説明

テトラヒドロイソキノリンの製造方法

テトラヒドロイソキノリン類の製造方法、テトラヒドロイソキノリン類の製造に有用な中間体、このような中間体の製造方法、および6−[(4S)−2−メチル−4−(ナフチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル]ピリダジン−3−アミンの結晶形が開示される。テトラヒドロイソキノリン類を含む医薬組成物、鬱病および他の症状の治療におけるテトラヒドロイソキノリン類の使用方法、並びに該結晶形を得る方法もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、テトラヒドロイソキノリンの製造方法、テトラヒドロイソキノリンを製造する際に有用な中間体、このような中間体の製造方法および6−[(4S)−2−メチル−4−(ナフチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル]ピリダジン−3−アミンの結晶形に関する。また、本開示は一般に、テトラヒドロイソキノリンを含む医薬組成物、鬱病および他の症状を治療する際にテトラヒドロイソキノリンを使用する方法ならびにその結晶形を得る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大鬱病(単極性鬱病)は、高い有病率および非常に高い世界的負荷の症状である。米国におけるこの疾患の有病率は、12カ月間では6%を上回り、一生涯では16%と推定されている(Kessler RC、Chiu WG、Demler O、Merikangas KR、Walters EE. Prevalence, severity, and comorbidity of 12-month DSM-IV disordes in the National Comorbidity Survey Replication. Arch. Gen. Psychiatry 2005年;62巻:617〜627頁を参照されたい)。世界保健機関によると、この障害の衝撃は大きく、鬱病は、疾病負荷の4番目に大きな原因である(Ustun JL、Ayuso-Mateos S、Chatterji C、Mathers C、Murray JL. Global burden of depressive disorders in the year 2000. British Journal of Psychiatry 2004年;184巻:386〜392頁を参照されたい)。大鬱病に関連する多くの症状が存在する。これらの症状は一般に、抑鬱気分ならびに興味および意欲の喪失(快感消失)の2つの主要なカテゴリーに該当する。
【0003】
気分障害の病因学的ベースは明確ではないが、この障害が、モノアミン作動性系、即ち、ドーパミン、ノルエピネフリンおよびセロトニンが関係する系の異質な調節不全に関連していることを示す一連の証拠が存在する(Garlow SJ、Nemeroff CB. The neurochemisty of depressive disorders: clinical studies. Neurobiology of Mental Illness、第2版 2004年;440〜460頁(CharneyおよびNestler編)を参照されたい)。例えば、セロトニン、ノルエピネフリンおよびドーパミン代謝産物のレベルの異常が、鬱病患者において共通して報告されている。さらに、鬱病に適用される主な薬物療法は、モノアミン系、主にセロトニンおよびノルエピネフリンを対象としている。
【0004】
典型的な抗鬱薬の応答速度は、約65%と報告されているが、この障害からの緩解は、約30%に過ぎない(Hirschfeld RM、Montgomery SA、Aguglia E, Amore M, et al. Partial response and nonresponse to antidepressant therapy: current approaches and treatment options. J. Clin. Psychiatry 2002年;63巻:826〜837頁を参照されたい)。鬱病での薬物作用の開始は、応答するまで約4週間と長くかかることが多い。したがって、応答速度、緩解または発症を改良した鬱病、さらに他の症状を治療するための新たな薬物は、現在の治療を上回る重要な改善を示すはずである。症状鎮静のスペクトルもまた、効力に対する重要な成分である。それというのも、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)およびセロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)は、抑鬱気分に関連する症状には有効ではあるが、典型的には、快感における動機および興味の領域での有効性において最適ではないためである。
【0005】
したがって、SSRIおよびSNRIを上回る高い効力が必要である。加えて、副作用の程度を低減することもまた望ましい。例えば、性欲低下、さらに、現行の抗鬱薬に関連する障害である睡眠および胃腸障害(GI)に対処することは、かなりの利益を患者にもたらすはずである。
【0006】
抗鬱薬の開発で出現した1つの戦略は、セロトニン、ノルエピネフリンおよびドーパミンの再取り込みを共に阻害するトリプル再取り込み阻害剤(TRUI)の使用である。これらの化合物は、一部にはドーパミン成分の追加により、活性のより迅速な開始および単一または二重再取り込み阻害剤抗鬱薬を上回る良好な効力を有すると仮定されている。鬱病のモノアミン理論は、ノルエピネフリンおよびセロトニンを中心としているが、ドーパミンの関与を示唆するデータも存在する(Dunlop BW、Nemeroff CB、The role of dopamine in the pathophysiology of depression, Arch. Gen. Psychiatry 2007年;64巻:327〜337頁:およびPapakostas GI、Fava M、A metaanalysis of clinical trials comparing moclobemide with selective serotonin reuptake inhibitors for the treatment of major depressive disorder; Can. J. Psychiatry 2006年;51巻:783〜790頁を参照されたい)。動機、集中および快感を体験する能力は、一部は中枢ドーパミン作動性系を介して調節されていて、これらはまた、鬱病においてマイナスの衝撃を受ける。鬱病患者のサブグループはまた、ドーパミン代謝産物であるホモバニリン酸の低い脳脊髄液(csf)レベルを有することが観察されており、これは、これらの患者における低いドーパミン作動性機能を示唆している。過去数年にわたって、いくつかの研究が、ブプロピオンおよびメチルフェニデートなどのドーパミントランスポーター(DAT)阻害特性を、SSRIまたはSNRIと共に有する組合せ薬物の利益を実証している(Marshall RD、Liebowitz MR. Paroxetine/bupropion combination treatment for refractory depression. 1996年;16巻:80〜81頁;Bodkin JA、Lasser, RA、Wines JD Jr、Gardner DM、Baldessarini RJ. Combining serotonin reuptake inhibitors and buproprion in partial responders to antidepressant monotherapy. J. Clin. Psychaitry 1997年;58巻:137〜145頁;Lavretsky H、Kim MD、Kumar A、Reynolds CF Combined treatment with methylphenidate and citalopram for accelerated response in the elderly: an open trial. J. Clin. Psychiatry. 2003年;64巻:1410〜1414頁;Trivedi MH、Fava M、Wisniewski SR、Thase ME, Quitkin F, et al. Medication augmentation after the failure of SSRIs for depression. N. Engl. J. Med. 2006年;354巻:1243〜1252頁を参照されたい)。
【0007】
DAT、セロトニントランスポーター(SERT)およびノルエピネフリントランスポーター(NET)をターゲットとする薬物を提供することが望ましい。望ましくは、薬物はSERT、DATおよびNET阻害の最適な比を提供する。したがって、SERT、DATおよびNET占有率が、検討すべき重要な薬理学的基準である。本発明の一態様では、約80%を超えるSERT占有率を維持しつつ、約20〜60%のDAT占有率をもたらす化合物を提供する。
【0008】
また、テトラヒドロイソキノリンを製造する方法、テトラヒドロイソキノリンを製造する際に有用な中間体およびこのような中間体の製造方法を提供することが望ましい。
【0009】
本明細書に記載の本発明は、下記の通り様々な態様で示される。
本開示では、様々な他の症状、例えば、不安障害、疼痛、注意欠陥障害(ADD)、禁煙および肥満に加えて、鬱病を治療する際に有用であり得る6−[(4S)−2−メチル−4−(ナフチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル]ピリダジン−3−アミンの特定の結晶形を提供する。また、本開示では、テトラヒドロイソキノリンを製造する方法、テトラヒドロイソキノリンを製造する際に有用な中間体およびこのような中間体の製造方法を提供する。
【0010】
明解にするために、式(I)により表されるrac−6−[(4)−2−メチル−4−(ナフチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル]ピリダジン−3−アミンの遊離塩基ラセミ化合物を本明細書では、化合物(1)と称する。式(II)により表される化合物1の(4S)−鏡像異性体を本明細書では一般に(任意の具体的な結晶形に言及することなく)、化合物2と称する。式(II)によっても表される、本開示による化合物2の結晶形を本明細書では、形態N−1と称する。
【化1】

式I:化合物(1)−ラセミ化合物を表す。
【化2】

式II:化合物2、化合物1の(4S)−鏡像異性体および形態N−1を表す。
【0011】
形態N−1は、繰り返し結晶化することができ、これを薬物開発のための適切な候補とする高い水溶性および優れた精製能を提供することが見い出されている。
【0012】
本開示は、形態N−1を提供する。また、本開示は、遊離塩基の結晶形の測定が約20℃〜約25℃の温度において、下表:

