説明

ディスクドライブ、当該ディスクドライブを制御する制御方法及び当該ディスクドライブを制御するコンピュータプログラム、並びに電子機器、当該電子機器を制御する制御方法及び当該電子機器を制御するコンピュータプログラム

【課題】電極端子の接点不良が発生しているか否かを適切に予測する。
【解決手段】ディスクドライブは、ディスクの移動に応じて可動する可動部711と、可動部と接触する電極端子712、713とを有し、可動部が電極端子に接触しているオン状態と可動部が電極端子に接触していないオフ状態との間で状態が切り替えられるスイッチ手段71と、電極端子の接点不良の発生を接点不良の発生前に予測することが可能な所定のパラメータが、所定の状態にあるか否かを判定する判定手段と、所定のパラメータが所定の状態にあると判定される場合に、可動部を可動させることでスイッチ手段の状態をオン状態とオフ状態との間で繰り返し切り替える制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばディスクドライブ、当該ディスクドライブを制御する制御方法及び当該ディスクドライブを制御するコンピュータプログラム、並びに電子機器、当該電子機器を制御する制御方法及び当該電子機器を制御するコンピュータプログラムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
DVD(Digital Versatile Disc)や、CD(Compact Disc)、ブルーレイディスク(BD:Blu-ray Disc)等の光ディスクに対し、情報の記録又は再生を行うディスクドライブがある。ディスクドライブは、ディスクプレーヤや、ディスクレコーダや、オーディオシステムや、パーソナルコンピュータや、カーナビゲーションシステム等の様々な装置に用いられている。
【0003】
このようなディスクドライブは、光ディスクを着脱することができる。光ディスクを着脱する方式として、スロットイン方式や、ドロアー方式や、トレー方式等がある。以下、一例として、スロットイン方式について説明する。
【0004】
スロットイン方式のディスクドライブにおけるローディング動作は、例えば次の通りである。ユーザは、光ディスクの端部をディスクスロットに挿入し、光ディスクをディスクドライブの内部に向けて軽く押し込む。すると、ディスクドライブは、例えばローディングアームなどのローディング機構によって光ディスクをディスクドライブの内部に引き込み、光ディスクの中心がターンテーブル上に位置するまで光ディスクを搬送する。続いて、ディスクドライブは、光ディスクをターンテーブル上に固定(クランプ)する。
【0005】
スロットイン方式のディスクドライブにおけるイジェクト動作は、例えば次の通りである。ディスクドライブ内のターンテーブル上にクランプされた光ディスクをイジェクト(排出)する旨の指示が発せられると、当該指示に応じて、ディスクドライブは、光ディスクのクランプを解除する。続いて、ディスクドライブは、例えばイジェクトアームなどのイジェクト機構により、光ディスクを、ディスクスロットを通してディスクドライブの外側へ押し出す。
【0006】
以上のような光ディスクの搬送制御(つまり、ローディング及びイジェクトの制御)は、光ディスクの位置の検出結果に応じて光ディスクの搬送の開始及び停止のタイミング等を決定することで行われる。光ディスクの位置を検出する方法として、例えば以下の方法が考えられる。まず、搬送される光ディスクに合わせて移動するプレートがディスクドライブ内部に設けられ、且つ当該プレートと接触可能な位置に、当該プレートと接触しているか否かに応じてオン・オフが切り替わるメカニカルスイッチが設けられる。メカニカルスイッチの状態(つまり、プレートと接触することでメカニカルスイッチがオンになっている状態又はプレートと接触しないことでメカニカルスイッチがオフになっている状態)は、メイン基板上の検出回路に対して電気的に(つまり、電気信号として)伝えられる。その結果、検出回路は、メカニカルスイッチの状態に応じて、光ディスクの通過の有無(或いは、光ディスクの位置)を検出する。
【0007】
ここで、メカニカルスイッチにおいては、何らかの原因によって接点不良が起こることがある。例えば、メカニカルスイッチの一例として、プレートと接触することで可動する切替レバーと、当該切替レバーの可動に応じて移動可能な一の可動端子と、当該可動電極端子と接触し得る固定端子とを備えるメカニカルスイッチを例に挙げて説明する。この場合、可動端子及び固定端子の少なくとも一方の接触面に不純物(例えば、硫黄等)が付着すると、当該不純物と可動端子及び固定端子の少なくとも一方を構成する材料とが化学反応を起こすことで絶縁物(例えば、硫化銀等)が生成されることがある。すると、当該絶縁物によって可動端子と固定端子との間の電気的な導通を図ることができなくなり、結果として接点不良という状態に陥る。従って、接点不良の発生を適切に検出すると共に、発生している接点不良を適切に解消することが好ましい。
【0008】
ここで、電極端子の接点不良の発生を検出するための方法として、例えば特許文献1には、DSRC(Dedicated Short Range Communication)車載器に設けられた接点端子とICカードに設けられた接点接触面とが接点不良であるか否かを、DSRC車載器の接点端子からICカードの接点接触面に向けて検査信号を流すことで判定する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−43161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した特許文献1に記載された手法では、接点不良が発生しているか否かの判定動作の対象となる電極端子に対して検査信号を流すことで、接点不良が実際に発生しているか否かが判定される。つまり、特許文献1に記載された手法では、接点不良が実際に発生した後でなければ、接点不良の発生を検知することができないという技術的な問題点が生ずる。
【0011】
尚、上述した技術的な問題点は、ディスクドライブに限らず、メカニカルスイッチを備える任意の機器においても同様に生じ得る。
【0012】
本発明が解決しようとする課題には上記のようなものが一例として挙げられる。本発明は、電極端子の接点不良が発生しているか否かを適切に予測することが可能なディスクドライブ、当該ディスクドライブを制御する制御方法及び当該ディスクドライブを制御するコンピュータプログラム、並びに電子機器、当該電子機器を制御する制御方法及び当該電子機器を制御するコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、ディスクドライブは、搬送対象物であるディスクの移動に応じて可動する可動部と、当該可動部と接触する電極端子とを有し、前記可動部が前記電極端子に接触しているオン状態と前記可動部が前記電極端子に接触していないオフ状態との間で状態が切り替えられるスイッチ手段と、前記電極端子の接点不良の発生を当該接点不良の発生前に予測することが可能な所定のパラメータが、所定の状態にあるか否かを判定する判定手段と、前記所定のパラメータが前記所定の状態にあると判定される場合に、前記可動部を可動させることで前記スイッチ手段の状態を前記オン状態と前記オフ状態との間で繰り返し切り替える制御手段とを備える。
【0014】
上記課題を解決するために、ディスクドライブを制御する制御方法は、搬送対象物であるディスクの移動に応じて可動する可動部と、当該可動部と接触する電極端子とを有し、前記可動部が前記電極端子に接触しているオン状態と前記可動部が前記電極端子に接触していないオフ状態との間で状態が切り替えられるスイッチ手段を備えるディスクドライブを制御する制御方法であって、前記電極端子の接点不良の発生を当該接点不良の発生前に予測することが可能な所定のパラメータが、所定の状態にあるか否かを判定する判定工程と、前記所定のパラメータが前記所定の状態にあると判定される場合に、前記可動部を可動させることで前記スイッチ手段の状態を前記オン状態と前記オフ状態との間で繰り返し切り替える制御工程とを備える。
【0015】
上記課題を解決するために、ディスクドライブを制御するコンピュータプログラムは、搬送対象物であるディスクの移動に応じて可動する可動部と、当該可動部と接触する電極端子とを有し、前記可動部が前記電極端子に接触しているオン状態と前記可動部が前記電極端子に接触していないオフ状態との間で状態が切り替えられるスイッチ手段を備えるディスクドライブを制御するためのコンピュータプログラムであって、前記ディスクドライブに、前記電極端子の接点不良の発生を当該接点不良の発生前に予測することが可能な所定のパラメータが、所定の状態にあるか否かを判定する判定工程と、前記所定のパラメータが前記所定の状態にあると判定される場合に、前記可動部を可動させることで前記スイッチ手段の状態を前記オン状態と前記オフ状態との間で繰り返し切り替える制御工程とを実行させる。
【0016】
上記課題を解決するために、電子機器は、対象物の移動に応じて可動する可動部と、当該可動部と接触する電極端子とを有し、前記可動部が前記電極端子に接触しているオン状態と前記可動部が前記電極端子に接触していないオフ状態との間で状態が切り替えられるスイッチ手段と、前記電極端子の接点不良の発生を当該接点不良の発生前に予測することが可能な所定のパラメータが、所定の状態にあるか否かを判定する判定手段と、前記所定のパラメータが前記所定の状態にあると判定される場合に、前記可動部を可動させることで前記スイッチ手段の状態を前記オン状態と前記オフ状態との間で繰り返し切り替える制御手段とを備える。
【0017】
上記課題を解決するために、電子機器を制御する制御方法は、対象物の移動に応じて可動する可動部と、当該可動部と接触する電極端子とを有し、前記可動部が前記電極端子に接触しているオン状態と前記可動部が前記電極端子に接触していないオフ状態との間で状態が切り替えられるスイッチ手段を備える電子機器を制御する制御方法であって、前記電極端子の接点不良の発生を当該接点不良の発生前に予測することが可能な所定のパラメータが、所定の状態にあるか否かを判定する判定工程と、前記所定のパラメータが前記所定の状態にあると判定される場合に、前記可動部を可動させることで前記スイッチ手段の状態を前記オン状態と前記オフ状態との間で繰り返し切り替える制御工程とを備える。
【0018】
上記課題を解決するために、電子機器を制御するコンピュータプログラムは、対象物の移動に応じて可動する可動部と、当該可動部と接触する電極端子とを有し、前記可動部が前記電極端子に接触しているオン状態と前記可動部が前記電極端子に接触していないオフ状態との間で状態が切り替えられるスイッチ手段を備える電子機器を制御するためのコンピュータプログラムであって、前記電子機器に、前記電極端子の接点不良の発生を当該接点不良の発生前に予測することが可能な所定のパラメータが、所定の状態にあるか否かを判定する判定手段と、前記所定のパラメータが前記所定の状態にあると判定される場合に、前記可動部を可動させることで前記スイッチ手段の状態を前記オン状態と前記オフ状態との間で繰り返し切り替える制御工程とを実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】ディスクドライブの外観を示す斜視図である。
【図2】ディスクドライブの内部構成を示す平面図である。
【図3】メカニカルスイッチの状態が、オン状態からオフ状態へと又はオフ状態からオン状態へと切り替わる態様を示す断面図。
【図4】光ディスクの搬送動作の一過程を示す平面図である。
【図5】光ディスクの搬送動作の一過程を示す平面図である。
【図6】光ディスクの搬送動作の一過程を示す平面図である。
【図7】光ディスクの搬送動作の一過程を示す平面図である。
【図8】判定回路及び制御回路によって行われるメカニカルスイッチの接点不良の判定及び解消の手法の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、ディスクドライブ、当該ディスクドライブを制御する制御方法及び当該ディスクドライブを制御するコンピュータプログラム、並びに電子機器、当該電子機器を制御する制御方法及び当該電子機器を制御するコンピュータプログラムの実施形態について順に説明する。
【0021】
(ディスクドライブの実施形態)
