チャックアタッチメント及びそれを備えた杭圧入引抜機
【課題】 １台の杭圧入引抜機で各種工法に対応できるものを提供し、工事の工期短縮、工費削減と施工者の費用負担と地球への環境負荷を軽減することを目的とする。
【解決手段】 既設の杭Ｐを掴むクランプ１を有するサドル２と、前記サドル２に対して前後に移動自在なスライドフレーム３と、前記スライドフレーム３上に設けられたリーダーマスト４と、前記リーダーマスト４に昇降自在に支持されて、杭Ｐを把持するチャック部５とを備える杭圧入引抜機Ａの一部に、オーガ装置併用時に使用するホース巻取装置６を構成し、さらにチャック部５に圧入する杭Ｐを把持可能なチャックアタッチメント１０を取付けた杭圧入引抜機。
【解決手段】 既設の杭Ｐを掴むクランプ１を有するサドル２と、前記サドル２に対して前後に移動自在なスライドフレーム３と、前記スライドフレーム３上に設けられたリーダーマスト４と、前記リーダーマスト４に昇降自在に支持されて、杭Ｐを把持するチャック部５とを備える杭圧入引抜機Ａの一部に、オーガ装置併用時に使用するホース巻取装置６を構成し、さらにチャック部５に圧入する杭Ｐを把持可能なチャックアタッチメント１０を取付けた杭圧入引抜機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、杭圧入引抜機のチャック部の内部に着脱自在に取付けて、地盤の変化に対応して複数の工法を選択可能にしたチャックアタッチメント及びそれを備えた杭圧入引抜機に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
地盤に杭を圧入する杭圧入引抜機は、地盤に対応した工法が要求されるため、単に鋼矢板を圧入する機械やウォータージェットを併用し、あるいはオーガ装置を併用して鋼矢板を圧入するもの等多種類の装置が開発されており、これら装置に使用する鋼矢板を把持するチャック装置に関してもさまざまな態様のものが提案されている。
【０００３】
これらの機械は、例えば特許文献１に示すように杭を圧入する地盤の硬さによってオーガ装置の併用を可能にしたものであり、目に見えない地盤の状況を土質柱状図をもとに判断して適切な工法と機械を選択している。
【特許文献１】特許第３２６３０３７号
【０００４】
前記特許文献１記載の発明は、パイル圧入装置に設けられ、パイルとオーガケーシングを掴むチャック装置であって、前記オーガケーシングの外周部の所定位置に設けられた凸部と、前記凸部を掴むオーガケーシングチャック手段とを備えている。
そして、前記オーガケーシングチャック手段によりオーガケーシングの外周部の所定位置に設けられた凸部が掴まれ、オーガケーシング自体を掴まないので、オーガケーシングが潰れることがなく、確実且つ経済的にオーガケーシングを掴むことができるのである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
現場で杭を圧入する施工者は、さまざまな地盤に最適な工期、工費で対応するため各種工法に対応した複数の機械を保有し工事をおこなっているが、機械を保有することの負担と機械の稼働率を上げる面で難があった。
さらに、杭の圧入工事に際してはあらかじめ作成した土質柱状図にて工法を選択し同時に最適な機械を選択しているが、目には見えない地盤に杭を圧入しているため、施工途中に思わぬ障害物や地盤の変化があり、選択していた工法では杭を圧入することができなくなる場合が発生し、その都度現場の機械を入替えなくてはならず、工期の遅延や工費が嵩んだりする原因となっていた。
また機械を製造する立場においても、複数台の機械を製造することは、地球への環境負荷を増大させる要因であった。
【０００６】
上記の背景により、１つの機械で各種工法に対応できる機械が望まれていたが前記特許文献１記載の杭圧入引抜機は、外周部の所定位置に凸部が設けられたオーガケーシングと、前記凸部を掴むオーガケーシングチャック手段とを備えているため、杭を把持するチャック部分が特有の構成となっており、構成が複雑となる上に１つの機械で各種工法に対応することができなかった。
