説明

テラヘルツ画像処理システム及び方法

特定な成分の存在を判定するために、関心領域を急速に、そして効果的に検査するための、THz画像処理装置及び方法を提供する。この装置は、試験に適した所望のテラヘルツ周波数の電磁放射を発生させるための手段、そして関心領域に入射する放射をレンダリングするための手段を含む。領域から反射する、あるいは領域を透過するテラヘルツ放射を検出するために、関心領域から間隔を置いた平面内の複数の点に検出器手段を設ける。そして、特定な成分の存在が確定可能なよう、検出テラヘルツ放射を関心領域の画像へ変換するための手段を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に画像処理装置と方法に関し、特に、検査すべき物体への入射エネルギーとして、テラヘルツ(THz)の範囲で電磁放射を利用する画像処理システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、人間に隠された、あるいはスーツケース、ブリーフケース、封をしたパッケージあるいはカートン等の容器内に隠された兵器の発見に向けられている。このような武器は、ピストルのような金属デバイスを含むが、本発明は、特に、隠蔽爆発物及び細菌兵器をモニタリングし、検出して、描写するという課題を達成する。
【0003】
プラスチック爆弾、肥料爆弾及び生物兵器が、戦争及びテロリズムの武器に利用される機会が増えており、これらの兵器の隠蔽貯蔵物の迅速な発見及び確認の有効な手段は、ますます緊急になりつつある。一つの提案解決策は、THz範囲(0.1〜10THz)における隠蔽爆発物及び細菌兵器に特有な透過あるいは反射スペクトルを介して、それらを検出及び識別するためにテラヘルツ(THz)電磁波を用いることである。爆発物(例えば、C−4、HMX、RDX、TNT、ナフタレン及びアンモニウム硝酸塩)は、すべて、0.1〜2.0THz(100〜2000GHz、3〜0.15mm)の範囲において、特有の反射及び吸収スペクトルを持つ。これらは、人間の皮膚等の、他の材料からは容易に見分けがつくものである。本質的に、爆発物は、THz検出器には、危険でないアイテムとは異なる「色」に見える。細菌兵器の検出のためのTHzの使用も、また有望である。THz放射は、合成樹脂、衣類、手荷物、紙製品、壁、そして他の非導電(非金属でない)材料を介して容易に透過されるため、THz分光分析法を用いることによって、原則として、たとえ衣類、封をしたパッケージ、スーツケース等に隠されていても、爆発物及び細菌兵器を検出することは可能である。測定反射(あるいは透過)THzスペクトルを、周知の較正スペクトルに比較することによって、これらの兵器の存在を識別して、キー、コイン、人間の皮膚及び衣類等の物体から区別することが可能である。金属は、THz波長の透過に対しては比較的に不透明であり、ほとんど一定の反射スペクトルを持つため、ピストル及びナイフ等の金属武器は、同様に、THz試験によって識別可能である。
【0004】
過去に提案されたほとんどのTHz画像処理システムは、一つのTHz源と、画像処理すべき物体空間を横切って走査される検出器の対に基づいていた。これらのシステムは、(例えば、数平方センチメートル程の)一つの小さな物体でさえ、THz画像を生成するデータを得るのに、かなりの時間(典型的に、分)を必要とする。したがって、THz画像のリアルタイムの獲得には適していない。さらに、現在の最新技術のTHz画像処理は、短パルス・レーザあるいは連続波差周波数THz生成及び検出に基づいている。これらの技術のいずれをも、コヒーレントあるいはインコヒーレントTHz放射の連続波THz画像処理へと拡張することは、コヒーレントな連続波あるいは短パルスのレーザ源が必要なため、困難である。さらに、THz放射を生成及び検出するレーザ源は、相互にコヒーレントな位相関係を維持しなくてはならない。これらの方法を用いての、インコヒーレントなTHz源の画像処理は、可能ではない。本発明のデザイン及び技術は、THzの特定なコヒーレントあるいはインコヒーレント源を必要としない。このため、電子THz源、レーザ・ベースのTHz照明源、あるいは、例えば太陽からの、インコヒーレント周囲THz放射を利用できるという柔軟性がある。
【0005】
本発明の目的は、広い「視野」内で、多数のTHz源を同時に検出することが可能な、空間THz画像処理技術を提供することである。一ラインの視界測定で同じ機能を達成するためには、測定すべき視野を横切って照準線を走査させなければならないが、上記の困難に遭遇する。本発明の手段によれば、空間解像度は、例えば、爆発物あるいは生物兵器の存在だけではなく、物体の物理的な広さ及び位置をも測定するのに十分である。この情報は、照準線技術で判定するには困難である。本発明のTHz画像処理アプローチは、人間に隠された、あるいはパッケージ、容器あるいは車両に隠された爆発物あるいは生物兵器を、離隔距離で検出するのに十分な空間解像度を持つ。本発明の長期の利点は、単一照準線システムが産出するよりも多くの情報が生成されることである。長期に渡って多数の画像を得ることによって、画像処理技術を、多数の画像及び多数のTHz源に適用することができるため、完全なシステムでは、ノイズを除去して、誤警報を減らすことができる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
さて、本発明は、特定な成分の存在を判定するために、関心領域を急速に、そして効果的に検査するための、THz画像処理装置及び方法を提供する。この装置は、試験に適した所望のテラヘルツ周波数の電磁放射を発生させるための手段、そして関心領域に入射する放射をレンダリングするための手段を含む。さらに、領域から反射した、あるいは領域を透過したテラヘルツ放射を検出するために、関心領域から間隔を置いた平面内の複数の点に検出器手段を設ける。また、特定な成分の存在が確定可能なよう、検出テラヘルツ放射を関心領域の画像へ変換するための手段を設ける。
【0007】
日常の離隔感知に対しては、高輝度のTHz源で広域を照明する。この源は、広帯域で(太陽からの放射のような)インコヒーレント、あるいは狭帯域でチューナブルである。そして、透過した、あるいは反射したTHz放射を、THz画像処理アレイで検出する。過去におけるこのアプローチへの深刻な技術的限界は、(空間分解能あるいは整調性にかかわらず)画像処理THz検出器アレイの欠如であった。大雑把に言えば、デジタルカメラの同等物が、THzシステムには存在しなかった。THzシステムにおける限界は、「カメラ」レンズではなく、むしろ、画像をデジタル化する検出器アレイであった。
【0008】
本発明のTHz画像処理アレイは、電波天文学における私たちの以前の研究に関係がある。電波源(星)の位置及びスペクトル内容が予め分からない電波天文学とは異なり、爆発物あるいは生物兵器のTHzベースの離隔検出では、源のスペクトル内容及び位置は既知であるが、介入する物体のTHz透過特性を判定する必要がある。
【0009】
本発明では、検出器手段は、間隔を置いた複数の検出器のチューナブル干渉計アレイから構成してもよい。検出器の対からの信号アウトプットは、位相及び直角位相における適切な遅延及び相関に組み合わせて、検出器平面に対応するフーリエ変換平面の成分を生成する。検出器アレイは、複数の半導体光ミキサーを含むことができる。周波数安定化チューナブル光ヘテロダイン源からなる光ミキサー駆動手段を、平凡な光ファイバ・コネクタによって光ミキサーに結合する。アレイは、一列配置の検出器と、アレイを固定軸の回りに回転させるための手段からなる。関心領域における本来の輝度分布を、フーリエ成分のフーリエ逆変換によって再生する。
【0010】
光ミキサーは光導電デバイスでもよい。この場合、このようなデバイスの各対の駆動手段は、光ミキサーにゲートを付ける差周波数を持つ一対のレーザであり、光ミキサーの対の各メンバーにおける入射テラヘルツ放射を、差周波数にミキシングして、中間周波数で修正信号アウトプットを提供し、信号処理を促進する。
【0011】
広視野THz画像処理干渉計アレイは、0.2〜10THz範囲で、高い空間分解能及びスペクトル分解能を持つ。このアレイは、高価な短パルス・レーザ・システムを必要とせずに、多数のコヒーレントあるいはインコヒーレントTHz光源を同時に画像処理することができる。本発明は、したがって、C4及びRDXのような隠蔽爆発物を遠隔で検出し、モニターし、そして識別するために、0.2から3THzまで整調可能な、連続波テラヘルツ画像処理分光計を含んでもよい。システムは、関心領域を照明し、そしてチューナブルTHz干渉画像処理アレイによって検出される高輝度THz源を利用する。THz画像処理アレイは、広視野及び高空間分解能を持つ。システムはヘテロダイン光混合検出技術を用いることが好ましいが、ホモダイン光混合検出を用いてもよい。ヘテロダイン検波のための高速光混合デバイスは、最適な中間周波数において作動するようにデザインすることが好ましい。光混合デバイスは、源及び検出器の両方として機能することができる。標的爆発物に対して必要な、THz周波数スペクトルの特徴のデータベースを提供し、これをシステムと共に用いる。また、THz画像から選択爆発物を識別するために、ニューラルネットワーク・アルゴリズムを連結的に用いることができる。
【0012】
本発明を、例として、添付図面に略図的に示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
空港のターミナル、基地、船、あるいは郵便局へ入ってくる人間、パッケージあるいはパレットを日常的に、そして非侵略的に検査するために、図1Aに示すように、人間(あるいはパッケージ8)を、一つの、あるいは複数のTHz源10とTHz画像処理アレイ12との間に配置する、あるいは移動させる。したがって、図1Aの構成は、透過モードに基づいている。図1Bでは、間隔を置いた人間と物体13に、THz源14から投射され、その反射から画像処理アレイ12が検出する。両ケースA及びBにおいて、THz源は、調査すべき人間、パレット、車両、あるいは他の物体を照明する。
【0014】
