説明

テープカセット及びテープ印刷装置

【課題】被印刷テープ上に形成されたホログラム層のホログラフィー効果を任意のパターン形状で容易に無効化することができるテープカセット及びテープ印刷装置を提供する。
【解決手段】テープカセットは、テープケースと、印刷面に超微細凹凸からなるホログラム層が形成された被印刷テープが巻回されて回転可能に設けられるテープスプールと、前記テープケースから前記被印刷テープが露出する露出部と、前記露出部のテープ搬送方向上流側で前記被印刷テープの印刷面に透明インク層を含むインク層が重ね合わされて該被印刷テープと共に該露出部に搬送されるインクリボンが巻回されて回転可能に設けられるリボンスプールと、前記インクリボンの先端部が固着されると共に、該インクリボンが巻き取られる巻き取りスプールとを備え、前記露出部において前記被印刷テープのホログラム層の上側にサーマルヘッドを介して前記透明インク層が熱転写されるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺状のテープを収納したテープカセットに関するものである。また、本発明は、このテープカセットが着脱可能に装着されるテープ印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、表面に超微細凹凸からなるホログラム層が形成された被印刷媒体のホログラフィー効果を一部無効化する技術に関して種々提案されている。
例えば、表面に超微細凹凸からなるホログラム層が形成されたホログラム体の上側に、透光性を有するフィルムの裏面に透光性を有する粘着剤を塗布した下層ホログラム無効化フィルムを貼り付けることによって、この下層ホログラム無効化フィルムに覆われた領域のホログラフィー効果を無効化するように構成されたホログラム積層体がある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−217380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記した特許文献1に記載されたホログラム積層体では、ホログラム層が形成されたホログラム体の上側に、所定形状に形成された透光性を有する下層ホログラム無効化フィルムを貼り付ける必要がある。このため、ユーザは1枚毎に異なるパターン形状でホログラフィー効果を無効化したホログラム積層体を作成する場合には、各パターン形状の下層ホログラム無効化フィルムを作成する必要があり、作成作業が煩雑であるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、被印刷テープの表面に形成されたホログラム層のホログラフィー効果を任意のパターン形状で容易に無効化することができるテープカセット及びテープ印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため請求項1に係るテープカセットは、長尺状のテープを搬送するためのテープ搬送手段と、前記テープに印刷するサーマルヘッドを含む印刷手段と、を備えたテープ印刷装置に着脱可能に装着されるテープカセットにおいて、テープケースと、印刷面に超微細凹凸からなるホログラム層が形成された被印刷テープが巻回されて回転可能に設けられるテープスプールと、前記テープケースから前記被印刷テープが露出する露出部と、前記露出部のテープ搬送方向上流側で前記被印刷テープの印刷面に透明インク層を含むインク層が重ね合わされて該被印刷テープと共に該露出部に搬送されるインクリボンが巻回されて回転可能に設けられるリボンスプールと、前記インクリボンの先端部が固着されると共に、該インクリボンが巻き取られる巻き取りスプールと、を備え、前記露出部において前記被印刷テープのホログラム層の上側に前記サーマルヘッドを介して前記透明インク層が熱転写されることによって、該透明インクが熱転写された部分のホログラフィー効果が無効化されることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係るテープカセットは、請求項1に記載のテープカセットにおいて、前記インクリボンは、基材と前記透明インク層との間に積層されて該透明インク層の熱転写温度よりも高い熱転写温度によって熱転写される印刷用インク層を有し、前記印刷用インク層は、前記被印刷テープのホログラム層の上側に前記サーマルヘッドを介して該透明インク層を挟んで熱転写されることを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係るテープ印刷装置は、テープカセットが着脱可能に装着されるカセット収納部と、前記テープカセットに収納された長尺状のテープを搬送するためのテープ搬送手段と、前記テープに印刷するサーマルヘッドを含む印刷手段と、を備えたテープ印刷装置において、前記テープカセットは、請求項1又は請求項2に記載のテープカセットであり、前記サーマルヘッドの複数の発熱素子を選択的に発熱させると共に、該複数の発熱素子の各々の発熱温度を制御する発熱制御手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係るテープカセットは、請求項1に記載のテープカセットにおいて、前記リボンスプールと前記巻き取りスプールとを有し、前記テープケースから独立に着脱されるリボンカセットを備え、前記テープケースは、前記リボンカセットを着脱自在に装着可能なリボンカセット収容部を有し、前記インクリボンは、基材上に透明インク層が積層された透明インクリボンと、基材上に印刷用インク層が積層された印刷用インクリボンとを含むことを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係るテープカセットは、請求項4に記載のテープカセットにおいて、前記インクリボンは、基材上に透明インクが積層された透明インク領域と印刷用インク層が積層された印刷用インク領域とが長手方向に同一ピッチで交互に設けられた交互インクリボンを含むことを特徴とする。
【0011】
更に、請求項6に係るテープ印刷装置は、テープカセットが着脱可能に装着されるカセット収納部と、前記テープカセットに収納された長尺状のテープを搬送するためのテープ搬送手段と、前記テープに印刷するサーマルヘッドと該サーマルヘッドに対向するプラテンローラとを含む印刷手段と、を備えたテープ印刷装置において、前記テープカセットは、請求項4又は請求項5に記載のテープカセットであり、前記被印刷テープを送り方向と巻き戻し方向とに択一的に搬送するテープ搬送機構と、前記被印刷テープが巻き戻し方向に搬送される場合に、前記サーマルヘッドとプラテンローラのうち、一方を他方に対してリリースするリリース機構と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係るテープカセットでは、テープケースから被印刷テープが露出する露出部において、被印刷テープのホログラム層の上側にサーマルヘッドを介して透明インク層が熱転写されることによって、該透明インクが熱転写された部分のホログラフィー効果が無効化される。これにより、ユーザは、当該テープカセットを装着したテープ印刷装置に任意のパターン形状を入力して、被印刷テープに透明インクで印刷することによって、被印刷テープの表面に形成されたホログラム層のホログラフィー効果を任意のパターン形状で容易に無効化することができる。
【0013】
また、請求項2に係るテープカセットでは、インクリボンの基材と透明インク層との間には、透明インク層の熱転写温度よりも高い熱転写温度によって熱転写される印刷用インク層が積層されている。従って、透明インク層の熱転写温度でインクリボンを加熱した場合には、透明インクだけで印刷して、被印刷テープの表面に形成されたホログラム層のホログラフィー効果を任意のパターン形状で無効化することができる。また、印刷用インク層の熱転写温度でインクリボンを加熱した場合には、印刷用インクが透明インクを挟んで被印刷テープに熱転写されるため、ホログラム層のホログラフィー効果が無効化された部分に文字等を同時に印刷することができる。
【0014】
