説明

テクスチャ出しされた半導体層を特徴とする光学装置

半導体センサ、太陽電池又はエミッタあるいはそれらの前駆体は、基板と、この基板上に堆積されたテクスチャ出しされた半導体層とを有する。この層は、基板上に成長されるときにテクスチャ出しされるか、テクスチャ出しされた基板表面を複製することによってテクスチャ出しされる。それから基板又は第1の層は、装置から他の半導体層を成長させたりテクスチャ出しするためのテンプレートとなる。テクスチャ出しされた層は、基板から表面に複製されて、光取り出しや光吸収を強化する。いくつかの障壁及び量子井戸層からなる複合的量子井戸は、テクスチャ出しされた層を交互に繰り返しながら堆積される。量子井戸層の領域におけるテクスチャ出しは、半導体が有極性であり、そして量子井戸が極性方向に沿って成長される場合に、内部量子効率を大幅に強化する。これは、窒化物半導体が極性[0001]又は[000−1]方向に沿って成長される場合である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互参照]
この出願は、2004年4月15日に出願された「効率的光学装置の製作用にテクスチャ出しされたIII−窒化物テンプレートの形成」なる名称の米国仮出願第60/562,489号と、2004年10月1日に出願された「効率的光学装置の製作用にテクスチャ出しされたIII−窒化物テンプレートの形成」なる名称の米国仮出願第60/615,047号と、2005年1月21日に出願された「平坦で、ひだのある量子井戸に基づいた窒化物LED」なる名称の米国仮出願第60/645,704号とに基づく優先権を主張し、ここにその開示全体を参照によって組み入れる。
【0002】
[連邦補助研究または開発に関する表明]
この発明を導いた研究の一部は、合衆国陸軍研究事務所によって与えられた契約第DAAD19−00−2−0004の下で提供された合衆国政府支援によって遂行されたものである。従って、合衆国政府はこの発明に相応の権利を有する。
【0003】
「背景技術」
発光ダイオード(LED)は、赤外、可視又は紫外(UV)領域の光を発生することが可能な半導体光学装置である。可視及び紫外で発光するLEDは、窒化ガリウム(GaN)と、その窒化インジウム(InN)及び窒化アルミニウム(AlN)との合金を使用して作られる。これらの装置は一般に、p−n接合として配置されたp及びn型半導体層からなる。標準的なLED装置では、半導体層は、研磨された基板、例えばシリコン上に均一に成長される。典型的な半導体層は、p又はn型層となるようにドープされている窒化ガリウム(GaN)によって形成される。
【0004】
LEDにとって重要な性能指数は、その内部量子効率(IQE)と光取り出し効率である。典型的なLEDにとって、IQEは、多くの要因、例えば点欠陥の密度、オージェ過程及び装置設計に依存する。極性(0001)又は(000−1)方向に沿って成長される窒化物LEDの場合、内部効率はまた、内部電界によって引き起こされるn及びpドープ層間の量子井戸の歪みに起因して低減される。GaN系LEDの光取り出し効率は、スネルの法則から4%であると決定される。LEDは通常、小エネルギーギャップ半導体(井戸)と広バンドギャップ半導体(障壁)とから作られたいくつかの量子井戸を有する。可視LEDは、窒化インジウムガリウム(InGaN)を井戸として使用し、またGaNを障壁として使用する。紫外LEDは、異なる組成のAlGaNを井戸及び障壁の双方に使用する。極性方向に沿って成長された窒化物半導体系のLED装置の内部量子効率は、その量子井戸に加わる電界によって低減される。この現象は、量子閉じ込めシュタルク効果(QCSE)と呼ばれる。QCSEは、LEDの赤色光放出に影響を与えて、放出波長をシフトすると共に光ルミネサンス強度を低減する。光取り出し効率のむしろ小さな値は、半導体層の出口界面における高屈折率の結果である。
【0005】
[発明の要約]
本発明は、光エミッタ又はセンサとして、あるいは太陽電池として使用される装置を提供する。この発明のエミッタについては、IQE及び光取り出し効率が従来の装置に対して改良される。センサ又は太陽電池については、光を装置に結合する効率も改良される。一実施形態では、半導体材料は、テクスチャ出しされた(テクスチャード)最初の半導体層が成長時に基板上に堆積されることからスタートして、複数の層として堆積される。一実施形態では、この層は、基板上に成長されるときにテクスチャ出しされて、テクスチャ出しされた表面形態を有するようにする。基板とテクスチャ出しされた層は、複合的半導体層の成長用テンプレート(型板)として使用され得る。例えば、装置は、第1のテクスチャ出しされた層の上に堆積された第2の層を備えることがある。これらの層は、p及びnドーパントを伴って堆積されて、p−n接合型発光ダイオード(LED)を形成することができる。テクスチャ出しされた発光層は、光脱出を強化する。最初の半導体層は、その上に量子井戸が成長される障壁層として役立つことが好ましい。複数の半導体層の各々は、第1の成長層のテクスチャと同様になり、かくして光が取り出されるLEDの外面は、最初の半導体層とほぼ同じテクスチャを有する。
【0006】
複数の障壁及び量子井戸層を備えた複合的量子井戸は、それぞれが本来のテクスチャを複製する複数の半導体層を交互にしながら、互いの上に堆積されることが好ましい。障壁及び井戸層を通して複製されたテクスチャ出しは、量子井戸の位置を変えて、それらの表面が[0001]極性方向と直交しないようにする。かくして、量子井戸は、それらの方形井戸形状を維持する。何故ならば、それらは、極性化に起因する内部電界によっては歪まされないからである。この結果、正孔及び電子の波動関数は重なって、効率的な再結合に導き、かくして劇的にIQEを改善する。
【0007】
この発明の装置は、基板、例えばシリコン(Si)、ヒ化ガリウム(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化インジウム(InN)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、窒化インジウムガリウム、窒化インジウムアルミニウム、窒化インジウムガリウムアルミニウム(InAlGaN)、炭化シリコン、酸化亜鉛及びサファイアを備えることができる。サファイア基板は、その上に層が堆積される前に、窒化されることもある。
【0008】
