説明

ディスク再生装置および同装置を備えたナビゲーション装置

【課題】アドレス空間の切り替えを不要とし、部品点数の削減をはかった、ディスク再生装置および同装置を備えたナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】書き換え可能な不揮発性記憶部の第1の記憶領域に格納されている第1のディスク再生プログラムを実行中、外部から取得される第2のディスク再生プログラムを記憶部の第2の記憶領域に書き込む更新データ書き込み部(172)と、第2のディスク再生プログラムが正常に書き込まれた場合、記憶部の所定の領域に第2のディスク再生プログラムが第1のディスク再生プログラムに代わって有効であることを示す識別情報を設定する識別情報設定部(174)と、外部からディスク再生プログラムの切り換え指令が到来したことを契機に識別情報を参照し、第2のディスク再生プログラムが有効になっていた場合に当該第2のディスク再生プログラムを実行するプログラム切り換え実行制御部(175)と、を有するディスク再生装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フラッシュメモリ等、書き換え可能な不揮発性記憶部を備えたディスク再生装置および同装置を備えたナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスク再生装置は、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に記録された音声や映像を再生する手段として広く普及されている。ディスク再生装置は技術の進歩により高機能化が進み、ハードウェアはもとよりソフトウェアにおいても逐次アップデートやバージョンアップがなされ、最近では、機能追加された、例えば、ドライバ等の更新プログラムを通信媒体経由でユーザにダウンロード提供し、ディスク再生装置の保守を行なう形態も増えてきた。
【0003】
一方、上記したプログラム等の更新に起因する事故に対して短時間に対処できるようにするため、更新プログラムをダウンロードする時に、更新されるプログラムを格納している第1のフラッシュPROM0とは別の第2のフラッシュPROM1に更新プログラムを格納し、更新後であっても選択的に更新前後の一方のプログラムを読み出し可能にする情報記憶装置およびそのダウンロード方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−117780号公報(段落「0043」〜「段落0045」、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1に開示された技術によれば、プログラム更新時、フラッシュPROM0とフラッシュPROMlとを切り換え、フラッシュPROM1に更新プログラムを書き込む。そして、書き込みが正常終了した時点で一旦フラッシュPROM1に格納されたプログラムに処理を戻し、以降、スイッチを操作することにより、更新されたプログラムに処理を切り換える。
したがって、プログラム更新のために、スイッチによりアドレス空間を切り換える必要があり、マニュアルスイッチを要する他、切り換えのためのハードウェアにより部品点数が増加し、コストアップの要因になる。また、更新後であっても選択的に更新前後のプログラムを切り換え使用するために、更新が繰り返される毎にプログラムが増えることになり、容量的な問題も発生する。更に、マニュアル操作によりアドレス空間を切り換えて使用するため、使い勝手が悪かった。
【0006】
この発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、更新プログラムの切り換え実行時、アドレス空間の切り替えを要することなく部品点数の削減をはかった、ディスク再生装置および同装置を備えたナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るディスク再生装置は、書き換え可能な不揮発性記憶部の第1の記憶領域に格納されている第1のディスク再生プログラムを実行中、外部から取得される第2のディスク再生プログラムを前記不揮発性記憶部の第2の記憶領域に書き込む更新データ書き込み部と、前記第2のディスク再生プログラムが前記不揮発性記憶部の第2の記憶領域に正常に書き込まれた場合、前記不揮発性記憶部の所定の記憶領域に前記第2のディスク再生プログラムが前記第1のディスク再生プログラムに代わって有効であることを示す識別情報を設定する識別情報設定部と、外部からディスク再生プログラムの切り換え指令が到来したことを契機に前記識別情報を参照し、前記第2のディスク再生プログラムが有効になっていた場合に前記第2のディスク再生プログラムを実行するプログラム切り換え実行制御部と、を有するものである。
【0008】