【０００７】
本発明は上記の課題を解決するために、１台の杭圧入引抜機で各種工法に対応できるものを提供し、工事の工期短縮、工費削減と施工者の費用負担と地球への環境負荷を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
上記目的を達成するために、請求項１記載の発明は、既設の杭を掴む複数のクランプを有するサドルと、前記サドルに対して前後に移動自在なスライドフレームと、前記スライドフレーム上に設けられたリーダーマストと、前記リーダーマストに昇降自在に支持されて、杭を把持するチャック部とを備える杭圧入引抜機のチャック部に取付けられチャック部に挿入される圧入する杭を可動メンバーと合せて把持可能なチャックアタッチメントであって、前記杭圧入引抜機のチャック部に着脱可能に係合する係合部が設けられていることを特徴としたチャックアタッチメントである。
【０００９】
請求項２の発明は、請求項１記載のチャックアタッチメントにおいて、前記杭圧入引抜機のチャック部に着脱可能に係合する係合部材と係合可能な係合部が設けられていることを特徴としている。
【００１０】
請求項３の発明は、前記請求項１又は２記載のチャックアタッチメントにおいて、ウォータージェット併用時に使用する高圧水管もしくは高圧ホースを挿入することが可能な空間が設けられていることを特徴としている。
【００１１】
請求項４の発明は、既設の杭を掴む複数のクランプを有するサドルと、前記サドルに対して前後に移動自在なスライドフレームと、前記スライドフレーム上に設けられたリーダーマストと、前記リーダーマストに昇降自在に支持されて、杭を把持するチャック部とを備える杭圧入引抜機であって、前記杭圧入引抜機の一部に、ウォータージェット併用時あるいはオーガ併用時に使用するホース巻取装置を取付可能に構成し、さらに前記杭圧入引抜機のチャック部に挿入される圧入する杭を可動メンバーと合せて把持可能なチャックアタッチメントを取付けたことを特徴とする杭圧入引抜機である。
【発明の効果】
【００１２】
請求項１記載の発明は、杭圧入引抜機のチャック部に着脱可能に係合する係合部が設けられたチャックアタッチメントであり、このチャックアタッチメントを杭圧入引抜機のチャック部に取付けることで、杭打ち作業において不意な地盤変化にも迅速に対応することができる。
したがって、１台の杭圧入引抜機で複数の工法に対応することが可能となり、機械保有負担を軽減でき機械の稼働率を上げることができる。また、複数台の機械を使用しないことは機械を製造する上でも、環境負荷を軽減することが可能となる。
【００１３】
請求項２の発明は、前記杭圧入引抜機のチャック部に着脱可能に係合する係合部材と係合可能な係合部が設けられているため、前記請求項１記載の効果に加えて、チャック部への取付けを容易かつ確実に行うことができる。
【００１４】
請求項３の発明は、ウォータージェット併用時に使用する高圧水管もしくは高圧ホースを挿入することが可能な空間が設けられているため、前記請求項１及び２記載の効果に加えて、ウォータージェットを併用することができる。
【００１５】
請求項４の発明は、前記のチャックアタッチメントを取付けることで、不意な地盤変化にも迅速に対応することができ、１台の機械で複数の工法に対応することが可能となる杭圧入引抜機を提供するもので、機械保有負担を軽減でき機械の稼働率を上げることができる。また、複数台の機械を使用しないことは機械を製造する上でも、環境負荷を軽減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１６】