デジタルカメラと同等な画像処理に比較した、干渉計画像処理の利点は、少数の個別の検出エレメントだけで干渉計画像処理を行うことができるということである。市販デジタルカメラは、典型的に、1024×768ピクセルの画像処理アレイ、すなわちアレイ内に780,000の個別の検出エレメントを持つ。THz範囲内でのこのような高検出器密度は、現在、技術的に実行可能ではない。一つの理由として、0.1〜10THzの周波数範囲の従来の検出器は、一般的に、液体ヘリウム冷却を必要とし、高密度アレイ構造に統合化するのは容易ではない。したがって、THz範囲での画像処理では、少数(1〜20)の検出エレメントだけを用いて画像を生成しなくてはならない。干渉計画像処理は、ほんのひと握りの検出エレメントだけで画像処理を行う機能、そして一度に多くのTHz放射源を画像処理する、コヒーレント及びインコヒーレント源を画像処理する、そしてスペクトル情報及び空間画像処理情報を提供する機能があるため、大きな利点がある。
【0015】
本発明で用いるTHz画像処理アレイ12は、電波天文学で用いる既知の技術に関連する。電波源(星)の位置及びスペクトル内容が予め分からない電波天文学とは異なり、THzベースの爆発物モニタリングシステムでは、源のスペクトル内容及び位置が分かっているが、介入する物体のTHz透過(あるいは反射)特性を判定する必要がある。
【0016】
リアルタイムでTHzの画像処理を行うためには、したがって、電波干渉法の技術を利用する。この場合、空間(アパーチャ平面)内の二つ以上の点における信号を、適切な遅延で適合させ、位相において、そして直角位相において関連づけ、輝度分布の余弦及び正弦成分を生成する。したがって、この技術は、入射信号の振幅及び位相の両方を測定する。そしてアパーチャ平面内の十分な数の点から測定した場合は、標準フーリエ逆変換を介して、本来の輝度分布を合成(画像処理)する。干渉計アレイで画像を構築する技術は、電波及びX線の両方の波長範囲における天文学の画像処理に用いるために開発されたものである。フーリエ画像再構築技術の開発は、従来、mの波長からmm以下の波長の電波範囲であり、干渉計アレイの特性を模型化し、シミュレートするための、多くのツールが存在する。3〜10のエレメントを含む疎らなアレイは、再構築画像内の(サイドローブと呼ばれる)曖昧さを減少させる特別な処理が必要である。電波天文学では、疎らなアレイで画像処理するいくつかの技術が知られている。それらは、(各周波数における異なる空間情報を利用するために多数の周波数のデータを組み合わせて)周波数合成の相違を用いる。もし異なるTHz周波数においてデータが得られるなら、THz画像処理の課題に適用することが可能である。
【0017】
本発明のTHzシステムは、次の三つの主要な構成要素を含む。(a)THz干渉画像処理アレイ。(b)THz信号のヘテロダイン・ミキシング(好ましい)、そして100MHzでの中間周波数の信号処理。そして(c)高輝度THz源。
【0018】
さて、図2を参照する。画像処理干渉計は、二つの点検出器における波面の到着時の相違は、二つの検出器に対する波面20の角度αに依存するという点で、位相調整検出器に類似している。任意の波長λに対する角度分解能は、二つの検出器の離隔距離dによって決定する。θ=λ/d(ラジアン)。干渉計の視野は、個々の検出器のビーム・パターン(指向性)の小さい方と、検出器の帯域幅によって決定する。ガウス帯域幅に関しては、ガウスが減少するとき干渉計の角度感度も減少する。視野の1/e幅は、W1/e≒c/πdσ(ラジアン)によって決定する。この場合、σは アンテナの1/e帯域幅である。視野は、約ν/πσ因子だけ角度分解能よりも大きい。一例として、0.01THzの1/e帯域幅で1THzの中心検出周波数を持つTHzアンテナが、10cmの間隔で離れている場合、干渉計は、10’の分解能で5°の視野を画像処理することができる。1cm間隔では、視野は、約1.7°の分解能で51°である。
【0019】
潜在的な空間分解能の一例として、(表1を参照、1cmの検出器基線距離を持つ中心周波数が約1THzの)THz画像処理アレイを、人間に隠した一つの爆発物から約15m(50ft)のジープ上に設置した場合、15m離れた標的爆発物に対する対応空間分解能は、1THzで約45cm、そして10THzで約4.5cmである。より細かな分解能(10倍)は、10cm基線アレイで達成することができる。これは、札入れサイズの爆発物を識別するのに十分な分解能である。この場合の爆発物の厚さは数mmである。広い領域の遠隔視検のための50mの距離では、1cm基線アレイは1.5mの空間分解能を持ち、10cm基線アレイは約15cmの空間分解能を持つ。
【0020】
【表1】

【0021】
本発明では、THz画像処理アレイは、適当な検出器の中から、アンアーバーMIのピコメトリクス(Picometrix)が製造するTHz検出器を用いる。ピコメトリクスTHz検出器は、光導電デバイスとして作動する。これらの検出器に対して、金マイクロ加工アンテナ構造を、高速光導電材料である低温成長GaAs上に製造する。それらは、光ファイバ的に結合した室温検出器である。典型的なピコメトリクス検出器デザイン・パラメータに対して、THz画像処理アレイの視野は、検出器の指向性によって決定する。THz放射の焦点を検出器に合わせるTHzレンズのデザインを少し変更することによって、検出器の視野を(数度、約50度に)調整することができる。
【0022】
画像処理干渉計は、個々の検出器のアレイからなる。一対のこのような検出器16、18を、図2に概略的に示す。各検出器は、入射THz放射の振幅及び位相を測定する。THz放射の波面がアレイに遭遇すると、アレイ内の検出器の各対(例えば16、18)は、検出器対の離隔距離によって決定する、入射THz放射の一つの空間フーリエ成分を測定する。各空間フーリエ成分を、フーリエ変換平面(u−v平面)内の点によって表す。空間フーリエ成分を定量し、その結果として入射THz波面20の方向を判定するためには、一対のアンテナ間の、波面到着時間における位相遅延を測定しなければならない。源への方向と、基線(検出器を効果的に構成する二つのアンテナを結ぶ想像線)との間の相対角度は、二つのアンテナの間への波面の到達における幾何学的遅延τを定義する。基線の周りに円錐を構成するすべての方向は、同じ位相遅延τ=(b・sinα)/cを持つ。ここで、bは基線の長さであり、cは光速であり、そしてαは相対角度である。源の正確な方向を決定するためには、基線の他の方位における追加の測定を行わなくてはならない。
【0023】
検出器対間の固定離隔距離に対しては、一つの空間フーリエ成分を測定する。実空間では、この単一フーリエ成分は、図3Aに示すように、輝度縞に対応する。源への距離を一定に保持しながら、検出器対間の間隔を変化させることによって、空間フーリエ成分を変化させ、図3A内の交互に明るい、そして暗い縞の間隔を変える。そして検出器対の異なる間隔で生成した画像を合算することによって、合成実空間画像を形成する。検出器対間の間隔(図2内の距離b)を変化させることによって、干渉計検出の単純な実験検証を行うことができる。この幾何学に基づいて、二つの検出器で検出した点源からのTHz信号間の予想相関Cは、

である。ここで、Aは入射THz平面波の振幅であり、kは入射電磁波の波数であり、Bは検出器対間の間隔であり、そしてαは、図2内に定義する、検出器に対して入射波面が作る角度である。0.5THzの周波数に対する予想実験データのプロットを、図3Bに示す。異なる検出器対のフーリエ成分を含むと、結果として生じる画像は、点THz源の点分布関数に接近する。点分布関数は、例えば、THz干渉計画像を清浄にする、また干渉計画像内のサイドローブ・アーティファクトを取り除くために用いることができる。
【0024】
任意数の検出器Nに対して、N(N−1)/2の可能な、対の組み合わせがある。フーリエ平面を可能な限り完全にサンプリングできるように、一様でない間隔でアンテナを配置することが望ましい。五つのアンテナの典型的な一列配置と、結果として生じる基線とを図4に示す。対数周期間隔が典型的である。検出器対の種々の組み合わせで電場における相関を記録することによって、THz源からの放射の空間分配に関する情報を生成することができる。すべての異なる対の組み合わせの空間フーリエ成分から画像を生成する。画像の品質は、干渉計の検出エレメントの配置に依存するu−v平面の被写域に依存する。アンテナの構成を設計する上で最も大切なことは、必要な角度分解能によって決定される範囲に渡って、一様に、そして効率的にu−v平面の被写域を得ることである。小数の検出器でのu−v平面の効率的な画像処理を、一列配置の検出器を用いると共に、アレイを固定軸の回りに回転させることで達成してもよい。Nエレメント・アレイの回転中に測定を20回行った場合は、検出器の数が20Nあるのに等しいという結果が得られる。これは、画像品質の改善、あるいはアレイ内に必要なアンテナ数の削減のいずれかをもたらす。
【0025】
さて、図5を参照する。光ファイバで結合した一対の光導電アンテナ検出器22、24によって、THzの干渉計検出を行う。これらの検出器内では、入射THz放射を、光導電検出器「にゲートを付ける」すなわち「をオンにする」レーザ26、28からの二つの赤外線(〜780nm)レーザ光線にミキシングすることによって、入射THz放射を検出する。光ファイバ・ケーブル29及びスター・スプリッタ30を用いて、赤外線レーザ光を検出器構造に結合することには、明確な利点がある。例えば、レーザ光の結合、そしてそれの多数の検出器への分配は、ファイバ・カップラ及びスター・スプリッタを用いれば直通である。この方法では、二つの赤外線レーザ源のみを用いて、Nエレメントの干渉計アレイ内のすべてのアンテナを駆動することができると考えられる。さらに、ファイバ・カップリングは、アレイ全体をより強靭で信頼性の高いものにする。ファイバを検出器に取り付けることによって、光送出システムが光ファイバとなるため、それらを相互に(すなわち、調節可能な基線あるいは検出器間隔において)容易に移動することができる。このデザインは、アレイが、低い空間分解能で非常に素早く、爆発物の証拠を広い領域に渡って調査することができるという可能性を提供する。もし特定な領域が兵器のスペクトル特徴を示すなら、疑われる領域を、より高い空間分解能で検査するようにアレイの基線を調節することができる。
【0026】
レーザ26、28は、二つの狭帯域赤外線レーザであり、検出器と共に用いて、差周波数光ヘテロダイン光混合を介してTHz放射を検出する。二つの外部キャビティ・ダイオード・レーザ(ECDL)を用いて、異なる二色(波長)の〜780nmに近い赤外線放射を生成する。赤外線の二色の差周波数を調整することによって、THz周波数を調整することができる。他の人たちが、光導電アンテナにおけるレーザ・ミキシングのホモダイン検波を実証しているが、我々が知っている限りでは、ヘテロダイン検波は実証されていない。ヘテロダイン検波技術は、ホモダイン(DC)検波に比べ、THzアレイの感度を改善する。ヘテロダイン検波は、THz局部発振器(LO)からTHz源を切断する。これは、THz源とLOとが、コヒーレントである必要がない、あるいは同じ源から得る必要がないことを意味する。光混合検出技術では、二つの赤外線レーザ波長をミキシングすることによって、THz局部発振器を提供する。さらに、ヘテロダイン検波技術は、局部発振器周波数を走査して、アレイからスペクトル画像及び空間画像を得る。
