説明

テザー付きカプセル内視鏡の食道内配置の監視

走査軟性内視鏡はカプセル(20)に取り付けられたテザー(22)を含む。テザー(22)は、食道などの体腔内のカプセル(20)の配置を制御する。カプセル(20)が体腔を軸方向に通過移動されるとき、カプセル(20)内の走査装置(26)は体腔内の内部表面上の近傍組織を光学的に走査する。非接触センサ(638)が、テザー(22)上の標識に応答して、テザー(22)およびカプセル(20)の体腔内の相対位置を測定する。標識の形態はアナログまたはデジタルにすることができ、センサ(638)は、磁気式または光学式のどちらでもよい。ワイパ(670)が選択的に装備されて、テザー(22)がセンサ(638)を通過して体腔から抜去されるとき、テザー(22)から体液を除去する。流体パルスをテザー(22)の遠位端へ供給して体腔の膨張を引き起こすことができ、体腔内のカプセルの自由な移動を促進する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
バレット食道(BE)は食道の前癌状態、食道癌の前駆体である。バレット食道を診断する標準的な慣行では、しばしば食道管腔へ空気を吹き込んで、軟性内視鏡手技が使用される。正常な食道は、通常は明るいピンク色であり、一方、胃はやや暗いピンク色を呈する。通常、バレット食道は、食道から胃を分離している下部食道括約筋(LES)より上方でやや暗いピンク色の領域として現れる。
【0002】
この状態は食道腺癌の前兆であることが判明しているため、BEは早期に診断することが好ましい。したがって、慢性の胸焼けおよび胃逆流がある数百万人の食道の状態評価が必要になるとしても、この状態に対する一般的なスクリーニング手技を提供することが望ましい。しかし、バレット食道および初期癌は、はっきりわかる症状無しに発症することがあるため、状態をできるだけ早期に特定して治療を可能にし、発症を防ぐすなわち癌性症状の治癒的治療を提供するために、集団検診が唯一の実行可能な方法として提案されてきた。残念ながら、食道スクリーニングの予測候補者の数、および集団検診に関連する診療報酬と比べた医師による軟性内視鏡検査実施に関わる現在の費用が、伴う費用のため、現状このソリューションを非現実的にしている。
【0003】
求められるのは、バレット食道を有する人を特定する、より効率的かつ費用効果の高い方法である。医師だけが、従来の軟性内視鏡を用いる食道検査を実施することができ、したがってこの手技は比較的高額である。医師による実施を必要とせず、代わりに、訓練を受けた医療技術者または看護師によって実施可能な別の走査技術を開発することが好ましい。実際には、バレット食道の存在を、走査操作中にリアルタイムまたはその直後に自動的に検出できように、LESのすぐ近位の食道内部表面を撮像して生成される画像の評価を自動化することも望ましい。
【0004】
バレット食道を患っている可能性がある個人の集団検診を促進するには、咽頭反射を何ら起こさず容易に食道内へ導入可能な検診機器を使用することが望ましい。理想的には、この検診機器はカプセル形状筐体で実現すべきであり、そうすればコップ1杯の水で簡単に嚥下できる。したがって、この機器は、ほとんどの患者が嚥下できるように十分に小型にしなければならない。さらに、かかる機器は適切に滅菌が行われれば再使用が可能であるが、一回の使用で廃棄できるように十分低価格の検診機器を使用することが望ましいであろう。
【0005】
上記の初期の関連アプリケーションは、食道の状態評価に使用可能な画像を提供しそれによりBEを検出するのに十分適する内視鏡による、患者の食道内の位置を監視する方法を開示している。この初期の方法では、カプセルが食道内を軸方向に移動するとき回転するホイール上を、撮像機器を含むカプセル内視鏡に取り付けられたテザー(thether)が通過して、食道内のカプセルの相対位置が連続的に監視されるようにしている。食道の内部表面画像で関心領域の位置が特定され、撮影された全ての全景画像の軸方向の目盛付け(scaling)を可能にするには、カプセルの軸方向位置が重要である。しかし、軸方向位置の測定は、テザーと測定ホイールの間の摩擦接触に依存している。この方法が十分正確な結果を生成できない3つの理由がある。説明したこの初期の方法では、テザーは緊張状態を保つ必要がありかつ、この測定技術は、測定ホイールと可動テザーの間の滑りがない摩擦に依存する。ヒトの口腔および食道内の滑りやすい唾液および粘液がテザーに付着して、回転する測定ホイールとテザー間の滑りを引き起こすことがある。さらに、手技を実施する医師は、カプセル内視鏡が下部括約筋および食道の他の部分を通過するとき、テザー付きカプセル内視鏡の進みを感じたい場合があり、測定ホイール(ピンチホイールとして開示されている)によって生成された追加の付加張力がその感触の邪魔をし易い。同様に医師は、カプセル内視鏡を食道内で繰り返し上下動させたい場合があり、測定ホイールとテザーの間の摩擦に基づく測定誤差を機械系に取り込み易い。測定中の全てのヒステリシスが誤差の追加源になり得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「AutoStitch」、マシューブラウン(Matthew Brown)、http://www.cs.ubc.ca/mbrown/autostitch/autostitch.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、カプセル内視鏡の軸方向位置を監視するためのより良い技術が望まれる。使用される方法は、テザーと軸方向位置監視機器の間が実際に接触せず、テザーの動きを検出することによって、カプセルの動きを監視すべきである。唾液および粘液の存在が、使用される監視技術に与える影響は最小でなければならず、カプセル内視鏡が上下動するときの感触は、カプセル位置の監視に使用される機器から干渉されることなく、医師によって容易に体験することができなければならない。
【0008】
[発明を解決するための手段]
SFE(光学式走査内視鏡)は、走査機器を有する走査カプセルと、体腔内の走査カプセルの位置を制御するためにカプセルに結合されたテザーとを含む。テザーの表面を体液が覆う結果、誤差を取り込むことがなく、走査カプセルの少なくとも相対位置を監視し、体腔内の走査カプセルの位置を制御している医師の「感触」を邪魔することを避けることが重要であるため、本機能を実現する新規の方法が開発された。したがって、本方法は、体腔内の走査カプセルの相対位置監視を可能にする。カプセルに連結された遠位端を有するテザーが、体腔の外部へ延び、このテザーが、体腔の内部表面の画像を生成するのに便利な走査カプセル内に生成される走査信号を運ぶ。本方法は、テザーの少なくとも一部の軸方向長さに沿って、位置を示す標識(indicia)を設けるステップを含む。テザーに物理的に接触する必要なしに、標識に応答するセンサを用いて、標識が自動的に感知され、テザーの位置すなわち走査カプセルの体腔内軸方向の配置を示す位置信号が生成される。
【0009】
予測参照位置を示すために、少なくとも1つの非数値可視参照マークがテザー上に設けられる。したがって本参照マークは、テザー上の非数値可視参照マークによって提供される可視指示に基づいて、ユーザが手操作で、カプセルを所望の位置付近に位置決めすることを可能にする。必須ではないが、体腔は食道を含むことができる。食道の場合、この予測参照位置は、いつカプセルが食道内の胃食道接合部付近に配置されるかを示すテザー上の位置に対応する。この少なくとも1つの非数値可視参照マークの遠位および近位両方に、追加の複数の非数値可視参照マークを備えて、予測参照位置の両側の位置または距離を可視的に示すことができる。
【0010】
例示的一実施形態では、テザー上の標識によって生成される磁界の変動パラメータに応答して、位置信号を生成するため、標識を自動的に感知するステップは、磁気センサを用いるステップを含むことができる。生成される位置信号は、デジタル位置信号またはアナログ位置信号のどちらでもよく、そのどちらも、磁気センサ近傍の、テザーの軸方向長さに沿った現在位置を示す。
【0011】
別の例示的一実施形態では、テザーの軸方向長さに沿って変化する標識の光学パラメータに応答して位置信号を生成するために、光学式センサを使用することができる。この場合も同様に、位置信号を生成するステップは、デジタル位置信号またはアナログ位置信号のどちらを生成してもよく、そのどちらも、光センサ近傍の、テザーの軸方向長さに沿った現在位置を示す。標識は、複数パラメータの群から選択された少なくとも1つのパラメータに応答して位置信号を生成する、光学コードを含むことができる。これらのパラメータは、光センサによって感知される光学コードの色と、光学コードによって示されるデジタル値と、背景領域から反射される光強度と対比した光学コードから反射される光強度と、デジタル情報を伝達する光学コードのパターンと、光学コードを備えるマークの相対寸法と、光学コードを備えるマークの形状と、背景領域から分散する光と対比した光学コードによって分散する光と、光学コードによって反射される、または吸収される光の波長とを含む。
【0012】
さらに別の例示的一実施形態では、テザー上の標識を監視するために追加のセンサを備えて、体腔内のカプセルの相対位置がそれによって決定される分解能を上げることができる。
【0013】
標識を設けるステップは、標識を長手方向に延びるテープとしてテザーに添付することによって、または、標識を長手方向に延びる被膜としてテザーに適用することによって、標識を適用するステップを含むことができる。任意選択で、標識を、その上に適用される保護被膜によって保護することができる。いくつかの例示的実施形態では、本方法は、テザーが体腔から抜去され位置センサを通過する前に、テザーから体液を優しく拭き取るためのスクレーパを備えるステップを含むことができる。
【0014】
いくつかのアプリケーションでは、例示的方法は、体腔内のカプセルの参照位置を、標識に対して相対的に決定するステップを含んで、カプセルの体腔内の位置を決定する。例えば、体腔の内部表面の画像に基づいて、体腔内の既知の位置へカプセルを移動することによって、参照位置を決定することができる。既知の位置にカプセルを配置することが、つまり参照位置を示し、次にその参照位置を使用して、カプセルを体腔内で移動させるためにテザーが使用されるときにカプセルの次の位置を決定する。
【0015】
本技術の他の態様は、体腔の内部表面を走査して画像を生成するために使用されるカプセルの、体腔内相対位置を測定する例示的機器を対象とする。本機器は、全体に上記方法と一致するテザーおよび非接触位置センサを含む。
【0016】
さらに本技術の他の態様は、体腔の外側へ延びる近位端を有しカプセルを移動させるために使用されるテザーに連結されたカプセル内の、走査機器によって生成される画像に関して、体腔内関心領域の軸方向範囲を測定するための例示的方法を対象とする。本方法は、カプセルがテザーによって体腔内を通って移動する距離を、体腔外側に配置されたセンサを通過したテザーの移動を監視することによって測定するステップを含む。体腔の内部表面の一連の画像は、テザーを使用してカプセルを体腔内軸方向に移動させるときに撮影される。体腔の内部表面の関心領域は一連の画像の中で検出され、軸方向の関心領域の開始に対応する体腔内のカプセルの第1の位置と、軸方向の関心領域の終了に対応する第2の位置とに基づいて、テザーがカプセルを移動させる第1の位置と第2の位置の間の距離を参照して、関心領域の軸方向範囲が測定される。また、以下の開示は、この距離測定機能を実行するための機器である。
【0017】
さらに本技術の他の態様は、食道の内部表面を撮像する走査装置を有するカプセルを使用する方法を対象とし、その方法では、カプセルは、カプセルを食道内および胃食道接合部を通過して移動させるためのテザーに結合されている。本方法では(および対応機器に関して)、カプセルを食道内を胃食道接合部近傍の位置へ移動するためにテザーが使用される。次に、加圧流体パルスが、カプセル近傍の領域へ供給される。加圧流体パルスは、食道下部の自主的な膨張を引き起こし、それによって、カプセルの胃食道接合部の通過および患者の胃への出入りの移動を促進すると同時に、カプセル内の走査装置を使用して食道の内部表面を撮像する。
【0018】
この概要では、以下の説明でさらに詳細に説明されるいくつかの概念を簡単な形態で紹介してきた。しかし、この概要は、特許請求されている主題の主要なまたは必須の特徴を特定するものでも、特許請求されている主題の範囲を決定する助けとして使用されるものでもない。
【0019】
1つまたは複数の例示的実施形態およびそれに対する変更形態の種々の態様および付随する利点が、添付の図面と併せて以下の詳細説明を参照することによってより理解されるとき、より容易に評価されよう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1A】食道および胃を示し、本発明を用いて1つの体腔をどのように容易に操作することができるかを説明する概略図である。
【図1B】BE状態を検知するために食道の所望の位置を操作するために本発明がどのように制御可能に配置されるかを示す、図1Aの食道および胃の一部の概略図である。
【図2】本発明の一実施形態の拡大斜視図であり、その中に使用される走査装置によって提供されるFOV(相対広角視野)の図である。
【図3】患者体内の管腔の内部表面を監視し、診断を出し、治療を提供するのに便利な、本発明による走査システム内の信号の機能的流れのブロック図である。
【図4】本発明に連結して、走査レンズ付き光ビーム走査装置として使用される、微小レンズ付き走査光ファイバ駆動用アクチュエータを有する走査装置実施形態の図である。
【図5】本発明に使用される走査装置に連結して、異なる走査角度の結像スポット直径の変化を説明する、点光源撮像実施形態の概略図である。
【図6A】本発明の走査装置に使用する、時系列光検出器と撮像レンズとを装備する走査点光源照明装置の概略図である。
【図6B】本発明の走査装置に使用する、走査レンズと検出器を備えた走査光ビーム照明装置の概略図である。
【図6C】光ファイバのバンドルおよび単一同心光ファイバを使用する走査装置用構成の概略図である。
【図6D】遠位の赤緑青(RGB)光フィルタおよび立体幾何学を用いる検出と、前面および側面を向いた空間配置の検出器を用いてバックグラウンド散乱を差し引きする能力とを有する走査装置の側面概略図である。
【図6E】遠位の赤緑青(RGB)光フィルタおよび立体幾何学を用いる検出と、前面および側面を向いた空間配置の検出器を用いてバックグラウンド散乱を差し引きする能力とを有する走査装置の端面概略図である。
