説明

チャック付袋体及びその製造方法

【課題】袋体の大きさを変化させることができ、書類用袋体と液体物袋体等のような大きさの異なる袋体として複数の用途に使用できるチャック付袋体、及びその製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】一方に開口部11を有する袋本体10に、袋本体10の開口部11側の所定の領域を切り離すのを補助する切断補助線40が形成され、かつ、袋本体10における切断補助線40の開口部11よりも遠い側の内面に、雄爪部及び該雄爪部に着脱可能に嵌合する雌爪部を有し、袋本体10を部分的に密封する第1のチャック部20が形成されており、開口部11と切断補助線40の間に、切断補助線40から延出する延出部12が設けられているチャック付袋体1。また、チャック付袋体1の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャック付袋体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
袋体の開口部の縁に沿って、雄爪部と雌爪部を有する一対の帯状のチャック部(嵌合具)を設けることで、該雄爪部と該雌爪部を嵌合して開口部の開閉を自在としたチャック付袋体(例えば、特許文献1)は、食品、医薬品、工業品等の様々な分野で広く使用されている。
例えば、搭乗の際に航空機に液体物を持ち込む場合には、搭乗手続きにおける手荷物検査において、液体物を100mL以下の容器に入れて、さらにチャック付袋体(以下、「液体物用袋体」という。)に入れることが義務付けられている。液体物用袋体は、容量1L以下で大きさが縦20cm×横20cm以下のものを使用することが規定されている。
【0003】
また、旅行の際には、旅行会社から日程、注意事項等を記載した書類が袋体(以下、「書類用袋体」という。)に収容されたものが旅行者に送られてくる。前記書類は、通常前記液体物用袋体よりも大きい。すなわち、書類用袋体は液体物用袋体よりも大きい。そのため、旅行者は書類用袋体を搭乗手続きにおいて液体物用袋体として使用することはできず、各自で液体物用袋体を用意する必要がある。
以上のことから、旅行会社のサービスの向上及び環境負荷の低減等を考慮し、書類用袋体として用いた袋体を液体物用袋体としても使用できるようなチャック付袋体が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−018052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、袋体の大きさを変化させることができ、例えば書類用袋体と液体物袋体等のような大きさの異なる袋体として複数の用途に使用できるチャック付袋体、及びその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。
[1]一方に開口部を有する袋本体に、前記袋本体の開口部側の所定の領域を切り離すのを補助する切断補助線が形成され、かつ、前記袋本体における前記切断補助線の前記開口部よりも遠い側の内面に、雄爪部及び該雄爪部に着脱可能に嵌合する雌爪部を有し、該袋本体を部分的に密封する第1のチャック部が形成されており、前記開口部と前記切断補助線の間に、該切断補助線から延出する延出部が設けられているチャック付袋体。
[2]前記袋本体の前記開口部の近傍に、該開口部を閉止する閉止手段が設けられている、前記[1]に記載のチャック付袋体。
[3]前記閉止手段として、雄爪部及び該雄爪部に着脱可能に嵌合する雌爪部を有し、前記袋本体を密封する第2のチャック部が、前記袋本体の内面に前記開口部に沿って設けられている、前記[2]に記載のチャック付袋体。
[4]前記切断補助線が弱化線である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のチャック付袋体。
