説明

チップLED検査装置

【課題】チップLEDの封止樹脂部に存在する不透光性の異物を正確に検出できる検査装置を提供する。
【解決手段】チップLED50を支持する支持部材5と、チップLED50の表面を照明する上部照明機構10と、チップLED50の表面側の画像を撮像するカメラ6と、撮像画像を解析して異物の有無を判定する判定部8とを備える。上部照明機構10は、ドーム状をした本体、及びこのドーム本体内に配設された複数の光源を備え、ドーム本体の下面開口部から下方に向けて照射される光によってその下方を間接照明する第1照明部と、リング状をした本体、及びリング本体の下面に配設された複数の光源を備え、この光源から照射される光によってその下方を直接照明する第2照明部とから構成される。カメラ6は、第1照明部の上方に配設され、その撮像用開口部を通してチップLED50の表面画像を撮像する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップLEDの封止樹脂部に混入又はその表面に付着した不透光性の異物を検出する検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、チップLEDとしては各種形態のものが知られているが、その一つとして、図12に示すようなものが知られている。
【0003】
同図12に示すように、このチップLED50は、透光性を有する基板51と、該基板51の裏面に相互に分離した状態で形成された少なくとも2つの不透光性の電極部52,52と、前記基板51の表面中央部に配設された発光部53と、基板51の表面を被覆して前記発光部53を封止する透光性の封止樹脂54とから構成される。
【0004】
前記封止樹脂54は、発光部53を被覆する部分が凸曲面状(この例では、ほぼ半球状)に成形されており、上述した発光部53を封止する役割の他、凸曲面部54aは、発光部53から発せられた光を集光させるレンズとしての役割を担っている。
【0005】
したがって、かかる役割を担う凸曲面部54aに不透光性の異物が混入又はその表面に付着している場合には、発光部53から発せられた光がこの異物によって遮断され、当該チップLED50から照射される光が不均一なものとなるという不都合を生じる。
【0006】
このため、従来、封止樹脂54(特に、凸曲面部54a)に混入又はその表面に付着した前記不透光性の異物を検出することのできる検査装置が求められていた。
【0007】
他方、検査装置としては、従来、チップLEDを検査対象物としたものではないが、半導体パッケージの配線パターンを検査する装置として、特開2009−288050公報に開示された検査装置が知られている。
【0008】
この検査装置は、間接照明手段により被検体を照明し、当該被検体をラインセンサカメラにより撮像してその画像を解析し、欠点を検出するというものであり、間接照明手段は、ドーム状をした凹曲面状の反射面を有する本体を備え、本体の開口部側の内面に形成された光出射口から、前記反射面に光を照射し、当該反射面により反射された光によって下方の被検体を照明する。尚、カメラは、前記本体に形成された観察窓から前記被検体を撮像する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−288050公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、上記構成を有するチップLEDの場合、従来の検査装置をそのまま当該チップLEDの検査に適用しても、当該チップLEDの構成上、その封止樹脂部に存在する不透光性の異物を正確には検出することができなかった。
【0011】
上記従来の間接照明手段を用いてチップLEDを照明した場合、これをカメラによって撮像した画像は、図13に示すように、平面から視て、前記凸曲面部の外周部分(基板からの立ち上がり部分)(符号55)、及び電極がない部分(表裏に透光する部分)(符号56)が暗部となり、その他の電極部及び発光部が明部となった明暗画像となる。尚、画像中のチップLED50に相当する部分以外も暗部となる。
【0012】
電極部及び発光部は比較的良く光を反射するため、封止樹脂及び基板を透過した光は、当該電極部で反射され、再び基板及び封止樹脂を透過してカメラに入光するため、同部が明部となり、これに対し、電極が形成されていないところについては、封止樹脂及び基板を透過した光が反射されないため、暗部となるのである。
【0013】
また、前記凸曲面部の基板からの立ち上がり部分(外周部分)については、上記構造を備えた従来の間接照明手段では、照明に寄与する前記反射光(照明光)が下方に向けてある程度指向性を有するものとなっているため、この照明光と鋭角に交差する前記外周部では、当該外周部表面で正反射される照明光が多く、また、樹脂内部に入光する照明光が少ないことから、当該外周部からカメラに入光する反射光が少く、このため暗部になるものと思われる。
