説明

ディスクブレーキ

【課題】ピストンの摺動性に影響を与えてしまうことのないキャリパボディを得ることができるディスクブレーキの提供。
【解決手段】シリンダ部25は、筒状に形成されるとともに、底部側に設けられた開口周縁部98とこの開口周縁部98に嵌合される底蓋部材92とを摩擦攪拌接合により一体に接合することでボア30の底部34が形成され、底蓋部材92は円板状に形成されて外周に沿って摩擦攪拌接合され、摩擦攪拌接合の終了位置を底蓋部材92の範囲内とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクブレーキに関する。
【背景技術】
【0002】
キャリパボディの底部を、当該キャリパボディと別体の底蓋部材とを摩擦攪拌接合により接合して形成する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−225057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献のもののようにキャリパボディの底部を摩擦攪拌接合により形成して、摩擦攪拌接合の終了位置を底蓋部材の範囲外とするものであると、摩擦攪拌接合で溶融した素材が、キャリパボディのボアの内部にバリとして残存してしまう可能性がある。このようなバリが形成されてしまうと、ピストンの摺動性に影響を与えてしまう可能性がある。
【0005】
したがって、本発明は、ピストンの摺動性に影響を与えてしまうことのないキャリパボディを得ることができるディスクブレーキの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のディスクブレーキは、摩擦攪拌接合の終了位置を底蓋部材の範囲内とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、良好な形状のキャリパボディ得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態のディスクブレーキを示す背面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】第1実施形態のディスクブレーキのキャリパボディを示す背面図である。
【図4】図3のB−B断面図である。
【図5】図3のC−C断面図である。
【図6】第2実施形態のディスクブレーキのキャリパボディを示す背面図である。
【図7】第2実施形態のディスクブレーキのキャリパボディを示す図6のD−D断面図である。
【図8】第3実施形態のディスクブレーキのキャリパボディを示す断面図である。
【図9】第4実施形態のディスクブレーキのキャリパボディを示す断面図である。
【図10】第5実施形態のディスクブレーキのキャリパボディを底蓋部材を主体として示す正面図である。
【図11】第5実施形態のディスクブレーキのキャリパボディを示す図10のE−E断面図である。
【図12】第6実施形態のディスクブレーキのキャリパボディを底蓋部材を主体として示す正面図である。
【図13】第6実施形態のディスクブレーキのキャリパボディを示す図12のF−F断面図である。
【図14】第7実施形態のディスクブレーキのキャリパボディを底蓋部材を主体として示す正面図である。
【図15】第7実施形態のディスクブレーキのキャリパボディを示す図14のG−G断面図である。
【図16】第8実施形態のディスクブレーキのキャリパボディを底蓋部材を主体として示す正面図である。
【図17】第8実施形態のディスクブレーキのキャリパボディを示す図16のH−H断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る各実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
「第1実施形態」
本発明に係る第1実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。
【0011】
第1実施形態のディスクブレーキは、四輪自動車の制動用のディスクブレーキである。
【0012】
図1に示すように、このディスクブレーキ11は、制動対象となる図示略の車輪とともに回転するディスク12の回転を制動するもので、キャリア13と、一対のブレーキパッド14(図1にて一方のみ図示)と、キャリパ15とを備えている。なお、以下においては、ディスク12の半径方向をディスク半径方向と称し、ディスク12の軸線方向をディスク軸線方向と称し、ディスク12の回転方向をディスク回転方向と称す。
【0013】
キャリア13には、そのディスク半径方向内側のディスク回転方向の両端側に取付穴17がディスク軸線方向に沿って形成されている。キャリア13は、これらの取付穴17に挿通される締結具で車両の非回転部に固定される。キャリア13は、車両の非回転部に固定された状態で、ディスク12の回転中心Oに対して鉛直方向上方にずれ、水平方向一側にずれた状態で、ディスク12の外径側を跨ぐように配置される。
【0014】
一対のブレーキパッド14は、ディスク12の両面に対向配置された状態でディスク12の軸線方向に摺動可能となるようにキャリア13に支持される。
【0015】
キャリパ15には、ディスク回転方向の両端部にディスク軸線方向に沿って摺動ピン18が取り付けられている。キャリパ15は、ディスク12の外径側を跨いだ状態で、これら摺動ピン18においてディスク軸線方向に摺動可能となるようにキャリア13に支持される。キャリパ15は、キャリア13に支持されたブレーキパッド14をディスク12に押圧することによりディスク12に摩擦抵抗を付与する。
【0016】
キャリパ15は、ディスク12を跨いだ状態でキャリア13に摺動可能に支持されるキャリパボディ21と、キャリパボディ21に保持されてディスク12の一面側に対向するように配置される図2に示すピストン22とを有している。
【0017】
キャリパボディ21は、図1に示すように、シリンダ部25と、ブリッジ部26と、爪部27とを有して一体的に構成されている。シリンダ部25は、ディスク12の一方の面側であるインナ側に対向配置される。ブリッジ部26は、ディスク12を跨ぐためにシリンダ部25の径方向外方でディスク軸線方向へ延びて形成されている。爪部27は、ブリッジ部26のシリンダ部25とは反対側からディスク半径方向内方に延出してディスク12の他方の面側であるアウタ側に対向するようになっている。つまり、キャリパ15は、そのキャリパボディ21が、ディスク12の一方の面側にシリンダ部25が設けられ、ディスク12の他方の面側に爪部27が設けられ、爪部27とシリンダ部25とを接続するブリッジ部26がディスク12を跨いで設けられるフィスト型となっている。
【0018】
シリンダ部25は、爪部27側つまりディスク12側に開口するようにディスク軸線方向に沿う図2に示すボア30が内部に形成された有底筒状をなしており、このボア30内にピストン22が挿入されている。キャリパ15は、ボア30内に導入される液圧によりピストン22をディスク12側(図2の左側)に前進させ、ピストン22でインナ側のブレーキパッド14を押圧してディスク12に接触させる。そして、ピストン22の押圧反力でキャリア13に対して摺動ピン18を摺動させてシリンダ部25をディスク12から離す方向に移動して、爪部27でアウタ側のブレーキパッド14を押圧してディスク12に接触させる。このようにして、ピストン22と爪部27とで両側のブレーキパッド14を挟持してディスク12に押圧して摩擦抵抗を発生させ、制動力を発生させる。
【0019】
図1に示すように、シリンダ部25のディスク半径方向外側にはブリーダボス31が形成されており、このブリーダボス31にシリンダ部25内のエア抜き用のブリーダプラグ32が取り付けられている。キャリパボディ21は、車両への左右の取付勝手の違いに対しても、共通の鋳物素材が用いられるものであり、ブリーダボス31がディスク回転方向に離間して一対形成されていて、そのディスク回転方向の中央を基準として対称の形状をなしている。ここで、従来のディスクブレーキの爪部には、シリンダ部25のボア30を切削加工する工具を通過させるための、ディスク半径方向の内端縁部からディスク半径方向外方に向けて凹んでディスク軸線方向に貫通するリセスが設けられているが、本実施形態の爪部27には、図1、3に点線で示すように、上記リセスは設けられていない。
【0020】
図2に示すように、シリンダ部25のボア30は、全体的にディスク軸線方向に沿う内壁部33と、全体的にディスク軸線方向に直交する底部34とを有している。
【0021】
内壁部33は、ピストン22を摺動可能に嵌合させる一定径の小径内周面35と、小径内周面35の底部34側の端部から底部34側ほど小径となるように傾斜するテーパ内周面36と、テーパ内周面36の底部34側の端部から底部34側に延出する、小径内周面35よりも大径の大径内周面37と、大径内周面37の底部34側の端部から奥側ほど小径となるように傾斜する円弧状内周面38とを有している。小径内周面35におけるボア30の開口部30A側には、小径内周面35よりも大径の円環状のシール周溝39が形成されており、小径内周面35の軸線方向における該シール周溝39とボア30の開口部30Aとの間には、円環状のブーツ周溝40が形成されている。シール周溝39は、ピストン22との隙間をシールするピストンシール41を保持するものであり、ブーツ周溝40は、ピストン22との間に介装されるブーツ42の一端側を保持するものである。
【0022】
ボア30の底部34には、ボア30内に突出する凸部45が形成されている。この凸部45の周囲は、ボア30の中で最も深さが深くディスク軸線方向に対して直交する平面からなる円環状の底面46となっている。底面46の外周縁部は、上記した円弧状内周面38の大径内周面37とは反対側に繋がっている。凸部45は、この底面46の内端縁部から先細形状をなして突出するテーパ外周面47と、テーパ外周面47の底面46とは反対側にあって底面46と平行をなす円形状の平坦面からなる頂面48とを有する切頭円錐状をなしている。
