説明

テレビ受信装置

【課題】 受信状態に応じて映像及び音声の出力レベルを調整してユーザの不快感を低減する。
【解決手段】 テレビ受信装置10は、輝度信号及び色信号を備える映像信号と音声信号とを有するテレビ放送信号を受信して映像信号に応じた映像及び音声信号に応じた音声を出力する。テレビ受信装置10は、輝度信号のレベルを調整するアッテネータ24及び26、色信号のレベルを調整するアッテネータ25及び可変増幅器27、及び音声信号のレベルを調整するアッテネータ33及び可変増幅器34を備え、制御部15はテレビ放送信号の受信状態に応じて可変増幅器を制御して、輝度信号、色信号及び音声信号のレベルを調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、テレビ(TV)放送信号を受信するテレビ受信装置に関し、特に、テレビ放送信号の受信状態に応じて映像信号及び/又は音声信号の出力レベルを調整することのできる車載用のテレビ受信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両等の移動体に搭載された車載用テレビ受信装置でテレビ放送信号を受信している際、車両の移動に伴ってその受信電界強度等の受信状態が変動して、テレビ放送信号を良好に受信できないという事態が生じる。つまり、受信電界強度が低下すると、テレビ受信装置における信号対雑音(S/N)特性が悪化して、テレビ放送信号、特に、映像信号中の雑音レベルが増加して、モニター上に表示される映像が極めて見づらく感じることがある。
【0003】
例えば、地上アナログテレビ放送信号を受信している際に、車両が受信エリアから外れると、モニター画面は所謂スノーノイズ状態となり、音声には雑音が含まれて、ユーザは不快感を感じることがあった。一方、地上デジタルテレビ放送信号では車両が受信エリア内に位置すれば、高画質/高音質でテレビ視聴を行えるものの、一旦受信エリアから外れると突然受信が寸断される。
【0004】
ところで、車載用テレビ受信装置においては、受信状態が悪化した際の耳障りな雑音を防止するため、受信状態が悪化した際に音量を自動的に絞るミュート回路が設けられており、さらには、受信状態に良好な状態に復帰した際に電子ボリュームを制御して徐々に音量を回復させるフェードイン処理が行なわれている。
【0005】
そして、適切なミュート制御を行うため、GPS装置からの位置データによって車両が受信エリアの周辺域に居るか否かを判定して、周辺域に車両が位置すると判定すると、電子ボリュームによるミュート解除時のフェードイン制御の時間を長く設定し、受信エリアの内側に車両が位置すると判定すると、フェードイン時間を短く設定するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、急激な音声出力の途切れを防止するため、音声情報の受信状態を検出して、受信状態が遮断又は復帰状態になることを予測すると、音声情報に対する音量を徐々に低下又は上昇させて、音声出力の急激な途切れ等を防止するようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2001−156656公報(第2頁〜第3頁、第1図〜第4図)
【特許文献2】特開平10−154944号公報(第3頁〜第4頁、第1図〜第7図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のテレビ受信装置は以上のように構成されているので、つまり、車両の位置に応じてミュート解除の際のフェードイン制御の時間を変更するようにしているので、受信エリアから外れても音声についてはユーザに耳障りな不快感を感じることがないものの、映像については、アナログテレビ放送信号を受信中であれば、モニター画面がスノー状態となってユーザは不快感を感じることがあった。
【0009】
デジタルテレビ放送信号を受信中であれば、一旦受信エリアから外れると突然受信が寸断されてしまい、ユーザにとっては音声については適切なミュート処理が行われているにも拘らず、映像が突然寸断されてしまうので、やはりユーザは不快感を感じることがあった。
【0010】
受信状態が遮断又は復帰状態になることを予測した際に、音声情報に対する音量を徐々に低下又は上昇するようにしたとしても、映像については何ら処置していないのであるから、ユーザは上述のような不快感を感じることがあった。