【0027】
光混合幾何学では、二つの赤外線レーザ源をミキシングすることを、光導電アンテナ検出エレメント内に局部発振器(LO)信号を生成することと、概念的に考えることができる。この幾何学では、局部発振器とテラヘルツ信号とのミキシング(ビーティング)によって生成する中間周波数は、100〜3000MHzの範囲になる(ECDL源の線幅は約5MHzである)。100MHzの中間周波数は、この周波数の電子部品の入手は容易であるため、処理が容易である。一対の検出器に対するTHz電場の相対位相及び振幅(すなわち、フーリエ成分に対するu−v平面)は、二つの検出器における測定中間周波数(IF)信号周波数を互いに関連づけることによって決定する。THz信号を100MHzのIFバンドへダウン変換したら、信号は、電波天文学で開発済みの相関器技術をそのまま用いて処理することができる。
【0028】
ヘテロダイン・ミキシング技術では、個々の検出器が受信する入射THz信号(ω信号〜1THz)を、信号周波数とは少量だけ異なる局部発振器信号ωLOと結合する。局部発振器信号[ωLO〜(1+δ)THz]は、CWIRレーザ光線の差周波数混合によって、画像処理アレイの本実施例内に生成する。検出器の出力は、二つのTHz信号をミキシングした差周波数であるωIF=ωLO−ω信号。差周波数は、中間周波数範囲(kHz〜GHz)にあり、電子的に処理して、THz信号の位相及び振幅を検索することができる。一対の検出器に対するTHz電場の相対位相及び振幅(すなわち、u−v平面に対するフーリエ成分)を、二つの検出器における測定IF信号周波数を相互に関連づけることによって決定する。固定IF周波数で局部発振器周波数を掃引する(すなわち、二つのIRレーザ間の波長差を変化させる)ことによって、干渉計は、種々の周波数においてTHz源を画像処理することができる。LO周波数を掃引することの利点は、調査中の物体内の特定な化学成分のモニタリングを可能にし、THz範囲内にあるそれらのスペクトル特性によって爆発物を識別することである。
【0029】
干渉計のアンテナの典型的な構成を、図6に概略的に示す。この構成は、五つの個々のアンテナを結合し、回転を利用して干渉計THzアレイの画像処理を行う。重複しない12の検出器の配置が、アレイ30の回転方位のすべてに対して、66のフーリエ成分を提供する。図に示すように、選択したアレイ・デザインは、幾何学的なスパイラルの二つの直角な軸に沿って、合計12の検出器を配置している。各三角形が検出器を表し、各検出器には、反時計回りに、1から12までの番号を付している。
【0030】
フーリエ変換u−v平面の効率的な取り扱いのために、各検出器対の間隔を変化させて、各対によって、他の成分の調波でないユニークな空間フーリエ成分が生成されるようにすることが重要である。同じ検出器間隔で多数回行っても、追加の画像処理情報は得られない。図5の間隔は、次式から模型化されている。
【0031】
(数1)
d=ar(n−1)
【0032】
この場合、dは原点からの距離であり、aは間隔定数であり、rは第一の検出器の距離であり、そしてnは検出器の数である。値bは、原点から外へ連続的にらせん状に動く検出器の速度を表す定数である。bを選択した後、間隔定数aを、異なるアプリケーションに対する検出器アレイの全体的なサイズをノーマライズするための、乗法因数として用いることができる。アレイの全体的なサイズは、検出器12から原点への距離の約2倍と見積もることができる(d12=ar11)。
【0033】
画像処理アレイが回転プラットホーム上に配置される場合は、THz源に対するアレイの回転を、画像品質を改善するために利用することができる。例えば、Nエレメント・アレイの回転中に20回測定する場合、検出器の相当数は20Nである。これは、画像品質の改善、あるいはアレイ内に必要なアンテナ数の削減につながる。アレイ・プラットホームの回転を用いて、アレイ内の僅か三つのアンテナだけで、THz源の位置を示すことができる。実際、三角形パターンに並べた三つのアンテナを用いて、空間内のTHz源の位置を三角測量することができる。(CW赤外線レーザ励起を用いて可能なように)種々のTHz波長に対して、比較的に狭帯域な検出器を調整することによって、さらに改善を得ることができる。THz源に関するスペクトル情報を与えることに加え、種々のTHz周波数における干渉写真を、空間分解能を改善する、あるいは必要なアンテナ数を削減するために用いることができる。
【0034】
アレイ30から画像を生成するときは、原点の周りにアレイを回転させ、uv平面内により多くの空間フーリエ成分を満たし、全体的な分解能を改善する。合計90°に渡って1°の回転毎にアレイからデータを得る。このデータを処理するときは、THz放射源が遠いフィールドに存在すると想定することができる。換言すれば、画像処理アレイから源への距離は、アレイ内の検出器間の典型的な間隔よりもかなり大きい。この限度では、入射するTHz放射の波面は平らである。
【0035】
人間が身につけた、あるいはパッケージ内の隠蔽C4あるいはRDX爆発物の検出は、THz放射を反射する、あるいは透過させる多くの他の物質があるため、困難である。金属、例えばコインやベルトバックル等は、ほぼ一定な反射スペクトルを持つ。本システムは、平凡なアイテムから、センチメートル・サイズのC4あるいはRDX爆発物を区別することができる。RDXは、衣類、皮膚及び金属等の他のアイテムとは見分けがつく、特定なTHz周波数における大きなピークを含む反射スペクトルを持つ。
【0036】
THz画像処理アレイの性能を実証するために、私たちは、RDXの画像処理をシミュレートして、そのスペクトル特徴に基づいて、それが金属アイテムから区別できることを発見した。シミュレーションのために、RDXは、THz画像処理アレイから30m離れていると仮定した。アレイのサイズは5mであった。隣り同士に配置した二つの1.4cm正方形サンプルの画像を得た。一方はRDXで、他方は金属である。RDXの0.08、0.175及び0.4THzの特有な周波数において大きな反射を示す位置を赤く着色することによって、虚偽色画像を生成した。他の、個々の周波数に、各々、THz周波数に比例した色を割り当てた。その結果、(すべてのTHz周波数を反映する)金属は白色になり、RDXは、金属及び背景から容易に区別できた。周波数の関数としてTHz画像を分析するために、そしてRDXのスペクトル特性を示す空間位置を識別するために、ニューラルネットワーク・アルゴリズムを用いることができる。
【0037】
天文学のアプリケーションに用いるアレイと、隠匿武器の検出のために本アプリケーションに用いるものとの間には、いくつかの重要な相違がある。天文学電波干渉画像に対しては、入射する電波が平らな波面を持つと仮定する。種々の検出エレメント間の適当な遅延で、同じ波面からの電場を、どの対のエレメントもサンプリングすることができる。同じ波面をサンプリングする場合、同じ波面上のすべての点が同じ位相を持つ(空間的にコヒーレントである)ことが分かっているため、インコヒーレント放射源でさえも干渉法的に検出することができる。爆発物の検出へのアプリケーションに対しては、基線(アレイ・エレメントの間隔)は、〜10cmであると推定する。THz源と検出アレイとの距離は、エントランス・タイプ検出での数メートルから、より広い領域の検出での、約50メートル程度であろう。2〜50メートルの距離は、アレイ・エレメントの間隔よりも、大きさの順位が少々大きいため、THz干渉計アレイは、部分的にカーブした、平らではない波面に対処しなければならない。さらに、波面がカーブしているため、検出エレメント間の適当な遅延は波面の湾曲に依存し、THz放射のインコヒーレント源を画像処理することはより困難である。
【0038】
この潜在的、技術的な問題は、十分に長いコヒーレント長を持つTHz源放射を用いることによって克服できる。THzを生成するECDLレーザが非常に長いコヒーレント長を持つため、光ヘテロダイン差周波数混合によって生成されるTHz放射は、非常に長いコヒーレント長を持つ。長いコヒーレント長THz源を用いることは、連続する多くの波面が、コヒーレントであり、容易に干渉信号を生じることを意味する。この設計上の制約は、画像処理することが可能なTHz源のタイプに対する、コヒーレント長の限度を定める。
【0039】
天文学のアプリケーションでは、THz源(例えば、星)の位置、物理的な広がり、そして周波数コンテンツは分かっていない。電波干渉計アレイ及びデータ処理は、電波源の位置及びスペクトル内容を決定するためにデザインされる。本発明では、THz源の位置、物理的な広がり、そしてスペクトルは、それらが画像処理システムの一部であるため、既知である。代わって、興味は、介入する物質のTHz透過あるいは反射スペクトルにある。すなわち、爆発物あるいは生物兵器が存在するかどうかである。爆発物あるいは生物兵器の存在に対してTHz画像を処理するためには、THz局部発振器の周波数を変更することによって、特有なTHz周波数における画像を得る。THz画像から爆発物及び生物兵器の存在を判定するためには、疑似ニューラルネットワーク(ANN)アルゴリズムを用いることができる。ANNは、インプットをアウトプットへマッピングする、数学的な関数のコレクションである。本発明においては、インプットは、THz干渉画像処理システムから得られるスペクトル画像アレイである。アウトプットは、絶対的確証、そして標的兵器の検出領域内の位置である。インプットとしての特定なTHz周波数における検出パワーに対して値を用いることで、特定な爆発物あるいは生物兵器に対応するTHz色(例えば、周波数)の異なる組み合わせの存在を認識するよう、ニューラルネットワークを「訓練する」ことができる。ANNの、このタイプの使用は、よく知られている。例えば、ANNは、フーリエ変換赤外線(FTIR)吸収スペクトルに基づいて、微生物のほぼ150品種を分類するための分類段階を確立するために用いた。「バクテリアの識別のための、疑似ニューラルネットワーク及びFTIRスペクトルによる階層的な分類システムの開発」(T. Udelhoven, et al., "Development of a Hierarchical
Classification System with Artificial Neural Networks and FT-IR Spectra for the