本実施形態のディスクドライブは、搬送対象物であるディスクの移動に応じて可動する可動部と、当該可動部と接触する電極端子とを有し、前記可動部が前記電極端子に接触しているオン状態と前記可動部が前記電極端子に接触していないオフ状態との間で状態が切り替えられるスイッチ手段と、前記電極端子の接点不良の発生を当該接点不良の発生前に予測することが可能な所定のパラメータが、所定の状態にあるか否かを判定する判定手段と、前記所定のパラメータが前記所定の状態にあると判定される場合に、前記可動部を可動させることで前記スイッチング手段の状態を前記オン状態と前記オフ状態との間で繰り返し切り替える制御手段とを備える。
【0022】
本実施形態のディスクドライブによれば、搬送対象物であるディスクを移動させる(言い換えれば、搬送する)ことができる。ディスクの一例として、例えば、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)やBD(Blu-ray Disc)等の光ディスクや、MD(Mini Disc)やMO(Magneto Optical Disc)等の光磁気ディスクや、その他の任意のディスク等があげられる。
【0023】
ディスクの移動に伴って、移動するディスクは、スイッチ手段が有する可動部と接触する。その結果、可動部が可動する。尚、ディスクの移動に伴って、ディスクは、可動部に直接的に接触してもよい。或いは、ディスクの移動に伴って、ディスクは、可動部との間に所定の構造物を介在させた状態で可動部と間接的に接触してもよい。ディスクの移動に伴って可動する可動部は、スイッチ手段が有する電極端子と接触する。尚、可動部の可動に伴って、可動部は、電極端子に直接的に接触してもよい。或いは、可動部の可動に伴って、可動部は、電極端子との間に所定の構造物を介在させた状態で電極端子と間接的に接触してもよい。その結果、可動部と電極端子との接触(つまり、直接的な接触又は間接的な接触)により、電極端子を介した電気的な導通状態がオン状態に切り替えられる。一方、可動部と電極端子との接触が解消されることにより、電極端子を介した電気的な導通状態がオフ状態に切り替えられる。尚、本実施形態では、可動部と電極端子とが直接的に又は間接的に接触している状態を、「スイッチ手段のオン状態」と定義し、可動部と電極端子とが直接的に又は間接的に接触していない状態を、「スイッチ手段のオフ状態」と定義して説明を進める。但し、可動部と電極端子との接触によって電極端子を介した電気的な導通が実現されている状態を、「スイッチ手段のオン状態」と定義し、可動部と電極端子との非接触によって電極端子を介した電気的な導通が実現されていない状態を、「スイッチ手段のオフ状態」と定義してもよい。
【0024】
このようなスイッチ手段は、例えば、ディスクの搬送状態(移動状態)を認識するためにディスクドライブ内の所定位置に配置されていてもよい。その結果、ディスクドライブは、スイッチ手段が有する電極端子の電気的な導通状態を確認することで、スイッチ手段が配置されている位置にまでディスクが搬送されたか否かを判定することができる。
【0025】
本実施形態のディスクドライブでは特に、判定手段は、電極端子の接点不良の発生を当該接点不良の発生前に予測することが可能な所定のパラメータが、所定の状態にあるか否かを判定する。つまり、判定手段は、所定のパラメータを監視することで、電極端子の接点不良が近い将来発生するか否かを予測する。所定のパラメータが所定の状態にあると判定される場合には、判定手段は、電極端子の接点不良が近い将来発生すると予測してもよい。他方で、所定のパラメータが所定の状態にないと判定される場合には、判定手段は、電極端子の接点不良が近い将来には発生しないと予測してもよい。
【0026】
尚、所定のパラメータは、後に詳述するが、電極端子の状態(例えば、電極端子の接点ないしは接触面の状態)を直接的に又は間接的に示し得る任意のパラメータが一例としてあげられる。
【0027】
判定手段によって所定のパラメータが所定の状態にあると判定される場合には、制御手段は、可動部を可動させることでスイッチ手段の状態をオン状態とオフ状態との間で繰り返し切り替える。言い換えれば、判定手段によって電極端子の接点不良が近い将来発生すると予測される場合には、制御手段は、可動部を可動させることでスイッチ手段の状態をオン状態とオフ状態との間で繰り返し切り替える。つまり、制御手段は、可動部と電極端子とが接触する状態から可動部と電極端子とが接触しない状態への切替及びその逆の切替(つまり、可動部と電極端子とが接触しない状態から可動部と電極端子とが接触する状態への切替)が交互に繰り返し行われるように、可動部を可動させることが好ましい。
【0028】
尚、制御手段は、可動部の動作を直接的に制御することで可動部を可動させてもよい。或いは、制御手段は、可動部と直接接触するディスク(或いは、可動部とディスクとの間に介在する、可動部と直接接触する所定の構造物)を移動させることで、間接的に可動部を可動させてもよい。
【0029】
これにより、電極端子の接点ないしは接触面が可動部(或いは、可動部と電極端子との間に介在する所定の構造物)によって何度もこすられることになる。その結果、接点不良を発生させる一つの原因である電極端子の接点ないしは接触面に付着した不純物が可動部との接触によって除去される。従って、接点不良が実際に発生する前に、接点不良が近い将来実際に発生する不都合を好適に抑制することができる。
【0030】
以上説明したように、本実施形態のディスクドライブは、所定のパラメータを監視することで、電極端子の接点不良が近い将来発生するか否かを予測することができる。つまり、本実施形態のディスクドライブは、実際に接点不良が発生していない段階で、電極端子の接点不良が近い将来発生するか否かを予測することができる。その結果、本実施形態のディスクドライブは、接点不良の発生の予測結果に基づいて、例えば電極端子を介した電気的な導通状態をオン状態とオフ状態との間で切り替えることで、接点不良の解消ないしは予防を図ることができる。
【0031】
本実施形態のディスクドライブの一の態様では、前記ディスクを当該ディスクドライブから排出させるためのユーザの指示の入力を受け付ける操作手段を更に備え、前記制御手段は、前記操作手段に対する前記ユーザの指示の入力が受け付けられていない状態で、前記スイッチ手段の状態を前記オン状態と前記オフ状態との間で繰り返し切り替える。
【0032】
この態様によれば、制御手段は、ユーザの指示によらずに、スイッチ手段の状態をオン状態とオフ状態との間で繰り返し切り替えることができる。従って、ディスクドライブは、ディスクドライブ自身の自立的な動作によって、電極端子の接点不良の解消ないしは予防を図ることができる。
【0033】
本実施形態のディスクドライブの他の態様では、前記所定のパラメータは、前記電極端子に流れる信号を監視することなく前記電極端子の接点不良の発生を当該接点不良の発生前に予測することが可能な所定のパラメータである。
【0034】
この態様によれば、判定手段は、電極端子の接点不良の発生を当該接点不良の発生前に予測することが可能であって且つ電極端子に流れる信号を監視することなく当該接点不良の発生を予測することが可能な所定のパラメータが、所定の状態にあるか否かを判定することができる。つまり、判定手段は、電極端子に流れる信号を監視することなく、電極端子の接点不良の発生を当該接点不良の発生前に予測することできる。従って、判定手段は接点不良の発生を予測する又は検出するための何らかの信号を電極端子に対して能動的に流さなくともよくなる。このため、このような信号を流すための構成をディスクドライブに対して新たに追加しなくともよくなる。このため、このような信号を流すための構成を追加することで生ずる費用負担の発生というコスト的な問題点や、このような信号を流すための構成を追加するためのスペースの確保に苦労するという技術的な問題点が生ずることを好適に防止することができる。
【0035】
尚、判定手段は、電極端子の接点不良の発生を当該接点不良の発生前に予測することが可能な所定のパラメータが所定の状態にあるか否かを判定することに代えて、電極端子に流れる信号を監視することなく電極端子の接点不良の発生を予測する又は検出することが可能な所定のパラメータが所定の状態にあるか否かを判定してもよい。つまり、判定手段は、電極端子の接点不良の発生を当該接点不良の発生前に予測することに代えて、電極端子に流れる信号を監視することなく電極端子の接点不良の発生を予測する又は検出してもよい。言い換えれば、第2の実施形態のディスクドライブとして、搬送対象物であるディスクの移動に応じて可動する可動部と、当該可動部と接触する電極端子とを有し、前記可動部が前記電極端子に接触しているオン状態と前記可動部が前記電極端子に接触していないオフ状態との間で状態が切り替えられるスイッチ手段と、前記電極端子に流れる信号を監視することなく前記電極端子の接点不良の発生を予測する又は検出することが可能な所定のパラメータが、所定の状態にあるか否かを判定する判定手段と、前記所定のパラメータが前記所定の状態にあると判定される場合に、前記可動部を可動させることで前記スイッチング手段の状態を前記オン状態と前記オフ状態との間で繰り返し切り替える制御手段とを備えるディスクドライブを採用してもよい。また、このような第2の実施形態のディスクドライブは、上述した本実施形態のディスクドライブが採用し得る各種態様を適宜採用してもよい。
【0036】
本実施形態のディスクドライブの他の態様では、当該ディスクドライブは、前記ディスクに対して情報の記録及び再生の少なくとも一方を行うためのレーザ光を照射する照射手段と、前記記録媒体に照射された前記レーザ光の反射光を受光する受光手段とを備え、前記所定のパラメータは、前記反射光を受光する前記受光手段からの出力信号の信号レベルであり、前記制御手段は、前記信号レベルが所定値以下であると判定される場合に、前記可動部を移動させることで前記電極端子を介した電気的な導通のオン状態とオフ状態とを繰り返し切り替える。
【0037】
この態様によれば、判定手段は、情報の記録及び再生の少なくとも一方を行うためのレーザ光の反射光を受光する受光手段からの出力信号の信号レベルを監視することで、電極端子の接点不良が近い将来発生するか否かを予測することができる。
【0038】
というのも、スイッチ手段が有する電極端子の接点ないしは接触面に不純物が付着する場合には、反射光を受光する受光手段の受光面にもまた不純物が付着する可能性が高い。電極端子の接点ないしは接触面に付着した不純物が接点不良の原因となり得ることを考慮すれば、判定手段は、反射光を受光する受光手段の受光面に不純物が付着しているか否かを監視すれば、電極端子の接点不良が近い将来発生するか否かを予測することができる。一方で、反射光を受光する受光手段の受光面に不純物が付着すればするほど、受光面に入射する反射光の光強度が弱くなっていくと推測される。その結果、反射光を受光する受光手段の受光面に不純物が付着すればするほど、受光手段からの出力信号の信号レベルが弱くなっていくと推測される。このため、受光手段からの出力信号の信号レベルが所定値以下になった場合には、反射光を受光する受光手段の受光面にある程度の不純物が付着しており、結果、電極端子の接点ないしは接触面にもある程度の不純物が付着していると推測される。従って、この場合には、判定手段は、電極端子の接点不良が近い将来発生すると予測することができる。
【0039】
本実施形態のディスクドライブの他の態様では、当該ディスクドライブは、前記ディスクの搬送位置を検出するために前記記録媒体の搬送経路に対してレーザ光を照射する照射手段と、前記照射手段に照射された前記レーザ光の反射光を受光する受光手段とを備え、前記所定のパラメータは、前記反射光を受光する前記受光手段からの出力信号の信号レベルであり、前記制御手段は、前記信号レベルが所定値以下であると判定される場合に、前記可動部を可動させることで前記スイッチング手段の状態を前記オン状態と前記オフ状態との間で繰り返し切り替える。
【0040】
この態様によれば、情報の記録及び再生の少なくとも一方を行うためのレーザ光の反射光を受光する受光手段からの出力信号の信号レベルを監視する場合と同様に、ディスクの搬送位置を検出するために記録媒体の搬送経路に対して照射されるレーザ光の反射光を受光する受光手段からの出力信号の信号レベルを監視することで、電極端子の接点不良が近い将来発生するか否かを予測することができる。
【0041】
本実施形態のディスクドライブの他の態様では、前記所定のパラメータは、所定時間以内に前記スイッチ手段において前記電気的な導通状態が切り替えられた回数であり、前記制御手段は、前記回数が所定回数以下であると判定される場合に、前記可動部を可動させることで前記スイッチング手段の状態を前記オン状態と前記オフ状態との間で繰り返し切り替える。
【0042】
この態様によれば、判定手段は、所定時間以内にスイッチ手段において電気的な導通状態が切り替えられた回数を監視することで、電極端子の接点不良が近い将来発生するか否かを予測することができる。
