且つ揺変係数が大きく、塗料用若しくは接着剤用として使用される高チキソトロピー付与剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、セピオライト粒子からなる塗料用若しくは接着剤用チキソトロピー付与剤において、
前記セピオライト粒子は、X線回折測定において、ドロマイト及びカルサイトに由来するピークが、それぞれ、セピオライトの(110)面に由来するピーク高さを100%として25%以下のピーク強度比を示すものであり、
該セピオライト粒子は、下記式:
TI=η/η60
式中、ηは、所定の分散媒中に前記セピオライト粒子を分散させた分散液につい
て回転数6rpmで測定した粘度(25℃)であり、
η60は、上記分散液について回転数60rpmで測定した粘度(25℃)
である、
で定義される揺変係数(TI)が、分散媒としてジエチルヘキシルフタレート(DOP)を用いたセピオライト粒子濃度が7重量%の分散液において4.2以上であり、分散媒として水を用いたセピオライト粒子濃度が3重量%の分散液において7.5以上であり、0.125g/ml以下の嵩比重、7.5乃至9.5の平均アスペクト比、及びレーザ法で測定した二次粒子の粒度分布において、1.0μmより大きく30μm以下の粒径のものが70重量%以上で、1.0μm以下の粒径のものが5乃至30重量%の範囲にあり、且つ電子顕微鏡で測定して一次粒子形状が、0.45乃至0.80μmの平均繊維長を有することを特徴とする塗料用若しくは接着剤用チキソトロピー付与剤が提供される。
【0008】
本発明において、上記チキソトロピー付与剤は、塗料或いは接着剤に配合して塗料組成物或いは接着剤組成物として使用される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、鎖状粘土鉱物粒子であるセピオライト粒子を用いて、揺変係数の大きい高チキソトロピーを塗料等に付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(鎖状粘土鉱物)
概説すると、本発明では、特定の一次粒子形状と粒度分布を有するセピオライトを用いることが重要であり、特に、特定のX線回折ピークを有するセピオライトを用いて粒度調整することにより、安定して、しかも従来公知の剤に比しても高いチキソトロピーを付与することができるという新規知見に基づくものである。
【0011】
本発明で用いる鎖状粘土鉱物の代表例としては、ホルマイト系粘土鉱物であるセピオライト、アタパルジャイトまたはパリゴルスカイトを挙げることができる。これらの鎖状粘土鉱物は、マグネシウムの含水ケイ酸塩であり、例えばセピオライトは、一般に二次鉱物として蛇紋岩中に産出し、アタパルジャイトは、水成岩中の輝石、かくせん石から変質して産出するものである。なお、アタパルジャイトは、用途あるいは産地によりパリゴルスカイトと称される場合もある。本発明においては、これらの鎖状粘土鉱物の中でも、特にセピオライトを使用する。
【0012】
セピオライトは、理想的には、下記(I):
(OH(OH)MgSi1230・6〜8HO ‥(I)
で表される化学構造を有しており、一般的に算出するセピオライト(110℃で2時間の乾燥品)の代表的な組成は、以下の通りとなっている。
【0013】
セピオライトの一般的化学組成
SiO 52.50(重量%)
MgO 22.8
Al 1.7
Fe 0.8
CaO 0.8
O+ 10.5
O− 11.0
【0014】
また、アタパルジャイトは、理想的には、例えば下記式(II):
(OH(OH)MgSi20・4HO ‥(II)
で表される化学構造を有しており、一般的に算出されるアタパルジャイト(110℃で2時間の乾燥品)の化学組成は、以下の通りとなっている。
【0015】
アタパルジャイトの一般的化学組成
SiO 57.6(重量%)
MgO 22.3
Al 0.9
Fe 0.8
CaO 0.5
O+ 9.9
O− 8.0
【0016】
本発明においては、上記の鎖状粘土鉱物の内でも、特にセピオライトを用いる。即ち、チキソトロピーは、下記式;
TI=η/η60
