説明

ディスクドライブ装置

【課題】厚さや重量の異なるディスクを最適な排出量にて排出する。
【解決手段】ボトムケース4及びトップカバー5を有し、ディスク挿脱口19が形成された筐体3と、光ディスク2を保持するディスク装着部41と、光ディスク2を回転駆動するディスク回転駆動機構42と、光ディスク2に信号の記録及び/又は再生を行う光ピックアップ43と、ピックアップ移動機構44と、光ディスク2の外周面を支持する支持部が形成され、回動自在に支持された回動アーム61,62と、回動アーム61,62を所定方向に回動付勢する付勢部材70とを有し、光ディスク2がディスク装着部41に保持されるディスク装着位置と光ディスク2の挿脱を行うディスク挿脱位置の間に亘って光ディスク2を搬送するディスク搬送機構60とを備え、トップカバー5には、回動アーム61,62と接触することにより、光ディスク2を排出方向に付勢する回動アーム61,62の回動領域を規制する規制部10が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクに対して情報信号の記録及び/又は再生を行うディスクドライブ装置に関し、特にスロットイン型のディスクドライブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光学ディスクとしては、従来よりCD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)といった光ディスク、MO(Magneto optical)やMD(Mini Disk)等の光磁気ディスクが広く知られており、これらディスクやディスクカートリッジ等に対応した各種のディスクドライブ装置が登場している。
【0003】
ディスクドライブ装置には、筐体に設けられた蓋や扉を開放し、そこから臨むターンテーブルにディスクを直接装着するタイプ、筐体から水平方向に出し入れされるディスクトレイにディスクを載置することで、ディスクトレイが引き込まれた際にディスクが内部のターンテーブルに自動的に装着されるタイプ、或いはこのディスクトレイに設けられたターンテーブルにディスクを直接装着するタイプ等がある。しかしながら、何れのタイプも操作者にとって、蓋や扉を開閉したり、ディスクトレイを出し入れしたり、ターンテーブルにディスクを装着したりといった操作を必要とする。
【0004】
これに対して、筐体の前面に設けられたディスク挿脱口からディスクを挿入するだけでディスクが自動的にターンテーブルに装着される、いわゆるスロットイン型のディスクドライブ装置がある。このディスクドライブ装置では、ディスク挿脱口からディスクが挿入されると、互いに対向する一対のガイドローラの間にディスクを挟み込みながら、これら一対のガイドローラを互いに逆向きに回転させることによって、ディスク挿脱口から挿入されたディスクを筐体の内部へと引き込むローディング動作と、このディスク挿脱口からディスクを筐体の外部へと排出するイジェクト動作とを行う。
【0005】
ところで、ディスクドライブ装置が搭載される、例えばノート型パーソナルコンピュータ等のモバイル機器では、更なる小型軽量薄型化が求められており、それに伴うディスクドライブ装置の小型軽量薄型化の要求も高まっている。また、近年では、パーソナルコンピュータ等で主流であったトレイ型のディスクドライブ装置よりも、操作感のよいスロットイン型のディスクドライブ装置の需要が高まっている。
【0006】
しかしながら、スロットイン型のディスクドライブ装置では、上述した一対のガイドローラの長さがディスクの直径よりも長くなることから、装置全体の幅方向の寸法が長くなる。また、一対のガイドローラの間にディスクを挟み込むことから、厚み方向の寸法も長くなる。このため、従来のスロットイン型のディスクドライブ装置では、小型化や薄型化に非常に不利であった。
【0007】
特に、ノート型パーソナルコンピュータ等に搭載される超薄型のディスクドライブ装置は、厚さ12.7mmが標準サイズとされており、更にハードディスクドライブ(HDD)ユニットと同等の厚みである9.5mmまで薄型化された場合には、このようなガイドローラをそのまま転用することは寸法上非常に困難となる。
【0008】
そこで、スロットイン型のディスクドライブ装置では、小型化や薄型化の要求に応えるため、ディスク挿脱口から挿入されたディスクと、このディスクが装着されるターンテーブルが取り付けられたベースとの間に複数の回動アームを配置し、これら回動アームをコイルバネ等の付勢部材を用いて当該ディスクと平行な面内で回動させながら、ディスクをディスク挿脱口から筐体の内部へと引き込むローディング動作と、ディスクをディスク挿脱口から筐体の外部へと排出するイジェクト動作とを行うディスクドライブ装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0009】
この種のディスクドライブ装置においては、光ディスクを排出する場合に、ディスクの中心孔がディスク挿脱口より外方に排出され、かつディスク自体はディスク挿脱口より脱落しないことが求められる。
【0010】
ここで、ディスクの製造過程で各種レイヤを貼り合わせる際に、レイヤの精度上厚み誤差が生じ、従来の厚さ1.2mmよりも厚さが薄いディスクや厚い貼り合わせディスクが用いられる場合がある。また、記録層の厚さが0.6mmのDVDと記録層の厚さが0.9mmのCDとが貼り合わされることにより厚さ1.5mmの記録ディスクが提供されると、従来の厚さ1.2mmのディスクに加え、かかる厚さ1.5mmの記録ディスクの記録及び/又は再生を行うディスクドライブ装置が望まれる。そして、このようなディスクドライブ装置においても、対応するディスクの厚さや重量の相違に係わらず、各ディスクに最適な排出量でディスク排出を行う必要がある。
【0011】
しかし、このディスクドライブ装置は、ディスクの排出を回動アームを回動付勢するコイルバネ等の付勢部材によるバネ力のみを用いて行うため、ディスクの厚さや重量が相違した場合、付勢部材のバネ力を制御することができず、各ディスクにおいて最適な排出量とすることが困難であった。
【0012】
