説明

ディジタルコンテンツ利用装置及びディジタルコンテンツ利用プログラム

【課題】 特定のディジタルコンテンツに限定されることなく、所定個数までの任意のディジタルコンテンツを復号することができるライセンスデータを、不正なコピーを防止しつつ生成するディジタルコンテンツ利用装置及びディジタルコンテンツ利用プログラムを提供する。
【解決手段】 本発明に係るディジタルコンテンツ利用端末100は、暗号化された複数のディジタルコンテンツを含むコンテンツパッケージに適用されるパッケージ鍵及びコンテンツパッケージに含まれているディジタルコンテンツを識別するコンテンツ識別子を用いて、ディジタルコンテンツの復号に用いられるコンテンツ鍵を生成する。また、ディジタルコンテンツ利用端末100は、コンテンツ鍵及びコンテンツ識別子を含むディジタルコンテンツ個別ライセンスデータを生成し、ディジタルコンテンツ個別ライセンスデータを用いてディジタルコンテンツを復号する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暗号化されたディジタルコンテンツを復号して利用するディジタルコンテンツ利用装置及びディジタルコンテンツ利用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットに代表される通信ネットワークの普及や、装置の高機能・高性能化に伴って、音楽データ、映像データ及びゲームプログラムなどのディジタルコンテンツの著作権を保護しつつ、利用者の利便性に配慮したディジタルコンテンツの提供が可能となっている。
【0003】
例えば、ディジタルコンテンツは、所定の暗号化方式(例えば、公開鍵暗号方式)によって暗号化された複数のディジタルコンテンツが記録された記録媒体(DVDなど)が利用者に提供される。
【0004】
利用者は、暗号化されたディジタルコンテンツの中から所望のディジタルコンテンツを選択し、当該ディジタルコンテンツを復号するために用いられる復号鍵(コンテンツ鍵)、及び当該ディジタルコンテンツの利用規則(例えば、復号回数、利用期間及びディジタルコンテンツの移動・コピーの可否)を含む“ライセンスデータ”を取得する(例えば、特許文献1)。
【0005】
具体的には、利用者は、ライセンスデータが格納されているライセンスデータサーバに通信ネットワークを介してアクセスし、所望のディジタルコンテンツ用のライセンスデータをディジタルコンテンツごとに取得する。
【0006】
このような方法によれば、利用者は、所望のディジタルコンテンツ用のライセンスデータのみを取得すればよく、ディジタルコンテンツをその都度取得する必要がない。
【特許文献1】国際公開第WO01/091365号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来の方法では、利用者は、ディジタルコンテンツをその都度取得する必要がないものの、所望のディジタルコンテンツを新たに選択した場合、その都度、ライセンスデータサーバにアクセスし、当該ディジタルコンテンツ用のライセンスデータを取得しなければならない。
【0008】
このため、広帯域の通信ネットワーク(いわゆるブロードバンド)を用いることができる場合には、それほど重大な問題とはならないが、携帯電話などの無線通信ネットワークに代表される狭帯域かつ不安定な通信ネットワークしか用いることができない環境(例えば、自動車内)において、ライセンスデータを取得することは、実用的でないといった問題があった。
【0009】
また、狭帯域かつ不安定な通信ネットワークしか用いることができない自動車内などにおいて、ディジタルコンテンツを復号して再生する場合、予め広帯域の通信ネットワークを介して取得しておいたライセンスデータを利用する方法も考えられる。
【0010】