また、この発明に係るディスク再生装置を備えたナビゲーション装置は、書き換え可能な不揮発性記憶部の第1の記憶領域に格納されている地図データに基づきナビゲーションを行なう第1のプログラムを実行中、外部から取得される第2のプログラム乃至更新地図データを前記不揮発性記憶部の第2の記憶領域に書き込む更新データ書き込み部と、前記第2のプログラム乃至更新地図データが正常に書き込まれた場合、前記第2のプログラム乃至更新地図データが前記第1のプログラム乃至地図データに代わって有効であることを示す識別情報を設定する識別情報設定部と、外部からプログラム乃至タ図データの切り換え指令が到来したことを契機に前記識別情報を参照し、前記第2のプログラム乃至地図データが有効になっていた場合に前記第2のプログラム乃至地図データを読み出し、前記第2のプログラム乃至地図データによる現在地表示、目的地設定、目的地案内誘導、の少なくとも一つを実行するプログラム切り換え実行制御部と、を有するものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、更新プログラムの切り換え実行時、アドレス空間の切り替え操作を不要とし、部品点数の削減を図ることのできるディスク再生装置および同装置を備えたナビゲーション装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るディスク再生装置の内部構成を示すブロック図である。
図1に示されるように、この発明の実施の形態1に係るディスク再生装置は、光ディスク11と、光ピックアップ12と、データ処理部13と、外部メモリ14と、デコーダ15と、ドライブ制御部16と、制御部17と、ホスト機器18と、により構成される。
【0011】
光ディスク11には、映像や音声データが記録されている。光ピックアップ12は、光ディスク11から映像・音声データを読み出し、LSIにより構成されるデータ処理部13へ供給する。データ処理部13は、光ピックアップ12から出力されるRF信号を復調してデジタルデータに変換し、RAMで構成される外部メモリ14へ格納する。外部メモリ14に格納されたデジタルデータは、デコーダ15に供給され、ここでデコードされた映像・音声データは、D/A(Digital/Analog)コンバータ等により構成される、不図示の映像・音声再生系へ出力され、再生される。
なお、制御部17は、例えば、マイコン等により構成され、ホスト機器18から送信される指令(コマンド乃至データ)、あるいは自発的に行なわれるリセット操作を受信して、データ処理部13、デコーダ15、ドライブ制御部16のそれぞれに制御信号を供給する。
【0012】
上記した構成において、ホスト機器18から指令を受けた制御部17は、ドライブ制御部16を制御して光ディスク11並びに光ピックアップ12を駆動する。そして、光ディスク11の記録領域から光ピックアップ12により読み取られた映像、音声データは、データ処理部13によって復調され、デジタルデータに変換され、一旦、外部メモリ14に格納される。制御部17は、チェックサム演算等により、外部メモリ14に映像、音声データが格納されたことを確認した後、デコーダ15に対して再生制御指令を与え、デコーダ15は、外部メモリ14から映像・音声データを取得し、デコード処理を行い、光ディスク11に記録された映像・音声を、不図示の再生系へ出力する。
【0013】
ここで、ホスト機器18が、制御部17が実行するプログラムデータの更新を行なう場合の方法について2つを例示して説明する。
一つは、ホスト機器18が、直接、制御部17のプログラムデータを更新する方法である。この場合、制御部17は、ホスト機器18から送信されるプログラム更新データを、書き換え可能な不揮発性記憶部、例えば、フラッシュメモリ170に書き込む。他の一つは、光ディスク11からプログラム更新データを取得する方法であって、この場合、ホスト機器18は、制御部17に対してプログラムデータの更新を指示すると、制御部17は、ドライブ制御部16を制御して、光ディスク11、光ピックアップ12を駆動する。続いて、光ピックアップ12を介して光ディスク11に記録された更新プログラムデータを読み出し、データ処理部13において復調するとともにデジタルデータに変換し、外部メモリ14に格納する。
【0014】
制御部17は、外部メモリ14に更新プログラムデータが格納されたことを確認し、格納された更新プログラムデータを制御部17内蔵のフラッシュメモリにメモリ−メモリによるデータ転送により書き込む。
【0015】
図2は、図1に示す制御部17の内部構成を機能展開して示したブロック図である。図2に示されるように、制御部17は、フラッシュメモリ170と、主制御部171と、更新データ書き込み部172と、誤り検出部173と、識別情報設定部174と、プログラム切り換え実行制御部175とにより構成される。
【0016】