発明を実施するための最良の形態は、既設の杭を掴む複数のクランプを有するサドルと、前記サドルに対して前後に移動自在なスライドフレームと、前記スライドフレーム上に設けられたリーダーマストと、前記リーダーマストに昇降自在に支持されて、杭を把持するチャック部とを備える杭圧入引抜機であって、前記杭圧入引抜機の一部に、ウォータージェット併用時に使用するホース巻取装置を取付可能に構成し、さらに前記杭圧入引抜機のチャック部に圧入する杭を可動メンバーと合せて把持可能なチャックアタッチメントを取付けた杭圧入引抜機である。
【００１７】
図面に基づいて実施形態の詳細な説明をする。
図１はオーガ併用時の杭圧入引抜機の側面図、図２はオーガ併用時の杭圧入引抜機の一部を省略した平面図、図３はチャックアタッチメントのチャック部への取付状態を示す一部省略した正面図、図４はチャックアタッチメントの平面図、図５はチャックアタッチメントの側面図、図６乃至図８はチャックアタッチメントの杭圧入引抜機への取付工程を示す説明図、図９は杭の単独圧入時の杭圧入引抜機の側面図、図１０は図９の平面図及び図１１はウォータージェット併用時の杭圧入引抜機の側面図である。
【００１８】
図１に示すように、杭圧入引抜機Ａは、既設の杭Ｐ，Ｐ・・を掴む複数のクランプ１を有するサドル２と、前記サドル２に対して前後に移動自在なスライドフレーム３と、前記スライドフレーム３上に設けられたリーダーマスト４と、前記リーダーマスト４に昇降自在に支持されて、杭Ｐを把持するチャック部５とを備えており、その一部にオーガ装置併用時に使用するホース巻取装置６を取付可能に構成し、さらにチャック部５に圧入する杭Ｐを可動メンバー８と合せて把持可能なオーガ装置を取付けた構成である。
【００１９】
杭圧入引抜機Ａの基本的な構造は従来より公知のものであるため詳細な説明は省略する。
杭圧入引抜機Ａのチャック部５は、オーガ装置９と杭Ｐを挿入することが可能で図１、図２に示すようにオーガ併用圧入時には杭圧入引抜機Ａのチャック部５にオーガ装置９が挿入され、チャック部５で杭Ｐと合せて把持されるように構成する。図中符号８は、杭Ｐを掴むためにオーガ装置９を押圧する可動メンバーとしての押圧シリンダである。
後述のようにウォータージェット併用時や杭の単独圧入時など、オーガ装置９を使用しない場合は杭Ｐに沿う部分がなくなるので、チャック部５で杭Ｐを把持することができない。そのような場合に、チャック部５で杭Ｐを把持出来るようにチャックアタッチメント１０をチャック部５内部に挿入する。
【００２０】
図３乃至図５に基づいてチャックアタッチメント１０の構成を説明する。
チャックアタッチメント１０は、杭圧入引抜機Ａのチャック部５内部に着脱可能に取付けられるものであり、下端に杭Ｐへの当接部としての把持部１４，１４を構成している。この把持部１４，１４の間には、ウォータージェット併用時に高圧ホース等を挿入するための溝状の空間１６が設けてある。
【００２１】
チャックアタッチメント１０の中央両側には、略三角形状の取付基準部１３，１３を突出して構成している。チャック部５への取付けの際には、この取付基準部１３，１３の先端の傾斜面を、チャック部５に設けた傾斜した取付基準面５１，５１に当接せしめてチャックアタッチメント１０の安定した取付けを行うものである。
【００２２】
前記取付基準部１３，１３の上方両側には、取付基準部１３より小さい略長方形状の傾動防止部１２，１２を突出して構成している。この傾動防止部１２，１２は、チャック部５への取付けの際に、チャック部５内のチャックアタッチメントレール部５７に挿入されて、チャックアタッチメント１０の転倒あるいは傾動を防止するものである（図１０参照）。
【００２３】
チャックアタッチメント１０の上方と前方にわたり、杭Ｐをチャック部５に建て込む時に、杭Ｐを投入しやすくするための杭投入ガイド１１を取付けてある。なお、図中符号１７は、杭圧入引抜機Ａの自走時に杭Ｐに当接せしめ、杭圧入引抜機Ａの姿勢を維持するための当接部である。
【００２４】
上記構成のチャックアタッチメント１０をチャック部５に取付ける工程を図６乃至図８に基づいて説明する。
