説明

テレフタル酸およびオリゴアルキレンオキシドからのポリエステルポリオール

本発明は、テレフタル酸およびオリゴアルキルオキシドからのポリエステルポリオール、その製造方法およびPUR/PIR硬質フォームの製造のためのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレフタル酸およびオリゴアルキレンオキシドからのポリエステルポリオール、その製造方法およびPUR/PIR硬質フォームの製造のためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、PUR/PIR硬質フォームは、ポリエステルポリオールが、PUR/PIR硬質フォームの耐燃性およびその熱伝導性について好ましい影響を与えるので、ポリエステルポリオールに基づいて主に製造される。ポリエステルポリオールの製造に主に用いられる原料は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フタル酸/無水フタル酸、テレフタル酸およびイソフタル酸である。ポリエステルポリオールの他に、ポリエーテルポリオールは、ポリエステルポリオールについてペンタンの溶解性性能を向上させるために、またはイソシアヌレート含有PUR/PIR硬質フォームの脆弱性を減少させるために添加される場合がある。
【0003】
これに関して、US4039487は、75〜225g/モルの当量を有するポリエチレングリコールおよび芳香族ポリカルボン酸から得られるポリエステルポリオールを記載する。脂肪族ポリカルボン酸の少量の組み込みは、検討されていない。
【0004】
EP−A1834974は、同様に、芳香族ポリカルボン酸に限定されており、US5003027は、更に、RIM法におけるポリエステルポリオールの加工に限定されている。
【0005】
また、WO−A99/54380は、ポリエステルポリオールを製造する脂肪族ジカルボン酸の使用を開示し、芳香族ジカルボン酸の元としてポリエチレングリコールテレフタレート(PET)をなお使用する。しかしながら、再生物質に基づくこのような方法の一般的な欠点は、無関係の物質による潜在的汚染であり、これは場合によっては、困難な手段により除去しなければならない。
【0006】
US4469824は、同様に、アジピン酸再生PETに基づき、アジピン酸が更なる反応成分の1つとして提案されている。
【0007】
しかしながら、芳香族酸の使用、特にフタル酸の使用は、ポリエステルポリオールの製造において、ポリエステルポリオールが、工業的プロセスでの作業をより困難にする、室温にて固体であることを意味する。
【0008】
しかしながら、特定の取り扱い法は、PUR/PIR硬質フォームの分野において全ての重要な加工パラメータを充足するポリエステルポリオールを製造することを可能とする先行技術に開示されていない。
【0009】
さらに、ポリエステルポリオールに基づく多くの従来法によるPUR/PIR硬質フォームは、通常、DIN 4102−1に規定の燃焼等級B3にだけ適合するので適切な耐燃性を示さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第4039487号明細書
【特許文献2】欧州特許出願第1834974号明細書
【特許文献3】国際公開第99/54380号パンフレット
【特許文献4】米国特許出願第4469824号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の目的は、PUR/PIR硬質フォーム中に用いた場合、向上した耐燃性、特にDIN 4102−1に規定の燃焼等級B2および/またはSBI試験(DIN EN 13823)に適合するPUR/PIR硬質フォームをもたらすポリエステルポリオールを提供することであった。
【0012】
本発明の更なる目的は、PUR/PIR硬質フォームの製造において、工業的プロセスにより作業し易く、および同時に、向上した耐燃性をもたらすポリエステルポリオールを提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による課題は、
(A)必要に応じてC〜Cアルキルエステルの形態でのテレフタル酸、
(B)3.0と9.0との間の範囲のオキシエチレン基の数平均数nを有する式H−(OCHCH−OHで示されるオリゴエチレングリコール、および
(C)コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、スベリン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸およびオメガ−ヒドロキシカプロン酸からなる群から選択される少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸
