テレビジョンカメラ装置及びテレビジョンカメラ装置制御システム
【課題】固体撮像素子を使用するTVカメラ装置において、TVカメラ装置間の色信号調整作業を、作業者の熟練度に依存せず簡単且つ高速に行うことを課題とする。
【解決手段】色信号調整の基準となるTVカメラ装置(マスター)のシリアル・デジタル信号を、色信号調整を行う他のTVカメラ装置(スレーブ)に直接入力し、マスターの各チャネルの映像レベルとスレーブのそれが合致するように、スレーブの各チャネルの映像レベルを自動調整する。
【解決手段】色信号調整の基準となるTVカメラ装置(マスター)のシリアル・デジタル信号を、色信号調整を行う他のTVカメラ装置(スレーブ)に直接入力し、マスターの各チャネルの映像レベルとスレーブのそれが合致するように、スレーブの各チャネルの映像レベルを自動調整する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビジョンカメラ装置間の色信号調整方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
放送局等のスタジオ現場では、1つの放送番組を制作するに当たり、複数台のテレビジョンカメラ装置(以降、本書では、TVカメラ装置と称する)を同時に運用している。ここで、TVカメラ装置を複数台運用するに当たっては、各TVカメラ装置間に色ずれがないことが重要事項として挙げられる。
これは、例えば、TVカメラ装置AとTVカメラ装置B間で色ずれがある状態で、TVカメラ装置Aが取得する映像から、TVカメラ装置Bが取得した映像に切り替えてしまうと、放送中の映像の色あいが変化してしまい、視聴者に違和感を与えてしまうためである。
【0003】
上記の各TVカメラ装置間の色ずれを解消するため、放送番組の制作現場では、複数のTVカメラ装置を運用する場合に、基準チャート(グレースケールチャート、カラーチャート、等)を複数台のTVカメラ装置で同時に撮影する。そして、同時に撮影しながら、R(赤)、G(緑)、及びB(青)チャネルの映像レベルが、各TVカメラ装置間で同じになるように調整作業を行っている。
しかし、この調整方法には、以下の(1)と(2)に示す欠点がある。
(1)TVカメラ装置1台1台を手作業で調整するため、運用するTVカメラ装置の台数が多いほど調整作業に時間を要する。
(2)制作する放送番組の「絵」を決める大事な作業のため、放送番組の絵作りを熟知した者しか作業を行えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−311419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来から、基準とするTVカメラ装置と別の調整中のTVカメラ装置との調整状態が同じ状態になったか否かを確認するため、それらのTVカメラ装置の映像信号を自動的に高速に切換え、重ね合わせて表示する手段を有する構成としたTVカメラ装置の制御装置が知られている。例えば、特許文献1には、TVカメラ装置の集中制御装置の技術が公開されている。しかし、特許文献1の制御装置では、それらのTVカメラ装置の種々の設定値(制御パラメータ)の設定、管理、調整、再利用等については何ら考慮されておらず、特に、設定値の数が多くなると個々のカメラに対する設定操作が煩雑になることについては、解決されていない。
本発明は、TVカメラ装置間の色信号調整作業を、作業者の熟練度に依存せず、簡単且つ高速に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明のテレビジョンカメラ装置は、レンズ部を介して入射する被写体像を分光し、固体撮像素子に照射して映像信号に変換するテレビジョンカメラ装置であって、色信号調整の基準となるテレビジョンカメラ装置から、色信号調整された赤色、緑色、及び青色の各チャネルの信号を多重化した映像信号を入力し、該入力された映像信号の値に合致するように、色信号調整するものである。
好ましくは、上記テレビジョンカメラ装置は、前記色信号調整の基準となるテレビジョンカメラ装置が色信号調整するために撮影する基準チャートを、同時に撮影して前記入力された映像信号の値に合致するように、色信号調整するものである。さらに好ましくは、前記基準チャートに所定の複数のエリアを設け、当該エリアの撮影一が、所定のマーカの位置と合致するように調整することによって、前記色信号調整の基準となるテレビジョンカメラ装置の画角と合致するように画角調整してから色信号調整するものである。
また好ましくは、上記テレビジョンカメラ装置は、前記色信号調整の基準となるテレビジョンカメラ装置から、前記色信号調整された赤色、緑色、及び青色の各チャネルの信号を多重化した映像信号を、HD−SDI(High Definition TeleVision-Serial Digital Interface)形式の信号で入力するものである。
【0007】
また、本発明のテレビジョンカメラ装置制御システムは、基準チャートを撮影し、予め定められた所定の画角に調整し、ブラックレベル、ホワイトレベル(ゲインレベル)、フレアレベル、ガンマ(γ)レベル、及び色差マトリクスを調整する第1のテレビジョンカメラ装置と、伝送線路と、前記基準チャートを前記第1のテレビジョンカメラ装置と同時に撮影し、かつ、前記所定の画角に調整し、前記第1のテレビジョンカメラ装置から前記伝送線路を介して入力される映像信号と、該入力された該映像信号と合致するように自機の映像信号の映像レベルを調整して、ブラックレベル、ホワイトレベル、フレアレベル、ガンマレベル、及び色差マトリクスを調整する第2のテレビジョンカメラ装置と、からなるものである。
好ましくは、前記第1のテレビジョンカメラ装置がカメラ制御装置と組合わせて運用される場合には、前記伝送線路を介して前記第2のテレビジョンカメラ装置に入力される前記映像信号は、前記第1のテレビジョンカメラ装置のカメラ制御装置のリターン信号である。
また好ましくは、前記伝送線路はHD−SDI(High DefinitionTeleVision-Serial Digital Interface)形式の信号である。
【0008】
上記発明のテレビジョンカメラ装置制御システムとは別の、本発明のテレビジョンカメラ装置制御システムは、基準チャートを撮影し、予め定められた所定の画角に調整し、ブラックレベル、ホワイトレベル、フレアレベル、ガンマレベル、ニー、及び色差マトリクスを調整する第1のテレビジョンカメラ装置と、伝送線路と、前記基準チャートを前記第1のテレビジョンカメラ装置と同時に撮影し、かつ、前記所定の画角に調整し、前記第1のテレビジョンカメラ装置から前記伝送線路を介して入力される映像信号と、該入力された該映像信号と合致するように自機の映像信号の映像レベルを調整して、ブラックレベル、ホワイトレベル、フレアレベル、ガンマレベル、ニー、及び色差マトリクスを調整する第2のテレビジョンカメラ装置と、からなるものである。
好ましくは、前記第1のテレビジョンカメラ装置がカメラ制御装置と組合わせて運用される場合には、前記伝送線路を介して前記第2のテレビジョンカメラ装置に入力される前記映像信号は、前記第1のテレビジョンカメラ装置のカメラ制御装置のリターン信号である。
また好ましくは、前記伝送線路はHD−SDI(High DefinitionTeleVision-Serial Digital Interface)形式の信号である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、TVカメラ装置間の色合わせ時間を大幅な短縮できる。また、調整の自動化による、TVカメラ装置間の色信号調整のばらつき度合いが減少する。さらに、作業者の熟練度に依存せず、簡単かつ高速に、各TVカメラ装置間の色信号調整ができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の色信号調整作業を行う場合のTVカメラ装置制御システムの一実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】グレースケールチャートの一例を示す図である。
【図3】本発明の一実施例のTVカメラ装置制御システムを説明するためのシステム構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施例のブラックレベル、ゲインレベル、フレアレベル、及び、ガンマレベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施例のブラックレベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施例のホワイトレベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施例のフレアレベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施例のガンマレベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施例のワーニングメッセージの表示を示す図である。
【図10】本発明の一実施例のカラーチャートの一例を示す図である。
【図11】本発明の一実施例のカラーチャートによる各TVカメラ装置の画角調整を説明するための図である。
【図12】本発明の一実施例のマスキングパラメータを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】本発明の一実施例の赤色レベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図14】本発明の一実施例の緑色レベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図15】本発明の一実施例の青色レベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図16】本発明の一実施例のマゼンタ色レベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図17】本発明の一実施例のシアン色レベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図18】本発明の一実施例の黄色レベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図19】本発明の一実施例のブラックレベル、ゲインレベル、フレアレベル、ガンマレベル、及び、ニーレベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図20】本発明の色信号調整作業を行う場合のTVカメラ装置制御システムの一実施例の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、色信号調整の基準となるTVカメラ装置(マスター)のシリアルデジタル信号(以降、本書では、SDI( Serial Digital Interface )信号と称する)を、色信号調整を行う他のカメラ(以降、本書では、スレーブと称する)に直接入力し、マスターの各チャネルの映像信号の映像レベルとスレーブの各チャネルの映像信号の映像レベルが合致するように、スレーブの各チャネルの映像レベルを自動的に調整するものである。
また、本発明は、TVカメラ装置と、カメラ制御装置(以降、本書では、CCU( Camera Control Unit )と称する)と組合わせて運用する場合には、CCUからTVカメラ装置への送り返しの映像信号(以降、本書では、RET信号)にマスターの色信号調整基準信号を入力し、マスターの各チャネルの映像レベルとスレーブのそれが合致するように、スレーブの各チャネルの映像レベルを自動調整するものである。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、各図の説明において、共通な機能を有する構成要素には同一の参照番号を付し、できるだけ説明の重複を避ける。
【0012】
図1によって、放送局等のスタジオで使用する複数のTVカメラ装置の色信号調整の作業について説明する。
図1は、本発明の色信号調整作業を行う場合のTVカメラ装置制御システムの一実施例の構成を示すブロック図である。100はスタジオ、120は調整室である、スタジオ100において、101は基準チャート(標準被写体)の1つであるグレースケールチャート、102〜103はTVカメラ装置である。また、102はマスター、103と104はスレーブである。さらに、調整室120において、108、109、及び110はCCUで、CCU108はマスタ102に結合されるマスタ用CCU(以降MCCUと称する)、111はMCCU108とCCU109とを結合する伝送線路、112はMCCU108とCCU110とを結合する伝送線路である。またさらに、105はマスター102とMCCU108とを結合する伝送線路、106はスレーブ103とCCU109とを結合する伝送線路、107はスレーブ104とCCU110とを結合する伝送線路である。伝送線路105〜106、111、及び112は、例えば、同軸ケーブルである。また例えば、伝送線路105〜106、111、及び112は、例えば、LAN( Local Area Netwotk )ケーブルである。
【0013】
図1において、まず始めに、マスター102、スレーブ103、及びスレーブ104は、グレースケールチャート101をそれぞれ同時に撮影し、マーカを基準にして画角を調整する(後述)。
画角調整後、マスター102は、撮影したグレースケールの映像信号について、マーカエリア内の映像信号について、ブラックレベル、ゲインレベル(ホワイトレベル)、フレアレベル、ガンマレベル、色差マトリクス、等を予め定められたそれぞれの設定値に調整する。マスター102は、調整後の色調整基準信号を伝送線路105を介してMCCU108に出力する。MCCU108は、入力された映像信号からマスター102へリターン信号(送り返しの信号)を返すと共に、リターン信号を伝送線路111及び112を介して、スレーブ103のCCU109及びスレーブ104のCCU110に出力する。
また、スレーブ103及び104もまた、撮影したグレースケールの映像について画角調整後、マスター102からMCCU108から伝送されたリターン信号と自TVカメラ装置の映像信号との信号レベルを比較して、マスター102の映像信号の信号レベルと自TVカメラ装置の映像信号の信号レベルとが合致するように各チャネルの映像レベルを調整する。
【0014】
即ち、スレーブ103は、CCU109を介して、MCCU108から入力された映像信号、及びスレーブ103が自ら撮影した映像信号について、マーカ内のエリアの映像信号それぞれで、所定の各種設定値データ(ブラックレベル、ホワイトレベル、フレアレベル、ガンマレベル、色差マトリクス、等)に分離する。