【特許文献1】特開2002−117604号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、本発明は、厚さや重量の異なるディスクに対応したディスクドライブ装置において、最適な排出量にてディスク排出を行うことができるディスクドライブ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決するために、本発明にかかるディスクドライブ装置は、ボトムケース及びトップカバーを有し、光ディスクの挿入又は排出を行うディスク挿脱口が形成された筐体と、上記筐体内に挿入された上記光ディスクを回転自在に保持するディスク装着部と、該ディスク装着部に保持された光ディスクを回転駆動するディスク回転駆動機構と、該ディスク回転駆動機構に回転駆動される光ディスクに対して情報信号の記録及び/又は再生を行う光ピックアップと、該光ピックアップを上記光ディスクの径方向に移動させるピックアップ移動機構と、上記光ディスクの外周面を支持する支持部が形成され、上記筐体内において回動自在に支持された複数の回動アームと、上記複数の回動アームを所定方向に回動付勢する付勢部材とを有し、筐体内に挿入された光ディスクが上記ディスク装着部に保持されるディスク装着位置と、上記光ディスクの挿脱を行うディスク挿脱位置の間に亘って光ディスクを搬送するディスク搬送機構とを備え、上記トップカバーには、上記光ディスクの外周面を支持した複数の回動アームと接触することにより、上記光ディスクを排出方向に付勢する上記複数の回動アームの回動領域を規制する規制部が設けられているものである。
【発明の効果】
【0015】
このようなディスクドライブ装置によれば、複数の回動アームによって光ディスクをディスク挿脱位置まで押し出す際に、複数の回動アームが、光ディスクを排出させる方向に回動すると、トップカバーに設けられたされた規制部に回動アームが接触する。したがって複数の回動アームを回動させる付勢部材の付勢力が抑えられ、厚さや重量の異なる光ディスクが用いられた場合にも、光ディスクの飛び出しを防止し、最適な排出量とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明が適用されたディスクドライブ装置ついて、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明を適用したディスクドライブ装置は、例えば図1に示すように、ノート型パーソナルコンピュータ1000の装置本体1001に搭載されたスロットイン型のディスクドライブ装置1である。このディスクドライブ装置1は、図2に示すように、例えば12.7mm程度にまで装置全体が薄型化された構造を有しており、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)といった光ディスク2に対して情報信号の記録・再生を行うことが可能となっている。
【0017】
このディスクドライブ装置1は、図2に示すように、装置本体の外筐となる筐体3を備え、この筐体3は、下部筐体である略扁平箱状のボトムケース4と、このボトムケース4の上部開口部を覆う天板であるトップカバー5とから構成されている。
【0018】
トップカバー5は、図2及び図3に示すように、薄い板金からなり、ボトムケース4の上部開口部を閉塞する天板部5aと、この天板部5aの周囲がボトムケース4の両側面に沿って僅かに折り曲げられた一対の側板部5bとを有している。天板部5aの略中央部には、略円形状の開口部6が形成されている。この開口部6は、後述するチャッキング動作時に光ディスク2の中心孔2aに係合されるターンテーブル47の係合突部48aを外部に臨ませるためのものである。また、天板部5aの開口部6の周囲は、ターンテーブル47上に載置された光ディスク2の中心孔2aの周囲と当接することによりチャッキングを行うチャッキングプレート7が、筐体3の内側に向かって僅かに突出形成されている。
【0019】
天板部5aの内側の主面には、後述する第1の回動アーム61の先端部と第2の回動アーム62の先端部とを高さ方向に規制しながら、互いに近接又は離間する方向に案内するガイド部材8が設けられている。このガイド部材8は、天板部5aの両側板部5bの間に亘って略円弧状をなす板金からなり、天板5aの前面側にスポット溶接等により取り付けられている。また、このガイド部材8は、背面側が前面側の取付面よりも一段高くなされた段差部8aを有している。これにより、ガイド部材8の背面側の段差部8aと天板部5aとの間には、第1の回動アーム61の先端部及び第2の回動アーム62の先端部が係合されるガイド溝9が形成されている。なお、天板部5aには、このガイド溝9に第1の回動アーム61の先端部と第2の回動アーム62の先端部とを係合させるための作業用の窓部がそれぞれ設けられている。
【0020】
また、天板部5aには、光ディスク2を排出する第1の回動アーム61及び第2の回動アーム62と当接することにより、これら第1、第2の回動アームの付勢力を規制する一対の規制突部10が突設されている。規制突部10は、第1、第2の回動アーム61,62の回動領域上に設けられ、ディスク挿脱口19近傍まで回動付勢された第1、第2の回動アーム61,62に当接される。これにより規制突部10は、光ディスク2を筐体3外へ押し出す第1、第2の回動アーム61,62の回動を規制し、光ディスク2の排出量を最適化させることができる。
【0021】
この規制突部10は、トップカバー5と一体に形成されるものであるが、トップカバー5と別に形成し、天板部5aの所定箇所に接着するようにしてもよい。
【0022】
なお、規制突部10は、光ディスク2を排出する方向に回動付勢された第1の回動アーム61及び第2の回動アーム62に摺接することにより光ディスク2の排出量を最適化するようにしてもよい。すなわち、規制突部10は、第1及び第2の回動アーム61,62の上面と摺接することにより、これら第1及び第2の回動アーム61,62を光ディスク2の排出方向へ付勢する捻りコイルバネ70の付勢力を抑え、光ディスク2の排出量を最適化させることができる。
【0023】
ボトムケース4は、図4に示すように、略扁平箱状に形成された板金からなり、その底面部は、略矩形状であり、一方の側面部には、この底面部よりも底上げされて外側へと張り出したデッキ部4aが設けられている。また、ボトムケース4の底面部には、図示を省略するが、駆動制御回路を構成するICチップ等の電子部品や、各部の電気的な接続を図るためのコネクタ、各部の動作を検出するための検出スイッチ等が配置された回路基板がネジ止め等により取り付けられている。また、ボトムケース4の底面部には、シャーシ11がネジ止めにより取り付けられている。このシャーシ11は、回路基板の上方において、ボトムケース4の内部を上記デッキ部4aと略同等の高さで上下に仕切るように配置されている。
【0024】
そして、このボトムケース4には、図2に示すように、上記トップカバー5がネジ止めにより取り付けられている。具体的に、天板部5aの外周縁部には、図3に示すように、ネジ12を貫通させる複数の貫通孔13が形成されている。また、両側の側板部5bには、内側に略直角に折り曲げられた複数のガイド片14が設けられている。一方、ボトムケース4の外周縁部には、図4に示すように、内側に略直角に折り曲げられた複数の固定片15が設けられており、これら固定片15には、トップカバー5の貫通孔13に対応したネジ孔16が形成されている。また、ボトムケース4の両側面部には、トップカバー5の複数のガイド片14の抜け止めとなる複数のガイドスリット17が形成されている。