を含む混合物から製造され、製造されたポリエステルポリオールは、9.0モル/kgポリエステルポリオールおよび16モル/kgポリエステルポリオールの間の範囲のエーテル基の濃度を有することを特徴とするポリエステルポリオールの提供により達成される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
テレフタル酸のC〜Cアルキルエステルは好ましくは、テレフタル酸ジメチルエステル、テレフタル酸ジエチルエステル、テレフタル酸ジ−n−ブチルエステルおよびテレフタル酸ジイソブチルエステルからなる群から選択されるエステルである。
【0015】
本発明では、一般式H−(OCHCH−OHで示される化合物は、
n=1の場合、1個のオキシエチレン基を有し、およびエーテル基を有さず、
n=2の場合、2個のオキシエチレン基および1個のエーテル基を有し、
n=3の場合、3個のオキシエチレン基および2個のエーテル基を有し、
n=4の場合、4個のオキシエチレン基および3個のエーテル基を有し、
n=5の場合、5個のオキシエチレン基および4個のエーテル基を有し、
n=6の場合、6個のオキシエチレン基および5個のエーテル基を有し、
n=7の場合、7個のオキシエチレン基および6個のエーテル基を有し、
n=8の場合、8個のオキシエチレン基および7個のエーテル基を有し、および
n=9の場合、9個のオキシエチレン基および8個のエーテル基を有する。
【0016】
成分(B)は、好ましくは、種々のオリゴマーエチレングリコールの混合物であり、値nは、成分(B)におけるオキシエチレン基の平均数を示す。成分(B)は、特に好ましくは、8重量%未満、より特に好ましくは3重量%未満のn=2を有するオリゴマーを含有する。従って、このことは、値nについて非整数値、例えば3.1、3.2または3.24等を生じさせ得る。
【0017】
オリゴエチレングリコール(B)は好ましくは、145〜450g/モル、特に好ましくは150〜250g/モルの範囲の数平均分子量を有する。
【0018】
製造されたポリエステルポリオールは、好ましくは9.1モル/kgポリエステルポリオールおよび13モル/kgポリエステルポリオールの間の範囲のエーテル基の量を有する。
【0019】
混合物は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、スベリン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸およびオメガヒドロキシカプロン酸からなる群から選択される少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸(C)を含む。特に好ましくは、混合物は、コハク酸、グルタル酸およびアジピン酸からなる群から選択される少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸(C)を含む。
【0020】
成分(A)は、好ましくは、本発明によるポリエステルポリオールを製造する混合物の全量に対して10〜40重量%の量、特に好ましくは15〜35重量%の量で存在する。
【0021】
成分(B)は、好ましくは、本発明によるポリエステルポリオールを製造するための混合物の全量に対して60〜90重量%の量で、特に好ましくは55〜85重量%の量で存在する。
【0022】
成分(C)は、好ましくは、本発明によるポリエステルポリオールを製造するための混合物の全量に対して0〜20重量%、特に好ましくは2〜20重量%、さらに極めて好ましくは3〜15重量%、さらに特に好ましくは5〜14重量%の量で存在する。
【0023】
意外にも、他の同一処方およびポリエステルポリオールの未変化ヒドロキシル価を有する成分(C)の組み込みは、有利には、ポリエステルポリオールの減少した粘度をもたらす。
【0024】
ポリステルポリオールは、好ましくは100mgKOH/gおよび400mgKOH/gの間の範囲、特に好ましくは110mgKOH/gおよび220mgKOH/gの間の範囲、さらに特に好ましくは150mgKOH/gおよび200mgKOH/gの間の範囲のヒドロキシル価を有する。
【0025】