スレーブ103は、それぞれ、分離した各種設定値データについて、MCCU108から入力されたデータの値と同じ値若しくは近い値になるように、それぞれの映像信号の信号レベルを調整する。
スレーブ104のCCU110についても上記と同様の処理を行う。
なお、図1の実施例では、スレーブの台数が2であるが、1台でも良く、台数はいくつでも良い。
また、スレーブ103で比較して調整する映像信号は、画角調整時に使用するマーカ内のエリアの部分の映像信号であるので、MCCU108からCCU103を介してスレーブ103に伝送する映像信号は、画角調整時に使用するマーカ内のエリアの部分の映像信号だけでも良い。
【0015】
図1において、TVカメラ装置(マスター102、スレーブ103及び104)から、MCCU108、CCU109、110間を結合する伝送線路105〜107は、例えば、同軸ケーブルを用いる。
一般的に、MCCU108、CCU109、及びCCU110等のカメラ制御装置は、HD−SDI信号、SD−SDI( Standard Definition - Serial Digital Interface:標準精細)信号、やVBS( Video Burst Signal )の入出力端子を複数持っている。従って、色信号調整を行うTVカメラ装置と接続されているカメラ制御装置の映像入力端子にはどの映像信号を入力しても良い。しかし、解像度の観点からは、HD−SDI信号が望ましい。
また、SD−SDI信号やVBS信号を映像信号入力端子に入力する場合には、カメラ制御装置からTVカメラ装置側への伝送信号は、HD−SDI信号のため、アップコンバート処理を行って、HD−SDI信号に変換した後に送信する。
また、同様に、MCCU108から出力された映像信号を、CCU109及び110に出力する伝送線路111及び112もまた、例えば、同軸ケーブルを用いる。
【0016】
図2は、グレースケールチャート101の一例を示す図である。200はビューファインダ等の表示部に表示された表示映像、201〜207はマーカである。
図1で説明した色信号調整作業を行う場合のTVカメラ装置制御システムにおいて、始めにグレースケールチャート101を撮影した。
撮影されたグレースケールチャートの映像は、ビューファインダと呼ばれる映像表示装置やTVカメラ装置の出力信号に重畳される画角調整用の枠状のマーカ201〜207が基準チャートの特定の部分と重なるように、作業者等によって画角を調整する。この画角調整用のマーカ201〜207は、映像表示装置やCCU(及びMCCU)のピクチャ出力のみに重畳し、本線信号には重畳しない。このマーカ201〜207内のエリア部分の映像信号の信号レベルを検出し、後述する映像検出処理を行う。
【0017】
図3によって、TVカメラ装置(スレーブ)に入力された映像信号の処理について説明する。図3は、本発明の一実施例のTVカメラ装置制御システムを説明するためのシステム構成を示すブロック図である。図3では、特にスレーブの構成を詳細に示したブロック図である。
300はスレーブ103のFPGA( Field Programmable Gate Array )、321はCCU109と結合する伝送線路106を接続する入出力端子、331はHD−SDI信号出力端子、341はCPU( Central Processing Unit )、342はタイミングジェネレータ( TG )、343はCCD344から入力された電気信号を前処理(ノイズ除去、レベル調整、A−D変換等)をしてデジタル映像信号をFPGA300の映像信号処理部305に出力するアナログフロントエンド、345はレンズ部、344はレンズ部345を通過して入射する被写体像(基準チャート)を電気信号に変換して出力するCCD( Charge Coupled Device )、350はビューファインダ、351はマーカ重畳部311から入力される青色差(Pb)信号と赤色差(Pr)信号及び3値同期混合部314から入力される輝度(Y)信号をそれぞれデジタルデータに変換してビューファインダ350に出力するD−A変換器(D−A)である。
【0018】
FPGA300において、301はシリアル−パラレル変換器(S−P)、302はデコーダ、303はデータ分離部、304は映像検出処理部、305は映像信号処理部、306はマトリクス部、307はデコーダ、308は色信号生成部、309はCPUデータ重畳部、310はパラレル−シリアル変換器(P−S)、311はマーカ重畳部、312は色信号生成部、313はパラレル−シリアル変換器(P−S)、314は3値同期混合部である。
【0019】
図3におけるシステム構成では、説明をより簡単にするため、図1に示したスレーブ104、CCU110、伝送線路107、及び伝送線路112を省略した構成である。
図3において、マスター102とMCCU108は伝送線路105で結合され、スレーブ103とCCU109は伝送線路106で結合され、MCCU108とCCU109は伝送線路111で結合されている。
図1と同様に、まず始めに、マスター102及びスレーブ103は、グレースケールチャート101をそれぞれ同時に撮影し、画角を調整する。画角調整後、マスター102は、撮影したグレースケールの映像のマーカ内のエリアの映像信号を基に、ブラックレベル、ホワイトレベル、ゲインレベル、フレアレベル、ガンマレベル、色差調整マトリクス、等を予め定められたそれぞれの設定値に調整する。調整された後の映像信号は、伝送線路105を介してMCCU108に出力される。MCCU108は、入力された調整後の映像信号を、伝送線路111、CCU109、及び伝送線路106を介して、スレーブ103に出力する。また、スレーブ103もまた、マスタ102と同時に撮影したグレースケールの映像によって画角調整を行い、画角調整後、マスタ102から入力された映像信号の信号レベルと自TVカメラ装置が撮影した映像の信号レベルが合致するように色信号調整を行う。
なお、スレーブ103で比較して調整する映像信号は、画角調整時に使用するマーカ内のエリアの部分の映像信号であるので、MCCU108からCCU103を介してスレーブ103に伝送する映像信号は、画角調整時に使用するマーカ内のエリアの部分の映像信号だけでも良い。
【0020】
即ち、図3において、マスター103から出力された映像信号は、伝送線路111、CCU109、伝送線路106、及び、入出力端子321を介して、スレーブ103のFPGA300に伝送される。伝送される映像信号は、例えば、HD−SDI形式の信号である。
FPGA300に入力された映像信号は、シリアル−パラレル変換器301に入力される。シリアル−パラレル変換器301は、受信したHD−SDI信号をシリアル信号からパラレル信号に変換して、輝度信号と色信号をデコーダ302に出力すると共に、色信号をデータ分離部303に出力する。
デコーダ302は、輝度信号と色信号から赤色信号、緑色信号、及び青色信号を生成し、影像検出処理部304に出力する。
データ分離部303は、入力された色信号に重畳されているマスター102の各種設定値データ(ブラックレベル、ゲインレベル、フレアレベル、ガンマレベル、マスキング等)を分離し、CPU341に出力する。
【0021】
CPU341は、スレーブ103の各種設定が、マスタ102側から入力されたデータと同じになるように、FPGA300及びアナログフロントエンド343、及び、タイミングジェネレータ342のデータを設定する。
この設定によって、マスター102とスレーブ103のブラックレベル、ホワイトレベル(ゲインレベル)、フレアレベル、ガンマレベル、色差マトリクス、等の各種設定値は、全て同じになる。
【0022】
この設定が終了した後、次に、スレーブ103の各種設定値の微調整処理を行う。この微調整処理は、個々のTVカメラ装置に使用しているIC等電子回路部品の性能ばらつきによって発生する誤差を吸収するために行う。
【0023】
即ち、図3において、CCD344は、レンズ部345を介して、基準チャート(基準となる被写体像)101(図1、図2参照)をマスタ102と同時に入射され、入射光を赤色、緑色、及び青色それぞれの電気信号に変換してアナログフロントエンド343に出力する。アナログフロントエンド343は、入力された電気信号を赤色、緑色、及び青色それぞれについて前処理して、FPGA300の映像信号305に、赤色信号、緑色信号、及び青色信号それぞれを出力する。
なお、CPU341は、アナログフロントエンド343、タイミングジェネレータ342、及びFPGA300を所定のソフトウエアに従って制御する。また、タイミングジェネレータ342は、所定のクロック信号(CLK)を生成し、CCD344とアナログフロントエンド343の処理タイミングを同期させる。
【0024】
映像信号処理部305は、アナログフロントエンド343から入力された映像信号の赤色、緑色、及び青色それぞれについて、ガンマレベル補正、DTL補正、ニー補正、マスキング補正、ブラックオフセット、ホワイトクリップ、その他の映像信号処理を施して、赤色信号、緑色信号、及び青色信号それぞれをマトリクス部306に出力する。
【0025】
マトリクス部306は、入力される赤色信号、緑色信号、及び青色信号をマトリクス処理して輝度(Y)信号、青色差(Pb)信号、及び赤色差(Pr)信号を出力する。
即ち、マトリクス部306は、輝度信号、青色差信号、及び赤色差信号をマーカ重畳部311にそれぞれ出力すると共に、デコーダ307にそれぞれ出力する。
また、マトリクス部306は、輝度信号をパラレル−シリアル変換器310に出力し、青色差信号及び赤色差信号を色信号生成部308にそれぞれ出力する。
【0026】
色信号生成部308は、入力された青色差信号及び赤色差信号から色信号を生成し、CPUデータ重畳部309に出力する。
CPUデータ重畳部309は、入力された色信号にCPUデータを重畳して、パラレル−シリアル変換器310に出力する。
パラレル−シリアル変換器310は、入力された輝度信号、色信号をシリアルデータのHD−SDI信号に変換して、HD−SDI入出力端子321、伝送線路106を介して、CCU109に出力する。
【0027】
マーカ重畳部311は、図2で示したようなマーカを入力された輝度信号、青色差信号、及び赤色差信号に重畳して、マーカを重畳した輝度信号をパラレル−シリアル変換器313及びマトリクス部314に出力する。また、マーカ重畳部311は、マーカを重畳した青色差信号及び赤色差信号を、色信号生成部312とD−A変換器351に出力する。
色信号生成部312は、入力された青色差信号及び赤色差信号をもとに色信号を生成し、パラレル−シリアル変換器313に出力する。
パラレル−シリアル変換器313は、入力された輝度信号、色信号をシリアルデータのHD−SDI信号に変換して、HD−SDI出力端子331に出力する。
【0028】
3値同期混合部314は、入力された色信号のブランキング期間に、複合同期信号を加えて、D−A変換器351に出力する。
D−A変換器351は、入力された輝度信号、青色差信号、及び赤色差信号をそれぞれアナログ信号に変換して、ビューファインダ350にそれぞれ出力する。
ビューファインダ350は、入力された輝度信号、青色差信号、及び赤色差信号に基づいて映像信号を生成し、表示する。
また、ビューファインダ350は、図1、図2等で説明したような、画角を調整する時に使用される。例えば、マスター102若しくはスレーブ102等のTVカメラ装置が、グレースケールチャート101等の基準チャートを撮影して、画角を調整する時に、撮影した基準チャートの映像に、マーカ重畳部311がマーカを重畳し、表示させることによって、作業者が画角調整できるようにしている。
【0029】
次に、微調整処理を説明する。
映像検出処理部304には、上述したように、マスター102からの映像信号の他、当該スレーブ103(自TVカメラ装置)の本線映像の映像信号がデコーダ307から入力されている。
映像検出処理部304は、まず、図3のブロック構成図と、図4〜図8に示す処理フローチャートに基づいて、グレースケールチャート101を撮影した結果の映像信号に基づいて、ブラックレベル、ゲインレベル(ホワイトレベル)、フレアレベル、及び、ガンマレベルの微調整処理を行う。その調整後、カラーチャートを撮影した結果の映像信号に基づいて、マスキングの微調整処理を行う。
【0030】
図4は、スレーブ側の映像検出処理部304が、ブラックレベル、ゲインレベル(ホワイトレベル)、フレアレベル、及び、ガンマレベルを調整する場合の処理手順の本発明の一実施例を示すフローチャートである。基準チャートとしてグレースケールチャート101を用いて調整するのはマスキングを除く上記5項目である。
上記5項目の処理はいずれも、始めにマスター102の映像信号のレベル検出を行い、本線信号のレベルとの減算を行う。その後、減算結果がしきい値を下回った場合にその項目の微調整が完了したとしている。
図4において、まず、図1〜図3で説明したように、マスター102とスレーブ103は、同時に、同一のグレースケールチャート101を撮影し、映像本線の映像信号としてそれぞれ取得し画角を調整する。次に、マスター102は、上記ブラックレベル、ホワイトレベル(ゲインレベル)、フレアレベル、及び、ガンマレベルの補正を行って、伝送線路105、MCCU108、伝送線路111、CCU109、伝送線路106、及び、入出力端子321を介してスレーブ103のFPGA300(映像検出処理部304)に出力する。
なお、画角調整時のマーカ201〜207のエリア内の映像信号を用いて、本発明の色信号調整を行う。
【0031】
スレーブ103のFPGA300の映像検出処理部304は、ステップS401ではブラックレベル調整を実施し、ステップS402ではホワイトレベル(ゲインレベル)調整を実施する。さらに、ステップS403ではフレアレベル調整を実施し、ステップS404ではガンマレベルを調整する。
図4のステップS401〜S404について、さらに、図5〜図8を用いて説明する。
【0032】
図5によって、図4のステップS401のブラックレベル調整の詳細の処理動作を説明する。図5は、本発明の一実施例のブラックレベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
ステップS501では、入出力端子321から、FPGA300に入力されたマスタ102の映像信号のブラックレベル値BLmを検出し、ステップS502に処理を移行する。
ステップS502では、自TVカメラ装置のデコーダ307から入力される映像信号のブラックレベル値BLsから、マスタ102の映像信号のブラックレベル値BLmを減算し、減算値BLthを算出し、ステップS503に処理を移行する。
ステップS503では、減算値BLthが予め定められたブラックレベルの所定のしきい値内であるか否かを判定する。減算値BLthが所定のしきい値内と判定した場合にはブラックレベルの調整を終了し、図4のステップS402に処理を移行する。また、減算値BLthが所定のしきい値外と判定した場合にはステップS504に処理を移行する。
ステップS504では、減算値BLthの正負を判定する。減算値BLthが正の場合には、ステップS505に処理を移行し、減算値BLthが負の場合には、ステップS506に処理を移行する。
