説明

チャネル品質条件に基づく認知フロー制御

【課題】無線ネットワークコントローラ(RNC)とノードBの間におけるデータフローの制御に関し、ノードBにバッファされるデータ量を制限し、無線送信システムのパフォーマンスを改良するシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】特定の基準をモニタし、必要な場合はRNC(52)とノードB(54)との間のデータフローを適応的に減少または増加させる。これにより、再送信されるデータ、シグナリング手順、およびその他のデータがより高い速度で正常に受信されるようにし、ノードB(54)でバッファされるデータ量を最小限にすることにより、送信システムのパフォーマンスを向上させる。チャネル品質が劣化すると、高速ダウンリンク共有チャネル(HS−DSCH)のハンドオーバの前に、フローの制御が実施されてノードB(54)でのバッファリングを減少させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信の分野に関する。より詳細には、本発明は、第3世代(3G:third generation)通信(telecommunication)システムにおいて無線ネットワークコントローラ(RNC:radio network controller)とノード(node)Bとの間におけるデータ伝送(data transmission)のフロー制御(flow control)に関する。
【背景技術】
【0002】
第3世代(3G) UTRAN(Universal Terrestrial Radio Access Network)は、数個のRNCを備え、それぞれのRNCは1つまたは複数のノードBに関連付けられ、さらに各ノードB(Node B)は、1つまたは複数のセルに関連付けられている。
【0003】
3G FDD(frequency division duplex)モードおよびTDD(time division duplex)モードでは、通例、RNCを使用することにより、少なくとも1つのユーザ機器(UE:user equipment)へデータ伝送(data transmission)の配信(distribute)(すなわちバッファ(buffer)およびスケジュール(schedule))を行う。しかし、3Gセルラシステム(cellular system)における高速チャネルの場合は、ノードBによってデータの送信(transmission)がスケジュールされる。そうした高速チャネル(high speed channel)の1つは、例えば、高速ダウンリンク共有チャネル(HS−DSCH:high speed downlink shared channel)である。データがノードBによってスケジュールされるので、UEに送信するためには、ノードBにおいてデータをバッファすることが必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ノードBでバッファされる多くのデータ量(amount of data)が、システムの全体的な動作(overall operation)に負の影響(negative impact)を与えるシナリオ(scenario)は数多くある。そうしたシナリオのいくつかを次に記載する。
【0005】
第1のシナリオは、端末間データ送信(end-to-end data transmission)において高い信頼性を達成するための、3Gシステムの再送信機構(retransmission mechanism)に関連する。当業者には、ノードBとUEとの間の送信の失敗(transmission failure)は多様な理由に起因することが理解されよう。例えば、ノードBが数回送信を試みたものの成功しなかった場合がある。あるいは、特定の送信に割り当てられた送信時間(transmission time)が経過してしまった場合がある。以下でさらに詳細に説明する本発明は、上記のような状況およびデータ送信が失敗したことにより無線リンクコントロール(RLC:radio link control)の再送信が必要となる他の状況の両方を包含することを意図する。
【0006】
多くのレベルの再送信機構(retransmission mechanism)が存在する。例えば、機構の1つは、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA:high speed downlink packet access)のためのハイブリッド自動反復要求(H−ARQ:hybrid automatic repeat request)プロセスの再送信(retransmission)である。このH−ARQプロセスは、誤受信された送信が送信機(transmitter)に知らされ、そのデータが正しく受信されるまで送信機がデータを再送信する機構(mechanism)を提供する。