Identification of Bacteria," Applied Spectroscopy, 54, no. 10, p.1471(2000))。同様に、ANNを使用して、低SN比のラマン・スペクトルから、高精度で多種類の、塩素処理した炭化水素の混合物内の個々の有機成分を識別した。「分光分析法とハイブリッド・ニューラルネットワーク分析」(T. Lu and J. Lerner, "Spectroscopy and Hybrid Neural Network
Analysis," Proc. IEEE, 84, no. 6, p.895(1996))。同様に、DNAの異なるセットを識別するために、分析ツールとしてのTHzスペクトルと共にニューラルネットワークの原理を用いた。「DNA高分子の準ミリ波振動分光分析法へのニューラルネットワーク分析の応用」(T. Globus, et. al "Application of Neural Network Analysis to
Submillimeter-wave vibrational spectroscopy of DNA macromoledules", in the
Proceedings to the 2001 ISSSR, June 12-15, Quebec City, Canada(2001))。本発明においては、誤り検出率を減少させるために、異なる時に、あるいは異なる空間分解能で撮影した結合画像を分析するのに、疑似ニューラルネットワークを用いることができる。
【0040】
図5の概略図に示すように、本発明におけるTHz放射を検出する(そして生成する)方法は、光導電アンテナ構造物による、二つのCW赤外線レーザ光線の光学的ミキシングである。二つの外部キャビティ・ダイオード・レーザ(ECDL)の周波数の差は、33cm−1(遠赤外領域)に対応する
、約1THzに調整する。ECDLは、中心波長780nmと、±4.2THzに対応する±9nmのチューニング範囲を持つ。ECDLレーザは、0.1〜2THzの差周波数の走査を可能にする、優秀な安定性(ライン幅、約5MHz)を持つ。より安価なDFB及びダイオード・レーザではなくECDLレーザを選択した。その理由は、ECDLの柔軟性及びチューニングの容易さにある。レーザのアウトプットは、ファイバ・カップラ29内で結合される。結合レーザ光線のパワーを、光ファイバ・スプリッタ30を用いて分割し、光ファイバ・ケーブルを用いる離間検出器対からなる二つの検出アンテナ22、24へ向ける。入射THzと赤外線レーザとの光学的ミキシングは、中間周波数ωIFの電気信号を生成する。フィルター32、34においてIF周波数帯をフィルターして、それから相関回路36を用いることによって、アンテナ対の空間フーリエ成分を測定する。THz検出器として、先に述べたピコメトリクス社が製造したもののような、光導電検出器を用いることができる。
【0041】
二つのレーザ源は、THz範囲内の差周波数(△ω)に調整する。結合レーザ光線を、ファイバスプリッタを用いて分割し、それから、光学的ミキシングによって入射THz放射を検出するために、光導電アンテナへ導く。
【0042】
ヘテロダイン検波の使用で、ミキシングしたTHz周波数の中間周波数は、ホモダイン検波の典型的なDCあるいはkHz範囲ではなく、MHz範囲内になる。[短パルス・レーザ源を用いる、標準THz分光分析法の設定に対しては、THz放射器へのレーザ光線あるいは適用電圧を、ロックイン増幅器を用いる位相判別検出を促進するために、kHz反復率で変調する。]THz検出電子装置は、アンテナ検出器パッケージが100MHz範囲内の中間周波数を送信することができるよう、設計する。
【0043】
図7に示すように、THz信号を中間周波数(IF)へ下げてミキシングした後、0.01から数GHz範囲内の非常に良いフィルタ32、34と低ノイズ増幅器31、33を用いる。これは、この周波数範囲が、(ベースバンドとして)無線通信に、そして(サイドバンドとして)光通信に非常に重要であるためである。中間周波数は100MHzで処理する。この周波数の電子部品が容易に利用可能であるためである。第一のステップは、ナイキスト周波数(100MHz帯域幅に対して1Gサンプル/s)においてサンプリングして、入射IF帯域をデジタル化することである。それから、デジタル信号をタイム・デマルチプレクサ(シフトレジスタ)に通し、シフトレジスタの各ビットを、第二のTHz検出器からの対応するビットに関連づける(乗する)。1GHzでサンプリングした信号を、8ビット・タイム・デマルチプレクサを用いて、125MHzへ低速化し、それから相関のために、125MHzの現場でプログラム可能なゲートアレイ(FPGA)へ渡す。このアレンジメントは、N=64ラグ(8×8)を提供する。これは、帯域幅B=100MHzに対する周波数分解能
△f=2B/N=15.6MHzを提供する。相関器チップをカスケードにすることで、より高いラグ数を達成することができ、より高周波の分解能を得る。これを一つの相関器ユニットと考え、各相関器ユニットが一対の検出器からの信号を処理する。n検出器に対しては、n(n−1)/2の相関器ユニットが必要である。
【0044】
THz源、検出器、構成要素に関する研究は非常にさかんであるため、将来、ここで論じたものよりも優れたTHz構成要素が開発される可能性がある。しかしながら、THz画像処理アレイの全体的なデザインは非常に強固である。(a)(どんな新しいTHzミキサー及びTHz局部発振器の場合でも)新しい検出エレメントが、パワーではなく、むしろTHz電場を検出する限り、その新しいミキサー技術は、THz画像処理アレイの性能を改善するために用いることができる。(b)画像処理すべきTHz源は、インコヒーレントあるいはコヒーレントである。これは、実際、THz干渉計アレイ・アプローチに対するシステム工学の利点である。干渉計アレイ・デザインは、THz局部発振器源及びミキサーの進歩を容易に取り入れることができるため、THz技術の前進の各々に対してTHzアレイを全体的に再発明する必要はない。
【0045】
本発明を、その特定な実施例に関して記載したが、本技術の熟練者には、開示から、本発明の範囲内で本発明に対する多くの変更が可能である。したがって、本発明は、総括的に解釈されるべきであり、添付の請求項の範囲のみによって限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1A】本発明の、可能なシステムの実施例を概略的に示すものである。
【図1B】本発明の、可能なシステムの実施例を概略的に示すものである。
【図2】間隔を置いた一対の検出器で測定した、入射THz波面の位相を示す概略図である。
【図3A】固定分離された一つの検出器対が生成する真の空間画像の写真である。
【図3B】検出器対の分離(基線)の関数として検出器対が測定する、相関THz電場の予想依存性を描写するグラフである。このプロットに対しては、α=10°、k=16.5cm-1(0.5THz)、そしてA=1。
【図4】一列配置にある五つの検出器アンテナの概略図である。
【図5】ヘテロダイン光混合による干渉検出を可能にする、本発明で用いる要素を描写する概略図である。
【図6】回転モードで用いる検出器アンテナの配置を描写する概略図である。
【図7】は、本発明の検出器出力を処理するために用いる中間周波電子装置の構成を描写する概略図である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府の権利
【0002】
本発明に導く研究は、STTR交付金(DAAD19−02C−0085)及びSBIR交付金を介して米国陸軍が部分的にサポートしていた。また、全米科学財団も、SGER/REU交付金(CTS−0233582)を介してサポートを提供した。したがって、合衆国政府は、本発明に特定な権利を持つ可能性がある。
【0003】
本発明は、一般的に画像処理装置と方法に関し、特に、検査すべき物体への入射エネルギーとして、テラヘルツ(THz)の範囲で電磁放射を利用する画像処理システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
本発明は、人間に隠された、あるいはスーツケース、ブリーフケース、封をしたパッケージあるいはカートン等の容器内に隠された兵器の発見に向けられている。このような武器は、ピストルのような金属デバイスを含むが、本発明は、特に、隠蔽爆発物及び細菌兵器をモニタリングし、検出して、描写するという課題を達成する。
【0005】
プラスチック爆弾、肥料爆弾及び生物兵器が、戦争及びテロリズムの武器に利用される機会が増えており、これらの兵器の隠蔽貯蔵物の迅速な発見及び確認の有効な手段は、ますます緊急になりつつある。一つの提案解決策は、THz範囲(0.1〜10THz)における隠蔽爆発物及び細菌兵器に特有な透過あるいは反射スペクトルを介して、それらを検出及び識別するためにテラヘルツ(THz)電磁波を用いることである。爆発物(例えば、C−4、HMX、RDX、TNT、ナフタレン及びアンモニウム硝酸塩)は、すべて、0.1〜2.0THz(100〜2000GHz、3〜0.15mm)の範囲において、特有の反射及び吸収スペクトルを持つ。これらは、人間の皮膚等の、他の材料からは容易に見分けがつくものである。本質的に、爆発物は、THz検出器には、危険でないアイテムとは異なる「色」に見える。細菌兵器の検出のためのTHzの使用も、また有望である。THz放射は、合成樹脂、衣類、手荷物、紙製品、壁、そして他の非導電(非金属でない)材料を介して容易に透過されるため、THz分光分析法を用いることによって、原則として、たとえ衣類、封をしたパッケージ、スーツケース等に隠されていても、爆発物及び細菌兵器を検出することは可能である。測定反射(あるいは透過)THzスペクトルを、周知の較正スペクトルに比較することによって、これらの兵器の存在を識別して、キー、コイン、人間の皮膚及び衣類等の物体から区別することが可能である。金属は、THz波長の透過に対しては比較的に不透明であり、ほとんど一定の反射スペクトルを持つため、ピストル及びナイフ等の金属武器は、同様に、THz試験によって識別可能である。
【0006】