しかしながら、この場合、自動車内では、予め選択しておいたディジタルコンテンツのみしか復号して再生することができないといった問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、特定のディジタルコンテンツに限定されることなく、所定個数までの任意のディジタルコンテンツを復号することができるライセンスデータを、不正なコピーを防止しつつ生成するディジタルコンテンツ利用装置及びディジタルコンテンツ利用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した問題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。まず、本発明の第1の特徴は、暗号化された複数のディジタルコンテンツ(ディジタルコンテンツC)を含むコンテンツパッケージ(コンテンツパッケージCP)に適用されるパッケージ鍵(パッケージ鍵Kmc)を取得するパッケージ鍵取得部(記録装置インタフェース部107)と、前記パッケージ鍵、及び前記コンテンツパッケージに含まれている前記ディジタルコンテンツを識別するコンテンツ識別子(コンテンツ識別子IDc)を用いて、前記ディジタルコンテンツの復号に用いられるコンテンツ鍵(コンテンツ鍵Kcc)を生成するコンテンツ鍵生成部(暗号処理部103)と、前記コンテンツ鍵生成部によって生成された前記コンテンツ鍵、及び前記コンテンツ識別子を含むディジタルコンテンツ個別ライセンスデータ(ディジタルコンテンツ個別ライセンスデータCL)を生成するライセンスデータ生成部(暗号処理部103)と、前記ライセンスデータ生成部によって生成された前記ディジタルコンテンツ個別ライセンスデータを耐タンパー領域(耐タンパー記録領域152)に記録する記録処理部(記録装置インタフェース部107)と、前記耐タンパー領域に記録されている前記ディジタルコンテンツ個別ライセンスデータを用いて前記コンテンツ識別子と対応付けられた前記ディジタルコンテンツを復号する復号部(復号部104)とを備えるディジタルコンテンツ利用装置であることを要旨とする。
【0013】
このような特徴によれば、コンテンツパッケージに適用されるパッケージ鍵と、コンテンツ識別子とを用いて、それぞれのディジタルコンテンツの復号に用いられるコンテンツ鍵を必要なときに生成することができる。
【0014】
また、生成されたコンテンツ鍵を含むディジタルコンテンツ個別ライセンスデータは、耐タンパー領域に記録されるため、ディジタルコンテンツ個別ライセンスデータの不正なコピーが防止できる。
【0015】
すなわち、このような特徴によれば、特定のディジタルコンテンツに限定されることなく、所定個数までの任意のディジタルコンテンツCを復号することができるライセンスデータを、不正なコピーを防止しつつ生成することが可能となる。
【0016】
このため、パッケージ鍵及びコンテンツパッケージに含まれているディジタルコンテンツのコンテンツ識別子を含む“パッケージライセンス”のみを予め取得(購入)しておけば、携帯電話などの無線通信ネットワークに代表される狭帯域かつ不安定な通信ネットワークしか用いることができない環境(例えば、自動車内)においても、所望のディジタルコンテンツを再生するために必要なコンテンツ鍵を容易かつ速やかに得ることができる。
【0017】
本発明の第2の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記ディジタルコンテンツ個別ライセンスデータは、前記ディジタルコンテンツの利用条件を規定する利用規則(例えば、復号回数、利用期間及びディジタルコンテンツの移動・コピーの可否)をさらに含むことを要旨とする。
【0018】
本発明の第3の特徴は、本発明の第1または第2の特徴に係り、前記コンテンツ識別子は、前記コンテンツパッケージを識別するパッケージ識別子(パッケージ識別子IDm)を含むことを要旨とする。
【0019】
本発明の第4の特徴は、暗号化された複数のディジタルコンテンツを含むコンテンツパッケージに適用されるパッケージ鍵を取得するパッケージ鍵取得手順と、前記パッケージ鍵、及び前記コンテンツパッケージに含まれている前記ディジタルコンテンツを識別するコンテンツ識別子を用いて、前記ディジタルコンテンツの復号に用いられるコンテンツ鍵を生成するコンテンツ鍵生成手順と、前記コンテンツ鍵生成手順において生成された前記コンテンツ鍵、及び前記コンテンツ識別子を含むディジタルコンテンツ個別ライセンスデータを生成するライセンスデータ生成手順と、前記ライセンスデータ生成手順において生成された前記ディジタルコンテンツ個別ライセンスデータを耐タンパー領域に記録する記録処理手順と、前記耐タンパー領域に記録されている前記ディジタルコンテンツ個別ライセンスデータを用いて前記コンテンツ識別子と対応付けられた前記ディジタルコンテンツを復号する復号手順とをコンピュータに実行させるディジタルコンテンツ利用プログラムであることを要旨とする。