【0007】
H−ARQプロセスに加えて、RNCとUEの中には複数のエンティティ(entity)がある。送信側RLCエンティティ(sending RLC entity)は、特定のプロトコルデータユニット(PDU:protocol data unit)におけるヘッダ中シーケンス番号(SN:sequence number)を通知(signal)し、その番号が受信側RLCエンティティによって使用されて、送信で欠落したPDUがないようにする。シーケンスから外れたPDUの配信(out-of-sequence delivery)によって発生するように、送信中に欠落(miss)したPDUがある場合、受信側RLCエンティティは、ステータスリポートPDU(status report PDF)を送信することにより、特定のPDUが欠落していることを送信側RLCエンティティに知らせる。このステータスリポートPDUは、データ送信(data transmission)が成功したというステータス、および/または、成功しなかったというステータスを記述(describe)する。ステータスリポートPDUは、欠落した(missed)PDUまたは受信された(received)PDUのSNを識別する。PDUが欠落している場合、送信側RLCエンティティは、欠落したPDUの複製(duplicate)を受信側RLCエンティティに再送信する。
【0008】
システムパフォーマンスに対する再送信の影響(impact of retransmission)について、図1を参照して説明する。図1に示すように、SN=3であるPDUがUEによって正常に受信されないと、UE(user equipment)内のRLC(radio link control)は、RNC(radio network controller)内のピアエンティティ(peer entity)に再送信(retransmission)を要求(request)する。その間に、SN=6およびSN=7であるPDUは、ノードBのバッファに待ち行列として入れられる。
【0009】
図2に示すように、再送信プロセス(retransmission process)は有限量の時間(finite amount of time)を要し、データは送信し続けられるので、SN=6およびSN=7であるPDUの後であって且つSN=3である再送信されるPDUの前に、SN=8およびSN=9のPDUがもう2つ待ち行列に入れられる。SN=3であるPDUは、SN=6〜9であるPDUがUEに送信されるまで待機しなければならない。また、より高いレイヤに対して順番にデータを配信(in-sequence delivery of data)する必要性があるので、SN=3のPDUが受信されて順番通りのデータの配信が行われるまで、SN=4〜9であるPDUは、より高いレイヤに渡されない。
【0010】
欠落したPDU(missing PDU)を送信することができるまで、順番が外れたデータ(out-of-sequence data)をバッファするためにUEが必要となる。この結果、送信が遅れるだけでなく、UEは、欠落したデータが正常に再送信されるまで継続してデータを受信するためにデータバッファリングが可能なメモリを持つ必要がある。そのようなメモリがないと、有効なデータ送信レート(effective data transmission rate)は減少し、それによりサービス品質(quality of service)が影響を受ける。メモリは非常に高価なので、これは望ましくない設計上の制約である。したがって、この第1のシナリオによれば、RLCを再送信する必要があり、しかも、大きなデータ量がノードBでバッファされる結果としてデータ再送信の遅延が長くなり、且つより多くのUEメモリが必要となる。
【0011】
ノードBでのデータのバッファリングがシステムパフォーマンスに負の影響を与える第2のシナリオとは、レイヤ2(L2)またはレイヤ3(L3)のメッセージおよびデータ送信が、同じスケジューリングプロセス(scheduling process)によって処理されるか、または、ノードBにおいて単一のバッファを共有する場合である。データがバッファされ且つ処理され、その後にL2/L3メッセージが入ってくる間、メッセージは、送信待ち行列(transmission queue)を回避(circumvent)することができない。送信バッファ(先入れ先出し(FIFO)バッファとして動作する)中のデータ量が多いほど、L2/L3メッセージまたはデータがバッファを通過する(get through)のに要する時間は長くなる。したがって、より優先度が高いL2/L3メッセージが、バッファ中のデータによって遅れることになる。