また、請求項3に係るテープ印刷装置では、請求項1又は請求項2に記載のテープカセットをカセット収納部に装着することによって、被印刷テープに任意のパターン形状を透明インクで印刷することが可能となり、被印刷テープの表面に形成されたホログラム層のホログラフィー効果を任意のパターン形状で容易に無効化することができる。また、サーマルヘッドの複数の発熱素子を選択的に発熱させると共に、該複数の発熱素子の各々の発熱温度を制御することによって、印刷用インク層の熱転写温度でインクリボンを加熱した場合には、印刷用インクが透明インクを挟んで被印刷テープに熱転写される。これにより、被印刷テープの表面に形成されたホログラム層のホログラフィー効果が無効化された部分に文字等を同時に印刷することができる。
【0015】
また、請求項4に係るテープカセットでは、透明インクリボンのリボンカセットをテープケースのリボンカセット収容部に装着することによって、被印刷テープのホログラム層の上側にサーマルヘッドを介して透明インク層を熱転写して、該透明インクが熱転写された部分のホログラフィー効果を無効化することができる。また、印刷用インクリボンのリボンカセットをテープケースのリボンカセット収容部に装着することによって、被印刷テープのホログラム層の上側にサーマルヘッドを介して印刷用インク層を転写して文字等を印刷することができる。
【0016】
また、請求項5に係るテープカセットでは、交互インクリボンのリボンカセットをテープケースのリボンカセット収容部に装着することによって、被印刷テープのホログラム層の上側にサーマルヘッドを介して透明インク層又は印刷用インク層を熱転写することができる。従って、被印刷テープのホログラム層の上側にサーマルヘッドを介して透明インク層と印刷用インク層のうちの一方を印刷後、被印刷テープを巻き戻して、ホログラム層の上側に透明インク層と印刷用インク層のうちの他方を再度、印刷することが可能となる。
【0017】
更に、請求項6に係るテープ印刷装置では、テープケースのリボンカセット収容部に透明インクリボンと印刷用インクリボンの両リボンカセットのうち、一方のリボンカセットを装着して、被印刷テープに印刷後、該被印刷テープを巻き戻して、他方のリボンカセットを装着して、被印刷テープに再度、印刷することが可能となる。また、テープケースのリボンカセット収容部に交互インクリボンのリボンカセットを装着して、被印刷テープのホログラム層の上側に透明インク層と印刷用インク層のうちの一方を印刷後、該被印刷テープを巻き戻して、ホログラム層の上側に透明インク層と印刷用インク層のうちの他方を再度、印刷することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態に係るテープ印刷装置の平面図である。
【図2】本実施形態に係るテープカセットの概略構成を示す斜視図である。
【図3】リボンカセットを装着したテープカセットの平面図である。
【図4】サーマル印刷機構の概略構成を示す平面図である。
【図5】図4のギヤの噛合関係を示す要部縦断正面図である。
【図6】カセットカバーを閉じたときの要部縦断正面図である。
【図7】カセットカバーを開放したときの要部縦断正面図である。
【図8】印刷状態のサーマル印刷機構を示す平面図である。
【図9】テープ印刷装置の要部の回路構成を示す回路ブロック図である。
【図10】単色のリボンカセットを入れ替えてホログラムテープに印刷する説明図である。
【図11】2層インクリボンの構成を示す断面図である。
【図12】図11の2層インクリボンのリボンカセットでホログラムテープに印刷する説明図である。
【図13】2色インクリボンの構成を示す斜視図である。
【図14】図13の2色インクリボンのリボンカセットでホログラムテープに印刷する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るテープカセット及びテープ印刷装置について具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係るテープ印刷装置1の概略構成について図1に基づいて説明する。
【0020】
図1に示すように、テープ印刷装置1の本体カバー2の前部には、文字や記号や数字などの文字キーに加えて、種々の機能キーなどが設けられたキーボード4が配設されている。また、そのキーボード4の直ぐ後側には、入力した文字や記号を表示可能な液晶ディスプレイ5が設けられている。また、リボンカセット30(図2参照)の交換時に開閉されるカセットカバー3に対応する本体カバー2の内部には、サーマルヘッド12(図4参照)を備えたサーマル印刷機構10(図4参照)が配設されている。ここで、スライドツマミ6をスライドさせてカセットカバー3を開放でき、また切断用ノブ85を下方に押圧操作して、印刷したホログラムテープ22(図2参照)を手動で切断できる。
【0021】
次に、サーマル印刷機構10に着脱可能に装着されるテープカセット20の概略構成について図2、図3及び図10に基づいて説明する。
図2及び図3に示すように、テープカセット20は、ホログラムテープ22を収納したテープケース21と、テープケース21のリボンカセット収容部21Fに着脱自在に装着されるリボンカセット30とから構成されている。また、テープケース21の内部には、薄膜状のフィルムからなるホログラムテープ22が巻回されたテープスプール23が回転自在に設けられている。
【0022】
このテープスプール23から引き出されたホログラムテープ22は、複数のガイド部で湾曲状にガイドされて、サーマルヘッド12の直前を通過して、テープ送りローラ24によりテープ送り方向に搬送されてテープカセット20の外部に排出されるように構成されている。また、テープケース21の外周壁の相離隔した2箇所には、次に説明するリボンカセット30の着脱時に、リボンカセット30を上下方向にガイドし且つ支持する為の1対のガイド軸21A、21Bの下端部が夫々一体形成されている。更に、テープケース21には、リボンカセット30の下側に当接して支持する下端壁部21Cがリボンカセット収容部21Fの底面部に形成されている。
【0023】
ここで、ホログラムテープ22の構成について図10に基づいて説明する。図10に示すように、ホログラムテープ22は、ポリイミド、PET(ポリエチレンテレフタラート)等から成るベースフィルム22Bと、商品等の貼り付け対象に貼り付けるための粘着層22C、この粘着層22Cの貼り付け側を覆うセパレータ22Dの順序で積層されて構成されている。また、ホログラムテープ22は、ベースフィルム22Bの印刷面に、超微細凹凸からなるホログラム層22Aが形成されている。そして、ホログラムテープ22は、セパレータ22Dを外側にしてテープスプール23に巻回されている。
【0024】
このホログラム層22Aは、例えば、ベースフィルム22Aの印刷面に塗布した紫外線硬化樹脂に、マスターフィルム表面に形成したホログラム用超微細凹凸を重ね合わせ、この重ね合わせた状態で紫外線照射して紫外線硬化樹脂を硬化させ、ホログラム用超微細凹凸を転写することによって形成することができる。尚、このホログラム用超微細凹凸は、2500オングストローム程度の超微細凹凸である。
【0025】
また、図2及び図3に示すように、リボンカセット30のリボンケース31には、テープケース21の一部分に上側から当接する上壁部31Aが水平に延びて一体形成され、その上壁部31Aの端部には、テープケース21の1対のガイド軸21A、21Bに外嵌される、貫通孔を有する1対の係合脚部31B、31Cが形成されている。また、リボンケース31には、テープケース21の切欠き部21Eに当接する垂直壁部31Dが形成されている。また、リボンカセット30には、テープカセット20を挿通して下方から挿入されるサーマルヘッド12を収容するヘッド収容部37が形成されている。
【0026】
