説明

テーブルフィーダ

【課題】ボトムプレートが磨耗することによりシュレッダーダストがテーブルフィーダの外へ流出するのを防止する。
【解決手段】被処理物9が貯留されるとともに被処理物9を下方に排出可能な貯留部2と、貯留部2の下部外周に配置され上面6aが密閉された下部ケーシング6と、下部ケーシング6の底面を形成し、被処理物9を搬出する搬出口7を備えたボトムプレート3と、ボトムプレート3の中心に回転軸を有し、ボトムプレート3の上面3aに沿って回転し被処理物9を搬出する回転羽根4と、ボトムプレート3の下方に配設されて回転羽根4を回転させる回転駆動部5とを有する。ボトムプレート3は、下部ケーシング6の底面を形成する第一ボトムプレート11と、第一ボトムプレート11の下方に隙間13を有して設けられた第二ボトムプレート12とからなる二重構造を有し、隙間13が外部に対して密閉されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブルフィーダに関し、更に詳細には、シュレッダーダスト等の被処理物を貯留し、定量的に搬出することができるテーブルフィーダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の構成部品は、大部分がリサイクルされているが、残りは粉砕してシュレッダーダストとし、埋め立て処分されていた。しかし、最終処分場の逼迫などから、シュレッダーダストについても更なる処理による減容化、および資源の回収・リサイクルが求められている。このような要求の下、流動床炉等を用いてシュレッダーダストを焼却処理し、減容化を図ることが行われている。また、冷蔵庫等の家電製品を廃棄する場合も、リサイクル可能な部品を除去し、残りを粉砕してシュレッダーダストとし、焼却処理している。
【0003】
シュレッダーダストには、金属、ガラス等の無機物、およびプラスチック、ウレタン、油などの有機物が混在する。また、素材の硬さ、弾性、伸展性、引っ張り強度なども異なるため、破砕条件が同じでも、一様な形状、大きさに破砕されておらず、粗粒物が混在している。このように成分や形状、大きさがばらついたままでシュレッダーダストを焼却すると、燃焼が不安定になり、安定した炉の連続操業がしにくいといった問題を生ずる。そのため、シュレッダーダストを焼却処理する前に、篩い分け、ガラスや金属類の選別、再破砕などの前処理を行う必要がある。また、焼却施設においては、炉内の燃焼状態の安定を図るため、シュレッダーダストを定量的に連続して供給することが好ましい。そのため、前処理したシュレッダーダストを貯留して、定量ずつ切り出して供給するフィーダ装置が用いられる。
【0004】
かかるフィーダ装置の一例としては、貯留槽、ボトムプレート、ディスチャージプレート(攪拌羽根)、輸送空気供給管、粉粒体輸送管、分配器、モータ等より構成されているテーブルフィーダが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
図3は、従来のテーブルフィーダの概要を示す断面図である。テーブルフィーダ1は、貯留部2、ボトムプレート3、回転羽根4、回転駆動部5を有する。貯留部2は、シュレッダーダストなどの被処理物9を貯留するとともに、被処理物9を下方へ搬出する。貯留部2の下部外周には、貯留部2と同心に下部ケーシング6が配置される。下部ケーシング6は、貯留部2の下端よりも下方に底面を有し、上面6aは外部に対して密閉されている。下部ケーシング6の底面には、搬出口7を備えたボトムプレート3が設けられている。ボトムプレート3の上方には、十字状の4枚羽根で構成された回転羽根4が設けられている。回転羽根4は、ボトムプレート3の中心が回転軸となるように配設され、ボトムプレート3の上面3aから適宜間隔を保持して、上面3aに沿って回転し、被処理物9を搬出口7に向けて移動させる。ボトムプレート3の下方には、モータによる回転駆動部5が配設されており、これにより回転羽根4が回転する。
【0006】
【特許文献1】特開2001−63828号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、このような従来のテーブルフィーダにあっては、搬出される被処理物9がボトムプレート上で回転羽根4に引き摺られることにより、図4に示すように、ボトムプレート3が磨耗して穴10が開き、一部の被処理物9aが穴10からテーブルフィーダ1の外へ流出するトラブルが発生していた。殊に、貯留部2の側壁21の直下が最も磨耗が激しく、穴10が開きやすかった。
【0008】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ボトムプレートが磨耗することによりシュレッダーダストがテーブルフィーダの外へ流出するのを防止し、長期の運転に対応できるテーブルフィーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、ボトムプレートを、一定の隙間を有し密閉された二重構造とすることにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明に至った。
【0010】