の単位格子パラメータの特徴を有する形態N−1も提供する。また、本開示は、表3,原子座標に挙げられている単位格子内の部分原子座標(fractional atomic coordinate)の特徴を有する形態N−1も提供する。また、本開示は、国立標準技術研究所(NIST)または他の適切な標準で較正される2θで、回転キャピラリー(spinning capillary)を備えた回折計(CuKα)で集められた高品質なパターンを基に、粉末X線回折パターンにおいて約20℃から約25℃の温度で4.6±0.1、9.4±0.1、10.6±0.1、14.1±0.1、15.4±0.1、18.2±0.1、19.5±0.1の2シータの値に特徴的なピークを有する形態N−1も提供する。また、本開示は、典型的には235〜245℃の範囲に開始する分解吸熱を伴う融解の特徴を有する形態N−1も提供する。また本開示は、実質的に純粋な形態N−1も提供する。また、本開示は、形態N−1と、医薬的に許容される担体または希釈剤とを含む医薬組成物も提供する。また、本開示は、形態N−1を、1種または複数の抗鬱活性を有する追加的な化合物と組み合わせて含む医薬組成物も提供する。
【0013】
本開示は、テトラヒドロイソキノリンを製造する方法を提供する。また、本開示は、テトラヒドロイソキノリンを製造する際に有用な中間体を提供する。また、本開示は、このような中間体の製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、形態N−1の実験的および模擬粉末化X線回折パターン(T=室温で、CuKα λ=1.54178Å)を示す。
【図2】図2は、形態N−1の示差走査熱分析パターンを示す。
【図3】図3は、形態N−1の固体核磁気共鳴(SSNMR)スペクトルを示す。
【0015】
定義
本明細書で使用される立体化学の定義および規則は通常、McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms、S. P. Parker編、McGraw-Hill Book Company、New York(1984年)およびStereochemistry of Organic Compounds、Eliel,E.およびWilen,S.、John Wiley & Sons,Inc.、New York(1994年)に従っている。多くの有機化合物が光学活性な形態で存在する。即ち、これらは、平面偏光を回転させる能力を有する。光学活性な化合物を記載する際、分子の絶対配置をそのキラル中心(複数も可)について示すためには、接頭辞DおよびLまたはRおよびSを使用する。化合物による平面偏光の回転の符号を示すためには、接頭辞dおよびlまたは(+)および(−)を使用し、その際、(−)またはlは、その化合物が左旋性であることを意味し、(+)またはdは、その化合物が右旋性であることを意味する。所定の化学構造では、立体異性体と称されるこれらの化合物は、相互に鏡像であることを除き、同一である。鏡像対の特定の立体異性体はまた、鏡像異性体と称されることがあり、そのような異性体の混合物は、鏡像異性体混合物と称されることが多い。
【0016】
「キラル」という用語は、重ね合わせることができない鏡像パートナーの特性を有する分子を指す一方で、「アキラル」という用語は、その鏡像パートナーに重ね合わせることができる分子を指す。
【0017】
「誘導体」という用語は、酸のエステルまたはアミド、アルコールもしくはチオールではベンジル基およびアミンではtert−ブトキシカルボニル基などの保護基など、通常の技能の化学者にとってはその変更が日常的と考えられる化学的に変更された化合物を意味する。
【0018】
「鏡像異性体」という用語は、相互に重ね合わせることができない鏡像である化合物の2種の立体異性体を指す。
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「ハロゲン」という用語は、フッ素、臭素、塩素およびヨウ素を包含することが意図されており、「ハライド」という用語は、フルオリド、ブロミド、クロリドおよびヨージドアニオンを包含することが意図されている。
「患者」という用語は、ヒトおよび他の動物の両方を包含する。
【0019】
「医薬組成物」という用語は、形態N−1を、投与方法および剤形の性質に応じて、少なくとも1種の追加的な医薬担体、即ち、賦形剤、保存剤、充填剤、流量調節剤、崩壊剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味剤、香味剤、香料、抗菌剤、抗真菌剤、滑沢剤および分散化剤などのアジュバント、賦形剤またはベヒクルと組み合わせて含む組成物を意味する。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Publishing Company、Easton、Pa.(1999年)に挙げられている成分を使用することができる。
【0020】
「医薬的に許容される」との語句を本明細書では、適正な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー性応答または他の問題もしくは合併症を伴うことなく、合理的な損益比に比例してヒトおよび動物の組織と接触させて使用するために適している化合物、物質、組成物および/または剤形を指すために使用する。
【0021】
「医薬的に許容される塩」という用語は、慣用の化学的方法により、塩基または酸性部分を含有する化合物から合成された非毒性の塩を包含することが意図されている。通常、これらの化合物の遊離の酸または塩基形態を、化学量論的量のそれぞれ適切な塩基または酸と水中もしくは有機溶媒中、またはこれら2種の混合物中で反応させることにより、このような塩を製造することができ;通常、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルなどの非水性媒体が好ましい。適切な塩のリストは、Remington's Pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Publishing Company、Easton、Pa.、1990年、1445頁に見い出される。アルカリおよびアルカリ土類金属塩基などの適切な無機塩基は包含する。「多形」という用語は、同じ化学組成を有するが、結晶を形成する分子、原子および/またはイオンの異なる空間的配置を有する結晶形を指す。
【0022】
「ラセミ混合物」および「ラセミ化合物」という用語は、光学活性を欠いた、2種の鏡像異性体種の等モル混合物を指す。加えて、本明細書で使用される場合、「ラセミ混合物」および「ラセミ化合物」という用語は、2種の鏡像異性体の等モル混合物を包含することが意図されている。
【0023】
「溶媒和物」という用語は、本開示の化合物と1個または複数の溶媒分子との物理的結合を意味する。この物理的結合には、水素結合が包含される。ある種の例では、例えば、1個または複数の溶媒分子が、結晶固体の結晶格子内に組み込まれている場合には、溶媒和物を単離することができる。「溶媒和物」は、溶液相および単離可能な溶媒和物の両方を包含する。例示的な溶媒和物には、水和物、エタノレート、メタノレートなどが包含される。
「立体異性体」という用語は、同一の化学的構成を有するが、空間内での原子または基の配置に関して異なる化合物を指す。
【0024】
「実質的に純粋」という用語は、化学的純度および形態純度を指す。より具体的には、実質的に純粋な形態N−1は、少なくとも約95重量%、好ましくは少なくとも約98重量%、より好ましくは少なくとも約99重量%の形態N−1および約5重量%未満、好ましくは約2重量%未満、より好ましくは約1重量%未満の、化合物2とは異なる化学構造を有する他の化合物を含む。加えて、実質的に純粋な形態N−1は、少なくとも約95重量%、好ましくは少なくとも約98重量%、より好ましくは少なくとも約99重量%の形態N−1および約5重量%未満、好ましくは約2重量%未満、より好ましくは、約1重量%未満の化合物2の任意の他の結晶形を含む。これは、形態N−1が好ましくは、約5重量%未満の他の化合物および約5重量%未満の任意の他の形態を含有することを意味する(「相均一性」とも称される)。
【0025】
「治療有効量」という用語は、有意な患者利益を示すのに十分な形態N−1の全量を意味する。単独で投与される個々の活性な成分に適用される場合、この用語は、その成分のみに関する。組合せに適用される場合、この用語は、組み合わせて、連続して、または同時に投与されるか否かにかかわらず、治療作用をもたらす複数の活性成分を合わせた量に関する。形態N−1が他の投薬、即ち薬物と組み合わせて使用される場合、本明細書に記載の化合物の組合せは、相乗的な組合せをもたらし得る。例えば、ChouおよびTalalay、Adv. Enzyme Regul. 1984年、22巻、27〜55頁により記載されている通り、組合せで投与された場合の化合物の作用が、単一の薬剤として単独で投与された場合の化合物の作用よりも大きい場合、相乗作用が生じている。
【0026】
「治療」という用語は、(i)疾患、障害および/または症状に罹患しやすいが、まだ罹患しているとは診断されていない患者において、疾患、障害または症状が生じるのを予防すること;(ii)疾患、障害または症状を阻害すること、即ち、その進展を止めること;および(iii)疾患、障害または症状を緩解すること、即ち、疾患、障害および/または症状の後退を誘発することを指す。
【0027】
容易に参照できるように、以下の略語は、この開示に用いられる場合、以下に与えられる意味を有する:
ACN=アセトニトリル;
AcOHおよびHOAc=酢酸;
Boc=t−ブトキシカルボニル;
CSA=カンファースルホン酸;
DCM=ジクロロメタン;
DMAP=4−N,N−ジメチルアミノピリジン;
DMF=N,N−ジメチルホルムアミド;
DIPEA=ジイソプロピルエチルアミン;
DPPA=ジフェニルホスホリルアジド;
DMSO=ジメチルスルホキシド;
EtOAc=酢酸エチル;
Et3N=トリエチルアミン;
EtOH=エタノール;
IPA=イソプロパノール;
IPAc=酢酸イソプロピル;
KOAc=酢酸カリウム;
MeOH=メタノール
MSA=メタンスルホン酸;
MTBE=メチルtert−ブチルエーテル;
NBS=N−ブロモスクシンアミド;
TFA=トリフルオロ酢酸;
THF=テトラヒドロフラン;
g=グラム;
h=時間;
kg=キログラム;
L=リットル;
min=分;
mL=ミリリットル;
mmol=ミリモル;
mol=モル;
【0028】
結晶性物質の一般的な製造:
結晶形は、様々な方法、例えば、適当な溶媒からの結晶化または再結晶化、昇華、融解からの成長、固体以外から固体への状態変換、超臨界流体からの結晶化、および噴射スプレーによって製造されうる。溶媒混合物からの結晶形の結晶化または再結晶化のための技術には、例えば、溶媒の蒸発、溶媒混合物の温度の低下、分子および/または塩の過飽和溶媒混合物への種晶の付加、溶媒混合物の凍結乾燥、および溶媒混合物への貧溶媒(逆溶媒(countersolvent))の付加が含まれる。ハイスループット結晶化技術は、多形を含む結晶形の製造に用いられうる。多形を含む薬物の結晶、製造方法、および薬物の結晶の評価は、Solid-State Chemistry of Drugs, S. R. Byrn, R.R. Pfeiffer, and J.G. Stowell, 2nd Edition, SSCI, West Lafayette, Indiana (1999)において議論される。
【0029】
溶媒を用いる結晶化技術のために、溶媒の選択は一般に一つまたはそれ以上の因子に依存し、その因子は例えば、化合物の溶解度、結晶化技術、および溶媒の蒸気圧、または実質的に純粋な結晶形を得る能力である。溶媒は組み合わせて用いてもよく、例えば、化合物は第一の溶媒の中に可溶化されて溶液を得、続いて貧溶媒の付加によって溶液中の化合物の溶解度を減少させ、結晶の形成が得られうる。貧溶媒は、化合物が低溶解度を有する溶媒である。
【0030】
結晶を製造するための一つの方法において、化合物は適当な溶媒の中で懸濁および/または撹拌されてスラリーを与え、それは加熱されて完全または部分的な溶解を促進しうる。用語「スラリー」は、本明細書中で用いられるように、化合物の飽和溶液を意味し、それはまた追加量の化合物を含んで、所定の温度で化合物および溶媒の不均一な混合物を与えうる。
【0031】
種晶はいずれの結晶化混合物にも加えられ、結晶化を促進しうる。種晶の添加は、特定の多形の成長を調節し、または結晶性生成物の粒子サイズ分布を調節し、および/または実質的に純粋な結晶形を得るのに用いてもよい。したがって、必要な種晶の量の計算は、利用できる種晶のサイズおよび平均的な生成物粒子の目的のサイズに依存し、これは例えば、「Programmed Cooling of Batch Crystallizers」, J. W. Mullin and J. Nyvlt, Chemical Engineering Science, 1971, 26, 369-377に記載されている。一般に、小さなサイズの種晶は、バッチにおける結晶の成長を効果的に調節するのに必要である。小さなサイズの種晶は、大きな結晶のふるい分け、粉砕、または微粉化、あるいは溶液の微結晶化によって生成しうる。結晶の粉砕または微粉化は、目的の結晶形からの結晶化度においていずれの変化(すなわち、アモルファスまたは別の多形への変化)ももたらさないことに注意を払うべきである。
【0032】
冷却された結晶化混合物は真空下でろ過されてもよく、単離された固体は適当な溶媒、例えば冷却した再結晶溶媒で洗浄してもよく、窒素でパージしながら乾燥して目的の結晶形を得てもよい。単離された固体は、適当な分光学的技術または分析技術、例えば、固体核磁気共鳴法、粉末X線回折などによって分析し、生成物の好ましい結晶形の形成を確かめてもよい。生じた結晶形は、典型的には、本来結晶化の手順において用いられる化合物の重量に基づいて、単離収率約70重量%超、好ましくは単離収率90重量%超の量で製造される。生成物は、必要であればともに粉砕され、または網目スクリーンを通過して生成物を粉々にしてもよい。
【0033】
結晶形は、例えば、化合物2を製造するための段階の反応系から直接製造されうる。これは、例えば形態N−1が結晶化されうる溶媒または溶媒混合物を、本方法の最終段階で用いることによって達成されうる。もう一つの方法として、結晶形は蒸留または溶媒付加技術によって得られうる。この目的のための適当な溶媒には、例えば非極性溶媒および極性溶媒、並びにアルコールのようなプロトン性極性溶媒、およびケトンのような非プロトン性極性溶媒が含まれ、その詳細および選択は当業者に知られている。
【0034】
サンプル中の一つより多い多形の存在は、粉末X線回折(PXRD)または固体核磁気共鳴法(SSNMR)のような技術によって決定されうる。例えば、シミュレーションされたPXRDパターンと比較した場合の実験で測定されたPXRDパターンにおける余分なピークの存在によって、サンプル中の一つより多い多形が示唆されうる。シミュレーションされたPXRDPXRDは、単一の結晶X線データから計算されうる。Smith, D.K., 「A FORTRAN Program for Calculating X-Ray Powder Diffraction Patterns」, Lawrence Radiation Laboratory, Livermore, California, UCRL-7196 (April 1963)を参照せよ。一つの態様において、形態N−1は、シミュレーションされたPXRDパターンにはない余分なピークから生じる実験で測定されたPXRDパターンにおいて、全ピーク面積の5%より小さく、好ましくは2%より小さく、より好ましくは1%より小さく示される相均一性を有する。
【0035】
好ましくは、結晶化技術によって、本質的に形態N−1からなる生成物が提供される。結晶化された物質には、好ましくは、組成物中の化合物2の重量に基づいて、少なくとも95重量%の形態N−1が含まれる。残存する物質には、他の形態の化合物および/または反応不純物および/またはその製造から生じた処理不純物(processing impurity)が含まれうる。反応不純物および/または処理不純物の存在は、当該技術分野で知られている分析技術、例えば、クロマトグラフィ、核磁気共鳴法、質量分析、または赤外分光法によって決定されうる。
【0036】
評価
形態N−1は、当業者によく知られている様々な技術を用いて評価されうる。評価法の例には、これらに限らないが、単結晶X線回折、粉末X線回折(PXRD)、シミュレーションされた粉末X線パターン(Yin, S.; Scaringe, R. P.; DiMarco, J.; Galella, M. and Gougoutas, J. Z., American Pharmaceutical Review, 2003, 6, 2, 80)、示差走査熱量測定(DSC)、固体13C NMR(Earl, W.L. and Van der Hart, D. L., J. Magn. Reson., 1982, 48, 35-54)、ラマン分光法、赤外分光法、吸湿等温線、熱重量分析(TGA)、および高温技術(hot stage technique)が含まれる。
【0037】
形態N−1の単結晶の単位格子測定に基づいている単結晶X線回折を用いて、形態を評価および識別してもよい。単位格子の詳細な記載は、Stout & Jensen, X-Ray Structure Determination: A Practical Guide, Macmillan Co., New York (1968), Chapter 3 において与えられ、それは本明細書に引用される。あるいは、結晶格子内の空間関係における固有の原子配置を、測定された部分原子座標に従って評価してもよい。結晶構造を評価する別の方法は、回折プロファイルが、純粋な粉末物質を表すシミュレーションされたプロファイルと比較される(両者は同一の分析温度で行われる)粉末X線回折解析による方法、および一連の2θ値を特徴とする対象の形態(subject form)についての測定による方法である。
【0038】
X線回折パターンが、用いられた測定条件に依存する測定誤差と共に得られうることは、当業者が認識している。特に、X線回折パターンにおける強度が、用いられた測定条件に依存して変動しうることは、一般に公知である。相対強度もまた、実験条件に依存して変化しうることはさらに理解されるべきであり、したがって、強度の正確な順は考慮されるべきではない。また、通常のX線回折パターンについての回折角の測定誤差は、典型的には約5%またはそれ未満であり、前記回折角に関してこの程度の測定誤差は考慮されるべきである。したがって、本開示の結晶形が、本明細書で開示された添付図に描かれたX線回折パターンと完全に同一のX線回折パターンを与える結晶形に限らないことは理解されるべきである。添付図に開示されたものと実質的に同一のX線回折パターン、およびDSCサーモグラムを与えるいずれの結晶形も、本開示の範囲に含まれる。X線回折パターンの実質的同一性を確認する能力は、当業者の範囲内にある。
【0039】
有用性
本開示の特定の化合物、例えば、化合物1、化合物2または形態N−1は、単独でまたは他の化合物と組み合わせて、鬱病を治療するのに用いられうる。形態N−1は、単独でまたは他の化合物と組み合わせて、他の症状、例えば、神経症状、精神症状および免疫症状、例えば、不安障害、疼痛、ADD、禁煙および肥満症を治療するのに用いられうる。形態N−1は、単独でまたは他の化合物、すなわち薬物と組み合わせて、1回分の本明細書に与えられる医薬組成物を様々な症状(「障害」とも呼ばれる)を患っている患者に投与することによって、前記患者を治療するのに用いられうる。形態N−1を含む医薬組成物によって治療可能でありうる障害の例には、これらに限らないが、ADD、注意欠陥多動性障害(ADHD)、認知障害、不安障害、特に全般性不安障害(GAD)、パニック障害、単極性鬱病(大鬱病としても知られる)、双極性障害(躁鬱病または躁鬱病性障害としても知られる)、強迫性障害(OCD)、心的外傷後ストレス症候群(PTSD)、急性ストレス障害、社会恐怖症、単一恐怖症、月経前不快気分障害(PMDD)、社会不安障害(SAD)、大鬱病性障害(MDD)、核上性麻痺、摂食障害(特に肥満症、拒食症、神経性過食症、および気晴らし食い症候群)、鎮痛(例えば神経因性疼痛、特に糖尿病性神経障害)、薬物乱用障害(例えば薬物依存)(例えば、ニコチン中毒、コカイン中毒、アルコールおよびアンフェタミン中毒)、レッシュ・ナイハン症候群、神経変性疾患(例えば、パーキンソン病、黄体期後期症候群(late luteal phase syndrome)またはナルコレプシー)、精神科的症状の怒り(anger)(例えば拒絶過敏症(rejection sensitivity))、運動障害(例えば錐体外路症候群、チック障害および下肢静止不能症候群(RLS)、遅発性ジスキネジア、核上性麻痺、睡眠関連摂食障害(SRED)、夜食症候群(NES)、尿失禁(例えば、腹圧性尿失禁(SUI)および混合型尿失禁)、片頭痛、線維筋痛症候群(FS)、慢性疲労症候群(CFS)、性機能障害(特に早漏および男性インポテンス、体温調節障害(例えば、閉経と関連しうるのぼせ)、および腰痛が含まれる。
【0040】
本明細書に開示した方法は、テトラヒドロイソキノリン類、およびテトラヒドロイソキノリン類の製造に有用な中間体の製造に有用である。該中間体は、本開示のテトラヒドロイソキノリン類、例えば、化合物1、化合物2、および形態N−1、並びに他の化合物を製造するのに有用である。
【0041】
本開示はまた、治療有効量の形態N−1および少なくとも1つの医薬的に許容される担体を含む組成物も提供する。
【0042】
このような組成物中の活性成分、すなわち、形態N−1は、典型的には、組成物の0.1重量%〜99.9重量%が含まれ、しばしば約5〜95重量%が含まれる。ある場合には、医薬的に許容される調節剤(modifier)(例えば炭酸カルシウムおよび酸化マグネシウム)を用いて製剤のpHを調整して、製剤化された化合物またはその送達形態(delivery form)の安定性を増強してもよい。本開示の多形の製剤には、吸収およびバイオアベイラビリティの亢進のための添加剤、または製剤過程を改善する添加剤もまた含まれうる。
【0043】
本開示の医薬組成物は、経口的に(溶液または固形製剤として)、非経口的に、または植え込み式リザーバー(implanted reservoir)によって投与されうる。本明細書で用いられる用語「非経口」には、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、くも膜下腔内、および病巣内の注射もしくは注入法が含まれる。
【0044】
医薬組成物は、無菌注射用製剤、例えば、無菌注射用水性もしくは油性懸濁剤の形態を取りうる。この懸濁剤は、適当な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて、当該技術分野で公知の技術に従って製剤化されうる。このような化合物の製剤に関する詳細は、当業者に知られている。
【0045】
経口投与される場合、本開示の医薬組成物は、いずれの経口的に許容される製剤、例えば、これらに限らないが、カプセル剤、錠剤、並びに水懸濁液および溶液でも投与されうる。経口用錠剤の場合、通常用いられる担体には、乳糖およびコーンスターチが含まれる。滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムもまた添加されうる。カプセル形態の経口投与のため、有用な担体/希釈剤には、乳糖、高および低分子量ポリエチレングリコール、並びに乾燥コーンスターチが含まれる。水懸濁液が経口投与される場合、活性成分は乳化剤および懸濁剤と混合される。必要であれば、特定の甘味料および/または香料および/または着色料を加えてもよい。
【0046】
上記の組成物のための他の適当な担体は、標準的な薬学の教科書、例えば、「Remington's Pharmaceutical Sciences」, 19th ed., Mack Publishing Company, Easton, Penn., 1995で見られる。適当な送達形態の本開示の医薬組成物のデザインおよび製造に関するさらなる詳細は、当業者に知られている。
【0047】
当業者が認識するように、形態N−1の適当な投与量は、熟練した医師によって決定されうる。いずれの特定の患者についての特定の用量および治療計画も、様々な因子、例えば、用いた特定の化合物の活性、年齢、体重、全般的な健康状態、性別、食事、投与時間、治療時間、排泄速度、薬物の組合せ、症状の重症度および過程、患者の症状への性質(disposition)、並びに治療医師の判断に依存する。
【0048】
本発明の一つの態様において、下式:
【化3】

[式中、R1は、BrおよびH3COからなる群から選択される]
を有する化合物が提供される。かかる化合物の一つは、下式:
【化4】

または
【化5】

を有する。
【0049】
本発明の一つの態様において、下式:
【化6】

[式中、R1は、BrおよびH3COからなる群から選択される]
を有する化合物が提供される。かかる化合物の一つは、下式:
【化7】

または
【化8】

を有する。
【0050】
本発明の一つの態様において、下式:
【化9】

[式中、R2は、Br、H3COおよびHOからなる群から選択される]
を有する化合物が提供される。かかる化合物の一つは、下式:
【化10】

を有する。
【0051】
本発明の一つの態様において、下式:
【化11】

[式中、
ベンゼン環に結合するR3は、
【化12】

からなる群から選択され、
4は、C1−C4アルキル、アリールまたはフェニルであり、並びに
nは、1または2である]
を有する化合物が提供される。かかる化合物の一つは、下式:
【化13】

または
【化14】

を有する。
【0052】
本発明の一つの態様において、下式:
【化15】

[式中、R5は、各々独立して、水素、t−ブトキシカルボニル、カルボキシベンジル、パラ−メトキシベンジルカルボニル、パラ−メトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、ベンジル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル、N−フタルイミド、COCH3およびCOCF3からなる群から選択される]
を有する化合物が提供される。本明細書で特に断りがなければ、本開示の化合物においてR5置換基が引用される場合、より典型的には、R5は、水素、t−ブトキシカルボニル、カルボキシベンジル、パラ−メトキシベンジルカルボニル、パラ−メトキシベンジルおよび2,4−ジメトキシベンジルからなる群から選択され、さらにより典型的には、R5はt−ブトキシカルボニルである。かかる化合物の一つは、下式:
【化16】

を有する。
【0053】
本発明の一つの態様において、下式:
【化17】

[式中、R5は、各々独立して、水素、t−ブトキシカルボニル、カルボキシベンジル、パラ−メトキシベンジルカルボニル、パラ−メトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、ベンジル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル、N−フタルイミド、COCH3およびCOCF3からなる群から選択される]
を有する化合物が提供される。かかる化合物の一つは、下式:
【化18】

を有する。
【0054】
本発明の一つの態様において、下式:
【化19】

[式中、R5は、各々独立して、水素、t−ブトキシカルボニル、カルボキシベンジル、パラ−メトキシベンジルカルボニル、パラ−メトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、ベンジル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル、N−フタルイミド、COCH3およびCOCF3からなる群から選択される]
を有する化合物が提供される。かかる化合物の一つは、下式:
【化20】