【0011】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、受信状態に応じて映像及び音声の出力レベルを調整してユーザの不快感を低減することのできるテレビ受信装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に係るテレビ受信装置は、輝度信号のレベルを制御する第1の調整手段と、色信号のレベルを制御する第2の調整手段と、音声信号のレベルを制御する第3の調整手段と、テレビ放送信号の受信状態を検出する検出手段と、第1の調整手段乃至前記第3の調整手段における制御レベルと前記受信状態との関係を表すテーブルと、受信状態と前記テーブルとに基づいて前記第1の調整手段乃至前記第3の調整手段を制御する制御手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、テレビ放送信号の受信状態に応じて輝度信号、色信号、及び音声信号のレベルを制御するように構成したので、突然映像が遮断される等の事態は防止され、ユーザの不快感を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1によるテレビ受信装置の一例を示すブロック図であり、図示のテレビ受信装置10は、地上アナログテレビ放送信号を受信する。図1において、テレビ受信装置10は、アンテナ11、チューナ(ダウンコンバータを含む)12、映像検波増幅部13、音声検波増幅部14、及び制御部(制御手段)15を有しており、映像検波増幅部13及び音声検波増幅部14の出力はそれぞれRGB(Red(赤),Green(緑),Blue(青))復調回路16及び音声復調回路17に与えられる。
【0015】
図示のように、映像検波増幅部13は、映像用弾性表面波フィルタ(映像SAWFIL)21、映像検波器22、YC(輝度信号(Y信号)、色信号(C信号))分離器23、アッテネータ(減衰器)24及び25、及び可変増幅器26及び27を有し、音声検波増幅部14は、音声SAWFIL31、音声検波器32、アッテネータ33、及び可変増幅器34を有している。また、制御部15は演算処理装置41及び記憶手段42を備え、記憶手段42には受信状態の一つである受信電界強度と制御電圧との関係を示す受信電界強度−制御電圧テーブル100が予め格納されている(この制御電圧については後述する)。
【0016】
ユーザが所望の放送チャンネル(Ch)を選局すると、アンテナ11を介してチューナ部12で受信されたテレビ放送信号はダウンコンバータでベースバンド帯域までダウンコンバートされて、ベースバンド信号として映像検波増幅部13及び音声検波増幅部14に与えられる。テレビ放送信号、つまり、ベースバンド信号は、Y信号及びC信号を有するコンポジット映像信号と音声信号とを含んでおり、映像検波増幅部13では、映像SAWFIL21によって映像信号の帯域のみを通過させて、映像検波器22によってベースバンド信号が検波されて映像信号が出力される。
【0017】
この映像信号はYC分離器23でY信号とC信号とに分離されて、Y信号及びC信号はそれぞれアッテネータ24及び25で後述するように減衰された後、可変増幅器26及び27で増幅されて、RGB復調回路16に送られる。
【0018】
一方、音声検波増幅部14では、音声SAWFIL31によって音声信号の帯域のみを通過させて、音声検波器32によってベースバンド信号が検波されて音声信号が出力される。この音声信号はアッテネータ33で減衰された後、可変増幅器34で増幅されて、音声復調回路17に送られる。
【0019】
チューナ部12ではテレビ放送信号を受信する際、AGC(Automatic Gain Control)を行っており、このAGCを行う際に用いるAGC電圧が電界強度検出手段(検出手段)51に与えられて、電界強度検出手段51はAGC電圧に応じて受信電界強度を検出する(AGC電圧と受信電界強度との間には相関関係があるので、AGC電圧から受信電界強度を知ることができる)。そして、演算処理装置41は電界強度検出手段51から与えられる受信電界強度に応じて受信電界強度−制御電圧テーブルを参照して制御電圧を得て、この制御電圧によって、後述するようにして可変増幅器26及び27と可変増幅器34の増幅率を変化させる。
【0020】
次に動作について説明する。
図1及び図2を参照して、いま、地上アナログテレビ放送の一チャンネル(Ch)を受信すると(ステップST1)、前述したように、電界強度検出手段51はAGC電圧に基づいてその受信電界強度を検出して演算処理装置41に与える(ステップST2)。演算処理装置41では予め設定された電界強度閾値と受信電界強度とを比較して、その比較結果に基づいてミュート(ソフトミュート)が必要であるか否かを判定する(ステップST3)。
【0021】
