説明

チューブポンプ

【課題】流体を連続的に吐出する耐久性の高い小型のチューブポンプを提供すること。
【解決手段】チューブ7の押圧及び押圧解除を繰り返し行うことで流体Lを吸入し吐出するチューブポンプ1であって、チューブ7を挟んで配置された押圧片12、14及び押圧面15aを有し、これらに挟まれた被押潰領域8、9の上流側を押し潰す局所閉塞状態から被押潰領域8、9の全体を押し潰す全閉塞状態に移行可能な第1押圧部11及び第2押圧部12を備えて成り、第1押圧部11は第2押圧部13の被押潰領域9の体積V2よりも大きな体積V1の被押潰領域8を挟むと共に第2押圧部13よりも上流側に配置され、第1押圧部11及び第2押圧部13は局所閉塞状態から全閉塞状態に交互に移行すると共に流体Lの吸入時及び/又は吐出時に第1押圧部11及び第2押圧部13の少なくとも一方は局所閉塞状態又は全閉塞状態にあることを特徴とするチューブポンプ1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、チューブポンプに関し、さらに詳しくは、流体を連続的に吐出する耐久性の高い小型のチューブポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
弾力性を有するチューブを作動流体流路とし、外部からチューブを変形させる力を加えることにより流体の吸入及び吐出をさせる形式のポンプには、しごきポンプ、ローラポンプ、ペリスタルチックポンプ等の各種名称のものが知られている。これらは互いに名称を異にするものの、ポンプの基本的な構造原理は共通し、チューブ長手方向に沿って移動する回転押圧部材によるチューブの押圧、変形及び回転押圧部材の回転移動による連続的な変形でポンプとして作用する。このチューブは回転押圧部材と共に移動しないように常に所定の引張力がかかった状態に固定されている。つまり、このチューブにローラ等からなる回転押圧部材を複数押し当てて変形させることで隣接する回転押圧部材の間のチューブ内に密閉された作動室を画成し、この回転押圧部材がチューブ長手方向に沿って回転移動してチューブを扱くことで作動室を移動させてチューブ内の流体を移送、つまり吸入及び吐出させる。
【0003】
ところで、このポンプはチューブの屈曲部に回転するように軸支された回転押圧部材を備える必要があるから、ポンプ自体の構造が大型になって配置スペースが大きくなるという問題がある。また、このポンプのチューブは張力を与えられた状態で固定されかつ回転押圧部材によって扱かれるから、チューブが損傷しやすく、ポンプの耐久性を損なうという問題がある。
【0004】
一方、他の形式のポンプとして、「微量液送ポンプ」に関する特許文献1には「弾性体の液送チューブの途中の側面に蠕動発生機構を押し付けて、前記液送チューブの一方から他方に液を送出する微量液送ポンプにおいて、前記液送チューブを挟んで一方側に前記液送チューブの長手方向に適宜長さを有する永久磁石を配置し、他方側に前記永久磁石の磁気吸引力によって吸引される磁性体よりなる可動子を配置し、前記永久磁石に前記永久磁石の起磁力を打ち消すためのコイルを巻回し、前記永久磁石の背面に逆U字形のヨークを固定して、前記ヨークの両端を可動子に空隙を介して対向するようにした電磁加圧装置を設けたことを特徴とする微量液送ポンプ」が記載されている。
【0005】
この特許文献1に記載された微量液送ポンプは、チューブを常に張力をかけた状態に配設しかつチューブを扱く必要はないからポンプの耐久性を確保できる上、小型化もでき省スペースであるものの、連続して流体を吐出できず、例えば図3(c)のように吐出休止期間すなわち吐出休止工程が存在する。このように吐出休止期間があると、流体を一定のペースで連続して吐出する必要のある用途、例えば医療用ポンプとして、利用できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平5−52283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明の課題は、流体を連続的に吐出する耐久性の高い小型のチューブポンプを提供することに、ある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段として、
請求項1は、弾力性を有するチューブの押圧及び押圧解除を繰り返し行うことで前記チューブ内の流体を吐出し、前記チューブ内に流体を吸入するチューブポンプであって、前記チューブを挟んで配置された押圧片及び押圧面を有し、これらに挟まれた被押潰領域の上流側を押し潰す局所閉塞状態から前記被押潰領域の全体を押し潰す全閉塞状態に移行可能に構成された第1押圧部及び第2押圧部を備えて成り、前記第1押圧部は、前記第2押圧部の被押潰領域の体積V2よりも大きな体積V1の被押潰領域を挟むと共に前記第2押圧部よりも前記チューブの上流側に配置され、前記第1押圧部及び前記第2押圧部は前記局所閉塞状態から前記全閉塞状態に交互に移行すると共に、前記流体の吸入時及び/又は吐出時に前記第1押圧部及び前記第2押圧部の少なくとも一方は前記局所閉塞状態又は前記全閉塞状態にあることを特徴とするチューブポンプであり、
請求項2は、前記第1押圧部及び前記第2押圧部は基板面に配設された前記チューブを挟むように配置され、前記押圧面は前記基板面であり、前記押圧片は上流側及び下流側を中心として揺動するように支持された揺動部材であることを特徴とする請求項1に記載のチューブポンプである。
【0009】
また、前記課題を解決するための手段として、
請求項3は、前記第1押圧部及び前記第2押圧部は一部が屈曲するように配設された前記チューブの屈曲部に配置され、前記第1押圧部及び前記第2押圧部それぞれは、前記屈曲部の内側又は外側に配置され、他方の側に向かって前後進する押圧面と、前記屈曲部の外側又は内側に配置され、前記チューブの下流方向端部を中心に揺動する揺動押圧片とを有することを特徴とする請求項1に記載のチューブポンプであり、
請求項4は、前記内側に往復運動可能に配置され、前記チューブに対面する対向面を有する往復運動部材を備え、前記押圧面は前記対向面であり、前記揺動押圧片は前記外側にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項3に記載のチューブポンプであり、
請求項5は、対向する第1内面及び第2内面に沿って前記チューブを屈曲状態に配設すると共に往復運動可能な中空可動部材を備え、前記押圧面は前記第1内面及び前記第2内面であり、前記揺動押圧片は前記内側にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項3に記載のチューブポンプである。
【0010】
さらに、前記課題を解決するための手段として、
請求項6は、前記第1押圧部及び前記第2押圧部は一部が屈曲するように配設された前記チューブの屈曲部に配置され、前記第1押圧部及び前記第2押圧部それぞれは、前記屈曲部の外側に配置された押圧面と、前記屈曲部の内側に配置され、前記押圧面に向かって前後進する下流方向端部を中心に揺動する揺変動押圧片とを有することを特徴とする請求項1に記載のチューブポンプであり、
請求項7は、対向する第1内面及び第2内面に沿って前記チューブを屈曲状態に配設可能に装着された中空不動部材を備え、前記押圧面は前記第1内面及び前記第2内面であることを特徴とする請求項6に記載のチューブポンプであり、
請求項8は、前記第1押圧部及び前記第2押圧部の少なくとも一方は、複数の前記押圧片を有していることを特徴とする請求項1に記載のチューブポンプであり、
請求項9は、前記第1押圧部で押し潰される前記被押潰領域の体積V1と前記第2押圧部で押し潰される前記被押潰領域の体積V2との体積比(V1:V2)が3:1である請求項1〜8のいずれか1項に記載のチューブポンプである。
【発明の効果】
【0011】
この発明に係るチューブポンプは、チューブを挟んで配置された押圧片及び押圧面を有する第1押圧部及び第2押圧部を備えて成るから、チューブの押圧及び押圧解除する機構が小型の簡略な構造であるうえ、チューブを扱くことなく押圧及び押圧解除によって流体の吐出及び吸入が可能になる。したがって、この発明に係るチューブポンプは、チューブを損傷しにくく、優れた耐久性を有すると共にチューブポンプ自体の構造が小さくできる。
【0012】
また、この発明に係るチューブポンプは、局所閉塞状態から全閉塞状態に移行可能に構成された第1押圧部及び第2押圧部において、第1押圧部が第2押圧部の被押潰領域よりも体積の大きな被押潰領域を挟むと共に第2押圧部よりも上流側に配置され、第1押圧部及び第2押圧部が交互に局所閉塞状態から全閉塞状態に移行すると共に流体の吸入時及び/又は吐出時に局所閉塞状態及び全閉塞状態の少なくともいずれかの状態にあるから、流体を逆流させることなく連続的に一定のペースで流体を吐出できる。
【0013】
したがって、この発明によれば、流体を連続的に吐出する耐久性の高い小型のチューブポンプを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、この発明に係るチューブポンプの一例であるチューブポンプを示す概略図である。
【図2】図2は、この発明に係るチューブポンプの一例であるチューブポンプの作用・機能を説明する概略説明図である。
【図3】図3は、この発明に係るチューブポンプの別の一例であるチューブポンプを説明する概略説明図である。
【図4】図4は、この発明に係るチューブポンプのまた別の一例であるチューブポンプを説明する概略説明図である。
