説明

テレビジョン放送受信機及び周波数特性調整方法

【課題】テレビジョンアンテナ以外で妨害波を受信した場合にも、映像信号の周波数特性を調整し、表示部に出力されるビートを低減することの出来るテレビジョン放送受信機を提供することにある。
【解決手段】テレビジョン放送受信機1は、妨害波受信時に、120ミリセックを1つの時間区分として、連続する2つ以上の時間区分で2.5ボルト未満の電圧値が3回以上検出される場合に、制御部14が周波数特性調整部15を制御してRGB信号の所定の周波数帯域を低減させ、RGB信号の所定の周波数帯域を低減した後、1つの時間区分で2.5ボルト未満の電圧値が3回以上検出されない場合に、周波数特性調整部15を制御してRGB信号の所定の周波数帯域を低減する前の状態に戻す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビジョン放送受信機に関し、特にRGB信号の周波数特性を調整する周波数特性調整機能を備えたテレビジョン放送受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、妨害波に対するテレビジョン放送受信機の耐性はイミュニティ試験で評価される。イミュニティ試験に於いて妨害波に対する一定水準以上の耐性を証明することが出来れば、テレビジョン放送受信機の品質保証を証明する一つの要素となるので、妨害波に対して十分な耐性を備えることは、現在、テレビジョン受信機の製造・開発にとって必要不可欠な要素となっている。
【0003】
従来から、妨害波によるテレビジョン放送受信機への干渉妨害を防止する発明が提案されている。例えば、特許文献1には、妨害波による音声信号への干渉妨害を防ぐテレビジョン放送受信機について記載されている。このテレビジョン放送受信機は、VHFローバンド受信時と、VHFハイバンド及びUHFバンド受信時とで、ダウンコンバート用の局部発信回路を切り換えて、VHFローバンド受信時には、妨害波の影響を受けない局部発振信号を出力することで、音声中間周波信号と局部発振信号とを混合して両信号の差分に相当するダウンコンバートされた第2の音声中間周波信号への干渉妨害を防止する。
【0004】
特許文献2には、受信した放送信号から妨害波を除去するテレビジョン放送受信機について記載されている。このテレビジョン放送受信機は、妨害波となる干渉周波数に対して位相同期する位相同期回路と、この位相同期した信号のレベル調整を行い、干渉波周波数信号のレプリカを発生するレベル調整回路を備えており、デジタル信号処理回路に於いて干渉周波数信号のレプリカが復調データからキャンセルされる。
【0005】
特許文献3には、デジタル放送とアナログ放送が混在し、アナログ放送波の隣接チャンネルにデジタル放送波が配置されるような地域に於いて、デジタル放送信号がアナログ放送の帯域内に混入した場合に、アナログ放送の受信状態の劣化を防止するテレビジョン放送受信機について記載されている。このテレビジョン放送受信機は、カラー映像信号の周波数特性を調整することにより、カラー映像信号帯域の4.5MHzから6MHzに混入する不要な信号を低減する。
【特許文献1】特開2002−165154号公報(第4頁、第1図)
【特許文献2】特開2001−339320号公報(第4頁、第1図)
【特許文献3】特開2000−224497号公報(第4−5頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、テレビジョン放送受信機に妨害波が印加された際に発生する現象として、表示部の画面上にビートと呼ばれる波縞状や斜線状のノイズが出力されることが一般に知られている。こうした表示部に出力される映像信号に影響を与える妨害波は、テレビジョンアンテナで受信したテレビジョン放送波に混入される場合や、電源等、テレビジョンアンテナ以外の部分で受信する場合がある。上述の特許文献1に記載の発明では、妨害波による音声信号への干渉妨害を防ぐ構成について記載されているものの、妨害波による映像信号への干渉妨害を防ぐ方法について記載されておらず、また、テレビジョンアンテナ以外の部分で受信した妨害波による干渉妨害を防ぐ内容について扱われていない。特許文献2に記載の発明では、干渉周波数信号のレプリカを作成し、該レプリカを取り除くことで干渉信号成分を除去する内容を扱っているが、テレビジョン放送波に妨害波が混入した場合を想定しているので、上述のような電源部等のテレビジョンアンテナ以外の部分から妨害波を受信した場合には対応出来ない。また、特許文献3に記載の発明では、4.5MHz