例えば、受信電界強度≧電界強度閾値であると、演算処理装置41はソフトミュートが不要であると判断して、次の処理へと移行する。一方、受信電界強度<電界強度閾値であると、演算処理装置41はソフトミュートが必要であると判断して、次のようにしてソフトミュートを実行する。
【0022】
前述したように、Y信号及びC信号はそれぞれアッテネータ24及び25で減衰されるが、この際、Y信号及びC信号は無信号状態となる直前までレベルダウンされる。同様にして、音声信号はアッテネータ33によって無信号状態となる直前までレベルダウンされる。演算処理装置41では記憶手段42に格納された受信電界強度−制御電圧テーブルを参照して、電界強度検出手段51から与えられる受信電界強度に対応する制御電圧を得て、この制御電圧によって可変増幅器26及び27と可変増幅器34の増幅率を制御する。
【0023】
例えば、後述するようにして、受信電界強度に応じて(比例して)、色レベルの制御を行い(ステップST4)、続いて、受信電界強度に応じて輝度レベルの制御を行う(ステップST5)。図3を参照すると、図3はAGC電圧と受信電界強度との関係を示す図であり、AGC電圧は受信電界強度が第1のレベル(第4の閾値)L1までは一定の値であり、この第1のレベルL1よりも受信電界強度が強くなると、AGC電圧は減少する。演算処理装置41は受信電界強度が第1のレベルL1で可変増幅器34の増幅率を小さくして音量を小とする(音小)。そして、受信電界強度が第2のレベル(第1の閾値)L2となると可変増幅器34の増幅率を大きくして音量を大とする(音大:第2のレベルL2は前述の電界強度閾値に対応する)。
【0024】
つまり、演算処理装置41は可変増幅器34の増幅率を制御して、受信電界強度が第1のレベルL1と第2のレベルL2との間で音量を小から大へと変化させ、受信電界強度が第1のレベルL1未満では可変増幅器34の増幅率をゼロとして無音状態とする(演算処理装置41は第1のレベルL1と第2のレベルL2との間で無段階的に音量を変化させることになる)。
【0025】
図3に示す例では、第1のレベルL1と第2のレベルL2との間に第3のレベル(第3の閾値)L3及び第4のレベル(第2の閾値)L4が規定されており(L2>L4>L3>L1)、Y信号は第1のレベルL1と第4のレベルL4の間でレベル制御され、C信号は第3のレベルL3と第2のレベルL2の間でレベル制御される。
【0026】
演算処理装置41は受信電界強度が第1のレベルL1で可変増幅器26の増幅率を小さくして輝度を小とする(輝度小)。そして、受信電界強度が第4のレベルL4となると可変増幅器26の増幅率を大きくして輝度を大とする(輝度大)。つまり、演算処理装置41は可変増幅器26の増幅率を制御して、受信電界強度が第1のレベルL1と第4のレベルL4との間で輝度を小から大へと変化させ、受信電界強度が第1のレベルL1未満では可変増幅器26の増幅率をゼロとして無輝度状態とする(演算処理装置41は第1のレベルL1と第4のレベルL4との間で無段階的に輝度を変化させることになる)。
【0027】
同様にして、演算処理装置41は受信電界強度が第3のレベルL3で可変増幅器27の増幅率を小さくして色を薄くする(色薄)。そして、受信電界強度が第2のレベルL2となると可変増幅器27の増幅率を大きくして色を濃くする(色濃)。つまり、演算処理装置41は可変増幅器27の増幅率を制御して、受信電界強度が第3のレベルL3と第2のレベルL2との間で色を薄い状態から濃い状態へと変化させ、受信電界強度が第3のレベルL3未満では可変増幅器27の増幅率をゼロとして無色状態(ミュート状態)とする(演算処理装置41は第3のレベルL3と第2のレベルL2との間で無段階的に色を変化させることになる)。
【0028】
従って、第1のレベルL1と第3のレベルL3の間では、モニター画面は無色状態であるが、輝度は存在する状態となり、モニター画面はモノクロ(白黒)状態となる。つまり、受信電界強度が第2のレベルL2から第1のレベルL1に低下するにつれて、徐々に音量が小さくなり、さらに、モニター画面は徐々にその色(カラー)が薄くなって、第4のレベルL4よりも受信電界強度が低下すると、モニター画面は徐々に暗くなり、第3のレベルL3を過ぎるとモニター画面はモノクロとなってだんだん暗くなる。そして、第1のレベルL1よりも受信電界強度が低下すると、モニター画面は真っ暗となって無音状態(ミュート状態)となる。
【0029】
このようにして、モニター画面及び音声を受信電界強度に応じて無段階的に変化させてモニター画面を徐々に色を薄くしつつ輝度を低下させてモノクロとしてその後モニター画面を真っ暗な状態とし、モニター画面の変化に同期させて音量も変化させるようにしたので、突然モニター画面がスノーノイズ状態となることがなく、ユーザに受信状態が悪化しつつあることを知らせて、ユーザに与える不快感を低減することができるという効果がある。