OH価は、まず、ポリエステルポリオールの試料中で、ヒドロキシル末端基と所定の過剰の無水物、例えば酢酸無水物とを反応させ、過剰の無水物を加水分解し、遊離カルボキシル基の含有量を強塩基、例えば水酸化ナトリウムでの直接滴定により決定することにより決定する。無水物の形態で導入したカルボキシル基と実験により見出したカルボキシル基との間の差異は、試料中のヒドロキシル基の数の評価基準である。この値は、不完全なエステル化の結果として元の試料中に含まれるカルボキシル基の数により、すなわち酸価により修正される場合、OH価が得られる。水酸化ナトリウムにより主に行われる滴定は、水酸化カリウムの当量へ変換され、酸およびヒドロキシル価は、次元KOH/gを有する。以下の数学相関:M=(56100 × F)/OH#が、ヒドロキシル価(OH#)および数平均分子量(M)の間に存在する。Fは、数平均官能価を表し、公式化から良好な近似において得られる。OH価を決定する方法は、例えばHouben Weyl、Methoden der Organischen Chemie、第XIV/2巻、Makromolekulare Stoffe、第17頁、Georg Thieme Verlag;シュトゥットガルト 1963年により決定する。
【0026】
本発明によるポリエステルポリオールのモル質量は、好ましくは、280〜1120Da、特に好ましくは510〜1020Da、さらに特に好ましくは560〜750Daの範囲である。
【0027】
本発明によるポリエステルポリオールは、好ましくは0.1KOH/g〜4mgKOH/gの範囲、特に好ましくは0.2KOH/g〜2.8KOH/gの範囲の酸価を有する。
【0028】
酸価を決定する方法は、例えばHouben Weyl、Methoden der Organischen Chemie、第XIV/2巻、Makromolekulare Stoffe、第17頁、Georg Thieme Verlag;シュツットガルト 1963年に記載される。
【0029】
本発明によるポリエステルポリオールは、25℃にて、好ましくは800mPasおよび4500mPasの間、特に好ましくは1000mPasおよび3000mPasの間の範囲のDIN53019に従う粘度を有する。
【0030】
オリゴエチレングリコール(B)は、好ましくは3.1および9の間の範囲、特に好ましくは3.5および8の間の範囲のオキシエチレン基の平均数を有する。
【0031】
ポリエステルポリオールは、好ましくは−40℃および25℃の間の範囲、特に好ましくは−20および23℃の間の範囲の融点を有する。
【0032】
本発明によるポリエステルポリオールは、好ましくは、テレフタル酸(A)および3.0〜9.0の範囲のオキシエチレン基の数平均数nを有する式H−(OCHCH−OHで示されるオリゴエチレングリコール(B)、およびコハク酸、グルタル酸およびアジピン酸からなる群から選択される少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸(C)を含む混合物から製造される。
【0033】
また、本発明は、成分(A)および(B)を、好ましくは錫(II)塩およびチタンテトラアルコキシレートからなる群から選択される触媒の存在下で、160℃および240℃の間の範囲の温度にて、1および1013mbarの間の範囲の圧力下で、7および100時間の間の範囲の時間、反応させる、本発明によるポリエステルポリオールの製造方法を提供する。
【0034】
当業者に既知の全ての触媒を用いて、本発明によるポリエステルポリオールを製造することができる。塩化錫(II)およびチタンテトラアルコキシレートを好ましく用いる。二塩化錫二水和物の使用は、用いる全ての成分に対して20〜200ppm、さらにとりわけ45〜80ppmの割合で特に好ましい。
【0035】
本発明によるポリエステルポリオールを製造する成分の反応は、好ましくはバルク中で行う。
【0036】
本発明は、また、以下の工程:
a)本発明による少なくとも1つのポリエステルポリオールと以下のものとの反応、
b)少なくとも1つのポリイソシアネート含有成分、
c)少なくとも1つの発泡剤、
d)少なくとも1以上の触媒、
e)必要に応じて、少なくとも1つの難燃剤および/または更なる補助物質および添加剤、
f)必要に応じて、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する少なくとも1つの化合物
を含むPURまたはPUR/PIRフォームを製造するための方法を提供する。
【0037】
