チタン合金部材とスチール合金部材との間に継手を形成する方法および前記継手を含んでなる医療用デバイス
医療用デバイスを製造する方法であって、ステンレス鋼を含んでなり、かつ第1の溶接面を有する第1の長尺状金属部材を提供するステップと;ニッケル‐チタン合金を含んでなり、かつ第2の溶接面を有する第2の長尺状金属部材を提供するステップと;溶接面のうち少なくとも一方に溶接材料を適用するステップと、該溶接材料は、炭素、窒素、金、またはこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含んでなることと;溶接面と溶接材料とを溶接して、金属部材の間に継手を形成するステップとを含んでなる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して金属部材を接続するための方法および設計に関する。具体的には、本開示は、医療用デバイス内において金属部材を相互に接続するための方法および設計に関するものであってよい。
【背景技術】
【0002】
金属部材の接合は多くの様々な目的のために行なわれる。ある状況においては、接合される金属部材は異なる金属を含んでなるものでよい。例として、金属は、医療用デバイスの構築において使用される可能性があり、いくつかの例においては、異なる金属を含んでなる2つの金属部材が医療用デバイス内で相互に接合される。そのような金属構造物間の継手の強度、耐久性またはその他の性質のうち少なくともいずれかを改善する方法および設計が継続的に必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は上記した問題を解決することができる金属部材を相互に接続するための方法および設計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、2つの金属構造物の間に継手を提供するいくつかの代替的な設計、材料および方法について説明する。各実施形態において、接合されるべき表面の間に間置される溶接材料は、溶接継手の形成後に溶接領域内に存在する脆弱な金属間化合物の濃度を、溶接材料が無い場合に存在する量に比べて低減する。
【0005】
従って、一例の実施形態では、医療用デバイスを製造する方法は第1および第2の金属部材を提供することを含むことができる。各々の金属部材は溶接面を有することができる。溶接面は、相互に溶接されることになっている金属部材の表面であってよい。例えば、金属部材は長尺状金属部材であってよく、溶接面は、一方の金属部材の先端側部分(例えば先端部)および他方の金属部材の基端側部分(例えば基端部)に位置していてもよい。金属部材は異なる金属を含んでなることができる。いくつかの実施例では、金属部材は、溶接時に互いに脆弱な金属間化合物を形成する可能性のある金属を含んでなる可能性がある。
【0006】
いくつかの実施形態では、溶接材料は溶接面のうち一方または両方に適用可能である。金属部材が、溶接時に脆弱な金属間化合物を形成する可能性のある金属を含んでなる場合、ある溶接材料は、溶接継手における脆弱な金属間化合物の形成を抑制することができる。溶接面および溶接材料はその後、例えばレーザーのような熱源を使用して溶接可能である。ある場合には、第1の金属部材は鉄を含んでなり、第2の金属部材はチタンを含んでなることができる。例えば、第1の金属部材は、ステンレス鋼または他の鉄を含んでなる合金を含んでなることが考えられ、また第2の金属部材は、ニチノールのようなニッケル‐チタン合金、または他のチタンを含んでなる合金を含んでなることが考えられる。
【0007】
いくつかの例示の実施形態は、溶接継手を形成する方法に関するものであってよく、鉄を含んでなる第1の合金を含んでなる第1の金属部材であって第1の溶接面を有する第1の部材を提供するステップと、チタンを含んでなる第2の合金を含んでなる第2の金属部材であって第2の溶接面を有する第2の部材を提供するステップとを含むことができる。溶接材料は溶接面のうち少なくとも一方に適用されればよい。溶接面および溶接材料は、溶接されて第1および第2の金属部材の間に継手を形成することが可能であり、溶接材料は、継手内部における脆弱な金属間の鉄‐チタン化合物の形成を抑制することができる。
【0008】
別の例示の実施形態は、第1および第2の金属部材を、該金属部材の間に配置された継手とともに含んでなる医療用デバイスに関する。2つの金属部材は2つの異なる金属を含んでなることができる。ある場合には、これらの異なる金属は、溶接によって相互に直接接合されると脆弱な金属間化合物を形成する可能性がある。溶接継手は、第1の金属部材由来の金属、第2の金属部材由来の金属、および溶接材料を含んでなることができる。金属部材が、通常は溶接時に脆弱な金属間化合物を形成しうる金属を含んでなる場合、溶接材料は該金属間化合物の形成を抑制することができる。
【0009】
例えば、1つの実施形態は、鉄を含む第1の合金を含んでなる第1の金属部材と、チタンを含む第2の合金を含んでなる第2の金属部材とを含んでなり、第1および第2の合金は異なることを特徴とする、医療用デバイスに関する。第1および第2の金属部材の溶接面の間に、第1の合金、第2の合金、および溶接材料を含んでなる溶接継手が配置される。いくつかの実施形態では、医療用デバイスは、第1の長尺状ステンレス鋼部材と、第2の長尺状ニッケル‐チタン合金部材と、第1および第2の長尺状部材の間に形成された溶接継手であって、ステンレス鋼、ニッケル‐チタン合金、および溶接材料の構成要素を含んでなる溶接継手とを備えることができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、溶接材料は、炭素、窒素、金、またはこれらの組み合わせを含んでなることができる。例えば、いくつかの実施形態では、溶接材料は、炭素(例えばグラファイト)、または適正範囲の粘性を備えた固体状態もしくは液体状態の炭素含有材料、のうち少なくともいずれか一方を含んでなるものでもよいし、前記のうち少なくともいずれか一方から実質上構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、炭素含有材料は、有機金属化合物もしくは有機金属錯体(例えばFeC2O4・2H2O、Fe(OOC7H15)(OC3H7))、有機化合物であって炭素、水素、および酸素から実質上構成されているもの、金属炭化物であって金属の炭素に対する親和性がチタンの炭素に対する親和性より弱いもの、または少なくとも1つのそのような金属炭化物もしくは十分量の炭素を含有している合金であってよい。いくつかの実施形態では、例えば、グラファイトが炭素含有材料として使用される場合、グラファイトはシートまたはペーストの形態で溶接面に適用可能である。そのような例では、継手は炭化チタンを含んでなることができる。
【0011】
いくつかの例において、溶接材料は、純粋な窒素(例えば窒素ガス)、または適正範囲の粘性を備えた固体状態もしくは液体状態の窒素含有材料、のうち少なくともいずれか一方を含んでなるものでもよいし、前記のうち少なくともいずれか一方から実質上構成されていてもよい。いくつかの実施例において、窒素含有材料は、有機金属化合物もしくは有機金属錯体(例えばFe(NO3)3・9H2O)、有機化合物であって炭素、窒素、水素、および酸素から実質上構成されているもの、金属窒化物であって金属の窒素に対する親和性がチタンの窒素に対する親和性より弱いもの、または少なくとも1つのそのような金属窒化物もしくは十分量の窒素を含有している合金であってよい。窒素ガスが使用される場合、窒素ガスは溶接エリアを覆って配置された包囲空間内で適用可能である。これらの実施例では、継手は窒化チタンを含んでなることができる。
【0012】
いくつかの実施例において、溶接材料は、炭素もしくは炭素含有材料のうち少なくともいずれか一方と窒素もしくは窒素含有材料のうち少なくともいずれか一方との組み合わせもしくは混合物を、含んでなるものでもよいし、かつ/または前記組み合わせもしくは混合物から実質上構成されていてもよい。溶接材料はさらに、炭素および窒素を含有する有機金属化合物もしくは有機金属錯体(例えばFe4[Fe(CN)6]3)、有機化合物であって炭素、窒素、水素、および酸素から実質上構成されているもの、金属炭窒化物であって金属の炭素もしくは窒素のうち少なくともいずれか一方に対する親和性がチタンの炭素もしくは窒素のうち少なくともいずれか一方に対する親和性より弱いもの、または合金であって少なくとも1つのそのような金属炭窒化物もしくは十分量の炭素および窒素を含有しているものであってもよい。そのような場合、継手は、チタン炭窒化物、かつ/または、炭化チタン、窒化チタン、もしくはチタン炭窒化物のうち少なくともいずれかの混合物、を含んでなることができる。
【0013】
さらにいくつかの他の実施形態では、溶接材料は、金もしくは金とニッケルとの混合物のうち少なくともいずれか一方を、含んでなるものでもよいし、かつ/または前記から実質上構成されていてもよい。
【0014】
いくつかの実施形態についての上記概要は、本発明の開示された各実施形態またはすべての実装について説明することが意図されたものではない。図面および以降の詳細な説明は、上記およびその他の実施形態をより具体的に例証する。
【0015】
本発明の様々な実施形態についての以下の詳細な説明を添付の図面と併せて考慮すれば、本発明をより十分に理解することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】溶接材料でコーティングされる前の2つの長尺状構造物および該長尺状構造物を浸漬させることができるコーティング浴槽を示す図。
【図2】図1の長尺状部材が溶接材料でコーティングされた後の同部材、およびコーティング面に向けられたレーザーを示す図。
【図3】図1および2の長尺状部材が突合せ溶接の構成に相互に接合された後の同部材を示す図。
【図4】2つの長尺状構造物が重ね溶接の構成に相互に接合される前の同構造物を示す図。
【図4A】2つの長尺状構造物がハイブリッド型の重ね/突合せ溶接の構成に相互に接合される前の同構造物を示す図。
【図5】2つの管状の長尺状構造物が突合せ溶接の構成に相互に接合される前の同構造物を示す図。
【図6】2つの管状の長尺状構造物が重ね溶接の構成に相互に接合される前の同構造物を示す図。
【図7】2つの管状の長尺状構造物が共に接合される前の同構造物であって、管状の長尺状構造物は、一方の管状の長尺状部材を他方の管状の長尺状構造物の中へ挿入するのを容易にする大きさおよび形状である、該構造物を示す図。
【図8】別のセットの管状の長尺状構造物が共に接合される前の同構造物であって、管状の長尺状構造物は、一方の管状の長尺状構造物を他方の管状の長尺状構造物の中へ挿入するのを容易にする大きさおよび形状である、該構造物を示す図。
【図9】ガイドワイヤの実施例を示す図。
【図10】医療用デバイスに組み入れることが可能なメッシュ材料の実施例を示す図。
【図11】カテーテルの実施例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明には様々な改変形態および代替形態の可能性があるが、そのうち一部の具体的形態が例として図面に示されており、かつ以下に詳細に記載されることになる。しかしながら、本発明を記載された特定の実施形態に限定するものではなく、本発明の趣旨および範囲の内にある全ての改変形態、等価物、および代替形態を包含するものである。
【0018】
以下に定義される用語については、特許請求の範囲または本明細書中の他所において異なる定義が与えられない限り、以下の定義が適用されるものとする。
用語「ポリマー」は、ポリマー、コポリマー(例えば2以上の異なるモノマーを使用して形成されたポリマー)、オリゴマーおよびこれらの組み合わせ、ならびに、例えば共押し出し成形やエステル交換反応などの反応により混合性ブレンドに形成されうるポリマー、オリゴマー、またはコポリマーを含むと了解されるものとする。ブロックコポリマーおよびランダムコポリマーはいずれも、別途記載のないかぎり含まれる。
【0019】
数値はすべて、明示されているか否かにかかわらず、本明細書中では用語「約」で修飾されるものと見なされる。用語「約」は一般に、記述された値と等価である(すなわち、同じ機能または結果を有する)と当業者が考えると思われる範囲の数値を指す。多くの場合、用語「約」は有効数字の位に四捨五入される数値を含むことができる。
【0020】
端点による数値範囲の記述は、その範囲内のすべての数値を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4および5を含む)。
本明細書および添付の特許請求の範囲においては、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、内容が明らかにそうでないことを述べていない限り、複数の指示物を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲においては、用語「または、もしくは(or)」は一般に、内容が明らかにそうでないことを述べていない限り、「選択肢のうち少なくともいずれか(and/or)」を含む意味で使用される。
【0021】
本明細書中における「実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などへの言及は、記載された実施形態が特定の特性、構造、または特徴を備えることができるが、すべての実施形態が必ずしもその特定の特性、構造、または特徴を備えているとは限らないことを示していることに留意されたい。さらに、そのような言い回しは必ずしも同一の実施形態を指していない。さらに、特定の特性、構造、または特徴がある実施形態に関して記載される場合、明示的に記載されているか否かに関わらず他の実施形態に関してもそのような特性、構造、または特徴をもたらすことは、当業者の知識の範囲内にあろう。
【0022】
以下の記載は図面を参照しながら読まれるべきであり、図面において、同様の参照数字はいくつかの図面全体に共通する同様の要素を示している。図面(必ずしも一定の縮尺ではない)は、特許請求の範囲に記載された発明の実例となる実施形態を示している。
【0023】
金属の接合は様々な目的のために行なわれる。ある場合には、接合されている金属部材は異なる金属を含んでなることができる。いかなる場合でも、2つの金属部材の間の継手は、高い強度もしくは耐久性のうち少なくともいずれか、かつ/または低い脆性のような、ある種の性質を有することが望ましい可能性がある。
【0024】
ある場合には、2つの金属部材は、相互に直接溶接された場合に金属間化合物を形成する可能性のある、2つの異なる金属を含んでなる可能性がある。これらの金属間化合物のうちのいくつかは、2つの金属部材の間の継手の性質に影響を与える場合があり、例えば金属間化合物は接合されている金属部材に比べて脆い場合がある。
【0025】
ある場合には、金属部材のうち一方がチタンを含んでなり(例えば、該部材がニチノールのようなニッケル‐チタン合金またはその他のチタンを含んでなる合金を含んでなることが考えられる)、他方の金属部材が鉄を含んでなることができる(例えば、該部材がステンレス鋼またはその他の鉄を含んでなる合金を含有することが考えられる)。これらの材料が相互に接合されると、脆弱な金属間化合物が生じる可能性がある(例えばFeTiまたはFe2Ti)。そのような金属間化合物の形成は、金属部材の間に比較的低強度で低耐久性の継手をもたらす可能性がある。例えば、金属間化合物は、金属部材間の継手を、接合されている金属部材よりも脆弱にし、従って継手の上に歪みが加わったときに壊れやすい可能性のある継手を形成することが考えられる。