【0023】
上記した、小径内周面35、テーパ内周面36、大径内周面37、円弧状内周面38、シール周溝39、ブーツ周溝40、底面46、テーパ外周面47および頂面48は、それぞれの中心線が共通でディスク軸線方向に沿っており、この中心線がボア30の中心線となっている。上記したようにキャリパボディ21の鋳物素材がディスク回転方向の中央を基準として対称の形状をなしていることから、ボア30の中心線はキャリパボディ21のディスク回転方向の中央の仮想平面内に配置されている。
【0024】
シリンダ部25のボア30の底部34には、ボア30の内部に形成される液室50に液圧を供給するための流入孔51が形成されている。流入孔51は、図3に示すようにボア30の径方向内側であってボア30の中心からずれた位置、言い換えれば、キャリパボディ21のディスク回転方向における中央位置に、ボア30の中心よりもディスク回転方向の一側にずれて配置される。また、流入孔51は、図2に示すようにディスク軸線方向つまりボア30の軸線方向に沿って貫通形成されている。底部34の外面52側には、流入孔51と同軸で深さの浅い座ぐり53が同軸状に形成されている。
【0025】
流入孔51は、ボア30の中心とディスク12の中心とを結ぶ線に対し直交する線上に形成されている。この流入孔51は、図2に示すLの範囲がメネジとされたネジ孔となっており、ブレーキ液用の配管55をそのプラグ(配管プラグ)56において底部34に固定しつつボア30に連通させるユニオンボルト57が螺合されるようになっている。流入孔51は、より具体的には、ボア30の軸線方向に沿って底部34の外面52から凸部45の頂面48に連通している。つまり、流入孔51は、ディスク軸線方向に沿って見た場合に、図3に示すように、凸部45の範囲内、より具体的には図1に示すように凸部45の頂面48の範囲内に全体が配置されている。座ぐり53も凸部45の範囲内に全体が配置されている。
【0026】
また、シリンダ部25のボア30の底部34には、ボア30の径方向内側であってボア30の中心からずれた位置に、回止穴65がディスク軸線方向つまりボア30の軸線方向に沿って外面52から図2に示すように途中位置まで形成されている。この回止穴65は、流入孔51よりも小径であり、図3に示すように、キャリパボディ21のディスク回転方向における中央位置つまりボア30の中心よりも流入孔51とは反対側にずれて形成されている。また、回止穴65は、ボア30の中心よりもディスク半径方向内側(ブリッジ部26とは反対側)にずれて形成されている。この回止穴65には、図2に示すように、配管55のプラグ56の先端に固定された屈曲形状の回止部66が嵌合されることになる。これにより、ユニオンボルト57の流入孔51への螺合時にプラグ56の連れ回りが規制される。回止穴65も、ディスク軸線方向に沿って見た場合に、図3に示すように、凸部45の範囲内、より具体的には凸部45の頂面48の範囲内に全体が配置されている。
【0027】
ここで、図1に示すように、キャリパ15は、回止穴65と流入孔51とを結んだ線がほぼ鉛直方向に沿うようにして車両に取り付けられることになっている。このため、回止穴65に回止部66を嵌合させた状態でプラグ56がユニオンボルト57で底部34に固定されると、配管55がディスク軸線方向から見てほぼ鉛直方向に沿うようになっている。
【0028】
図3に示すように、シリンダ部25のボア30の底部34には、ボア30の径方向内側であってボア30の中心からずれた位置に、後述する摩擦攪拌接合(FSW)によりこの底部34を形成する際に生じる残存穴部68がディスク軸線方向つまりボア30の軸線方向に沿って外面52から図5に示すように途中位置まで残存形成されている。この残存穴部68は、奥側ほど小径となる先細テーパ状をなしている。図3に示すように、残存穴部68は、キャリパボディ21のディスク回転方向における中央位置つまりボア30の中心よりも流入孔51とは反対側にずれて形成されている。また、残存穴部68は、ボア30の中心よりもディスク半径方向外側(ブリッジ部26側)にずれて形成されている。つまり、残存穴部68は、ボア30の中心に対し、ディスク回転方向では回止穴65と同側であって、ディスク半径方向では回止穴65とは反対側に形成されている。この残存穴部68も、ディスク軸線方向に沿って見た場合に、凸部45の範囲内、より具体的には凸部45の頂面48の範囲内に全体が配置されている。ここで、流入孔51の中心に対して摩擦攪拌接合の終了位置である残存穴部68と回止穴65とのなす角θは、45度以上となっている。
【0029】
図2に示すように、ピストン22は、略円筒状の筒状部70と、筒状部70の軸線方向の中間位置に筒状部70の内側を閉塞するように軸線方向一側に偏って形成された略円板状の円板状部71とを有するカップ状に形成されている。筒状部70は、その外周面73が一定径とされており、この外周面73の円板状部71とは反対側には、外周面73よりも小径で、上記したブーツ42の他端側を嵌合保持するブーツ周溝74が形成されている。
【0030】
ピストン22には、筒状部70における円板状部71が偏った側の端部と円板状部71とで外底部77が形成されることになり、このピストン22の外底部77には、外周面73の軸線方向に沿って凹む凹部78が形成されている。
【0031】
ピストン22の外底部77の端面80は、外周面73の中心線に対して直交する平坦な円環状をなしている。ピストン22の凹部78は、この端面80の内端縁部から内側に、内側ほど縮径するようにテーパ状に形成された円錐内面81と、円錐内面81の端面80とは反対側にあって中央側ほど端面80側に位置するように略球面状をなす球状底面82とを有している。
【0032】
上記した、外周面73、ブーツ周溝74、端面80、円錐内面81および球状底面82は、それぞれの中心線が共通となっており、この中心線がピストン22の中心線となっている。外底部77および凹部78も、それぞれの中心線がピストン22の中心線と一致している。
【0033】
ピストン22は、筒状部70の一定径の外周面73においてボア30の小径内周面35およびピストンシール41の内周面に摺動可能に嵌合する。このようにボア30に嵌合した状態で、ピストン22は、ボア30と中心線を一致させて同軸状をなす。
【0034】
ピストン22は、端面80においてボア30の底面46に面接触で当接可能となっている。そして、ピストン22が端面80においてボア30の底面46に当接した当接状態で、凹部78は、上記したボア30の底部34の凸部45を格納するようになっている。この当接状態で凸部45のテーパ外周面47と凹部78の円錐内面81との間には全面的に隙間が形成され、凸部45の頂面48と凹部78の球状底面82との間にも全面的に隙間が形成される。さらに、当接状態で、ピストン22の外周面73とボア30のテーパ内周面36、大径内周面37および円弧状内周面38との間にも、全周に渡って隙間が形成される。
【0035】
そして、第1実施形態においては、キャリパボディ21が、図3に示すように、爪部27と、ブリッジ部26と、ボア30の底部34の一部を除いたシリンダ構成部90とからなるキャリパボディ本体91と、ボア30の底部34を形成する円板状の底蓋部材92とからなっている。そして、キャリパボディ21は、これら別体のキャリパボディ本体91および底蓋部材92を摩擦攪拌接合して一体化することにより形成される。ここで、これらキャリパボディ本体91および底蓋部材92は、それぞれアルミニウム合金で個別に鋳造で一体成形されることになり、よって、これらを接合したキャリパボディ21もアルミニウム合金で形成されることになる。なお、キャリパボディ本体91および底蓋部材92は、鋳造に限らず、鍛造や切削加工等の成形方法で成形しても良く、また、それぞれを別の成形方法で成形するようにしてもよい。
【0036】
キャリパボディ本体91には、図4に示すように、シリンダ部25のボア30の底面46の径方向外側の一部を構成する底面構成面94が形成されている。底面構成面94は、ボア30の中心線に対し直交する平面からなりボア30と同軸の円環状をなして一定幅で形成されている。また、キャリパボディ本体91には、底面構成面94の内周縁部から円筒面状に延出する嵌合円筒面95が形成されている。嵌合円筒面95は、ボア30と同軸をなし一定径でボア30の軸線方向に沿ってキャリパボディ本体91の外側まで延出している。そして、嵌合円筒面95の底面構成面94とは反対側の周縁部から径方向外側へ広がるように外面構成面96が形成されている。外面構成面96は、外面52の径方向外側の一部を構成し、ボア30の中心線に対し直交する平面で形成されている。よって、嵌合円筒面95の径方向内側がボア30の底部34を貫通する開口部となり、嵌合円筒面95を含むその周縁部が開口周縁部98となっている。その結果、キャリパボディ本体91に形成されるシリンダ部25のシリンダ構成部90は、有底筒状ではなく、両端が開口する無底筒状に形成されている。このキャリパボディ本体91の鋳物素材は、そのディスク回転方向の中央を基準として前後が対称の形状をなす。
【0037】
底蓋部材92は、円盤状に形成され、キャリパボディ本体91のシリンダ構成部90の嵌合円筒面95に嵌合される。この底蓋部材92は、最大外径部分となる一定径の円筒面状をなす嵌合円筒面100と、この嵌合円筒面100の軸線方向の一端縁部から軸線方向に直交して内側に一定幅で形成される、ボア30の底面46の径方向内側の一部を構成する円環状の平面からなる底面構成面101と、この底面構成面101の内周縁部から嵌合円筒面100と同軸をなして軸線方向一側に突出するテーパ状の上記したテーパ外周面47と、このテーパ外周面47の底面構成面101とは反対側にあって底面構成面101と平行をなす上記した頂面48とを有している。また、底蓋部材92は、嵌合円筒面100の軸線方向の他端縁部から軸線方向に直交して径方向内側に形成される円形状の平面からなる、外面52の径方向内側の一部を構成する外面構成面102を有している。よって、底蓋部材92には、キャリパボディ21の底部34の凸部45の全体が形成されている。底蓋部材92は、図5に示すように、その外周の肉厚T1である底面構成面101と外面構成面102との距離に対して、その1/2以上の高さH1を有して凸部45が形成されている。