【0043】
というのも、所定時間以内にスイッチ手段において電気的な導通状態が切り替えられた回数が相対的に少なければ、電極端子の接点ないしは接触面が可動部によってこすられる回数もまた相対的に少なくなる。このため、所定時間以内にスイッチ手段において電気的な導通状態が切り替えられた回数が相対的に少なければ、スイッチ手段が有する電極端子の接点ないしは接触面に付着した不純物が十分に除去されていない可能性があると推測される。このため、所定時間以内にスイッチ手段において電気的な導通状態が切り替えられた回数が所定回数以下である(つまり、相対的に少ない)場合には、判定手段は、電極端子の接点不良が近い将来発生すると予測することができる。
【0044】
本実施形態のディスクドライブの他の態様では、前記所定のパラメータは、前記制御手段による制御が行われてからの経過時間であり、前記制御手段は、前記経過時間が所定時間以上であると判定される場合に、前記可動部を可動させることで前記スイッチング手段の状態を前記オン状態と前記オフ状態との間で繰り返し切り替える。
【0045】
この態様によれば、判定手段は、制御手段よる制御(つまり、可動部を可動させることによる、電極端子を介した電気的な導通状態のオン状態とオフ状態との間での繰り返しの切替)が行われてからの経過時間を監視することで、電極端子の接点不良が近い将来発生するか否かを予測することができる。
【0046】
というのも、制御手段による制御が行われてからの経過時間(より具体的には、制御手段による制御が行われてから、制御手段による再度の制御が行われていない状態が維持されている時間)が相対的に長ければ、当該経過時間の間は、電極端子の接点ないしは接触面が可動部によってこすられていない。このため、制御手段による制御が行われてからの経過時間が相対的に長ければ、スイッチ手段が有する電極端子の接点ないしは接触面に付着した不純物が十分に除去されていない可能性があると推測される。このため、制御手段による制御が行われてからの経過時間が所定時間以上である(つまり、相対的に長い)場合には、判定手段は、電極端子の接点不良が近い将来発生すると予測することができる。
【0047】
本実施形態のディスクドライブの他の態様では、前記判定手段は、前記所定のパラメータが前記所定の状態にあると判定される都度、前記所定の状態を更新する。
【0048】
この態様によれば、所定のパラメータに基づく判定の都度、次の判定において基準となる所定の状態を適切な状態に設定することができる。以下、所定の状態を更新する理由について、レーザ光の反射光を受光する受光手段からの出力信号の信号レベルを監視することで、電極端子の接点不良が近い将来発生するか否かを予測するディスクドライブを例に挙げて説明する。
【0049】
このようなディスクドライブは、上述したように、受光手段の受光面に付着した不純物の量ないしは程度を推測することで、スイッチ手段が有する電極端子の接点ないしは接触面に付着した不純物の量ないしは程度を推測している。ここで、電極端子の接点ないしは接触面に付着した不純物は、制御手段の制御によって除去される。その一方で、受光手段の受光面に付着した不純物は、制御手段の制御によっても除去されることはない。従って、電極端子の接点ないしは接触面とは異なり、受光手段の受光面には、不純物が累積的に付着していく。このため、仮に所定の状態(つまり、上述した所定値)を更新しなければ、パラメータが所定の状態にあると一度でも判定された場合には、その後は常にパラメータが所定の状態にあると判定されてしまいかねない。従って、仮に所定の状態(つまり、上述した所定値)を更新しなければ、判定手段による適切な判定を行うことが困難又は不可能になってしまう。
【0050】
しかるに、本実施形態では、所定のパラメータに基づく判定の都度、次の判定において基準となる所定の状態を適切な状態に設定することができる。例えば、上述のディスクドライブの例で言えば、より小さな所定値を設定することができる。従って、判定手段は、所定のパラメータが所定の状態にあるか否かを継続して適切に判定することができ、その結果、電極端子の接点不良が近い将来発生するか否かを継続して適切に予測することができる。
【0051】
本実施形態のディスクドライブの他の態様では、前記スイッチ手段は、当該ディスクドライブの内部に備えられている。
【0052】
この態様によれば、ディスクドライブの内部に備えられているがゆえにユーザによる直接的な操作が困難なないしは不可能なスイッチ手段を対象として、上述したように、接点不良の解消ないしは予防を図ることができる。
【0053】
尚、ディスクドライブの外部に備えられているスイッチ手段は、ユーザによる直接的な操作が容易である。このため、ディスクドライブの外部に備えられているスイッチ手段では、ユーザの操作によって電極端子を介した導通状態がオン状態とオフ状態との間で頻繁に切り替えられることが多い。従って、ユーザによる操作によって電極端子を介した導通状態がオン状態とオフ状態との間で頻繁に切り替えられることが少ないディスクドライブの内部に備えられているスイッチ手段は、上述した構成を採用することで、上述した効果をより一層顕著に享受することができる。但し、ディスクドライブの外部に備えられているスイッチ手段であっても、上述した構成を採用することで、上述した効果を相応に享受することができる。
【0054】
(ディスクドライブを制御する制御方法の実施形態)
本実施形態のディスクドライブを制御する制御方法は、搬送対象物であるディスクの移動に応じて可動する可動部と、当該可動部と接触する電極端子とを有し、前記可動部が前記電極端子に接触しているオン状態と前記可動部が前記電極端子に接触していないオフ状態との間で状態が切り替えられるスイッチ手段を備えるディスクドライブを制御する制御方法であって、前記電極端子の接点不良の発生を当該接点不良の発生前に予測することが可能な所定のパラメータが、所定の状態にあるか否かを判定する判定工程と、前記所定のパラメータが前記所定の状態にあると判定される場合に、前記可動部を可動させることで前記スイッチング手段の状態を前記オン状態と前記オフ状態との間で繰り返し切り替える制御工程とを備える。
【0055】
本実施形態のディスクドライブを制御する制御方法によれば、上述した本実施形態のディスクドライブが享受することができる各種効果と同様の効果を好適に享受することができる。
【0056】
尚、上述した本実施形態のディスクドライブにおける各種態様に対応して、本実施形態のディスクドライブを制御する制御方法も各種態様を採ることが可能である。
【0057】
(ディスクドライブを制御するコンピュータプログラムの実施形態)
本実施形態のディスクドライブを制御するコンピュータプログラムは、搬送対象物であるディスクの移動に応じて可動する可動部と、当該可動部と接触する電極端子とを有し、前記可動部が前記電極端子に接触しているオン状態と前記可動部が前記電極端子に接触していないオフ状態との間で状態が切り替えられるスイッチ手段を備えるディスクドライブを制御するためのコンピュータプログラムであって、前記ディスクドライブに、前記電極端子の接点不良の発生を当該接点不良の発生前に予測することが可能な所定のパラメータが、所定の状態にあるか否かを判定する判定工程と、前記所定のパラメータが前記所定の状態にあると判定される場合に、前記可動部を可動させることで前記スイッチング手段の状態を前記オン状態と前記オフ状態との間で繰り返し切り替える制御工程とを実行させる。
【0058】
本実施形態のディスクドライブを制御するコンピュータプログラムによれば、上述した本実施形態のディスクドライブが享受することができる各種効果と同様の効果を好適に享受することができる。
【0059】
尚、上述した本実施形態のディスクドライブにおける各種態様に対応して、本実施形態のディスクドライブを制御するコンピュータプログラムも各種態様を採ることが可能である。
【0060】
(電子機器の実施形態)
本実施形態の電子機器の実施形態は、対象物の移動に応じて可動する可動部と、当該可動部と接触する電極端子とを有し、前記可動部が前記電極端子に接触しているオン状態と前記可動部が前記電極端子に接触していないオフ状態との間で状態が切り替えられるスイッチ手段と、前記電極端子の接点不良の発生を当該接点不良の発生前に予測することが可能な所定のパラメータが、所定の状態にあるか否かを判定する判定手段と、前記所定のパラメータが前記所定の状態にあると判定される場合に、前記可動部を可動させることで前記スイッチング手段の状態を前記オン状態と前記オフ状態との間で繰り返し切り替える制御手段とを備える。
【0061】
本実施形態の電子機器によれば、ディスクドライブに限らず、任意の対象物の移動に応じて可動する可動部を含むスイッチ手段を備える任意の電子機器は、上述した本実施形態のディスクドライブが享受することができる各種効果と同様の効果を享受することができる。
【0062】
尚、上述した本実施形態のディスクドライブにおける各種態様に対応して、本実施形態の電子機器も各種態様を採ることが可能である。
【0063】
(電子機器を制御する制御方法の実施形態)
本実施形態の電子機器を制御する制御方法は、対象物の移動に応じて可動する可動部と、当該可動部と接触する電極端子とを有し、前記可動部が前記電極端子に接触しているオン状態と前記可動部が前記電極端子に接触していないオフ状態との間で状態が切り替えられるスイッチ手段を備える電子機器を制御する制御方法であって、前記電極端子の接点不良の発生を当該接点不良の発生前に予測することが可能な所定のパラメータが、所定の状態にあるか否かを判定する判定工程と、前記所定のパラメータが前記所定の状態にあると判定される場合に、前記可動部を可動させることで前記スイッチング手段の状態を前記オン状態と前記オフ状態との間で繰り返し切り替える制御工程とを備える。
【0064】
本実施形態の電子機器を制御する制御方法によれば、上述した本実施形態の電子機器が享受することができる各種効果と同様の効果を好適に享受することができる。
【0065】
尚、上述した本実施形態の電子機器における各種態様に対応して、本実施形態の電子機器を制御する制御方法も各種態様を採ることが可能である。
【0066】
(電子機器を制御するコンピュータプログラムの実施形態)
本実施形態の電子機器を制御するコンピュータプログラムは、対象物の移動に応じて可動する可動部と、当該可動部と接触する電極端子とを有し、前記可動部が前記電極端子に接触しているオン状態と前記可動部が前記電極端子に接触していないオフ状態との間で状態が切り替えられるスイッチ手段を備える電子機器を制御するためのコンピュータプログラムであって、前記電子機器に、前記電極端子の接点不良の発生を当該接点不良の発生前に予測することが可能な所定のパラメータが、所定の状態にあるか否かを判定する判定手段と、前記所定のパラメータが前記所定の状態にあると判定される場合に、前記可動部を可動させることで前記スイッチング手段の状態を前記オン状態と前記オフ状態との間で繰り返し切り替える制御工程とを実行させる。
【0067】
本実施形態の電子機器を制御するコンピュータプログラムによれば、上述した本実施形態の電子機器が享受することができる各種効果と同様の効果を好適に享受することができる。
【0068】
尚、上述した本実施形態の電子機器における各種態様に対応して、本実施形態の電子機器を制御するコンピュータプログラムも各種態様を採ることが可能である。
【0069】
本実施形態のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施例から更に明らかにされる。
【0070】
以上説明したように、本実施形態のディスクドライブ又は電子機器は、スイッチ手段と、判定手段と、制御手段とを備える。本実施形態の制御方法は、判定工程と、制御工程とを備える。本実施形態のコンピュータプログラムは、ディスクドライブ又は電子機器に、判定工程と、制御工程とを実行させる。従って、電極端子の接点不良が発生しているか否かを適切に予測することができる。
【実施例】
【0071】
以下、図面を参照しながら、ディスクドライブ、当該ディスクドライブを制御する制御方法及び当該ディスクドライブを制御するコンピュータプログラム、並びに電子機器、当該電子機器を制御する制御方法及び当該電子機器を制御するコンピュータプログラムの実施例について説明する。
【0072】
(1)ディスクドライブの外観
図1を参照して、ディスクドライブ10の外観について説明する。図1は、ディスクドライブ10の外観を示す斜視図である。
【0073】