【0030】
上述の例では、地上アナログテレビ放送信号を受信するアナログテレビ受信装置について説明したが、地上デジタルテレビ放送を受信するデジタルテレビ受信装置においても、同様にして上述のソフトミュートを適用することができる。
【0031】
図4はデジタルテレビ受信装置60の一例を示すブロック図であり、図4において図1と同一の構成要素については同一の参照番号を付し説明を省略することにする。図4において、デジタルテレビ受信装置60はデジタル信号処理部61を備えており、このデジタル信号処理部61はチューナ部12に接続されるとともに、バックエンド部62を介してYC分離器23及びアッテネータ33に接続されている。また、図4に示す制御部は図1に示す制御部15と機能が異なるので、ここでは参照番号18を付し、演算処理装置及び記憶手段をそれぞれ参照番号18a及び18bで示す。
【0032】
デジタル信号処理部61はアナログデジタル変換器(ADC)71、直交検波器72、FFT(Fast Fourier Transform)部73、フィルタ74、インターリーブ部75、デマッピング部76、ビタビ復号部77、TS(トランスポートストリーム)再生部78、及びRS(リードソロモン)復号部79を有している。ところで、地上デジタル放送においては、一つの放送局(図示せず)からは一つのデジタル放送波が送信されており、このデジタル放送波はトランスポートストリーム(Transport Stream:TS)と呼ばれる。
【0033】
なお、地上デジタル放送では、例えば、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式が用いられる。
【0034】
チューナ部12から出力されたアナログ信号(ベースバンド信号)はデジタル信号処理部61に与えられ、まずADC71でデジタル信号に変換された(離散化された)後、直交検波器72で直交検波される。そして、直交検波器72の出力はFFT回路73に与えられ、ここで、FFTが行われて時間領域の信号から周波数領域の信号に変換される。この周波数領域信号はフィルタ(例えば、帯域フィルタ)74を介してインターリーブ部75に与えられて、ここでインターリーブ処理された後、デマッピング部76でデマッピング処理される。
【0035】
デマッピング部76からの出力はビタビ復号器77でビタビ復号された後、TS再生部78に与えられて、ここでTSが再生される。そして、RS復号器79においてRS復号処理が行われて、TS出力が送出される。そして、バックエンド部62によってTS出力がデジタルアナログ変換された後映像信号及び音声信号が分離され、映像信号がYC分離器23に与えられ、音声信号がアッテネータ33に与えられる。
【0036】
ところで、FFT部73においてFFT処理を行った際には、C/N比(キャリア対ノイズ比)が得られ、このC/N比は演算処理装置18aに与えられる。さらに、ビタビ復号部77でビタビ復号処理を行った際には、エラー訂正が行われることになるが、ビタビ復号部77で訂正されたエラー訂正数(ビットエラーレート(BER))が演算処理装置18aに与えられ、演算処理装置18aは、後述するようにして、受信電界強度、C/N比、及びBERに基づいて記憶手段18bに記憶された電界強度−制御電圧テーブルを参照して制御電圧を得、制御電圧によって可変増幅器26及び27と可変増幅器34の増幅率を制御する。
【0037】
前述のC/N比は受信電界強度が高くなると高くなり、受信電界強度が低くなると低くなるという比例関係にある。一方、エラービットレート(BER)は、受信電界強度が高くなって所定のレベルを越えた時点でエラー訂正数が急激に低くなる。つまり、C/N比及びBERは受信電界強度と相関関係にある。
【0038】
図示のデジタルテレビ受信装置60においては、予めBERと受信電界強度との関係を測定して、BER−受信電界強度テーブルとして記憶手段18bに記憶しておくとともに、C/N比と受信電界強度との関係を測定して、C/N比−受信電界強度テーブルとして記憶手段18bに記憶する。
【0039】
図4を参照して、いま、地上デジタル放送の一チャンネル(Ch)を受信すると、前述したように、電界強度検出手段51でAGC電圧に応じて検出された受信電界強度が演算処理装置18aに与えられ、FFT部73からC/N比が演算処理装置18aに与えられる。さらに、ビタビ復号部77からBERが演算処理装置18aに与えられる。演算処理装置18aではBER及びC/N比に基づいて、記憶手段18bをアクセスしてBER−受信電界強度テーブル及びC/N比−受信電界強度テーブルを参照してそれぞれBER及びC/N比に対応する電界強度を読み出す。