【0012】
ノードBでのデータのバッファがシステムパフォーマンスに負の影響を与える第3のシナリオは、サービングHS−DSCHセル(serving HS-DSCH cell)が変わる場合である。ノードBは、HS−DSCHのためにデータのスケジューリングとバッファリングを行うので、UEが、ソースノードB(source Node B)からターゲットノードB(target Node B)へサービングHS−DSCHセルの変更を行うと、ハンドオーバ後にはソースノードBにかなりのデータ量がなおバッファされている可能性がある。ソースノードBにバッファされたデータをターゲットノードBに送信する機構(mechanism)がUTRAN(Universal Terrestrial Radio Access Network)アーキテクチャには存在しないので、このデータを回復することはできない。サービングHS−DSCHセルが変わるとき、RNCは、ソースノードBにどのようなデータがバッファされているかを知らないので、例えデータが失われたとしても、RNCは、どれほどのデータが失われたかに関する情報を持っていない。HS−DSCHセルの変更があった時にノードBでバッファされているデータ量が多いほど、最終的にソースノードBに取り残されるので、再送信されなければならないデータ量が多くなる。
【0013】
したがって、上述の理由から、ノードBにバッファされるデータ量を制限することが望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、RNCとノードBとの間におけるデータフローの制御をインテリジェントに使用(intelligent use)することにより、ワイヤレス送信システムのパフォーマンスを改良するシステムおよび方法である。このシステムは、ある一定の基準(certain criteria)をモニタし、必要な場合はRNCとノードBと間のデータフローを適応的に減少または増加させる。これにより、再送信されるデータ(retransmitted data)、シグナリング手順(signaling procedure)、およびその他のデータが、従来技術のシステムと比べてより高い速度で正常に受信されるようにし、ノードBでバッファされるデータ量を最小限にすることにより、送信システムのパフォーマンスを向上させることができる。チャネル品質が劣化すると、HS−DSCHハンドオーバに先だって、ノードBにおけるバッファリングを減らすためにフロー制御を実施する。
【0015】
本発明の好ましい実施形態では、ワイヤレス通信システムとして、データを格納するための少なくとも1つのバッファを有するノードBと通信する無線ネットワークコントローラ(RNC:radio network controller)を含んでいる。このRNCは、ノードBに対して、RNCがあるデータ量をノードBに送信するという要求を通知する。ノードBは、選択された品質インジケータ(quality indicator)をモニタし、その選択された品質インジケータに基づいてバッファのキャパシティ割り当て(capacity allocation)を計算する。ノードBは、そのキャパシティ割り当てをRNCに通知(signal)する。キャパシティ割り当てを受信するのに応答して、RNCは、そのキャパシティ割り当てに従って決定されたデータフローレート(data flow rate)によりノードBに対してデータを送信する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来技術による、RNC、ノードB、およびUEにおけるデータのバッファリングを示す図である。
【図2】従来技術による、再送信の際におけるRNC、ノードB、およびUEにおけるデータのバッファリングを示す図である。
【図3A】本発明にしたがって、RNCとノードBとの間のチャネル品質をモニタし、データのフローを調整する方法を示す図である。
【図3B】本発明にしたがって、RNCとノードBとの間のチャネル品質をモニタし、データのフローを調整する方法を示す図である。
【図4】図3Aおよび図3Bの方法を使用することにより、再送信の際における、RNC、ノードB、およびUEにおけるデータのバッファリングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のより詳細な理解は、添付図面と併せて以下の詳細な説明から得られるであろう。
【0018】
すべての図面において、同様の参照符号は同様の要素を表す。ここでは、バッファの待ち行列に入れられる具体的な数のPDU(10個のPDUなど)を参照して説明していくが、このPDUの数は、単に説明を簡略にするために挙げたものである。上述のシナリオに従って送信されバッファされる実際のPDUの数は、数百あるいはそれ以上のPDUである可能性が高い。本発明に係る実施形態およびその教示は、任意数のPDUと任意サイズの送信バッファに適用可能である。