【図5】図5は、この発明に係るチューブポンプのさらにまた別の一例であるチューブポンプを説明する概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明に係るチューブポンプは、弾力性を有するチューブの押圧及び押圧解除を繰り返し行うことで、チューブ内の流体を吐出し、チューブ内に流体を吸入するチューブポンプである。この発明に係るチューブポンプは、原理的には容積式ポンプに分類され、チューブを作動流体流路として流体の吸入及び吐出をさせる形式のポンプである点で、ローラポンプ、ペリスタルチックポンプ等と共通するが、チューブ長手方向に沿って移動しチューブを扱く回転押圧部材に代えて、チューブに沿って配置され、チューブを径方向に押し潰す押圧部を備え、このようなチューブの押圧によって流体の吸入及び吐出する点で、チューブの押圧機構並びに流体の吸入及び吐出機構が異なる。この発明に係るチューブポンプにおける押圧部は、チューブを扱くのではなく、チューブを径方向に押し潰して流体を吸入及び吐出するから、チューブを所定の引張力がかかった状態にチューブを固定しなくてもよく、チューブの配設状態も特に限定されず、直線状にも、屈曲した状態にも配設することができる。そして、後述するように、この発明に係るチューブポンプにおける押圧部はローラポンプの回転押圧部材に比して小型で簡略な構造を有している。
【0016】
この発明に係るチューブポンプにおける押圧部は、チューブを挟んで配置された押圧片及び押圧面を有してなり、これらに挟まれた被押潰領域の上流側を押し潰す局所閉塞状態から被押潰領域の全体を押し潰す全閉塞状態に移行可能に構成されている。
【0017】
このような押圧部の第1例として、例えば、チューブの外表面に臨み、2つの軸それぞれを中心に回動可能に配置された1つ押圧片と、チューブを配設する例えば基板等の基板面である押圧面とを有し、押圧片が回動してその上流側端部で被押潰領域の上流側を押し潰して局所閉塞状態となり、この状態から押圧片の上流側端部を中心に回動して押圧片全体で被押潰領域の全体を押し潰して全閉塞状態になる押圧部が挙げられる。
【0018】
押圧部の第2例として、例えば、チューブの外表面に臨み、かつ1つの軸を中心に回動可能に屈曲したチューブの外側に配置された1つ押圧片と、チューブを挟んで屈曲したチューブの内側に押圧片に対して前後進可能に配置された押圧面とを有し、押圧片の回動及び押圧面の前後進によって被押潰領域の上流側を押し潰して局所閉塞状態となり、この状態から押圧片の回動及び押圧面の前後進によって押圧片全体で被押潰領域の全体を押し潰して全閉塞状態になる押圧部が挙げられる。
【0019】
押圧部の第3例として、例えば、チューブの外表面に臨み、かつ1つの軸を中心に回動可能に屈曲したチューブの内側に配置された1つ押圧片と、チューブを挟んで屈曲したチューブの外側に押圧片に対して前後進可能に配置された押圧面とを有し、押圧片の回動及び押圧面の前後進によって被押潰領域の上流側を押し潰して局所閉塞状態となり、この状態から押圧片の回動及び押圧面の前後進によって押圧片全体で被押潰領域の全体を押し潰して全閉塞状態になる押圧部が挙げられる。
【0020】
押圧部の第4例として、例えば、チューブの外表面に臨み、かつ1つの軸を中心に回動可能かつ後述する押圧面に向かって前後進可能に屈曲したチューブの内側に配置された1つ押圧片と、チューブを挟んで屈曲したチューブの外側に固定配置された押圧面とを有し、押圧片の回動及び前後進によって被押潰領域の上流側を押し潰して局所閉塞状態となり、この状態から押圧片の回動及び前後進によって押圧片全体で被押潰領域の全体を押し潰して全閉塞状態になる押圧部が挙げられる。この第4例と第3例とは、押圧面と押圧片とが相対的に近接又は離間するように前後進可能である点で共通するものの、第3例は押圧面が前後進可能であるのに対して第4例は押圧片が前後進可能である点で相違する。
【0021】
押圧部の第5例として、例えば、チューブの外表面に臨み、かつチューブに対して平行に移動可能に配置された複数の押圧片と、チューブを配設する例えば基板等の基板面である押圧面とを有し、複数の押圧片のうち少なくとも最上流側の押圧片が被押潰領域の上流側を押し潰して局所閉塞状態となり、この状態から残りの押圧片が残りの被押潰領域を押し潰して全閉塞状態になる押圧部が挙げられる。
【0022】
この発明に係るチューブポンプは、少なくとも2つの押圧部すなわち第1押圧部及び第2押圧部を有している。第1押圧部及び第2押圧部それぞれは押圧部のいずれをも採用することができ、複数の押圧部を組み合わせることもできる。
【0023】
この発明に係るチューブポンプにおいて、局所閉塞状態から全閉塞状態に移行する第1押圧部及び第2押圧部は交互に機能して、すなわち、第1押圧部及び第2押圧部は局所閉塞状態から全閉塞状態に交互に移行して、流体を吸入し吐出する。このように第1押圧部及び第2押圧部が所謂「二連ポンプ」のように交互に機能することによって、一方の押圧部による脈動が他方の押圧部の作用によって弱められるから、押圧部を1つしか備えず脈動を弱めることのできない所謂「一連ポンプ(単連ポンプとも称する。)」に特有の大きな脈動を生じることなく、流体を吐出できる。この発明に係るチューブポンプにおいて、第1押圧部及び第2押圧部が交互に機能するとき、すなわち、流体の吸入時及び/又は吐出時に、第1押圧部及び第2押圧部の少なくとも一方は局所閉塞状態又は全閉塞状態にある。このように、流体の吸入時及び/又は吐出時に少なくとも一方の押圧部が局所閉塞状態又は全閉塞状態にあると、一方の押圧部が所謂「逆止弁」としても機能して他方の押圧部によるチューブの押圧力による流体の逆流を防止できる。このように、この発明に係るチューブポンプにおいて、流体の逆流を防止する機構が不要となるから、ローラポンプ、ペリスタルチックポンプ等で利用されるような逆止弁を内蔵した特別なチューブを必要とせず、逆止弁を内蔵しない一般的なチューブを用いることができる。また、ポンプ自体のより一層の小型簡略化が達成される。
【0024】
この発明に係るチューブポンプにおいて、第1押圧部及び第2押圧部は、チューブに沿って配置されており、具体的には、第1押圧部はチューブの上流側に、第2押圧部はチューブの下流側にそれぞれ配置される。そして、第1押圧部の第1被押潰領域の体積V1及び第2押圧部の第2被押潰領域の体積V2それぞれは吐出する流体の体積に応じて適宜に設定され、通常、第1押圧部の第1被押潰領域の体積V1は第2押圧部の第2被押潰領域の体積V2よりも大きく設定されている。このときの体積V1と体積V2との体積比(V1:V2)は、吐出する流体の吐出パターンに応じて適宜に設定される。例えば、前記体積比(V1:V2)は1超:1であり、好ましくは2:1を除く1超:1である。前記体積比(V1:V2)を3:1に設定すると体積V2の半分の流体を大きな脈動なく連続して吐出することができる。ここで、体積V1は第1押圧部が複数存在する場合にはこれらの合計体積であって被押潰状態から第1全閉塞状態に至るまでに押し潰される第1被押潰領域の体積であり、体積V2は第2押圧部が複数存在する場合にはこれらの合計体積であり、被押圧状態から第2全閉塞状態に至るまでに押し潰される第2被押潰領域の体積である。
【0025】
このような構成を有し、前記のように機能する、この発明に係るチューブポンプは、押圧部が小型の簡略な構造であるからチューブポンプ自体の構造が小さく配置スペースも低減できるにもかかわらず、流体を逆流させることなく連続的に一定のペースで流体を吐出でき、さらに、チューブが損傷しにくく優れた耐久性を発揮する。したがって、この発明に係るチューブポンプは流体を連続的に吐出する耐久性の高い小型のチューブポンプである。
【0026】
この発明に係るチューブポンプにおいて、弾力性を有するチューブは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコーン樹脂、塩化ビニール、合成ゴム等の可撓性を有する材料で管体として形成されている。このチューブは流体を移送する移送路となる。この発明に係るチューブポンプは第1押圧部及び第2押圧部それぞれが逆止弁の機能を発揮するから、一般的なチューブすなわち単なる中空管状のチューブを用いることができる。
【0027】
この発明に係るチューブポンプの一例を、図面を参酌して、説明する。この発明に係るチューブポンプの一例であるチューブポンプ1を図1及び図2に示す。図1(a)はチューブポンプ1の初期状態を示す概略上面図であり、図1(b)はチューブポンプ1の初期状態を示す概略側面図である。図2はチューブポンプ1の作用・機能を説明する概略説明図であり、チューブポンプ1における流体の吸入及び吐出機構が順に図2(a)〜図2(g)に示されている。このポンプ1は、第1押圧部及び第2押圧部の双方に前記第1例の押圧部が採用されている。このチューブポンプ1は、弾力性を有するチューブ7の押圧及び押圧解除を繰り返し行うことでチューブ7内の流体を吐出し、チューブ7内に流体を吸入するチューブポンプであって、第1押圧部11及び第2押圧部13を備えている。
【0028】
このチューブポンプ1は、図1(a)及び図1(b)並びに図2に示されるように、チューブ7を配設する基板15と、基板15に配設されたチューブ7と、第1押圧部11及び第2押圧部13とを備えている。チューブ7は前記のとおりであり、基板15の基板面15aに沿って直線状に配設されている。
【0029】
基板15は、チューブ7が配設される平坦な表面である基板面15aと、チューブ7を固定する固定装置例えば一対の挟持片15b等を備えている。このチューブポンプ1において、基板15はチューブ7の少なくとも一部を配設できるように形成されており、その基板面15aは後述するように押圧部を構成する。挟持片15bは、第1押圧部11の上流側及び第2押圧部の下流側にそれぞれ設置され、チューブ7の外径よりも小さな間隔で互いに対向するように基板15に立設された2つの挟持片でチューブ7を径方向から挟持して固定する。この挟持片15bそれぞれはチューブ7を大きく変動しない程度に固定できればよく、特に軸線方向に張力をかけた状態にチューブ7を固定できなくてもよい。
【0030】