を有する。
【0055】
本発明の一つの態様において、下式:
【化21】

[式中、
5は、各々独立して、水素、t−ブトキシカルボニル、カルボキシベンジル、パラ−メトキシベンジルカルボニル、パラ−メトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、ベンジル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル、N−フタルイミド、COCH3およびCOCF3からなる群から選択され、並びに
Xは、Cl、Br、Iおよびトリフルオロメタンスルホニルオキシからなる群から選択される]
を有する化合物が提供される。かかる化合物の一つは、下式:
【化22】

を有する。
【0056】
本発明の一つの態様において、下式:
【化23】

[式中、R6は、C1−C4アルキル、ベンジル、パラ−メトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、およびシリル保護基(例えば、これらに限らないが、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、およびトリイソプロピルシリル)からなる群から選択される]
を有する化合物が提供される。かかる化合物の一つにおいて、R6はCH3である。
【0057】
本発明の一つの態様において、下式:
【化24】

[式中、R5は、各々独立して、水素、t−ブトキシカルボニル、カルボキシベンジル、パラ−メトキシベンジルカルボニル、パラ−メトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、ベンジル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル、N−フタルイミド、COCH3およびCOCF3からなる群から選択される]
を有する化合物が提供される。かかる化合物の一つは、下式:
【化25】

を有する。
【0058】
本発明の一つの態様において、式:
【化26】

[式中、R2は、Br、H3COおよびHOからなる群から選択される]
を有する化合物の製造方法であって、式:
【化27】

[式中、R1は、BrまたはH3COから選択される]
を有する化合物を、化合物17Rの形成を促進するのに有効な条件下で反応させることを特徴とする方法が提供される。
【0059】
本発明の一つの態様において、式:
【化28】

を有する化合物の製造方法であって、式:
【化29】

を有する化合物を、化合物6の形成を促進するのに有効な条件下で反応させることを特徴とする方法が提供される。
【0060】
本発明の一つの態様において、式:
【化30】

を有する化合物の製造方法であって、式:
【化31】

[式中、R2は、Br、H3COおよびHOからなる群から選択される]
を有する化合物を、式:
【化32】

[式中、
ベンゼン環に結合するR3は、
【化33】

から選択され、
4は、C1−C4アルキル、アリールまたはフェニルであり、並びに
nは、1または2である]
を有する化合物の形成を促進するのに有効な条件下で反応させ、並びに
化合物18Rを、化合物rac−1の形成を促進するのに有効な条件下で反応させることを特徴とする方法が提供される。
【0061】
本発明の一つの態様において、式:
【化34】

を有する化合物の製造方法であって、式:
【化35】

を有する化合物を、式:
【化36】

を有する化合物の形成を促進するのに有効な条件下で反応させ、並びに
化合物8を、化合物2の形成を促進するのに有効な条件下で反応させることを特徴とする方法が提供される。
【0062】
本発明の一つの態様において、式:
【化37】

を有する化合物の製造方法であって、式:
【化38】

を有する化合物を、化合物28の形成を促進するのに有効な条件下で、
【化39】

と反応させることを特徴とする方法が提供される。
【0063】
本発明の一つの態様において、式:
【化40】

を有する化合物の製造方法であって、式:
【化41】

を有する化合物を、化合物rac−1の形成を促進するのに有効な条件下で反応させることを特徴とする方法が提供される。
【0064】
本発明の一つの態様において、式:
【化42】

を有する化合物の製造方法であって、式:
【化43】

を有する化合物を、化合物29の形成を促進するのに有効な条件下で、
【化44】

と反応させることを特徴とする方法が提供される。
【0065】
本発明の一つの態様において、式:
【化45】

を有する化合物の製造方法であって、式:
【化46】

を有する化合物を、化合物rac−1の形成を促進するのに有効な条件下で反応させることを特徴とする方法が提供される。
【0066】
本発明の一つの態様において、式:
【化47】

を有する化合物の製造方法であって、式:
【化48】

[式中、R5は、各々独立して、水素、t−ブトキシカルボニル、カルボキシベンジル、パラ−メトキシベンジルカルボニル、パラ−メトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、ベンジル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル、N−フタルイミド、COCH3およびCOCF3からなる群から選択される]
を有する化合物を、化合物2の形成を促進するのに有効な条件下で反応させることを特徴とする方法が提供される。
【0067】
本発明の一つの態様において、式:
【化49】

を有する化合物の製造方法であって、式:
【化50】

[式中、
ベンゼン環に結合するR3は、
【化51】

からなる群から選択され、
4は、C1−C4アルキル、アリールまたはフェニルであり、並びに
nは、1または2である]
を有する化合物を、化合物rac−1の形成を促進するのに有効な条件下で反応させることを特徴とする方法が提供される。
【0068】
本発明の一つの態様において、式:
【化52】

[式中、R6は、C1−C4アルキル、ベンジル、パラ−メトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、およびトリイソプロピルシリルからなる群から選択される]
を有する化合物の製造方法であって、式:
【化53】

の化合物を、化合物7Rの形成を促進するのに有効な条件下で反応させることを特徴とする方法が提供される。
【0069】
本発明の一つの態様において、式:
【化54】

[式中、R6は、C1−C4アルキル、ベンジル、パラ−メトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、およびトリイソプロピルシリルからなる群から選択される]
を有する化合物の製造方法であって、式:
【化55】

の化合物を、化合物7Rの形成を促進するのに有効な条件下で反応させることを特徴とする方法が提供される。
【0070】
本発明の一つの態様において、式:
【化56】

[式中、R6は、C1−C4アルキル、ベンジル、パラ−メトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、およびトリイソプロピルシリルからなる群から選択される]
を有する化合物の製造方法であって、式:
【化57】

の化合物を、化合物22Rの形成を促進するのに有効な条件下で反応させることを特徴とする方法が提供される。
【0071】
本開示の化合物、さらに、開示されている中間体を、例えば、下記の反応スキームに記載されている方法により製造することができる。これらの反応のための例示的な試薬および手順は、後記で現れるか、または上記されている。出発原料は市販されているか、または通常の当業者であれば容易に製造することができる。所望の化合物の形成を促進するのに有効な条件、例えば、溶媒、試薬、酸、塩、保護基、技術、触媒、圧力、温度、反応時間などは、当業者であれば容易に決定することができる。下記は、限定ではないが、化合物2および形態N−1を包含する本開示の化合物を製造するために使用することができる反応スキームの非限定的な例である。代表的な合成スキームを下記に示す。
【0072】
化合物2の製造:
化合物2の合成は、C−7およびC−4置換テトラヒドロイソキノリンのための一般的な手法を利用することができる。C−7での官能基の処理により、パラジウム触媒スズキカップリングを使用してのヘテロ環の取り付けが可能であり、C−4の所のアリール置換は、市販の出発原料から組み込まれている。
【0073】
メタノールと水の混合物などの適切な溶媒中でメチルアミンおよびホウ水素化ナトリウムを使用して、市販のm−アニスアルデヒドを還元アミノ化して、定量収率で化合物3を得ることで、好ましい合成を開始する(合成スキーム1)。この例では、メトキシ基が、C−7ピリダジンヘテロ環を取り付けるための官能性ハンドルになる。別法では、m−ブロモベンズアルデヒドが、適切な出発原料であることが実証されている(合成スキーム2)。この例では、臭素が、官能性ハンドルである。いくつかの別の還元剤が、アミン官能基を取り付けるために考えられ得る。この第2級アミンを、α−ブロモ−2'−アセトナフトンおよびトリエチルアミンなどの有機アミン塩基または無機塩基からなる適切な塩基でアルキル化すると、ケトン化合物4が得られた。ジクロロメタンが好ましい溶媒であるが、EtOAc、IPAc、MTBE、MeOH、EtOH、THF、ACNを包含するいくつかの溶媒を使用することができる。生じたケトンをホウ水素化ナトリウムで直ちに還元すると、化合物5が得られ、これを続いて、酸性フリーデル−クラフツ条件下で環化すると、ラセミのテトラヒドロイソキノリン化合物6およびその位置異性体が約2.5:1の比で得られた。メタンスルホン酸および硫酸などのプロトン酸ならびにTiCl4およびAlCl3などのルイス酸を包含するいくつかの酸が考えられ得る。位置異性体を、シュウ酸塩、次いでエタノール中での選択的結晶化を介して分離する。次いで、水酸化ナトリウム水溶液で処理することにより、所望の異性体のシュウ酸塩を遊離塩基に変換し、続いて、MTBEを用いる抽出により単離する。この手順の2回目の反復により、比が>97:3まで改善する。所望の鏡像異性体、化合物7の古典的な分割を、ジ−p−トルオイル−D−酒石酸を使用して達成する。所望の酒石酸塩は、アセトン中でより不溶性であり、濾過により単離される。水酸化ナトリウム水溶液で処理して、遊離塩基を得た後に、1回目のパスにより、鏡像異性体の95:5混合物が得られる。2回目の反復により、>99%eeが得られ、これは、化学的純度>99%を伴う。別法では、立体異性体および位置異性体の混合物をキラルクロマトグラフィにより精製することができる。酢酸中で臭化水素酸を用いて化合物7を脱メチル化すると、フェノール臭化水素酸塩、化合物8が得られ、これを直接、トリエチルアミン、DIPEAまたはピリジンなどの2当量の有機アミン塩基およびトリフルオロメタンスルホン酸無水物をジクロロメタン中で使用することにより、トリフレート、化合物9に変換する。別法では、化合物8の遊離塩基を後続のスズキカップリングで成功裏に使用することができる。溶媒、ボロネート、触媒およびリガンドのいくつかの組合せを、後続のスズキカップリングのために考えることができる。この例では、ビス(ピナコラト)ジボロン、KOAcおよびPdCl2(dppf)をDMSO中で使用して、粗製のトリフレートを粗製のボロン酸エステル化合物10に変換した。続いて、PdCl2(dppf)、Cs2CO3をDMF/水混合物中で使用して、3−アミノ−6−クロロピリダジンと直接スズキカップリングさせると、所望の化合物2が得られたが、そのままでは、純粋な生成物を得るために、長時間の後処理および実験室精製が必要であった。別法では、N,N,−ジ−tert−ブトキシカルボニル(Boc)保護された3−アミノ−6−クロロピリダジン(化合物11)をスズキカップリングにおいて、同様の条件下で、DMSOおよび水の混合物中で使用すると、化合物12が得られた。化合物11は、市販の3−アミノ−6−クロロピリダジン、二炭酸ジ−tert−ブチルおよびDMAPからDMF中で容易に製造される。IPA/水からビス−保護生成物を再結晶化させると、モノ−bocアミノピリダジン中間体が著しく低減する。LiCl水溶液、NH4OH水溶液での化合物12の粗製反応混合物の後処理、またはSi−チオール(Silicycle(登録商標))などの適切な金属捕捉剤もしくは活性炭での処理、またはメタノールなどのアルコール溶媒からの再結晶化は、所望の生成物の金属汚染を低減するのに有効な手段である。酸性条件下、メタノールまたはイソプロパノールなどのアルコール溶媒中でHClを使用してBoc保護基を除去すると、二HCl塩の化合物13が得られる。重炭酸ナトリウム水溶液およびメタノールの混合物から結晶化させることにより、遊離塩基の化合物2を生じさせる。
【0074】
別法では、製造規模で:3−アミノ−6−クロロピリダジンをスズキ条件下で、化合物18とカップリングさせて、ラセミの化合物1を得ることができる(合成スキーム2)。上記で論述し、合成スキーム1に示されているのと同様の手順を使用して、化合物17に容易に到達し得るが、但し、C−7臭素原子がヘテロ環を取り付けるための官能性ハンドルであるm−ブロモベンズアルデヒドで開始する。キラルHPLCをCHIRALCEL ODカラムで使用して、所望の(4S)鏡像異性体の分離を、製造規模で実施することができる。続いて、化合物2をL−酒石酸塩でMeOH中で処理すると、L−酒石酸塩が定量収率で生じた。
【0075】
化合物7の不斉合成を介しての化合物2の絶対配置の確認
化合物7の不斉合成および中間体化合物22のX線分析を実行することにより、化合物2の絶対配置の立証を達成した。(合成スキーム3)。不斉合成をm−アニスアルデヒドのNBS臭素化で開始して、化合物19を収率87%で得た。エチレングリコールを使用し、触媒としてカンファースルホン酸を用いて、ケタール化合物20を化合物19から定量収率で製造した。トリ−o−トリルホスフィンおよび酢酸パラジウムを使用する化合物20と(R)−3−アクリロイル−4−フェニルオキサゾリジン−2−オンとのヘックカップリングにより、化合物21が収率81%で得られた。臭化2−ナフチルマグネシウムおよび臭化銅(I)−硫化ジメチルにより形成された錯体を、化合物21の溶液に−78℃でグリニャール付加し、室温まで加温すると、化合物22が収率85%で、約98%のd.e.で生じた。化合物22の絶対配置を、単結晶X線結晶学により確認した(下記の構造を参照されたい)。けん化によりキラル助剤を分離すると、カルボン酸化合物23が得られ、これを、DPPAおよびMeOHを用いて、メチルカルバメート化合物24に収率59%で変換した。化合物24のケタールを0℃でHClを用いて分離した。中間体アルデヒドを単離した後に、還元アミノ化条件下で閉環すると、化合物25が収率60%で得られた。LiAlH4を使用してカルバメート基を還元すると、化合物7が収率70%で得られた。この化合物は、キラルLCにより、先行する方法により製造された確実な物質と共に共溶出した。
【化58】

化合物22の単結晶構造
【0076】
化合物rac−1の収束合成
化合物rac−1のより収束的な手法を合成スキーム4に示す。3−ホルミルフェニルボロン酸および化合物11のスズキカップリングにより、化合物26が収率95%で得られた。メタノールおよび水の混合物などの適切な溶媒中で、メチルアミンおよびホウ水素化ナトリウムを用いて化合物26を還元アミノ化すると、化合物27が得られた。化合物27をアルファブロモ−2’−アセトナフトンでアルキル化し、続いて、ケトンを還元すると、化合物29が、3つの工程全体で収率60%で得られた。別法では、化合物26を化合物30で還元アミノ化することにより、より直接的に、化合物29に達することができる。ヘキサメチレンテトラミン(HMTA)、続いて、メタノール中の還流濃HCl(水溶液)を使用して、アルファブロモ−2’−アセトナフトンをアミノ化して、第1級アミンを得ることにより、化合物30に達する。この第1級をクロロギ酸エチルで、続いて水素化アルミニウムリチウムで処理すると、化合物30が得られた。2−(2−ナフタレニル)−オキシランもまた、化合物27をアルキル化するために提案される論理的なシントンであり、これは、化合物29への直接的なアクセスをもたらすであろう。別法では、アルファブロモ−2’−アセトナフトンをメチルアミンおよびNaBH4で連続して処理しても、化合物30が得られる。酸性フリーデル−クラフツ条件下での化合物29の環化は、C7付加されているヘテロ環により、高い位置選択性で化合物rac−1をもたらすと考えられる。メタンスルホン酸および硫酸などのプロトン酸ならびにTiCl4およびAlCl3などのルイス酸を包含する数種の酸が考えられ得る。
【0077】
さらに、化合物2はまた、合成スキーム5に示されている通りに製造することもできる。化合物10を3,6−ジクロロピリダジンとスズキ条件下で反応させると、化合物31が得られ、次いでこれを、2,4−ジメトキシベンジルアミンとの反応により化合物32に変換することができる。トリフルオロ酢酸での処理により、化合物31上の2,4−ジメトキシベンジル基を除去すると、化合物2が得られた。化合物2を対応するマレイン酸塩にさらに変換することができる。
合成スキーム1
【化59】

【化60】

合成スキーム2
【化61】

合成スキーム3
【化62】

合成スキーム4
【化63】

合成スキーム5
【化64】

【0078】
実施例
以下の実施例は例示を目的として提供され、特許請求された発明の範囲を限定することは意図されない。
【化65】

1−(3−メトキシフェニル)−N−メチルメタンアミン(化合物3)の製造
m−アニスアルデヒド(205g、1.5mol)のメタノール溶液(800mL)に、室温で、メチルアミン(130mLの40% 水溶液、1.5mol)を加えた。生じた溶液を0℃に冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(83g、2.3mol)を何回かに分けて加えた。反応溶液を0℃で2時間撹拌し、次いで室温に加温し、減圧濃縮し、水で希釈した。有機相を分離し、酢酸エチルで希釈し、1:1 水/食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して、透明油として、目的のベンジルアミン(158.5g、70%)を得た。水抽出物を合わせて、ジクロロメタン(3×)で抽出した。塩化メチレン抽出物を合わせて、1:1 水/食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して、透明油として、追加のベンジルアミン(66.7g、29%)を得た:
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.24 (t, J = 8.4 Hz, 1H), 6.91-6.78 (m, 3H), 3.81 (s, 3H), 3.73 (s, 2H), 2.46 (s, 3H).
【0079】
【化66】

