説明

チャイルドロック構造

【課題】 子供がチャイルドロックの操作を行うのを阻止するとともに、チャイルドロックがロック状態にあるのかアンロック状態にあるのか、容易に識別できるチャイルドロック構造を提供すること。
【解決手段】 自動車のドア1内部にチャイルドロック機構のロック又はアンロックを操作するレバー12が設けられている。ドア1のインナパネル6には、開口5を形成し、レバー12がドア1の開時に見える位置に形成されている。レバー12には、細孔13が形成され、チャイルドロック機構のロックとアンロックは、細孔にドア1の開閉キーの先端を差し込んで、細孔13を上下に動かして行う。レバー12には、チャイルド機構のロック表示及びアンロック表示14が記載され、レバー12の位置をロック状態又はアンロック状態にすると、その状態に合った表示が開口5部を介して見ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用ドアに設けられ、車室側からのドア開放操作を無効にするチャイルドロック構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図8は、従来のチャイルドロック機構付きのリアドア51を示し、図9はドアのロック機構を示す。
リアドア51は、ドア内部にラッチ本体52を設け、ラッチ本体52は、ロッド53〜55を介してアウトサイドハンドル56、ドア開放レバー57、ロックノブ58に結合されている。図10に示すように、ラッチ本体52のロック操作レバー59は、リアドア51に形成された開口62からロック操作レバー59を突出させ、乗員の手で上下に切り換えるようにしている。そして、ロック操作レバー59が突出している場所には、ロック操作レバー59の切り換え位置に応じて、ロック表示とアンロック表示がある。
【0003】
ロック操作レバー59がアンロック位置にある場合、ロックノブ58の切換操作でドアロックを解錠でき、ロックノブ58がアンロック位置にあるときは、車体の外側にあるアウトサイドハンドル56またはドア開放レバー57を操作してドアを開放できる。
ロック操作レバー59がロック位置にあっては、ドア開放レバー57及びロックノブ58が無効化され、外側のアウトサイドハンドル56の手動操作のみによってドアを開放できる。こうして、走行中に幼児や子供によってドア開放レバー57やロックノブ58が誤操作されても、リアドア51が不用意に解放するのが防止される。
【0004】
リアドア51には、車室内側のウエスト部に、上下動により出没可能なロック表示ノブ60が設けられ、ロック表示ノブ60はドアロックの前述したロック操作レバー59に連係される。ロック表示ノブ60は、ロッド61を介してロック操作レバー59に係合し、ロック操作レバー59がロック位置にあるとき、ロック表示ノブ60が飾板63から突出し、チャイルドロックが有効なことを表示する。チャイルドロックがアンロック位置にあるとき、ロック表示ノブ60はドア内部に収納される。そして、必要に応じてこのロック表示ノブ60を押圧すれば、ロック操作レバー59が「ロック」位置に切換り、チャイルドロックが有効となる。
【特許文献1】特公平6−52023号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ロック操作レバーが開口62部から突出していると、簡単に操作できるので、ドアの開閉時に幼児が設定を切り換えてしまうことがある。
また、図10に示すように、ロック操作レバー59のある位置にロック表示とアンロック表示の2つの表示54があるので、一瞬操作するものが、ロック状態であるのかアンロック状態にあるのか判断に迷いが生じることがある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、子供がチャイルドロックの操作を行うのを阻止するとともに、チャイルドロックがロック状態にあるのかアンロック状態にあるのか、容易に識別できるチャイルドロック構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、自動車のドア内部にチャイルドロック機構のロック又はアンロックを操作するレバーが設けられ、前記ドアのドアパネルに形成した開口部を介して上記レバーを操作する車両のチャイルドロック構造において、前記開口部に対応する前記レバー位置に差込部を形成し、該差込部に操作器具を介して、前記チャイルドロック機構をロック又はアンロック状態に切り替えるようにした。
上記発明は、前記差込部を挟んでロック表示とアンロック表示をレバーに設け、ロック又はアンロック状態で、前記開口部にいずれか一方の表示のみを表すようにした。