図1に示すように、ディスクドライブ10は、光ディスク1に対し、情報の記録及び再生の少なくとも一方を行う装置である。ディスクドライブ10は、光ディスク1を着脱することができるタイプであり、また、ディスクドライブ10は、光ディスク1の着脱方式についてスロットイン方式を採用している。但し、ディスクドライブ10は、光ディスク1の着脱方式についてスロットイン方式以外の任意の方式を採用している。尚、光ディスク1としては、例えばDVDや、CDや、ブルーレイディスク等が一例としてあげられる。
【0074】
ディスクドライブ10は、シャーシ11及びフロントカバー12を備えている。
【0075】
シャーシ11は例えば金属材料により形成され、底板を有し、必要に応じて側板、天井板を有している。
【0076】
フロントカバー12は例えば樹脂材料により形成されている。フロントカバー12にはディスクスロット13が形成されている。ディスクスロット13は、光ディスク1のローディング及びイジェクトを行うときに光ディスク1を通過させる溝である。
【0077】
加えて、フロントカバー12には、イジェクトボタン14が形成されている。イジェクトボタン14は、ディスクドライブ10のユーザによって操作可能な操作ボタンである。光ディスク1がディスクドライブ10にローディングされている状態でユーザがイジェクトボタン14を押下すると、光ディスク1がディスクドライブ10からイジェクト(つまり、排出)される。一方で、光ディスク1がディスクドライブ10に未だローディングされていない状態(例えば、ディスクスロット13にわずかに挿入された状態)でユーザがイジェクトボタン14を押下すると、光ディスク1がディスクドライブ10の内部にローディングされる。
【0078】
このようなディスクドライブ10は、例えば、ディスクプレーヤや、ディスクレコーダや、オーディオシステムや、パーソナルコンピュータや、カーナビゲーションシステム等の各種電子機器に搭載される。
【0079】
尚、以下の説明では、図1中の矢示X方向を左右方向といい、矢示Y方向を前後方向といい、矢示Z方向を上下方向という。
【0080】
(2)ディスクドライブの内部構成
続いて、図2を参照して、ディスクドライブ10の内部構成について説明する。図2は、ディスクドライブ10の内部構成を示す平面図である。
【0081】
図2に示すように、ディスクドライブ10は、一対のローディングアーム21と、ラックプレート31と、セレクトプレート37と、イジェクトアーム41と、トリガープレート46と、第1シフトバー51と、第2シフトバー55と、トラバースメカ61と、モーター65と、ピニオン66と、メイン回路75と、搬送位置検出回路80とを備えている。
【0082】
一対のローディングアーム21は、ディスクドライブ10前側のディスクスロット13近傍の位置に左右対称に配置されている。各ローディングアーム21は、支軸22を介してシャーシ11上に回動可能に支持されている。各ローディングアーム21は例えば樹脂材料または金属材料により形成されている。
【0083】
各ローディングアーム21の先端部上面にはローラー23が回転可能に取り付けられている。ローラー23はモーター65により回転する。左側のローラー23は光ディスク1の左側周縁と接触する。右側のローラー23は光ディスク1の右側周縁と接触する。
【0084】
ローディングアーム21は、ローラー23を介して光ディスク1を狭持し、光ディスク1の搬送を行う。ローディングアーム21は、光ディスク1の前進又は後退に従って回動し、これによりローディングアーム21の先端側が開閉する。
【0085】
各ローディングアーム21の軸部下面にはギア24が固定されている。左側のギア24はピニオン25を介してラックプレート31の左側のラック部31Aに噛み合っている。右側のギア24はラックプレート31の右側のラック部31Bに直接噛み合っている。ギア24、ピニオン25並びにラック部31A及び31Bは、各ローディングアーム21の回動をラックプレート31の左右方向の移動に変換する。具体的には、各ローディングアーム21が開くときの各ローディングアーム21の回動をラックプレート31の左方向の移動に変換し、各ローディングアーム21が閉じるときの各ローディングアーム21の回動をラックプレート31の右方向の移動に変換する。
【0086】
ラックプレート31は、ディスクドライブ10前側のディスクスロット13近傍に位置し、シャーシ11とローディングアーム21との間に配置されている。ラックプレート31は、シャーシ11に左右方向に移動可能に支持されている。ラックプレート31は例えば樹脂材料又は金属材料により形成されている。ラックプレート31には一対のラック部31A及び31Bが形成されている。
【0087】
ラックプレート31の右側後部にはスイッチングエッジ32が形成されている。スイッチングエッジ32は左右方向に直線状に伸張している。ラックプレート31の左右方向の移動によりスイッチングエッジ32が左右方向に移動すると、スイッチングエッジ32とメカニカルスイッチ71(より具体的には、メカニカルスイッチ71が備える切替レバー711(図3参照))との接触の有無又は接触の状態が変わる。その結果、メカニカルスイッチ71の状態が、オン状態からオフ状態へと又はオフ状態からオン状態へと切り替わる。また、ラックプレート31の左右方向の移動によりスイッチングエッジ32が左右方向に移動すると、スイッチングエッジ32とメカニカルスイッチ72(より具体的には、メカニカルスイッチ72が備える切替レバー711(図3参照))との接触の有無又は接触の状態が変わる。その結果、メカニカルスイッチ72の状態が、オン状態からオフ状態へと又はオフ状態からオン状態へと切り替わる。
【0088】
ここで、図3を参照して、ラックプレート31のスイッチングエッジ32と「スイッチ手段」の一具体例であるメカニカルスイッチ71及び72との接触の態様について、メカニカルスイッチ71及び72の構造と共に説明する。言い換えれば、メカニカルスイッチ71及び72の夫々の状態が、オン状態からオフ状態へと又はオフ状態からオン状態へと切り替わる態様について説明する。図3は、メカニカルスイッチ71の状態が、オン状態からオフ状態へと又はオフ状態からオン状態へと切り替わる態様を示す断面図である。尚、図3は、説明の簡略化のため、メカニカルスイッチ71及び72の構造の一例を簡略的に示す図であり、メカニカルスイッチ71及び72の構造が図3に示す例に限定されることを意図するものではない。
【0089】
図3(a)及び図3(b)に示すように、メカニカルスイッチ71は、切替レバー711と、2つの固定電極端子712と、可動電極板713とを備えている。2つの固定電極端子712の夫々には、メイン回路75から延びる電気配線が電気的に接続されている。2つの固定電極端子712の間が電気的に開放されている場合には、メカニカルスイッチ71の状態はオフ状態となっている。一方で、2つの固定電極端子712の間が電気的に短絡されている場合には、メカニカルスイッチ71の状態はオン状態となっている。尚、図3(a)及び図3(b)に示すメカニカルスイッチ71の構造はあくまで一例であって、任意のメカニカルスイッチ(つまり、スイッチングエッジ32等の部材との接触の有無の切り替わりによって、その状態がオン状態とオフ状態との間で切り替わるスイッチ)を用いてもよい。
【0090】
図3(a)に示すように、メカニカルスイッチ71にラックプレート31のスイッチングエッジ32が接触していない状態では、切替レバー711は、その大部分がメカニカルスイッチ71の外部に露出している。この場合、切替レバー711は、可動電極板713に接触することはない。その結果、可動電極板713は、2つの固定電極端子712に接触することはない。従って、2つの固定電極端子712の間が電気的に開放されている(つまり、2つの固定電極端子712が導通することはない)ため、メカニカルスイッチ71の状態はオフ状態となっている。尚、本実施例では、切替レバー711が可動電極板713に接触していない状態(言い換えれば、可動電極板713が2つの固定電極端子712に接触していない状態)を、「メカニカルスイッチ71のオフ状態」と定義して説明を進める。
【0091】
一方で、図3(b)に示すように、メカニカルスイッチ71にラックプレート31のスイッチングエッジ32が接触している状態では、切替レバー711は、スイッチングエッジ32に押下される。その結果、切替レバー711は、メカニカルスイッチ71の筐体に固定された回転軸を中心として回転することで、その大部分がメカニカルスイッチ71の内部に押し込まれる。従って、切替レバー711は、可動電極板713を、2つの固定電極端子712側に押し込む。その結果、可動電極板713は、2つの固定電極端子712の夫々に接触する。従って、2つの固定電極端子712が導通するため、メカニカルスイッチ71の状態はオン状態となっている。尚、本実施例では、切替レバー711が可動電極板713に接触している状態(言い換えれば、可動電極板713が2つの固定電極端子712に接触している状態)を、「メカニカルスイッチ71のオン状態」と定義して説明を進める。
【0092】
尚、図3では、メカニカルスイッチ71について説明しているが、メカニカルスイッチ72も同様に、ラックプレート31のスイッチングエッジ32との接触状態に応じて、その状態がオン状態とオフ状態との間で切り替わる。
【0093】
再び図2において、ラックプレート31の左側後部にはセレクトカム溝33が形成されている。セレクトカム溝33内にはセレクトプレート37のセレクトピン38が挿入されている。また、ラックプレート31の左側後部には2個の退避制御溝(即ち、第1退避制御溝34及び第2退避制御溝35)が形成されている。ラックプレート31が左方向に移動し且つ第1シフトバー51が前方向に移動したときに、第1シフトバー51の退避制御ピン53が退避制御溝34及び35のいずれかに進入する。
【0094】
セレクトプレート37は、ディスクドライブ10左側に配置されている。セレクトプレート37は、シャーシ11に固定されたモーターブランケット(図示せず)に前後方向に移動可能に支持されている。これにより、セレクトプレート37はシャーシ11に対し前後方向に移動可能である。セレクトプレート37は例えば樹脂材料又は金属材料により形成されている。ディスクドライブ10の左側には、いくつかの部材が上下方向に重なり合っている。セレクトプレート37は、概ね、ラックプレート31、トリガープレート46及び第2シフトバー55の下方に位置し、ピニオン66の上方に位置する。
【0095】
セレクトプレート37の前側上面にはセレクトピン38が設けられている。セレクトピン38の一端側は上向きに伸び、ラックプレート31のセレクトカム溝33に挿入され、他端側はセレクトプレート37に固定されている。セレクトピン38及びセレクトカム溝33は、ラックプレート31の左右方向の移動をセレクトプレート37の前後方向の移動に変換する。具体的には、セレクトピン38及びセレクトカム溝33は、ラックプレート31の左方向の移動をセレクトプレート37の後ろ方向の移動に変換し、ラックプレート31の右方向の移動をセレクトプレート37の前方向の移動に変換する。
【0096】
セレクトプレート37の後ろ側上面には、イジェクトアーム41の回動を規制するストッパー39が設けられている。ストッパー39の一端側は上向きに伸び、他端側はセレクトプレート37の上面に固定されている。
【0097】
イジェクトアーム41は、ローディング時には一端側が光ディスク1の後ろ側周縁に接触することにより光ディスク1の引き込み完了を検出し、イジェクト時には一端側が光ディスク1の後ろ側周縁を押すことにより光ディスク1を前方向に移動させる。イジェクトアーム41は、セレクトプレート37の後部上面上に回動可能に支持されている。イジェクトアーム41は例えば金属材料または樹脂材料により形成されている。イジェクトアーム41は支軸42を中心に回動する。イジェクトアーム41の支軸42はセレクトプレート37の前後方向の移動に伴って前後方向に移動する。イジェクトアーム41の一端側上面には接触部材43が取り付けられている。接触部材43は光ディスク1の周縁と接触する。
【0098】
イジェクトアーム41の他端側には押動制御部44が形成されている。押動制御部44は、イジェクトアーム41が後ろ方向に回動すると前方向に移動し、トリガープレート46のトリガーピン47を押し、これによりトリガープレート46を前方向に押し動かす。
【0099】
トリガープレート46は、セレクトプレート37の後部上方に位置し、シャーシ11に固定されたモーターブランケット(図示せず)に取り付けられている。トリガープレート46は例えば金属材料により形成されている。トリガープレート46は、セレクトプレート37上方でセレクトプレート37に対して前後方向に移動することができる。また、トリガープレート46は、セレクトプレート37に支軸42を介して回動可能に取り付けられたイジェクトアーム41とコイルばね49を介して接続されている。このため、トリガープレート46はセレクトプレート37の前後方向の移動に伴って前後方向に移動する。