フラッシュメモリ170は、ここではプログラム格納領域として用いられ、更新前のディスク再生プログラム(第1のディスク再生プログラム)が割当てられ格納されるプログラム記憶領域(第1の記憶領域711)と、外部から供給される更新ディスク再生プログラム(第2のディスク再生プログラム)が格納されるプログラム記憶領域(第2の記憶領域712)との2つの記憶領域がそれぞれ別のアドレス空間に割り付けられるものとする。
【0017】
主制御部171は、フラッシュメモリ170の第1の記憶領域711に格納されている更新前のディスク再生プログラムを実行中、外部から取得される更新ディスク再生プログラムを第2の記憶領域712に書き込み、当該更新ディスク再生プログラムが第2の記憶領域712に正常に書き込まれた場合、フラッシュメモリ170の所定の記憶領域に、更新ディスク再生プログラムが更新前のディスク再生プログラムに代わって有効であることを示す識別情報を設定する。そして、主制御部171は、外部からディスク再生プログラムの切り換え指令が到来したことを契機に、フラッシュメモリ170の所定の記憶領域713に設定された識別情報を参照し、ここで、更新ディスク再生プログラムが有効になっていた場合に、当該更新ディスク再生プログラムを実行するために、後述する更新データ書き込み部172、誤り検出部173、識別情報設定部174、プログラム切り換え実行制御部175の各制御ブロックのシーケンス制御を行なう。
【0018】
更新データ書き込み部172は、フラッシュメモリ170の第1の記憶領域711に格納されている更新前のディスク再生プログラムを実行中、外部から取得される更新ディスク再生プログラムをフラッシュメモリ170の第2の記憶領域712に書き込む機能を有する。ディスク再生装置(更新データ書き込み部172)は、ホスト機器18から、例えば、不図示のネットワーク経由で送信される更新ディスク再生プログラムを取得し、フラッシュメモリ170の第2の記憶領域712に書き込むケースと、光ディスク11(記録媒体)に記録された更新ディスク再生プログラムを読み出し、フラッシュメモリ170の第2の記憶領域712に書き込むケースの2通りある。
【0019】
誤り検出部173は、ホスト機器18、もしくは光ディスク11から、更新ディスク再生プログラムに対応して付与される、チェックサム等の誤り検出符号を参照して相関演算を行うことにより誤り検出する機能を有し、このことにより、更新ディスク再生プログラムがフラッシュメモリ170の第2の記憶領域712に正常に書き込まれたか否かの判定が可能になる。
識別情報設定部174は、誤り検出部173において、更新ディスク再生プログラムが不揮発性メモリ170の第2の記憶領域712に正常に書き込まれたことが検出された場合、フラッシュメモリ170の所定の記憶領域713に、更新ディスク再生プログラムが、更新前のディスク再生プログラムに代わって有効であることを示す識別情報を設定する機能を有する。以降、フラッシュメモリ170の所定の記憶領域713に設定される識別情報をマークと表現して説明を行う。
【0020】
なお、プログラム切り換え実行制御部175は、例えば、システムリセット等により、外部からディスク再生プログラムの切り換え指令が到来したことを契機に、上記したマークを参照して更新ディスク再生プログラムが有効になっていた場合に、フラッシュメモリ170の第1の記憶領域711に格納された更新前のディスク再生プログラムに代わって、フラッシュメモリ170の第2の記憶領域712に格納された更新ディスク再生プログラムを読み出し実行する機能を有する。
【0021】
図3は、制御部17が有するアドレス空間の割り当て状態を示す図である。ここでは、図3に示されるように、アドレス空間の先頭位置“0x00000000”〜“0x00001FFF”までを、データ処理部13、デコーダ15、および制御部17のそれぞれによりアクセスされる外部メモリ14のRAM領域として使用し、アドレス空間“0x00002000”〜“0x3FFFFFFF”までをシステム予約領域、アドレス空間0x40000000”〜“0x40007FFF”までを、例えば、不図示のROM等に割当てられるスタートアッププログラム領域として使用することとする。また、アドレス空間0x40008000”〜“0x401FFFFF”は、更新前のディスク再生プログラムが格納される第1のプログラム領域711として、アドレス空間“0x40200000”〜を更新ディスク再生プログラムが格納される第2のプログラム領域712として使用することとする。
【0022】
図4は、この発明の実施の形態1に係るディスク再生装置のプログラム更新処理時の動作を示すフローチャートである。
以下、図4のフローチャートを参照しながら、図1〜図3に示す、この発明の実施の形態1に係るディスク再生装置の動作について詳細に説明する。
【0023】