【図6F】遠位の光偏向フィルタと立体幾何学を用いる検出と、前面および側面を向いた空間配置の検出器を用いて管腔内部表面上の表面組織からの信号を強化する能力とを有する走査装置の側面概略図である。
【図6G】遠位の光偏向フィルタと立体幾何学を用いる検出と、前面および側面を向いた空間配置の検出器を用いて管腔内部表面上の表面組織からの信号を強化する能力とを有する走査装置の端面概略図である。
【図7A】光ファイバ位置センサを遠位に備え、近位光ファイバ収光器を備える光検出器を近位に配置し、擬似立体画像を取得する能力がある走査装置の構成の概略図である。
【図7B】二色性フィルタと結合した可視およびUVレーザ光源からの放射を使用する、本発明と共に使用するための光ファイバ走査システムの概略図である。
【図7C】光ファイバ結合器と直列に結合した可視およびIRレーザ源からの放射を使用する、本発明と共に使用するための光ファイバシステムの概略図である。
【図8A】本発明に使用可能な、薄膜すなわちMEMS(微小電気機械)システム走査装置の一実施形態の上面図である。
【図8B】本発明に使用可能な、薄膜すなわちMEMS(微小電気機械)システム走査装置の一実施形態の、図8Aの断面線8B−8Bに沿った側面断面図である。
【図8C】本発明に使用可能な、薄膜すなわちMEMS(微小電気機械)システム走査装置の一実施形態の、図8Aの断面線8C−8Cに沿った端面図である。
【図8D】管腔の内部表面を照明するための一対の薄膜平行片持ち梁を含む他の実施形態の端面図である。
【図9】BEを対象とした一般集団の集団検診中に発生する可能性がある、本発明を用いて患者の食道の自動走査および診断的評価を実行する医師の図である。
【図10】本発明と共に使用するための光ファイバ走査装置システムの機能的入出力要素のブロック図である。
【図11A】本発明によるカプセルおよび走査装置を用いる、光学的治療の供給および監視の機能を備える、癌撮像、検診、および生検が統合されたシステムの機能的ブロック図である。
【図11B】本発明によるカプセルおよび走査装置を用いる、立体写真手術支援および表示機能を備える、癌撮像、検診、および診断が統合されたシステムの機能的ブロック図である。
【図12】テザー上に備えられた光学標識に応答して、テザーの位置すなわちテザーに連結された走査カプセルの患者食道内の位置を測定するために使用される非接触光センサの例示的一実施形態の側面概略図である。
【図13】テザー上に備えられた磁気標識に応答して、テザーおよび走査カプセルの患者食道内の位置を測定するために使用される非接触磁気センサの例示的一実施形態の側面概略図である。
【図14】テザーおよびカプセルの配置を監視する非接触センサが、SFE(走査ファイバスコープ)親機の機能的構成要素にどのように結合されているかを説明する例示的概略ブロック図である。
【図15】テザーが患者の食道から抜去され、食道内のテザーおよびカプセルの位置を測定する非接触センサを通過するとき、例示的弾性スクレーパがどのように使用されて、テザーから唾液および粘液を拭い取るかを示す、テザーの一部の概略正面図である。
【図16】取り付けられたバルーンを有し、管腔内で膨らませられたバルーンが示されているカプセルの概略図である。
【図17】管腔を通り抜けてカプセルを前進させる筋肉組織の蠕動を引き起こす電極を有するカプセルの概略図である。
【図18】細胞診ブラシなどの生検用器具が通過前進して、管腔の内部表面から生体組織を取る環状チャネルを含むテザーを有するカプセルの概略図である。
【図19】管腔の内部表面の全景を網羅する必要があるとき、テザーをどのように使用してカプセルを回転させることができるかを示す、対向する管腔内部表面を同時に横方向に撮像するためのピラミッド型ミラーを有するカプセルの概略図である。
【図20A】例えばアナログパターンに応答する光センサによって生成されるアナログ信号に基づいて、非接触センサが、食道内のテザーおよび取り付けられたカプセルの位置を決定できるようにする、テザーに適用される例示的アナログパターンの一表現の図である。
【図20B】例えばデジタルパターンに応答する光センサによって生成されるデジタル信号に基づいて、非接触センサが、食道内のテザーおよび取り付けられたカプセルの位置を決定できるようにする、テザーに適用される例示的デジタルパターンの一表現の図である。
【図21】食道など、体腔内のテザー/カプセルの相対位置を決定するために、テザーに適用される2色光学パターンに応答するための、レンズを備える2重の光センサを含む例示的一実施形態の概略図である。
【図22A】透明被覆によって保護されたデータ層上に適用されたデータを備える、一例示的テザーの概略破断図である。
【図22B】図22Aの断面線22Bに沿った、テザー、データ層、および保護皮膜の横断面図である。
【図23】食道が胃に結合される胃食道接合部付近にカプセルが配置されるように、食道内へ挿入されなければならないテザーの予測部分を示す可視マークを備えるテザーの例示的図である。
【図24】食道が自発的に拡張するように、空気(または他の液体)の加圧パルスを、カプセルの近位の点へ搬送する通路を含む例示的一実施形態の概略図である。
【図25】空気(または他の液体)の加圧パルスを、カプセルの近位の点へ搬送するために使用される近傍の外部チューブを含む、他の例示的一実施形態の概略図である。
【図26】外部チューブが、テザー上を摺動し、空気(または他の液体)の加圧パルスをカプセルの近位の点へ搬送するために使用される、他の例示的一実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図および開示された実施形態は限定的なものではない。
【0022】
例示的実施形態が図面の参照図に説明されている。本明細書に開示された実施形態および図は、限定するものではなくむしろ事例と理解すべきである。本技術の範囲および後出の特許請求の範囲に関するいかなる限定も、図面に示された事例および本明細書内の議論には帰属しない。
【0023】
走査カプセルの例示的アプリケーション
走査カプセルの例示的一実施形態は、当初、医師との対話を必要とせずにBEを検出するための、比較的低コストの一般集団の集団検診を提供するためのソリューションとして考え出されたが、この実施形態が、走査、診断の提供、治療の提供、およびそのように患者の体のほぼ全ての管腔の内部表面に提供された治療状況の監視にも、一般的に適用可能であることは明らかであろう。したがって以下の議論は、しばしば、BEの検出における走査カプセルのアプリケーションを強調するが、本機器のアプリケーションは、何らその特定アプリケーションに限定されものではない。
【0024】
図1Aは、胃12、食道14、および下部食道括約筋(LES)16を示す概略図10を含む。LES16は通常は逆止弁の役目を果たし、開放して食道14に嚥下された食物が胃12へ自由に通過できるようにするが、通常は酸および食物が胃12内部から食道14内へ逆行するのを防止している。しかし、「発明の背景」に述べたように、慢性の胸焼けおよび胃食道逆流で苦しむ人達は、LES16を通過して食道14の下部へ入る胃酸の結果として、しばしばBEを経験する。BEで苦しむ患者は、食道14を含む管腔の内部表面が、LES16のすぐ上の領域18で、その通常の薄いピンク色から暗いピンク色に変わっているかどうかを判定することによって検出することができる。例示的走査カプセルは、食道14内の領域18の容易な走査を可能にし、BEをはっきり示す内部表面の暗いピンク色がその中に存在する画像を生成する。より重要なことは、以下にさらに詳細に議論するように、走査カプセルは、走査工程が自動化した方法で実行されるようにできる可能性があるため、手技の訓練を受けた技術者または看護師などの医療実施者によってBEの検出が完遂でき、通常は何ら医師との直接対話が不要ということが意図されている。
【0025】
食道を走査できる方法が図1Bに説明されている。その中に示したように、本目的に適した寸法および構成であるカプセル20が、食道14内部を通って進められ、ちょうど胃12の内へ通過している。カプセル20は食道14を通って上へ延び、患者の口腔から出るテザー22に連結されている。カプセルの筐体24は、大きなビタミン錠剤位の寸法例えば長さ15mm×直径7mm位で生体適合性があり、胃酸または他の生物学的液体に影響を受けないプラスチック材料からなる。テザー22は極めて柔軟で、直径が比較的小さく、例えば約1mmである。筐体24内で、カプセル20は、走査装置26を駆動的に移動してFOV(視野)30内の管腔内部表面を走査するアクチュエータ28を含む。患者にBEがあるかどうかを判定するために使用されるとき、カプセル20は、一般にLES16を通過して抜去されるため、FOV30は領域18を網羅する。すなわち走査装置26により提供される領域18の画像が評価されて、食道14の内部表面上の組織が、BEを示す暗いピンク色に変わっているかどうかが示される。カプセル20が最初に胃12の方へ下降するとき、食道14の内部表面が走査され、画像化されることも明らかであろう。
【0026】
図2は、カプセル20の本実施形態のさらに詳細を説明している。カプセルの他の例示的実施形態のいくつかは以下に議論される。筐体24の前方すなわち遠位端32は光学的に透明であるため、本例示的実施形態内の走査装置26を含む振動式光ファイバによって放射される光は、複数のレンズを含む光学システム34を通過することができ、その光が、カプセル20が配置される食道または他の管腔の内部表面に到達する。内部表面は、他の波長帯の光を使用する走査装置26によって照明されることができるが、本例示的実施形態では、管腔の内部表面は白色光を使用して照明される。内部表面から反射された光は、RGB(赤、緑、および青)の複数のセンサ36r、36g、および36bそれぞれによって検出される。食道すなわち管腔の内部表面を照明するために使用される白色光は、テザー22内に配置された光ファイバ(個別に図示せず)を通って、走査装置26へ伝達される。複数のRGBセンサによって生成される信号は、走査された内部表面の部分に対応する画像を生成する処理のために、テザー22内の導線(図示せず)を通って送り戻される。以下に議論される代わりの例示的実施形態では、内部表面から反射された光は、テザー内の光ファイバを通って患者の体外の検出器まで近位に伝達される。
【0027】
図2の例示的実施形態は位置センサ38も含み、患者の体内のカプセル20の位置および任意選択で向きを示す信号を生成することによって、患者の体外にある信号源(図示せず)によって提供される外部信号に応答する。電磁気信号に応答する適切な位置センサは、例えばアセンションテクノロジ社(Ascension Technology)から入手可能である。位置センサ38は、電磁界、RF信号、組織を貫通し管腔まで通過するよう選択された波長の光信号、または他の適切な信号に応答することができる。代替として、位置センサ38は信号源で置換することができ、これが外部センサ(図示せず)と連結して使用されて、患者体内のカプセル20の位置および任意選択で向きを決定することも意図されている。外部信号源または位置センサは、信号源または位置センサを患者の胴体の特定位置に包帯で縛ることによって、患者の体上の特定位置に配置されて参照を提供する。
【0028】
化学センサ40が任意選択で含まれ、化学的パラメータを感知する。例えば、化学センサ40は、管腔内の水素イオン濃度すなわちpHを検出できる。代替として、または追加で、化学センサは温度センサを含んで、管腔の内部温度を監視することができる。同様に、圧力センサを化学センサに追加またはその代わりに使用することができ、したがって、これはこれらセンサのどれか1つまたは全てを代表することが意図されている。
【0029】
追加の選択肢として、選択的に解放できる連結42が備えられ、望むときに、テザーからカプセルの連結を空圧的あるいは電気的に解放することができる。このように、テザーとの連結を解かれると、カプセルは体腔を通って搬送されることになり、管腔が消化管と関連している場合、カプセルは通過して排泄されることになる。解放可能な連結は加圧パルスによって作動され、加圧パルスは、外部発生源(図示せず)からテザー22内の管腔(図示せず)を通って伝播される、または電気信号によって作動させることができ、電気信号はテザー内の導線を通って提供される電流を用いて、解放可能な連結42を磁気的に作動させる。同様の解放可能な継手をも、または代替としてテザーの近位端近くに備えて、テザーおよびカプセルを解放して共に管腔を通って通過させることができる。
システム処理概要
【0030】
図3は、カプセル内部の種々の構成要素によって生成された信号を処理するための、外部機器類を備えるシステム50を説明し、システムを制御するために使用される信号がどのようにこれら構成要素に入力されるかを示している。統合された撮像機能および他の機能性を提供するために、システム50は、このように、患者の体外にあるこれら構成要素と、カプセル内にある構成要素(すなわち、そのいくつかが本発明が使用されるアプリケーションに応じて任意選択である点線52内の構成要素)とに分割される。ブロック54は、このように、カプセル内に配置することができる機能的構成要素を記載している。図に示したように、これら構成要素は、照明光学系、1つまたは複数の電子機械式走査アクチュエータ、1つまたは複数の走査装置制御アクチュエータ、走査装置動作制御用の1つまたは複数の走査装置動作検出器、関心領域(ROI)を撮像するための光検出器(管腔の内部表面から外部検出器へ反射される光を伝達するために、テザー内に光路が備えられていれば、これらの光検出器は代替として外部に配置可能)、ならびに任意選択で、診断目的および治療と監視目的用の追加の光検出器(これらも、カプセルおよび患者の外部に配置可能)を含む。システム50に関しては、食道の撮像など特定のアプリケーションに実際に必要な機能的構成要素のみが含まれてもよいことに留意されたい。また、撮像の他の追加機能は、診断または治療、あるいはこれらの機能の組合せとすることができ、内部部位の組織の生検の実施を含んで、適切な検査法を実施することによって引き続き評価することができる。各々異なる走査装置に関連する複数のアクチュエータを含むカプセルの具体的な実施形態は図示されないが、本明細書に開示された走査装置が比較的小型であることから、そのような走査装置の配列を提供して、走査される総面積を増やすことが可能であることは明らかであろう。そのような走査装置はそれぞれ、独自のアクチュエータ、ならびにその走査装置によって走査された領域からの光を検出する検出器、または1つもしくは複数の外部検出器へその光を伝達するための導波管のどちらかを備えることになる。
【0031】