【0100】
トリガープレート46は、セレクトプレート37及びイジェクトアーム41の上方に覆い被さるように配置されている。トリガープレート46の前側右縁部に形成されたラック部46Aは、トリガープレート46からセレクトプレート37の右縁近傍を降りてセレクトプレート37の下方に潜り込んでいる。ラック部46Aは、トリガープレート46が前進したときに、セレクトプレート37の下方に配置されたピニオン66と噛み合う。
【0101】
トリガープレート46の後ろ側下面にはトリガーピン47が設けられている。トリガーピン47の一端側は下向きに伸び、他端側はトリガープレート46の下面に固定されている。トリガーピン47の一端側は、イジェクトアーム41の押動制御部44と接触可能な位置まで伸びている。
【0102】
トリガープレート46の前側右縁部には第1伝達ピン48が設けられている。第1伝達ピン48の一端側は右方向に伸び、第1シフトバー51の伝達溝51Aに挿入されている。第1伝達ピン48の他端側はトリガープレート46の右縁部に固定されている。
【0103】
イジェクトアーム41とトリガープレート46との間にはコイルばね49が取り付けられている。コイルばね49は、イジェクトアーム41の他端側を前方向に引っ張っている。
【0104】
第1シフトバー51は、シャーシ11上に前後方向に移動可能に支持されている。第1シフトバー51は例えば樹脂材料により形成される。
【0105】
第1シフトバー51の左側側面には伝達溝51Aが形成されている。伝達溝51Aは、前後方向にシャーシ11の底板に対しほぼ平行に伸張している。伝達溝51Aにはトリガープレート46の第1伝達ピン48が挿入されている。また、第1シフトバー51の前側上面には第2伝達ピン52が設けられている。第2伝達ピン52の一端側は上方に伸び、第2シフトバー55の伝達スロット55Aに挿入されており、他端側は第1シフトバー51の上面に固定されている。また、第1シフトバー51の前側上面には退避制御ピン53が設けられている。退避制御ピン53の一端側はラックプレート31の退避制御溝34及び35と接触可能な位置まで上方に伸び、他端側は第1シフトバー51の上面に固定されている。退避制御ピン53は、ラックプレート31が左方向に移動し、且つ第1シフトバー51が前方向に移動したときに、ラックプレート31の退避制御溝34及び35のいずれかに進入する。退避制御ピン53並びに退避制御溝34及び35は、クランプ時に、ローディングの過程で左方向に移動したラックプレート31を更に左方向に移動させる。
【0106】
第2シフトバー55は、シャーシ11上に左右方向に移動可能に支持されている。第2シフトバー55は例えば樹脂材料により形成される。
【0107】
第2シフトバー55の左側端部には伝達スロット55Aが形成されている。伝達スロット55Aには第1シフトバー51の第2伝達ピン52が挿入されている。第2シフトバー55の後ろ側側面には昇降溝55Bが形成されている。昇降溝55Bは、第2シフトバー55の左右方向の移動によりトラバースメカ61を昇降させるためのカム溝であり、右端が低位置にあり、左端が高位置にある。昇降溝55Bにはトラバースメカ61に取り付けられた昇降ピン64が挿入されている。
【0108】
第2シフトバー55の右側端部にはスイッチングスティック56が形成されている。スイッチングスティック56は左右方向に直線状に伸張している。第2シフトバー55の左右方向の移動によりスイッチングスティック56が左右方向に移動すると、スイッチングスティック56とメカニカルスイッチ73(具体的には、メカニカルスイッチ73が備える切替レバー711(図3参照))との接触の有無又は接触の状態が変わる。その結果、メカニカルスイッチ73の状態が、オン状態からオフ状態へと又はオフ状態からオン状態へと切り替わる。尚、第2シフトバー55のスイッチングスティック56と「スイッチ手段」の一具体例であるメカニカルスイッチ73との接触の態様については、図3を用いて説明した、ラックプレート31のスイッチングエッジ32とメカニカルスイッチ71及び72との接触の態様と同一である。
【0109】
トラバースメカ61には、ターンテーブル62及び光ピックアップ63等が設けられている。モーター65は、ピニオン66を回転駆動すると共に、各ローディングアーム21のローラー23を回転駆動する。ピニオン66は、セレクトプレート37の下方に配置されている。上述したようにセレクトプレート37及びトリガープレート46は前後方向に移動するが、ピニオン66の軸は不動である。ピニオン66は、クランプ動作時にモーター65の動力をトリガープレート46に伝達し、第2シフトバー55、第1シフトバー51及びトラバースメカ61等を移動させる。
【0110】
光ピックアップ63は、レーザダイオード631と、フォトディテクタ632とを備えている。光ディスク1に情報を記録する場合には、レーザダイオード631から、記録パワーを有するレーザ光LBが、光ディスク1の記録面に向けて照射される。その結果、レーザ光LBによる熱破壊等によって、光ディスク1の記録面上に情報が記録される。一方で、光ディスク1に記録された情報を再生する場合には、レーザダイオード631から、再生パワーを有するレーザ光LBが、光ディスク1の記録面に向けて照射される。照射されたレーザ光LBは、記録面で反射される。反射されたレーザ光LBは、フォトディテクタ632によって受光される。フォトディテクタ632の受光結果を示す出力信号は、例えばメイン回路75によって復調処理や復号処理が行われる。その結果、光ディスク1に記録された情報が再生される。
【0111】
尚、トリガープレート46、第1シフトバー51、第2シフトバー55、昇降ピン64、モーター65、ピニオン66及びターンテーブル62に対向するようにターンテーブル62の上方に設けられたクランパー(図示せず)などによりクランプ機構が構成されている。
【0112】
メカニカルスイッチ71、72及び73は、例えば、ディスクドライブ10の右側に配置されている。但し、メカニカルスイッチ71、72及び73は、ディスクドライブ10内のいずれの位置に配置されていてもよい。
【0113】
メイン回路75は、メカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の状態や搬送位置検出回路80の出力信号等に基づいて、ローディング時、クランプ時及びイジェクト時におけるモーター65の駆動を制御する。具体的には、メイン回路75は、メカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の夫々から出力される出力信号を受け取る。そして、メイン回路75は、モーター65を駆動するための駆動信号をモーター65に出力する。
【0114】
メイン回路75は更に、判定回路76と、制御回路77とを備えている。
【0115】
判定回路76は、「判定手段」の一具体例であって、メカニカルスイッチ71の2つの固定電極端子712の夫々の、可動電極板713と接触する接点ないしは接触面に接点不良が発生するか否かを予測する。同様に、判定回路76は、メカニカルスイッチ71の可動電極板713の、2つの固定電極端子712の夫々と接触する接点ないしは接触面に接点不良が発生するか否かを予測する。このとき、判定回路76は、実際の接点不良が発生する前の段階で、接点不良が近い将来発生するか否か(言い換えれば、発生しそうか否か)を予測する。尚、判定回路76の具体的な判定動作については、後に詳述するためここでの詳細な説明は省略する(図8参照)。
【0116】
制御回路77は、「制御手段」の一具体例であって、判定回路76によって接点不良が近い将来生じることが予測された場合に、当該接点不良の将来の発生を予防する又は解消する制御を行う。尚、制御回路77の具体的な制御動作については、後に詳述するためここでの詳細な説明は省略する(図8参照)。
【0117】
搬送位置検出回路80は、光ディスク1の搬送位置を検出するための回路であり、光ディスク1が搬送される経路から見てシャーシ11の底板側に固定されている。搬送位置検出回路80は、レーザダイオード801とフォトディテクタ802とを備えている。
【0118】
光ディスク1がディスクスロット13に挿入されていない段階では、レーザダイオード801から照射されたレーザ光LBは、光ディスク1が搬送される経路から見てシャーシ11の天井板側に固定されている不図示のプリズムないしは反射板を介して、フォトディテクタ802に入射する。従って、フォトディテクタ802からは、受光した反射光に応じた出力信号が出力される。
【0119】
一方で、光ディスク1がディスクスロット13に挿入されている段階では、レーザダイオード801から照射されたレーザ光LBは、光ディスク1によって遮断されるため、不図示のプリズムないしは反射板を介して、フォトディテクタ802に入射することはない。従って、フォトディテクタ802からは、無信号に相当する出力信号が出力される。
【0120】
(3)光ディスク1の搬送動作
続いて、図4から図7を参照して、光ディスク1の搬送動作の過程を、時系列に沿って具体的に説明する。図4から図7の夫々は、光ディスク1の搬送動作の一過程を示す平面図である。
【0121】
光ディスク1がディスクドライブ10に挿入されたとき、ディスクドライブ10は例えば次のように動作する。尚、以下の説明では、光ディスク1がディスクドライブ10にローディングされる前の時点では、図2に示すように、ラックプレート31のスイッチングエッジ32がメカニカルスイッチ71及び72の夫々が備える切替レバー711に接触しており、第2シフトバー55のスイッチングスティック56がメカニカルスイッチ73が備える切替レバー711に接触していないものとする。つまり、光ディスク1がディスクドライブ10にローディングされる前の時点では、メカニカルスイッチ71及び72の夫々の状態がオン状態であり、メカニカルスイッチ73の状態がオフ状態にあるものとする。
【0122】
まず、上述した図2に示すように、光ディスク1がディスクドライブ10に挿入されると、レーザダイオード801から出射されたレーザ光LBは、光ディスク1によってその伝搬が遮られる。その結果、レーザダイオード801から出射されたレーザ光LBは、フォトダイオード802に到達しなくなる。このため、フォトダイオード802の出力レベルが相対的に減少する。その結果、メイン回路75は、光ディスク1がディスクスロット13からディスクドライブ1の内部に向かって挿入されたことを検出する。
【0123】
その後、光ディスク1の周縁が各ローディングアーム21のローラー23に接触し、各ローディングアーム21を後ろ方向に押す。これにより、各ローディングアーム21が開く。各ローディングアーム21が開くと、ギア24、ピニオン25並びにラック部31A及び31Bの噛合により、ラックプレート31が左方向に移動する。ラックプレート31が移動すると、スイッチングエッジ32がメカニカルスイッチ71から離れる。つまり、メカニカルスイッチ71の状態がオン状態からオフ状態へと切り替わる。その結果、メイン回路75は、光ディスク1のローディングが開始されたこと(言い換えれば、例えば、光ディスク1がローディング開始位置にあること)を検出する。これにより、不図示の駆動制御回路はモーター65の駆動を開始させる。これにより、各ローディングアーム21のローラー23が回転を始め、ローラー23の回転により光ディスク1がディスクドライブ10の内部へ引き込まれる。
【0124】
その後、図4に示すように、光ディスク1が引き込まれ、光ディスク1が後ろ方向に搬送されるに従って、各ローディングアーム21が更に開き、ラックプレート31が左方向に更に移動する。そして、スイッチングエッジ32がメカニカルスイッチ72から離れる。つまり、メカニカルスイッチ72の状態がオン状態からオフ状態へと切り替わる。従って、メイン回路75は、光ディスク1のローディングが順調に進んでいること(言い換えれば、例えば、光ディスク1がローディング中途位置にあること)を検出する。この場合、不図示の駆動制御回路は、このときのメカニカルスイッチ72の状態の変化により動作を変更せず、それゆえ、モーター65は回転を続け、光ディスク1の搬送が続く。
【0125】
光ディスク1の搬送が続くと、やがて光ディスク1の後ろ側周縁がイジェクトアーム41の接触部材43に接触し、イジェクトアーム41の一端側を後退させる。イジェクトアーム41の一端側が後退すると、イジェクトアーム41の他端側が前進し、イジェクトアーム41の押動制御部44がトリガーピン47を押し、トリガープレート46を前進させる。