式中、ηは、所定の分散媒中に前記セピオライト粒子を分散させた分散液につい
て回転数6rpmで測定した粘度(25℃)であり、
η60は、上記分散液について回転数60rpmで測定した粘度(25℃)
である、
で定義される揺変係数(TI)によって評価することができ、この揺変係数(TI)が高いほど、チキソトロピー性が高いことを示す。セピオライトでは、分散媒としてジエチルヘキシルフタレート(DOP)を用いた分散液(粘土鉱物粒子濃度:7重量%)の揺変係数(TI)が4.2以上であり、分散媒として水を用いたときの揺変係数(TI)が7.5以上であり、有機系及び水系の何れの分散媒に配合したときにも、極めて高いチキソトロピーを示す。一方、アタパルジャイトでは、セピオライトと比較すると一般的に揺変係数(TI)が低く、特に水系の分散媒に対しての揺変係数が低い。このように、同じ鎖状粘土鉱物でありながら、セピオライトがアタパルジャイトに比して優れているのは、アタパルジャイトに比して含水量が多いことが要因の一つではないかと考えられる。
【0017】
また、本発明において用いるセピオライトは、嵩比重が0.125g/ml以下の範囲にあることも重要である。即ち、嵩比重が上記範囲よりも高いと、鎖状粘土鉱物の粒子を均一に分散させることが困難となり、安定したチキソトロピー特性を得ることができない。
【0018】
また、本発明において、セピオライトの二次粒子の粒度分布が、レーザ法で測定して、1.0μmより大きく30μm以下の粒径のものが70重量%以上で、1.0μm以下の粒径のものが5乃至30重量%の範囲にあることも重要である。即ち、1.0μmより大きく30μm以下の粒径のものは、分散液の高粘性化に寄与し、粒径が1.0μm以下のものは、低粘性化に寄与する傾向がある。従って、これらの粒子を適当な割合で含有することによって、高剪断力下で低粘性化させ、低剪断力下で高粘性化が発現するのであり、上記粒子の含有量が上記範囲外であると、このようなチキソトロピー性が低下してしまう。更に、50μm以上の粒子径を有する粒子は実質上ゼロであることが好ましい。
【0019】
更に、用いるセピオライトは、平均アスペクト比は7.5乃至9.5、特に7.5乃至9.0の範囲にあるべきである。更に、一次粒子形状が繊維状であることも重要であり、電子顕微鏡で測定して、平均繊維長が0.45乃至0.80μm、特に0.50乃至0.80μmの範囲にあるべきである。即ち、繊維長が長い粒子は、分散液の粘性を高める傾向があり、繊維長が短い粒子は分散液の粘性を低下させる傾向がある。従って、平均アスペクト比や繊維長が上記範囲内に保持されて一定のバランスを保っていることが必要であり、平均アスペクト比や繊維長が上記範囲外であるものは、満足すべきチキソトロピー性を示さない。
【0020】
また、本発明で用いるセピオライトは、不純物成分の含有量が少ないものであり、特にドロマイトやカルサイト成分量が少なく、具体的には、X線回折測定において、2θ=31度付近にドロマイトに由来するピーク及び2θ=29度付近にカルサイトに由来するピークが、それぞれ、セピオライトの(110)面に由来するピーク高さを100%として25%以下のピーク強度比となっているものが使用される。
【0021】
セピオライトのX線回折像を示す図1を参照されたい。図1には、3種のセピオライトのX線回折像が示されており、実施例1は、スペイン産のものであり、ドロマイト及びカルサイトの含有量が少なく、セピオライトの(110)面に由来するピーク(2θ=7度付近)に対するドロマイト及びカルサイトに由来するピーク(2θ=31度付近、2θ=29度付近)のピーク強度比は、何れも25%以下となっている。一方、比較例2はスペイン産(実施例1とは別地域)、比較例3は南アフリカ産のものであり、ドロマイト或いはカルサイトの含量が多く、セピオライトの(110)面に由来するピークに対するドロマイト或いはカルサイトに由来するピークの強度比は、実施例1に比して高くなっている。即ち、後述する実施例及び比較例の実験結果から理解されるように、ドロマイトやカルサイトの含有量が多い比較例2、3では、これら成分の含有量の少ない実施例1に比して、その揺変係数(TI)が低くなってしまい、目的とするチキソトロピー性を得ることが困難となる。