【0026】
1つの例示の実施形態では、溶接材料は、金属部材間の継手の所望の性質を増強するために使用することができる。2つの金属部材の異なる金属が脆弱な金属間化合物を形成する可能性がある場合、溶接材料は、金属間化合物の形成を抑制する(例えば、ほぼ完全に防止する)可能性がある。何らかの特定の理論に拘束されるものではないが、このプロセスは、ある種の溶接材料中の元素または化合物が金属間化合物の前駆物質(例えばチタン)と反応するかまたは他の方法で結合して、該前駆物質が別の金属(例えば鉄)と反応するのを妨げ、その結果脆弱な金属間物質の生成を抑制することができるという事実によって促進されると考えられる。その結果、2つの金属部材の間の継手にそのような溶接材料が存在することにより、より強固もしくは高耐久性のうち少なくともいずれか、かつ/またはより脆性の低い継手をもたらすことが可能である。他の実施形態では、ある種の溶接材料中または該溶接材料を用いて溶接工程の際に形成される反応生成物中の元素または化合物は、金属部材の構成要素の混合を制限する傾向を有する拡散障壁または希釈障壁として作用することができると考えられ、そうでなければ金属部材の構成要素は反応して脆弱な金属間化合物を形成すると思われる。さらに他の実施形態では、上記のメカニズムはいずれも溶接継手内部に存在する脆弱な金属間化合物の濃度の低減に寄与しうると考えられる。
【0027】
金属間化合物の形成を抑制かつ/または防止することができる溶接材料の例は、炭素を含んでなる材料、窒素を含んでなる材料、炭素と窒素の両方を含んでなる材料、金を含んでなる材料、および金とニッケルとを含んでなる材料である。
【0028】
いくつかの実施例において、溶接材料は、炭素(例えばグラファイト)、または適正範囲の粘性を備えた固体状態もしくは液体状態の炭素含有材料のうち少なくともいずれか一方を、含んでなるものでもよいし、かつ/または前記から実質上構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、炭素含有材料は、有機金属化合物もしくは有機金属錯体(例えばFeC2O4・2H2O、Fe(OOC7H15)(OC3H7))、有機化合物であって炭素、水素、および酸素から実質上構成されているもの、金属炭化物であって金属の炭素に対する親和性がチタンの炭素に対する親和性より弱いもの、または少なくとも1つのそのような金属炭化物もしくは十分量の炭素を含有している合金であってよい。いくつかの実施形態では、例えばグラファイトが使用される場合、グラファイトはシートまたはホイルまたはペーストまたはコーティングの形態で溶接面に適用可能である。そのような実施例において、継手は炭化チタンを含んでなることができる。
【0029】
いくつかの実施例において、溶接材料は、純粋な窒素(例えば窒素ガス)、または適正範囲の粘性を備えた固体状態もしくは液体状態の窒素含有材料のうち少なくともいずれか一方を、含んでなるものでもよいし、かつ/または前記から実質上構成されていてもよい。いくつかの実施例において、窒素含有材料は、有機金属化合物もしくは有機金属錯体(例えばFe(NO3)3・9H2O)、有機化合物であって炭素、窒素、水素、および酸素から実質上構成されているもの、金属窒化物であって金属の窒素に対する親和性がチタンの窒素に対する親和性より弱いもの、または少なくとも1つのそのような金属窒化物もしくは十分量の窒素を含有している合金であってよい。窒素ガスが使用される場合、窒素ガスは溶接エリアを覆って配置された包囲空間内で適用可能である。これらの実施例において、継手は窒化チタンを含んでなることができる。
【0030】
いくつかの実施例において、溶接材料は、炭素または炭素含有材料と窒素または窒素含有材料との混合物を、含んでなるものでもよいし、かつ/または前記から実質上構成されていてもよい。溶接材料はさらに、炭素および窒素を含有する有機金属化合物もしくは有機金属錯体(例えばFe4[Fe(CN)6]3)、有機化合物であって炭素、窒素、水素、および酸素から実質上構成されているもの、金属炭窒化物であって金属の炭素および窒素に対する親和性がチタンの炭素および窒素に対する親和性より弱いもの、または少なくとも1つのそのような金属炭窒化物もしくは十分量の炭素および窒素を含有している合金であってもよい。そのような場合、継手は、チタン炭窒化物、炭化チタン、または窒化チタンを含んでなることができる。
【0031】
上記に示されるように、適切な溶接材料はさらに、金もしくは金合金、または金もしくは金合金とニッケルもしくはニッケル合金との組み合わせを含んでなる場合もある。例えば、金の層、かつ/または金の層およびニッケルの層が、溶接材料として作用するために1つ以上の溶接面に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、金の層は、ストライクめっき処理もしくはめっき処理のうち少なくともいずれか、またはその他の適切な適用技術を通じて1つ以上の溶接面に堆積させることが可能であり、この金の層は適切な溶接材料として作用することができる。いくつかの実施形態では、ニッケルの付加層は、例えばストライクめっき処理もしくはめっき処理のうち少なくともいずれかを通じて、金の層を覆うように適用可能であり、この金の層およびニッケルの層は適切な溶接材料として作用することができる。さらに他の実施形態では、金およびニッケルの混合物を含む層が溶接面に適用されて、適切な溶接材料として作用する可能性が企図される。さらに、溶接材料が本明細書中で議論された上記の溶接材料の任意の組み合わせを含んでなる場合もあることも企図される。
【0032】
ある場合には、結合部における所望の性質を提供するために溶接材料の量および組成を制御することが望ましい。理論によって拘束されるものではないが、ある種の元素または化合物はチタン(またはその他の金属間化合物前駆物質)と結合する親和性を有すると考えられる。これらの元素または化合物がチタン(または他の前駆物質)と結合すると、得られる化合物は、結合しない場合に生じるであろう金属間化合物が有するほど大きな負の効果を結合部の性質に対して有していない。しかしながら、過度の溶接材料が加えられると、溶接材料は利用可能な全てのチタン(または他の前駆物質)と結合する可能性があり、かつ溶接材料の一部が残存する可能性がある。この残存溶接材料は、場合によっては溶接部の性質に有害作用を有する可能性がある。
【0033】
例えば、チタンおよび鉄の場合、溶接材料は利用可能な全てのチタンと反応して、溶接部の性質に負の効果をほとんど有する可能性のない化合物を生じることができる。しかしながら、あまりに多くの溶接材料が存在する場合は、残存溶接材料は鉄と反応し、溶接部の性質に負の効果を有する化合物を生じる可能性がある。したがって、溶接材料の量を制御することは所望の溶接部の性質を得るために重要となり得る。当業者であれば、数ある要因の中でも特に、接合されている金属部材の組成(金属部材中の金属の種類および量)、金属部材間の形状および/または接触域、ならびに溶接材料の組成が、必要とされる溶接材料の量および組成に影響を及ぼす可能性があることを認識するであろう。
【0034】
1つの例示の実施形態では、継手を形成する方法は、第1および第2の金属部材(例えば、長尺状金属部材)を提供するステップを含んでなる。第1および第2の金属部材はそれぞれ第1および第2の溶接面を有することができる。溶接面は相互に溶接されている表面であってよい。第1および第2の溶接面のうち一方または両方が溶接材料でコーティングされてよい。溶接面のうち一方または両方の上に溶接材料を備えた溶接面は、極めて接近して配置可能であり(例えば、該溶接面の間に極めて狭い間隙を備えて溶接面が配置されてもよいし、溶接面が相互に接触していてもよい)、溶接面および溶接材料は相互に溶接可能である。溶接ステップは任意の適切な熱源、例えばレーザーを使用して実施可能である。溶接は、溶接材料および場合によっては溶接面の一部の融解を引き起こす可能性がある。いくつかの実施形態では、融解した溶接材料および溶接面はともに流展することが可能であり、これらが冷えて凝固すると、金属部材の間に継手を形成することができる。この実施例において、溶接材料および金属部材の構築材料は、本明細書中に記載された任意の実施形態に類似していてよい。さらに、この方法を医療用デバイスの製造において使用可能である。
【0035】
別の例示の実施形態では、デバイス(例えば医療用デバイス)は第1および第2の金属部材(例えば、長尺状金属部材)を含んでなることができる。2つの金属部材は、組成が本明細書中に記載された金属部材のうちいずれかに類似していてよい。継手は金属部材の間に形成可能であり、かつ継手は、第1の金属部材の1または複数の金属、第2の金属部材の1または複数の金属、および本明細書中に記載された溶接材料のうち任意のものを含んでなることができる。さらに、溶接材料が炭素を含んでなり、かつ金属部材のうちの1つがチタンを含んでなる場合、継手は炭化チタンを含んでなることができる。溶接材料が窒素を含んでなり、かつ金属部材のうちの1つがチタンを含んでなる場合、継手は窒化チタンを含んでなることができる。溶接材料が炭素および窒素を含んでなり、かつ金属部材のうちの1つがチタンを含む場合、継手はチタン炭窒化物、炭化チタン、または窒化チタンを含んでなることができる。当然ながら、チタンに加えて、またはチタンの代わりに、脆弱な金属間化合物を形成することができるいくつかの反応性金属が、上記の議論においてチタンの代わりに用いられてもよい。
【0036】
図1を参照すると、第1および第2の長尺状金属部材(10,19)がコーティング浴槽100と共に示されている。第1および第2の長尺状部材は、組成が本明細書中で議論された金属部材のうちのいずれかに類似していてもよい。第1の金属部材10の先端側部分11および第2の金属部材19の基端側部分18が示されている。第1の金属部材はさらに、先端側部分11に配置された先端部13を有し、第2の金属部材は基端側部分18に配置された基端部16を有する。図1には、金属部材上に溶接材料のコーティングを配する1つの可能な方法も示されている。示されているのはコーティング浴槽、例えば溶接材料のめっきまたはストライクめっきを施すために使用可能な電着浴槽または電気めっき浴槽であり、該浴槽中に先端側部分11および基端側部分18を浸漬させることができる。
【0037】
本願において言及された溶接材料は、他の方法で先端側部分11および基端側部分18に配置されてもよい。例えば、コーティングは、すずめっき処理、蒸着処理、浸漬コーティング処理、溶接材料を含有するゲルもしくはペーストの塗布、スプレーの適用、例えば液体スプレー、熱スプレー、およびコールドスプレー、マイクロペン(micropen)コーティング法、ロールコーティング法、スポンジコーティング方法、物理蒸着、ゾル‐ゲル法などを使用して、または他の適切な処理法を使用して、配置されることが考えられる。
【0038】
先端側部分および基端側部分(11,18)は溶接面を含んでなることができる。溶接面とは一般に、相互に溶接されるべき表面であってよい。例えば、この実施形態では、溶接面は先端部および基端部(13,16)であってよい。溶接面は溶接材料でコーティング可能である。例えば、溶接材料は溶接面と同一領域を占めてもよいし、溶接材料は溶接面全体よりも狭い範囲を占めてもよいし、該コーティングは溶接面全体にわたって広がり、さらに溶接面の外側へ広がってもよい。加えて、溶接材料は溶接面のうち一方または両方にコーティング可能である。
【0039】
図2では、両方の溶接面(端部13,16に示されている)はコーティング済みである。いくつかの例示の適用におけるコーティング厚は、約0.01マイクロメートル〜約1000マイクロメートルの範囲であってよく、ある場合には約1マイクロメートル〜約100マイクロメートルの範囲であってよく、またいくつかの実例では約5〜50マイクロメートルの範囲であってよい。図2に示されるように、コーティングは溶接面全体にわたって広がり、さらに溶接面の外側に及ぶことが可能であり;ここでは、コーティングは先端側部分11の一部に沿った距離だけ基端側へ、かつ基端側部分18の一部に沿った距離だけ先端側へ伸びている。コーティングされた溶接面は相互に極めて接近して配置可能である。(本願においては、「コーティングされた溶接面」という語句は、1つの表面がコーティングされ、1つの表面がコーティングされていない実施形態を含むことができる。)「極めて接近」とは、図2に示されるようにコーティングされた溶接面をわずかに離して位置決めすること、またはコーティングされた溶接面を相互に接触させて配置することを含むことができる。さらに、コーティングされた溶接面は相互に押しつけられてもよい。
【0040】
極めて接近して、または相互に押しつけられて金属部材が配置されて、金属部材および溶接材料がともに溶接されうる。1つの実施形態において、また図2に示されるように、レーザー光線111を放射することができるレーザー110は、溶接材料を、または場合によっては溶接面を、加熱するために使用可能である。いくつかの実施形態では、溶接材料は熱源によって融解されてもよい。他の実施形態では、溶接面の一部も熱源によって融解されてもよい。融解された材料はともに流展可能となり、冷却および凝固に際して、第1および第2の金属部材の間に継手を形成することができる。
【0041】
第1および第2の金属部材の間の継手の一例は、図3に示されている。この図において、第1の長尺状金属部材10の先端部は、継手120において第2の長尺状金属部材19の基端部に接合されている。そのような継手は突合せ継手と呼ぶことができる。継手120は溶接材料を含んでなることができる。ある場合には、継手は、第1の長尺状部材由来の1または複数の金属および第2の長尺状部材由来の1または複数の金属を含んでなることができる。第1および第2の長尺状金属部材の金属が望ましくない脆弱な金属間化合物を形成する可能性のある実施形態では、溶接材料は、そのような金属間化合物の形成を抑制する(例えば、通常形成されるのに比べて低減する)ことが可能であり、かつ場合によってはそのような金属間化合物の形成をほぼ完全に防止する可能性もある。上述のように、いくつかの溶接材料は、金属間化合物の前駆物質のうち1つと結合することにより金属間化合物の形成を防止することができる。例として、ある種の溶接材料に由来する炭素もしくは窒素、または両方は、チタンと反応し、ほとんど完全にチタンを拘束してチタンが鉄と反応するのを防止することができる。そのような事例では、継手は窒化チタン、炭化チタン、もしくはチタン炭窒化物のうち少なくともいずれか、またはこれらの混合物を含んでなることができる。
【0042】
いくつかの実施形態において、かつ図3に示されるように、継手120は金属部材(10,19)の外径より大きい外径を有することができる。そのような場合には、継手120の外径は溶接面の外側に堆積された溶接材料によって少なくとも部分的に形成されうる。他の場合には、継手120は、金属部材(10,19)の外形に従う可能性もある。例えば、このような外形は、溶接材料が溶接面と同一領域を占めるように配置されるか、溶接材料が溶接面全体よりも狭い範囲に配置される場合に生じうる。
【0043】