即ち、本発明のテーブルフィーダは、被処理物が貯留されるとともに前記被処理物を下方に排出可能な貯留部と、前記貯留部の下部外周に配置され上面が密閉された下部ケーシングと、前記下部ケーシングの底面を形成し、前記被処理物を搬出する搬出口を備えたボトムプレートと、前記ボトムプレートの中心に 回転 軸を有し、前記ボトムプレートの上面に沿って回転し前記被処理物を搬出する回転羽根と、前記ボトムプレートの下方に配設されて前記回転羽根を回転させる回転駆動部と、を有するテーブルフィーダであって、前記ボトムプレートは、前記下部ケーシングの底面を形成する第一ボトムプレートと、前記第一ボトムプレートの下方に隙間を有して設けられた第二ボトムプレートとからなる二重構造を有し、前記隙間が外部に対して密閉されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のテーブルフィーダの好適形態は、前記第二ボトムプレートが、前記貯留部の側壁の下方から外側、内側ともに30mm以上の幅を有する範囲に配置されていることを特徴とする。
【0012】
更に、本発明のテーブルフィーダの他の好適形態は、前記第一ボトムプレートと前記第二ボトムプレートとの隙間の寸法が、前記第一ボトムプレートと前記回転羽根との間隔と同等以上であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ボトムプレートを二重構造にすることにより、第一ボトムプレートに磨耗による穴が開いても、外部へ被処理物が流出することなく、テーブルフィーダの運転を継続できる。しかも、第一ボトムプレートと第二ボトムプレートとの隙間に被処理物が堆積することにより、第二ボトムプレートの磨耗が進行しにくいため、より長期の運転が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明のテーブルフィーダの一実施形態を、図を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付する。
【0015】
図1は、本発明のテーブルフィーダの概略を示す。本発明のテーブルフィーダ1は、貯留部2、ボトムプレート3、回転羽根4、回転駆動部5を有する。貯留部2は例えば円筒状であり、シュレッダーダストなどの被処理物9を貯留するとともに、被処理物9を下方へ搬出することができる。貯留部2の下部外周には、貯留部2と同心に例えば円筒状の下部ケーシング6が配置される。下部ケーシング6は、貯留部2の下端よりも下方に底面を有し、上面6aは外部に対して密閉されている。下部ケーシング6の底面には、搬出口7を備えたボトムプレート3が設けられている。ボトムプレート3の上方には、十字状の4枚羽根で構成された回転羽根4が設けられている。回転羽根4は、ボトムプレート3の中心が回転軸となるように配設され、ボトムプレート3の上面3aから適宜間隔を保持して、上面3aに沿って回転し、被処理物9を搬出口7に向けて移動させる。ボトムプレート3の下方には、モータによる回転駆動部5が配設されており、これにより回転羽根4が回転する。
【0016】
なお、シュレッダーダストとは、例えば廃棄自動車からリサイクル備品を取除いた残りの廃棄物を粉砕したもの(ASR:Automobile Shredder Residue)をいう。シュレッダーダストの成分は多様であり、例えば無機物として鉄(Fe)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)等の金属、ガラス等が含まれており、また、有機化合物としては、ゴム、繊維くず、ウレタン及びナイロンなどの軟質樹脂、塩ビなどの硬質プラスチック等が含まれる。シュレッダーダスト中に含有されるガラスは、主に自動車の窓ガラス等であり、このガラスには、酸化珪素が含まれる他、酸化ナトリウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、アルミナ、酸化カルシウムなど無機金属の酸化物が含有されている。また、前処理を行う前においては、シュレッダーダストの大きさや形状は多様であり、大きさが十数cmといった粗粒のものから粉塵状の細粒物までが混在している。
【0017】
ボトムプレート3は、第一ボトムプレート11とその下方に配置される第二ボトムプレート12とからなる二重構造を有し、第一ボトムプレート11と第二ボトムプレート12との間には、隙間13が設けられている。隙間13の側方には全面にわたって側面14が設けられ、隙間13は外部に対して密閉された空間となっている。
【0018】
図2は、図1のテーブルフィーダ1の継続使用により第一ボトムプレート11が磨耗した後の状況を説明する断面図である。回転羽根4の下側に入り込んだ被処理物9aは、回転羽根4の回転によって第一ボトムプレート11に押さえつけられる。特に、比重が大きく粒子の小さいガラス等が擦り付けられることにより、図2(A)に示すように、第一ボトムプレート11が徐々に磨耗する。磨耗が進行し、第一ボトムプレート11に穴10が貫通すると、図2(B)に示すように、被処理物9aは隙間13内に流出する。このとき、被処理物9aのうち、比重が大きく粒子の小さいものが優先的に隙間13および穴10に入り込む。このようにして、第二ボトムプレート12の上面から穴10にかけては、被処理物9aの中の硬い物質で蓋状に覆われる。穴10全体に被処理物9aが入り込んだ後は、同じ内容物、即ち同じ硬さの被処理物9aが更に入り込むことはなく、外側へはじかれる。したがって、穴10が更に削られることはない。また、第二ボトムプレート12は、硬い被処理物9aで覆われているので、磨耗を抑制できる。しかも、図1に示すように、隙間13の側方に側面14が設けられていることにより、穴10から第二ボトムプレート12に被処理物9aが入り込んでも、被処理物9aは密閉空間である隙間13に溜まるだけで、外部へは流出しない。
【0019】
第二ボトムプレート12は、平面形状において回転羽根4の回転領域内であれば任意の位置および大きさに設けてよいが、好ましくは、貯留部2の側壁21の下方および搬出口7周辺の、極力広い範囲に設けることが好ましい。具体的には、被処理物9の移動が最も頻繁である貯留部2の側壁21の下方および搬出口7からそれぞれ30mm程度の範囲の磨耗が顕著であるため、第二ボトムプレート12は、この範囲以上に形成することが好ましい。
