説明

チューナユニット

【課題】ケーブルで接続した外部の電子機器がサージ電流によって破壊しないように配慮して安全性を高めたチューナユニットを提供すること。
【解決手段】チューナユニット10は、ケーブル2を介して外部の電子機器(例えばゲーム機)1と接続することによって該電子機器1に放送データを供給することができる。このチューナユニット10は、高周波回路12に形成された第1の接地導体パターン12aとデジタル処理回路13に形成された第2の接地導体パターン13aとを幅狭な複数本の連結導体パターン16によって橋絡し、落雷等によってアンテナ20に印加された過大なサージ電流が流れ込んだときに、このサージ電流で全ての連結導体パターン16が溶断するようにしてある。そのため、外部の電子機器1へはサージ電流が流入しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波回路(RF回路)とデジタル処理回路を有してケーブル経由で外部の電子機器に接続可能なチューナユニットに係り、特に、アンテナからサージ電流が流れ込んだときに外部の電子機器を保護するための対策に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、チューナを内蔵したアンテナ端子付きの電子回路ユニットを外部の電子機器とケーブルで接続することによって、アンテナが受信した信号を電子回路ユニットにて処理したうえで、この電子回路ユニットからレコーダ等の外部の電子機器へテレビ放送信号を供給できるようにした技術が広く知られている(例えば、特許文献1参照)。また、近年はゲーム機や電子辞書等の電子機器において、USBケーブル等のケーブルを用いてチューナユニットを接続することにより、このチューナユニットを介してデジタルテレビ放送等を視聴できるようにしたものが普及しつつある。
【0003】
図2は、ゲーム機等の電子機器1を従来既知のチューナユニット3と接続した状態を示す説明図である。同図において、電子機器1とチューナユニット3はUSBケーブル2によって接続されている。このチューナユニット3には、同軸ケーブル等のアンテナケーブルに接続されるアンテナ端子(F型コネクタ)4と、アンテナ端子4から送られてくる高周波信号の選択や増幅、周波数変換等を行う高周波回路(RF回路)5と、高周波回路5から送られてくる信号を処理して生成した放送データ(画像データや音声データ)を外部出力端子8に供給するデジタル処理回路6とが設けられている。これら高周波回路5とデジタル処理回路6は図示せぬホット側の配線パターンによって接続されていると共に、共通の接地導体(グラウンド)パターン7を有している。また、これら高周波回路5とデジタル処理回路6は樹脂ケース9内に収納されている。
【0004】
電子機器1は通常はゲーム機等として単独で使用されるが、USBケーブル2を介してチューナユニット3と接続することにより、電子機器1をテレビ受像機のように機能させることが可能となる。その際、チューナユニット3のアンテナ端子4は、予めアンテナ20から導出された図示せぬアンテナケーブルと接続しておき、外部出力端子8はUSBケーブル2と接続しておく。これにより、アンテナ20の受信した放送電波の信号をチューナユニット3が取得して、受信信号に基づく放送データが生成されるため、この放送データがUSBケーブル2を介して供給される電子機器1のディスプレイおよびスピーカを利用して、ユーザはデジタルテレビ放送等を視聴できるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−55149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、図2に示すように、電子機器1に従来既知のチューナユニット3を接続している状態で、アンテナ20に落雷によるサージ電流が印加されると、このサージ電流はアンテナ端子4からチューナユニット3へ流れ込むため、接地導体パターン7およびUSBケーブル2を介して電子機器1にサージ電流が流れ込んでしまう。その場合、サージ電流によってチューナユニット3のみならず電子機器1も破壊されてしまう危険性がある。とりわけ電子機器1は比較的高価なため、ゲーム機等としての本来の機能も破壊されてしまうことはユーザにとって大きな損失となる。
【0007】
しかしながら、従来はチューナユニット3自体にサージ対策が講じられていないため、サージ対策用の専用の器具が取り付けられていない使用環境においては、電子機器1をチューナユニット3に接続しているときに上記の危険性を確実に回避することはできなかった。