図4は、継手を形成する方法の別の実施形態を示す。第1の長尺状部材40は先端部44を備えた先端側部分41を有する。溶接面43は、先端側部分41の一部の片側面に示されている。溶接面43も溶接材料42でコーティングされる。図示されるように、溶接材料42は溶接面43だけでなくより広くコーティング可能であり;本例では、溶接材料42は先端側部分41の先端側領域を完全にコーティングしているものとして示されている。図1および2に関して上述されたように、溶接材料42は溶接面43全体より狭い範囲を覆って配置されることも、溶接面43と同一領域を占めるように配置されることも考えられる。さらに、基端部45を備えた基端側部分48を有する第2の長尺状部材49も示されている。溶接面46は、基端側部分48の一部の片側面に示されている。溶接面46も溶接材料47でコーティングされている。図示されるように、溶接材料47は溶接面46だけでなくより広くコーティング可能であり;本例では、溶接材料47は基端側部分48の基端側領域を完全にコーティングしているものとして示されている。図1および2に関して上述されたように、溶接材料47は溶接面46全体より狭い範囲を覆ってコーティングされることも、溶接面46と同一領域を占めることも考えられる。この図面の溶接材料(42,47)は本願において言及された溶接材料のうち任意のものであってよい。さらに、金属部材(40,49)は本明細書中に記載された金属部材のうち任意のものに類似の組成を有することができる。溶接面のうちの一方のみが溶接材料でコーティングされてもよいことも企図される。
【0044】
図4では、図2に関して議論されたように、コーティングされた溶接面(43,46)は、相互に極めて接近して配置され、ともに溶接されることができる。第1および第2の金属部材(40,49)の間に形成される継手は、図3に関して記載された突合せ継手と組成および形成方法が類似していてよい。図4に示される構成によって形成された継手は、重ね継手と呼ぶことができる。
【0045】
図4はさらに、第1および第2の金属部材(140,149)の間に継手を形成する方法のいくつかのさらなる可能な実施形態も示している。具体的には、図4は、先端側部分41および基端側部分48から取り除くことが可能ないくつかの断面(401,402)を幻像で示している。これらの断面は、該断面がともに嵌合可能なように、相互に補足するように形成可能である。そのような場合には、溶接面は、第1の金属部材40については参照数字43’および43”により、第2の金属部材49については46’および46”により示されうる。他の相補的な断面形状を使用することも考えられる。例えば、エーダー(Eder)らの米国特許第6,488,637号明細書に示された形状のうちのいくつかを使用可能であり、前記文献はその全体が参照により本願に組み込まれる。
【0046】
例えば、図4Aはそのような例示の構成を示しており、該構成において第1および第2の長尺状部材140/149は、ハイブリッド型重ね/突合せ継手と呼ぶことのできる継手を提供する、嵌め合う幾何学的形状を備えた端部を備えている。第1の長尺状部材140は、先端144を備えた先端側部分141を有し、先端側部分141はステップダウン型形状部分153を備えている。溶接面143は該部分153の片側面に示されている。溶接面143も溶接材料142でコーティングされている。図示されるように、溶接材料142は溶接面143だけでなくより広くコーティング可能であり;本例では、溶接材料142は先端側部分141の先端側領域を完全にコーティングしているものとして示されている。図1および2に関して上述されたように、溶接材料142は溶接面143全体より狭い範囲を覆って配置されることも、溶接面143と同一領域を占めることも考えられる。さらに図示されているのは、基端部145を備えた基端側部分148を有する第2の長尺状部材149であり、基端側部分148はステップダウン型形状部分151を備えている。溶接面146は該部分151の一部の片側面に示されている。溶接面146も溶接材料147でコーティングされている。図示されるように、溶接材料147は溶接面146だけでなくより広くコーティング可能であり;本例では、溶接材料147は基端側部分148の基端側領域を完全にコーティングしているものとして示されている。図1および2に関して上述されたように、溶接材料147は、溶接面146全体より狭い範囲を覆ってコーティングされることも、溶接面146と同一領域を占めることも考えられる。この図面の溶接材料(142,147)は本願において言及された溶接材料のうち任意のものであってよい。さらに、金属部材(140,149)は本明細書中に記載された金属部材のうち任意のものに類似の組成を有することができる。溶接面のうちの一方のみが溶接材料でコーティングされてもよいことも企図される。
【0047】
図4Aでは、図2に関して議論されたように、コーティングされた溶接面(143,146)は、相互に極めて接近して配置され、ともに溶接されることができる。第1および第2の金属部材(140,149)の間に形成される継手は、図3に関して記載された突合せ継手と組成および形成方法が類似していてよい。図4Aに示される構成によって形成された継手は、ハイブリッド型重ね/突合せ継手と呼ぶことができる。
【0048】
図5を参照すると、第1および第2の金属部材(50,59)が断面図で示されている。この実施例では、金属部材は管状である。第1の金属部材50は先端部53を備えた先端側部分51を有する。金属部材50はさらに溶接面も有しており;この図に示されるように溶接面は先端部53の表面であってよい。溶接材料52が溶接面53の上に配置されてもよい。第2の金属部材59は基端部56を備えた基端側部分58を有する。第2の金属部材59はさらに溶接面も有しており;図5に示されるように、溶接面は基端部56の表面であってよい。溶接材料57が溶接面56の上に配置されてもよい。溶接材料は、溶接面全体より狭い範囲に配置されてもよいし、溶接面と同一領域を占めてもよいし、または、図5に示されるように、溶接面より広く配置されてもよい。さらに、溶接材料(52,57)は溶接面(53,56)のうち一方の上に配置されても両方の上に配置されてもよい。溶接材料は、本明細書中で言及された溶接材料のうち任意のものを含んでなることが可能であり、金属部材は、本明細書中で言及された金属部材のうち任意のものに類似の材料を含んでなることが可能である。
【0049】
図1〜3に示された製法と同様に、コーティングされた溶接面(53,56)は相互に極めて接近して配置され、ともに溶接されることができる。金属部材の端部に溶接面(53,56)があると、金属部材の間に形成される継手は突合せ継手と呼ぶことができる。
【0050】
図6では、2つの管状の長尺状金属部材(60,69)の断面図が示されている。第1の部材60は、該管状部材60の先端部64を含む先端側部分61を有する。溶接面63は管状部材60の内側表面に示されている。溶接材料62が溶接面63を覆ってコーティングされてもよい。第2の部材69は、該管状部材69の基端部65を含む基端側部分68を有する。溶接面66は管状部材69の外側表面に示されている。溶接材料67が溶接面66を覆って配置されてもよい。他の図面に関して言及されたように、溶接材料(62,67)は溶接面(63、66)全体より狭い範囲に配置されてもよいし、溶接面(63,66)と同一領域を占めてもよい。さらに、図6に示されるように、溶接材料(62,67)は溶接面(63,66)より広い範囲を覆ってもよい。62の溶接材料は、先端側部分61の先端側領域の内側表面および外側表面を覆い、溶接材料67は、基端側部分68の基端側領域の内側表面および外側表面を覆っている。図6に示される溶接材料は、長尺状の管状金属部材(60,69)のうちいずれか一方に配置されてもよいし、または両方(図のとおり)に配置されてもよい。溶接材料(62,67)は、本明細書中で言及された溶接材料のうち任意のものを含んでなることができる。さらに、金属部材(60,69)は、本明細書中に記載された他の金属部材と併せて言及された材料のうち任意のものを含んでなることができる。
【0051】
さらに、長尺状の金属製管状部材(60,69)は、極めて接近するようになされてもよい(ここでは、これは第1の管状部材60の内部に第2の管状部材69を少なくとも部分的に配置することにより行うことができる)。その後、第1および第2の管状部材(60,69)は、例えば図1〜3に関して記載された技術のうち任意のもの使用して、ともに溶接可能である。第1の部材の先端側部分61と第2の部材の基端側部分68との間がある程度重複することで、該継手は重ね継手と呼ぶことができる。
【0052】
図6〜8は、数組の互いに相補的な形状を有する管状部材を示している。相補的な形状は、一方の管状部材を他方の管状部材の中へ挿入するのを容易にすることにより、溶接面を極めて接近させるステップを容易にすることができる。図6では、第2の金属製管状部材69は、第1の金属製管状部材60より小さい直径を有することが示されている。直径の差は、第2の管状部材69が第1の管状部材60の内部に配置されたとき、コーティングされた(また1つがコーティングされて1つがコーティングされていない)溶接面(63,66)が極めて接近する(例えば、相互に接近して、または相互に接触して配置される)ようになるようなものである。図7は、図6の管状部材にほとんどの点で類似しうる、かつ他の点では類似の方式で合わせて溶接可能な、2つの管状部材(70,79)を示している。図7の場合には、第2の管状部材79は角度をなして形成された基端部75を有する。この角度をなした端部は、第1の管状部材70の中への第2の管状部材79の進入を容易にすることができる。
【0053】
相補的な端部を備えた第1および第2の管状部材(80,89)の別の可能な実施形態が図8に示されている。この実施例では、第2の管状部材89の基端側部分88は縮小された直径を有することができる。この縮小直径は、図6および7に関して記載された方式と同様に、第1の管状部材80の中への第2の管状部材89の進入を容易にすることができる。縮小直径の部分より先端側の第2の管状部材89の部分が第1の管状部材80の先端側部分87の外径と同じ外径を有する場合、第1および第2の管状部材(80,89)の間の移行部はほぼ一定の外径を有することができる。
【0054】
本明細書中に記載された方法および構造物は、様々な状況において、例えば医療用デバイスの生産において使用可能である。医療用デバイス構築の例として、2つの中実断面の長尺状金属部材が接合されてもよいし、他の医療用デバイスでは2つの長尺状の金属製管状部材がともに接合され、いくつかの場合には1つの管状部材と1つの中実断面の部材とがともに接合され、また他の医療用デバイスの用例では金属ワイヤまたは他の種類の構造物がともに接合される。
【0055】
図9を参照すると、ガイドワイヤの一例が示されている。ガイドワイヤ901は、シース920の内側に少なくとも部分的に配置されたコアワイヤ910を有している。コアワイヤは、基端部911、基端側部分913、先端部912および先端側部分914を有することができる。基端側部分913は一定の直径を有することが可能であり、先端側部分914はテーパ状をなしていてもよく;例えば、先端側部分914は、一連の1つ以上のテーパ状部940および1つ以上の等直径部分941においてテーパ状をなしていてもよい。
【0056】
基端側部分および先端側部分(913,914)は、組成が本明細書中で議論された金属部材のうち任意のものと類似していてよい。上記の部分(913,914)は継手915において接合可能である。例えば、基端側部分913は鉄を含んでなることが可能であり(例えば、ステンレス鋼またはその他の鉄を含んでなる合金を含んでなることができる)、先端側部分914はチタンを含んでなることができる(例えば、ニチノールまたはその他のチタンを含んでなる合金を含んでなることができる)。継手は、例えば本明細書中に記載された継手のうち任意のものであってよい。図9に示される例において、継手915は、継手より基端側の直径一定の基端側部分913と、継手915より先端側の直径一定の先端側部分914とを備えて示されている。継手915はコアワイヤ910に沿って様々な位置に配置されることも可能である。例えば、継手915は、第1のテーパ状部940が始まる地点に配置されることも考えられるし、第1のテーパ状部940に、第1のテーパ状部940より先端側に、または第1のテーパ状部940より先端側の直径一定の部分のうちの1つ(例えば941)に配置されることも考えられる。さらに、コアワイヤは、上記の位置のうち任意の位置に第2の継手を含んでなることも考えられる。この第2の継手は、本明細書中に記載された継手のうち任意のものに類似していることが考えられ、かつ該継手がコアワイヤ910を基端側区域、中間区域および先端側区域に有効に分割することも考えられる。1つの実施形態では、基端側区域、中間区域および先端側区域は、鉄を含んでなる金属(例えば、ステンレス鋼またはその他の鉄を含んでなる合金)と、チタンを含んでなる金属(例えば、ニチノールまたはその他のチタンを含んでなる合金)とが交互になっていてもよい。例えば、基端側区域は鉄(例えば、ステンレス鋼またはその他の鉄を含んでなる合金)を含んでなり、中間区域はチタン(例えば、ニチノールまたはその他のチタンを含んでなる合金)を含んでなり、先端側区域は鉄(例えば、ステンレス鋼またはその他の鉄を含んでなる合金)を含んでなることができる。
【0057】
コアワイヤの少なくとも一部はスリーブ(例えば金属スリーブ920)によって画成されたルーメン内に配置可能である。スリーブ920は、基端部921、先端部922および内側表面925を有することができる。基端部921は、基端方向に、継手915より先端側の地点まで延びてもよいし、継手915まで延びてもよいし、または、図9に幻像で示されるように、継手915の基端側の地点まで延びてもよい。スリーブ920は、例えばスリーブ920を通り抜けるスロットを切り抜くことにより、可変的な可撓性を有することができる。そのような管状構造物の例については、米国特許出願公開第2003/0060732号、同第2003/0069522号、同第2003/0009208号および同第2004/0181174号の開示内容を参照されたい(これらの特許文献は全て全体が本明細書に組み込まれる)。
【0058】
スリーブ920はさらに、例えば図5〜8に関して記載された方式でともに接合された、複数の管状セグメントを含んでなることもできる。いくつかの実施形態では、スリーブ920の基端側部分は鉄を含んでなることが可能であり(例えば、ステンレス鋼またはその他の鉄を含んでなる合金を含んでなることができる)、スリーブ920の先端側部分はチタンを含んでなることができる(例えば、ニチノールまたはその他のチタンを含んでなる合金を含んでなることができる)。さらに、スリーブ920とコアワイヤ910との間の接続地点では、スリーブ920およびコアワイヤ910のうちの一方は鉄(例えば、ステンレス鋼またはその他の鉄を含んでなる合金)を含んでなることが可能であり、他方はチタン(例えば、ニチノールまたはその他のチタンを含んでなる合金)を含んでなることが可能である。例えば、接続地点のコアワイヤ910は鉄(例えば、ステンレス鋼またはその他の鉄を含んでなる合金)を含んでなり、かつスリーブ920はチタン(例えば、ニチノールまたはその他のチタンを含んでなる合金)を含んでなることもできるし、その逆も成立する。
【0059】
さらに、他の金属製要素がガイドワイヤ901に組み込まれてもよい。例えば、延長ワイヤ930がコアワイヤ先端部912に取り付けられてもよい。延長ワイヤ930は基端側部分931および先端側部分932を有することができる。コアワイヤ先端部912および延長ワイヤ930は、異なる金属で構成されていてよい。コアワイヤ先端部912および延長ワイヤ930のうちの一方は、鉄(例えば、ステンレス鋼またはその他の鉄を含んでなる合金)を含んでなることが可能であり、他方はチタン(例えば、ニチノールまたはその他のチタンを含んでなる合金)を含んでなることが可能である。1つの実施形態では、コアワイヤ先端部912は、ニチノールまたはその他のチタンを含んでなる合金を含んでなることが可能であり、かつ延長ワイヤ930は、ステンレス鋼または他の鉄を含んでなる合金を含んでなることが可能であり、その逆も成立する。