第1押圧部11は、基板面15aに配設されたチューブ7を基板面15aに略垂直な方向に沿って挟むように配置された第1押圧片12及び第1押圧面15aで構成され、具体的には、第1押圧片12としての第1揺動部材12と押圧面としてチューブ7を配設した基板面15aとからなり、第1押圧片12及び第1押圧面15aで挟まれ、第1揺動部材12が揺動して第1押圧面15aに近接するときに押し潰す第1被押潰領域8をチューブ7に形成する。この第1押圧片12は、チューブ7の軸線方向に延在する棒状体、柱体、板体等であればよく、この例においては柱体をなしている。第1押圧片12は、図1(b)に明確に示されるように、チューブ7に臨んでチューブ7を完全に押し潰すことのできる平坦な表面12aを有し、この例においてはこの表面12aがチューブ7の外表面に接触する(押圧はしていない。)ように配置されている。このように表面12aが配置されていると、後述する体積V1の半分だけの流体を吸入できる。このチューブポンプ1において、第1押圧面15aは基本的に不動であり、第1揺動部材12がチューブ7の配設方向における上流側及び下流側を中心として揺動するように、すなわち、2つの軸それぞれを中心に回動するように、例えば基板15に支持されている。
【0031】
第1揺動部材12は、後述するように、チューブ7の配設方向すなわちチューブ7の軸線方向における下流側、好ましくは下流側のチューブ側端部(以下、下流側底端部と称することがある。)12bを中心にして回転可能になっており、チューブ7に向かって第1揺動部材12が回動すると、第1被押潰領域8の上流側を閉塞する第1局所閉塞状態(例えば図2(d)参照。)にチューブ7を押し潰し、一方、チューブ7から離間するようにすなわち逆方向に回動すると、第1局所閉塞状態を解除してチューブ7を復帰させる。また、この第1揺動部材12は、チューブ7の配設方向すなわちチューブ7の軸線方向における上流側、好ましくは上流側のチューブ側端部(以下、上流側底端部と称することがある。)12cを中心にして回転可能になっており、第1局所閉塞状態にある第1揺動部材12がチューブ7に向かって回動すると、第1局所閉塞状態から第1被押潰領域8の全体を押し潰す第1全閉塞状態(例えば図2(f)参照。)にチューブ7を押し潰す。一方、チューブ7から離間するように、すなわち逆方向に回動すると、第1全閉塞状態を解除してチューブ7を第1局所閉塞状態に復帰させる。このチューブポンプ1において、第1押圧部11はこのように形成されていればよいが、第1全閉塞状態から押し潰されていない初期状態にチューブ7を速やかに復帰させることができる点で、第1全閉塞状態から基板面15aに対して閉塞状態を解除しつつ、例えば略平行に離間するように第1揺動部材12が支持されていてもよい。このように下流側及び上流側それぞれを中心として揺動する第1押圧部11すなわち第1揺動部材12は、その下流側を中心に回動して第1局所閉塞状態になり、次いで、その上流側を中心に回動して第1全閉塞状態に移行するように揺動し、好ましくは第1押圧面15aに対して閉塞状態を解除しつつ離間してチューブ7を復帰可能に移動するように支持されているのが好ましい。第1押圧部11をこのように基板15等に支持する方法は特に限定されず、基板面15aに対して閉塞状態を解除しつつ例えば略平行に前後進可能に付勢部材等で支持された枢軸等で第1揺動部材12を軸支する方法(図1に図示しない。)等が挙げられる。
【0032】
第2押圧部13は、第1押圧部11よりもチューブ7の配設方向の下流側に配置されており、その寸法、具体的には長手方向の長さが異なる以外は第1押圧部11と基本的に同様に構成されている。すなわち、第2押圧部13は、基板面15aに配設されたチューブ7を挟んで配置された第2押圧片14及び第2押圧面15aで構成され、具体的には、第2押圧片14としての第2揺動部材14と押圧面としての基板面15aとからなり、第2押圧片14及び第1押圧面15aで挟まれ、第2揺動部材14が揺動して第1押圧面15aに近接するときに押し潰す第2被押潰領域9をチューブ7に形成する。第2押圧片14は、チューブ7に臨んでチューブ7を完全に押し潰すことのできる平坦な表面14aを有する柱体であり、表面14aがチューブ7の外表面に接触する(押圧はしていない。)ように配置されている。この第1押圧面15aは基本的に不動であり、第2揺動部材14がチューブ7の配設方向における上流側及び下流側を中心として揺動するように例えば基板15に支持されている。
【0033】
第2揺動部材14は、前記配設方向の下流側、好ましくは下流側のチューブ側端部(以下、下流側底端部と称することがある。)14bを中心にして回転可能になっており、チューブ7に向かって第2揺動部材14が回動すると、第2被押潰領域9の上流側を閉塞する第2局所閉塞状態(例えば図2(b)参照。)にチューブ7を押し潰し、一方、チューブ7から離間するように回動すると、第2局所閉塞状態を解除してチューブ7を復帰させる。また、第2揺動部材14は、前記配設方向の上流側、好ましくは上流側のチューブ側端部(以下、上流側底端部と称することがある。)14cを中心にして回転可能になっており、第2局所閉塞状態にある第2揺動部材14がチューブ7に向かって回動すると、第2局所閉塞状態から第2被押潰領域12の全体を押し潰す第2全閉塞状態(例えば図2(d)参照。)にチューブ7を押し潰し、一方、チューブ7から離間するように回動すると第2全閉塞状態を解除してチューブ7を第2局所閉塞状態に復帰させる。このように下流側及び上流側それぞれを中心として揺動する第2押圧部13すなわち第2揺動部材14は、第1押圧部11と同様に、その下流側を中心に回動して第2局所閉塞状態になり、次いで、その上流側を中心に回動して第2全閉塞状態に移行するように揺動し、好ましくは第2押圧面15aに対して閉塞状態を解除しつつ離間してチューブ7を復帰可能に移動するように支持されているのが好ましい。第2押圧部13を支持する方法(図1に図示しない。)は第1押圧部11と基本的同様である。
【0034】
第1押圧部11及び第2押圧部13は、第1被押潰領域8の全体積V1が第2押圧部13の第2被押潰領域9の全体積V2よりも大きくなるように、好ましくは体積比(V1:V2)が3:1になるように、その寸法、例えば表面12a及び表面14aの寸法が設定されている。
【0035】
前記構成を有するチューブポンプ1における流体の吸入及び吐出機構を、図2を使用して更に詳細に説明する。チューブポンプ1は、第1押圧部11及び第2押圧部13が交互に揺動及び閉塞状態を解除しつつ移動することによって流体を吸入及び吐出する。このチューブポンプ1における基板15の基板面15aにチューブ7を図1及び図2に示されるように直線状に配設し、第1押圧部11及び第2押圧部13をチューブ7の外周面に表面12a及び表面14aが接触するように配置する。このようにして、図1及び図2(a)に示されるように、第1押圧部11及び第2押圧部13がいずれもチューブ7を押圧していない初期状態にチューブポンプ1を設定する。このときチューブ7内には送液される流体が充填されていていない空の状態でもよい。
【0036】
チューブポンプ1における流体の吸入及び吐出機構を、図2を参酌して、流体の吸入工程及び吐出工程を同時に行う吸入吐出工程から順に説明する。
【0037】
図2は、この発明に係るチューブポンプの一例のチューブポンプ1における流体の吸入及び吐出機構を説明する図であり、図2(a)はこのチューブポンプ1における初期状態を説明する概略側面図であり、図2(b)は第1押圧部11が第1全閉塞状態で第2押圧部13が第2局所閉塞状態にある配置を示す図であり、図2(c)は第1押圧部11が離間中で第2押圧部13が第2局所閉塞状態にある配置を示す図であり、図2(d)は第1押圧部11が第1局所閉塞状態に移行した状態にあり、第2押圧部13が第2全閉塞状態にある配置を示す図であり、図2(e)は第1押圧部11が第1全閉塞状態に移行中にあり第2押圧部13が復帰中にある配置を示す図であり、図2(f)は第1押圧部11が第1全閉塞状態に移行した状態にあり、第2押圧部13が初期状態に復帰した状態にある配置を示す図であり、図2(g)はこの一例のチューブポンプ1において第1押圧部11が第1全閉塞状態にあり、第2押圧部13が第2局所閉塞状態にあり、前記図2(b)と同じ配置を示す図である。
【0038】
チューブポンプ1において流体を吸入する工程は、図2(b)に示されるように、第1押圧部11が第1全閉塞状態で第2押圧部13が第2局所閉塞状態にある吸入開始状態から開始される。まず、吸入工程は、図2(b)及び図2(c)に示されるように、吸入開始状態における第1押圧部11の第1押圧片12が第1全閉塞状態を解除しつつ第1局部閉塞状態になることなく、すなわち、第1押圧片12の上流側底端部12c及び下流側底端部12bがチューブ7を閉塞しないように、基板面15aから離間する。このとき、第1押圧片12は、チューブ7の第1被押潰領域8を完全に初期状態に復帰させるまで離間せず、第1押圧片12の上流側底端部12cが図2(c)に示されるように途中まで離間し、第1押圧片12の下流側底端部12bがチューブ7の表面まで離間してもよく、又は、図示しないが、第1押圧片12がチューブ7の第1被押潰領域8を完全に復帰させる初期状態まで離間してもよい。いずれにしても、このように第1押圧片12が離間すると閉塞されていた第1被押潰領域8に流体が吸入される。このように第1押圧片12が基板面15aから離間した後に、チューブ7の表面まで離間した第1押圧片12の下流側底端部12bを中心に第1押圧片12が回動して第1押圧片12の上流側底端部12cが第1被押潰領域8を押し潰し、図2(d)に示されるように、第1押圧部11は第1局所閉塞状態になる。このようにしてチューブ7の外表面に接した状態に配置された第1揺動部材12が下流側底端部12bを中心に回動して第1局所閉塞状態に移行すると、第1押圧部11によって第1被押潰領域8にはその体積V1の半分に相当する体積分すなわち0.5V1分の流体が一度に吸入される。
【0039】