まず図６において、チャック部５よりオーガ装置９をはずした後、杭圧入引抜機Ａ本体のチャック固定爪５４をチャック固定部５３から取外し、ケーシングチャック５２を上端位置に移動する。
【００２５】
次に図７に示すように、チャックアタッチメント１０をクレーン６１で吊り上げて移動し、取付基準部１３，１３がチャック部５内の取付基準面５１，５１に当接するようにセットする（図３参照）。
このとき前記チャックアタッチメント１０の傾動防止部１２をケーシングチャック５２のチャックアタッチメントレール部５７に挿入しながら下端位置へと移動する。
その後図８に示すように、係合部材２０をチャックアタッチメント１０の溝部１８に合わせてチャック固定部５３をセットする。この状態が図９及び図１０である。
【００２６】
これによって杭Ｐを単独で圧入するときには、杭Ｐは押圧シリンダ８の働きによってチャックアタッチメント１０の把持部１４によって掴まれた状態で、地中に圧入されていく。
このように杭Ｐを単独で圧入するときのように他の工法選択時に機械を変更することなく施工ができる。
【００２７】
図１１はウォータージェット併用時の杭圧入引抜機を示すものである。このときには、高圧ホース７をホース巻取装置６からチャックアタッチメント１０の下方の空間１６に挿入して作業を行えばよい。したがってこの場合も機械を入れ替えることなく施工ができるのである。
【図面の簡単な説明】
【００２８】
【図１】オーガ併用時の杭圧入引抜機の側面図
【図２】オーガ併用時の杭圧入引抜機の一部を省略した平面図
【図３】チャックアタッチメントのチャック部への取付状態を示す一部省略した正面図
【図４】チャックアタッチメントの平面図
【図５】チャックアタッチメントの側面図
【図６】チャックアタッチメントの杭圧入引抜機への取付工程を示す説明図
【図７】チャックアタッチメントの杭圧入引抜機への取付工程を示す説明図
【図８】チャックアタッチメントの杭圧入引抜機への取付工程を示す説明図
【図９】杭の単独圧入時の杭圧入引抜機の側面図
【図１０】杭の単独圧入時の杭圧入引抜機の平面図
【図１１】ウォータージェット併用時の杭圧入引抜機の側面図
【符号の説明】
【００２９】
Ａ 杭圧入引抜機
Ｐ 杭
１ クランプ
２ サドル
３ スライドフレーム
４ リーダーマスト
５ チャック部
６ ホース巻取装置
７ 高圧ホース
８ 可動メンバー（押圧シリンダ）
１０ チャックアタッチメント
１１ 杭投入ガイド
１２ 傾動防止部
１３ 取付基準部
１４ 把持部
１６ 空間
５１ 取付基準面
【技術分野】
【０００１】
本発明は、杭圧入引抜機のチャック部の内部に着脱自在に取付けて、地盤の変化に対応して複数の工法を選択可能にしたチャックアタッチメント及びそれを備えた杭圧入引抜機に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
地盤に杭を圧入する杭圧入引抜機は、地盤に対応した工法が要求されるため、単に鋼矢板を圧入する機械やウォータージェットを併用し、あるいはオーガ装置を併用して鋼矢板を圧入するもの等多種類の装置が開発されており、これら装置に使用する鋼矢板を把持するチャック装置に関してもさまざまな態様のものが提案されている。
【０００３】
これらの機械は、例えば特許文献１に示すように杭を圧入する地盤の硬さによってオーガ装置の併用を可能にしたものであり、目に見えない地盤の状況を土質柱状図をもとに判断して適切な工法と機械を選択している。
【特許文献１】特許第３２６３０３７号
【０００４】
前記特許文献１記載の発明は、パイル圧入装置に設けられ、パイルとオーガケーシングを掴むチャック装置であって、前記オーガケーシングの外周部の所定位置に設けられた凸部と、前記凸部を掴むオーガケーシングチャック手段とを備えている。
そして、前記オーガケーシングチャック手段によりオーガケーシングの外周部の所定位置に設けられた凸部が掴まれ、オーガケーシング自体を掴まないので、オーガケーシングが潰れることがなく、確実且つ経済的にオーガケーシングを掴むことができるのである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