【0025】
そして、ボトムケース4にトップカバー5を取り付ける際は、ボトムケース4の複数のガイドスリット17にトップカバー5の複数のガイド片14を係合させた状態で、トップカバー5を前面側から背面側へとスライドさせる。これにより、トップカバー5の天板部5aがボトムケース4の上部開口部を閉塞した状態となる。そして、この状態でトップカバー5の複数の貫通孔13を通してボトムケース4のネジ孔16にネジ12を螺合する。以上のようにして、図2に示す筐体3が構成されている。
【0026】
なお、トップカバー5の天板部5aには、組付後に、上述した開口部6や作業用の窓部を覆う図示しないラベルシールが貼り付けられる。これにより、筐体3の内部に塵埃等が侵入することを防止する。
【0027】
筐体3の前面には、図2に示すように、略矩形平板状のフロントパネル18が取り付けられている。このフロントパネル18には、光ディスク2が水平方向に出し入れされるディスク挿脱口19が設けられている。すなわち、光ディスク2は、このディスク挿脱口19から筐体3の内部へと挿入したり、或いはこのディスク挿脱口19から筐体3の外部へと排出したりすることが可能となっている。また、フロントパネル18の前面には、光ディスク2に対するアクセス状態を点灯表示する表示部20や、光ディスク2を排出する際に押圧されるイジェクトボタン21が設けられている。なお、フロントパネル18の背面側には、このフロントパネル18を筐体3の前面に取り付けるための複数の係止片が設けられている。またフロントパネル18は、ディスク挿脱口19から筐体3の内部に塵埃等が侵入するのを防止するため、このディスク挿脱口19を覆う人工皮革スエード等からなるパネルカーテン23が設けられている。
【0028】
次いで、光ディスク2をチャッキングし回転駆動するとともに、情報信号の記録及び/又は再生を行うベースユニット40について説明する。
【0029】
ベースユニット40は、図5に示すように、ボトムケース4の底面部に備えられ、ディスク挿脱口19から筐体3の内部に挿入された光ディスク2が装着されるディスク装着部41と、このディスク装着部41に装着された光ディスク2を回転駆動するディスク回転駆動機構42と、このディスク回転駆動機構42により回転駆動される光ディスク2に対して信号の書き込み又は読み出しを行う光ピックアップ43と、この光ピックアップ43を光ディスク2の半径方向に送り動作させるピックアップ送り機構44とを有し、これらがベース45に一体に設けられた超薄型構造を有している。
【0030】
このベースユニット40は、ボトムケース4の底面部においてディスク装着部41が略々中央に位置するように、シャーシ11よりも前面側に配置されている。また、このベースユニット40は、後述するベース昇降機構90によって昇降可能とされており、光ディスク2が挿入される前の初期状態において、ディスク挿脱口19から筐体3の内部に挿入される光ディスク2よりも下方に位置している。そして、ベースユニット40は、光ディスク2が挿入されると、ベース昇降機構90によって上昇され、光ディスク2をディスク装着部41に装着し、回転駆動することによって光ピックアップ43が情報信号の記録及び/又は再生を行う。次いで、光ディスク2を排出する際には、ベースユニット40は、ベース昇降機構90によって下降されることによりディスク装着部41から光ディスク2が外れ、後述するディスク搬送機構60によって搬送可能とする。
【0031】
ベース45は、板金を所定の形状に打ち抜き、その周囲を僅かに下方に折り曲げて形成されている。ベース45の主面には、後述するディスク装着部41のターンテーブル47を上方へと臨ませる略半円状のテーブル用開口部45aと、後述する光ピックアップ43の対物レンズ51を上方へと臨ませる略矩形状のピックアップ用開口部45bとが連続形成されている。なお、ベース45の上面部には、これら開口部45a,45bに対応した開口部が形成された化粧板(図示せず。)が取り付けられる。
【0032】
ディスク装着部41は、ディスク回転駆動機構42により回転駆動されるターンテーブル47を有し、このターンテーブル47の中心部には、光ディスク2を装着するためのチャッキング機構48が設けられている。このチャッキング機構48は、光ディスク2の中心孔2aに係合される係合突部48aと、この係合突部48aに係合された光ディスク2の中心孔2aの周囲を係止する複数の係止爪48bとを有し、光ディスク2をターンテーブル47上に保持する。
【0033】
ディスク回転駆動機構42は、光ディスク2をターンテーブル47と一体に回転駆動する扁平状のスピンドルモータ49を有し、このスピンドルモータ49は、上面部に設けられたターンテーブル47がベース45のテーブル用開口部45aから僅かに突出するように、支持板50を介してベース45の下面にネジ止めにより取り付けられている。
【0034】
光ピックアップ43は、光源となる半導体レーザから出射された光ビームを対物レンズ51により集光させて光ディスク2の信号記録面に照射し、この光ディスク2の信号記録面で反射された戻りの光ビームを受光素子等からなる光検出器により検出する光学ブロックを有し、光ディスク2に対する信号の書き込み又は読み出しを行うものである。
【0035】
この光ピックアップ43は、対物レンズ51を光軸方向(フォーカッシング方向という。)と、光ディスクの記録トラックと直交する方向(トラッキング方向という。)とに変位駆動する2軸アクチュエータ等の対物レンズ駆動機構を有し、上述した光検出器により検出された光ディスク2からの検出信号に基づいて、この2軸アクチュエータにより対物レンズ51をフォーカッシング方向及びトラッキング方向に変位させながら、光ディスク2の信号記録面上に対物レンズ51の焦点を合わせるフォーカスサーボや、対物レンズ51により集光される光ビームのスポットを記録トラックに追従させるトラッキングサーボ等の駆動制御を行うようになされている。なお、対物レンズ駆動機構としては、このようなフォーカシング制御及びトラッキング制御に加えて、対物レンズ51により集光された光ビームを光ディスク2の信号記録面に垂直に照射させるように、光ディスク2の信号記録面に対する対物レンズ51の傾き(スキュー)を調整可能とする3軸アクチュエータを用いてもよい。
【0036】
