説明

チャイニーズハムスターからのグリコシルトランスフェラーゼおよび関連方法

チャイニーズハムスターからのグリコシルトランスフェラーゼ、および関連方法が記載される。第1の態様では、本発明は、チャイニーズハムスターまたはCHO細胞のGgta1ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、または例えば本明細書に記載されるGgta1活性などの1つ以上のGgta1活性を有するその活性部分を含んでなる、単離された核酸分子を特徴とする。一実施形態では、本明細書に記載されるGgta1ポリペプチドをコードする単離された核酸分子は、異種性アミノ酸配列に結合しており、例えばそれは例えばエピトープ標識されたGgta1などのGgta1融合タンパク質をコードする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、その開示全体を参照によって本明細書に援用する、2009年11月11日に出願された米国仮特許出願第61/260,232号明細書の優先権を主張する。37CFR1.52(e)(5)に従って、テキストファイル形態の配列表(「Sequence Listing.txt」と題され、2010年11月10日に作成され、41キロバイト)は、その内容全体を参照によって本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
末端ガラクトース−α1,3−ガラクトースグリカン(本明細書中でGal−α−Galと称される)は、異種由来生物学的治療薬上に存在する場合のヒトにおける免疫原性から判断して、N−グリコシル化タンパク質に対する機能的に必然の修飾であり得る。内在性タンパク質上のこの炭水化物エピトープの存在は高度に種特異的なようであり、例えばブタ、マウス、およびラット中に検出されるが、霊長類には不在である。したがってエピトープは、特定生物(例えばマウスNS0またはSP/2細胞、遺伝子導入ブタ)に由来する細胞発現系において産生される組換え生物製剤上に存在し得る。モノクローナル抗体セツキシマブ(Erbitux(登録商標))は、マウス由来細胞系において産生されるこのような市販のタンパク質製剤の一例であり、Gal−α−Gal炭水化物エピトープを含有することも報告されている(非特許文献1)。Gal−α1,3−Galグリカンの酵素的生合成は、1,3グリコシルトランスフェラーゼ−1(本明細書中でGgta1と称される)によるものとされている(非特許文献2;非特許文献3)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Chung et al.(2008)N Engl J Med 358:1109−1117
【非特許文献2】Taylor et al.(2003)Glycobiology 13:327−337
【非特許文献3】Smith et al.(1990)J Biol Chem 265:6225−6234
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、CHO細胞がそれに由来するチャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)と、組換えタンパク質生成のために使用されるCHO細胞系との双方における、α−1,3グリコシルトランスフェラーゼ−1(Ggat1)遺伝子配列の発見に少なくとも部分的に基づく。したがって本発明は、発見された遺伝子に関連する核酸およびポリペプチド組成物、および関連ベクターと細胞(例えばGgta1活性を低下させ、排除しまたは増大させるように遺伝子改変されたCHO細胞、およびこのような細胞の生成に有用なベクター)に関する。さらに本発明は、例えばCHO細胞をGal−α−Gal構造産生能力についてスクリーニングするための、CHO細胞内のGgta1活性(Ggta1転写活性および/または酵素活性を含む)を検出する方法、または例えば治療用糖タンパク質産生のために使用される細胞であるCHO細胞内のGgta1発現または活性を同定および定量化する方法などの、様々な方法における同定された配列の使用に関する。
【0005】
本明細書で開示されるGgta1配列を表1に列挙する。
【0006】
【表1】

【0007】
したがって第1の態様では、本発明は、チャイニーズハムスターまたはCHO細胞のGgta1ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、または例えば本明細書に記載されるGgta1活性などの1つ以上のGgta1活性を有するその活性部分を含んでなる、単離された核酸分子を特徴とする。
【0008】
一実施形態では、単離された核酸分子は、(a)配列番号2、または配列番号4または配列番号7のアミノ酸残基配列をコードする配列を有するDNA分子に対して、あるいは(b)(a)のDNA分子の補体に対して、少なくとも約75%の配列同一性、または少なくとも約80%の配列同一性、または少なくとも約85%の配列同一性、または少なくとも約90%の配列同一性、または少なくとも約91%の配列同一性、または少なくとも約92%の配列同一性、または少なくとも約93%の配列同一性、または少なくとも約94%の配列同一性、または少なくとも約95%の配列同一性、または少なくとも約96%の配列同一性、または少なくとも約97%の配列同一性、または少なくとも約98%の配列同一性、または少なくとも約99%の配列同一性を有する、ヌクレオチド配列を含んでなる。単離された核酸分子は、1つ以上のGgta1活性を有するポリペプチドをコードし得る。一実施形態では、単離された核酸分子は、配列番号2、または配列番号4または配列番号7の配列をコードする。
【0009】
一実施形態では、単離された核酸分子は、配列番号1または配列番号3、配列番号5または配列番号6の配列と、少なくとも約90%の配列同一性、または少なくとも約91%の配列同一性、または少なくとも約92%の配列同一性、または少なくとも約93%の配列同一性、または少なくとも約94%の配列同一性、または少なくとも約95%の配列同一性、または少なくとも約96%の配列同一性、または少なくとも約97%の配列同一性、または少なくとも約98%の配列同一性、または少なくとも約99%の配列同一性を有する。単離された核酸分子は、1つ以上のGgta1活性を有するポリペプチドをコードし得る。
【0010】
一実施形態では、単離された核酸分子は、高ストリンジェンシー条件下で、配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号6のヌクレオチド配列を含んでなる核酸分子と、ハイブリッド形成する。
【0011】
一実施形態では、単離された核酸分子は、配列番号1または配列番号3、配列番号5または配列番号6のヌクレオチド配列を含んでなる。
【0012】
本発明の単離された核酸分子は、例えば発現されるGgta1タンパク質をコードする天然CHO核酸配列などの天然核酸分子に相当してもよい。いくつかの実施形態では、核酸分子は、核酸分子が天然であるかどうかに関わらず、1つ以上のGgta1活性を有するポリペプチドをコードし得る。例えば単離された核酸分子は、チャイニーズハムスターまたはCHO細胞Ggta1配列の非天然変異型である。一実施形態では、単離された核酸分子は、アンチセンス核酸分子、RNAi分子(例えばdsRNAまたはsiRNA)、リボザイム、またはペプチド核酸であり、アンチセンス分子は本明細書に記載されるGgta1の産生を阻害する。
【0013】
一実施形態では、本明細書に記載されるGgta1ポリペプチドをコードする単離された核酸分子は、異種性アミノ酸配列に結合しており、例えばそれは例えばエピトープ標識されたGgta1などのGgta1融合タンパク質をコードする。
【0014】
第2の態様では、本発明は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、または配列番号6の少なくとも10個の連続するヌクレオチド(例えば少なくとも12個、15個、18個、20個、25個、30個、35個、40個、45個もしくは50個の連続するヌクレオチド)でありかつ500個未満の連続するヌクレオチド(例えば450個、400個、350個、300個、250個、200個、180個、160個、140個、130個、125個、120個、100個、90個、80個、75個、60個、もしくは50個未満の連続するヌクレオチド)、またはその各補体を含んでなるオリゴヌクレオチドを特徴とする。一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、長さが10〜200ヌクレオチド、長さが20〜200ヌクレオチド、長さが20〜100ヌクレオチド、長さが15〜100ヌクレオチド、長さが10〜100ヌクレオチド、長さが20〜75ヌクレオチド、長さが25〜50ヌクレオチド、長さが20〜50ヌクレオチド、長さが15〜50ヌクレオチド、長さが10〜50ヌクレオチド、長さが10〜40ヌクレオチド、長さが10〜30ヌクレオチド、または長さが10〜25ヌクレオチドである。このようなオリゴヌクレオチドは、(例えばPCR、DNAチップ、または遺伝子発現連続解析(SAGE)などの方法を使用して)CHO細胞内のGgta1発現を検出および/または測定する方法において、例えばプライマー、タグまたはプローブとして使用し得る。一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、表2または表4に示す配列を有し、またはそれを含む。
【0015】
一実施形態では、オリゴヌクレオチドは以下の特徴の1つ以上を有する。GC含量50〜65%、実質的二次構造の欠如、融点(Tm)50〜60℃、3塩基よりも長いGC反復なし、末端にGC対、イントロン−エクソン境界に広がる。
【0016】
一実施形態では、本発明は、例えばPCRにより、CHO細胞に由来するGgta1 DNAの少なくとも一部を共同して増幅できる、2つのこのようなオリゴヌクレオチドの組(例えばプライマー対)を特徴とする。プライマーの組の一具体例としては、Ggta1核酸分子コード鎖にアニールする順方向プライマー、およびGgta1核酸分子の非コード鎖にアニールする逆方向プライマーが挙げられる。
【0017】
別の実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、調節要素と作動的に連結する(例えばベクターコンストラクト中のプロモーターと作動的に連結する)。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドはセンス方向にある。別の実施形態では、オリゴヌクレオチドはアンチセンス方向にある。
【0018】
第3の態様では、本発明は、発現またはクローニングのために、例えばプロモーターなどの少なくとも1つの調節要素と作動的に連結する、本明細書に記載される核酸分子またはオリゴヌクレオチドの配列を含む、ベクター(例えばプラスミド、コスミド、ウィルス粒子またはファージ)などの核酸コンストラクトを特徴とする。ベクターは、エンハンサー、シグナル配列、複製起点、1つ以上のマーカー遺伝子、および転写終結配列の1つ以上などの追加的要素を含んでもよい。
【0019】
一実施形態では、ベクターは、宿主細胞(例えば原核生物(例えば大腸菌(E.coli))または真核細胞(例えばCHO細胞などの哺乳類細胞))中における、本明細書に記載される、チャイニーズハムスターまたはCHO細胞Ggta1ポリペプチドの発現のために設計される。
【0020】
一実施形態では、ベクターは、アンチセンス方向で発現ベクターにクローンされた、本発明のDNA分子を含む。
【0021】
一実施形態では、ベクターは、宿主細胞のゲノムの特定部位に組換えされるように構成された、例えば宿主細胞内の内在性Ggta1遺伝子を修飾、中断またはノックアウトするように構成された、例えば本明細書に記載されるチャイニーズハムスターまたはCHO細胞Ggta1核酸分子などの、本明細書に記載される核酸分子を含有する。
【0022】
第4の態様では、本発明は、本明細書に記載される核酸分子、オリゴヌクレオチド、または核酸コンストラクトを用いて形質移入された、単離された宿主細胞を特徴とする。宿主細胞は、原核生物(例えば大腸菌(E.coli))または真核生物(例えば植物細胞、酵母細胞またはCHOなどの哺乳類細胞)であってもよい。一実施形態では宿主細胞はさらに遺伝子改変されて、治療用組換え糖タンパク質を発現する。
【0023】
一実施形態では、宿主細胞は、本明細書に記載される核酸分子、オリゴヌクレオチド、または核酸コンストラクトを用いて形質移入されたCHO細胞(例えば本明細書に記載されるGgta1−a、Ggta1−bまたはGgta1−cコード配列を含むベクター)であり、CHO細胞は、親CHO細胞と比較して増大したレベルのGgta1を発現する。このような実施形態では、宿主細胞は、親細胞と比較して、末端ガラクトース−α1,3−ガラクトースグリカンのレベルが増大している糖タンパク質(例えば治療用組換え糖タンパク質)を産生できてもよい。このような宿主細胞を用いて糖タンパク質を生成することで、末端ガラクトース−α1,3−ガラクトースグリカンレベルが増大している糖タンパク質(例えば治療用組換え糖タンパク質)を生成する方法もまた、本発明によって提供される。
【0024】