テクスチャ出しされた基板の上に、あるいは全成長プロセス中でもう1つの層の上に成長される半導体層は、任意の好適なプロセスによって堆積され得る。そのような堆積プロセスの例には、ハライド気相成長法(HVPE)、分子線エピタキシ法(MBE)、有機金属化合物気相成長法(MOCVD)、液相成長法及びレーザアブレーションがある。半導体装置の層は、III−窒化物材料、例えばGaN、AlN、InN又はこれら材料の任意の組み合わせからなることができる。基板は、層成長の前にテクスチャ出しされることがある。あるいは成長の適切な条件を選択することによって、基板上の第1の半導体層がテクスチャ出しされた表面を有する。
【0009】
半導体層は、ドーパントを含んで、この層がp又はn型になることができる。例示的なドーパントには、ベリリウム、セレン、ゲルマニウム、マグネシウム、亜鉛、カルシウム、Si、イオウ、酸素又はこれらドーパントの組み合わせがある。1つの層は、単結晶又は多結晶の層である。この発明の装置は、いくつかのp及びn型層と、一般に層成長を促進する1以上の緩衝層を含むことができる。例示的な緩衝層は、GaN半導体層である。緩衝層は、基板上又は半導体層間に堆積される。
【0010】
この発明の装置用の半導体層は、約10オングストローム(Å)から10ミクロン(μm)までの厚さに堆積される。基板と堆積層のテクスチャ出しは、約100ナノメータ(nm)から5μmまでの平均的な山−谷距離を有する。
【0011】
本発明はまた、この発明の半導体装置を製作する方法を提供する。この方法は、基板を与える工程と、第1の半導体層を基板の表面上に堆積する工程と備える。第1の層は、成長時に自然にテクスチャ出しされるか、テクスチャ出しされた基板表面によってテクスチャ出しされる。基板又は第1の層は、それからテンプレートとして、テンプレートと同じテクスチャを有した他の半導体層を堆積することに使用されている。好ましい実施形態では、製作方法は、いくつかの量子井戸を成長させる工程を有する。複合的量子井戸は、第1の層、基板又はそれらの組み合わせによってテクスチャ出しされる。
本発明の他の特徴及び利点は、添付図面に関連してなされる以下の発明の詳細な説明から明らかとなる。
【0012】
[発明の詳細な説明]
本発明のLEDや光検出器は、外部光取り出し効率及び内部量子効率の一方又は双方が改良されている。光取り出し効率は、最初の半導体基板層からの層を適用するプロセスによって典型的に複製されるテクスチャ出しされた放出表面によって改良されている。成長速度の制御と適切な堆積手順の使用により、テクスチャ出しされた表面層を最初の半導体層上に形成することができる。このテクスチャは、後続の層が適用されるときにそれらの層を通して複製され、その結果、大幅に改良された光取り出し効率を有する放出層を生じる。最終表面のテクスチャ出しも、下地の基板を別にテクスチャ出しするか、あるいは深い溝で装飾された未研磨の基板を使用することによって達成可能である。何故ならば、ウエハは通常インゴットからソーを使用して切断されるからである。
【0013】
LEDの内部量子効率の改良は、p−n接合に、複合的量子井戸(MQW)を組込むことによって達成される。この結果、p及びn側からそれぞれ注入された電子及び正孔がより良好に閉じ込められ、かくしてより効率的な再結合が生じる。
【0014】
量子井戸を含んだ半導体装置が極性方位上に成長されるとき、その量子井戸は、電子及び正孔を分離する。このことにより、電子−正孔領域は遠くに離れて配置され、光を発生する電子−正孔再結合の効率を低減する。この発明のLEDは、テクスチャ出しされた表面上に量子井戸を成長させることによって、この欠損を克服する。このように、量子井戸は歪まされることはなく、かくして井戸中の電子及び正孔はより効率的に再結合する。
【0015】
本発明に係るLEDの一実施形態では、LEDは、基板2上に形成される。図1a並びに図2a及びbに示され、そして以下で更に十分に論じられるように、テクスチャ出しされた半導体層4が基板上に堆積される。この層は、基板上に成長されるときにテクスチャ出しされ、テクスチャ出しされた表面トポロジー(モーフォロジー)10を有するようになる。基板及びテクスチャ出しされた層は、LEDを形成するための複合的半導体層の成長用テンプレートとして使用される。そのようなテクスチャ出しされたAlNテンプレートは、紫外LEDを製造することにも使用できる。例えば、1つの装置は、第1のテクスチャ出しされた層上に堆積された第2の層を備えることもできる。これらの層は、ドープされて、発光ダイオード(LED)用のp−n接合を形成することが可能である。適切なドーパントには、セレン、ゲルマニウム、マグネシウム亜鉛、マグネシウム、ベリリウム、カルシウム、Si、イオウ、酸素又はそれらの任意の組み合わせがある。半導体層の各々は、第1の成長層及びそのテクスチャ出しされた表面からの複製によってテクスチャ出しされ、改良された取り出し効率のテクスチャ出しされた放出表面を有することができる。
【0016】
第2の実施形態では、図3a,b、図4a,b並びに図5a,bに示され、そして以下で更に十分に論じられるように、複数の障壁及び量子井戸層を備えた複合的量子井戸が、装置のn及びpドープ層間で、半導体層を交互にして、互いの上に堆積されている。複合的量子井戸は、第1の層の上に成長されるときに、その層のテクスチャ出しされた表面からの複製によってテクスチャ出しされる。
【0017】
殆どの場合、テクスチャ出しされた層と量子井戸との間に、厚さ可変のnドープAlGaNクラッド層が成長される。
【0018】
第1の層の成長に使用される好適な基板は、この技術分野では知られている。例示的基板には、サファイア、ヒ化ガリウム(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)、炭化シリコン、酸化亜鉛及びシリコン(Si)がある。例えば、好ましい基板は、(0001)酸化亜鉛、(111)Si、(111)GaAs、(0001)GaN、(0001)AlN、(0001)サファイア、(11−20)サファイア及び(0001)炭化シリコンであり得る。
【0019】
この発明の装置用の基板は、成長された表面を化学的に清浄化することによる半導体層成長用に準備され得る。基板の成長表面は、オプションで研磨されてもよい。基板はまた、層成長に先行して熱的に脱ガスされてもよい。基板の表面は、参照によりここに組み入れられる米国特許第5,677,538号に開示されているように、オプションで窒化されることも可能である。切断された状態の未研磨、未処理の基板上での成長は、その上にテクスチャ出しされた表面を成長することを促進する。
【0020】