更に、リボンケース31の内部には、インクリボン32が巻回されたリボンスプール33と、このインクリボン32を巻き取るリボン巻き取りスプール34とが回転可能に設けられている。このリボンスプール33に巻回されたインクリボン32は、サーマルヘッド12に対向するときに、ヘッド収容部37に露出したホログラムテープ22と一時的に平行状に接近し、リボンケース31に一体形成された分離部材35の分離部35Aで略鋭角的に折曲されて、ホログラムテープ22から離間してリボンケース31内へ案内され、リボン巻き取りスプール34で巻き取られるように構成されている。即ち、リボンケース31の分離部材35は、サーマルヘッド12に対してテープ搬送方向下流側に位置している。そして、リボンケース31には、これらリボンスプール33、リボン巻き取りスプール34、分離部材35等を上側から支持する蓋部材31Eが形成されている。
【0027】
また、リボンケース31の蓋部材31Eと上壁部31Aとの上面には、一対のつまみ片31F、31Gが夫々形成されている。そして、ホログラムテープ22に印刷する場合には、先ず、テープケース21を本体カバー2に設けられた装着用凹部(不図示)に装着した後、透明、黒色、赤色等の所望の色のインク層が形成されたインクリボン32を有するリボンカセット30をテープケース21のリボンカセット収容部21Fに装着する。このときには、先ず2本の指で1対のつまみ片31F、31Gを掴んだ状態で、1対の係合脚部31B、31Cを対応するガイド軸21A、21Bに貫通孔を介して夫々外嵌させながら、リボンカセット30を下方に移動させてリボンカセット収容部21Fに収納する。このとき、リボンケース31の上壁部31Aがテープケース21の上面に重なるとともに、リボンカセット30の下端部は、テープケース21の下端壁部21Cに上側から当接して、リボンカセット30はテープケース21に対して所定位置に保持される。
【0028】
ところで、リボンカセット30には、インクリボン32のリボン色(透明、黒、赤、緑、黄、・・・)やリボン幅(12、18、24、32mm) により、複数種類が準備されており、リボンケース31の垂直壁部31Dの下端部には、これら複数種類のリボンカセット30の何れかを検出させるために、最大で6つの検出孔36Aを組合せた検出用孔群36(図2及び図3においては、1つの検出孔36Aが形成されている)が形成されている。
【0029】
次に、サーマル印刷機構10について図4乃至図8に基づいて説明する。図4乃至図8に示すように、サーマル印刷機構10は、ホログラムテープ22とインクリボン32を搬送するテープ・リボン搬送機構40と、ローラホルダ67を印刷位置とリリース位置に位置切替させるヘッドリリース機構70と、印刷されたホログラムテープ22を切断するテープ切断機構80等から構成されている。
【0030】
先ず、テープ・リボン搬送機構40について図4、図5及び図8に基づいて説明する。図4、図5及び図8に示すように、本体フレーム11には、テープスプール23の中央部に係合可能なテープ巻き取りカム41と、リボン巻き取りスプール34の中央部に係合可能なリボン巻き取りカム42と、テープ送りローラ24の中央部に係合するテープ駆動カム43とが回転可能に枢支され、サーマルヘッド12が立設されている。また、本体フレーム11には、前記検出用孔群36の6つの検出孔36Aの有無を検出する為に、第1〜第6検出スイッチからなるリボン検出スイッチ群103が設けられ、これら6つの検出スイッチからのスイッチ信号の組み合わせによるリボン検出信号RSが出力される。
【0031】
このサーマルヘッド12は、正面視略縦長四角形の平板状で、前面の左端縁部には、所定個数の各発熱素子R1〜Rn(nは、例えば、128個又は256個である。)が、該左端縁部の辺に沿って一列に配列されて形成されている。また、該サーマルヘッド12は、メッキ鋼板やステンレス鋼板等により形成される正面視略四角形の放熱板の前面の左端縁部に、各発熱素子R1〜Rn の配列方向が、該放熱板の左端縁部の辺に平行になるように接着剤などによって固着されている。そして、該放熱板は、各発熱素子R1〜Rn の配列方向が、テープカセット20のヘッド収容部37におけるホログラムテープ22の搬送方向に略直交するように、ビス止め等によって本体プレート11に取り付けられている。
【0032】
更に、本体フレーム11の前端部の右端部には、ステッピングモータからなるテープ駆動モータ44が取付けられ、このテープ駆動モータ44の駆動ギヤ45に、本体フレーム11に夫々回転可能に支持された各ギヤ46〜53が順次噛み合い、このギヤ53には、テープ駆動カム43に固着されたテープ駆動ギヤ54とギヤ55とが噛み合っている。ここで、ギヤ48とギヤ49とは一体的に形成されて、リボン巻き取りカム42の下端部に固着され、またギヤ50とギヤ51とは一体的に形成され、更にテープ巻き取りギヤ52はテープ巻き取りカム41の下端部に固着されている。即ち、テープ駆動モータ44の回転は、これら各ギヤ45〜54を介して、テープ駆動ギヤ54に固着されたテープ駆動カム43に伝達され、テープ送りローラ24の回転によりホログラムテープ22が搬送される。
【0033】
一方、一体形成された各ギヤ50、51の隙間には、揺動レバー56の基端部が各ギヤ50、51の間に適度の摩擦抵抗を付与された状態で支持され、その揺動レバー56には、ギヤ51に常時噛み合う遊星ギヤ57が回転可能に枢支されている。また、ギヤ53の枢支軸58には、切断禁止レバー84の基端部が、切断禁止レバー84に支持されている巻きバネ59の一端と基端部とで枢支軸58を挟むように、巻きバネ59の付勢力により押圧支持されている。
【0034】
そして、図4及び図8に示すように、テープ駆動モータ44が通常印刷の為に、時計回転方向に駆動(正回転駆動)された場合には、ギヤ50が時計回転方向に回転し、両者間の摩擦力によりその揺動レバー56も時計回転方向に回動して、遊星ギヤ57がテープ巻き取りギヤ52と噛合しないようになり、テープ巻き取りカム41がフリーになることから、テープスプール23に巻回されたホログラムテープ22が引き出されると同時に、ギヤ53が反時計回転方向に回転して、切断禁止レバー84が反時計回転方向に回動し、切断禁止レバー84の先端部が切断用レバー82の下側に位置して、切断動作が禁止されるとともに、リボン駆動ギヤ48の反時計回転方向への回転によりリボン巻き取りカム42がクラッチバネ60を介して反時計回転方向へ回転して、インクリボン32がリボン巻き取りスプール34に巻取られる。
【0035】
ところで、ゴム製のプラテンローラ65とテープ送りサブローラ66とを回転可能に支持するローラホルダ67は、本体フレーム11に立設された枢支軸68に回動可能に枢支され、カセットカバー3の開閉に連動してリリースレバー71が左右方向に移動して、図8に示す印刷位置と、図4に示すリリース位置とに位置切換えされる。ここで、そのローラホルダ67は、図示外の巻きバネにより常にリリース位置に弾性付勢されている。即ち、リリースレバー71に枢着したコロ72が本体フレーム11の立設壁11Aに当接するとともに、リリースレバー71の一端部がローラホルダ67に後側から当接しているので、リリースレバー71が図4に示す退避位置から図8に示す作動位置まで左方移動したときには、リリースレバー71の左端部がローラホルダ67と立設壁11Aとの間にクサビ状に侵入して、ローラホルダ67はリリース位置から印刷位置に切換えられる。このとき、図8に示すように、プラテンローラ65はホログラムテープ22とインクリボン32とを介してサーマルヘッド12を押圧するとともに、テープ送りサブローラ66はホログラムテープ22を介してテープ送りローラ24を押圧している。
【0036】
ここで、ローラホルダ67が印刷位置に切換えられたときには、プラテンローラ65の下端部に固着したプラテンギヤ(図示略)がギヤ55に噛合するとともに、またテープ送りサブローラ66の下端部に固着したサブローラギヤ(図示略)がテープ駆動ギヤ54に噛合する。
【0037】