[5]前記[1]に記載のチャック付袋体の製造方法であって、フィルム内面に一体成形された第1のチャック部の雄爪部及び雌爪部と、前記雄爪部及び雌爪部の間に、それら雄爪部と雌爪部からそれぞれ等距離に形成された、対になった切断補助線と、前記対になった切断補助線の間に形成された延出部とを有する円筒状のフィルムを、インフレーション成形し、該円筒状のフィルムを、前記雄爪部と雌爪部が嵌合し、かつ前記対になった切断補助線が重ね合わされるように、扁平状に折り畳んで引き取るフィルム成形工程と、折り畳んだ扁平状のフィルムにおける、延出部側の折り返し部を、該フィルムの長手方向に沿って切断して開口部を形成する切断工程と、折り畳んだ扁平状のフィルムを、該フィルムの短手方向に沿って、該フィルムの長手方向に所定の間隔をおいて溶断する溶断工程と、を有するチャック付袋体の製造方法。
[6]前記扁平状に折り畳んだときのフィルムの折り返し部近傍のフィルム内面に、第2のチャック部の雄爪部及び雌爪部がさらに一体成形されたフィルムを、インフレーション成形し、折り返し部を切断して、第2のチャック部を有する開口部を形成する、前記[5]に記載のチャック付袋体の製造方法。
[7]前記切断補助線が弱化線である、前記[5]又は[6]に記載のチャック付袋体の製造方法。
[8]前記[1]に記載のチャック付袋体の製造方法であって、フィルム内面に一体成形された第1のチャック部の雄爪部及び雌爪部と、前記雄爪部及び雌爪部の間に形成された延出部とを有する円筒状のフィルムを、インフレーション成形し、該円筒状のフィルムを、前記雄爪部と雌爪部が嵌合するように、扁平状に折り畳んで引き取るフィルム成形工程と、折り畳んだ扁平状のフィルムにおける、延出部側の折り返し部を、該フィルムの長手方向に沿って切断して開口部を形成する切断工程と、折り畳んだ扁平状のフィルムにおける、前記雄爪部と雌爪部の延出部側に、該フィルムの長手方向に沿って切断補助線を形成する補助線形成工程と、折り畳んだ扁平状のフィルムを、該フィルムの短手方向に沿って、該フィルムの長手方向に所定の間隔をおいて溶断する溶断工程と、を有するチャック付袋体の製造方法。
[9]前記扁平状に折り畳んだときのフィルムの折り返し部近傍のフィルム内面に、第2のチャック部の雄爪部及び雌爪部がさらに一体成形されたフィルムを、インフレーション成形し、折り返し部を切断して、第2のチャック部を有する開口部を形成する、前記[8]に記載のチャック付袋体の製造方法。
[10]前記切断補助線が、列状に形成された細孔からなる切断補助線である、前記[8]又は[9]に記載のチャック付袋体の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明のチャック付袋体は、袋体の大きさを変化させることができ、例えば、書類用袋体と液体物袋体等のような大きさの異なる複数の用途の袋体として使用できる。
また、本発明の製造方法によれば、袋体の大きさを変化させることができ、例えば書類用袋体と液体物袋体等のような大きさの異なる袋体として複数の用途に使用できるチャック付袋体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明のチャック付袋体の実施形態の一例を示した斜視図である。
【図2】本発明のチャック付袋体の実施形態の一例を示した正面図である。
【図3】図2のチャック付袋体の直線I−I’における断面図である。
【図4】図1のチャック付袋体を切断補助線に沿って切断した後のチャック付袋体を示した斜視図である。
【図5】本発明のチャック付袋体の製造方法の一工程を示した断面図(A)、及びその直線II−II’における環状ダイの断面図(B)である。
【図6】図5の直線III−III’における円筒状のフィルムを示した断面図である。
【図7】図5の直線IV−IV’ における扁平状のフィルムを示した断面図である。
【図8】本発明のチャック付袋体の製造方法の一工程を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(チャック付袋体)
以下、本発明のチャック付袋体の実施形態の一例を示して詳細に説明する。