従来法による脂肪族、脂環式および特に芳香族ジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートは、ポリイソシアネート含有成分として適当である。トルイレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、特にジフェニルメタンジイソシアネートおよびポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(ポリマーMDI)の混合物を好ましく用いる。イソシアネートは、例えばウレットジオン基、カルバメート基、イソシアヌレート基、カルボジイミド基、アロファネート基、特にウレタン基の組み込みにより変性することもできる。とりわけ、ポリマーMDIは、ポリウレタン硬質フォームを製造するために用いる。先行技術では、イソシアヌレート形成は、ほぼ発泡反応の間のみ起こり、工業硬質フォーム中で、例えば断熱シート、サンドイッチ要素およびトラック車体として建築業において好ましく用いる難燃性PUR/PIRフォームをもたらす。
【0038】
一般的用語において以下に記載される化合物は、通常、少なくとも2つのイソシアネート反応性基、言い換えればイソシアネート基と反応する少なくとも2つの水素原子を有する化合物として用いることができる。
【0039】
少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する適用な化合物は、特に、OH基、SH基、NH基、NH基およびCH−酸基、例えばβ−ジケト基等から選択される2以上の反応性基を分子中に有する化合物である。2〜8個のOH基を有する化合物は、とりわけ、本発明による方法により好ましく製造されたポリウレタン硬質フォームを製造するために用いる。ポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールは、好ましく用いる。ポリウレタン硬質フォームの製造では、用いるポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールのヒドロキシル価は、好ましくは25〜850mgKOH/g、特に好ましくは25〜450mgKOH/gであり、分子量は、好ましくは400g/モルより大きい。成分(f)は、好ましくは、既知の方法により、例えば触媒としてのアルカリ水酸化物、例えば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム等、またはアルカリアルコレート、例えばナトリウムメチラート、ナトリウムまたはカリウムエチラートまたはカリウムイソプロピレートによる、および結合形態での2〜8、好ましくは2〜6の反応性水素原子を含有する少なくとも1つの出発分子の添加によるアニオン重量によって、または触媒としてのルイス酸、例えばとりわけ五塩化アンチモン、三フッ化ホウ素エーテラートまたは漂白土等による、アルキレン基中に2〜4個の炭素原子を有する1以上のアルキレンオキシドからカチオン重量によって製造されるポリエーテルポリオールを含有する。ポリエーテルポリオールは、複金属シアン化物触媒作用により更に製造することができ、操作の連続モードも可能である。
【0040】
適当なアルキレンオキシドは、例えばテトラヒドロフラン、1,3−プロピレンオキシド、1,2−または2,3−ブチレンオキシド、スチレンオキシド、好ましくはエチレンオキシドおよび1,2−プロピレンオキシドである。アルキレンオキシドは、単独で、互いに交互にまたは混合物として用いることができる。適当な出発物質は、例えばグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、スクロース、ソルビトール、メチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、ベンジルアミン、アニリン、トルイジン、トルエンジアミン、ナフチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、4,4’−メチレンジアニリン、1,3−プロパンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンおよびそれ自体オリゴエーテルポリオールであってもよい他の2価アルコール若しくは多価アルコール、または1価アミンまたは多価アミンである。
【0041】
成分(f)は必要に応じて、ポリエステルポリオール、鎖延長剤および/または架橋剤を含有することもできる。とりわけ、2官能性または3官能性アミンおよびアルコール、特に400g/モル、好ましくは60〜300g/モル未満の分子量を有するジオールは、鎖延長剤および/または架橋剤として用いることができる。好ましくは160を越える、特に好ましくは200mgKOH/gを越えるヒドロキシル化、および特に好ましくは2.9および8の間の官能価を有するポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールは、化合物(f)として用いる。当量、すなわち400g/モル未満、好ましくは200g/モル未満の官能価により分けられる分子量を有するポリエーテルポリオールは、イソシアネート反応性化合物(f)として好ましくは用いる。化合物(f)は、通常、液体形態である。