【0038】
ここで、テーパ外周面47および頂面48を有する凸部45が形成された一面に対して他面である外面構成面102が軸直交方向に沿う平坦面となっている。この底蓋部材92は、嵌合円筒面100を含む外周縁部103が、キャリパボディ本体91の開口周縁部98に嵌合されて、後述のように摩擦攪拌接合される。つまり、キャリパボディ本体91に対して底蓋部材92が、この底蓋部材92の外周縁部103に沿って摩擦攪拌接合されることになり、底蓋部材92に対してキャリパボディ本体91が、キャリパボディ本体91の開口周縁部98に沿って摩擦攪拌接合されることになる。
【0039】
なお、図2,図4,図5および後述の図7〜図17においては、キャリパボディ本体91と底蓋部材92とを別部材として示しているが、これは、説明の便宜上、摩擦攪拌接合前の状態を示しており、摩擦攪拌接合後は一部材となる。つまり、キャリパボディ本体91の嵌合円筒面95を含む開口周縁部98および底蓋部材92の嵌合円筒面100を含む外周縁部103は、摩擦攪拌接合後に消失する。
【0040】
キャリパボディ21を形成する際には、まず、アルミニウム合金でキャリパボディ本体91を形成するための鋳物素材を一体成形する。キャリパボディ本体91の鋳物素材には、鋳造段階で、図3に示す爪部27と、ブリッジ部26と、内側に下穴を有する無底筒状のシリンダ構成部90とが形成されている。そして、シリンダ構成部90内の下穴内を、図4に示す嵌合円筒面95の下穴部分を介して爪部27とは反対側から挿入される切削工具により切削加工して、ボア30の内部の小径内周面35、シール周溝39、ブーツ周溝40および嵌合円筒面95を切削する。これにより、キャリパボディ本体91には、筒状に形成され両端が開口となっているシリンダ構成部90が形成されることになる。なお、本実施形態においては、キャリパボディ本体91における、テーパ内周面36、大径内周面37、円弧状内周面38、底面構成面94および外面構成面96を、鋳造時に形成しているが、鋳造時の成形を簡易としてこれらを切削加工により形成するようにしても良い。このようにして、アルミニウム合金の一体成形された鋳物素材を切削加工することにより形成される、シリンダ構成部90と、ディスク12を跨ぐためにシリンダ構成部90の径方向外方でその軸方向へ延びる図3に示すブリッジ部26と、ブリッジ部26のシリンダ構成部90とは反対側の爪部27とを有するキャリパボディ本体91を準備する(キャリパボディ本体準備工程)。
【0041】
また、アルミニウム合金で一体成形された円盤状の素材から、図4に示す嵌合円筒面100を切削加工することにより、円盤状に形成され、一面側に凸部45が設けられた底蓋部材92を準備する(底蓋部材準備工程)。なお、底蓋部材92において、底面構成面101、テーパ外周面47、頂面48および外面構成面102は鋳造時に形成されることになるが、これらを切削加工により形成しても良い。
【0042】
そして、上記のキャリパボディ本体準備工程で準備したキャリパボディ本体91のボア30に、図5に示すように中子治具110を挿入し、さらにこの中子治具110を図示略の一体化治具により保持することで、キャリパボディ本体91と中子治具110とを一体化する。ここで、中子治具110は、ピストン22と類似する形状をなしており、一定径の外周面111と、外周面111の中心線に対して直交する平坦な円環状の基準面112と、この基準面112の内端縁部から内側に、内側ほど縮径するようにテーパ状に形成された円錐内面113と、円錐内面113の基準面112とは反対側にあって外周面111の中心線に対して直交する平坦な平坦底面114とを有している。
【0043】
これら外周面111、基準面112、円錐内面113および平坦底面114は、それぞれの中心線が共通となっており、この中心線が中子治具110の中心線となっている。そして、中子治具110は、一定径の外周面111においてボア30の小径内周面35に摺動可能に嵌合する。このように小径内周面35に嵌合した状態で、中子治具110は、基準面112がその外径側の一部において底面構成面94に当接する。このとき、中子治具110の外周面111と、キャリパボディ本体91のテーパ内周面36、大径内周面37および円弧状内周面38との間には円環状の隙間が形成される。
【0044】
このように中子治具110と一体化された状態のキャリパボディ本体91を爪部27が下側になるように摩擦攪拌接合装置へセットする。続いて、上記した底蓋部材準備工程で準備した底蓋部材92を凸部45が下側となるように、その嵌合円筒面100において、キャリパボディ本体91のシリンダ構成部90の嵌合円筒面95に嵌合させる。これにより、底蓋部材92はボア30内に臨む一面側に凸部45が設けられた状態になる。このとき、中子治具110の一つの同じ基準面112にキャリパボディ本体91の底面構成面94と底蓋部材92の底面構成面101とが当接することになり、キャリパボディ本体91に対して底蓋部材92が、嵌合円筒面95,100同士の嵌合と、中子治具110の円錐内面113へのテーパ外周面47への嵌合と合わせて位置決めされる。
【0045】
この状態で、シリンダ構成部90の底部34側を構成する、嵌合円筒面95を含む開口周縁部98に、底蓋部材92の嵌合円筒面100を含む外周縁部103を、摩擦攪拌接合により一体に接合して、ボア30の底部34を形成する(摩擦攪拌接合工程)。
【0046】
ここで、この摩擦攪拌接合工程で使用される接合工具120は、略円柱状の大径軸部121と、この大径軸部121よりも小径でこの大径軸部121と同軸の先端軸部122とを有している。先端軸部122は、先細の切頭円錐状をなしている。接合工具120は、高速回転することにより、その先端軸部122が、シリンダ構成部90の開口周縁部98および底蓋部材92の外周縁部103を摩擦により溶融させて攪拌し接合する。
【0047】
上記した摩擦攪拌接合工程においては、高速回転する接合工具120の先端軸部122を、図3に示すように、残存穴部68が形成される位置を開始点として、この開始点からボア30の中心に対し流入孔51が形成される方向とは反対方向にボア30の径方向に沿う径方向ルートR1でボア30の中心から離れる方向に移動させる。図5に示すようにシリンダ構成部90の開口周縁部98と底蓋部材92の外周縁部103との接合境界に至ると、この位置を切替点としてボア30の円周方向に沿う円周方向ルートR2で先端軸部122を移動させる。開口周縁部98および外周縁部103の全周に亘って円形状に摩擦攪拌接合を行うことで、底蓋部材92とキャリパボディ本体91との境界部分を一体化する。つまり、底蓋部材92とキャリパボディ本体91との境界部分に倣ってループ状の摩擦攪拌接合の接合軌跡を形成するように接合工具120を移動させる。
【0048】
そして、接合工具120を、円周方向ルートR2での移動後、上記した切替点からボア30の径方向に沿う径方向ルートR3で径方向ルートR1とは逆向きにボア30の中心に近づくように移動させ、開始点の位置に戻ったところで、キャリパボディ21から引き抜く。その結果、接合工具120の先端軸部122により、残存穴部68が形成されることになる。なお、摩擦攪拌接合で底蓋部材92とキャリパボディ本体91とを確実に接合するため、接合工具120の先端軸部122の先端位置が、底面構成面94,101とほぼ一致できるように先端軸部122の長さが、底面構成面94,101と外面構成面96,102との間の厚さとほぼ同じに設定されている。また、底蓋部材92は凸部45のテーパ外周面47が中子治具110の円錐内面113に嵌合しているため、摩擦攪拌接合工程の最中も終了後も、その中心をボア30の中心と一致させる状態が維持される。
【0049】
以上のルートR1〜R3で接合工具120を移動させることで、摩擦攪拌接合工程の終了位置である残存穴部68が、底蓋部材92の範囲内となり、底蓋部材92のボア30内に臨む一面側に設けられた凸部45の範囲内となる。また、ルートR1〜R3で接合工具120を移動させることで、摩擦攪拌接合工程において、接合工具120の先端軸部122は、中子治具110の外周面111と、キャリパボディ本体91のテーパ内周面36、大径内周面37および円弧状内周面38との隙間をボア30の径方向に横切ることがない。
【0050】
なお、シリンダ構成部90の開口周縁部98と底蓋部材92の外周縁部103とは中子治具110によって位置決め状態のまま摩擦攪拌接合により接合されることになり、底面構成面94と底面構成面101とで底面46が、外面構成面96と外面構成面102とで外面52が形成される。図示は略すが、摩擦攪拌接合により一端溶融状態となって一体化された後に固化する接合部は、ボア30の中心軸線を中心とした略円環状をなし、ボア30の中心軸線を含む断面の形状が、ボア30側ほど幅が狭くなる形状をなすことになる。
【0051】
上記の摩擦攪拌接合工程で接合されたキャリパボディ本体91および底蓋部材92からなるキャリパボディ21には、結果として、ボア30の底面46よりもボア30の内部側に突出する凸部45が形成されている。
【0052】