【0020】
図1に示す第一ボトムプレート11と第二ボトムプレート12との隙間13の寸法sは、回転羽根4と第一ボトムプレート11の間隔s以上の寸法とすることが好ましい。隙間13の寸法が小さいと、被処理物9aが第二ボトムプレート12上に堆積せず、回転羽根4と一緒に移動して第一ボトムプレート11上で引き摺られてしまうので、ボトムプレート3の磨耗を防ぐ十分な効果が得られない。また、隙間13としては、例えば、第一ボトムプレート11より15〜20mmの凹み深さを有する構造が挙げられる。
【0021】
以上説明した本発明のテーブルフィーダ1は、シュレッダーダスト等の被処理物9を定量的に搬出する際の、ボトムプレート3における磨耗劣化が少なくなり、長期にわたって使用することができる。
【0022】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【実施例1】
【0023】
以下、本発明を実施例により更に詳述する。
【0024】
本発明の実施例として、図1に示す構造において、第一ボトムプレートの材質をSS400、厚さを9mm、第二ボトムプレートの材質をSS400、厚さを6mm、第一ボトムプレートと第二ボトムプレートとの隙間を12mmとした。また、比較例1として、図3に示す従来構造において、ボトムプレートの材質をSS400、厚さを9mmとし、比較例2として、同じく従来構造において、ボトムプレートの材質を高張力鋼板、厚さを12mmとした。これらの条件のテーブルフィーダをそれぞれ運転し、超音波式肉厚測定器でボトムプレートの肉厚を測定し、初期値からの減肉量を算出した。
【0025】
本発明の実施例では、14ヶ月の連続運転を行っても、ボトムプレートの磨耗による減肉は全く見られなかった。実施例の第一ボトムプレートと同じ材質および同じ厚さの単層のボトムプレートとした比較例1では、6ヶ月の連続運転で、磨耗により穴が開いた。比較例2は、比較例1よりも磨耗による減肉量が少ないが、減肉は測定された。これらの結果から、12ヶ月の連続運転による減肉量に換算した減肉量の値を表1に示す。
【0026】
【表1】

【0027】
また、比較例2のテーブルフィーダのボトムプレートにおいて、図3に示す貯留部2の側壁21の直下(位置B)と、側壁21から内側および外側にそれぞれ100mm離れた位置A,Cについて、磨耗による減肉量を測定した。結果を表2に示す。
【0028】
【表2】

【0029】
表2より、貯留部2の側壁21の直下が最も磨耗による減肉量が多いことが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、各種廃棄物のシュレッダーダスト等の被処理物を貯留し、定量的に搬出するテーブルフィーダに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明のテーブルフィーダの一例を示す縦断面図。
【図2】図1のテーブルフィーダ使用時のボトムプレートの状態を説明する縦断面図。
【図3】従来のテーブルフィーダの一例を示す縦断面図。
【図4】図3の問題点を示す縦断面図。
【符号の説明】
【0032】
1 テーブルフィーダ
2 貯留部
3 ボトムプレート
3a 上面
4 回転羽根
5 回転駆動部
6 下部ケーシング
6a 上面
7 搬出口
9,9a 被搬送物
10 穴
11 第一ボトムプレート
12 第二ボトムプレート
13 隙間
14 側面
21 側壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物が貯留されるとともに前記被処理物を下方に排出可能な貯留部と、
前記貯留部の下部外周に配置され上面が密閉された下部ケーシングと、
前記下部ケーシングの底面を形成し、前記被処理物を搬出する搬出口を備えたボトムプレートと、
前記ボトムプレートの中心に回転軸を有し、前記ボトムプレートの上面に沿って回転し前記被処理物を搬出する回転羽根と、
前記ボトムプレートの下方に配設されて前記回転羽根を回転させる回転駆動部と、を有するテーブルフィーダであって、
前記ボトムプレートは、前記下部ケーシングの底面を形成する第一ボトムプレートと、前記第一ボトムプレートの下方に隙間を有して設けられた第二ボトムプレートとからなる二重構造を有し、前記隙間が外部に対して密閉されていることを特徴とする、テーブルフィーダ。
【請求項2】
前記第二ボトムプレートが、前記貯留部の側壁の下方から外側、内側ともに30mm以上の幅を有する範囲に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のテーブルフィーダ。
【請求項3】
前記第一ボトムプレートと前記第二ボトムプレートとの隙間の寸法が、前記第一ボトムプレートと前記回転羽根との間隔と同等以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載のテーブルフィーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−155015(P2009−155015A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−333754(P2007−333754)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(507027162)DOWAテクノロジー株式会社 (11)
【Fターム(参考)】