【0042】
炭化水素は、好ましくは発泡剤成分(c)として用いる。これらは、水および/または他の物理発泡剤との混合により用いることができる。これは、ポリウレタンの製造に用いる物質中で溶解または乳化させ、ポリウレタン形成の条件下で蒸発させる化合物であると理解される。その例としては、炭化水素、ハロゲン化炭化水素および他の化合物、例えばパーフルオロヘキサンのようなパーフッ素化アルカン、クロロフルオロカーボン、並びにエーテル、エステル、ケトンおよび/またはアセタール等である。
【0043】
発泡剤成分(c)は、好ましくは、成分(b)〜(f)の全重量に対して2〜45重量%、好ましくは4〜30重量%、特に好ましくは5〜20重量%の量で用いる。好ましい実施態様では、発泡剤混合物(c)は、炭化水素、特にn−ペンタンおよび/またはシクロペンタンおよび水を含有する。特に好ましい炭化水素は、n−ペンタン、シクロペンタン、イソペンタンおよび/または異性体の混合物である。とりわけ、シクロペンタンおよび/またはn−ペンタンを、発泡剤(c)として用いる。
【0044】
従来法による既知のポリウレタンまたはポリイソシアヌレート形成性触媒、例えば有機錫化合物、例えば錫二酢酸、錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート等、および/または強塩基アミン、例えば2,2,2−ジアザビシクロオクタン、トリエチルアミンまたは好ましくはトリエチレンジアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミンまたはビス(N,N−ジメチルアミノエチル)エーテル、ならびに酢酸カリウム、オクタン酸カリウムおよび脂肪族第4級アンモニウム塩は、本発明によるポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームを製造するための触媒(d)として用いてPIR反応を触媒する。
【0045】
触媒は、全成分の全重量に対して0.05〜3重量%、好ましくは0.06〜2重量%の量で好ましく用いる。
【0046】
上記成分の反応は、必要に応じて、(e)添加剤、例えば難燃剤、充填剤、気泡調整剤、気泡安定剤、表面活性化合物および/または酸化、熱または微生物による分解または老化を防止する安定剤、好ましくは難燃剤および/または気泡安定剤等の存在下に行う。均一な気泡構造の形成をフォーム構造において促進させる物質は、フォーム安定剤と称される。その例を以下に記載する:シリコーン含有フォーム安定剤、例えばシロキサン−オキシアルキレン混合ポリマーおよび他のオルガノポリシロキサン等、また脂肪アルコール、オキソアルコール、脂肪アミン、アルキルフェノール、ジアルキルフェノール、アルキルクレゾール、アルキルレゾルシノール、ナフトール、アルキルナフトール、ナフチルアミン、アニリン、アルキルアニリン、トルイジン、ビスフェノールA、アルキル化ビスフェノールA、ポリビニルアルコールのアルコキシル化生成物、並びに更に、ホルムアルデヒドおよびアルキルフェノールの縮合生成物、ホルムアルデヒドおよびジアルキルフェノールの縮合生成物、ホルムアルデヒドおよびアニリンの縮合生成物、ホルムアルデヒドおよびトルイジンの縮合生成物、ホルムアルデヒドおよびナフトールの縮合生成物、ホルムアルデヒドおよびアルキルナフトールの縮合生成物、並びにホルムアルデヒドおよびビスフェノールAの縮合生成物のアルコキシル化生成物。例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ポリ−THFおよび高級同族体は、アルコキシル化試薬として用いることができる。
【0047】