次に、カセットカバー3の開放に連動してリリースレバー71を右方向に駆動して、ローラホルダ67をサーマルヘッド12に対してリリース位置に切換えてリリースさせるヘッドリリース機構70について説明する。カセットカバー3の後端部は、図6及び図7に示すように、本体カバー2に取付けた枢支ピン7に複数箇所で開閉可能に支持され、そのカセットカバー3の右側壁3Aには、湾曲状の溝カム3Bが形成されている。そして、本体フレーム11の右端部の下側に配設された作動板74の後端部には、その溝カム3Bに係合する係合ピン75が固着されている。ところで、リリースレバー71の右端部は、本体フレーム11に回動可能に枢着した二股レバー76の一方のレバーに回動可能に枢支されるとともに、その二股レバー76の他方のレバーには、作動板74の前端部に固着したピン77を介して連結されている。
【0038】
そして、図6に示すようにカセットカバー3が閉じている状態から、つまりローラホルダ67が図8に示す印刷位置の状態のときに、図7に示すように、カセットカバー3を開放した場合には、溝カム3Bの移動により、この溝カム3Bに係合する係合ピン75が後方に移動するので、作動板74が後方に移動する。このため、図4に示すように、二股レバー76が反時計回転方向に回動して、リリースレバー71が右方に移動するのに応動して、ローラホルダ67がリリース位置に切換えられる。このとき、作動板74が後方に移動したときに、カバー開閉検出スイッチ102が作動板74に押下されて、「H」レベルのカバー開閉信号VSを出力する。また、図7に示すように、カセットカバー3を開放している状態から、つまりローラホルダ67が図4に示すリリース位置のときに、図6に示すように、カセットカバー3を閉じた場合には、溝カム3Bの移動により、係合ピン75が前方に移動する。このため、図8に示すように、作動板74が前方に移動し、二股レバー76が図4に示す位置から時計回転方向に回動して、リリースレバー71が左方に移動するのに応動して、ローラホルダ67が印刷位置、つまり非リリース状態に切換えられる。
【0039】
そして、図8に示すように、印刷を実行する際には、先ず、テープカセット20をサーマル印字機構10に装着した上で、このテープカセット20にリボンカセット30が装着され、カセットカバー3を閉じたときには、ローラホルダ67が印刷位置に切換えられている。そして、この状態で、テープ駆動モータ44が通常印刷方向に正回転駆動されたときには、これらギヤ45〜55が夫々所定の回転方向に駆動され、プラテンローラ65とテープ送りサブローラ66とが夫々反時計回転方向に回転されるとともに、テープ送りサブローラ66とテープ送りローラ24とが同期して回転するので、ホログラムテープ22は、サーマルヘッド12で印刷されながら、テープ切断機構80とテープ検出機構90とを通過して外部に排出される。このとき、テープ巻き取りカム41がフリーになることから、テープスプール23に巻回されたホログラムテープ22が抵抗なく順次引き出される。これと同時に、インクリボン32は、プラテンローラ65の回転によりホログラムテープ22と同期してリボンスプール33から引き出され、リボン駆動ギヤ48の回転によりリボン巻き取りカム42が回転され、リボン巻き取りカム42に係合して回転するリボン巻き取りスプール34に巻き取られる。
【0040】
一方、1色目の印刷が終了して2色目の印刷を実行する際には、先ず、カセットカバー3を開放して、リボンカセット30が取り外されたときには、図4に示すように、ローラホルダ67はヘッドリリース機構70によってリリース位置に切換えられている。そして、図4に示すように、テープ駆動モータ44が反時計回転方向(巻き戻し方向)に逆回転駆動されたときには、これらギヤ45〜55が夫々所定の回転方向に駆動される。このとき、ギヤ50の反時計回転方向への回転により、揺動レバー56も反時計回転方向に回動して、遊星ギヤ57がテープ巻き取りギヤ52と噛合するようになり、テープ巻き取りカム41が反時計回転方向に回転して、印刷されたホログラムテープ22がテープスプール23に巻き取られる。ここで、リボン巻き取りギヤ48が時計回転方向に回転駆動されるが、リボンカセット30は取り外されているため、リボン巻き取りスプール34に巻取られたインクリボン32の引き出しはない。
【0041】
次に、印刷されたホログラムテープ22を切断するテープ切断機構80について、図4に基づいて説明する。図4に示すように、本体フレーム11の左端部には、固定刃81の下端部が固着され、側面視略L字状の切断用レバー82の基端部がビス83で回動可能に枢支され、その切断用レバー82には可動刃82Aが形成されている。ここで、印刷中には、ギヤ53が反時計回転方向に回転して、切断禁止レバー84の先端部が切断用レバー82の下側に移動して、切断動作が禁止されている。
【0042】
一方、印刷終了時に、テープ駆動モータ44が少しだけ巻き戻し方向に回転されたときには、図4に示すように、ギヤ53が時計回転方向に少しだけ回転して、切断禁止レバー84の先端部が切断用レバー82の下側から外れて切断動作が可能になる。そして、切断用レバー82の先端部の切断用ノブ85を下方向に押圧操作したときには、可動刃82Aが切断位置に回動し、固定刃81と可動刃82Aとの間に位置するホログラムテープ22が、これら各刃81、82Aの協働により切断される。このとき、本体フレーム11に取付けられた切断検出スイッチ101(図9参照)は、切断検出信号CSを出力する。そして、切断用レバー82の押圧操作を停止すると、切断用レバー82は、不図示のバネによる付勢力により、元の所定位置に復帰回動する。
【0043】
次に、そのテープ切断機構80よりも外側に設けられ、ホログラムテープ22の有無を検出するテープ検出機構90について、図8に基づいて説明する。テープ切断機構80よりも外側の本体カバー2には、1対のセンサ収容室96、97を密閉状に形成するために案内部材94、95が一体的に形成されている。そして、一方のセンサ収容室96には発光素子92が取付けられるとともに、他方のセンサ収容室97には受光素子93が取付けられている。これら1対の案内部材94、95の間には、ホログラムテープ22が通過可能なスリット98が形成されている。また、1対の案内部材94、95の相対向する部位には、小径の光通過穴94A、95Aが形成されるとともに、傾斜したガイド部99が夫々形成されて、テープ切断機構80を通過したホログラムテープ22の先端部をこのガイド部99でガイドすることで、確実にスリット98を通過して検出可能になっている。
【0044】
そして、発光素子92から発射されたセンサ光が、各センサ収容室96、97に形成された各光通過穴94A、95Aを通過して、受光素子93に投射される。即ち、ホログラムテープ22が、テープ検出センサ91に進入し、その発光素子92と受光素子93との間に存在するときだけ、そのセンサ光が遮断されることから、テープ検出センサ91からは、「L」レベルのテープ検出信号TSを出力する。
【0045】
次に、テープ印刷装置1の回路構成について図9に基づいて説明する。図9に示すように、テープ印刷装置1の制御基板(不図示)上に形成される制御回路部CDの入出力インターフェース113には、キーボード4と、テープ検出センサ91と、切断検出スイッチ101と、カバー開閉検出スイッチ102と、リボン検出スイッチ群103と、液晶ディスプレイ(LCD)5に表示データを出力するためのビデオRAMを有するディスプレイコントローラ(LCDC)104と、警告用ブザー105のための駆動回路106と、サーマルヘッド12を駆動するための駆動回路107と、テープ駆動モータ44のための駆動回路108とが夫々接続されている。
【0046】
制御回路部CDは、CPU110と、このCPU110にデータバスなどのバス114を介して接続された入出力インターフェース113と、フォントROM111と、ROM112及びRAM120とから構成されている。フォントROM111には、文字や記号などの多数のキャラクタの各々に関して、表示用ドットパターンデータが格納されるとともに、印刷用ドットパターンデータが、複数の印刷文字サイズ分格納されている。
【0047】