ステップS505では、自TVカメラ装置のブラックレベル値BLsに1を減算して(BLs=BLs−1)ステップS501の処理に戻る。
ステップS506では、自TVカメラ装置のブラックレベル値BLsに1を加算して(BLs=BLs+1)ステップS501の処理に戻る。
【0033】
図6によって、図4のステップS402のホワイトレベル(ゲインレベル)調整の詳細の処理動作を説明する。図6は、本発明の一実施例のホワイトレベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
ステップS601では、入出力端子321から、FPGA300に入力されたマスタ102の映像信号のホワイトレベル値WLmを検出し、ステップS602に処理を移行する。
ステップS602では、自TVカメラ装置のデコーダ307から入力される映像信号のホワイトレベル値WLsから、マスタ102の映像信号のホワイトレベル値WLmを減算し、減算値WLthを算出し、ステップS603に処理を移行する。
ステップS603では、減算値WLthが予め定められたホワイトレベルの所定のしきい値内であるか否かを判定する。減算値WLthが所定のしきい値内と判定した場合にはホワイトレベルの調整を終了し、図4のステップS403に処理を移行する。また、減算値WLthが所定のしきい値外と判定した場合にはステップS604に処理を移行する。
ステップS604では、減算値WLthの正負を判定する。減算値WLthが正の場合には、ステップS605に処理を移行し、減算値WLthが負の場合には、ステップS606に処理を移行する。
ステップS605では、自TVカメラ装置のホワイトレベル値WLsに1を減算して(WLs=WLs−1)ステップS601の処理に戻る。
ステップS606では、自TVカメラ装置のホワイトレベル値WLsに1を加算して(WLs=WLs+1)ステップS601の処理に戻る。
【0034】
図7によって、図4のステップS403のフレアレベル調整の詳細の処理動作を説明する。図7は、本発明の一実施例のフレアレベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
ステップS701では、入出力端子321から、FPGA300に入力されたマスタ102の映像信号のフレアレベル値FLmを検出し、ステップS702に処理を移行する。
ステップS702では、自TVカメラ装置のデコーダ307から入力される映像信号のフレアレベル値FLsから、マスタ102の映像信号のフレアレベル値FLmを減算し、減算値FLthを算出し、ステップS703に処理を移行する。
ステップS703では、減算値FLthが予め定められたフレアレベルの所定のしきい値内であるか否かを判定する。減算値FLthが所定のしきい値内と判定した場合にはフレアレベルの調整を終了し、図4のステップS404に処理を移行する。また、減算値FLthが所定のしきい値外と判定した場合にはステップS704に処理を移行する。
ステップS704では、減算値FLthの正負を判定する。減算値FLthが正の場合には、ステップS705に処理を移行し、減算値FLthが負の場合には、ステップS706に処理を移行する。
ステップS705では、自TVカメラ装置のフレアレベル値FLsに1を減算して(FLs=FLs−1)ステップS701の処理に戻る。
ステップS706では、自TVカメラ装置のフレアレベル値FLsに1を加算して(FLs=FLs+1)ステップS701の処理に戻る。
【0035】
図8によって、図4のステップS404のガンマレベル調整の詳細の処理動作を説明する。図8は、本発明の一実施例のガンマレベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
ステップS801では、入出力端子321から、FPGA300に入力されたマスタ102の映像信号のガンマレベル値GLmを検出し、ステップS802に処理を移行する。
ステップS802では、自TVカメラ装置のデコーダ307から入力される映像信号のガンマレベル値GLsから、マスタ102の映像信号のガンマレベル値GLmを減算し、減算値GLthを算出し、ステップS803に処理を移行する。
ステップS803では、減算値GLthが予め定められたガンマレベルの所定のしきい値内であるか否かを判定する。減算値GLthが所定のしきい値内と判定した場合にはガンマレベルの調整を終了し、図4の処理を終了する。また、減算値GLthが所定のしきい値外と判定した場合にはステップS804に処理を移行する。
ステップS804では、減算値GLthの正負を判定する。減算値GLthが正の場合には、ステップS805に処理を移行し、減算値GLthが負の場合には、ステップS806に処理を移行する。
ステップS805では、自TVカメラ装置のガンマレベル値GLsに1を減算して(GLs=GLs−1)ステップS801の処理に戻る。
ステップS806では、自TVカメラ装置のガンマレベル値GLsに1を加算して(GLs=GLs+1)ステップS801の処理に戻る。
【0036】
上述した図1〜図8の実施例によって、基準チャートとしてグレースケールチャート101を用いた微調整処理(ブラックレベル、ゲインレベル、フレアレベル、ガンマレベル)を行った後、次に、マスキングパラメータの自動調整を行う。このため、基準チャートをカラーチャートに変更する必要がある。
ブラックレベル、ゲインレベル、フレアレベル、ガンマレベルの微調整を行っている間には、TVカメラ装置は、グレースケールチャート101を基準チャートとして撮影しており、図2に示すようなビューファインダ350には、撮影されたグレースケールチャート101の映像が表示されている。
そして、ブラックレベル、ゲインレベル、フレアレベル、ガンマレベルの微調整が終了した場合には、映像検出処理部304は、CPU341にマーカ重畳にブラック、ゲインレベル、フレアレベル、ガンマレベルの微調整が終了した旨の情報を出力すると共に、マーカ重畳部311にワーニングメッセージを重畳させる。その結果、ビューファインダ350には、撮影されたグレースケールチャート101の映像に重ねて、ワーニングメッセージが、例えば“ Please change the Grayscale chart into the Color Chart.”と表示される。
【0037】
ビューファインダ上にワーニングメッセージが表示された場合には、作業者は、図1の基準チャートを、グレースケールチャート101からカラーチャートに変更する。図10は、カラーチャートの一例を示す図である。1001はビューファインダ等の表示部に表示された表示映像である。
表示映像1001内は、同じ形状で同じ面積の方形の枠毎に異なる色が配置されているチャートである。例えば行1002の2つ行は、それぞれ色が異なる中間色である。また行1003の行には、左から、青色(B)、緑色(G)、赤色(R)、黄色(Ye)、マゼンタ色(Mg)、シアン色(Cy)と、3原色とそれらの補色が配置されている。さらに行1004には、グレースケールが配置される。また、1011は青色(B)、1012は緑色(G)、1013は赤色(R)、1014は黄色(Ye)、1015はマゼンタ色(Mg)、1016はシアン色(Cy)である。なお、色の数(行や列の数)や配置される色の順番、等は任意である。
【0038】
次に、マスター102及びスレーブ103、104等、それぞれにおいて、画角調整を行う。画角調整について、図11を用いて説明する。図11は、本発明の一実施例のカラーチャートによる各TVカメラ装置の画角調整を説明するための図である。1101はビューファインダ等の表示部に表示された表示映像、1111〜1116はマーカである。
図11において、画角調整を行う。そのため、基準チャートの交換後、先ず、各TVカメラ装置(マスタ102、スレーブ103、104)では、カラーチャートを撮影する。
例えば図11のメッセージ903の様に、“ Please set the Color Chart.”と表示され、撮影されたカラーチャートの映像は、ビューファインダと呼ばれる映像表示装置やTVカメラ装置の出力信号に重畳される画角調整用の枠状のマーカ1111〜1116が基準チャートの特定の部分(カラーチャートの場合には、3原色とその補色のエリア内)と重なるように、作業者等によって画角を調整する。この画角調整用のマーカ1111〜1116は、映像表示装置やCCU(及びMCCU)のピクチャ出力のみに重畳し、本線信号には重畳しない。このマーカ1111〜1116内のエリア部分の映像信号の信号レベルを検出し、後述する映像検出処理を行う。
画角調整が終わった後は、ワーニングメッセージの表示はしない。
【0039】
図12において、マスター102とスレーブ103は、同時に、同一のカラーチャートを撮影し、映像本線の映像信号としてそれぞれ取得し画角を調整する。次に、マスター102は、後述する6つのパラメータの調整を行って、伝送線路105、MCCU108、伝送線路111、CCU109、伝送線路106、及び、入出力端子321を介してスレーブ103のFPGA300(映像検出処理部304)に出力する。
なお、画角調整時のマーカ1111〜1116のエリア内の映像信号を用いて、本発明のマスキングパラメータの調整を行う。
このマスキングパラメータの調整の終了をもって、色信号調整処理を終了とする。
【0040】
図12は、スレーブ側の映像検出処理部304が、マスキングパラメータを調整する場合の処理手順の本発明の一実施例を示すフローチャートである。
即ち、図12において、ステップS1201でR(赤色)パラメータを調整し、ステップS1202でG(緑色)パラメータを調整し、ステップS1203でB(青色)パラメータを調整する。さらに、ステップS1204でCy(シアン色)パラメータを調整し、ステップS1205でMg(マゼンタ色)パラメータを調整し、ステップS1206でYe(黄色)パラメータを調整する。
なお、ステップS1201〜S1206の処理は、図12の順番で行う必要は無く、順不同で良い。
上記6項目の処理はいずれも、始めにマスター102の映像信号のレベル検出を行い、本線信号のレベルとの減算を行う。その後、減算結果がしきい値を下回った場合にその項目の微調整が完了したとしている。
図12のステップS1201〜S1206について、さらに、図13〜図18を用いて説明する。
【0041】
図13によって、図12のステップS1201の赤色レベルの調整の詳細の処理動作を説明する。図13は、本発明の一実施例の赤色レベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
ステップS1301では、入出力端子321から、FPGA300に入力されたマスタ102の映像信号の赤色レベル値RcLmを検出し、ステップS1302に処理を移行する。
ステップS1302では、自TVカメラ装置のデコーダ307から入力される映像信号の赤色レベル値RcLsから、マスタ102の映像信号の赤色レベル値RcLmを減算し、減算値RcLthを算出し、ステップS1303に処理を移行する。
ステップS1303では、減算値RcLthが予め定められた赤色レベルの所定のしきい値内であるか否かを判定する。減算値RcLthが所定のしきい値内と判定した場合には赤色レベルの調整を終了し、図12のステップS1202に処理を移行する。また、減算値RcLthが所定のしきい値外と判定した場合にはステップS1304に処理を移行する。
ステップS1304では、減算値RcLthの正負を判定する。減算値RcLthが正の場合には、ステップS1305に処理を移行し、減算値RcLthが負の場合には、ステップS1306に処理を移行する。
ステップS1305では、自TVカメラ装置の赤色レベル値RcLsに1を減算して(RcLs=RcLs−1)ステップS1301の処理に戻る。
ステップS1306では、自TVカメラ装置の赤色レベル値RcLsに1を加算して(RcLs=RcLs+1)ステップS1301の処理に戻る。
【0042】
図14によって、図12のステップS1202の緑色レベルの調整の詳細の処理動作を説明する。図14は、本発明の一実施例の緑色レベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
ステップS1401では、入出力端子321から、FPGA300に入力されたマスタ102の映像信号の赤色レベル値GcLmを検出し、ステップS1402に処理を移行する。
ステップS1402では、自TVカメラ装置のデコーダ307から入力される映像信号の緑色レベル値GcLsから、マスタ102の映像信号の緑色レベル値GcLmを減算し、減算値GcLthを算出し、ステップS1403に処理を移行する。
ステップS1403では、減算値GcLthが予め定められた緑色レベルの所定のしきい値内であるか否かを判定する。減算値GcLthが所定のしきい値内と判定した場合には緑色レベルの調整を終了し、図12のステップS1203に処理を移行する。また、減算値GcLthが所定のしきい値外と判定した場合にはステップS1404に処理を移行する。
ステップS1404では、減算値GcLthの正負を判定する。減算値GcLthが正の場合には、ステップS1405に処理を移行し、減算値GcLthが負の場合には、ステップS1406に処理を移行する。
ステップS1405では、自TVカメラ装置の緑色レベル値GcLsに1を減算して(GcLs=GcLs−1)ステップS1401の処理に戻る。
ステップS1406では、自TVカメラ装置の緑色レベル値GcLsに1を加算して(GcLs=GcLs+1)ステップS1401の処理に戻る。
【0043】
図15によって、図12のステップS1203の青色レベルの調整の詳細の処理動作を説明する。図15は、本発明の一実施例の青色レベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
ステップS1501では、入出力端子321から、FPGA300に入力されたマスタ102の映像信号の青色レベル値BcLmを検出し、ステップS1502に処理を移行する。
ステップS1502では、自TVカメラ装置のデコーダ307から入力される映像信号の青色レベル値BcLsから、マスタ102の映像信号の青色レベル値BcLmを減算し、減算値BcLthを算出し、ステップS1503に処理を移行する。
ステップS1503では、減算値BcLthが予め定められた青色レベルの所定のしきい値内であるか否かを判定する。減算値BcLthが所定のしきい値内と判定した場合には青色レベルの調整を終了し、図12のステップS1204に処理を移行する。また、減算値BcLthが所定のしきい値外と判定した場合にはステップS1504に処理を移行する。
ステップS1504では、減算値BcLthの正負を判定する。減算値BcLthが正の場合には、ステップS1505に処理を移行し、減算値BcLthが負の場合には、ステップS1506に処理を移行する。
ステップS1505では、自TVカメラ装置の青色レベル値BcLsに1を減算して(BcLs=BcLs−1)ステップS1501の処理に戻る。