次に、上記した摩擦攪拌接合工程で接合されたキャリパボディ本体91および底蓋部材92からなるキャリパボディ21に対して、底蓋部材92で構成されるそのボア30の底部34に、上記したボア30に液圧を供給するための流入孔51と、座ぐり53と、回止穴65とを外側から穿設する(流入孔等穿設工程)。流入孔51は、上記したように、凸部45の範囲内に、底蓋部材92の凸部45が形成された一面である頂面48と他面である外面構成面102とを連通して設けられる。また、ボア30の中心に対して、残存穴部68、流入孔51および回止穴65は、すべてずれており、ボア30の中心と一致する底蓋部材92の中心からも、ずれて配置される。
【0053】
以上のように形成されたキャリパボディ21を用いてキャリパ15、ひいてはディスブレーキ11を製造する際には、爪部27とシリンダ部25との間から、図2に示すシール周溝39にピストンシール41を嵌合し、ブーツ周溝40にブーツ42の一端側を嵌合する。また、同じく爪部27とシリンダ部25との間から、ピストン22をボア30内に挿入し、ブーツ42の他端側をピストン22のブーツ周溝74に嵌合する。また、図1に示す摺動ピン18およびブリーダプラグ43を取り付ける。このようにして、キャリパ15が組み上がる。
【0054】
このようにして組み上がったキャリパ15に、図1および図2に示すように、配管55を取り付ける。つまり、回止穴65に、配管55のプラグ56に固定された屈曲形状の回止部66を係合させた状態で、ユニオンボルト57をプラグ56に挿入しつつ流入孔51に螺合させる。すると、回止部66および回止穴65で回り止めされた状態で配管55のプラグ56がユニオンボルト57とともにキャリパ15に固定され、ボア30内に配管55が連通する。なお、このとき、プラグ56は座ぐり53に当接することになり流入孔51に対する垂直度を確保する。
【0055】
そして、キャリパ15を車両へ装着し、真空引きにてブレーキフルードをキャリパボディ21のボア30内に充填する。このとき、真空引きの負圧で、ピストン22がボア30の内方に引っ張られ、その端面80がボア30の底面46に当接することになるが、この状態でも、ボア30の底部34の凸部45を格納するピストン22の凹部78が凸部45に対して隙間をもっているため、ピストン22のボア30の底部34への張り付きが規制される。
【0056】
ここで、ボア30の内壁部33と底部34との間の角部には、応力集中を緩和するために上記した円弧状内周面38が形成されている。この円弧状内周面38を形成する場合、ピストン22の端面80との干渉を避けるために、円弧状内周面38をボア30のピストン22を案内する小径内周部35よりも径方向外側に配置することになる。よって、上記したように、テーパ内周面36、大径内周面37および円弧状内周面38と、中子治具110との間に円環状の隙間が生じる。特に四輪自動車用であって液圧負荷が高いものの場合には、円弧状内周面38の半径を大きくする必要があるため、この隙間も広くなってしまう。上記した特許文献1のディスクブレーキでは、キャリパボディ本体の開口周縁部に底蓋部材を摩擦攪拌接合により接合する場合に、接合工具の摩擦攪拌接合の終了位置を底蓋部材の範囲外としている。このため、特許文献1の構造を適用すると、ボアと中子治具との径方向の隙間に、摩擦攪拌接合で溶融した素材が流れ込み、バリとして残存してしまう可能性がある。このようなバリが形成されてしまうと、ピストンの摺動性に影響を与えてしまう可能性がある。つまり、キャリパボディの底部を摩擦攪拌接合により形成するものにおいて、接合工具の摩擦攪拌接合の終了位置を底蓋部材の範囲外とすると、摩擦攪拌されたアルミニウム材料がピストンの摺動性に影響を与える可能性がある。
【0057】
これに対して、第1実施形態のディスクブレーキ11によれば、図5に示すように、摩擦攪拌接合の開始位置および終了位置を底蓋部材92の範囲内としたため、摩擦攪拌接合の接合工具120を、中子治具110とボア30との径方向隙間を横切ることなく移動させて、キャリパボディ本体91の開口周縁部98と開口周縁部98に嵌合される底蓋部材92の外周縁部103とを一体に接合することができる。したがって、ピストン22の摺動性能の低下を抑制し得る良好な形状のキャリパボディ21を得ることができる。
【0058】
また、摩擦攪拌接合の終了位置を凸部45の範囲内としたため、摩擦攪拌接合の終了位置を底蓋部材92の範囲内としても、摩擦攪拌接合の終了位置に形成される残存穴部68とボア30の内部の液室50との距離を確保することができる。したがって、制動時のブレーキ液圧の負荷に対する耐久性を向上できる。つまり、残存穴部68と凸部45のテーパ外周面47との間の側厚t1を、液圧負荷に耐え得る厚さに確保することができる。
【0059】
しかも、凸部45が、底蓋部材92の外周の肉厚Tに対して1/2以上の高さHを有して形成されているため、残存穴部68とボア30の内部の液室50との距離をより確実に確保することができる。したがって、制動時のブレーキ液圧の負荷に対する耐久性を向上できる。つまり、残存穴部68と凸部45の頂面48との間の軸厚t2を、液圧負荷に耐え得る厚さに確保することができる。
【0060】
また、図2に示すように、ボア30に液圧を供給するための流入孔51が凸部45の範囲内で底蓋部材92の一面である凸部45の頂面48と他面である外面構成面102とを連通して設けられているため、流入孔51のネジ長さLつまり流入孔51に取り付けられるユニオンボルト57の螺合長さを確保できる。これにより、ユニオンボルト57を螺合させて配管55を底部34に取り付ける際に加わる締付力に十分に耐えることができる。
【0061】
また、流入孔51に接続されるプラグ56の回止部66が嵌合する回止穴65が、図4に示すように凸部45の範囲内に設けられているため、回止穴65とボア30の内部の液室50との距離を確保することができる。したがって、制動時のブレーキ液圧の負荷に対する耐久性を向上できる。つまり、回止穴65と凸部45のテーパ外周面47との間の側厚t3を、液圧負荷に耐え得る厚さに確保することができ、また、回止穴65と凸部45の頂面48との間の軸厚t4を、液圧負荷に耐え得る厚さに確保することができる。
【0062】
また、図3に示すように、流入孔51の中心に対して、摩擦攪拌接合の終了位置である残存穴部68と、回止穴65とのなす角θは、45度以上となっているため、残存穴部68と回止穴65とを間違えて使用してしまうことを防止できる。つまり、残存穴部68の内径および流入孔51との距離が、回止穴65の内径および流入孔51との距離と近い場合に、図1に二点鎖線で示すように、回止穴65に嵌合されるべきプラグ56の回止部66が、残存穴部68に間違って嵌合されてしまう可能性があるが、配管55が大きく変形することになり、作業者に誤組み付けを認識させることができる。また、配管55の長さによっては配管55が突っ張ることにより誤組み付け自体を防止することが可能となる。したがって、配管55が変形して誤組み付けされてしまうことを防止できる。
【0063】
また、底蓋部材92の流入孔51が、底蓋部材92の中心からずれて配置されているため、他の穴類、つまり回止穴65および残存穴部68を良好に配置することができる。特に、回止穴65および残存穴部68のボア30の内部の液室50との距離t1〜t4を確保したり、ユニオンボルト57の螺合長さLを確保するために、凸部45の範囲内にこれらを配置する場合に、良好に配置することができる。
【0064】
「第2実施形態」
次に、第2実施形態を主に図6および図7に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
【0065】
第2実施形態においては、流入孔51が摩擦攪拌接合の終了位置に形成される。ここで、流入孔51の内径は摩擦攪拌接合の終了位置に形成される図7に示す残存穴部68よりも大径となっており、流入孔51は底部34を貫通していることから、摩擦攪拌接合の終了位置に一旦外面52から途中位置まで形成される残存穴部68は、流入孔51の加工により切除され、キャリパボディ21の完成品には形成されないことになる。
【0066】
摩擦攪拌接合で一旦形成される残存穴部68は、ボア30の中心とディスク12の中心とを結ぶ線に対して直交する線上に配置されることになり、ボア30の中心からディスク回転方向における一側にずれて形成される。また、回止穴65は、残存穴部68と同様のボア30の中心とディスク12の中心とを結ぶ線に対して直交する線上に、ボア30の中心からディスク回転方向における他側(残存穴部68とは反対側)にずれて形成される。
【0067】
そして、上記した残存穴部68と中心を一致させてこれを除去するように、全体が一回り大きい流入孔51が形成される。その結果、流入孔51は、ボア30の中心とディスク12の中心とを結ぶ線に対して直交する線上に配置されて形成され、ボア30の中心からディスク回転方向における一側(回止穴65とは反対側)にずれて形成される。なお、これらの回止穴65および流入孔51も、ディスク軸線方向に沿って見た場合に、凸部45の範囲内、より具体的には凸部45の頂面48の範囲内に全体が配置される。
【0068】
第2実施形態では、上記した摩擦攪拌接合工程において、高速回転する接合工具120の先端軸部122を、残存穴部68つまり流入孔51が形成される位置を開始点として、この開始点からボア30の中心に対し回止穴65が形成される方向とは反対方向にボア30の径方向に沿う径方向ルートR11でボア30の中心から離れる方向に移動させ、シリンダ構成部90の開口周縁部98と底蓋部材92の外周縁部103との接合境界に至ると、この位置を切替点として、ボア30の円周方向に沿う円周方向ルートR12で一周移動させ、再び切替点に至ると、ボア30の径方向に沿う径方向ルートR13でボア30の中心に近づくように移動させることになり、開始点の位置に戻ったところで、キャリパボディ21から引き抜く。
【0069】
その後、ボア30の底部34に流入孔51と座ぐり53と回止穴65とを外側から穿設する流入孔等穿設工程を行う際に、流入孔51を、残存穴部68の位置に形成することになる。この場合も、流入孔51は、底蓋部材92の凸部45が形成された一面である頂面48と他面である外面構成面102とを連通して設けられる。
