説明

テント倉庫

【課題】 物品を収納する為の物品棚を備えたテント倉庫に於て、比較的小さな物品でもパレット等を用いずに直接収納できると共に、嵩高い物品でも収納できる様にする。
【解決手段】 屋根体2、柱体3、膜体4、足場布板5とで構成し、とりわけ、屋根体2を支持して前後方向及び上下方向に所定間隔を置いて配設された横材を有する柱体3と、前後方向に隣接する柱体3の横材間に着脱可能に架設される足場布板5とを備え、市販されている足場布板を棚板として利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば物品を収納する為の物品棚を備えたテント倉庫に係り、とりわけ市販の足場布板を利用して物品棚を構成する様にしたテント倉庫の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のテント倉庫としては、例えば特許文献1や特許文献2に記載されたものが知られている。
これは、基本的には、上下方向ならびに横方向に複数の収納空間を形成した固定棚を、所定間隔を置いて一対並設し、両固定棚の上部間に亘ってアーチ枠体を設けるとともに、このアーチ枠体にテントを張設している。
而して、固定棚は、前後や左右において所定ピッチ置きに立設したトラス(支柱)と、前後のトラス間を連結する前後ビームならびにブレースと、左右のトラス間を連結する左右ビームと、前後の左右ビーム間を連結するサブビームなどにより枠組み状に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−117822号公報
【特許文献2】特開平8−246710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、この様なものは、固定棚の各棚が前後ビームや左右ビームやサブビームの様なビームのみで枠状に構成されていたので、比較的小さな物品をパレット等を用いずに直接収納する事ができないと共に、ビームに依り形成されている各棚がトラス(支柱)に固定されていたので、収納空間の高さを変える事ができず、収納空間より嵩高い物品を収納する事ができなかった。
【0005】
本発明は、叙上の問題点に鑑み、これを解消する為に創案されたもので、その課題とする処は、比較的小さな物品でもパレット等を用いずに直接収納できると共に、嵩高い物品でも収納できる様にしたテント倉庫を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のテント倉庫は、基本的には、屋根体と、屋根体を支持して前後方向及び上下方向に所定間隔を置いて配設された横材を有する柱体と、少なくとも屋根体の外側に張設される膜体と、柱体の前後方向に隣接する横材間に着脱可能に架設される足場布板と、から構成した事に特徴が存する。
【0007】
柱体の前後方向及び上下方向に所定間隔を置いて配設された横材のうち、前後方向に隣接する横材間には、足場布板が着脱可能に架設される。足場布板は、市販されているものを棚板として利用し、この上に物品が置かれて収納される。
足場布板は、周知の如く、板状を呈するので、比較的小さな物品でも落ちる事なく載置する事ができると共に、柱体の横材に対して着脱可能に装着されるので、物品の高さに呼応して取付けたり取外したりする事に依り嵩高い物品でも収納する事ができる。
又、テント倉庫を組立てる際には、柱体に設けられる足場布板を文字通り足場として利用できるので、クレーン等を用いずに、屋根体の組立作業や膜体の張設作業等を容易且つ安全に行う事ができる。
【0008】
屋根体は、前後方向に所定間隔毎に配設された梁材を備え、屋根体の前後方向に隣接する梁材間には、足場布板が着脱可能に架設されるのが好ましい。この様にすれば、屋根体にも物品棚を形成でき、それだけ物品の収納効率を向上する事ができる。
又、テント倉庫を組立てる際には、屋根体に設けられる足場布板を文字通り足場として利用できるので、膜体の張設作業等を容易且つ安全に行う事ができる。
【0009】
柱体は、屋根体の左右両側と、通路を置いて左右方向の中程とに設けられているのが好ましい。この様にすれば、中程の柱体を利用して物品棚を形成できると共に、中程の柱体が存在する事に依りテント倉庫全体の強度の増大を図る事ができる。
【0010】
中程の柱体は、両側の柱体より前後方向の長さが小さくされて前後面のうちの少なくとも一方の面との間に通路と連通する連絡通路が形成されているのが好ましい。この様にすれば、テント倉庫内には、通路と連絡通路が形成されるので、これらを利用して物品の移動が容易に行なえる。
【0011】
屋根体を構成する梁材とこれの上側に位置する斜材の下端とは、所定距離だけ離間されているのが好ましい。この様にすれば、梁材に対して足場布板を着脱する際に、斜材が邪魔になる事がない。
【0012】
柱体を構成する横材とこれの上側に位置する斜材の下端とは、所定距離だけ離間されているのが好ましい。この様にすれば、横材に対して足場布板を着脱する際に、斜材が邪魔になる事がない。
【発明の効果】
【0013】
本発明に依れば、次の様な優れた効果を奏する事ができる。