【0020】
本発明の第5の特徴は、本発明の第4の特徴に係り、前記ディジタルコンテンツ個別ライセンスデータは、前記ディジタルコンテンツの利用条件を規定する利用規則をさらに含むことを要旨とする。
【0021】
本発明の第6の特徴は、本発明の第4または第5の特徴に係り、前記コンテンツ識別子は、前記コンテンツパッケージを識別するコンテンツパッケージ識別子を含むことを要旨とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の特徴によれば、特定のディジタルコンテンツに限定されることなく、所定個数までの任意のディジタルコンテンツを復号することができるライセンスデータを、不正なコピーを防止しつつ生成するディジタルコンテンツ利用装置及びディジタルコンテンツ利用プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0024】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0025】
(ディジタルコンテンツ利用システムの全体概略構成)
図1は、本実施形態に係るディジタルコンテンツ利用装置を含むディジタルコンテンツ利用システムの全体概略構成を示している。図1に示すように、通信ネットワーク10には、ライセンスデータサーバ40及びディジタルコンテンツ利用端末50が接続されている。
【0026】
通信ネットワーク10は、TCP/IPをベースとした通信ネットワークである。通信ネットワーク10には、インターネットが含まれていてもよい。通信ネットワーク10〜ライセンスデータサーバ40間、及び通信ネットワーク10〜ディジタルコンテンツ利用端末50間では、光ファイバーなどの広帯域(高速)なアクセス回線が用いられている。
【0027】
ディジタルコンテンツ記録媒体30には、音楽(楽曲)データのディジタルコンテンツC(図4参照)を複数含むコンテンツパッケージCPが記録されている。ディジタルコンテンツ記録媒体30としては、DVDなどの光ストレージを用いることができる。
【0028】
また、ディジタルコンテンツ記録媒体30に記録されているディジタルコンテンツCは、共通鍵暗号方式を用いて暗号化されている。
【0029】
ライセンスデータサーバ40は、ディジタルコンテンツ記録媒体30に、暗号化された状態で記録されているディジタルコンテンツCを複数含むコンテンツパッケージCPに対応するパッケージライセンスPLを格納する。
【0030】
ライセンスデータサーバ40は、ディジタルコンテンツ利用端末50(またはディジタルコンテンツ利用端末100)からの要求に基づいて、格納しているパッケージライセンスPLをディジタルコンテンツ利用端末50(またはディジタルコンテンツ利用端末100)に送信する。
【0031】
また、ライセンスデータサーバ40は、ディジタルコンテンツ記録媒体30に記録されているコンテンツパッケージCPと同様のコンテンツパッケージCPを格納することができる。ライセンスデータサーバ40は、ディジタルコンテンツ利用端末50(またはディジタルコンテンツ利用端末100)からの要求に基づいて、格納しているコンテンツパッケージCPをディジタルコンテンツ利用端末50(またはディジタルコンテンツ利用端末100)に送信することができる。
【0032】
ディジタルコンテンツ利用端末50は、ディジタルコンテンツ記録媒体30に記録されているコンテンツパッケージCPを読み込んだり、ライセンスデータサーバ40から通信ネットワーク10を介してコンテンツパッケージCPを取得したりする。
【0033】
また、ディジタルコンテンツ利用端末50は、コンテンツパッケージCPを記録装置150に記録することができる。
【0034】
記録装置150は、ディジタルコンテンツ利用端末50やディジタルコンテンツ利用端末100に装着可能な小型のハードディスク(いわゆるリムーバルHDD)である。なお、記録装置150としては、リムーバルHDDではなく、メモリーカードなどを用いることもできる。
【0035】