本実施形態のチャック付袋体1は、図1及び図2に示すように、一方に開口部11を有する袋本体10に、袋本体10の開口部11側の所定の領域を切り離すのを補助する切断補助線40が形成され、かつ、袋本体10の切断補助線40の開口部11よりも遠い側の内面に、袋本体10を部分的に密封する第1のチャック部20(以下、「チャック部20」という。)が形成されている。また、袋本体10における開口部11と切断補助線40の間には、切断補助線40から延出する延出部12が形成されている。また、袋本体10における、開口部11の近傍には、袋本体10を密封する第2のチャック部30(以下、「チャック部30」という。)が形成されている。
【0010】
袋本体10の形状は、本実施形態では矩形である。ただし、袋本体10の形状は矩形には限定されない。また、袋本体10の大きさも特に限定されず、袋本体10に収容する内容物によって適宜選定すればよい。
袋本体10には、開口部11と切断補助線40の間に延出部12が設けられている。延出部12は、袋本体10の大きさを、袋本体10における底部13からチャック部20までの密封領域内に収容できない大きさの内容物を収容する場合に対応させるように、切断補助線40から延出させた部分である。
具体例としては、例えば、底部13からチャック部20までの密封領域が縦20cm×横20cmである場合、さらに縦30cm×横20cm程度の内容物の収容にも対応できるように、切断補助線40から10cm程度延出させた延出部12を設け、縦30cm×横20cm程度の袋本体10としたものが挙げられる。
【0011】
チャック部20は、袋本体10における開口部11と底部13との中間部分の内面に形成されている。
チャック部20は、図3に示すように、袋本体10の一方の内面10aに、袋本体10の横方向に沿って突条に形成された雄爪部21と、袋本体10の他方の内面10bの雄爪部21に対応するように形成された雌爪部22とを有している。
チャック部20の雄爪部21と雌爪部22は、共に袋本体10に一体成形されている。
【0012】
雄爪部21は、袋本体10の内面10aから突き出すように形成された幹部21aと、断面略半円形状の頭部21bを有している。また、雌爪部22は、袋本体10の内面10bから断面円弧状に突き出すように形成されており、凹部22aが形成されている。
雄爪部21と雌爪部22は、雄爪部21の頭部21bを雌爪部22の凹部22aに嵌め込むことで着脱可能に嵌合することができる。これにより、袋本体10のチャック部20を閉じることで、袋本体10のチャック部20よりも底部13側だけを部分的に密封できるようになっている。
【0013】
雄爪部21と雌爪部22の形状は、それらの形状が互いに対応しており、嵌合することで袋本体10を密封できる形状であればよく、公知の形状はいずれも用いることができる。また、雄爪部21と雌爪部22に加えて、それらの嵌合をより強くするための補助部が形成されていてもよい。具体的には、内面10aから突き出すように、雄爪部21と平行に突条に設けられ、雄爪部21と雌爪部22が嵌合したときに、雌爪部22を雄爪部21との間で挟み込む補助部が挙げられる。該補助部を形成しておけば、雌爪部22の外側に当接する補助部により雌爪部22が開くことが抑えられるため、嵌合強度が向上する。
【0014】
袋本体10におけるチャック部20の縦方向の位置は、チャック部30と底部13の間で、切断補助線40の開口部11から遠い側であればよく、底部13からチャック部20までの密封空間に収容する内容物に応じて適宜選定すればよい。
また、チャック部20は、本実施形態では袋本体10の横方向に沿って形成されているが、この形態には限定されず、袋本体10の横方向に対して傾斜して設けられていてもよい。
【0015】
チャック部30は、袋本体10の開口部11近傍の内面、すなわちチャック部20よりも開口部11側の袋本体10の内面に設けられている。チャック部30は、袋本体10の一方の内面10aに、袋本体10の横方向に沿って突条に形成された雄爪部31と、袋本体10の他方の内面10bの雄爪部31に対応するように形成された雌爪部32とを有している。
チャック部30の雄爪部31と雌爪部32は、共に袋本体10に一体成形されている。
