説明

ディスク再生装置

【課題】
搬送装置の故障時においても、ディスクの強制排出及び強制ローディングが可能なディスク再生装置を提供する。
【解決手段】
ディスクの位置を検出するための複数のセンサ2,3と、ディスクを搬送するためのローディングローラ7と、ローディングローラを回転駆動するローディングモータ5と、前記複数のセンサからの出力信号を監視して前記ローディングモータを制御する制御部4と、ディスクの搬送を指示するボタン入力部1を備えたディスク再生装置において、前記制御部4は、ボタン入力部のボタンが第1の所定時間以上操作し続けられたことを検出したとき、前記センサ出力に関わらず、前記ローディングローラを、ディスクを排出する方向に駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク再生装置に係り、特にディスクのローディングを行うローディングローラを備えたディスク再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CD(Compact Disc)やDVD(DigitalVersatile Disc)等のディスクを再生する装置においては、これらのディスクを再生装置内部に搬送する手段としてトレイに載せて搬送する従来の装置に代えて、近年では、ディスクをそのままローディングローラで搬送する装置が増加している。
【0003】
ダンスフロアなどにおいては、DJ(ディスクジョッキー)は、異なった曲をダンスのリズムが途切れないように、次々とつないで再生させていく。この場合、DJは、再生装置を2台用意し、2台の再生装置で交互に再生させることによって音をつないでいる。この際、DJは、再生が終了した曲のCDを再生装置から早く取り出し、現在再生している曲につなげる次の曲が入っているCDをこの再生装置にローディング(挿入)し、ローディングしたCDの再生開始ポイントをセッティングしなければならない。
【0004】
ここで、スイッチあるいはセンサ類に故障などが発生した場合、ディスクが取り出せなくなることがある。例えば、再生装置の中にディスクが挿入されているかどうかを認識するセンサが故障すると、ディスクが挿入されているのに挿入されていないと判断し、ディスクを取り出す(排出する)イジェクトボタンの操作に反応しなくなる。この場合、前記トレイ搬送方式の再生装置では、器具を用いたり、あるいは簡単な機構を用いてトレイを少しイジェクトさせ、その後トレイを手で引っ張り出すことにより、ディスクを取り出すことができる(特許文献1参照)。
【0005】
また、ディスクが挿入されていないのに挿入されていると判断して、ディスクを挿入するクローズボタンの操作に反応しなくなった場合、前記トレイ搬送方式では、手でトレイを押し込むことによって、ディスクを挿入することができる。
【特許文献1】特開2004−152376号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のように、再生装置が、トレイ搬送方式であれば、器具を用いてトレイを少しイジェクトさせることにより、トレイを引き出すことができる。また、手でトレイを押し込むことにより、ディスクを再生装置内にセットすることが可能となる。しかし、再生装置が、ローディングローラを用いた搬送方式である場合は、ディスクが挿入口の外に出てくるまで搬送装置で搬送させないと手で取り出すことができない。また、手でディスクを押し込んでも、ディスクの挿入口までしか押し込むことができない。
【0007】
この場合、再生装置を操作するDJなどの利用者は、ディスクを取りだせなくなったり、ローディングできなくなる。このため、次に再生する曲を準備することができず、例えばダンスのリズムを途切れさせてしまうことになる。
【0008】
本発明はこれらの問題点に鑑みてなされたもので、搬送装置の故障時においても、ディスクの強制排出及び強制ローディングが可能なディスク再生装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記課題を解決するため、次のような手段を採用した。
【0010】
ディスクの位置を検出するための複数のセンサと、ディスクを搬送するためのローディングローラと、ローディングローラを回転駆動するローディングモータと、前記複数のセンサからの出力信号を監視して前記ローディングモータを制御する制御部と、ディスクの搬送を指示するボタン入力部を備えたディスク再生装置において、前記制御部は、ボタン入力部のボタンが第1の所定時間以上操作し続けられたことを検出したとき、前記センサ出力に関わらず、前記ローディングローラを、ディスクを排出または挿入する方向に駆動する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、以上の構成を備えるため、搬送装置の故障時においても、ディスクの強制排出及び強制ローディングが可能なディスク再生装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、最良の実施形態を添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態にかかるディスク再生装置を説明する図である。