【0019】
一般に、本実施形態では、UEのチャネル品質(channel quality)の劣化(degradation)があるときにはそのUEについてのノードBへのデータフローを減らし、他方、そのUEのチャネル品質の改良が見られるときにはノードBへのデータフローを増加させる。RNCとノードBと間でデータ伝送のフローを制御するために、本実施形態は、チャネル品質についての1つまたは複数のパラメータをモニタする。このフロー制御は、1つの基準、または多くの異なった基準の組み合わせに基づくことができる。また、後に詳細に説明するように、この基準は、ノードBによって内部的に生成されてもよく、あるいは、外部エンティティ(external entity)(UEなど)によって生成されノードBに送信されてもよい。
【0020】
図3Aは、本実施形態に従って通信チャネルの品質をモニタし、RNC52ノードB54と間のデータフローを調整(adjust)する方法50を示している。この方法50は、RNC52とノードB54との間のデータの送信を扱う。RNC52は、ノードB54にキャパシティ要求(capacity request)を送信する(ステップ58)。このキャパシティ要求は、基本的に、RNC52があるデータ量をノードB54に送信することを求めるという、RNC52からノードB54への要求である。ノードB54は、キャパシティ要求を受信し、選択された品質インジケータ(quality indicator)をモニタする(ステップ60)。この選択された品質インジケータは、UEから送信されたデータに基づいても(下記で詳細に説明する)よく、あるいは、ノードB54におけるバッファの深さ(depth)など、内部的に生成された品質インジケータに基づいてもよい。
【0021】
ノードB54は、ノードBにおけるバッファのステータスもモニタする(ステップ62)。当業者には理解されるように、本実施形態では、説明を簡略にするためにノードB54内の単一のバッファを参照して説明してあるが、多くの場合、バッファは、複数のバッファ、または複数の部分バッファ(sub-buffer)に区分(segment)された単一のバッファからなり、各バッファまたは部分バッファが、1つまたは複数のデータフローに関連付けられている。1つのバッファであるか複数のバッファであるかに拘わりなく、バッファ中のデータ量を示すインジケータは、一般にはノードBの内部で生成される。これにより、ノードB54は、バッファ内のデータ量をモニタし、且つ、バッファが受け付けることができる追加的なデータ量もモニタすることができる。
【0022】
ノードB54は、キャパシティ割り当て(capacity allocation)を計算し、RNC52に送信する(ステップ64)。このキャパシティ割り当ては、ノードB54による、RNC52があるデータ量を送信することの許可(authorization)である。RNC52は、キャパシティ割り当てを受信すると、その割り当てに従ってデータを送信する(ステップ66)。すなわち、RNC52は、キャパシティ割り当てを超えないデータ量をノードB54に送信する。次いで、ノードBは、その量に応じて自身のバッファを調整(adjust)してデータを受信し、格納する(ステップ69)。バッファに格納されたデータ量は、RNC52から送信される受信データと、UE82に送信される送出データ(outgoing data)に従って変化する(図3Bに示す)。
【0023】
図3Aに示した方法50は、データがRNC52からノードB54に流れ、フローレート(flow rate)がノードB54によって継続的に調整(adjust)されるのに従って、持続的に繰り返されることが当業者には理解されよう。ステップ58、60、62、64、66、および69は、順番通りに行われるとは限らず、方法50において別のステップが適用される前に、あるステップが複数回適用されてよいことにも留意されたい。また、キャパシティ割り当てのステップ64など一部のステップは、データの送信(ステップ66)を周期的に実施できるようにする反復的なデータ割り当て(repetitive data allocation)を意味することができる。
【0024】
図3Bには、ノードB54とUE82との間における通信チャネル(communication channel)の品質をモニタする方法80を示してある。ノードB54は、UE82に対してデータを送信する(ステップ84)。UE82は、データを受信し、ノードB54に対してチャネル品質インデックス(CQI:channel quality index)などの信号品質インジケータ(signal quality indicator)を送信する(ステップ86)。次いで、図3Aのステップ60において、この信号品質インジケータを、選択された品質インジケータ(selected quality indicator)として使用することができる。