【0016】
雄爪部31は、袋本体10の内面10aから突き出すように形成された幹部31aと、断面略半円形状の頭部31bを有している。また、雌爪部32は、袋本体10の内面10bから断面円弧状に突き出すように形成されており、凹部32aが形成されている。これにより、袋本体10は、開口部11近傍、すなわちチャック部20よりも開口部11側でも密封できるようになっている。
【0017】
雄爪部31と雌爪部32の形状は、それらの形状が互いに対応しており、嵌合することで袋本体10を密封できる形状であればよく、公知の形状はいずれも用いることができる。また、雄爪部31と雌爪部32に加えて、それらの嵌合をより強くするために、雌爪部22の場合に挙げたような補助部が形成されていてもよい。
雄爪部31及び雌爪部32と雄爪部21及び雌爪部22は、同じ形状であってもよく、異なる形状であってもよい。
【0018】
また、袋本体10におけるチャック部30の縦方向の位置は、開口部10の近傍には限定されず、チャック部20よりも開口部11側であれば特に限定されない。
また、チャック部30は、本実施形態では袋本体10の横方向に沿って形成されているが、この形態には限定されず、袋本体10の横方向に対して傾斜して設けられていてもよい。
【0019】
切断補助線40は、袋本体10の開口部11側の所定の領域を切り離すのを補助する線であり、袋本体10におけるチャック部20とチャック部30の間に、袋本体10の横方向に沿って形成されている。切断補助線40に沿って袋本体10を切り離すことにより、切断補助線40から延出する延出部12を容易に切り離すことができる。
【0020】
切断補助線40は、袋本体10を切断補助線40に沿って容易に切断できるものであればよく、ハサミ等を使用しなくても容易に切断できる点から、弱化線であることが好ましい。
前記弱化線としては、例えば、袋本体10を形成するフィルムにおける切断補助線40の部分をそれ以外の部分に比べて薄肉化した弱化線、ミシン目からなる弱化線、列状に形成された細孔からなる弱化線が挙げられる。
また、切断補助線40は、前記弱化線には限定されない。例えば、ハサミやカッター等で切断する位置を示す、印刷等で形成した線であってもよい。
【0021】
袋本体10における切断補助線40の縦方向の位置は、延出部12が形成され、袋本体10の開口部11側の所定の領域を切り取るのを補助できる位置であればよく、チャック部20の近傍であることが好ましい。
また、切断補助線40は、本実施形態では袋本体10の横方向に沿って形成されているが、この形態には限定されず、袋本体10の横方向に対して傾斜して設けられていてもよい。
【0022】
チャック付袋体1の袋本体10、チャック部20及びチャック部30の材料は、通常のチャック付袋体で用いられる材料を用いることができ、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂等の熱可塑性樹脂が好ましい。また、それらの材料としては、2種以上の樹脂からなる樹脂組成物であってもよい。
また、必要に応じて、安定剤、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤等の公知の添加剤が添加されていてもよい。
また、本実施形態のチャック付袋体1は、チャック部20及びチャック部30が一体化された形態であるので、袋本体10は単層フィルムとして形成される。
【0023】
チャック付袋体1は、前述のように切断補助線40が形成されている。そのため、その切断補助線40に沿って袋本体10を切断することで、袋本体10の切断補助線40よりも開口部11側の延出部12を切り離すことができる。これにより、図4に示すように、一方に開口部11Aを有する袋本体10Aと、袋本体10Aの開口部11Aの近傍に設けられたチャック部20とを有する、より小さいチャック付袋体1Aとすることができる。