【0013】
ディスク再生装置は、ディスクローディング装置11、再生部12、信号処理部13、出力部14、回転操作部15、ボタン入力部1、制御部4を備える。
【0014】
ディスクローディング装置11は、後述するようにローディングモータ、ローディングローラ、ターンテーブル、ディスクをターンテーブルに保持するためのクランパ、ディスク位置を検出するための検出部を備える。ローディングモータ及びローディングローラは、ディスク再生装置本体に対するディスクの挿入、及びディスクの取り出しを行う。また、ターンテーブル及びクランパは、これらのより、挿入されたディスクを狭持し、制御部4の制御に基づいて回転駆動する。
【0015】
また、検出部は、2つのセンサを備え、これらのセンサにより、ディスクローディング装置11におけるディスクの位置を検出し、検出結果を制御部17に出力する。
【0016】
再生部12は、制御部4の制御に基づいて、ディスクローディング装置11に収納されたディスクから、ディスクに記録された情報を読み出して再生し、再生信号を信号処理部13に出力する。信号処理部13は、制御部17の制御に基づいて、再生部12が再生した再生信号に対して、残響音を付加するなどの信号処理を行う。なお、信号処理部13では、図示しないメモリを備え、再生信号を一旦メモリに記憶し、制御部17の制御に基づいて、メモリからの読み出し速度、読み出し順序等を変えてデータの読み出しを行い、読み出した信号を出力部14に出力することができる。
【0017】
出力部14は、信号処理部13から入力する信号を増幅し、外部に出力する。回転操作部15は、例えば円盤状の回転操作板を備え、回転操作板の回転方向、回転速度に応じた制御信号を制御部17に出力する。
【0018】
ボタン入力部1は、ディスクローディング装置11によるディスク搬送を指示するための指示ボタン(例えば、ディスクの取り出しを指示するイジェクトボタン)、ディスクの再生の開始・停止を指示するボタン等を備え、利用者がこれらのボタンを操作すると、操作されたボタンに応じた制御信号を制御部4に出力する。
【0019】
制御部4は、ディスク再生装置全体を総合的に制御する。また、制御部4は、回転操作部15あるいはボタン入力部1から入力する制御信号に基づいてディスクローディング装置11を制御し、ディスクの搬送を行う。また、ボタン入力部16から入力する制御信号に基づいて再生部12、信号処理部13及び出力部14を制御し、ディスクに記録されている情報を再生する。また、制御部4は、回転操作部15の制御信号に基づいて信号処理部13を制御し、再生信号の読み出し速度、読み出し順序を変化させる。すなわち、図1に示すディスク再生装置は、ディスクに記録された情報を読み出し通常の再生速度で再生することができると共に、回転操作部の回転方向又は回転速度に応じてディスクから読み出した情報の再生速度または再生順序を変更して出力することができる。
【0020】
図2、3は、ディスクローディング部の詳細を説明する図であり、図2は制御ブロックを示し、図3は、ローディング装置によるディスクの挿入及び取り出し処理を説明する図である。
【0021】
図2に示すように、ボタン入力部1、ディスクの位置を検出すセンサ2及びセンサ3、ディスクの搬送を行うローディングモータ5を備える。ボタン入力部1はディスクの取り出し(排出)を指示するイジェクトボタン1aを備える。
【0022】
センサ2,3はディスク有無を検出するセンサであり、例えばセンサ上にディスクが存在するときON信号、存在しないときOFF信号を出力する。制御部4はセンサ2,3から入力される情報をもとにローディングモータ5に信号を出力し、ディスクを挿入したり排出したりする。
【0023】
図3はローディング装置によるディスクの挿入及び取り出し処理を説明する図であり、図3(a)(b)は挿入時の処理を示し、図3(c)(d)は取り出し時の処理を示す。
【0024】
まず、ディスク6を挿入する際の処理について説明する。図3(a)においてディスク6を筐体の挿入口に挿入すると、第1のセンサ2はディスクの存在を検出してON信号を出力する。制御部4は、このON信号を検出してローディングモータ5に信号を出力し、ローディングローラ7をディスク挿入方向に回転させる。
【0025】