【0025】
当業者は、ステップ84とステップ86が実際には必ずしも連続しないことを気付くであろう。例えば、FDDモードでは、データが送信されるか否かに関係なく、信号品質インジケータが周期的にUE82から送信される。そのような場合、UE82は、周期的に、または特定のイベント(specific event)に応答して、ノードB54に信号品質インジケータを送信する。そして、図3Aのステップ60において、この信号品質インジケータを、選択された品質インジケータとして使用することができる。
【0026】
上述のように、上記選択された品質インジケータは、ノードBによって内部的に生成されてもよく、あるいは、UEなど別のエンティティによって外部的に生成されてからノードBに送信されてもよい。第1の実施形態によれば、上記基準(criterion)は、UEからのチャネル品質フィードバック(channel quality feedback)である。この第1の実施形態では、ダウンリンクチャネル品質(downlink channel quality)のインジケータであるCQIが使用される。
【0027】
第2の実施形態において、上記基準(criterion)は、H−ARQプロセスに従ってUEが生成するACKまたはNACKである。例えば、ある期間におけるACKの数および/またはNACKの数を使用することにより、そのチャネルの品質の指示(indication of the quality of the channel)を得ることができる。
【0028】
第3の実施形態において、上記基準(criterion)は、データ送信を成功させるために必要とされる変調および符号化セット(MCS:modulation and coding set)について、ノードBによる選択(choice)である。当業者には理解されるように、チャネル条件(channel condition)が不良(poor)な時には非常に強固(robust)なMCSが使用される。あるいは、チャネル条件が良好であり、大きなデータ量を送信することができる場合は、それほど強固でないMCSを利用することができる。最も強固なMCSセット(most robust MCS set)の選択は、不良なチャネル品質条件(poor channel quality condition)のインジケータとして利用することができる。これに対して、最も強固でないMCS(least robust MCS)の使用は、チャネル品質条件(channel quality condition)が好適(favorable)であることを示す(signify)ことができる。
【0029】
第4の実施形態において、上記基準(criterion)は、ノードBの送信バッファ内部における待ち行列の深さである。例えば、ノードB54のバッファが現在多くのデータ量を格納している場合、それは、データがノードBのバッファで「列をなしている(backing up)」ことになるので、チャネル品質条件が不良(poor)である可能性のインジケータとなる。負荷が軽いバッファは、チャネル品質条件が良好(good)であり、データが渋滞していないことのインジケータとなる。
【0030】
第5の実施形態において、上記基準(criterion)は、ノードBで「ドロップ(dropped)される」データ量である。当業者には理解されるように、ドロップされるデータ(dropped data)は、ノードBが数回再送信を試み、所定回数の再試行の後断念したデータである。ノードBにより多数の送信がドロップされる場合は、チャネル品質条件が不良であることの表れである。
【0031】
第6の実施形態において、上記基準(criterion)は、100ミリ秒など所定の継続時間内にノードBによって送信することができるデータ量である。通信チャネルの品質に応じて、ノードBでバッファされるPDUの数は変化する可能性がある。所定の継続時間が固定的なものであったとしても、チャネル品質条件が変化することにより、上記所定の継続時間内に送信することができるPDUの量は、劇的に変化する可能性がある。例えば、チャネル品質条件(channel quality condition)が良好(good)な場合は、100ミリ秒の継続時間内に100個のPDUを送信することができるが、チャネル品質条件が非常に悪い場合(very poor)は、100秒の継続時間内に10個のPUDしか送信することができない場合がある。
【0032】