一方、第1押圧片12の離間及び回動中に第2押圧部13の第2押圧片14は作動せず、図2(b)及び図2(c)に示されるように第2局所閉塞状態にある。したがって、第1押圧片12が回動しても一時的に吸入された流体が第2押圧部13を通過して吐出されることはない。
【0040】
このようにして、第1被押潰領域8に0.5V1=1.5V2分の流体を吸入する吸入工程が終了する。
【0041】
この吸入工程と同時又は後に、好ましくは連続的に一定のペースで流体を吐出できる点で吸入工程と同時に第1吐出工程が実施される。この第1吐出工程は、図2(b)〜図2(d)に示されるように、第2押圧部13が上流側底端部14cで閉塞された第2局所閉塞状態を維持しつつ上流側底端部14cを中心に回動して第2全閉塞状態に移行することで、実施される。このように第2押圧片14が回動すると、第2被押潰領域9に吸入されている、第2被押潰領域9の体積V2の半分すなわち0.5V2=(1/6)V1の流体が第2押圧部13から吐出される。
【0042】
次いで、第1吐出工程の後に、すなわち、第2押圧部13の第2局所閉塞状態から第2全閉塞状態への移行に次いで、第1押圧部11が第1局所閉塞状態から第1全閉塞状態に移行する第2吐出工程が実施される。この第2吐出工程は、図2(d)〜図2(f)に示されるように、第1押圧片12が上流側底端部12cを中心に回動して第1押圧部11が第1局所閉塞状態から第1全閉塞状態に移行すると同時に、第2押圧片14が基板面15aから離間してチューブ7を押圧しない初期状態に復帰することで、実施される。このように第1押圧片12が回動すると共に第2押圧片14が初期状態に復帰すると、第1押圧片12の回動によって第1被押潰領域8に吸入されている、第1被押潰領域8の体積V1の半分に相当する体積の流体が第1押圧部11から下流方向に吐出されると同時に、第1押圧部11から吐出される流体の2/3すなわち0.5V1×(2/3)が初期状態に復帰した第2被押潰領域9に一時的に吸入され、第1押圧部11から吐出される流体の残りの1/3すなわち0.5V1×(1/3)=(1/6)V1の流体が第2被押潰領域9に収容されず、そのまま第2被押潰領域9を通過して吐出される。このとき、第1押圧部11は第1局所閉塞状態から第1全閉塞状態に移行するから、第1押圧片12の上流側底端部12cはチューブ7を常に閉塞しており、第1被押潰領域8から吐出される流体は逆流することなく下流方向に送液される。
【0043】
次いで、第2吐出工程の後に第3吐出工程が実施される。この第3吐出工程は、図2(f)〜図2(g)に示されるように、第2押圧片14が下流側底端部14bを中心に回動して第2押圧部13が第2局所閉塞状態に移行することで、実施される。このように第2押圧片14が回動すると、第2押圧片14の回動によって第2被押潰領域9に吸入されている、第2被押潰領域9の体積V2の半分すなわち0.5V2=(1/6)V1の流体を第2押圧部13から吐出すると共に、第2揺動部材14の上流側底端部14cでチューブ7を閉塞して第2局所閉塞状態に移行する。このとき、第1押圧部11は第1全閉塞状態を維持しており、第2被押潰領域9から吐出される流体は逆流することなく下流方向に送液される。なお、図2(g)は図2(b)と基本的に同じである。
【0044】
このようにして第3吐出工程が終了すると、チューブポンプ1における吸入工程及び吐出工程の1サイクルが終了する。引き続き流体を吐出する場合には、図2(c)〜図2(d)に示されるように、吸入工程及び吐出工程の2サイクル目が1サイクル目と同様にして、実施される。すなわち、2サイクル目を実施すると、1サイクル目における、第1押圧部11の第1局所閉塞状態から第1全閉塞状態への移行に次いで、正確には第2揺動部材14の回動を経て第2押圧部13が第2局所閉塞状態から第2全閉塞状態に移行する。
【0045】
このように、チューブポンプ1によれば、吸入工程、第1吐出工程、第2吐出工程及び第3吐出工程が連続して実施され、第1押圧部11及び第2押圧部13が局所閉塞状態から全閉塞状態に交互に移行して、(1/2)V1の体積分の流体が3回の吐出工程が実施されるうちに吸入され、(1/6)V1の体積分の流体が3回の吐出工程で連続して吐出される。このように、チューブポンプ1は、第1押圧部11及び第2押圧部13が所謂「二連ポンプ」のように交互に機能することによって、1つの押圧部を備えた所謂「一連ポンプ」に特有の大きな脈動を生じることなく連続的に一定のペースで流体を吐出できる。そして、チューブポンプ1は、第1押圧部11及び第2押圧部13が交互に機能するときに少なくとも他方は局所閉塞状態又は全閉塞状態にあるから、流体の逆流を防止できる。また、チューブポンプ1は、第1押圧部11及び第2押圧部13が前記したように小型の簡略な構造であるから、チューブポンプ1自体の構造が小さく配置スペースも低減できるにもかかわらず、チューブ7が損傷しにくく優れた耐久性を発揮する。さらに、チューブポンプ1はチューブ7を直線状に配設できるから、チューブ7を屈曲して配設するスペースを確保できなくても、チューブポンプ1を直線的な小スペースに装着できる。したがって、チューブポンプ1は小型であるにもかかわらず耐久性が高く流体を逆流させることなく連続的に吐出できる。
【0046】
この発明に係るチューブポンプの別の一例を、図面を参酌して、説明する。この発明に係るチューブポンプの別の一例であるチューブポンプ2を図3に示す。このポンプ2は、第1押圧部及び第2押圧部の双方に前記第2例の押圧部が採用されている。このチューブポンプ2は、チューブ7の押圧及び押圧解除を繰り返し行うことでチューブ7内の流体を吐出し、チューブ7内に流体を吸入するチューブポンプであって、第1押圧部21及び第2押圧部23を備えている。このチューブポンプ2は、図3(a)に示されるように、図示しない基板に屈曲した状態に配設されたチューブ7と第1押圧部21及び第2押圧部23とを備えている。チューブポンプ2の基板は、図3(a)に示されるように屈曲した状態にチューブ7を配設できる形態であれば板状であってもよく、特に制限されない。チューブ7は、第1押圧部21の上流側及び第2押圧部23の下流側が固定されていればよく、必要に応じて屈曲部7aが固定されてもよい。
【0047】
チューブ7は前記のとおりであり、チューブポンプ2において、チューブ7は、その一部が約180°に屈曲するように略U字状に基板に配設されており、屈曲部7aにおいて略並行に配設されたチューブ間の距離はチューブの外径、1回で吐出する流体の吐出量すなわち第1押圧部21及び第2押圧部23の寸法並びに可動範囲等に応じて適宜に設定される。
【0048】
チューブポンプ2において、第1押圧部21及び第2押圧部23はチューブ7の屈曲部7aに配置されている。そして、第1押圧部21及び第2押圧部23それぞれは、屈曲部7aの内側に配置され、屈曲部7aの外側に向かって前後進する押圧面25と、屈曲部7aの外側すなわち外部に配置され、チューブ7の下流方向端部を中心に揺動する揺動押圧片22及び24とを有している。
【0049】
このチューブポンプ2における第1押圧部21及び第2押圧部23は、それらの押圧面25が一体に形成された部材の互いに逆方向に面する平面として形成されている。すなわち、チューブポンプ2は、屈曲部7aの内側にチューブ7に向かって前進及び後進するように往復運動可能に配置され、チューブ7に対面する対向面25を有する往復運動部材20と、屈曲部7aの外側それぞれに対向面25と共にチューブ7を挟むように揺動可能に配置された揺動押圧片22及び24とを備えている。そして、この往復運動部材20における2つの対向面25が第1押圧面25a及び第2押圧面25bとして機能する。
【0050】
この往復運動部材20は、第1押圧部21を形成する基体20aとこの基体20a上に連設された先端部20bとからなる。基体20a及び先端部20bそれぞれは一方向に延在する棒状体、柱体、板体等であればよく、この例においてはいずれも柱体に形成されている。基体20aの先端部20bが形成されていない側の平面が第1押圧面25aとなり、先端部20bの基体20aに連設されていない側の平面が第2押圧面25bとなり、第1押圧面25aと第2押圧面25bとは略平行になっている。すなわち、この往復運動部材20は第1押圧面25aとして機能する平面を有する基体20aと第2押圧面20bとして機能する平面を有する先端部20bとを有している。往復運動部材20における第1押圧面25a及び第2押圧面25bは、第1押圧部21で挟まれた第1被押潰領域8の全体積V1が第2押圧部23で挟まれた第2被押潰領域9の全体積V2よりも大きくなるように、好ましくは体積比(V1:V2)が3:1になるように、その寸法が設定されている。
【0051】
第1押圧部21は、屈曲部7aの内部に配置された往復運動部材20の第1対向面25aと、屈曲部7aの外部にチューブ7を挟むように配置され、チューブ7の下流方向端部22bを中心に揺動又は回動する第1揺動押圧片22とで構成され、第1揺動押圧片22及び第1対向面25aで挟まれ、押し潰される第1被押潰領域8をチューブ7に形成する。この第1揺動押圧片22は、チューブ7の軸線方向に延在する棒状体、柱体、板体等であればよく、この例においては柱体をなしている。第1揺動押圧片22は、チューブ7に臨んでチューブ7を完全に押し潰すことのできる平坦な表面22aを有し、この例においてはこの表面22aがチューブ7の外表面に接触する(押圧はしていない。)ように、その下流方向端部22bが軸支固定され、上流方向端部22cがチューブ7側に付勢されるように、配置されている。第1揺動押圧片22は第1押圧面25aよりも長くなっており、第1押圧面25aにおけるチューブ7の軸線方向の上流側端部が第1揺動押圧片22の表面22aと共にチューブ7を閉塞して第1局所閉塞状態になる。このチューブポンプ2において、第1押圧面25aは屈曲部7aの外側すなわちチューブ7に向かって前後進すなわち往復運動し、第1揺動押圧片22は下流方向端部22bを中心として揺動するように、すなわち、1つの固定軸を中心にして回動するように、例えば図示しない基板に支持されている。