【0008】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、ケーブルで接続した外部の電子機器がサージ電流によって破壊しないように配慮して安全性を高めたチューナユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、放送電波を受信するアンテナに接続可能なアンテナ端子と、このアンテナ端子から送られてくる高周波信号を処理する高周波回路と、この高周波回路から送られてくる信号を処理して生成した放送データを外部出力端子に供給するデジタル処理回路と、前記高周波回路および前記デジタル処理回路を収納する樹脂ケースとを備え、前記外部出力端子をケーブルを介して外部の電子機器と接続することにより、該電子機器に前記放送データを供給可能なチューナユニットにおいて、前記高周波回路に形成された第1の接地導体パターンと前記デジタル処理回路に形成された第2の接地導体パターンとを幅狭な連結導体パターンによって橋絡すると共に、許容電流値よりも大きなサージ電流が前記アンテナ端子に流れ込んだときに前記連結導体パターンが溶断するように該連結導体パターンの線幅および厚みを設定することとした。
【0010】
このように高周波回路に形成された第1の接地導体パターンとデジタル処理回路に形成された第2の接地導体パターンとが幅狭な連結導体パターンで橋絡されているチューナユニットは、落雷等によってアンテナに印加された過大なサージ電流が流れ込んだときに、このサージ電流で連結導体パターンが溶断するため、ケーブルを介して接続されている外部の電子機器へサージ電流が流入しなくなる。それゆえ、チューナユニットに比して高価な電子機器がサージ電流で破壊される虞がなくなる。
【0011】
上記の構成において、第1の接地導体パターンと第2の接地導体パターンとを幅狭な1本の連結導体パターンで橋絡することも可能であるが、第1および第2の接地導体パターンどうしを幅狭な複数本の連結導体パターンで橋絡しておけば、広い接地導体パターンを必要とする高周波回路が第1の接地導体パターンだけでなく第2の接地導体パターンも利用しやすくなるため好ましい。
【0012】
この場合において、複数本の連結導体パターンが同等の線幅および厚みに形成されていると、全ての連結導体パターンを許容電流値よりも大きなサージ電流で一括して溶断させるうえで必要な導体パターンの線幅および厚みが容易に算出できるため好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のチューナユニットは、高周波回路に形成された第1の接地導体パターンとデジタル処理回路に形成された第2の接地導体パターンとを幅狭な連結導体パターンによって橋絡し、落雷等によってアンテナに印加された過大なサージ電流が流れ込んだときに、このサージ電流で連結導体パターンが溶断するように構成してあるため、ケーブルを介して接続されている外部の電子機器(例えばゲーム機)へサージ電流が流入しなくなる。それゆえ、チューナユニットに比して高価な電子機器がサージ電流で破壊される虞がなくなり、ユーザは安心して電子機器にチューナユニットを接続してデジタルテレビ放送等を視聴することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態例に係るチューナユニットに外部の電子機器を接続した状態を示す説明図である。
【図2】従来のチューナユニットに外部の電子機器を接続した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態例を図面を参照しながら説明する。図1に示すように、本実施形態例に係るチューナユニット10は、USBケーブル2を介して外部の電子機器1と接続することができる。この電子機器1は、通常はゲーム機等として単独で使用されるものであるが、チューナユニット10と接続することによってテレビ受像機のように機能させることが可能となる。
【0016】
チューナユニット10は、同軸ケーブル等のアンテナケーブルに接続されるアンテナ端子(F型コネクタ)11と、アンテナ端子11から送られてくる高周波信号の選択や増幅、周波数変換等を行う高周波回路(RF回路)12と、高周波回路12から送られてくる信号を処理して生成した放送データ(画像データや音声データ)を外部出力端子14に供給するデジタル処理回路13と、高周波回路12およびデジタル処理回路13を収納する樹脂ケース15とを備えており、高周波回路12に形成された第1の接地導体パターン12aとデジタル処理回路13に形成された第2の接地導体パターン13aとが幅狭な複数本の連結導体パターン16によって橋絡されている。また、高周波回路12とデジタル処理回路13は図示せぬホット側の配線パターンによって接続されている。
【0017】