通信ネットワーク10には、通信ネットワーク20が接続されている。通信ネットワーク20には、無線基地局21が接続されており、無線基地局21〜車両60間では、無線通信方式が用いられる。なお、当該無線通信方式としては、CDMAなどの第3世代移動体通信システムや、IEEE802.11によって規定される無線LANなどが用いることができる。
【0036】
ディジタルコンテンツ利用端末100は、車両60に搭載されており、記録装置150に記録されているディジタルコンテンツC(音楽データ)を復号して再生する。具体的には、ディジタルコンテンツ利用端末100は、車両60に搭載されているカーオーディオ・カーナビゲーション装置によって構成される。
【0037】
(論理ブロック構成)
次に、ディジタルコンテンツ利用端末100の論理ブロック構成について説明する。図2は、ディジタルコンテンツ利用端末100の論理ブロック構成図である。
【0038】
図2に示すように、ディジタルコンテンツ利用端末100は、送受信部101、キー操作部102、暗号処理部103、復号部104、ディジタルコンテンツ再生部105、コントローラ106及び記録装置インタフェース部107を備えている。
【0039】
また、ディジタルコンテンツ利用端末100には、記録装置インタフェース部107を介して記録装置150が接続されている。
【0040】
記録装置150は、複数のディジタルコンテンツC(図4参照)を含むコンテンツパッケージCPが記録されるディジタルコンテンツ記録領域151を有している。また、記録装置150は、パッケージライセンスPLや暗号処理部103によって生成されたディジタルコンテンツ個別ライセンスデータCLが記録される耐タンパー記録領域152を有している。
【0041】
送受信部101は、無線基地局21(図1参照)との間において無線通信路を確立し、データを送受信する。本実施形態では、送受信部101は、コントローラ106の制御に基づいて、ライセンスデータサーバ40に格納されているパッケージライセンスPLを受信することができる。
【0042】
キー操作部102は、複数の入力キーを有し、ユーザ(例えば、車両60の運転手)の操作内容を取得する。取得した操作内容は、コントローラ106に出力される。
【0043】
暗号処理部103は、記録装置150(ディジタルコンテンツ記録領域151)に記録されているディジタルコンテンツCの復号に用いられるコンテンツ鍵Kcc(図5参照)に関する処理を実行する。
【0044】
ここで、まず、図4を参照して、複数のディジタルコンテンツCを含むコンテンツパッケージCPの構成について説明する。
【0045】
図4に示すように、コンテンツパッケージCPに含まれているそれぞれのディジタルコンテンツCは、コンテンツパッケージCPに含まれているディジタルコンテンツCに共通に適用されるパッケージ鍵Kmc(マスター鍵)と、それぞれのディジタルコンテンツCを一意に識別することができるコンテンツ識別子IDcを組み合わせた値によって暗号化されている。
【0046】
本実施形態では、ディジタルコンテンツCは、図5に示すような方法によって暗号化されている。コンテンツ識別子IDcは、所定の一方向ハッシュ関数を用いて、ハッシュ値に変換される。
【0047】
当該ハッシュ値には、排他的論理和(XOR)によってパッケージ鍵Kmcの値が加算される。排他的論理和(XOR)によって当該ハッシュ値にパッケージ鍵Kmcの値が加算された値が、共通鍵暗号方式にしたがったコンテンツ鍵Kccとして用いられる。
【0048】
すなわち、暗号処理部103は、パッケージ鍵Kmc、及びコンテンツパッケージCPに含まれているディジタルコンテンツCを識別するコンテンツ識別子IDcを用いて、ディジタルコンテンツCの復号に用いられるコンテンツ鍵Kccを生成する。本実施形態において、暗号処理部103はコンテンツ鍵生成部を構成する。
【0049】
また、暗号処理部103は、生成したコンテンツ鍵Kcc、及びコンテンツ識別子IDcを含むディジタルコンテンツ個別ライセンスデータCLを生成する。本実施形態において、暗号処理部103はライセンスデータ生成部を構成する。
【0050】