照明光学系は、ブロック56に示すように、照明光源および変調器から外部的に供給された光である。光ファイバシステムの遠位端へ伝達されるRGB、UV、IR、および/または高強度光を生成する外部光源システムの種々の好ましい実施形態に関するさらに詳細が、以下に開示される。ブロック58は、照明光源、変調器、フィルタ、および検出器が、カプセル内の電気機械式走査アクチュエータおよび/またはカプセル内に備えられた走査装置制御アクチュエータへ任意選択で結合されることを示す。走査装置動作検出器は走査制御に任意選択で使用され、走査装置アクチュエータ、照明光源、および変調器へフィードバックされる信号を生成して、必要であればより精密な走査を実行する。
【0032】
ブロック60では、撮像光検出器および診断/治療および監視目的のために使用される他の光検出器によって生成された電子信号を用いて、画像信号フィルタリング、バッファリング、走査変換、増幅、および他の処理機能が実行される。ブロック56、58、および60は、双方向的に相互接続されて、各ブロックそれぞれによって実行される機能を促進する信号を伝達する。同様に、これらブロックのそれぞれは双方向的に接続されてブロック62と通信しており、その中で、アナログ/デジタル(A/D)およびデジタル/アナログ(D/A)変換器が備えられて、画像取得と処理、関連プログラム実行、および他の機能に使用されるコンピュータワークステーションユーザインタフェースへ供給される信号を処理する。コンピュータワークステーションは一般集団の集団検診に使用可能で、そのとき、ほぼリアルタイムの結果が提供され、通常は医師による評価が要らないように、食道内を走査することによって生成される画像を処理するようにプログラムされて、BEを検出する。
【0033】
コンピュータワークステーションからの制御信号はブロック62へフィードバックされ、ブロック56、58、および60内に備えられた各機能を制御するまたは作動させるのに適したアナログ信号に変換される。ブロック62内のA/D変換器およびD/A変換器も、データストレージが備えられたブロック64、およびブロック66に双方向的に接続されている。ブロック66は、走査装置を備えたカプセルを患者の体内の管腔の中で操作、位置決め、および安定させるためのユーザインタフェースを示す。管腔内のカプセルの位置を決めるための種々の例示的技術の追加の記述が以下に議論される。管腔内のカプセルの位置を操作、位置決めするための技術は、以下にさらに詳細に議論される。また、管腔内のカプセルの位置を安定させるための技術も議論される。
【0034】
ブロック64では、データストレージは、患者の体内の検出器によって生成される画像を保存するために、およびカプセル内の走査装置によって実行される撮像および機能に関連する他のデータを保存するために使用される。ブロック64もまた、コンピュータワークステーションおよびブロック70内の対話型表示モニタに双方向的に接続されている。ブロック70はブロック60から入力を受け取り、管腔内部表面上のROIの画像を対話形式で表示可能にする。さらに、1つまたは複数の受動画像表示モニタを、ブロック72に示すようにシステム内に含んでもよい。他の種類の表示機器、例えばヘッドマウントディスプレイ(HMD)システムを備えて、医療実施者が管腔内のROIを擬似立体画像として見ることができるようにすることもできる。
【0035】
図4は、カプセル内で使用可能な走査装置120の例示的一実施形態を説明している。走査装置120は、電気機械式機器または圧電セラミックチューブアクチュエータ122を含み、これが片持ちの光ファイバ124内に第1のモードの振動共鳴を引き起こす。本例示的実施形態では、片持ちの光ファイバは、その遠位端のコリメータレンズ126、および走査レンズ128を含み、走査レンズ128は、コリメータレンズを通って通過した光ビームを、一般に管腔の内部表面上の領域を含むことになる照明平面132上に直接集光させる。走査レンズ128によって集光された光は、照明平面132上にPSF(点広がり関数)134を形成し、片持ちの光ファイバが移動すると、PSF134’は照明平面上を移動する。片持ちの光ファイバ124は、矢印130によって示されるように、単一軸に沿って走査するように制限されることができるが、光ファイバが例えば螺旋パターンに二次元的に走査するように光ファイバを移動させるアクチュエータを使用するのが一般には好ましい。しかし、線形単軸アクチュエータによって生成される高増幅共鳴振動では、その結果得られる光ファイバの動作は、機械的力の非線形クロスカップリングのため二次元になることがある。すなわち、二次元(2−D)走査には2軸アクチュエータは必要ない。
【0036】
図5は、本発明に使用される走査装置の利点を図式説明している。そのような光ファイバ走査装置は、走査された点光源被写体面を、拡大画像面に撮像することによって120度FOVを容易に実現でき、これが管腔の内部表面上の領域を一般に含む。光ビーム走査を説明している図4と対比して、図5は、微小レンズと走査レンズの組合せではなく撮像レンズを使用する点光源撮像の例示的一実施形態を表している。図5はまた、レンズ142および144を含む光学システム140の例示的一実施形態に対して、照明に使用される光の相対ガウスビーム直径を、0から45度の間の異なる複数の角度で、説明している。本実施形態では、反射光の検出は、レンズ144の外表面上および周り(レンズのこの部分は照明光を透過しない)に配置された光検出器146を使用して行われ、または代替として、走査されている領域から反射された光を集め、光ファイバを通って外部検出器(図示せず)へ伝達することもできる。断面に示したが、光検出器146は、レンズ144の全周囲周りを包み、図示のように網掛けを施したその光感知部によって、その前側表面上および全側面上の両方の光を積極的に検出することが理解されよう。
【0037】
図6Aおよび6Bは、カプセル内で使用するための2D走査点光源照明装置240および光ビーム照明装置240’の実施形態を説明している。図6Aでは、点光源照明装置240は、患者体内の管腔内部表面のROIを走査する、カプセル内の光ファイバ242を通る点光源照明を供給することができる。カプセル(図示せず)内で、走査光ファイバによって、提供される点光源の所望パターンの移動が引き起こされると、走査光ファイバによって放射された光は、撮像レンズ244a、244b、および244cを通って透過して、ROIの異なる複数の点を照明する。実線で図示した位置では、光ビーム246が、ROIの特定の部分を照明し、一方点線で説明した部分では、走査光ファイバはROIの異なる部分を照明する光ビーム246’を生成する。走査光ファイバによって照明された一連の点のそれぞれから反射された光は、反射されて像レンズ244c、244b、および244aを通って戻り、それぞれRGB光検出器245r、245g、および245bによって受けられ、対応する電気信号が生成されて患者の体外へ送信され、ROIのフルカラー画像を表示するのに使用される。代替として、テザーを通って患者の体外に配置された外部光検出器へ、光を伝達してもよい。
【0038】
さらに、走査光ファイバ242を使用して、管腔の内部表面に治療を提供することができる。例えば、走査光ファイバ242によって走査される点を、比較的高出力のレーザを使って照明することによって、薬物活性化(drug activation)またはPDT(光治療(photpdymanic therapy))、または温熱治療用の高強度光をROIに適用することができる。RGB光検出器によって生成された信号はROI内の一連の点に対応するため、それらが生成する信号によって生じる画像は、画素データの時系列累積に基づいている。走査光ファイバ242は、好ましくは通信グレードまたはそれ以上の単一モードまたは中空光ファイバである。本統合システムの1つの重要な利点は、視覚画像を生成するために使用される機構が、診断、治療、および手術手技で使用されるものと同じであることである。画像取得用に使用される有向光照明が、高度な診断および治療のほとんどを、体腔を通過する寸法大のカプセル内のこの単一撮像システムに統合することを可能にする(走査エンジン、表示器、およびユーザインタフェースを共有することによって)。
【0039】
図6Bは、カプセル(図示せず)内で使用するための走査光ビーム照明装置240’を説明しており、ちょうど図6Aに示した例示的実施形態のように、走査光ファイバ242を含んでいる。しかし、走査光ビーム照明装置240’は、撮像レンズを使用する代わりに、走査光ファイバの遠位端に取り付けられたコリメートレンズ243、および走査レンズ244’を使用している。光ファイバ242を通って伝達された光は、それがカプセル内を移動すると、コリメートレンズ243によって平行にされ、その後患者体内の管腔内部表面のROIに応じて、平坦な照明平面233bまたは湾曲した照明面233c上に集光される。走査光ファイバが移動するとき走査される一連の点のそれぞれから反射された光は、走査レンズ244’を通って戻り、RGB光検出器245r、245g、および245bによって検出され、それぞれライン248上にRGB信号を提供し、画素ごとに累積されたデータによって画像を生成するのに使用される。
【0040】
照明面では、光放射のビームが集光して、走査の全モードの目的である最大強度および/または光学品質を実現する。組織が照明面に一致するとき、光放射照度は、屈折力および組織上の光スポット寸法の関数である。すなわち、撮像、診断、および治療に関して、カプセル内に配置された走査装置の分解能は、画像面におけるこの点の寸法によって決まり、およびサンプリング密度(すなわち組織の単位面積あたりのサンプル)によって制限されることもあり、これはより高い分解能が、単位面積あたりにもっと多い走査線を供給することによって達成されるからである。画像取得に関しては、画像分解能は、照明スポット寸法、検出器帯域幅(および走査速度)、および信号対イズ比(照明強度および集光効率)によって決まるが、物理的寸法または光検出器の数には制限されない。
【0041】
診断および治療は、正確な空間識別を必要とするため、有向照明を供給前に前もって較正する必要性がある。光学撮像を、カプセル内に提供された診断および治療的走査と統合することによって、医療実施者は、表示された画像を見ることによって容易に光学走査の空間識別ができ、次に、カプセルが配置される管腔内の診断的および治療的アプリケーションに進むことができる。最後に、コンピュータ画像キャプチャ回路および画像処理ソフトウェアの統合によって、画像、診断、および治療データを画素ベースで解析することが可能になる。各画素は、組織の同じ面積または体積に対応するため、単一ファイバ統合システムは、全3機能すなわち撮像、診断、および治療用の空間登録を維持する。全3機能に対する同じ観点からの一貫した空間登録が、管腔を通過するカプセル内に提供される単一光ファイバ走査システムを高精度にし、かつ医療実施者が使い易いものにする。
【0042】
比較的小さいカプセル内に統合された本走査機器を使用することによって与えられる利点は以下の通りである。
統合によるより小さな寸法、
患者のセデーション(sedation)がわずか、または不要、
テザー付きカプセルを患者の食道内へ挿入するのに医師が不要、
統合および低価格構成要素により低費用、
低屈曲剛性によって、体の種々多様な管腔内により優れた挿入が可能、
より迅速な手技時間、特に繰り返し治療が必要な場合、
統合型高分解能撮像装置および対話型ディスプレイによるより高い精度、
可変分解能(リアルタイムズーム)および強化立体効果(陰影付けなど)など、走査光学システムによる追加機能、
統合された非可視光源および検出器による追加機能性、
複数器具または管腔内複数回挿入による患者の感染リスクが低い、
健康な組織の損傷が少なく患者の回復時間が速い、および
慢性疾患の監視用に長期間体内留置が可能。
【0043】
図6Cは、共焦点走査装置として使用するための、本発明のカプセルと一緒に容易に使用される同心光ファイバアセンブリ280の一部を説明している。光ファイバアセンブリ280は比較的小さい中心光ファイバ284を含み、これがクラッド286によって取り囲まれている。直径が大きい光ファイバが小さい光ファイバを取り囲む。ROIの照明は小さい直径の光ファイバ284を通って提供され、それによって照射された光は、レンズ288a、288b、および288cを通過してROIを照明する。反射されたまたはさもなければROIから受けた光は、これらのレンズによって集光され、光ファイバアセンブリ289内へ戻され、受けた光は、テザーを通って検出器および患者の体外に配置された他の機器類へ伝達される。単一の光ファイバは、このいわゆる同心共焦撮像の中で、ROIの照明およびROIからの光の外部機器類への伝達を行うことができることに留意されたい。同心光ファイバ幾何形状は単一機械ユニットであり、プレフォームから加熱引抜きされたとき共に溶融されるか、あるいは、ガラスファイバを半径方向にドーピングすることによって、屈折率差がある同心領域を製造可能である。管状の圧電アクチュエータ282は、複数の同心光ファイバを一緒に移動させ、そのようにして上記のモードの1つでROIを走査する。周辺の光ファイバ内に集光された光は、反射された共焦点から半径方向に増加する距離にある検出器または光ファイバからの信号と共に使用されて画像解析を強化し、診断、撮像、および治療用の光の貫入深さを改善する。極端に高い利得または識別検出設定の場合は、後方散乱光を導波管の同じ部分に集光してもよい(例えば、光ファイバのコア)。そのようなアプリケーションは、光学コヒーレント特性を使用して小さい信号レベルを増幅し、光学コヒーレントOCR(反射率測定)またはOCT(光学コヒーレント断層撮影)、あるいはレーザ励起フィードバックに基づいて診断マップを生成する。
【0044】
図6Dおよび6Eは、本発明のカプセル内で便利な走査装置の実施形態を説明しており、RGB、UV(紫外)、およびIR(赤外)のスペクトル要素用の検出器を含む。光ファイバアセンブリ295は、カプセル(図示せず)内の担体293上に取り付けられた内部アクチュエータ291を含む。開口298を有する筐体内に封入された光ファイバ300は、アクチュエータ291の遠位に延び、内部アクチュエータ、好ましくは管状圧電タイプ、によって移動されて、螺旋または渦巻き型走査など所望の走査パターンを実現する。図6Eに説明されているように、RGB検出器292および294は、光ファイバ300の上下に配置される一方、RGB検出器306および308は、光ファイバの左右に配置される。さらに、これらの図に示されているように、RGB検出器290および296は、アセンブリの外表面上、その上部および底部に配置される。同様な方法で、RGB検出器302および304は、図6Eに説明されているように、検出器の左右側面に取り付けられている。UV検出器310および312は、RGB検出器の一方の対角線上に取り付けられている一方、IR検出器314および316は他の対角線上に取り付けられている。したがって、本発明のカプセル内から管腔の内部表面上の組織を撮像するとき、このアセンブリ上に含まれる種々の検出器によって受光されたRGB、UV、またはIRスペクトル要素に対して、擬似立体画像が生成される。複合的なRGB検出器からの信号を比較し、テザー付きカプセルの管腔内の向きを知ることによって、鏡面反射および複合的分散による信号のレベルが推定され、適切な信号処理によってこれを低減することができる。