先行技術から既知の難燃剤は通常、難燃剤として用いることができる。適当な難燃剤は、例えば臭素化エーテル(例えばIxol(登録商標) B251)、臭素化アルコール、例えばジブロモネオペンチルアルコール、トリブロモネオペンチルアルコールおよびPHT−4−ジオール等、並びに塩素化ホスフェート、例えばトリス−(2−クロロエチル)ホスフェート、トリス−(2−クロロイソプロピル)ホスフェート(TCPP)、トリス(1,3−ジクロロイソプロピル)ホスフェート、トリス−(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェートおよびテトラキス−(2−クロロエチル)エチレンジホスフェート等である。既に記載のハロゲン置換ホスフェートに加えて、無機難燃剤、例えば赤リン、赤リンを含有する調製物、酸化アルミニウム水酸化物、三酸化アンチモン、ポリリン酸アンモニウムおよび硫酸カルシウムまたはシアヌル酸誘導体、例えばメラミンまたは少なくとも2つの難燃剤、例えばポリリン酸アンモニウムおよびメラミン並びに必要に応じてデンプン等の混合物等を用いて、本発明により製造されたPURまたはPUR/PIR硬質フォームを難燃剤とすることもできる。ジエチルエタンホスホネート(DEEP)、トリエチルホスフェート(TEP)、ジメチルプロピルホスホネート(DMPP)、ジフェニルクレジルホスフェート(DPK)等を、さらなるハロゲン不含難燃剤として用いることができる。本発明では、難燃剤は、好ましくは、成分(b)〜(e)の全重量に対して0〜30重量%、特に好ましくは2〜25重量%、とりわけ2.5〜3.5重量%の量で用いる。
【0048】
上記および他の出発物質の更なる詳細は、専門文献、例えばKunststoffhandbuch、第VII巻、Polyurethane、Carl Hanser Verlag Munich、Vienna、第1版、第2版および第3版 1966年、1983年および1993年に見出すことができる。
【0049】
ポリウレタン硬質フォームを製造するために、ポリイソシアネート(b)および成分(a)および必要に応じて(f)を、フォームのイソシアネート価が90〜600、好ましくは150〜500、特に好ましくは180〜450となるような量で反応させる。
【0050】
ポリウレタン硬質フォームは、不連続または連続的に既知の方法により製造することができる。当業者によく知られているのは、とりわけ、スラブ材フォーム製造法(連続および不連続)、1成分系(不連続)および断熱フォーム成形品(不連続)における使用である。本明細書に記載の発明は、全ての方法に関するが、好ましくは軟質および/または硬質材料を、外側層として用いることができる連続2重ベルト法に関する。
【0051】
本発明によるポリウレタン硬質フォームは、好ましくは90%を越える、特に好ましくは95%を越える不連続気泡含有量を有する。
【0052】
本発明によるPURまたはPUR/PIRフォームは、好ましくは28g/m〜300g/m、特に好ましくは30g/m〜50g/mの密度を有する。
【0053】
本発明によるポリウレタン硬質フォームは、とりわけ、例えば冷蔵庫、容器または建築物の断熱のために、例えば断熱管、サンドイッチ要素、断熱シートまたは冷蔵庫の形態で用いる。
【0054】
また、本特許出願の範囲内のポリウレタンは、ウレタン基に加えて、更なる基、例えばイソシアネート基とそれ自体との反応により形成されるような基、例えばイソシアヌレート基、またはイソシアネート基とヒドロキシル基以外の基との反応により形成されるような基を含有するポリマーイソシアネート付加物を含むと理解され、記載の基は主に、ウレタン基と共にポリマー中に存在する。
【0055】
本発明は、更に、ポリウレタンを製造するための上記の方法により製造されたポリエステルポリオールの使用を提供する。ポリウレタンは、多くの分野に用いられる多目的な材料である。用いることができる原料の多くの種類に起因して、極めて種々の特性を有する生成物、例えば断熱のための硬質フォーム、マットレスのための軟質スラブ材、車両座席および座席クッションのための軟質成型フォーム、防音のための音響フォーム、熱可塑性フォーム、靴フォームまたは微小気泡フォームだけでなく、圧縮キャスト系および熱可塑性ポリウレタンを製造することができる。
【0056】
本発明を実施例により以下に明らかにする。
【実施例】
【0057】
実施例に用いた原料の組成
工業グルタル酸 Lanxess、モル質量約134Da
テレフタル酸 Interquisa
無水フタル酸(PA): Lanxessからの工業PA
PEG 200 BASF
PEG 180 Ineos
エチレングリコール(EG): IneosからのEG
塩化錫(II)二水和物 Aldrich
チタンテトラブチレート Aldrich
【0058】
用いた装置:
粘度:Anton PaarからのMCR 51
【0059】
用いた分析法:
ヒドロキシル価:Houben Weyl、Methoden der Organischen Chemie、第XIV/2巻 Makromolekulare Stoffe、第17頁、Georg Thieme Verlag、シュトゥットガツト、1963年
