説明

テント用伸縮フレーム

【課題】 起伏や傾斜がある岩場等にも安定して設置でき、しかも任意の大きさ及び形状のテントを容易に設営できるようにする。
【解決手段】 長さ調整可能な複数の脚杆20を頂部金具10で放射状に展開自在に連結し、展開した脚杆20間に長さ調整可能な伸縮連接杆30と固定長の固定長連接杆40を脱着自在に連結して組立状態を保持できるテント用伸縮フレームであって、前記伸縮連接杆30と固定長連接杆40の両端部に弾性変形可能な略U字状のフック50を設け、フック50の略U字状の開口幅を脚杆20の外径より狭幅に形成し、フック50を脚杆20に嵌入してその弾性変形で伸縮連接杆30と固定長連接杆40を強く把持して連結できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮設トイレの設営等に使用されるテント用伸縮フレームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のテント用フレームが特許文献1に開示されている。この技術は、頂部金具の下面に着脱可能に備えた4本の上部フレームと、両端に垂直部材を備えた4本のコ字状フレームと、上端に連結具を備えた4本の下部フレームとで構成され、連結具に上部フレームとコ字状フレームをそれぞれ挿入して三角形状に組み立てられるようにしている。
【0003】
ところで、前記技術は各フレームが一定の長さに固定されているから、岩場など起伏や傾斜がある設置面では安定させることが困難であった。また、設営されるテントも一定の大きさ及び形状に限定され、汎用性に劣る問題があった。
【特許文献1】実開平6−10562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、起伏や傾斜がある岩場等にも安定して設置でき、しかも任意の大きさ及び形状のテントを容易に設営できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 長さ調整可能な複数の脚杆を頂部金具で放射状に展開自在に連結し、展開した脚杆間に固定長又は長さ調整可能な連接杆を脱着自在に連結して組立状態を保持できるテント用伸縮フレームであって、前記連接杆の両端部に弾性変形可能な略U字状のフックを設け、フックの略U字状の開口幅を脚杆の外径より狭幅に形成し、フックを脚杆に嵌入してその弾性変形で連接杆を把持して連結できるようにしたことを特徴とする、テント用伸縮フレーム
2) 頂部金具が、脚杆の上端部を枢支して上下方向にのみ展開できる構成したものである、前記1)記載のテント用伸縮フレーム
3) フックが、バネ鋼を略U字状に曲折するとともにその基端部をさらに凹状に曲折し、且つ略U字状の左右の先端部に小巻部をそれぞれ形成し、同バネ鋼の表面に弾性を示す合成樹脂を所定厚さに被覆して構成したものである、前記1)又は2)記載のテント用伸縮フレーム
4) フックを連接杆に遊動自在に取り付けた、前記1)〜3)いずれか記載のテント用伸縮フレーム
にある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
1)脚杆と連接杆が長さを調整できるから、任意の大きさ及び形状のフレームを形成でき、解体後はコンパクトで運搬も容易である。
2)設置面の起伏や傾斜に応じて各脚杆の長さを異ならせることで、安定した設置が可能となる。
3)連接杆はフックを脚杆に嵌入して把持させるだけで連結されるから、極めて容易に且つ短時間で組み立てできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明では、フックを略U字状にバネ鋼を曲折するとともにその基端部をさらに凹状に曲折し、且つ略U字状の左右の先端部に小巻部をそれぞれ形成し、同バネ鋼の表面に弾性を示す合成樹脂を所定厚さに被覆して構成すると、合成樹脂の摩擦抵抗で連接杆の把持位置が容易にずれることがなく、小巻部により拡径した部分で強固に把持し、組み立て状態を確実に保持して強風等の影響を受け難くし、且つ脱着時に脚杆を傷つけ難くする。脚杆は頂部金具に枢支して上下方向にのみ展開できるようにすると、組み立て時に不要な動きを抑制して複数の脚杆を所定の方向へ均一に展開でき、組み立てをより容易にする。以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0008】
図1は実施例のテント用伸縮フレームの説明図、図2は実施例の頂部金具の説明図、図3は実施例の脚杆の説明図、図4は実施例のフックの説明図、図5は実施例の仮設トイレの説明図、図6は実施例のテント用伸縮フレームの解体状態を示す説明図である。
【0009】
図中、10は頂部金具、10aは凹所、11はネジ、12はナット、20は脚杆、20aは太パイプ、20bは細パイプ、21は拡径連結具、21aは拡縮面、21bは圧接部材、21cは滑止め、22は突起、30は伸縮連接杆、30aは太パイプ、30bは細パイプ、30cはネジ孔、30dはキャップ、30eはネジ孔、30fは栓、31はネジ、32はナット、40は固定長連接杆、50はフック、50aは拡径部、50bはネジ孔、50cはバネ鋼、60はロープ、61はアンカー、62はテントシート、Gは設置面、Tはトイレである。
【0010】
本実施例のテント用伸縮フレームは、図1,2に示すように略十字状の頂部金具10の凹所10aに4本の脚杆20の上端部をネジ11とナット12で回動自在に枢支している。脚杆20は、図3に示すように外径の異なる太パイプ20aと細パイプ20bとで構成し、細パイプ20bの挿入端に拡径連結具21を取り付けている。拡径連結具21は、外径が一方向に沿って拡径するように形成した拡縮面21aに滑止め21cが外周面に形成されたC字状の圧接部材21bを回転可能に設けており、太パイプ20a又は細パイプ20bのいずれかを回転させると圧接部材21bの滑止め21cが太パイプ20aの内面との摩擦で定位置に保持され、圧接部材21bが拡縮面21aで押されて太パイプ20aの内面を圧接することで固定され、逆回転させると圧接部材21bが緩んで固定が解除されるようにしている。伸縮連接杆30も脚杆20と同じ構造で伸縮できるようにしている(図示せず)。太パイプ20aの下端にはズレ防止の突起22を取り付けている。