【0070】
以上に述べた第2実施形態によれば、流入孔51が摩擦攪拌接合の終了位置である残存穴部68の位置に形成されるため、ボア30の底部34に形成される穴の数を減らすことができる。したがって、限られた底部34の範囲に形成する必要がある穴つまり流入孔51および回止穴65の配置の自由度が高くなる上、制動時のブレーキ液圧の負荷に対する耐久性をさらに向上できる。
【0071】
また、流入孔51が残存穴部68の位置に形成されるため、流入孔51の加工代が少なくて済み、加工時間を短縮できる。
【0072】
「第3実施形態」
次に、第3実施形態を主に図8に基づいて第2実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第2実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
【0073】
第3実施形態においては、図8に示すように底部34つまり底蓋部材92に第2実施形態の凸部45が形成されていない。言い換えれば、一定厚さの平板状の底蓋部材92が用いられている。つまり、上記した第2実施形態においては、ボア30の軸線方向に沿って底部34を貫通する流入孔51により、ボア30の軸線方向に沿う残存穴部68を除去するものであるため、残存穴部68が底部34を貫通していたり、残存穴部68の最も深い部分とボア30の内部の液室50との距離が液圧負荷に耐えられない寸法であっても関係がない。このため、流入孔51の螺合長さと、回止穴65と液室50との距離とを確保できれば、図8に示すように底部34つまり底蓋部材92に凸部45がない場合、言い換えれば底蓋部材92が一定厚さの平板状である場合にも適用可能である。第3実施形態の場合、中子治具110は第2実施形態の円錐内面113および平坦底面114が形成されていないものが用いられる。
【0074】
「第4実施形態」
次に、第4実施形態を主に図9に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
【0075】
第4実施形態においては、回止穴65が摩擦攪拌接合の終了位置に形成される。ここで、回止穴65の内径は摩擦攪拌接合の終了位置に形成される残存穴部68よりも大径となっており、摩擦攪拌接合の終了位置に一旦外面52から途中位置まで形成される残存穴部68は、その外面52側の一部が回止穴65の加工により切除され、その外面52側の一部がキャリパボディ21の完成品から除かれることになる。
【0076】
ここで、摩擦攪拌接合で一旦形成される残存穴部68は、ボア30の中心とディスク12の中心とを結ぶ線に対して直交する線上に配置されることになり、ボア30の中心からディスク回転方向における一側にずれて形成される。また、流入孔51が、残存穴部68と同様にボア30の中心とディスク12の中心とを結ぶ線に対して直交する線上に、ボア30の中心からディスク回転方向における他側(残存穴部68とは反対側)にずれて形成される。
【0077】
そして、上記した残存穴部68と中心を一致させて残存穴部68の外面52側を除去するように、径が一回り大きい回止穴65が形成される。その結果、回止穴65は、ボア30の中心とディスク12の中心とを結ぶ線に対して直交する線上に配置され、ボア30の中心からディスク回転方向における一側(流入孔51とは反対側)にずれて形成される。なお、これらの回止穴65および流入孔51も、ディスク軸線方向に沿って見た場合に、凸部45の範囲内、より具体的には凸部45の頂面48の範囲内に全体が配置される。
【0078】
第4実施形態では、上記した摩擦攪拌接合工程において、高速回転する接合工具120の先端軸部122を、残存穴部68つまり回止穴65が形成される位置を開始点として、この開始点からボア30の中心に対し流入孔51が形成される方向とは反対方向にボア30の径方向に沿う径方向ルートR21でボア30の中心から離れる方向に移動させ、シリンダ構成部90の開口周縁部98と底蓋部材92の外周縁部103との接合境界に至ると、この位置を切替点として、ボア30の円周方向に沿う円周方向ルートR22で一周移動させ、切替点に戻ると、ボア30の径方向に沿う径方向ルートR23で逆向きにボア30の中心に近づくように移動させることになり、開始点の位置に戻ったところで、キャリパボディ21から引き抜く。
【0079】
そして、ボア30の底部34に流入孔51と座ぐり53と回止穴65とを外側から穿設する流入孔等穿設工程を行う際に、回止穴65を、残存穴部68の位置に形成することになる。
【0080】
以上に述べた第4実施形態によれば、回止穴65が摩擦攪拌接合の終了位置である残存穴部68の位置に形成されるため、ボア30の底部34に形成される穴の数を減らすことができる。したがって、限られた底部34の範囲に形成する必要がある穴つまり流入孔51および回止穴65の配置の自由度が高くなる上、制動時のブレーキ液圧の負荷に対する耐久性をさらに向上できる。
【0081】
また、回止穴65が残存穴部68の位置に形成されるため、回止穴65の加工代が少なくて済み、加工時間を短縮できる。
【0082】
「第5実施形態」
次に、第5実施形態を主に図10および図11に基づいて第3実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第3実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
【0083】
第5実施形態においては、図10および図11に示すように、第3実施形態と同様、底部34つまり底蓋部材92に凸部45が形成されておらず、言い換えれば一定厚さの平板状の底蓋部材92が用いられている。そして、図11に示すように、底部34の底面46を構成する底蓋部材92の底面構成面101に、底蓋部材92の軸方向に凹む係合凹部(係合部)130が、底蓋部材92の中心からずれて、1箇所のみ形成されている。係合凹部130は、その底面が底面構成面101に平行な平坦面となっており、その側面が底面構成面101に直交する円筒面状をなしていて、エンドミル等で穿設される。底蓋部材92の軸方向一側は係合凹部130を除いた全面が平坦な上記底面構成面101となっている。この係合凹部130は、摩擦攪拌接合工程後にキャリパボディ21の底部34の底面46に残存することになり、ボア30内に位置する。
【0084】
また、第5実施形態においては、第3実施形態と同様、中子治具110として、円錐内面113および平坦底面114が形成されていないものが用いられることになる。そして、底蓋部材92の底面構成面101に当接する軸方向一側の基準面112に、上記係合凹部130に係合するように、軸方向に突出する係合突出部131が、中子治具110の中心からずれて、1箇所のみ形成されている。係合突出部131は、基準面112に対し直交する円柱状をなしており、係合凹部130の深さよりも低い突出高さとなっている。中子治具110の軸方向一側は係合突出部131を除いた全面が平坦な上記基準面112となっている。
【0085】
第5実施形態では、いずれも位置決めされて固定状態にある中子治具110およびキャリパボディ本体91に対して、底蓋部材92が、以下のように配置される。
(1)底蓋部材92の嵌合円筒面100がキャリパボディ本体91の嵌合円筒面95に嵌合。
(2)底蓋部材92の係合凹部130が中子治具110の係合突出部131に係合。
(3)底蓋部材92の底面構成面101が中子治具110の基準面112に当接。
【0086】
このように配置された底蓋部材92は、係合凹部130への中子治具110の係合突出部131の係合で、キャリパボディ本体91に対する周方向位置が決められて係止されることになってキャリパボディ本体91に対する相対回転が規制される。言い換えれば、底蓋部材92には、キャリパボディ21に対する周方向位置を決めて係止されるための係合凹部130が、ボア30内に位置するように形成されている。なお、この状態で、図10に示すように、底蓋部材92の中心(ボア30の中心)と係合凹部130の中心とを結ぶ線が、底蓋部材92の中心とディスク12の中心とを結ぶ線に対して略直交するように、中子治具110のキャリパボディ本体91に対する位相が決められている。なお、底蓋部材92の係合凹部130に、中子治具110の係合突出部131が係合していないと、底蓋部材92の外面構成面102とキャリパボディ本体91の外面構成面96とに段差が生じることになる。これにより、底蓋部材92の配置ミスを作業者に視認により気づかせることができる。
【0087】
そして、摩擦攪拌接合工程において、高速回転する接合工具120の先端軸部122を、例えば底蓋部材92の中心位置を開始点として、底蓋部材92内に軸方向に挿入し、この開始点から係合凹部130が形成されている方向とは反対方向にボア30の径方向に沿う径方向ルートR31で移動させる。先端軸部122がシリンダ構成部90の開口周縁部98と底蓋部材92の外周縁部103との接合境界に至ると、この位置を切替点として、ボア30の円周方向に沿う円周方向ルートR32で先端軸部122を一周移動させる。そして、先端軸部122が再び切替点に至ると、ボア30の径方向に沿う径方向ルートR33でボア30の中心に近づくように先端軸部122を移動させる。最終的に先端軸部122が開始点の位置に戻ったところで、先端軸部122をキャリパボディ21から軸方向に引き抜く。
【0088】
以上に述べた第5実施形態によれば、底蓋部材92に、キャリパボディ本体91に対する周方向位置を決めて係止されるための係合凹部130がボア30内に位置するように形成されている。このため、摩擦攪拌接合工程において、係合凹部130を中子治具110の係合突出部131に係合させることで、高速回転する接合工具120から回転力を受けても、底蓋部材92がキャリパボディ本体91に対して回転してしまうこと、つまり共回りしてしまうことがなくなる。したがって、接合工具120の底蓋部材92に対する接合工具120の相対回転速度が低速になってしまうことがない。よって、接合工具120が低速回転した場合に摩擦攪拌接合時に生じ易い表面欠陥および内部欠陥の発生を抑制できる。