酸価:Houben Weyl、Methoden der Organischen Chemie、第XIV/2巻、 Makromolekulare Stoffe、第17頁以降、Georg Thieme Verlag、シュトゥットガツト、1963年。
【0060】
A)ポリエステルポリオールの製造
実施例1(本発明による)
2280g(11.4モル)のPEG 200を、加熱マントル、機械スターラー、内部温度計、40cm充填カラム、スチルヘッド、下流凝縮器コイル、およびダイアフラム真空ポンプを有するジャケット4リットル4口フラスコ中に、100℃での窒素ブランケット下で入れた。該混合物を2時間230℃にて加熱し、この時間の間、水を留去し、反応混合物の濁りが消えた。次いで、314g(2.34モル)の工業グルタル酸を添加し、該混合物を、更に90分間230℃にて加熱した。次いで、更なる83mgの二塩化錫二水和物を添加し、最終的に30mbarの真空を適用した。該混合物を、この条件下で更に5.5時間凝縮した。該混合物を、冷却し、以下の特性を決定した:
ポリエステルの分析:
ヒドロキシル価:160mgKOH/g
酸価:2.0mgKOH/g
粘度:1620mPas(25℃)、310mPas(50℃)、110mPas(75℃)
【0061】
【表1】

【0062】
実施例3(C)は、成分(C)(この実施例の場合では、工業グルタル酸)を、製造に用いないので本発明に従わない。実施例4(C)は、オリゴエチレングリコールからのエーテル基の割合が9モル/kgエステル未満であり、(A)、(B)または(C)ではない成分の割合が10重量%を越える(この特定の場合には14.1重量%のエチレングリコールを用いる)ので本発明に従わない。表1は、本発明に従わないポリエステルポリオール4(C)、5(C)、6(C)および7(C)は室温にて不利な固体であるが、本発明によるポリエステルポリオール1、2、3および8は有利な液体であることを更に示す。実施例9(C)は、この基準を満たすが、テレフタル酸を含まず、このことは、燃焼挙動について不利である。
【0063】
PUR/PIR硬質フォームのための原料:
a)実施例1、2、3、8、9(C)からのポリエステル
b)〜d)からなるフォーム添加剤:
b)Evonikからの架橋剤
c)Tegostab、Evonikからの安定剤
d)DMCHA、RheinchemieからのN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン
e)TCPP、Lanxessからのトリス(1−クロロ−2−プロピル)ホスフェート
f)n−ペンタン、Kraemer&Martin
g)水、脱塩化
h)活性剤:Desmorapid VP.PU 1792、Bayer MaterialScience
i)Desmodur VP.PU 44V40L、Bayer MaterialScienceからのポリイソシアネート
【0064】
【表2】

【0065】
指数は、全ツェレビチノフ活性水素原子に対する全イソシアネート基のモル比である。
【0066】
実験室規模により、ポリイソシアネート成分とは別の硬質フォーム処方物の全ての原料を、ボール紙製ビーカー中へ計量投入し、23℃に加熱し、Pendraulik実験室ミキサー(例えばPendraulikからの型LM−34)で混合し、揮発発泡剤(ペンタン)を必要に応じて添加する。次いで、ポリイソシアネート成分(23℃に同様に加熱)を、撹拌しながらポリオール混合物へ添加し、これを激しく撹拌し、該反応混合物を、紙で覆われた木型中へ注いだ。硬化時間およびタックフリー時間は、発泡工程中に決定した。24時間後、9cmのエッジ長さを有する立方体形試料をフォーム母材から切り取った。
【0067】
以下の特性を決定した:
寸法安定性:24時間22℃および+80℃にて貯蔵後の立方体形試料の寸法における変化を確定することにより決定。本発明によるフォームは、多くとも1%(絶対)の各空間方向における長さの相対変化を示す。
【0068】
中心密度:切り取った立方体形試料の体積および重量から決定。
【0069】
単一炎源試験:DIN 4102−1に規定の単一炎源試験。本発明による硬質フォームは、等級B2に適合する。
【0070】
接着性:発泡紙挿入物をフォームから手でゆっくり引き抜くことにより決定。接着性は1(非常に良好)〜6(不十分)に格付けし、1の格付けは、紙は、フォームから引き抜くことができず、裂けることを意味するが、6の格付けは、紙およびフォーム間の接着性がないことを意味する。
【0071】
硬化時間:木製棒を反応性ポリマー溶融物中へ浸漬し、再び取り出すことにより決定。該ポリマー溶融物が硬化する温度を特性化する。
【0072】