また、ROM112には、キーボード4から入力された文字や記号や数字などのキャラクタのコードデータに対応させて、ディスプレイコントローラ104を制御する表示駆動制御プログラム、テキストメモリ121に格納された文字や記号について、印刷に供するドットパターンデータを作成する印刷制御プログラムや、作成されたドットパターンデータについて、1ドット列毎のドットパターンデータを順次サーマルヘッド12やテープ駆動モータ44に出力して印刷する印刷駆動制御プログラム、本願特有の後述の多色印字制御の制御プログラムなどが格納されている。尚、ROM112には、第1〜第6検出スイッチからなるリボン検出スイッチ群103から出力されるリボン検出信号RSに基づいて、インクリボン32のリボン色とリボン幅とを検知するリボンカセット検知テーブル(不図示)が格納されている。
【0048】
また、RAM120のテキストメモリ121には、キーボード4から入力された文字や記号、パターン形状等からなる印刷データが、設定された印刷色のデータに対応づけて格納される。印刷色メモリ122には、設定された印刷色の色データが格納される。印刷色順序メモリ123には、設定された印刷色の色順序のデータが格納される。余白量メモリ124には、設定された同一の前余白量と後余白量とに関する余白量データが格納される。印刷データバッファ125には、そのテキストメモリ121に格納されたキャラクタコードやパターン形状に対応するドットパターンデータが展開して格納される。更に、RAM120には、CPU110で演算した演算結果を一時的に格納するメモリなどが設けられている。
【0049】
次に、上記のように構成されたテープカセット20及びテープ印刷装置1によってホログラムテープ22のホログラム層22A上に文字や記号、パターン形状等を透明インク等で印刷する印刷処理について説明する。
先ず、CPU110は、液晶ディスプレイ(LCD)5にテキスト入力画面を表示し、1番目の印刷データの入力を待つ。そして、CPU110は、キーボード4から入力された文字や記号、パターン形状等を1番目の印刷データとしてテキストメモリ121に記憶する。続いて、CPU110は、液晶ディスプレイ5に印刷色を入力する色入力画面を表示する。そして、CPU110は、キーボード4から入力された印刷色を1番目の印刷データに対応させて印刷色メモリ122に記憶する。また、CPU110は、RAM120から印刷カウンタのカウント値Nを読み出し、このカウント値Nに「1」加算して、再度RAM120に記憶する。尚、印刷カウンタのカウント値Nは、テープ印刷装置1の起動時に「0」が代入されてRAM120に記憶されている。
【0050】
続いて、CPU110は、キーボード4の印刷キーが押下されてない場合には、液晶ディスプレイ5に再度、テキスト入力画面を表示し、次に印刷する印刷データの入力を待つ。そして、CPU110は、キーボード4から文字や記号、パターン形状等を入力された場合には、2番目の印刷データとしてテキストメモリ121に記憶する。続いて、CPU110は、液晶ディスプレイ5に印刷色を入力する色入力画面を表示する。そして、CPU110は、キーボード4から入力された印刷色を2番目の印刷データに対応させて印刷色メモリ122に記憶する。また、CPU110は、RAM120から印刷カウンタのカウント値Nを読み出し、このカウント値Nに「1」加算して、再度RAM120に記憶する。
【0051】
そして、CPU110は、キーボード4の印刷キーが押下されてない場合には、再度、次に印刷する印刷データ等を入力する上記入力処理を実行する。一方、CPU110は、キーボード4の印刷キーが押下された場合には、後述の印刷処理を実行する。
【0052】
次に、上記入力処理によって入力された印刷データ等を単色のインクリボン32によってホログラムテープ22に印刷する「単色リボン印刷処理」について図10に基づいて説明する。尚、CPU110は、「ABC」を1番目の印刷データとしてテキストメモリ121に記憶し、「黒色」の印刷色を1番目の印刷データに対応させて印刷色メモリ122に記憶している。また、CPU110は、「ABC」の文字を囲む横長四角形の形状パターンを2番目の印刷データとしてテキストメモリ121に記憶し、「透明」の印刷色を2番目の印刷データに対応させて印刷色メモリ122に記憶している。そして、CPU110は、印刷カウンタにカウント値Nとして「2」を記憶している。
【0053】
図10に示すように、先ず、CPU110は、リボン検出スイッチ群103からのリボン検出信号RSに基づいて、装着されたリボンカセット30のリボン色RをROM112から読み込む。そして、リボンカセット30のリボン色Rが「黒色インク」の場合には、CPU110は、印刷色メモリ122に記憶されている「黒色」に対応する1番目の印刷データ「ABC」をテキストメモリ121から読み出す。
【0054】
そして、CPU110は、この印刷データ「ABC」からドットパターン発生制御プログラムに基づいて印刷用ドットパターンデータを生成して印刷データバッファ125に記憶する。続いて、CPU110は、駆動回路107を介してサーマルヘッド12を駆動して、印刷データバッファ125に記憶された印刷用ドットパターンデータの印刷を行い、これと同期して駆動回路108を介してテープ駆動モータ44を通常駆動して、インクリボン32及びホログラムテープ22の搬送制御を行う。これにより、図10の上側に示すように、ホログラムテープ22のホログラム層22A上に、「ABC」の文字が黒色インク131で印刷される。
【0055】
続いて、CPU110は、RAM120から印刷カウンタのカウント値Nを読み出し、「1」減算して、このカウント値が「0」でない場合には、再度、RAM120に記憶する。そして、CPU110は、リボンカセット30の取り外しを促すメッセージを液晶ディスプレイ5に表示する。そして、先ず、カセットカバー3が開放されることで作動板74が後方に移動して、カバー開閉検出スイッチ102から「H」レベルのカバー開閉信号VSが入力された場合には、CPU110は、ローラホルダ67がサーマルヘッド12に対してリリース位置に切り替えられたと判定する。更に、リボン検出スイッチ群103からのリボン検出信号RSとして、6つの検出スイッチ信号の全てが「H」レベル信号になった場合には、CPU110は、リボンカセット30が取り外されたと判定し、リボンカセット30を装着しないように促すメッセージを液晶ディスプレイ5に表示する。
【0056】
そして、CPU110は、テープ駆動モータ44を逆回転させて、テープ巻き取りカム41を介してテープスプール23を平面視反時計方向に回転させて、ホログラムテープ22の印刷開始位置がサーマルヘッド12の各発熱素子R1〜Rnに対向する位置まで巻き戻す。そして、ホログラムテープ22の印字開始位置がサーマルヘッド12の各発熱素子R1〜Rnに対向する位置まで巻き戻した場合には、CPU110は、テープ駆動モータ44の逆回転駆動を停止させる。
【0057】
続いて、CPU110は、2番目の印刷色である「透明インク」のリボンカセット30を装着するように促すメッセージを液晶ディスプレイ5に表示する。そして、CPU110は、リボン検出スイッチ群103からのリボン検出信号RSに基づいて、装着されたリボンカセット30のリボン色RをROM112から読み込む。そして、リボンカセット30のリボン色Rが「透明インク」の場合には、CPU110は、印刷色メモリ122に記憶されている「透明」に対応する「ABC」の文字を囲む横長四角形の形状パターンである2番目の印刷データをテキストメモリ121から読み出す。そして、CPU110は、この「ABC」の文字を囲む横長四角形の形状パターンの印刷データからドットパターン発生制御プログラムに基づいて印刷用ドットパターンデータを生成して印刷データバッファ125に記憶する。
【0058】
次に、カバー開閉検出スイッチ102から「L」レベルのカバー開閉信号VSが入力された場合には、CPU110は、カセットカバー3が閉じられたと判定して、駆動回路107を介してサーマルヘッド12を駆動して、印刷データバッファ125に記憶された印刷用ドットパターンデータの印刷を行い、これと同期して駆動回路108を介してテープ駆動モータ44を通常駆動して、インクリボン32及びホログラムテープ22の搬送制御を行う。
【0059】