【0045】
図6Fおよび6Gはファイバアセンブリ295’を説明しており、その中に平行偏向光および直行偏向光検出器がその中に含まれている。光ファイバ300は、参照番号328によって示されるように、平行方向に偏向された光を伝達する。図6Gに示すように、光ファイバ300の対向する側面上に平行偏向光検出器334および336が配置される一方、光ファイバ300の上下に直行偏向光検出器324および326が配置される。さらに、直行偏向光検出器320および322が直行偏向光検出器324および326の上下に配置される一方、平行偏向光検出器329および330が平行偏向光検出器334および336の左右に配置される。すなわち、光ファイバアセンブリ295’は、カプセル内で両方向の偏向光を検出するのに便利であり、患者の体外に配置され、カプセルに結合されたテザーを通って検出器出力信号を受け取る機器類(これらの図には図示せず)による解析のため、光が管腔の内部表面上のROIから反射されるまたは受光する。種々の偏向光検出器によって生成される信号は、特定種類の偏向に対応して、外部表示用に、管腔内側の組織の画像を生成するために使用することができる。組織との相互作用によって偏向の中で偏移(shift)された光を記録することによって、鏡面反射は最小化される。組織からの偏向の程度は、組織の光学特性に一部は依存するため、偏向の両軸を測定することによって、種々の組織の種類および深さを識別することができる。
【0046】
図7Aは、管腔内部表面上のROIの擬似立体画像を提供すること、および管腔の外部で分光光度計を使って解析することができるスペクトル画像を取得することの両方を目的とした、カプセルと共に使用することができる例示的な走査および検出システム266を説明している。このシステムでは、管腔を通って患者の体外へ延びるテザーを備える光ファイバアセンブリ250は、遠位端が先細りで、かつ圧電アクチュエータ254によって取り囲まれる光ファイバ256を含む。アクチュエータ254は、光ファイバ256に振動とROIの走査を引き起こし、レンズ258aおよび258bを通過する放射光に管腔(図示せず)の内部表面を照明させる。この組織のROIから反射された光、または別の形でそれらから受光した光(リン光または蛍光発光など)が、光ファイバ256の周りに円周配列に配列された12本の光ファイバ252によって集光される。本例示的実施形態に説明されているように、参照番号260で集合的に参照される光ファイバ1、2、および3は、それぞれテザーを通って、円周配列の左側に対応する外部のRGB撮像検出器に結合される。同様に、参照番号262によって集合的に参照される光ファイバ7、8、および9は、それぞれテザーを通って、円周配列の右側の外部RGB撮像検出器に結合される。光ファイバ264の他の組は、テザーを通って分光光度計270に連結される。分光光度計は、スペクトル分析、およびUV、可視、および/またはIR光を使用するスペクトル画像取得に使用される。円周配列の左右側面のRGB検出器は、ROIからの光を、配列の相隔たる2つの部分(すなわち左右側面)で受け取るため、それらはHMDディスプレイ(図示せず)を使用して容易に見ることができる擬似立体フルカラー画像を生成する。
【0047】
テザーを通ってカプセル内に配置された光ファイバ360内へ結合される、異なるスペクトル構成の光を生成するための例示的光源システム340を説明する概略図が、図7Bに説明されている。本実施形態では、赤色光源342、緑色光源344、青色光源346、およびUV光源348がそれぞれ選択的に光ファイバ360に結合されている。光ファイバ360は、光ファイバの遠位端が光を放射して、光ファイバの遠位端を含むカプセルがそこを通過する管腔の内部表面上の組織を照明するように、テザーを通って延びる。各光源に対し光ファイバの近位端に、減衰器350が備えられるため、光源が生成する光の強度が選択的に制御される。対応する緑、青、およびUV光源のそれぞれによって放射される光の色に特異な皮膜を含む3つの二色性鏡352、354、および356が光路内に位置決めされて、緑色、青色、およびUV光をそれぞれ、光ファイバ360の近位端内へ反射する。これら二色性鏡のそれぞれの反射波長帯を外れる光は、二色性鏡を通過し、レンズ358によって光ファイバ360の近位端内へ集光される。
【0048】
本発明と共に使用する代わりの光源システム362が図7Cに説明されている。本実施形態では、赤色、緑色、および青色光源342、344、および346が、それぞれ任意選択の減衰器350を通って、レンズ364を通って、一連のすなわち連続する光結合器366に結合されている。レンズ364は、異なる色の光源のそれぞれからの光を光ファイバ365内へ集光させ、光を光結合器366へ伝達する。さらに、IR光源368は、任意選択の減衰器350およびレンズ364を通って光ファイバ365内へ光を伝達し、IR光を、順番に最終の光結合器へ伝達する。光検出器369が、異なる光源のそれぞれの光強度レベルすなわち出力レベルを監視するために、備えられ、種々の光源の強度が制御されるのを可能にする。最終の光結合器から、光ファイバ367が、光検出器369の入力へ光を伝達する一方、最終の光結合器の出力は、患者体内の管腔内のカプセル内に配置された走査装置まで入力されるように、光ファイバ360の近位端に入力される(光ファイバ360を含むテザーまたはカプセルは、図の簡略化のためどちらも図示せず)。
【0049】
上に示したように、比較的低価格かつ大量製造可能な、断面積が小さい走査機器を開発して、内視鏡的カプセル走査システムを確実に経済的にし、それによって使用の広がりを促進することが望ましい。経済的な走査装置を製造するとき、統合された薄膜機器を使用するMEMS(微小電気機械システム)技術を有効利用して、この目的をもっと容易に実現することができる。図8A、8B、および8Cは、走査アプリケーションに使用するためのカプセル内の走査装置として使用するために適応可能な例示的薄膜光学システム370を説明している。図8Dに説明されている追加の例示的な代替370’は、走査および検出器用平行片持ち薄膜光学導波管を含む。
【0050】
この薄膜の走査装置の例示的実施形態では、静電気アクチュエータ386が、一段高い出っ張り378上に担持された薄膜光学導波管380上で作動する。薄膜光学導波管は、直径が約0.003mmしかない。薄膜光学導波管の遠位部382は、図8Aおよび8Bの曲がった矢印によって示された2つの直行する方向の走査が引き起こされる。走査動作は1次元にすることができ(すなわち、単一軸に沿う)、または図示したように、2次元にすることもできる(例えば、ラスタパターンまたは螺旋パターンのいずれかに従う)ことに留意されたい。任意選択で、薄膜光学機器は、カプセル内の棒373上に取り付けることができ、手動でまたは機械的に回転または振動させて、方向を変えるまたは単一軸走査を変位させることができる。また、備えられているのは、シリコン基板376(または他の基板材料)に取り付けることができるレンズ384である。代替えとして、基板の外部であるがカプセル内に静配置されたアクチュエータ (図示せず)が、静電気アクチュエータの代わりに使用でき、その場合、光ファイバ374およびレンズ384は、シリコン基板376によって担持されることになる。光ファイバは、外部アクチュエータによって振動を引き起こされ、片持ちの薄膜光学導波管に所望のパターンの共鳴的走査を引き起こす。
【0051】
光ファイバ374は、シリコン基板376の心出しV字切込み390内に取り付けられて、光ファイバが薄膜光学導波管380と確実に芯合わせされるようにすることができる。光ファイバは直径がほぼ0.1mmであるため、光ファイバの端部と薄膜光学導波管の間を正確に芯合わせするのに注意しなければならない。図8Aおよび8Bは、光ファイバ374と薄膜光学導波管380の間にバットエンド結合(butt−end coupling)を使用した例示的一実施形態を示す。光ファイバと薄膜光学導波管の間の適切な芯合わせを確実に行うために、V字切込み390が、光ファイバの薄膜光学導波管に対する相対的な配置を実現している。屈折率合わせジェル375または液体を使用して、光ファイバ374を薄膜光学導波管380に結合することができる。屈折率合わせジェル375によって充填される間隙を減らすために、光ファイバの先端を先細り形状にエッチング処理することができる。さらに先端の長さおよび表面を、取付け前にCO2レーザ加工によって調整することができる。下記のMEMS走査装置の他の実施形態が、芯合わせの問題をさらに軽減する。
【0052】
図8A、8Bおよび8Bに示した実施形態では、ROI内の標的から反射された光は、レンズ384を通過し、RGB検出器392r、392g、および392bによってそれぞれ受けられる。カプセル内に配置されたこれらの検出器は対応する色の光に応答し、上記のように、外部の構成要素近位に伝達される信号を生成する。図8Dでは、分かれた画像および診断/治療薄膜光学導波管が相隔てられ、平行に走査される。この例示的実施形態は診断「DIAG」検知器392dを使用する。
集団検診用自動システム
【0053】
本発明の意図する1つの使用は、本発明が最終的に、ほぼ自動の食道検診工程を医療実施者によって実行できるようにして、BEの患者を検診することである(医師によって手技が行われることを必要としない)。図9は、患者がBE(または、食道の何らかの他の状態)を患っていないか判定するため、医療実施者408によって患者395の食道内部表面の走査を行う、本発明と関連して使用される自動システムを説明している。本システムはコンピュータプロセッサ394を含み、上記機能の多くを図3と関連しておよび以下の追加の詳細の中で実行する。
【0054】
テザー22は、テザー22の動きを監視するために使用される非接触軸方向動作測定装置396を通過した後、コンピュータプロセッサ394に接続される。上記のように、テザー22は、患者395の食道内のカプセルを引っ込める、または前進を可能にするために使用される。電気ケーブル402が、テザーの位置または軸方向の動きを示す非接触軸方向動作測定装置396によって生成された信号を、コンピュータプロセッサ394に伝達する。1つまたは複数の光ファイバと、カプセル(本図には図示せず)内に配置された走査装置へあるいは走査装置から光および電気信号を伝達する1つまたは複数の導線とを含むテザー22は、カプセルと共に格納されるまたは食道内を前進することが可能になる。テザーは口唇404の間を延び、患者の食道を下る。標識(例えば以下に詳細に説明するように磁気または光学的)によって、テザーが装置396を通過するときに、テザーの位置および移動が検出されるようになる。患者395には、最初にコップ406の水などの液体が与えられて、カプセルおよび取り付けられているテザー22の嚥下を促進する。液体は、カプセルが患者の口腔内へ挿入された後に嚥下され、患者が液体を嚥下するときに、カプセルが食道壁を含む筋肉の通常の蠕動によって食道内を前進するのを助ける。
【0055】
カプセルは、患者の胃の中へ進むままにされ、次に、ハンドル402を握りリール396を回す医療実施者408によって、LESを通って抜去される。また、コンピュータ制御のカプセル抜去はモータ駆動のリール(図示せず)を使用して、カプセルを食道の上まで抜去することによって、検診工程を完全に自動化することが可能である。すなわち、コンピュータは、カプセルによってリアルタイムに走査されている画像の品質および内容を判定する基準に応答して、および非接触軸方向動作測定装置396から出力される信号に応答して、カプセルをいかに速く抜去するかを決定することができる。カプセルの抜去速度の制御に加えて、コンピュータは、走査用に提供される光の強度および患者固有の変数を制御することができ、自動画像ステッチング(stitching)を実行して管腔の長さに沿った内部表面の全景画像を形成することができる。現在入手できる自動画像ステッチングソフトウェアの例が開示されている(例えば、非特許文献1参照)。そのような画像を、画像認識ソフトウェアと接続して使用して、LESの位置を判定することができ、および患者にBEまたは何らかの他の医学的問題がないかの判定を自動化することができる。また、自動的に綴じ合わされて完全な360度全景視野を形成した画像を較正して、患者の食道内のカプセルの位置を明確にする代わりの測定器として、LESからのカプセルの長さの、画素単位の定規のような測定器を形成することができる。追加の代替えとして、非接触軸方向動作測定機器396によって生成された信号を使用して、食道などの管腔の連続した軸方向画像を綴じ合わせる工程を高速化し、管腔の完全に連続した全景画像を形成することができる。
【0056】
コンピュータプロセッサ394に接続された表示器398を見ることによって、医療実施者は胃の画像を容易に観察することができ、次にリールがテザーを巻き取って、テザーをLES上部に待避させるとき、医療実施者は、食道の内部表面の画像を表示器上で観察することができる。表示器400bがディスプレイの一方に表示されて、カプセルが食道を通って移動する相対速度および位置を示す。
【0057】
コンピュータプロセッサ394は、画像399内の変化に基づいてLESを検出し、LESからのカプセルの距離400aを表示することができ、LESの直上の食道内部表面部の画像を自動的に評価するようにプログラムして、患者のその場所に、BEを示す特徴的な暗いピンク色がないか判定することができる。画像走査工程の結果がこのように十分に自動化されて、食道の状態をリアルタイムで検出することができ、患者がBEを患っているかどうか直ちに示すので、医療実施者には、テザー22の走査、および最初にカプセルの嚥下時に患者を補助することしか要求されないはずである。そのようなシステムの効率によって、一般集団の集団検診が最少の費用で実施できるようなり、BEがしばしばその前兆である食道癌が、BEの早期検出によって避けられるようになるであろう。
機能ブロック図
【0058】