すなわち、チャック付袋体1は、チャック部30を用いることで、袋本体10とほぼ同等の大きさの内容物を収容するチャック付袋体として使用できるうえ、切断補助線40に沿って袋本体10を切断し、上部の延出部12を切り取れば、より小さい内容物を収容するチャック付袋体1Aとして使用できる。
【0024】
具体的な使用の一例としては、例えば、旅行会社等が、旅行の日程、注意事項等を記載した書類を収容したチャック付袋体を、契約した旅行者に対して送付する場合等が挙げられる。
この場合、例えば、縦30cm×横20cmの大きさで、かつ底部13からチャック部20までの距離が20cmであるチャック付袋体1(切断補助線40から10cm程度延出する延出部12が形成されている。)を用いれば、該袋体には縦30cm×横20cm程度の袋本体10と同程度の大きさの書類を収容できる。そして、該袋体を受け取った旅行者は、そのチャック付袋体1を切断補助線40に沿って切断して延出部12を切り取ることにより、縦20cm×横20cmのチャック付袋体1Aを得ることができる。この大きさのチャック付袋体1Aであれば、搭乗手続きの手荷物検査における液体物を入れる袋体として使用できる。
このように、チャック付袋体1は、袋本体10にチャック部20及びチャック部30を有し、かつ延出部12を切り取るのを補助する切断補助線40が設けられていることにより、大きさを小さく変更したチャック付袋体1Aとして別の用途にも使用できる。
【0025】
以上説明した本発明のチャック付袋体は、袋体の大きさを小さく変化させることができるため、前記書類用袋体と液体物袋体等のように大きさの異なる袋体として複数の用途に使用できる。
【0026】
尚、本発明のチャック付袋体は、前述したチャック付袋体1には限定されない。
例えば、本発明のチャック付袋体は、第2のチャック部が形成されていなくてもよい。すなわち、開口部を密封できるようになっていない袋体であってもよい。
また、前述のチャック付袋体1では、第2のチャック部により開口部を密封できるようになっていたが、チャック部以外の方法で開口部を閉止できるようになっていてもよい。開口部を閉止する閉止手段としては、袋本体の開口部から延びるフラップを形成し、該フラップを開口部側に折り返して開口部を塞ぎ、弱粘着タイプの粘着材で粘着する手段、同様のフラップを粘着材付きステッカーで粘着する手段、前記フラップと袋本体にそれぞれ係止部を設け、それら係止部を紐で結ぶことで開口部を閉止する手段等が挙げられる。
ただし、開口部を閉止する閉止手段を設ける場合は、粘着力が弱くなったり、粘着材が付着して内容物が汚損したりすること等がなく、再閉止可能で、かつ、安定した閉止力が得られる点から、チャック部を形成することが好ましい。
【0027】
また、チャック付袋体の袋本体とチャック部は、チャック付袋体1のように一体成形されていなくてもよく、帯状に形成された一対の基材の内側に、該基材の長手方向に沿ってそれぞれ雄爪部と雌爪部が形成されたチャック部材を、袋本体の内面にヒートシールして取り付けたものであってもよい。また、この場合には、袋本体は単層フィルムからなっていても、多層フィルムからなっていてもよい。
【0028】
また、本発明のチャック付袋体におけるチャック部及び切断補助線の数はチャック付袋体1における数には限定されない。例えば、袋本体の開口部側に向かって順に第1、第2、第3のチャック部を有し、第1のチャック部と第2のチャック部の間に第1の切断補助線が形成され、第2のチャック部と第3のチャック部の間に第2の切断補助線が形成された袋体であってもよい。このチャック付袋体であれば、袋体の大きさを2段階変化させることができる。
【0029】
(製造方法)
本発明のチャック付袋体の製造方法としては、例えば、環状ダイを用いたインフレーション成形で、チャック部を一体成形する方法(α)が挙げられる。方法(α)では、チャック部の雄爪部及び雌爪部を形成する、雄型及び雌型の切り込みを有する環状ダイを用いる。
また、方法(α)は、切断補助線を形成する方法の種類によって、下記方法(α1)又は(α2)が挙げられる。
(α1)環状ダイによるインフレーション成形において、チャック部と共に切断補助線を形成する方法。