半導体層は、いくつかのプロセス、例えばハライド気相成長法(HVPE)、有機金属化合物気相成長法(MOCVD)または分子線エピタキシ法(MBE)、液相成長法(LPE)、レーザアブレーション及びこれら方法の変形例によって成長され得る。典型的な成長プロセスは、参照によりここに組み入れられる米国特許第5,725,674号、第6,123,768号、第5,847,397号及び第5,385,862号に開示されている。半導体層はまた、窒化物層を生じる窒素の存在下でも成長され得る。窒化物層の例には、GaN、InN、AlN及びそれらの合金がある。
【0021】
図1aは、この発明の半導体装置の部分的表現である。好ましい実施形態では、この装置は、テクスチャ出しされたテンプレートであって、基板2と、その上に成長されるときにテクスチャ出しされた第1の層4とを備える。基板2は、最初にテクスチャ出しされているか、あるいは平滑に研磨され得る。第1の層4は、基板2上に成長されるときにテクスチャ出しされて、テクスチャ出しされた表面トポロジー10を有する。第1の層は、変形HVPE堆積プロセスによって成長されて、テクスチャ出しされた表面10を生じることが好ましい。変形HVPEプロセスは、成長されるときにテクスチャ出しされた第1の層を、その層の欠陥領域を増強塩酸(HCl)濃度でエッチングすることによって、部分的に生じさせる。変形HVPEプロセスのHCl濃度は、以下で例示されるように、典型的な堆積プロセスのものよりも実質的に高い。
【0022】
一実施形態では、第1の層4は、III群窒化物の層からなる半導体層であり得る。この層4は、以下で示されるように、堆積中の好適なドープによってp又はn型とされた半導体層であることが好ましいが、それはまたAlNのような絶縁層でもよく、あるいは両者でもよい。層4は、参照によりここに組み入れられる米国特許第6,686,738号に記載されているように、オプションで、基板上に堆積された緩衝層の上に成長され得る。
【0023】
基板2及び層4の厚さは、広い範囲をカバーできるものであるが、層4の厚さは、その表面に複製されたテクスチャ出しの程度を変化させるものである。例えば、厚さ10μmの層は、約100nm〜5μmの山−谷テクスチャ距離を有することができる。半導体層のテクスチャ出しは、その層の上に成長されてテクスチャを複製するLED層の光取り出し特性に影響を与える。半導体層4は、典型的には成長時にランダムにテクスチャ出しされる。層4は、単結晶又は多結晶の材料である。
【0024】
図2aは、図1の装置上に成長された第2の層8を示す。この層8は、任意の好適な堆積プロセスによって成長される。第2の層は、第1の層4のテクスチャ出しされた表面10の上に成長される。第2の層8は、図2bに示されるように、第1の層4のテクスチャ出しされた表面トポロジー10を埋め込むほど厚くないことが好ましい。第2の層8は、図2aに示されるように、層4による複製によってテクスチャ出しされた上面9を有することが好ましい。
【0025】
層8は、III群窒化物からなる半導体層であることが好ましい。第2の層8は、層4のドーピングとは逆のp又はn型半導体層である。第2の層8は、単結晶又は多結晶の半導体層である。一実施形態では、第1及び第2の層4及び8のドーピングは、光センサ又はエミッタとして使用されるp−n接合3を形成する。これらの装置は、電子ディスプレイ、固体ライト、コンピュータ又はソーラーパネル用に使用され得る。電極11及び13は、この技術分野でそのような用途について知られているように、層4及び8に接続される。
【0026】
図3a及び3bは、図1の装置上に成長された複合的量子井戸6を有するLEDの部分的表現である。量子井戸6は、第1の層4の表面トポロジーによってテクスチャ出しされている。上述したように、第1の層4は、基板2上に成長されるときにテクスチャ出しされ得る。一実施形態では、複合的量子井戸6は、1以上の障壁層5と量子井戸層7とを交互に備える。
【0027】
いくつかの障壁層5及び量子井戸層7は、テクスチャ出しされた第1の層4をそれぞれ複製する半導体層を交互にすることによって成長され得る。例えば、量子井戸は、第1の層2の上に成長された障壁層5によって形成され得る。それから量子井戸層7は、障壁層5の上に成長される。それから第2の障壁層5は、量子井戸層7の上に成長され、その上に第2の量子井戸層が成長される。一実施形態では、量子井戸層7及び第1の層4は、組成が一致させられている。障壁層5は、第1の層4及び量子井戸層7の双方とは異なる組成を有することができる。
【0028】
障壁層5は、1以上のIII−V群窒化物の化合物を備えることができる。一実施形態では、1以上の障壁層5は、AlGaNである。同様に、1以上の量子井戸層7は、III群窒化物、例えばGaNであるか、又はもう1つのIII−V化合物である。これらの層はまた、任意の好適な堆積プロセスによって成長させられる。障壁層5又は量子井戸層7は、それらの間に成長された緩衝層を有することができる。これらの層は、単結晶又は多結晶の層である。
【0029】
これらの層の厚みは、典型的に充分に薄く、テクスチャ出して表面を複製することに適している。これらの層に関するテクスチャ出しの度合いは、内部量子効率及び光取り出し効率に影響を与える。この発明の装置は、1〜20個の量子井戸を備えて、複数の障壁層5及び量子井戸層7を構成することが好ましい。
【0030】
図3a及び3bは、テクスチャ出しされた複合的量子井戸6上に成長された半導体上層8を示す。この層8は、既知の堆積プロセスによって成長され得る。この層は、テクスチャ出しされた層9(図3a)であるか、第1の層4のテクスチャ出しされた表面トポロジーを埋め込むように厚いものである(図3b)か、それを研磨したものである。
【0031】
層8は、III群窒化物からなる半導体層であることが好ましい。上層8もまた、層4とは逆のp又はn型半導体層であって、p−n接合を形成する。このp−n接合は、半導体装置、例えばLEDや光検出器として機能することを可能にする。上層8は、単結晶又は多結晶の半導体層である。複合的量子井戸6もまた、成長時にテクスチャ出しされた障壁層5及び量子井戸層7を備えることができる。例えば、層5及び7は、上述した変形HVPE堆積プロセスによって成長され得る。
【0032】
図3aに示された装置構造は、通常の装置の効率よりも有意に高い内部量子効率及び外部光取り出し効率を呈することが可能である。図3bの装置は、内部量子効率の増加を総合的に処理する。
【0033】
この発明の装置は、100%に近い光取り出し効率を有することが可能である。同様に、そのような装置は、50〜60%の範囲の内部量子効率を有することがある。
【0034】