ローディングローラ7はディスク6の上面側と下面側に存在し、ディスク6を挟む形で筐体8内部に搬送することができる。ローディングローラ7により搬送されたディスク6が、図2(b)に示す位置まで搬送されると、第2のセンサ3がディスクの存在を検出してON信号を出力する。制御部4は、このON信号を検出してローディングモータ5への信号出力を停止する。その後、制御部4の指示により、ディスク6をターンテーブル9とクランパ10により狭持して、ディスク情報を読み取る為にターンテーブルを回転させる。 次に、ディスク6を取り出す際の処理、すなわち通常のディスク排出処理について説明する。まず、ディスク6が図2(b)に示す状態においてボタン入力部1のイジェクトボタン1aが操作されたとする。制御部4は、この操作を検出するとディスクの回転を停止させ、ターンテーブルとクランパ10によるディスク6の狭持を解除する。また、ローディングモータ5に信号を出力し、ローディングローラ7をディスク6が排出される方向に回転させる。ローディングローラ7によりディスク6が排出方向に搬送され、ディスクが、図2(c)に示す位置まで搬送されると、第2のセンサ3がOFF信号を出力する。その後、ディスクが、図2(d)に示すように第1のセンサ2がOFF信号を出力する位置まで搬送されたら、制御部4はローディングモータ5に出力していた信号を停止し、ローディングモータ5を停止させる。
【0026】
図4は、ディスク再生装置におけるディスクの挿入及び排出処理を説明する図である。 まず、イジェクトボタン1aを操作してディスクを取り出す処理をを説明する。この場合、最初のステップSlにおいて、ボタン入力部1のイジェクトボタン1aの操作を監視し、イジェクトボタン1aが操作されたことを検出するとステップS2に進む。ステップS2において、初期設定として制御部4の内部の図示しないメモリ上に用意した「ボタン押しパラメータ」という変数を「0」に初期化する。なお、このパラメータは、偶数の場合はディスク搬送方向としてローディング方向を、また、奇数の場合は排出方向を表すものとする。
【0027】
ステップS3において、制御部4の内部の図示しないメモリ上に予め用意された「長押し検出タイマ」という変数の値(例えば、5000ミリ秒)を所定時間(例えば、1ミリ秒)毎にデクリメントする。ステップS4において、イジェクトボタン1aが規定時間(「長押し検出タイマ」という変数で設定された値(5000ミリ秒))以上の時間が経過したか否かを検出し、規定時間以上が経過した場合はステップS5に進み、そうでない場合はステップS10に進む。ステップS10において、イジェクトボタン1aが解放(リリース)されたか否かを検出し、リリースされた場合はステップS11に進み、そうでない場合はステップS4に進む。
【0028】
通常のイジェクトボタン操作では、イジェクトボタンを押すとすぐにイジェクトボタンから指を放すため、通常はステップS4からステップS10介してステップS11に進むことになる。
【0029】
ステップS11において、ステップS3における「長押し検出タイマ」という変数の値を所定時間毎にデクリメントする処理を停止するとともに変数をリセットする。ステップS12において、ボタン押しパラメータの内容を確認する。この例の場合は、未だ「0」であるので、ボタン押し直後であると判断し、ステップS13に移行し、通常のディスク排出処理を行う。
【0030】
次に、センサ故障時のディスク取り出しについて説明する。例えば、第1及び第2のセンサ2,3が故障してOFF信号しか出力しないようになった場合においては、イジェクトボタン1aを長押しすることにより、ディスクを取り出すことができる。
【0031】
ステップS4において、イジェクトボタン1aがが長押しされている(規定時間以上操作されている)と判定すると、ステップS5に進む。ステップS5において、前記変数である「長押し検出タイマ」を再度、例えば5000ミリ秒にセットし、所定時間(1ミリ秒)毎にデクリメントする。ステップS6において、前記「ボタン押しパラメータ」をインクリメントし、偶数なら奇数、奇数なら偶数に変更する。なお、「ボタン押しパラメータ」は、テップS2において「0」に初期化されているので、ステップS6では1になっている。
【0032】
ステップS7において、「ボタン押しパラメータ」が奇数であるか偶数であるかを判別し、奇数の場合はステップS8に進み、偶数の場合はステップS9に進む。この例の場合は奇数「1」であるので、ステップS8に進み、ローディングローラをディスクを排出する方向に駆動してディスクを排出する。このとき、ステップS4とステップSl0を繰り返すが、その後5秒間はディスクを排出する方向にローディングモーターが回るので、ディスクが排出され、ディスクを取り出すことが可能となる。 ディスクの取り出しに成功した場合は、イジェクトボタン11aから指を放すことにより、ステップS10からステップS11に移行する。ステップS12において、「ボタン押しパラメータ」は「0」以外となっているので、ステップS14に移行し、モータの回転は停止する。
【0033】
次に、センサ故障時のディスク挿入について説明する。例えば、第1及び第2のセンサ2,3が故障してOFF信号しか出力しないようになった場合においては、イジェクトボタン1aを長押しすることにより、ディスクを挿入することができる。
【0034】