図10は、患者の体の管腔内にカプセルが配置されるときに、例示的走査システムによって実行可能な様々の機能の少なくともいくつかを説明している。診断、治療、および監視のような機能が、点線で形成されたブロック中に示されている一方、実線は、カプセルおよび関連する構成要素と共に実行されるシステム410の撮像機能に使用されている。図に示したように、撮像レーザ412が、テザー経由で患者の体内へ向けられかつ、カプセル内に配置された走査光ファイバと共に使用される撮像光学系を通って、カプセル内の走査装置によって方向付けされる光を生成する。さらに、ブロック418中の遠隔光スイッチおよび減衰器によって制御されるブロック416中の診断、治療、および監視のレーザがコヒーレント光を生成し、これが、光結合機構420を通って、患者体内の管腔内で使用されるカプセル内に配置された追加の光学構成要素422へ伝達される。RGB光検出器430は、管腔の内部表面上のROIから受光した光に応答し、電気信号を生成し、これが、テザー内の導電体を通って、またはそれと並走して、患者の体外に配置された機器類へ伝達される。代替として、RGB光が、テザー内の光ファイバを通って体外の外部光検出器426へ伝達される、または、他の種類の例えばフォトダイオードおよび関連回路を含む光検出器424まで伝達される。
【0059】
ボックス432に示したように、1つまたは複数の分光光度計もしくはスペクトルアナライザによって使用するための集光ファイバと関連する追加の高出力または低出力のUV光検出器および/または可視光検出器および/またはIR光検出器を、例示的システムは含むことができる。例えば、ブロック434に示した分光光度計およびスペクトルアナライザは、集光光ファイバを通って伝達された光、および/またはブロック436に示した導電体上を伝達される信号を受けることができる。システムは、患者の体内のカプセル内に配置された追加の光検出器を、追加オプションとして含むことができる。信号は、ブロック432と434とコンピュータプロセッサ(またはワークステーション)とブロック440内のデータ取得構成要素との間で双方向的に交換される。コンピュータプロセッサは、非直線走査パターンを提供するアルゴリズムを実行、制御することができ、また、また強度データ取得、画像マッピング、全景画像ステッチング、およびデータ保存を実行するようにプログラムされることができる。加えて、リアルタイムフィルタリング(例えば動作および走査装置アーチファクトの修正)、比率のリアルタイム判定およびバックグラウンド除去、解析、擬似立体強調、および種々の検出器によって生成された信号の処理がコンピュータプロセッサによって実行される。コンピュータプロセッサによって供給される信号は、画像表示機器(図9に示したようなもの)および不揮発性ストレージ(図示せず)上のデータストレージへ出力される。画像表示機器は、ブロック442に記載したように、ブラウン管、液晶表示器、およびHMD機器、または他の種類の立体画像表示器を含むことができる。
【0060】
市販の表示器は一般に直線ビデオフォーマットを必要とするため、非直線光学走査パターンはどれもデータバッファ(メモリ)に保存し、表示モニタ用に標準ラスタ走査フォーマットへ変換して、例示的カプセル内の1つまたは複数のスキャナで使用される非直線走査の多くの利点(単純単一アクチュエータ、円筒走査装置寸法、および低走査速度など)を利用しなければならない。この信号調整およびマッピングにおける追加ステップは、プログラム可能な演算機器では技術的に些細なことである。
【0061】
加えて、スペクトル分析および多変量解析を実行し、関心領域の境界を位置決めおよび算出する画像解析ソフトウェアは、コンピュータプロセッサまたは他の演算機器を用いて実行される。管腔の内部表面上のROIに関しては、計算結果により、その範囲、境界、体積、色、および吸光度を決定することができ、ROIから収集したデータに基づいて、BEなどの組織疾患状態、および病期を判定するほか、治療投与量の計算および監視を行うことができる。これら全ての機能がブロック444に示されており、ブロック440の通常の撮像コンピュータプロセッサを使用することができる。ブロック444は、ブロック446に接続されており、ここで追加の対話型表示器および画像オーバレイフォーマットが提供される。ブロック444に関連するのはブロック448であり、電気機械的走査装置を作動させかつブロック450内のサーボセンサからの信号を受けるために走査装置電源および制御回路が設けられ、これが検診、監視、および診断、ならびに管腔内の所望の部位への画素レベル精度の治療の供給に関わる通常の画像取得および強調の両方に使用されることが示されている。
【0062】
光ファイバ走査アクチュエータの実施形態が、カプセル内に配置された走査装置を移動させて管腔内のROIを撮像することに関連して、ここまで説明されてきた。ブロック454は、走査光ファイバの遠位端を手動で制御して、走査光ファイバを含むカプセルを患者の体内へ挿入し、ROI近傍の所望の位置に位置決めするようにする準備がされていることを示している。手動制御にはおそらく、テザーの向きを変えてカプセルを回転させること、および/またはカプセルおよび走査装置を管腔内のROIに対して相対的に軸方向に位置決めすることが含まれるであろうし、ブロック456に示したように、自動サーボセンサを使用して、カプセルおよび1つまたは複数の走査装置の所望の位置への位置決めを容易にすることが含まれる可能性がある。一旦位置決めしたら、走査装置用の自動振動補償が提供されて、ブロック452に記載のように、生物学的動き(呼吸および心臓の動作)および患者の物理的動きに対して画像を安定させる。加えて、患者の体の管腔内の所望の場所にカプセルを安定させるために、少なくとも1つの例示的実施形態に他の機構を備えることができる。
【0063】
本カプセル撮像システムによって実行可能な種々の機能の詳細は以下の通りである。
統合された撮像、検診、および診断
UV、可視、およびIR波長を使用する光学的組織撮像、
UV、可視、およびIR波長を使用する蛍光組織撮像、
IR波長を使用する熱的撮像、
IR波長を使用する深部組織撮像、
同心共焦点撮像および真正共焦点撮像、
IR波長を使用する血液透過撮像、
偏向コントラスト撮像、
レーザフィードバック顕微鏡検査、
OCT(光コヒーレント断層影像法)およびOCR(反射率測定法)、
光学的擬振動音響解析、
高分解能拡大組織接触撮像、
LIF(レーザ励起蛍光)撮像および蛍光比撮像および検出、
多光子励起蛍光撮像、
蛍光寿命撮像および解析、
立体および距離測定オプションを用いた画像化構造の実寸再現、
LIFS(レーザ励起蛍光分光)、
ラマン分光分析法、
ESS(弾性散乱分光法)解析、
吸収分光分析法、
化学発光と細胞生存率の検出とマッピング、
光センサデータの空間マッピング(酸素濃度、pH、イオン濃度、他)、
温度測定とフィードバック制御、
圧力測定(検圧法)および食道、下部食道括約筋、胃、幽門、小腸、および他の体腔の目視観察と検圧法所見の相関の案内、および
監視およびフィードバック制御用の、色、レーザ出力供給、組織特性、光退色、複合体の発色など他の測定、
治療、手術、および監視
PTD(光治療)、
組織および/または腫瘍の加熱(例えば温熱治療)、
光照明によるレーザ手術(UV、熱、および/または切除)、
光活性化分析、光重合、および生体材料移植、
レーザ焼灼、および
光学的パルス放射の吸収によって生成される衝撃波を使う組織の機械的破壊。
対話型双方向表示器および先進のユーザインタフェース設計
表示モニタ上の擬似立体、擬似色オーバレイを使用する立体画像マッピング、および真正3D表示フォーマット(注、個々の表示器方式および能力は具体的なアプリケーションに依存)、および
対話型タッチ/ポイントスクリーン。
【0064】
図11Aおよび11Bは、走査システム内で使用される機器類に応じて、本カプセルによって実行可能な種々の機能を説明している。図11Aは、撮像、試料採取診断、および治療の実施に使用される単一走査導波管を示し、一方図11Bでは、単一走査導波管が3D撮像、生検組織の採取、内視鏡手術の監視に使用されている。これらの2つ図では、多くの同じ構成要素が備えられており、システムの一部として使用される構成要素に小さな変更を行うことによって、異なる機能性が備えられることを認識することが有用である。図11Aに示したシステム460では、双方向コンピュータワークステーションモニタ462によって、医療実施者が走査光ファイバを制御し、撮像、診断(例えば、光学的生検)、および治療の実施に使用されるソフトウェアアルゴリズムを実行することが可能になる。高分解能カラーモニタ464は、光ファイバシステム488上を分配コンソール472まで伝達された走査光ファイバ484からの信号を受信する。走査光ファイバ484近傍の患者体内に内部的に含まれていない場合、任意選択のRGB検出器を備えることができる。ROI486は、光ファイバによって走査されて、ユーザに表示される高解像度カラー画像を生成する。例示的受動表示器の一実施形態では、2つのCRT(ブラウン管モニタ)表示器が、2つの異なるコントラストモードを使用して画像を表示して、同じ対象(例えば組織)の画像を生成する。例えば、同じ共鳴駆動走査光ファイバは、CRT上にフルカラー光学画像を、および他のCRTモニタ上にグレースケール蛍光画像を、両方生成することができる。励起および信号の光学特性に重なりが無ければ、2つ以上の画像を、同時に生成させることができる。重なり合う場合は、2つの画像は、面順次法または高速共鳴走査装置の線順次法のどちらかで保存される。画像コントラストモード間(フルカラー光学および蛍光)を切り替えるには、光源のシャッタを閉じる、または電源を直接OFF/ONする。照明強度およびスペクトル範囲両方の変調中に時間の同期を取って、光検出器からの信号が記録され、個別の画像として表示される。この例では、同一のROIの第2の蛍光画像を得て、医療実施者が、標準の白色光画像上では見えるかどうかわからない小さな病変または前癌期病変を確実に特定することができる。
【0065】
例えば、医療実施者がレーザ手術のためにROIを選択(輪郭線を引く)できるようにする、タッチスクリーンモニタまたは対話型フットマウスもしくはペダルを使用することによってなど、2つの表示器の1つは対話型にできることが意図されている。画像は動いている場合もあるため、タッチスクリーンモニタは、画像が保存され、同時に停止されることを必要とする。しかし、ROIの輪郭が一旦引かれたら、画像分割および被写体認識アルゴリズムが実行されて、リアルタイム画像取得および表示中にROIを強調したままにする。対話型モニタは、出力レベルおよびレーザ放射暴露の継続時間など、レーザ治療用のパラメータを設定するための、実施者用サイドバーメニューを設けることができる。第2の表示器は、対話的には使用されないであろうが、リアルタイム光学画像をフルカラーまたはグレースケールで表示する高解像度モニタが好ましい。IR光検出器が内視鏡内に統合される場合、擬似色を備える高解像度表示器によって、実施者が、レーザ手術中の組織加熱および/または組織放射など、組織レーザ治療の進行を監視することができるようになる。
【0066】
カプセル内の走査光ファイバは、ブロック466内に示したように、テザーおよび先端の操縦および安定化を促進する任意選択の手動制御器を使用して、患者体内の、ROI486に対向した所望の位置に位置決めされる。管腔内のカプセルの配置は、位置センサ信号に基づいて、または、図13と関連して以下に議論されるようにテザー上に備えられた目盛を参照することによってテザーが管腔内へ延びる距離を単純に監視することによって、自動的に決定される。ROI486内では、光学的生検「箇所」485が、疾患を診断するための一点分光測定の時空分布が説明されている。これらの箇所は、体外生検分析用に侵襲的に組織サンプルを採取する現在の慣行どおり多数分布している。各箇所は、t1およびt2を例えば約1/30秒で隔てて、光学走査装置のフレームサイクル中に分光分析的に解析される。走査光ファイバによって提供される画像の他、ブロック468に示したように、IR信号をROIから受けるためにIR温度光検出器(および任意選択の温度モニタ)を含むことができる。
【0067】
走査光ファイバまたは光導波管の動作制御を促進するため、ブロック470に示すように、小型センサの電力および制御回路が備えられる。制御回路によって供給される信号は、光ファイバの走査を引き起こすアクチュエータがブロック470内の電気的ハードウェアおよびソフトウェアの両方によって制御されるとき、光ファイバの振幅および変位量制御を可能にする。分光光度計および/またはスペクトルアナライザ474が診断目的で含まれ、その理由は、R0I486から受けた光のスペクトル要素および光学的生検箇所485の分布が、スペクトル測光分析に基づいて管腔のROIの状態を評価する医療実施者によって、癌などの疾病の検診および診断のために使用されることができるからである。ROIが画像化されるようにROIを照明するために、赤、緑、および青の光源476、478、および480が結合され、それらが生成する光が、光ファイバシステムを通ってカプセル内の走査光ファイバ484へ伝達される。スペクトル分析に使用される光源は、外部RGB光源(例えばレーザ)の1つの高出力パルスでもよく、第2のレーザまたは白色光源でもよい。信号強度、時間、および照明強度には制限があるため、反復1点スペクトル分析法が、フラッシュ照明を使用して最初に使用されることになる。加えて、同じまたは別の高出力レーザ光源482を使用して、PTD、形成異常のレーザ切除、新生組織、および腫瘍などの治療、および高強度光源を使って提供される他の種類の治療などを実施することができる。
【0068】
システム460を使用するとき、医療実施者は、標準フルカラー内視鏡画像を表示する高解像度カラーモニタを見ながら、軟性のテザー、および走査装置を含む付属カプセルを、患者体内管腔の適切な領域へ操縦および操作する。管腔内の腫瘍、新生組織、および/または前癌期病変の探査は、単純にモニタを見ることによって開始することができる。分光光度計およびスペクトルアナライザ474に含まれる第2のモニタ(個別に図示せず)は、カプセル内の走査装置によって生成されるグレースケール画像上の擬似カラーの蛍光マッピングを表示する。外観が異常な組織が見つかると、カプセルは任意選択で機械的に安定化される(例えば、以下に説明するように、付属バルーンを膨らませることによって)。管腔壁上のROIは走査装置のFOV内の中心に置かれ、次に、走査装置によって提供される多解像度機能を使用して拡大される。ROIまたは癌の寸法が評価され、可視光画像または蛍光画像どちらかの画像処理によって画素境界が決定される。LIFSなど、分光分析診断が必要な場合、光学的生検点の分布が照明レベルと一緒に見積もられる。多数の撮像フレーム上に照明を自動的に繰り返し供給することによって、診断測定が行われる。ユーザは診断を中断することができ、または、カプセル内の走査装置によって、管腔内部表面の生成された画像から明確な診断ができるまで、ワークステーションに、信号対ノイズ比および/またはサンプリングの密度を改良し続けさせることができる。診断の結果はリアルタイムで、かつ標準画像の上に重ね合わせられることが期待される。