から6MHzに混入する不要な信号を低減する構成について記載されているが、テレビジョン放送波に不要な信号が混入している場合を想定しているので、テレビジョンアンテナ以外の部分から妨害波を受信した場合には対応できない。
【0007】
したがって、本発明の目的は、テレビジョンアンテナ以外で妨害波を受信した場合にも、映像信号の周波数特性を調整し、表示部に出力されるビートを低減することの出来るテレビジョン放送受信機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明に係るテレビジョン放送受信機は、テレビジョンチューナと、VTRと、DVD装置とを備える一体型テレビジョン放送受信機であって、テレビジョンチューナ、VTR、DVD装置からの映像信号を処理する映像信号処理部と、映像信号処理部からの映像信号に基づいてRGB信号を出力するクロマICと、RGB信号を増幅するアンプと、アンプからのRGB信号を出力する表示部と、クロマICとアンプとを接続するRGBラインのそれぞれに接続されるトランジスタと、トランジスタの切換えにより接続されるコンデンサとを備え、RGB信号の所定の周波数帯域を低減する周波数特性調整部と、基準電源と、基準電源に接続され、妨害波を受信するラインと、ラインの電圧を検出する検出部を備え、妨害波受信時に、120ミリセックを1つの時間区分として、連続する2つ以上の時間区分で2.5ボルト未満の電圧値が3回以上検出される場合に、周波数特性調整部を制御してRGB信号の所定の周波数帯域を低減させ、さらに、RGB信号の所定の周波数帯域を低減した後、1つの時間区分で2.5ボルト未満の電圧値が3回以上検出されない場合に、周波数特性調整部を制御して、RGB信号の所定の周波数帯域を低減する前の状態に戻す制御部とを備えることを特徴とする。
【0009】
このテレビジョン放送受信機によれば、120ミリセックを1つの時間区分として、連続する2つ以上の時間区分で2.5ボルト未満の電圧値が3回以上検出される場合に、
制御部が周波数特性調整部を制御して、テレビジョンチューナ、VTR、DVD装置からの映像信号に基づくRGB信号の所定の周波数特性を低減することが出来るので、表示部に出力されるノイズを見えにくくすることが出来る。また、この条件を満たさない場合、つまり、妨害波の影響が殆どない状況や妨害波を受信していない状況に於いて、RGB信号の所定の周波数帯域が低減されて、表示部に出力される映像に悪影響を与えることを防止することが出来る。さらに、このテレビジョン放送受信機によれば、制御部は、RGB信号の所定の周波数帯域を低減した後、1つの時間区分で2.5ボルト未満の電圧値が3回以上検出されない場合には、周波数特性調整部を制御して、テレビジョンチューナ、VTR,DVD装置に基づくRGB信号の所定の周波数帯域を低減する前の状態に戻すので、妨害波の影響が殆どなくなった状況や、妨害波を受信しなくなった状に於いて、継続してRGB信号の所定の周波数帯域が低減されて表示部に出力される映像に悪影響を与えることを防止することが出来る。
【0010】
第2発明に係るテレビジョン放送受信機は、テレビジョンチューナと、映像信号を処理する映像信号処理部と、映像信号処理部からの映像信号に基づいてRGB信号を出力するクロマICと、RGB信号を増幅するアンプと、アンプからのRGB信号を出力する表示部と、クロマICとアンプとを接続するRGBラインのそれぞれに接続されるトランジスタと、トランジスタの切換えにより接続されるコンデンサとを備え、RGB信号の所定の周波数帯域を低減する周波数特性調整部と、基準電源と、基準電源に接続され、妨害波を受信するラインと、ラインの電圧を検出する検出部を備え、妨害波受信時にラインの電圧が所定の条件で検出される場合に、周波数特性調整部を制御してRGB信号の所定の周波数帯域を低減させる制御部とを備えることを特徴とする。
【0011】
このテレビジョン放送受信機によれば、妨害波受信時に電圧値が所定の条件で検出される場合に、制御部が周波数特性調整部を制御してRGB信号の所定の周波数帯域を低減さ
せるので、妨害波の影響で表示部に出力されるノイズを軽減することが出来る。
【0012】