【0052】
第1押圧部21において、第1揺動押圧片22が下流方向端部22bを中心として内側に回動し、また第1対向面25aがチューブ7側に前進すると、第1被押潰領域8の上流側を閉塞する第1局所閉塞状態(例えば図3(d)参照。)にチューブ7を押し潰し、一方、第1対向面25aがさらに同方向に前進し、また第1揺動押圧片22が下流方向端部22bを中心に逆方向に回動すると、第1被押潰領域8の全体を閉塞する第1全閉塞状態(例えば図3(b)参照。)にチューブ7を押し潰す。このようにして第1押圧部21は第1局所閉塞状態から第1全閉塞状態に移行するようになっている。第1押圧部21をこのように基板等に支持する方法(図3に図示しない。)は特に限定されず、適宜の手段を採用できる。
【0053】
第2押圧部23は、第1押圧部21よりもチューブ7の配設方向の下流側に配置されており、その寸法が異なること以外は第1押圧部21と基本的に同様に構成されている。すなわち、第2押圧部23は、屈曲部7aの内部に配置された往復運動部材20の第2対向面25bと、屈曲部7aの外部にチューブ7を挟むように配置され、チューブ7の下流方向端部24bを中心に揺動又は回動する第2揺動押圧片24とで構成され、第2揺動押圧片24及び第2対向面25bで挟まれ、押し潰される第2被押潰領域9をチューブ7に形成する。この第2揺動押圧片24は、第1揺動押圧片22と同様に、チューブ7に臨んでチューブ7を完全に押し潰すことのできる平坦な表面24aを有し、この例においてはこの表面24aがチューブ7の外表面に接触する(押圧はしていない。)ように、その下流方向端部24bが軸支固定され、上流方向端部24cがチューブ7側に付勢されるように、配置されている。第2揺動押圧片24は第1押圧面25bよりも長くなっており、第2押圧面25bにおけるチューブ7の軸線方向の上流側端部が第2揺動押圧片24の表面24aと共にチューブ7を閉塞して第2局所閉塞状態になる。このチューブポンプ2において、第2押圧面25bは屈曲部7aの外側すなわちチューブ7に向かって前後進すなわち往復運動し、第2揺動押圧片24は下流方向端部24bを中心として揺動するように、すなわち、1つの固定軸を中心にして回動するように、例えば図示しない基板に支持されている。
【0054】
第2押圧部23において、第2揺動押圧片24が下流方向端部24bを中心として内側に回動し、また第2対向面25bがチューブ7側に前進すると、第2被押潰領域9の上流側を閉塞する第2局所閉塞状態(例えば図3(b)参照。)にチューブ7を押し潰し、一方、第2対向面25bが第2揺動押圧片24に向かって前進し、また第2揺動押圧片24が下流方向端部24bを中心に逆方向に回動すると、第2被押潰領域9の全体を閉塞する第2全閉塞状態(例えば図3(d)参照。)にチューブ7を押し潰す。このようにして第2押圧部23は第2局所閉塞状態から第2全閉塞状態に移行するようになっている。第2押圧部23をこのように基板等に支持する方法(図3に図示しない。)は第1押圧部11と基本的同様である。
【0055】
前記構成を有するチューブポンプ2における流体の吸入及び吐出機構を、流体の吸入工程及び吐出工程を同時に行う吸入吐出工程から順に、図3を参酌して、説明する。チューブポンプ2における流体の吸入及び吐出機構はチューブポンプ1における流体の吸入及び吐出機構と基本的に同様である。すなわち、チューブポンプ2は、第1押圧部21及び第2押圧部23が交互に揺動及び閉塞状態を解除しつつ移動することによって流体を吸入及び吐出する。
【0056】
図3(a)に示されるように、このチューブポンプ2における基板にチューブ7を屈曲状態に配設し、第1押圧部21及び第2押圧部23それぞれを屈曲部7aの内部及び外部に配置して、チューブポンプ2を初期状態に設定する。このときチューブ7内には流体が充填されていてもいなくてもよい。
【0057】
図3は、この発明に係るチューブポンプのまた別の一例のチューブポンプにおける流体の吸入及び吐出機構を説明する図であり、図3(a)はこのチューブポンプにおける初期状態を説明する概略側面図であり、図3(b)は第1押圧部21が第1全閉塞状態で第2押圧部23が第2局所閉塞状態にある配置を示す図であり、図3(c)は第1押圧部21が復帰中で第2押圧部23が第2局所閉塞状態にある配置を示す図であり、図3(d)は第1押圧部21が第1局所閉塞状態に移行した状態で第2押圧部23が第2全閉塞状態にある配置を示す図であり、図3(e)は第1押圧部21が第1全閉塞状態に移行中で第2押圧部23が復帰中にある配置を示す図であり、図3(f)は第1押圧部21が第1全閉塞状態に移行した状態で第2押圧部23が初期状態に復帰した状態にある配置を示す図である。
【0058】
チューブポンプ2において流体を吸入する工程は、チューブポンプ1の吸入工程と基本的に同様であり、図3(b)に示されるように、第1押圧部21が第1全閉塞状態で第2押圧部33が第2局所閉塞状態にある吸入開始状態から開始される。吸入工程は、図3(b)及び図3(c)に示されるように、往復運動部材20が第1揺動押圧片22に対して後退することによって、第1押圧面25aが第1揺動押圧片22から離間して第1被押潰領域8に流体が吸入される。次いで、第1揺動押圧片22が下流側端部22bを中心にチューブ7に向かって回動して第1揺動押圧片22が第1被押潰領域8を押し潰して、図3(d)に示されるように、第1押圧部21が第1局所閉塞状態に移行する。この吸入工程において、第2押圧部23は図3(b)及び図3(c)に示されるように第2局所閉塞状態にあるから流体は吐出されることはない。このようにして第1被押潰領域8に1.5V2分の流体を吸入する吸入工程が終了する。
【0059】
この吸入工程と同時又は後に、好ましくは連続的に一定のペースで流体を吐出できる点で吸入工程と同時に第1吐出工程が実施される。この第1吐出工程は、図3(b)〜図3(d)に示されるように、往復運動部材20すなわち第2押圧面25bが第2揺動押圧片24に向かって前進すると共に第2揺動押圧片24が下流側端部24bを中心に外側に回動し、第2押圧部23が第2局所閉塞状態から第2全閉塞状態に移行することで、実施される。この第1吐出工程において、第2被押潰領域9に吸入されている(1/6)V1の流体が第2押圧部13から吐出される。
【0060】
次いで、第1吐出工程の後に、すなわち第2押圧部23の第2局所閉塞状態から第2全閉塞状態への移行に次いで、第1押圧部21が第1局所閉塞状態から第1全閉塞状態に移行する第2吐出工程が実施される。この第2吐出工程は、図3(d)〜図3(f)に示されるように、往復運動部材20すなわち第1押圧面25aが第1揺動押圧片22に向かって前進すると共に第1揺動押圧片22が下流側端部22bを中心に外側に回動して第1押圧部21が第1局所閉塞状態から第1全閉塞状態に移行すると同時に、往復運動部材20すなわち第2押圧面25bが第2揺動押圧片24から後退して第2押圧部23が初期状態に復帰することで、実施される。この第2吐出工程において、第2被押潰領域9に一時的に吸入される流体及び吐出される流体の体積及び流体が逆流しないことはチューブポンプ1と同様である。
【0061】
次いで、第2吐出工程の後に第3吐出工程が実施される。この第3吐出工程は、図3(f)〜図3(b)に示されるように、第2揺動押圧片24が内側に回動して第2押圧部23が第2局所閉塞状態に移行することで、実施される。この第3吐出工程において逆流することなく吐出される流体の方向及び体積はチューブポンプ1と同様である。
【0062】
このようにして第3吐出工程が終了すると、チューブポンプ2における吸入工程及び吐出工程の1サイクルが終了する。引き続き流体を吐出する場合には、図3(c)〜図3(d)に示されるように吸入工程及び吐出工程の2サイクル目が1サイクル目と同様にして実施される。このように2サイクル目を実施すると、1サイクル目における、第1押圧部21の第1局所閉塞状態から第1全閉塞状態への移行に次いで、正確には第2揺動押圧片24の回動を経て第2押圧部23が第2局所閉塞状態から第2全閉塞状態に移行する。
【0063】
このように、チューブポンプ2によれば、チューブポンプ1と同様に第1押圧部21及び第2押圧部23が局所閉塞状態から全閉塞状態に交互に移行して、(1/2)V1の体積分の流体が3回の吐出工程が実施されるうちに吸入され、(1/6)V1の体積分の流体が3回の吐出工程で連続して吐出される。このチューブポンプ2はチューブポンプ1と同様に小型であるにもかかわらず耐久性が高く流体を連続的に吐出できる。また、チューブポンプ2はチューブ7を屈曲状態に配設できるから、直線的なスペースを確保できなくてもチューブポンプ2を屈曲して小スペースに装着できる。
【0064】
この発明に係るチューブポンプのまた別の一例を、図面を参酌して、説明する。この発明に係るチューブポンプのさらにまた別の一例であるチューブポンプ3を図4に示す。このポンプ3は、第1押圧部及び第2押圧部の双方に前記第3例の押圧部が採用されている。このチューブポンプ3は、弾力性を有するチューブ7の押圧及び押圧解除を繰り返し行うことでチューブ7内の流体を吐出し、チューブ7内に流体を吸入するチューブポンプであって、第1押圧部31及び第2押圧部33を備えている。このチューブポンプ3は、図4(a)に示されるように、屈曲した状態に配設されたチューブ7と、第1押圧部31及び第2押圧部33とを備えている。チューブポンプ3は、図示しない基板に第1押圧部31及び第2押圧部33が装着されている。この基板は、第1押圧部31及び第2押圧部33を装着できる形態であれば板状であってもよく特に制限されない。チューブ7は、第1押圧部31の上流側及び第2押圧部33の下流側が固定されていればよく、必要に応じてチューブ7の屈曲部7aを固定されてもよい。
【0065】
