説明

チャイルドロック装置及び該装置の制御方法

【課題】操作性のよいチャイルドロック装置を提供する。
【解決手段】チャイルドロック作動時に、ドアの車室内側に設けられたドアインナハンドルによる開ドア操作を無効にするチャイルドロック装置であって、チャイルドロック機構がチャイルドロック状態であって、車速センサからの検知信号によって車両が停止していることを検知し、かつ、イグニッションキーが抜かれていること、集中ドアロックがアンロックであること、及び運転席側のサイドドア又は助手席のサイドドアが開状態であることのいずれかを検知したとき、チャイルドロック機構のチャイルドロック状態を解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドドアが不用意に開けられるのを防止するため、ドアインナハンドルによる開ドア操作を無効にすることのできるチャイルドロック装置、及び該装値の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、セダン型の車両においては、運転席側のサイドドアを除く全てのドアをチャイルドロックできるようにしたチャイルドロック装置が設けられている。このようなチャイルドロック装置として、車室内側にあるドアインナハンドルによる開ドア操作を車両走行中に自動的に無効とすることができるようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−273173号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の技術では、乗員の意思に関係なく車両が走行していれば自動的にチャイルドロックされてしまい、そして、車両が停止した後、一定時間経過しなければ、チャイルドロックを解除できないため、操作性が悪いという問題がある。
【0004】
本発明の課題は、操作性のよいチャイルドロック装置、及び該装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、チャイルドロック作動時に、ドアの車室内側に設けられたドアインナハンドルによる開ドア操作を無効にするチャイルドロック機構と、車両の速度を検知する車速センサと、イグニッションキーがキーシリンダから抜かれているか否かを検知するキー抜け検知手段と、運転席の集中ドアロックがロック状態か又はアンロック状態かを検知する集中ドアロック検知手段と、運転席側のサイドドア又は助手席のサイドドアの開閉状態を検知するドア開閉状態検知手段と、前記車速センサ、キー抜け検知手段、集中ドアロック検知手段及びドア開閉状態検知手段からの各検知信号を取り込んで、該各検知信号に基づいて前記チャイルドロック機構を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記チャイルドロック機構がチャイルドロック状態であって、前記車速センサからの検知信号によって車両が停止していることを検知し、かつ、イグニッションキーが抜かれていること、集中ドアロックがアンロックであること、及び運転席側のサイドドア又は助手席のサイドドアが開状態であることのいずれかを検知したとき、前記チャイルドロック機構のチャイルドロック状態を解除することを特徴としている。
【0006】
上記構成によれば、車両が停止して、イグニッションキーが抜かれたこと、集中ドアロックがアンロックであること、及び運転席側のサイドドア又は助手席のサイドドアが開状態であることのいずれかを検知したときに、チャイルドロック機構のチャイルドロック状態が解除されるため、ユーザの簡単な動作でチャイルドロックを解除でき、チャイルドロック装置の操作性を向上させることができる。
【0007】
また、ユーザが、車両停止中に、イグニッションキーを抜いたり、集中ドアロックをアンロックにしたり、または運転席側のサイドドア又は助手席のサイドドアを開状態にしなければ、チャイルドロックは解除されず、安全性を確保できる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記制御手段は、前記チャイルドロック機構のチャイルドロック状態を解除したとき、所定時間経過後、前記チャイルドロック機構をチャイルドロック状態に復帰させることを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、所定時間経過後に、チャイルドロック機構はチャイルドロック状態に復帰するため、チャイルドロック装置の操作性をより一層向上させることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1において、前記制御手段は、前記チャイルドロック機構のチャイルドロック状態を解除した際、乗員に対して確認音を鳴らすか、又はチャイルドロック状態を解除した旨を表示装置に表示することを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、