別の実施形態では、宿主細胞は、本明細書に記載される核酸分子、オリゴヌクレオチド、または核酸コンストラクトを用いて形質移入された(例えばGgta1−a、Ggta1−bまたはGgta1−c dsRNA、siRNA、またはノックアウトベクターを用いて形質移入された)CHO細胞であり、CHO細胞は、非形質転換CHO細胞と比較して、本明細書に記載されるGgta1の発現が低下しており、例えば宿主細胞は、Ggta1ノックダウンまたはノックアウト細胞である。このような実施形態では、宿主細胞は、宿主細胞の親細胞と比較して、末端ガラクトース−α1,3−ガラクトースグリカンのレベルがより低い糖タンパク質(例えば治療用組換え糖タンパク質)を産生できてもよい。このような宿主細胞を用いて糖タンパク質を生成することで、末端ガラクトース−α1,3−ガラクトースグリカンのレベルがより低い糖タンパク質(例えば治療用組換え糖タンパク質)を生成する方法もまた、本発明によって提供される。
【0025】
第5の態様では、本発明は、例えば治療用組換え糖タンパク質中に存在する末端ガラクトース−α1,3−ガラクトースグリカンレベルを調節するなど、例えば治療用組換え糖タンパク質などの糖タンパク質中のグリカン構造を調節する方法を提供する。本方法は、本明細書に記載される宿主細胞(例えばGgta1形質移入、またはGgta1ノックダウンまたはノックアウト宿主細胞)を糖タンパク質発現に適した条件下で培養するステップを含む。
【0026】
第6の態様では、本発明は、本明細書に記載されるGgta1のアミノ酸配列を含む単離ポリペプチド、またはその活性断片を提供する。一実施形態では、ポリペプチドは、本明細書に記載される単離された核酸配列の何れかによってコードされるアミノ酸配列を含む。
【0027】
特定の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2、配列番号4または配列番号7の配列を含んでなるアミノ酸配列を含む。
【0028】
別の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2、配列番号4または配列番号7のアミノ酸残基配列と、少なくとも約90%の配列同一性、例えば少なくとも約91%の配列同一性、例えば少なくとも約92%の配列同一性、例えば少なくとも約93%の配列同一性、例えば少なくとも約94%の配列同一性、例えば少なくとも約95%の配列同一性、例えば少なくとも約96%の配列同一性、例えば少なくとも約97%の配列同一性、例えば少なくとも約98%の配列同一性、例えば少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。ポリペプチドは、1つ以上のGgta1活性を有してもよい。
【0029】
別の実施形態では、Ggta1ポリペプチド、またはその断片は、配列番号2、配列番号4または配列番号7の対応する配列と異なる。一実施形態では、それは、1個以上かつ20個未満、15個未満、10個未満または5個未満のアミノ酸残基が異なる。別の実施形態では、それは配列番号2、配列番号4または配列番号7中の対応する配列と、1個以上かつ10%未満または5%未満の残基が異なる。一実施形態では、差異は保存的置換を含む。別の実施形態では、差異は非保存的置換を含む。ポリペプチドは1つ以上のGgta1活性を有してもよい。
【0030】
一実施形態では、本明細書に記載されるGgta1ポリペプチドは異種性アミノ酸配列に結合しており、例えばポリペプチドはGgta1融合タンパク質であり、例えばエピトープ標識されたGgta1である。
【0031】
第7の態様では、本発明は、本明細書に記載されるCHO細胞またはチャイニーズハムスターGgta1ポリペプチドと特異的に結合する、抗体またはその抗原結合性断片を提供する。任意選択により、抗体はモノクローナル抗体、機能性抗体断片(例えばFab断片)または一本鎖抗体である。
【0032】
一実施形態では、抗体またはその機能性断片は、マウス、ラット、ウシまたはイヌの1種以上からの天然Ggta1よりも大きな結合親和力で、CHO細胞またはチャイニーズハムスターGgta1に結合する。例えば抗体またはその機能性断片は、マウス、ラット、ウシまたはイヌの1種以上からの天然Ggta1よりも20%、25%、30%、40%、50%、60%またはそれより大きな親和力で、CHO細胞またはチャイニーズハムスターGgta1に結合する。一実施形態では、抗体またはその機能性断片は、本明細書に記載されるCHO細胞またはチャイニーズハムスターGgta1に結合し、マウス、ラット、ウシまたはイヌのうち1種以上からの天然Ggta1に結合しない。結合親和力は、例えば放射免疫アッセイ(RIA)、ELISA、またはカラム担体形態中の結合などの、当該技術分野で知られている方法によって測定され得る。解離は変性条件を増大させることで、または関連リガンドとの競合によって実施される。解離定数Kdは、スキャッチャードプロットによって判定される。
【0033】
第8の態様では、本発明は、CHO細胞内でGgta1発現および/または活性を検出し、任意選択により定量化する方法を特徴とする。
【0034】
一実施形態では、本方法は、CHO細胞集団からの核酸サンプルを、本明細書に記載されるチャイニーズハムスターまたはCHO細胞Ggta1オリゴヌクレオチドまたは単離された核酸分子と接触させて、CHO集団内のGgta1発現または活性レベルの値(例えば相対または絶対値)を得るステップを含む。一実施形態では、本方法として、ハイブリダイゼーション法(例えばサザンまたはノーザンブロット法)、原位置ハイブリダイゼーション(例えば蛍光原位置ハイブリダイゼーションまたはFISH)、アレイハイブリダイゼーション、PCR(例えばRT−PCR、qPCR)分析、遺伝子発現連続解析(SAGE)、RNAase保護、分枝DNAサンドイッチ核酸ハイブリダイゼーション(例えばQuantigene(登録商標)システム)における、本明細書に記載されるGgta1プローブまたはプライマーまたは核酸分子の使用が挙げられる。一実施形態では、CHO細胞は、治療用組換え糖タンパク質を発現する。このような方法を使用して、例えばGgta1遺伝子の差次的発現についてCHO細胞クローンをスクリーニングし得る。
【0035】
別の実施形態では、本方法は、CHO細胞集団からのタンパク質サンプルを、本明細書に記載されるチャイニーズハムスターまたはCHO細胞Ggta1ポリペプチドまたは抗体と接触させて、CHO集団中のGgta1の存在、発現または活性レベルの値(例えば相対または絶対値)を得るステップを含む。一実施形態では、本方法として、例えば酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、免疫沈降、免疫蛍光、酵素免疫測定法(EIA)、放射免疫測定法(RIA)、ウエスタンブロット分析、表面プラズモン共鳴(SPR)などの抗体ベースの検出法における、本明細書に記載されるGgta1抗体またはその断片の使用が挙げられる。一実施形態では、CHO細胞は、治療用組換え糖タンパク質を発現する。このような方法は、例えばCHO細胞クローンをGgta1の示差的存在、発現または活性についてスクリーニングするのに使用できる。
【0036】
一実施形態では、本方法は、定量的リアルタイムPCR反応(qPCR)を実施して、CHO細胞調製品中のGgta1発現を評価するステップを含む。一実施形態では、qPCR法は、本明細書に記載されるGgta1オリゴヌクレオチドの一組を用い、例えば本明細書に記載されるプライマー対(例えば表2または表4に記載されるプライマー対)を用いる。
【0037】
一実施形態では、CHO集団内のGgta1発現または活性のレベルについて得られた値を、例えば対照値、規定値、または第2のCHO細胞集団内のGgta1発現または活性値などの基準値と比較する。例えば得られた値を、異なる培地調合物および/または規模などの、異なるバイオプロセス条件下で成長させたCHO細胞から得た値と比較してもよい。
【0038】
第9の態様では、本発明は、CHO細胞に由来するサンプルを評価する方法を特徴とする。本方法としては、例えば治療用組換え糖タンパク質を発現するCHO細胞などのCHO細胞に由来する核酸サンプルを提供するステップと、サンプルの遺伝子発現プロフィールを判定するステップが挙げられ、プロフィールとしては、CHO細胞内におけるGgta1の発現レベルを表す値、およびCHO細胞内における別の遺伝子の発現(例えば別の酵素)レベルを表す値が挙げられる。本方法は、サンプルを本明細書に記載される1つ以上のGgta1核酸分子またはプローブまたはプライマーと接触させるステップを含んでもよい。本方法は、値またはプロフィール(すなわち複数の値)を、基準値または基準プロフィールと比較するステップをさらに含み得る。サンプルの遺伝子発現プロフィールは、本明細書に記載される方法の何れかによって(例えばサンプルから核酸を提供し、核酸を本明細書に記載されるGgta1プローブを含む配列と接触させることにより)得られる。本方法を使用して、その他の遺伝子の発現または活性レベル中で、CHO細胞内のGgta1発現または活性レベルを判定し得る。
【0039】
第10の態様では、本発明は、複数アドレスを有する二次元配列を特徴とし、複数アドレスの各アドレスは位置的に互いに区別でき、複数アドレスの各アドレスは、例えば核酸またはペプチド配列または抗体などのユニークな捕捉プローブを有する。複数アドレスの少なくとも1つは、本明細書に記載されるGgta1分子(例えば本明細書に記載されるGgta−1、Ggta1−bまたはGgta1−c分子)を認識する捕捉プローブを有する。一実施形態では、捕捉プローブは、例えばGgta1核酸配列に相補的なプローブなどの核酸である。別の実施形態では、捕捉プローブは、例えば本明細書に記載されるGgta1ポリペプチドに対して特異的な抗体などの抗体である。サンプルを前述の配列と接触させ、サンプルと配列の結合を検出することで、サンプル(例えばCHO細胞からのサンプル)を分析する方法もまた特徴である。本発明のその他の徴群および利点は、以下の詳細な説明から、そして特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】チャイニーズハムスター脳(レーン3)、腎臓(レーン4)、卵巣(レーン5)、および脾臓(レーン6)から作成された、cDNAプールからの増幅されたGgta1PCR産物のアガロースゲル電気泳動分離の写真である。レーン1および2はサイズ標準をkBで示す。DNAは、臭化エチジウム染色によって視覚化される。
【図2】ラット(NM_145674、エクソン5および6欠失)、マウス(NM_010283、全長)、ウシ(NM_177511、全長)、イヌ(XM_548478、全長)、チャイニーズハムスター卵巣(共通配列)、チャイニーズハムスター脾臓(共通配列)からのGgta1、およびCHO細胞エクソン8および9のアミノ酸レベルにおける多重配列アラインメントである。NCBI登録番号を括弧内に記載する。
【図3A−1】チャイニーズハムスター卵巣由来cDNAからクローンされたGgta1−aの配列である。配列は1110塩基対(配列番号1)であり、370個のアミノ酸(配列番号2)で、予測分子量44,002ダルトンのタンパク質に翻訳される。
【図3A−2】チャイニーズハムスター卵巣由来cDNAからクローンされたGgta1−aの配列である。配列は1110塩基対(配列番号1)であり、370個のアミノ酸(配列番号2)で、予測分子量44,002ダルトンのタンパク質に翻訳される。
【図3B】チャイニーズハムスター卵巣由来cDNAからクローンされたGgta1−aの配列である。配列は1110塩基対(配列番号1)であり、370個のアミノ酸(配列番号2)で、予測分子量44,002ダルトンのタンパク質に翻訳される。
【図4A−1】チャイニーズハムスター由来由来(derived−derived)cDNAからクローンされたGgta1−bの配列である。配列は1110塩基対(配列番号3)であり、370個のアミノ酸(配列番号4)で、予測分子量44,016ダルトンのタンパク質に翻訳される。
【図4A−2】チャイニーズハムスター由来由来(derived−derived)cDNAからクローンされたGgta1−bの配列である。配列は1110塩基対(配列番号3)であり、370個のアミノ酸(配列番号4)で、予測分子量44,016ダルトンのタンパク質に翻訳される。
【図4B】チャイニーズハムスター由来由来(derived−derived)cDNAからクローンされたGgta1−bの配列である。配列は1110塩基対(配列番号3)であり、370個のアミノ酸(配列番号4)で、予測分子量44,016ダルトンのタンパク質に翻訳される。
【図5A−1】DHFR−CHO細胞系から増幅されたGgta1ゲノム配列である。配列は、介在性イントロン(小文字)がある、エクソン8および9(大文字)からなる(配列番号5)。
【図5A−2】DHFR−CHO細胞系から増幅されたGgta1ゲノム配列である。配列は、介在性イントロン(小文字)がある、エクソン8および9(大文字)からなる(配列番号5)。
【図5B−1】DHFR−CHO細胞系から増幅されたGgta1ゲノム配列である。配列は、介在性イントロン(小文字)がある、エクソン8および9(大文字)からなる(配列番号5)。
【図5B−2】DHFR−CHO細胞系から増幅されたGgta1ゲノム配列である。配列は、介在性イントロン(小文字)がある、エクソン8および9(大文字)からなる(配列番号5)。
【図6−1】CHO細胞系Ggta1エクソン8および9の翻訳されたアミノ酸配列である。配列は276個のアミノ酸(配列番号6)で、予測分子量32,597ダルトンである。
【図6−2】CHO細胞系Ggta1エクソン8および9の翻訳されたアミノ酸配列である。配列は276個のアミノ酸(配列番号6)で、予測分子量32,597ダルトンである。