タックフリー時間:フォームの表面の性質を特性化する。フォームがライズし終わった際、フォームを木製棒で叩くことにより決定する。粘着が終わる時間を、タックフリー時間とする。
【0073】
表2は、本発明による全てのフォームは等級B2を達成するが、フォーム16(C)は、同じ量の難燃剤TCPPを含有するにも拘わらず達成しないことを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)テレフタル酸、
(B)3.0と9.0との間の範囲のオキシエチレン基の数平均数nを有する式H−(OCHCH−OHで示されるオリゴエチレングリコール、および
(C)コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、スベリン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸およびオメガ−ヒドロキシカプロン酸からなる群から選択される少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸
を含む混合物から製造される、9.0モル/kgポリエステルポリオールおよび16モル/kgポリエステルポリオールの間の範囲のエーテル基の濃度を有するポリエステルポリオール。
【請求項2】
成分(A)は、混合物の全量に対して10〜40重量%の量で存在することを特徴とする、請求項1に記載のポリエステルポリオール。
【請求項3】
成分(B)は、混合物の全量に対して90〜60重量%の量で存在することを特徴とする、請求項1に記載のポリエステルポリオール。
【請求項4】
成分(C)は、混合物の全量に対して2〜20重量%の量で存在することを特徴とする、請求項1に記載のポリエステルポリオール。
【請求項5】
ポリステルポリオールは、100mgKOH/gおよび400mgKOH/gの間の範囲のヒドロキシル価を有することを特徴とする、請求項1〜4の1以上に記載のポリエステルポリオール。
【請求項6】
ポリエステルポリオールは、25℃にて、800mPasおよび4500mPasの間の範囲のDIN53019に従って計測した粘度を有することを特徴とする、請求項1〜5の1以上に記載のポリエステルポリオール。
【請求項7】
オリゴエチレングリコール(B)は、3.1および9の間の範囲のオキシエチレン基の平均数nを有することを特徴とする、請求項1〜6の1以上に記載のポリエステルポリオール。
【請求項8】
ポリエステルポリオールは、−40℃および25℃の間の範囲の融点を有することを特徴とする、請求項1〜7の1以上に記載のポリエステルポリオール。
【請求項9】
成分(A)、(B)および(C)を、錫(II)塩およびチタンテトラアルコキシレートからなる群から選択される触媒の存在下で、160℃および240℃の間の範囲の温度にて、1および1013mbarの間の範囲の圧力下で、7および100時間の間の範囲の時間、反応させることを特徴とする、請求項1〜8の1以上に記載のポリエステルポリオールの製造方法。
【請求項10】
PURまたはPUR/PIRフォームを製造するための、請求項1〜8の1以上に記載のポリエステルポリオールの使用。
【請求項11】
以下の工程:
a)請求項1〜8の1以上に記載の少なくとも1つのポリエステルポリオールと以下のものとの反応、
b)少なくとも1つのポリイソシアネート含有成分、
c)少なくとも1つの発泡剤、
d)少なくとも1以上の触媒、
e)必要に応じて、少なくとも1つの難燃剤および/または更なる補助物質および添加剤、
f)必要に応じて、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する少なくとも1つの化合物
を含む、PURまたはPUR/PIRフォームの製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法により得られるPURまたはPUR/PIRフォーム。
【請求項13】
断熱管、サンドイッチ要素、断熱シートまたは冷蔵庫を製造するための、請求項11に記載の方法により得られるPURまたはPUR/PIRフォームの使用。

【公表番号】特表2012−523464(P2012−523464A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503891(P2012−503891)
【出願日】平成22年3月27日(2010.3.27)
【国際出願番号】PCT/EP2010/001950
【国際公開番号】WO2010/115532
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】