過去に提案されたほとんどのTHz画像処理システムは、一つのTHz源と、画像処理すべき物体空間を横切って走査される検出器の対に基づいていた。これらのシステムは、(例えば、数平方センチメートル程の)一つの小さな物体でさえ、THz画像を生成するデータを得るのに、かなりの時間(典型的に、分)を必要とする。したがって、THz画像のリアルタイムの獲得には適していない。さらに、現在の最新技術のTHz画像処理は、短パルス・レーザあるいは連続波差周波数THz生成及び検出に基づいている。これらの技術のいずれをも、コヒーレントあるいはインコヒーレントTHz放射の連続波THz画像処理へと拡張することは、コヒーレントな連続波あるいは短パルスのレーザ源が必要なため、困難である。さらに、THz放射を生成及び検出するレーザ源は、相互にコヒーレントな位相関係を維持しなくてはならない。これらの方法を用いての、インコヒーレントなTHz源の画像処理は、可能ではない。本発明のデザイン及び技術は、THzの特定なコヒーレントあるいはインコヒーレント源を必要としない。このため、電子THz源、レーザ・ベースのTHz照明源、あるいは、例えば太陽からの、インコヒーレント周囲THz放射を利用できるという柔軟性がある。
【0007】
本発明の目的は、広い「視野」内で、多数のTHz源を同時に検出することが可能な、空間THz画像処理技術を提供することである。一ラインの視界測定で同じ機能を達成するためには、測定すべき視野を横切って照準線を走査させなければならないが、上記の困難に遭遇する。本発明の手段によれば、空間解像度は、例えば、爆発物あるいは生物兵器の存在だけではなく、物体の物理的な広さ及び位置をも測定するのに十分である。この情報は、照準線技術で判定するには困難である。本発明のTHz画像処理アプローチは、人間に隠された、あるいはパッケージ、容器あるいは車両に隠された爆発物あるいは生物兵器を、離隔距離で検出するのに十分な空間解像度を持つ。本発明の長期の利点は、単一照準線システムが産出するよりも多くの情報が生成されることである。長期に渡って多数の
画像を得ることによって、画像処理技術を、多数の画像及び多数のTHz源に適用することができるため、完全なシステムでは、ノイズを除去して、誤警報を減らすことができる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
さて、本発明は、特定な成分の存在を判定するために、関心領域を急速に、そして効果的に検査するための、THz画像処理装置及び方法を提供する。この装置は、試験に適した所望のテラヘルツ周波数の電磁放射を発生させるための手段、そして関心領域に入射する放射をレンダリングするための手段を含む。さらに、領域から反射した、あるいは領域を透過したテラヘルツ放射を検出するために、関心領域から間隔を置いた平面内の複数の点に検出器手段を設ける。また、特定な成分の存在が確定可能なよう、検出テラヘルツ放射を関心領域の画像へ変換するための手段を設ける。
【0009】
日常の離隔感知に対しては、高輝度のTHz源で広域を照明する。この源は、広帯域で(太陽からの放射のような)インコヒーレント、あるいは狭帯域でチューナブルである。そして、透過した、あるいは反射したTHz放射を、THz画像処理アレイで検出する。過去におけるこのアプローチへの深刻な技術的限界は、(空間分解能あるいは整調性にかかわらず)画像処理THz検出器アレイの欠如であった。大雑把に言えば、デジタルカメラの同等物が、THzシステムには存在しなかった。THzシステムにおける限界は、「カメラ」レンズではなく、むしろ、画像をデジタル化する検出器アレイであった。
【0010】
本発明のTHz画像処理アレイは、電波天文学における私たちの以前の研究に関係がある。電波源(星)の位置及びスペクトル内容が予め分からない電波天文学とは異なり、爆発物あるいは生物兵器のTHzベースの離隔検出では、源のスペクトル内容及び位置は既知であるが、介入する物体のTHz透過特性を判定する必要がある。
【0011】
本発明では、検出器手段は、間隔を置いた複数の検出器のチューナブル干渉計アレイから構成してもよい。検出器の対からの信号アウトプットは、位相及び直角位相における適切な遅延及び相関に組み合わせて、検出器平面に対応するフーリエ変換平面の成分を生成する。検出器アレイは、複数の半導体光ミキサーを含むことができる。周波数安定化チューナブル光ヘテロダイン源からなる光ミキサー駆動手段を、平凡な光ファイバ・コネクタによって光ミキサーに結合する。アレイは、一列配置の検出器と、アレイを固定軸の回りに回転させるための手段からなる。関心領域における本来の輝度分布を、フーリエ成分のフーリエ逆変換によって再生する。
【0012】
光ミキサーは光導電デバイスでもよい。この場合、このようなデバイスの各対の駆動手段は、光ミキサーにゲートを付ける差周波数を持つ一対のレーザであり、光ミキサーの対の各メンバーにおける入射テラヘルツ放射を、差周波数にミキシングして、中間周波数で修正信号アウトプットを提供し、信号処理を促進する。
【0013】
広視野THz画像処理干渉計アレイは、0.2〜10THz範囲で、高い空間分解能及びスペクトル分解能を持つ。このアレイは、高価な短パルス・レーザ・システムを必要とせずに、多数のコヒーレントあるいはインコヒーレントTHz光源を同時に画像処理することができる。本発明は、したがって、C4及びRDXのような隠蔽爆発物を遠隔で検出し、モニターし、そして識別するために、0.2から3THzまで整調可能な、連続波テラヘルツ画像処理分光計を含んでもよい。システムは、関心領域を照明し、そしてチューナブルTHz干渉画像処理アレイによって検出される高輝度THz源を利用する。THz画像処理アレイは、広視野及び高空間分解能を持つ。システムはヘテロダイン光混合検出技術を用いることが好ましいが、ホモダイン光混合検出を用いてもよい。ヘテロダイン検
波のための高速光混合デバイスは、最適な中間周波数において作動するようにデザインすることが好ましい。光混合デバイスは、源及び検出器の両方として機能することができる。標的爆発物に対して必要な、THz周波数スペクトルの特徴のデータベースを提供し、これをシステムと共に用いる。また、THz画像から選択爆発物を識別するために、ニューラルネットワーク・アルゴリズムを連結的に用いることができる。
【0014】
本発明を、例として、添付図面に略図的に示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
空港のターミナル、基地、船、あるいは郵便局へ入ってくる人間、パッケージあるいはパレットを日常的に、そして非侵略的に検査するために、図1Aに示すように、人間(あるいはパッケージ8)を、一つの、あるいは複数のTHz源10とTHz画像処理アレイ12との間に配置する、あるいは移動させる。したがって、図1Aの構成は、透過モードに基づいている。図1Bでは、間隔を置いた人間と物体13に、THz源14から投射され、その反射から画像処理アレイ12が検出する。両ケースA及びBにおいて、THz源は、調査すべき人間、パレット、車両、あるいは他の物体を照明する。
【0016】
デジタルカメラと同等な画像処理に比較した、干渉計画像処理の利点は、少数の個別の検出エレメントだけで干渉計画像処理を行うことができるということである。市販デジタルカメラは、典型的に、1024×768ピクセルの画像処理アレイ、すなわちアレイ内に780,000の個別の検出エレメントを持つ。THz範囲内でのこのような高検出器密度は、現在、技術的に実行可能ではない。一つの理由として、0.1〜10THzの周波数範囲の従来の検出器は、一般的に、液体ヘリウム冷却を必要とし、高密度アレイ構造に統合化するのは容易ではない。したがって、THz範囲での画像処理では、少数(1〜20)の検出エレメントだけを用いて画像を生成しなくてはならない。干渉計画像処理は、ほんのひと握りの検出エレメントだけで画像処理を行う機能、そして一度に多くのTHz放射源を画像処理する、コヒーレント及びインコヒーレント源を画像処理する、そしてスペクトル情報及び空間画像処理情報を提供する機能があるため、大きな利点がある。
【0017】
本発明で用いるTHz画像処理アレイ12は、電波天文学で用いる既知の技術に関連する。電波源(星)の位置及びスペクトル内容が予め分からない電波天文学とは異なり、THzベースの爆発物モニタリングシステムでは、源のスペクトル内容及び位置が分かっているが、介入する物体のTHz透過(あるいは反射)特性を判定する必要がある。
【0018】
リアルタイムでTHzの画像処理を行うためには、したがって、電波干渉法の技術を利用する。この場合、空間(アパーチャ平面)内の二つ以上の点における信号を、適切な遅延で適合させ、位相において、そして直角位相において関連づけ、輝度分布の余弦及び正弦成分を生成する。したがって、この技術は、入射信号の振幅及び位相の両方を測定する。そしてアパーチャ平面内の十分な数の点から測定した場合は、標準フーリエ逆変換を介して、本来の輝度分布を合成(画像処理)する。干渉計アレイで画像を構築する技術は、電波及びX線の両方の波長範囲における天文学の画像処理に用いるために開発されたものである。フーリエ画像再構築技術の開発は、従来、mの波長からmm以下の波長の電波範囲であり、干渉計アレイの特性を模型化し、シミュレートするための、多くのツールが存在する。3〜10のエレメントを含む疎らなアレイは、再構築画像内の(サイドローブと呼ばれる)曖昧さを減少させる特別な処理が必要である。電波天文学では、疎らなアレイで画像処理するいくつかの技術が知られている。それらは、(各周波数における異なる空間情報を利用するために多数の周波数のデータを組み合わせて)周波数合成の相違を用いる。もし異なるTHz周波数においてデータが得られるなら、THz画像処理の課題に適用することが可能である。
【0019】
本発明のTHzシステムは、次の三つの主要な構成要素を含む。(a)THz干渉画像処理アレイ。(b)THz信号のヘテロダイン・ミキシング(好ましい)、そして100MHzでの中間周波数の信号処理。そして(c)高輝度THz源。
【0020】
さて、図2を参照する。画像処理干渉計は、二つの点検出器における波面の到着時の相違は、二つの検出器に対する波面20の角度αに依存するという点で、位相調整検出器に類似している。任意の波長λに対する角度分解能は、二つの検出器の離隔距離dによって決定する。θ=λ/d(ラジアン)。干渉計の視野は、個々の検出器のビーム・パターン(指向性)の小さい方と、検出器の帯域幅によって決定する。ガウス帯域幅に関しては、ガウスが減少するとき干渉計の角度感度も減少する。視野の1/e幅は、W1/e≒c/πdσ(ラジアン)によって決定する。この場合、σは アンテナの1/e帯域幅である。視野は、約ν/πσ因子だけ角度分解能よりも大きい。一例として、0.01THzの1/e帯域幅で1THzの中心検出周波数を持つTHzアンテナが、10cmの間隔で離れている場合、干渉計は、10’の分解能で5°の視野を画像処理することができる。1cm間隔では、視野は、約1.7°の分解能で51°である。