【0069】
PDTなど、光学的治療が認可されると、光学的放射暴露が決定され、カプセル内の走査装置システムを制御する双方向コンピュータワークステーションにプログラムされる。PTD処置は、一般に、PDT蛍光染色用に予め選択された高出力レーザ光源482による高強度レーザ照明の光学的走査であり、上記のように二色性フィルタ、減衰器、および電気機械式シャッタを使用して制御される。面順次法では、蛍光画像および可視光画像は共に、カプセル内の走査装置を使用して提供されるPDT治療中に取得される。医療実施者は、走査装置によって取得されるこれらの画像を両方の表示器上で見ることによって、PDT治療の進行を監視する。
【0070】
図11Bを参照すると、カプセル内に備えられた走査システム460’は、管腔内部表面の3D撮像、生検、および内視鏡手術の監視に使用される。ROIの擬似立体視野の3D撮像を有効にするために、HMD490が含まれる。加えてシステムは、図11Aに関連して先に説明された高解像度カラーモニタ464を含む。また、IR光位相検知器492が、管腔内の距離測定用に含まれる。IR照明の高周波変調を測定して、数ミリメートル程度の光学伝播距離による位相のずれを決定する。カプセル内の走査光ファイバまたは光導波管の遠位端とROI486との間の距離は光の強度の評価に重要であり、ROIの境界および寸法を決定するための具体的なROI487のマッピングのために、および管腔内のROIを含む形成異常の領域または腫瘍の体積などの特徴の寸法および形状を判定するために、内視鏡手術中にこの光強度を適用すべきである。UV−可視生検光源494により、光学的生検が具体的なROI487で実行されるのが可能になる。ブロック474内の分光光度計およびスペクトルアナライザは、実行されている内視鏡手術中に、ROIの状態を監視するのに便利であるが、その理由は、内視鏡手術中のROIの状態は、この機器類によって提供されるスペクトル分析に基づいてして、時に最も良く判断されるからである。他の観点では、図11Bに提供された代替機能に使用される構成要素は、図11Aの構成要素と同一である。
【0071】
システム460’を使用するとき、医療実施者は、可視波長(フルカラー)画像を示す高解像度カラーモニタ464を見ながらテザーおよびカプセルを移動させて走査装置の位置を変え、新生組織を再度探す。ROIが見つかると、下記のように、例えば付属バルーンを膨らませてカプセルを機械的に安定化することができる。さらに、ROIはFOV内の中心に置かれ、次に多解像度機能によって拡大される。しかし、周囲の組織が動いていて、取得した画像が安定しない場合、画像のスナップショットが撮られ、対話型コンピュータワークステーションモニタへ移されるが、これは双方向表示器が好ましい。安定したROIの境界の輪郭が、対話型表示器のスクリーン上で引かれ、形成異常の面積または腫瘍の体積が、画素単位の直径測定および、距離測定用IR光位相検知器492を使用する操作装置と組織の間の距離測定から見積もられる。光学的生検は、UV−可視生検光源494によって行われるが、ESS(弾性散乱分光法)用のファイバ結合アークランプでもよい。この組織が確かに癌性または前癌期とされると、光学放射暴露が計算され、治療プロトコルが、双方向コンピュータワークステーションモニタ462にプログラムされる。デジタル画像処理アルゴリズムが較正されて、自動的にROIを分割または走査装置信号を処理して、リアルタイムで取得した画像から動きアーチファクトを見積もるが、これは表示器のフレーム速度と同等かそれより遅い。レーザ手術処置および/または焼灼は、可視光学走査装置と光学的に結合されている高強度レーザ482(IR)で発生する。IR距離測定オプションは不要であるがIR温度モニタまたはレーザモニタが望まれる場合、これらの代替監視機能のためにIR光源を代わりに使用することができる。面順次法の場合、レーザ手術および/または焼灼中にIR画像および可視画像の両方が必要である。IR画像は、レーザ照明が管腔内ROIを走査するときにレーザ照明からの後方散乱のマッピング、またはROIの温度画像のどちらかで、対話型コンピュータ表示器上にグレースケール可視画像上の擬似カラーとして表示することができる。医療実施者は、高解像度および対話型表示器モニタ両方上のこれら取得画像を観察することによって、IR放射処置の進行を監視する。
【0072】
体腔内のカプセルの配置の判定
走査軟性内視鏡の先の例示的実施形態はホイールを使用し、そのホイールが、患者の食道内のカプセルの位置を制御するためにテザーが操作されるときに、テザーの軸方向の動きと共に回転した。しかし、この種類の接触センサを使用することは、唾液、粘液、または他の体液の存在が、テザーを回転センサホイール上で滑らせるため、食道内のカプセルの位置が正確に報告されない。さらに、テザーと回転センサホイールの間の摩擦を維持するという要求が、テザー付きカプセルを制御するときに、医療関係者が経験したいことがある「感触」を邪魔することがある。したがって、図12および13は、食道などの体腔内のカプセルの相対的配置を測定するための非接触センサの2つの代替の例示的実施形態を説明している。
【0073】
図12では、テザー630の近位端が患者636の口腔の外部に図示されている。この図(または図13)には図示しないが、テザー630の遠位端は患者636の食道内へ延びて下る。光学的標識634が、軸方向にテザー630の少なくとも一部に沿って配置され、標識の形態によって、患者636の食道内のテザーの相対的配置したがってカプセルの相対的配置のアナログ指示またはデジタル指示を提供することができる。一例示的アナログ光学パターン680の表示が図20Aに説明されており、一方、図20Bは一例示的デジタル光学パターン682の表示を説明している。
【0074】
当業者には、テザー上の標識の上に備えられたアナログまたはデジタルどちらかのコード化されたデータを読み取るために、多くの光センサが容易に使用できることが理解されよう。例えば、光センサ638上の光源(個別には図示せず)を標識634の方へ向けることができる。代替として、周りの光を使用して、標識を照明することができる。テザー630上の標識によって反射または散乱された光は、光センサ638によって受けられ、フォトダイオードまたは他の適切な光検出器を含むが、本図には個別には図示しない。また、1つまたは複数のレンズを光センサに含めて、標識の上に光源(使用する場合)を集光させる、および/または受けた光を光検知器上に集光させることができる。光源は、光が標識を通過するように向けることができるため、光源と反対側の標識の側面上の光検知器によって、透過した光を受けることも意図される。しかし、この方法は、テザー外周を通過する光の透過に関連する問題のため実施されそうになく、本図には図示しない。
【0075】
光センサは、発光ダイオード(または他の適切な光源)からの紫外光、可視光、または赤外光を使用することができ、光ファイバ(図示せず)を使用して、光をこのような光源からテザー上の標識の方へ伝達することができる。同様に、他の光ファイバ(図示せず)を使用して、標識からの光を集光し、それを光検出器の方へ伝達することができる。より波長の短い光および開口数が大きなレンズを集光光ファイバに使用することにより、標識がテザー上で読み取られる空間分解能を改善することができる。標識は、テザーの少なくとも一部の全周囲の周りに軸方向に適用することができるため、テザーの向きがその長手方向軸周りの回転の向きを気にせず、光学検知器によって標識を読み取ることができる。
【0076】
図13では、テザー630上の標識は、磁気媒体642、例えば磁気塗料またはテープを含み、テザーの長手方向軸に沿って、少なくともその長さの一部に適用される。磁気媒体は、磁気センサ640によって検出または読み取られるときに、アナログまたはデジタルどちらかのデータの相対位置すなわち食道などの体腔内のカプセルの位置を表す変動磁界を保存することができる。磁気センサ640は、テープレコーダヘッドに使用されるもののような高感度磁気ピックアップコイル(個別には図示せず)を含むことができる。磁気媒体は、変動磁気強度、変調、周波数、またはこれらの種類のコード化の組合せを使用して、位置データをアナログまたはデジタルデータとしてコード化する。磁気コード化は磁気センサによって読み取ることができるため、その信号を使用して、カプセルの相対位置を視覚的表示器内に表示する、ならびに体腔内のカプセルの相対位置を示すために、変化する可聴音を提供することが意図されている。
【0077】
体腔内のテザーおよびカプセルの相対位置は、種々の理由で重要である。まず、医療実施者が、カプセル内に含まれる画像走査装置によって生成されている画像の中で、明らかな体腔の内部表面の状態を、体腔内のカプセルの位置と関連付けることができるため、体腔内の具体的な位置のBEなどの状態がはっきりわかる。この情報を使って、体腔内の同じ位置に引き続き近づいて、さらに診断的手技または治療を提供することができる。図14は、非接触位置センサ646(図12および13の光学または磁気センサなど)が、テザー652上の標識をどのように読み取って、SFE親機394内のプロセッサに入力される位置信号を生成するかを説明している。位置判定機能648がプロセッサによって実行されて、常に体腔内のカプセル650の少なくとも相対位置を判定する。同時に、カプセルがその画像走査機器を使って画像信号を生成し、それがSFE親機内のプロセッサによって実行される画像生成機能662に入力される。カプセルの相対位置は、カプセル内の走査機器によって生成された現在の画像の位置に、索引を付けることを可能にするだけでなく、ステッチモザイク画像生成機能664を実行するSFE親機内のプロセッサを補助して、一連の軸方向画像をより効率的に綴じ合わせるためにも使用される。非接触位置センサ646によって提供される相対位置データがなくとも、これら一連の軸方向画像は綴じ合わせることができるが、相対位置データが、一連の画像の長手軸方向の端部のどこをステッチ工程内で綴じ合わせて、体腔の長さの大部分に沿って体腔の内部表面を示す軸方向に連続したモザイク画像を作るべきか判断する処理時間を減らす。
【0078】
位置判定機能648によって提供されるデータは、カプセルが参照位置からどこか次の位置へ移動した実距離を示すことができる。例えば、胃食道接合部におけるカプセルの配置に対応するカプセルの参照位置は、カプセルによって生成される画像から決定され、その後のカプセルの食道を上昇する動作は、非接触位置センサ646によって生成される信号を使用して、その参照位置からの実距離として表すことができる。すなわち、この参照位置が一旦決まると、参照位置から食道の内部表面上の、画像内で明らかにBE状態が観察される領域までの距離は、位置データから決定される。この領域は、参照を設定するステップと、上記の同じ距離上方へカプセルを前進させるステップとを繰り返すことによって、容易に再び見つけることができる。
【0079】
任意選択で、体腔または食道から抜去されるとき、テザー上の体液が非接触位置センサ646に達する前に、テザー652の唾液および粘液などの体液を優しく清掃するのが望ましい。図15に説明されているように、弾性体円錐670または他の種類の、テザー652にぴったり合ったスクレーパが、テザーの外表面から体液672を拭き取ることができ、テザーには、医療実施者が体腔を通るテザーの動きを感じるのを邪魔する何ら大きな摩擦を加えない。体液は、吸収材料またはスポンジ(図示せず)上へ簡単に落ちることができ、すなわち、滴674が、弾性体円錐の周囲下側端部から落ちるとき、小皿(これも図示せず)に集めることができる。
【0080】
カプセルに結合されたバルーンの使用
図16は、カプセルの近位端に結合された膨張可能なバルーン574を有するカプセル570を説明している。バルーンは、カプセルの遠位端から、カプセルが配置されている管腔の内部表面582へ向けられていている照明光572を邪魔しない。バルーン574内の容量586は、テザー576内の管腔578を通り抜けて運ばれる液体または空気によって選択的に膨らむ。液体は、テザーのバルーンによって包囲される部分に形成された少なくとも1つの開口588を通って、管腔578に存在する。
【0081】
バルーンは膨らんで、1つまたは複数の以下の様な顕著な目的を果たすことができる。例えば、バルーン574は膨らむことができるため、筋肉組織の蠕動運動が、バルーンおよびカプセルを、管腔を通って前進させ、バルーンの大きい方の直径によって、筋肉組織によって加えられた力が、バルーンおよび連結されたカプセルを、より効率的に管腔内を前進させる。追加の選択肢として、バルーンは膨らんだときに、それが配置されている管腔壁からの圧力を、圧力センサ(本明細には図示しないが先に議論した)に伝えることができ、圧力センサはカプセル上にある、または内部容量586と液体連通にあるため、管腔壁によって働く圧力を、管腔の外部的に監視することができる。圧力によって種々の状態を判断することができ、すなわち、医者にとって関心がある情報を提供する。
【0082】
バルーンは、カプセルが前進できるようにする代わりに、少なくとも部分的に膨らんでバルーンの断面寸法を拡大し、それによって、カプセルが、バルーンより小さい断面寸法を有する管腔部分または他の通路を通ってさらに移動しないようにすることができる。最後に、バルーンは膨らんで、カプセルを患者の体の管腔内の概略中心に置き、安定させることができるため、画像を生成するための管腔内部表面の走査がより効率的に実行される。
【0083】
蠕動を刺激するための電気接点
カプセル590が、図17の管腔592内に図示されており、カプセルの筐体の外側表面上に配置された複数の電気接点594を含む。電気接点594は、テザー600内に形成された通路602内を延びるリード線598に接続されている。リード線は電源(図示せず)に接続されている。電圧が、それによって選択的に、リード線598を通って電気接点594へ印加され、それによって筋肉組織604に接触し、管腔592の筋肉組織内の蠕動を刺激し、これがカプセルを管腔を通って前進させる。任意選択で、カプセル590近位のテザー600に接続されている電気接点596を、電気接点594の代わりに、または追加使用して、筋肉組織の蠕動を刺激することができる。
機械的生検
【0084】