ピックアップ送り機構44は、光ピックアップ43が搭載されたピックアップベース53と、このピックアップベース53を光ディスク2の半径方向にスライド可能に支持する一対のガイド軸54a,54bと、これら一対のガイド軸54a,54bに支持されたピックアップベース53を光ディスク2の半径方向に変位駆動する変位駆動機構55とを有している。
【0037】
ピックアップベース53には、一対のガイド軸54a,54bのうち、一方のガイド軸54aを挿通するガイド孔が形成された一対のガイド片56a,56bと、他方のガイド軸54bを挟み込むガイド溝が形成されたガイド片57とが互いに対向する側面から突出形成されている。これにより、ピックアップベース53は、一対のガイド軸54a,54bにスライド可能に支持されている。
【0038】
一対のガイド軸54a,54bは、ベース45の下面に光ディスク2の半径方向と互いに平行となるように配置されており、ベース45のピックアップ用開口部45bから光ピックアップ43が臨むピックアップベース53を光ディスク2の内外周に亘って案内する。
【0039】
変位駆動機構55は、ベース45に取り付けられた駆動モータ58の回転駆動をギヤやラック(図示せず。)を介して直線駆動に変換し、ピックアップベース53を一対のガイド軸54a,54bに沿った方向、すなわち光ディスク2の半径方向に変位駆動させる。
【0040】
このディスクドライブ装置1は、図4に示すように、ディスク挿脱口19から光ディスク2が挿脱されるディスク挿脱位置と、ディスク装着部41のターンテーブル47に光ディスク2が装着されるディスク装着位置との間で光ディスク2の搬送を行うディスク搬送機構60を備えている。このディスク搬送機構60は、天板部5aのディスク装着部41と対向する主面と、ディスク挿脱口19から挿入された光ディスク2の主面との間で移動操作されるサポート部材として、当該光ディスク2の主面と平行な面内で揺動可能とされた第1の回動アーム61及び第2の回動アーム62を有している。
【0041】
これら第1の回動アーム61及び第2の回動アーム62は、ディスク装着部41を挟んだ左右の両側に各々配置されており、それぞれディスク装着部41よりも背面側に位置する基端部が回動可能に支持されると共に、ディスク装着部41よりも前面側に位置する先端部がディスク挿脱口19から挿入された光ディスク2の主面と平行な面内で互いに近接又は離間する方向に揺動可能となっている。
【0042】
具体的に、第1の回動アーム61は、長尺状の板金からなり、ディスク装着部41のターンテーブル47を挟んだ左右の一方側(例えば図4中の右側)に位置して、基端部がシャーシ11上に設けられた第1の支軸64を介して、図4中矢印a方向及び矢印a方向に回動可能に支持されている。また、第1の回動アーム61の先端部には、ディスク挿脱口19から挿入された光ディスク2の外周部と当接される第1の前面側当接部材65が下方に向かって突出して設けられている。また、第1の回動アーム61の基端部近傍には、光ディスク2をディスク装着位置に位置決めする際に、第1の前面側当接部材65と共に光ディスク2の外周部に当接される第1の背面側当接部材66が下方に向かって突出して設けられている。
【0043】
第1の前面側当接部材65及び第1の背面側当接部材66は、光ディスク2よりも柔らかい樹脂からなり、ディスク挿脱口19から挿入された光ディスク2の外周部と当接される中央部分が内側に湾曲し、その両端部が拡径されたフランジ部65a,66aとして光ディスク2の高さ方向の移動を規制する略鼓形形状を有している。また、これら第1の前面側当接部材65及び第1の背面側当接部材66は、第1の回動アーム61のディスク装着部41と対向する主面に回転可能に取り付けられた小径の回転ローラであってもよい。
【0044】
一方、第2の回動アーム62は、長尺状の板金からなり、ディスク装着部41のターンテーブル47を挟んだ左右の他方側(例えば図4中の左側)に位置して、基端部がシャーシ11上に設けられた上記第1の支軸64を介して、図4中矢印b方向及び矢印b方向に回動可能に支持されている。また、第2の回動アーム62の先端部には、ディスク挿脱口19から挿入された光ディスク2の外周部に当接される第2の前面側当接部材68が下方に向かって突出して設けられている。
【0045】
第2の前面側当接部材68は、光ディスク2よりも柔らかい樹脂からなり、ディスク挿脱口19から挿入された光ディスク2の外周部と当接される中央部分が内側に湾曲し、その両端部が拡径されたフランジ部68aとして光ディスク2の高さ方向の移動を規制する略鼓形形状を有している。また、この第2の前面側当接部材68は、第2の回動アーム62のディスク装着部41と対向する主面に回転可能に取り付けられた小径の回転ローラであってもよい。
【0046】
また、第1の回動アーム61及び第2の回動アーム62の基端部には、これら回動アーム61,62を互いに近接する方向に付勢する付勢手段である捻りコイルバネ70が設けられている。捻りコイルバネ70は、その巻回部分に第1の支軸64が挿通された状態で、一端部が第1の回動アーム61の基端部に係止され、他端部が第2の回動アーム62の基端部に係止されることによって、第1、第2の回動アーム61,62を互いに近接する方向に付勢している。また捻りコイルバネ70は、第1、第2の回動アーム61,62を回動させて、厚さや重さの異なる複数種類の光ディスク2をいずれも筐体3内に引き込み、また筐体3外へ排出させるに十分な付勢力を備えている。
【0047】
このように、第1の回動アーム61と第2の回動アーム62とは、ディスク装着部41のターンテーブル47を挟んで略対称となる位置に配置されており、互いの回動中心がディスク装着部47よりも背面側の略中央部において一致している。また、第1の回動アーム61の先端部及び第2の回動アーム62の先端部は、上述した天板部5aのガイド溝9に係合された状態で回動方向に沿ってスライド可能に支持されている。
【0048】
これら第1、第2の回動アーム61,62は、光ディスク2を排出させる図4中矢印a方向及び矢印b方向に回動すると、トップカバー5の天板部5aに突設された規制突部10にアーム本体61a,62aの上面が当接する。これにより第1、第2の回動アーム61,62を図4中矢印a方向及びb方向に回動させる捻りコイルバネ70の付勢力が抑えられ、厚さや重さの異なる各種光ディスク2が用いられた場合にも、光ディスク2の飛び出しを防止し、最適な排出量とすることができる。
【0049】