【0040】
なお、以下の説明では、電界強度検出手段51から与えられる受信電界強度を第1の電界強度D1とし、BER及びC/N比に対応する電界強度をそれぞれ第2及び第3の電界強度D2及びD3と呼ぶことにする。
【0041】
続いて、演算処理装置18aは第1乃至第3の電界強度D1、D2、D3に対して重み係数k1乃至k3を掛けて、f(x)=k1×D1+k2×D2+k3×D3を求めて、算出電界強度とする。そして、演算処理装置18aは図1で説明した受信電界強度−制御電圧テーブルを参照して、算出電界強度に対応する制御電圧を得て、この制御電圧によって可変増幅器26及び27と可変増幅器34の増幅率を制御する。なお、ここで行われるソフトミュートによるモニター画面及び音量の制御は図3で説明したソフトミュートと同一であるので説明を省略することにする。
【0042】
上述の例では、BER及びC/N比も検知して、電界強度検出手段51でAGC電圧に応じて検出された受信電界強度とBER及びC/N比に対応する電界強度をBER−受信電界強度テーブル及びC/N比−受信電界強度テーブルからそれぞれ得て、重み付けを行った後、算出電界強度を決定し、算出電界強度に対応する制御電圧で可変増幅器26及び27と可変増幅器34を制御するようにしたが、BERのみを用いてBERに対応する電界強度をBER−受信電界強度テーブルから得て、算出電界強度として、制御電圧を求めるようにしてもよい。
【0043】
また、C/N比のみを用いてC/N比に対応する電界強度をC/N比−受信電界強度テーブルから得て、算出電界強度とするようにして、制御電圧を得るようにしてもよく、電界強度検出手段51から得られる受信電界強度のみを用いて制御電圧を得るようにしてもよいが、電界強度検出手段51から得られる受信電界強度、BER、及びC/N比に応じて算出電界強度を得て、制御電圧を求めるようにすれば、精度よく可変増幅器26及び27と可変増幅器34を制御することができる。さらに、重み係数k1乃至k3を用いることなく、第1乃至第3の電界強度D1、D2、D3を平均化して、その結果を算出電界強度として、制御電圧を得るようにもよい。
【0044】
なお、上述の説明から明らかなように、図1及び図4において、アッテネータ24及び可変増幅器26が第1の調整手段として機能し、アッテネータ25及び可変増幅器27が第2の調整手段として機能する。また、アッテネータ33及び可変増幅器34が第3の調整手段として機能する。
【0045】
以上のように、この実施の形態1によれば、映像信号及び音声信号を有するテレビ放送信号を受信して映像信号に応じた映像及び音声信号に応じた音声を出力する際、受信電界強度に応じて輝度信号、色信号、及び音声信号各々のレベルを受信電界強度の低下とともに低減させるようにしたので、突然映像が遮断される等の事態を防止することができ、ユーザに予め映像が遮断されることを予告してユーザに与える不快感を低減することができる。
【0046】
この実施の形態1によれば、受信電界強度が第2のレベルL2になると、色信号のレベルの低減を開始して、受信電界強度が第2のレベルL2よりも小さい第4のレベルとなると輝度信号のレベルの低減を開始し、さらに、受信電界強度が第4のレベルよりも小さい第3のレベルとなると色信号をミュートして、受信電界強度が第3のレベルよりも小さい第1のレベルとなると輝度信号をミュートし、この際、受信電界強度が第2のレベルとなると音声信号のレベルの低減を開始し、受信電界強度が第1のレベルとなると音声信号をミュートするようにしたので、色信号、輝度信号、及び音声信号のレベル制御のタイミングに応じてユーザにとしては徐々にモニター画面及び音量が変化することになって、不快感を与えることなく、映像及び音量のミュート制御を行うことができる。
【0047】
この実施の形態1によれば、テレビ放送信号がデジタルテレビ放送信号である際には、受信電界強度に加えて、BER及びC/N比も考慮して受信状態を決定して、この受信状態に応じて、輝度信号、色信号、及び音声信号のミュート制御を行うようにしたので、精度よくミュート制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】この発明の実施の形態1によるテレビ受信装置の一例であるアナログテレビ受信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すアナログテレビ受信装置におけるソフトミュート制御を説明するためのフローチャートである。