図4a及び4bは、最初にテクスチャ出しされた表面を有する基板を備えた装置を示している。第1の層4に後続する層は、テクスチャ出しされた基板2上に堆積されて、上面が複製によってテクスチャ出しされる。
【0035】
図4aの装置は、層8上のテクスチャ層9を備えるか、あるいは図4bでは、その実施形態としてテクスチャ出しされていない層を備える。
【0036】
代替実施形態では、基板は、図示のように、例えば図5aでは、上述したものと実質的に同じ手順を使用して、テクスチャ出しされた上下双方の表面9及び15を有する。図5bでは、底層2だけを備え、表面15は、テクスチャ出しされ、そして放出表面として機能することができる。
【0037】
例えば、図5cは、サファイア基板2上の平坦なAlNテンプレート4aを使用したLEDである。AlNテンプレートと量子井戸及び障壁層7及び5との間には、クラッド又はコンタクト層として知られる厚いAlGaN層4bがある。この層は、ここで説明される発明の他の形態と共に使用され得る。それらの上にあるのは、それぞれAlGaN及びGaNのpドープ層8a及び8bである。層4b及び8bは、電気コネクタ11及び13を受けて、サファイア基板2を通して下向きに光取り出しを行う。層8aは、ここで説明される発明の他の形態と共に使用され、そして電子遮蔽層として機能して電子の損失を防止する。層5及び7は、明瞭化のために平坦に示されているが、望み通りに、ひだがつけられている、と理解されるべきである。
【0038】
本発明はまた、この発明の半導体装置を製作する方法を提供する。この方法は、基板を与える工程と、第1の半導体層を基板の表面上に堆積する工程と備える。第1の層は、以下で説明されるように、成長時にテクスチャ出しされるか、テクスチャ出しされた基板表面によってテクスチャ出しされる。それから基板又は第1の層は、テンプレートとして、他の半導体層を堆積してテクスチャ出しすることに使用され得る。そのようなテンプレートは、この製造段階で販売され、他のものが、多層化を完了して、そのテクスチャを放出層まで複製できるようにする。
好ましい実施形態では、製作方法は、いくつかの量子井戸を成長させる工程を有する。この場合、井戸は、半導体層を交互にしながら堆積され得る障壁及び量子井戸層の双方を備える。複合的量子井戸は、第1の層、基板又はそれらの組み合わせによってテクスチャ出しされる。
【0039】
ここでの実施例は、本発明の利点を説明するために与えられる。これら実施例は、上述された発明の変形例又は実施形態のいずれかを含むか組み入れることができる。上述された実施形態もまた、発明の他の実施形態のいずれか又は全ての変形例を含むか組み入れることができる。以下の実施例は、いかなる意味においても、発明の範囲を制限することを意図されていない。
【実施例1】
【0040】
この発明によりテクスチャ出しされたGaNテンプレートは、上述した変形HVPEプロセスによって成長される。このGaNテンプレートは、変形HVPEリアクタを通して成長される。このリアクタ内において、III群前駆体はGaClガスであり、これは、上流のGaを含有した石英ボート上を流れるHClによって、約500℃〜1000℃の温度で合成され得る。それからGaClガスは、下流の基板ウエハの表面付近で、アンモニア(NH)と混合され、約900℃〜1200℃の温度でGaNを形成する。この発明のGaN又はAlN又はAlGaNテンプレートは、極性方向及び非極性方向に沿って成長され得る。テンプレートはまた、立方対称性を有する基板、例えば(100)Siや(001)GaAsを選択することによって、それらの立方構造内で成長することができる。この場合、その上に成長される後続の窒化物層は、同様に立方対称性を有する。
【0041】
変形リアクタは、一般的に4つのゾーンに分割され、各ゾーンの温度は、個別に制御可能である。このリアクタはまた、反応原系ガス及び希釈剤用に3つの別々の配送チューブを有する。窒素や水素は、NH及びHClに対する希釈剤及びキャリヤガスとして使用される。窒素は、中間チューブを通して送られる。このチューブは、下流ガスシースとして作用して、GaCl及びNHガスが、基板表面に接触する前に、混合されることを防止する。GaN層のテクスチャ出しは、HClのエッチング効果の結果であり得る。例えば、テクスチャ出しは、HClが成長中の層の表面からGaをエッチングするときに起こる。HClはまた、第1の層の境界ドメインにおいて欠陥のあるGaNをエッチングする。変形HVPEプロセスのHCl濃度は、テクスチャ出しが回避された典型的な堆積プロセスのそれよりも実質的に高い。
【0042】
テクスチャ出しされたGaNテンプレートは、III群前駆体に対するNHの流率によって制御される約30〜200μm毎時の範囲の高成長速度条件下で成長され得る。この流率は、典型的には約300〜10である。テンプレートの成長は、GaClガスによって基板を1000℃で前処理し、次いで薄いGaN緩衝層を550℃〜650℃で成長させることによって行われる。それから速度条件は、GaNの高温エピ層成長用に約1070℃まで勾配をつけられる。基板もまた、スパッタされた酸化亜鉛を伴う成長に先行して、前処理され得る。酸化亜鉛の普通の厚さは、約500Å〜1500Åである。それからテンプレートの成長は、チャンバを成長温度まで加熱し、更に成長を開始するために反応原系ガスを流すことによって行われる。
【0043】
図6aは、テクスチャ出しされた表面(ひだのある量子井戸)における複合的量子井戸を示す透過型電子顕微鏡画像を示す。テクスチャ出しにより生じたV溝18では、増強された光生成が全ての材料に対して起こる。図6bは、20で放射する電気的に励起されたウエハレベルのLEDを示す。この青色LED構造は、未研磨の(0001)サファイア基板上に作られた。この基板上には、3ミクロンの多量にドープされたn型GaNが成長され、次いでインジウムを13%含むInGaNを井戸とし、またGaNを障壁とする10個のMQWが成長された。MQWの成長に続いて、マグネシウムでp型にドープされた、Alを30%含むAlGaNからなる薄い(約10μm)の電子遮断層が成長され、次いでマグネシウムで多量にp型にドープされた200nmのGaNが成長される。光が放出される自由表面は、未研磨のサファイア基板のモーフォロジーを複製している。
【0044】