乗員が確認音を聞いたり、表示装置を見たりすることにより、チャイルドロック機構のチャイルドロック状態が解除されたことを容易に確認することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、チャイルドロック作動時に、ドアの車室内側に設けられたドアインナハンドルによる開ドア操作を無効にするチャイルドロック装置の制御方法であって、チャイルドロック状態であって、車両が停止していて、かつ、イグニッションキーが抜かれていること、集中ドアロックがアンロックであること、及び運転席側のサイドドア又は助手席のサイドドアが開状態であることのいずれかの場合に、チャイルドロック機構のチャイルドロック状態を解除することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、操作性に優れたチャイルドロック装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面に従って説明する。
【実施例】
【0015】
図1は、本発明に係るチャイルドロック装置の全体構成図である。このチャイルドロック装置には制御手段として制御ユニット1が設けられ、この制御ユニット1は、入力I/F(インターフェース)2、マイコン3、及び電力駆動部4を備えている。
【0016】
制御ユニット1の入力I/F2には、IGN SW(イグニッションスイッチ)5、ACC SW(アクセサリスイッチ)6、キー抜け検知手段としてのキー抜け検知スイッチ7、車速センサ8、シフトレバーP(パーキング)ポジションスイッチ9、パーキングスイッチ10、集中ドアロック検知手段としての集中ドアロックスイッチ11、チャイルドロックスイッチ12、及びドア開閉状態検知手段としての運転席又は助手席ドア状態スイッチ13が各々接続されている。
【0017】
制御ユニット1の電力駆動部4には、チャイルドロック機構としてドアロック装置14が接続され、またマイコン3には、ブザー15及び表示装置16がそれぞれ接続されている。
【0018】
図2は、本発明に係るチャイルドロック装置が搭載された車両のリアサイドドアを示している。このリアサイドドア20には車室内側にドアインナハンドル21が設けられ、リアサイドドア20を開けるときはドアインナハンドル21を操作する。なお、図示してないが、リアサイドドア20の車室外側にはドアアウタハンドルが設けられている。
【0019】
リアサイドドア20の後部端面にはチャイルドロックスイッチ12が取り付けられている。また、リアサイドドア20の後部端面にはドアキャッチ22が取り付けられている。
【0020】
次に、本実施例によるチャイルドロック装置の作用について、図3を用いて説明する。
【0021】
まず、チャイルドロックスイッチ12がオンされているか否かを判断する(ステップS1)。オンされていればステップS2ヘ進み、オンされていなければステップS1に戻る。また、シフトレバーPポジションスイッチ9からの信号によって、シフトレバーがP(パーキング)ポジションか否かを判断する(ステップS2)。PポジションであればステップS3ヘ進み、PポジションでなければステップS1に戻る。
【0022】
さらに、パーキングスイッチ10からの信号によって、パーキングブレーキがオンされているか否かを判断する(ステップS3)。オンされていればステップS4ヘ進み、オンされていなければステップS1に戻る。また、IGNスイッチ5及びACCスイッチ6がオフされているかを判断する(ステップS4)。オフされていればステップS5ヘ進み、オフされていなければステップS1に戻る。
【0023】
そして、車速センサ8からの信号によって、走行停止である否かを判断し(ステップS5)、走行停止であればステップS6へ進み、走行停止でなければ、つまり車両が走行状態であればステップS1に戻る。
【0024】
次に、キー抜け検知スイッチ7からの信号によって、イグニッションキーが抜かれているか(ステップS6)、集中ドアロックスイッチ11からの信号によって、集中ドアロックがアンロックであるか(ステップS7)、運転席又は助手席ドア状態スイッチ13からの信号によって、運転席側のサイドドア又は助手席のサイドドアが開状態であるか(ステップS8)の判断を行い、ステップS6〜S8のいずれかの判断でYESの場合はステップS9へ進む。ステップS6〜S8の全ての判断でNOの場合は処理を終了する。
【0025】
ステップS6〜S8のいずれかの判断でYESの場合、つまり、イグニッションキーが抜かれているとき、集中ドアロックがアンロックであるとき、運転席側のサイドドア又は助手席のサイドドアが開状態であるときのいずれかに該当すれば、チャイルドロックを解除するとともに、例えばブザー15を用いて解除の確認音を鳴らす(ステップS9)。このとき、同時に、チャイルドロックの解除を表示装置16に表示してもよい。
【0026】