【0014】
一方、不透光性の異物は光を透さないため暗部となる。したがって、不透光性の異物が、凸曲面部の外周部(符号55)や、電極が形成されていない部分(符号56)に対応する位置にある場合には、いずれも暗部となるため、当該異物を検出することが極めて困難なのである(図13参照。図13において符号57が異物である。)
【0015】
尚、チップLEDとしては、上述した形態のものの他、基板裏面の全面に不透光性の樹脂やその他の部材が設けられたものもあるが、前記封止樹脂の凸曲面外周部が暗部になるという点については異なるところがない。
【0016】
本発明は、以上の実情に鑑みなされたものであって、チップLEDの封止樹脂部に存在する不透光性の異物を、これが存在する位置に拘わらず正確に検出することができる検査装置の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するための本発明は、
透光性を有する基板と、該基板の裏面に形成された不透光性の電極部と、前記基板の表面中央部に配設された発光部と、前記基板表面を被覆して前記発光部を封止する透光性の封止樹脂とから構成され、該封止樹脂の少なくとも前記発光部を覆う部分が凸曲面状に形成されたチップLEDの、前記封止樹脂に混入又はその表面に付着した不透光性の異物を検出する検査装置であって、
前記チップLEDを支持する板状又はシート状の支持部材と、
前記支持部材より上方に配設され、該支持部材上に載置されたチップLEDの表面側の画像を撮像するカメラと、
同じく前記支持部材より上方に配設され、該支持部材上に載置されたチップLEDの表面を照明する上部照明機構と、
前記カメラによって撮像された画像を解析して、前記異物の有無を判定する判定部とを備えてなり、
前記上部照明機構は、
下面中心部に円形の開口部を備え、且つ頂部に撮像用の開口部を備えたドーム状の本体と、該ドーム本体内に配設された複数の光源とからなり、前記ドーム本体は、その内部凹曲面が反射面をなし、前記光源は、前記ドーム本体の内部底面上にその周方向に等間隔に、且つ前記凹曲面に向けて光を照射するように配設されてなり、前記凹曲面によって反射された光が、前記ドーム本体の下面開口部から下方に向けて照射するように構成された第1照明部と、
リング状をした本体と、該リング本体の下面に、その周方向に等間隔に、且つ下方に向けて光を照射するように配設された複数の光源とを有する第2照明部とから構成され、
前記第2照明部は、そのリング本体が前記第1照明部のドーム本体と同軸となるように該第1照明部の下方に配設され、
更に、前記カメラは、前記第1照明部の上方に配設され、前記ドーム本体の撮像用開口部を通して前記チップLEDの表面画像を撮像するように構成されたチップLED検査装置に係る。
【0018】
本発明に係る検査装置では、まず、検査対象のチップLEDを支持部材上の検査領域(前記カメラの撮像視野領域)内に位置させる。尚、チップLEDを搬送する機構としては、例えば、適宜搬送手段によりチップLEDを搬送して、前記支持部材上の検査領域内に載置するといったものの他、支持部材上でチップLEDを適宜搬送手段により搬送して、適宜搬送速度で前記検査領域内を通過させるといったものでも良く、或いは、チップLEDが載置された状態の支持部材を移動させて、当該チップLEDを適宜搬送速度で前記検査領域内を通過させるといった機構のものでも良い。
【0019】
支持部材上の検査領域では、上部照明機構によってチップLEDの表面が照明され、第1照明部のドーム本体に形成された撮像用開口部を通して、チップLEDの表面側の画像がカメラによって撮像される。
【0020】
前記上部照明機構は、第1照明部と第2照明部とを有しており、チップLEDは、これら2つの照明部によってその表面が照明され、これにより、前記カメラによって撮像されるチップLEDの画像は、その電極部及び発光部に相当する部分、並びに凸曲面部に相当する部分が明部となった画像となる。
【0021】
第1照明部では、ドーム本体の内部底面上にその周方向に等間隔に配設された各光源からドーム本体内面の凹曲面に向けて光が照射され、この凹曲面によって反射された反射光が下面開口部から下方に向けて照射され、チップLED表面の全面がこの反射光によって照明される。即ち、チップLEDは第1照明部によってその表面全面が間接照明される。
【0022】
そして、第1照明部から照射された光は、封止樹脂及び基板を透過し、電極部及び発光部が比較的良く光を反射することから、透過光は当該電極部及び発光部によって反射され、再度、基板及び封止樹脂を透過してカメラに入光する。このため、電極部及び発光部に相当する部分が明部となる。