2−((3−メトキシベンジル)(メチル)アミノ)−1−(ナフタレン−2−イル)エタノン(化合物4)の製造
α−ブロモ−2'−アセトナフトン(386.2g、1.57mol)のジクロロメタン溶液(2.5L)に、30分間0℃で、化合物3(249.1g、1.65mol)を加え、続いてトリエチルアミン(220.7mL、1.57mmol)を45分間加えた。0℃で40分間撹拌した後、反応混合液を室温に加温し、終夜撹拌した。次いで反応溶液を水(2×)で洗浄し、水層をジクロロメタン(2×)で再抽出した。有機抽出物を合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。赤みがかった油として、ケトンである化合物4(513.3g、定量的)を得て、それをさらに精製することなく次の段階に用いた:
1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 8.50 (s, 1H), 8.01 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.92 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.88-7.85 (m, 2H), 7.60-7.54 (m, 2H), 7.26-7.23 (m, 1H), 6.97-6.94 (m, 2H), 6.82 (dd, J = 8.0, 2.5 Hz, 1H), 3.88 (s, 2H), 3.75 (s, 3H), 3.69 (s, 2H), 2.42 (s, 3H); ESI MS m/z 320 [M+ H]+.
【0080】
【化67】

2−((3−メトキシベンジル)(メチル)アミノ)−1−(ナフタレン−2−イル)エタノール(化合物5)の製造
ケトンである化合物4(512.2g、1.57mol)のメタノール溶液(4.0L)を2つのフラスコに均等に分けた。半分ずつの氷冷した溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(33.0g、0.87mol)を何回かに分けて加えた(〜30分)。添加した後、反応溶液を0℃(内部温度10〜15℃)で50分間撹拌し、次いでそれを水(〜500mL)でゆっくりとクエンチした。次いで反応混合液を減圧濃縮して、ほとんどの有機溶媒を除去した。2つのバッチから得られた残渣を合わせて、ジクロロメタン(2×)で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。黄色油として、アルコールである化合物5(510.4g、定量的)を得て、それをさらに精製することなく次の段階に用いた:
1H NMR (500 MHz, CDCl3) d 7.84-7.80 (m, 4H), 7.47-7.44 (m, 3H), 7.27-7.24 (m, 1H), 6.92-6.83 (m, 3H), 4.92 (dd, J = 10.0, 4.0 Hz, 1H), 4.14 (br s, 1H), 3.81 (s, 3H), 3.74 (d, J = 13.0 Hz, 1H), 3.53 (d, J = 13.0 Hz, 1H), 2.68-2.60 (m, 2H), 2.36 (s, 3H); ESI MS m/z 322 [M+ H]+.
【0081】
【化68】

ラセミ体の7−メトキシ−2−メチル−4−(ナフタレン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(化合物6)の製造
アルコールである化合物5(495g、1.54mol)のジクロロメタン溶液(6.0L)を2つのフラスコに均等に分けた。半分ずつの氷冷した溶液に、別の漏斗でメタンスルホン酸(500mL、7.7mmol)を加えた(〜1時間)。反応溶液を室温にゆっくりと加温し、6〜8時間撹拌し、次いでそれを<10℃に冷却し、水酸化ナトリウム水溶液(330g、8.3mol、600mLの水溶液)でゆっくりとクエンチした。添加の間の内部温度を30℃未満に保った。次いで有機層を分離し、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。2つのバッチからの粗生成物を合わせて、フラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/酢酸エチル 88:12〜酢酸エチル/メタノール99.9:0.1)で精製して、濃厚な油として、化合物6(4段階で、280.4g、60%)を得た:
1H NMR (500 MHz, CDCl3 δ 7.81-7.74 (m, 3H), 7.68 (s, 1H), 7.47-7.42 (m, 2H), 7.28-7.26 (m, 1H), 6.79 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 6.80-6.62 (m, 2H), 4.40 (dd, J = 8.5, 6.0 Hz, 1H), 3.80-3.78 (m, 1H), 3.77 (s, 3H), 3.65 (d, J = 15.0 Hz, 1H), 3.11-3.08 (m, 1H), 2.65 (dd, J = 11.5, 6.0 Hz, 1H), 2.45 (s, 3H); ESI MS m/z 304 [M+ H]+.
【0082】
【化69】

ラセミ体の7−メトキシ−2−メチル−4−(ナフタレン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(化合物6)の製造
あるいは、それぞれのシュウ酸塩として、位置異性体を分離してもよい。シュウ酸(162g、1.8mol)の無水EtOH溶液(600mL)を1回で加えながら(発熱性)、位置異性体[547g、1.8mol]の2.4:1 混合物の無水EtOH溶液(2L)を周囲温度で撹拌した。溶液は不均一となり、2時間後、それを濾過して、明黄色固形物を得て、それは1H NMRによって、〜90:10 混合物の位置異性体であった。濾過ケーキを新しい無水EtOH(6.5L)に加え、生じたスラリーを3時間75℃に加熱した。次いでスラリーを25℃に冷却し、濾過した。濾過ケーキを終夜N2下に置き、次いで飽和NaHCO3(3L)に加えた。生成物をEtOAc(3.5L)で抽出し、有機層を乾燥(MgSO4)し、濃縮して、白色固形物(355g)を得て、それは、収率91%および純度98.4%で、化合物6とその位置異性体の96:4 混合物であった。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.75 (m, 4H), 7.44 (m, 2H), 7.27 (dd, J = 8.4, 1.7 Hz, 1H), 6.70 (m, 3H), 4.39 (m, 1H), 3.77 (m, 4H), 3.63 (m, 1H), 3.08 (ddd, J = 11.5, 4.3, 1.2 Hz, 1H), 2.64 (dd, J = 11.5, 8.9 Hz, 1H), 2.44 (s, 3H).
【0083】
【化70】

(S)−7−メトキシ−2−メチル−4−(ナフタレン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(化合物7)の製造
内部温度が増加しないように留意しながら、化合物6(222.3g、0.73mol)のエタノール溶液(5.5L)に、室温で、ジ−p−トルオイル−D−酒石酸(292.2g、0.73mol)のエタノール溶液(1.0L)をすばやく加えた。反応溶液を室温で撹拌した。10分以内に沈澱が形成し始めた。2時間撹拌した後、反応スラリーを濾過し、ケーキを12時間60℃で減圧乾燥して、(4S)に富んだ酒石酸塩[265.0g、52%、約84:16のエナンチオマーの比(キラルパック AD、ヘプタン:IPA:ジエチルアミン 90:10:0.01)]を得た。濾液を減圧濃縮し、60℃で乾燥して、4Rに富んだ酒石酸塩(238.0g、47%、約3:97のエナンチオマーの比)を得た。目的の4Sに富んだ酒石酸塩を水酸化ナトリウム水で処理し、プレパラティブキラルクロマトグラフィで分離して、純粋な化合物7を得た。(2バッチの豊富なラセミ体(それぞれ、117gおよび93g)において、プレパラティブキラルクロマトグラフィを実行した。以下の条件を117gのバッチについて用いた:Thar 350 SFC;カラム:キラルパック AD−H、5×25cm;移動相:30% IPA+0.05% DEA/CO2;圧力:100バール;温度:45℃;流速:240g/分;溶液濃度 〜250mg/ml;注射量:8mL;サイクル時間:10.5分/inj;検出器:254nM;スループット:11〜12g/hr。DEA(0.5mL)を加えながら、サンプルを温かいMeOH(275mL)およびIPA(95mL)に溶解した)。
【0084】
(S)−7−メトキシ−2−メチル−4−(ナフタレン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(化合物7)の別の製造
ラセミ体の化合物6(1.2kg、1.0当量、1H NMRで97:3 混合物の位置異性体)のアセトン溶液を、100L ジャケット付反応器(jacketed reactor)中、55℃に加熱した。同時に、20L カーボイ中、ジ−p−トルオイル−D−酒石酸(1.1kg、0.80当量)のアセトン溶液を製造した。キラルな酸性溶液の一部(0.45当量)を2時間かけてラセミ体の溶液に加えると、溶液は濁った。次いであらかじめ製造した種晶(10g、99% ee)を加えた。混合液をさらに30分間撹拌し続けた。残存しているキラル酸性溶液を3時間かけてゆっくりと加えた。バッチを5時間かけて−5〜5℃に冷却し、その温度で14時間保持した。次いでスラリーを濾過し、濾過ケーキを6時間窒素雰囲気下に置いた。次いで乾燥した濾過ケーキを粉末に砕き、きれいな50L 反応器中、NaOH水(2M)に加えた。MTBEを加え、二相性混合物を45分間勢いよく撹拌した。相を分離し、有機層を濃縮して、475gのオフホワイトの固形物(収率80%の(+)−エナンチオマー、91:9 エナンチオマー比)を得た。得られた固形物に、上記の方法の第2の反復を行ったが、2つだけ小さな変更をした:分割剤の化学量論を0.80当量から0.85当量まで増加させ、アセトンの容積を最初の溶液において25%増加させた。450gのエナンチオに富んだ物質(enantio-enriched material)(91:9)を用いた場合、370gのエナンチオピュアな化合物7を得た(キラルな酸に基づいて、収率97%、>99% ee)。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.72-7.82 (m, 3H), 7.68 (s, 1H), 7.39-7.49 (m, 2H), 7.24 (dd, J = 8.5, 1.7 Hz, 1H), 6.76 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 5.59-6.67 (m, 2H), 4.39 (dd, J = 8.9, 5.9 Hz, 1H), 3.82 (d, J = 15.0 Hz, 1H), 3.76 (s, 3H), 3.67 (d, J = 15.0 Hz), 3.11 (ddd, J = 11.5, 5.7, 1.1 Hz, 1H), 2.66 (dd, J = 11.6, 9.3 Hz, 1H), 2.45 (s, 3H).
【0085】
【化71】

(S)−2−メチル−4−(ナフタレン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−オール(化合物8、遊離塩基)の製造
化合物7(42.5g、140mmol)の48% HBr溶液(200mL)に、AcOH(100mL)を加えて、明黄色懸濁液を得た。反応液を加熱して、明黄色溶液を得て、120℃で6時間撹拌し(HPLCで、<1.5% 出発物質が残存)、次いで濃縮した。ジクロロメタン(500mL)を残渣に加え、懸濁液を濾過した。濾液を、氷水、50% NaOH(ゆっくりと加えた)およびNa2CO3溶液でpH 10に中和した。水層をジクロロメタンで2回抽出した。固形物をジクロロメタンおよびトリエチルアミン(25mL)に十分溶解し、Na2CO3溶液で洗浄して、pH 10にした。有機層を合わせて、NaHCO3および食塩水で洗浄し、Na2SO4で終夜乾燥し、濾過し、濃縮した。粗生成物の化合物8を、遊離塩基として、さらに精製することなく次の段階に用いてもよい。
【0086】
【化72】

(S)−2−メチル−4−(ナフタレン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−オール(化合物8、遊離塩基)の製造
別法:化合物7(30.0g、99.0mmol)の酢酸溶液(150mL)に、臭化水素酸(48% 水溶液、450mL)を加えた。反応溶液に窒素を流し、3時間110℃(内部温度)で加熱し、その時点で、HPLCおよびMSによって、出発物質が残存していないことが示された。次いで反応溶液を室温に冷却し、減圧濃縮した。得られた残渣を塩化メチレンおよび水に溶解し、次いで飽和炭酸水素ナトリウム水および水酸化ナトリウム水で注意してpH>8に中和した。有機抽出物を分離し、水および食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して、明黄色固形物として、遊離塩基の化合物8(29.1g、定量的収率)を得た。粗生成物をさらに精製することなく次の段階に用いた:
1H NMR (500 MHz, CDCl3 δ 7.81-7.74 (m, 3H), 7.67 (s, 1H), 7.47-7.42 (m, 2H), 7.30-7.25 (m, 1H), 6.73 (d, J = 8.5 Hz, 1 H), 6.57-6.52 (m, 2H), 4.38 (dd, J = 8.5, 6.0 Hz, 1H), 3.73 (d, J = 15.0 Hz, 1H), 3.60 (d, J = 15.0 Hz, 1H), 3.11-3.08 (m, 1H), 2.63 (dd, J = 11.5, 9.5 Hz, 1H), 2.44 (s, 3H); ESI MS m/z 290 [M+ H]+.
【0087】
【化73】

(S)−2−メチル−4−(ナフタレン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−オール(化合物8、HBr塩)の製造
あるいは、中間体である化合物8のHBr塩を単離し、直接次の段階に用いてもよい。
スケールアップした方法:化合物7(1.0kg、1.0当量)のAcOH混合溶液(2.5L)を機械的に撹拌し、溶液が均一になるまで55〜60℃で加熱した。次いで48重量% HBrの水溶液(5.0L)を1回で加え、生じた溶液を18時間105℃に加熱した(HBr溶液を加えた後、溶液は直ちに不均一になったが、105℃で約2時間撹拌した後、均一になった)。次いで溶液を15分かけて95℃に冷却した。DI水(900mL)を15分かけて加え、次いで標準の化合物26の種晶(5.0g)を加えた。次いで追加のDI水(3.1L)を2時間かけて加えた。スラリーを2.5時間かけて25℃に冷却し、濾過した。濾過ケーキを終夜窒素下に置き、次いでDI水(4.0L)に加えた。スラリーを周囲温度で45分間撹拌し、5℃に冷却し、濾過し、終夜N2下に置き、次いで一定重量に減圧乾燥して、収率85%および純度>99%で、白色固形物として、化合物8,HBr塩(1.0kg)を得た。
1H NMR (500 MHz, d-DMSO) δ 1H NMR (500 MHz, d-DMSO) δ 10.31 (s, 0.85H), 10.11 (br s, 0.15H), 9.60 (s, 1H), 7.91 (m, 4H), 7.54 (m, 2H), 7.30 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 6.67 (s, 1H), 6.61 (m, 2H), 4.64 (m, 1H), 4.54 (br s, 2H), 3.84 (br s, 1H), 3.62 (t, J = 11.2 Hz, 1H), 2.98 (s, 3H).
【0088】
【化74】

(S)− 2−メチル−4−(ナフタレン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル トリフルオロメタンスルホネート(化合物9)の製造
化合物8,遊離塩基(28.9g、99.0mmol)のジクロロメタン溶液(820mL)に、ピリジン(10.4mL、128.7mmol)を加えた。反応懸濁液を室温で5分間撹拌して、溶液を得た。反応溶液を0℃に冷却し、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(18.5mL、108.9mmol)をゆっくりと加えた(〜35分)。反応混合液を0℃で45分間撹拌し、次いでそれを炭酸水素ナトリウム水でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。有機抽出物を合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。黄色油として得られた化合物9を、さらに精製することなく次の段階に用いた。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.83-7.70 (m, 3H), 7.67 (s, 1H), 7.49-7.44 (m, 2H), 7.30-7.23 (m, 1H), 7.04 (d, J=2.05 Hz, 1 H), 6.98-6.95 (m, 2H), ), 4.42 (dd, J=8.0, 6.0 Hz, 1 H), 3.81 (dd, J=15.0 Hz, 1 H), 3.68 (dd, J=15.0 Hz, 1 H), 3.11 (dd, J=11.0, 6.0 Hz, 1 H), 2.69 (dd, J=11.0, 3.5 Hz, 1 H), 2.46 (s, 3 H); ESI MS m/z 422 [M+H]+.
【0089】
【化75】

(S)−2−メチル−4−(ナフタレン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル トリフルオロメタンスルホネート(化合物9)の製造
別法:化合物8,HBr塩(40.5g、140mmol)のDCM溶液(1.2L)に、ジイソプロピルエチルアミン(48.9mL、280mmol)を加えて、橙色溶液を得た。反応液を−50℃に冷却した。出発物質が残存しなくなるまで、トリフリン酸無水物(Tf2O)(35mL、207mmol)を何回かに分けて加えた。Tf2Oの各部分を加えた後、反応をHPLCで5分間モニターした。反応が終了したとき、NaHCO3水溶液(600mL)を加えた。有機層をNH4Cl溶液(500mL)および食塩水(500mL)で洗浄した。有機層を合わせて、Na2SO4で乾燥し、濾過し、濃縮した。DMSO(500mL)を加え、残存するDCMを減圧留去して、粗生成物の化合物9を得て、それをそのまま直接用い、以下の実施例に続けた。HPLC(YMC Pack Pro C18 4.6×50、4分):Tr=2.86分でのピークは出発物質である。Tr=3.71分でのピークは生成物である。
注:過剰量のTf2Oの使用によって、脱メチル化および他の望ましくない副反応がもたらされうることが、試験反応によって示された。
【0090】
【化76】