当業者には、チャネル条件を直接的にまたは間接的に表すことができる他の基準も、利用可能であることが理解されよう。さらに、システムユーザの具体的な必要性に応じて、上記の基準を2つ以上組み合わせること、または必要性に応じて重み付けすることが可能である
図4を参照すると、RNCとノードBとの間におけるデータのフローを適応的(adaptively)に制御することの利益(benefit)を理解することができる。この例は、送信が失敗したことにより再送信が必要とされ、RNCとノードBと間におけるデータのフローが減少する、というシナリオを示している。データフローが減少した結果、SN=8である唯1つの追加的なPDUが、SN=3である再送信されるPDU(retransmitted PDU with SN=3)の前に、待ち行列として入れられる。図4に示したフロー制御の実施形態は、図2に示した再送信の従来処理技術と比べて、SN=3であるPDUの再送信の待ち時間を短縮する。すなわち、SN=8であるPDUについてみると、SN=3であるPDUの前に待ち行列として入れられている。したがって、SN=3のPDUをより早くUEに再送信することができる。この順番で配信を行う必要性(the in-sequence delivery requirement)の結果、PDU4〜8をより早く処理してより高いレイヤへの配信(delivery)を行うことができる。
【0033】
以上、好ましい実施形態に即して本発明を説明してきたが、当業者には、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内にある他の変形実施形態とすることが明らかであろう。
【符号の説明】
【0034】
50 方法
80 方法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ネットワークコントローラ(RNC)であって、
前記RNCからノードBにあるデータ量を送信するというキャパシティ要求を、前記ノードBに送信し、
前記ノードBから、該ノードBにおけるバッファのキャパシティ割り当てを受信し、ここで、該キャパシティ割り当ては、選択された品質インジケータに基づいて決定され、前記選択された品質インジケータは、無線送受信ユニット(WTRU)と前記ノードBとの間で確立されたチャネルの1または複数のチャネル条件に基づくか、または、前記ノードBによって内部的に生成され、前記選択された品質インジケータが少なくとも1つの所定の基準に従って決定され、
前記キャパシティ割り当てに従って決定されたデータフローレートにより、前記ノードBに対してデータを送信する
ように構成されたRNC。
【請求項2】
前記キャパシティ割り当ては、あるデータ量を前記RNCが送信することを許可するための、前記ノードBによる許可であることを特徴とする請求項1に記載のRNC。
【請求項3】
前記選択された品質インジケータは、少なくとも1つの無線送受信ユニット(WTRU)から前記ノードBに送信されるデータに基づくことを特徴とする請求項1に記載のRNC。
【請求項4】
前記選択された品質インジケータは、少なくとも1つのWTRUと前記ノードBとの間に確立されたダウンリンクチャネルの品質を示すチャネル品質インデックス(CQI)であることを特徴とする請求項1に記載のRNC。
【請求項5】
前記データフローは、前記選択された品質インジケータの改善に応答して増加することを特徴とする請求項1に記載のRNC。
【請求項6】
前記データフローは、前記選択された品質インジケータの劣化に応答して減少することを特徴とする請求項1に記載のRNC。
【請求項7】
前記少なくとも1つの所定の基準は、WTRUがハイブリッド自動反復要求(H−ARQ)に従って前記ノードBに送信するACKまたはNACKに基づくことを特徴とする請求項1に記載のRNC。
【請求項8】
前記少なくとも1つの所定の基準は、前記ノードBにより選択される変調および符号化セット(MCS)に基づくことを特徴とする請求項1に記載のRNC。
【請求項9】
前記少なくとも1つの所定の基準は、前記ノードBにおける前記バッファ内の待ち行列の深さに基づくことを特徴とする請求項1に記載のRNC。
【請求項10】
前記少なくとも1つの所定の基準は、前記ノードBでドロップされるデータ量に基づくことを特徴とする請求項1に記載のRNC。
【請求項11】
前記少なくとも1つの所定の基準は、所定の継続時間内に前記ノードBにより送信できるデータ量に基づくことを特徴とする請求項1に記載のRNC。
【請求項12】
前記ノードBに対して送信されるデータ量は、前記キャパシティ割り当てを超えないことを特徴とする請求項1に記載のRNC。
【請求項13】
ノードBであって、
無線ネットワークコントローラ(RNC)からノードBにあるデータ量を送信するというキャパシティ要求を、前記RNCから受信し、