【0023】
一方、第2照明部では、リング本体の下面に、その周方向に等間隔に配設された複数の各光源から、その直下位置を中心とした平面視円形領域内に光が照射され、複数の光源全体として、主に、下方の環状領域を高照度領域として照明する。
【0024】
チップLEDは、この第2照明部から照射される光の内、主に、内側斜め下方に向けて照射される光によって、その表面が照明される。前記第1照明部は、ドーム本体内面の凹曲面により反射された反射光を用いる間接照明であり、前述した従来の間接照明手段と同様、下方に向けてある程度の指向性を有するものとなっているため、この第1照明部のみでは、この照明光と鋭角に交差する前記凸曲面部の外周部(基板からの立ち上がり部分)が暗部になるが、前記第2照明部は、この凸曲面部を、その外方の斜め上方から照明するので、当該凸曲面部の外周部も十分な光量で照明され、このため、同部により反射され、或いは同部を透過した光の十分な光量がカメラに入光される。したがって、この第2照明部による照明により前記凸曲面部の外周部を明部にすることができる。
【0025】
斯くして、前記第1照明部及び第2照明部によって照明され、前記カメラによって撮像されたチップLEDの画像は、その全体が明部となった画像となる。
【0026】
したがって、不透光性の異物が封止樹脂中に混入又その表面に付着している場合には、前記カメラによって撮像される画像は、当該異物のみが暗部となった画像となるため、前記判定部において、当該画像を解析して異物の有無を判定する際には、これを容易にしかも正確に行うことができる。
【0027】
尚、本発明において、前記第2照明部は、その光源の下方に配設された環状の拡散透光膜を備えていても良い。
【0028】
ところで、基板の裏面に相互に分離した状態で少なくとも2つの不透光性の電極部が形成されたチップLED等、表裏に透光する部分を備えたチップLEDの場合、これを前記上部照明機構のみによって照明すると、当該透光性を有する部分については、封止樹脂部及び基板を透過した光が反射されないため、これに相当する部分が暗部となった画像が得られる。したがって、この透光性を有する部分に対応する部分に異物が存在する場合には、これを正確に検出することができない。
【0029】
このような問題を解決するために、本発明では、前記支持部材を透明な部材から構成し、更に、前記支持部材の下方に、該支持部材を透過してチップLEDの裏面を照明する下部照明機構を設けた態様を採ることができる。
【0030】
前述したように、上部照明機構のみによって照明したのでは、表裏に透光する部分については、封止樹脂部及び基板を透過した光が反射されず、暗部となるが、下部照明機構により、チップLEDの裏面を照明することで、支持部材を透過した光が、更に、前記透光部分を透過してカメラに入光するため、前記透光部分が明部となった画像が得られる。
【0031】
したがって、前記透光部分に異物が存在する場合でも、この下部照明機構によってチップLEDの裏面を照明することで、これを正確に検出することができる。
【0032】
尚、前記下部照明機構は、特に光源を備えている必要はなく、前記支持部材の下方に該支持部材と平行に配設され、該支持部材との対向面が反射面になった反射板から、これを構成しても良い。
【0033】
上述のように、チップLEDの表面側は、前記上部照明機構によって照明されている。このため、前記上部照明機構から発せられた光は、前記透光部を透過し、更に支持部材を透過して反射板の反射面に至り、この反射面により反射されて、再度、支持部材を透過し、前記透光部を透過してカメラに入光する。したがって、かかる反射板を用いても、前記透光部が明部となった画像が得られる。尚、この場合、反射板の反射面は白色を呈するものが好ましい。また、支持部材を、白色を呈する材料から構成しても良く、この場合には、前記下部照明機構は不要である。
【0034】
尚、検査対象物としてのチップLEDは、透光性を有する基板と、該基板の裏面に形成された不透光性の電極部と、前記基板の表面中央部に配設された発光部と、前記基板表面を被覆して前記発光部を封止する透光性の封止樹脂とから構成され、該封止樹脂の少なくとも前記発光部を覆う部分が凸曲面状に形成されたものであり、凸曲面部の形状については何ら限定されない。
【発明の効果】
【0035】
以上のように、本発明によれば、カメラによって撮像されるチップLEDの画像を、その全体が明部となった画像とすることができ、この結果、前記封止樹脂部に異物が存在する場合には、当該異物のみが暗部となった画像を得ることができ、このため、得られた画像を解析して異物の有無を判定する際には、これを容易にしかも正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態に係る検査装置を示した正面図である。