【0126】
その後、図5に示すように、光ディスク1がクランプ位置まで搬送され、これによりイジェクトアーム41の一端側が所定の位置まで後退すると、押動制御部44の前進によりトリガープレート46が所定の位置まで前進する。トリガープレート46が所定の位置まで前進すると、トリガープレート46のラック部46Aがピニオン66と噛み合う。ピニオン66は、モーター65が駆動している間は常に回転している。トリガープレート46のラック部46Aがピニオン66と噛み合うと、ピニオン66の回転により、トリガープレート46が更に前進する。即ち、トリガープレート46のラック部46Aがピニオン66と噛み合った瞬間、トリガープレート46を前進させる動力源が、押動制御部44の押圧力からピニオン66の回転に切り替わる。
【0127】
その後、図6に示すように、トリガープレート46が前進すると、トリガープレート46の伝達ピン48により第1シフトバー51も前進する。第1シフトバー51が前進すると、第1シフトバー51の伝達ピン52により第2シフトバー55が右方向に移動する。第2シフトバー55が右方向に移動すると、スイッチングスティック56も右方向に移動する。これにより、スイッチングスティック56の右端がメカニカルスイッチ73と接触する。つまり、メカニカルスイッチ73の状態がオフ状態からオン状態へと切り替わる。その結果、メイン回路75は、光ディスク1のローディングが完了したこと(言い換えれば、例えば、光ディスク1がクランプ位置にあること)を検出する。これにより、不図示の駆動制御回路は、モーター65の駆動を停止する。これにより、各ローディングアーム21のローラー23の回転及びピニオン66の回転が止まる。
【0128】
また、第2シフトバー55が右方向に移動すると、第2シフトバー55の昇降溝55Bに挿入された昇降ピン64が持ち上がり、これに伴ってトラバースメカ61が上昇する。これにより、光ディスク1がターンテーブル62とターンテーブル62の上方に配置されたクランパー(図示せず)との間にクランプされる。
【0129】
また、このとき、第1シフトバー51の前進により、第1シフトバー51の退避制御ピン53がラックプレート31の第2退避制御溝35に進入する。そして、退避制御ピン53が第2退避制御溝35の傾斜縁を押すことにより、ラックプレート31が左方向にさらに移動する。これにより、各ローディングアーム21が更に開き、各ローディングアーム21のローラー23が光ディスク1の周縁から離れ、各ローディングアーム21のローラー23と光ディスク1の周縁との間に適切なクリアランスが確保される。
【0130】
更に、退避制御ピン53の第2退避制御溝35への進入によりラックプレート31が左方向に移動すると、セレクトプレート37のセレクトピン38が、セレクトカム溝33の右端部に形成された溝部により後ろ方向にわずかに押され、セレクトプレート37が小さく後退する。セレクトプレート37が小さく後退すると、イジェクトアーム41の支軸42も小さく後退する。このとき、イジェクトアーム41の他端側は、トリガープレート46の前進により伸張したコイルばね49により引っ張られている。このため、イジェクトアーム41は反時計回りに回動し、イジェクトアーム41の一端側が後退し、イジェクトアーム41の接触部材43が光ディスク1の周縁から離れる。これにより、イジェクトアーム41の接触部材43と光ディスク1の周縁との間に適切なクリアランスが確保される。
【0131】
図6に示すように、光ディスク1のクランプが完了し、イジェクトアーム41及び各ローディングアーム21の退避が完了すると、図示しないスピンドルモーターが駆動を開始し、ターンテーブル62が回転し、光ディスク1が回転する。そして、光ピックアップ63により光ディスク1に対し、情報の再生または記録が行われる。
【0132】
光ディスク1に対する情報の再生または記録が終了し、光ディスク1をイジェクトする旨の指示が与えられたときには、この指示に応じてモーター65が始動する。このときのモーター65の回転方向は、ローディング時とは逆の方向である。そして、ピニオン66が逆回転を始め、これにより、第1シフトバー51及びトリガープレート46が後退する。更に、第2シフトバー55が左方向に移動し、スイッチングスティック56が左方向に移動し、スイッチングスティック56がメカニカルスイッチ73から離れる。つまり、メカニカルスイッチ73の状態がオン状態からオフ状態へと切り替わる。その結果、メイン回路75は、光ディスク1のイジェクトが開始されたこと(言い換えれば、例えば、光ディスク1がイジェクト開始位置にあること)を検出する。更に、トラバースメカ61が下降する。更に、第1シフトバー51の退避制御ピン53がラックプレート31の第2退避制御溝35から退出し、ラックプレート31が図示しないばねの力により右方向に移動する。これにより各ローディングアーム21が閉じ、各ローディングアーム21のローラー23が光ディスク1の周縁に接触する。更に、トリガープレート46の後退により、イジェクトアーム41が時計回りに回動し、イジェクトアーム41の一端側が前進し、接触部材43が光ディスク1の周縁に接触する。更に、モーター65の回転により各ローラー23が逆回転を開始する。
【0133】
そして、光ディスク1は、イジェクトアーム41による押され、さらに各ローディングアーム21のローラー23の逆回転により前方向に搬送される。
【0134】
その後、図7に示すように、光ディスク1が前方向に搬送されるにしたがって、各ローディングアーム21の先端側が閉じ、ラックプレート31が右方向に移動する。そして、ラックプレート31のスイッチングエッジ32がメカニカルスイッチ72に接触する。つまり、メカニカルスイッチ72の状態がオフ状態からオン状態へと切り替わる。その結果、メイン回路75は、光ディスク1のイジェクトが完了したこと(言い換えれば、例えば、光ディスク1がイジェクト完了位置にあること)を検出する。これにより、不図示の駆動制御回路はモーター65の駆動を停止させる。これにより、各ローディングアーム21のローラー23の回転が停止し、光ディスク1がイジェクト完了位置に停止する。
【0135】
(4)接点不良の判定及び解消の手法
続いて、図8を参照して、判定回路76及び制御回路77によって行われるメカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の接点不良の判定及び解消の手法について説明する。図8は、判定回路76及び制御回路77によって行われるメカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の接点不良の判定及び解消の手法の流れを示すフローチャートである。
【0136】
図8に示すように、判定回路76は、光ピックアップ63が備えるフォトディテクタ632の出力信号であるRF信号の信号レベルが、所定の第1閾値以下であるか否かを判定することで、メカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の夫々の接点不良が発生するか否かを予測する(ステップS1)。
【0137】
ここで、RF信号の信号レベルを監視することで接点不良が発生するか否かを予測することができる理由について説明する。メカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の夫々の接点不良は、メカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の夫々が有する固定電極端子712及び可動電極板713の接点ないしは接触面に不純物が付着することで引き起こされることがある。より具体的には、例えば銀等の材料を含んで構成される固定電極端子712及び可動電極板713の接点ないしは接触面に大気中を漂う硫黄等の不純物が触れると、当該不純物はそのまま又は銀等の材料と反応した上で固定電極端子712及び可動電極板713の接点ないしは接触面に付着する。その結果、この不純物(例えば、硫黄そのものや、硫黄と銀とが反応することで生成される硫化銀等)は一般的には絶縁物であるため、結果として、メカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の夫々の接点不良が引き起こされてしまう。ここで、メカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の夫々が有する固定電極端子712及び可動電極板713の接点ないしは接触面に不純物が付着する場合には、フォトディテクタ632の受光面にもまた不純物が付着する可能性が高い。加えて、フォトディテクタ632の受光面に不純物が付着すればするほど、受光面に入射する反射光の光強度が弱くなっていくと推測される。その結果、反射光を受光するフォトディテクタ632の受光面に不純物が付着すればするほど、フォトディテクタ632の出力信号であるRF信号の信号レベルが弱くなっていくと推測される。このため、RF信号の信号レベルが所定の第1閾値以下になった場合には、フォトディテクタ632の受光面にある程度の不純物が付着しており、結果、固定電極端子712及び可動電極板713の接点ないしは接触面にもある程度の不純物が付着していると推測される。従って、判定回路76は、RF信号の信号レベルが第1閾値以下である場合には、メカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の夫々の接点不良が近い将来発生する(言い換えれば、近い将来発生する可能性は相対的に高い)と予測することができる。他方で、判定回路76は、RF信号の信号レベルが第1閾値以下でない場合には、メカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の夫々の接点不良が近い将来発生しない(言い換えれば、近い将来発生する可能性は相対的に低い)と予測することができる。
【0138】
尚、ステップS1における判定動作の基準となる「第1閾値」については、RF信号の信号レベルを監視することで接点不良が発生するか否かを予測することができる理由を考慮した上で適切な値が設定されることが好ましい。つまり、メカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の夫々の接点不良の発生頻度とRF信号の信号レベルとの対応付けを実験やシミュレーション等によって求めることで、メカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の夫々の接点不良を適切に予測することができる第1閾値が設定されることが好ましい。
【0139】
ステップS1の判定の結果、RF信号の信号レベルが第1閾値以下である(つまり、接点不良が近い将来発生する)と判定される場合には(ステップS1:Yes)、制御回路77は、接点不良の将来の発生を予防する又は解消する制御を行う(ステップS7)。具体的には、制御回路77は、メカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の少なくとも一つの状態の切替(つまり、オン状態からオフ状態への切替及びオフ状態からオン状態への切替)を繰り返し行う。本実施例では、制御回路77は、例えば、光ディスク1のローディング及びイジェクトを繰り返し行うようにモーター65等の動作を制御することで、メカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の少なくとも一つの状態の切替を繰り返し行ってもよい。その結果、可動電極板713の接点ないしは接触面が固定電極端子712によってこすられると共に、固定電極端子712の接点ないしは接触面が可動電極板713によってこすられる。その結果、固定電極端子712ないしは可動電極板713の接点ないしは接触面に付着した不純物が除去される。従って、接点ないしは接触面に付着した不純物に起因した接点不良の将来の発生が予防される又は解消される。
【0140】
尚、ステップS7において、制御回路77は、ユーザがイジェクトボタン14を押下しているか否かに関わらず、光ディスク1のローディング及びイジェクトを繰り返し行うようにモーター65等の動作を制御することで、メカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の少なくとも一つの状態の切替を繰り返し行うことが好ましい。言い換えれば、制御回路77は、ユーザがイジェクトボタン14を押下していない場合であっても、光ディスク1のローディング及びイジェクトを繰り返し行うようにモーター65等の動作を制御することで、メカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の少なくとも一つの状態の切替を繰り返し行うことが好ましい。