【0089】
摩擦攪拌接合工程において、上記のように底蓋部材92の中心位置を摩擦攪拌接合の開始点とすると、特に底蓋部材92が回転し易いため、係合凹部130を中子治具110の係合突出部131に係合させることによる回り止めの効果が高い。
【0090】
また、摩擦攪拌接合工程において、接合工具120の先端軸部122を、底蓋部材92の中心位置からボア30の係合凹部130が形成される方向とは反対方向の径方向ルートR31で移動させ、円周方向ルートR32で一周移動させ、径方向ルートR31を逆向きに移動する径方向ルートR33で底蓋部材92の中心位置まで移動させることになる。このため、係合凹部130と摩擦攪拌接合部位とが近接することによる強度的な影響を抑えることができる。
【0091】
「第6実施形態」
次に、第6実施形態を主に図12および図13に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
【0092】
図1〜図5に示す第1実施形態では、底部34における流入孔51のメネジの長さを確保する目的と、回止穴65および残存穴部68を形成しても、底部34の軸厚t2を確保する目的とから、底部34つまり底蓋部材92に凸部45が設けられている。第6実施形態においても、同じ目的で、図12および図13に示すように、底部34つまり底蓋部材92に、ボア30内に位置して凸部45が設けられている。
【0093】
そして、図13に示すように、この凸部45の先端側の頂面48に、底蓋部材92の軸方向に凹む係合凹部(係合部)135が、底蓋部材92の中心からずれて、1箇所のみ形成されている。係合凹部135は、頂面48の径方向においてテーパ外周面47に一部かかる位置に形成されており、よって、テーパ外周面47に部分的に抜ける形状をなしている。係合凹部135は、その側面が頂面48に直交する円筒面状をなしており、その底面が頂面48に平行な平坦面となっていて、エンドミル等で穿設される。この係合凹部135は、摩擦攪拌接合工程後にキャリパボディ21の底部34に残存することになり、ボア30内に位置する。
【0094】
また、第6実施形態においては、中子治具110の平坦底面114に、上記係合凹部135に嵌合するように、軸方向に突出する係合突出部136が、中子治具110の中心からずれて、1箇所のみ形成されている。係合突出部136は、平坦底面114の径方向において円錐内面113に一部かかる位置に形成されている。係合突出部136は、平坦底面114に対し直交する円柱状をなしている。
【0095】
第6実施形態では、いずれも位置決めされて固定状態にある中子治具110およびキャリパボディ本体91に対して、底蓋部材92が、以下のように配置される。
(1)底蓋部材92の嵌合円筒面100がキャリパボディ本体91の嵌合円筒面95に嵌合。
(2)底蓋部材92の凸部45のテーパ外周面47が中子治具110の円錐内面113に対向。
(3)底蓋部材92の凸部45の頂面48が中子治具110の平坦底面114に対向。
(4)底蓋部材92の係合凹部135が中子治具110の係合突出部136に係合。
(5)底蓋部材92の底面構成面101が中子治具110の基準面112に当接。
【0096】
このように配置された底蓋部材92は、係合凹部135への中子治具110の係合突出部136の係合で、キャリパボディ本体91に対する周方向位置が決められて係止されることになってキャリパボディ本体91に対する回転が規制される。言い換えれば、底蓋部材92には、キャリパボディ21に対する周方向位置を決めて係止されるための係合凹部135が、ボア30内の凸部45に位置するように凸部45の先端に1箇所形成されている。なお、この状態で、図12に示すように、底蓋部材92の中心(ボア30の中心)と係合凹部135の中心とを結ぶ線が、底蓋部材92の中心とディスク12の中心とを結ぶ線に対して略直交するように、中子治具110のキャリパボディ本体91に対する位相が決められている。この場合も、底蓋部材92の係合凹部135に、中子治具110の係合突出部136が係合していないと、底蓋部材92の外面構成面102とキャリパボディ本体91の外面構成面96とに不要な段差が生じることになる。
【0097】
そして、摩擦攪拌接合工程において、高速回転する接合工具120の先端軸部122を、例えば底蓋部材92の中心位置を開始点として、底蓋部材92内に軸方向に挿入し、この開始点から係合凹部135が形成される方向とは反対方向にボア30の径方向に沿う径方向ルートR31で移動させる。先端軸部122がシリンダ構成部90の開口周縁部98と底蓋部材92の外周縁部103との接合境界に至ると、この位置を切替点として、ボア30の円周方向に沿う円周方向ルートR32で先端軸部122を一周移動させる。先端軸部122が再び切替点に至ると、ボア30の径方向に沿う径方向ルートR33でボア30の中心に近づくように先端軸部122を移動させる。最終的に、先端軸部122が開始点の位置に戻ったところで、先端軸部122をキャリパボディ21から軸方向に引き抜く。
【0098】
以上に述べた第6実施形態によれば、底蓋部材92に、キャリパボディ本体91に対する周方向位置を決めて係止されるための係合凹部135がボア30内に位置するように形成されている。このため、摩擦攪拌接合工程において、係合凹部135を中子治具110の係合突出部136に係合させることで、高速回転する接合工具120から回転力を受けても、底蓋部材92がキャリパボディ本体91に対して回転してしまうことがない。したがって、接合工具120の底蓋部材92に対する相対回転速度が低速になってしまうことがなく、低速での摩擦攪拌接合時に生じ易いキャリパボディ21の表面欠陥および内部欠陥を抑制できる。
【0099】
また、摩擦攪拌接合工程において、上記のように底蓋部材92の中心位置を摩擦攪拌接合の開始点とすると、特に底蓋部材92が回転し易いため、係合凹部135を中子治具110の係合突出部136に係合させることによる回り止めの効果が高い。
【0100】
また、底蓋部材92の凸部45の先端に、係合凹部135が形成されるため、係合凹部135が形成されることによる影響を抑えることができる。つまり、最小肉厚が減少することがなく、制動時のブレーキ液圧の負荷に対する耐久性を向上できる。
【0101】
また、底蓋部材92の凸部45の先端に、係合凹部135が1箇所のみ形成されるため、肉厚確保の上、第1実施形態で述べたような流入孔51、回止穴65および残存穴部68の配置を決定するに際しての自由度が高くなる。
【0102】
また、摩擦攪拌接合工程において、接合工具120の先端軸部122を、底蓋部材92の中心位置から係合凹部135が形成される方向とは反対方向の径方向ルートR31で移動させ、円周方向ルートR32で一周移動させ、径方向ルートR31を逆向きに移動する径方向ルートR33で移動させることになるため、係合凹部135と摩擦攪拌接合部分とが近接することによる強度的な影響を抑えることができる。
【0103】
「第7実施形態」
次に、第7実施形態を主に図14および図15に基づいて第6実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第6実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
【0104】
第7実施形態においては、底部34つまり底蓋部材92の凸部45の頂面48に、第6実施形態と同様の係合凹部135が周方向に等ピッチで複数箇所形成されている。具体的には120度ピッチで3箇所形成されている。これら係合凹部135は、ボア30つまり底蓋部材92の中心から等距離の位置に形成されている。
【0105】
また、第7実施形態においては、中子治具110の平坦底面114に、上記複数箇所の凹部135に嵌合するように、第6実施形態と同様の係合突出部136が周方向に等ピッチで複数箇所形成されている。具体的には120度ピッチで3箇所形成されている。これら係合突出部136は、中子治具110の中心から等距離の位置に形成されている。
【0106】
第7実施形態では、いずれも位置決めされて固定状態にある中子治具110およびキャリパボディ本体91に対し、底蓋部材92が、以下のように配置される。
(1)底蓋部材92の嵌合円筒面100がキャリパボディ本体91の嵌合円筒面95に嵌合。
(2)底蓋部材92の凸部45のテーパ外周面47が中子治具110の円錐内面113に対向。
(3)底蓋部材92の凸部45の頂面48が中子治具110の平坦底面114に対向。
(4)底蓋部材92の3箇所の係合凹部135が中子治具110の3箇所の係合突出部136に一対一で係合。
(5)底蓋部材92の底面構成面101が中子治具110の基準面112に当接。
【0107】
このように配置された底蓋部材92は、3箇所の係合凹部135への中子治具110の3箇所の係合突出部136の係合で、キャリパボディ本体91に対する周方向位置が決められて係止されることになってキャリパボディ本体91に対する回転が規制される。言い換えれば、底蓋部材92には、キャリパボディ21に対する周方向位置を決めて係止されるための係合凹部135が、ボア30内の凸部45に位置するように複数箇所等ピッチで形成されている。なお、この状態で、図14に示すように、底蓋部材92の中心(ボア30の中心)と1箇所の係合凹部135の中心とを結ぶ線が、底蓋部材92の中心とディスク12の中心とを結ぶ線に対して略直交するように、キャリパボディ本体91に対する中子治具110の位相が決められている。この場合も、底蓋部材92の複数の係合凹部135に、中子治具110の複数の係合突出部136が係合していないと、底蓋部材92の外面構成面102とキャリパボディ本体91の外面構成面96とに不要な段差が生じることになる。