(α2)環状ダイによるインフレーション成形の後、得られたフィルムに対して切断補助線を形成する方法。
【0030】
以下、本発明のチャック付袋体の製造方法の実施形態の一例として、前述のチャック付袋体1を製造する方法を示して詳細に説明する。
方法(α1)は、下記の工程を有する。
フィルム成形工程:図6に示すように、フィルム内面に一体成形されたチャック部20の雄爪部21及び雌爪部22と、雄爪部21及び雌爪部22の間に、それら雄爪部21と雌爪部22からそれぞれ等距離に形成された、対になった切断補助線40a、40bと、前記対になった切断補助線40a、40bの間に形成された延出部12aと、雄爪部21と雌爪部22の中央近傍のフィルム内面に一体形成されたチャック部30の雄爪部31及び雌爪部32と、を有する円筒状のフィルム1aを、図5(A)に示すように、インフレーション成形する。そして、図5(A)及び図7に示すように、円筒状のフィルム1aを、雄爪部21及び雌爪部22と雄爪部31及び雌爪部32が嵌合し、かつ対になった切断補助線40a、40bが重ね合わされるように、扁平状に折り畳んで引き取る。
切断工程:折り畳んだ扁平状のフィルム1aにおける、延出部12a側の折り返し部14を、フィルム1aの長手方向に沿って切断して開口部を形成する。
溶断工程:折り畳んだ扁平状のフィルム1aを、該フィルム1aの短手方向に沿って、該フィルム1aの長手方向に所定の間隔をおいて溶断する。
【0031】
フィルム成形工程:
インフレーション成形に用いる環状ダイ50は、図5(B)に示すように、雄爪部21及び雌爪部22をフィルム内面に一体成形する、雄型及び雌型の切り込みを設けた雄爪部形成部51及び雌爪部形成部52を有する。また、雄爪部形成部51及び雌爪部形成部52の間に、雄爪部21と雌爪部22からそれぞれ等距離に形成される、対になった切断補助線40a、40bを形成する切断補助線形成部53、54を有する。また、切断補助線40a、40bの間に形成される延出部12aを形成する延出部形成部55を有する。さらに、フィルム内面に雄爪部31及び雌爪部32を一体成形する、雄型及び雌型の切り込みを設けた雄爪部形成部56及び雌爪部形成部57を有する。
【0032】
樹脂混合物を押出機に供給し、図5(A)に示すように、環状ダイ50によって、袋本体10となる、チャック部20、30が一体成形された円筒状のフィルム1aを押し出す。そして、環状ダイ50から出た円筒状のフィルム1aを空冷法又は水冷法によって冷却し、インフレーション法で拡幅製膜する。環状ダイ50の切断補助線形成部53、54は、樹脂が流出する隙間を小さくしている。そのため、切断補助線40a、40bは、その部分がその他の部分よりも薄肉化された弱化線として形成される。
【0033】
そして、このフィルム1aを、図5(A)に示すように、先細りとなるよう設けられた一対の安定板61、62によって案内しつつ扁平状に折り畳み、一対のピンチロール63、64にて引き取り、同時に、図7に示すように、雄爪部21及び雌爪部22と雄爪部31及び雌爪部32をそれぞれ嵌合させる。このとき、雄爪部21及び雌爪部22からそれぞれ等距離に位置する切断補助線40a、40bも重なり合う。
【0034】
切断工程:
偏平状に折り畳んだフィルム1aの延出部12a側の折り返し部14を、図7に示すように切断線Xに沿って、すなわちフィルム1aの長手方向に沿って切断することで、開口部を形成する。
【0035】
溶断工程:
溶断シール機能を有する製袋機を用いて、折り畳んだ扁平状のフィルム1aを、図8に示すように切断線Yに沿って、すなわち、該フィルム1aの短手方向に沿って、該フィルム1aの長手方向に所定の間隔をおいて溶断することにより、チャック付袋体1を連続して製造する。溶断後、切断補助線40aと切断補助線40bとで、切断補助線40が形成される。
【0036】
尚、方法(α1)では、フィルム成形工程において偏平状に折り畳んだフィルム1aを、ロール状に巻き取って一旦保管した後、必要となったときに巻き出して製袋してもよく、ロール状に巻き取らずに、そのまま切断工程、溶断工程を行って袋体としてもよい。