図7aは、変形HVPEプロセスによって成長されるときにランダムにテクスチャ出しされたGaNテンプレートの走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。この画像は、電子線に対して約30度傾けられたサンプルに関して捕捉されたものである。GaN層の成長は、(0001)サファイア基板上に起こった。この成長は、25標準立方センチメータ毎分(sccm)のHClを使用するプロセスによって1000℃の前処理中に行われた。このプロセスはまた、III群前駆体に対するアンモニアの比150を、約590℃での緩衝層成長中に使用した。それから1070℃での高温成長の段階は、III群に対するアンモニアの比60を使用した。テンプレートのテクスチャ出しの程度又は度合いは、成長前線に到達したGaClの量に依存しているものと決定された。そのようなGaClの量は、成長速度も制御することができる。
【0045】
図6と比較して、図7は、原子的に平坦な標準GaN層のSEM画像を示している。図示のように、通常のGaN層の表面トポロジーは、2〜3の表面欠陥にも係わらず、テクスチャ出しされていない。この画像は、電子線に対して約30度傾けられたサンプルに関して捕捉されたものである。原子的に平坦な表面を有する通常のGaN層の光ルミネサンスは、この発明のランダムにテクスチャ出しされた窒化ガリウムのテンプレートのそれと比較された。両方の層サンプルは、10ミリワット(mW)のヘリウムレーザを励起源として使用する同一の条件で測定された。
【0046】
この比較の結果は、図8によって示されている。この図において、テクスチャ出しされたテンプレートの光ルミネサンス強度は、平坦なGaN層の強度よりも50倍以上大きい。強化された光取り出しは、そのような半導体層の高屈折率によって特にテクスチャ出しされた表面を通して起こる。テクスチャ出しされた表面は、GaN層と空気との間の高屈折率変化によって制限されたエスケープコーン(脱出円錐)と比べて、単一フォトンのエスケープコーンを増加させる。
【0047】
この発明のIII群層テンプレートのテクスチャ出しのランダム性は、図9a及び9bに描かれている。図9aは、図9bの画像化領域の深さ分析プロットを持つ、この発明のGaNテンプレートの原子間力顕微鏡画像である。このプロットは、テンプレートについての表面トポロジーのガウス分布、ランダム性の特徴を示している。平均的な山−谷表面トポロジーは、約1.3ミクロンである。
【実施例2】
【0048】
実施例IIは、この発明のテクスチャ出しされたテンプレート上の複合的な(ひだのある)量子井戸を含む。これら量子井戸は、10対のAlGaN及びGaN層を備える。個別のGaN層は、テクスチャ出しされた量子井戸層からなることがある。この場合、AlGaN層は、障壁層として作用する。AlGaN層の組成は、例えば、Al0.2Ga0.8Nである。一般的に、AlGax−1Nである。複合的量子井戸はまた、小ギャップのIII−V窒化物膜(井戸)と大ギャップのIII−V窒化物膜(障壁)の任意の組み合わせによって作ることができる。MQWの組成は、光の放出エネルギを純InNの約0.7eVから純AlNからの6eVまで決定する。複数の量子井戸層は、任意の好適な体積プロセスによって成長される。MBEプロセスは、無線周波数又はマイクロ波プラズマによって活性化されている窒素に対するIII群材料の反応を含む。代替的解決法は、III群材料を、加熱された基板上のアンモニアと反応させることである。
【0049】
成長プロセスによる半導体成長用のIII群材料は、噴散セルから蒸発可能であるか、あるいはIII群アルキルの形態で提供され得る。MBEプロセスやプラズマ援助MBEプロセスでの半導体成長中に、窒素やアンモニアガスは、典型的に約1〜50sccm使用される。量子井戸が成長されるときに、量子井戸の層は、テンプレートのテクスチャを複製する。そのようなMBEプロセスは、この技術分野で既知である。この発明はまた、当業者によって使用されることがある他の典型的な半導体成長用の解決法も考慮する。
【0050】
10対のテクスチャ出しされたAlGaN及びGaN量子井戸は、約7ナノメータ(nm)の井戸厚さと、対応する約8nmの障壁層厚さとを有していた。複数の量子井戸は、約750℃の温度で基板に成長された。先ず、AlGaN障壁層が、この発明のテクスチャ出しされたIII群テンプレート上に成長される。それから障壁層は、量子井戸、GaN層の堆積用表面となる。それから、GaN層は、次の障壁層用の成長表面となる。この成長パターンは、複合的量子井戸層が形成されるまで継続され得る。これらの井戸は、下地のテクスチャ出しされたテンプレートの表面トポロジーを複製する。井戸及び障壁層の厚さは、例えば、10Åから500Å以上となり得る。
【0051】
図10及び11は、通常の量子井戸の光ルミネサンス・スペクトルと、この発明のテクスチャ出しされたテンプレート上に成長されたテクスチャ出しされた量子井戸のそれを示す。通常の平坦なGaN層上に成長された量子井戸からの光ルミネサンス・スペクトルは、高い強度ピークを364nmに呈する。この強度ピークは、一次的にはMQW直下の平坦なバルクGaN層に起因する。約396nmにある極めて低く且つ広いルミネサンスピークは、部分的に平坦な井戸に起因しているものと仮定される。平坦な井戸サンプルの陰極ルミネサンス・スペクトルは、この仮定を立証することに使用された。このスペクトルは、量子井戸を探索するために約4kVの低加速度電圧を使用して行われた。これらの結果は、図9の挿入図によって示されている。これらの結果は、約396nmで生じた広いピークが通常の量子井戸に対応したものであることを確認している。
【0052】
平坦な量子井戸から観察されたルミネサンスは、大きさが大幅に低減されていると共にバルクに対して赤色シフトされたものとして示されている。これらの結果は、量子閉じ込めシュタルク効果(QCSE)と一致する。
【0053】
典型的な量子井戸と比べて、この発明のテクスチャ出しされたテンプレートによってテクスチャ出しされた量子井戸は、バルクGaN層のルミネサンスに対して青色シフトされている。複数のテクスチャ出しされた量子井戸は、井戸がその上に成長されたテンプレートと比較したときに、実質的に増加されたルミネサンスを呈する。
【0054】
これらの結果は、テクスチャ出しされたIII群窒化物テンプレート上に形成された、ひだのある井戸が、極性化に関連した内部電界によっては歪まされないことを示している。図11はまた、テクスチャ出しされた量子井戸についてのピーク光ルミネサンスが、通常の平坦なGaN層上に成長されたものよりも約700倍以上も高いことを示している。この違いは、テクスチャ出しされた表面を通しての増強された光取り出しと、QCSEの消去により増強された自然放出率の双方に起因する。
【実施例3】
【0055】