まず、ディスク再生装置に電源が投入され、制御部17の更新前のディスク再生プログラムが起動すると、主制御部171は、プログラム切り換え実行制御部175を動作させ、プログラム切り換え実行制御部175は、フラッシュメモリ170の所定の記憶領域713に設定された識別情報を参照する(ステップST401)。ここで、制御部17のディスク再生プログラムが一度も更新されていない場合、識別情報として、「領域#0有効」を示すマークが所定の記憶領域713に設定されている。プログラム切り換え実行制御部175は、このマークを参照し、領域#0が有効であることを示していた場合(ステップST401“領域#0”)、フラッシュメモリ170の第1のプログラム記憶領域711(領域#0)に格納されている更新前のディスク再生プログラムを読み出し実行する(ステップST402、ST403)。
【0024】
続いて、制御部17は、更新前のディスク再生プログラム実行中、ホスト機器18からディスク再生プログラムの更新指定があった場合(ステップST404“YES”)、更新データ書き込み部172は、到来する更新ディスク再生プログラムをフラッシュメモリ170の第2の記憶領域712(領域#1)に格納する(ステップST405)。
また、このとき、制御部17は、誤り検出部173により、到来する更新ディスク再生プログラムがフラッシュメモリ170の第2の記憶領域712(領域#1)に正常に書き込まれたか否かをチェックサム演算により相関をとることにより判定し(ステップST406)、誤りが検出されなかった場合に(ステップST406“YES”)、識別情報設定部174を起動し、このとき、識別情報設定部174は、フラッシュメモリ170の所定の記憶領域713に「領域#1有効」マークを設定する(ステップST407)。
【0025】
なお、データ転送異常等により、フラッシュメモリ170の第2の記憶領域712に正常に更新ディスク再生プログラムが格納できなかった場合(ステップST406“NO”)、主制御部170は、ホスト機器18に対してエラーを通知し(ステップST408)、このとき、プログラム切り換え実行制御部175は、更新前のディスク再生プログラムによるディスク再生処理の実行を継続する。
更新ディスク再生プログラムがフラッシュメモリ170の第2の記憶領域712に正常に格納された場合(ステップST406“YES”)、ホスト機器18からの更なるプログラム切り換え指定の到来の有無を判定し(ステップST409)、ここで、プログラム切り換え指定があった場合(ステップST409“YES”)、プログラム切り換え実行制御部175は、フラッシュメモリ170の所定の記憶領域713に付加された「領域#1有効」マークを判定し(ステップST410“YES”)、ステップST401、412を経由してフラッシュメモリ170の第2の記憶領域712(領域#1)に格納されたディスク再生プログラムに切り換え実行する(ステップST413)。
【0026】
なお、フラッシュメモリ170の第2の記憶領域712(領域#1)に格納された更新ディスク再生プログラムを実行中(ステップST413)、ホスト機器18からプログラムの更新指定があった場合(ステップST414“YES”)、プログラム切り換え実行制御部175は、新規の更新ディスク再生プログラムをフラッシュメモリ170の第1の記憶領域711(領域#0)に格納し(ステップST415)、以降、上記した一連の処理と同等の処理を実行する。
【0027】
一方、ステップST401の判定処理において、マークが、フラッシュメモリ170の第2の領域712(領域#1)に格納された更新プログラムが有効であることを示していた場合(ステップST401“領域#1”)、プログラム切り換え実行制御部175は、フラッシュメモリ170の第2のプログラム領域712(領域#1)に格納されている更新ディスク再生プログラムを読み出し実行する(ステップST412、ST413)。
続いて、制御部17は、更新ディスク再生プログラム実行中、ホスト機器18からディスク再生プログラムの更新指定があった場合(ステップST414“YES”)、更新データ書き込み部172は、到来する更新ディスク再生プログラムをフラッシュメモリ170の第1の記憶領域711(領域#0)に格納する(ステップST415)。
【0028】
また、このとき、制御部17は、誤り検出部163により、到来する更新ディスク再生プログラムがフラッシュメモリ170の第1の記憶領域711(領域#0)に正常に書き込まれたか否かを判定し(ステップST416)、誤りが検出されなかった場合に識別情報設定部174を起動し、識別情報設定部174は、フラッシュメモリ170の所定の記憶領域713に「領域#0有効」マークを設定する(ステップST417)。
【0029】
なお、データ転送異常等により、正常に更新ディスク再生プログラムが格納できなかった場合(ステップST416“NO”)、主制御部170は、ホスト機器18に対してエラーを通知し(ステップST418)、このとき、プログラム切り換え実行制御部175は、更新ディスク再生プログラムによるディスク再生処理の実行を継続する。