ステップS1506では、自TVカメラ装置の青色レベル値BcLsに1を加算して(BcLs=BcLs+1)ステップS1501の処理に戻る。
【0044】
図16によって、図12のステップS1204のシアン色レベルの調整の詳細の処理動作を説明する。図16は、本発明の一実施例のシアン色レベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
ステップS1601では、入出力端子321から、FPGA300に入力されたマスタ102の映像信号のシアン色レベル値CyLmを検出し、ステップS1602に処理を移行する。
ステップS1602では、自TVカメラ装置のデコーダ307から入力される映像信号のシアン色レベル値CyLsから、マスタ102の映像信号のシアン色レベル値CyLmを減算し、減算値CyLthを算出し、ステップS1603に処理を移行する。
ステップS1603では、減算値CyLthが予め定められたシアン色ベルの所定のしきい値内であるか否かを判定する。減算値CyLthが所定のしきい値内と判定した場合にはシアン色レベルの調整を終了し、図12のステップS1205に処理を移行する。また、減算値CyLthが所定のしきい値外と判定した場合にはステップS1604に処理を移行する。
ステップS1604では、減算値CyLthの正負を判定する。減算値CyLthが正の場合には、ステップS1605に処理を移行し、減算値CyLthが負の場合には、ステップS1606に処理を移行する。
ステップS1605では、自TVカメラ装置のシアン色レベル値CyLsに1を減算して(CyLs=CyLs−1)ステップS1601の処理に戻る。
ステップS1606では、自TVカメラ装置のシアン色レベル値CyLsに1を加算して(CyLs=CyLs+1)ステップS1601の処理に戻る。
【0045】
図17によって、図12のステップS1205のマゼンタ色レベルの調整の詳細の処理動作を説明する。図17は、本発明の一実施例のシアン色レベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
ステップS1701では、入出力端子321から、FPGA300に入力されたマスタ102の映像信号のシアン色レベル値MgLmを検出し、ステップS1702に処理を移行する。
ステップS1702では、自TVカメラ装置のデコーダ307から入力される映像信号のマゼンタ色レベル値MgLsから、マスタ102の映像信号のマゼンタ色レベル値MgLmを減算し、減算値MgLthを算出し、ステップS1703に処理を移行する。
ステップS1703では、減算値MgLthが予め定められたマゼンタ色ベルの所定のしきい値内であるか否かを判定する。減算値MgLthが所定のしきい値内と判定した場合にはマゼンタ色レベルの調整を終了し、図12のステップS1206に処理を移行する。また、減算値MgLthが所定のしきい値外と判定した場合にはステップS1704に処理を移行する。
ステップS1704では、減算値MgLthの正負を判定する。減算値MgLthが正の場合には、ステップS1705に処理を移行し、減算値MgLthが負の場合には、ステップS1706に処理を移行する。
ステップS1705では、自TVカメラ装置のマゼンタ色レベル値MgLsに1を減算して(MgLs=MgLs−1)ステップS1701の処理に戻る。
ステップS1706では、自TVカメラ装置のマゼンタ色レベル値MgLsに1を加算して(MgLs=MgLs+1)ステップS1701の処理に戻る。
【0046】
図18によって、図12のステップS1206の黄色レベルの調整の詳細の処理動作を説明する。図18は、本発明の一実施例の黄色レベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
ステップS1801では、入出力端子321から、FPGA300に入力されたマスタ102の映像信号の黄色レベル値YeLmを検出し、ステップS1802に処理を移行する。
ステップS1802では、自TVカメラ装置のデコーダ307から入力される映像信号の黄色レベル値YeLsから、マスタ102の映像信号の黄色レベル値YeLmを減算し、減算値YeLthを算出し、ステップS1803に処理を移行する。
ステップS1803では、減算値YeLthが予め定められた黄色ベルの所定のしきい値内であるか否かを判定する。減算値YeLthが所定のしきい値内と判定した場合にはマゼンタ色レベルの調整を終了し、図12の処理を移行する。また、減算値YeLthが所定のしきい値外と判定した場合にはステップS1804に処理を移行する。
ステップS1804では、減算値YeLthの正負を判定する。減算値YeLthが正の場合には、ステップS1705に処理を移行し、減算値YeLthが負の場合には、ステップS1806に処理を移行する。
ステップS1805では、自TVカメラ装置の黄色レベル値YeLsに1を減算して(YeLs=YeLs−1)ステップS1801の処理に戻る。
ステップS1806では、自TVカメラ装置の黄色レベル値YeLsに1を加算して(YeLs=YeLs+1)ステップS1801の処理に戻る。
【0047】
上記実施例によれば、TVカメラ装置間の色合わせ作業の時間を大幅に短縮できる。また調整が自動化がし易い。さらに、TVカメラ装置間の色信号調整のばらつきが減少する。
その上、作業者に熟練度に依存せず、簡単、かつ迅速に各TVカメラ間の色信号調整が実現できる。
【0048】
上述の如く、本発明の一実施例の微調整処理を図1〜図18によって説明した。次に、本発明の別の実施例を図19のフローチャートによって説明する。図19の実施例は、図4のグレースケールチャートによる微調整の後に、図19のステップS1901追加したものである。
即ち、グレースケールチャートを用いて、ブラックレベル、ゲインレベル(ホワイトレベル)、フレアレベル、及び、ガンマレベルの微調整処理に加えて、ニーレベルの調整を行うものである。そしてその調整後、カラーチャートを撮影した結果の映像信号に基づいて、マスキングの微調整処理を行うものである。
【0049】
図4は、スレーブ側の映像検出処理部304が、ブラックレベル、ゲインレベル(ホワイトレベル)、フレアレベル、及び、ガンマレベルを調整する場合の処理手順の本発明の一実施例を示すフローチャートである。基準チャートとしてグレースケールチャート101を用いて調整するのはマスキングを除く上記5項目である。
【0050】
図19の実施例によれば、さらに、ニー特性も調整できるため、上記図1〜図18の効果に加え、色信号調整のばらつきを減少させることができる。
【0051】
図20によって、本発明の別の実施例を説明する。
図20は、本発明の色信号調整作業を行う場合のTVカメラ装置制御システムの一実施例の構成を示すブロック図である。2002はマスター、2003と2004はスレーブである。また、2005と2006は、同軸ケーブル等の伝送線路である。
上述の図1〜図18の実施例では、カメラ制御装置(MCCU、CCU)とTVカメラ装置とを接続するシステム運用について例を述べた。しかし、本発明はTVカメラ装置のみの運用でも適用可能である。図20は、TVカメラ装置のみの運用時における本発明の適用例を示す。
図20において、マスター2002の出力信号をスレーブ2003、及び2004に伝送線路2005、2006を介して入力する。その後、各スレーブ2003及び2004は、マスター2002の出力信号から抽出した各種設定データをもとに、自機TVカメラ装置本体の設定を行い、上述した処理(ブラック、ゲインレベル、フレアレベル、ガンマレベル、ニーレベル、及びマスキング)を行う。
【0052】
以上述べたように、本発明の一実施形態は、レンズ部を介して入射する被写体像を分光し、固体撮像素子に照射して映像信号に変換するテレビジョンカメラ装置であって、色信号調整の基準となるテレビジョンカメラ装置から、色信号調整された赤色、緑色、及び青色の各チャネルの信号を多重化した映像信号を入力し、該入力された映像信号の値に合致するように、色信号調整するテレビジョンカメラ装置である。
好ましくは、上記テレビジョンカメラ装置は、前記色信号調整の基準となるテレビジョンカメラ装置が色信号調整するために撮影する基準チャートを、同時に撮影して前記入力された映像信号の値に合致するように、色信号調整するものである。さらに好ましくは、前記基準チャートに所定の複数のエリアを設け、当該エリアの撮影一が、所定のマーカの位置と合致するように調整することによって、前記色信号調整の基準となるテレビジョンカメラ装置の画角と合致するように画角調整してから色信号調整するものである。
また好ましくは、上記テレビジョンカメラ装置は、前記色信号調整の基準となるテレビジョンカメラ装置から、前記色信号調整された赤色、緑色、及び青色の各チャネルの信号を多重化した映像信号を、HD−SDI(High Definition TeleVision-Serial Digital Interface)形式の信号で入力するものである。
【0053】
また、本発明の一実施形態は、基準チャートを撮影し、予め定められた所定の画角に調整し、ブラックレベル、ホワイトレベル(ゲインレベル)、フレアレベル、ガンマ(γ)レベル、及び色差マトリクスを調整する第1のテレビジョンカメラ装置と、伝送線路と、前記基準チャートを前記第1のテレビジョンカメラ装置と同時に撮影し、かつ、前記所定の画角に調整し、前記第1のテレビジョンカメラ装置から前記伝送線路を介して入力される映像信号と、該入力された該映像信号と合致するように自機の映像信号の映像レベルを調整して、ブラックレベル、ホワイトレベル、フレアレベル、ガンマレベル、及び色差マトリクスを調整する第2のテレビジョンカメラ装置と、からなるテレビジョンカメラ装置制御システムである。
好ましくは、前記第1のテレビジョンカメラ装置がカメラ制御装置と組合わせて運用される場合には、前記伝送線路を介して前記第2のテレビジョンカメラ装置に入力される前記映像信号は、前記第1のテレビジョンカメラ装置のカメラ制御装置のリターン信号である。
また好ましくは、前記伝送線路はHD−SDI(High DefinitionTeleVision-Serial Digital Interface)形式の信号である。
【0054】
また、本発明の一実施形態は、基準チャートを撮影し、予め定められた所定の画角に調整し、ブラックレベル、ホワイトレベル、フレアレベル、ガンマレベル、ニー、及び色差マトリクスを調整する第1のテレビジョンカメラ装置と、伝送線路と、前記基準チャートを前記第1のテレビジョンカメラ装置と同時に撮影し、かつ、前記所定の画角に調整し、前記第1のテレビジョンカメラ装置から前記伝送線路を介して入力される映像信号と、該入力された該映像信号と合致するように自機の映像信号の映像レベルを調整して、ブラックレベル、ホワイトレベル、フレアレベル、ガンマレベル、ニー、及び色差マトリクスを調整する第2のテレビジョンカメラ装置と、からなるテレビジョンカメラ装置制御システムである。
好ましくは、前記第1のテレビジョンカメラ装置がカメラ制御装置と組合わせて運用される場合には、前記伝送線路を介して前記第2のテレビジョンカメラ装置に入力される前記映像信号は、前記第1のテレビジョンカメラ装置のカメラ制御装置のリターン信号である。
また好ましくは、前記伝送線路はHD−SDI(High DefinitionTeleVision-Serial Digital Interface)形式の信号である。
【0055】
以上、本発明を実施例によって詳細に説明した。しかし、本発明は、上述の実施例に限定されるわけではなく、本発明が属する技術分野において、通常の知識を有する者であれば、本発明の思想と精神に基づいて、本発明を修正若しくは変更できる発明が含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0056】
100:スタジオ、 101:グレースケールチャート、 102:マスター、 103、104:スレーブ、 105、106、107:伝送線路、 108:MCCU、109、110:CCU、 111、112:伝送線路、 120:調整室、 200:表示映像、 201〜207:マーカ、 300:FPGA、 301:シリアル−パラレル変換器、 302:デコーダ、 303:データ分離部、 304:映像検出処理部、 305:映像信号処理部、 306:マトリクス部、 307:デコーダ、 308:色信号生成部、 309:CPUデータ重畳部、 310:パラレル−シリアル変換器、 311:マーカ重畳部、 312:色信号生成部、 313:パラレル−シリアル変換器、 314:3値同期混合部、 321:入出力端子、 331:HD−SDI信号出力端子、 341:CPU、 342:タイミングジェネレータ、 343:アナログフロントエンド、 344:CCD、 345:レンズ部、 350:ビューファインダ、 351:D−A変換器、 901:表示画面、 902,903:ワーニングメッセージ、 1001:表示画面、 1002:中間色の行、 1003:グレースケールの行、 1004:青色、 1005:緑色、 1006:赤色、 1007:黄色、 1008:マゼンタ色、 1009:シアン色、 1101:表示画面、 2002:マスター、 2003、2004:スレーブ、 2005、2006:伝送線路。
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビジョンカメラ装置間の色信号調整方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
放送局等のスタジオ現場では、1つの放送番組を制作するに当たり、複数台のテレビジョンカメラ装置(以降、本書では、TVカメラ装置と称する)を同時に運用している。ここで、TVカメラ装置を複数台運用するに当たっては、各TVカメラ装置間に色ずれがないことが重要事項として挙げられる。
これは、例えば、TVカメラ装置AとTVカメラ装置B間で色ずれがある状態で、TVカメラ装置Aが取得する映像から、TVカメラ装置Bが取得した映像に切り替えてしまうと、放送中の映像の色あいが変化してしまい、視聴者に違和感を与えてしまうためである。
【0003】
上記の各TVカメラ装置間の色ずれを解消するため、放送番組の制作現場では、複数のTVカメラ装置を運用する場合に、基準チャート(グレースケールチャート、カラーチャート、等)を複数台のTVカメラ装置で同時に撮影する。そして、同時に撮影しながら、R(赤)、G(緑)、及びB(青)チャネルの映像レベルが、各TVカメラ装置間で同じになるように調整作業を行っている。
しかし、この調整方法には、以下の(1)と(2)に示す欠点がある。
(1)TVカメラ装置1台1台を手作業で調整するため、運用するTVカメラ装置の台数が多いほど調整作業に時間を要する。