(S)−2−メチル−4−(ナフタレン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル トリフルオロメタンスルホネート(化合物9)の製造
スケールアップした方法:Et3N(0.90L、2.3当量)を5分かけて加えながら(わずかに発熱性)、化合物8 HBr塩(1.0kg、1.0当量)のDCM混合溶液(12.4L)を室温で撹拌した。20分撹拌した後、溶液は均一であった。次いで反応液をドライアイス/IPA浴中−55〜−60℃に冷却し、内部温度を<−50℃に維持しながら、Tf2O(0.56L、1.2当量)を2.5時間かけて加えた。添加が完了した後、混合液を−50℃で20分間撹拌し、反応が完了したことがHPLC分析によって示された。溶液を−10℃に加温し、10% NaHCO3水(6.2L)を1回で加えた。次いで生じた混合物を20℃に加温し、30分間撹拌した。次いで層を分離し、有機相をDI水(6.2L)で洗浄し、減圧濃縮して、残存するDCMのため、収率>100%であるが、純度73.5%で、暗赤色油として、粗生成物の化合物9(1.2kg)を得た。
【0091】
【化77】

(6−クロロピリダジン−3−イル)イミド二炭酸ジ−tert−ブチル(化合物11)の製造
6−クロロピリダジン−3−アミン(75g、579mmol)のDMF溶液(600mL)に、二炭酸ジ−tert−ブチル(278g、1274mmol)およびDMAP(0.6g、4.91mmol)を加えて、懸濁液を得た。混合液を50℃に加熱して、橙色溶液を得て、気泡を生じながら、反応温度は自然に75℃に達した。加熱マンテル(heating mantel)を取り除き、反応液を55℃にゆっくり冷却した。次いで反応液を2時間加熱しながら55℃で撹拌して、暗褐色溶液を得た。反応液を室温に冷却した後、反応溶液を4L ビーカーに注ぎ、水(3L)を加えて、淡褐色懸濁液を得た。黄色沈澱を濾過で集め、水(4L)で洗浄した。生成物は水に溶解しなかった。固形物を終夜乾燥機で乾燥して、明黄色固形物として、生成物(152.2g、収率80%)を得た。
【0092】
【化78】

(6−クロロピリダジン−3−イル)イミド二炭酸ジ−tert−ブチル(化合物11)の製造
スケールアップした方法:混合液が均一になるまで、3−クロロ−6−アミノピリダジン(500g、1.0当量)およびDMAP(3.77g、0.008当量)のDMF混合溶液(3.5L)を加熱し、55℃で20分間撹拌した。Boc2O(2.2当量)のDMF溶液(500mL)を別に製造し、次いでバッチに1回で加えると、発熱が生じた。反応溶液を55℃で撹拌しながらHPLCでモニターし、5時間後、反応が完了したと見なされた。溶液を室温に冷却し、次いでDI水(4.4L)にゆっくりと注ぐと、沈澱がもたらされた。混合液を10分間撹拌し、次いで濾過した。生じた茶色固形物を終夜窒素下に置いた。粗生成物の2−プロパノール混合溶液(3.5L)を加熱し、混合液が均一になるまで65℃で撹拌した。次いでDI水(3.5L)を30分かけて加えた(温度は調節しなかった)。反応混合液を室温に冷却し、次いで濾過して、収率63%、および純度99.7%で、淡褐色固形物として、化合物11(805g)を得た。
1H NMR (300 MHz, d-DMSO) δ 8.00 (q, J = 9.0 Hz, 2H), 1.40 (s, 18H).
【0093】
【化79】

(S)−(6−(2−メチル−4−(2−ナフチル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−7−イソキノリニル)−3−ピリダジニル)イミド二炭酸ジ−tert−ブチル(化合物12)の製造
(上記の実施例からの続き:未精製の化合物9(〜140mmol)(上記で製造した)のDMSO溶液(800mL)に、5L 三つ口丸底フラスコ中、ビス(ピナコラト)ジボロン(42.7g、168mmol)および酢酸カリウム(41.2g、420mmol)を加えた。混合液を窒素下室温で5分間撹拌し、続いてジクロロ[1,1'−フェロセニルビス(ジフェニル−ホスフィン)]パラジウム(II)ジクロロメタン(Pd(dppf)Cl2・CH2Cl2)(18.29g、22.40mmol)を加えた。反応液を80℃で0.5時間撹拌した。出発物質が残存していないことがHPLCによって示された。HPLC(YMC Pack Pro C18 4.6×50、4分):Tr=3.73分でのピークは出発物質である。Tr=3.85および2.93分でのピークは、それぞれ、生成物の化合物10(LCMS=400.31[M+H])およびボロン酸(LCMS=318.28[M+H])である。
【0094】
上記で製造した化合物10の溶液に、80℃で、化合物11(175mmol)、Pd(dppf)Cl2・CH2Cl2(18.29g、22.4mmol)、DMSO(400mL)、Cs2CO3(137g、420mmol)および水(250mL)を加えた。反応液を80℃で2時間撹拌した。
【0095】
反応液を室温に冷却し、水(6L)で希釈した。黒色沈澱を濾過で集め、DCM(1L)に溶解し、LiCl水溶液(10%、500mL)で洗浄した。水層をDCM(400mL)で逆抽出した。有機層を合わせて、セライトパッドを通して濾過し、濃縮した。MeOH(300mL)中の結晶化によって、濃い灰色の固形物として、粗生成物の化合物12(57.4g、収率71%、純度98%)を得た。HPLC(YMC Pack Pro C18 4.6×50、4分):Tr=3.80でのピークは、生成物の化合物12である。
LCMS = 567.33 [M+H].
【0096】
【化80】

(S)−N,N−(6−(2−メチル−4−(2−ナフチル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−7−イソキノリニル)−3−ピリダジニル)イミド二炭酸ジ−tert−ブチル(化合物12)の製造
1. 精製するためにいくつかのバッチを混ぜ合わせた。未精製の化合物12(120g、純度98%、濃い灰色の固形物)のジクロロメタン溶液(1L)に、活性炭(50g)を加えた。懸濁液を1時間還流し、セライトパッドを通して木炭を濾去した。濾液を濃縮し、残渣をMeOH(1L、30分還流)中で再結晶した。溶液を室温に冷却し、灰色結晶を濾過で集めた。再結晶を2回繰り返した。
2. 固形物を木炭のジクロロメタン溶液で脱色し、MeOH中で再び再結晶して、ベージュ色の固形物を得た。
3. 固形物をジクロロメタン(1L)に溶解し、水酸化アンモニウム溶液(100mL 濃NH4OH+900mL 水)で洗浄して、主として残存する鉄を除去した。分液漏斗を使用して、水層とジクロロメタン層の間の中間の黒色懸濁液層を除去した。明黄色ジクロロメタン層をNa2SO4で乾燥し、濃縮した。残渣をMeOH(500mL)中で再び再結晶して、オフホワイト色の固形物を得た。
4. 固形物をジクロロメタン(500mL)に溶解し、溶液を濃縮した。残渣をMeOH(500mL)中で再結晶し、白色固形物として、生成物を濾過で集めた。第1画分、95g、純度>99%、白色固形物;第2画分、10g、最終のMeOH母液からの純度98%;第3画分、1g、前の母液からの純度90%。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.96 (s, 1H), 7.66 - 7.89 (m, 6 H), 7.40 - 7.53 (m, 3 H), 7.28 (d, J=7.15 Hz, 1 H), 7.04 (d, J=8.25 Hz, 1 H), 4.46 - 4.56 (m, 1 H), 3.84 (dd, J=80.56, 15.12 Hz, 2 H), 3.15 (dd, J=11.55, 6.05 Hz, 1 H), 2.71 (dd, J=11.55, 8.80 Hz, 1 H), 2.49 (s, 3 H), 1.46 (s, 18 H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) ppm 157.78, 154.91, 150.59, 141.51, 139.60, 136.19, 133.48, 132.47, 130.24, 128.18, 127.84, 127.67, 127.63, 127.13, 126.08, 125.77, 125.63, 125.17, 125.07, 125.01, 83.92, 61.43, 58.44, 46.00, 45.90, 27.88.
【0097】
【化81】

(S)−N,N−(6−(2−メチル−4−(2−ナフチル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−7−イソキノリニル)−3−ピリダジニル)イミド二炭酸ジ−tert−ブチル(化合物12)の製造
スケールアップした方法:50L ジャケット付反応器中、ビス−ピナコラト ジボロン(0.85kg、1.2当量)およびKOAc(0.82kg、3.0当量)を加えながら、化合物9(1.18kg、1.0当量)のDMSO溶液(16.5L)を周囲温度で撹拌した。不均一な混合液を強い窒素流で1.5時間スパージした(sparged)。次いでPdCl2(dppf)(60g、0.025当量)を加え、混合液を加熱し、窒素下85℃で撹拌した。5時間後、反応が変換率〜67%で失速したことがHPLC分析によって示されたので、追加のPdCl2(dppf)(10g)を加えた。2時間後、反応が変換率75%で再び失速した。溶液を30分間N2でスパージし、残りの反応の間ずっとスパージングを継続した。追加のPdCl2(dppf)(10g)を加え、反応は2.5時間以内に完了して、化合物10を含む反応混合物を得た。次いで1.5時間強いN2流でスパージしたCs2CO3(2.74kg、3.0当量)DI水溶液(4.2L)を1回で加えた。次いで1.5時間強いN2流でスパージした化合物11(1.15kg、1.25当量)のDMSOのスラリー溶液(6.5L)を1回で加えた(遅れた発熱)。最終に入れる分のPdCl2(dppf)(60g)を加え、反応混合液を85℃で12時間撹拌し、次いで25℃に冷却した。DI水(5.0L)を加え、1時間撹拌した後、混合液を濾過して、茶色固形物を得て、それを終夜N2下に置いた。
【0098】
濾過ケーキをDCM(18L)に溶解し、有機層をLiCl水溶液(10%、18L)およびNH4OH水溶液(10%、18L)で洗浄した。DCM層を減圧濃縮して、茶色固形物が残った。MeOH(6L)を加え、スラリーを撹拌し、55℃で1時間加熱した。それを次いで25℃に冷却し、EtOAc(12L)を加えた。生じたスラリーを1時間撹拌し、濾過し、濾過ケーキを終夜N2下に置いて、灰色固形物(750g)を得た。パラジウム含量が〜2300ppmであることが、ICP分析によって示された。次いで固形物をDCM(3.75L)に溶解し、Si−チオール(1.50kg、2wt当量、Silicycle ロット番号10347)を加えた。混合液を30〜35℃で4.5時間勢いよく撹拌した。混合液を室温に冷却し、次いで濾過した。次いで固体のSi−チオールをDCM(7.5L)ですすぎ、暗褐色濾液を合わせて、2つの1.2ミクロンフィルターを通してロータリーエバポレーターのバルブ(Rotovap bulb)に移し、減圧濃縮して、オフホワイトの固形物を得た。パラジウム含量が160ppmであることが、ICP分析によって示された。バッチをDCM(3.75L)に再溶解し、Si−チオール(1.50kg、2wt当量)を加えた。30〜35℃で4.5時間撹拌した後、混合液を室温に冷却し、濾過した。固体のSi−チオールをDCM(7.5L)ですすぎ、黄色濾液を合わせて、1.2ミクロンフィルターを通してロータリーエバポレーターのバルブに移し、減圧濃縮して、オフホワイトの固形物を得た。パラジウム含量が3ppmであることが、ICP分析によって示された。次いでEtOAc(4.2L)を固形物に加え、生じたスラリーを周囲温度で1時間撹拌し、次いで濾過した。濾過ケーキをEtOAc(500mL)ですすいだ。濾過ケーキを2日間N2下に置いて、収率47%および純度>99%で、白色固形物として、化合物12(715g)を得た。
1H NMR (500 MHz, d-DMSO) δ 8.31 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 8.02 (d, J = 1.3 Hz, 1H), 7.87 (m, 5H), 7.79 (s, 1H), 7.48 (m, 2H), 7.39 (dd, J = 8.5, 1.5 Hz, 1H), 7.01 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 4.49 (t, J = 6.3 Hz, 1H), 3.78 (m, 2H), 3.02 (dd, J = 11.5, 6.6 Hz, 1H), 2.73 (dd, J = 11.4, 7.1 Hz, 1H), 2.39 (s, 3H), 1.41 (s, 18H).
【0099】
【化82】

(S)−2−メチル−4−(ナフタレン−2−イル)−7−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(ジオキサボロラン)−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(化合物10)の製造。
別法:トリフレートの化合物9(99.0mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(30.2g、118.8mmol)および酢酸カリウム(29.1g、297.0mmol)の混合物に、DMSO(725mL)を加えた。生じた溶液を10分間アルゴンでパージし、次いでジクロロ[1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II) ジクロロメタン付加体(6.47g、7.92mmol)を加えた。反応溶液を5分間アルゴンで再び脱気し、1時間82℃(油浴)で加熱し、次いで室温に冷却し、水(1.0L)に注いだ。混合液を酢酸エチル(800mL)で抽出し、有機抽出物を分離し、水(2×)および食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。茶色泡として得られた未精製のボロン酸エステル化合物10(48.0g)を、さらに精製することなく次の段階に用いた:
ESI MS m/z 400 [M+ H]+.
【0100】
【化83】

(S)−6−(2−メチル−4−(ナフタレン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル)ピリダジン−3−アミン(化合物2)の製造
3−アミノ−6−クロロピリダジンからの直接的な別法:ボロン酸エステル化合物10(23.0g、47.4mmol)、3−アミノ−6−クロロピリダジン(9.2g、71.1mmol)および炭酸セシウム(46.3g、142.2mmol)の混合物に、DMF(464mL)および水(116mL)を加えた。反応溶液に10分間アルゴンを流し、次いでジクロロ[1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II) ジクロロメタン付加体(3.9g、4.74mmol)を加えた。混合液に5分間アルゴンを流し、1時間80℃で加熱した。反応溶液を室温に冷却し、酢酸エチルで希釈し、1:1 食塩水および水(2×)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(99:0.9:0.1〜94:5.4:0.6 酢酸エチル/メタノール/濃水酸化アンモニウム)で精製した。この部分的に精製した生成物(茶色固形物としての14.8g)を酢酸エチル(120mL)とともにアルゴン下で12時間撹拌し、濾過して、茶色固形物として、化合物2(12.5g、72%)を得た:
1H NMR (500 MHz, CDCl3 δ 7.82-7.76 (m, 4H), 7.71 (s, 1H), 7.61-7.57 (m, 2H), 7.47-7.43 (m, 2H), 7.30 (dd, J = 8.0, 1.5 Hz, 1H), 6.99 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.80 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 4.71 (br s, 2H), 4.50 (t, J = 7.0 Hz, 1H), 3.89 (d, J = 15.0 Hz, 1H), 3. 74 (d, J = 14.5 Hz, 1H), 3.14 (dd, J = 11.5, 6.0 Hz, 1H), 2.70 (dd, J = 11.5 , 9.0 Hz, 1H), 2.48 (s, 3H); ESI MS m/z 367 [M+ H]+.
【0101】
【化84】

(S)−6−(2−メチル−4−(ナフタレン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル)ピリダジン−3−アミン二塩酸塩(化合物13)の製造
化合物12(193g、341mmol)を、2.5M 塩酸塩のエタノール溶液(1088mL、2720mmol)に溶解した。溶液を1時間75℃で加熱した。生じた懸濁液を室温に冷却し、EtOAc(2L)で希釈した。白色固形物を濾過で集め、EtOAc(1L)で洗浄した。白色固形物を終夜40℃で減圧乾燥して、化合物13(143g、収率96%、純度99.8%)を得た:
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ ppm: 8.77 (s-幅広, 2 H); 8.37 (d, J = 9.71 Hz, 1 H); 7.95 (重複, 1 H); 7.94 (m, 2 H); 7.94 (重複, 1 H); 7.91 (s, 1 H); 7.76 (d, J = 8.01 Hz, 1 H); 7.66 (d, J = 9.71 Hz, 1 H); 7.56 (m, 1 H); 7.55 (m, 1 H); 7.33 (幅広, 1 H); 6.94 (幅広, 1 H); 4.92 (m, 1 H); 4.66 (s-幅広, 2 H); 3.85 (m, 1 H); 3.73 (m, 1 H); 2.97 (s, 3 H). HRMS [M+H]+ = 367.19202.
【0102】
【化85】