新たな更新ディスク再生プログラムがフラッシュメモリ170の第1の記憶領域711に正常に格納された場合(ステップST416“YES”)、ホスト機器18からの更なるプログラム切り換え指定の到来の有無を判定し(ステップST419)、ここで、プログラム切り換え指定があった場合(ステップST419“YES”)、プログラム切り換え実行制御部175は、フラッシュメモリ170の所定の記憶領域713に付与された「領域#0有効」マークを判定し(ステップST420“YES”)、ステップST401、402を経由してフラッシュメモリ170の第1の記憶領域711(領域#0)に格納されたディスク再生プログラムに切り換え実行する(ステップST403)。
【0030】
なお、フラッシュメモリ170の第1の記憶領域711(領域#0)に格納された更新ディスク再生プログラムを実行中(ステップST403)、ホスト機器18からプログラムの更新指定があった場合(ステップST404“YES”)、プログラム切り換え実行制御部175は、更新ディスク再生プログラムをフラッシュメモリ170の第2の記憶領域712(領域#1)に格納し(ステップST405)、以降、上記した一連の処理と同等の処理を実行する。
【0031】
以上説明のようにこの発明の実施の形態1に係るディスク再生装置によれば、ディスク再生プログラムがフラッシュメモリ170等、書き換え可能な不揮発性記憶部に格納されている場合、そのディスク再生プログラムを動作させながらそのプログラム内容全体を更新するにあたり、新規に到来する更新ディスク再生プログラムを他の記憶領域(第2の記憶領域712)へ一旦格納し、正常終了した場合にのみ、更新ディスク再生プログラムが有効であることを示す識別情報を付与し、以降、ホスト機器18からのプログラムリセット指令、或いは自発的なプログラムリセット操作により現在動作中のディスク再生プログラムによるディスク再生処理がリセットされると、上記した識別情報(マーク)を参照することにより、更新ディスク再生プログラムによる動作を開始する前に有効か否かの判定を行い、有効となっている場合にその更新ディスク再生プログラムによる処理に切り換え、無効になっていた場合は、更新前のディスク再生プログラムを実行するものである。
【0032】
上記したこの発明の実施の形態1に係るディスク再生装置によれば、フラッシュメモリ170の第2の記憶領域712(領域#1)に更新ディスク再生プログラムが正常に格納された場合、識別情報(マーク)を設定することにより、更新ディスク再生プログラムのダウンロード、あるいは書込みが正常終了し、有効になったことを宣言するため、システムリセット等によりディスク再生プログラムを再起動する場合に、マークを参照するだけでプログラム切り換えが可能になるため、アドレス空間のスイッチによるマニュアル切り換え操作は不要になる。
また、この発明の実施の形態1に係るディスク再生装置によれば、更新前のディスク再生プログラムを維持しながら、プログラムデータ更新中における突然の電源遮断等、不測の事態が発生しても、ディスク再生装置が有する機能の実行を損なうことなく、電源が復旧した場合にディスク再生装置を正常に機能させることができる。
【0033】
なお、上記したこの発明の実施の形態1に係るディスク再生装置において、図4のフローチャートのステップST407の処理では、フラッシュメモリ170の所定の記憶領域713に、「領域#1有効」マークを付加した後、ホスト機器18からプログラム切り換え指定の有無について判定しているが(ステップST409)、このステップST409の処理をスキップして直ちにマーク判定処理(ステップST401)を実行してプログラムを切り換えることも可能である。ステップST417の処理においても同様、フラッシュメモリ170の所定の記憶領域713に、「領域#0有効」マークを付加した後、ホスト機器18からプログラム切り換え指定の有無を判定しているが(ステップST419)、このステップST419の処理をスキップして直ちにマーク判定処理(ステップST401)を実行してプログラムを切り換えることも可能である。このことにより迅速なプログラム切り換えが可能になる。
また、この発明の実施の形態1に係るディスク再生装置によれば、更新対象のプログラムとしてディスク再生プログラムのみ例示したが、ディスク再生装置に限らず、コンピュータ周辺装置のドライバソフトウェア等一般にも同様の構成により適用が可能である。
【0034】
なお、図2に示される制御部17が有する各構成ブロックの機能は、全てをソフトウェアによって実現しても、あるいはその少なくとも一部をハードウェアにより実現してもよい。例えば、主制御部171におけるデータ処理は、1または複数のプログラムによりコンピュータ上で実現してもよく、また、その少なくとも一部をハードウェアで実現してもよい。
【0035】
実施の形態2.