具体的には、図6(a)に示すように、暗号処理部103は、パッケージライセンスPLに基づいて、ディジタルコンテンツ個別ライセンスデータCLを生成する。暗号処理部103は、記録装置150(耐タンパー記録領域152)に記録されているパッケージライセンスPLをコピーする。暗号処理部103は、コピーしたパッケージライセンスPLの内容を書き換え、ディジタルコンテンツ個別ライセンスデータCLを生成する。
【0051】
パッケージライセンスPLは、コピーされるごとに、コピー回数(コピーカウント)が1回減算される。つまり、パッケージライセンスPLのコピー回数に“10”が記録されている場合、10曲分のディジタルコンテンツC(音楽データ)のディジタルコンテンツ個別ライセンスデータCLを生成することができる。
【0052】
コピーされたパッケージライセンスPLに含まれているパッケージ鍵Kmcは、生成したコンテンツ鍵Kccに書き換えられる。
【0053】
また、コピーされたパッケージライセンスPLに含まれているパッケージ識別子IDmは、ディジタルコンテンツCのコンテンツ識別子IDcに書き換えられる。なお、パッケージ識別子IDmは、コンテンツパッケージCPを一意に識別する識別子である。
【0054】
さらに、必要によってディジタルコンテンツCの利用規則が書き換えられる。なお、利用規則とは、ディジタルコンテンツCの利用条件を規定するものである。例えば、図6(a)に示すように、ディジタルコンテンツCのコピー回数(コピーカウント)が利用規則として規定される。
【0055】
また、ディジタルコンテンツCの復号(再生)回数、利用期間及びディジタルコンテンツCの他の記録媒体などへの移動の可否などをディジタルコンテンツCの利用規則として規定してもよい。
【0056】
また、本実施形態では、図6(b)に示すように、コンテンツ識別子IDcは、コンテンツパッケージCPを識別するパッケージ識別子IDmを含んでいる。なお、パッケージ識別子IDmの表現に用いられるバイト数及び“インデックス”(例えば、シリアル番号)の表現に用いられるバイト数は、取り扱うコンテンツパッケージCPやディジタルコンテンツCの数量などに応じて適当に設定すればよい。
【0057】
図2に示す復号部104は、記録装置150(耐タンパー記録領域152)に記録されているディジタルコンテンツ個別ライセンスデータCLを用いて、ディジタルコンテンツ個別ライセンスデータCLに含まれているコンテンツ識別子IDcと対応付けられたディジタルコンテンツCを復号する。
【0058】
ディジタルコンテンツ再生部105は、復号部104によって出力されたディジタルコンテンツC(音楽データ)をD/A変換することによって得られたオーディオ信号をスピーカ160に出力する。
【0059】
コントローラ106は、ディジタルコンテンツ利用端末100を構成する各ブロックを制御する。
【0060】
記録装置インタフェース部107は、記録装置150を接続するためのインタフェースを提供する。特に、本実施形態では、記録装置インタフェース部107は、コンテンツパッケージCPに適用されるパッケージ鍵Kmcを記録装置150(耐タンパー記録領域152)から取得するものであり、パッケージ鍵取得部を構成する。
【0061】
また、本実施形態では、記録装置インタフェース部107は、暗号処理部103によって生成されたディジタルコンテンツ個別ライセンスデータCLを記録装置150(耐タンパー記録領域152)に記録するものであり、記録処理部を構成する。
【0062】
(ディジタルコンテンツ利用システムの動作)
次に、上述したディジタルコンテンツ利用システムの動作について説明する。具体的には、ディジタルコンテンツ利用端末100において、所望のディジタルコンテンツCを再生に関する動作について説明する。
【0063】
なお、ここでは、ディジタルコンテンツ利用端末50において、ディジタルコンテンツ記録媒体30から記録装置150にコンテンツパッケージCPがコピーされ、コンテンツパッケージCPが記録されている記録装置150が、ディジタルコンテンツ利用端末100に装着されているものとする。
【0064】
図3に示すように、ステップS10において、ディジタルコンテンツ利用端末100は、ユーザ(例えば、車両60の運転手)によるディジタルコンテンツCの再生指示を、キー操作部102を介して取得する。
【0065】