現場で杭を圧入する施工者は、さまざまな地盤に最適な工期、工費で対応するため各種工法に対応した複数の機械を保有し工事をおこなっているが、機械を保有することの負担と機械の稼働率を上げる面で難があった。
さらに、杭の圧入工事に際してはあらかじめ作成した土質柱状図にて工法を選択し同時に最適な機械を選択しているが、目には見えない地盤に杭を圧入しているため、施工途中に思わぬ障害物や地盤の変化があり、選択していた工法では杭を圧入することができなくなる場合が発生し、その都度現場の機械を入替えなくてはならず、工期の遅延や工費が嵩んだりする原因となっていた。
また機械を製造する立場においても、複数台の機械を製造することは、地球への環境負荷を増大させる要因であった。
【０００６】
上記の背景により、１つの機械で各種工法に対応できる機械が望まれていたが前記特許文献１記載の杭圧入引抜機は、外周部の所定位置に凸部が設けられたオーガケーシングと、前記凸部を掴むオーガケーシングチャック手段とを備えているため、杭を把持するチャック部分が特有の構成となっており、構成が複雑となる上に１つの機械で各種工法に対応することができなかった。
【０００７】
本発明は上記の課題を解決するために、１台の杭圧入引抜機で各種工法に対応できるものを提供し、工事の工期短縮、工費削減と施工者の費用負担と地球への環境負荷を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
上記目的を達成するために、請求項１記載の発明は、既設の杭を掴む複数のクランプを有するサドルと、前記サドルに対して前後に移動自在なスライドフレームと、前記スライドフレーム上に設けられたリーダーマストと、前記リーダーマストに昇降自在に支持されて、杭を把持するチャック部とを備える杭圧入引抜機のチャック部に取付けられチャック部に挿入される圧入する杭を可動メンバーと合せて把持可能なチャックアタッチメントであって、前記杭圧入引抜機のチャック部に着脱可能に係合する係合部が設けられていることを特徴としたチャックアタッチメントである。
【０００９】
請求項２の発明は、請求項１記載のチャックアタッチメントにおいて、前記杭圧入引抜機のチャック部に着脱可能に係合する係合部材と係合可能な係合部が設けられていることを特徴としている。
【００１０】
請求項３の発明は、前記請求項１又は２記載のチャックアタッチメントにおいて、ウォータージェット併用時に使用する高圧水管もしくは高圧ホースを挿入することが可能な空間が設けられていることを特徴としている。
【００１１】
請求項４の発明は、既設の杭を掴む複数のクランプを有するサドルと、前記サドルに対して前後に移動自在なスライドフレームと、前記スライドフレーム上に設けられたリーダーマストと、前記リーダーマストに昇降自在に支持されて、杭を把持するチャック部とを備える杭圧入引抜機であって、前記杭圧入引抜機の一部に、ウォータージェット併用時あるいはオーガ併用時に使用するホース巻取装置を取付可能に構成し、さらに前記杭圧入引抜機のチャック部に挿入される圧入する杭を可動メンバーと合せて把持可能なチャックアタッチメントを取付けたことを特徴とする杭圧入引抜機である。
【発明の効果】
【００１２】
請求項１記載の発明は、杭圧入引抜機のチャック部に着脱可能に係合する係合部が設けられたチャックアタッチメントであり、このチャックアタッチメントを杭圧入引抜機のチャック部に取付けることで、杭打ち作業において不意な地盤変化にも迅速に対応することができる。
したがって、１台の杭圧入引抜機で複数の工法に対応することが可能となり、機械保有負担を軽減でき機械の稼働率を上げることができる。また、複数台の機械を使用しないことは機械を製造する上でも、環境負荷を軽減することが可能となる。
【００１３】