【0021】
潜在的な空間分解能の一例として、(表1を参照、1cmの検出器基線距離を持つ中心周波数が約1THzの)THz画像処理アレイを、人間に隠した一つの爆発物から約15m(50ft)のジープ上に設置した場合、15m離れた標的爆発物に対する対応空間分解能は、1THzで約45cm、そして10THzで約4.5cmである。より細かな分解能(10倍)は、10cm基線アレイで達成することができる。これは、札入れサイズの爆発物を識別するのに十分な分解能である。この場合の爆発物の厚さは数mmである。
広い領域の遠隔視検のための50mの距離では、1cm基線アレイは1.5mの空間分解能を持ち、10cm基線アレイは約15cmの空間分解能を持つ。
【0022】
【表1】

【0023】
本発明では、THz画像処理アレイは、適当な検出器の中から、アンアーバーMIのピコメトリクス(Picometrix)が製造するTHz検出器を用いる。ピコメトリクスTHz検出器は、光導電デバイスとして作動する。これらの検出器に対して、金マイクロ加工アンテナ構造を、高速光導電材料である低温成長GaAs上に製造する。それらは、光ファイバ的に結合した室温検出器である。典型的なピコメトリクス検出器デザイン・パラメータに対して、THz画像処理アレイの視野は、検出器の指向性によって決定する。THz放射の焦点を検出器に合わせるTHzレンズのデザインを少し変更することによって、検出器の視野を(数度、約50度に)調整することができる。
【0024】
画像処理干渉計は、個々の検出器のアレイからなる。一対のこのような検出器16、18を、図2に概略的に示す。各検出器は、入射THz放射の振幅及び位相を測定する。THz放射の波面がアレイに遭遇すると、アレイ内の検出器の各対(例えば16、18)は、検出器対の離隔距離によって決定する、入射THz放射の一つの空間フーリエ成分を測定する。各空間フーリエ成分を、フーリエ変換平面(u−v平面)内の点によって表す。空間フーリエ成分を定量し、その結果として入射THz波面20の方向を判定するためには、一対のアンテナ間の、波面到着時間における位相遅延を測定しなければならない。源への方向と、基線(検出器を効果的に構成する二つのアンテナを結ぶ想像線)との間の相対角度は、二つのアンテナの間への波面の到達における幾何学的遅延τを定義する。基
線の周りに円錐を構成するすべての方向は、同じ位相遅延τ=(b・sinα)/cを持つ。ここで、bは基線の長さであり、cは光速であり、そしてαは相対角度である。源の正確な方向を決定するためには、基線の他の方位における追加の測定を行わなくてはならない。
【0025】
検出器対間の固定離隔距離に対しては、一つの空間フーリエ成分を測定する。実空間では、この単一フーリエ成分は、図3Aに示すように、輝度縞に対応する。源への距離を一定に保持しながら、検出器対間の間隔を変化させることによって、空間フーリエ成分を変化させ、図3A内の交互に明るい、そして暗い縞の間隔を変える。そして検出器対の異なる間隔で生成した画像を合算することによって、合成実空間画像を形成する。検出器対間の間隔(図2内の距離b)を変化させることによって、干渉計検出の単純な実験検証を行うことができる。この幾何学に基づいて、二つの検出器で検出した点源からのTHz信号間の予想相関Cは、

である。ここで、Aは入射THz平面波の振幅であり、kは入射電磁波の波数であり、Bは検出器対間の間隔であり、そしてαは、図2内に定義する、検出器に対して入射波面が作る角度である。0.5THzの周波数に対する予想実験データのプロットを、図3Bに示す。異なる検出器対のフーリエ成分を含むと、結果として生じる画像は、点THz源の点分布関数に接近する。点分布関数は、例えば、THz干渉計画像を清浄にする、また干渉計画像内のサイドローブ・アーティファクトを取り除くために用いることができる。
【0026】
任意数の検出器Nに対して、N(N−1)/2の可能な、対の組み合わせがある。フーリエ平面を可能な限り完全にサンプリングできるように、一様でない間隔でアンテナを配置することが望ましい。五つのアンテナの典型的な一列配置と、結果として生じる基線とを図4に示す。対数周期間隔が典型的である。検出器対の種々の組み合わせで電場における相関を記録することによって、THz源からの放射の空間分配に関する情報を生成することができる。すべての異なる対の組み合わせの空間フーリエ成分から画像を生成する。画像の品質は、干渉計の検出エレメントの配置に依存するu−v平面の被写域に依存する。アンテナの構成を設計する上で最も大切なことは、必要な角度分解能によって決定される範囲に渡って、一様に、そして効率的にu−v平面の被写域を得ることである。小数の検出器でのu−v平面の効率的な画像処理を、一列配置の検出器を用いると共に、アレイを固定軸の回りに回転させることで達成してもよい。Nエレメント・アレイの回転中に測定を20回行った場合は、検出器の数が20Nあるのに等しいという結果が得られる。これは、画像品質の改善、あるいはアレイ内に必要なアンテナ数の削減のいずれかをもたらす。
【0027】
さて、図5を参照する。光ファイバで結合した一対の光導電アンテナ検出器22、24によって、THzの干渉計検出を行う。これらの検出器内では、入射THz放射を、光導電検出器「にゲートを付ける」すなわち「をオンにする」レーザ26、28からの二つの赤外線(〜780nm)レーザ光線にミキシングすることによって、入射THz放射を検出する。光ファイバ・ケーブル29及びスター・スプリッタ30を用いて、赤外線レーザ光を検出器構造に結合することには、明確な利点がある。例えば、レーザ光の結合、そしてそれの多数の検出器への分配は、ファイバ・カップラ及びスター・スプリッタを用いれば直通である。この方法では、二つの赤外線レーザ源のみを用いて、Nエレメントの干渉計アレイ内のすべてのアンテナを駆動することができると考えられる。さらに、ファイバ・カップリングは、アレイ全体をより強靭で信頼性の高いものにする。ファイバを検出器に取り付けることによって、光送出システムが光ファイバとなるため、それらを相互に(すなわち、調節可能な基線あるいは検出器間隔において)容易に移動することができる。このデザインは、アレイが、低い空間分解能で非常に素早く、爆発物の証拠を広い領域に渡って調査することができるという可能性を提供する。もし特定な領域が兵器のスペクトル特徴を示すなら、疑われる領域を、より高い空間分解能で検査するようにアレイの基線を調節することができる。
【0028】
レーザ26、28は、二つの狭帯域赤外線レーザであり、検出器と共に用いて、差周波数光ヘテロダイン光混合を介してTHz放射を検出する。二つの外部キャビティ・ダイオード・レーザ(ECDL)を用いて、異なる二色(波長)の〜780nmに近い赤外線放射を生成する。赤外線の二色の差周波数を調整することによって、THz周波数を調整することができる。他の人たちが、光導電アンテナにおけるレーザ・ミキシングのホモダイン検波を実証しているが、我々が知っている限りでは、ヘテロダイン検波は実証されていない。ヘテロダイン検波技術は、ホモダイン(DC)検波に比べ、THzアレイの感度を改善する。ヘテロダイン検波は、THz局部発振器(LO)からTHz源を切断する。これは、THz源とLOとが、コヒーレントである必要がない、あるいは同じ源から得る必要がないことを意味する。光混合検出技術では、二つの赤外線レーザ波長をミキシングすることによって、THz局部発振器を提供する。さらに、ヘテロダイン検波技術は、局部発振器周波数を走査して、アレイからスペクトル画像及び空間画像を得る。
【0029】
光混合幾何学では、二つの赤外線レーザ源をミキシングすることを、光導電アンテナ検出エレメント内に局部発振器(LO)信号を生成することと、概念的に考えることができる。この幾何学では、局部発振器とテラヘルツ信号とのミキシング(ビーティング)によって生成する中間周波数は、100〜3000MHzの範囲になる(ECDL源の線幅は約5MHzである)。100MHzの中間周波数は、この周波数の電子部品の入手は容易であるため、処理が容易である。一対の検出器に対するTHz電場の相対位相及び振幅(すなわち、フーリエ成分に対するu−v平面)は、二つの検出器における測定中間周波数(IF)信号周波数を互いに関連づけることによって決定する。THz信号を100MHzのIFバンドへダウン変換したら、信号は、電波天文学で開発済みの相関器技術をそのまま用いて処理することができる。
【0030】
ヘテロダイン・ミキシング技術では、個々の検出器が受信する入射THz信号(ω信号〜1THz)を、信号周波数とは少量だけ異なる局部発振器信号ωLOと結合する。局部発振器信号[ωLO〜(1+δ)THz]は、CWIRレーザ光線の差周波数混合によって、画像処理アレイの本実施例内に生成する。検出器の出力は、二つのTHz信号をミキシングした差周波数であるωIF=ωLO−ω信号。差周波数は、中間周波数範囲(kHz〜GHz)にあり、電子的に処理して、THz信号の位相及び振幅を検索することができる。一対の検出器に対するTHz電場の相対位相及び振幅(すなわち、u−v平面に対するフーリエ成分)を、二つの検出器における測定IF信号周波数を相互に関連づけることによって決定する。固定IF周波数で局部発振器周波数を掃引する(すなわち、二つのIRレーザ間の波長差を変化させる)ことによって、干渉計は、種々の周波数においてTHz源を画像処理することができる。LO周波数を掃引することの利点は、調査中の物体内の特定な化学成分のモニタリングを可能にし、THz範囲内にあるそれらのスペクトル特性によって爆発物を識別することである。
【0031】
干渉計のアンテナの典型的な構成を、図6に概略的に示す。この構成は、五つの個々のアンテナを結合し、回転を利用して干渉計THzアレイの画像処理を行う。重複しない12の検出器の配置が、アレイ30の回転方位のすべてに対して、66のフーリエ成分を提供する。図に示すように、選択したアレイ・デザインは、幾何学的なスパイラルの二つの直角な軸に沿って、合計12の検出器を配置している。各三角形が検出器を表し、各検出器には、反時計回りに、1から12までの番号を付している。
【0032】
フーリエ変換u−v平面の効率的な取り扱いのために、各検出器対の間隔を変化させて、各対によって、他の成分の調波でないユニークな空間フーリエ成分が生成されるようにすることが重要である。同じ検出器間隔で多数回行っても、追加の画像処理情報は得られない。図5の間隔は、次式から模型化されている。
【0033】
(数1)
d=ar(n−1)
【0034】