ステップS20において、ディジタルコンテンツ利用端末100は、再生指示されたディジタルコンテンツCのコンテンツ識別子IDcに基づいて、記録装置150(耐タンパー記録領域152)に当該コンテンツ識別子IDcを有するディジタルコンテンツ個別ライセンスデータCLがあるか否かを判定する。
【0066】
当該コンテンツ識別子IDcを有するディジタルコンテンツ個別ライセンスデータCLがある場合(ステップS20のYES)、ステップS30において、ディジタルコンテンツ利用端末100は、当該コンテンツ識別子IDcを有するディジタルコンテンツ個別ライセンスデータCLを読み出す。
【0067】
当該コンテンツ識別子IDcを有するディジタルコンテンツ個別ライセンスデータCLがない場合(ステップS20のNO)、ステップS40において、ディジタルコンテンツ利用端末100は、再生指示されたディジタルコンテンツCを含むコンテンツパッケージCPのパッケージライセンスPLが記録装置150(耐タンパー記録領域152)に記録されているか否かを判定する。
【0068】
記録装置150にパッケージライセンスPLが記録されていない場合(ステップS40のNO)、ステップS50において、ディジタルコンテンツ利用端末100は、パッケージライセンスPLの購入が必要なことをユーザに通知する。
【0069】
記録装置150にパッケージライセンスPLが記録されている場合(ステップS40のYES)、ステップS60において、ディジタルコンテンツ利用端末100は、再生指示されたディジタルコンテンツCを含むコンテンツパッケージCPのパッケージライセンスPLを読み出す。
【0070】
ステップS70において、ディジタルコンテンツ利用端末100は、読み出したパッケージライセンスPLをコピーする。
【0071】
ステップS80において、ディジタルコンテンツ利用端末100は、読み出したパッケージライセンスPLのコピー可能回数(コピーカウント、図6(a)参照)を1回減算する。
【0072】
ステップS90において、ディジタルコンテンツ利用端末100は、コピーしたパッケージライセンスPLを用いて、再生指示されたディジタルコンテンツC用のディジタルコンテンツ個別ライセンスデータCLを生成する。
【0073】
具体的には、ディジタルコンテンツ利用端末100は、コピーしたパッケージライセンスPLに含まれているパッケージ鍵Kmcと、再生指示されたディジタルコンテンツCのコンテンツ識別子IDcとを用いて、ディジタルコンテンツC用のコンテンツ鍵Kccを生成する。
【0074】
より具体的には、ディジタルコンテンツ利用端末100は、再生指示されたディジタルコンテンツCのコンテンツ識別子IDcのハッシュ値に、排他的論理和(XOR)によってパッケージ鍵Kmcの値を加算した値を、再生指示されたディジタルコンテンツCのコンテンツ鍵Kccとする(図5参照)。
【0075】
ステップS100において、ディジタルコンテンツ利用端末100は、生成したディジタルコンテンツ個別ライセンスデータCLの情報を書き換える。具体的には、ディジタルコンテンツ利用端末100は、図6(a)に示すように、ディジタルコンテンツ個別ライセンスデータCLに含まれるコンテンツ鍵Kcc及びコンテンツ識別子IDcの部分を、コピーしたパッケージライセンスPLの内容から書き換える。
【0076】
ステップS110において、ディジタルコンテンツ利用端末100は、生成したディジタルコンテンツ個別ライセンスデータCLを記録装置150(耐タンパー記録領域152)に記録する。
【0077】
ステップS120において、ディジタルコンテンツ利用端末100は、記録装置150(耐タンパー記録領域152)に記録したディジタルコンテンツ個別ライセンスデータCLを読み出す。
【0078】
ステップS130において、ディジタルコンテンツ利用端末100は、コンテンツ鍵Kccを用いて再生指示されたディジタルコンテンツCを復号し、復号することによって得られた音楽データを再生(スピーカ160から出力)する。
【0079】
(作用・効果)
以上説明した本実施形態に係るディジタルコンテンツ利用端末100によれば、コンテンツパッケージCPに適用されるパッケージ鍵Kmcと、コンテンツ識別子IDcとを用いて、それぞれのディジタルコンテンツCの復号に用いられるコンテンツ鍵Kccを必要なときに生成することができる。