(S)−6−(2−メチル−4−(ナフタレン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル)ピリダジン−3−アミン(化合物2)の製造
ガラス焼結漏斗(glass-sintered funnel)を通して、化合物13(30.0g、0.68mmol)の1:1 (v/v) MeOH/H2O溶液(900mL)を濾過した。次いで飽和NaHCO3水溶液(45mL)を30分かけてゆっくりと加えながら、濾液を室温で撹拌すると、溶液は濁った。次いであらかじめ製造した種晶(0.10g)をバッチに1回で加えた。追加の飽和NaHCO3水(555mL)を1.5時間かけて反応混合液に加えた。スラリーを濾過して、ウェットケーキを得た。次いでウェットフィルターケーキを8:2 (v/v) H2O/MeOH(250mL)中で懸濁し、生じたスラリーを3時間撹拌し、次いで濾過した。濾過ケーキを8:2 (v/v) H2O/MeOH(100mL)で洗浄し、得られた白色固形物を50℃で30時間減圧乾燥して、化合物2(23.2g、収率93%)を得た:
1H NMR (d6-DMSO, 300 MHz) δ 7.80-7.90 (m, 3H), 7.74-7.78 (m, 3H), 7.65 (dd, J = 8.6; 2.1 Hz, 1H), 7.43-7.53 (m, 2H), 7.38 (dd, J = 8.6; 2.1 Hz, 1H), 6.90 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.83 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 6.45 (s, 2H), 4.43 (t, J = 5.9 Hz, 1H), 3.73 (s, 2H), 3.00 (dd, J = 10.7, 5.4 Hz, 1H), 2.70 (dd, J = 11.3; 7.5 Hz, 1H), 2.37 (s, 3H); 13C NMR (75 MHz, DMSO) ppm 159.69, 149.65, 142.55, 136.95, 135.62, 134.79, 132.93, 131.83, 129.47, 127.67, 127.46, 127.40, 127.28, 127.16, 125.98, 125.47, 125.15, 123.32, 123.06, 114.12, 60.63, 57.82, 45.55, 44.69, 40.34.
【0103】
【化86】

(S)−6−(2−メチル−4−(ナフタレン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル)ピリダジン−3−アミン二塩酸塩(化合物13)の製造
スケールアップした方法:5〜6N HClのIPA溶液(3.75L)を5分かけて加えながら(わずかに発熱性)、化合物12(750g、1.0当量)のIPA混合溶液(3.75L)を室温で撹拌した。次いで混合液を70℃に加熱し、18時間保持し、その間、混合液は均一な黄色溶液、次いで白色スラリーになった。反応が完了したことがHPLC分析によって示された。混合液を25℃に冷却し、次いでEtOAc(8L)を1回で加えた。1時間撹拌した後、混合液を濾過して、収率95%、および純度>99%で、白色固形物として、化合物13(555g)を得た。
1H NMR (500 MHz, d-DMSO) δ 12.05 (br s, 1H), 8.83 (br s, 2H), 8.38 (d, J = 9.7 Hz, 1H), 7.94 (m, 5H), 7.76 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.69 (d, J = 9.7 Hz, 1H), 7.55 (m, 2H), 7.33 (s, 1H), 6.93 (d, J = 5.3 Hz, 1H), 4.92 (m, 1H), 4.68 (br s, 2H), 3.85 (m, 1H), 3.76 (m, 1H), 3.55 (br s, 1H), 2.97 (s, 3H).
【0104】
【化87】

(S)−6−(2−メチル−4−(ナフタレン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル)ピリダジン−3−アミン二塩酸塩(化合物13)の製造
化合物2,形態N−1 遊離塩基からの化合物13,ビス−HCl塩の製造についての別法:化合物2(35.9g、98.0mmol)のエタノール溶液(750mL)に、室温で、別の漏斗で濃HCl(28.7mL)を加えた。溶液を80℃で加熱し、追加のEtOH(500mL)および水(55mL)を加えた。すべての添加の後、反応混合液を80℃で30分間撹拌すると、すべての固形物が溶解した。溶液を次いで濾過し、濾液を室温に冷却し、終夜静置した。形成された沈澱を濾過で集め、5時間40℃で減圧乾燥して、オフホワイトの固形物として、目的のビス−HCl塩 化合物13(28.7g)を得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ ppm: 8.77 (s-幅広, 2 H); 8.37 (d, J = 9.71 Hz, 1 H); 7.95 (重複, 1 H); 7.94 (m, 2 H); 7.94 (重複, 1 H); 7.91 (s, 1 H); 7.76 (d, J = 8.01 Hz, 1 H); 7.66 (d, J = 9.71 Hz, 1 H); 7.56 (m, 1 H); 7.55 (m, 1 H); 7.33 (幅広, 1 H); 6.94 (幅広, 1 H); 4.92 (m, 1 H); 4.66 (s-幅広, 2 H); 3.85 (m, 1 H); 3.73 (m, 1 H); 2.97 (s, 3 H). HRMS [M+H]+ = 367.19202.
【0105】
【化88】

(S)−6−(2−メチル−4−(ナフタレン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル)ピリダジン−3−アミン(化合物2)の製造
化合物13(550g、1.0当量)の1:1 MeOH/DI水溶液(16.5L)を1.2ミクロン インラインフィルターに通した。10% NaHCO3水溶液をゆっくりと加えながら、溶液を周囲温度で撹拌した。NaHCO3溶液(350mL)を加えた後、バッチは濁った。次いで種晶(10.5g)を加え、混合液をさらに1時間撹拌した。NaHCO3溶液(4L)を40分かけてさらに加えた。添加が完了した後、混合液を2時間撹拌し、次いで濾過した。1時間N2下のフィルター上に置いた後、ウェットフィルターケーキを8:2 DI水/MeOH(5.5L)中で再懸濁し、2時間撹拌し、次いで濾過した。濾過ケーキを48時間N2下に置き、次いで48時間35℃で減圧乾燥して、収率96%および純度>99%で、白色固形物として、化合物2(450g)を得た。
【0106】
合成スキーム3についての実施例:化合物7の不斉合成:
【化89】

2−ブロモ−5−メトキシベンズアルデヒド(化合物19)の製造
m−アニスアルデヒド(55.4g、0.41mol)のDMF溶液(400mL)に、N−ブロモコハク酸イミド(124.0g、0.69mol)の溶液を室温で滴下して加えた。添加した後、反応溶液を室温で12時間撹拌し、次いで氷と水の混合物に注ぎ、10分間撹拌した。沈澱を濾過で集め、酢酸エチルに溶解した。生じた溶液を水(2×)および食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して、オフホワイトの固形物として、化合物19(76.4g、87%)を得た:
1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 10.32 (s, 1H), 7.53 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.42 (d, J = 3.5 Hz, 1H), 7.04 (dd, J = 9.0, 3.0 Hz, 1H), 3.85 (s, 3H).
【0107】
【化90】

2−(2−ブロモ−5−メトキシフェニル)−1,3−ジオキソラン(化合物20)の製造
化合物19(50.0g、0.23mol)のトルエン溶液(650mL)に、エチレングリコール(14.2mL、0.26mol)およびカンファースルホン酸(10.7g、46mmol)を加えた。ディーンスタークトラップを用いて、反応溶液を還流下で6時間加熱し、次いで室温に冷却し、酢酸エチル(300mL)で希釈した。生じた溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水および食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して、黄色油として、化合物20(61.5g、定量的)を得た:
1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 7.44 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.15 (d, J = 3.5 Hz, 1H), 6.79 (dd, J = 8.5, 3.0 Hz, 1H), 6.04 (s, 1H), 4.18-4.06 (m, 4H), 3.81 (s, 3H).
【0108】
【化91】

(R,E)−3−(3−(2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−4−メトキシフェニル)アクリロイル)−4−フェニルオキサゾリジン−2−オン(化合物21)の製造
アルゴン下、化合物20(2.6g、10.0mmol)、(R)−3−アクリロイル−4−フェニルオキサゾリジン−2−オン(2.2g、10.0mmol)、トリ−o−トリル ホスフィン(0.30g、1.0mmol)および酢酸パラジウム(0.11g、0.5mmol)のトリエチルアミン混合溶液(35mL)を、還流下で90分間撹拌した。生じた反応混合物を室温に冷却し、減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/酢酸エチル 95:5〜60:40)で精製して、明黄色油として、化合物21(3.2g、81%)を得た:
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.19 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 7.81 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 7.40 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.41-7.30 (m, 5H), 7.17 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 6.91 (dd, J = 8.5, 3.0 Hz, 1H), 6.01 (s, 1H), 5.54 (dd, J = 9.0, 3.5 Hz, 1H), 4.73 (t, J = 9.0 Hz, 1H), 4.30 (dd, J = 9.0, 4.0 Hz, 1H), 4.32-4.28 (m, 2H), 4.13-4.10 (m, 2H), 3.85 (s, 3H).
【0109】
【化92】

(R)−3−((S)−3−(2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−4−メトキシフェニル)−3−(ナフタレン−2−イル)プロパノイル)−4−フェニルオキサゾリジン−2−オン(化合物22)の製造。
臭化銅(I)−ジメチルスルフィド錯体(1.43g、6.9mmol)の無水THF(33mL)およびジメチルスルフィド(16.5mL)溶液に、−78℃で、2−ナフチレンマグネシウムブロミド(27.3mL、0.5M THF溶液)をゆっくりとシリンジで加えた。添加した後、反応溶液を−40℃で30分間撹拌し、次いで−78℃に再冷却した。次いで化合物21(1.8g、4.6mmol)のTHF溶液(24mL)をシリンジで加えた。反応混合液をゆっくりと室温に加温し、次いでそれを0℃で塩化アンモニウム水を用いてクエンチし、酢酸エチルで抽出した(2×)。有機抽出物を合わせて、水/食塩水(1:1)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/酢酸エチル 95:5〜55:45)で精製して、オフホワイトの泡として、化合物22(2.15g、85%)を得た:
1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 7.72-7.70 (m, 2H), 7.69-7.63 (m, 2H), 7.46-7.40 (m, 2H), 7.37 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.24 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.17-7.11 (m, 2H), 7.04 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 6.99 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 6.81 (s, J = 8.5 Hz, 1H), 6.09 (s, 1H), 5.34-5.30 (m, 2H), 4.59 (t, J = 8.5 Hz, 1H), 4.16-4.14 (m, 3H), 4.06-4.01 (m, 3H), 3.79 (s, 3H), 3.60 (dd, J = 16.5, 8.5 Hz, 1H).
【0110】
【化93】

(S)−3−(2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−4−メトキシフェニル)−3−(ナフタレン−2−イル)プロパン酸(化合物23)の製造
化合物22(0.55g、1.0mmol)のTHF(12mL)および水(4mL)混合溶液に、0℃で、過酸化水素(0.41mL、30% 水溶液)を加え、続いて水酸化リチウム(48mg、2.0mmol)の水溶液(2.5mL)を加えた。反応溶液を0℃で1時間および室温で30分間撹拌した。次いで亜硫酸ナトリウム(0.78g)の水溶液(5mL)を加えた。0℃で10分間撹拌した後、混合液を減圧濃縮して、有機溶媒を除去した。残存する水溶液を水酸化ナトリウム水で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。塩基性の水層を分離し、塩化アンモニウム水でpH 6〜7に中和し、次いでジクロロメタン(3×)で抽出した。有機抽出物を合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して、化合物23(0.41g、クルード)を得て、それをさらに精製することなく次の段階に用いた:
1H NMR (500 MHz, CDCl3) d 7.56-7.70 (m, 4H), 7.48-7.33 (m, 3H), 7.13 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.08 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 6.80 (dd, J = 9.0, 3.0 Hz, 1H), 6.08 (s, 1H), 5.18 (dd, J = 9.0, 7.0 Hz, 1H), 4.21-4.00 (m, 4H), 3.77 (s, 3H), 3.20 (dd, J = 16.0, 9.0 Hz, 1H), 3.12 (dd, J = 16.0, 7.0 Hz, 1H).
【0111】
【化94】

(S)−2−(2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−4−メトキシフェニル)−2−(ナフタレン−2−イル)エチルカルバミン酸メチル(化合物24)の製造
化合物23(0.38g、1.0mmol)およびトリエチルアミン(0.15mL、1.0mmol)のトルエン溶液(10mL)に、85〜90℃で、ジフェニルホスホリルアジド(0.21mL、1.0mmol)をシリンジで加えた。反応混合液を30分間撹拌し、次いでそれを50℃に冷却し、それにメタノール(0.30mL、7.5mmol)を加えた。生じた溶液を50℃で14時間撹拌し、次いで室温に冷却し、酢酸エチルで希釈し、塩化アンモニウム水で洗浄した。有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/酢酸エチル 95:5〜50:50)で精製して、白色泡として、化合物24(0.24g、59%)を得た:
1H NMR (500 MHz, CDCl3 δ 7.81-7.72 (m, 4H), 7.48-7.42 (m, 2H), 7.33 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.17-7.14 (m, 2H), 6.84 (dd, J = 8.5, 2.5 Hz, 1H), 6.05 (s, 1H), 5.22 (br s, 1H), 4.81 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 4.22-4.07 (m, 4H), 3.98-3.87 (m, 2H), 3.79 (s, 3H), 3.71-3.52 (m, 3H).
【0112】
【化95】

(S)−7−メトキシ−4−(ナフタレン−2−イル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボン酸メチル(化合物25)の製造
化合物24(0.10g、0.25mmol)の1,4−ジオキサン溶液(10mL)に、0℃で、濃HCl(0.8mL)を加えた。反応溶液を室温で20分間撹拌し、次いで炭酸水素ナトリウム水でクエンチし、ジクロロメタン(2×)で抽出した。有機抽出物を合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をエタノール(30mL)およびトリフルオロ酢酸(2mL)の混合液に溶解した。パラジウム炭素(105mg)を加え、反応混合液を水素下(25psi)で15分間振とうし、次いでセライトのパッドを通して濾過し、減圧濃縮した。残渣をジクロロメタンに溶解し、生じた溶液を炭酸水素ナトリウム水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。プレパラティブ薄層クロマトグラフィ(ヘキサン/酢酸エチル 75:25)で精製して、無色油として、化合物25(52mg、60%)を得た:
1H NMR (500 MHz, CDCl3 δ 7.82-7.74 (m, 3H), 7.62-7.51 (m, 1H), 7.47-7.44 (m, 2H), 7.24 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 6.85 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 6.80-6.68 (m, 2H), 4.83-4.60 (m, 2H), 4.40-3.90 (m, 2H), 3.81 (s, 3H), 3.76-3.42 (m, 4H); ESI MS m/z 348 [M+ H]+.
【0113】
【化96】

(S)−7−メトキシ−2−メチル−4−(ナフタレン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(化合物7)の製造
化合物25(51mg、0.15mmol)のTHF溶液(8mL)に、0℃で、水素化アルミニウムリチウム(0.6mL、1M THF溶液)を滴下して加えた。添加した後、反応溶液を還流下で1時間加熱し、0℃に冷却し、水(1.8mL)、水酸化ナトリウム水(0.6mL)および水(0.6mL)を連続して加えることによってクエンチした。生じた混合液を0℃で10分間撹拌し、次いでそれを濾過した。濾液をジクロロメタン(2×)で抽出した。有機抽出物を合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。プレパラティブ薄層クロマトグラフィ(ジクロロメタン/メタノール/濃アンモニア 95:4.5:0.5)で精製して、明黄色油として、化合物7(32.0mg、70%、AUC HPLC 96.8%、キラルパック AD 100%)を得た:
[α]23D +50.7° (c 0.18, メタノール); 1H NMR (500 MHz, CDCl3 δ 7.79-7.68 (m, 3H), 7.68 (s, 1H), 7.47-7.43 (m, 2H), 7.28-7.26 (m, 1H), 6.80 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.65-6.62 (m, 2H), 4.39 (dd, J = 8.5, 6.0 Hz, 1H), 3.78 (s, 3H), 3.77 (d, J = 15.0 Hz, 1H), 3.65 (d, J = 14.5 Hz, 1H), 3.09 (dd, J = 11.5, 5.5 Hz, 1H), 2.64 (dd, J = 11.5, 9.0 Hz, 1H), 2.44 (s, 3H); ESI MS m/z 304 [M+ H]+.
この化合物は、キラルパック AD(90:10:0.1 ヘプタン:IPA:ジエチルアミン、ImL/分、RT=14.3分。化合物7の(−)−エナンチオマーのRT=6.2分)において、標準の化合物7と共溶出した。
【0114】
【化97】

1−(3−ブロモフェニル)−N−メチルメタンアミン(化合物14)の製造
3−ブロモベンズアルデヒド(138g、0.74mol)のメタノール溶液(0.9L)に、40% メチルアミンの水溶液(64mL、0.82mol)を加え、続いて0℃で1時間撹拌した。0℃で水素化ホウ素ナトリウム(42.3g、1.1mol)を何回かに分けて加え、室温に加温しながら、反応混合液を終夜撹拌した。溶液を濃縮し、次いで水(300mL)で希釈した。生じた溶液を塩化メチレン(3×300mL)およびクロロホルム(2×300mL)で抽出した。有機抽出物を合わせて、食塩水(2×200mL)で洗浄し、次いで硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮して、透明油として、未精製の化合物14(148g)を得て、それをさらに精製することなく次の段階に用いた:
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ.7.48 (s, 1H), 7.39-7.34 (m, 1H), 7.27-7.16 (m, 2H), 3.71 (s, 2H), 2.43 (s, 3H), 1.38 (s, 1H).
【0115】
【化98】