また、フィルム1aは、延伸フィルムであってもよく、未延伸フィルムであってもよい。また、フィルム成形工程と切断工程の間、切断工程と溶断工程の間、又は溶断工程の後に、フィルム1aに模様、説明文、広告等を印刷する工程を設けてもよい。
また、切断工程と溶断工程の順序は特に限定されず、溶断工程の後に、切断工程を行ってもよい。
【0037】
方法(α2)は、フィルム成形工程において切断補助線を形成せず、フィルム成形工程の後に、切断補助線を形成する切断補助線形成工程を設ける以外は、方法(α1)と同じである。
方法(α2)は、下記工程を有する。
フィルム成形工程:切断補助線形成部53、54を有さない以外は、前述の環状ダイ50と同じ環状ダイを用い、方法(α1)と同様にして、フィルム内面に一体成形されたチャック部20の雄爪部21及び雌爪部22と、雄爪部21及び雌爪部22の間に形成された延出部12aと、雄爪部21と雌爪部22の中央近傍のフィルム内面に一体成形されたチャック部30の雄爪部31及び雌爪部32と、を有する円筒状のフィルムを、インフレーション成形する。そして、方法(α1)と同様に、得られた円筒状のフィルムを、雄爪部21及び雌爪部22と雄爪部31及び雌爪部32がそれぞれ嵌合するように、扁平状に折り畳んで引き取る。
切断工程:方法(α1)と同様に、折り畳んだ扁平状のフィルムにおける、延出部12a側の折り返し部14を、該フィルムの長手方向に沿って切断して開口部を形成する。
補助線形成工程:折り畳んだ扁平状のフィルムにおける、雄爪部21と雌爪部22の延出部側に、該フィルムの長手方向に沿って切断補助線を形成する。
溶断工程:方法(α1)と同様に、折り畳んだ扁平状のフィルムを、該フィルムの短手方向に沿って、該フィルムの長手方向に所定の間隔をおいて溶断する。
【0038】
切断補助線形成工程における切断補助線の形成方法は、例えば、フィルムに刃を当てる方法、レーザーを用いる方法等が挙げられる。該方法により、列状に形成された細孔からなる弱化線、又はミシン目からなる弱化線を形成できる。また、印刷により線を描いて切断補助線とする方法であってもよい。
【0039】
尚、方法(α2)では、方法(α1)と同様に、フィルム成形工程において偏平状に折り畳んだフィルムを、ロール状に巻き取って一旦保管した後、必要となったときに巻き出して製袋してもよく、ロール状に巻き取らずに、そのまま切断工程、切断補助線形成工程、溶断工程を行って袋体としてもよい。フィルムは、延伸フィルムであってもよく、未延伸フィルムであってもよい。また、方法(α1)と同様に、フィルム成形工程の後に、切断工程、切断補助線形成工程、溶断工程のいずれかの工程の間、または最後の工程として、フィルムに模様、説明文、広告等を印刷する工程を設けてもよい。
また、切断工程、切断補助線形成工程及び溶断工程の順序は特に限定されず、例えば、切断補助線形成工程、切断工程、溶断工程の順に行ってもよく、切断補助線形成工程、溶断工程、切断工程の順に行ってもよい。
【0040】
本発明のチャック付袋体の製造方法は、前述の方法には限定されない。例えば、チャック部30を有さない袋体であれば、雄爪部形成部56及び雌爪部形成部57を有さない環状ダイを用いればよい。また、環状ダイは、形成するチャック部及び切断補助線の数に合った数の雄爪部形成部、雌爪部形成部、及び必要に応じて切断補助線形成部を有する環状ダイを用いればよい。
また、インフレーション成形によりチャック部を一体成形せずに、袋本体を形成した後に、帯状のチャック部をヒートシールにより取り付ける方法であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1、1A チャック付袋体 10 袋本体 10a、10b 袋本体の内面 11 開口部 12 延出部 20、30 チャック部 21、31 雄爪部 22、32 雌爪部 40 切断補助線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方に開口部を有する袋本体に、前記袋本体の開口部側の所定の領域を切り離すのを補助する切断補助線が形成され、かつ、前記袋本体における前記切断補助線の前記開口部よりも遠い側の内面に、雄爪部及び該雄爪部に着脱可能に嵌合する雌爪部を有し、該袋本体を部分的に密封する第1のチャック部が形成されており、