これにより、図10の下側に示すように、ホログラムテープ22のホログラム層22A上に、「ABC」の文字を囲む横長四角形の形状パターンが透明インク132で印刷される。従って、この印刷された「ABC」の文字を囲む横長四角形の形状パターンは、ホログラム層22Aの超微細凹凸内の凹部に透明インク132が入り込むため、光が超微細凹凸で反射することによって視認されていたホログラム層22Aのホログラフィー効果が消失する、つまり、ホログラフィー効果が無効化される。
【0060】
続いて、CPU110は、RAM120から印刷カウンタのカウント値Nを読み出し、「1」減算して、このカウント値が「0」の場合には、サーマルヘッド12の駆動を停止した状態で、駆動回路108を介してテープ駆動モータ44を通常駆動してインクリボン32及びホログラムテープ22の搬送制御を行って、予め設定されたラベル長さとなるホログラムテープ22の切断位置が、固定刃81に対向するまで搬送する。続いて、CPU110は、ホログラムテープ22の切断を促すメッセージを液晶ディスプレイ5に表示した後、当該処理を終了する。これにより、ユーザは切断用ノブ85を押下することによって、ホログラムテープ22のホログラム層22A上に、黒色インク131で印刷された「ABC」の文字を囲むように横長四角形の形状パターンを透明インク132で印刷した印刷済みテープを作成することができる。
【0061】
次に、上記入力処理によって入力された印刷データ等を2層インクリボンによってホログラムテープ22に印刷する「2層インクリボン印刷処理」について図11及び図12に基づいて説明する。尚、CPU110は、「ABCD」を1番目の印刷データとしてテキストメモリ121に記憶し、「黒色」の印刷色を1番目の印刷データに対応させて印刷色メモリ122に記憶している。また、CPU110は、「ABCD」の文字を囲む横長四角形の形状パターンを2番目の印刷データとしてテキストメモリ121に記憶し、「透明」の印刷色を2番目の印刷データに対応させて印刷色メモリ122に記憶している。そして、CPU110は、印刷カウンタにカウント値Nとして「2」を記憶している。
【0062】
先ず、リボンカセット30のリボンスプール33に巻回された2層インクリボン141の一例について図11に基づいて説明する。図11に示すように、2層インクリボン141は、ポリイミド、PET(ポリエチレンテレフタラート)等から成るフィルムテープ状の基材141Aと、熱転写温度がT2℃の黒色インクの黒色インク層141B、熱転写温度がT1℃の透明インクの透明インク層141Cの順序で積層されて構成されている。また、黒色インクの熱転写温度T2℃は、透明インクの熱転写温度T1℃よりも高くなるように設定されている。例えば、黒色インクの熱転写温度T2℃は約85℃、透明インクの熱転写温度T1℃は約80℃に設定されている。
【0063】
図12に示すように、先ず、CPU110は、リボン検出スイッチ群103からのリボン検出信号RSに基づいて、装着されたリボンカセット30のリボン色RをROM112から読み込む。そして、リボンカセット30のリボン色Rが「黒色インクと透明インクの2層インク」の場合には、CPU110は、印刷色メモリ122に記憶されている「黒色」に対応する1番目の印刷データ「ABCD」と、印刷色メモリ122に記憶されている「透明」に対応する「ABCD」の文字を囲む横長四角形の形状パターンである2番目の印刷データをテキストメモリ121から読み出す。
【0064】
そして、CPU110は、この「ABCD」の文字を囲む横長四角形の形状パターンの印刷データからドットパターン発生制御プログラムに基づいて印刷用ドットパターンデータを生成して印刷データバッファ125に記憶する。続いて、CPU110は、印刷データ「ABCD」からドットパターン発生制御プログラムに基づいて印刷用ドットパターンデータを生成して、この「ABCD」の文字を囲む横長四角形の形状パターンの印刷用ドットパターンデータの上に重ね書きして印刷データバッファ125に記憶する。つまり、印刷データバッファメモリ125に記憶されている印刷用ドットパターンデータは、透明インクで印刷する「透明ドットパターン」と、黒色インクで印刷する「黒色ドットパターン」とから構成されている。
【0065】
そして、CPU110は、駆動回路107を介してサーマルヘッド12の各発熱素子R1〜Rnを駆動して、各発熱素子R1〜Rnが、印刷用ドットパターンデータのうち、「透明ドットパターン」に対応する場合には、熱転写温度をT1℃に切り替え、「黒色ドットパターン」に対応する場合には、熱転写温度をT1℃よりも高いT2℃に切り替えて、印刷データバッファ125に記憶された印刷用ドットパターンデータの印刷を行う。また、CPU110は、これと同期して駆動回路108を介してテープ駆動モータ44を通常駆動して、インクリボン32及びホログラムテープ22の搬送制御を行う。
【0066】
例えば、図12の上側に示すように、「ABCD」の文字を囲む横長四角形の形状パターンのみの印刷用ドットパターンデータの場合には、CPU110は、サーマルヘッド12の各発熱素子R1〜Rnのうち、この印刷用ドットパターンの「透明ドットパターン」に対応する発熱素子のみを熱転写温度T1℃に切り替えて、透明インク層141Cの透明インク142のみをホログラムテープ22のホログラム層22A上に熱転写する。
【0067】
また、「ABCD」の文字を囲む横長四角形の形状パターンの印刷用ドットパターンと、「ABCD」の文字の印刷用ドットパターンとが混在する場合には、CPU110は、サーマルヘッド12の各発熱素子R1〜Rnのうち、印刷用ドットパターンの「透明ドットパターン」に対応する発熱素子のみを熱転写温度T1℃に切り替えて、透明インク層141Cの透明インク142のみをホログラムテープ22のホログラム層22A上に熱転写する。また、同時に、CPU110は、この印刷用ドットパターンの「黒色ドットパターン」に対応する発熱素子のみを熱転写温度T2℃に切り替えて、透明インク層141Cの透明インク142の上側に黒色インク層141Bの黒色インク143を積層した状態で、ホログラムテープ22のホログラム層22A上に熱転写する。
【0068】
これにより、図12の下側に示すように、ホログラムテープ22のホログラム層22A上に、横長四角形の形状パターンが透明インク142で印刷されると共に、この横長四角形の形状パターンの上側に「ABCD」の文字が黒色インク143で印刷される。従って、この印刷された「ABCD」の文字を囲む横長四角形の形状パターンは、ホログラム層22Aの超微細凹凸内の凹部に透明インク142が入り込むため、光が超微細凹凸で反射することによって視認されていたホログラム層22Aのホログラフィー効果が消失する、つまり、ホログラフィー効果が無効化される。
【0069】
続いて、CPU110は、RAM120から印刷カウンタのカウント値Nを読み出し、「2」減算して、このカウント値が「0」の場合には、サーマルヘッド12の駆動を停止した状態で、駆動回路108を介してテープ駆動モータ44を通常駆動して2層インクリボン141及びホログラムテープ22の搬送制御を行って、予め設定されたラベル長さとなるホログラムテープ22の切断位置が、固定刃81に対向するまで搬送する。続いて、CPU110は、ホログラムテープ22の切断を促すメッセージを液晶ディスプレイ5に表示した後、当該処理を終了する。これにより、ユーザは切断用ノブ85を押下することによって、ホログラムテープ22のホログラム層22A上に、黒色インク141で印刷された「ABCD」の文字を囲むように横長四角形の形状パターンを透明インク142で印刷した印刷済みテープを作成することができる。
【0070】
次に、上記入力処理によって入力された印刷データ等を交互インクリボンの一例である2色インクリボンによってホログラムテープ22に印刷する「2色インクリボン印刷処理」について図13及び図14に基づいて説明する。尚、CPU110は、「ABC」を1番目の印刷データとしてテキストメモリ121に記憶し、「黒色」の印刷色を1番目の印刷データに対応させて印刷色メモリ122に記憶している。また、CPU110は、「ABC」の文字を囲む横長四角形の形状パターンを2番目の印刷データとしてテキストメモリ121に記憶し、「透明」の印刷色を2番目の印刷データに対応させて印刷色メモリ122に記憶している。そして、CPU110は、印刷カウンタにカウント値Nとして「2」を記憶している。