2−((3−ブロモベンジル)(メチル)アミノ)−1−(ナフタレン−2−イル)エタノン(化合物15)の製造
化合物14(23.1g、115.5mmol)の塩化メチレン溶液(500mL)に、α−ブロモ−2'−アセトナフトン(27.9g、110.0mmol)を加え、生じた混合物を0℃で1時間撹拌し、次いでトリエチルアミン(15.3mL、47.4mmol)を加えた。反応混合液を0℃で2時間撹拌した。生じた混合物を水(200mL)で希釈し、水相を追加の塩化メチレン(2×200mL)で抽出した。抽出物を合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、明黄色油として、化合物15(44.5g)を得て、それをさらに精製することなく次の段階に用いた:
1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 8.49 (s, 1H), 8.01 (dd, J = 8.8, 1.8 Hz, 1H), 7.95 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.90-7.84 (m, 2H), 7.62-7.52 (m, 3H), 7.40 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.31 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.19 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 3.91 (s, 2H), 3.68 (s, 2H), 2.40 (s, 3H).
【0116】
【化99】

2−((3−ブロモベンジル)(メチル)アミノ)−1−(ナフタレン−2−イル)エタノール(化合物16)の製造
化合物15(〜110mmol)のメタノール溶液(600mL)に、0℃で、水素化ホウ素ナトリウム(5.4g、142.8mmol)を何回かに分けて加えた。最初に反応混合液を室温に加温しながら終夜撹拌した。反応混合液を減圧濃縮した。残渣を水(200mL)で希釈し、溶液を塩化メチレン(3×300mL)で抽出した。有機抽出物を合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、乾燥するまで減圧濃縮して、黄色油として、目的の粗生成物の化合物16(42.6g)を得て、それをさらに精製することなく次の段階に用いた:
1H NMR (300 MHz, CDCl3) d 7.86-7.79 (m, 4H), 7.52-7.38 (m, 5H), 7.28-7.15 (m, 2H), 4.93 (dd, J = 9.5, 4.4 Hz, 1H), 4.05 (s, 1H), 3.71 (d, J = 13.3 Hz, 1H), 3.52 (d, J = 13.3 Hz, 1H), 2.72-2.61 (m, 2H), 2.34 (s, 3H).
【0117】
【化100】

7−ブロモ−2−メチル−4−(ナフタレン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(化合物17)の製造
化合物16(〜110mmol)の塩化メチレン溶液(1.0L)に、濃硫酸(30.0mL、0.56mol)を加え、混合液を0℃で3時間撹拌した。pHが〜9になるまでNaOH(6N)を加えることで反応をクエンチし、水相をさらなる塩化メチレン(3×)で抽出した。有機抽出物を合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(9:1〜8:1 ヘキサン/酢酸エチル)で精製して、白色固形物として、化合物17(3段階で、15.79g、41%)を得た:
1H NMR (500 MHz, CDCl3 δ 7.82-7.70 (m, 3H), 7.66 (s, 1H), 7.49-7.41 (m, 2H), 7.28-7.20 (m, 2H), 7.16 (dd, J = 8.3, 2.3 Hz, 1H), 6.75 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 4.37 (dd, J = 7.5, 6.5 Hz, 1H), 3.75 (d, J = 15.3 Hz, 1H), 3.62 (d, J = 15.3 Hz, 1H), 3.08 (ddd, J = 11.5, 6.0, 1.0 Hz, 1H), 2.64 (dd, J = 11.5, 8.5 Hz, 1H), 2.43 (s, 3H).
目的でない5−ブロモ異性体もまた得られた(3段階で、11.91g、30%)。
【0118】
【化101】

2−メチル−4−(ナフタレン−2−イル)−7−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(化合物18)の製造
化合物17(19.3mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(5.9g、23.2mmol)、および酢酸カリウム(5.7g、57.9mmol)の混合物に、DMSO(140mL)を加えた。生じた溶液を10分間アルゴンでパージし、次いでジクロロ[1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II) ジクロロメタン付加体(1.3g、1.5mmol)を加えた。反応溶液を5分間アルゴンで再び脱気し、次いで1時間80℃(油浴)で加熱した。生じた溶液を室温に冷却し、酢酸エチルで希釈し、水および食塩水で洗浄した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。茶色泡として得られたクルードのボロン酸エステル 2−メチル−4−(ナフタレン−2−イル)−7−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン化合物18(10.0g)を、さらに精製することなく次の段階に用いた:
ESI MS m/z 400 [M+ H]+.
【0119】
【化102】

rac−6−(2−メチル−4−(ナフタレン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル)ピリダジン−3−アミン(rac−1)の製造
化合物18(6.0g、15.0mmol)、3−アミノ−6−クロロピリダジン(3.0g、22.5mmol)および炭酸セシウム(14.7g、45.0mmol)の混合物に、DMF(140mL)および水(35mL)を加えた。反応溶液に10分間アルゴンを流し、次いでジクロロ[1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II) ジクロロメタン付加体(1.2g、1.5mmol)を加えた。生じた混合液に5分間アルゴンを流し、1時間80℃で加熱した。反応溶液を次いで室温に冷却し、酢酸エチルで希釈し、1:1 食塩水および水(2×)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(92:2:5.4:0.6〜47:47:5.4:0.6 ジクロロメタン/酢酸エチル/メタノール/濃水酸化アンモニウム)で精製して、淡褐色固形物として、rac−1(3.2g、58%)を得た:
1H NMR (500 MHz, CDCl3 δ 7.82-7.76 (m, 4H), 7.71 (s, 1H), 7.61-7.57 (m, 2H), 7.47-7.43 (m, 2H), 7.30 (dd, J = 8.0, 1.5 Hz, 1H), 6.99 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.80 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 4.71 (br s, 2H), 4.50 (t, J = 7.0 Hz, 1H), 3.89 (d, J = 15.0 Hz, 1H), 3. 74 (d, J = 14.5 Hz, 1H), 3.14 (dd, J = 11.5, 6.0 Hz, 1H), 2.70 (dd, J = 11.5 , 9.0 Hz, 1H), 2.48 (s, 3H); ESI MS m/z 367 [M+ H]+.
【0120】
【化103】

(S)−6−(2−メチル−4−(ナフタレン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル)ピリダジン−3−アミン(化合物2)の製造
Rac−1(3.3g)をプレパラティブキラルHPLC(CHIRALCEL OD カラム、溶離液として、80:20:0.1 ヘプタン/エタノール/ジエチルアミンを用いた)で分割して、淡褐色泡として、(S)−エナンチオマー化合物2[[α]25D+122.0°(c 0.15、メタノール)](1.6g)を得て、オフホワイトの固形物として、(R)−エナンチオマー[[α]25D−124.3°(c 0.23、メタノール)](1.6g)を得た。
【0121】
【化104】

(S)−6−(2−メチル−4−(ナフタレン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル)ピリダジン−3−アミン,L−酒石酸塩(化合物2,L−酒石酸塩)の製造
化合物2,遊離塩基(1.6g、4.3mmol)およびL−酒石酸(0.65g、4.3mmol)の混合物に、メタノール(280mL)および水(100mL)を加えた。反応スラリーを超音波処理し、約55℃で加熱して、透明溶液を得て、次いでそれを約100mLに減圧濃縮した。生じた溶液を凍結乾燥して、オフホワイトの固形物として、化合物2− L−酒石酸塩(2.18g、98.6%、AUC HPLC>99%)を得た:
mp 153-158 ℃; 1H NMR (500 MHz, CDCl3 δ 7.87-7.80 (m, 6H), 7.69 (dd, J = 8.0, 1.5 Hz, 1H), 7.51-7.48 (m, 2H), 7.30 (dd, J = 8.5, 1.5 Hz, 1H), 7.04-7.01 (m, 2H), 4.71 (dd, J = 11.0, 5.5 Hz, 1H), 4.43 (s, 2H), 4.39 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 4.29 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 3.64(dd, J = 11.5, 5.5 Hz, 1H), 3.37-3.30 (m, 1H), 2.85 (s, 3H); ESI MS m/z 367 [M+ H]+; C24H22N4・C4H6O6・H2Oについての元素分析: C, 62.91; H, 5.66; N, 10.48. 実測値: C, 62.81; H 5.73; N, 10.30.
【0122】
【化105】

(S)−6−(2−メチル−4−(ナフタレン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル)ピリダジン−3−アミン,L−酒石酸(化合物2,L−酒石酸塩)の製造
別法:化合物2,遊離塩基(1.5g、4.1mmol)のメタノールのスラリー溶液(80mL)に、L−酒石酸(0.63g、4.2mmol)のメタノール(15mL)および水(10mL)溶液を加えた。還流下で加熱した後、反応スラリーは透明溶液になった。次いで生じた溶液を撹拌しながら0℃に冷却し、沈澱が生じた。得られた沈澱を濾過で集めた。この固形物をメタノール(150mL)および水(20mL)から2回再結晶した。生じた固形物をメタノール(25mL)および水(100mL)に溶解し、溶液を凍結乾燥して、白色固形物として、化合物2のL−酒石酸塩(1.4g、65%、AUC HPLC>99%)を得た:
[α]23D +79.1° (c 0.15, メタノール); 1H NMR (500 MHz, CDCl3 δ 7.87-7.80 (m, 6H), 7.69 (dd, J = 8.0, 1.5 Hz, 1H), 7.51-7.48 (m, 2H), 7.30 (dd, J = 8.5, 1.5 Hz, 1H), 7.04-7.01 (m, 2H), 4.71 (dd, J = 11.0, 5.5 Hz, 1H), 4.43 (s, 2H), 4.39 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 4.29 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 3.64(dd, J = 11.5, 5.5 Hz, 1H), 3.37-3.30 (m, 1H), 2.85 (s, 3H); ESI MS m/z 367 [M+ H]+.
【0123】
(S)−7−(6−クロロピリダジン−3−イル)−2−メチル−4−(ナフタレン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(化合物31)の製造
クルードの化合物10(12.5g、化合物10の合成について前に記載したものに類似する手順を用いて、15.1gの化合物9から製造した)、3,6−ジクロロピリダジン(5.60g、37.6mmol)、および炭酸ナトリウム溶液(40mL.2M、80.0mmol)のDMF溶液(25mL)をアルゴンで脱気した。この混合物に、ジクロロ[1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II) ジクロロメタン付加体(2.6g、3.1mmol)を加えた。生じた混合物をアルゴンで脱気し、次いで3時間90℃で加熱した。冷却した後、水を加えることによって溶液をクエンチした。溶液をジクロロメタン中に抽出した(3×)。有機抽出物を合わせて、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィ(100:0〜0:100 ヘキサン/酢酸エチル)で精製して、明赤色固形物として、化合物31(6.23g、51%)を得た;
1H NMR (500 MHz, CDCl3 δ 8.29 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.99 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 7.88-7.83 (m, 4H), 7.79 (s, 1H), 7.50-7.47 (m, 2H), 7.38 (dd, J = 8.5, 1.5 Hz, 1H), 7.00 (d, J = 0.8 Hz, 1H), 5.00-4.90 (m, 1H), 4.50-4.40 (m, 1H), 4.25-4.15 (m, 1H), 3.60-3.50 (m, 1H), 3.15-3.05 (m, 1H), 2.84 (s, 3H). ESI MS m/z 386 [M+ H]+.
【0124】
(S)−N−(2,4−ジメトキシベンジル)−6−(2−メチル−4−(ナフタレン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル)ピリダジン−3−アミン(化合物32)の製造
化合物31(300mg、0.76mmol)の2,4−ジメトキシベンジルアミン溶液(2.0mL、13.3mmol)を2日間80℃で加熱した。室温に冷却した後、カラムクロマトグラフィ(50:50:0〜0:95:5 ヘキサン/酢酸エチル/トリエチルアミン)を用いて溶液を精製して、油として、化合物32(0.19g、48%)を得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3 δ 7.85-7.75 (m, 4H), 7.71 (s, 1H), 7.60-7.40 (m, 4H), 7.35-7.25 (m, 2H), 6.96 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.67 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.48 (s, 1H), 6.44-6.42 (m, 1H), 5.20-5.10 (m, 1H), 4.58 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 4.50-4.40 (m, 1H), 3.90-3.80 (m, 1H), 3.86 (s, 3H), 3.80 (s, 3H), 3.72 (d, J = 15.0 Hz, 1H), 3.20-3.10 (m, 1H), 2.69 (dd, J = 11.5, 8.5 Hz, 1H), 2.47 (s, 3H); ESI MS m/z 517 [M+ H]+.
【0125】
(S)−6−(2−メチル−4−(ナフタレン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル)ピリダジン−3−アミン(化合物2)および化合物2のマレイン酸塩の製造
化合物32(0.19g、0.37mmol)の溶液を、トリフルオロ酢酸(3mL)のDCM溶液(10mL)と反応させた。室温で12時間撹拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加えることによって反応をクエンチした。生成物を塩化メチレン中に抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィ(100:0〜50:50 塩化メチレン/メタノール)で精製して、油として、化合物2(0.11g、85%)を得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3 δ 7.90-7.80 (m, 4H), 7.72 (s, 1H), 7.60-7.50 (m, 2H), 7.50-7.40 (m, 2H), 7.30-7.25 (m, 1H), 6.98 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 6.82 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 5.00-4.90 (m, 1H), 4.60-4.50 (m, 1H), 4.00-3.90 (m, 1H), 3.90-3.70 (m, 2H), 3.25-3.15 (m, 1H), 2.85- 2.75 (m, 1H), 2.54 (s, 3H); ESI MS m/z 367 [M+ H]+.
【0126】
化合物2(0.11g、0.31mmol)のメタノール(2mL)およびマレイン酸(40mg、0.34mmol)溶液を室温で撹拌した。溶媒を蒸発させた。アセトニトリル(0.5mL)/水(0.5mL)からの凍結乾燥によって、茶色固形物として、対応の化合物2のマレイン酸塩(88mg、98%、98.5% AUC HPLC)を得た:
m.p. 89-91 ℃; 1H NMR (CD3OD, 500 MHz) δ 8.14 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 8.00-7.80 (m, 6H), 7.50-7.55 (m, 2H), 7.38 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 7.32 (dd, J = 8.5, 1.5 Hz, 1H), 7.10 (d, J = 3.0 Hz), 6.25 (s, 3H), 4.90-4.85 (m, 1H), 4.68 (s, 2H), 3.94-3.92 (m, 1H), 3.70-3.60 (m, 1H), 3.11 (s, 3H); ESI MS m/z 367 [M+ H]+.
【0127】
N,N,−ジtert−ブトキシカルボニル,3−(6−アミノピリダジン−3−イル)ベンズアルデヒド,化合物26の製造
【化106】

化合物11(5.00g、13.2mmol)をDMSO(75mL)に溶解し、3−ホルミルフェニルボロン酸(2.30g;15.3mmol)、炭酸セシウム(15.62g;47.46mmol)、および水(23mL)で連続的に処理した。反応混合液を20分間窒素で脱気し、次いで触媒である1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム(II)クロリド(0.47g;0.63mmol)を加えた。反応混合液を10分間窒素でパージし、次いで2日間85℃で加熱した。周囲温度でさらに2日後、反応混合液をEtOAcおよび水で希釈し、セライトのパッドを通して濾過して、暗色粒子を除去した。単離した暗褐色有機層を食塩水(50%)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧濃縮して、暗褐色残渣(5.7g)を得た。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(0〜100% EtOAc/ヘプタンで溶離)で精製し、生成物に富む画分を合わせて、減圧濃縮して、生成物(3.8g、96%)を得て、さらに分析すると、それはモノ−Boc種であった。この生成物の再保護によって、ビス−Boc化合物を得て、それは以下の手順によって達成した。
【0128】
モノ−Boc種(0.504g、1.68mmol)および4−DMAP(0.020、1.7mmol)のDMF溶液(4mL)に、(Boc)2O(0.379g、1.68mmol)のDMF溶液(4mL)を加えた。反応混合液を1.5時間50〜55℃に加温した。反応混合液を水(8mL)に滴下して加えて、白色沈澱を得た。水(8mL)を加えた後、スラリーを濾過し、単離した固形物を25重量% DMF(水)で洗浄し、続いて水で洗浄した。さらに減圧乾燥して、オフホワイトの固形物として、化合物26(0.561g、1.40mmol、収率83%)を得た。
1H NMR (400 MHz, d6-DMSO) メジャーな回転異性体 δ 10.16 (s, 1H), 8.74 (s, 1H), 8.51 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 8.48 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 8.08 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 8.00 (d, J = 12.1 Hz, 1H), 7.82 (dd, J = 7.6, 7.8 Hz, 1H), 1.42 (s, 18H). 13C NMR (100 MHz, d6-DMSO) ppm 27.4, 83.4, 126.5, 127.1, 128.3, 130.0, 130.6, 132.7, 136.1, 136.9, 150.2, 155.5, 156.5, 193.0. ESI MS m/z 400.19 [M+ H]+.
【0129】
N,N,−ジtert−ブトキシカルボニル,2−((3−(6−アミノピリダジン−3−イル))(メチル)アミノ)−1−(ナフタレン−2−イル)エタノール(化合物29)の製造
【化107】