【0060】
ガイドワイヤ901は先端側チップ950を含んでなることもできる。チップ950は丸みを帯びた材料塊であってよい。いくつかの例において、丸みを帯びた材料塊は金属であってよい。ある場合には、先端側チップは、管状部材先端部922、コアワイヤ先端部912もしくは延長ワイヤ先端部932、またはこれらの組み合わせに取り付けられてよい。先端側チップ950、および先端側チップ950が取り付けられる構造物(例えば、コアワイヤ先端側チップ、延長ワイヤまたはスリーブのうち少なくともいずれか)のうちの一方は、鉄(例えば、ステンレス鋼またはその他の鉄を含んでなる合金)を含んでなることが可能であり、他方はチタン(例えば、ニチノールまたはその他のチタンを含んでなる合金)を含んでなることが可能である。1つの実施形態では、先端側チップ950はステンレス鋼または他の鉄を含んでなる合金を含んでなることが可能であり、先端側チップ950が取り付けられる構造物(例えばコアワイヤ先端側チップ、延長ワイヤまたはスリーブのうち少なくともいずれか)は、ニチノールまたは別のチタンを含んでなる合金を含んでなることが可能であり、その逆も成立する。
【0061】
図10を参照すると、メッシュ1000の一部が示されている。メッシュ1000は、数多い用途の中でも特に、フィルタ、閉塞デバイス、およびステントにおいて使用可能である。メッシュ1000は、第2の素線1002と合わせて織られた第1の素線1001を含んでなることができる。これらの素線は、点1010において互いに交差する。いくつかの実施形態では、素線は1010において相互に取り付けられてもよい。これらの素線が金属を含んでなる場合、該素線は相互に溶接することにより取り付けられてもよい。ある場合には、素線のうちの一方が鉄(例えば、ステンレス鋼またはその他の鉄を含んでなる合金)を含んでなることが可能であり、他方の素線はチタン(例えば、ニチノールまたはその他のチタンを含んでなる合金)を含んでなることが可能である。そのような場合、素線は本明細書中に記載された技術のうち任意のものをに使用してともに溶接可能である。
【0062】
さらに、当業者には十分理解されることであるが、メッシュ1000の複数の素線は鉄(例えば、ステンレス鋼またはその他の鉄を含んでなる合金)を含んでなることが可能であり、かつ複数の素線はチタン(例えば、ニチノールまたはその他のチタンを含んでなる合金)を含んでなることが可能である。異種材料の素線が互いに交差する地点のうち少なくともいくつかにおいて、素線は、本明細書中に記載された溶接方法のうち任意の方法を使用して相互に取り付けることが可能である。
【0063】
図11を参照すると、カテーテルが示されている。カテーテル1100は、グリフィン(Griffin)らの米国特許第7,001,369号明細書に記載されている構造に類似の構造を有することが可能であり、前記特許文献は全体が本願に組み込まれる。カテーテル1100はハブ1101およびシャフト1102を有することができる。シャフト1102は、ポリマーを含んでなることができるインナーライナー1110を含んでなることができる。シャフトは外側金属部材1120を含んでなることもできる。外側金属部材1120は基端側部分1121および先端側部分1122を含んでなることができる。基端側部分および先端側部分(1121,1122)は継手1130において接合可能である。継手ならびに基端側および先端側部分は、図5〜9に関して議論された継手および管状部材のうち任意のものに類似していてよい。基端側部分および先端側部分(1121,1122)のうちの一方は鉄(例えば、ステンレス鋼またはその他の鉄を含んでなる合金)を含んでなることが可能であり、他方の部分はチタン(例えば、ニチノールまたはその他のチタンを含んでなる合金)を含んでなることが可能である。例えば、基端側部分1121はステンレス鋼(またはその他の鉄を含んでなる合金)を含んでなることが可能であり、先端側部分1122はニチノール(またはその他のチタンを含んでなる合金)を含んでなることが可能であり、その逆も成立する。図5〜9に関して記載されている溶接材料および継手構造物のうち任意のものを、継手1130の形成に使用可能である。
【0064】
本発明は上述の具体的な例に限定されると考えるべきではなく、むしろ添付の特許請求の範囲に適正に述べられているような本発明の態様をすべて包含するものと理解されるべきである。本発明を適用できることができる様々な変更形態、等価な製法、および多数の構造物については、本明細書を検討すれば、本発明が関係する分野の当業者には容易に明白になるであろう。例えば、いくつかの実施形態では、溶接材料は、金属間化合物の形成を抑制する傾向を有する構成要素に加えてフラックス(flux)を含む場合がある。当然ながら、本開示は多くの点において単なる例示にすぎない。細部、特に形状、大きさおよびステップの配置構成に関して、本発明の範囲を超えることなく変更を加えることが可能である。当然、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲が表現されている言語において定義される。
(実施例)
【実施例1】
【0065】
本実施例では、溶接材料として金を使用して、ステンレス鋼およびニッケル‐チタン合金(ニチノール)の溶接について理解しかつ特徴解析するために、一連の試験が実施された。溶接されている材料の溶接面に電気めっきされた金の層を付加することにより、溶接の強度および金属間化合物の低減効率を評価するために、一連の試験が遂行された。
【0066】
厚付けの酸性金434がステンレス鋼の薄いリボンおよびニチノールの薄いリボンの上に電気めっきされた。電気めっき処理の実施に際しては、付着を改善し、かつステンレス鋼およびニチノールの酸化層を縮小するために、最初に金のストライクめっきが施され、次いで該ストライクめっきを覆って金の層が電気めっきされた。使用されためっき材料は、Technic ACR 434と呼ばれる軟質電解金であった。金のストライクめっき処理および金めっき処理のパラメータは、以下の表1に概説されている。
【0067】
【表1】
その後、めっきされたステンレス鋼の薄いリボンはニチノールの薄いリボンに対して重ね継手の構成にレーザー溶接され、溶接された構造物は引張強度および疲労強度に関して試験された。試験の結果は以下の表2に示されている:
【0068】
【表2】
溶接部についてSEMおよび金属組織学的分析も行なわれ、2つの異なる金属(ステンレス鋼およびニチノール)の間の分離線を伴わない良好な移行部が明らかとなったが、このことは良好な溶接継手を意味している。
【実施例2】
【0069】
本実施例では、溶接材料として金およびニッケルの組み合わせを使用して、ステンレス鋼およびニッケル‐チタン合金(ニチノール)の溶接について理解しかつ特徴解析するために、一連の試験が実施された。溶接されている材料の溶接面に電気めっきされた金層および電気めっきされたニッケル層を付加することにより、溶接の強度および金属間化合物の低減効率を評価するために、一連の試験が遂行された。
【0070】
厚付けの酸性金434が、ステンレス鋼の薄いリボンおよびステンレス鋼の丸いワイヤ、ならびにニチノールの薄いリボンおよびニチノールの丸いワイヤの上に電気めっきされた。電気めっき処理の実施に際しては、最初に、付着を改善し、かつステンレス鋼およびニチノールの酸化層を縮小するために金のストライクめっきが施され、次いで該ストライクめっきを覆って金層が電気めっきされた。その後、金層を覆ってニッケル層が電気めっきされた。使用された金めっき材料は、Technic ACR 434と呼ばれる軟質電解金であった。使用されたニッケルめっき材料は、低リンのニッケルであった。金のストライクめっき処理、金めっき処理、およびニッケルめっき処理のパラメータは、以下の表3に概説されている。ニッケルは、レーザー溶接を増強し、かつ金によってもたらされる高い反射率を低減するために付加された。いずれの電気めっき材料も、異種材料が溶接される時に融解中に形成されることの多い金属間の層を低減することができる。
【0071】
【表3】
その後、めっきされたステンレス鋼の薄いリボンはニチノールの薄いリボンに対して重ね継手の構成にレーザー溶接され、該溶接構造物は引張強度および疲労強度に関して試験された。めっきされたステンレス鋼の丸いワイヤはニチノールの丸いワイヤに対して突合せ継手の構成にレーザー溶接され、該溶接構造物は引張強度および疲労強度に関して試験された。試験の結果は以下の表4に示されている:
【0072】
【表4】
溶接部についてSEMおよび金属組織学的分析も行なわれ、2つの異なる金属(ステンレス鋼およびニチノール)の間の分離線を伴わない良好な移行部が明らかとなったが、このことは良好な溶接継手を意味している。
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して金属部材を接続するための方法および設計に関する。具体的には、本開示は、医療用デバイス内において金属部材を相互に接続するための方法および設計に関するものであってよい。
【背景技術】
【0002】
金属部材の接合は多くの様々な目的のために行なわれる。ある状況においては、接合される金属部材は異なる金属を含んでなるものでよい。例として、金属は、医療用デバイスの構築において使用される可能性があり、いくつかの例においては、異なる金属を含んでなる2つの金属部材が医療用デバイス内で相互に接合される。そのような金属構造物間の継手の強度、耐久性またはその他の性質のうち少なくともいずれかを改善する方法および設計が継続的に必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は上記した問題を解決することができる金属部材を相互に接続するための方法および設計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、2つの金属構造物の間に継手を提供するいくつかの代替的な設計、材料および方法について説明する。各実施形態において、接合されるべき表面の間に間置される溶接材料は、溶接継手の形成後に溶接領域内に存在する脆弱な金属間化合物の濃度を、溶接材料が無い場合に存在する量に比べて低減する。
【0005】
従って、一例の実施形態では、医療用デバイスを製造する方法は第1および第2の金属部材を提供することを含むことができる。各々の金属部材は溶接面を有することができる。溶接面は、相互に溶接されることになっている金属部材の表面であってよい。例えば、金属部材は長尺状金属部材であってよく、溶接面は、一方の金属部材の先端側部分(例えば先端部)および他方の金属部材の基端側部分(例えば基端部)に位置していてもよい。金属部材は異なる金属を含んでなることができる。いくつかの実施例では、金属部材は、溶接時に互いに脆弱な金属間化合物を形成する可能性のある金属を含んでなる可能性がある。
【0006】
いくつかの実施形態では、溶接材料は溶接面のうち一方または両方に適用可能である。金属部材が、溶接時に脆弱な金属間化合物を形成する可能性のある金属を含んでなる場合、ある溶接材料は、溶接継手における脆弱な金属間化合物の形成を抑制することができる。溶接面および溶接材料はその後、例えばレーザーのような熱源を使用して溶接可能である。ある場合には、第1の金属部材は鉄を含んでなり、第2の金属部材はチタンを含んでなることができる。例えば、第1の金属部材は、ステンレス鋼または他の鉄を含んでなる合金を含んでなることが考えられ、また第2の金属部材は、ニチノールのようなニッケル‐チタン合金、または他のチタンを含んでなる合金を含んでなることが考えられる。
【0007】
いくつかの例示の実施形態は、溶接継手を形成する方法に関するものであってよく、鉄を含んでなる第1の合金を含んでなる第1の金属部材であって第1の溶接面を有する第1の部材を提供するステップと、チタンを含んでなる第2の合金を含んでなる第2の金属部材であって第2の溶接面を有する第2の部材を提供するステップとを含むことができる。溶接材料は溶接面のうち少なくとも一方に適用されればよい。溶接面および溶接材料は、溶接されて第1および第2の金属部材の間に継手を形成することが可能であり、溶接材料は、継手内部における脆弱な金属間の鉄‐チタン化合物の形成を抑制することができる。
【0008】
別の例示の実施形態は、第1および第2の金属部材を、該金属部材の間に配置された継手とともに含んでなる医療用デバイスに関する。2つの金属部材は2つの異なる金属を含んでなることができる。ある場合には、これらの異なる金属は、溶接によって相互に直接接合されると脆弱な金属間化合物を形成する可能性がある。溶接継手は、第1の金属部材由来の金属、第2の金属部材由来の金属、および溶接材料を含んでなることができる。金属部材が、通常は溶接時に脆弱な金属間化合物を形成しうる金属を含んでなる場合、溶接材料は該金属間化合物の形成を抑制することができる。
【0009】
例えば、1つの実施形態は、鉄を含む第1の合金を含んでなる第1の金属部材と、チタンを含む第2の合金を含んでなる第2の金属部材とを含んでなり、第1および第2の合金は異なることを特徴とする、医療用デバイスに関する。第1および第2の金属部材の溶接面の間に、第1の合金、第2の合金、および溶接材料を含んでなる溶接継手が配置される。いくつかの実施形態では、医療用デバイスは、第1の長尺状ステンレス鋼部材と、第2の長尺状ニッケル‐チタン合金部材と、第1および第2の長尺状部材の間に形成された溶接継手であって、ステンレス鋼、ニッケル‐チタン合金、および溶接材料の構成要素を含んでなる溶接継手とを備えることができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、溶接材料は、炭素、窒素、金、またはこれらの組み合わせを含んでなることができる。例えば、いくつかの実施形態では、溶接材料は、炭素(例えばグラファイト)、または適正範囲の粘性を備えた固体状態もしくは液体状態の炭素含有材料、のうち少なくともいずれか一方を含んでなるものでもよいし、前記のうち少なくともいずれか一方から実質上構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、炭素含有材料は、有機金属化合物もしくは有機金属錯体(例えばFeC2O4・2H2O、Fe(OOC7H15)(OC3H7))、有機化合物であって炭素、水素、および酸素から実質上構成されているもの、金属炭化物であって金属の炭素に対する親和性がチタンの炭素に対する親和性より弱いもの、または少なくとも1つのそのような金属炭化物もしくは十分量の炭素を含有している合金であってよい。いくつかの実施形態では、例えば、グラファイトが炭素含有材料として使用される場合、グラファイトはシートまたはペーストの形態で溶接面に適用可能である。そのような例では、継手は炭化チタンを含んでなることができる。
【0011】
いくつかの例において、溶接材料は、純粋な窒素(例えば窒素ガス)、または適正範囲の粘性を備えた固体状態もしくは液体状態の窒素含有材料、のうち少なくともいずれか一方を含んでなるものでもよいし、前記のうち少なくともいずれか一方から実質上構成されていてもよい。いくつかの実施例において、窒素含有材料は、有機金属化合物もしくは有機金属錯体(例えばFe(NO3)3・9H2O)、有機化合物であって炭素、窒素、水素、および酸素から実質上構成されているもの、金属窒化物であって金属の窒素に対する親和性がチタンの窒素に対する親和性より弱いもの、または少なくとも1つのそのような金属窒化物もしくは十分量の窒素を含有している合金であってよい。窒素ガスが使用される場合、窒素ガスは溶接エリアを覆って配置された包囲空間内で適用可能である。これらの実施例では、継手は窒化チタンを含んでなることができる。