【0071】
先ず、リボンカセット30のリボンスプール33に巻回された2色インクリボン151の一例について図13に基づいて説明する。図13に示すように、2色インクリボン151は、ポリイミド、PET(ポリエチレンテレフタラート)等から成るフィルムテープ状の基材151Aと、黒色インク152が基材151Aのテープ長手方向に所定長さ(例えば、約10cmである。)に渡って積層された黒色インク領域151Bと、透明インク153が基材151Aのテープ長手方向に所定長さ(例えば、約10cmである。)に渡って積層された透明インク領域151Cとから構成されている。また、黒色インク領域151Bと透明インク領域151Cとは、基材151Aの長手方向に同一ピッチで交互に設けられている。
【0072】
図14に示すように、先ず、CPU110は、リボン検出スイッチ群103からのリボン検出信号RSに基づいて、装着されたリボンカセット30のリボン色RをROM112から読み込む。そして、リボンカセット30のリボン色Rが「黒色インクと透明インクの2色インク」の場合には、CPU110は、印刷色メモリ122に記憶されている「黒色」に対応する1番目の印刷データ「ABC」をテキストメモリ121から読み出す。
【0073】
そして、CPU110は、この印刷データ「ABC」からドットパターン発生制御プログラムに基づいて印刷用ドットパターンデータを生成して印刷データバッファ125に記憶する。続いて、CPU110は、駆動回路107を介してサーマルヘッド12を駆動して、印刷データバッファ125に記憶された印刷用ドットパターンデータの印刷を行い、これと同期して駆動回路108を介してテープ駆動モータ44を通常駆動して、インクリボン32及びホログラムテープ22の搬送制御を行う。これにより、図14の上側に示すように、ホログラムテープ22のホログラム層22A上に、「ABC」の文字が黒色インク152で印刷される。尚、後述のように、リボンカセット30のリボンスプール33に巻回された2色インクリボン151は、黒色インク領域151Bのリボン搬送方向側の先端縁部が、印刷開始時に分離部35Aに位置するように設定されている。
【0074】
続いて、CPU110は、RAM120から印刷カウンタのカウント値Nを読み出し、「1」減算して、このカウント値が「0」でない場合には、再度、RAM120に記憶する。そして、CPU110は、サーマルヘッド12の駆動を停止した状態で、駆動回路108を介してテープ駆動モータ44を通常駆動して2色インクリボン151及びホログラムテープ22の搬送制御を行う。そして、CPU110は、黒色インク領域151Bのリボン搬送方向側の後端縁部が、分離部35Aに位置したときに、つまり、透明インク領域151Cのリボン搬送方向側の先端縁部が、分離部35Aに位置したときに、テープ駆動モータ44を停止する。
【0075】
そして、CPU110は、カセットカバー3の開放を促すメッセージを液晶ディスプレイ5に表示し、カバー開閉検出スイッチ102から「H」レベルのカバー開閉信号VSが入力された場合には、CPU110は、ローラホルダ67がサーマルヘッド12に対してリリース位置に切り替えられたと判定する。続いて、CPU110は、テープ駆動モータ44を逆回転させて、テープ巻き取りカム41を介してテープスプール23を平面視反時計方向に回転させて、ホログラムテープ22の印刷開始位置がサーマルヘッド12の各発熱素子R1〜Rnに対向する位置まで巻き戻す。そして、ホログラムテープ22の印字開始位置がサーマルヘッド12の各発熱素子R1〜Rnに対向する位置まで巻き戻した場合には、CPU110は、テープ駆動モータ44の逆回転駆動を停止させる。
【0076】
続いて、CPU110は、印刷色メモリ122に記憶されている「透明」に対応する「ABC」の文字を囲む横長四角形の形状パターンである2番目の印刷データをテキストメモリ121から読み出す。そして、CPU110は、この「ABC」の文字を囲む横長四角形の形状パターンの印刷データからドットパターン発生制御プログラムに基づいて印刷用ドットパターンデータを生成して印刷データバッファ125に記憶する。次に、CPU110は、カセットカバー3を閉じるように促すメッセージを液晶ディスプレイ5に表示し、カバー開閉検出スイッチ102から「L」レベルのカバー開閉信号VSが入力された場合には、カセットカバー3が閉じられたと判定して、駆動回路107を介してサーマルヘッド12を駆動して、印刷データバッファ125に記憶された印刷用ドットパターンデータの印刷を行い、これと同期して駆動回路108を介してテープ駆動モータ44を通常駆動して、2色インクリボン151及びホログラムテープ22の搬送制御を行う。
【0077】
これにより、図14の下側に示すように、ホログラムテープ22のホログラム層22A上に、「ABC」の文字を囲む横長四角形の形状パターンが透明インク153で印刷される。従って、この印刷された「ABC」の文字を囲む横長四角形の形状パターンは、ホログラム層22Aの超微細凹凸内の凹部に透明インク153が入り込むため、光が超微細凹凸で反射することによって視認されていたホログラム層22Aのホログラフィー効果が消失する、つまり、ホログラフィー効果が無効化される。
【0078】
続いて、CPU110は、RAM120から印刷カウンタのカウント値Nを読み出し、「1」減算して、このカウント値が「0」の場合には、サーマルヘッド12の駆動を停止した状態で、駆動回路108を介してテープ駆動モータ44を通常駆動して2色インクリボン151及びホログラムテープ22の搬送制御を行って、予め設定されたラベル長さとなるホログラムテープ22の切断位置が、固定刃81に対向するまで搬送する。続いて、CPU110は、ホログラムテープ22の切断を促すメッセージを液晶ディスプレイ5に表示し、切断検出スイッチ101から切断検出信号CSが入力された場合には、ホログラムテープ22が切断されたと判定する。
【0079】
そして、CPU110は、サーマルヘッド12の駆動を停止した状態で、駆動回路108を介してテープ駆動モータ44を通常駆動して2色インクリボン151及びホログラムテープ22の搬送制御を行う。そして、CPU110は、透明インク領域151Cのリボン搬送方向側の後端縁部が、分離部35Aに位置したときに、つまり、黒色インク領域151Bのリボン搬送方向側の先端縁部が、分離部35Aに位置したときに、テープ駆動モータ44を停止する。
【0080】
続いて、CPU110は、カセットカバー3の開放を促すメッセージを液晶ディスプレイ5に表示し、カバー開閉検出スイッチ102から「H」レベルのカバー開閉信号VSが入力された場合には、CPU110は、ローラホルダ67がサーマルヘッド12に対してリリース位置に切り替えられたと判定する。続いて、CPU110は、テープ駆動モータ44を逆回転させて、テープ巻き取りカム41を介してテープスプール23を平面視反時計方向に回転させて、ホログラムテープ22の印刷開始位置がサーマルヘッド12の各発熱素子R1〜Rnに対向する位置まで巻き戻す。
【0081】
そして、ホログラムテープ22の印字開始位置がサーマルヘッド12の各発熱素子R1〜Rnに対向する位置まで巻き戻した場合には、CPU110は、テープ駆動モータ44の逆回転駆動を停止させる。次に、CPU110は、カセットカバー3を閉じるように促すメッセージを液晶ディスプレイ5に表示し、カバー開閉検出スイッチ102から「L」レベルのカバー開閉信号VSが入力された場合には、カセットカバー3が閉じられたと判定して、当該処理を終了する。
【0082】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るテープカセット20及びテープ印刷装置1では、透明インク132のインクリボン32がリボンスプール33に巻回されたリボンカセット30をテープケース21のリボンカセット収容部21Fに装着することによって、ホログラムテープ22のホログラム層22A上にサーマルヘッド12を介して透明インク132を熱転写することができる。これにより、テープ印刷装置1に任意のパターン形状を入力して、ホログラムテープ22に透明インク132で印刷することによって、ホログラムテープ22の表面に形成されたホログラム層22Aのホログラフィー効果を任意のパターン形状で容易に無効化することができる。また、黒色インク131のインクリボン32がリボンスプール33に巻回されたリボンカセット30をテープケース21のリボンカセット収容部21Fに装着することによって、ホログラムテープ22のホログラム層22A上にサーマルヘッド12を介して黒色インク131を転写して文字や記号等を印刷することができる。