【0108】
そして、摩擦攪拌接合工程において、高速回転する接合工具120の先端軸部122を、例えば底蓋部材92の中心位置を開始点として、底蓋部材92に軸方向に挿入し、この開始点からボア30の上記した1箇所の係合凹部135とは反対方向にボア30の径方向に沿う径方向ルートR31で移動させる。先端軸部122がシリンダ構成部90の開口周縁部98と底蓋部材92の外周縁部103との接合境界に至ると、この位置を切替点として、ボア30の円周方向に沿う円周方向ルートR32で先端軸部122を一周移動させる。そして、先端軸部122が再び切替点に至ると、ボア30の径方向に沿う径方向ルートR33でボア30の中心に近づくように先端軸部122を移動させる。最終的に先端軸部122が開始点の位置に戻ったところで、キャリパボディ21から軸方向に引き抜く。
【0109】
以上に述べた第7実施形態によれば、底蓋部材92に、キャリパボディ本体91に対する周方向位置を決めて係止されるための係合凹部135がボア30内の凸部45の先端に位置するように複数箇所形成されている。このため、摩擦攪拌接合工程において、高速回転する接合工具120から回転力を受けても、中子治具110の係合突出部136からの反力で係合凹部135が変形してしまうこと等が抑えられ、底蓋部材92がキャリパボディ本体91に対して回転することを確実に防止できる。特に、底蓋部材92が軟らかいアルミニウム材料からなるため、その効果は顕著となる。
【0110】
また、キャリパボディ本体91に対する周方向位置を決めて係止されるための係合凹部135が、複数箇所等ピッチで底蓋部材92に形成されているため、底蓋部材92のキャリパボディ本体91および中子治具110へのセットが容易となる。つまり、底蓋部材92のセット時に、3箇所の係合凹部135に、中子治具110の3箇所の係合突出部136を一対一で係合させるために必要な最大回転量が小さくなり、セットが容易となる。したがって、摩擦攪拌接合工程を効率良く行うことができる。
【0111】
また、摩擦攪拌接合工程において、接合工具120の先端軸部122を、底蓋部材92の中心位置から1箇所の係合凹部135が形成される方向とは反対方向の径方向ルートR31で残り2箇所の係合凹部135の中央位置を移動させ、円周方向ルートR32で一周移動させ、径方向ルートR31を逆向きに移動する径方向ルートR33で移動させることになるため、複数箇所の係合凹部135と摩擦攪拌接合部分とが近接することによる強度的な影響を抑えることができる。
【0112】
「第8実施形態」
次に、第8実施形態を主に図16および図17に基づいて第7実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第7実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
【0113】
第8実施形態においては、底部34つまり底蓋部材92の凸部45の頂面48に、第7実施形態と同様の複数箇所の係合凹部135が、周方向に不等ピッチで複数箇所形成されている。具体的には、3箇所の係合凹部135が、底蓋部材92の周方向に、90度、90度、180度の不等ピッチで形成されている。
【0114】
また、第8実施形態においては、中子治具110の平坦底面114に、上記複数箇所の凹部135に嵌合するように、第7実施形態と同様の複数箇所の係合突出部136が、周方向に不等ピッチで形成されている。具体的には、3箇所の係合突出部136が、中子治具110の周方向に、90度、90度、180度の不等ピッチで形成されている。
【0115】
第8実施形態では、いずれも位置決めされて固定状態にある中子治具110およびキャリパボディ本体91に対し、底蓋部材92が、以下のように配置される。
(1)底蓋部材92の嵌合円筒面100がキャリパボディ本体91の嵌合円筒面95に嵌合。
(2)底蓋部材92の凸部45のテーパ外周面47が中子治具110の円錐内面113に対向。
(3)底蓋部材92の凸部45の頂面48が中子治具110の平坦底面114に対向。
(4)底蓋部材92の3箇所の係合凹部135が中子治具110の3箇所の係合突出部136に一対一で係合。
(5)底蓋部材92の底面構成面101が中子治具110の基準面112に当接。
【0116】
このように配置された底蓋部材92は、3箇所の不等ピッチの係合凹部135への中子治具110の3箇所の不等ピッチの係合突出部131の係合で、キャリパボディ本体91に対する周方向位置が決められて係止されることになってキャリパボディ本体91に対する回転が規制される。言い換えれば、底蓋部材92には、キャリパボディ21に対する周方向位置を決めて係止されるための係合凹部135が、ボア30内の凸部45に位置するように複数箇所不等ピッチで形成されている。なお、この状態で、図16に示すように、底蓋部材92の中心(ボア30の中心)と、中央の係合凹部135の中心とを結ぶ線が、底蓋部材92の中心とディスク12の中心とを結ぶ線に対して略直交し、両側2箇所の係合凹部135同士を結ぶ線が、底蓋部材92の中心とディスク12の中心とを結ぶ線に略一致するように、キャリパボディ本体91に対する中子治具110の位相が決められている。
【0117】
第8実施形態では、底蓋部材92の中心位置よりも、中央の係合凹部135とは反対側を摩擦攪拌接合の開始点として設定し、この開始点に、接合工具120の先端軸部122を挿入可能な、図17に示す先端軸部122よりも小径かつ短い下穴140を摩擦攪拌接合工程前に予め形成しておき、摩擦攪拌接合工程の時間を短縮するようにする。
【0118】
つまり、摩擦攪拌接合工程において、高速回転する接合工具120の先端軸部122を、軸方向に移動させて、上記開始点に設けられた下穴140に挿入し、この下穴140の位置から、中央の係合凹部135とは反対方向にボア30の径方向に沿う径方向ルートR41で移動させる。先端軸部122がシリンダ構成部90の開口周縁部98と底蓋部材92の外周縁部103との接合境界に至ると、この位置を切替点として、ボア30の円周方向に沿う円周方向ルートR42で先端軸部122を一周移動させる。そして、先端軸部122が再び切替点に至ると、ボア30の径方向に沿う径方向ルートR43でボア30の中心に近づくように先端軸部122を移動させる。最終的に先端軸部122が開始点の位置に戻ったところで、キャリパボディ21から先端軸部122を軸方向に引き抜く。
【0119】
以上に述べた第8実施形態によれば、摩擦攪拌接合の開始点となる底蓋部材92の下穴140が、底蓋部材92の中央に対し外れて形成されている。このため、高速回転する接合工具120から回転力を受けても、底蓋部材92がキャリパボディ本体91に対して回転してしまうこと(つまり共回り)を、キャリパボディ本体91の嵌合円筒面95と底蓋部材92の嵌合円筒面100との嵌合によっても防止できる。したがって、摩擦攪拌接合工程における表面欠陥および内部欠陥の発生をさらに抑制できる。
【0120】
また、底蓋部材92の係合凹部135が、凸部45の先端に周方向に不等ピッチで設けられているため、下穴140が形成されることで外面構成面102側が点対称ではない形状となる底蓋部材92を、下穴140をキャリパボディ本体91に対し規定位置に配置するべく一の所定の回転位置に位置決めすることができる。つまり、下穴140を規定の周方向位置以外に配置すると、底蓋部材92の3箇所の係合凹部135に、中子治具110の3箇所の係合突出部136が係合できないことになり、よって、底蓋部材92の外面構成面102とキャリパボディ本体91の外面構成面96とに段差が生じることになる。これにより、底蓋部材92の配置ミスを作業者に視認させることができる。したがって、下穴140を規定の周方向位置、つまり自動設定された軌跡で移動する接合工具120の摩擦攪拌接合の開始点に、確実に配置することができる。
【0121】
また、摩擦攪拌接合工程において、接合工具120の先端軸部122を、底蓋部材92の中心位置よりも、中央の係合凹部135とは反対側から、中央の係合凹部135とは反対方向の径方向ルートR41で移動させ、円周方向ルートR42で一周移動させ、径方向ルートR41を逆向きに移動する径方向ルートR43で、底蓋部材92の中心位置よりも、中央の係合凹部135とは反対側まで移動させることになる。よって、3箇所の係合凹部135と残存穴部68との距離を離すことができ、これらが近接することによる強度的な影響を抑えることができる。また、3箇所の係合凹部135と摩擦攪拌接合部分とが近接することによる強度的な影響も抑えることができる。
【0122】
なお、第1〜第7実施形態においても、底蓋部材92の摩擦攪拌接合の開始点に、接合工具120の先端軸部122を挿入可能な下穴140を摩擦攪拌接合工程前に予め形成しておき、摩擦攪拌接合工程の時間を短縮するようにしても良い。
【0123】
上記した第5〜第8実施形態において、底蓋部材92に係合凹部130あるいは係合凹部135を、中子治具110に係合突出部131あるいは係合突出部136を設けるのではなく、逆に、底蓋部材92に係合突出部を、中子治具110に係合凹部を設けても良い。
【0124】
また、摩擦攪拌接合工程前に底蓋部材92をキャリパボディ本体91に対し加締めて仮止めしておくことも可能である。しかしながら、この仮止めは、あくまで底蓋部材92の浮き上がりを防止するためのものであるため、仮止めがあっても、底蓋部材92の接合工具120との共回りを防止することはできず、第5〜第8実施形態は、効果を発揮することになる。
【0125】