この場合、dは原点からの距離であり、aは間隔定数であり、rは第一の検出器の距離であり、そしてnは検出器の数である。値bは、原点から外へ連続的にらせん状に動く検出器の速度を表す定数である。bを選択した後、間隔定数aを、異なるアプリケーションに対する検出器アレイの全体的なサイズをノーマライズするための、乗法因数として用いることができる。アレイの全体的なサイズは、検出器12から原点への距離の約2倍と見積もることができる(d12=ar11)。
【0035】
画像処理アレイが回転プラットホーム上に配置される場合は、THz源に対するアレイの回転を、画像品質を改善するために利用することができる。例えば、Nエレメント・アレイの回転中に20回測定する場合、検出器の相当数は20Nである。これは、画像品質の改善、あるいはアレイ内に必要なアンテナ数の削減につながる。アレイ・プラットホームの回転を用いて、アレイ内の僅か三つのアンテナだけで、THz源の位置を示すことができる。実際、三角形パターンに並べた三つのアンテナを用いて、空間内のTHz源の位置を三角測量することができる。(CW赤外線レーザ励起を用いて可能なように)種々のTHz波長に対して、比較的に狭帯域な検出器を調整することによって、さらに改善を得ることができる。THz源に関するスペクトル情報を与えることに加え、種々のTHz周波数における干渉写真を、空間分解能を改善する、あるいは必要なアンテナ数を削減するために用いることができる。
【0036】
アレイ30から画像を生成するときは、原点の周りにアレイを回転させ、uv平面内により多くの空間フーリエ成分を満たし、全体的な分解能を改善する。合計90°に渡って1°の回転毎にアレイからデータを得る。このデータを処理するときは、THz放射源が遠いフィールドに存在すると想定することができる。換言すれば、画像処理アレイから源への距離は、アレイ内の検出器間の典型的な間隔よりもかなり大きい。この限度では、入射するTHz放射の波面は平らである。
【0037】
人間が身につけた、あるいはパッケージ内の隠蔽C4あるいはRDX爆発物の検出は、THz放射を反射する、あるいは透過させる多くの他の物質があるため、困難である。金属、例えばコインやベルトバックル等は、ほぼ一定な反射スペクトルを持つ。本システムは、平凡なアイテムから、センチメートル・サイズのC4あるいはRDX爆発物を区別することができる。RDXは、衣類、皮膚及び金属等の他のアイテムとは見分けがつく、特定なTHz周波数における大きなピークを含む反射スペクトルを持つ。
【0038】
THz画像処理アレイの性能を実証するために、私たちは、RDXの画像処理をシミュレートして、そのスペクトル特徴に基づいて、それが金属アイテムから区別できることを発見した。シミュレーションのために、RDXは、THz画像処理アレイから30m離れていると仮定した。アレイのサイズは5mであった。隣り同士に配置した二つの1.4cm正方形サンプルの画像を得た。一方はRDXで、他方は金属である。RDXの0.08、0.175及び0.4THzの特有な周波数において大きな反射を示す位置を赤く着色することによって、虚偽色画像を生成した。他の、個々の周波数に、各々、THz周波数に比例した色を割り当てた。その結果、(すべてのTHz周波数を反映する)金属は白色になり、RDXは、金属及び背景から容易に区別できた。周波数の関数としてTHz画像を分析するために、そしてRDXのスペクトル特性を示す空間位置を識別するために、ニューラルネットワーク・アルゴリズムを用いることができる。
【0039】
天文学のアプリケーションに用いるアレイと、隠匿武器の検出のために本アプリケーションに用いるものとの間には、いくつかの重要な相違がある。天文学電波干渉画像に対しては、入射する電波が平らな波面を持つと仮定する。種々の検出エレメント間の適当な遅延で、同じ波面からの電場を、どの対のエレメントもサンプリングすることができる。同じ波面をサンプリングする場合、同じ波面上のすべての点が同じ位相を持つ(空間的にコヒーレントである)ことが分かっているため、インコヒーレント放射源でさえも干渉法的に検出することができる。爆発物の検出へのアプリケーションに対しては、基線(アレイ・エレメントの間隔)は、〜10cmであると推定する。THz源と検出アレイとの距離は、エントランス・タイプ検出での数メートルから、より広い領域の検出での、約50メートル程度であろう。2〜50メートルの距離は、アレイ・エレメントの間隔よりも、大きさの順位が少々大きいため、THz干渉計アレイは、部分的にカーブした、平らではない波面に対処しなければならない。さらに、波面がカーブしているため、検出エレメント間の適当な遅延は波面の湾曲に依存し、THz放射のインコヒーレント源を画像処理することはより困難である。
【0040】
この潜在的、技術的な問題は、十分に長いコヒーレント長を持つTHz源放射を用いることによって克服できる。THzを生成するECDLレーザが非常に長いコヒーレント長を持つため、光ヘテロダイン差周波数混合によって生成されるTHz放射は、非常に長いコヒーレント長を持つ。長いコヒーレント長THz源を用いることは、連続する多くの波面が、コヒーレントであり、容易に干渉信号を生じることを意味する。この設計上の制約は、画像処理することが可能なTHz源のタイプに対する、コヒーレント長の限度を定める。
【0041】
天文学のアプリケーションでは、THz源(例えば、星)の位置、物理的な広がり、そして周波数コンテンツは分かっていない。電波干渉計アレイ及びデータ処理は、電波源の位置及びスペクトル内容を決定するためにデザインされる。本発明では、THz源の位置、物理的な広がり、そしてスペクトルは、それらが画像処理システムの一部であるため、既知である。代わって、興味は、介入する物質のTHz透過あるいは反射スペクトルにある。すなわち、爆発物あるいは生物兵器が存在するかどうかである。爆発物あるいは生物兵器の存在に対してTHz画像を処理するためには、THz局部発振器の周波数を変更することによって、特有なTHz周波数における画像を得る。THz画像から爆発物及び生物兵器の存在を判定するためには、疑似ニューラルネットワーク(ANN)アルゴリズムを用いることができる。ANNは、インプットをアウトプットへマッピングする、数学的な関数のコレクションである。本発明においては、インプットは、THz干渉画像処理システムから得られるスペクトル画像アレイである。アウトプットは、絶対的確証、そして標的兵器の検出領域内の位置である。インプットとしての特定なTHz周波数における検出パワーに対して値を用いることで、特定な爆発物あるいは生物兵器に対応するTHz色(例えば、周波数)の異なる組み合わせの存在を認識するよう、ニューラルネットワークを「訓練する」ことができる。ANNの、このタイプの使用は、よく知られている。例えば、ANNは、フーリエ変換赤外線(FTIR)吸収スペクトルに基づいて、微生物のほぼ150品種を分類するための分類段階を確立するために用いた。「バクテリアの識別のための、疑似ニューラルネットワーク及びFTIRスペクトルによる階層的な分類システムの開発」(T. Udelhoven, et al., "Development of a Hierarchical Classification
System with Artificial Neural Networks and FT-IR Spectra for the Identification
of Bacteria,"Applied Spectroscopy, 54, no. 10, p.1471(2000))。同様に、ANNを使用して、低SN比のラマン・スペクトルから、高精度で多種類の、塩素処理した炭化水素の混合物内の個々の有機成分を識別した。「分光分析法とハイブリッド・ニューラルネットワーク分析」(T. Lu and J. Lerner, "Spectroscopy and Hybrid Neural Network Analysis,"
Proc. IEEE, 84, no. 6, p.895(1996))。同様に、DNAの異なるセットを識別するために、分析ツールとしてのTHzスペクトルと共にニューラルネットワークの原理を用いた。「DNA高分子の準ミリ波振動分光分析法へのニューラルネットワーク分析の応用」(T. Globus, et. al "Application of Neural Network Analysis to Submillimeter-wave
vibrational spectroscopy of DNA macromoledules", in the Proceedings to the
2001 ISSSR, June 12-15, Quebec City, Canada(2001))。本発明においては、誤り検出率を減少させるために、異なる時に、あるいは異なる空間分解能で撮影した結合画像を分析するのに、疑似ニューラルネットワークを用いることができる。
【0042】
図5の概略図に示すように、本発明におけるTHz放射を検出する(そして生成する)方法は、光導電アンテナ構造物による、二つのCW赤外線レーザ光線の光学的ミキシングである。二つの外部キャビティ・ダイオード・レーザ(ECDL)の周波数の差は、33cm−1(遠赤外領域)に対応する、約1THzに調整する。ECDLは、中心波長780nmと、±4.2THzに対応する±9nmのチューニング範囲を持つ。ECDLレーザは、0.1〜2THzの差周波数の走査を可能にする、優秀な安定性(ライン幅、約5MHz)を持つ。より安価なDFB及びダイオード・レーザではなくECDLレーザを選択した。その理由は、ECDLの柔軟性及びチューニングの容易さにある。レーザのアウトプットは、ファイバ・カップラ29内で結合される。結合レーザ光線のパワーを、光ファイバ・スプリッタ30を用いて分割し、光ファイバ・ケーブルを用いる離間検出器対からなる二つの検出アンテナ22、24へ向ける。入射THzと赤外線レーザとの光学的ミキシングは、中間周波数ωIFの電気信号を生成する。フィルター32、34においてIF周波数帯をフィルターして、それから相関回路36を用いることによって、アンテナ対の空間フーリエ成分を測定する。THz検出器として、先に述べたピコメトリクス社が製造したもののような、光導電検出器を用いることができる。
【0043】
二つのレーザ源は、THz範囲内の差周波数(△ω)に調整する。結合レーザ光線を、ファイバスプリッタを用いて分割し、それから、光学的ミキシングによって入射THz放射を検出するために、光導電アンテナへ導く。
【0044】