【図7】図7Aは、CHO細胞系クローン中におけるGgta1遺伝子の差次的発現を評価するために、qPCRによってスクリーニングされた選択クローンのPCRサイクリングプロフィールを示す。図7Bは、プライマー特異性のアセスメントとしてのTm分析を示す。
【図8】増幅されたGgta1PCR産物のアガロースゲル電気泳動分離の写真である。プライマー863および830を使用して、CHO(DHFR−)細胞系(レーン2〜5)からのゲノムDNAまたは同一細胞系に由来するcDNA(レーン6および7)を増幅した。
【図9】増幅されたGgta1PCR産物のアガロースゲル電気泳動分離の写真である。2つのエクソン(エクソン8および9)にまたがり、発現遺伝子とゲノムコピーを識別するように設計された、Ggta1特異的プライマー875(順方向)および855(逆方向)を使用して、CTLA4−Igを発現するDHFR−CHO細胞系の3つの異なる増幅クローンをプロファイルした。クローンを希釈によって単離し、メトトレキサートによる増幅がそれに続いた。Ggta1PCR産物(cDNAから特異的に増幅されたもの)の予期されるサイズは、324bpである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
組換え糖タンパク質上の末端ガラクトース−α−1−3−ガラクトース残基(Gal−α−Gal)の存在は、主にエピトープの免疫原性および(その結果としての)生物製剤開発および製造における調節的重要性の理由から、一般に重要な翻訳後の修飾に相当する。しかしGgta1遺伝子または遺伝子産物の発現、あるいは酵素活性はいずれも、治療用生物製剤の商業生産のための歴史的に好ましい哺乳類の発現プラットフォームである、いかなるCHO細胞系中でも起きないことが報告されている。実のところ科学文献は逆を示唆し、すなわちチャイニーズハムスターゲノム中におけるGgta1遺伝子の機能性コピー、または十分なレベルでのその発現のどちらかが欠けているために、CHO細胞は末端Gal−α−Gal構造があるN−グリカンを生成できないようである(Smith et al.(1990)J Biol Chem 265:6225−62343,4);Takeuchi et al.(1989)Proc Natl Acad Sci USA 86:7819−7822)。
【0042】
CHO細胞内で産生される糖タンパク質中の意外な末端Gal−α−Gal残基の存在については、特に本出願の譲受人に譲渡された国際出願整理番号PCT/US2009/031678号明細書(国際公開第2010/085251号パンフレット)に記載される。本明細書に記載されるように、チャイニーズハムスターからのそしてCHO細胞からの1,3グリコシルトランスフェラーゼ−1(Ggta1)の同定およびクローニングは、生物学的製剤中のGal−α−Gal含有グリカンを検出、測定、および調節するために、本明細書に記載される方法で使用される有益なツールを提供する。
【0043】
定義
本明細書での用法では、「核酸分子」という用語は、DNA分子(例えばcDNAまたはゲノムDNA)、RNA分子(例えばmRNA)、およびDNAまたはRNAの類似体を含む。DNAまたはRNA類似体は、ヌクレオチド類似体から合成し得る。核酸分子は一本鎖または二本鎖であり得る。
【0044】
「単離された核酸分子」または「精製された核酸分子」という用語は、天然核酸原料中に存在するその他の核酸分子から分離された核酸分子を含む。例えばゲノムDNAに関して、「単離された」という用語は、それにゲノムDNAが天然に結合している染色体から分離された核酸分子を含む。「単離された」核酸は、核酸がそれに由来する生物ゲノムDNA中で核酸の側面に天然で位置する配列(すなわち核酸の5’および/または3’末端に位置する配列)を含まないことが好ましい。例えば様々な実施形態では、単離された核酸分子は、核酸がそれに由来する細胞のゲノムDNA中の核酸分子側面に天然で位置する、約5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kbまたは0.1kb未満の5’および/または3’ヌクレオチド配列を含有し得る。さらにcDNA分子などの「単離された」核酸分子は、組換え技術によって生成される場合はその他の細胞物質または培地を実質的に含まず、または化学的に合成される場合は化学物質前駆体またはその他の化学物質を実質的に含まないこともあり得る。
【0045】
本明細書での用法では、「高ストリンジェンシー下でハイブリッド形成する」という用語は、ハイブリダイゼーション反応を実施する上での、ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件について記述する。このような条件は、参照によって援用するCurrent Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,N.Y.(2007),Unit 6.3にある。水性および非水性方法についてはこの参考文献に記載され、どちらでも使用し得る。本明細書で言及される特定のハイブリダイゼーション条件は、次のとおりである。1)6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中で約45℃の後、0.2×SSC、0.1%SDS中で少なくとも50℃(洗浄温度は低ストリンジェンシー条件では55℃に増大し得る)での2回の洗浄の低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件、2)6×SSC中で約45℃の後、0.2×SSC、0.1%SDS中で60℃の1回以上の洗浄の中程度のストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件、3)6×SSC中で約45℃の後、0.2×SSC、0.1%SDS中で65℃の1回以上の洗浄の高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件、そして4)非常に高いストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、0.5Mリン酸ナトリウム、7%SDSで65℃の後、0.2×SSC、1%SDSで65℃の1回以上の洗浄である。
【0046】
本明細書での用法では、「天然」核酸分子は、自然界で生じるヌクレオチド配列を有するRNAまたはDNA分子を指す。例えば天然核酸分子は、野性型細胞によって発現される天然タンパク質をコードし得る。
【0047】
本明細書での用法では、「遺伝子」および「組換え遺伝子」という用語は、Ggta1タンパク質をコードする少なくとも1つの読み取り枠を含む核酸分子を指す。遺伝子は、任意選択により、例えば制御配列およびイントロンなどの非コード配列をさらに含み得る。
【0048】
「単離された」または「精製された」ポリペプチドまたはタンパク質は、タンパク質がそれに由来する細胞または組織原料からの、細胞物質またはその他の汚染タンパク質を実質的に含まず、または化学的に合成される場合は化学物質前駆体またはその他の化学物質を実質的に含まない。「実質的に含まない」とは、Ggta1タンパク質の調製品が少なくとも50重量%Ggta1タンパク質であることを意味する。好ましい実施形態では、Ggta1タンパク質調製品は(乾燥重量で)約30%、20%、10%、より好ましくは5%未満の非Ggta1タンパク質(本明細書で「汚染タンパク質」としても言及される)、または化学物質前駆体または非Ggta1化学物質を有する。Ggta1タンパク質または生物学的に活性のその一部が組換え的に生成される場合、それはまた好ましくは実質的に培地を含まず、すなわち培地はタンパク質調製品体積の約20%未満、より好ましくは約10%未満、および最も好ましくは約5%未満に相当する。
【0049】
「Ggta1ポリペプチド」は、本明細書での用法では、(1)配列番号2、4、または7の1つ以上に対して、少なくとも約90%の全体的配列同一性を示し、(2)配列番号2、4、または7に見られる少なくとも1つの特徴的な配列要素を含み、および/または(3)配列番号2、4、または7のポリペプチドに見られる少なくとも1つの生物学的活性を共有する、ポリペプチドを指す。いくつかの実施形態では、Ggta1ポリペプチドは、配列番号2、4、または7の1つ以上に対して、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%以上の全体的配列同一性を示す。いくつかの実施形態では、Ggta1ポリペプチドは、配列番号2、4、または7に見られる少なくとも1つの配列要素特徴的な配列要素(sequence element characteristic sequence element)を含み、また配列番号2、4、または7に対して、少なくとも約少なくとも約(at least about at least about)90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%またはそれ以上の全体的配列同一性もまた示す。いくつかの実施形態では、Ggta1ポリペプチドは、配列番号2、4、または7の長さの少なくとも約少なくとも約(at least about at least about)75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%以上の長さを有する。いくつかの実施形態では、Ggta1ポリペプチドは、配列番号2、4、または7の断片である。いくつかの実施形態(embodimetns)では、Ggta1ポリペプチドは、配列番号2、4、または7の断片に対して、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%またはそれ以上の同一性を示す。このようないくつかの実施形態では、断片は、アミノ酸が少なくとも約5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個、85個、90個、95個、100個、150個、200個、250個、300個、350個またはそれ以上の長さである。
【0050】
「保存的アミノ酸置換」は、その中でアミノ酸残基が、類似した側鎖を有するアミノ酸残基で置換されているものである。類似した側鎖を有するアミノ酸残基ファミリーについては、当該技術分野で定義されている。これらのファミリーとしては、塩基性側鎖(例えばリジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えばアスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分枝側鎖(例えばスレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)のあるアミノ酸が挙げられる。したがってGgta1タンパク質中の予測される非必須アミノ酸残基は、好ましくは同一側鎖ファミリーからの別のアミノ酸残基で置換される。代案として、別の実施形態では、飽和変異誘発などによって、Ggta1コード配列の全部または一部に沿って変異を無作為に導入し得て、得られた変異体をGgta1活性についてスクリーニングし、活性を保持する変異体を同定し得る。変異誘発に続いて、コードされたタンパク質を組換え的に発現し得て、タンパク質活性を測定し得る。
【0051】
「%配列同一性」とは、最大%配列同一性を達成するために配列を整列化して、必要ならばギャップを導入した後に、本明細書で同定された配列と比較して、参照配列中のアミノ酸残基またはヌクレオチドと同一である、候補配列中のアミノ酸残基またはヌクレオチドの百分率と定義される。(例えば最適アライメントのために、第1および第2のアミノ酸または核酸配列の片方または双方の中にギャップを導入することができ、比較目的では非相同的配列は無視し得る)。%配列同一性を判定する目的のアライメントは、例えばBLAST、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して、当該技術分野の技術範囲内である様々なやり方で達成し得る。当業者は、比較される配列全長にわたって最大のアライメントを達成するのに必要なあらゆるアルゴリズムをはじめとする、アライメントを測定するための適切なパラメータを判定し得る。一実施形態では、比較目的で整列化された参照配列の長さは、参照配列長さの少なくとも30%、例えば少なくとも40%、例えば少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または100%である。次に対応するアミノ酸位置の、またはヌクレオチド位置のアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第1の配列中の位置が、第2の配列中の対応する位置と同一のアミノ酸残基またはヌクレオチドによって占められる場合、分子はその位置で同一である。
【0052】
「特徴的な配列要素」は、本明細書の用法では、そのアイデンティティと互いの相対位置が、特定のポリペプチドに、関心のある1つ以上の活性または特徴を与えるアミノ酸の組を指す。いくつかの実施形態では、特徴的な配列要素は、特定のポリペプチドにユニークなものであり、それは活性または特徴を欠いている既知のポリペプチドには見られない。いくつかの実施形態では、特徴的な配列要素は、少なくとも5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個またはそれ以上のアミノ酸を含んでなる。いくつかの実施形態では、特徴的な配列要素に関与する一部または全部のアミノ酸は互いに隣接する。いくつかの実施形態では、特徴的な配列要素内の特定残基は、線形順序で1つ以上のその他の残基から離れていてもよい。いくつかの実施形態では、特徴的な配列要素は、ポリペプチド鎖が折りたたまれた際に、三次元空間で互いに近くに位置する残基を含んでなる。