(2)制作する放送番組の「絵」を決める大事な作業のため、放送番組の絵作りを熟知した者しか作業を行えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−311419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来から、基準とするTVカメラ装置と別の調整中のTVカメラ装置との調整状態が同じ状態になったか否かを確認するため、それらのTVカメラ装置の映像信号を自動的に高速に切換え、重ね合わせて表示する手段を有する構成としたTVカメラ装置の制御装置が知られている。例えば、特許文献1には、TVカメラ装置の集中制御装置の技術が公開されている。しかし、特許文献1の制御装置では、それらのTVカメラ装置の種々の設定値(制御パラメータ)の設定、管理、調整、再利用等については何ら考慮されておらず、特に、設定値の数が多くなると個々のカメラに対する設定操作が煩雑になることについては、解決されていない。
本発明は、TVカメラ装置間の色信号調整作業を、作業者の熟練度に依存せず、簡単且つ高速に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明のテレビジョンカメラ装置は、レンズ部を介して入射する被写体像を分光し、固体撮像素子に照射して映像信号に変換するテレビジョンカメラ装置であって、色信号調整の基準となるテレビジョンカメラ装置から、色信号調整された赤色、緑色、及び青色の各チャネルの信号を多重化した映像信号を入力し、該入力された映像信号の値に合致するように、色信号調整するものである。
好ましくは、上記テレビジョンカメラ装置は、前記色信号調整の基準となるテレビジョンカメラ装置が色信号調整するために撮影する基準チャートを、同時に撮影して前記入力された映像信号の値に合致するように、色信号調整するものである。さらに好ましくは、前記基準チャートに所定の複数のエリアを設け、当該エリアの撮影一が、所定のマーカの位置と合致するように調整することによって、前記色信号調整の基準となるテレビジョンカメラ装置の画角と合致するように画角調整してから色信号調整するものである。
また好ましくは、上記テレビジョンカメラ装置は、前記色信号調整の基準となるテレビジョンカメラ装置から、前記色信号調整された赤色、緑色、及び青色の各チャネルの信号を多重化した映像信号を、HD−SDI(High Definition TeleVision-Serial Digital Interface)形式の信号で入力するものである。
【0007】
また、本発明のテレビジョンカメラ装置制御システムは、基準チャートを撮影し、予め定められた所定の画角に調整し、ブラックレベル、ホワイトレベル(ゲインレベル)、フレアレベル、ガンマ(γ)レベル、及び色差マトリクスを調整する第1のテレビジョンカメラ装置と、伝送線路と、前記基準チャートを前記第1のテレビジョンカメラ装置と同時に撮影し、かつ、前記所定の画角に調整し、前記第1のテレビジョンカメラ装置から前記伝送線路を介して入力される映像信号と、該入力された該映像信号と合致するように自機の映像信号の映像レベルを調整して、ブラックレベル、ホワイトレベル、フレアレベル、ガンマレベル、及び色差マトリクスを調整する第2のテレビジョンカメラ装置と、からなるものである。
好ましくは、前記第1のテレビジョンカメラ装置がカメラ制御装置と組合わせて運用される場合には、前記伝送線路を介して前記第2のテレビジョンカメラ装置に入力される前記映像信号は、前記第1のテレビジョンカメラ装置のカメラ制御装置のリターン信号である。
また好ましくは、前記伝送線路はHD−SDI(High DefinitionTeleVision-Serial Digital Interface)形式の信号である。
【0008】
上記発明のテレビジョンカメラ装置制御システムとは別の、本発明のテレビジョンカメラ装置制御システムは、基準チャートを撮影し、予め定められた所定の画角に調整し、ブラックレベル、ホワイトレベル、フレアレベル、ガンマレベル、ニー、及び色差マトリクスを調整する第1のテレビジョンカメラ装置と、伝送線路と、前記基準チャートを前記第1のテレビジョンカメラ装置と同時に撮影し、かつ、前記所定の画角に調整し、前記第1のテレビジョンカメラ装置から前記伝送線路を介して入力される映像信号と、該入力された該映像信号と合致するように自機の映像信号の映像レベルを調整して、ブラックレベル、ホワイトレベル、フレアレベル、ガンマレベル、ニー、及び色差マトリクスを調整する第2のテレビジョンカメラ装置と、からなるものである。
好ましくは、前記第1のテレビジョンカメラ装置がカメラ制御装置と組合わせて運用される場合には、前記伝送線路を介して前記第2のテレビジョンカメラ装置に入力される前記映像信号は、前記第1のテレビジョンカメラ装置のカメラ制御装置のリターン信号である。
また好ましくは、前記伝送線路はHD−SDI(High DefinitionTeleVision-Serial Digital Interface)形式の信号である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、TVカメラ装置間の色合わせ時間を大幅な短縮できる。また、調整の自動化による、TVカメラ装置間の色信号調整のばらつき度合いが減少する。さらに、作業者の熟練度に依存せず、簡単かつ高速に、各TVカメラ装置間の色信号調整ができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の色信号調整作業を行う場合のTVカメラ装置制御システムの一実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】グレースケールチャートの一例を示す図である。
【図3】本発明の一実施例のTVカメラ装置制御システムを説明するためのシステム構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施例のブラックレベル、ゲインレベル、フレアレベル、及び、ガンマレベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施例のブラックレベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施例のホワイトレベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施例のフレアレベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施例のガンマレベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施例のワーニングメッセージの表示を示す図である。
【図10】本発明の一実施例のカラーチャートの一例を示す図である。
【図11】本発明の一実施例のカラーチャートによる各TVカメラ装置の画角調整を説明するための図である。
【図12】本発明の一実施例のマスキングパラメータを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】本発明の一実施例の赤色レベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図14】本発明の一実施例の緑色レベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図15】本発明の一実施例の青色レベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図16】本発明の一実施例のマゼンタ色レベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図17】本発明の一実施例のシアン色レベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図18】本発明の一実施例の黄色レベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図19】本発明の一実施例のブラックレベル、ゲインレベル、フレアレベル、ガンマレベル、及び、ニーレベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図20】本発明の色信号調整作業を行う場合のTVカメラ装置制御システムの一実施例の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、色信号調整の基準となるTVカメラ装置(マスター)のシリアルデジタル信号(以降、本書では、SDI( Serial Digital Interface )信号と称する)を、色信号調整を行う他のカメラ(以降、本書では、スレーブと称する)に直接入力し、マスターの各チャネルの映像信号の映像レベルとスレーブの各チャネルの映像信号の映像レベルが合致するように、スレーブの各チャネルの映像レベルを自動的に調整するものである。
また、本発明は、TVカメラ装置と、カメラ制御装置(以降、本書では、CCU( Camera Control Unit )と称する)と組合わせて運用する場合には、CCUからTVカメラ装置への送り返しの映像信号(以降、本書では、RET信号)にマスターの色信号調整基準信号を入力し、マスターの各チャネルの映像レベルとスレーブのそれが合致するように、スレーブの各チャネルの映像レベルを自動調整するものである。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、各図の説明において、共通な機能を有する構成要素には同一の参照番号を付し、できるだけ説明の重複を避ける。
【0012】
図1によって、放送局等のスタジオで使用する複数のTVカメラ装置の色信号調整の作業について説明する。
図1は、本発明の色信号調整作業を行う場合のTVカメラ装置制御システムの一実施例の構成を示すブロック図である。100はスタジオ、120は調整室である、スタジオ100において、101は基準チャート(標準被写体)の1つであるグレースケールチャート、102〜103はTVカメラ装置である。また、102はマスター、103と104はスレーブである。さらに、調整室120において、108、109、及び110はCCUで、CCU108はマスタ102に結合されるマスタ用CCU(以降MCCUと称する)、111はMCCU108とCCU109とを結合する伝送線路、112はMCCU108とCCU110とを結合する伝送線路である。またさらに、105はマスター102とMCCU108とを結合する伝送線路、106はスレーブ103とCCU109とを結合する伝送線路、107はスレーブ104とCCU110とを結合する伝送線路である。伝送線路105〜106、111、及び112は、例えば、同軸ケーブルである。また例えば、伝送線路105〜106、111、及び112は、例えば、LAN( Local Area Netwotk )ケーブルである。
【0013】
図1において、まず始めに、マスター102、スレーブ103、及びスレーブ104は、グレースケールチャート101をそれぞれ同時に撮影し、マーカを基準にして画角を調整する(後述)。
画角調整後、マスター102は、撮影したグレースケールの映像信号について、マーカエリア内の映像信号について、ブラックレベル、ゲインレベル(ホワイトレベル)、フレアレベル、ガンマレベル、色差マトリクス、等を予め定められたそれぞれの設定値に調整する。マスター102は、調整後の色調整基準信号を伝送線路105を介してMCCU108に出力する。MCCU108は、入力された映像信号からマスター102へリターン信号(送り返しの信号)を返すと共に、リターン信号を伝送線路111及び112を介して、スレーブ103のCCU109及びスレーブ104のCCU110に出力する。
また、スレーブ103及び104もまた、撮影したグレースケールの映像について画角調整後、マスター102からMCCU108から伝送されたリターン信号と自TVカメラ装置の映像信号との信号レベルを比較して、マスター102の映像信号の信号レベルと自TVカメラ装置の映像信号の信号レベルとが合致するように各チャネルの映像レベルを調整する。
【0014】
即ち、スレーブ103は、CCU109を介して、MCCU108から入力された映像信号、及びスレーブ103が自ら撮影した映像信号について、マーカ内のエリアの映像信号それぞれで、所定の各種設定値データ(ブラックレベル、ホワイトレベル、フレアレベル、ガンマレベル、色差マトリクス、等)に分離する。
スレーブ103は、それぞれ、分離した各種設定値データについて、MCCU108から入力されたデータの値と同じ値若しくは近い値になるように、それぞれの映像信号の信号レベルを調整する。
スレーブ104のCCU110についても上記と同様の処理を行う。
なお、図1の実施例では、スレーブの台数が2であるが、1台でも良く、台数はいくつでも良い。
また、スレーブ103で比較して調整する映像信号は、画角調整時に使用するマーカ内のエリアの部分の映像信号であるので、MCCU108からCCU103を介してスレーブ103に伝送する映像信号は、画角調整時に使用するマーカ内のエリアの部分の映像信号だけでも良い。
【0015】
図1において、TVカメラ装置(マスター102、スレーブ103及び104)から、MCCU108、CCU109、110間を結合する伝送線路105〜107は、例えば、同軸ケーブルを用いる。
一般的に、MCCU108、CCU109、及びCCU110等のカメラ制御装置は、HD−SDI信号、SD−SDI( Standard Definition - Serial Digital Interface:標準精細)信号、やVBS( Video Burst Signal )の入出力端子を複数持っている。従って、色信号調整を行うTVカメラ装置と接続されているカメラ制御装置の映像入力端子にはどの映像信号を入力しても良い。しかし、解像度の観点からは、HD−SDI信号が望ましい。
また、SD−SDI信号やVBS信号を映像信号入力端子に入力する場合には、カメラ制御装置からTVカメラ装置側への伝送信号は、HD−SDI信号のため、アップコンバート処理を行って、HD−SDI信号に変換した後に送信する。
また、同様に、MCCU108から出力された映像信号を、CCU109及び110に出力する伝送線路111及び112もまた、例えば、同軸ケーブルを用いる。
【0016】
図2は、グレースケールチャート101の一例を示す図である。200はビューファインダ等の表示部に表示された表示映像、201〜207はマーカである。
図1で説明した色信号調整作業を行う場合のTVカメラ装置制御システムにおいて、始めにグレースケールチャート101を撮影した。
撮影されたグレースケールチャートの映像は、ビューファインダと呼ばれる映像表示装置やTVカメラ装置の出力信号に重畳される画角調整用の枠状のマーカ201〜207が基準チャートの特定の部分と重なるように、作業者等によって画角を調整する。この画角調整用のマーカ201〜207は、映像表示装置やCCU(及びMCCU)のピクチャ出力のみに重畳し、本線信号には重畳しない。このマーカ201〜207内のエリア部分の映像信号の信号レベルを検出し、後述する映像検出処理を行う。