ディスク搬送機構60は、これら第1の回動アーム61と第2の回動アーム62とを連動させるための連動機構71を有しており、この連動機構71を介して第1の回動アーム61と第2の回動アーム62とが互いに逆向きに回動可能となっている。具体的に、この連動機構71は、第1の回動アーム61と第2の回動アーム62とを連結する第1の連結アーム72及び第2の連結アーム73を有している。これら第1の連結アーム72及び第2の連結アーム73は、長尺状の板金からなり、それぞれの長手方向の一端部が第1の回動アーム61の基端部と第2の回動アーム62の基端部とに回動可能に支持され、それぞれの長手方向の他端部が第2の支軸74を介して回動可能に支持された、いわゆるパンタグラフ構造を有している。また、第2の支軸74は、シャーシ11の第1の支軸64よりも前面側に設けられたガイドスリット75に係合されており、このガイドスリット75は、光ディスク2の挿入方向に亘って直線状に形成されている。
【0050】
したがって、第1の回動アーム61と第2の回動アーム62とは、第2の支軸74がガイドスリット75内をスライドすることで、第1の連結アーム72及び第2の連結アーム73を介して互いに逆向きに回動可能となっている。すなわち、第1の回動アーム61の先端部と第2の回動アーム62の先端部とは、このような連動機構71によって、互いに近接又は離間する方向に揺動可能となっている。
【0051】
また、ディスク搬送機構60は、光ディスク2をディスク挿脱口19から筐体3の内部へと引き込むローディング動作を補助するためのローディング補助手段として、ディスク挿脱口19から挿入される光ディスク2の主面と平行な面内で揺動可能とされた第3の回動アーム76を有している。第3の回動アーム76は、長尺状の板金からなり、ディスク装着部41のターンテーブル47を挟んだ左右の一方側(例えば図4中左側)の第2の回動アーム62よりも前面側に位置して、基端部がデッキ部4a上に設けられた支軸77を介して、矢印c方向及び矢印c方向に回動可能に支持されている。また、第3の回動アーム76の先端部には、ディスク挿脱口19から挿入された光ディスク2の外周部に当接される第3の当接部材78が上方に向かって突出して設けられている。
【0052】
第3の当接部材78は、第3の回動アーム76の天板部5aと対向する主面に回転可能に取り付けられた小径の回転ローラであり、光ディスク2よりも柔らかい樹脂からなる。また、この第3の当接部材78は、ディスク挿脱口19から挿入された光ディスク2の外周部と当接される中央部分が内側に湾曲し、その両端部が拡径されたフランジ部78aとして光ディスク2の高さ方向の移動を規制する略鼓形形状を有している。
【0053】
かかる第3の回動アーム76は、図示しない捩りコイルバネが係止されることにより、第3の当接部材78が光ディスク2の外周部に当接される方向と、光ディスク2の外周部から離間する方向とに切り換え可能に付勢される。
【0054】
また、ディスク搬送機構60は、光ディスク2をディスク挿脱口19から筐体3の外部へと排出するイジェクト動作を補助するためのイジェクト補助手段として、ディスク挿脱口19から挿入される光ディスク2の主面と平行な面内で揺動可能とされた第4の回動アーム79を有している。第4の回動アーム79は、長尺状の板金からなり、ディスク装着部41のターンテーブル47を挟んだ左右の一方側(例えば図4中左側)の第2の回動アーム62の中間部において、矢印d方向及び矢印d方向に回動可能に支持されている。また、第4の回動アーム79の先端部には、ディスク挿脱口19から挿入された光ディスク2の外周部の背面側に当接される第4の当接部材80が上方に向かって突出して設けられている。
【0055】
この第4の当接部材80は、光ディスク2よりも柔らかい樹脂からなり、ディスク挿脱口19から挿入された光ディスク2の外周部と当接される中央部分が内側に湾曲し、その両端部が拡径されたフランジ部80aとして光ディスク2の高さ方向の移動を規制する略鼓形形状を有している。また、この第4の当接部材80は、第4の回動アーム79の天板部5aと対向する主面に回転可能に取り付けられた小径の回転ローラであってもよい。
【0056】
また、第2の回動アーム62には、この第4の回動アーム79が背面側、すなわち矢印d方向に回動された際に、当該第4の回動アーム79の背面側への回動を規制する規制片81が設けられている。
【0057】
このディスク搬送機構60は、上述した各回動アーム61,62,76,79を協働させるための駆動レバー82を有している。この駆動レバー82は、全体が略直方体状に形成された樹脂部材からなり、ボトムケース4の底面部において、このボトムケース4の一方の側面部とベースユニット40との間に配置されている。また、この駆動レバー82は、ディスク挿脱口19から筐体3の内部に挿入される光ディスク2よりも下方に位置しており、その上面部がデッキ部4aの底面部と略一致した高さを有している。そして、この駆動レバー82は、ボトムケース4の底面部に設けられた駆動モータやギヤ群等からなる図示を省略する変位駆動機構を介して前後方向にスライド駆動される。
【0058】
そして、ディスク搬送機構60では、この駆動レバー82のスライド動作に連動して、上述した第2の支軸74がガイドスリット75内をスライドすることになる。これにより、第1の回動アーム61及び第2の回動アーム62は、連動機構71を介して互いに逆向きに回動操作される。また、第3の回動アーム76の基端側には、駆動レバー82の上面に設けられたガイドスリット83に係合されるガイドピン84が設けられている。これにより、第3の回動アーム76は、駆動レバー82のスライド動作に連動して、ガイドピン84がガイドスリット83内をスライドすることで回動操作される。また、第4の回動アーム79も、図示を省略する連結機構を介して駆動レバー82のスライド動作に連動して回動操作される。
【0059】
そして、このディスク搬送機構60では、これら第1の回動アーム61、第2の回動アーム62、第3の回動アーム76及び第4の回動アーム79が互いに協働しながら、光ディスク2をディスク挿脱口から筐体3の内部へと引き込むローディング動作と、光ディスク2をディスク装着位置に位置決めするセンタリング動作と、光ディスク2をディスク挿脱口19から筐体3の外部へと排出するイジェクト動作とを行う。
【0060】
このディスクドライブ装置1は、図4に示すように、上述した駆動レバー82のスライドに連動して、光ピックアップ43を支持するベース45を昇降操作するベース昇降機構90を備えている。
【0061】
このベース昇降機構90は、ベース45を上昇させて、ディスク装着位置に位置決めされた光ディスク2をディスク装着部41のターンテーブル47に装着するチャッキング位置と、ベース45を下降させて、ディスク装着部41のターンテーブル47から光ディスク2を離脱するチャッキング解除位置と、ベース45をチャッキング位置とチャッキング解除位置との間に位置させて、光ディスク2に対する信号の記録又は再生を行う中間位置との間でベース45を昇降操作する。