【0012】
いくつかの実施例において、溶接材料は、炭素もしくは炭素含有材料のうち少なくともいずれか一方と窒素もしくは窒素含有材料のうち少なくともいずれか一方との組み合わせもしくは混合物を、含んでなるものでもよいし、かつ/または前記組み合わせもしくは混合物から実質上構成されていてもよい。溶接材料はさらに、炭素および窒素を含有する有機金属化合物もしくは有機金属錯体(例えばFe4[Fe(CN)6]3)、有機化合物であって炭素、窒素、水素、および酸素から実質上構成されているもの、金属炭窒化物であって金属の炭素もしくは窒素のうち少なくともいずれか一方に対する親和性がチタンの炭素もしくは窒素のうち少なくともいずれか一方に対する親和性より弱いもの、または合金であって少なくとも1つのそのような金属炭窒化物もしくは十分量の炭素および窒素を含有しているものであってもよい。そのような場合、継手は、チタン炭窒化物、かつ/または、炭化チタン、窒化チタン、もしくはチタン炭窒化物のうち少なくともいずれかの混合物、を含んでなることができる。
【0013】
さらにいくつかの他の実施形態では、溶接材料は、金もしくは金とニッケルとの混合物のうち少なくともいずれか一方を、含んでなるものでもよいし、かつ/または前記から実質上構成されていてもよい。
【0014】
いくつかの実施形態についての上記概要は、本発明の開示された各実施形態またはすべての実装について説明することが意図されたものではない。図面および以降の詳細な説明は、上記およびその他の実施形態をより具体的に例証する。
【0015】
本発明の様々な実施形態についての以下の詳細な説明を添付の図面と併せて考慮すれば、本発明をより十分に理解することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】溶接材料でコーティングされる前の2つの長尺状構造物および該長尺状構造物を浸漬させることができるコーティング浴槽を示す図。
【図2】図1の長尺状部材が溶接材料でコーティングされた後の同部材、およびコーティング面に向けられたレーザーを示す図。
【図3】図1および2の長尺状部材が突合せ溶接の構成に相互に接合された後の同部材を示す図。
【図4】2つの長尺状構造物が重ね溶接の構成に相互に接合される前の同構造物を示す図。
【図4A】2つの長尺状構造物がハイブリッド型の重ね/突合せ溶接の構成に相互に接合される前の同構造物を示す図。
【図5】2つの管状の長尺状構造物が突合せ溶接の構成に相互に接合される前の同構造物を示す図。
【図6】2つの管状の長尺状構造物が重ね溶接の構成に相互に接合される前の同構造物を示す図。
【図7】2つの管状の長尺状構造物が共に接合される前の同構造物であって、管状の長尺状構造物は、一方の管状の長尺状部材を他方の管状の長尺状構造物の中へ挿入するのを容易にする大きさおよび形状である、該構造物を示す図。
【図8】別のセットの管状の長尺状構造物が共に接合される前の同構造物であって、管状の長尺状構造物は、一方の管状の長尺状構造物を他方の管状の長尺状構造物の中へ挿入するのを容易にする大きさおよび形状である、該構造物を示す図。
【図9】ガイドワイヤの実施例を示す図。
【図10】医療用デバイスに組み入れることが可能なメッシュ材料の実施例を示す図。
【図11】カテーテルの実施例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明には様々な改変形態および代替形態の可能性があるが、そのうち一部の具体的形態が例として図面に示されており、かつ以下に詳細に記載されることになる。しかしながら、本発明を記載された特定の実施形態に限定するものではなく、本発明の趣旨および範囲の内にある全ての改変形態、等価物、および代替形態を包含するものである。
【0018】
以下に定義される用語については、特許請求の範囲または本明細書中の他所において異なる定義が与えられない限り、以下の定義が適用されるものとする。
用語「ポリマー」は、ポリマー、コポリマー(例えば2以上の異なるモノマーを使用して形成されたポリマー)、オリゴマーおよびこれらの組み合わせ、ならびに、例えば共押し出し成形やエステル交換反応などの反応により混合性ブレンドに形成されうるポリマー、オリゴマー、またはコポリマーを含むと了解されるものとする。ブロックコポリマーおよびランダムコポリマーはいずれも、別途記載のないかぎり含まれる。
【0019】
数値はすべて、明示されているか否かにかかわらず、本明細書中では用語「約」で修飾されるものと見なされる。用語「約」は一般に、記述された値と等価である(すなわち、同じ機能または結果を有する)と当業者が考えると思われる範囲の数値を指す。多くの場合、用語「約」は有効数字の位に四捨五入される数値を含むことができる。
【0020】
端点による数値範囲の記述は、その範囲内のすべての数値を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4および5を含む)。
本明細書および添付の特許請求の範囲においては、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、内容が明らかにそうでないことを述べていない限り、複数の指示物を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲においては、用語「または、もしくは(or)」は一般に、内容が明らかにそうでないことを述べていない限り、「選択肢のうち少なくともいずれか(and/or)」を含む意味で使用される。
【0021】
本明細書中における「実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などへの言及は、記載された実施形態が特定の特性、構造、または特徴を備えることができるが、すべての実施形態が必ずしもその特定の特性、構造、または特徴を備えているとは限らないことを示していることに留意されたい。さらに、そのような言い回しは必ずしも同一の実施形態を指していない。さらに、特定の特性、構造、または特徴がある実施形態に関して記載される場合、明示的に記載されているか否かに関わらず他の実施形態に関してもそのような特性、構造、または特徴をもたらすことは、当業者の知識の範囲内にあろう。
【0022】
以下の記載は図面を参照しながら読まれるべきであり、図面において、同様の参照数字はいくつかの図面全体に共通する同様の要素を示している。図面(必ずしも一定の縮尺ではない)は、特許請求の範囲に記載された発明の実例となる実施形態を示している。
【0023】
金属の接合は様々な目的のために行なわれる。ある場合には、接合されている金属部材は異なる金属を含んでなることができる。いかなる場合でも、2つの金属部材の間の継手は、高い強度もしくは耐久性のうち少なくともいずれか、かつ/または低い脆性のような、ある種の性質を有することが望ましい可能性がある。
【0024】
ある場合には、2つの金属部材は、相互に直接溶接された場合に金属間化合物を形成する可能性のある、2つの異なる金属を含んでなる可能性がある。これらの金属間化合物のうちのいくつかは、2つの金属部材の間の継手の性質に影響を与える場合があり、例えば金属間化合物は接合されている金属部材に比べて脆い場合がある。
【0025】
ある場合には、金属部材のうち一方がチタンを含んでなり(例えば、該部材がニチノールのようなニッケル‐チタン合金またはその他のチタンを含んでなる合金を含んでなることが考えられる)、他方の金属部材が鉄を含んでなることができる(例えば、該部材がステンレス鋼またはその他の鉄を含んでなる合金を含有することが考えられる)。これらの材料が相互に接合されると、脆弱な金属間化合物が生じる可能性がある(例えばFeTiまたはFe2Ti)。そのような金属間化合物の形成は、金属部材の間に比較的低強度で低耐久性の継手をもたらす可能性がある。例えば、金属間化合物は、金属部材間の継手を、接合されている金属部材よりも脆弱にし、従って継手の上に歪みが加わったときに壊れやすい可能性のある継手を形成することが考えられる。
【0026】
1つの例示の実施形態では、溶接材料は、金属部材間の継手の所望の性質を増強するために使用することができる。2つの金属部材の異なる金属が脆弱な金属間化合物を形成する可能性がある場合、溶接材料は、金属間化合物の形成を抑制する(例えば、ほぼ完全に防止する)可能性がある。何らかの特定の理論に拘束されるものではないが、このプロセスは、ある種の溶接材料中の元素または化合物が金属間化合物の前駆物質(例えばチタン)と反応するかまたは他の方法で結合して、該前駆物質が別の金属(例えば鉄)と反応するのを妨げ、その結果脆弱な金属間物質の生成を抑制することができるという事実によって促進されると考えられる。その結果、2つの金属部材の間の継手にそのような溶接材料が存在することにより、より強固もしくは高耐久性のうち少なくともいずれか、かつ/またはより脆性の低い継手をもたらすことが可能である。他の実施形態では、ある種の溶接材料中または該溶接材料を用いて溶接工程の際に形成される反応生成物中の元素または化合物は、金属部材の構成要素の混合を制限する傾向を有する拡散障壁または希釈障壁として作用することができると考えられ、そうでなければ金属部材の構成要素は反応して脆弱な金属間化合物を形成すると思われる。さらに他の実施形態では、上記のメカニズムはいずれも溶接継手内部に存在する脆弱な金属間化合物の濃度の低減に寄与しうると考えられる。
【0027】
金属間化合物の形成を抑制かつ/または防止することができる溶接材料の例は、炭素を含んでなる材料、窒素を含んでなる材料、炭素と窒素の両方を含んでなる材料、金を含んでなる材料、および金とニッケルとを含んでなる材料である。
【0028】
いくつかの実施例において、溶接材料は、炭素(例えばグラファイト)、または適正範囲の粘性を備えた固体状態もしくは液体状態の炭素含有材料のうち少なくともいずれか一方を、含んでなるものでもよいし、かつ/または前記から実質上構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、炭素含有材料は、有機金属化合物もしくは有機金属錯体(例えばFeC2O4・2H2O、Fe(OOC7H15)(OC3H7))、有機化合物であって炭素、水素、および酸素から実質上構成されているもの、金属炭化物であって金属の炭素に対する親和性がチタンの炭素に対する親和性より弱いもの、または少なくとも1つのそのような金属炭化物もしくは十分量の炭素を含有している合金であってよい。いくつかの実施形態では、例えばグラファイトが使用される場合、グラファイトはシートまたはホイルまたはペーストまたはコーティングの形態で溶接面に適用可能である。そのような実施例において、継手は炭化チタンを含んでなることができる。
【0029】
いくつかの実施例において、溶接材料は、純粋な窒素(例えば窒素ガス)、または適正範囲の粘性を備えた固体状態もしくは液体状態の窒素含有材料のうち少なくともいずれか一方を、含んでなるものでもよいし、かつ/または前記から実質上構成されていてもよい。いくつかの実施例において、窒素含有材料は、有機金属化合物もしくは有機金属錯体(例えばFe(NO3)3・9H2O)、有機化合物であって炭素、窒素、水素、および酸素から実質上構成されているもの、金属窒化物であって金属の窒素に対する親和性がチタンの窒素に対する親和性より弱いもの、または少なくとも1つのそのような金属窒化物もしくは十分量の窒素を含有している合金であってよい。窒素ガスが使用される場合、窒素ガスは溶接エリアを覆って配置された包囲空間内で適用可能である。これらの実施例において、継手は窒化チタンを含んでなることができる。
【0030】
いくつかの実施例において、溶接材料は、炭素または炭素含有材料と窒素または窒素含有材料との混合物を、含んでなるものでもよいし、かつ/または前記から実質上構成されていてもよい。溶接材料はさらに、炭素および窒素を含有する有機金属化合物もしくは有機金属錯体(例えばFe4[Fe(CN)6]3)、有機化合物であって炭素、窒素、水素、および酸素から実質上構成されているもの、金属炭窒化物であって金属の炭素および窒素に対する親和性がチタンの炭素および窒素に対する親和性より弱いもの、または少なくとも1つのそのような金属炭窒化物もしくは十分量の炭素および窒素を含有している合金であってもよい。そのような場合、継手は、チタン炭窒化物、炭化チタン、または窒化チタンを含んでなることができる。
【0031】
上記に示されるように、適切な溶接材料はさらに、金もしくは金合金、または金もしくは金合金とニッケルもしくはニッケル合金との組み合わせを含んでなる場合もある。例えば、金の層、かつ/または金の層およびニッケルの層が、溶接材料として作用するために1つ以上の溶接面に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、金の層は、ストライクめっき処理もしくはめっき処理のうち少なくともいずれか、またはその他の適切な適用技術を通じて1つ以上の溶接面に堆積させることが可能であり、この金の層は適切な溶接材料として作用することができる。いくつかの実施形態では、ニッケルの付加層は、例えばストライクめっき処理もしくはめっき処理のうち少なくともいずれかを通じて、金の層を覆うように適用可能であり、この金の層およびニッケルの層は適切な溶接材料として作用することができる。さらに他の実施形態では、金およびニッケルの混合物を含む層が溶接面に適用されて、適切な溶接材料として作用する可能性が企図される。さらに、溶接材料が本明細書中で議論された上記の溶接材料の任意の組み合わせを含んでなる場合もあることも企図される。
【0032】
ある場合には、結合部における所望の性質を提供するために溶接材料の量および組成を制御することが望ましい。理論によって拘束されるものではないが、ある種の元素または化合物はチタン(またはその他の金属間化合物前駆物質)と結合する親和性を有すると考えられる。これらの元素または化合物がチタン(または他の前駆物質)と結合すると、得られる化合物は、結合しない場合に生じるであろう金属間化合物が有するほど大きな負の効果を結合部の性質に対して有していない。しかしながら、過度の溶接材料が加えられると、溶接材料は利用可能な全てのチタン(または他の前駆物質)と結合する可能性があり、かつ溶接材料の一部が残存する可能性がある。この残存溶接材料は、場合によっては溶接部の性質に有害作用を有する可能性がある。
【0033】
例えば、チタンおよび鉄の場合、溶接材料は利用可能な全てのチタンと反応して、溶接部の性質に負の効果をほとんど有する可能性のない化合物を生じることができる。しかしながら、あまりに多くの溶接材料が存在する場合は、残存溶接材料は鉄と反応し、溶接部の性質に負の効果を有する化合物を生じる可能性がある。したがって、溶接材料の量を制御することは所望の溶接部の性質を得るために重要となり得る。当業者であれば、数ある要因の中でも特に、接合されている金属部材の組成(金属部材中の金属の種類および量)、金属部材間の形状および/または接触域、ならびに溶接材料の組成が、必要とされる溶接材料の量および組成に影響を及ぼす可能性があることを認識するであろう。
【0034】