図5は、この発明の実施の形態2に係るディスク再生装置の内部構成を示す図であり、ここでは、ナビゲーション装置への応用例を示す。
図5に示されるように、ナビゲーション装置は、ナビゲーション本体制御部50と、地図データ記憶部51と、音声入出力制御部52と、ドライブ制御部53と、通信制御部54と、センサ入出力制御部55と、USB(Universal Serial Bus)フラッシュメモリ56と、表示入力装置57とがシステムバス58を介して共通接続されて構成されている。このシステムバス58はアドレス、データ、コントロールのための複数本のラインで構成されている。
【0036】
ナビゲーション本体制御部50は、現在地表示、目的地設定、目的地案内誘導等、ナビゲーションのための本来の機能を実現する制御ブロックであり、図1、図2を用いて説明した実施の形態1に係るディスク再生装置同様、更新プログラムのダウンロード、およびプログラム実行切り換えのための仕組みを備えている。
すなわち、機能的には、ナビゲーション本体制御部50が内蔵する不揮発性メモリ(不図示)の第1の記憶領域に格納されている地図データに基づきナビゲーションを行なうナビゲーションプログラム(第1のプログラム)を実行中、外部から取得される更新プログラム乃至更新地図データを不揮発性メモリの第2の記憶領域に書き込むデータ書き込み部と、更新ナビゲーションプログラム、乃至更新地図データが第2の記憶部に正常に書き込まれた場合、当該更新ナビゲーションプログラム、乃至更新地図データが更新前のナビゲーションプログラム、乃至更新前の地図データに代わって有効であることを示す識別情報を設定する識別情報設定部と、外部からプログラム乃至地図データの切り換え指令が到来したことを契機に、識別情報を参照し、更新ナビゲーションプログラム乃至地図データが有効になっていた場合に、当該ナビゲーションプログラム乃至更新地図データを読み出し、切り換え実行するプログラム切り換え実行制御部と、を有する。
【0037】
図1、図2に示す実施の形態1との差異は、更新の対象とするデータが、実施の形態1では、ディスク再生プログラムであったのに対し、実施の形態2では、ナビゲーションプログラム乃至地図データの差分であることにある。
ナビゲーション本体制御部50の機能構成は、ナビゲーション本来の機能を実行する部分以外は、図2に示すディスク再生装置と同じ構成となるため、ここでは、重複を回避する意味で図示省略した。以下に、この発明の実施の形態2に係るディスク再生装置を備えたナビゲーション装置の概略構成動作について説明する。
【0038】
ドライブ制御部53は、CDやDVD等の光ディスクに記録された更新ナビゲーションプログラム、あるいは更新地図データ等を読み出し、また、通信制御部54は、不図示のネットワーク経由で到来する更新ナビゲーションプログラム、あるいは更新地図データを、システムバス58経由で、ナビゲーション本体部50が内蔵する不揮発性メモリ、もしくはハードディスク等により構成される地図データ記憶部51に転送して書き込む。
なお、ここで、ダウンロードされ、あるいは読み出される更新ナビゲーションプログラム、もしくは更新地図データは、更新前のナビゲーションプログラム、あるいは更新前の地図データとの差分データとする。
【0039】
センサ入出力部55は、例えば、ナビゲーション装置が取り付けられる車両各部に設置された、例えば、GPS(Global Positioning System)センサ、車速センサ、ジャイロセンサ等のセンサ類により計測される航法データを取得し、システムバス58経由でナビゲーション本体制御部50へ供給する。
音声入出力制御部52は、ユーザによる発話をマイク(MIC)により集音し、音声認識処理を行い、ナビゲーション本体制御部50に供給する他、ナビゲーション本体制御部50により生成されるデータを音声合成出力してスピーカ(SP)を介してユーザに通知する。表示入力装置57は、例えば、タッチセンサにより構成され、座標入力によるユーザ指示を取り込んでナビゲーション本体制御部50へ供給する他、ナビゲーション本体制御部50により生成される現在地表示データ等を、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)モニタ上に表示する。
【0040】