モノおよびビス−Boc誘導体における混合物として、化合物26(1.0g、2.5mmol)のメタノールのスラリー溶液(10.0mL)を、氷浴を用いて<5℃に冷却した。メチルアミンのメタノール溶液(1.3mL、2.60mmol、2M/MeOH)を白色スラリーに加え、冷却した反応混合液を2時間撹拌し、次いで水素化ホウ素ナトリウム(0.1g;2.6mmol)を加えた。1.5時間後、<25℃の温度を維持しながら、反応混合液を水でクエンチし、ロータリーエバポレーターを用いて減圧濃縮した。残渣をEtOAcで溶解し、生じた有機層を食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥した。濾過した有機層の濃縮によって、無色油として、化合物27を得て、それをさらに精製することなく用いた。
【0130】
1−ブロモアセトナフタノン(0.265g;1.04mmol)を、0℃で、化合物27(0.50g;1.37mmol)のDCMのクルード溶液(15mL)に加えた。10分後、トリエチルアミン(0.145mL;1.04mmol)を加え、反応混合液を室温に加温した。さらに3時間後、反応混合液を水で2回洗浄し、MgSO4で乾燥した。濾過した有機層を減圧濃縮して、黄色泡として、化合物28を得て、それをさらに精製することなく用いた。
【0131】
水素化ホウ素ナトリウム(0.04g、1.04mmol)を、冷たい(,5C)化合物28(0.50g、1.04mmol)のMeOH溶液(7mL)に加えた。45分後、反応混合液を水でクエンチし、室温に加温し、終夜保持した。ロータリーエバポレーターを用いて反応混合液を減圧濃縮した。残渣を水とジクロロメタンの間で分液し、水層をジクロロメタンで逆抽出した。有機相を合わせて、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧濃縮して、黄色泡(0.53g、106%)を得た。粗物質(約100mg)をフラッシュカラムクロマトグラフィ(EtOAc/ヘプタン)で精製して、目的の生成物(53mg)を得た。該物質が化合物29のモノ−Boc中間体であることが解析的分析によって示された。
1H NMR (400 MHz, d6-DMSO) メジャーな回転異性体 δ 10.54 (s, 1H), 8.09 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 8.01 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 7.92-7.93 (m, 2H), 7.81-7.86 (m, 4H), 7.45-7.50 (m, 3H), 7.40 (dd, J = 7.9, 8.0 Hz, 1H), 7.33 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 5.24 (d, J =3.7 Hz, 1H), 4.94 (dd, J = 6.4, 9.3 Hz, 1H), 3.70 (d, J =13.4 Hz, 1H), 3.63 (d, J =13.4 Hz, 1H), 2.70 (dd, J = 7.2, 12.8 Hz, 1H), 2.64 (dd, J = 5.6, 12.7 Hz, 1H), 2.29 (s, 3H), 1.52 (s, 9H). ESI MS m/z 485 [M+ H]+.
【0132】
形態N−1を、下記の一つ以上の試験方法を用いて分析した。
単結晶X線測定
グラファイト単色化Mo Kα照射(λ=0.7107Å)を備えたノニウス カッパCCD回折計を用いて、室温で、回折データを集めた(ノニウス 2001a. ノニウス カッパ−CCD装置のためのデータ収集ソフトウェア。ノニウス BV、デルフト、オランダ。ノニウス 2001b;ノニウス カッパ−CCD装置のためのDENZO 処理ソフトウェア、ノニウス BV、デルフト、オランダ)。最終の単位格子パラメータを、全データセットを用いて決定した。
【0133】
SHELXTLソフトウェアパッケージ(Sheldrick, GM. 1997, SHELXTL. Structure Determination Programs. Version 5.10, Bruker AXS, Madison, Wisconsin, USA.)を用いて、全構造を直接法によって解析し、完全行列(full-matrix)最小二乗法によって精密化した。精密化において最小化された関数は、Σw(|Fo|−|Fc|)2であった。RはΣ‖Fo|−|Fc‖/Σ|Fo|として定義され、一方、Rw=[Σw(|Fo|−|Fc|)2/Σw|Fo21/2であり、ここでwは観測強度における誤差に基づく適当な重み関数である。示差フーリエマップ(Difference Fourier map)を、精密化の全段階で調査した。すべての水素でない原子を、異方性熱変位パラメータで精密化した。最終の示差フーリエマップにおいて、水素結合に関わる水素原子を置いたが、一方、他の水素原子の位置は、標準的な結合距離および結合角を有する理想化された配置(idealized geometry)から計算した。これらは等方性温度因子を割り当てられ、固定パラメータによる構造因子計算に含められた。
【0134】
形態N−1の結晶データを表2に示す。部分原子座標を表3に列挙する。座標におけるわずかな変化は可能であり、本開示の範囲内であると見なされることは、当業者に理解されているはずである。
【0135】
表2
形態N−1の結晶データ
【表1】


表3
原子座標
【表2】



【0136】
粉末X線回折
ブルカー C2 GADDSを用いて、粉末X線回折(PXRD)データを得た。照射はCu Kα(40 KV、40mA)であった。サンプル検出器の距離は15cmであった。粉末サンプルを直径1mm以下の密封ガラスキャピラリー中に置き;データ収集の間、キャピラリーを回転させた。少なくとも1000秒のサンプル露出時間で、3≦2θ≦35°についてデータを集めた。生じた2次元回折円弧を積分して、伝統的な1次元PXRDを作成した。
【0137】
PXRDパターン、および単結晶データから計算されたシミュレーションされたパターンの結果を図1に示す。
表4は、形態N−1の化合物2を表す特徴的なPXRDピークを列挙する。
表4
NIST 他の適当な基準で較正された2θを用い、回転キャピラリーを有する回折計(CuKα)で収集した質の高いパターンに基づく、室温での特徴的な回折ピーク位置(2θ±0.1)。
【表3】

【0138】
示差走査熱量測定
示差走査熱量測定(DSC)実験を、ティー・エイ・インスツルメント(登録商標)モデルQ1000または2920において行った。サンプル(約2〜6mg)を、針で刺した密封アルミニウム皿において秤量し、100分の1ミリグラムまで正確に記録し、DSCに移した。窒素ガスを用いて50mL/分で装置をパージした。10℃/分の加熱速度で、室温と300℃の間でデータを収集した。下向きの吸熱ピークでプロットを作成した。
結果を図2に示す。
【0139】
固体核磁気共鳴(SSNMR)
すべての固体C−13NMR測定を、ブルカーDSX−400、400MHz NMR分光計で行った。およそ12kHzで測定中に試料を高速回転させて(magic-angle spinning)(MAS)、高出力プロトンデカップリングおよびTPPMパルスシークエンスおよび傾斜振幅交差分極(ramp amplitude cross-polarization)(RAMP−CP)を用いて、高分解能スペクトルが得られた(A.E. Bennett et al, J. Chem. Phys., 1995, 103, 6951),(G. Metz, X. Wu and S.O. Smith, J. Magn. Reson. A,. 1994, 110, 219-227)。サンプルのおよそ70mgを、キャニスターデザインジルコニアローター(canister-design zirconia rotor)に詰め込み、各実験に用いた。化学シフト(δ)は、38.56ppmにセットされた高周波共鳴で、外部基準のアダマンタンを基準とした(W.L. Earl and D.L. VanderHart, J. Magn. Reson., 1982, 48, 35-54)。
結果を図3に示す。
【0140】
好ましい態様において、形態N−1は、以下の表5に示される特性を有する。
表5
物理的および化学的特性
【表4】

上記で示される場合、本明細書に引用される公報および引用文献、例えば、これらに限らないが、特許および特許出願は、引用される全部分においてその全体が本明細書に引用され、それはあたかも、各々の公報または引用文献が、十分に示されたかように、本明細書に引用されるべきことが具体的かつ個別的に示されたかのようである。
【0141】
本発明は、特定の態様を重視して記載されているが、開示された態様における変形が用いられうること、および本明細書に具体的に記載したもの以外の別の方法で本発明が実施されうると意図されることは、当業者が認識している。したがって、本発明には、以下の特許請求の範囲によって規定される本発明の精神および範囲に含まれるすべての変更が含まれる。例えば、添付された特許請求の範囲に示される反応段階が、必ずしも記載されている順に実行される必要はなく、当業者が反応段階の順序を変えることができることは理解されるべきである。また、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、特定の反応手順は同時に実行されるか、またはこれらの反応は別々の段階で実行されうる。すべてのこのような変更は、添付された特許請求の範囲に含まれることが意図される。また、目的の化合物の形成を促進するのに有効な別の工程段階または工程条件、例えば、別の試薬、酸、塩、保護基、技術、触媒、圧力、温度、反応時間などは当業者に知られており、かつ用いられてもよく、以下の特許請求の範囲に含まれるものと意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式:
【化1】

[式中、R1は、BrおよびH3COからなる群から選択される]
を有する化合物。
【請求項2】
下式:
【化2】

または
【化3】

を有する、請求項1の化合物。
【請求項3】
下式:
【化4】

[式中、R1は、BrおよびH3COからなる群から選択される]
を有する化合物。
【請求項4】
下式:
【化5】

または
【化6】

を有する、請求項3の化合物。
【請求項5】
下式:
【化7】

[式中、R2は、Br、H3COおよびHOからなる群から選択される]
を有する化合物。
【請求項6】
下式:
【化8】

を有する、請求項5の化合物。
【請求項7】
下式:
【化9】

[式中、
ベンゼン環に結合するR3は、
【化10】

からなる群から選択され、
4は、C1−C4アルキル、アリールまたはフェニルであり、並びに
nは、1または2である]
を有する化合物。
【請求項8】
下式:
【化11】

または
【化12】

を有する、請求項7の化合物。
【請求項9】
下式:
【化13】

[式中、R5は、各々独立して、水素、t−ブトキシカルボニル、カルボキシベンジル、パラ−メトキシベンジルカルボニル、パラ−メトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、ベンジル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル、N−フタルイミド、COCH3およびCOCF3からなる群から選択される]
を有する化合物。
【請求項10】
下式:
【化14】

を有する、請求項9の化合物。
【請求項11】
下式:
【化15】

[式中、R5は、各々、水素、t−ブトキシカルボニル、カルボキシベンジル、パラ−メトキシベンジルカルボニル、パラ−メトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、ベンジル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル、N−フタルイミド、COCH3およびCOCF3からなる群から選択される]
を有する化合物。
【請求項12】
下式:
【化16】

を有する、請求項11の化合物。
【請求項13】
下式:
【化17】

[式中、R5は、各々、水素、t−ブトキシカルボニル、カルボキシベンジル、パラ−メトキシベンジルカルボニル、パラ−メトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、ベンジル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル、N−フタルイミド、COCH3およびCOCF3からなる群から選択される]
を有する化合物。
【請求項14】
下式:
【化18】

を有する、請求項13の化合物。
【請求項15】
下式:
【化19】

[式中、
5は、各々、水素、t−ブトキシカルボニル、カルボキシベンジル、パラ−メトキシベンジルカルボニル、パラ−メトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、ベンジル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル、N−フタルイミド、COCH3およびCOCF3からなる群から選択され、並びに
Xは、Cl、Br、Iおよびトリフルオロメタンスルホニルオキシからなる群から選択される]
を有する化合物。
【請求項16】
下式:
【化20】

を有する、請求項15の化合物。
【請求項17】
式:
【化21】

[式中、R2は、Br、H3COおよびHOからなる群から選択される]
を有する化合物の製造方法であって、式:
【化22】

[式中、R1は、BrまたはH3COから選択される]
を有する化合物を、化合物17Rの形成を促進するのに有効な条件下で反応させることを特徴とする方法。
【請求項18】
式:
【化23】

を有する化合物の製造方法であって、式:
【化24】

を有する化合物を、化合物6の形成を促進するのに有効な条件下で反応させることを特徴とする方法。
【請求項19】
式:
【化25】

を有する化合物の製造方法であって、式:
【化26】

[式中、R2は、Br、H3COおよびHOからなる群から選択される]
を有する化合物を、式:
【化27】

[式中、
ベンゼン環に結合するR3は、
【化28】

から選択され、
4は、C1−C4アルキル、アリールまたはフェニルであり、並びに
nは、1または2である]
を有する化合物の形成を促進するのに有効な条件下で反応させ、並びに
化合物18Rを、化合物rac−1の形成を促進するのに有効な条件下で反応させることを特徴とする方法。
【請求項20】
式:
【化29】

を有する化合物の製造方法であって、式:
【化30】

を有する化合物を、式:
【化31】

を有する化合物の形成を促進するのに有効な条件下で反応させ、並びに
化合物8を、化合物2の形成を促進するのに有効な条件下で反応させることを特徴とする方法。
【請求項21】
式:
【化32】

を有する化合物の製造方法であって、式:
【化33】

を有する化合物を、化合物28の形成を促進するのに有効な条件下で、
【化34】

と反応させることを特徴とする方法。
【請求項22】
式:
【化35】

を有する化合物の製造方法であって、式:
【化36】

を有する化合物を、化合物rac−1の形成を促進するのに有効な条件下で反応させることを特徴とする方法。
【請求項23】
式:
【化37】

を有する化合物の製造方法であって、式:
【化38】

を有する化合物を、化合物29の形成を促進するのに有効な条件下で、
【化39】

と反応させることを特徴とする方法。
【請求項24】
式:
【化40】

を有する化合物の製造方法であって、式:
【化41】

を有する化合物を、化合物rac−1の形成を促進するのに有効な条件下で反応させることを特徴とする方法。
【請求項25】
式:
【化42】

を有する化合物の製造方法であって、式:
【化43】

[式中、R5は、各々、水素、t−ブトキシカルボニル、カルボキシベンジル、パラ−メトキシベンジルカルボニル、パラ−メトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、ベンジル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル、N−フタルイミド、COCH3およびCOCF3からなる群から選択される]
を有する化合物を、化合物2の形成を促進するのに有効な条件下で反応させることを特徴とする方法。
【請求項26】
式:
【化44】

を有する化合物の製造方法であって、式:
【化45】

[式中、
ベンゼン環に結合するR3は、
【化46】

からなる群から選択され、
4は、C1−C4アルキル、アリールまたはフェニルであり、並びに
nは、1または2である]
を有する化合物を、化合物rac−1の形成を促進するのに有効な条件下で反応させることを特徴とする方法。
【請求項27】
式:
【化47】

[式中、R6は、C1−C4アルキル、ベンジル、パラ−メトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、およびトリイソプロピルシリルからなる群から選択される]
を有する化合物の製造方法であって、式:
【化48】

の化合物を、化合物7Rの形成を促進するのに有効な条件下で反応させることを特徴とする方法。
【請求項28】
式:
【化49】

[式中、R6は、C1−C4アルキル、ベンジル、パラ−メトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、およびトリイソプロピルシリルからなる群から選択される]
を有する化合物の製造方法であって、式:
【化50】

の化合物を、化合物7Rの形成を促進するのに有効な条件下で反応させることを特徴とする方法。
【請求項29】
下式:
【化51】

[式中、R6は、C1−C4アルキル、ベンジル、パラ−メトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、およびトリイソプロピルシリルからなる群から選択される]
を有する化合物。
【請求項30】
6がCH3である、請求項5の化合物。
【請求項31】
式:
【化52】

[式中、R6は、C1−C4アルキル、ベンジル、パラ−メトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、およびトリイソプロピルシリルからなる群から選択される]
を有する化合物の製造方法であって、式:
【化53】

の化合物を、化合物22Rの形成を促進するのに有効な条件下で反応させることを特徴とする方法。
【請求項32】
下式:
【化54】

[式中、R5は、各々独立して、水素、t−ブトキシカルボニル、カルボキシベンジル、パラ−メトキシベンジルカルボニル、パラ−メトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、ベンジル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル、N−フタルイミド、COCH3およびCOCF3からなる群から選択される]
を有する化合物。
【請求項33】
下式:
【化55】

を有する、請求項32の化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−524346(P2011−524346A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512646(P2011−512646)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/046259
【国際公開番号】WO2009/149259
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【出願人】(598130206)オールバニー・モレキュラー・リサーチ・インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】Albany Molecular Research, Inc.
【Fターム(参考)】