【0062】
具体的に、上述した駆動レバー82のベース45と対向する側面には、上記チャッキング位置、上記チャッキング解除位置及び上記中間位置に対応したカムスリット(図示せず。)が長手方向に亘って形成されている。
【0063】
また、ボトムケース4の底面部には、ベース45の背面側の側面に沿ってカムレバー91が配置されている。このカムレバー91は、長尺状の平板部材からなり、駆動レバー82の前後方向のスライドに連動して、当該駆動レバー82のスライド方向と略直交する方向にスライド操作される。また、このカムレバー91の中間部には、ベース45と対向する端縁部から上方に向かって折り曲げられたカム片92が設けられている。このカム片92には、上記チャッキング位置、上記チャッキング解除位置及び上記中間位置に対応したカムスリット(図示せず。)が長手方向に亘って形成されている。
【0064】
また、ボトムケース4の底面部には、折曲げ片93がベース45の背面側の側面に沿って折り曲げ形成されている。この折曲げ片93には、ベース45を昇降させるための鉛直スリット(図示せず。)が上下方向に亘って形成されている。
【0065】
これに対して、ベース45は、図5に示すように、駆動レバー82と対向する側面のディスク装着部41側に位置して、駆動レバー82のカムスリットに係合されて支持される第1の支軸95と、カムレバー91と対向する側面のディスク装着部41側に位置して、カム片92のカムスリット及び折曲げ片93の鉛直スリットに係合されて支持される第2の支軸96と、駆動レバー82と対向する側面とは反対側の側面の前面側に位置して、ボトムケース4の他方側の側面に設けられた軸孔97に回動可能に支持された第3の支軸98と、カムレバー91と対向する側面とは反対側の側面の前面側に位置して、ゴム等の粘弾性部材からなるインシュレータ99を介してボトムケース4の底面部にネジ100により固定支持された固定支持部101とを有している。
【0066】
したがって、このベース昇降機構90では、駆動レバー82及びカムレバー91のスライドに連動して、第1の支軸95が駆動レバー82のカムスリット内をスライドすると共に、第2の支軸96がカムレバー91のカムスリット及び折曲げ片93の鉛直スリット内をスライドすることによって、ベース45のディスク装着部41側が前面側に対して、上記チャッキング位置と上記チャッキング解除位置と上記中間位置との間で昇降操作される。
【0067】
また、ボトムケース4の底面部には、図4に示すように、このベース昇降機構90がベース45を下降させたとき、ディスク装着部41のターンテーブル47上に装着された光ディスク2をターンテーブル47から離脱させるためのチャッキング解除手段である押上ピン102が設けられている。この押上ピン102は、ベースユニット40のディスク装着部41近傍、具体的にはディスク装着部41に最も近接したベース45の背面側に位置して、ボトムケース4の底面部から上方に向かって突出して設けられている。
【0068】
次に、以上のように構成されるディスクドライブ装置1の具体的な動作について説明する。このディスクドライブ装置1では、図6に示すように、光ディスク2が挿入される前の初期状態において、第1の回動アーム61及び第2の回動アーム62は、それぞれの先端部が所定の広がり角で開いた状態で保持されている。また、第3の回動アーム76は、先端部が基端部よりも外側に位置し且つ先端部が基端部よりも前面側に位置した状態で保持されている。また、第4の回動アーム79は、先端部が基端部よりも内側に位置し且つ先端部が基端部よりも前面側に位置した状態で保持されている。また、駆動レバー82はボトムケース4の前面側に位置している。
【0069】
このとき、第1の回動アーム61及び第2の回動アーム62は、トップカバー5に設けられた規制突部10に当接されることにより、先端部が互いに近接する方向への回動が規制されている。
【0070】
このディスクドライブ装置1は、筐体3のディスク挿脱口19から光ディスク2が挿入るとこの光ディスク2をディスク装着位置まで引き込むローディング動作を行う。具体的に、筐体3のディスク挿脱口19から光ディスク2が挿入された場合には、先ず、図7に示すように、ディスク挿脱口19から筐体3の内部に挿入された光ディスク2の外周部の背面側が第1の回動アーム61の第1の前面側当接部材65及び第2の回動アーム62の第2の前面側当接部材68に当接された状態となる。
【0071】
次に、図8に示すように、この状態から更に光ディスク2がディスク挿脱口19から筐体3の内部に押し込まれると、第1の回動アーム61と第2の回動アーム62とが第1の前面側当接部材65と第2の前面側当接部材68との間で光ディスク2の外周部を挟み込む。このとき、第1の前面側当接部材65と第2の前面側当接部材68とが光ディスク2の外周部の背面側に当接された状態で、第1の回動アーム61と第2の回動アーム62とが捻りコイルバネ70の付勢に抗して互いに離間する方向、すなわち図8中に示す矢印a,bの方向に回動される。
【0072】
そして、第1の回動アーム61及び第2の回動アーム62が互いに離間する方向に所定量だけ回動されたとき、回路基板に設けられた検出スイッチが押圧されることによって、変位駆動機構による駆動レバー82の背面側へのスライドが開始される。これにより、第3の回動アーム76は、図8中に示す矢印cの方向に回動される。また、第3の回動アーム76は、第3の当接部材78が光ディスク2の外周部の前面側に当接された状態となることで、この光ディスク2の外周部の前面側を押圧しながら、光ディスク2を筐体3の内部へと引き込むことになる。
【0073】
そして、図9に示すように、光ディスク2の中心孔2aが第1の前面側当接部材65と第2の前面側当接部材68とを結ぶ直線よりも背面側に位置するまで、光ディスク2が筐体3の内部に引き込まれると、第1の前面側当接部材65と第2の前面側当接部材68とが光ディスク2の外周部に沿って背面側から前面側へと回り込む。すると、今度は第1の前面側当接部材65と第2の前面側当接部材68とが光ディスク2の外周部の前面側に当接された状態で、第1の回動アーム61と第2の回動アーム62とが捻りコイルバネ70に付勢されて互いに近接する方向、すなわち図9中に示す矢印a,bの方向に回動される。これにより、第1の回動アーム61及び第2の回動アーム62は、光ディスク2の外周部の前面側を押圧しながら、光ディスク2を図10に示すディスク装着位置まで引き込むことになる。
【0074】