また、上記発明は、前記操作器具が前記ドアの開閉キーであって、前記差込部が前記開閉キーの先端部で操作可能にした。
さらに、上記発明は、前記差込部が孔であって、前記操作器具を該孔に差し込んで前記操作レバーを操作するようにした。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、自動車のドア内部にチャイルドロック機構のロック又はアンロックを操作するレバーが設けられ、前記ドアのドアパネルに形成した開口部を介して上記レバーを操作する車両のチャイルドロック構造において、前記開口部に対応する前記レバー位置に差込部を形成し、該差込部に操作器具を介して、前記チャイルドロック機構をロック又はアンロック状態に切り替えるようにしたので、差込部に操作器具を差し込んで、チャイルドロック機構を操作するので、子供が故意に操作することを防止できる。
上記発明は、前記差込部を挟んでロック表示とアンロック表示をレバーに設け、ロック又はアンロック状態で、前記開口部にいずれか一方の表示のみを表すようにしたので、チャイルドロックがロック状態にあるのかアンロック状態にあるのか、直ちに判断することができる。
また、上記発明は、前記操作器具が前記ドアの開閉キーであって、前記差込部が前記開閉キーの先端部で操作可能にしたので、チャイルドロックのロック又はアンロック操作を特別な操作器具なしでいつでもできる。
さらに、上記発明は、前記差込部が該孔であって、前記操作器具を孔に差し込んで前記操作レバーを操作するようにしたので、レバーに容易に孔を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態によるチャイルドロック構造について、図面を参照しながら説明する。
図1は、自動車のリアドア1を示す。リアドア1の室内側前部には、ドア1を室内側から開くためのドア開放レバー2と、ドア開放レバー2の横にロック時にドア開放レバー2の操作を無効にするロックレバー3が配設されている。
リアドア1の内部には、図2に示すラッチ本体7が設けられ、ラッチ本体7は図1の矢視Aで示す円の部位にほぼ配設される。ラッチ本体7の外部には、ドア開放レバー2と連結されるワイヤー8と、ロックレバー3と連結されるワイヤー9とが接続されている。
【0009】
図2に示すように、ラッチ本体7には、噛合部16が設けられ、噛合部16は、図1に示すリアドア1内のラッチ部開口4に対応する位置に配設される。そして、噛合部16は、図示しない車体のドア枠に取付けられている軸上部材をコ字形状の折り曲げたストライカの軸部に噛合部16が噛合して、リアドア1が車体側に固定される。噛合部16とストライカの係合が解除されると、リアドア1の開放が可能になる。この噛合部16とストライカのロック、アンロック構造は、周知の技術であるので、ラッチ本体7の内部構造について、詳細な説明は省略する。
【0010】
図1に示すように、リアドア1のラッチ部開口4の下部には、チャイルドロックの操作開口5を形成している。操作開口5は、リアドア1のインナパネル6に形成されているが、リアドア1が閉状態にあるときは、車体側のドア枠面に対向する位置にあるので、車室側からは見えない位置にあり、室内から操作できない。一方、ラッチ本体7には、図2に示すように、チャイルドロックのロック操作レバー10が取付けられ、ロック操作レバー10は操作開口5のインナパネル6の裏側に配設される。この操作レバー10には軸部11が設けられ、軸部11はラッチ本体7に設けられている図示しない支持軸とともに、回動(揺動)可能に取付けられている。なお、支持軸は、チャイルドロック機構のロック又はアンロックを切り替える役割を果たす。
【0011】
図3及び図4に示すように、ロック操作レバー10の軸部11には、表示レバー12が軸部11と一体的に設けられ、表示レバー12は軸部11とともに回動が可能である。この表示レバー12は長円形状であり、中央部にマイナス(−)形状の細孔13が形成されている。細孔13の大きさは、フロントドア開閉用キー(エンジン始動用のキー)の先端部が差し込める大きさに形成する。細孔13は、図5及び図6に示すように、長孔形状の操作開口5の長軸に対してほぼ交差する方向に配置され、表示レバー12が上下に揺動することにより操作開口5の長軸方向の一端側から他端側までの移動が可能である。
本実施の形態では、細孔13を上側に移動させるとラッチ本体のチャイルドロック機構がアンロック状態になり、細孔13を下側に移動させるとチャイルドロック機構がロック状態になるように構成している。そして、表示レバー12には、細孔13を挟むようにして、上側にロック表示15が設けられ、その下側にアンロック表示14を示す標識(絵)が設けられている。