高度に導電性の、マグネシウムをドープした、正孔濃度が約1018cm−3で厚さが約0.5マイクロメータのp型GaN層が、分子線エピタキシ法(MBE)によって、この発明に係るn型のテクスチャ出しされた窒化ガリウムのテンプレート上に堆積された。テクスチャ出しされた窒化ガリウムのテンプレートは、約1019cm−3の電子濃度を有していた。p型GaN層の形成は、無線周波数プラズマ源を使用して行われ、分子窒素とクヌーセン噴散セルを活性化して、Ga及びMgを蒸発させた。成長は、極度にガリウム過多の状態で起こった。この状態では、次いでMgが700℃〜800℃の比較的高い基板温度で組み込まれた。この代わりに、アンモニアを窒素源として使用して、p型層が成長され得る。同様のp型層はまた、MOCVDやHVPEプロセスによって成長されていた。図12は、テクスチャ出しされたテンプレートと共に形成されたp−n接合の80mAの電流注入時におけるエレクトロルミネサンス・スペクトルを示している。
【実施例4】
【0056】
実施例IVでは、テクスチャ出しされた基板は、テクスチャ出しされた表面を伴って作られている。この表面上には、テクスチャ出しされた特徴を複製しながら追加層が成長される。追加層は、この発明のテクスチャ出しされたテンプレート、p−n接合又は光学装置を形成するように成長される。追加層は、複数の井戸及び障壁層によって形成された複合的量子井戸を備えることがある。テクスチャ出しされる基板の表面は、平坦であるか、予めテクスチャ出しされている。基板の表面はまた、不変であるか、そうでなければ自然である。
【0057】
単分散球状コロイド様粒子の単層を備えるマスク構造が、基板の表面上に被覆される。この基板は、シリコン、炭化シリコン、サファイア、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、窒化アルミニウム又は酸化亜鉛である。球状単分散コロイド様粒子は、0.02〜10ミクロンの範囲のサイズで市販されている。この粒子の基板の表面上へのパッキングは、被覆に使用される技術に依存して、周期的かランダムのいずれかである。基板の1〜5インチ径部分に対するマスク構造の被覆は、数分を要する。そのような被覆領域は、10〜10サブミクロンの特徴を基板上に規定する。
【0058】
マスクされた表面はそれから、例えばイオンビームエッチングによってエッチングされる。このエッチングは、個別の粒子を基板表面上でピラーの形にする。ピラーの縦横比と形状は、相対マスクエッチ率と下地の基板材料によって決定される。ピラーの縦横比を最小化するために、リアクティブ及び化学的援助イオンビームエッチングの双方が使用され得る。基板の表面はそれから、液体又は気体、例えばフッ化水素又はアルゴンによってエッチングされる。液体又は気体による基板のエッチングは、ある領域では、他の領域よりも有意ではない。これは、ピラーが、基板表面の部分のエッチングを遅らせたり、阻止する傾向があるからである。
【0059】
エッチング後に、基板の表面上のピラーは、溶剤によって除去される。この溶剤は、ピラーを溶解して、テクスチャ出しされた表面を基板に生ずる。基板の表面はそれから、テクスチャ出しされた特徴を複製する追加層を成長することに使用される。基板の表面をエッチングし、テクスチャ出しするための技術は、デックマン等の“分子規模の微孔性超格子”、MRSブルティン、pp.24−26(1987)によって、とても詳細に記載されている。
本発明は、ここでは好ましい実施形態に関連して説明されてきたが、当業者は、
【0060】
先の明細書を読んだ後に、ここに言及されている装置及び方法に対して、変化、均等物の置換及び他の変更をもたらすことが可能となる。上述した各実施形態は、他の実施形態のいずれか又は全てに関して開示されたそのような変形を含むか組み入れることが可能である。それ故、特許によって与えられる保護は、添付された請求の範囲及びその均等物に含まれる定義によってのみ広さ制限されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】この発明のテクスチャ出しされたテンプレートの部分的表現である。
【図2a】図1のテクスチャ出しされたテンプレート上に堆積されてp−n接合を形成する半導体層の部分的表現である。
【図2b】図1のテクスチャ出しされたテンプレート上に堆積されてp−n接合を形成する半導体層の別の部分的表現である。
【図3a】図1のテクスチャ出しされたテンプレート上に堆積された複合的量子井戸の部分的表現である。
【図3b】図1のテクスチャ出しされたテンプレート上に堆積された複合的量子井戸の別の部分的表現である。
【図4a】テクスチャ出しされた表面を有する基板の部分的表現であり、この表面は、その上に堆積された複合的量子井戸を含む半導体層をテクスチャ出しする。
【図4b】テクスチャ出しされた表面を有する基板の別の部分的表現であり、この表面は、その上に堆積された複合的量子井戸を含む半導体層をテクスチャ出しする。
【図5a】テクスチャ出しされた表面を有する基板の部分的表現であり、それらの表面上には、複合的量子井戸を含むテクスチャ出しされた半導体層が堆積されている。
【図5b】テクスチャ出しされた表面を有する基板の別の部分的表現であり、それらの表面上には、複合的量子井戸を含むテクスチャ出しされた半導体層が堆積されている。
【図5c】テクスチャ出しされた表面を有する基板のさらに別の部分的表現であり、それらの表面上には、複合的量子井戸を含むテクスチャ出しされた半導体層が堆積されている。
【図6a】テクスチャ出しされた量子井戸のTEM図。
【図6b】放射する電気的に励起されたウエハレベルのLEDのTEM図。
【図7a】この発明のテクスチャ出しされた窒化ガリウム(GaN)テンプレートの走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
【図7b】通常の平坦なGaN半導体層のSEM画像である。
【図8】通常のGaN層と図6のテクスチャ出しされたテンプレートとの間の光ルミネサンスの比較である。
【図9】画像化領域の深さ分析プロットを持つ、図6のテクスチャ出しされたテンプレートの原子間力顕微鏡(AFM)画像である。
【図10】通常の平坦な量子井戸の光ルミネサンス・スペクトルを示す。
【図11】図6のテクスチャ出しされたテンプレート上に成長されたテクスチャ出しされた量子井戸のそれを示す。
【図12】図6のテクスチャ出しされたテンプレートを備えたLED装置の光ルミネサンス・スペクトルを示す。
【符号の説明】
【0062】
2 基板
4 第1の層
8 第2の層
9 上面
11,13 電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学センサ、太陽電池又はエミッタとして使用される半導体装置であって、