図18は、テザー624に結合されているカプセル620を説明している。テザー624は、環状通路622を含み、その中に1つまたは複数の細胞診ブラシ626もしくは生検鉗子(図示せず)が制御可能に進められて、カプセル620が配置された管腔の内部表面に接触する。細胞診ブラシ626は、環状通路622から進められて、内部表面の組織と接触するため、管腔内側を覆う組織の細胞がブラシの毛に移される。細胞診ブラシは次に、環状通路内へ抜去され、カプセルおよびテザーが患者体内の管腔から抜去された後、細胞試料が処理および調査のためにブラシの毛から取り除かれる。図示しないが、環状通路を使用して、カプセル上の蓋を引き戻すことができ、その蓋が、カプセルから進められるブラシの毛を露出する。環状通路の代わりに、テザー上に備えられた肩車通路(図示せず)を通って、細胞診ブラシ、細針、または他の種類の機械的生検装置を進めることができる。把持装置を環状通路または肩車通路内に使用して、管腔から試料を集め、その試料を通路内へ待避させることもできる。そのような通路はまた、液体の取入れ口として使用することもでき、液体は、通路を通って患者体外のテザーの近位端へ引き抜かれる。
【0085】
複合的画像
上記のように、本発明に従って、複数の走査装置をカプセル内に含むことができることが意図されている。各走査装置は比較的小型であるため、相隔たる配列に構成することができ、例えば、管腔の内部表面の全360度視野を包囲する広視野を撮像できる。代替として、図19に示すように、単一の走査装置をカプセル650内に使用して、管腔672の4つの側面を撮像することができる(図示した2側面ならびにピラミッド型鏡の後およびその反対側を含む、いずれも本図では見えない)。カプセル650は、管腔672の外部へ延びるテザー652に連結されている。カプセル内の可動光ファイバ654は、レンズ656を通ってピラミッド形状の鏡658の方へ向けられた光を放射する。ピラミッド型鏡658の隣接する鏡表面は、レンズ656からの光を4つの異なる方向へ、レンズ660aおよび660bを通って反射する(他の2つのレンズは図示されていない)。管腔672の内部表面から反射された光は、環状検出器670aおよび670bによって検出される(他の2つの環状検出器は図示されていない)。カプセル650の4つの側面上に提供された画像の重なりの範囲が不完全な場合、ユーザは矢印674によって示されたようにテザー652を回転させることができ、これがカプセル650を回転させて、内部表面の走査が起こる方向を変えるため、追加の画像が生成され、任意選択で一緒に連結されて管腔の内部表面の完全立体視野を形成する。
【0086】
複合テザー/カプセル位置センサ
テザー/カプセルの相対位置を測定する精度および正確性を上げるため、2つの光センサまたは磁気センサを同時に使用して、テザー上の標識を読み取ることができる。標識によって提供される光学的または磁気的スケーリング間の補間も使用される。これら2つ以上のセンサの間隔は正確に決められ、1つのセンサを使用して1ステップを測定し、他方のセンサは1/2ステップを測定することができる。図21は、二重センサを備えた二重カラーコード化パターン800の例示的一実施形態を説明している。テザー820上の赤色のアナログまたはデジタルマーク818を検出するために、赤色レーザ802が、自由空間のどこかに向けられる赤色波長光を生成し、すなわち本例示的実施形態に示したように、光ファイバ822を通ってレンズ806の方に向けられ、二重カラーコード化パターン818上に赤色光を集光する。二重カラーコード化パターンの赤色部分から反射された赤色光は、レンズ808を通過し、自由空間または図示したように光ファイバ824を通って赤色波長光検出器804のどちらかへ伝達される。同様に、テザー820の反対側では、緑色レーザが、緑色波長を有する光を生成し、これが自由空間または光ファイバ826を通ってレンズ814の方へ伝達され、二重カラーコード化パターン818上に光を集光する。二重カラーコード化パターンから反射された緑色光はレンズ816を通過し、自由空間または図示したように光ファイバ828を通って、緑色波長光検出器812へ緑色光を伝達する。適切な赤色および緑色の帯域通過フィルタ(図示せず)が、それぞれ赤色光および緑色光の光検出器に含まれるのが適当で、光検出器光ダイオードに達する光の波長を制限する。赤色および緑色の光検出器はそれぞれ位置信号を生成し、それらが処理されて分解能を効果的に2倍にし、その分解能によって、テザー820とそれが結合されるカプセルの相対位置がSFE親機内のプロセッサによって決定される。食道などの体腔内のカプセルの相対位置が、少なくとも1.0mmの分解能で決められることが望ましい。赤色と緑色の光コード化および検出の代わりに、色付光の他の組合せが使用可能である。例えば、赤色光源と赤外光源および光検出器が使用可能で、その理由は、赤色光と赤外光の波長がシリコンフォトダイオード(2波長光検出器として使用可能)の最大感度波長帯(700〜900nm)に入っているためである。
【0087】
他の選択肢として、実際の高分解能目盛は、テザー上の光学コントラスト表記中に印刷することができ、非接触センサが、SFE親機内プロセッサの目盛の高空間分解能「読み取り」を可能にする、光学特性リーダを含むことができる。さらに、医師は、テザーを使用して体腔内のカプセルを位置決めしている間にも、直接目視でテザー上の目盛を読むことができる。
【0088】
図22Aおよび22Bは、テザー830の詳細を説明しており、中心領域838周りの担持構造832を含み、その中に光ファイバ、電線、管腔、等が配置されている。担持構造832の外表面上は、データ層834である(すなわちアナログまたはデジタル位置情報を伝えるテープまたはマークが適用されている)。最後に、生体適合で、データ層の切断または損傷を防ぐ保護皮膜がデータ層上を覆っている。保護皮膜は、透明高分子または他の適切な透明な生体適合材料を含むことができる。
【0089】
食道内のBEの検診に使用するため、医師は一般に最初に、食道が胃とつながる胃食道接合部の直上および近傍の領域を撮像するためにカプセルの走査機能を使用したい。患者の口腔から食道を下り、この領域の画像を生成する走査に適するカプセルの位置までの平均距離は、約39cmである。カプセルの最初の位置を容易にするため、図23に示したように、テザー652は可視指示を備えることができ、赤いマーク840などがカプセル650上約39cmに置かれている。すなわち、医師が、その赤いマークが患者の口唇あたりに配置されるのを観察するとき、平均的な患者では、カプセル650が食道を降りて胃食道接合部のすぐ上の点まで運ばれたことが明らかになる。医師は、その点のカプセルの近傍領域の画像を見ることによって、カプセルのこの位置を確認することができる。カプセルの位置をわずかに調整することができ、必要であれば、追加の別の色付き可視マーク842および844が赤色マーク840の両側に備えられて、医師が微調整の道を外れてしまわない様に補助する。勿論、テザー上に備えられたデータを非接触位置センサによって監視することによって生成される位置信号も、微小調整を行うのに使用できる。胃食道接合部に対する相対的な最初の位置が一旦決まったら、その位置をテザー上の位置データから決まる相対位置の参照位置とすることができる。
【0090】
図24〜26は、3つの異なる例示的実施形態を説明しており、それらは、流体パルス(一般に空気パルス)をテザーまたはカプセルの遠位端近傍の位置へ供給するための、わずかに異なる3つの方法を説明している。空気などの流体パルスを使用して、カプセルを食道(または他の体腔)の中でもっと容易に移動させるとき、および、特に食道と胃の間のLESを通ってカプセルを移動させるときに、補助することができる。食道内およびLESを通るカプセルの自由な移動を促進するために、空気パルスが、空圧源(および、空気パルスを供給する弁)からチューブ856を介してテザー850内の管腔を降りて供給される。管腔はカプセルを通って、カプセル858の筐体に形成されたオリフィス854で体腔へ開口する。このボーラスすなわち空気パルスは、このように選択的に食道(または他の体腔)の内部へ、カプセル近傍の点で供給され、食道壁を拡張させ、胃上部のLESを自発的に開口させる。
【0091】
図25に示した空気パルスを供給するための他の例示的実施形態は肩車チューブを含み、このチューブは、テザー860の外部表面に沿って取り付けられ、テザーの遠位端近傍に配置された遠位ポート864を有しているため、空気パルスはカプセル866近傍の食道内部へ解放される。図24および25に示した例示的実施形態は共に、有向の空気パルスを提供し、これを使って、非軸対称の作用およびその空気圧に対する反作用を強制することができる。結果生じるカプセルの動きおよび組織の反作用を制御して、管腔壁に対してカプセルを操作し位置決めすることができる。これに対して図26は、テザー870を大きめのチューブ872用のガイドワイヤとして使用し、流体パルスから軸対称の圧力をかける例示的実施形態を説明している。チューブ872は、その近位端に配置されて、空圧源および弁(どちらも図示せず)からの加圧空気パルスを受けるための環状開口876と、その遠位端に配置されて、テザーの遠位端近傍かつカプセル866近傍にある他の環状開口874とを有するため、空気パルスは、LESの開口、および/またはカプセルが配置される食道または他の体腔の内部壁の自発的な外側への拡張を引き起こす。空気パルスを供給する他の技術または他の種類の流体も、この目的のために使用可能である。
【0092】
本明細書に開示された概念を、それらを実施する好ましい形態およびそれらの変更形態に関連付けて説明してきたが、当業者には、それに対する多くの他の変更形態が、以下の特許請求の範囲内で可能であることが理解されよう。したがって、これら概念の範囲は、上記説明によって何ら限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲を参照することによって完全に決定されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体腔内の走査カプセルの相対位置を監視するための方法であって、前記走査カプセルは、体腔の外部に延びかつ体腔の内部表面の画像を生成するのに便利な前記走査カプセル内に生成された走査信号を搬送するテザーに結合される、方法において、
(a)前記テザーの少なくとも一部の軸方向長さに沿ってコード化された標識データを設けるステップであって、前記コード化された標識データは、前記テザーの前記軸方向長さに沿った位置のアナログデータ指示またはデジタルデータ指示のどちらかを提供する、ステップと、
(b)前記テザーに物理的に接触することを必要とせずに、前記コード化された標識データに応答するセンサを用いて、前記コード化された標識データを自動的に感知し、前記テザーの位置すなわち前記体腔内の前記走査カプセルの配置を示す位置信号を生成するステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
予測される参照位置を示すために、前記テザー上に少なくとも1つの非数値可視参照マークを設けて、ユーザが、前記テザー上の前記非数値可視参照マークによって提供される可視指示に基づいて、前記カプセルを所望の位置付近に手動で位置決めできるようにするステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記体腔は食道を含み、前記予測参照位置は、前記カプセルが前記食道内の胃食道接合部付近に配置されると予測されるときを示す前記テザー上の位置に対応することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記コード化された標識データを自動的に感知する前記ステップは、前記テザー上の前記コード化された標識データによって生成される磁界の変動パラメータに応答して前記位置信号を生成するための磁気センサを使用するステップを含み、前記位置信号は、前記テザーの前記軸方向長さに沿って前記磁気センサ近傍の現在位置を示し、さらにデジタル位置信号またはアナログ位置信号のどちらかを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記コード化された標識データを自動的に感知する前記ステップは、前記テザーの前記軸方向長さに沿って変動する光学パラメータに応答して前記位置信号を生成するための光センサを使用し、前記位置信号を生成するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記位置信号を生成する前記ステップは、前記テザーの前記軸方向長さに沿った前記光センサ近傍の現在位置を示すデジタル位置信号またはアナログ位置信号のどちらかを生成するどちらかのステップを含み、前記コード化された標識データは、前記位置信号が
(a)前記光センサによって感知された光学コードの色と、
(b)前記光学コードによって示されたデジタル値と、
(c)背景領域から反射される光の強度と比較された前記光学コードから反射される光の強度と、
(d)デジタル情報を伝達する前記光学コードのパターンと
(e)前記光学コードを備えるマークの相対寸法と、
(f)前記光学コードを備える前記マークの形状と、
(g)前記背景領域からの光の散乱と比較された前記光学コードによる散乱と、
(h)前記光学コードによって反射されたまたは吸収された光の波長と
からなる群から選択された少なくとも1つのパラメータに応答して生成されるように、前記テザーの前記長さに沿って設けられることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記テザー上の前記コード化された標識データを監視する追加センサを設けて、前記体腔内の前記カプセルの前記位置がそれによって決定される分解能を上げるステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記コード化された標識データを設ける前記ステップが、前記コード化された標識データを前記テザーに長手方向に延びるテープとして添付するステップと、前記コード化された標識データを前記テザーに長手方向に延びる被膜として適用するステップからなるステップとの群から選択されたステップによって、前記コード化された標識データを適用するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記コード化された標識データ上に適用された保護被膜によって、前記コード化された標識データを保護するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記テザーが前記体腔から抜去されるときに、前記テザーから体液を拭き取るためのスクレーパを設けるステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記カプセルおよび前記テザーが前記体腔を移動されるとき、前記コード化された標識データを使用して前記カプセルの前記位置をそれに対して相対的に決定する、前記体腔内の前記カプセル用の参照位置を決定するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記参照位置を決定する前記ステップは、前記体腔の内部表面の画像を検査することによって決定された通り、前記カプセルを前記体腔内の既知の位置へ移動させるステップを含み、前記既知の位置の前記カプセルの前記配置は、前記テザーを使用して前記体腔内の前記カプセルを移動させるときに前記カプセルの一連の位置を決定するために使用される前記参照位置を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