第3発明に係るテレビジョン放送受信機は、第2発明に係るテレビジョン放送受信機に於いて、制御部は、妨害波受信時に、120ミリセックを1つの時間区分として、連続する2つ以上の時間区分で2.5ボルト未満の電圧値が3回以上検出される場合に、周波数特性調整部を制御してRGB信号の所定の周波数帯域を低減することを特徴とする。
【0013】
このテレビジョン放送受信機によれば、制御部は、120ミリセックを1つの時間区分として、連続する2つ以上の時間区分で2.5ボルト未満の電圧値が3回以上検出される場合のみ、周波数特性調整部を制御するので、この条件を満たさない場合、つまり、妨害波の影響が殆どない状況や妨害波を受信していない状況に於いて、RGB信号の所定の周波数帯域が低減されて、表示部に出力される映像に悪影響を与えることを防止することが出来る。
【0014】
第4発明に係るテレビジョン放送受信機は、第2乃至第3発明の何れか一つに係るテレビジョン放送受信機に於いて、制御部は、RGB信号の所定の周波数帯域を低減した後、1つの時間区分で2.5ボルト未満の電圧値が3回以上検出されない場合に、周波数特性調整部を制御してRGB信号の所定の周波数帯域を低減する前の状態に戻すことを特徴とする。
【0015】
このテレビジョン放送受信機によれば、制御部は、RGB信号の所定の周波数帯域を低減した後、1つの時間区分で2.5ボルト未満の電圧値が3回以上検出されない場合には、周波数特性調整部を制御して、RGB信号の所定の周波数帯域を低減する前の状態に戻すので、妨害波の影響が殆どなくなった状況や、妨害波を受信しなくなった状況に於いて、継続してRGB信号の所定の周波数帯域が低減されて表示部に出力される映像に悪影響を与えることを防止することが出来る。
【0016】
第5発明に係るテレビジョン放送受信機は、第2乃至第4発明の何れか一つに係るテレビジョン放送受信機に於いて、VTRを備えた一体型テレビジョン放送受信機であることを特徴とする。
【0017】
このテレビジョン放送受信機によれば、妨害波受信時に電圧値が所定の条件で検出される場合に、周波数特性調整部を制御して、テレビジョンチューナとVTRからの映像信号に基づくRGB信号の所定の周波数帯域を低減させることが出来る。
【0018】
第6発明に係るテレビジョン放送受信機は、第2乃至第4発明の何れか一つに係るテレビジョン放送受信機に於いて、DVD装置を備えた一体型テレビジョン放送受信機であることを特徴とする。
【0019】
このテレビジョン放送受信機によれば、妨害波受信時に電圧値が所定の条件で検出される場合に、周波数特性調整部を制御して、テレビジョンチューナとDVD装置からの映像信号に基づくRGB信号の所定の周波数帯域を低減させることが出来る。
【0020】
第7発明に係るテレビジョン放送受信機は、第2乃至第4発明の何れか一つに係るテレビジョン放送受信機に於いて、VTRとDVD装置とを備えた一体型テレビジョン放送受信機であることを特徴とする。
【0021】
このテレビジョン放送受信機によれば、妨害波受信時に電圧値が所定の条件で検出される場合に、周波数特性調整部を制御して、テレビジョンチューナ、VTR、及びDVD装置からの映像信号に基づくRGB信号の所定の周波数帯域を低減させることが出来る。
【0022】
第8発明に係る周波数特性調整方法は、テレビジョンチューナと、映像信号を処理する映像信号処理部と、映像信号処理部からの映像信号に基づいてRGB信号を出力するクロマICと、RGB信号を増幅するアンプと、アンプからのRGB信号を出力する表示部と、クロマICとアンプとを接続するRGBラインのそれぞれに接続されるトランジスタと
、トランジスタの切換えにより接続されるコンデンサとを備え、RGB信号の所定の周波数帯域を低減する周波数特性調整部と、基準電源と、基準電源に接続され、妨害波を受信するラインと前記ラインの電圧を検出する検出部とを備え、周波数特性調整部を制御する制御部と、を備えるテレビジョン放送受信機に於いて、妨害波受信時にラインの電圧が所定の条件で検出される場合に、制御部が周波数特性調整部を制御してRGB信号の所定の周波数帯域を低減させることを特徴とする。
【0023】
この周波数特性調整方法によれば、妨害波受信時に電圧値が所定の条件で検出される場合に、制御部が周波数特性調整部を制御してRGB信号の所定の周波数帯域を低減させるので、妨害波の影響で表示部に出力されるノイズを軽減することが出来る。
【0024】
