説明

テント

【課題】強い横風による歪みや破損を防ぎ、併せて、骨組み構造体に人体が接触しても怪我をしないテントを提供する。
【解決手段】2本のバーをX字状に回動自在に連結した2組のシザー骨組をシザー連結部6で連結することによってパンタグラフ状に折り畳み自在としたシザー組立体2と、該シザー組立体2で展開若しくは収縮自在に連結される4本の支柱5からなり、4本の支柱5とシザー組立体を支柱5の上部に固定される固定ブラケット3と支柱5に沿ってスライドするスライドブラケット4により連結し、天幕8で屋根部15と4本の支柱5の上部側面を帯状に覆ったテント1において、テント1を展開した状態において支柱5上部を覆う天幕8の横長方形の側面部が、スライドブラケット4とシザー上方連結部6aとを結ぶ線及び下端線とで形成される三角形状の面を切除して解放とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み式テントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二本のシザーバーを連結部で回動自在にX字状に連結しパンタグラフ状に折り畳み自在なシザー組立体を用いて、折り畳みを自在としたテントの骨組構造体は公知であり、例えば特許第2625255号公報に開示されている。かかる折り畳み自在な骨組構造体は、展開したとき充分に大きな面積を被覆することが出来、また折り畳んだときは充分に小さな寸法と形状となり、所望のバッグに収納して携行することが可能となるため、テントや日除け等として広く実用化されている。骨組構造体を被う天幕は、屋根部を構成するとともに、シザー組立体と支柱とを連結するスライドブラケットの位置まで垂下し、4本の支柱の上部側面を覆う横長方形の天幕側面部を構成する。該天幕側面部は固定ブラケット、スライドブラケット及びシザー連結部が完全に隠れるように骨組構造体の側面上方を横長方形の帯状に覆っている。
【0003】
しかしながら、このような天幕側面部の形状では、テントの側面から強い風を受けた場合、天幕側面がまともに風を受け、テントがたわみ、骨組構造体に歪みや破損が生じる不都合があった。側面からの風を受けないように、天幕側面部を取り除き、天幕が屋根部のみを覆う形状とすると、天幕側面部は、支柱上部を帯状に周囲して取り巻き、その張力によって骨組構造体のたわみを抑え、剛性を維持するための機能もあるため、逆にテントの強度が低下し、却って、骨組構造体の歪みや破損を引き起こすこととなる。また、天幕側面部はシザーバーの連結部を覆うことによって、仮に、人の頭等が当該連結部に接触しても、怪我することがないよう安全性を確保する機能もあるため、安全性への配慮無く天幕側面部を取り除くことは出来ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2625255号公報
【特許文献2】特開2001−182383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、2本のシザーバーをX字状に回動自在に連結したシザー骨組の二組をシザー連結部で連結してパンタグラフ状に折り畳み自在としたシザー組立体と、天幕支持部材及び支柱等の骨組部材を含み、支柱の上端に固定される固定ブラケットと支柱の途中にスライド自在に挿着されるスライドブラケットで支柱、シザー組立体を相互に連結した骨組構造体を天幕で覆うテントにおいて、強い横風によるテント等の歪みや破損を防ぐことを目的とし、併せて、人体が接触して怪我する危険を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためにこの発明が採った手段は、2本のシザーバーをX字状に回動自在に連結したシザー骨組の二組をシザー連結部で連結することによってパンタグラフ状に折り畳み自在としたシザー組立体と、該シザー組立体で展開若しくは収縮自在に連結される4本の支柱からなり、4本の支柱とシザー組立体を支柱の上部に固定される固定ブラケットと支柱に沿ってスライドするスライドブラケットにより連結し、天幕で屋根部と4本の支柱の上部側面を帯状に覆ったテントにおいて、テントを展開した状態において支柱上部を覆う天幕の横長方形の側面部が、スライドブラケットとシザー上方連結部とを結ぶ線及び下端線とで形成される三角形状の面を切除して解放した形状としたことを特徴とする。
【0007】
また、天幕のシザー上方連結部を覆う部分とシザー下方連結部をベルトで連結することを特徴とし、また、ベルトが弾力的に伸縮自在であることを特徴とする。
【0008】
更に、天幕のシザー上方連結部を覆う部分にフックを設けたベルトを設置し、フックをシザー下方連結部に嵌着することによって、天幕側面部のシザー上方連結部を覆う部分とシザー下方連結部とを連結することを特徴とし、また、フックがシザー下方連結部の下部を被覆し頭部を衝突による損傷から保護していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、強い横風に対しても、テントの歪みや破損が生じることなく、また、天幕を骨組構造体に容易かつ効果的に固定することができ、更に、人体が骨組構造体を構成する金属部材等と接触して怪我することを防止することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】テントの正面透過図
【図2】フック付きベルトによる固定部の拡大図
【図3】フック正面図とA−A線における断面図
【図4】フック側面図
【図5】支柱とシザー組立体及び天幕支持部材の連結状態を示す図
【図6】テントの斜視図(ベルト、フックを取り除いた状態)
【図7】テントの底面図
【図8】従来の折り畳み式テントの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照しつつ、この発明の好ましい実施の形態を以下に詳細に説明する。図1は、骨組構造体(12)に天幕(8)を固定したテント(1)の形態を透過図として示す。テント(1)は、