【図2】本実施形態に係る上部照明機構を示した縦断面図である。
【図3】本実施形態に係る上部照明機構の第1照明部と第2照明部とを分離して示した正面図である。
【図4】図3における矢視A−A方向の断面図である。
【図5】図3における矢視B方向の底面図である。
【図6】図3における矢視C−C方向の底面図である。
【図7】図3における矢視D方向の底面図である。
【図8】本実施形態に係る第1照明部の照明領域と第2照明部の照明領域を示した説明図である。
【図9】本実施形態において上部照明機構を用いて照明したときのチップLEDの撮像画像を示した説明図である。
【図10】本実施形態において下部照明機構を用いて照明したときのチップLEDの撮像画像を示した説明図である。
【図11】本実施形態において上部照明機構及び下部照明機構を用いて照明したときのチップLEDの撮像画像を示した説明図である。
【図12】チップLEDの形態を説明するための説明図である。
【図13】従来の検査装置によって得られる撮像画像を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の一具体的な実施の態様につき、図面に基づいて説明する。
【0038】
図1に示すように、本例の検査装置1は、検査対象のチップLED50が載置される透明な板状の支持部材5と、この支持部材5より上方に配設され、当該支持部材5上に載置されたチップLED50の表面側の画像を撮像するカメラ6と、支持部材5より上方であり、且つカメラ6の直下に配設された上部照明機構10と、支持部材5を挟んで上部照明機構10と対向するように、支持部材5の下方に配設された下部照明機構7と、カメラ6によって撮像された画像を解析して、撮像したチップLED50の良否を判定する判定部8とを備えている。
【0039】
尚、本例の検査対象物たるチップLED50は、前述の図12に示した形態を有しているものとする。
【0040】
前記支持部材5は、ガラス等、歪みなく光を透過するものであればその材質に制限はなく、また、その形態も剛性の高い板材の他、可撓性のあるシート材であっても良い。
【0041】
前記上部照明機構10は、図1及び2に示すように、第1照明部11と、この下方に連設された第2照明部20とを備えている。
【0042】
第1照明部11は、図2、図4及び5に示すように、椀状をした上本体13、及びこの上本体13の下面に、これと同軸に連設されたリング状の下本体15から構成されるドーム状の本体部12と、本体部12の内部に配設された光源たる複数のLEDランプ19とからなる。
【0043】
前記上本体13は、その内面(凹曲面)13aが反射面となっており、頂部には撮像用の開口14が形成されている。また、前記下本体15の上面には、環状の凹溝16が形成されており、前記LEDランプ19が、その照射方向が上に向くように、前記凹溝16内の底面に、その周方向に沿って等間隔に配設されている。
【0044】
斯くして、この第1照明部11によれば、各LEDランプ19から上方に向けて照射された光が、上本体13の凹曲面13aによって反射され、下本体15の開口部17を通って、その下方に配置されるチップLED50の表面全体を照明する。尚、この第1照明部11による照明は、下方に向けたある程度の指向性を有する間接照明であり、当該第1照明部11は、その下方の円形領域を照明する。
【0045】
前記第2照明部20は、図2及び図6に示すように、上面及び下面に開口部を備え、前記下本体15の下面に、これと同軸に連設されたリング状の本体21と、この本体21に設けられた光源たる複数のLEDランプ23と、本体21の下面に設けられた環状の拡散透光膜24とからなる。
【0046】
前記本体21の下面開口部の内径は、上面開口部の内径よりも大径となっており、その環状をした内部上面に、前記LEDランプ23が、その照射方向が下に向くように、周方向に沿って等間隔に配設されている。
【0047】
斯くして、この第2照明部20によれば、環状に配設された各LEDランプ23からその直下位置を中心とした平面視円形領域内に光が照射され、複数のLEDランプ23全体として、主に、下方の環状領域が高照度領域として照明される。そして、その下方に配置されたチップLED50は、照射される光の内、主に、内側斜め下方に向けて照射される光によって、その表面が照明され、少なくとも、凸曲面部54aの外周部及びこれより外側のチップLED50を含む環状領域が照明される。図8において灰色で示した環状領域が、当該第2照明部20の照明領域であり、上部照明機構10の高さ位置を調整することによって、前記凸曲面部54aの外周部が照明領域に含まれるようにしている。
【0048】
尚、前記拡散透光膜24は、LEDランプ23から照射される光を分散して透過させるもので、前記環状領域内をムラなくほぼ均等な照度で照明するためのものである。