(1) 屋根体、柱体、膜体、足場布板とで構成し、とりわけ、屋根体を支持して前後方向及び上下方向に所定間隔を置いて配設された横材を有する柱体と、柱体の前後方向に隣接する横材間に着脱可能に架設される足場布板とを備えているので、比較的小さな物品でもパレット等を用いずに直接収納する事ができると共に、嵩高い物品でも収納する事ができる。
(2) 足場布板は、市販されているものを利用する事ができるので、コストの低減を図る事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第一例に係るテント倉庫を示す正面図。
【図2】図1の側面図。
【図3】図1の縦断側面図。
【図4】図1の横断平面図。
【図5】図1の要部のみを示す分解斜視図。
【図6】本発明の第二例に係るテント倉庫を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1乃至図5は、本発明の第一例を示していると共に、図6は、本発明の第二例を示している。尚、以下の説明に於て、左右方向とは、テント倉庫1の幅方向(図1に於て左右方向)を言い、前後方向とは、テント倉庫1の奥行方向(図2に於て左右方向)を言う事にする。
【0016】
図1乃至図5に於て、テント倉庫1は、屋根体2、柱体3、膜体4、足場布板5とからその主要部が構成されている。
テント倉庫1は、接地面Aに設置されて屋根体2及び柱体3から成るテントフレームと、これの外側に張られる膜体(テントシート)4とから構成されている。
接地面Aは、コンクリートやアスファルト等で舗装されて比較的強硬で平滑にされている。
【0017】
屋根体2は、テント倉庫1の基本部分を為すもので、この例では、前後方向に所定間隔を置いて適数(四つ)だけ配列された屋根骨6と、これらを連結する適数の連結骨7とから成っている。
屋根骨6は、上突弧状の弧状材8と、これらの両端を連結する梁材(下弦材)9と、弧状材8と梁材9との間を連結する適数の縦材10及び斜材11とを備えている。
連結骨7は、前後方向の桁材12やX状にした筋交材13等を備えている。
屋根体2を構成する梁材9とこれの上側に位置する斜材11の下端とは、所定距離Bだけ離間されている。所定距離Bは、梁材9に足場布板5を上から装着する際に斜材11が邪魔にならない程度の大きさにされている。
弧状材8や縦材10や桁材12や筋交材13は、丸管に依り作製されていると共に、梁材9は、角管に依り作製されている。
【0018】
柱体3は、屋根体2を支持して前後方向及び上下方向に所定間隔を置いて配設された横材14を有するもので、この例では、屋根体2の下側にこれに対して着脱可能に設けられて居り、前後方向に所定間隔を置いて適数(四つ)だけ配列された柱骨15と、これらを連結する適数の連結骨16とを備えている。柱体3の各柱骨15の間隔は、屋根体2の各屋根骨6の間隔と同様にしてある。
柱骨15は、左右の縦材17と、これらを連結する上下方向に所定間隔を置いて配設された適数の横材14とを備えている。
連結骨16は、前後方向の桁材18やX状にされた筋交材19等を備えている。
縦材17や桁材18や筋交材19は、丸管に依り作製されていると共に、横材14は、最上位のものが角管でそれ以外のものが丸管に依り作製されている。
【0019】
柱体3の下部には、接地面Aに接地されて高さ調整する為の座体20が設けられている。
座体20は、この例では、スクリュベース(ジャッキベース)にしてあり、柱体3の柱骨15を構成する縦材17の下部に設けられて居り、平面略正方形で板状を呈する座板21と、これに植設されて上部が柱骨15の縦材17に着脱可能に挿入される螺子棒22と、これに螺合されて柱骨15の縦材17の下面に当合されるハンドルナット23と、柱骨15の縦材17に螺設されて螺子棒22を抜止めする抜止ボルト(図示せず)とを備えている。
【0020】
而して、柱体3は、屋根体2の左右両側と、通路24を置いて左右中程との合計三つ設けられている。中程の柱体3は、両側の柱体3より前後方向の長さが小さくされて前後面のうちの少なくとも一方の面(図4では後面)との間に、通路24と連通する連絡通路25が形成されている。
【0021】
膜体(テントシート)4は、少なくとも屋根体2の外側に張設されるもので、この例では、鎖線で示す如く、屋根体2と、隣接する柱体3間の前側に形成される出入口26を除いた柱体3の外側を覆う様に設けられている。出入口26には、図4の鎖線で示す如く、伸縮式や折畳式の開閉可能な扉27が設けられる。
【0022】
足場布板5は、柱体3の前後方向に隣接する横材14間に着脱可能に架設されるもので、この例では、長手方向に長尺な四枠状の枠体28と、これの内側に設けられた踏面板29と、枠体の長手方向の両側に左右一対設けられた掛止手段(つかみ金具)30とから成って居り、長さが同じで幅が異なる二種類の市販されているものを用いている。
例えば呼び寸法(mm)がW(幅)240×L(長さ)1829と、W500×L1829との二種類や、呼び寸法(mm)がW240×L1524と、W500×L1524との二種類が用いられる。
而して、柱体3の各横材14の左右方向の長さは、足場布板5の幅に呼応させて設定されていると共に、柱体3の隣接する横材14間の間隔は、足場布板5の長さに呼応させて設定されている。
【0023】
次に、この様な構成に基づいてその作用を述解する。