また、第4の回動アーム79は、第4の当接部材80が光ディスク2の外周部の背面側に当接された状態で押圧されることによって、図9中に示す矢印dの方向に回動される。そして、第4の回動アーム79は、光ディスク2が図10に示すディスク装着位置で引き込まれた際に、第2の回動アーム62の規制片81に当接され、その回動が規制された状態となる。
【0075】
このディスクドライブ装置1では、図10に示すように、第1の回動アーム61及び第2の回動アーム62が、光ディスク2をディスク装着位置まで引き込んだ際に、第1の前面側当接部材65、第1の背面側当接部材66、第2の前面側当接部材68、第4の当接部材80の内側に光ディスク2を挟み込むことによって、光ディスク2をディスク装着位置に位置決めするセンタリング動作を行う。すなわち光ディスク2の中心孔2aと、ターンテーブル47の係合突部48aとを当該光ディスク2の主面と直交する方向において一致させる。
【0076】
次に、このディスクドライブ装置1では、上述した光ディスク2のセンタリング動作の後に、ベース昇降機構90がベース45を上昇させることによって、ディスク装着位置に位置決めされた光ディスク2をディスク装着部41のターンテーブル47に装着するチャッキング動作を行う。
【0077】
具体的には、図11に示すチャッキング解除位置からベース昇降機構90によりベース45が図12に示すチャッキング位置まで上昇すると、ディスク装着位置に位置決めされた光ディスク2の中心孔2aに係合突部48aが入り込みながら、天板部5aの当接突部7に光ディスク2の中心孔2aの周囲が押し付けられることによって、係合突部48aが光ディスク2の中心孔2aに係合されると共に、複数の係止爪48bが光ディスク2の中心孔2aの周囲を係止した状態で、光ディスク2がターンテーブル47上に保持される。そして、光ディスク2がターンテーブル47上に保持された状態で、ベース昇降機構90によりベース45が図13に示す中間位置まで下降する。
【0078】
また、このディスクドライブ装置1では、上述したチャッキング動作の後に、図14に示すように、駆動レバー82の背面側へのスライドに連動して、第1の回動アーム61及び第2の回動アーム62が互いに離間する方向、すなわち図14中に示す矢印a,bの方向に僅かに回動される。このとき、第4の回動アーム79は、規制片81に当接されたまま、第2の回動アーム62と一体に回動されることになる。また、第3の回動アーム76は、駆動レバー82の背面側へのスライドに連動して、図14中に示す矢印cの方向に僅かに回動される。これにより、ターンテーブル47に保持された光ディスク2の外周部からは、第1の前面側当接部材65、第1の背面側当接部材66、第2の前面側当接部材68、第3の当接部材78、第4の当接部材80が離間した状態となる。
【0079】
このディスクドライブ装置1では、図13、図14に示す状態から、上記パーソナルコンピュータ1000から記録又は再生の指令が送られると、この指令に基づいて、光ディスク2に対して情報信号の記録又は再生が行われる。具体的には、スピンドルモータ49が光ディスク2をターンテーブル47と一体に回転駆動すると共に、ピックアップ送り機構44によって光ピックアップ43が外周側から内周側へ移動し、フォーカスサーボ制御とトラッキングサーボ制御がかかると、この光ディスク2のリードイン領域に記録されているTOCデータの読み出しを行う。この後、情報信号を記録する場合にあっては、読み出したTOCデータに基づいて、光ディスク2のプログラム領域内の所定のアドレスに、光ピックアップ43が移動する。また、情報信号の再生時にあっては、指定されたデータが記録されたプログラム領域内のアドレスに、光ピックアップ43が移動する。そして、この光ピックアップ43が光ディスク2の所望の記録トラックに対して情報信号の書き込み又は読み出し動作を行う。
【0080】
このディスクドライブ装置1では、フロントパネル18に設けられたイジェクトボタン21が押圧される、或いは上記パーソナルコンピュータ1000からディスクドライブ装置1に対してイジェクトの指令が送られると、この指令に基づいて、先ず、変位駆動機構による駆動レバー82の前面側へのスライドが開始される。
【0081】
そして、図15に示すように、この駆動レバー82の前面側へのスライドに連動して、第1の回動アーム61及び第2の回動アーム62が互いに近接する方向、すなわち図15中に示す矢印a,bの方向に僅かに回動される。このとき、第4の回動アーム79は、規制片81に当接されたまま、第2の回動アーム62と一体に回動されることになる。また、第3の回動アーム76は、駆動レバー82の前面側へのスライドに連動して、図15中に示す矢印cの方向に僅かに回動される。
【0082】
これにより、ターンテーブル47に保持された光ディスク2の外周部に、第1の前面側当接部材65、第1の背面側当接部材66、第2の前面側当接部材68、第3の当接部材78、第4の当接部材80が当接された状態となる。
【0083】
次に、このディスクドライブ装置1では、ベース昇降機構90がベース45を上記チャッキング解除位置まで下降させることによって、ディスク装着部41のターンテーブル2aと係合突部48aの係止爪48bとの係合を解除し、ターンテーブル47上から離脱させる。
【0084】
次に、このディスクドライブ装置1では、ディスク装着部41にある光ディスク2をディスク挿脱口19から筐体3の外部へと排出するイジェクト動作を行う。具体的に、筐体3のディスク挿脱口19から光ディスク2を排出する場合には、先ず、図16に示すように、駆動レバー82の前面側へのスライドに連動して、第4の回動アーム79が図16中に示す矢印dの方向に回動される。また、第4の回動アーム79は、第4の当接部材80が光ディスク2の外周部の背面側に当接された状態となることで、この光ディスク2の外周部の背面側を押圧しながら、光ディスク2を筐体3の外部へと押し出すことになる。
【0085】
そして、図17に示すように、光ディスク2の中心孔2aが第1の前面側当接部材65と第2の前面側当接部材68とを結ぶ直線よりも前面側に位置するまで、光ディスク2が筐体3の外部へと排出されると、第1の前面側当接部材65と第2の前面側当接部材68とが光ディスク2の外周部に沿って前面側から背面側へと回り込む。すると、今度は第1の前面側当接部材65と第2の前面側当接部材68とが光ディスク2の外周部の背面側に当接された状態で、第1の回動アーム61と第2の回動アーム62とが捻りコイルバネ70に付勢されて互いに近接する方向、すなわち図17中に示す矢印a、bの方向に回動される。これにより、第1の回動アーム61及び第2の回動アーム62は、光ディスク2の外周部の背面側を押圧しながら、光ディスク2を図18に示すディスク挿脱位置、すなわち光ディスク2の中心孔2aがディスク挿脱口19から筐体3の外部に露出する位置まで押し出すことになる。