【0012】
本発明は、このような構成により、図7に示すように、細孔13にドア開閉キー16の先端部を差し込んで、ドア開閉キー16により表示レバー12を上下に揺動させることができる。表示レバー12が操作開口5から突出しないので、子供達が指などで操作できない。
また、本実施例では、表示レバー12を上側に揺動させた状態では、チャイルドロックがアンロック状態であるので、アンロック表示14が操作開口5に表示され、ロック表示15がインナパネル6に隠され、表示レバー12を下側に揺動させた状態では、チャイルドロック機構がロック状態であるので、ロック表示15が操作開口5に表示され、アンロック表示14がインナパネル6に隠される。このように、アンロック表示14とロック表示15の両者が見えないので、乗員がチャイルドロックされているか否か迷うことがない。なお、アンロック表示14とロック表示15の標識は、文字で認識させるようにしてもよい。
【0013】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、勿論、本発明はこれに限定されることなく本発明の技術的思想に基いて種々の変形及び変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、細孔13をドア開閉キー16の先端部が差し込めるように、長孔形状としたが、孔に変えて有底の細溝やスリット形状に形成してもよい。
また、リアドアでチャイルドロック構造を説明したが、リアドアの他に助手席側のフロントドアに配設してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のチャイルドロック構造を採用している自動車のリアドアを室内側から見た正面図である。
【図2】図1のリアドアの内部に配設されているチャイルドロック機構を有するラッチアッシの拡大正面図である。
【図3】図2に示すラッチアッシに設けられているチャイルドロック機構のロック操作レバーの斜視図である。
【図4】図2に示すラッチアッシに設けられているチャイルドロック機構のロック操作レバーの正面図である。
【図5】図1のリアドアに示す矢視Aで示す円部において、チャイルドロック機構がアンロック状態の表示を示す拡大正面図である。
【図6】図1のリアドアに示す矢視Aで示す円部において、チャイルドロック機構がロック状態の表示を示す拡大正面図である。
【図7】ドア開閉キーを細孔に差し込んで、チャイルドロック機構を図6に示すロック状態にした操作開口部の拡大正面図である。
【図8】従来のチャイルドロック構造を採用している自動車のリアドアを室内側から見た斜視図である。
【図9】図8に示すドアのロック機構の概略斜視図である。
【図10】図8に示すドアのチャイルドロック機構を操作する操作レバーが配設されている状態の斜視図である。
【符号の説明】
【0015】
1 リアドア
3 ロックレバー
5 操作開口
6 インナパネル
7 ラッチ本体
10 ロック操作レバー
11 軸部
12 表示レバー
13 細孔
14 アンロック表示
15 ロック表示
16 ドア開閉キー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のドア内部にチャイルドロック機構のロック又はアンロックを操作するレバーが設けられ、前記ドアのドアパネルに形成した開口部を介して上記レバーを操作する車両のチャイルドロック構造において、
前記開口部に対応する前記レバー位置に差込部を形成し、該差込部に操作器具を介して、前記チャイルドロック機構をロック又はアンロック状態に切り替えるようにしたことを特徴とするチャイルドロック構造。
【請求項2】
前記差込部を挟んでロック表示とアンロック表示をレバーに設け、ロック又はアンロック状態で、前記開口部にいずれか一方の表示のみを表すようにしたことを特徴とする請求項1に記載のチャイルドロック構造。
【請求項3】
前記操作器具が前記ドアの開閉キーであって、前記差込部が前記開閉キーの先端部で操作可能にしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のチャイルドロック構造。
【請求項4】
前記差込部が孔であって、前記操作器具を該孔に差し込んで前記操作レバーを操作するようにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のチャイルドロック構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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