最後に、チャイルドロックを解除させてから所定時間経過したか否かを判断し(ステップS10)、所定時間経過していなければステップS9に戻り、所定時間経過していれば、チャイルドロック状態に復帰させ(ステップS11)、処理を終了する。なお、所定時間経過後にチャイルドロック状態に復帰させる処理は、ユーザの設定によりキャンセルするように構成することもできる。
【0027】
なお、図3において、ステップS6〜S8の順序はそれぞれ入れ替えてもよい。例えば、集中ドアロックがアンロックであるか否かの判断(図3でのステップS7)をステップS5の直後に実行するようにしてもよいし、運転席側のサイドドア又は助手席側のサイドドアが開状態であるか否かの判断(図3でのステップS8)をステップS5の直後に実行するようにしてもよい。
【0028】
また、運転席側のサイドドアを開けたときは、運転席の後席側のサイドドアのチャイルドロック状態を解除するように構成することもできる。さらに、助手席側のサイドドアを開けたときは、助手席の後席側のサイドドアのチャイルドロック状態を解除するように構成することもできる。
【0029】
以上、本発明の実施例を図面により詳述してきたが、上記実施例は本発明の例示にしか過ぎないものであり、本発明は上記実施例の構成にのみ限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るチャイルドロック装置の全体構成図である。
【図2】本発明に係るチャイルドロック装置が搭載された車両のリアサイドドアの斜視図である。
【図3】本発明に係るチャイルドロック装置の動作手順を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0031】
1 制御ユニット
2 入力I/F(インタフェース)
3 マイコン
4 電力駆動部
5 IGN SW(イグニッションスイッチ)
6 ACC SW(アクセサリスイッチ)
7 キー抜け検知スイッチ
8 車速センサ
9 シフトレバーP(パーキング)ポジションスイッチ
10 パーキングスイッチ
11 集中ドアロックスイッチ
12 チャイルドロックスイッチ
13 運転席又は助手席ドア状態スイッチ
14 ドアロック装置
15 ブザー
16 表示装置
20 サイドドア
21 ドアインナハンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャイルドロック作動時に、ドアの車室内側に設けられたドアインナハンドルによる開ドア操作を無効にするチャイルドロック機構と、
車両の速度を検知する車速センサと、
イグニッションキーがキーシリンダから抜かれているか否かを検知するキー抜け検知手段と、
運転席の集中ドアロックがロック状態か又はアンロック状態かを検知する集中ドアロック検知手段と、
運転席側のサイドドア又は助手席のサイドドアの開閉状態を検知するドア開閉状態検知手段と、
前記車速センサ、キー抜け検知手段、集中ドアロック検知手段及びドア開閉状態検知手段からの各検知信号を取り込んで、該各検知信号に基づいて前記チャイルドロック機構を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記チャイルドロック機構がチャイルドロック状態であって、前記車速センサからの検知信号によって車両が停止していることを検知し、かつ、イグニッションキーが抜かれていること、集中ドアロックがアンロックであること、及び運転席側のサイドドア又は助手席のサイドドアが開状態であることのいずれかを検知したとき、前記チャイルドロック機構のチャイルドロック状態を解除することを特徴とするチャイルドロック装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記チャイルドロック機構のチャイルドロック状態を解除したとき、所定時間経過後、前記チャイルドロック機構をチャイルドロック状態に復帰させることを特徴とする請求項1に記載のチャイルドロック装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記チャイルドロック機構のチャイルドロック状態を解除した際、乗員に対して確認音を鳴らすか、又はチャイルドロック状態を解除した旨を表示装置に表示することを特徴とする請求項1に記載のチャイルドロック装置。
【請求項4】
チャイルドロック作動時に、ドアの車室内側に設けられたドアインナハンドルによる開ドア操作を無効にするチャイルドロック装置の制御方法であって、
チャイルドロック状態であって、車両が停止していて、かつ、イグニッションキーが抜かれていること、集中ドアロックがアンロックであること、及び運転席側のサイドドア又は助手席のサイドドアが開状態であることのいずれかの場合に、チャイルドロック機構のチャイルドロック状態を解除することを特徴とするチャイルドロック装置の制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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