【0049】
また、本体21の上面開口部の内径及び拡散透光膜24の内径は、いずれも前記下本体15の開口部17の内径よりも大径となっており、前記第1照明部11の照明に支障をきたさないようになっている。
【0050】
前記下部照明機構7は、前記支持部材5の下方に該支持部材5と平行に配設され、該支持部材5との対向面が白色の反射面となった板状の部材からなる。この下部照明機構7は、上部照明機構10から照射された光であって、そのまま支持部材5を透過した光、及び支持部材5上のチップLED50と支持部材5とを透過した光を前記反射面で反射して、前記チップLED50の裏面を照明する。
【0051】
前記カメラ6は、前記上本体11の開口14から、その下方のチップLED50の画像を撮像するもので、画像を撮像できるものであればどのようなものでも良く、例えば、エリアセンサカメラやラインセンサカメラを適用することができる。但し、ラインセンサカメラを用いる場合には、チップLED50を所定速度で移動させる必要がある。
【0052】
尚、前記下部照明機構7は、少なくとも前記チップLED50よりも大きい大きさを有している。
【0053】
前記判定部8は、カメラ6によって撮像された画像を解析して、例えば、撮像画像を2値化処理して、チップLED50の封止樹脂54部に異物が存在するか否かを判別する。
【0054】
以上の構成を備えた本例の検査装置1によれば、以下のようにして、チップLED50が検査される。
【0055】
まず、検査対象たるチップLED50を適宜搬送手段により搬送して、前記支持部材5上の検査領域、即ち、前記カメラの撮像視野領域内に位置させる。
【0056】
前記支持部材5上の前記検査領域では、上部照明機構10によってチップLED50の表面側が照明されるとともに、下部照明機構7によって当該チップLED50の裏面側が照明され、この状態で、当該チップLED50の表面側の画像がカメラ6によって撮像される。
【0057】
上述したように、上部照明機構10の第1照明部11はチップLED50の表面全体を照明し、第2照明部は、チップLED50の、凸曲面部54aの外周部を及びこれより外側のチップLED50を含む環状領域を照明しており、下部照明機構7を用いないで、この上部照明機構10のみを用いて照明した場合、チップLED50の撮像画像は図9に示すようになる。
【0058】
即ち、電極部52及び発光部53は比較的良く光を反射するため、第1照明部11から照射され、封止樹脂部54及び基板51を透過した光は、当該電極部52及び発光部53によって反射され、再度、基板51及び封止樹脂54を透過してカメラ6に入光するため、同部が明部となり、電極52の存在しない部分は、暗部となるのである。
【0059】
また、凸曲面部54aの外周部(基板51からの立ち上がり部分)については、第2照明部20によって、当該凸曲面部54aがその外方の斜め上方から照明されるので、当該凸曲面部54aの外周部も十分な光量で照明され、このため、同部によって反射され、或いは同部を透過した十分な光量がカメラ6に入光され、当該凸曲面部54aの外周部が明部となる。
【0060】
一方、前記上部照明機構10から照射され、前記チップLED50の電極部52,52間を通過した光は、下部照明機構7の反射面によって反射され、再度、基板51及び封止樹脂54を透過してカメラ6に入光する。したがって、図10に示すように、当該カメラ6によって撮像されるチップLED50の電極部52,52間の画像も明部となる。尚、図10では、この下部照明機構7の作用を強調して説明するために、上部照明機構10によるチップLED50表面への照明効果を無視して図示している。
【0061】
斯くして、前記上部照明機構10及び下部照明機構7により照明されたチップLED50の、カメラ6による撮像画像は、図9及び図10に示した画像を重畳した、チップLED50の表面全面が明部となった画像となる(図11参照)。
【0062】
したがって、チップLED50の封止樹脂54部に不透光性の異物が存在する場合、図11に示すように、前記カメラ6によって撮像される画像は、当該異物57のみが暗部となった画像となる。
【0063】
前記判定部8には、カメラ6によって撮像されたこのような画像が送信され、送信された画像が当該判定部8において解析され、前記異物57の有無が判定される。その際、カメラ6によって撮像される画像は異物57のみが暗部となるので、当該異物57の検出を容易且つ正確に行うことができる。
【0064】
以後、支持部材5上に載置されたチップLEDを順次新たなものと交換して、上記一連の検査を行うことで、多数のチップLEDについて連続的に異物検査が行われる。