【0083】
また、2層インクリボン141がリボンスプール33に巻回されたリボンカセット30をテープケース21のリボンカセット収容部21Fに装着することによって、サーマルヘッド12の各発熱素子R1〜Rnが「透明ドットパターン」に対応する場合には、熱転写温度をT1℃に切り替えて、2層インクリボン141を加熱した場合には、透明インク142だけで印刷して、ホログラムテープ22の表面に形成されたホログラム層22Aのホログラフィー効果を任意のパターン形状で無効化することができる。また、サーマルヘッド12の各発熱素子R1〜Rnが「黒色ドットパターン」に対応する場合には、熱転写温度をT1℃よりも高いT2℃に切り替えて、2層インクリボン141を加熱した場合には、透明インク142の上側に黒色インク143を積層した状態で、ホログラムテープ22のホログラム層22A上に熱転写されるため、ホログラム層22Aのホログラフィー効果が無効化された部分に文字や記号等を同時に印刷することができる。
【0084】
また、2色インクリボン151がリボンスプール33に巻回されたリボンカセット30をテープケース21のリボンカセット収容部21Fに装着することによって、ホログラムテープ22のホログラム層22Aの上側にサーマルヘッド12を介して黒色インク152を転写して文字や記号等を印刷した後、ホログラムテープ22を巻き戻して、ホログラム層22Aの上側にサーマルヘッド12を介して透明インク153を熱転写することができる。これにより、テープ印刷装置1に任意のパターン形状を入力して、ホログラムテープ22に透明インク153で印刷することによって、ホログラムテープ22の表面に形成されたホログラム層22Aのホログラフィー効果を任意のパターン形状で容易に無効化することができる。
【0085】
尚、本発明は前記実施形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。例えば、以下のようにしてもよい。
【0086】
(A)例えば、透明インク132のインクリボン32がリボンスプール33に巻回されたリボンカセット30をテープケース21のリボンカセット収容部21Fに装着して、当該テープカセット20をテープ印字装置1に装着する。そして、キーボード4を介して文字や記号等を入力して印刷するようにしてもよい。これにより、ホログラムテープ22に透明インク132で文字や記号等を印刷することによって、ホログラムテープ22の表面に形成されたホログラム層22Aのホログラフィー効果を文字や記号等の形状で容易に無効化することができる。
【0087】
(B)また、例えば、リボンカセット30のリボンスプール33に巻回された2色インクリボン151は、透明インク領域151Cのリボン搬送方向側の先端縁部が、印刷開始時に分離部35Aに位置するように設定するようにしてもよい。これにより、ホログラムテープ22のホログラム層22Aの上側に透明インク153だけで文字や記号等を印刷する場合には、カセットカバー3の開閉作業を省くことが可能となる。
【符号の説明】
【0088】
1 テープ印刷装置
3 カセットカバー
12 サーマルヘッド
20 テープカセット
21 カセットケース
22 ホログラムテープ
22A ホログラム層
23 テープスプール
30 リボンカセット
32 インクリボン
33 リボンスプール
34 リボン巻き取りスプール
37 ヘッド収容部
131、143、152 黒インク
132、142、153 透明インク
141 2層インクリボン
141A、151A 基材
141B 黒インク層
141C 透明インク層
151 2色インクリボン
151B 黒インク領域
151C 透明インク領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状のテープを搬送するためのテープ搬送手段と、前記テープに印刷するサーマルヘッドを含む印刷手段と、を備えたテープ印刷装置に着脱可能に装着されるテープカセットにおいて、
テープケースと、
印刷面に超微細凹凸からなるホログラム層が形成された被印刷テープが巻回されて回転可能に設けられるテープスプールと、
前記テープケースから前記被印刷テープが露出する露出部と、
前記露出部のテープ搬送方向上流側で前記被印刷テープの印刷面に透明インク層を含むインク層が重ね合わされて該被印刷テープと共に該露出部に搬送されるインクリボンが巻回されて回転可能に設けられるリボンスプールと、
前記インクリボンの先端部が固着されると共に、該インクリボンが巻き取られる巻き取りスプールと、
を備え、
前記露出部において前記被印刷テープのホログラム層の上側に前記サーマルヘッドを介して前記透明インク層が熱転写されることによって、該透明インクが熱転写された部分のホログラフィー効果が無効化されることを特徴とするテープカセット。
【請求項2】
前記インクリボンは、基材と前記透明インク層との間に積層されて該透明インク層の熱転写温度よりも高い熱転写温度によって熱転写される印刷用インク層を有し、
前記印刷用インク層は、前記被印刷テープのホログラム層の上側に前記サーマルヘッドを介して該透明インク層を挟んで熱転写されることを特徴とする請求項1に記載のテープカセット。
【請求項3】
テープカセットが着脱可能に装着されるカセット収納部と、前記テープカセットに収納された長尺状のテープを搬送するためのテープ搬送手段と、前記テープに印刷するサーマルヘッドを含む印刷手段と、を備えたテープ印刷装置において、
前記テープカセットは、請求項1又は請求項2に記載のテープカセットであり、
前記サーマルヘッドの複数の発熱素子を選択的に発熱させると共に、該複数の発熱素子の各々の発熱温度を制御する発熱制御手段を備えたことを特徴とするテープ印刷装置。
【請求項4】
前記リボンスプールと前記巻き取りスプールとを有し、前記テープケースから独立に着脱されるリボンカセットを備え、
前記テープケースは、前記リボンカセットを着脱自在に装着可能なリボンカセット収容部を有し、
前記インクリボンは、基材上に透明インク層が積層された透明インクリボンと、基材上に印刷用インク層が積層された印刷用インクリボンとを含むことを特徴とする請求項1に記載のテープカセット。
【請求項5】
前記インクリボンは、基材上に透明インクが積層された透明インク領域と印刷用インク層が積層された印刷用インク領域とが長手方向に同一ピッチで交互に設けられた交互インクリボンを含むことを特徴とする請求項4に記載のテープカセット。
【請求項6】
テープカセットが着脱可能に装着されるカセット収納部と、前記テープカセットに収納された長尺状のテープを搬送するためのテープ搬送手段と、前記テープに印刷するサーマルヘッドと該サーマルヘッドに対向するプラテンローラとを含む印刷手段と、を備えたテープ印刷装置において、
前記テープカセットは、請求項4又は請求項5に記載のテープカセットであり、
前記被印刷テープを送り方向と巻き戻し方向とに択一的に搬送するテープ搬送機構と、
前記被印刷テープが巻き戻し方向に搬送される場合に、前記サーマルヘッドとプラテンローラのうち、一方を他方に対してリリースするリリース機構と、
を備えたことを特徴とするテープ印刷装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2013−91235(P2013−91235A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234588(P2011−234588)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】