なお、以上の第1〜第8実施形態においては、シリンダ部25がディスク12の一面側のみに配置され、ディスク12の他面側には爪部27が形成され、液圧によりディスク12の一面側のみに設けられた1つのピストン22でブレーキパッド14を押圧するフィスト型のキャリパ15を例にとり説明したが、シリンダ部25がディスク12の両面側に配置される対向型のキャリパにも適用可能である。このように対向型のキャリパに適用する場合には、対向する一対のシリンダ部のうち流入孔が設けられる側のシリンダ部に摩擦攪拌接合を適用すればよく、必要があれば、両側のシリンダ部に摩擦攪拌接合を適用してもよい。また、ディスク12の一面側に2つ以上のピストンを設けたフィスト型のキャリパや対向型のキャリパにも適用可能である。さらに、第1〜第8実施形態においては、ディスク12の両面側に一対のブレーキパッド14を設けるようにしているが、二対又はそれ以上の対のブレーキパッドを設けたディスクブレーキにも適用が可能である。
【0126】
上記実施の形態のディスクブレーキによれば、ディスクの両面に配置された一対のブレーキパッドのうち、少なくとも一方側のブレーキパッドを液圧により押圧するピストンが挿入されるボアが内部に形成されるシリンダ部を有するキャリパボディを備え、前記シリンダ部は、筒状に形成されるとともに、底部側に設けられた開口周縁部と該開口周縁部に嵌合される底蓋部材とを摩擦攪拌接合により一体に接合することで前記ボアの底部が形成され、前記底蓋部材は円板状に形成されて外周に沿って摩擦攪拌接合され、前記摩擦攪拌接合の終了位置を前記底蓋部材の範囲内としたことを特徴とする。これにより、摩擦攪拌接合の工具を、底蓋部材を支持する中子治具とボアとの径方向隙間を横切ることなく移動させて、開口周縁部と開口周縁部に嵌合される底蓋部材とを一体に接合することが可能となる。したがって、良好な形状のキャリパボディを得ることができる。
【0127】
また、前記底蓋部材は、前記ボア内に臨む一面側に凸部が設けられ、前記摩擦攪拌接合の終了位置を前記凸部の範囲内としたことを特徴とする。これにより、摩擦攪拌接合の終了位置を底蓋部材の範囲内としても、摩擦攪拌接合の終了位置に形成される残存穴部とボアの内部との距離を確保することができる。したがって、制動時のブレーキ液圧の負荷に対する耐久性を向上できる。
【0128】
また、前記凸部の範囲内には、前記ボアに液圧を供給するための流入孔が前記底蓋部材の前記一面と他面とを連通して設けられることを特徴とする。これにより流入孔に取り付けられる配管類の取付長さを確保できる。
【0129】
また、前記流入孔は前記摩擦攪拌接合の終了位置に形成されることを特徴とする。これにより、底部に形成される穴の数を減らすことができる。したがって、制動時のブレーキ液圧の負荷に対する耐久性を向上できる。また、流入孔の加工代が少なくて済むため、加工時間を短縮できる。
【0130】
また、前記凸部の範囲内には、前記流入孔に接続される配管プラグの回止部が嵌合する回止穴が設けられることを特徴とする。これにより、回止穴とボアの内部との距離を確保することができる。したがって、制動時のブレーキ液圧の負荷に対する耐久性を向上できる。
【0131】
また、前記流入孔の中心に対して前記摩擦攪拌接合の終了位置と前記回止穴とのなす角は、45度以上となるように設けられることを特徴とする。これにより、摩擦攪拌接合の終了位置に形成される残存穴部と回止穴とを間違えて使用してしまうことを防止できる。
【0132】
また、前記回止穴は前記摩擦攪拌接合の終了位置に形成されることを特徴とする。これにより、底部に形成される穴の数を減らすことができる。したがって、制動時のブレーキ液圧の負荷に対する耐久性を向上できる。また、回止穴の加工代が少なくて済むため、加工時間を短縮できる。
【0133】
また、前記凸部は、前記底蓋部材の外周の肉厚に対して1/2以上の高さを有して形成されることを特徴とする。これにより、残存穴部とボアの内部との距離を確保することができる。したがって、制動時のブレーキ液圧の負荷に対する耐久性を向上できる。
【0134】
また、前記底蓋部材には、前記ボアに液圧を供給するための流入孔が一面と他面とを連通して設けられ、前記流入孔は前記摩擦攪拌接合の終了位置に形成されることを特徴とする。これにより、底部に形成される穴の数を減らすことができ、制動時のブレーキ液圧の負荷に対する耐久性を向上できる。また、流入孔の加工代が少なくて済むため、加工時間を短縮できる。
【0135】
また、前記底蓋部材の前記流入孔は、前記底蓋部材の中心からずれて配置されることを特徴とする。このため、必要により他の穴類を配置する場合に、良好に配置することができる。
【0136】
また、前記底蓋部材には、前記キャリパボディに対する周方向位置を決めて係止されるための係合部が前記ボア内に位置するように形成されているため、摩擦攪拌接合工程において接合工具から回転力を受けても、底蓋部材が回転してしまうことがない。したがって、キャリパボディの表面欠陥および内部欠陥を抑制できる。
【0137】
また、前記底蓋部材には、前記キャリパボディに対する周方向位置を決めて係止されるための係合部が前記凸部に位置するように形成されているため、係合部が形成されることによる影響を抑えることができる。
【0138】
また、前記係合部は、前記凸部の先端に1箇所設けられているため、係合部が形成されることによる影響を抑えることができる。
【0139】
また、前記係合部は、前記凸部の先端に複数箇所設けられているため、摩擦攪拌接合工程において接合工具から回転力を受けて底蓋部材が回転してしまうことを確実に抑えることできる。
【0140】
また、前記係合部は、前記凸部の先端に周方向に等ピッチで設けられているため、底蓋部材のセットが容易となる。したがって、摩擦攪拌接合工程を効率良く行うことができる。
【0141】
また、前記係合部は、前記凸部の先端に周方向に不等ピッチで設けられているため、底蓋部材の一の所定の回転位置への位置決めを行うことができる。
【符号の説明】
【0142】
11 ディスクブレーキ
12 ディスク
14 ブレーキパッド
21 キャリパボディ
22 ピストン
25 シリンダ部
30 ボア
34 底部
45 凸部
51 流入孔
56 プラグ(配管プラグ)
65 回止穴
66 回止部
92 底蓋部材
98 開口周縁部
130,135 係合凹部(係合部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクの両面に配置された一対のブレーキパッドのうち、少なくとも一方側のブレーキパッドを液圧により押圧するピストンが挿入されるボアが内部に形成されるシリンダ部を有するキャリパボディを備え、
前記シリンダ部は、筒状に形成されるとともに、底部側に設けられた開口周縁部と該開口周縁部に嵌合される底蓋部材とを摩擦攪拌接合により一体に接合することで前記ボアの底部が形成され、
前記底蓋部材は円板状に形成されて外周に沿って摩擦攪拌接合され、
前記摩擦攪拌接合の終了位置を前記底蓋部材の範囲内としたことを特徴とするディスクブレーキ。
【請求項2】
前記底蓋部材は、前記ボア内に臨む一面側に凸部が設けられ、
前記摩擦攪拌接合の終了位置を前記凸部の範囲内としたことを特徴とする請求項1に記載のディスクブレーキ。
【請求項3】
前記凸部の範囲内には、前記ボアに液圧を供給するための流入孔が前記底蓋部材の前記一面と他面とを連通して設けられることを特徴とする請求項2に記載のディスクブレーキ。
【請求項4】
前記流入孔は前記摩擦攪拌接合の終了位置に形成されることを特徴とする請求項3に記載のディスクブレーキ。
【請求項5】
前記凸部の範囲内には、前記流入孔に接続される配管プラグの回止部が嵌合する回止穴が設けられることを特徴とする請求項3に記載のディスクブレーキ。
【請求項6】
前記流入孔の中心に対して前記摩擦攪拌接合の終了位置と前記回止穴とのなす角は、45度以上となるように設けられることを特徴とする請求項5に記載のディスクブレーキ。
【請求項7】
前記回止穴は前記摩擦攪拌接合の終了位置に形成されることを特徴とする請求項5に記載のディスクブレーキ。
【請求項8】
前記凸部は、前記底蓋部材の外周の肉厚に対して1/2以上の高さを有して形成されることを特徴とする請求項2乃至7のいずれか一項に記載のディスクブレーキ。
【請求項9】
前記底蓋部材には、前記ボアに液圧を供給するための流入孔が一面と他面とを連通して設けられ、
前記流入孔は前記摩擦攪拌接合の終了位置に形成されることを特徴とする請求項1に記載のディスクブレーキ。
【請求項10】
前記底蓋部材の前記流入孔は、前記底蓋部材の中心からずれて配置されることを特徴とする請求項3〜7,9のいずれか一項に記載のディスクブレーキ。
【請求項11】
前記底蓋部材には、前記キャリパボディに対する周方向位置を決めて係止されるための係合部が前記ボア内に位置するように形成されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載のディスクブレーキ。
【請求項12】
前記底蓋部材には、前記キャリパボディに対する周方向位置を決めて係止されるための係合部が前記凸部に位置するように形成されていることを特徴とする請求項2乃至7のいずれか一項に記載のディスクブレーキ。
【請求項13】
前記係合部は、前記凸部の先端に1箇所設けられていることを特徴とする請求項12に記載のディスクブレーキ。
【請求項14】
前記係合部は、前記凸部の先端に複数箇所設けられていることを特徴とする請求項12に記載のディスクブレーキ。
【請求項15】
前記係合部は、前記凸部の先端に周方向に等ピッチで設けられていることを特徴とする請求項14に記載のディスクブレーキ。
【請求項16】
前記係合部は、前記凸部の先端に周方向に不等ピッチで設けられていることを特徴とする請求項14に記載のディスクブレーキ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−107746(P2012−107746A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144088(P2011−144088)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】