【0011】
フック50は、図4に示すように外径2.5mmのバネ鋼50c(SUS304)を略U字状に曲折するとともに基端部をさらに凹状に曲折し、且つ略U字状の左右の先端部に小巻部をそれぞれ形成し、その表面全面にポリウレタン樹脂を2mm厚に被覆して構成しており、弾性及び摩擦抵抗を有している。先端部には小巻部により拡径部50aを形成するとともに基端部の凹状部にはハトメ(図示せず)を固着して大き目のネジ孔50bを形成し、略U字状の開口幅Lを脚杆20の外径Lよりやや狭幅に形成している。このフック50のネジ孔50bと塩化ビニル樹脂製のキャップ30dのネジ孔30eと伸縮連接杆30のネジ孔30cにネジ31を連通させてナット32で螺合し、フック50が上下左右に遊動できるようにしている。キャップ30dの奥部にはゴム製の栓30fを取り付けて伸縮連接杆30の内部に水が浸入しないようにしている。なお、フック50以外は全てステンレスで構成している。固定長連接杆40の両端にも同じ構造でフック50を取り付けている(図示せず)。
【0012】
組み立てる場合は、4本の脚杆20を求める長さに調整し、頂部金具10から所定角度となるように放射状に展開し、脚杆20の下端部を設置面Gに設置する。設置面Gに起伏や傾斜がある場合は4本の脚杆20の長さを異ならせて全体が水平となるように微調整する。伸縮連接杆30も脚杆20と同様に求める長さに調整し、両端のフック50を対向する脚杆20に嵌入して把持させる。このとき、フック50は遊動できるから嵌入作業が容易で、先端部の拡径部50aが脚杆20を強固に把持する。中位置に取り付けられる固定長連接杆40は長さ調整できるものに代えて使用してもよい。組み立て後は内部にトイレTを設置してテントシート62を敷設し、ロープ60とアンカー61で緊張して求める仮設トイレを設営する。
【0013】
このように、本実施例によればフック50の略U字状の開口幅が脚杆20の外径より狭幅で強く把持しているから外れることはなく、しかも摩擦抵抗によってその位置もずれ難く、組み立て状態が強固に保持されて強風等の影響を受け難く、且つ傷つき難いものとなる。また、起伏や傾斜がある設置面Gにも安定して設置でき、しかも伸縮連接杆30や固定長連接杆40はフック50を脚杆20に嵌入して把持させるだけで連結できるから、極めて容易に且つ短時間で組み立てでき、任意の大きさ及び形状のテントを容易に且つ短時間で設営できるようになった。さらに、図6に示すように解体後はコンパクトなものとなり、運搬も容易なものとなった。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明のテント用伸縮フレームは、仮設トイレの他、キャンピングテント・レジャーテント用として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例のテント用伸縮フレームの説明図である。
【図2】実施例の頂部金具の説明図である。
【図3】実施例の脚杆の説明図である。
【図4】実施例のフックの説明図である。
【図5】実施例の仮設トイレの説明図である。
【図6】実施例のテント用伸縮フレームの解体状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0016】
10 頂部金具
10a 凹所
11 ネジ
12 ナット
20 脚杆
20a 太パイプ
20b 細パイプ
21 拡径連結具
21a 拡縮面
21b 圧接部材
21c 滑止め
22 突起
30 伸縮連接杆
30a 太パイプ
30b 細パイプ
30c ネジ孔
30d キャップ
30e ネジ孔
30f 栓
31 ネジ
32 ナット
40 固定長連接杆
50 フック
50a 拡径部
50b ネジ孔
50c バネ鋼
60 ロープ
61 アンカー
62 テントシート
G 設置面
T トイレ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ調整可能な複数の脚杆を頂部金具で放射状に展開自在に連結し、展開した脚杆間に固定長又は長さ調整可能な連接杆を脱着自在に連結して組立状態を保持できるテント用伸縮フレームであって、前記連接杆の両端部に弾性変形可能な略U字状のフックを設け、フックの略U字状の開口幅を脚杆の外径より狭幅に形成し、フックを脚杆に嵌入してその弾性変形で連接杆を把持して連結できるようにしたことを特徴とする、テント用伸縮フレーム。
【請求項2】
頂部金具が、脚杆の上端部を枢支して上下方向にのみ展開できる構成したものである、請求項1記載のテント用伸縮フレーム。
【請求項3】
フックが、バネ鋼を略U字状に曲折するとともにその基端部をさらに凹状に曲折し、且つ略U字状の左右の先端部に小巻部をそれぞれ形成し、同バネ鋼の表面に弾性を示す合成樹脂を所定厚さに被覆して構成したものである、請求項1又は2記載のテント用伸縮フレーム。
【請求項4】
フックを連接杆に遊動自在に取り付けた、請求項1〜3いずれか記載のテント用伸縮フレーム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−127936(P2008−127936A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−316909(P2006−316909)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(507362214)
【Fターム(参考)】