柱体3の前後方向及び上下方向に所定間隔を置いて配設された横材14のうち、前後方向に隣接する横材14間には、足場布板5が掛止手段30に依り着脱可能に架設される。足場布板5は、市販されているものを棚板として利用され、この上に物品が置かれて収納される。
【0024】
足場布板5は、周知の如く、板状を呈するので、比較的小さな物品でも落ちる事なく載置する事ができると共に、柱体3の横材14に対して着脱可能に装着されるので、物品の高さに呼応して取付けたり取外したりする事に依り嵩高い物品でも収納する事ができる。
又、テント倉庫1を組立てる際には、柱体3に設けられる足場布板5を文字通り足場として利用できるので、クレーン等を用いずに、屋根体2の組立作業や膜体4の張設作業等を容易且つ安全に行う事ができる。
【0025】
柱体3は、屋根体2の左右両側と、通路24を置いて左右方向の中程とに設けられているので、この中程の柱体3も、両側の柱体3と同様に、隣接する横材14間に足場布板5を着脱可能に装着する事ができる。その結果、中程の柱体3を利用して物品棚を形成できると共に、中程の柱体3が存在する事に依りテント倉庫1全体の強度の増大を図る事ができる。
【0026】
図4に示す如く、中程の柱体3は、両側の柱体3より前後方向の長さが小さくされる事に依り後面との間には、通路24と連通する連絡通路25が形成され、所謂テント倉庫1内には、通路24と連絡通路25が形成されるので、これらを利用して物品の移動が容易に行なえる。
【0027】
次に、本発明の第二例を、図6に基づいて説明する。
第二例は、柱体3を構成する柱骨15を第一例とは異ならせたものである。
つまり、柱体3を構成する柱骨15は、左右の縦材17と、これらを連結する上下方向に所定間隔を置いて配設された適数の横材14と、上下の横材14間で左右の縦材17を連結する適数の斜材31とを備えている。斜材31は、上下一対のものから成り、略横V字状に配列されている。
柱体3を構成する横材14とこれの上側に位置する斜材31の下端とは、所定距離Bだけ離間されている。所定距離Bは、横材14に足場布板5を上から装着する際に斜材31が邪魔にならない程度の大きさにされている。
而して、第二例では、屋根体2を構成する梁材9にも足場布板5を架設している。この様にすれば、屋根体2にも物品棚を形成でき、それだけ物品の収納効率を向上する事ができる。
【0028】
尚、屋根体2の各屋根骨6の間隔と柱体3の各柱骨15の間隔は、先の例では、同じにしたが、これに限らず、例えば異なる様にしても良い。
柱体3は、先の例では、左右両側と左右中程の三つであったが、これに限らず、例えば中程の柱体3を割愛して二つにしたり、中程の柱体3を複数にして四つ以上にしても良い。
柱体3は、先の例では、両側ものより中程のものの前後方向の長さを小さくして連絡通路25を形成したが、これに限らず、例えば前後方向の長さを全て同じにしても良い。この様にすれば、連絡通路25が割愛されるものの、物品棚を多く形成する事ができる。
【符号の説明】
【0029】
1…テント倉庫、2…屋根体、3…柱体、4…膜体、5…足場布板、6…屋根骨、7…連結骨、8…弧状材、9…梁材、10…縦材、11…斜材、12…桁材、13…筋交材、14…横材、15…柱骨、16…連結骨、17…縦材、18…桁材、19…筋交材、20…座体、21…座板、22…螺子棒、23…ハンドルナット、24…通路、25…連絡通路、26…出入口、27…扉、28…枠体、29…踏面板、30…掛止手段、31…斜材、A…接地面、B…所定距離。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根体と、屋根体を支持して前後方向及び上下方向に所定間隔を置いて配設された横材を有する柱体と、少なくとも屋根体の外側に張設される膜体と、柱体の前後方向に隣接する横材間に着脱可能に架設される足場布板と、から構成した事を特徴とするテント倉庫。
【請求項2】
屋根体は、前後方向に所定間隔を置いて配設された梁材を備え、屋根体の前後方向に隣接する梁材間には、足場布板が着脱可能に架設される請求項1に記載のテント倉庫。
【請求項3】
柱体は、屋根体の左右両側と、通路を置いて左右方向の中程とに設けられている請求項1に記載のテント倉庫。
【請求項4】
中程の柱体は、両側の柱体より前後方向の長さが小さくされて前後面のうち少なくとも一方の面との間に、通路と連通する連絡通路が形成されている請求項3に記載のテント倉庫。
【請求項5】
屋根体を構成する梁材とその上側に位置する斜材の下端とは、所定距離だけ離間されている請求項2に記載のテント倉庫。
【請求項6】
柱体を構成する横材とその上側に位置する斜材の下端とは、所定距離だけ離間されている請求項1に記載のテント倉庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−246881(P2011−246881A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118047(P2010−118047)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(500094381)株式会社サンエープロテント (24)
【Fターム(参考)】