ステップS4においてイジェクトボタン1aが長押しされている(規定時間以上操作されている)と判定すると、ステップS5に進む。ステップS5において、前記変数である「長押し検出タイマ」を再度、例えば5000ミリ秒にセットし、所定時間(1ミリ秒)毎にデクリメントする。ステップS6において、前記「ボタン押しパラメータ」をインクリメントし、偶数なら奇数、奇数なら偶数に変更する。なお、「ボタン押しパラメータ」は、テップS2において「0」に初期化されているので、ステップS6では1になっている。
【0035】
ステップS7において、「ボタン押しパラメータ」が奇数であるか偶数であるかを判別し、奇数の場合はステップS8に進み、偶数の場合はステップS9に進む。この例の場合は奇数「1」であるので、ステップS8に進み、ローディングローラをディスクを排出する方向に駆動してディスクを排出する。このとき、ステップS4とステップSl0を繰り返すが、その後5秒間はディスクを排出する方向にローディングモーターが回る。なお、この例の場合はディスクが挿入されていないため、単にローディングモーターが回っているだけとなる。
【0036】
5秒が経過すると再びステップS6に移行する。ここでは「ボタン押しパラメータ」インクリメントされて「2」となる。ステップS7において、「ボタン押しパラメータ」は偶数であるため、ステップS9において、ディスクを挿入する方向にローディングモータを駆動する。その後ステップS4とステップS10を繰り返すが、5秒間はディスクを挿入する方向にローディングモータを駆動する。このため、この間にディスクを挿入すれば、ディスクを筐体内にローディングすることが可能となる。ディスクのローディングに成功した場合は、イジェクトボタンから指を放すことにより、ステップS10からステップS11に移行する。ステップS12において「ボタン押しパラメータ」は「0」以外であるので、ステップS14に移行し、モータが停止する。ここで、最初にイジェクトボタンを操作する際に、他のボタンを操作しながらイジェクトボタンを操作したときは、ステップS2においてボタン押しパラメータに1を入れることにより、先にローディング動作を行うように変更することができる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態によれば、ローディングローラを用いてディスクを搬送する方式のディスク再生装置において、ディスク位置を検出するセンサが故障した場合においても、強制的にディスクを挿入し、また排出することが可能になる。
【0038】
また、例えば、イジェクトボタン1aを操作(押圧)したままにしておくと、ローディングモータ5はディスクを排出する方向及びディスクを挿入する方向に交互に5秒ずつ駆動されることになる。従ってこの動作を観察することにより、ローディングローラを用いてディスクを搬送する機構の状態を検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態にかかるディスク再生装置を説明する図である。
【図2】ディスクローディング部の制御ブロックを説明する図である。
【図3】ローディング装置によるディスクの挿入及び取り出し処理を説明する図である。
【図4】ディスク再生装置におけるディスクの挿入及び排出処理を説明する図である。
【符号の説明】
【0040】
1 ボタン入力部
1a イジェクトボタン1a
2,3 センサ
4 制御部
5 ローディングモータ
6 ディスク
7 ローディングローラ
8 筐体
9 ターンテーブル
10 クランパ
11 ディスクローディング装置
12 再生部
13 信号処理部
14 出力部
15 回転操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクの位置を検出するための複数のセンサと、
ディスクを搬送するためのローディングローラと、
ローディングローラを回転駆動するローディングモータと、
前記複数のセンサからの出力信号を監視して前記ローディングモータを制御する制御部と、
ディスクの搬送を指示するボタン入力部を備えたディスク再生装置において、
前記制御部は、ボタン入力部のボタンが第1の所定時間以上操作し続けられたことを検出したとき、前記センサ出力に関わらず、前記ローディングローラを、ディスクを排出または挿入する方向に駆動することを特徴とするディスク再生装置。
【請求項2】
請求項1記載のディスク再生装置において、
前記ローディングローラをディスクが排出される方向に駆動開始した後、第2の所定時間が経過する以前に前記ボタン操作が解除されたことを検出したとき、ローディングローラを回転駆動するローディングモータの駆動を停止することを特徴とするディスク再生装置。
【請求項3】
請求項1記載のディスク再生装置において、
前記ローディングローラをディスクが排出または挿入する方向に駆動開始した後、第2の所定時間が経過するまで前記ボタン操作が継続されたことを検出したとき、ローディングローラを前記とは逆方向に駆動することを特徴とするディスク再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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