複数本の連結導体パターン16の線幅および厚みは同等である。そして、落雷等により許容電流値よりも大きなサージ電流がアンテナ端子11に流れ込んだときに全ての連結導体パターン16が溶断するように、各連結導体パターン16の線幅と厚みが設定されている。一例を挙げると、連結導体パターン16として線幅が0.2mmで厚みが0.035mmの銅箔パターンを7本形成しておけば、アンテナ端子11に5000A以上のサージ電流が流れ込んだときに、全ての連結導体パターン16を溶断させることができる。ただし、連結導体パターン16の線幅や厚みは適宜選択可能であり、その値に応じて必要な本数に変更され得ることは言うまでもない。また、これら連結導体パターン16は高周波回路12とデジタル処理回路13との間の適宜箇所に形成することができるが、グラウンド機能を強化させることの望ましい箇所に連結導体パターン16を形成しておくことがより好適である。
【0018】
このチューナユニット10は、USBケーブル2を介して外部の電子機器1と接続することによって、デジタル処理回路13が生成した放送データを電子機器1に供給することができる。その際、チューナユニット10のアンテナ端子11は、予めアンテナ20から導出された図示せぬアンテナケーブルと接続しておき、外部出力端子14はUSBケーブル2と接続しておく。これにより、アンテナ20の受信した放送電波の信号をチューナユニット10が取得して、受信信号に基づく放送データが生成されるため、この放送データがUSBケーブル2を介して供給される電子機器1のディスプレイおよびスピーカを利用して、ユーザはデジタルテレビ放送等を視聴できるようになる。
【0019】
このように本実施形態例に係るチューナユニット10は、高周波回路12に形成された第1の接地導体パターン12aとデジタル処理回路13に形成された第2の接地導体パターン13aとを幅狭な連結導体パターン16によって橋絡し、落雷等によってアンテナ20に印加された過大なサージ電流が流れ込んだときに、このサージ電流で連結導体パターン16が溶断するように構成してあるため、USBケーブル2を介して接続されている外部の電子機器1へサージ電流が流入しなくなる。それゆえ、チューナユニット10に比して高価な電子機器1がサージ電流で破壊される虞はなくなり、ユーザは安心して電子機器1にチューナユニット10を接続してデジタルテレビ放送等を視聴することができる。
【0020】
また、本実施形態例では、第1および第2の接地導体パターン12a,13aどうしを幅狭な複数本(例えば7本)の連結導体パターン16で橋絡しているため、広い接地導体パターンを必要とする高周波回路12が第1の接地導体パターン12aだけでなく第2の接地導体パターン13aも利用しやすくなっている。それゆえ、高周波回路12の動作が安定させやすい。
【0021】
また、本実施形態例では、複数本の連結導体パターン16が同等の線幅および厚みに形成されているため、全ての連結導体パターン16を許容電流値よりも大きなサージ電流で一括して溶断させるうえで必要とされる導体パターンの線幅および厚みを容易に算出することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 電子機器
2 USBケーブル
10 チューナユニット
11 アンテナ端子
12 高周波回路
12a 第1の接地導体パターン
13 デジタル処理回路
13a 第2の接地導体パターン
14 外部出力端子
15 樹脂ケース
16 連結導体パターン
20 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送電波を受信するアンテナに接続可能なアンテナ端子と、このアンテナ端子から送られてくる高周波信号を処理する高周波回路と、この高周波回路から送られてくる信号を処理して生成した放送データを外部出力端子に供給するデジタル処理回路と、前記高周波回路および前記デジタル処理回路を収納する樹脂ケースとを備え、前記外部出力端子をケーブルを介して外部の電子機器と接続することにより、該電子機器に前記放送データを供給可能なチューナユニットであって、
前記高周波回路に形成された第1の接地導体パターンと前記デジタル処理回路に形成された第2の接地導体パターンとを幅狭な連結導体パターンによって橋絡すると共に、許容電流値よりも大きなサージ電流が前記アンテナ端子に流れ込んだときに前記連結導体パターンが溶断するように該連結導体パターンの線幅および厚みを設定したことを特徴とするチューナユニット。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記第1および第2の接地導体パターンどうしを幅狭な複数本の前記連結導体パターンで橋絡したことを特徴とするチューナユニット。
【請求項3】
請求項2の記載において、前記複数本の連結導体パターンが同等の線幅および厚みに形成されていることを特徴とするチューナユニット。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−186619(P2012−186619A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47836(P2011−47836)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】