【0141】
但し、制御回路77は、接点不良の将来の発生が予想されることを警告する警告画面ないしは警告音等をユーザに対いて提示すると共に、イジェクトボタン14を繰り返し押下するようユーザに対して促してもよい。この場合、押下を促されたユーザが繰り返しイジェクトボタン14を押下することで、メカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の少なくとも一つの状態の切替が繰り返し行われる。その結果、ユーザがイジェクトボタン14を押下しているか否かに関わらず、制御回路77が光ディスク1のローディング及びイジェクトを繰り返し行うようにモーター65等の動作を制御する場合と同様の技術的効果が得られる。
【0142】
また、ステップS7において、RF信号の信号レベルが第1閾値以下であると判定される都度、判定回路76は、第1閾値を更新することが好ましい。より具体的には、例えば、RF信号の信号レベルが第1閾値以下であると判定される都度、判定回路76は、第1閾値から所定値を減算することで得られる新たな値を、新たな第1閾値として用いることが好ましい。というのも、固定電極端子712ないしは可動電極板713の接点ないしは接触面に付着した不純物は、制御回路77の制御によって除去される一方で、フォトディテクタ632の受光面に付着した不純物は、制御回路77の制御によっても除去されることはない。従って、固定電極端子712ないしは可動電極板713の接点ないしは接触面とは異なり、フォトディテクタ632の受光面には、不純物が累積的に付着していく。このため、仮に第1閾値を更新しなければ、RF信号の信号レベルが第1閾値以下であると判定された場合には、その後は常にRF信号の信号レベルが第1閾値以下であると判定されてしまいかねない。このため、本実施例では、判定回路76は、第1閾値を適宜更新することで、接点不良が近い将来発生するか否かを継続して適切に予測することができる。
【0143】
他方で、ステップS1の判定の結果、RF信号の信号レベルが第1閾値以下でない(つまり、接点不良が近い将来発生しない)と判定される場合には(ステップS1:No)、判定回路76は、搬送位置検出回路80が備えるフォトディテクタ802の出力信号の信号レベルが、所定の第2閾値以下であるか否かを判定することで、メカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の夫々の接点不良が発生するか否かを予測する(ステップS2)。尚、搬送位置検出回路80が備えるフォトディテクタ802の出力信号の信号レベルを監視することで接点不良が発生するか否かを予測することができる理由は、上述したRF信号の信号レベルを監視することで接点不良が発生するか否かを予測することができる理由と同一である。このため、ステップS2における判定動作の基準となる「第2閾値」についても、第1閾値と同様の態様で適切に設定されることが好ましい。
【0144】
ステップS2の判定の結果、搬送位置検出回路80が備えるフォトディテクタ802の出力信号の信号レベルが第2閾値以下である(つまり、接点不良が近い将来発生する)と判定される場合には(ステップS2:Yes)、制御回路77は、接点不良の将来の発生を予防する又は解消する制御を行う(ステップS7)。尚、搬送位置検出回路80が備えるフォトディテクタ802の出力信号の信号レベルが第2閾値以下であると判定される都度、判定回路76は、第2閾値を更新することが好ましい。第2閾値の更新は、上述した第1閾値の更新と同様の態様で行われてもよい。例えば、搬送位置検出回路80が備えるフォトディテクタ802の出力信号の信号レベルが第2閾値以下であると判定される都度、判定回路76は、第2閾値から所定値を減算することで得られる新たな値を、新たな第2閾値として用いることが好ましい。第2閾値から所定値を減算することで得られる新たな値を新たな第2閾値として用いる理由は、第1閾値から所定値を減算することで得られる新たな値を新たな第1閾値として用いる理由と同一である。
【0145】
他方で、ステップS2の判定の結果、搬送位置検出回路80が備えるフォトディテクタ802の出力信号の信号レベルが第2閾値以下でない(つまり、接点不良が近い将来発生しない)と判定される場合には(ステップS2:No)、判定回路76は、メカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の少なくとも一つの動作回数(具体的には、状態を切り替えた回数)が、所定回数以下であるか否かを判定することで、メカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の夫々の接点不良が発生するか否かを予測する(ステップS3)。このとき、判定回路76は、一定時間以内のメカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の少なくとも一つの動作回数が所定回数以下であるか否かを判定してもよい。或いは、判定回路76は、ディスクドライブの電源が入れられてからのメカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の少なくとも一つの累積的な動作回数が所定回数以下であるか否かを判定してもよい。
【0146】
ここで、メカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の少なくとも一つの動作回数を監視することで接点不良が発生するか否かを予測することができる理由について説明する。一定時間以内にメカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の少なくとも一つの動作回数が相対的に少なければ、固定電極端子712及び可動電極板713の接点ないしは接触面がこすられる回数もまた相対的に少なくなる。このため、一定時間以内にメカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の少なくとも一つの動作回数が相対的に少なければ、固定電極端子712及び可動電極板713の接点ないしは接触面に付着した不純物が十分に除去されていない可能性があると推測される。このため、判定回路76は、一定時間以内にメカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の少なくとも一つの動作回数が所定回数以下である(つまり、相対的に少ない)場合には、メカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の夫々の接点不良が近い将来発生する(言い換えれば、近い将来発生する可能性は相対的に高い)と予測することができる。他方で、判定回路76は、一定時間以内にメカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の少なくとも一つの動作回数が所定回数以下でない(つまり、相対的に多い)場合には、メカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の夫々の接点不良が近い将来発生しない(言い換えれば、近い将来発生する可能性は相対的に低い)と予測することができる。
【0147】
尚、ステップS3における判定動作の基準となる「所定回数」については、一定時間以内にメカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の少なくとも一つの動作回数を監視することで接点不良が発生するか否かを予測することができる理由を考慮した上で適切な値が設定されることが好ましい。つまり、メカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の夫々の接点不良の発生頻度とメカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の少なくとも一つの動作回数との対応付けを実験やシミュレーション等によって求めることで、メカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の夫々の接点不良を適切に予測することができる所定回数が設定されることが好ましい。
【0148】
ステップS3の判定の結果、一定時間以内にメカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の少なくとも一つの動作回数が所定回数以下である(つまり、接点不良が近い将来発生する)と判定される場合には(ステップS3:Yes)、制御回路77は、接点不良の将来の発生を予防する又は解消する制御を行う(ステップS7)。尚、一定時間以内にメカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の少なくとも一つの動作回数が所定回数以下であると判定される都度、判定回路76は、所定回数を更新してもよいし、所定回数を更新しなくともよい。或いは、判定回路76は、所定回数を更新することに代えて、これまでにカウントしていたメカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の少なくとも一つの動作回数をリセットしてもよい(つまり、0等の初期値に戻してもよい)。
【0149】
他方で、ステップS3の判定の結果、一定時間以内にメカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の少なくとも一つの動作回数が所定回数以下でない(つまり、接点不良が近い将来発生しない)と判定される場合には(ステップS3:No)、判定回路76は、前回の制御回路77の制御が行われてから所定時間以上が経過しているか否かを判定する(ステップS4)。
【0150】
ここで、前回の制御回路77の制御が行われてからの経過時間を監視することで接点不良が発生するか否かを予測することができる理由について説明する。制御回路77の制御が行われてからの経過時間(より具体的には、制御回路77の制御が行われてから、制御回路77の再度の制御が行われていない状態が維持されている時間)が相対的に長ければ、当該経過時間の間は、固定電極端子712及び可動電極板713の接点ないしは接触面がこすられていない。このため、制御回路77の制御が行われてからの経過時間が相対的に長ければ、固定電極端子712及び可動電極板713の接点ないしは接触面に付着した不純物が十分に除去されていない可能性があると推測される。このため、判定回路76は、制御回路77の制御が行われてからの経過時間が所定時間以上である(つまり、相対的に長い)場合には、メカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の夫々の接点不良が近い将来発生する(言い換えれば、近い将来発生する可能性は相対的に高い)と予測することができる。他方で、判定回路76は、制御回路77の制御が行われてからの経過時間が所定時間以上でない(つまり、相対的に短い)場合には、メカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の夫々の接点不良が近い将来発生しない(言い換えれば、近い将来発生する可能性は相対的に低い)と予測することができる。
【0151】
尚、ステップS4における判定動作の基準となる「所定時間」については、前回の制御回路77の制御が行われてからの経過時間を監視することで接点不良が発生するか否かを予測することができる理由を考慮した上で適切な値が設定されることが好ましい。つまり、メカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の夫々の接点不良の発生頻度と前回の制御回路77の制御が行われてからの経過時間との対応付けを実験やシミュレーション等によって求めることで、メカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の夫々の接点不良を適切に予測することができる所定回数が設定されることが好ましい。
【0152】
ステップS4の判定の結果、前回の制御回路77の制御が行われてから所定時間以上が経過している(つまり、接点不良が近い将来発生する)と判定される場合には(ステップS4:Yes)、制御回路77は、接点不良の将来の発生を予防する又は解消する制御を行う(ステップS7)。尚、一定時間以内にメカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の少なくとも一つの動作回数が所定回数以下であると判定される都度、判定回路76は、所定時間を更新してもよいし、所定時間を更新しなくともよい。