ヘテロダイン検波の使用で、ミキシングしたTHz周波数の中間周波数は、ホモダイン検波の典型的なDCあるいはkHz範囲ではなく、MHz範囲内になる。[短パルス・レーザ源を用いる、標準THz分光分析法の設定に対しては、THz放射器へのレーザ光線あるいは適用電圧を、ロックイン増幅器を用いる位相判別検出を促進するために、kHz反復率で変調する。]THz検出電子装置は、アンテナ検出器パッケージが100MHz範囲内の中間周波数を送信することができるよう、設計する。
【0045】
図7に示すように、THz信号を中間周波数(IF)へ下げてミキシングした後、0.01から数GHz範囲内の非常に良いフィルタ32、34と低ノイズ増幅器31、33を用いる。これは、この周波数範囲が、(ベースバンドとして)無線通信に、そして(サイドバンドとして)光通信に非常に重要であるためである。中間周波数は100MHzで処理する。この周波数の電子部品が容易に利用可能であるためである。第一のステップは、ナイキスト周波数(100MHz帯域幅に対して1Gサンプル/s)においてサンプリングして、入射IF帯域をデジタル化することである。それから、デジタル信号をタイム・デマルチプレクサ(シフトレジスタ)に通し、シフトレジスタの各ビットを、第二のTHz検出器からの対応するビットに関連づける(乗する)。1GHzでサンプリングした信号を、8ビット・タイム・デマルチプレクサを用いて、125MHzへ低速化し、それから相関のために、125MHzの現場でプログラム可能なゲートアレイ(FPGA)へ渡す。このアレンジメントは、N=64ラグ(8×8)を提供する。これは、帯域幅B=100MHzに対する周波数分解能△f=2B/N=15.6MHzを提供する。相関器チップをカスケードにすることで、より高いラグ数を達成することができ、より高周波の分解能を得る。これを一つの相関器ユニットと考え、各相関器ユニットが一対の検出器からの信号を処理する。n検出器に対しては、n(n−1)/2の相関器ユニットが必要である。
【0046】
THz源、検出器、構成要素に関する研究は非常にさかんであるため、将来、ここで論じたものよりも優れたTHz構成要素が開発される可能性がある。しかしながら、THz画像処理アレイの全体的なデザインは非常に強固である。(a)(どんな新しいTHzミキサー及びTHz局部発振器の場合でも)新しい検出エレメントが、パワーではなく、むしろTHz電場を検出する限り、その新しいミキサー技術は、THz画像処理アレイの性能を改善するために用いることができる。(b)画像処理すべきTHz源は、インコヒーレントあるいはコヒーレントである。これは、実際、THz干渉計アレイ・アプローチに対するシステム工学の利点である。干渉計アレイ・デザインは、THz局部発振器源及びミキサーの進歩を容易に取り入れることができるため、THz技術の前進の各々に対してTHzアレイを全体的に再発明する必要はない。
【0047】
本発明を、その特定な実施例に関して記載したが、本技術の熟練者には、開示から、本発明の範囲内で本発明に対する多くの変更が可能である。したがって、本発明は、総括的に解釈されるべきであり、添付の請求項の範囲のみによって限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1A】本発明の、可能なシステムの実施例を概略的に示すものである。
【図1B】本発明の、可能なシステムの実施例を概略的に示すものである。
【図2】間隔を置いた一対の検出器で測定した、入射THz波面の位相を示す概略図である。
【図3A】固定分離された一つの検出器対が生成する真の空間画像の写真である。
【図3B】検出器対の分離(基線)の関数として検出器対が測定する、相関THz電場の予想依存性を描写するグラフである。このプロットに対しては、α=10°、k=16.5cm-1(0.5THz)、そしてA=1。
【図4】一列配置にある五つの検出器アンテナの概略図である。
【図5】ヘテロダイン光混合による干渉検出を可能にする、本発明で用いる要素を描写する概略図である。
【図6】回転モードで用いる検出器アンテナの配置を描写する概略図である。
【図7】本発明の検出器出力を処理するために用いる中間周波電子装置の構成を描写する概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定な成分の存在を判定するために、関心領域を検査するための装置であって、
(a)前記検査に適した、所望のテラヘルツ周波数の電磁放射を発生させるための手段、
(b)前記関心領域に入射する前記テラヘルツ放射をレンダリングするための手段、
(c)前記関心領域から間隔を置いた検出器平面内の複数の点において、前記領域から反射した、あるいは前記領域を透過したテラヘルツ放射を同時に検出するための検出器手段、そして
(d)前記特定な成分の存在を確定可能なよう、前記検出テラヘルツ放射を前記関心領域の画像へ変換するための手段からなる、テラヘルツ画像処理装置。
【請求項2】
前記(c)の検出器手段が、間隔を置いた複数の検出器の干渉計アレイからなる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記検出器平面に対応するフーリエ変換平面の成分を生成するために、前記検出器の対からの信号アウトプットを、位相及び直角位相における適切な遅延及び相関に組み合わせるための手段を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記検出器アレイが、複数の半導体光ミキサーからなり、さらに光ミキサー駆動手段を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記光ミキサー駆動手段が、普通の光ファイバ・コネクタによって前記光ミキサーに結合した、周波数安定化チューナブル光ヘテロダイン源からなる、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記検出器アレイが、一列配置の検出器からなる、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
さらに、前記アレイを固定軸の回りに回転させるための手段を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
さらに、前記フーリエ成分のフーリエ逆変換によって、前記関心領域における本来の輝度分布を合成するための手段を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項9】
さらに、前記フーリエ成分のフーリエ逆変換によって、前記関心領域における本来の輝度分布を合成するための手段を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項10】
前記光ミキサーが光導電デバイスであり、光ミキサーの各対の前記駆動手段が、前記光ミキサーにゲートを付ける差周波数を持つ一対のレーザからなり、前記一対の光ミキサーの各メンバーにおける入射テラヘルツ放射が、前記差周波数にミキシングされて、中間周波数で修正信号アウトプットが提供されることによって、信号処理が促進する、請求項4に記載の装置。
【請求項11】
さらに、前記特定な成分の存在を判定するために、画像処理した関心領域の部分を判定標準に比較するための画像分析手段を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
さらに、前記特定な成分の存在を判定するために、画像処理した関心領域の部分を判定標準に比較するための画像分析手段を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記分析手段が、爆発性成分に対応する判定標準に、前記部分を比較する、請求項8に記載の装置。
【請求項14】
前記分析手段が、爆発性成分に対応する判定標準に、前記部分を比較する、請求項9に記載の装置。
【請求項15】
前記分析手段が、生物兵器に対応する判定標準に、前記部分を比較する、請求項8に記載の装置。
【請求項16】
前記分析手段が、生物兵器に対応する判定標準に、前記部分を比較する、請求項9に記載の装置。
【請求項17】
特定な成分の存在を判定するために、関心領域を検査するための方法であって、
(a)前記検査に適した、所望のテラヘルツ周波数の電磁放射を発生させること、
(b)前記関心領域に入射する前記テラヘルツ放射をレンダリングすること、
(c)前記関心領域から間隔を置いた検出器平面内の複数の点において、前記領域から反射した、あるいは前記領域を透過したテラヘルツ放射を同時に検出すること、そして
(d)前記特定な成分の存在が確定可能なよう、前記検出テラヘルツ放射を前記関心領域の画像へ変換することからなる、テラヘルツ画像処理方法。
【請求項18】
ステップ(c)が、間隔を置いた検出器の干渉計アレイによって検出される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記検出器の対からの信号アウトプットが、位相及び直角位相における適切な遅延及び相関に組み合わされて、前記検出器平面に対応するフーリエ変換平面の成分が生成される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記関心領域における本来の輝度分布が、前記フーリエ成分のフーリエ逆変換によって合成される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記関心領域が爆発性成分を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記関心領域が生物兵器を含む、請求項20に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−508333(P2006−508333A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−509358(P2004−509358)
【出願日】平成15年5月29日(2003.5.29)
【国際出願番号】PCT/US2003/016824
【国際公開番号】WO2003/102518
【国際公開日】平成15年12月11日(2003.12.11)
【出願人】(504437982)ニュージャージー インスティチュート オブ テクノロジー (6)
【氏名又は名称原語表記】NEW JERSEY INSTITUTE OF TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】University Heights,Newark,NJ 07102−1982,U.S.A.
【Fターム(参考)】