【図3】図1に示すフナログテレビ受信装置における輝度レベル制御、色レベル制御、音レベル制御を電界強度との関係で示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1によるテレビ受信装置の他の例であるデジタルテレビ受信装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0049】
10,60 テレビ受信装置、11 アンテナ、12 チューナ部、13 映像検波増幅部、14 音声検波増幅部、15,18 制御部、16 RGB復調回路、17 音声復調回路、18a,41 演算処理装置、18b,42 記憶手段、21 映像用弾性表面波フィルタ(映像SAWFIL)、22 映像検波器、23 YC分離器、24,25,33 アッテネータ(減衰器)、26,27,34 可変増幅器、31 音声SAWFIL、32 音声検波器、51 電界強度検出手段、61 デジタル信号処理部、62 バックエンド部、71 アナログデジタル変換器(ADC)、72 直交検波器、73 FFT(Fast Fourier Transform)部、74 フィルタ、75 インターリーブ部、76 デマッピング部、77 ビタビ復号部、78 TS(トランスポートストリーム)再生部、79 RS(リードソロモン)復号部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輝度信号及び色信号を備える映像信号と音声信号を有するテレビ放送信号を受信して前記映像信号に応じた映像と前記音声信号に応じた音声とを出力するテレビ受信装置において、
前記輝度信号のレベルを制御する第1の調整手段と、
前記色信号のレベルを制御する第2の調整手段と、
前記音声信号のレベルを制御する第3の調整手段と、
前記テレビ放送信号の受信状態を検出する検出手段と、
前記第1の調整手段乃至前記第3の調整手段における制御レベルと前記受信状態との関係を表すテーブルと、
前記検出手段が出力する受信状態と前記テーブルとに基づいて前記第1の調整手段乃至前記第3の調整手段を制御する制御手段
とを備えたことを特徴とするテレビ受信装置。
【請求項2】
制御手段は検出手段が出力する受信状態が予め規定された第1の閾値となると第2の調整手段を制御して色信号のレベルを低減させるようにした請求項1記載のテレビ受信装置。
【請求項3】
制御手段は検出手段が出力する受信状態が第1の閾値よりも小さい第2の閾値となると第1の調整手段を制御して輝度信号のレベルを低減させるようにした請求項2記載のテレビ受信装置。
【請求項4】
制御手段は検出手段が出力する受信状態が第2の閾値よりも小さい第3の閾値となると第2の調整手段を制御して色信号をミュートするようにした請求項3記載のテレビ受信装置。
【請求項5】
制御手段は検出手段が出力する受信状態が第3の閾値よりも小さい第4の閾値となると第1の調整手段を制御して輝度信号をミュートするようにした請求項4記載のテレビ受信装置。
【請求項6】
制御手段は検出手段が出力する受信状態が第1の閾値となると第3の調整手段を制御して音声信号のレベルを低減させ、前記受信状態が第4の閾値となると前記音声信号をミュートするようにした請求項5記載のテレビ受信装置。
【請求項7】
検出手段はテレビ放送信号の受信状態をテレビ放送信号の受信電界強度として検出するようにした請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載のテレビ受信装置。
【請求項8】
テレビ放送信号はデジタルテレビ放送信号であり、
検出手段はテレビ放送信号の受信状態をテレビ放送信号の受信電界強度として検出し、制御手段は前記受信電界強度、前記デジタル放送信号を復調する際に得られるビットエラーレート、前記デジタル放送信号の搬送波対雑音比の少なくとも一つに応じて受信状態を決定するようにした請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載のテレビ受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−43501(P2007−43501A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−225752(P2005−225752)
【出願日】平成17年8月3日(2005.8.3)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】