【0017】
図3によって、TVカメラ装置(スレーブ)に入力された映像信号の処理について説明する。図3は、本発明の一実施例のTVカメラ装置制御システムを説明するためのシステム構成を示すブロック図である。図3では、特にスレーブの構成を詳細に示したブロック図である。
300はスレーブ103のFPGA( Field Programmable Gate Array )、321はCCU109と結合する伝送線路106を接続する入出力端子、331はHD−SDI信号出力端子、341はCPU( Central Processing Unit )、342はタイミングジェネレータ( TG )、343はCCD344から入力された電気信号を前処理(ノイズ除去、レベル調整、A−D変換等)をしてデジタル映像信号をFPGA300の映像信号処理部305に出力するアナログフロントエンド、345はレンズ部、344はレンズ部345を通過して入射する被写体像(基準チャート)を電気信号に変換して出力するCCD( Charge Coupled Device )、350はビューファインダ、351はマーカ重畳部311から入力される青色差(Pb)信号と赤色差(Pr)信号及び3値同期混合部314から入力される輝度(Y)信号をそれぞれデジタルデータに変換してビューファインダ350に出力するD−A変換器(D−A)である。
【0018】
FPGA300において、301はシリアル−パラレル変換器(S−P)、302はデコーダ、303はデータ分離部、304は映像検出処理部、305は映像信号処理部、306はマトリクス部、307はデコーダ、308は色信号生成部、309はCPUデータ重畳部、310はパラレル−シリアル変換器(P−S)、311はマーカ重畳部、312は色信号生成部、313はパラレル−シリアル変換器(P−S)、314は3値同期混合部である。
【0019】
図3におけるシステム構成では、説明をより簡単にするため、図1に示したスレーブ104、CCU110、伝送線路107、及び伝送線路112を省略した構成である。
図3において、マスター102とMCCU108は伝送線路105で結合され、スレーブ103とCCU109は伝送線路106で結合され、MCCU108とCCU109は伝送線路111で結合されている。
図1と同様に、まず始めに、マスター102及びスレーブ103は、グレースケールチャート101をそれぞれ同時に撮影し、画角を調整する。画角調整後、マスター102は、撮影したグレースケールの映像のマーカ内のエリアの映像信号を基に、ブラックレベル、ホワイトレベル、ゲインレベル、フレアレベル、ガンマレベル、色差調整マトリクス、等を予め定められたそれぞれの設定値に調整する。調整された後の映像信号は、伝送線路105を介してMCCU108に出力される。MCCU108は、入力された調整後の映像信号を、伝送線路111、CCU109、及び伝送線路106を介して、スレーブ103に出力する。また、スレーブ103もまた、マスタ102と同時に撮影したグレースケールの映像によって画角調整を行い、画角調整後、マスタ102から入力された映像信号の信号レベルと自TVカメラ装置が撮影した映像の信号レベルが合致するように色信号調整を行う。
なお、スレーブ103で比較して調整する映像信号は、画角調整時に使用するマーカ内のエリアの部分の映像信号であるので、MCCU108からCCU103を介してスレーブ103に伝送する映像信号は、画角調整時に使用するマーカ内のエリアの部分の映像信号だけでも良い。
【0020】
即ち、図3において、マスター103から出力された映像信号は、伝送線路111、CCU109、伝送線路106、及び、入出力端子321を介して、スレーブ103のFPGA300に伝送される。伝送される映像信号は、例えば、HD−SDI形式の信号である。
FPGA300に入力された映像信号は、シリアル−パラレル変換器301に入力される。シリアル−パラレル変換器301は、受信したHD−SDI信号をシリアル信号からパラレル信号に変換して、輝度信号と色信号をデコーダ302に出力すると共に、色信号をデータ分離部303に出力する。
デコーダ302は、輝度信号と色信号から赤色信号、緑色信号、及び青色信号を生成し、影像検出処理部304に出力する。
データ分離部303は、入力された色信号に重畳されているマスター102の各種設定値データ(ブラックレベル、ゲインレベル、フレアレベル、ガンマレベル、マスキング等)を分離し、CPU341に出力する。
【0021】
CPU341は、スレーブ103の各種設定が、マスタ102側から入力されたデータと同じになるように、FPGA300及びアナログフロントエンド343、及び、タイミングジェネレータ342のデータを設定する。
この設定によって、マスター102とスレーブ103のブラックレベル、ホワイトレベル(ゲインレベル)、フレアレベル、ガンマレベル、色差マトリクス、等の各種設定値は、全て同じになる。
【0022】
この設定が終了した後、次に、スレーブ103の各種設定値の微調整処理を行う。この微調整処理は、個々のTVカメラ装置に使用しているIC等電子回路部品の性能ばらつきによって発生する誤差を吸収するために行う。
【0023】
即ち、図3において、CCD344は、レンズ部345を介して、基準チャート(基準となる被写体像)101(図1、図2参照)をマスタ102と同時に入射され、入射光を赤色、緑色、及び青色それぞれの電気信号に変換してアナログフロントエンド343に出力する。アナログフロントエンド343は、入力された電気信号を赤色、緑色、及び青色それぞれについて前処理して、FPGA300の映像信号305に、赤色信号、緑色信号、及び青色信号それぞれを出力する。
なお、CPU341は、アナログフロントエンド343、タイミングジェネレータ342、及びFPGA300を所定のソフトウエアに従って制御する。また、タイミングジェネレータ342は、所定のクロック信号(CLK)を生成し、CCD344とアナログフロントエンド343の処理タイミングを同期させる。
【0024】
映像信号処理部305は、アナログフロントエンド343から入力された映像信号の赤色、緑色、及び青色それぞれについて、ガンマレベル補正、DTL補正、ニー補正、マスキング補正、ブラックオフセット、ホワイトクリップ、その他の映像信号処理を施して、赤色信号、緑色信号、及び青色信号それぞれをマトリクス部306に出力する。
【0025】
マトリクス部306は、入力される赤色信号、緑色信号、及び青色信号をマトリクス処理して輝度(Y)信号、青色差(Pb)信号、及び赤色差(Pr)信号を出力する。
即ち、マトリクス部306は、輝度信号、青色差信号、及び赤色差信号をマーカ重畳部311にそれぞれ出力すると共に、デコーダ307にそれぞれ出力する。
また、マトリクス部306は、輝度信号をパラレル−シリアル変換器310に出力し、青色差信号及び赤色差信号を色信号生成部308にそれぞれ出力する。
【0026】
色信号生成部308は、入力された青色差信号及び赤色差信号から色信号を生成し、CPUデータ重畳部309に出力する。
CPUデータ重畳部309は、入力された色信号にCPUデータを重畳して、パラレル−シリアル変換器310に出力する。
パラレル−シリアル変換器310は、入力された輝度信号、色信号をシリアルデータのHD−SDI信号に変換して、HD−SDI入出力端子321、伝送線路106を介して、CCU109に出力する。
【0027】
マーカ重畳部311は、図2で示したようなマーカを入力された輝度信号、青色差信号、及び赤色差信号に重畳して、マーカを重畳した輝度信号をパラレル−シリアル変換器313及びマトリクス部314に出力する。また、マーカ重畳部311は、マーカを重畳した青色差信号及び赤色差信号を、色信号生成部312とD−A変換器351に出力する。
色信号生成部312は、入力された青色差信号及び赤色差信号をもとに色信号を生成し、パラレル−シリアル変換器313に出力する。
パラレル−シリアル変換器313は、入力された輝度信号、色信号をシリアルデータのHD−SDI信号に変換して、HD−SDI出力端子331に出力する。
【0028】
3値同期混合部314は、入力された色信号のブランキング期間に、複合同期信号を加えて、D−A変換器351に出力する。
D−A変換器351は、入力された輝度信号、青色差信号、及び赤色差信号をそれぞれアナログ信号に変換して、ビューファインダ350にそれぞれ出力する。
ビューファインダ350は、入力された輝度信号、青色差信号、及び赤色差信号に基づいて映像信号を生成し、表示する。
また、ビューファインダ350は、図1、図2等で説明したような、画角を調整する時に使用される。例えば、マスター102若しくはスレーブ102等のTVカメラ装置が、グレースケールチャート101等の基準チャートを撮影して、画角を調整する時に、撮影した基準チャートの映像に、マーカ重畳部311がマーカを重畳し、表示させることによって、作業者が画角調整できるようにしている。
【0029】
次に、微調整処理を説明する。
映像検出処理部304には、上述したように、マスター102からの映像信号の他、当該スレーブ103(自TVカメラ装置)の本線映像の映像信号がデコーダ307から入力されている。
映像検出処理部304は、まず、図3のブロック構成図と、図4〜図8に示す処理フローチャートに基づいて、グレースケールチャート101を撮影した結果の映像信号に基づいて、ブラックレベル、ゲインレベル(ホワイトレベル)、フレアレベル、及び、ガンマレベルの微調整処理を行う。その調整後、カラーチャートを撮影した結果の映像信号に基づいて、マスキングの微調整処理を行う。
【0030】
図4は、スレーブ側の映像検出処理部304が、ブラックレベル、ゲインレベル(ホワイトレベル)、フレアレベル、及び、ガンマレベルを調整する場合の処理手順の本発明の一実施例を示すフローチャートである。基準チャートとしてグレースケールチャート101を用いて調整するのはマスキングを除く上記5項目である。
上記5項目の処理はいずれも、始めにマスター102の映像信号のレベル検出を行い、本線信号のレベルとの減算を行う。その後、減算結果がしきい値を下回った場合にその項目の微調整が完了したとしている。
図4において、まず、図1〜図3で説明したように、マスター102とスレーブ103は、同時に、同一のグレースケールチャート101を撮影し、映像本線の映像信号としてそれぞれ取得し画角を調整する。次に、マスター102は、上記ブラックレベル、ホワイトレベル(ゲインレベル)、フレアレベル、及び、ガンマレベルの補正を行って、伝送線路105、MCCU108、伝送線路111、CCU109、伝送線路106、及び、入出力端子321を介してスレーブ103のFPGA300(映像検出処理部304)に出力する。
なお、画角調整時のマーカ201〜207のエリア内の映像信号を用いて、本発明の色信号調整を行う。
【0031】
スレーブ103のFPGA300の映像検出処理部304は、ステップS401ではブラックレベル調整を実施し、ステップS402ではホワイトレベル(ゲインレベル)調整を実施する。さらに、ステップS403ではフレアレベル調整を実施し、ステップS404ではガンマレベルを調整する。
図4のステップS401〜S404について、さらに、図5〜図8を用いて説明する。
【0032】
図5によって、図4のステップS401のブラックレベル調整の詳細の処理動作を説明する。図5は、本発明の一実施例のブラックレベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
ステップS501では、入出力端子321から、FPGA300に入力されたマスタ102の映像信号のブラックレベル値BLmを検出し、ステップS502に処理を移行する。
ステップS502では、自TVカメラ装置のデコーダ307から入力される映像信号のブラックレベル値BLsから、マスタ102の映像信号のブラックレベル値BLmを減算し、減算値BLthを算出し、ステップS503に処理を移行する。
ステップS503では、減算値BLthが予め定められたブラックレベルの所定のしきい値内であるか否かを判定する。減算値BLthが所定のしきい値内と判定した場合にはブラックレベルの調整を終了し、図4のステップS402に処理を移行する。また、減算値BLthが所定のしきい値外と判定した場合にはステップS504に処理を移行する。
ステップS504では、減算値BLthの正負を判定する。減算値BLthが正の場合には、ステップS505に処理を移行し、減算値BLthが負の場合には、ステップS506に処理を移行する。
ステップS505では、自TVカメラ装置のブラックレベル値BLsに1を減算して(BLs=BLs−1)ステップS501の処理に戻る。
ステップS506では、自TVカメラ装置のブラックレベル値BLsに1を加算して(BLs=BLs+1)ステップS501の処理に戻る。
【0033】
図6によって、図4のステップS402のホワイトレベル(ゲインレベル)調整の詳細の処理動作を説明する。図6は、本発明の一実施例のホワイトレベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
ステップS601では、入出力端子321から、FPGA300に入力されたマスタ102の映像信号のホワイトレベル値WLmを検出し、ステップS602に処理を移行する。
ステップS602では、自TVカメラ装置のデコーダ307から入力される映像信号のホワイトレベル値WLsから、マスタ102の映像信号のホワイトレベル値WLmを減算し、減算値WLthを算出し、ステップS603に処理を移行する。
ステップS603では、減算値WLthが予め定められたホワイトレベルの所定のしきい値内であるか否かを判定する。減算値WLthが所定のしきい値内と判定した場合にはホワイトレベルの調整を終了し、図4のステップS403に処理を移行する。また、減算値WLthが所定のしきい値外と判定した場合にはステップS604に処理を移行する。
ステップS604では、減算値WLthの正負を判定する。減算値WLthが正の場合には、ステップS605に処理を移行し、減算値WLthが負の場合には、ステップS606に処理を移行する。
ステップS605では、自TVカメラ装置のホワイトレベル値WLsに1を減算して(WLs=WLs−1)ステップS601の処理に戻る。
ステップS606では、自TVカメラ装置のホワイトレベル値WLsに1を加算して(WLs=WLs+1)ステップS601の処理に戻る。
【0034】
図7によって、図4のステップS403のフレアレベル調整の詳細の処理動作を説明する。図7は、本発明の一実施例のフレアレベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
ステップS701では、入出力端子321から、FPGA300に入力されたマスタ102の映像信号のフレアレベル値FLmを検出し、ステップS702に処理を移行する。
ステップS702では、自TVカメラ装置のデコーダ307から入力される映像信号のフレアレベル値FLsから、マスタ102の映像信号のフレアレベル値FLmを減算し、減算値FLthを算出し、ステップS703に処理を移行する。