1つの例示の実施形態では、継手を形成する方法は、第1および第2の金属部材(例えば、長尺状金属部材)を提供するステップを含んでなる。第1および第2の金属部材はそれぞれ第1および第2の溶接面を有することができる。溶接面は相互に溶接されている表面であってよい。第1および第2の溶接面のうち一方または両方が溶接材料でコーティングされてよい。溶接面のうち一方または両方の上に溶接材料を備えた溶接面は、極めて接近して配置可能であり(例えば、該溶接面の間に極めて狭い間隙を備えて溶接面が配置されてもよいし、溶接面が相互に接触していてもよい)、溶接面および溶接材料は相互に溶接可能である。溶接ステップは任意の適切な熱源、例えばレーザーを使用して実施可能である。溶接は、溶接材料および場合によっては溶接面の一部の融解を引き起こす可能性がある。いくつかの実施形態では、融解した溶接材料および溶接面はともに流展することが可能であり、これらが冷えて凝固すると、金属部材の間に継手を形成することができる。この実施例において、溶接材料および金属部材の構築材料は、本明細書中に記載された任意の実施形態に類似していてよい。さらに、この方法を医療用デバイスの製造において使用可能である。
【0035】
別の例示の実施形態では、デバイス(例えば医療用デバイス)は第1および第2の金属部材(例えば、長尺状金属部材)を含んでなることができる。2つの金属部材は、組成が本明細書中に記載された金属部材のうちいずれかに類似していてよい。継手は金属部材の間に形成可能であり、かつ継手は、第1の金属部材の1または複数の金属、第2の金属部材の1または複数の金属、および本明細書中に記載された溶接材料のうち任意のものを含んでなることができる。さらに、溶接材料が炭素を含んでなり、かつ金属部材のうちの1つがチタンを含んでなる場合、継手は炭化チタンを含んでなることができる。溶接材料が窒素を含んでなり、かつ金属部材のうちの1つがチタンを含んでなる場合、継手は窒化チタンを含んでなることができる。溶接材料が炭素および窒素を含んでなり、かつ金属部材のうちの1つがチタンを含む場合、継手はチタン炭窒化物、炭化チタン、または窒化チタンを含んでなることができる。当然ながら、チタンに加えて、またはチタンの代わりに、脆弱な金属間化合物を形成することができるいくつかの反応性金属が、上記の議論においてチタンの代わりに用いられてもよい。
【0036】
図1を参照すると、第1および第2の長尺状金属部材(10,19)がコーティング浴槽100と共に示されている。第1および第2の長尺状部材は、組成が本明細書中で議論された金属部材のうちのいずれかに類似していてもよい。第1の金属部材10の先端側部分11および第2の金属部材19の基端側部分18が示されている。第1の金属部材はさらに、先端側部分11に配置された先端部13を有し、第2の金属部材は基端側部分18に配置された基端部16を有する。図1には、金属部材上に溶接材料のコーティングを配する1つの可能な方法も示されている。示されているのはコーティング浴槽、例えば溶接材料のめっきまたはストライクめっきを施すために使用可能な電着浴槽または電気めっき浴槽であり、該浴槽中に先端側部分11および基端側部分18を浸漬させることができる。
【0037】
本願において言及された溶接材料は、他の方法で先端側部分11および基端側部分18に配置されてもよい。例えば、コーティングは、すずめっき処理、蒸着処理、浸漬コーティング処理、溶接材料を含有するゲルもしくはペーストの塗布、スプレーの適用、例えば液体スプレー、熱スプレー、およびコールドスプレー、マイクロペン(micropen)コーティング法、ロールコーティング法、スポンジコーティング方法、物理蒸着、ゾル‐ゲル法などを使用して、または他の適切な処理法を使用して、配置されることが考えられる。
【0038】
先端側部分および基端側部分(11,18)は溶接面を含んでなることができる。溶接面とは一般に、相互に溶接されるべき表面であってよい。例えば、この実施形態では、溶接面は先端部および基端部(13,16)であってよい。溶接面は溶接材料でコーティング可能である。例えば、溶接材料は溶接面と同一領域を占めてもよいし、溶接材料は溶接面全体よりも狭い範囲を占めてもよいし、該コーティングは溶接面全体にわたって広がり、さらに溶接面の外側へ広がってもよい。加えて、溶接材料は溶接面のうち一方または両方にコーティング可能である。
【0039】
図2では、両方の溶接面(端部13,16に示されている)はコーティング済みである。いくつかの例示の適用におけるコーティング厚は、約0.01マイクロメートル〜約1000マイクロメートルの範囲であってよく、ある場合には約1マイクロメートル〜約100マイクロメートルの範囲であってよく、またいくつかの実例では約5〜50マイクロメートルの範囲であってよい。図2に示されるように、コーティングは溶接面全体にわたって広がり、さらに溶接面の外側に及ぶことが可能であり;ここでは、コーティングは先端側部分11の一部に沿った距離だけ基端側へ、かつ基端側部分18の一部に沿った距離だけ先端側へ伸びている。コーティングされた溶接面は相互に極めて接近して配置可能である。(本願においては、「コーティングされた溶接面」という語句は、1つの表面がコーティングされ、1つの表面がコーティングされていない実施形態を含むことができる。)「極めて接近」とは、図2に示されるようにコーティングされた溶接面をわずかに離して位置決めすること、またはコーティングされた溶接面を相互に接触させて配置することを含むことができる。さらに、コーティングされた溶接面は相互に押しつけられてもよい。
【0040】
極めて接近して、または相互に押しつけられて金属部材が配置されて、金属部材および溶接材料がともに溶接されうる。1つの実施形態において、また図2に示されるように、レーザー光線111を放射することができるレーザー110は、溶接材料を、または場合によっては溶接面を、加熱するために使用可能である。いくつかの実施形態では、溶接材料は熱源によって融解されてもよい。他の実施形態では、溶接面の一部も熱源によって融解されてもよい。融解された材料はともに流展可能となり、冷却および凝固に際して、第1および第2の金属部材の間に継手を形成することができる。
【0041】
第1および第2の金属部材の間の継手の一例は、図3に示されている。この図において、第1の長尺状金属部材10の先端部は、継手120において第2の長尺状金属部材19の基端部に接合されている。そのような継手は突合せ継手と呼ぶことができる。継手120は溶接材料を含んでなることができる。ある場合には、継手は、第1の長尺状部材由来の1または複数の金属および第2の長尺状部材由来の1または複数の金属を含んでなることができる。第1および第2の長尺状金属部材の金属が望ましくない脆弱な金属間化合物を形成する可能性のある実施形態では、溶接材料は、そのような金属間化合物の形成を抑制する(例えば、通常形成されるのに比べて低減する)ことが可能であり、かつ場合によってはそのような金属間化合物の形成をほぼ完全に防止する可能性もある。上述のように、いくつかの溶接材料は、金属間化合物の前駆物質のうち1つと結合することにより金属間化合物の形成を防止することができる。例として、ある種の溶接材料に由来する炭素もしくは窒素、または両方は、チタンと反応し、ほとんど完全にチタンを拘束してチタンが鉄と反応するのを防止することができる。そのような事例では、継手は窒化チタン、炭化チタン、もしくはチタン炭窒化物のうち少なくともいずれか、またはこれらの混合物を含んでなることができる。
【0042】
いくつかの実施形態において、かつ図3に示されるように、継手120は金属部材(10,19)の外径より大きい外径を有することができる。そのような場合には、継手120の外径は溶接面の外側に堆積された溶接材料によって少なくとも部分的に形成されうる。他の場合には、継手120は、金属部材(10,19)の外形に従う可能性もある。例えば、このような外形は、溶接材料が溶接面と同一領域を占めるように配置されるか、溶接材料が溶接面全体よりも狭い範囲に配置される場合に生じうる。
【0043】
図4は、継手を形成する方法の別の実施形態を示す。第1の長尺状部材40は先端部44を備えた先端側部分41を有する。溶接面43は、先端側部分41の一部の片側面に示されている。溶接面43も溶接材料42でコーティングされる。図示されるように、溶接材料42は溶接面43だけでなくより広くコーティング可能であり;本例では、溶接材料42は先端側部分41の先端側領域を完全にコーティングしているものとして示されている。図1および2に関して上述されたように、溶接材料42は溶接面43全体より狭い範囲を覆って配置されることも、溶接面43と同一領域を占めるように配置されることも考えられる。さらに、基端部45を備えた基端側部分48を有する第2の長尺状部材49も示されている。溶接面46は、基端側部分48の一部の片側面に示されている。溶接面46も溶接材料47でコーティングされている。図示されるように、溶接材料47は溶接面46だけでなくより広くコーティング可能であり;本例では、溶接材料47は基端側部分48の基端側領域を完全にコーティングしているものとして示されている。図1および2に関して上述されたように、溶接材料47は溶接面46全体より狭い範囲を覆ってコーティングされることも、溶接面46と同一領域を占めることも考えられる。この図面の溶接材料(42,47)は本願において言及された溶接材料のうち任意のものであってよい。さらに、金属部材(40,49)は本明細書中に記載された金属部材のうち任意のものに類似の組成を有することができる。溶接面のうちの一方のみが溶接材料でコーティングされてもよいことも企図される。
【0044】
図4では、図2に関して議論されたように、コーティングされた溶接面(43,46)は、相互に極めて接近して配置され、ともに溶接されることができる。第1および第2の金属部材(40,49)の間に形成される継手は、図3に関して記載された突合せ継手と組成および形成方法が類似していてよい。図4に示される構成によって形成された継手は、重ね継手と呼ぶことができる。
【0045】
図4はさらに、第1および第2の金属部材(140,149)の間に継手を形成する方法のいくつかのさらなる可能な実施形態も示している。具体的には、図4は、先端側部分41および基端側部分48から取り除くことが可能ないくつかの断面(401,402)を幻像で示している。これらの断面は、該断面がともに嵌合可能なように、相互に補足するように形成可能である。そのような場合には、溶接面は、第1の金属部材40については参照数字43’および43”により、第2の金属部材49については46’および46”により示されうる。他の相補的な断面形状を使用することも考えられる。例えば、エーダー(Eder)らの米国特許第6,488,637号明細書に示された形状のうちのいくつかを使用可能であり、前記文献はその全体が参照により本願に組み込まれる。
【0046】
例えば、図4Aはそのような例示の構成を示しており、該構成において第1および第2の長尺状部材140/149は、ハイブリッド型重ね/突合せ継手と呼ぶことのできる継手を提供する、嵌め合う幾何学的形状を備えた端部を備えている。第1の長尺状部材140は、先端144を備えた先端側部分141を有し、先端側部分141はステップダウン型形状部分153を備えている。溶接面143は該部分153の片側面に示されている。溶接面143も溶接材料142でコーティングされている。図示されるように、溶接材料142は溶接面143だけでなくより広くコーティング可能であり;本例では、溶接材料142は先端側部分141の先端側領域を完全にコーティングしているものとして示されている。図1および2に関して上述されたように、溶接材料142は溶接面143全体より狭い範囲を覆って配置されることも、溶接面143と同一領域を占めることも考えられる。さらに図示されているのは、基端部145を備えた基端側部分148を有する第2の長尺状部材149であり、基端側部分148はステップダウン型形状部分151を備えている。溶接面146は該部分151の一部の片側面に示されている。溶接面146も溶接材料147でコーティングされている。図示されるように、溶接材料147は溶接面146だけでなくより広くコーティング可能であり;本例では、溶接材料147は基端側部分148の基端側領域を完全にコーティングしているものとして示されている。図1および2に関して上述されたように、溶接材料147は、溶接面146全体より狭い範囲を覆ってコーティングされることも、溶接面146と同一領域を占めることも考えられる。この図面の溶接材料(142,147)は本願において言及された溶接材料のうち任意のものであってよい。さらに、金属部材(140,149)は本明細書中に記載された金属部材のうち任意のものに類似の組成を有することができる。溶接面のうちの一方のみが溶接材料でコーティングされてもよいことも企図される。
【0047】
図4Aでは、図2に関して議論されたように、コーティングされた溶接面(143,146)は、相互に極めて接近して配置され、ともに溶接されることができる。第1および第2の金属部材(140,149)の間に形成される継手は、図3に関して記載された突合せ継手と組成および形成方法が類似していてよい。図4Aに示される構成によって形成された継手は、ハイブリッド型重ね/突合せ継手と呼ぶことができる。
【0048】
図5を参照すると、第1および第2の金属部材(50,59)が断面図で示されている。この実施例では、金属部材は管状である。第1の金属部材50は先端部53を備えた先端側部分51を有する。金属部材50はさらに溶接面も有しており;この図に示されるように溶接面は先端部53の表面であってよい。溶接材料52が溶接面53の上に配置されてもよい。第2の金属部材59は基端部56を備えた基端側部分58を有する。第2の金属部材59はさらに溶接面も有しており;図5に示されるように、溶接面は基端部56の表面であってよい。溶接材料57が溶接面56の上に配置されてもよい。溶接材料は、溶接面全体より狭い範囲に配置されてもよいし、溶接面と同一領域を占めてもよいし、または、図5に示されるように、溶接面より広く配置されてもよい。さらに、溶接材料(52,57)は溶接面(53,56)のうち一方の上に配置されても両方の上に配置されてもよい。溶接材料は、本明細書中で言及された溶接材料のうち任意のものを含んでなることが可能であり、金属部材は、本明細書中で言及された金属部材のうち任意のものに類似の材料を含んでなることが可能である。
【0049】
図1〜3に示された製法と同様に、コーティングされた溶接面(53,56)は相互に極めて接近して配置され、ともに溶接されることができる。金属部材の端部に溶接面(53,56)があると、金属部材の間に形成される継手は突合せ継手と呼ぶことができる。
【0050】
図6では、2つの管状の長尺状金属部材(60,69)の断面図が示されている。第1の部材60は、該管状部材60の先端部64を含む先端側部分61を有する。溶接面63は管状部材60の内側表面に示されている。溶接材料62が溶接面63を覆ってコーティングされてもよい。第2の部材69は、該管状部材69の基端部65を含む基端側部分68を有する。溶接面66は管状部材69の外側表面に示されている。溶接材料67が溶接面66を覆って配置されてもよい。他の図面に関して言及されたように、溶接材料(62,67)は溶接面(63、66)全体より狭い範囲に配置されてもよいし、溶接面(63,66)と同一領域を占めてもよい。さらに、図6に示されるように、溶接材料(62,67)は溶接面(63,66)より広い範囲を覆ってもよい。62の溶接材料は、先端側部分61の先端側領域の内側表面および外側表面を覆い、溶接材料67は、基端側部分68の基端側領域の内側表面および外側表面を覆っている。図6に示される溶接材料は、長尺状の管状金属部材(60,69)のうちいずれか一方に配置されてもよいし、または両方(図のとおり)に配置されてもよい。溶接材料(62,67)は、本明細書中で言及された溶接材料のうち任意のものを含んでなることができる。さらに、金属部材(60,69)は、本明細書中に記載された他の金属部材と併せて言及された材料のうち任意のものを含んでなることができる。