第9発明に係る周波数特性調整方法は、第8発明に係る周波数特性調整方法に於いて、制御部は、妨害波受信時に、120ミリセックを1つの時間区分として、連続する2つ以上の時間区分で2.5ボルト未満の電圧値が3回以上検出される場合に、周波数特性調整部を制御して所定の周波数帯域を低減することを特徴とする。
【0025】
この周波数特性調整方法によれば、制御部は、120ミリセックを1つの時間区分として、連続する2つ以上の時間区分で2.5ボルト未満の電圧値が3回以上検出される場合のみ、周波数特性調整部を制御して所定の周波数帯域を低減するので、この条件を満たさない場合、つまり、妨害波の影響が殆どない状況や妨害波を受信していない状況に於いて、RGB信号の所定の周波数帯域が低減されて、表示部に出力される映像に悪影響を与えることを防止することが出来る。
【0026】
第10発明に係る周波数特性調整方法は、第8乃至第9発明の何れか一つに係る周波数特性調整方法に於いて、制御部は、RGB信号の所定の周波数帯域を低減した後、1つの時間区分で2.5ボルト未満の電圧値が3回以上検出されない場合に、周波数特性調整部を制御してRGB信号の所定の周波数帯域を低減する前の状態に戻すことを特徴とする。
【0027】
この周波数特性調整方法によれば、制御部は、RGB信号の所定の周波数帯域を低減した後、1つの時間区分で2.5ボルト未満の電圧値が3回以上検出されない場合には、周波数特性調整部を制御して、RGB信号の所定の周波数帯域を低減する前の状態に戻すので、妨害波の影響が殆どなくなった状況や、妨害波を受信しなくなった状に於いて、継続してRGB信号の所定の周波数帯域が低減されて表示部に出力される映像に悪影響を与えることを防止することが出来る。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、妨害波受信時に電圧が所定の条件で検出された場合、RGB信号の所定の周波数帯域を低減することによって、表示部に出力されるノイズを軽減することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
[構成]
図1は、本実施形態に係るテレビジョン放送受信機1の概略構成図である。また、図2は、本実施形態に係るテレビジョン放送受信機1に於ける電源部16の概略構成図であり、図3は本実施形態に係るテレビジョン放送受信機1に於けるクロマIC11及び周波数特性調整部15の概略構成図である。
【0030】
テレビジョン放送受信機1は、アンテナ2と、チューナ3と、DVD装置4と、VTR5と、入力セレクタ6と、音声処理部7と、アンプ8と、スピーカ9と、映像信号処理部10と、クロマIC11と、アンプ12と表示部13と、制御部14と、周波数特性調整部15と、電源部16とを備える。
【0031】
アンテナ2は、テレビジョン放送の放送電波を受信し、電気信号である放送信号に変換
する。テレビジョンチューナ3は、アンプ、フィルタ、混合器、PLL等(図示せず)で構成され、放送信号に所定の処理を施し、入力セレクタ6を介して、音声信号処理部7及び映像信号処理部10に信号を出力する。DVD装置4は、光ディスク記憶媒体(図示せず)に記録されたデータを音声信号及び映像信号に変換し、入力セレクタ6を介して、それぞれの信号を音声信号処理部7及び映像信号処理部10に信号を出力する。VTR5は、ビデオテープに記録された音声信号及び映像信号を読み出し、入力セレクタ6を介して、それぞれの信号を音声信号処理部7及び映像信号処理部10に信号を出力する
入力セレクタ10は、制御部14の制御により、テレビジョンチューナ3とDVD装置4とVTR5の内、何れかの音声信号及び映像信号をそれぞれ音声信号処理部7及び映像信号処理部10に切換えて出力する。
【0032】
音声信号処理部7は、入力セレクタ6を介して入力された音声信号に所定の処理を施し、アンプ8に出力する。アンプ8は、入力セレクタ6を介して入力された音声信号を増幅してスピーカ9に出力する。スピーカ9はアンプ8からの音声信号を出力する。
【0033】
映像信号処理部10は、入力セレクタ6を介して入力された映像信号に所定の処理を施し、クロマIC11に出力する。クロマIC11は、映像信号処理部10からの映像信号に基づいて映像出力可能なRGB再生信号を生成して、アンプ12に出力する。アンプ12は、クロマICからのRGB再生信号を増幅し、表示部13に出力する。表示部13はCRTであり、アンプ12からの再生信号を出力する。
【0034】