上記構成により、ナビゲーション本体制御部50は、センサ入出力部55より計測され取得される車両の挙動データに基づくナビゲーションプログラム(第1のプログラム)を実行中、通信制御部54を介して取得され、あるいはCD/DVDからドライブ制御部53を介して読み出される、ナビゲーションプログラム乃至地図データ更新のための差分データを不揮発性メモリの第2の記憶領域に書き込む。
そして、識別情報設定部は、誤り検出部によるチェックサム演算により第2の記憶領域に更新用の差分データが正常に書き込まれたことを確認して、当該更新ナビゲーションプログラム乃至更新地図データが更新前のナビゲーションプログラム乃至更新前の地図データに代わって有効であることを示すマークを設定する。
【0041】
次に、プログラム切り換え実行制御部は、外部からプログラム乃至地図データの切り換え指令が到来したことを契機に、上記した識別情報(マーク)を参照し、更新ナビゲーションプログラム乃至地図データが有効になっていた場合に、当該更新ナビゲーションプログラム乃至更新地図データを不揮発性メモリの第2の記憶領域から読み出し、更新プログラム乃至更新地図データによる現在地表示、目的地設定、目的地案内誘導等、のナビゲーション処理を実行する。
【0042】
また、上記した実施の形態2に係るディスク再生装置を備えたナビゲーション装置において、識別情報(マーク)を、ナビゲーション装置から脱着可能な、例えば、USBフラッシュメモリ56、あるいは不図示のコンパクトフラッシュカード(コンパクトフラッシュは登録商標)等に保持することにより、以下に示す応用が考えられる。
すなわち、例えば、USBフラッシュメモリ56に識別情報を保持し、車両から離れる場合にこのUSBフラッシュメモリ56を携行することで、ナビゲーション装置が盗難等にあった場合でも第三者はナビゲーション装置を有効に機能させることができないといった利点が得られる。すなわち、USBフラッシュメモリ56がなければナビゲーションの機能が無効となることで、盗難の危険性を軽減することができるようになる。
【0043】
以上説明のようにこの発明の実施の形態2に係るディスク再生装置を備えたナビゲーション装置によれば、不揮発性メモリの第2の記憶領域に更新ナビゲーションプログラム乃至更新地図データが正常に格納された場合に、識別情報(マーク)を付与し、これら更新データのダウンロード、あるいは不揮発性メモリへの書込みが正常終了したことを確認した場合にのみ更新データが有効になったことをマーク表示し、システムリセット等によりナビゲーションプログラムを再起動する場合に、マークを参照するだけで、ナビゲーションプログラム、あるいは地図データの切り換えが可能になるため、従来のように、スイッチによるアドレス空間の切り換え操作は不要になる。
また、更新前のナビゲーションプログラム乃至地図データを維持しながら、データ更新中における突然の電源遮断等、不測の事態が発生しても、ナビゲーション装置が有する機能の実行を損なうことなく、電源が復旧した場合にナビゲーション装置を正常に機能させることができる。更に、上記した識別情報をメモリに格納し、携行することによってナビゲーション装置の盗難対策にも寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明の実施の形態1に係るディスク再生装置の内部構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す制御部の内部構成を機能展開して示したブロック図である。
【図3】図1、図2に示す制御部が有するアドレス空間の割り当て状態を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係るディスク再生装置のプログラム更新処理時の動作を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態2に係るディスク再生装置を備えたナビゲーション装置の内部構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0045】