【0051】
さらに、長尺状の金属製管状部材(60,69)は、極めて接近するようになされてもよい(ここでは、これは第1の管状部材60の内部に第2の管状部材69を少なくとも部分的に配置することにより行うことができる)。その後、第1および第2の管状部材(60,69)は、例えば図1〜3に関して記載された技術のうち任意のもの使用して、ともに溶接可能である。第1の部材の先端側部分61と第2の部材の基端側部分68との間がある程度重複することで、該継手は重ね継手と呼ぶことができる。
【0052】
図6〜8は、数組の互いに相補的な形状を有する管状部材を示している。相補的な形状は、一方の管状部材を他方の管状部材の中へ挿入するのを容易にすることにより、溶接面を極めて接近させるステップを容易にすることができる。図6では、第2の金属製管状部材69は、第1の金属製管状部材60より小さい直径を有することが示されている。直径の差は、第2の管状部材69が第1の管状部材60の内部に配置されたとき、コーティングされた(また1つがコーティングされて1つがコーティングされていない)溶接面(63,66)が極めて接近する(例えば、相互に接近して、または相互に接触して配置される)ようになるようなものである。図7は、図6の管状部材にほとんどの点で類似しうる、かつ他の点では類似の方式で合わせて溶接可能な、2つの管状部材(70,79)を示している。図7の場合には、第2の管状部材79は角度をなして形成された基端部75を有する。この角度をなした端部は、第1の管状部材70の中への第2の管状部材79の進入を容易にすることができる。
【0053】
相補的な端部を備えた第1および第2の管状部材(80,89)の別の可能な実施形態が図8に示されている。この実施例では、第2の管状部材89の基端側部分88は縮小された直径を有することができる。この縮小直径は、図6および7に関して記載された方式と同様に、第1の管状部材80の中への第2の管状部材89の進入を容易にすることができる。縮小直径の部分より先端側の第2の管状部材89の部分が第1の管状部材80の先端側部分87の外径と同じ外径を有する場合、第1および第2の管状部材(80,89)の間の移行部はほぼ一定の外径を有することができる。
【0054】
本明細書中に記載された方法および構造物は、様々な状況において、例えば医療用デバイスの生産において使用可能である。医療用デバイス構築の例として、2つの中実断面の長尺状金属部材が接合されてもよいし、他の医療用デバイスでは2つの長尺状の金属製管状部材がともに接合され、いくつかの場合には1つの管状部材と1つの中実断面の部材とがともに接合され、また他の医療用デバイスの用例では金属ワイヤまたは他の種類の構造物がともに接合される。
【0055】
図9を参照すると、ガイドワイヤの一例が示されている。ガイドワイヤ901は、シース920の内側に少なくとも部分的に配置されたコアワイヤ910を有している。コアワイヤは、基端部911、基端側部分913、先端部912および先端側部分914を有することができる。基端側部分913は一定の直径を有することが可能であり、先端側部分914はテーパ状をなしていてもよく;例えば、先端側部分914は、一連の1つ以上のテーパ状部940および1つ以上の等直径部分941においてテーパ状をなしていてもよい。
【0056】
基端側部分および先端側部分(913,914)は、組成が本明細書中で議論された金属部材のうち任意のものと類似していてよい。上記の部分(913,914)は継手915において接合可能である。例えば、基端側部分913は鉄を含んでなることが可能であり(例えば、ステンレス鋼またはその他の鉄を含んでなる合金を含んでなることができる)、先端側部分914はチタンを含んでなることができる(例えば、ニチノールまたはその他のチタンを含んでなる合金を含んでなることができる)。継手は、例えば本明細書中に記載された継手のうち任意のものであってよい。図9に示される例において、継手915は、継手より基端側の直径一定の基端側部分913と、継手915より先端側の直径一定の先端側部分914とを備えて示されている。継手915はコアワイヤ910に沿って様々な位置に配置されることも可能である。例えば、継手915は、第1のテーパ状部940が始まる地点に配置されることも考えられるし、第1のテーパ状部940に、第1のテーパ状部940より先端側に、または第1のテーパ状部940より先端側の直径一定の部分のうちの1つ(例えば941)に配置されることも考えられる。さらに、コアワイヤは、上記の位置のうち任意の位置に第2の継手を含んでなることも考えられる。この第2の継手は、本明細書中に記載された継手のうち任意のものに類似していることが考えられ、かつ該継手がコアワイヤ910を基端側区域、中間区域および先端側区域に有効に分割することも考えられる。1つの実施形態では、基端側区域、中間区域および先端側区域は、鉄を含んでなる金属(例えば、ステンレス鋼またはその他の鉄を含んでなる合金)と、チタンを含んでなる金属(例えば、ニチノールまたはその他のチタンを含んでなる合金)とが交互になっていてもよい。例えば、基端側区域は鉄(例えば、ステンレス鋼またはその他の鉄を含んでなる合金)を含んでなり、中間区域はチタン(例えば、ニチノールまたはその他のチタンを含んでなる合金)を含んでなり、先端側区域は鉄(例えば、ステンレス鋼またはその他の鉄を含んでなる合金)を含んでなることができる。
【0057】
コアワイヤの少なくとも一部はスリーブ(例えば金属スリーブ920)によって画成されたルーメン内に配置可能である。スリーブ920は、基端部921、先端部922および内側表面925を有することができる。基端部921は、基端方向に、継手915より先端側の地点まで延びてもよいし、継手915まで延びてもよいし、または、図9に幻像で示されるように、継手915の基端側の地点まで延びてもよい。スリーブ920は、例えばスリーブ920を通り抜けるスロットを切り抜くことにより、可変的な可撓性を有することができる。そのような管状構造物の例については、米国特許出願公開第2003/0060732号、同第2003/0069522号、同第2003/0009208号および同第2004/0181174号の開示内容を参照されたい(これらの特許文献は全て全体が本明細書に組み込まれる)。
【0058】
スリーブ920はさらに、例えば図5〜8に関して記載された方式でともに接合された、複数の管状セグメントを含んでなることもできる。いくつかの実施形態では、スリーブ920の基端側部分は鉄を含んでなることが可能であり(例えば、ステンレス鋼またはその他の鉄を含んでなる合金を含んでなることができる)、スリーブ920の先端側部分はチタンを含んでなることができる(例えば、ニチノールまたはその他のチタンを含んでなる合金を含んでなることができる)。さらに、スリーブ920とコアワイヤ910との間の接続地点では、スリーブ920およびコアワイヤ910のうちの一方は鉄(例えば、ステンレス鋼またはその他の鉄を含んでなる合金)を含んでなることが可能であり、他方はチタン(例えば、ニチノールまたはその他のチタンを含んでなる合金)を含んでなることが可能である。例えば、接続地点のコアワイヤ910は鉄(例えば、ステンレス鋼またはその他の鉄を含んでなる合金)を含んでなり、かつスリーブ920はチタン(例えば、ニチノールまたはその他のチタンを含んでなる合金)を含んでなることもできるし、その逆も成立する。
【0059】
さらに、他の金属製要素がガイドワイヤ901に組み込まれてもよい。例えば、延長ワイヤ930がコアワイヤ先端部912に取り付けられてもよい。延長ワイヤ930は基端側部分931および先端側部分932を有することができる。コアワイヤ先端部912および延長ワイヤ930は、異なる金属で構成されていてよい。コアワイヤ先端部912および延長ワイヤ930のうちの一方は、鉄(例えば、ステンレス鋼またはその他の鉄を含んでなる合金)を含んでなることが可能であり、他方はチタン(例えば、ニチノールまたはその他のチタンを含んでなる合金)を含んでなることが可能である。1つの実施形態では、コアワイヤ先端部912は、ニチノールまたはその他のチタンを含んでなる合金を含んでなることが可能であり、かつ延長ワイヤ930は、ステンレス鋼または他の鉄を含んでなる合金を含んでなることが可能であり、その逆も成立する。
【0060】
ガイドワイヤ901は先端側チップ950を含んでなることもできる。チップ950は丸みを帯びた材料塊であってよい。いくつかの例において、丸みを帯びた材料塊は金属であってよい。ある場合には、先端側チップは、管状部材先端部922、コアワイヤ先端部912もしくは延長ワイヤ先端部932、またはこれらの組み合わせに取り付けられてよい。先端側チップ950、および先端側チップ950が取り付けられる構造物(例えば、コアワイヤ先端側チップ、延長ワイヤまたはスリーブのうち少なくともいずれか)のうちの一方は、鉄(例えば、ステンレス鋼またはその他の鉄を含んでなる合金)を含んでなることが可能であり、他方はチタン(例えば、ニチノールまたはその他のチタンを含んでなる合金)を含んでなることが可能である。1つの実施形態では、先端側チップ950はステンレス鋼または他の鉄を含んでなる合金を含んでなることが可能であり、先端側チップ950が取り付けられる構造物(例えばコアワイヤ先端側チップ、延長ワイヤまたはスリーブのうち少なくともいずれか)は、ニチノールまたは別のチタンを含んでなる合金を含んでなることが可能であり、その逆も成立する。
【0061】
図10を参照すると、メッシュ1000の一部が示されている。メッシュ1000は、数多い用途の中でも特に、フィルタ、閉塞デバイス、およびステントにおいて使用可能である。メッシュ1000は、第2の素線1002と合わせて織られた第1の素線1001を含んでなることができる。これらの素線は、点1010において互いに交差する。いくつかの実施形態では、素線は1010において相互に取り付けられてもよい。これらの素線が金属を含んでなる場合、該素線は相互に溶接することにより取り付けられてもよい。ある場合には、素線のうちの一方が鉄(例えば、ステンレス鋼またはその他の鉄を含んでなる合金)を含んでなることが可能であり、他方の素線はチタン(例えば、ニチノールまたはその他のチタンを含んでなる合金)を含んでなることが可能である。そのような場合、素線は本明細書中に記載された技術のうち任意のものをに使用してともに溶接可能である。
【0062】
さらに、当業者には十分理解されることであるが、メッシュ1000の複数の素線は鉄(例えば、ステンレス鋼またはその他の鉄を含んでなる合金)を含んでなることが可能であり、かつ複数の素線はチタン(例えば、ニチノールまたはその他のチタンを含んでなる合金)を含んでなることが可能である。異種材料の素線が互いに交差する地点のうち少なくともいくつかにおいて、素線は、本明細書中に記載された溶接方法のうち任意の方法を使用して相互に取り付けることが可能である。
【0063】
図11を参照すると、カテーテルが示されている。カテーテル1100は、グリフィン(Griffin)らの米国特許第7,001,369号明細書に記載されている構造に類似の構造を有することが可能であり、前記特許文献は全体が本願に組み込まれる。カテーテル1100はハブ1101およびシャフト1102を有することができる。シャフト1102は、ポリマーを含んでなることができるインナーライナー1110を含んでなることができる。シャフトは外側金属部材1120を含んでなることもできる。外側金属部材1120は基端側部分1121および先端側部分1122を含んでなることができる。基端側部分および先端側部分(1121,1122)は継手1130において接合可能である。継手ならびに基端側および先端側部分は、図5〜9に関して議論された継手および管状部材のうち任意のものに類似していてよい。基端側部分および先端側部分(1121,1122)のうちの一方は鉄(例えば、ステンレス鋼またはその他の鉄を含んでなる合金)を含んでなることが可能であり、他方の部分はチタン(例えば、ニチノールまたはその他のチタンを含んでなる合金)を含んでなることが可能である。例えば、基端側部分1121はステンレス鋼(またはその他の鉄を含んでなる合金)を含んでなることが可能であり、先端側部分1122はニチノール(またはその他のチタンを含んでなる合金)を含んでなることが可能であり、その逆も成立する。図5〜9に関して記載されている溶接材料および継手構造物のうち任意のものを、継手1130の形成に使用可能である。
【0064】
本発明は上述の具体的な例に限定されると考えるべきではなく、むしろ添付の特許請求の範囲に適正に述べられているような本発明の態様をすべて包含するものと理解されるべきである。本発明を適用できることができる様々な変更形態、等価な製法、および多数の構造物については、本明細書を検討すれば、本発明が関係する分野の当業者には容易に明白になるであろう。例えば、いくつかの実施形態では、溶接材料は、金属間化合物の形成を抑制する傾向を有する構成要素に加えてフラックス(flux)を含む場合がある。当然ながら、本開示は多くの点において単なる例示にすぎない。細部、特に形状、大きさおよびステップの配置構成に関して、本発明の範囲を超えることなく変更を加えることが可能である。当然、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲が表現されている言語において定義される。
(実施例)
【実施例1】
【0065】
本実施例では、溶接材料として金を使用して、ステンレス鋼およびニッケル‐チタン合金(ニチノール)の溶接について理解しかつ特徴解析するために、一連の試験が実施された。溶接されている材料の溶接面に電気めっきされた金の層を付加することにより、溶接の強度および金属間化合物の低減効率を評価するために、一連の試験が遂行された。
【0066】
厚付けの酸性金434がステンレス鋼の薄いリボンおよびニチノールの薄いリボンの上に電気めっきされた。電気めっき処理の実施に際しては、付着を改善し、かつステンレス鋼およびニチノールの酸化層を縮小するために、最初に金のストライクめっきが施され、次いで該ストライクめっきを覆って金の層が電気めっきされた。使用されためっき材料は、Technic ACR 434と呼ばれる軟質電解金であった。金のストライクめっき処理および金めっき処理のパラメータは、以下の表1に概説されている。
【0067】
【表1】
その後、めっきされたステンレス鋼の薄いリボンはニチノールの薄いリボンに対して重ね継手の構成にレーザー溶接され、溶接された構造物は引張強度および疲労強度に関して試験された。試験の結果は以下の表2に示されている:
【0068】
【表2】
溶接部についてSEMおよび金属組織学的分析も行なわれ、2つの異なる金属(ステンレス鋼およびニチノール)の間の分離線を伴わない良好な移行部が明らかとなったが、このことは良好な溶接継手を意味している。
【実施例2】
【0069】
本実施例では、溶接材料として金およびニッケルの組み合わせを使用して、ステンレス鋼およびニッケル‐チタン合金(ニチノール)の溶接について理解しかつ特徴解析するために、一連の試験が実施された。溶接されている材料の溶接面に電気めっきされた金層および電気めっきされたニッケル層を付加することにより、溶接の強度および金属間化合物の低減効率を評価するために、一連の試験が遂行された。