【0053】
「細胞調製品」は、本明細書での用法では、生体外細胞調製品を指す。多細胞生物(例えば植物および動物)からの細胞の場合、精製された細胞調製品は、無処置生物全体でなく、生物から得られた細胞のサブセットである。単細胞微生物(例えば培養細胞および微生物細胞)の場合、それは対象細胞の少なくとも10%、およびより好ましくは50%の調製品からなる。
【0054】
本発明の様々な態様について、下でさらに詳細に記述する。
【0055】
Ggta1核酸分子
一態様では、本発明は、本明細書に記載される単離または精製されたGgta1核酸分子を提供する。提供される核酸分子は、本明細書に記載されるGgta1ポリペプチド、例えば全長Ggta1タンパク質またはその活性断片(例えば触媒的に活性なその断片)をコードしてもよい。機能性タンパク質をコードしないかもしれないが、例えば内在性Ggta1遺伝子の配列をノックアウトまたは修飾する、例えば内在性チャイニーズハムスターまたはCHO細胞Ggta1遺伝子を標的とするベクターを構築するのに使用し得る、Ggta1核酸分子またはその断片もまた含まれる。
【0056】
いくつかの実施形態では、提供されるGgta1核酸分子は、チャイニーズハムスターまたはCHO細胞に由来する。いくつかの実施形態では、提供されるGgta1核酸分子は、チャイニーズハムスターまたはCHO細胞に由来するGgta1核酸分子のそれと同一であるヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態では、提供されるGgta1核酸分子は、チャイニーズハムスターまたはCHO細胞に由来するGgta1ポリペプチドをコードする。
【0057】
一実施形態では、本発明の単離された核酸分子は、配列番号1、3、5または6のヌクレオチド配列、またはこれらのヌクレオチド配列の何れかの一部を有する。いくつかの実施形態では、核酸分子は、コード配列のみを含む。別の実施形態では、核酸分子は、5’未翻訳配列またはイントロン配列などの非コード配列を含む。センスおよびアンチセンス配列の双方が含まれる。
【0058】
プローブ、タグ、またはプライマーとして使用して、例えばGgta1発現を検出および/または定量化するのに適した、オリゴヌクレオチドまたは核酸分子断片もまた含まれる。このようなオリゴヌクレオチドまたは断片は、配列番号1、3、5または6の少なくとも約10個、12個または15個、約20個または25個、または約30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、または75個の連続するヌクレオチドであってもよい。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、長さが約500、400、300、200、150、120、または100ヌクレオチド未満である。一実施形態では、プローブまたはプライマーは、例えば本明細書に記載される固体担体などの固体担体に付着する。別の実施形態では、例えばPCR反応で使用するのに適したプライマーなどのプライマーの組が提供され、それは例えば本明細書に記載されるドメイン、領域、部位またはその他の配列などの、Ggta1配列の選択された領域を増幅するのに使用し得る。プライマーは、長さが少なくとも5、10、または50塩基対であってもよく、長さが100塩基対未満、または200塩基対未満であってもよい。プライマーは、本明細書で開示される配列と、または天然変異型と、同一であるか、または塩基が1個異なるべきである。例えば本明細書に記載されるGgta1配列の全部または一部を増幅するのに適したプライマーが、表2および表4で明らかにされる。一実施形態では、プライマーのキットは、コード鎖をアニールする順方向プライマー、および配列番号1、3、5または6の非コード鎖をアニールする逆方向プライマーを含む。
【0059】
本明細書に記載される核酸オリゴヌクレオチド、例えばプローブ、タグまたはプライマーは標識し得る。典型的には、このような標識は、化学発光、蛍光性、放射性、または比色分析標識である。
【0060】
本発明の核酸は、組換え的に生成されてもよく、または合成的に生成されてもよい。
【0061】
Ggta1核酸変異体:
本発明は、本明細書で配列番号1、3、5または6として開示されるヌクレオチド配列と異なる核酸分子を包含する。例えば本発明の単離された核酸分子は、例えば特定レベルの配列同一性によって、または高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする能力によって関連性があるなど、配列番号1、3、5または6に、またはこれらのヌクレオチド配列の何れかの一部に関連性のある配列を有し得る。本発明の核酸は天然配列(例えば天然対立遺伝子変異体または突然変異体の配列)を有してもよく、またはそれは非天然配列を有してもよい。一実施形態では、差異は例えば遺伝コードの縮重に起因し得る(そして本明細書で開示されるヌクレオチド配列によってコードされるものと同一のGgta1タンパク質をコードする核酸をもたらす)。本発明者の核酸は、特定の発現系にとって好ましい、または好ましくない、コドンを有するように選択し得る。例えば核酸は、その中で例えば少なくとも10%、または20%のコドンなどの少なくとも1つのコドンが、例えば大腸菌(E.coli)、酵母、ヒト、昆虫、またはCHO細胞などの特定のシステム中での発現のために、配列が最適化されるように改変されているものであり得る。
【0062】
核酸変異体は、対立遺伝子変異体(同一遺伝子座)、相同体(異なる遺伝子座)など天然であることができ、または非天然であることができる。非天然変異体は、ポリヌクレオチド、細胞、または生物に適用されるものをはじめとする、変異誘発技術によって作成し得る。変異体は、ヌクレオチドの置換、欠失、反転、および挿入を含有し得る。変異はコード領域と非コード領域の片方または双方で起こり得る。変異は、保存的および非保存的アミノ酸置換の双方を生じ得る(コード生成物で比較される)。核酸修飾および変異誘発技術は、当該技術分野で知られている。
【0063】
例えばCHO Ggta1などのGgta1の対立遺伝子変異体は、機能性および非機能性タンパク質の双方を含む。機能性対立遺伝子変異体は、酵素機能を提供する能力を保持する、Ggta1タンパク質の変異体をコードする天然ヌクレオチド配列である。機能性対立遺伝子変異体は、典型的には配列番号2、4または7の1つ以上のアミノ酸の保存的置換、またはタンパク質の非重要領域内の重大でない残基の置換、欠失または挿入を含有する。非機能性対立遺伝子変異体は、酵素的機能を保存しないGgta1ポリペプチドをコードする天然ヌクレオチド配列変異体である。非機能性対立遺伝子変異体は、典型的には配列番号2、4または7のアミノ酸配列の非保存的置換、欠失、または挿入、または早発性トランケーションを含有し、またはタンパク質の重要残基または重要領域内の置換、挿入、または欠失を含有する。
【0064】
Ggta1アンチセンス分子:
本明細書に記載されるチャイニーズハムスターまたはCHO細胞Ggta1に対してアンチセンスである単離された核酸分子もまた、本発明に含まれる。アンチセンス作用因子の主要な種類は、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ODN)、リボザイム、DNAザイム、およびRNA干渉(RNAi)である。このような分子を、Ggta1活性を例えばCHO細胞内で阻害するための方法で使用し得る。「アンチセンス」核酸は、標的核酸に相補的なヌクレオチド配列を有する。アンチセンス核酸は、それがGgta1 mRNAの全コード領域に相補的であるように設計し得るが、より好ましくは、それはGgta1 mRNAのコードまたは非コード領域の一部のみに対してアンチセンスである、オリゴヌクレオチドである。例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば関心のある標的遺伝子ヌクレオチド配列の−10〜+10領域などの、Ggta1 mRNAの翻訳開始部位周囲の領域に相補的であり得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、長さが、例えば約7、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80ヌクレオチド以上であり得る。アンチセンス分子は、本明細書に記載されるGgta1産生を阻害する。
【0065】
本発明のアンチセンス核酸は、当該技術分野で知られている手順を使用して、化学合成および酵素的連結反応を使用して構築し得る。例えばアンチセンス核酸(例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド)は、天然ヌクレオチドを使用して、または分子の生物学的安定性を増大させ、またはアンチセンスおよびセンス核酸間に形成された二本鎖の物理的安定性を増大させるように設計された様々に修飾されたヌクレオチドを使用して、化学的に合成し得て、例えばホスホロチオエート誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドを使用し得る。アンチセンス核酸はまた、その中に核酸がアンチセンス方向にサブクローニングされた発現ベクターを使用して、生物学的に生成し得る。アンチセンス核酸分子は、本明細書に記載されるベクターを使用して細胞に送達し得る。アンチセンス分子の十分な細胞内濃度を達成するために、その中にアンチセンス核酸分子が配置されるベクターコンストラクトは、強力なpol IIまたはpol IIIプロモーターの制御下にあり得る。
【0066】
アンチセンス分子を作成して使用し、生物学的活性を調節する方法については当該技術分野で知られており、例えばPan and Clawson,Antisense applications for biological control(2006)J.Cell Biochem.98(1):14−35;Sioud and Iversen, Ribozymes,DNAzymes and small interfering RNAs as therapeutics(2005)Curr Drug Targets 6(6):647−53;Bhindi et al.,Brothers in arms:DNA enzymes,short interfering RNA,and the emerging wave of small−molecule nucleic acid−based gene−silencing strategies(2007)Am J Pathol.171(4):1079−88を参照されたい。
【0067】
Ggta1ポリペプチド
別の態様では、本発明は、本明細書に記載される(describe dherein)単離されたGgta1ポリペプチドまたはタンパク質(またはその生物学的に活性の断片)を特徴とする。典型的には、Ggta1タンパク質の生物学的に活性の断片は、以下の特徴の1つ以上を有する。それはGal−α1,3−Galグリカンの合成を触媒する能力を有する。それはUDP−Galを用いて、Gal−α−Gal構造およびUDPを生じるように、Galを含有する既存のN連結グリカン上にガラクトース部分を転移する。それはUDP−Galを使用して、Gal−α−Gal構造およびUDPを生じるようにGalを含有する既存のO連結グリカン上にガラクトース部分を転移する。それはUDP−Galを使用して、Gal−α−Gal構造およびUDPを生じるように、Galを含有する既存の糖脂質上にガラクトース部分を転移する。UDP−Galおよびガラクトース末端グリカンに結合する。Gal−α−Galを含有する構造に結合する。UDP−GalをGalに加水分解する。真核細胞に形質移入され発現されるとゴルジ体領域に限局化する。チャイニーズハムスター特異的またはCHO細胞特異的抗Ggta1抗体に結合する。化学的に修飾されたUDP−Gal類似体(例えば3H、C14,33P、32Pなどで放射化学標識されたチオ糖、トリニトロフェニル、2デオキシ、2アジド)を利用して、ガラクトース部分を既存のN連結またはO連結グリカン上に転移し得る。
【0068】
Ggta1ポリペプチドまたはタンパク質(またはその断片)は、標準タンパク質精製技術を使用して細胞または組織原料から単離し得る。いくつかの実施形態では、Ggta1ポリペプチドまたはタンパク質は、チャイニーズハムスターまたはCHO細胞から単離される。Ggta1ポリペプチドまたはタンパク質(またはその断片)は、組換えDNA技術によって生成され、または化学的に合成される得る。
【0069】
本発明のポリペプチドは、同義遺伝子、代案の転写事象、代案のRNAスプライシング事象、および代案の翻訳および翻訳後事象の存在の結果として発生したものを含む。ポリペプチドは、天然細胞内で発現されたポリペプチドが発現された場合に(when expressed the polypeptide is expressed)存在するのと実質的に同一の翻訳後修飾をもたらす、例えば培養細胞などのシステム中で発現され得て、またはポリペプチドは、天然細胞内で発現された場合に存在する例えばグリコシル化または切断などの翻訳後修飾の変更または省略をもたらすシステム中で発現され得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、本発明のGgta1ポリペプチドは、配列番号2、4または7の配列またはその機能性断片を有する。その他の実施形態としては、配列番号2、4または7と異なるアミノ酸残基を、少なくとも1個かつ10%以下で含有するタンパク質が挙げられる。差異は、活性にとって必須でないアミノ酸残基中にあることもできる。いくつかの実施形態では、差異は保存的置換、または非必須残基の差異または変化である。特定の%配列同一性によって、配列番号2、4または7と高度に関連性のあるポリペプチド配列もまた、含まれる。