体腔の内部表面を走査して前記内部表面の画像を生成するために使用されるカプセルの前記体腔内の相対位置を測定するための装置において、
(a)前記カプセルに結合された遠位端と、テザーを通って伝達される、前記カプセルによって生成される撮像信号を受け取るためのシステムに接続されるように構成された近位端とを有するテザーであって、テザーが前記体腔を通って移動されるときに、テザーに沿って特定の位置を示すために、したがって前記体腔内の前記カプセルの位置を示すために、テザーに沿って軸方向に配置されたアナログまたはデジタル的にコード化された標識データを含む、テザーと、
(b)前記テザーに接触する必要なしに、前記テザー上に配置された前記コード化された標識データを自動的に感知およびそれに応答して、前記テザーおよび前記体腔内の前記カプセルの位置を示す位置信号を生成するセンサと
を備えることを特徴とする装置。
【請求項14】
前記センサは磁気センサを備え、前記テザー上に含まれる前記コード化された標識データは、前記テザーおよび体腔内の前記カプセルの前記位置を示す磁気信号を格納し、前記磁気信号は、前記テザーの軸方向位置を、
(a)アナログ磁気信号と、
(b)デジタル磁気信号と、
(c)可変強度形態と、
(d)可変変調形態と、
(e)可変周波数形態と
からなる群から選択された少なくとも1つの形態にコード化することを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記センサは、体腔内の前記テザーおよび前記カプセルの前記位置を示す、前記テザー上に含まれる前記コード化された標識データから受け取った光信号に応答する光センサを備え、前記光信号は、前記テザーの軸方向位置を、
(a)前記光センサによって感知された前記光信号の色と、
(b)前記コード化された標識データから受け取った前記光信号によって示されるデジタル値と、
(c)背景領域から反射された光の強度と比較した、前記コード化された標識データから反射された光を含む前記光信号の強度と、
(d)デジタル情報を伝達する前記コード化された標識データの光学的に知覚可能なパターンと、
(e)前記コード化された標識データを含むマークの相対寸法と、
(f)前記コード化された標識データを含む前記マークの形状と、
(g)前記背景領域からの光の散乱と比較した、前記コード化された標識データによる光の散乱と、
(h)前記コード化された標識データによって反射または吸収された光の波長と
からなる群から選択された少なくとも1つの形態にコード化することを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記光センサは、前記コード化された標識データから受け取った前記光を集光するためのレンズを含むことを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記光センサは、光源から前記コード化された標識データの方へ向けられた光を集光するためのレンズを含むことを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記光センサは、前記コード化された標識データへ、および前記コード化された標識データからの少なくとも1つで光を伝達するための光ファイバを含むことを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項19】
前記コード化された標識データは、前記テザーの前記軸方向長さに沿って少なくとも1回繰り返すコード化されたパターンを備えることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項20】
他の光センサをさらに備え、前記コード化された標識データは少なくとも2つの異なる色のマークを含み、1つの光センサは1つの色の前記コード化された標識データからの光に応答し、一方前記他方の光センサはもう一つの色の前記コード化された標識データからの光に応答することを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項21】
前記テザーの前記光センサから反対側に配置された他の光センサをさらに含むため、両方の光センサが前記コード化された標識データに応答して、体腔内の前記テザーおよび前記カプセルの前記位置がそれによって決定される分解能を上げることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項22】
前記光センサのそれぞれは、前記コード化された標識データの異なる特性を感知することを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記センサの遠位に配置され、前記テザーが体腔から抜去されるときに前記テザーから体液を拭い取るように構成されたスクレーパをさらに備えることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項24】
前記センサに接続され、前記センサによって生成された前記位置信号を処理して体腔内の前記カプセルと参照位置との間の距離を示すためのプロセッサをさらに備えることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項25】
前記コード化された標識データ上に適用された保護皮膜をさらに備え、前記保護皮膜は、生体適合性の、前記コード化された標識データを機械的損傷および切断から保護する材料をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項26】
体腔の外側に延び、カプセルを移動させるために使用される近位端を有するテザーに結合された前記カプセル内の走査機器によって生成される画像に対して、前記体腔内の関心領域の軸方向範囲を測定するための方法であって、
(a)前記カプセルが、前記テザーによって前記体腔を通って移動される距離を、前記体腔の外側に配置されたセンサを通過した前記テザーの移動を監視することによって監視するステップと、
(b)前記テザーを使用して前記カプセルを前記体腔を通って軸方向に移動させるときに、前記体腔の内部表面の一連の画像を撮影するステップと、
(c)前記一連の画像内の前記体腔の前記内部表面上の関心領域を検出するステップと、
(d)前記関心領域の軸方向の開始に対応する前記体腔内の前記カプセルの第1の位置と、前記関心領域の軸方向の終わりに対応する第2の位置とに基づいて、前記テザーが前記カプセルを移動させる前記第1位置と前記第2位置の間の前記距離を参照して、前記関心領域の前記軸方向範囲を測定するステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項27】
前記テザーの前記移動を監視する前記センサによって生成される前記位置信号を使用して、前記一連の画像を自動的に綴じ合わせて、前記体腔の前記内部表面の軸方向連続画像を生成し、少なくとも
(a)前記軸方向連続画像の目盛付けと、
(b)前記軸方向連続画像の軸に沿った長さの自動決定と
の少なくとも1つを支援するステップを含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
体腔内の関心領域の軸方向範囲を測定するシステムであって、
(a)カプセルがそれを通って移動されている体腔の内部表面を撮像するための走査装置を含み、画像信号を生成するカプセルと、
(b)前記カプセルに結合された遠位端と、体腔を通って前記カプセルを移動させるために操作されることができる近位端とを有し、前記カプセルから前記画像信号を前記体腔の外部への伝達するテザーと、
(c)前記テザーが前記体腔を通って前記カプセルを移動するように操作されているとき、移動を検出し、前記テザーの相対位置すなわち体腔内の前記カプセルの相対位置を示す位置信号を生成するセンサと、
(d)前記テザーに結合されて前記画像信号を受け取り、前記センサに結合されて前記位置信号を受け取り、ユーザが、前記軸方向の開始に対応する前記体腔内の前記カプセルの第1の位置と、ユーザによって示された関心領域の軸方向の前記終了に対応する第2の位置とに基づいて、前記画像信号に応答して生成された体腔の内部表面の画像を見ることによって、前記ユーザによって特定された前記関心領域の軸方向の開始と軸方向の終了を示すことができるようにし、前記第1の位置と前記第2の位置の間の前記距離を参照して、前記領域の前記軸方向範囲を測定する制御器と
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項29】
前記制御器はさらに、一連の画像のどこを軸方向に綴じ合わせて前記軸方向連続画像を形成すべきかを自動的に判断するのを支援するために、前記テザーの移動を監視する前記センサによって生成される前記位置信号を用い、前記一連の画像を自動的に綴じ合わせて、前記体腔の前記内部表面の軸方向連続画像を生成することを特徴とする請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
食道の内部表面を撮像するための走査装置を有し、前記食道内と胃食道接合部を通って前記カプセルを移動させるためのテザーに結合されているカプセルを使用するための方法において、
(a)前記テザーを使用して、前記食道内の前記カプセルを前記胃食道接合部近傍の位置へ移動させるステップと、
(b)前記カプセル近傍の領域へ加圧流体パルスを供給するステップであって、前記加圧流体パルスは、前記食道下部を自発的に膨張させ、それによって、前記カプセルが前記胃食道接合部を通って患者の胃に出入りする移動を促進しながら、前記走査装置によって前記食道の内部表面を撮像する、ステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項31】
前記加圧流体パルスは、前記加圧流体の外部加圧源から前記テザー内に配置された管腔を通って伝達され、前記管腔は、前記テザーの遠位端近傍に配置された開口を含み、それを通って前記加圧流体パルスが食道の前記下部内へ伝達されることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記加圧流体パルスを供給する前記ステップは、前記加圧流体パルスの外部加圧源と流体連通するチューブを通って前記加圧流体パルスを供給し、前記チューブの遠位端の開口は前記テザーの遠位端近傍に配置されるように、前記チューブは前記テザー上を摺動するステップを含むことを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記加圧流体パルスは、空圧源から前記食道へ供給されることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項34】
胃食道接合部近傍の食道の内部表面を撮像するための装置において、
(a)食道を通過する寸法であり、前記食道の内部表面を撮像するための走査装置を有するカプセルと、
(b)前記カプセルに結合された遠位端と、前記カプセルを食道内および胃食道接合部を通って移動させるために操作されることができる近位端とを有するテザーと、
(c)加圧流体源と、
(d)加圧流体パルスを前記加圧流体源から胃食道接合部近傍に配置された前記食道内の点へ選択的に結合する流体通路であって、前記加圧流体パルスは、前記食道下部を自発的に膨張させ、それによって、前記走査装置によって前記食道の内部表面を撮像している間に、前記胃食道接合部を通る、また患者の胃に出入りする前記カプセルの移動を容易にする、流体通路と
を備えることを特徴とする装置。
【請求項35】
前記テザーは、前記加圧流体源に選択的に結合されかつ前記テザーの前記遠位端近傍に配置された開口を含む管腔を含み、それを通って前記加圧流体パルスが食道下部内へ伝達されることを特徴とする請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記テザー上を通過し、選択的に前記加圧流体源と流体連通状態に置かれるチューブをさらに備え、前記別体の管腔は、前記テザーの前記近傍に配置されそれを通って加圧流体パルスが食道の下端へ供給される開口を含むことを特徴とする請求項34に記載の装置。
【請求項37】
体腔の内部表面を撮像するための装置において
(a)体腔の内部表面を撮像するための走査装置を有するカプセルと、
(b)断面寸法が前記カプセルより小さく、近位端および前記カプセルに結合された遠位端を有するテザーであって、流体、前記走査装置を制御するための少なくとも1つの制御信号、および撮像信号を伝達するための複数のチャネルを含む、テザーと、
(c)前記テザーの前記近位端に結合された制御器であって、それにより、前記撮像信号および前記少なくとも1つの制御信号が前記走査装置と制御器の間で通信され、画像を生成するために制御器によって使用される前記撮像信号を生成するように、前記走査装置を用いて体腔の内部表面の走査を制御器で制御できる、制御器と
を備えることを特徴とする装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図6G】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21】
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【図22A】
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【図22B】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公表番号】特表2010−537771(P2010−537771A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−523987(P2010−523987)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【国際出願番号】PCT/US2007/077938
【国際公開番号】WO2009/032016
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(502457803)ユニヴァーシティ オブ ワシントン (93)
【Fターム(参考)】