【0022】
本発明において、上述したセピオライトは、例えばドロマイトやカルサイト含有量の少ない産地のものを原料として使用し、これを、微粉砕し、所定の粒度に分級することによって得ることができる。粉砕機としては、ボールミル、気流粉砕機、振動ミル、コロイドミル、ハンマーミル、ダイノーミル等を使用できるが、特にジェットミルに代表される気流粉砕機が好適である。この粉砕は、少量の水分の存在下に行う所謂湿式法により行ってもよいし、このような水分を用いることなく乾式法で行ってもよい。粉砕条件は、前述した平均アスペクト比、嵩比重、一次粒子形状、二次粒子の粒度分布等が得られるように設定され、例えば粉砕条件をきつくすると、嵩比重が低下し、一次粒子の繊維長も低下する傾向にあるため、原料として用いるセピオライトの物性に応じて、適宜設定すればよい。
【0023】
尚、産地によっては、ドロマイトやカルサイト含有量が多いセピオライトもあるが、このようなものは、塩酸や硝酸を用いての酸処理によってドロマイトやカルサイトを除去し、前述したX線回折において、ドロマイトやカルサイトのピーク強度比を前述した範囲に調整して使用することができる。
【0024】
また、アタパルジャイトは、カルサイト含量が多く、前述した遥変係数(TI)を満足させることが困難である。
【0025】
(チキソトロピー付与剤)
上記のセピオライト粒子からなる本発明のチキソトロピー付与剤は、既に述べた通り、水系或いは有機系の何れに分散させた場合にも高いチキソトロピーを付与することができ、塗料や接着剤、インキ等の分野に有効に使用され、例えば、それ自体公知の塗料や接着剤中に配合して、塗料組成物や接着剤組成物とすることもできる。
【0026】
塗料としては、樹脂の種類から、ニトロセルロース塗料、アルキッド樹脂塗料、アミノアルキッド塗料、ビニル樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料、ポリエステル樹脂塗料、塩化ゴム系塗料の他に、フェノール系レジン、変性フェノール系レジン、アルキド系レジン、ビニル系レジン、石油レジン、エポキシ系レジン、ポリエステル系レジン、スチレン系レジン、シリコーン系レジン、塩素化物系レジン、ウレタン系レジン、ポリアミド系レジン、ポリイミド系レジン、フッ素系レジン等の1種或いは2種以上を含有する塗料が挙げられる。
【0027】
また、用いる塗料は、溶剤型塗料、水性塗料の何れであってもよい。即ち、本発明のチキソトロピー付与剤は、有機溶剤及び水性溶媒の何れに分散させた場合にも優れた特性を発揮するからである。
【0028】
この溶剤型塗料の有機溶媒としては、トルエン、キシレンn−ヘプタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンエタノール、プロパノール、ブタノール、ダイアセトンアルコールテトラヒドロフラン、ジオキサンエチルセロソルブ、ブチルセロソルブ酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、エタノール、メタノール、エチレングリコール、グリセリンの1種または2種以上を用いることができるが、これらの有機溶媒の中でもSP値が10以上のもの、例えばシクロヘキサノンエタノール、プロパノール、ブタノール、エタノール、メタノール、エチレングリコール、グリセリン等のアルコール系溶媒が好適である。
【0029】
また、水性塗料としては、水溶液型の塗料の他、自己乳化型或いは界面活性剤乳化型の塗料が使用される。水性塗料の樹脂としては、水性媒体に水溶化された或いは自己乳化されたアルキド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂或いはこれらの2種以上を組合せて用いることができる。樹脂分濃度は、一般に10乃至70重量%、特に20乃至60重量%の範囲にあり、本発明のチキソトロピー付与剤は、一般に、固形分当り0.1乃至20重量%の量で配合される。
【0030】