【0065】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明が採り得る具体的な態様は、何らこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で他の態様を採り得る。
【0066】
例えば、下部照明機構7は、これを反射面が白色の反射板から構成したが、これに限られるものではなく、LEDランプなどの光源を用いた照明機構としても良い。この場合、拡散透光膜などを介在させて、拡散光による照明とするのが好ましい。
【0067】
また、検査対象物としてのチップLEDの形態は、上例のものに限られるものではなく、凸曲面状をした封止樹脂を有するものについては、本発明に係る検査装置によって、異物の有無を良好に検査することができ、凸曲面部の形状についても何ら限定されない。
【0068】
また、支持部材5を、白色を呈する材料から構成すれば、電極部52,52間など、表裏面に透光可能な部分も明部となるため、この場合には、前記下部照明機構7は不要である。また、基板51の全面に電極部52が形成されているなど、表裏面に透光可能な部分が存在しない場合にも、前記下部照明機構7は不要である。
【0069】
また、上例では、前記支持部材5を固定したものとしたが、チップLED50が載置された状態の支持部材5を移動させて、当該チップLED50を適宜搬送速度で前記検査領域内を通過させるようにしても良い。
【符号の説明】
【0070】
1 検査装置
5 支持部材
6 カメラ
7 下部照明機構
8 判定部
10 上部照明機構
11 第1照明部
12 本体部
13 上本体
15 下本体
19 LEDランプ
20 第2照明部
21 本体
23 LEDランプ
24 拡散透光膜
50 チップLED
51 基板
52 電極
53 発光部
54 封止樹脂
56 異物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する基板と、該基板の裏面に形成された不透光性の電極部と、前記基板の表面中央部に配設された発光部と、前記基板表面を被覆して前記発光部を封止する透光性の封止樹脂とから構成され、該封止樹脂の少なくとも前記発光部を覆う部分が凸曲面状に形成されたチップLEDの、前記封止樹脂に混入又はその表面に付着した不透光性の異物を検出する検査装置であって、
前記チップLEDを支持する板状又はシート状の支持部材と、
前記支持部材より上方に配設され、該支持部材上に載置されたチップLEDの表面側の画像を撮像するカメラと、
同じく前記支持部材より上方に配設され、該支持部材上に載置されたチップLEDの表面を照明する上部照明機構と、
前記カメラによって撮像された画像を解析して、前記異物の有無を判定する判定部とを備えてなり、
前記上部照明機構は、
下面中心部に円形の開口部を備え、且つ頂部に撮像用の開口部を備えたドーム状の本体と、該ドーム本体内に配設された複数の光源とからなり、前記ドーム本体は、その内部凹曲面が反射面をなし、前記光源は、前記ドーム本体の内部底面上にその周方向に等間隔に、且つ前記凹曲面に向けて光を照射するように配設されてなり、前記凹曲面によって反射された光が、前記ドーム本体の下面開口部から下方に向けて照射するように構成された第1照明部と、
リング状をした本体と、該リング本体の下面に、その周方向に等間隔に、且つ下方に向けて光を照射するように配設された複数の光源とを有する第2照明部とから構成され、
前記第2照明部は、そのリング本体が前記第1照明部のドーム本体と同軸となるように該第1照明部の下方に配設され、
更に、前記カメラは、前記第1照明部の上方に配設され、前記ドーム本体の撮像用開口部を通して前記チップLEDの表面画像を撮像するように構成されていることを特徴とするチップLED検査装置。
【請求項2】
前記第2照明部は、その光源の下方に配設された環状の拡散透光膜を備えていることを特徴とする請求項1記載のチップLED検査装置。
【請求項3】
前記支持部材が透明な部材から構成されてなり、
前記チップLED検査装置は、更に、前記支持部材より下方に配設され、該支持部材上に載置されたチップLEDの裏面を、該支持部材を透過して照明する下部照明機構を備えてなることを特徴とする請求項1又は2記載のチップLED検査装置。
【請求項4】
前記下部照明機構は、前記支持部材の下方に該支持部材と平行に配設され、該支持部材との対向面が反射面となった反射板から構成されることを特徴とする請求項3記載のチップLED検査装置。
【請求項5】
前記反射板の反射面は、白色を呈していることを特徴とする請求項4記載のチップLED検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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