サファイア、炭化シリコン、酸化亜鉛、シリコン、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、窒化アルミニウム及び窒化アルミニウムガリウムからなる群から選択された材料からなる基板と、
前記基板上の第1の層であって、III−V材料からなると共に、その表面がテクスチャ出しされたトポロジーを有する第1の層と、
障壁層と交互になると共に、第1の層の表面によってテクスチャ出しされた1以上の量子井戸層とを備え、
障壁層はIII−V材料からなり、また量子井戸層はIII−V材料からなることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記基板は、表面がテクスチャ出しされ、また前記第1及びそれに続く層は、基板のテクスチャ出しを複製する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
第1の層と障壁層は、一致したIII−V組成を有する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
基板は、(0001)サファイア、(11−20)サファイア、(0001)炭化シリコン、(0001)酸化亜鉛、(111)シリコン、(111)ヒ化ガリウム、(0001)窒化ガリウム、(0001)窒化アルミニウム及び(0001)AlGaNからなる群から選択された材料からなる請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
第1の層は、過剰HClの存在下におけるIII−V群材料のハライド気相成長法の結果である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
III−V群材料からなる上層を更に備え、この上層は、1つの障壁層に成長されたものである請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
第1の層と上層は、p及びn逆のドーパントを有して、それらの間のp−n接合を、前記1以上の量子井戸層を有する領域内に形成する請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
装置は、発光ダイオード、太陽電池又は光センサからなる請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
基板は、前記第1の層から遠い側に、テクスチャ出しされた表面を有する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
基板のテクスチャ出しされた表面は、s面の表面である請求項2に記載の半導体装置。
【請求項11】
基板のs面の表面は、機械的にテクスチャ出しされたものである請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
基板のs面の表面は、リソグラフィ又はエッチングによってテクスチャ出しされたものである請求項10に記載の半導体装置。
【請求項13】
第1の層は、ハライド気相成長法、有機金属化合物気相成長法、分子線エピタキシ法、液相成長法、レーザアブレーション又はそのような方法の組み合わせの1つ又は複数から生じた基板上の堆積物である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項14】
1以上の量子井戸層は、ハライド気相成長法、有機金属化合物気相成長法、分子線エピタキシ法、液相成長法、レーザアブレーション又はこれら方法の組み合わせによって成長されたものである請求項9に記載の半導体装置。
【請求項15】
半導体装置であって、
サファイア、炭化シリコン、酸化亜鉛、シリコン、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、及び窒化アルミニウムガリウムからなる群から選択された材料からなる基板と、
III−V群材料からなり、前記基板上に成長されるときにテクスチャ出しされた第1の層とを備え、
前記層の表面は、テクスチャ出しされたトポロジーを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
基板は、(0001)サファイア、(11−20)サファイア、(0001)炭化シリコン、(0001)酸化亜鉛、(111)シリコン、(111)ヒ化ガリウム、(0001)窒化ガリウム、(0001)窒化アルミニウム及び(0001)AlGaNからなる群から選択された材料からなる請求項15に記載の半導体装置。
【請求項17】
第1の層は、過剰HClの存在下におけるハライド気相成長法によって基板上に成長されるときにテクスチャ出しされたものである請求項15に記載の半導体装置。
【請求項18】
第2の層を更に備え、この第2の層は、III−V群材料からなる請求項15に記載の半導体装置。
【請求項19】
第1の層と第2の層は、p及びn逆のドーパントをドープされて、それらの間にp−n接合を構成する請求項18に記載の半導体装置。
【請求項20】
装置は、発光ダイオード、太陽電池又は光センサである請求項19に記載の半導体装置。
【請求項21】
1以上のテクスチャ出しされた量子井戸層を第1及び第2の層の間に更に備える請求項18に記載の半導体装置。
【請求項22】
前記量子井戸層は、複数の障壁層をそれぞれの量子井戸層間に更に備え、各障壁層は、第1の層の表面に対応するテクスチャ出しされた表面を有する請求項21に記載の半導体装置。
【請求項23】
装置は、1以上の量子井戸層を更に備え、それぞれは、第1の層の表面に対応するようにテクスチャ出しされた少なくとも1つの量子井戸層からなる請求項15に記載の半導体装置。
【請求項24】
装置は、III−V群材料からなる上層を更に備える請求項23に記載の半導体装置。
【請求項25】
前記層と上層は、p及びn逆のドーパントを有して、p−n接合を形成する請求項24に記載の半導体装置。
【請求項26】
装置は、発光ダイオード、太陽電池又は光センサである請求項25に記載の半導体装置。
【請求項27】
半導体装置であって、
サファイア、炭化シリコン、酸化亜鉛、シリコン、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、窒化アルミニウム及びAlGaNからなる群から選択された材料からなると共に、テクスチャ出しされた表面を有する基板と、
III−V群材料とドーパントからなり、前記基板のテクスチャ出しされた表面のテクスチャを複製する上面を有する第1の層と、