請求項２の発明は、前記杭圧入引抜機のチャック部に着脱可能に係合する係合部材と係合可能な係合部が設けられているため、前記請求項１記載の効果に加えて、チャック部への取付けを容易かつ確実に行うことができる。
【００１４】
請求項３の発明は、ウォータージェット併用時に使用する高圧水管もしくは高圧ホースを挿入することが可能な空間が設けられているため、前記請求項１及び２記載の効果に加えて、ウォータージェットを併用することができる。
【００１５】
請求項４の発明は、前記のチャックアタッチメントを取付けることで、不意な地盤変化にも迅速に対応することができ、１台の機械で複数の工法に対応することが可能となる杭圧入引抜機を提供するもので、機械保有負担を軽減でき機械の稼働率を上げることができる。また、複数台の機械を使用しないことは機械を製造する上でも、環境負荷を軽減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１６】
発明を実施するための最良の形態は、既設の杭を掴む複数のクランプを有するサドルと、前記サドルに対して前後に移動自在なスライドフレームと、前記スライドフレーム上に設けられたリーダーマストと、前記リーダーマストに昇降自在に支持されて、杭を把持するチャック部とを備える杭圧入引抜機であって、前記杭圧入引抜機の一部に、ウォータージェット併用時に使用するホース巻取装置を取付可能に構成し、さらに前記杭圧入引抜機のチャック部に圧入する杭を可動メンバーと合せて把持可能なチャックアタッチメントを取付けた杭圧入引抜機である。
【００１７】
図面に基づいて実施形態の詳細な説明をする。
図１はオーガ併用時の杭圧入引抜機の側面図、図２はオーガ併用時の杭圧入引抜機の一部を省略した平面図、図３はチャックアタッチメントのチャック部への取付状態を示す一部省略した正面図、図４はチャックアタッチメントの平面図、図５はチャックアタッチメントの側面図、図６乃至図８はチャックアタッチメントの杭圧入引抜機への取付工程を示す説明図、図９は杭の単独圧入時の杭圧入引抜機の側面図、図１０は図９の平面図及び図１１はウォータージェット併用時の杭圧入引抜機の側面図である。
【００１８】
図１に示すように、杭圧入引抜機Ａは、既設の杭Ｐ，Ｐ・・を掴む複数のクランプ１を有するサドル２と、前記サドル２に対して前後に移動自在なスライドフレーム３と、前記スライドフレーム３上に設けられたリーダーマスト４と、前記リーダーマスト４に昇降自在に支持されて、杭Ｐを把持するチャック部５とを備えており、その一部にオーガ装置併用時に使用するホース巻取装置６を取付可能に構成し、さらにチャック部５に圧入する杭Ｐを可動メンバー８と合せて把持可能なオーガ装置を取付けた構成である。
【００１９】
杭圧入引抜機Ａの基本的な構造は従来より公知のものであるため詳細な説明は省略する。
杭圧入引抜機Ａのチャック部５は、オーガ装置９と杭Ｐを挿入することが可能で図１、図２に示すようにオーガ併用圧入時には杭圧入引抜機Ａのチャック部５にオーガ装置９が挿入され、チャック部５で杭Ｐと合せて把持されるように構成する。図中符号８は、杭Ｐを掴むためにオーガ装置９を押圧する可動メンバーとしての押圧シリンダである。
後述のようにウォータージェット併用時や杭の単独圧入時など、オーガ装置９を使用しない場合は杭Ｐに沿う部分がなくなるので、チャック部５で杭Ｐを把持することができない。そのような場合に、チャック部５で杭Ｐを把持出来るようにチャックアタッチメント１０をチャック部５内部に挿入する。
【００２０】
図３乃至図５に基づいてチャックアタッチメント１０の構成を説明する。
チャックアタッチメント１０は、杭圧入引抜機Ａのチャック部５内部に着脱可能に取付けられるものであり、下端に杭Ｐへの当接部としての把持部１４，１４を構成している。この把持部１４，１４の間には、ウォータージェット併用時に高圧ホース等を挿入するための溝状の空間１６が設けてある。
【００２１】