【0153】
他方で、ステップS4の判定の結果、前回の制御回路77の制御が行われてから所定時間以上が経過していない(つまり、接点不良が近い将来発生しない)と判定される場合には(ステップS4:No)、ディスクドライブ10は、動作を終了する。
【0154】
尚、本実施例のディスクドライブは、上述したステップS1からステップS4の判定のうち少なくとも一つの判定を行えば、メカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の夫々の接点不良を適切に予測することができる。この場合、例えばステップS2の判定が行われない場合には、ディスクドライブ10は、搬送位置検出回路80を備えていなくともよい。
【0155】
また、上述したステップS1からステップS4の判定は、メカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の夫々の接点不良を適切に予測するための判定の一例である。従って、ディスクドライブ10は、メカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の夫々の接点不良を適切に予測するために、上述したステップS1からステップS4の判定以外の態様の判定を行ってもよい。
【0156】
以上説明したように、本実施例のディスクドライブ10は、フォトディテクタ632及びフォトディテクタ810の少なくとも一方の出力信号の信号レベルや、メカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の少なくとも一つの動作回数や、前回の制御回路77の制御が行われてからの経過時間を含む各種パラメータを監視することで、メカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の夫々の接点不良が実際に発生する前に、メカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の夫々の接点不良を適切に予測することができる。従って、本実施例のディスクドライブ10は、接点不良の発生の予測結果に基づいて制御回路77による制御を行うことで、接点不良の解消ないしは予防を図ることができる。
【0157】
加えて、本実施例のディスクドライブ10は、固定電極端子712及び可動電極板713に流れる信号を監視することなく又は固定電極端子712及び可動電極板713に能動的に信号を流すことなく、メカニカルスイッチ71からメカニカルスイッチ73の夫々の接点不良を適切に予測することができる。このため、このような信号を監視する又は流すための専用の回路をディスクドライブ10に対して新たに追加しなくともよくなる。このため、このような信号を監視する又は流すための専用の回路を追加することで生ずる費用負担の発生というコスト的な問題点や、このような信号を監視する又は流すための専用の回路を追加するためのスペースの確保に苦労するという技術的な問題点が生ずることを好適に防止することができる。
【0158】
また、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うディスクドライブ、当該ディスクドライブを制御する制御方法及び当該ディスクドライブを制御するコンピュータプログラム、並びに電子機器、当該電子機器を制御する制御方法及び当該電子機器を制御するコンピュータプログラムもまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0159】
1 光ディスク
10 ディスクドライブ
63 光ピックアップ
631 レーザダイオード
632 フォトディテクタ
71、72、73 メカニカルスイッチ
711 切替レバー
712 固定電極端子
713 可動電極板
75 メイン回路
76 判定回路
77 制御回路
80 搬送位置検出回路
801 レーザダイオード
802 フォトディテクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送対象物であるディスクの移動に応じて可動する可動部と、当該可動部と接触する電極端子とを有し、前記可動部が前記電極端子に接触しているオン状態と前記可動部が前記電極端子に接触していないオフ状態との間で状態が切り替えられるスイッチ手段と、
前記電極端子の接点不良の発生を当該接点不良の発生前に予測することが可能な所定のパラメータが、所定の状態にあるか否かを判定する判定手段と、
前記所定のパラメータが前記所定の状態にあると判定される場合に、前記可動部を可動させることで前記スイッチ手段の状態を前記オン状態と前記オフ状態との間で繰り返し切り替える制御手段と
を備えることを特徴とするディスクドライブ。
【請求項2】
前記ディスクを当該ディスクドライブから排出させるためのユーザの指示の入力を受け付ける操作手段を更に備え、
前記制御手段は、前記操作手段に対する前記ユーザの指示の入力が受け付けられていない状態で、前記スイッチ手段の状態を前記オン状態と前記オフ状態との間で繰り返し切り替える
ことを特徴とする請求項1に記載のディスクドライブ。
【請求項3】
前記所定のパラメータは、前記電極端子に流れる信号を監視することなく前記電極端子の接点不良の発生を当該接点不良の発生前に予測することが可能な所定のパラメータであることを特徴とする請求項1又は2に記載のディスクドライブ。
【請求項4】
当該ディスクドライブは、前記ディスクに対して情報の記録及び再生の少なくとも一方を行うためのレーザ光を照射する照射手段と、前記記録媒体に照射された前記レーザ光の反射光を受光する受光手段とを備え、
前記所定のパラメータは、前記反射光を受光する前記受光手段からの出力信号の信号レベルであり、
前記制御手段は、前記信号レベルが所定値以下であると判定される場合に、前記可動部を可動させることで前記スイッチング手段の状態を前記オン状態と前記オフ状態との間で繰り返し切り替えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のディスクドライブ。
【請求項5】
当該ディスクドライブは、前記ディスクの搬送位置を検出するために前記記録媒体の搬送経路に対してレーザ光を照射する照射手段と、前記照射手段に照射された前記レーザ光の反射光を受光する受光手段とを備え、
前記所定のパラメータは、前記反射光を受光する前記受光手段からの出力信号の信号レベルであり、
前記制御手段は、前記信号レベルが所定値以下であると判定される場合に、前記可動部を可動させることで前記スイッチング手段の状態を前記オン状態と前記オフ状態との間で繰り返し切り替えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のディスクドライブ。
【請求項6】
前記所定のパラメータは、所定時間以内に前記スイッチ手段において前記電気的な導通状態が切り替えられた回数であり、
前記制御手段は、前記回数が所定回数以下であると判定される場合に、前記可動部を可動させることで前記スイッチング手段の状態を前記オン状態と前記オフ状態との間で繰り返し切り替えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のディスクドライブ。
【請求項7】
前記所定のパラメータは、前記制御手段による制御が行われてからの経過時間であり、
前記制御手段は、前記経過時間が所定時間以上であると判定される場合に、前記可動部を可動させることで前記スイッチング手段の状態を前記オン状態と前記オフ状態との間で繰り返し切り替えることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のディスクドライブ。
【請求項8】
前記判定手段は、前記所定のパラメータが前記所定の状態にあると判定される都度、前記所定の状態を更新することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のディスクドライブ。
【請求項9】
前記スイッチ手段は、当該ディスクドライブの内部に備えられていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のディスクドライブ。
【請求項10】
搬送対象物であるディスクの移動に応じて可動する可動部と、当該可動部と接触する電極端子とを有し、前記可動部が前記電極端子に接触しているオン状態と前記可動部が前記電極端子に接触していないオフ状態との間で状態が切り替えられるスイッチ手段を備えるディスクドライブを制御する制御方法であって、
前記電極端子の接点不良の発生を当該接点不良の発生前に予測することが可能な所定のパラメータが、所定の状態にあるか否かを判定する判定工程と、
前記所定のパラメータが前記所定の状態にあると判定される場合に、前記可動部を可動させることで前記スイッチ手段の状態を前記オン状態と前記オフ状態との間で繰り返し切り替える制御工程と
を備えることを特徴とするディスクドライブの制御方法。
【請求項11】
搬送対象物であるディスクの移動に応じて可動する可動部と、当該可動部と接触する電極端子とを有し、前記可動部が前記電極端子に接触しているオン状態と前記可動部が前記電極端子に接触していないオフ状態との間で状態が切り替えられるスイッチ手段を備えるディスクドライブを制御するためのコンピュータプログラムであって、
前記ディスクドライブに、
前記電極端子の接点不良の発生を当該接点不良の発生前に予測することが可能な所定のパラメータが、所定の状態にあるか否かを判定する判定工程と、
前記所定のパラメータが前記所定の状態にあると判定される場合に、前記可動部を可動させることで前記スイッチ手段の状態を前記オン状態と前記オフ状態との間で繰り返し切り替える制御工程と
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項12】
対象物の移動に応じて可動する可動部と、当該可動部と接触する電極端子とを有し、前記可動部が前記電極端子に接触しているオン状態と前記可動部が前記電極端子に接触していないオフ状態との間で状態が切り替えられるスイッチ手段と、
前記電極端子の接点不良の発生を当該接点不良の発生前に予測することが可能な所定のパラメータが、所定の状態にあるか否かを判定する判定手段と、
前記所定のパラメータが前記所定の状態にあると判定される場合に、前記可動部を可動させることで前記スイッチ手段の状態を前記オン状態と前記オフ状態との間で繰り返し切り替える制御手段と
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項13】
対象物の移動に応じて可動する可動部と、当該可動部と接触する電極端子とを有し、前記可動部が前記電極端子に接触しているオン状態と前記可動部が前記電極端子に接触していないオフ状態との間で状態が切り替えられるスイッチ手段を備える電子機器を制御する制御方法であって、
前記電極端子の接点不良の発生を当該接点不良の発生前に予測することが可能な所定のパラメータが、所定の状態にあるか否かを判定する判定工程と、
前記所定のパラメータが前記所定の状態にあると判定される場合に、前記可動部を可動させることで前記スイッチ手段の状態を前記オン状態と前記オフ状態との間で繰り返し切り替える制御工程と
を備えることを特徴とする電子機器の制御方法。
【請求項14】
対象物の移動に応じて可動する可動部と、当該可動部と接触する電極端子とを有し、前記可動部が前記電極端子に接触しているオン状態と前記可動部が前記電極端子に接触していないオフ状態との間で状態が切り替えられるスイッチ手段を備える電子機器を制御するためのコンピュータプログラムであって、
前記電子機器に、
前記電極端子の接点不良の発生を当該接点不良の発生前に予測することが可能な所定のパラメータが、所定の状態にあるか否かを判定する判定手段と、
前記所定のパラメータが前記所定の状態にあると判定される場合に、前記可動部を可動させることで前記スイッチ手段の状態を前記オン状態と前記オフ状態との間で繰り返し切り替える制御工程と
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−4117(P2013−4117A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131147(P2011−131147)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】