ステップS703では、減算値FLthが予め定められたフレアレベルの所定のしきい値内であるか否かを判定する。減算値FLthが所定のしきい値内と判定した場合にはフレアレベルの調整を終了し、図4のステップS404に処理を移行する。また、減算値FLthが所定のしきい値外と判定した場合にはステップS704に処理を移行する。
ステップS704では、減算値FLthの正負を判定する。減算値FLthが正の場合には、ステップS705に処理を移行し、減算値FLthが負の場合には、ステップS706に処理を移行する。
ステップS705では、自TVカメラ装置のフレアレベル値FLsに1を減算して(FLs=FLs−1)ステップS701の処理に戻る。
ステップS706では、自TVカメラ装置のフレアレベル値FLsに1を加算して(FLs=FLs+1)ステップS701の処理に戻る。
【0035】
図8によって、図4のステップS404のガンマレベル調整の詳細の処理動作を説明する。図8は、本発明の一実施例のガンマレベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
ステップS801では、入出力端子321から、FPGA300に入力されたマスタ102の映像信号のガンマレベル値GLmを検出し、ステップS802に処理を移行する。
ステップS802では、自TVカメラ装置のデコーダ307から入力される映像信号のガンマレベル値GLsから、マスタ102の映像信号のガンマレベル値GLmを減算し、減算値GLthを算出し、ステップS803に処理を移行する。
ステップS803では、減算値GLthが予め定められたガンマレベルの所定のしきい値内であるか否かを判定する。減算値GLthが所定のしきい値内と判定した場合にはガンマレベルの調整を終了し、図4の処理を終了する。また、減算値GLthが所定のしきい値外と判定した場合にはステップS804に処理を移行する。
ステップS804では、減算値GLthの正負を判定する。減算値GLthが正の場合には、ステップS805に処理を移行し、減算値GLthが負の場合には、ステップS806に処理を移行する。
ステップS805では、自TVカメラ装置のガンマレベル値GLsに1を減算して(GLs=GLs−1)ステップS801の処理に戻る。
ステップS806では、自TVカメラ装置のガンマレベル値GLsに1を加算して(GLs=GLs+1)ステップS801の処理に戻る。
【0036】
上述した図1〜図8の実施例によって、基準チャートとしてグレースケールチャート101を用いた微調整処理(ブラックレベル、ゲインレベル、フレアレベル、ガンマレベル)を行った後、次に、マスキングパラメータの自動調整を行う。このため、基準チャートをカラーチャートに変更する必要がある。
ブラックレベル、ゲインレベル、フレアレベル、ガンマレベルの微調整を行っている間には、TVカメラ装置は、グレースケールチャート101を基準チャートとして撮影しており、図2に示すようなビューファインダ350には、撮影されたグレースケールチャート101の映像が表示されている。
そして、ブラックレベル、ゲインレベル、フレアレベル、ガンマレベルの微調整が終了した場合には、映像検出処理部304は、CPU341にマーカ重畳にブラック、ゲインレベル、フレアレベル、ガンマレベルの微調整が終了した旨の情報を出力すると共に、マーカ重畳部311にワーニングメッセージを重畳させる。その結果、ビューファインダ350には、撮影されたグレースケールチャート101の映像に重ねて、ワーニングメッセージが、例えば“ Please change the Grayscale chart into the Color Chart.”と表示される。
【0037】
ビューファインダ上にワーニングメッセージが表示された場合には、作業者は、図1の基準チャートを、グレースケールチャート101からカラーチャートに変更する。図10は、カラーチャートの一例を示す図である。1001はビューファインダ等の表示部に表示された表示映像である。
表示映像1001内は、同じ形状で同じ面積の方形の枠毎に異なる色が配置されているチャートである。例えば行1002の2つ行は、それぞれ色が異なる中間色である。また行1003の行には、左から、青色(B)、緑色(G)、赤色(R)、黄色(Ye)、マゼンタ色(Mg)、シアン色(Cy)と、3原色とそれらの補色が配置されている。さらに行1004には、グレースケールが配置される。また、1011は青色(B)、1012は緑色(G)、1013は赤色(R)、1014は黄色(Ye)、1015はマゼンタ色(Mg)、1016はシアン色(Cy)である。なお、色の数(行や列の数)や配置される色の順番、等は任意である。
【0038】
次に、マスター102及びスレーブ103、104等、それぞれにおいて、画角調整を行う。画角調整について、図11を用いて説明する。図11は、本発明の一実施例のカラーチャートによる各TVカメラ装置の画角調整を説明するための図である。1101はビューファインダ等の表示部に表示された表示映像、1111〜1116はマーカである。
図11において、画角調整を行う。そのため、基準チャートの交換後、先ず、各TVカメラ装置(マスタ102、スレーブ103、104)では、カラーチャートを撮影する。
例えば図11のメッセージ903の様に、“ Please set the Color Chart.”と表示され、撮影されたカラーチャートの映像は、ビューファインダと呼ばれる映像表示装置やTVカメラ装置の出力信号に重畳される画角調整用の枠状のマーカ1111〜1116が基準チャートの特定の部分(カラーチャートの場合には、3原色とその補色のエリア内)と重なるように、作業者等によって画角を調整する。この画角調整用のマーカ1111〜1116は、映像表示装置やCCU(及びMCCU)のピクチャ出力のみに重畳し、本線信号には重畳しない。このマーカ1111〜1116内のエリア部分の映像信号の信号レベルを検出し、後述する映像検出処理を行う。
画角調整が終わった後は、ワーニングメッセージの表示はしない。
【0039】
図12において、マスター102とスレーブ103は、同時に、同一のカラーチャートを撮影し、映像本線の映像信号としてそれぞれ取得し画角を調整する。次に、マスター102は、後述する6つのパラメータの調整を行って、伝送線路105、MCCU108、伝送線路111、CCU109、伝送線路106、及び、入出力端子321を介してスレーブ103のFPGA300(映像検出処理部304)に出力する。
なお、画角調整時のマーカ1111〜1116のエリア内の映像信号を用いて、本発明のマスキングパラメータの調整を行う。
このマスキングパラメータの調整の終了をもって、色信号調整処理を終了とする。
【0040】
図12は、スレーブ側の映像検出処理部304が、マスキングパラメータを調整する場合の処理手順の本発明の一実施例を示すフローチャートである。
即ち、図12において、ステップS1201でR(赤色)パラメータを調整し、ステップS1202でG(緑色)パラメータを調整し、ステップS1203でB(青色)パラメータを調整する。さらに、ステップS1204でCy(シアン色)パラメータを調整し、ステップS1205でMg(マゼンタ色)パラメータを調整し、ステップS1206でYe(黄色)パラメータを調整する。
なお、ステップS1201〜S1206の処理は、図12の順番で行う必要は無く、順不同で良い。
上記6項目の処理はいずれも、始めにマスター102の映像信号のレベル検出を行い、本線信号のレベルとの減算を行う。その後、減算結果がしきい値を下回った場合にその項目の微調整が完了したとしている。
図12のステップS1201〜S1206について、さらに、図13〜図18を用いて説明する。
【0041】
図13によって、図12のステップS1201の赤色レベルの調整の詳細の処理動作を説明する。図13は、本発明の一実施例の赤色レベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
ステップS1301では、入出力端子321から、FPGA300に入力されたマスタ102の映像信号の赤色レベル値RcLmを検出し、ステップS1302に処理を移行する。
ステップS1302では、自TVカメラ装置のデコーダ307から入力される映像信号の赤色レベル値RcLsから、マスタ102の映像信号の赤色レベル値RcLmを減算し、減算値RcLthを算出し、ステップS1303に処理を移行する。
ステップS1303では、減算値RcLthが予め定められた赤色レベルの所定のしきい値内であるか否かを判定する。減算値RcLthが所定のしきい値内と判定した場合には赤色レベルの調整を終了し、図12のステップS1202に処理を移行する。また、減算値RcLthが所定のしきい値外と判定した場合にはステップS1304に処理を移行する。
ステップS1304では、減算値RcLthの正負を判定する。減算値RcLthが正の場合には、ステップS1305に処理を移行し、減算値RcLthが負の場合には、ステップS1306に処理を移行する。
ステップS1305では、自TVカメラ装置の赤色レベル値RcLsに1を減算して(RcLs=RcLs−1)ステップS1301の処理に戻る。
ステップS1306では、自TVカメラ装置の赤色レベル値RcLsに1を加算して(RcLs=RcLs+1)ステップS1301の処理に戻る。
【0042】
図14によって、図12のステップS1202の緑色レベルの調整の詳細の処理動作を説明する。図14は、本発明の一実施例の緑色レベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
ステップS1401では、入出力端子321から、FPGA300に入力されたマスタ102の映像信号の赤色レベル値GcLmを検出し、ステップS1402に処理を移行する。
ステップS1402では、自TVカメラ装置のデコーダ307から入力される映像信号の緑色レベル値GcLsから、マスタ102の映像信号の緑色レベル値GcLmを減算し、減算値GcLthを算出し、ステップS1403に処理を移行する。
ステップS1403では、減算値GcLthが予め定められた緑色レベルの所定のしきい値内であるか否かを判定する。減算値GcLthが所定のしきい値内と判定した場合には緑色レベルの調整を終了し、図12のステップS1203に処理を移行する。また、減算値GcLthが所定のしきい値外と判定した場合にはステップS1404に処理を移行する。
ステップS1404では、減算値GcLthの正負を判定する。減算値GcLthが正の場合には、ステップS1405に処理を移行し、減算値GcLthが負の場合には、ステップS1406に処理を移行する。
ステップS1405では、自TVカメラ装置の緑色レベル値GcLsに1を減算して(GcLs=GcLs−1)ステップS1401の処理に戻る。
ステップS1406では、自TVカメラ装置の緑色レベル値GcLsに1を加算して(GcLs=GcLs+1)ステップS1401の処理に戻る。
【0043】
図15によって、図12のステップS1203の青色レベルの調整の詳細の処理動作を説明する。図15は、本発明の一実施例の青色レベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
ステップS1501では、入出力端子321から、FPGA300に入力されたマスタ102の映像信号の青色レベル値BcLmを検出し、ステップS1502に処理を移行する。
ステップS1502では、自TVカメラ装置のデコーダ307から入力される映像信号の青色レベル値BcLsから、マスタ102の映像信号の青色レベル値BcLmを減算し、減算値BcLthを算出し、ステップS1503に処理を移行する。
ステップS1503では、減算値BcLthが予め定められた青色レベルの所定のしきい値内であるか否かを判定する。減算値BcLthが所定のしきい値内と判定した場合には青色レベルの調整を終了し、図12のステップS1204に処理を移行する。また、減算値BcLthが所定のしきい値外と判定した場合にはステップS1504に処理を移行する。
ステップS1504では、減算値BcLthの正負を判定する。減算値BcLthが正の場合には、ステップS1505に処理を移行し、減算値BcLthが負の場合には、ステップS1506に処理を移行する。
ステップS1505では、自TVカメラ装置の青色レベル値BcLsに1を減算して(BcLs=BcLs−1)ステップS1501の処理に戻る。
ステップS1506では、自TVカメラ装置の青色レベル値BcLsに1を加算して(BcLs=BcLs+1)ステップS1501の処理に戻る。
【0044】
図16によって、図12のステップS1204のシアン色レベルの調整の詳細の処理動作を説明する。図16は、本発明の一実施例のシアン色レベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
ステップS1601では、入出力端子321から、FPGA300に入力されたマスタ102の映像信号のシアン色レベル値CyLmを検出し、ステップS1602に処理を移行する。
ステップS1602では、自TVカメラ装置のデコーダ307から入力される映像信号のシアン色レベル値CyLsから、マスタ102の映像信号のシアン色レベル値CyLmを減算し、減算値CyLthを算出し、ステップS1603に処理を移行する。
ステップS1603では、減算値CyLthが予め定められたシアン色ベルの所定のしきい値内であるか否かを判定する。減算値CyLthが所定のしきい値内と判定した場合にはシアン色レベルの調整を終了し、図12のステップS1205に処理を移行する。また、減算値CyLthが所定のしきい値外と判定した場合にはステップS1604に処理を移行する。
ステップS1604では、減算値CyLthの正負を判定する。減算値CyLthが正の場合には、ステップS1605に処理を移行し、減算値CyLthが負の場合には、ステップS1606に処理を移行する。
ステップS1605では、自TVカメラ装置のシアン色レベル値CyLsに1を減算して(CyLs=CyLs−1)ステップS1601の処理に戻る。
ステップS1606では、自TVカメラ装置のシアン色レベル値CyLsに1を加算して(CyLs=CyLs+1)ステップS1601の処理に戻る。
【0045】
図17によって、図12のステップS1205のマゼンタ色レベルの調整の詳細の処理動作を説明する。図17は、本発明の一実施例のシアン色レベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
ステップS1701では、入出力端子321から、FPGA300に入力されたマスタ102の映像信号のシアン色レベル値MgLmを検出し、ステップS1702に処理を移行する。
ステップS1702では、自TVカメラ装置のデコーダ307から入力される映像信号のマゼンタ色レベル値MgLsから、マスタ102の映像信号のマゼンタ色レベル値MgLmを減算し、減算値MgLthを算出し、ステップS1703に処理を移行する。