電源部16は、図2に図示されている通り、電源16a及び抵抗16bとを備えている。電源16aは5Vの基準電圧を抵抗16bに出力する。抵抗16bは、抵抗値10MΩの抵抗であり、妨害波を検知し易いようにラインインピーダンスを高めている。また、抵抗16bと制御部14に設けられた検出ポート14aはライン16cで接続されており、該ライン16cによって妨害波を受信することが出来るように、ライン16cの長さを長くして妨害波に対するアンテナ効果を高めている。具体的には、ライン16cの長さは、受信対象の妨害波の周波数に応じてアンテナ効果が最大になるように所定の長さに調整される。この時、該ライン16cで受信される妨害波は、空中から進入する妨害波と電源部16を介して進入する妨害波の両方である。検出ポート14aは妨害波の進入を検出し、制御部14にこれを出力する。
【0035】
操作部17はユーザからの入力を受け付けて、制御部17に信号を出力する。制御部14は、操作部17からの出力に基づいて入力セレクタ6を制御する。また、制御部14は、妨害波検出ポート14aで検出された妨害波に伴う電圧変化が所定の条件を満たす場合に、周波数特性調整部15を制御する。
【0036】
周波数特性調整部15は、図3に図示されている通り、トランジスタ15a、15c、及び15eと、コンデンサ15b、15d、及び15fを備えている。トランジスタ15a、15c、及び15eは、クロマIC11とアンプ12とを接続するRGBライン11aのそれぞれに接続され、また、コンデンサ15b、15d、15fのそれぞれに接続されている。なお、コンデンサ15b、15d、15fは、静電容量が数百pF(ピコファラッド)のセラミックコンデンサである。トランジスタ15a、15c、及び15eのON/OFFの切換えは制御部14によって制御され、妨害波の印加による電圧変化が所定の条件を満たす場合に、制御部14がローの出力をハイの出力に切換えて、これらのトランジスタをONの状態にする。トランジスタ15a、15c、及び15eがONの状態に切換えられると、アンプ12に出力されるRGB再生信号の一定の割合がコンデンサ15b、15d、15fに出力されることにより、RGB再生信号のF特(周波数特性)が低減される。具体的には、RGB再生信号に於ける所定の周波数帯域が低減されることになり、本実施形態に於いては高域側の周波数帯域が低減される。
【0037】
[周波数特性調整]
図4は、本実施形態に係るテレビジョン放送受信機1の周波数特性調整に関するフローチャートである。また、図5(a)は、本実施形態に係るテレビジョン放送受信機1に妨害波が印加された場合の電圧変化を示す図であり、図5(b)は、本実施形態の周波数特性調整実施時の信号強度と電圧の関係を示す図である。
【0038】
テレビジョン放送受信機1に於いて電源部16に接続されているライン16cが妨害波を受信すると、検出ポート14aが妨害波を検出する(S21)。なお、妨害波が印加された場合の電圧変化は図5(a)に図示される通りである。そして、制御部14は、妨害波の印加に伴う電圧変化が所定の条件を満たしているか否かを判定する(S22)。具体的には、120msec(ミリセック)を1つの時間区分として、電圧の値が3回以上2.5Vを下回る区分が2つ以上連続した場合、制御部14は妨害波が印加されたと判定する。そして、制御部14は周波数特性調整部15を制御して、クロマIC11からアンプ12に出力されるRGB再生信号のF特を低減させる(S23)。本実施形態に於いては、主に高域側の周波数帯域を低減させる。この時、信号強度(V)と周波数(Hz)の関係は、図5(b)のようになり、高周波成分ほど信号強度が低減される。これにより、表示部13に出力される例えばビート等のノイズを軽減させることが出来る。一方、ステップ22に於いて、連続する2つ以上の時間区分で電圧が3回以上2.5V以下の状態になっていない場合には、ステップ21に戻る。
【0039】
次に、周波数特性調整部15の制御により、RGB再生信号のF特が低減された後、ステップ24に於いて、1つの時間区分で2.5V以下の電圧が3回以上検出されなくなった場合、制御部14は周波数特性調整部15への出力信号をハイからローに切換えて、周波数特性調整部15のトランジスタ15a、15c、15eをOFFの状態に切換えることによって、RGB再生信号のF特を制御前の状態に戻す(S25)。そして、ステップ25を完了後、ステップ21に戻る。一方、ステップ24に於いて、1つの時間区分で2.5V以下の電圧が3回以上検出された場合には、制御部14は周波数特性調整部15への出力信号をハイの状態に維持し、トランジスタ15a、15c、15eをONの状態に維持する(S26)。そして、ステップ26を完了後、ステップ24に戻る。