また、接着剤としては、エポキシ樹脂系接着剤、ポリウレタン系接着剤、ユリア樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、α−オレフィン系接着剤、水性高分子−イソシアネート系接着剤、酢酸ビニル樹脂系(溶剤型)接着剤、酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、アクリルエマルジョン系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、ホットメルト接着剤、嫌気性接着剤、クロロプレンゴム系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、SBR系接着剤、エチレン共重合樹脂系接着剤、レゾルシン系接着剤、天然ゴム系接着剤、セルロース系接着剤、イソブテン−マレイン酸共重合体系接着剤、アルキッド樹脂系接着剤、フラン樹脂系接着剤、飽和又は不飽和ポリエステル樹脂系接着剤、シリコーン樹脂系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ナイロン樹脂系接着剤、無機接着剤等の1種或いは2種以上を含有する接着剤が挙げられる。本発明のチキソトロピー付与剤は、接着剤樹脂100重量部に対して0.5乃至30重量部の量で配合するのがよい。
【実施例】
【0031】
本発明を次の例で説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。尚、各試験方法は下記の方法に従って行った。
【0032】
(1)粘度測定
所定量の試料を500mlビーカー中の所定の分散媒(水またはDOP)に添加し、家庭用ジューサーを用いて10000rpmで3分間攪拌して約300gの分散液を調製し、この分散液をウオーターバス中、25℃で30分静置後、他の500mlビーカーに移し代え、再び、元のビーカーに移し替えた(移し替え作業数:2回)。さらに同様の移し替え作業を行い、計6回の移し替え作業を行った。次いで、この分散液の粘度を、回転粘度計(TOKIMEC社製DIGITAL VISCOMETER DVL−BII型)を用い、所定の回転数(6rpmまたは60rpm)で3分間ロータ撹拌を行い、その時の粘度を測定した。
【0033】
(2)搖変係数(TI)
搖変係数(TI)は、以下のようにして測定した。
TI=η/η60
式中、ηは、所定の分散媒中に前記セピオライト粒子を分散させた分散液につい
て回転数6rpmで測定した粘度(25℃)であり、
η60は、上記分散液について回転数60rpmで測定した粘度(25℃)で
ある、
で定義される揺変係数(TI)が、分散媒としてジエチルヘキシルフタレート(DOP)を用いた時はセピオライト粒子濃度が7重量%の分散液であり、分散媒として水を用いた時はセピオライト粒子濃度が3重量%の分散液において、それぞれ測定した。
【0034】
(3)嵩比重
JlS.K.6721に準拠して測定した。
【0035】
(4)レーザ法で測定した二次粒子の粒度分布
粒度分布はベックマンコールター社製のレーザ回折型粒子サイズアナライザー(LS 13 320型)を用いて測定した。
【0036】
(5)平均アスペクト比及び平均繊維長
日立(株)製走査型電子顕微鏡S−570を用いて、制限視野像中の代表的な粒子を5個について、平均アスペクト比及び平均繊維長を算術計算した。
【0037】
(6)X線回折
理学電機(株)製のガイガーフレックスRAD−IBシステムを用いて、Cu−Kαにて測定した。
ターゲット Cu
フィルター 湾曲結晶グラファイトモノクロメーター
検出器 SC
電圧 40KVP
電流 20mA
カウントフルスケール 700c/s
スムージングポイント 25
走査速度 2°/min
ステップサンプリング 0.02°
スリット DS1° RS0.15mm SS1°
照角 6°
【0038】
実施例及び比較例で用いた原料となるセピオライト及びアタパルジャイトは表1記載のものをそれぞれ用いた。これ以外の物性については表2に、X線回折像は図1または5に示す。
【表1】

【0039】
(実施例1)