チャックアタッチメント１０の中央両側には、略三角形状の取付基準部１３，１３を突出して構成している。チャック部５への取付けの際には、この取付基準部１３，１３の先端の傾斜面を、チャック部５に設けた傾斜した取付基準面５１，５１に当接せしめてチャックアタッチメント１０の安定した取付けを行うものである。
【００２２】
前記取付基準部１３，１３の上方両側には、取付基準部１３より小さい略長方形状の傾動防止部１２，１２を突出して構成している。この傾動防止部１２，１２は、チャック部５への取付けの際に、チャック部５内のチャックアタッチメントレール部５７に挿入されて、チャックアタッチメント１０の転倒あるいは傾動を防止するものである（図１０参照）。
【００２３】
チャックアタッチメント１０の上方と前方にわたり、杭Ｐをチャック部５に建て込む時に、杭Ｐを投入しやすくするための杭投入ガイド１１を取付けてある。なお、図中符号１７は、杭圧入引抜機Ａの自走時に杭Ｐに当接せしめ、杭圧入引抜機Ａの姿勢を維持するための当接部である。
【００２４】
上記構成のチャックアタッチメント１０をチャック部５に取付ける工程を図６乃至図８に基づいて説明する。
まず図６において、チャック部５よりオーガ装置９をはずした後、杭圧入引抜機Ａ本体のチャック固定爪５４をチャック固定部５３から取外し、ケーシングチャック５２を上端位置に移動する。
【００２５】
次に図７に示すように、チャックアタッチメント１０をクレーン６１で吊り上げて移動し、取付基準部１３，１３がチャック部５内の取付基準面５１，５１に当接するようにセットする（図３参照）。
このとき前記チャックアタッチメント１０の傾動防止部１２をケーシングチャック５２のチャックアタッチメントレール部５７に挿入しながら下端位置へと移動する。
その後図８に示すように、係合部材２０をチャックアタッチメント１０の溝部１８に合わせてチャック固定部５３をセットする。この状態が図９及び図１０である。
【００２６】
これによって杭Ｐを単独で圧入するときには、杭Ｐは押圧シリンダ８の働きによってチャックアタッチメント１０の把持部１４によって掴まれた状態で、地中に圧入されていく。
このように杭Ｐを単独で圧入するときのように他の工法選択時に機械を変更することなく施工ができる。
【００２７】
図１１はウォータージェット併用時の杭圧入引抜機を示すものである。このときには、高圧ホース７をホース巻取装置６からチャックアタッチメント１０の下方の空間１６に挿入して作業を行えばよい。したがってこの場合も機械を入れ替えることなく施工ができるのである。
【図面の簡単な説明】
【００２８】
【図１】オーガ併用時の杭圧入引抜機の側面図
【図２】オーガ併用時の杭圧入引抜機の一部を省略した平面図
【図３】チャックアタッチメントのチャック部への取付状態を示す一部省略した正面図
【図４】チャックアタッチメントの平面図
【図５】チャックアタッチメントの側面図
【図６】チャックアタッチメントの杭圧入引抜機への取付工程を示す説明図
【図７】チャックアタッチメントの杭圧入引抜機への取付工程を示す説明図
【図８】チャックアタッチメントの杭圧入引抜機への取付工程を示す説明図
【図９】杭の単独圧入時の杭圧入引抜機の側面図
【図１０】杭の単独圧入時の杭圧入引抜機の平面図
【図１１】ウォータージェット併用時の杭圧入引抜機の側面図
【符号の説明】
【００２９】
Ａ 杭圧入引抜機
Ｐ 杭
１ クランプ
２ サドル
３ スライドフレーム
４ リーダーマスト
５ チャック部
６ ホース巻取装置
７ 高圧ホース
８ 可動メンバー（押圧シリンダ）
１０ チャックアタッチメント
１１ 杭投入ガイド
１２ 傾動防止部
１３ 取付基準部
１４ 把持部
１６ 空間
５１ 取付基準面
【特許請求の範囲】
【請求項１】
既設の杭を掴む複数のクランプを有するサドルと、前記サドルに対して前後に移動自在なスライドフレームと、前記スライドフレーム上に設けられたリーダーマストと、前記リーダーマストに昇降自在に支持されて、杭を把持するチャック部とを備える杭圧入引抜機のチャック部に取付けられチャック部に挿入される圧入する杭を可動メンバーと合せて把持可能なチャックアタッチメントであって、