チューブ7は前記のとおりであり、チューブポンプ3において、チューブ7は、その一部が約180°に屈曲するように略U字状に後述する中空可動部材30内に配設されており、屈曲部7aにおいて略並行に配設されたチューブ間の距離はチューブの外径、1回で吐出する流体の吐出量すなわち第1押圧部31及び第2押圧部33の寸法並びに可動範囲等に応じて適宜に設定される。
【0066】
チューブポンプ3において、第1押圧部31及び第2押圧部33はチューブ7の屈曲部7aを囲繞するように配置されている。そして、第1押圧部31及び第2押圧部33それぞれは、屈曲部7aの外側すなわち外部に配置され、屈曲部7aの外側に向かって前後進する押圧面35a及び36aと、屈曲部7aの内側すなわち内部に配置され、チューブ7の下流方向端部を中心に揺動する揺動押圧片32及び34とを有している。
【0067】
このチューブポンプ3における第1押圧部31及び第2押圧部33は、対向する第1内面35a及び第2内面36aに沿ってチューブ7を屈曲状態に配設すると共に往復運動可能な中空可動部材30と、中空可動部材30の内部であって屈曲部7aの内部に、第1内面35a及び第2内面36aそれぞれとチューブ7を挟むように揺動可能に配置された揺動押圧片32及び34とを備えている。そして、この中空可動部材30における2つの第1内面35a及び第2内面36aそれぞれが第1押圧面35a及び第2押圧面35bとして機能する。
【0068】
この中空可動部材30は、互いに略平行に延在する1組のチューブ配設部35及び36と、これらを端部で連結する連結部37とからなる、断面U字状の筐体である。第1チューブ配設部35及び第2チューブ配設部36それぞれは、一方向に延在する棒状体、柱体、板体等であればよく、この例においてはいずれも柱体に形成されている。第1チューブ配設部35の内面がチューブ7を配設すると共にチューブを押圧する第1押圧面35aであり、第2チューブ配設部36の内面がチューブ7を配設すると共にチューブを押圧する第2押圧面36aであり、第1押圧面35aと第2押圧面36aとは略平行になっている。この中空可動部材30は、第1内面35a及び第2内面36aの垂直方向に向かって前後進すなわち往復運動可能に基板等に配置されている。中空可動部材30における第1押圧面35a及び第2押圧面36aは、第1押圧部31で挟まれた第1被押潰領域8の全体積V1が第2押圧部33で挟まれた第2被押潰領域9の全体積V2よりも大きくなるように、好ましくは体積比(V1:V2)が3:1になるように、その寸法が設定されている。
【0069】
第1押圧部31は、屈曲部7aの外部に配置された第1チューブ配設部35の第1内面35aと、屈曲部7aの内部に第1内面35aと共にチューブ7を挟むように配置された第1揺動押圧片32とで構成され、第1揺動押圧片32及び第1内面35aで挟まれ、押し潰される第1被押潰領域8をチューブ7に形成する。この第1揺動押圧片32は、チューブ7の軸線方向に延在する棒状体、柱体、板体等であればよく、この例においては柱体をなしている。第1揺動押圧片32は、チューブ7に臨んでチューブ7を完全に押し潰すことのできる平坦な表面32aを有している。第1揺動押圧片32は、チューブ7の上流方向端部32c近傍に第1揺動制御棒38aが接続され、チューブ7の下流方向端部32bを中心に揺動又は回動可能に下流方向端部32bが軸支されており、さらに、チューブ7の配設位置と逆方向の背面に後述する第2揺動押圧片34との間に付勢手段具体的にはスプリングが介装されている。第1揺動制御棒38aは第1チューブ配設部35を貫通し、チューブ7の配設を妨害しない位置にその軸線方向に前後進可能に設けられている。このように構成された第1揺動押圧片32は、その下流方向端部32bが軸支固定され、上流方向端部32cが前記付勢手段と第1揺動制御棒38aとが協働して、その表面32aがチューブ7の外表面に接触する(押圧はしていない。)ように、配置されている。第1揺動押圧片32は、前記付勢手段及び第1揺動制御棒38aによって、その上流方向端部32cが第1押圧面35aと共にチューブ7を閉塞して第1局所閉塞状態になる。このチューブポンプ3において、第1押圧面35aは中空可動部材30の往復運動可能に伴って屈曲部7aの内側すなわちチューブ7に向かって前後進すなわち往復運動し、第1揺動押圧片32はチューブ7の配設方向の下流方向端部32bを中心として揺動するように、すなわち、1つの固定軸を中心にして回動するように、なっている。
【0070】
第1押圧部31において、第1揺動押圧片32が下流方向端部32bを中心として外側に回動し、また第1押圧面35aも外側に向かって前進すると、第1被押潰領域8の上流側を閉塞する第1局所閉塞状態(例えば図4(d)参照。)にチューブ7を押し潰し、一方、第1押圧面35aが逆方向に前進し、また第1揺動押圧片32が下流方向端部32bを中心に逆方向に回動すると、第1被押潰領域8の全体を閉塞する第1全閉塞状態(例えば図3(b)参照。)にチューブ7を押し潰す。このようにして第1押圧部31は第1局所閉塞状態から第1全閉塞状態に移行するようになっている。第1押圧部31をこのように基板等に支持する方法(図3に図示しない。)は特に限定されず、適宜の手段を採用できる。
【0071】
第2押圧部33は、第1押圧部31よりもチューブ7の配設方向の下流側に配置されており、その寸法が異なること以外は第1押圧部31と基本的に同様に構成されている。すなわち、第2押圧部33は、屈曲部7aの外部に配置された第2チューブ配設部36の第2内面36aと、屈曲部7aの内部に第2内面36aと共にチューブ7を挟むように配置された第2揺動押圧片34とで構成され、第2揺動押圧片34及び第2内面36aで挟まれ、押し潰される第2被押潰領域9をチューブ7に形成する。この第2揺動押圧片34は、柱体であり、チューブ7に臨んでチューブ7を完全に押し潰すことのできる平坦な表面34aを有している。第1揺動押圧片32と同様に第2揺動制御棒38bが接続された第2揺動押圧片34は、その下流方向端部34bが軸支固定され、上流方向端部34cが前記付勢手段と第2揺動制御棒38bとが協働して、その表面34aがチューブ7の外表面に接触する(押圧はしていない。)ように、配置されている。第2揺動押圧片34は、その上流方向端部34cが第2押圧面36aと共にチューブ7を閉塞して第2局所閉塞状態になる。このチューブポンプ4において、第2押圧面36aは中空可動部材30の往復運動可能に伴って屈曲部7aの内側に向かって前後進すなわち往復運動し、第2揺動押圧片34はチューブ7の配設方向の下流方向端部34bを中心として揺動するように、すなわち、1つの固定軸を中心にして回動するように、なっている。
【0072】
第2押圧部33において、第2揺動押圧片34が下流方向端部34cを中心として外側に回動し、また第2押圧面36aも外側に向かって前進すると、第2被押潰領域9の上流側を閉塞する第1局所閉塞状態(例えば図4(b)参照。)にチューブ7を押し潰し、一方、第2押圧面36aが逆方向に前進し、また第2揺動押圧片34が下流方向端部34cを中心に逆方向に回動すると、第2被押潰領域9の全体を閉塞する第2全閉塞状態(例えば図3(d)参照。)にチューブ7を押し潰す。このようにして第2押圧部33は第2局所閉塞状態から第2全閉塞状態に移行するようになっている。第2押圧部23をこのように基板等に支持する方法(図4に図示しない。)は第1押圧部31と基本的同様である。
【0073】
前記構成を有するチューブポンプ3における流体の吸入及び吐出機構を、流体の吸入工程及び吐出工程を同時に行う吸入吐出工程から順に、図4を参酌して、説明する。チューブポンプ3における流体の吸入及び吐出機構はチューブポンプ1における流体の吸入及び吐出機構と基本的に同様である。すなわち、チューブポンプ3は、第1押圧部31及び第2押圧部33が交互に揺動及び閉塞状態を解除しつつ移動することによって流体を吸入及び吐出する。
【0074】
図4(a)に示されるように、このチューブポンプ3における中空可能部材30内にチューブ7を屈曲状態に配設すると、チューブポンプ3を初期状態に設定できる。このときチューブ7内には流体が充填されていてもいなくてもよい。
【0075】
図4は、この発明に係るチューブポンプのまた別の一例のチューブポンプにおける流体の吸入及び吐出機構を説明する図であり、図4(a)はこのチューブポンプにおける初期状態を説明する概略側面図であり、図4(b)は第1押圧部31が第1全閉塞状態で第2押圧部33が第2局所閉塞状態にある配置を示す図であり、図4(c)は第1押圧部31が復帰中で第2押圧部33が第2局所閉塞状態にある配置を示す図であり、図4(d)は第1押圧部31が第1局所閉塞状態に移行した状態で第2押圧部33が第2全閉塞状態にある配置を示す図であり、図4(e)は第1押圧部31が第1全閉塞状態に移行中で第2押圧部33が復帰中にある配置を示す図であり、図4(f)は第1押圧部31が第1全閉塞状態に移行した状態で第2押圧部33が初期状態に復帰した状態にある配置を示す図である。
【0076】
チューブポンプ3において流体を吸入する工程は、チューブポンプ1の吸入工程と基本的に同様であり、図4(b)に示されるように、第1押圧部31が第1全閉塞状態で第2押圧部33が第2局所閉塞状態にある吸入開始状態から開始される。吸入工程は、図4(b)及び図4(c)に示されるように、中空可動部材30が第1揺動押圧片32に対して後退することによって、第1押圧面35aが第1揺動押圧片32から離間して第1被押潰領域8に流体が吸入される。次いで、前記付勢手段及び第1揺動制御棒38aの協働作用によって第1揺動押圧片32が下流側端部32bを中心にチューブ7に向かって回動して第1揺動押圧片32が第1被押潰領域8を押し潰し、図4(d)に示されるように、第1押圧部31が第1局所閉塞状態に移行する。この吸入工程において、第2押圧部33は図4(b)及び図4(c)に示されるように第2局所閉塞状態にあるから流体は吐出されることはない。このようにして第1被押潰領域8に1.5V2分の流体を吸入する吸入工程が終了する。
【0077】