【0040】
[作用効果]
本実施形態に係るテレビジョン放送受信機によれば、制御部14は、120ミリセックを1つの時間区分として、連続する2つ以上の時間区分で2.5ボルト未満の電圧値が3回以上検出される場合に、周波数特性調整部15を制御してRGB再生信号のF特を低減し、表示部13に出力されるビートを見えにくくすることが出来る。一方、この条件を満たさない場合、つまり、妨害波の影響が殆どない状況や妨害波を受信していない状況に於いては、RGB信号の周波数特性が低減されて、表示部13に出力される映像に悪影響を与えることを防止することが出来る。
【0041】
さらに、本実施形態に係るテレビジョン放送受信機によれば、制御部14は、RGB信号の周波数特性を低減した後、1つの時間区分で2.5ボルト未満の電圧値が3回以上検出されない場合には、周波数特性調整部15を制御して、RGB再生信号のF特を低減する前の状態に戻すので、妨害波の影響が殆どなくなった状況や、妨害波を受信しなくなった状況に於いて、継続してRGB信号のF特が低減されて表示部13に出力される映像に悪影響を与えることを防止することが出来る。
【0042】
また、本実施形態に係るテレビジョン放送受信機1は、DVD装置4及びVTR5とを備える一体型テレビジョン放送受信機であるので、妨害波受信時に、電圧が所定の条件を満たした場合、チューナ3、DVD装置、及びVTR5からの映像信号に基づくRGB信号の周波数特性を低減して、表示部13に出力されるビートを軽減することが出来る。
【0043】
[その他の実施形態]
なお、本実施形態に係るテレビジョン放送受信機1は、DVD装置4及びVTR5とを搭載した一体型テレビジョン放送受信機であるが、VTR5のみを搭載した一体型テレビジョン放送受信機や、DVD装置4のみを搭載した一体型テレビジョン放送受信機や、DVD装置4やVTR5等の装置を搭載しないテレビジョン放送受信機であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本実施形態に係るテレビジョン放送受信機の概略構成図。
【図2】電源部の概略構成部。
【図3】クロマICと周波数特性調整部の概略構成図。
【図4】本実施形態に係る周波数特性調整に関するフローチャート。
【図5】電圧と時間に関する図、及び、周波数特性調整時の電圧の変化を示す図
【符号の説明】
【0045】
1 テレビジョン放送受信機
2 アンテナ
3 チューナ
4 DVD装置
5 VTR
6 入力セレクタ
7 音声信号処理部
8 アンプ
9 スピーカ
10 映像信号処理部
11 クロマIC
11a RGBライン
12 アンプ
13 表示部
14 制御部
14a 検出ポート
15 周波数特性調整部
15a トランジスタ
15b コンデンサ
15c トランジスタ
15d コンデンサ
15e トランジスタ
15f コンデンサ
16 電源部
16a 電源
16b 抵抗
16c ライン
17 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレビジョンチューナと、VTRと、DVD装置とを備える一体型テレビジョン放送受信機であって、
前記テレビジョンチューナ、前記VTR、前記DVD装置からの映像信号を処理する映像信号処理部と、
前記映像信号処理部からの映像信号に基づいてRGB信号を出力するクロマICと、
前記RGB信号を増幅するアンプと、
前記アンプからの前記RGB信号を出力する表示部と、
前記クロマICと前記アンプとを接続するRGBラインのそれぞれに接続されるトランジスタと、前記トランジスタの切換えにより接続されるコンデンサとを備え、前記RGB信号の所定の周波数帯域を低減する周波数特性調整部と、
基準電源と、
前記基準電源に接続され、妨害波を受信するラインと、
前記ラインの電圧を検出する検出部を備え、前記妨害波受信時に、120ミリセックを1つの時間区分として、連続する2つ以上の時間区分で2.5ボルト未満の電圧値が3回以上検出される場合に、前記周波数特性調整部を制御して前記RGB信号の所定の周波数帯域を低減させ、さらに、前記RGB信号の所定の周波数帯域を低減した後、1つの時間区分で2.5ボルト未満の電圧値が3回以上検出されない場合に、前記周波数特性調整部を制御して、前記RGB信号の所定の周波数帯域を低減する前の状態に戻す制御部と、を備えることを特徴とするテレビジョン放送受信機。