【0080】
また、生成されたコンテンツ鍵Kccを含むディジタルコンテンツ個別ライセンスデータCLは、耐タンパー記録領域152に記録されるため、ディジタルコンテンツ個別ライセンスデータCLの不正なコピーが防止できる。
【0081】
すなわち、ディジタルコンテンツ利用端末100によれば、特定のディジタルコンテンツCに限定されることなく、所定個数までの任意のディジタルコンテンツCを復号することができるライセンスデータ(コンテンツ鍵Kcc)を、不正なコピーを防止しつつ生成することが可能となる。
【0082】
このため、パッケージ鍵Kmc及びコンテンツパッケージCPに含まれているディジタルコンテンツCのコンテンツ識別子IDcを含むパッケージライセンスPLのみを予め取得(購入)しておけば、携帯電話などの無線通信ネットワークに代表される狭帯域かつ不安定な通信ネットワーク20しか用いることができない環境(例えば、自動車内)においても、所望のディジタルコンテンツCを再生するために必要なコンテンツ鍵Kccを容易かつ速やかに得ることができる。
【0083】
また、本実施形態では、ディジタルコンテンツ個別ライセンスデータCLには、ディジタルコンテンツCの利用条件を規定する利用規則が含まれているため、ディジタルコンテンツCごとに利用条件を設定することができる。
【0084】
さらに、本実施形態では、コンテンツ識別子IDcには、図6(b)に示すように、コンテンツパッケージCPを識別するパッケージ識別子IDmが含まれている。このため、複数のコンテンツパッケージCPが記録装置150に記録された場合でも、選択されたディジタルコンテンツCに対応するディジタルコンテンツ個別ライセンスデータ及びパッケージライセンスPLを容易に検索することができる。
【0085】
(その他の実施形態)
上述したように、本発明の一実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態が明らかとなろう。
【0086】
例えば、上述した本発明の実施形態におけるコンテンツ鍵Kccの生成方法は、以下のように変更してもよい。
【0087】
まず、パッケージ鍵(Kmc)、コンテンツ識別子(IDc)及びコンテンツ鍵(Kcc)の関係は、Kmc,IDcを入力とし、出力をKccとする変換関数F( )を用いて、Kcc=F(Kmc,IDc)の形で一般的に表現することができる。
【0088】
上述した本発明の実施形態では、図5に示したように、コンテンツ識別子IDcのハッシュ値に、排他的論理和(XOR)によってパッケージ鍵Kmcの値が加算された値を、共通鍵暗号方式にしたがったコンテンツ鍵Kccとして用いる形態とした。しかしながら、上述した変換関数F( )の形で表現できる方法であれば、どのような方法でコンテンツ鍵Kccを生成しても構わない。例えば、秘密鍵暗号方式を用いて、IDcをKmcで暗号化し、その結果をIDcのハッシュ値にXORによって加算する方法がある。
【0089】
また、上述した本発明の実施形態では、ディジタルコンテンツとして音楽(楽曲)データを例として説明したが、本発明は、他のディジタルコンテンツ、例えば、映像データやゲームプログラムにも勿論適用することができる。
【0090】
さらに、上述した本発明の実施形態では、ディジタルコンテンツ利用端末100が車両60に搭載されている形態としたが、ディジタルコンテンツ利用端末100の機能を携帯電話端末などの移動通信端末に実装してもよい。
【0091】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施形態に係るディジタルコンテンツ利用装置を含むディジタルコンテンツ利用システムの全体概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係るディジタルコンテンツ利用装置の論理ブロック構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係るディジタルコンテンツ利用装置の動作フローを示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係るコンテンツパッケージの構成図である。
【図5】本発明の実施形態に係るディジタルコンテンツの暗号化方法を説明する説明図である。