セピオライトAを粗粉砕後、ローラーミルにて粉砕を行い、更にジェットミルを用いて乾式で微粉砕を行った。ジェットミルは日本ニューマチック工業(株)製PJM−100SPを用い、粉砕条件は、粉砕圧力0.65MPa、チャージ量2kg/hrで行った(以下の実施例あるいは比較例でジェットミル粉砕を行った時も、同様の装置及び条件で行った)。各物性について測定を行い、結果を表2に、X線回折像を図1、二次粒子の粒度分布を図2、SEM写真を図3にそれぞれ示す。
【0040】
(比較例1)
セピオライトAを粗粉砕後、ローラーミルにて粉砕を行い、ジェットミルによる粉砕は行わなかった。各物性について測定を行い、結果を表2に示す。
【0041】
(比較例2)
セピオライトBを粗粉砕後、ローラーミルにて粉砕を行い、更にジェットミルを用いて乾式で微粉砕を行った。各物性について測定を行い、結果を表2に、X線回折像を図1にそれぞれ示す。
【0042】
(比較例3)
セピオライトCを粗粉砕後、ローラーミルにて粉砕を行い、更にジェットミルを用いて乾式で微粉砕を行った。各物性について測定を行い、結果を表2に、X線回折像を図1、SEM写真を図4にそれぞれ示す。
【0043】
(比較例4)
アタパルジャイトを粗粉砕後、ローラーミルにて粉砕を行い、更にジェットミルを用いて乾式で微粉砕を行った。各物性について測定を行い、結果を表2に示す。
【0044】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】実施例1、比較例2及び3で用いたセピオライトの各X線回折像を示す図である。
【図2】実施例1で調製されたチキソトロピー付与剤の二次粒子の粒度分布を示す図である。
【図3】実施例1のチキソトロピー付与剤の走査型電子顕微鏡写真(SEM)を示す図(倍率:20000倍)である。
【図4】比較例3の試料の走査型電子顕微鏡写真(SEM)を示す図(倍率:20000倍)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セピオライト粒子からなる塗料用若しくは接着剤用チキソトロピー付与剤において、
前記セピオライト粒子は、X線回折測定において、ドロマイト及びカルサイトに由来するピークが、それぞれ、セピオライトの(110)面に由来するピーク高さを100%として25%以下のピーク強度比を示すものであり、
該セピオライト粒子は、下記式:
TI=η/η60
式中、ηは、所定の分散媒中に前記セピオライト粒子を分散させた分散液につい
て回転数6rpmで測定した粘度(25℃)であり、
η60は、上記分散液について回転数60rpmで測定した粘度(25℃)
である、
で定義される揺変係数(TI)が、分散媒としてジエチルヘキシルフタレート(DOP)を用いたセピオライト粒子濃度が7重量%の分散液において4.2以上であり、分散媒として水を用いたセピオライト粒子濃度が3重量%の分散液において7.5以上であり、0.125g/ml以下の嵩比重、7.5乃至9.5の平均アスペクト比、及びレーザ法で測定した二次粒子の粒度分布において、1.0μmより大きく30μm以下の粒径のものが70重量%以上で、1.0μm以下の粒径のものが5乃至30重量%の範囲にあり、且つ電子顕微鏡で測定して一次粒子形状が、0.45乃至0.80μmの平均繊維長を有することを特徴とする塗料用若しくは接着剤用チキソトロピー付与剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−257438(P2006−257438A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−129453(P2006−129453)
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【分割の表示】特願2004−193564(P2004−193564)の分割
【原出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000193601)水澤化学工業株式会社 (50)
【Fターム(参考)】