【0071】
本発明は、Ggta1キメラまたは融合タンパク質を含む。本明細書での用法では、Ggta1「キメラタンパク質」または「融合タンパク質」は、非Ggta1ポリペプチドに結合しているGgta1ポリペプチドを含む。非Ggta1ポリペプチドは、Ggta1ポリペプチドのN末端またはC末端に融合し得て、または内的に融合し得る。一例では融合タンパク質は、リガンドに対する高親和性を有する部分を包含し得る。例えば融合タンパク質は、その中でGgta1配列がGST配列のC末端に融合する、GST−Ggta1融合タンパク質であり得る。このような融合タンパク質は、組換えGgta1の精製を促進し得る。融合部分(例えばGSTポリペプチド)をコードする発現ベクターは、市販されている。Ggta1をコードする核酸は、融合部分がインフレームでGgta1タンパク質と連結されるように、このような発現ベクターにクローンし得る。
【0072】
代案としては、融合タンパク質は、N末端に異種性シグナル配列を含有するGgta1タンパク質であり得る。特定の宿主細胞(例えば哺乳類の宿主細胞)では、Ggta1の発現および/または分泌は、異種性シグナル配列の使用を通じて増大させ得る。
【0073】
融合タンパク質は、例えばIgG定常部、またはヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質の全部または一部を包含し得る。
【0074】
Ggta1ポリペプチドの変異体:
別の態様では、本発明は、例えば作動薬(模倣剤)としてまたは拮抗薬として機能する、Ggta1ポリペプチドの変異体もまた特徴とする。Ggta1タンパク質の変異体は、例えば配列の離散点突然変異、挿入または欠失、あるいはGgta1タンパク質のトランケーションなどの変異誘発によって生成し得る。Ggta1タンパク質の作動薬は、Ggta1タンパク質の天然形態と実質的に同一の、またはその部分集合の生物学的活性を保持し得る。Ggta1タンパク質の拮抗薬は、例えばGgta1タンパク質のGgta1媒介活性を競合的に調節することで、天然形態のGgta1タンパク質の活性の1つ以上を阻害し得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、Ggta1ポリペプチドの変異体は、「親」Ggta1ポリペプチド(または変異体Ggta1ポリペプチド)のアミノ酸配列を共有するが、親ポリペプチドと比較して1つ以上の共有結合の修飾を含む。例えばいくつかの実施形態では、変異体は、PEG化され、グリコシル化され、リン酸化される。
【0076】
Ggta1タンパク質の変異体は、例えばGgta1タンパク質のトランケーション変異体などの変異体のコンビナトリアルライブラリーを、作動薬または拮抗薬活性についてスクリーニングすることで同定し得る。
【0077】
Ggta1ポリペプチドのようなGgta1ポリペプチドの変異体は、融合タンパク質として生成されてもよい。
【0078】
Ggta1抗体および抗体の生成
別の態様では、本発明は、本明細書に記載されるようなGgta1ポリペプチド(および/またはGgta1ポリペプチド変異体)と特異的に結合する抗体を提供する。本発明はまた、このような抗体を生成する方法も提供する。「抗体」という用語は、チャイニーズハムスターまたはCHO Ggta1抗原と結合できる、少なくとも1つの免疫グロブリン可変領域または免疫グロブリン可変領域配列を含むタンパク質を指す。例えば抗体は、重(H)鎖可変領域(本明細書でVHと略記する)、および軽(L)鎖可変領域(本明細書でVLと略記する)を包含し得る。別の例では、抗体は、2本の重(H)鎖可変領域および2本の軽(L)鎖可変領域を含む。したがって「抗体」という用語は、ポリクローナル、単一特異性、モノクローナル、一価、キメラ、ヒト化、ヒト、二重特異性、およびヘテロ共役抗体、ならびにそれらの抗原結合性断片を包含する。
【0079】
全長抗体の「抗原結合性断片」という用語は、本明細書での用法では、関心のある標的と特異的に結合する能力を保持する、全長抗体の1つ以上の断片を指す。このような断片の例としては、(i)VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価の断片であるFab断片、(ii)ヒンジ領域のジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価の断片であるF(ab’)2断片、(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片、(iv)抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFv断片、(v)VHドメインからなるdAb断片、および(vi)機能性を保持する単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。
【0080】
(変異体をはじめとする)単離されたGgta1タンパク質、またはその抗原性断片は、このような抗体を産生、スクリーニングまたは選択するための抗原として使用し得る。抗体およびその抗原結合性断片は、従来のハイブリドーマ技術、組換え技術、コンビナトリアル方法、ファージディスプレイ技術、および当業者に知られているその他の技術をはじめとする、あらゆる適切な技術を使用して得られる。例えばAntibody Engineering:Methods and Protocols,Benny K.C.Lo,Ed.(Humana Press,2003);Making and Using Antibodies:A Practical Handbook, Gary Howard and Matthew Kaser,Eds.(CRC,2006);Antibody Phage Display:Methods and Protocols, Philippa Obrien and Robert Aitken,Eds.(Humana Press,2001);Monoclonal Antibodies:Methods and Protocols,Maher Albitar,Ed.(Humana Press,2007)を参照されたい。
【0081】
本発明の抗体は、第2の機能性部分と共役し得て、例えば抗体は、例えば蛍光性標識、放射性標識、造影剤などの標識と共役し得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、タンパク質の存在、レベル、存在量または発現パターンを検出して任意選択により測定するために、抗Ggta1抗体を使用して、(例えば細胞溶解産物または細胞上清中の)Ggta1ポリペプチドを検出し得る。検出は、抗体を検出可能な物質(すなわち抗体標識)にカップリングする(すなわち物理的に連結する)ことで促進し得る。検出可能な物質の例としては、様々な酵素、補欠分子族、蛍光性材料、発光材料、生物発光材料、および放射性物質が挙げられる。適切な酵素の例としては、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β(.beta.)ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが挙げられる。適切な補欠分子族複合体の例としては、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが挙げられる。適切な蛍光性材料の例としては、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシルまたはフィコエリトリンが挙げられる。発光材料の一例としては、ルミノールが挙げられる。生物発光材料の例としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンが挙げられる。
【0083】
組換え発現ベクター
別の態様では、本発明は、本明細書に記載される核酸を含有するベクター(例えば発現ベクター、ノックアウトベクター、またはアンチセンス配列を駆動するベクター)を含む。本明細書での用法では、「ベクター」という用語は、それが連結されている別の核酸を輸送できる核酸分子を指し、プラスミド、コスミドまたはウィルスベクターを包含し得る。ベクターは自律複製でき、またはそれは宿主DNAに組み込まれ得る。
【0084】
ベクターは、宿主細胞内の核酸の発現に適した形態で、チャイニーズハムスターまたはCHO細胞Ggta1核酸を包含し得る。好ましくは組換え発現ベクターは、発現される核酸配列と作動可能なように結合している、1つ以上の制御配列を含む。「制御配列」という用語は、プロモーター、エンハンサー、およびその他の発現制御要素(例えばポリアデニル化シグナル)を含む。制御配列としては、ヌクレオチド配列、ならびに組織特異的制御および/または誘導配列の構成的発現を誘導するものが挙げられる。発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質発現レベルなどの要因に左右され得る。本発明の発現ベクターは宿主細胞内に導入され得て、その結果、本明細書に記載される核酸によってコードされる融合タンパク質またはポリペプチドをはじめとする、タンパク質またはポリペプチドが生成される(例えばGgta1タンパク質、Ggta1タンパク質の変異型、融合タンパク質など)。
【0085】
本発明の組換え発現ベクターは、原核または真核細胞内のGgta1ポリペプチド発現のために設計し得る。例えば本発明のポリペプチドは、大腸菌(E.coli)、昆虫細胞(例えばバキュロウィルス発現ベクターを使用)、酵母細胞、または好ましくはCHO細胞である哺乳類細胞内で発現され得る。哺乳類細胞内で使用される場合、発現ベクターの制御機能は、ウィルス性調節要素によって提供され得る。例えば通常使用されるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウィルス2、サイトメガロウィルス、およびシミアンウィルス40に由来する。
【0086】
原核生物中におけるタンパク質の発現は、ほとんどの場合、融合タンパク質または非融合タンパク質のどちらかの発現を誘導する構成的または誘導性プロモーターを含有するベクターを用いて、大腸菌(E.coli)中で実施される。融合ベクターは、いくつかのアミノ酸を、その中でコードされるタンパク質に、通常は組換えタンパク質のアミノ末端で付加する。このような融合ベクターは、典型的には次の3つの目的を果たす。1)組換えタンパク質の発現を増大させ、2)組換えタンパク質の溶解度を上昇させ、3)親和性精製においてリガンドとして作用することで、組換えタンパク質の精製を助ける。頻繁に、タンパク質分解的切断部位が、融合部分と組換えタンパク質との接合部に導入されて、融合タンパク質の精製に引き続いて、融合部分から組換えタンパク質を分離できるようにする。このような酵素、およびそれらの同族の認識配列としては、因子Xa、トロンビンおよびエンテロキナーゼが挙げられる。典型的な融合発現ベクターとしては、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質、またはタンパク質Aをそれぞれ標的組換えタンパク質に融合させる、pGEX(Pharmacia Biotech Inc)、pMAL(New England Biolabs,Beverly,Mass.)、およびpRIT5(Pharmacia,Piscataway,NJ)が挙げられる。精製された融合タンパク質はGgta1活性試験で使用し得て(例えば直接アッセイまたは競合アッセイ)、または抗体に対して特異的なGgta1タンパク質を作成するのに使用し得る。
【0087】
別の実施形態では、プロモーターは、例えばステロイドホルモンにより、ポリペプチドホルモンにより(例えば情報伝達経路の手段による)、または異種ポリペプチド(例えばテトラサイクリン誘導系、Clontech Inc.,CA.からの「Tet−On」および「Tet−Off」により調節されるプロモーターなどの誘導性プロモーターである。
【0088】
本発明は、発現ベクターにアンチセンス方向でクローンされた本発明のDNA分子を含んでなる、組換え発現ベクターをさらに提供する。アンチセンス方向でクローンされた核酸と作動可能なように結合している制御配列(例えばウィルスプロモーターおよび/またはエンハンサー)を選択し得て、それは多様な細胞型中におけるアンチセンスRNAの構成的、組織特異的または細胞型特異的発現を誘導する。アンチセンス発現ベクターは、組換えプラスミド、ファージミドまたは弱毒化ウィルスの形態であり得る。
【0089】
本発明の別の態様は、例えば本明細書に記載されるチャイニーズハムスターまたはCHO細胞Ggta1核酸分子などの、本明細書に記載される核酸分子を含有するベクターを提供し、それは宿主細胞ゲノムの特異的部位に相同的に組換えられるように構成され、例えば宿主細胞内の内在性Ggta1遺伝子を修飾、中断またはノックアウトするように構成される。
【0090】