【図6】本発明の実施形態に係るパッケージライセンス、ディジタルコンテンツ個別ライセンスデータ及びコンテンツ識別子の構成図である。
【符号の説明】
【0093】
10,20…通信ネットワーク、21…無線基地局、30…ディジタルコンテンツ記録媒体、40…ライセンスデータサーバ、50…ディジタルコンテンツ利用端末、60…車両、100…ディジタルコンテンツ利用端末、101…送受信部、102…キー操作部、103…暗号処理部、104…復号部、105…ディジタルコンテンツ再生部、106…コントローラ、107…記録装置インタフェース部、150…記録装置、151…ディジタルコンテンツ記録領域、152…耐タンパー記録領域、160…スピーカ、C…ディジタルコンテンツ、CL…ディジタルコンテンツ個別ライセンスデータ、CP…コンテンツパッケージ、IDc…コンテンツ識別子、IDm…パッケージ識別子、Kcc…コンテンツ鍵、Kmc…パッケージ鍵、PL…パッケージライセンス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
暗号化された複数のディジタルコンテンツを含むコンテンツパッケージに適用されるパッケージ鍵を取得するパッケージ鍵取得部と、
前記パッケージ鍵、及び前記コンテンツパッケージに含まれている前記ディジタルコンテンツを識別するコンテンツ識別子を用いて、前記ディジタルコンテンツの復号に用いられるコンテンツ鍵を生成するコンテンツ鍵生成部と、
前記コンテンツ鍵生成部によって生成された前記コンテンツ鍵、及び前記コンテンツ識別子を含むディジタルコンテンツ個別ライセンスデータを生成するライセンスデータ生成部と、
前記ライセンスデータ生成部によって生成された前記ディジタルコンテンツ個別ライセンスデータを耐タンパー領域に記録する記録処理部と、
前記耐タンパー領域に記録されている前記ディジタルコンテンツ個別ライセンスデータを用いて前記コンテンツ識別子と対応付けられた前記ディジタルコンテンツを復号する復号部と
を備えるディジタルコンテンツ利用装置。
【請求項2】
前記ディジタルコンテンツ個別ライセンスデータは、前記ディジタルコンテンツの利用条件を規定する利用規則をさらに含む請求項1に記載のディジタルコンテンツ利用装置。
【請求項3】
前記コンテンツ識別子は、前記コンテンツパッケージを識別するパッケージ識別子を含む請求項1または2に記載のディジタルコンテンツ利用装置。
【請求項4】
暗号化された複数のディジタルコンテンツを含むコンテンツパッケージに適用されるパッケージ鍵を取得するパッケージ鍵取得手順と、
前記パッケージ鍵、及び前記コンテンツパッケージに含まれている前記ディジタルコンテンツを識別するコンテンツ識別子を用いて、前記ディジタルコンテンツの復号に用いられるコンテンツ鍵を生成するコンテンツ鍵生成手順と、
前記コンテンツ鍵生成手順において生成された前記コンテンツ鍵、及び前記コンテンツ識別子を含むディジタルコンテンツ個別ライセンスデータを生成するライセンスデータ生成手順と、
前記ライセンスデータ生成手順において生成された前記ディジタルコンテンツ個別ライセンスデータを耐タンパー領域に記録する記録処理手順と、
前記耐タンパー領域に記録されている前記ディジタルコンテンツ個別ライセンスデータを用いて前記コンテンツ識別子と対応付けられた前記ディジタルコンテンツを復号する復号手順と
をコンピュータに実行させるディジタルコンテンツ利用プログラム。
【請求項5】
前記ディジタルコンテンツ個別ライセンスデータは、前記ディジタルコンテンツの利用条件を規定する利用規則をさらに含む請求項4に記載のディジタルコンテンツ利用プログラム。
【請求項6】
前記コンテンツ識別子は、前記コンテンツパッケージを識別するパッケージ識別子を含む請求項4または5に記載のディジタルコンテンツ利用プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−303771(P2006−303771A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−120870(P2005−120870)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】