前記杭圧入引抜機のチャック部に着脱可能に係合する係合部が設けられていることを特徴としたチャックアタッチメント。
【請求項２】
前記杭圧入引抜機のチャック部に着脱可能に係合する係合部材と係合可能な係合部が設けられていることを特徴とした請求項１記載のチャックアタッチメント。
【請求項３】
ウォータージェット併用時に使用する高圧水管もしくは高圧ホースを挿入することが可能な空間が設けられていることを特徴とした請求項１又は２記載のチャックアタッチメント。
【請求項４】
既設の杭を掴む複数のクランプを有するサドルと、前記サドルに対して前後に移動自在なスライドフレームと、前記スライドフレーム上に設けられたリーダーマストと、前記リーダーマストに昇降自在に支持されて、杭を把持するチャック部とを備える杭圧入引抜機であって、
前記杭圧入引抜機の一部に、ウォータージェット併用時あるいはオーガ併用時に使用するホース巻取装置を取付可能に構成し、さらに前記杭圧入引抜機のチャック部に挿入される圧入する杭を可動メンバーと合せて把持可能なチャックアタッチメントを取付けたことを特徴とする杭圧入引抜機。
【請求項１】
既設の杭を掴む複数のクランプを有するサドルと、前記サドルに対して前後に移動自在なスライドフレームと、前記スライドフレーム上に設けられたリーダーマストと、前記リーダーマストに昇降自在に支持されて、杭を把持するチャック部とを備える杭圧入引抜機のチャック部に取付けられチャック部に挿入される圧入する杭を可動メンバーと合せて把持可能なチャックアタッチメントであって、
前記杭圧入引抜機のチャック部に着脱可能に係合する係合部が設けられていることを特徴としたチャックアタッチメント。
【請求項２】
前記杭圧入引抜機のチャック部に着脱可能に係合する係合部材と係合可能な係合部が設けられていることを特徴とした請求項１記載のチャックアタッチメント。
【請求項３】
ウォータージェット併用時に使用する高圧水管もしくは高圧ホースを挿入することが可能な空間が設けられていることを特徴とした請求項１又は２記載のチャックアタッチメント。
【請求項４】
既設の杭を掴む複数のクランプを有するサドルと、前記サドルに対して前後に移動自在なスライドフレームと、前記スライドフレーム上に設けられたリーダーマストと、前記リーダーマストに昇降自在に支持されて、杭を把持するチャック部とを備える杭圧入引抜機であって、
前記杭圧入引抜機の一部に、ウォータージェット併用時あるいはオーガ併用時に使用するホース巻取装置を取付可能に構成し、さらに前記杭圧入引抜機のチャック部に挿入される圧入する杭を可動メンバーと合せて把持可能なチャックアタッチメントを取付けたことを特徴とする杭圧入引抜機。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【公開番号】特開２００９−１９３７６（Ｐ２００９−１９３７６Ａ）
【公開日】平成２１年１月２９日（２００９．１．２９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−１８１３５５（Ｐ２００７−１８１３５５）
【出願日】平成１９年７月１０日（２００７．７．１０）
【出願人】（０００１４１５２１）株式会社技研製作所 (83)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年１月２９日（２００９．１．２９）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年７月１０日（２００７．７．１０）
【出願人】（０００１４１５２１）株式会社技研製作所 (83)
【Ｆターム（参考）】
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