前記開口部と前記切断補助線の間に、該切断補助線から延出する延出部が設けられているチャック付袋体。
【請求項2】
前記袋本体の前記開口部の近傍に、該開口部を閉止する閉止手段が設けられている、請求項1に記載のチャック付袋体。
【請求項3】
前記閉止手段として、雄爪部及び該雄爪部に着脱可能に嵌合する雌爪部を有し、前記袋本体を密封する第2のチャック部が、前記袋本体の内面に前記開口部に沿って設けられている、請求項2に記載のチャック付袋体。
【請求項4】
前記切断補助線が弱化線である、請求項1〜3のいずれかに記載のチャック付袋体。
【請求項5】
請求項1に記載のチャック付袋体の製造方法であって、
フィルム内面に一体成形された第1のチャック部の雄爪部及び雌爪部と、前記雄爪部及び雌爪部の間に、それら雄爪部と雌爪部からそれぞれ等距離に形成された、対になった切断補助線と、前記対になった切断補助線の間に形成された延出部とを有する円筒状のフィルムを、インフレーション成形し、
該円筒状のフィルムを、前記雄爪部と雌爪部が嵌合し、かつ前記対になった切断補助線が重ね合わされるように、扁平状に折り畳んで引き取るフィルム成形工程と、
折り畳んだ扁平状のフィルムにおける、延出部側の折り返し部を、該フィルムの長手方向に沿って切断して開口部を形成する切断工程と、
折り畳んだ扁平状のフィルムを、該フィルムの短手方向に沿って、該フィルムの長手方向に所定の間隔をおいて溶断する溶断工程と、
を有するチャック付袋体の製造方法。
【請求項6】
前記扁平状に折り畳んだときのフィルムの折り返し部近傍のフィルム内面に、第2のチャック部の雄爪部及び雌爪部がさらに一体成形されたフィルムを、インフレーション成形し、
折り返し部を切断して、第2のチャック部を有する開口部を形成する、請求項5に記載のチャック付袋体の製造方法。
【請求項7】
前記切断補助線が弱化線である、請求項5又は6に記載のチャック付袋体の製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載のチャック付袋体の製造方法であって、
フィルム内面に一体成形された第1のチャック部の雄爪部及び雌爪部と、前記雄爪部及び雌爪部の間に形成された延出部とを有する円筒状のフィルムを、インフレーション成形し、
該円筒状のフィルムを、前記雄爪部と雌爪部が嵌合するように、扁平状に折り畳んで引き取るフィルム成形工程と、
折り畳んだ扁平状のフィルムにおける、延出部側の折り返し部を、該フィルムの長手方向に沿って切断して開口部を形成する切断工程と、
折り畳んだ扁平状のフィルムにおける、前記雄爪部と雌爪部の延出部側に、該フィルムの長手方向に沿って切断補助線を形成する補助線形成工程と、
折り畳んだ扁平状のフィルムを、該フィルムの短手方向に沿って、該フィルムの長手方向に所定の間隔をおいて溶断する溶断工程と、
を有するチャック付袋体の製造方法。
【請求項9】
前記扁平状に折り畳んだときのフィルムの折り返し部近傍のフィルム内面に、第2のチャック部の雄爪部及び雌爪部をさらに一体成形されたフィルムを、インフレーション成形し、
折り返し部を切断して、第2のチャック部を有する開口部を形成する、請求項8に記載のチャック付袋体の製造方法。
【請求項10】
前記切断補助線が、列状に形成された細孔からなる切断補助線である、請求項8又は9に記載のチャック付袋体の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−20704(P2011−20704A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−167072(P2009−167072)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000106726)シーアイ化成株式会社 (267)
【Fターム(参考)】