選択された品質インジケータをモニタし、ここで、前記選択された品質インジケータは、無線送受信ユニット(WTRU)と前記ノードBとの間で確立されたチャネルの1または複数のチャネル条件に基づくか、または、前記ノードBによって内部的に生成され、前記選択された品質インジケータが少なくとも1つの所定の基準に従って決定され、
前記選択された品質インジケータに基づいてバッファのキャパシティ割り当てを決定するために、前記バッファをモニタし、
前記キャパシティ割り当てを前記RNCに送信し、
前記キャパシティ割り当てに従って決定されたデータフローレートにより、前記RNCからデータを受信し、
受信した前記データを格納するために、前記バッファを調整する、
ように構成されたノードB。
【請求項14】
前記キャパシティ割り当ては、あるデータ量を前記RNCが送信することを許可するための、前記ノードBによる許可であることを特徴とする請求項13に記載のノードB。
【請求項15】
前記選択された品質インジケータは、少なくとも1つの無線送受信ユニット(WTRU)から前記ノードBに送信されるデータに基づくことを特徴とする請求項13に記載のノードB。
【請求項16】
前記選択された品質インジケータは、少なくとも1つのWTRUと前記ノードBとの間に確立されたダウンリンクチャネルの品質を示すチャネル品質インデックス(CQI)であることを特徴とする請求項13に記載のノードB。
【請求項17】
前記データフローは、前記選択された品質インジケータの改善に応答して増加することを特徴とする請求項13に記載のノードB。
【請求項18】
前記データフローは、前記選択された品質インジケータの劣化に応答して減少することを特徴とする請求項14に記載のノードB。
【請求項19】
前記少なくとも1つの所定の基準は、WTRUがハイブリッド自動反復要求(H−ARQ)に従って前記ノードBに送信するACKまたはNACKに基づくことを特徴とする請求項13に記載のノードB。
【請求項20】
前記少なくとも1つの所定の基準は、前記ノードBにより選択される変調および符号化セット(MCS)に基づくことを特徴とする請求項13に記載のノードB。
【請求項21】
前記少なくとも1つの所定の基準は、前記ノードBにおける前記バッファ内の待ち行列の深さに基づくことを特徴とする請求項13に記載のノードB。
【請求項22】
前記少なくとも1つの所定の基準は、前記ノードBでドロップされるデータ量に基づくことを特徴とする請求項13に記載のノードB。
【請求項23】
前記少なくとも1つの所定の基準は、所定の継続時間内に前記ノードBにより送信できるデータ量に基づくことを特徴とする請求項13に記載のノードB。
【請求項24】
前記RNCから受信されるデータ量は、前記キャパシティ割り当てを超えないことを特徴とする請求項13に記載のノードB。
【請求項25】
データをWTRUに送信するようにさらに構成されることを特徴とする請求項13に記載のノードB。
【請求項26】
前記WTRUから信号品質インジケータを受信するようにさらに構成されることを特徴とする請求項13に記載のノードB。
【請求項27】
前記選択された品質インジケータは、前記信号品質インジケータであることを特徴とする請求項26に記載のノードB。
【請求項28】
無線送受信ユニット(WTRU)であって、
ノードBからデータを受信し、
前記ノードBに信号品質インジケータを送信するように構成され、ここで、該信号品質インジケータは、前記ノードBにおけるバッファのキャパシティ割り当てを決定するための選択された品質インジケータとして使用されることを特徴とするWTRU。
【請求項29】
前記信号品質インジケータは、周期的に送信されることを特徴とする請求項28に記載のWTRU。
【請求項30】
前記信号品質インジケータは、前記ノードBにおける特定のイベントに応答して送信されることを特徴とする請求項28に記載のWTRU。
【請求項31】
前記キャパシティ割り当ては、あるデータ量を無線ネットワークコントローラ(RNC)が送信することを許可するための、前記ノードBによる許可であることを特徴とする請求項28に記載のWTRU。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−147443(P2012−147443A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−25155(P2012−25155)
【出願日】平成24年2月8日(2012.2.8)
【分割の表示】特願2009−242546(P2009−242546)の分割
【原出願日】平成15年5月8日(2003.5.8)
【出願人】(596008622)インターデイジタル テクノロジー コーポレーション (871)
【Fターム(参考)】