【0070】
厚付けの酸性金434が、ステンレス鋼の薄いリボンおよびステンレス鋼の丸いワイヤ、ならびにニチノールの薄いリボンおよびニチノールの丸いワイヤの上に電気めっきされた。電気めっき処理の実施に際しては、最初に、付着を改善し、かつステンレス鋼およびニチノールの酸化層を縮小するために金のストライクめっきが施され、次いで該ストライクめっきを覆って金層が電気めっきされた。その後、金層を覆ってニッケル層が電気めっきされた。使用された金めっき材料は、Technic ACR 434と呼ばれる軟質電解金であった。使用されたニッケルめっき材料は、低リンのニッケルであった。金のストライクめっき処理、金めっき処理、およびニッケルめっき処理のパラメータは、以下の表3に概説されている。ニッケルは、レーザー溶接を増強し、かつ金によってもたらされる高い反射率を低減するために付加された。いずれの電気めっき材料も、異種材料が溶接される時に融解中に形成されることの多い金属間の層を低減することができる。
【0071】
【表3】
その後、めっきされたステンレス鋼の薄いリボンはニチノールの薄いリボンに対して重ね継手の構成にレーザー溶接され、該溶接構造物は引張強度および疲労強度に関して試験された。めっきされたステンレス鋼の丸いワイヤはニチノールの丸いワイヤに対して突合せ継手の構成にレーザー溶接され、該溶接構造物は引張強度および疲労強度に関して試験された。試験の結果は以下の表4に示されている:
【0072】
【表4】
溶接部についてSEMおよび金属組織学的分析も行なわれ、2つの異なる金属(ステンレス鋼およびニチノール)の間の分離線を伴わない良好な移行部が明らかとなったが、このことは良好な溶接継手を意味している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用デバイスを製造する方法であって:
ステンレス鋼を含んでなり、かつ第1の溶接面を有する、第1の長尺状金属部材を提供するステップと;
ニッケル‐チタン合金を含んでなり、かつ第2の溶接面を有する、第2の長尺状金属部材を提供するステップと;
溶接面のうち少なくとも一方に、炭素、窒素、金、またはこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含んでなる溶接材料を適用するステップと;
溶接面と溶接材料とを溶接して、金属部材の間に継手を形成するステップと
を含んでなる方法。
【請求項2】
溶接面および溶接材料は溶接ステップの際に融解されることと、融解された材料は混合されて溶接部を形成することとを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
溶接材料は、溶接ステップの際に脆弱な金属間鉄‐チタン化合物の形成を抑制する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
溶接材料は、蒸着処理を使用して溶接面のうち少なくとも一方に適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
溶接材料は、電着処理を使用して溶接面のうち少なくとも一方に適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
溶接材料は、溶接面のうち少なくとも一方に塗布されるペースト様の物質として、該表面のうち少なくとも一方に適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
溶接材料はニッケルをさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
溶接材料は固体状態または液体状態の炭素含有材料を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
溶接材料はグラファイトから実質上構成される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
炭素を含有する溶接材料は、有機化合物であって炭素、水素、窒素、および酸素から実質上構成されているもの;有機金属化合物または有機金属錯体;金属炭化物であって金属が炭素に対してチタンの炭素に対する親和性より弱い親和性を有するもの;ならびに少なくとも1つのそのような金属炭化物を含有している合金、の群のうち少なくとも1つを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
継手は炭化チタンを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
溶接材料は、窒素ガス、または液体もしくは固体の窒素含有材料を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
窒素を含有する溶接材料は、有機化合物であって炭素、窒素、水素、および酸素から実質上構成されているもの;窒素を含んでなる有機金属化合物または有機金属錯体;ならびに金属窒化物であって金属の窒素に対する親和性がチタンの窒素に対する親和性より弱いもの;ならびに少なくとも1つのそのような金属窒化物を含有している合金、の群のうち少なくとも1つを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
継手は窒化チタンを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
溶接材料は、炭素含有材料と窒素含有材料との混合物、または炭素および窒素を含有する材料を含んでなり、溶接継手は炭化チタン、窒化チタン、もしくはチタン炭窒化物を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
継手を形成する方法であって、
鉄を含んでなる第1の合金を含んでなる第1の金属部材であって、第1の溶接面を有する第1の部材、を提供するステップと、
チタンを含んでなる第2の合金を含んでなる第2の金属部材であって、第2の溶接面を有する第2の部材、を提供するステップと
溶接面のうち少なくとも一方に溶接材料を適用するステップと
溶接面および溶接材料を溶接して、第1および第2の金属部材の間に継手を形成するステップと
を含んでなり、
溶接材料は、継手内部における脆弱な鉄‐チタン化合物の形成を抑制することを特徴とする方法。
【請求項17】
継手は炭化チタンおよび窒化チタンのうち少なくとも一方を含んでなる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
医療用デバイスであって、
鉄を含む第1の合金を含んでなる第1の金属部材と、
チタンを含む第2の合金を含んでなる第2の金属部材と、第1および第2の合金は異なることと、
第1および第2の金属部材の溶接面の間に形成された溶接継手であって、第1の合金、第2の合金、および溶接材料の構成要素を含んでなり、溶接材料は、炭素含有材料、窒素含有材料、金、またはこれらの組み合わせもしくは混合物の群のうち少なくとも1つを含んでなる、溶接継手と
を含んでなるデバイス。
【請求項19】
第1の金属部材はステンレス鋼を含んでなり、第2の金属部材はニッケル‐チタン合金を含んでなる、請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
溶接材料は、有機化合物であって炭素、水素、窒素、および酸素から実質上構成されているもの;有機金属化合物または有機金属錯体;金属炭化物であって該金属炭化物の金属が炭素に対してチタンの炭素に対する親和性より弱い親和性を有するもの;少なくとも1つのそのような金属炭化物を含有している合金;金属窒化物であって該金属窒化物の金属が窒素に対してチタンの窒素に対する親和性より弱い親和性を有するもの;ならびに少なくとも1つのそのような金属窒化物を含有している合金、の群のうち少なくとも1つを含んでなる、請求項19に記載のデバイス。
【請求項1】
医療用デバイスを製造する方法であって:
ステンレス鋼を含んでなり、かつ第1の溶接面を有する、第1の長尺状金属部材を提供するステップと;
ニッケル‐チタン合金を含んでなり、かつ第2の溶接面を有する、第2の長尺状金属部材を提供するステップと;
溶接面のうち少なくとも一方に、炭素、窒素、金、またはこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含んでなる溶接材料を適用するステップと;
溶接面と溶接材料とを溶接して、金属部材の間に継手を形成するステップと
を含んでなる方法。
【請求項2】
溶接面および溶接材料は溶接ステップの際に融解されることと、融解された材料は混合されて溶接部を形成することとを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
溶接材料は、溶接ステップの際に脆弱な金属間鉄‐チタン化合物の形成を抑制する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
溶接材料は、蒸着処理を使用して溶接面のうち少なくとも一方に適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
溶接材料は、電着処理を使用して溶接面のうち少なくとも一方に適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
溶接材料は、溶接面のうち少なくとも一方に塗布されるペースト様の物質として、該表面のうち少なくとも一方に適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
溶接材料はニッケルをさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
溶接材料は固体状態または液体状態の炭素含有材料を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
溶接材料はグラファイトから実質上構成される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
炭素を含有する溶接材料は、有機化合物であって炭素、水素、窒素、および酸素から実質上構成されているもの;有機金属化合物または有機金属錯体;金属炭化物であって金属が炭素に対してチタンの炭素に対する親和性より弱い親和性を有するもの;ならびに少なくとも1つのそのような金属炭化物を含有している合金、の群のうち少なくとも1つを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
継手は炭化チタンを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
溶接材料は、窒素ガス、または液体もしくは固体の窒素含有材料を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
窒素を含有する溶接材料は、有機化合物であって炭素、窒素、水素、および酸素から実質上構成されているもの;窒素を含んでなる有機金属化合物または有機金属錯体;ならびに金属窒化物であって金属の窒素に対する親和性がチタンの窒素に対する親和性より弱いもの;ならびに少なくとも1つのそのような金属窒化物を含有している合金、の群のうち少なくとも1つを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
継手は窒化チタンを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
溶接材料は、炭素含有材料と窒素含有材料との混合物、または炭素および窒素を含有する材料を含んでなり、溶接継手は炭化チタン、窒化チタン、もしくはチタン炭窒化物を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
継手を形成する方法であって、
鉄を含んでなる第1の合金を含んでなる第1の金属部材であって、第1の溶接面を有する第1の部材、を提供するステップと、
チタンを含んでなる第2の合金を含んでなる第2の金属部材であって、第2の溶接面を有する第2の部材、を提供するステップと
溶接面のうち少なくとも一方に溶接材料を適用するステップと
溶接面および溶接材料を溶接して、第1および第2の金属部材の間に継手を形成するステップと
を含んでなり、
溶接材料は、継手内部における脆弱な鉄‐チタン化合物の形成を抑制することを特徴とする方法。
【請求項17】
継手は炭化チタンおよび窒化チタンのうち少なくとも一方を含んでなる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
医療用デバイスであって、
鉄を含む第1の合金を含んでなる第1の金属部材と、
チタンを含む第2の合金を含んでなる第2の金属部材と、第1および第2の合金は異なることと、
第1および第2の金属部材の溶接面の間に形成された溶接継手であって、第1の合金、第2の合金、および溶接材料の構成要素を含んでなり、溶接材料は、炭素含有材料、窒素含有材料、金、またはこれらの組み合わせもしくは混合物の群のうち少なくとも1つを含んでなる、溶接継手と
を含んでなるデバイス。
【請求項19】
第1の金属部材はステンレス鋼を含んでなり、第2の金属部材はニッケル‐チタン合金を含んでなる、請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
溶接材料は、有機化合物であって炭素、水素、窒素、および酸素から実質上構成されているもの;有機金属化合物または有機金属錯体;金属炭化物であって該金属炭化物の金属が炭素に対してチタンの炭素に対する親和性より弱い親和性を有するもの;少なくとも1つのそのような金属炭化物を含有している合金;金属窒化物であって該金属窒化物の金属が窒素に対してチタンの窒素に対する親和性より弱い親和性を有するもの;ならびに少なくとも1つのそのような金属窒化物を含有している合金、の群のうち少なくとも1つを含んでなる、請求項19に記載のデバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2012−511411(P2012−511411A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540906(P2011−540906)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/067567
【国際公開番号】WO2010/068804
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(506192652)ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド (172)
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/067567
【国際公開番号】WO2010/068804
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(506192652)ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド (172)
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
【Fターム(参考)】
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