ステップS1703では、減算値MgLthが予め定められたマゼンタ色ベルの所定のしきい値内であるか否かを判定する。減算値MgLthが所定のしきい値内と判定した場合にはマゼンタ色レベルの調整を終了し、図12のステップS1206に処理を移行する。また、減算値MgLthが所定のしきい値外と判定した場合にはステップS1704に処理を移行する。
ステップS1704では、減算値MgLthの正負を判定する。減算値MgLthが正の場合には、ステップS1705に処理を移行し、減算値MgLthが負の場合には、ステップS1706に処理を移行する。
ステップS1705では、自TVカメラ装置のマゼンタ色レベル値MgLsに1を減算して(MgLs=MgLs−1)ステップS1701の処理に戻る。
ステップS1706では、自TVカメラ装置のマゼンタ色レベル値MgLsに1を加算して(MgLs=MgLs+1)ステップS1701の処理に戻る。
【0046】
図18によって、図12のステップS1206の黄色レベルの調整の詳細の処理動作を説明する。図18は、本発明の一実施例の黄色レベルを調整する場合の処理手順を示すフローチャートである。
ステップS1801では、入出力端子321から、FPGA300に入力されたマスタ102の映像信号の黄色レベル値YeLmを検出し、ステップS1802に処理を移行する。
ステップS1802では、自TVカメラ装置のデコーダ307から入力される映像信号の黄色レベル値YeLsから、マスタ102の映像信号の黄色レベル値YeLmを減算し、減算値YeLthを算出し、ステップS1803に処理を移行する。
ステップS1803では、減算値YeLthが予め定められた黄色ベルの所定のしきい値内であるか否かを判定する。減算値YeLthが所定のしきい値内と判定した場合にはマゼンタ色レベルの調整を終了し、図12の処理を移行する。また、減算値YeLthが所定のしきい値外と判定した場合にはステップS1804に処理を移行する。
ステップS1804では、減算値YeLthの正負を判定する。減算値YeLthが正の場合には、ステップS1705に処理を移行し、減算値YeLthが負の場合には、ステップS1806に処理を移行する。
ステップS1805では、自TVカメラ装置の黄色レベル値YeLsに1を減算して(YeLs=YeLs−1)ステップS1801の処理に戻る。
ステップS1806では、自TVカメラ装置の黄色レベル値YeLsに1を加算して(YeLs=YeLs+1)ステップS1801の処理に戻る。
【0047】
上記実施例によれば、TVカメラ装置間の色合わせ作業の時間を大幅に短縮できる。また調整が自動化がし易い。さらに、TVカメラ装置間の色信号調整のばらつきが減少する。
その上、作業者に熟練度に依存せず、簡単、かつ迅速に各TVカメラ間の色信号調整が実現できる。
【0048】
上述の如く、本発明の一実施例の微調整処理を図1〜図18によって説明した。次に、本発明の別の実施例を図19のフローチャートによって説明する。図19の実施例は、図4のグレースケールチャートによる微調整の後に、図19のステップS1901追加したものである。
即ち、グレースケールチャートを用いて、ブラックレベル、ゲインレベル(ホワイトレベル)、フレアレベル、及び、ガンマレベルの微調整処理に加えて、ニーレベルの調整を行うものである。そしてその調整後、カラーチャートを撮影した結果の映像信号に基づいて、マスキングの微調整処理を行うものである。
【0049】
図4は、スレーブ側の映像検出処理部304が、ブラックレベル、ゲインレベル(ホワイトレベル)、フレアレベル、及び、ガンマレベルを調整する場合の処理手順の本発明の一実施例を示すフローチャートである。基準チャートとしてグレースケールチャート101を用いて調整するのはマスキングを除く上記5項目である。
【0050】
図19の実施例によれば、さらに、ニー特性も調整できるため、上記図1〜図18の効果に加え、色信号調整のばらつきを減少させることができる。
【0051】
図20によって、本発明の別の実施例を説明する。
図20は、本発明の色信号調整作業を行う場合のTVカメラ装置制御システムの一実施例の構成を示すブロック図である。2002はマスター、2003と2004はスレーブである。また、2005と2006は、同軸ケーブル等の伝送線路である。
上述の図1〜図18の実施例では、カメラ制御装置(MCCU、CCU)とTVカメラ装置とを接続するシステム運用について例を述べた。しかし、本発明はTVカメラ装置のみの運用でも適用可能である。図20は、TVカメラ装置のみの運用時における本発明の適用例を示す。
図20において、マスター2002の出力信号をスレーブ2003、及び2004に伝送線路2005、2006を介して入力する。その後、各スレーブ2003及び2004は、マスター2002の出力信号から抽出した各種設定データをもとに、自機TVカメラ装置本体の設定を行い、上述した処理(ブラック、ゲインレベル、フレアレベル、ガンマレベル、ニーレベル、及びマスキング)を行う。
【0052】
以上述べたように、本発明の一実施形態は、レンズ部を介して入射する被写体像を分光し、固体撮像素子に照射して映像信号に変換するテレビジョンカメラ装置であって、色信号調整の基準となるテレビジョンカメラ装置から、色信号調整された赤色、緑色、及び青色の各チャネルの信号を多重化した映像信号を入力し、該入力された映像信号の値に合致するように、色信号調整するテレビジョンカメラ装置である。
好ましくは、上記テレビジョンカメラ装置は、前記色信号調整の基準となるテレビジョンカメラ装置が色信号調整するために撮影する基準チャートを、同時に撮影して前記入力された映像信号の値に合致するように、色信号調整するものである。さらに好ましくは、前記基準チャートに所定の複数のエリアを設け、当該エリアの撮影一が、所定のマーカの位置と合致するように調整することによって、前記色信号調整の基準となるテレビジョンカメラ装置の画角と合致するように画角調整してから色信号調整するものである。
また好ましくは、上記テレビジョンカメラ装置は、前記色信号調整の基準となるテレビジョンカメラ装置から、前記色信号調整された赤色、緑色、及び青色の各チャネルの信号を多重化した映像信号を、HD−SDI(High Definition TeleVision-Serial Digital Interface)形式の信号で入力するものである。
【0053】
また、本発明の一実施形態は、基準チャートを撮影し、予め定められた所定の画角に調整し、ブラックレベル、ホワイトレベル(ゲインレベル)、フレアレベル、ガンマ(γ)レベル、及び色差マトリクスを調整する第1のテレビジョンカメラ装置と、伝送線路と、前記基準チャートを前記第1のテレビジョンカメラ装置と同時に撮影し、かつ、前記所定の画角に調整し、前記第1のテレビジョンカメラ装置から前記伝送線路を介して入力される映像信号と、該入力された該映像信号と合致するように自機の映像信号の映像レベルを調整して、ブラックレベル、ホワイトレベル、フレアレベル、ガンマレベル、及び色差マトリクスを調整する第2のテレビジョンカメラ装置と、からなるテレビジョンカメラ装置制御システムである。
好ましくは、前記第1のテレビジョンカメラ装置がカメラ制御装置と組合わせて運用される場合には、前記伝送線路を介して前記第2のテレビジョンカメラ装置に入力される前記映像信号は、前記第1のテレビジョンカメラ装置のカメラ制御装置のリターン信号である。
また好ましくは、前記伝送線路はHD−SDI(High DefinitionTeleVision-Serial Digital Interface)形式の信号である。
【0054】
また、本発明の一実施形態は、基準チャートを撮影し、予め定められた所定の画角に調整し、ブラックレベル、ホワイトレベル、フレアレベル、ガンマレベル、ニー、及び色差マトリクスを調整する第1のテレビジョンカメラ装置と、伝送線路と、前記基準チャートを前記第1のテレビジョンカメラ装置と同時に撮影し、かつ、前記所定の画角に調整し、前記第1のテレビジョンカメラ装置から前記伝送線路を介して入力される映像信号と、該入力された該映像信号と合致するように自機の映像信号の映像レベルを調整して、ブラックレベル、ホワイトレベル、フレアレベル、ガンマレベル、ニー、及び色差マトリクスを調整する第2のテレビジョンカメラ装置と、からなるテレビジョンカメラ装置制御システムである。
好ましくは、前記第1のテレビジョンカメラ装置がカメラ制御装置と組合わせて運用される場合には、前記伝送線路を介して前記第2のテレビジョンカメラ装置に入力される前記映像信号は、前記第1のテレビジョンカメラ装置のカメラ制御装置のリターン信号である。
また好ましくは、前記伝送線路はHD−SDI(High DefinitionTeleVision-Serial Digital Interface)形式の信号である。
【0055】
以上、本発明を実施例によって詳細に説明した。しかし、本発明は、上述の実施例に限定されるわけではなく、本発明が属する技術分野において、通常の知識を有する者であれば、本発明の思想と精神に基づいて、本発明を修正若しくは変更できる発明が含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0056】
100:スタジオ、 101:グレースケールチャート、 102:マスター、 103、104:スレーブ、 105、106、107:伝送線路、 108:MCCU、109、110:CCU、 111、112:伝送線路、 120:調整室、 200:表示映像、 201〜207:マーカ、 300:FPGA、 301:シリアル−パラレル変換器、 302:デコーダ、 303:データ分離部、 304:映像検出処理部、 305:映像信号処理部、 306:マトリクス部、 307:デコーダ、 308:色信号生成部、 309:CPUデータ重畳部、 310:パラレル−シリアル変換器、 311:マーカ重畳部、 312:色信号生成部、 313:パラレル−シリアル変換器、 314:3値同期混合部、 321:入出力端子、 331:HD−SDI信号出力端子、 341:CPU、 342:タイミングジェネレータ、 343:アナログフロントエンド、 344:CCD、 345:レンズ部、 350:ビューファインダ、 351:D−A変換器、 901:表示画面、 902,903:ワーニングメッセージ、 1001:表示画面、 1002:中間色の行、 1003:グレースケールの行、 1004:青色、 1005:緑色、 1006:赤色、 1007:黄色、 1008:マゼンタ色、 1009:シアン色、 1101:表示画面、 2002:マスター、 2003、2004:スレーブ、 2005、2006:伝送線路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ部を介して入射する被写体像を分光し、固体撮像素子に照射して映像信号に変換するテレビジョンカメラ装置であって、色信号調整の基準となるテレビジョンカメラ装置から、色信号調整された赤色、緑色、及び青色の各チャネルの信号を多重化した映像信号を入力し、該入力された映像信号の値に合致するように、色信号調整することを特徴とするテレビジョンカメラ装置。
【請求項2】
基準チャートを撮影し、予め定められた所定の画角に調整し、ブラックレベル、ホワイトレベル(ゲインレベル)、フレアレベル、ガンマ(γ)レベル、及び色差マトリクスを調整する第1のテレビジョンカメラ装置と、伝送線路と、前記基準チャートを前記第1のテレビジョンカメラ装置と同時に撮影し、かつ、前記所定の画角に調整し、前記第1のテレビジョンカメラ装置から前記伝送線路を介して入力される映像信号と、該入力された該映像信号と合致するように自機の映像信号の映像レベルを調整して、ブラックレベル、ホワイトレベル、フレアレベル、ガンマレベル、及び色差マトリクスを調整する第2のテレビジョンカメラ装置と、からことを特徴とするテレビジョンカメラ装置制御システム。
【請求項3】
基準チャートを撮影し、予め定められた所定の画角に調整し、ブラックレベル、ホワイトレベル、フレアレベル、ガンマレベル、ニー、及び色差マトリクスを調整する第1のテレビジョンカメラ装置と、伝送線路と、前記基準チャートを前記第1のテレビジョンカメラ装置と同時に撮影し、かつ、前記所定の画角に調整し、前記第1のテレビジョンカメラ装置から前記伝送線路を介して入力される映像信号と、該入力された該映像信号と合致するように自機の映像信号の映像レベルを調整して、ブラックレベル、ホワイトレベル、フレアレベル、ガンマレベル、ニー、及び色差マトリクスを調整する第2のテレビジョンカメラ装置と、からなることを特徴とするテレビジョンカメラ装置制御システム。
【請求項1】
レンズ部を介して入射する被写体像を分光し、固体撮像素子に照射して映像信号に変換するテレビジョンカメラ装置であって、色信号調整の基準となるテレビジョンカメラ装置から、色信号調整された赤色、緑色、及び青色の各チャネルの信号を多重化した映像信号を入力し、該入力された映像信号の値に合致するように、色信号調整することを特徴とするテレビジョンカメラ装置。
【請求項2】
基準チャートを撮影し、予め定められた所定の画角に調整し、ブラックレベル、ホワイトレベル(ゲインレベル)、フレアレベル、ガンマ(γ)レベル、及び色差マトリクスを調整する第1のテレビジョンカメラ装置と、伝送線路と、前記基準チャートを前記第1のテレビジョンカメラ装置と同時に撮影し、かつ、前記所定の画角に調整し、前記第1のテレビジョンカメラ装置から前記伝送線路を介して入力される映像信号と、該入力された該映像信号と合致するように自機の映像信号の映像レベルを調整して、ブラックレベル、ホワイトレベル、フレアレベル、ガンマレベル、及び色差マトリクスを調整する第2のテレビジョンカメラ装置と、からことを特徴とするテレビジョンカメラ装置制御システム。
【請求項3】
基準チャートを撮影し、予め定められた所定の画角に調整し、ブラックレベル、ホワイトレベル、フレアレベル、ガンマレベル、ニー、及び色差マトリクスを調整する第1のテレビジョンカメラ装置と、伝送線路と、前記基準チャートを前記第1のテレビジョンカメラ装置と同時に撮影し、かつ、前記所定の画角に調整し、前記第1のテレビジョンカメラ装置から前記伝送線路を介して入力される映像信号と、該入力された該映像信号と合致するように自機の映像信号の映像レベルを調整して、ブラックレベル、ホワイトレベル、フレアレベル、ガンマレベル、ニー、及び色差マトリクスを調整する第2のテレビジョンカメラ装置と、からなることを特徴とするテレビジョンカメラ装置制御システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−4239(P2011−4239A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146436(P2009−146436)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
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