この吸入工程と同時又は後に、好ましくは連続的に一定のペースで流体を吐出できる点で吸入工程と同時に第1吐出工程が実施される。この第1吐出工程は、図4(b)〜図4(d)に示されるように、中空可動部材30すなわち第2押圧面36aが第2揺動押圧片34に向かって前進すると共に第2揺動押圧片34が前記付勢手段及び第2揺動制御棒38bの協働作用によって内側に回動し、第2押圧部33が第2局所閉塞状態から第2全閉塞状態に移行することで、実施される。この第1吐出工程において、第2被押潰領域9に吸入されている(1/6)V1の流体が第2押圧部33から吐出される。
【0078】
次いで、第1吐出工程の後に、すなわち第2押圧部33の第2局所閉塞状態から第2全閉塞状態への移行に次いで、第1押圧部31が第1局所閉塞状態から第1全閉塞状態に移行する第2吐出工程が実施される。この第2吐出工程は、図4(d)〜図4(f)に示されるように、中空可動部材30すなわち第1押圧面35aが第1揺動押圧片32に向かって前進すると共に第1揺動押圧片32が前記付勢手段及び第1揺動制御棒38aの協働作用によって内側に回動して第1押圧部31が第1局所閉塞状態から第1全閉塞状態に移行すると同時に、中空可動部材30すなわち第2押圧面36aが前記付勢手段及び第2揺動制御棒38bの協働作用によって第2揺動押圧片34から後退して第2押圧部33が初期状態に復帰することで、実施される。この第2吐出工程において、第2被押潰領域9に一時的に吸入される流体及び吐出される流体の体積及び流体が逆流しないことはチューブポンプ1と同様である。
【0079】
次いで、第2吐出工程の後に第3吐出工程が実施される。この第3吐出工程は、図4(f)〜図4(b)に示されるように、第2揺動押圧片34が前記付勢手段及び第2揺動制御棒38bの協働作用によって外側に回動して第2押圧部33が第2局所閉塞状態に移行することで、実施される。この第3吐出工程において逆流することなく吐出される流体の方向及び体積はチューブポンプ1と同様である。
【0080】
このようにして第3吐出工程が終了すると、チューブポンプ3における吸入工程及び吐出工程の1サイクルが終了する。引き続き流体を吐出する場合には、図4(c)〜図4(d)に示されるように吸入工程及び吐出工程の2サイクル目が1サイクル目と同様にして実施される。このように2サイクル目を実施すると、1サイクル目における、第1押圧部31の第1局所閉塞状態から第1全閉塞状態への移行に次いで、正確には第2揺動押圧片34の回動を経て第2押圧部33が第2局所閉塞状態から第2全閉塞状態に移行する。
【0081】
このように、チューブポンプ3によれば、チューブポンプ1と同様に第1押圧部31及び第2押圧部33が局所閉塞状態から全閉塞状態に交互に移行して、(1/2)V1の体積分の流体が3回の吐出工程が実施されるうちに吸入され、(1/6)V1の体積分の流体が3回の吐出工程で連続して吐出される。このチューブポンプ3はチューブポンプ1と同様に小型であるにもかかわらず耐久性が高く流体を連続的に吐出できる。また、チューブポンプ3はチューブポンプ2と同様に小スペースに装着できる。
【0082】
この発明に係るチューブポンプのさらにまた別の一例を、図面を参酌して、説明する。この発明に係るチューブポンプのまた別の一例であるチューブポンプ4を図5に示す。このポンプ4は、第1押圧部及び第2押圧部の双方に前記第4例の押圧部が採用されている。このチューブポンプ4は、チューブ7の押圧及び押圧解除を繰り返し行うことでチューブ7内の流体を吐出し、チューブ7内に流体を吸入するチューブポンプであって、第1押圧部41及び第2押圧部43を備えている。このチューブポンプ4は、第1押圧部41の第1押圧面45a及び第2押圧部43の第2押圧面46aが基板に不動に固定され、第1押圧部41の第1揺変動押圧片42及び第2押圧部43の第2揺変動押圧片44が揺動可能でかつ前後進可能になっていること以外はチューブポンプ3と基本的に同様である。図5はこの発明に係るチューブポンプのさらにまた別の一例を説明する図であるがチューブが図示されていない。
【0083】
すなわち、チューブポンプ4は、屈曲した状態に配設されるチューブと、第1押圧部41及び第2押圧部43と、第1押圧部41及び第2押圧部43を搭載する移動基板49とを備えている。チューブポンプ4は、図示しない基板に、第1押圧部41及び第2押圧部43が後述する移動基板49を介して、装着されている。基板は特に制限されず板状であってもよく、移動基板49は後述するように、第1押圧部41及び第2押圧部43を搭載又は装着できる形態であれば板状であってもよく特に制限されない。チューブは、第1押圧部41の上流側及び第2押圧部43の下流側が固定されていればよく、必要に応じてチューブの屈曲部が固定されてもよい。
【0084】
チューブは前記のとおりであり、チューブポンプ4において、チューブは、その一部が約180°に屈曲するように略U字状に後述する中空不動部材40内に配設されており、屈曲部におけるチューブ間の距離はチューブポンプ3と同様に適宜に設定されている。
【0085】
チューブポンプ4において、移動基板49は、十字形に形成され、前記基板と後述する中空不動部材40との間に介装されている。この移動基板49は第1押圧面45a及び第2押圧部43の垂直方向に前後進可能に往復運動するように配置されている。
【0086】
チューブポンプ4において、第1押圧部41及び第2押圧部43はチューブ7の屈曲部を囲繞するように配置されている。そして、第1押圧部41及び第2押圧部43それぞれは、屈曲部の外側すなわち外部に不動となるように配置された押圧面45a及び46aと、屈曲部の内側すなわち内部に配置され、押圧面45a及び46aの一方に向かって前後進する下流方向端部42b及び44bを中心に揺動する揺変動押圧片42及び44とを有している。
【0087】
このチューブポンプ4における第1押圧部41及び第2押圧部43は、対向する第1内面45a及び第2内面46aに沿ってチューブを屈曲状態に配設すると共に移動不能に固定された中空不動部材40と、中空不動部材40の内部であって屈曲部の内部に、第1内面45a及び第2内面46aそれぞれとチューブ7を挟むように揺動可能かつ前後進可能に配置された揺変動押圧片42及び44とを備えている。そして、この中空不動部材40における2つの第1内面45a及び第2内面46aそれぞれが第1押圧面45a及び第2押圧面45bとして機能する。
【0088】
この中空不動部材40は、互いに略平行に延在する1組のチューブ配設部45及び46と、これらを両端部で連結する連結部47とからなる、枠状の筐体である。第1チューブ配設部45及び第2チューブ配設部46それぞれは、一方向に延在する棒状体、柱体、板体等であればよく、この例においてはいずれも柱体に形成されている。第1チューブ配設部45の内面がチューブを配設すると共にチューブを押圧する第1押圧面45aであり、第2チューブ配設部46の内面がチューブを配設すると共にチューブを押圧する第2押圧面46aであり、第1押圧面45aと第2押圧面46aとは略平行になっている。この中空不動部材40は基板等に設置され不動になっている。中空不動部材40における第1押圧面45a及び第2押圧面46aは、第1押圧部41で挟まれた第1被押潰領域8の全体積V1が第2押圧部43で挟まれた第2被押潰領域9の全体積V2よりも大きくなるように、好ましくは体積比(V1:V2)が3:1になるように、その寸法が設定されている。
【0089】
第1押圧部41は、移動基板49に搭載されていること以外はチューブポンプ3の第1押圧部31と基本的に同様に形成されている。すなわち、第1押圧部41は、屈曲部の外部に配置された第1チューブ配設部45の第1内面45aと、屈曲部の内部に第1内面45aと共にチューブ7を挟むように移動基板49に搭載された第1揺変動押圧片42とで構成され、第1被押潰領域8をチューブに形成する。第1揺変動押圧片42は平坦な表面42aを有する柱体をなしている。第1揺変動押圧片42は、チューブの上流方向端部42c近傍に第1揺動制御棒48aが接続され、チューブの下流方向端部42bを中心に揺動又は回動可能に下流方向端部42bが移動基板49に軸支されており、さらに第2揺変動押圧片44との間に付勢手段が介装されている。このように構成された第1揺動押圧片42は、前記付勢手段及び第1揺動制御棒38aによって下流方向端部42bを中心として揺動すると共に、移動基板49の往復運動可能に伴って屈曲部の内側すなわちチューブに向かって前後進する。そして、第1揺動押圧片42は、上流方向端部42cが第1押圧面45aと共にチューブを閉塞して第1局所閉塞状態になる。
【0090】
第1押圧部41において、第1揺変動押圧片42が下流方向端部42bを中心として外側に回動すると第1被押潰領域8の上流側を閉塞する第1局所閉塞状態(例えば、図4(d)参照。)にチューブを押し潰し、一方、移動基板49が第1押圧面45a側に前進すると第1被押潰領域8の全体を閉塞する第1全閉塞状態(例えば、図4(b)参照。)にチューブを押し潰す。このようにして第1押圧部41は第1局所閉塞状態から第1全閉塞状態に移行するようになっている。
【0091】
第2押圧部43は、第1押圧部51よりもチューブの配設方向の下流側に配置されており、その寸法が異なること以外は第1押圧部51と基本的に同様に構成されている。すなわち、第2押圧部53は、屈曲部の外部に配置された第2チューブ配設部46の第1内面46aと、屈曲部の内部に第2内面46aと共にチューブを挟むように移動基板49に搭載された第2揺変動押圧片44とで構成され、第2被押潰領域9をチューブに形成する。第2揺変動押圧片44は平坦な表面44aを有する柱体をなしている。第2揺変動押圧片44は、チューブの上流方向端部44c近傍に第2揺動制御棒48bが接続され、チューブの下流方向端部44bを中心に揺動又は回動可能に下流方向端部44bが移動基板49に軸支されている。このように構成された第2揺動押圧片44は、前記付勢手段及び第2揺動制御棒38bによって下流方向端部44bを中心として揺動すると共に、移動基板49の往復運動可能に伴って屈曲部の内側すなわちチューブに向かって前後進する。そして、第2揺動押圧片44は、上流方向端部44cが第2押圧面46aと共にチューブを閉塞して第2局所閉塞状態になる。