ベクターDNAは、従来の形質転換または形質移入技術を通じて宿主細胞に導入され得る。本明細書での用法では、「形質転換」および「形質移入」という用語は、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈殿、DEAEデキストラン媒介形質移入、リポフェクション、または電気穿孔をはじめとする、外来性核酸(例えばDNA)を宿主細胞に導入するための、多様な当該技術分野において承認されている技術を指すことが意図される。
【0091】
代案として、例えばT7プロモーター制御配列およびT7ポリメラーゼを使用して、組換え発現ベクターを生体外転写および翻訳し得る。
【0092】
核酸を含むベクターを作成して使用する方法は本明細書に記載され、当該技術分野で知られている。例えば本方法は、Current Protocols in Molecular Biology(2007,John Wiley and Sons,Inc.,Print ISSN:1934−3639)で提供される。
【0093】
宿主細胞/遺伝子改変細胞
宿主細胞(例えば本明細書に記載される何れかのベクターを含有する宿主細胞)は、あらゆる原核のまたは真核細胞であり得る。例えばGgta1タンパク質は、細菌細胞(大腸菌(E.coli)など)、植物細胞、昆虫細胞、酵母または哺乳類細胞(CHO細胞など)内で発現され得る。その他の適切な宿主細胞は、当業者に知られている。
【0094】
本発明の単離された細胞は、親細胞と比較して、増大したレベルのチャイニーズハムスターまたはCHO細胞Ggta1を発現するように、遺伝子改変された細胞であり得る。したがって本発明はまた、本発明の宿主細胞を使用して、Ggta1タンパク質を生成する方法を提供する。一実施形態では、本方法は、Ggta1タンパク質が産生されるように、適切な培地内で、(その中にGgta1タンパク質をコードする組換え発現ベクターが導入されている)本発明の宿主細胞を培養するステップを含む。別の実施形態では、本方法は、培地または宿主細胞から、Ggta1タンパク質を単離するステップをさらに含む。
【0095】
別の態様では、本発明は、チャイニーズハムスターまたはCHO細胞Ggta1導入遺伝子を含む、さもなければGgta1を誤発現する、細胞または精製された細胞調製品を特徴とする。例えば本発明の単離された細胞は、親細胞よりも低レベルのGgta1を発現するように遺伝子改変された細胞(例えばCHO細胞)であり、例えば細胞はGgta1ノックアウトまたはノックダウンCHO細胞である。内在性タンパク質の発現を低減または抑制するためのノックアウトまたはノックダウン細胞の作成は、既知の技術である。例えばCHOノックアウト細胞については、最近、Yamane−Ohnuki et al.(2004)Biotechnol. Bioeng 87:614−622に記載されている。
【0096】
細胞調製品は、例えばハムスター由来、マウスまたはラット細胞などの齧歯類細胞、ウサギ細胞、またはブタ細胞などの単離されたヒトまたは非ヒト細胞、あるいは例えばCHO細胞系などの細胞系からなり得る。本発明の宿主細胞として有用なCHO細胞としては、CHO K1(ATCCCCL−61)、CHO pro3−、CHODG44、CHO−S、CHO P12またはdhfr−CHO細胞系DUK−BIIをはじめとする、あらゆるCHO株の細胞が挙げられる(Chassin et al.,PNAS 77,1980,4216−4220)。
【0097】
本発明の宿主細胞を作成して使用する方法、そしてこのような宿主細胞内で治療用糖タンパク質を産生する方法は、当該技術分野で知られている。例えば本方法は、Current Protocols in Cell Biology (2007,John Wiley and Sons,Inc.,Print ISSN:1934−2500);Current Protocols in Protein Science(2007,John Wiley and Sons,Inc.,Print ISSN:1934−3655);Wurm,Production of recombinant protein therapeutics in cultivated mammalian cells(2004)Nature Biotech. 22:1393−1398;Therapeutic Proteins:Methods and Protocols,Smales and James,eds.(2005,Humana Press,ISBN−10:1588293904)で提供される。
【0098】
Ggta1発現または活性を検出する方法
N−グリカンへのGal−α−Galエピトープの酵素的付加に関与する、α−1,3グリコシルトランスフェラーゼ−1(Ggta1)の発現および/または活性をモニターする能力は、特定の細胞系またはクローン集団におけるエピトープの存在可能性を予測する、有益なツールである。したがって本発明は、CHO細胞内のGgta1発現を評価する方法もまた特徴とする。本方法は、CHO細胞集団からのサンプルを提供するステップと、サンプルを本明細書に記載されるGgta1核酸または抗体と接触させるステップを含む。
【0099】
これらの方法を使用して、背景またはクローン表現型が潜在的に異なる細胞内における、相対Ggta1発現をプロファイルし得る。同様に、それを使用して、このような細胞を培地配合および/または規模などの異なるバイオプロセス下で培養した場合における、遺伝子発現の変化を評価し得る。例えばこのような方法を使用して、治療用糖タンパク質を発現または産生するCHO細胞集団内における、Ggta1活性またはGal−α−Gal存在またはレベルを評価し得る。いくつかの実施形態では、CHO細胞集団は例えば商業的バイオリアクターなどのバイオリアクター内の集団である。このような方法を使用して、例えば製造工程中にGgta1発現をモニターし得る。別の実施形態では、CHO細胞集団は、Ggta1活性についてスクリーニングされた複数のCHO細胞集団の1つである。スクリーニングされた複数のCHO細胞は、多様に異なっていてもよく、例えばそれらは、遺伝的背景、成長条件などが異なってもよい。このようなスクリーニング法では、CHO細胞は、Gta1活性レベルに基づいて選択され得て、例えば特定の治療的糖タンパク質を産生する適切な宿主として選択される。評価されるCHO細胞内のGgta1活性は、例えば対照レベル、所定のレベル、または第2のCHO細胞集団内のレベルに相当するレベルなどのGgta1活性基準レベルと比較され得る。
【0100】
ハイブリダイゼーションまたは増幅アッセイを包含する核酸ベースの検出法としては、サザンまたはノーザン分析、ポリメラーゼ連鎖反応分析(例えば定量的PCR)、SAGE分析、プローブ配列またはオリゴヌクレオチド配列が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0101】
Ggta1発現を検出する一方法は、CHO細胞集団からの単離mRNAサンプルを、Ggta1遺伝子によってコードされるmRNAとハイブリダイズし得る本明細書に記載される核酸分子(例えばプローブ)と接触させるステップを伴う。Ggta1発現を検出する別の方法は、CHO細胞集団からのmRNAまたはcDNAサンプルを、本明細書に記載されるプライマー対と接触させてGgta1配列を増幅するステップを伴う。サンプル中のGgta1 mRNAのレベルは、例えばrtPCR、qPCR、リガーゼ連鎖反応、自家持続配列複製法、ローリングサークル複製、またはあらゆるその他の核酸増幅法と、それに続く当該技術分野で知られている技術を使用した増幅された分子の検出によって、評価し得る。リアルタイム定量的PCR(またはqPCR)は、限られた細胞数でGgta1の遺伝子発現レベルを定量化する、特異的かつ高感度の分子プロファイリング法の一例である。
【0102】
本明細書での用法では、適切なプライマー対は、間の領域を画定する遺伝子の5’および3’領域(それぞれプラスおよびマイナス鎖、またはその逆)にアニールし得る、オリゴヌクレオチド対と定義される。一般に増幅プライマーはヌクレオチド長が約10〜30であり、ヌクレオチド長が約50〜200である領域の側面に位置する。適切な条件下で適切な試薬を用いれば、このようなプライマーは、プライマーで挟まれたヌクレオチド配列を含んでなる核酸分子の増幅を可能にする。
【0103】
細胞(例えばCHO細胞)内のGgta1遺伝子発現のレベルは、原位置または生体外形式のどちらでも測定し得る。一形式では、例えば単離されたmRNAをアガロースゲルに通過させ、mRNAをゲルからニトロセルロースなどの膜に移動させることで、mRNA(またはcDNA)を表面に固定してプローブと接触させる。代替形態では、プローブを表面に固定して、例えば下述の二次元遺伝子チップアレイ内で、mRNA(またはcDNA)をプローブと接触させる。当業者は、Ggta1遺伝子によってコードされるmRNAレベルの検出で使用するために、既知のmRNA検出法を応用し得る。原位置法では、細胞または組織サンプルを調製/処理し、典型的にはスライドガラスである担体上に固定して、次に分析されるGgta1遺伝子とハイブリダイズし得るプローブと接触させ得る。
【0104】
別の実施形態では、本方法は、対照サンプルを、Ggta1 mRNAまたはゲノムDNAを検出できる化合物または作用因子と接触させて、対照サンプル中のGgta1 mRNAまたはゲノムDNAの存在を、試験サンプル中のGgta1 mRNAまたはゲノムDNAの存在と比較するステップをさらに含む。なおも別の実施形態では、例えば米国特許第5,695,937号明細書に記載されるような遺伝子発現連続解析を使用して、Ggta1転写物レベルを検出する。
【0105】
Ggta1タンパク質を検出する抗体ベース技術としては、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、免疫沈降、免疫蛍光、酵素免疫測定法(EIA)、放射免疫測定法(RIA)、ウエスタンブロット分析、表面プラズモン共鳴が挙げられる。その他の方法としては、LC−MS、MS/MS、MS/MS/MS、MALDI−MS、多重反応モニタリング(MRM)をはじめとするが、これに限定されるものではない、質量分光測定に基づく方法を使用したGgta1ペプチドまたはその断片の検出が挙げられる。
【0106】
一実施形態では、本明細書に記載される検出方法は、サンプルの遺伝子発現プロフィール判定の一部であり、プロフィールは、少なくとも1つの別の遺伝子の発現に対する少なくとも1つの別の値の中で、Ggta1発現レベルを表す値を含む。本方法は、値またはプロフィール(すなわち複数の値)を、基準値または基準プロフィールと比較するステップをさらに含み得る。サンプルの遺伝子発現プロフィールは、本明細書に記載される方法の何れかによって、(例えばサンプルからの核酸を提供して核酸を配列と接触させることによって)得られる。本方法を使用して、CHO細胞を評価またはスクリーニングし得る。
【0107】
別の態様では、本発明は、複数のデジタルコード化したデータ記録を有するコンピュータ記憶媒体を特徴とする。各データ記録は、サンプル中のチャイニーズハムスターまたはGgta1(Chinese hamster or Ggta1)発現レベルを表す値、およびサンプルの説明を含む。サンプルの説明は、例えばサンプルがそれに由来する細胞型(例えばCHO細胞株)、またはサンプル原料の細胞が培養された細胞培養条件などのサンプルの識別子であり得る。一実施形態では、データ記録は、Ggta1以外の遺伝子(例えばグリカン合成と関係があるその他の遺伝子、または配列上のその他の遺伝子)の発現レベルを表す値をさらに含む。データ記録は、例えば関係データベース(例えばOracleのSQLデータベースまたはSybaseデータベース環境)などのデータベースの一部である表などの表として構築し得る。
【0108】
配列およびその使用
本発明はまた、複数のアドレスを有する二次元配列を特徴とし、複数の各アドレスは、複数のアドレスと互いに位置的に区別できる。複数の各アドレスは、例えば本明細書に記載される核酸またはポリペプチド配列または抗体などのユニークな捕捉プローブを有する。複数のアドレスの少なくとも1つは、本明細書に記載されるチャイニーズハムスターまたはCHO細胞Ggta1分子(例えば本明細書に記載されるa Ggta−1(a Ggta−1)、Ggta1−bまたはGgta1−c分子)を認識する捕捉プローブを有する。一実施形態では、捕捉プローブは、例えばGgta1核酸配列に相補的なプローブなどの核酸である。別の実施形態では、捕捉プローブは、例えば本明細書に記載されるGgta1ポリペプチドに特異的な抗体などの抗体である。サンプルを前述の配列と接触させ、サンプルの配列への結合を検出することにより、サンプル(例えばCHO細胞からのサンプル)を分析する方法もまた特徴とされる。
【0109】
配列は、cmあたり、少なくとも(at least than)10個、50個、100個、200個、500個、1,000個、2,000個、または10,000個またはそれ以上のアドレス、およびその間の範囲の密度を有し得る。好ましい実施形態では、複数のアドレスは、少なくとも10個、100個、500個、1,000個、5,000個、10,000個、50,000個のアドレスを含む。好ましい実施形態では、複数のアドレスは、10個、100個、500個、1,000個、5,000個、10,000個、または50,000個以下のアドレスを含む。基材は、スライドガラスやウエハ(例えばシリカまたはプラスチック)や質量分光分析プレートなどの二次元基材、またはゲルパッドなどの三次元基材であり得る。複数アドレスに加えて、配列上にアドレスを配置させ得る。
【0110】