III−V群材料からなる第2の層と
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項28】
基板は、(0001)サファイア、(11−20)サファイア、(0001)炭化シリコン、(0001)酸化亜鉛、(111)シリコン、(111)ヒ化ガリウム、(0001)窒化ガリウム、(0001)窒化アルミニウム及び(0001)窒化アルミニウムガリウムからなる群から選択された材料からなる請求項27に記載の半導体装置。
【請求項29】
第1の層は、ハライド気相成長法、有機金属化合物気相成長法、分子線エピタキシ法、液相成長法、レーザアブレーション又はこれら方法の組み合わせの1つ又は複数により生じた基板上の堆積物である請求項27に記載の半導体装置。
【請求項30】
第1の層と第2の層は、p及びn逆のドーパントを有して、p−n接合を構成する請求項27に記載の半導体装置。
【請求項31】
装置は、発光ダイオード、太陽電池又は光センサである請求項30に記載の半導体装置。
【請求項32】
基板のテクスチャ出しされた表面に対応してテクスチャ出しされた1以上の量子井戸層を更に備える請求項27に記載の半導体装置。
【請求項33】
前記量子井戸層は、複数の障壁層を備え、各障壁層は、基板のテクスチャ出しされた表面の複製を有する請求項32に記載の半導体装置。
【請求項34】
量子井戸層は、前記第1の層と実質的に同じ組成である請求項33に記載の半導体装置。
【請求項35】
装置は、発光ダイオード、太陽電池又は光センサである請求項34に記載の半導体装置。
【請求項36】
基板のテクスチャ出しされた表面は、リソグラフィ又はエッチングされた表面である請求項27に記載の半導体装置。
【請求項37】
前記III−V材料は、III−V窒化物である先行する請求項のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項38】
半導体装置を製作するための方法であって、
サファイア、炭化シリコン、酸化亜鉛、シリコン、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、及び窒化アルミニウムガリウムからなる群から選択された材料からなる基板を与える工程と、
III−V群材料からなる第1の層を基板上に堆積する工程と備え、
前記層は、基板上に成長されるときにテクスチャ出しされたものであり、前記層は、テクスチャ出しされたトポロジーを持つ表面を有することを特徴とする方法。
【請求項39】
基板は、(0001)サファイア、(11−20)サファイア、(0001)炭化シリコン、(0001)酸化亜鉛、(111)シリコン、(111)ヒ化ガリウム、(0001)窒化ガリウム、(0001)窒化アルミニウム及び(0001)窒化アルミニウムガリウムからなる群から選択された材料からなる請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記層は、過剰HClの存在下におけるハライド気相成長法によって堆積されたものである請求項38に記載の方法。
【請求項41】
第2の層を第1の層上に堆積する工程を更に備え、第2の層は、III−V群材料からなる請求項38に記載の方法。
【請求項42】
第1の層と第2の層を、p及びn逆のドーパントを伴って堆積する工程を備え、それらの間にp−n接合を形成する請求項41に記載の方法。
【請求項43】
1以上の量子井戸層を前記第1の層及び第2の層上に堆積する工程を更に備え、各量子井戸層は、第1の層の表面を複製するテクスチャを有する請求項38に記載の方法。
【請求項44】
量子井戸層を堆積する工程は、複数の障壁層を堆積する工程を含み、各障壁層は、第1の層の表面を複製するテクスチャ出しされた表面を有する請求項38に記載の方法。
【請求項45】
前記障壁層は、量子井戸層と交互に堆積され、それぞれが第1の層のテクスチャを複製する請求項38に記載の方法。
【請求項46】
半導体装置を製作するための方法であって、
サファイア、炭化シリコン、酸化亜鉛、シリコン、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、窒化アルミニウム及び窒化アルミニウムガリウムからなる群から選択された材料からなると共に、テクスチャ出しされた表面を有する基板を与える工程と、
III−V群材料からなると共に、基板の表面によってテクスチャ出しされた上面を有する第1の層を基板上に堆積する工程と、
この層の上にIII−V群材料からなる第2の層を堆積する工程と
を備えることを特徴とする方法。
【請求項47】
基板は、(0001)サファイア、(11−20)サファイア、(0001)炭化シリコン、(0001)酸化亜鉛、(111)シリコン、(111)ヒ化ガリウム、(0001)窒化ガリウム、(0001)窒化アルミニウム及び窒化アルミニウムガリウムからなる群から選択された材料からなる請求項46に記載の方法。
【請求項48】
第1の層と第2の層の堆積工程は、それらの層をp及びn逆のドーパントを伴って堆積する工程を含み、それらの間にp−n接合を形成する請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記第1及び第2の層間における基板の表面テクスチャを複製する1以上の量子井戸層を堆積する工程を備える請求項46に記載の方法。
【請求項50】
量子井戸層を堆積する工程は、1以上の障壁層を堆積する工程を更に備え、各障壁層は、基板の表面を複製するテクスチャを有する請求項49に記載の方法。
【請求項51】
量子井戸層を堆積する前記工程は、前記第1の層の組成と実質的に一致する組成を堆積する請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記III−V材料は、III−V窒化物である請求項38〜51のいずれか1つに記載の方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2007−533164(P2007−533164A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508566(P2007−508566)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/012849
【国際公開番号】WO2005/104236
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(595094600)トラスティーズ オブ ボストン ユニバーシティ (37)
【Fターム(参考)】