【請求項2】
テレビジョンチューナと、
映像信号を処理する映像信号処理部と、
前記映像信号処理部からの映像信号に基づいてRGB信号を出力するクロマICと、
前記RGB信号を増幅するアンプと、
前記アンプからの前記RGB信号を出力する表示部と、
前記クロマICと前記アンプとを接続するRGBラインのそれぞれに接続されるトランジスタと、前記トランジスタの切換えにより接続されるコンデンサとを備え、前記RGB信号の所定の周波数帯域を低減する周波数特性調整部と、
基準電源と、
前記基準電源に接続され、妨害波を受信するラインと、
前記ラインの電圧を検出する検出部を備え、前記妨害波受信時に前記ラインの電圧が所定の条件で検出される場合に、前記周波数特性調整部を制御して前記RGB信号の所定の周波数帯域を低減させる制御部と、を備えることを特徴とするテレビジョン放送受信機。
【請求項3】
前記制御部は、前記妨害波受信時に、120ミリセックを1つの時間区分として、連続する2つ以上の時間区分で2.5ボルト未満の電圧値が3回以上検出される場合に、前記周波数特性調整部を制御して前記RGB信号の所定の周波数帯域を低減することを特徴とする、請求項2に記載のテレビジョン放送受信機。
【請求項4】
前記制御部は、前記RGB信号の所定の周波数帯域を低減した後、1つの時間区分で2.5ボルト未満の電圧値が3回以上検出されない場合に、前記周波数特性調整部を制御して前記RGB信号の所定の周波数帯域を低減する前の状態に戻すことを特徴とする、請求項2乃至3の何れか一つに記載のテレビジョン放送受信機。
【請求項5】
前記テレビジョン放送受信機は、VTRを備えた一体型テレビジョン放送受信機であることを特徴とする、請求項2乃至4の何れか一つに記載のテレビジョン放送受信機。
【請求項6】
前記テレビジョン放送受信機は、DVD装置を備えた一体型テレビジョン放送受信機で
あることを特徴とする、請求項2乃至4の何れか一つに記載のテレビジョン放送受信機。
【請求項7】
前記テレビジョン放送受信機は、VTRとDVD装置とを備えた一体型テレビジョン放送受信機であることを特徴とする、請求項2乃至4の何れか一つに記載のテレビジョン放送受信機。
【請求項8】
テレビジョンチューナと、映像信号を処理する映像信号処理部と、前記映像信号処理部からの映像信号に基づいてRGB信号を出力するクロマICと、前記RGB信号を増幅するアンプと、前記アンプからの前記RGB信号を出力する表示部と、前記クロマICと前記アンプとを接続するRGBラインのそれぞれに接続されるトランジスタと、前記トランジスタの切換えにより接続されるコンデンサとを備え、前記RGB信号の所定の周波数帯域を低減する周波数特性調整部と、基準電源と、前記基準電源に接続され、妨害波を受信するラインと前記ラインの電圧を検出する検出部とを備え、前記周波数特性調整部を制御する制御部と、を備えるテレビジョン放送受信機に於いて、
前記妨害波受信時に前記ラインの電圧が所定の条件で検出される場合に、前記制御部が前記周波数特性調整部を制御して前記RGB信号の所定の周波数帯域を低減させることを特徴とする周波数特性調整方法。
【請求項9】
前記制御部は、前記妨害波受信時に、120ミリセックを1つの時間区分として、連続する2つ以上の時間区分で2.5ボルト未満の電圧値が3回以上検出される場合に、前記周波数特性調整部を制御して所定の周波数帯域を低減することを特徴とする、請求項9に記載の周波数特性調整方法。
【請求項10】
前記制御部は、前記RGB信号の所定の周波数帯域を低減した後、1つの時間区分で2.5ボルト未満の電圧値が3回以上検出されない場合に、前記周波数特性調整部を制御して前記RGB信号の所定の周波数帯域を低減する前の状態に戻すことを特徴とする、請求項8乃至9の何れか一つに記載の周波数特性調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−54822(P2006−54822A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−236780(P2004−236780)
【出願日】平成16年8月16日(2004.8.16)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】