配列は、例えば写真平版方法(例えば米国特許第5,143,854号明細書、米国特許第5,510,270号明細書、および米国特許第5,527,681号明細書を参照)、機械的方法(例えば米国特許第5,384,261号明細書に記載される定向流(directed−flow)法))、ピンベースの方法(例えば米国特許第5,288,514号明細書に記載)、およびビーズベースの技術(例えば国際出願PCTUS/93/04145号明細書に記載)などの様々な方法によって作成され得る。
【0111】
別の態様では、本発明は、Ggta1の発現を分析する方法を特徴とする。本方法は、上述のような配列を提供するステップと、配列をサンプルと接触させてa Ggta1−(a Ggta1−)分子(例えば核酸またはポリペプチド)と配列の結合を検出するステップを含む。好ましい実施形態では、配列は核酸配列である。任意選択により、本方法は、配列を接触させる前にまたはその最中に、サンプルからの核酸を増幅するステップをさらに含む。
【0112】
別の実施形態では、配列を使用して、細胞集団(例えばCHO細胞集団)内の遺伝子発現、特にGgta1発現をアッセイし得る。十分な数の多様なサンプルが分析されるならば、クラスター形成(例えば階層的なクラスター形成、k−meansクラスター形成、Bayesianクラスター形成など)を使用して、Ggta1と同時制御されるその他の遺伝子を同定し得る。例えば配列は、同義遺伝子発現の定量化のために使用し得る。したがって細胞型特異性だけでなく、組織内の一連の遺伝子の発現レベルもまた確認することもできる。定量的なデータを使用して、それらの組織発現それ自体、およびその組織内の発現レベルに基づいて、(例えばクラスター)遺伝子を分類し得る。
【0113】
一例では、遺伝子発現の配列分析を使用して、Ggta1発現に対する異なる細胞培養条件の影響を評価し得る。第1の細胞集団は第1の条件の組の下で培養し得て、第2の細胞集団は第2の条件の組の下で培養し得て、このような配列上で複数の集団からの核酸を分析し得る。この文脈で、生物学的応答に対する培養物条件の影響が判定される。同様に、異なる遺伝的背景を有するCHO細胞を比較し得る。
【0114】
糖タンパク質グリカン構造を調節する方法
本発明は、CHO細胞内で糖タンパク質を生成する方法を特徴とし、糖タンパク質は、例えば先行技術の糖タンパク質と比較して、例えば治療用糖タンパク質として市販される糖タンパク質と比較して、改変されたレベルのGal−α−Galグリカン構造を有する。本方法は、本明細書に記載された宿主細胞(例えばGgta1形質移入またはGgta1ノックダウンまたはノックアウト宿主細胞)を、糖タンパク質発現に適した条件下で培養するステップを含む。糖タンパク質は、表5に記載されるものから選択し得る。
【0115】
一実施形態では、同一のまたは高類似性のポリペプチド配列(例えば少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一のポリペプチド配列)を有する先行技術の糖タンパク質と比較して、Gal−α−Galグリカン構造レベルが増大している糖タンパク質が生成される。本方法は、親細胞(例えばGgta1過剰発現CHO細胞)と比較して、増大したレベルのチャイニーズハムスターまたはCHO細胞Ggta1を産生するように遺伝子改変されている、本明細書に記載されるCHO宿主細胞を培養するステップと、得られた培養細胞からの治療用糖タンパク質を精製するステップを含み、宿主細胞もまた、治療用糖タンパク質をコードする導入遺伝子を含有する。
【0116】
一実施形態では、同一のまたは高類似性のポリペプチド配列(例えば少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一のポリペプチド配列)を有する先行技術の糖タンパク質と比較して、Gal−α−Galグリカン構造レベルが低下している糖タンパク質が生成される。本方法は、親細胞(例えば本明細書に記載されるGgta1ノックアウトまたはノックダウンCHO細胞)と比較して、低下したレベルのチャイニーズハムスターまたはCHO細胞Ggta1を産生するように遺伝子改変されている、本明細書に記載されるCHO宿主細胞を培養するステップと、得られた培養細胞からの治療用糖タンパク質を精製するステップを含み、宿主細胞は、治療用糖タンパク質をコードする導入遺伝子を含有する。上に述べたようにして生成されるこのような糖タンパク質は、市販の治療用糖タンパク質の改良版を提供し得る。
【0117】
【表5−1】

【0118】
【表5−2】

【0119】
【表5−3】

【0120】
【表5−4】

【0121】
本発明のその他の特徴および利点は、以下の詳細な説明、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0122】
制限と解釈すべきではない以下の実施例によって、本発明をさらに例証する。本出願全体を通じて引用された全ての参考文献、特許および公開特許公報の内容は、参照によって本出願に援用する。
【実施例】
【0123】
実施例1:チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)組織から、およびCHO細胞からのGgta1のcDNAクローニング
ラットまたはマウスGgta1コード配列のどちらかとの相同性に基づいて、オリジナルのオリゴヌクレオチドプライマーセットを設計した(例えば表2参照)。これらのプライマーを使用して、PCRにより、CHO細胞由来cDNAまたはゲノムDNA(gDNA)からのGgta1配列の少なくとも一部を増幅する最初の再三の試みは、失敗に終わった。したがって本発明は、標準ハイブリダイゼーションのアプローチが、CHO Ggta1をクローニングするには不十分かもしれないという認識を包含する。
【0124】
具体的には、これらの同一プライマーの組のサブセットを使用して、(CHO細胞系ではなく)チャイニーズハムスターの脳、脾臓、腎臓、および卵巣に由来する4種の組織特異的cDNAプールをスクリーニングした。これらのcDNAプールは、2つの別個の、性別で分けた動物に由来した(cDNA脳および脾臓プールはオスのチャイニーズハムスターから、およびcDNA腎臓および卵巣プールはメスのチャイニーズハムスターから)。cDNAプールは、PCRによって、既知対照CHO特異的遺伝子配列に相補的なオリゴヌクレオチドプライマーの組を使用して、チャイニーズハムスターに特異的であることを確認した。4つのcDNAプールは全て、特異的な1.1kbの生成物の増幅をもたらした(図1参照)。PCR産物は、DNA配列決定により、マウスおよびラットGgta1翻訳配列との配列相同性に基づいて、推定上のチャイニーズハムスターのGgta1オルソログに対応することが確認された(図2)。
【0125】
卵巣からのチャイニーズハムスターGgta1のコード配列(本明細書でGgta1−aと称される)を配列番号1として、そのアミノ酸配列を配列番号2として図3に示す。脾臓からのチャイニーズハムスターGgta1のコード配列(本明細書でGgta1−bと称される)を配列番号3として、そのアミノ酸配列を配列番号4として図4に示す。上述のように、これらの2つの配列は、別個のチャイニーズハムスター「ドナー」(すなわちメスおよびオス)に由来した。2つのクローンは完全長のようであり、マウスGgta1遺伝子のエクソン構造との比較に基づいて、全ての予測されたエクソン(4〜9)を含む。
【0126】
Ggta1−aおよびGgta1−bコード配列は、99%を超えて互いに同一であり、1110bpのコード配列の内、6つのヌクレオチドのみが分化している。これらのヌクレオチドの差異の内5つは、サイレントであり、1つのみが保存的アミノ酸変化(Ile69Val)をもたらす。したがって、Ggta1−aおよびGgta1−bアミノ酸配列は、99.5%を超えて同一である。
【0127】
Ggta1−aおよびGgta1−bヌクレオチド配列は、ラット配列とそれぞれ79.4および79.6%同一であり、マウス配列とそれぞれ87.2%および87.5%同一であり、ウシ配列とそれぞれ77.5%および77.7%同一であり、イヌ配列とそれぞれ82.2%および82.3%同一である。アミノ酸レベルでは、Ggta1−aおよびGgta1−b配列はラット配列と81%と同一であり、マウス配列と86%同一であり、ウシ配列と73%同一であり、およびイヌ配列と77%同一である。
【0128】
最も高度に保存された領域は、リガンド結合および触媒活性にとって推定的に必要とされるものであり、配列番号2または4のアミノ酸残基Iso−82〜Val−370に対応する。(Biochimica et Biophysica Acta(2000)1480:222−234を参照されたい)図2を参照されたい。アミノ酸レベルでは、Ggta1−aおよびGgta1−b配列は、触媒領域にかけてラット配列と91%同一であり、マウス配列と90.3%同一であり、ウシ配列と83%同一であり、およびイヌ配列と79%同一である。Ggta1−aおよびGgta1−bの触媒領域は、95%を超えてGgta1−cの触媒領域と同一である。
【0129】
マウスおよびラット遺伝子配列と同様に、チャイニーズハムスターGgta1遺伝子の代案のスプライシングもまた気付かれた(データ示さず)。特に、少なくとも1つのクローンでは、エクソン6が切除されたようである(配列番号2のIso−40〜Gly−60に対応する)。この欠失は、アガロースゲル電気泳動法で視覚化した際に、より小さな増幅DNA断片をもたらしたPCRによって識別可能であった(図1レーン3〜6の二重線に注目されたい)。
【0130】
上記組織特異的DNAプールに由来するチャイニーズハムスターGgta1配列に基づいて、PCRによってCHO細胞系から作成されたcDNAからのGgta1を増幅するのに使用する意図で、追加的なqPCRオリゴヌクレオチドプライマーの組を設計した。しかしそのための努力は、最初は成功しなかった。より驚いたことには、これらのプライマーはまた、遺伝子のいかなるゲノムのコピーを増幅するのにも失敗した(cDNAスクリーニングのために使用したのと同じCHO細胞源から単離されたゲノムDNAを使用した場合)。特定の理論による拘束は望まないが、本発明者らは、問題が、(Ggta1−aおよびGgta1−b配列をクローンするのに使用される)cDNAプールが独立してそれに由来する、親チャイニーズハムスターのゲノムと比較して、CHO細胞系Ggta1遺伝子のゲノムコピー中に存在するDNA配列が多様であることに起因するかもしれないことを提案した。さらに触媒領域の大部分をコードするエクソン9は、最初我々に、それが大腸菌(E.coli)(クローニングのために使用される細菌細胞)に有毒であると信じさせた特徴を示し、CHO細胞から成功裏にクローニングする取り組みを一層困難にした。
【0131】
5,877塩基対でエクソン8、9(および介在性イントロン)からなる部分的遺伝子配列のCHO細胞ゲノムDNA(gDNA)からの成功裏の増幅は、合理的に設計されたPCRプライマーの組を使用して、究極的に達成された(表2)。この部分的Ggta1ゲノム配列を図5(配列番号5)に示し、対応するアミノ酸配列を図6(配列番号6)に示す。いくつかのクローン配列分析は、DNA多形性(元のGgta1−aおよびGgta1−b配列と比較して)の存在を確認した。特に卵巣由来cDNAチャイニーズハムスターcDNAプールから最初にクローンされた配列と比較して、(275残基中)13のアミノ酸変化が、エクソンGgta1遺伝子の8−9領域内で気付かれた。この多形性は2つの遺伝子配列を比較すると、およそ5%のタンパク質配列の差異(ヌクレオチドレベルで6.5%の差異)に等しい。対照的にPCRによって同様に増幅された、4つの組織特異的チャイニーズハムスターcDNAプールからの無関係の対照CHO配列は全て、CHO細胞由来cDNA配列と直接比較すると、100%の塩基対同一性を示した。この観察は、遺伝的多型性における遺伝子特異的バイアスを示唆する。
【0132】
要約すれば、CHO細胞からのGgta1のクローニングは、技術的に困難であった。マウス、ラット、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、その他をはじめとするいくつかの種のGgta1遺伝子配列は公的にアクセス可能であったが、通例の相同性クローニングによってCHO細胞からGgta1遺伝子を得るための、これらの関連配列の使用は成功しなかった。CHO細胞内のGgta1活性の存在を支持する文献の欠如と相まって、他の人々はCHO Ggta1は存在しないと結論付けたかもしれない。本発明者らはそうせずに、遭遇した問題の根源を認識し、究極的にCHO細胞からのGgta1 cDNAクローニングを可能にするツールを提供するために、チャイニーズハムスター組織およびゲノムDNAからのGgta1遺伝子のクローニングを達成しようと努めた。とりわけ、CHO細胞からのGgta1 cDNAクローニングを調査する研究者らが直面した困難さとしては、(1)CHO細胞はGgta1活性を含まないという文献における一般共通認識、(2)齧歯類配列間のDNA配列相同性の特異な分化(例えばその中で2つの各Ggta1遺伝子配列がおよそ9%分化するマウス対ラット)、および(3)CHO細胞Ggta1遺伝子配列の遺伝的多型性が挙げられる。本発明者らはこれらの困難さを特定し、それらに対するストラテジーを開発し、CHO Ggta1配列を成功裏にクローンした。
【0133】
実施例2:CHO細胞系クローン中のGgta1遺伝子の差次的発現をスクリーニングするためのqPCRによる転写プロファイリングの使用