11 光ディスク、12 光ピックアップ、13 データ処理部、14 外部メモリ、15 デコーダ、16 ドライブ制御部、17 制御部、18 ホスト機器、50 ナビゲーション本体制御部、51 地図データ記憶部、52 音声入出力制御部、53 ドライブ制御部、54 通信制御部、55 センサ入出力制御部、56 USBフラッシュメモリ、57 表示入力装置、170 フラッシュメモリ、171 主制御部、172 更新データ書き込み部、173 誤り検出部、174 識別情報設定部、175 プログラム切り換え実行制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
書き換え可能な不揮発性記憶部を備えたディスク再生装置であって、
前記不揮発性記憶部の第1の記憶領域に格納されている第1のディスク再生プログラムを実行中、外部から取得される第2のディスク再生プログラムを前記不揮発性記憶部の第2の記憶領域に書き込む更新データ書き込み部と、
前記第2のディスク再生プログラムが正常に書き込まれた場合、前記不揮発性記憶部の所定の領域に前記第2のディスク再生プログラムが前記第1のディスク再生プログラムに代わって有効であることを示す識別情報を設定する識別情報設定部と、
外部からディスク再生プログラムの切り換え指令が到来したことを契機に、前記不揮発性記憶部の所定の領域に設定された識別情報を参照し、前記第2のディスク再生プログラムが有効になっていた場合に前記第2のディスク再生プログラムを実行するプログラム切り換え実行制御部と、
を有することを特徴とするディスク再生装置。
【請求項2】
前記更新データ書き込み部は、
外部のホスト機器から送信される前記第2のディスク再生プログラムを取得し、前記書き換え可能な不揮発性記憶部の第2の記憶領域に書き込むことを特徴とする請求項1記載のディスク再生装置。
【請求項3】
前記更新データ書き込み部は、
記録媒体に記録された前記第2のディスク再生プログラムを読み出し、前記書き換え可能な不揮発性記憶部の第2の記憶領域に書き込むことを特徴とする請求項1記載のディスク再生装置。
【請求項4】
前記識別情報設定部は、
前記ホスト機器、もしくは前記記録媒体から、前記第2のディスク再生プログラムに対応して付与される誤り検出符号を参照して相関を判定し、前記第2のディスク再生プログラムが前記不揮発性記憶部の第2の記憶領域に正常に書き込まれたことを検出することを特徴とする請求項2または請求項3記載のディスク再生装置。
【請求項5】
書き換え可能な不揮発性記憶部を有するディスク再生装置を備えたナビゲーション装置であって、
前記不揮発性記憶部の第1の記憶領域に格納されている地図データに基づきナビゲーションを行なう第1のプログラムを実行中、外部から取得される第2のプログラム乃至更新地図データを前記不揮発性記憶部の第2の記憶領域に書き込むデータ書き込み部と、
前記第2のプログラム乃至更新地図データが前記記憶部の第2の記憶領域に正常に書き込まれた場合、前記第2のプログラム乃至更新地図データが前記第1のプログラム乃至地図データに代わって有効であることを示す識別情報を設定する識別情報設定部と、
外部からプログラム乃至地図データの切り換え指令が到来したことを契機に、前記識別情報を参照し、前記第2のプログラム乃至地図データが有効になっていた場合に、前記不揮発性記憶部から前記第2のプログラム乃至地図データを読み出し、前記第2のプログラム乃至地図データによる現在地表示、目的地設定、目的地案内誘導、の少なくとも一つを実行するプログラム切り換え実行制御部と、
を有することを特徴とするディスク再生装置を備えたナビゲーション装置。
【請求項6】
前記識別情報が設定される脱着自在の記憶媒体を備え、
前記プログラム切り換え実行制御部は、
前記記憶媒体の装着を検知し、前記記憶媒体に設定された識別情報を参照し、前記識別情報が、前記第2のプログラム乃至地図データが有効であることを示していた場合、前記不揮発性記憶部から前記第2のプログラム乃至地図データを読み出し、前記第2のプログラム乃至地図データによる現在地表示、目的地設定、目的地案内誘導、の少なくとも一つを実行することを特徴とする請求項5記載のディスク再生装置を備えたナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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