2本のシザーバーをX字状に回動自在に連結したシザー骨組の二組をシザー連結部(6)で連結してパンタグラフ状に折り畳み自在としたシザー組立体(2)と、該シザー組立体(2)で展開若しくは収縮自在に連結される4本の支柱(5)とからなり、4本の支柱(5)とシザー組立体(2)を支柱(5)の上部に固定される固定ブラケット(3)と支柱(5)に沿ってスライドするスライドブラケット(4)により連結し、天幕(8)で屋根部(15)と4本の支柱(5)の上部側面を帯状に覆ったテントにおいて、テント(1)を展開した状態において支柱上部を覆う天幕の横長方形の側面部(13)が、スライドブラケット(4)とシザー上方連結部(6a)とを結ぶ線及び下端線とで形成される三角形状の面を切除して解放した形状とする。
【0012】
支柱上部を覆う天幕(8)の横長方形の側面部(13)は、2つの固定ブラケット(3)及び2つのスライドブラケット(4)を四隅とする横長方形状からスライドブラケット(4)とシザー上方連結部(6a)とを結ぶ線及び下端線で形成される三角形状の面を切除することによって、強い横風を受けた場合にも、風を逃がすことでき、テントのたわみを抑え、骨組構造体(12)の歪みや破損を防ぐことが出来る。
【0013】
天幕側面部(13)は、支柱上部を帯状に周囲して取り巻き、その張力によって骨組構造体(12)のたわみを抑え、剛性を維持する。また、天幕側面部(13)が、骨組構造体(12)の連結部等を覆うことによって、テントとしての見栄えを損なうことがない。
【0014】
図2は、天幕側面部(13)をシザー組立体(2)に取り付けた状態におけるフック付きベルト(9)による固定部の拡大図を示す。天幕側面部(13)のシザー上部連結部(6a)を覆う部分にフック(10)の付いたベルト(9)を取り付ける。ベルト(9)の長さは、およそテントを組み立てたときのシザー連結部(6)のシザー上方連結部(6a)とシザー下方連結部(6b)の離間距離に相当する。フック(10)をシザーの下方連結部(6b)に取り付けることによって、天幕(8)を骨組構造体(12)に固定することが出来る。
【0015】
ベルト(9)の材質は、天幕(8)を骨組構造体(12)に固定するための強度と耐候性に優れるものであれば特に限定されるものではないが、天幕(8)を骨組構造体(12)に密着させることができるためゴム等の弾力性のある伸縮自在な素材が好ましい。また、経年によりベルトの長さが変化した場合や、天幕の張り具合を調整する場合を考慮し、ベルトには長さを調整することが出来る長さ調整機構を設けても良い。
【0016】
フック(10)は、シザー下方連結部(6b)の下部を覆って嵌着する。これにより天幕(8)を骨組構造体(12)に確実に固定することが出来、また、人体が露出したシザー下方連結部(6b)に接触し怪我することを防止することが出来る。フックは、射出成型による一体成型で、材質はポリプロピレンが好ましい。
【0017】
フック(10)は、必ずしもカギ形状の成型体である必要はなく、連結部(6b)の下部を覆うものであればよい。また、フックに限られず、例えば、シザー下方連結部(6b)を覆いながら留めることが出来るベルクロファスナー等であってもよい。
【0018】
天幕支持部材(7)は、各支柱(5)の上端の固定ブラケット(3)に一端を連結され、他端は天幕中央部に向かって延びており、シザー組立体(2)が伸張されるとき、伸張に応じて自動的に或いは独立して手動で上方に持ち上げられて天幕(8)を支え、屋根部(15)を構成する。天幕支持部材(7)に折り畳み自在な防水性及び耐久性を有し所望の強度を備える合成樹脂製シート、或いは織物からなる天幕(8)を被覆し、屋根を作出する。尚、固定ブラケット(3)は、支柱(5)の上端に固着してあるが、支柱(5)の上端を若干固定ブラケット(3)の上方に伸び出せて固定しても良いことは勿論であり、要は支柱(5)の上部に固定して配置されていればよい。
【0019】
図7は、テント(1)の底面を示す。天幕(8)は、対角にある支柱(5)から伸びる2本の天幕支持部材(7)によって支えられ、屋根部(15)を形成する。但し、天幕支持部材(7)の本数や長さ等については、テントの形状或いは大きさによって適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0020】
1 テント
2 シザー組立体
3 固定ブラケット
4 スライドブラケット
5 支柱
6 シザー連結部
6a シザー上方連結部
6B シザー下方連結部
7 天幕支持部材
8 天幕
9 ベルト
10 フック
11 方杖部材
12 骨組構造体
13 天幕側面部
14 シザーバー交叉連結部
15 屋根部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本のシザーバーをX字状に回動自在に連結したシザー骨組の二組をシザー連結部で連結してパンタグラフ状に折り畳み自在としたシザー組立体と、該シザー組立体で展開若しくは収縮自在に連結される4本の支柱とからなり、4本の支柱とシザー組立体を支柱の上部に固定される固定ブラケットと支柱に沿ってスライドするスライドブラケットにより連結し、天幕で屋根部と4本の支柱の上部側面を帯状に覆ったテントにおいて、テントを展開した状態において支柱上部を覆う天幕の横長方形の側面部が、スライドブラケットとシザー上方連結部とを結ぶ線及び下端線とで形成される三角形状の面を切除して解放した形状であることを特徴とするテント。
【請求項2】
天幕のシザー上方連結部を覆う部分とシザー下方連結部をベルトで連結することを特徴とする請求項1記載のテント。
【請求項3】
ベルトが弾力的に伸縮自在であることを特徴とする請求項2記載のテント。
【請求項4】
天幕のシザー上方連結部を覆う部分にフックを設けたベルトを設置し、フックをシザー下方連結部に嵌着することによって、天幕側面部のシザー上方連結部を覆う部分とシザー下方連結部とを連結することを特徴とする請求項2又は3記載のテント。
【請求項5】
フックがシザー下方連結部の下部を被覆し頭部を衝突による損傷から保護していることを特徴とする請求項4記載のテント。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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