成功裏のPCRの使用には、厳密な検討、すなわち検出する目標遺伝子配列に対して相補的ヌクレオチド配列がある、注意深く設計されたオリゴヌクレオチドプライマーの使用が必要である。CHO細胞内のGgta1遺伝子発現を具体的にプロファイリングするのためのこれらの配列マッチプライマーの設計は、最初、まず上述のようにCHO Ggta1遺伝子の正確な配列を判定することなしには不可能だった。上述のクローン化CHO細胞Ggta1配列の知識に基づいて、次に追加的プライマーを注意深く設計し、CTLA4−Igを発現するCHO細胞のクローン集団のGgta1遺伝子の相対発現レベルをqPCRによって定量化した。これらのプライマーは、Ggta1エクソン9配列の領域で特異的にハイブリダイズするように設計され、複数の配列アラインメントを通じて、それらの各ヌクレオチド配列が完璧に保存されていることが示される(表2)。プライマーは、対照DNAテンプレートを使用して、効率、特異性および感度に基づいて適格とされた。これらのプライマーのダイナミックレンジは8桁を超え、原則としてGgta1 mRNAレベルを細胞あたり一桁のコピーまで検出するそれらの能力が示唆された。
【0134】
qPCRの結果は、図7に要約される。CTLA4−Igを発現するCHO細胞系のDHFRベースの増幅に続く希釈によって、クローンを単離した。エクソン9特異的プライマー845(順方向)および846(逆方向)(配列を表2に示す)を使用して、qPCRによってGgta1発現を定量化した。図7Aは、選択されたクローンのPCRサイクルプロフィールを示す。図7Bは、Tm分析によるプライマー特異性のアセスメントを示す。表3は、3つの例証的なクローンのサイクル閾値(Ct)を示す。これらの結果は、特定生成物(増幅産物の融解温度分析に基づく、図7B)の増幅を示唆する。さらにこれらの結果は、Ggta1遺伝子相対発現レベルに基づいて、単一親CHO細胞系に由来するユニークなクローンを識別するためのこれらのプライマーの使用もまた実証する(表3)。
【0135】
さらに我々は、隣接エクソンにマッピングすることで、ゲノムとGgta1遺伝子の転写(cDNA)コピーとを識別するプライマーを設計した(すなわち順方向プライマー、エクソン8;逆方向プライマー、エクソン9)。cDNAテンプレート対ゲノムDNA(gDNA)テンプレートに対応する、Ggta1配列の差次的増幅を図8に示す。これらのプライマーの組は、ゲノムのコピー内で2つのエクソンを物理的に隔てるが、引き続いてスプライスされ除去されて成熟Ggta1 mRNA転写物を形成する、大きな(>5kb)介在性イントロン配列の存在のために、使用されるqPCR条件下ではGgta1のゲノムのコピーを増幅しない。本明細書で開示されるその他のプライマーを同様に使用して、Ggta1遺伝子の差次的発現についてCHO細胞クローンをスクリーニングする。図9は、(cDNAから特異的に増幅された)Ggta1PCR産物が324bpであることを示す。このようなプライマーは、ゲノムDNA持ち越し汚染に起因する偽陽性結果のあらゆる可能性を排除する特定の様式で、低いGgta1遺伝子発現レベルを明解に検出するおよび/または定量化する必要性などの特定用途において、特に有用である。
【0136】
【表2】

【0137】
【表3】

【0138】
【表4】

【0139】
拡張例および代替例
特許、特許出願、記事、書籍、論文、およびウェブページをはじめとするが、これに限定されるものではない、本出願に引用された全ての文献および類似資料は、このような文献および類似資料の形態に関わりなく、明示的にその内容全体を参照によって援用する。定義された用語、用語の使用法、記載の技術をはじめとするが、これに限定されるものではない、援用された文献および類似資料の1つ以上が、本出願と異なりまたは矛盾する場合、本出願が優先される。本明細書で使用されるセクション表題は、構成の目的のみで存在し、記載されている主題をどのようにも制限すると解釈されるものではない。本方法は、様々な実施形態および実施例と関連して記載されているが、本方法はこのような実施形態または実施例に限定されることを意図しない。反対に、本方法は、当事者であれば理解しているように、様々な代替物、修正および同等物を包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)配列番号2、もしくは配列番号4もしくは配列番号7のアミノ酸残基配列をコードする配列を有するDNA分子、またはその生物学的活性断片と、あるいは(b)前記(a)のDNA分子の補体と、少なくとも90%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含んでなる、単離された核酸分子。
【請求項2】
配列番号2、または配列番号4または配列番号7の配列をコードする、単離された核酸分子。
【請求項3】
配列番号1または配列番号3または配列番号5または配列番号6の配列と少なくとも90%の配列同一性を有する、単離された核酸分子。
【請求項4】
高ストリンジェンシー条件下で、配列番号1、配列番号3、配列番号5もしくは配列番号6の配列を有する核酸分子またはその補体とハイブリッド形成する、単離された核酸分子。
【請求項5】
配列番号1もしくは配列番号3、配列番号5もしくは配列番号6のヌクレオチド配列、またはその補体を含んでなる、単離された核酸分子。
【請求項6】
Ggta1ポリペプチドをコードする前記核酸分子が異種アミノ酸配列に結合している、請求項1〜5の何れか一項に記載の単離された核酸分子。
【請求項7】
(a)配列番号1の少なくとも10個の連続するヌクレオチドでありかつ500個未満の連続するヌクレオチド、またはその補体からなるオリゴヌクレオチド、
(b)配列番号3の少なくとも10個の連続するヌクレオチドでありかつ500個未満の連続するヌクレオチド、またはその補体からなるオリゴヌクレオチド、
(c)配列番号5の少なくとも10個の連続するヌクレオチドでありかつ500個未満の連続するヌクレオチド、またはその補体からなるオリゴヌクレオチド、
(d)配列番号6の少なくとも10個の連続するヌクレオチドでありかつ500個未満の連続するヌクレオチド、またはその補体からなるオリゴヌクレオチド、
(d)表2に示される配列を含んでなる、10個〜500個のヌクレオチドのオリゴヌクレオチド、
(e)表4に示される配列を含んでなる、10個〜500個のヌクレオチドのオリゴヌクレオチド
からなる群から選択されるオリゴヌクレオチド。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項に記載の核酸分子またはオリゴヌクレオチド配列を含んでなる、核酸コンストラクト。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか一項に記載の核酸分子、オリゴヌクレオチド、または核酸コンストラクトを用いて形質移入された、単離された宿主細胞。
【請求項10】
前記宿主細胞が、前記宿主細胞の親細胞によって生成される治療用組換え糖タンパク質と比較して、末端ガラクトース−α1,3−ガラクトースグリカンレベルが増大している前記治療用組換え糖タンパク質を産生する、請求項9に記載の単離された宿主細胞。
【請求項11】
前記宿主細胞が、前記宿主細胞の親細胞によって生成される治療用組換え糖タンパク質と比較して、末端ガラクトース−α1,3−ガラクトースグリカンレベルがより低い前記治療用組換え糖タンパク質を産生する、請求項9に記載の単離された宿主細胞。
【請求項12】
請求項10または請求項11に記載の宿主細胞を、糖タンパク質を発現するのに十分な条件下で培養するステップを含んでなる、CHO細胞内で産生された治療用組換え糖タンパク質のグリカン構造を調節する方法。
【請求項13】
配列番号2、配列番号4もしくは配列番号7と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、またはその生物学的活性断片を含んでなる、単離ポリペプチド。
【請求項14】
配列番号2、配列番号4もしくは配列番号7、またはその生物学的活性断片と、1個以上かつ20個未満のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を含んでなる、単離ポリペプチド。
【請求項15】
配列番号2、配列番号4または配列番号7のアミノ酸配列を含んでなる、単離ポリペプチド。
【請求項16】
請求項13、14または15に記載のポリペプチドと特異的に結合する、単離された抗体、またはその抗原結合性断片。
【請求項17】
CHO細胞集団からの核酸サンプルを、請求項1〜5の何れか一項に記載の核酸分子または請求項7に記載のオリゴヌクレオチドと接触せしめ、それにより前記CHO細胞集団内のGgta1発現または活性を検出するステップを含んでなる、CHO細胞集団内でGgta1発現または活性を検出する方法。
【請求項18】
PCRを使用して、前記核酸サンプル中の核酸配列を増幅するステップを含んでなる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記CHO細胞集団内のGgta1発現レベルを定量するステップをさらに含んでなる、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記CHO細胞集団内のGgta1発現レベルを、基準レベル、対照レベル、所定のレベルまたは第2のCHO細胞集団によって示されるレベルと比較するステップをさらに含んでなる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記CHO細胞集団からのサンプルを請求項13、14もしくは15に記載のポリペプチドと、または請求項16に記載の抗体もしくはその断片と接触せしめ、それにより前記CHO細胞集団内のGgta1発現または活性を検出するステップを含んでなる、CHO細胞集団内でGgta1の発現または活性を検出する方法。
【請求項22】
前記CHO細胞集団内のGgta1発現レベルを定量するステップをさらに含んでなる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記CHO細胞集団内のGgta1発現レベルを、基準レベル、対照レベル、所定のレベルまたは第2のCHO細胞集団によって示されるレベルと比較するステップをさらに含んでなる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
複数のアドレスを有する二次元配列であって、前記複数の各アドレスは、前記複数のアドレスと互いに位置的に区別でき、前記複数の各アドレスはユニークな捕捉プローブを有し、前記複数のアドレスの少なくとも1つは、請求項1〜5の何れか一項に記載の核酸分子または請求項7に記載のオリゴヌクレオチドを含んでなる捕捉プローブを有する、二次元配列。
【請求項25】
複数のアドレスを有する二次元配列であって、前記複数の各アドレスは、前記複数のアドレスと互いに位置的に区別でき、前記複数の各アドレスはユニークな捕捉プローブを有し、前記複数のアドレスの少なくとも1つは、請求項16に記載の抗体またはその抗原結合性断片を含んでなる捕捉プローブを有する、二次元配列。
【請求項26】
サンプルを請求項24または25の配列と接触せしめるステップを含んでなる、CHO細胞からのサンプルを分析する方法。

【図3A−1】
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【図3A−2】
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【図3B】
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【図4A−1】
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【図4A−2】
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【図4B】
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【図5A−1】
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【図5A−2】
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【図5B−1】
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【図5B−2】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図1】
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【図2】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−510574(P2013−510574A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538947(P2012−538947)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【国際出願番号】PCT/US2010/056230
【国際公開番号】WO2011/060069
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(504346293)モメンタ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (13)
【Fターム(参考)】