【0086】
なお、第3の回動アーム76は、第3の当接部材78が光ディスク2の外周部に当接された状態で押圧されることによって、図17中に示す矢印cの方向に回動される。
【0087】
以上のようにして、第1の回動アーム61及び第2の回動アーム62によってディスク挿脱位置まで押し出された各光ディスク2は、フロントパネル18のディスク挿脱口19より筐体3外へ排出される。このとき、第1、第2の回動アーム61,62は、光ディスク2を排出させる図4中矢印a方向及び矢印b方向に回動すると、図18及び図19に示すように、トップカバー5の天板部5aに突設された規制突部10にアーム本体61a,62aの上面が当接する。したがって第1、第2の回動アーム61,62を図4中矢印a方向及びb方向に回動させる捻りコイルバネ70の付勢力が抑えられ、厚さや重量の異なる各種光ディスク2が用いられた場合にも、光ディスク2の飛び出しを防止し、最適な排出量とすることができる。
【0088】
これにより光ディスク2は、図2に示すように、ディスク挿脱口19より中心孔2aが外部に臨まされた位置まで排出される。ユーザはディスク挿脱口19より臨まされた光ディスク2の中心孔2a及びディスク外周部を把持することができ、記録領域を触れることなくディスクドライブ装置1より容易に光ディスク2を取り出すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
なお、本発明は、上述したノート型パーソナルコンピュータ1000に搭載されるスロットイン型のディスクドライブ装置1に適用したものに限定されるものではなく、光ディスクに対して情報信号の記録及び/又は再生を行う、家庭用、車載用のディスクドライブ装置やゲーム機等に対して広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】ディスクドライブ装置が搭載されたノート型パーソナルコンピュータの外観を示す斜視図である。
【図2】最適な排出位置に光ディスクを排出したディスクドライブ装置を示す外観斜視図である。
【図3】トップカバーを内面側から見た斜視図である。
【図4】ディスクドライブ装置の構成を示す平面図である。
【図5】ベースユニットの構成を示す斜視図である。
【図6】ディスクドライブ装置の動作を説明するための図であり、初期状態を示す平面図である。
【図7】ディスクドライブ装置の動作を説明するための図であり、光ディスクの挿入開始状態を示す平面図である。
【図8】ディスクドライブ装置の動作を説明するための図であり、光ディスクの引き込み開始状態を示す平面図である。
【図9】ディスクドライブ装置の動作を説明するための図であり、光ディスクの引き込み時の引き込み状態を示す平面図である。
【図10】ディスクドライブ装置の動作を説明するための図であり、光ディスクのセンタリング状態を示す平面図である。
【図11】ディスクドライブ装置の動作を説明するための図であり、ベースユニットがチャッキング解除位置にある状態を示す側面図である。
【図12】ディスクドライブ装置の動作を説明するための図であり、ベースユニットがチャッキング位置にある状態を示す側面図である。
【図13】ディスクドライブ装置の動作を説明するための図であり、ベースユニットが中間位置にある状態を示す側面図である。
【図14】ディスクドライブ装置の動作を説明するための図であり、光ディスクのチャッキング状態を示す平面図である。
【図15】ディスクドライブ装置の動作を説明するための図であり、光ディスクのチャッキング解除状態を示す平面図である。
【図16】ディスクドライブ装置の動作を説明するための図であり、光ディスクのイジェクト開始状態を示す平面図である。
【図17】ディスクドライブ装置の動作を説明するための図であり、光ディスクの排出時の押し出し状態を示す平面図である。
【図18】ディスクドライブ装置の動作を説明するための図であり、光ディスクのイジェクト状態を示す平面図である。
【図19】ディスクドライブ装置の動作を説明するための図であり、光ディスクのイジェクト状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0091】
1 ディスクドライブ装置、2 光ディスク、3 筐体、10 規制突部、18 フロントパネル、19 ディスク挿脱口、23 パネルカーテン、25 摺接片、31 非記録領域、32 クランプ領域、33 段差部、34 記録領域、40 ベースユニット、41 ディスク装着部、42 ディスク回転駆動機構、43 光ピックアップ、44 ピックアップ送り機構、45 ベース、47 ターンテーブル、61,62 第1,第2の回動アーム、64 第1の支軸、70 捻りコイルバネ、71 連結機構、90 ベース昇降機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトムケース及びトップカバーを有し、光ディスクの挿入又は排出を行うディスク挿脱口が形成された筐体と、
上記筐体内に挿入された上記光ディスクを回転自在に保持するディスク装着部と、
該ディスク装着部に保持された光ディスクを回転駆動するディスク回転駆動機構と、
該ディスク回転駆動機構に回転駆動される光ディスクに対して情報信号の記録及び/又は再生を行う光ピックアップと、
該光ピックアップを上記光ディスクの径方向に移動させるピックアップ移動機構と、
上記光ディスクの外周面を支持する支持部が形成され、上記筐体内において回動自在に支持された複数の回動アームと、上記複数の回動アームを所定方向に回動付勢する付勢部材とを有し、筐体内に挿入された光ディスクが上記ディスク装着部に保持されるディスク装着位置と、上記光ディスクの挿脱を行うディスク挿脱位置の間に亘って光ディスクを搬送するディスク搬送機構とを備え、
上記トップカバーには、上記光ディスクの外周面を支持した複数の回動アームと接触することにより、上記光ディスクを排出方向に付勢する上記複数の回動アームの回動領域を規制する規制部が設けられているディスクドライブ装置。
【請求項2】
上記規制部は、上記トップカバーと一体成形され、又は上記トップカバーに取り付けられていることを特徴とする請求項1記載のディスクドライブ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−127719(P2006−127719A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−318590(P2004−318590)
【出願日】平成16年11月1日(2004.11.1)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】