【0092】
第2押圧部43において、第2揺変動押圧片44が下流方向端部44bを中心として外側に回動すると第2被押潰領域9の上流側を閉塞する第2局所閉塞状態(例えば、図4(b)参照。)にチューブを押し潰し、一方、移動基板49が第2押圧面46a側に前進すると第2被押潰領域9の全体を閉塞する第2全閉塞状態(例えば、図4(d)参照。)にチューブを押し潰す。このようにして第2押圧部44は第2局所閉塞状態から第2全閉塞状態に移行するようになっている。
【0093】
前記構成を有するチューブポンプ4における流体の吸入及び吐出機構は、チューブポンプ3の第1押圧面35a及び第2押圧面36aに代えて第1揺変動押圧片42及び第2揺変動押圧片44が前後進すること以外は基本的に同様であり、その吸入工程及び吐出工程は図4(a)〜(f)と同様である。したがって、チューブポンプ4における流体の吸入及び吐出機構の説明は省略する。なお、このチューブポンプ4においては、第1押圧面45a及び第2押圧面46aに対する第1揺変動押圧片42及び第2揺変動押圧片44の相対位置が不変すなわち移動基板49が不動で第1揺変動押圧片42及び第2揺変動押圧片44が外側に回動すると第1局所閉塞状態及び第2局所閉塞状態になり、これらの第1局所閉塞状態及び第2局所閉塞状態から第1揺変動押圧片42及び第2揺変動押圧片44が回動することなく移動基板49が第1押圧面45a及び第2押圧面46aに向かって前進すると第1全閉塞状態及び第2全閉塞状態に移行するので、図4(a)〜(f)において第1押圧面45a及び第2押圧面46aの前後進が第1揺変動押圧片42及び第2揺変動押圧片44の前後進に相当する。
【0094】
このチューブポンプ4によれば、チューブポンプ1と同様に第1押圧部41及び第2押圧部43が局所閉塞状態から全閉塞状態に交互に移行して、(1/2)V1の体積分の流体が3回の吐出工程が実施されるうちに吸入され、(1/6)V1の体積分の流体が3回の吐出工程で連続して吐出される。このチューブポンプ4はチューブポンプ1と同様に小型であるにもかかわらず耐久性が高く流体を連続的に吐出できる。また、チューブポンプ4はチューブポンプ2と同様に小スペースに装着できる。
【0095】
この発明に係るチューブポンプは、前記した実施例に限定されることはなく、本願発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。例えば、前記チューブポンプ1において基板面15a上にチューブ7を直線状に配設しているが、この発明に係るチューブポンプにおいて一部が0°超180°以下に屈曲するようにチューブを配設することもできる。また、前記チューブポンプ2〜4はいずれも一部が約180°に屈曲するようにチューブ7を略U字状に配設しているが、往復運動部材20、中空可動部材30及び中空不動部材40の形状を変更することにより、又は、これらの基体20a及び先端部20b、第1チューブ配設部35及び第2チューブ配設部36並びに第1チューブ配設部45及び第2チューブ配設部46をそれぞれ別体とすることにより、直線状又は一部が0〜180°に屈曲するようにチューブを配設することもできる。
【0096】
前記チューブポンプ3は第1チューブ配設部35及び第2チューブ配設部36を連結する連結部37を有する断面U字状の筐体である中空可動部材30を備え、前記チューブポンプ40は第1チューブ配設部45及び第2チューブ配設部46を連結する連結部47を有する枠状の筐体である中空不動部材40を備えているが、この発明に係るチューブポンプは、連結部のない略並行な壁状体からなる中空可動部材又は中空不動部材を備えていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
この発明に係るチューブポンプは、各種の用途に利用でき、例えば、医療用送液ポンプ、血液移送用ポンプ、及び分析用薬液移送用ポンプ等が挙げられる。これら用途の中でも、特に流体を一定のペースで吐出する必要のある用途、例えば医療用送液ポンプ、より具体的には、血糖値等の生体成分を測定する生体成分測定装置、人工膵臓装置、人工透析装置等の送液ポンプとして好適に利用される。この発明に係るチューブポンプを医療用送液ポンプに利用する場合には、その一端が例えば輸液貯蔵容器等に接続され、その他端が輸液対象者に設けられた輸液注入部材例えばカテーテル(図示しない。)に直接又は他の接続部材例えばジョイント、他のチューブ等を介して接続されたチューブ7の前記一端と前記他端の間を基板に装着固定することによって、前記輸液貯蔵容器に貯蔵されている輸液の移送に利用できる。
【符号の説明】
【0098】
1、2、3、4 チューブポンプ
7 チューブ
7a 屈曲部
8 第1被押潰領域
9 第2被押潰領域
11、21、31、41 第1押圧部
12 第1押圧片(第1揺動部材)
12a、22a、32a、42a 表面
12b 下流側底端部
12c 上流側底端部
13、23、33、43 第2押圧部
14 第2押圧片(第2揺動部材)
14a、24a、34a、44a 表面
14b 下流側底端部
14c 上流側底端部
15 基板
15a 基板面(第1押圧面、第2押圧面)
15b 挟持片
20 往復運動部材
20a 基体
20b 先端部
22、32 第1揺動押圧片
22b、32b、42b 下流側端部
22c、32c、42c 上流側端部
24、34 第2揺動押圧片
24b、34b、44b 下流側端部
24c、34c、44c 上流側端部
25 押圧面(対向面)
25a 第1押圧面(第1対向面)
25b 第2押圧面(第2対向面)
30 中空可動部材
35、45 第1チューブ配設部
35a、45a 第1押圧面(第1内面)
36、46 第2チューブ配設部
36a、46a 第2押圧面(第2内面)
37、47 連結部
38a、48a 第1揺動制御棒
38b、48b 第2揺動制御棒
40 中空不動部材
42 第1揺変動押圧片
44 第2揺変動押圧片
49 移動基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾力性を有するチューブの押圧及び押圧解除を繰り返し行うことで前記チューブ内の流体を吐出し前記チューブ内に流体を吸入するチューブポンプであって、
前記チューブを挟んで配置された押圧片及び押圧面を有し、これらに挟まれた被押潰領域の上流側を押し潰す局所閉塞状態から前記被押潰領域の全体を押し潰す全閉塞状態に移行可能に構成された第1押圧部及び第2押圧部を備えて成り、
前記第1押圧部は、前記第2押圧部の被押潰領域の体積V2よりも大きな体積V1の被押潰領域を挟むと共に前記第2押圧部よりも前記チューブの上流側に配置され、
前記第1押圧部及び前記第2押圧部は前記局所閉塞状態から前記全閉塞状態に交互に移行すると共に、前記流体の吸入時及び/又は吐出時に前記第1押圧部及び前記第2押圧部の少なくとも一方は前記局所閉塞状態又は前記全閉塞状態にあることを特徴とするチューブポンプ。
【請求項2】
前記第1押圧部及び前記第2押圧部は基板面に配設された前記チューブを挟むように配置され、
前記押圧面は前記基板面であり、前記押圧片は上流側及び下流側を中心として揺動するように支持された揺動部材であることを特徴とする請求項1に記載のチューブポンプ。
【請求項3】
前記第1押圧部及び前記第2押圧部は一部が屈曲するように配設された前記チューブの屈曲部に配置され、
前記第1押圧部及び前記第2押圧部それぞれは、前記屈曲部の内側又は外側に配置され、他方の側に向かって前後進する押圧面と、前記屈曲部の外側又は内側に配置され、前記チューブの下流方向端部を中心に揺動する揺動押圧片とを有することを特徴とする請求項1に記載のチューブポンプ。
【請求項4】
前記内側に往復運動可能に配置され、前記チューブに対面する対向面を有する往復運動部材を備え、
前記押圧面は前記対向面であり、前記揺動押圧片は前記外側にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項3に記載のチューブポンプ。
【請求項5】
対向する第1内面及び第2内面に沿って前記チューブを屈曲状態に配設すると共に往復運動可能な中空可動部材を備え、
前記押圧面は前記第1内面及び前記第2内面であり、前記揺動押圧片は前記内側にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項3に記載のチューブポンプ。
【請求項6】
前記第1押圧部及び前記第2押圧部は一部が屈曲するように配設された前記チューブの屈曲部に配置され、
前記第1押圧部及び前記第2押圧部それぞれは、前記屈曲部の外側に配置された押圧面と、前記屈曲部の内側に配置され、前記押圧面に向かって前後進する下流方向端部を中心に揺動する揺変動押圧片とを有することを特徴とする請求項1に記載のチューブポンプ。
【請求項7】
対向する第1内面及び第2内面に沿って前記チューブを屈曲状態に配設可能に装着された中空不動部材を備え、
前記押圧面は前記第1内面及び前記第2内面であることを特徴とする請求項6に記載のチューブポンプ。
【請求項8】
前記第1押圧部及び前記第2押圧部の少なくとも一方は、複数の前記押圧片を有していることを特徴とする請求項1に記載のチューブポンプ。
【請求項9】
前記第1押圧部で押し潰される前記被押潰領域の体積V1と前記第2押圧部で押し潰される前記被押潰領域の体積V2との体積比(V1:V2)が3:1である請求項1〜8のいずれか1項に記載のチューブポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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