説明

ディスク制御装置及びディスク制御装置の書き込み障害検出方法

【課題】有効なデータが書き込まれている領域であっても、書き込み障害の事前検出を可能にする。
【解決手段】ディスク制御装置1は、データをディスク上の領域に記憶するハードディスクドライブ40と、データを一時的に保存するキャッシュメモリ30と、ハードディスクドライブの所定の領域に記憶されたデータを読み出し、キャッシュメモリに一時保存し、当該一時保存したデータを既述の所定の領域に書き込み、データの書き込み障害の有無を検出するハードディスク制御部10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク制御装置及びディスク制御装置の書き込み障害検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスク制御装置におけるデータの読み出し障害を検出する技術が知られている。この技術は、例えば、パトロールリードと称され、該当領域を通常のデータアクセスとは独立して読み出すことにより、事前に読み出し障害を検出している。
【0003】
また、ワークエリアに生成した検査ファイルを、検査を実施する記憶媒体の所定の領域に書き込み、その検査ファイルを当該領域から読み出し、読み出した検査ファイルとワークエリアに生成した検査ファイルとを比較することにより、記憶媒体の異常の有無を検出する技術が知られている。(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−152609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既述の技術では、データの読み出し障害をパトロールリードにより検出することが可能であるが、既に有効なデータが書き込まれている領域への書き込み障害を事前に検出することができない。この点は、特許文献1に記載の技術を用いても同様であり、既に有効なデータが書き込まれている領域については記録媒体の異常の有無を検出することができない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、有効なデータが書き込まれている領域であっても、書き込み障害の事前検出を可能にするディスク制御装置及びそのディスク制御装置の障害検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、データをディスク上の領域に記憶する記憶部と、データを一時的に保存する保存部と、前記記憶部の所定の領域に記憶されたデータを読み出し、前記保存部に一時保存し、当該一時保存したデータを前記所定の領域に書き込み、前記データの書き込み障害の有無を検出する制御部と、を備えるディスク制御装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、有効なデータが書き込まれている領域であっても、書き込み障害の事前検出を可能にするディスク制御装置及びそのディスク制御装置の障害検出方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態に係る書き込み障害検出装置の構成を示す図である。
【図2】同実施の形態に係る障害検出処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、本発明を適用したハードディスク制御装置1の構成を示す図である。同図に示すように、ハードディスク制御装置1は、ハードディスク制御部10、インタフェース制御部20、キャッシュメモリ30、及びハードディスクドライブ40(HDD)を有している。また、ハードディスク制御部10は、キャッシュメモリ30、及びインタフェース制御部20と接続されており、インタフェース制御部20は更に、ハードディスクドライブ40と接続されている。
【0012】
ハードディスク制御部10は、ハードディスクドライブ40の所定の領域に記憶されたデータを読み出し、キャッシュメモリ30に一時保存し、当該一時保存したデータを再度既述の所定の領域に書き込み、当該データの書き込み障害の有無を検出する。
【0013】
より詳細には、ハードディスク制御部10は、読み出し制御部11、及び書き込み制御部12を有しており、これら読み出し制御部11、及び書き込み制御部12によって、データの書き込み障害を検出する処理を実行する。
【0014】
読み出し制御部11は、インタフェース制御部20を介して、ハードディスクドライブ40内のディスクの所定の領域に記憶されているデータを読み出し、キャッシュメモリ30に一時保存する。
【0015】
書き込み制御部12は、キャッシュメモリ30に一時保存したデータを、インタフェース制御部20を介してハードディスクドライブ40内の当該データを読み出した所定の領域に書き込む。また、書き込み制御部12は、データを書き込む場合、障害の発生の有無を検出する。障害の発生を検出した場合、書き込み制御部12は、書き込み障害が発生しない他の領域にそのデータを書き込む。なお、他の領域は、例えば、システム毎に予め設定されており、より具体的には、ハードディスクドライブ40内部における当該所定の領域以外の領域、又は、上位装置に接続されている他のハードディスクドライブにおける任意の領域である。
【0016】
インタフェース制御部20は、ハードディスク制御部10の制御の下、ハードディスクドライブ40とハードディスク制御部10との間のデータの授受を制御する。
【0017】
キャッシュメモリ30は、データを一時保存するメモリである。キャッシュメモリ30は、ハードディスク制御部10によりデータが一時保存され、また、一時保存したデータが読み出される。
【0018】
次に、ハードディスク制御部10が実行する処理について、図2を参照しながら説明する。この図2を参照して説明する処理は、所定のタイミングで、或いは、定期的に実行される。
【0019】
読み出し制御部11は、インタフェース制御部20を介して、ハードディスクドライブ40から所定のテスト領域のデータを読み出し(S101)、読み出したデータをキャッシュメモリ30に一時保存する(S102)。なお、テスト領域は、読み出し制御部11により設定される。
【0020】
次に、書き込み制御部12は、キャッシュメモリ30に一時保存したデータを用いて、テスト領域にデータを上書きする(S103)。
【0021】
このデータを上書きするときに、書き込み制御部12は、データ書き込み時の障害発生の有無を検出したか否かを判定する(S104)。
【0022】
書き込み制御部12がデータ書き込み時に障害の発生を検出しなかった場合(S104:NO)、書き込み制御部12は、テスト領域におけるデータ書き込み時に障害が発生しないことを確認できる。
【0023】
一方、書き込み制御部12がデータ書き込み時に障害の発生を検出した場合(S104:NO)、書き込み制御部12は、インタフェース制御部20を介して、例えば、ハードディスクドライブ40内のテスト領域以外の書き込み可能な他の領域へデータを書き込む。
【0024】
この実施の形態によると、ハードディスク制御装置1は、既に有効なデータが書き込まれている領域においても、既に書き込まれているデータを上書きすることができ、データ書き込み時に障害が発生するか否かを検出することができる。したがって、ハードディスク制御装置1は、データ書き込み時の障害発生の有無を事前に検出することができ、書き込まれているデータの信頼性を向上させることができる。
【0025】
また、ハードディスク制御装置1は、書き込み時に障害が発生した場合は、テスト領域以外の書き込み可能な領域にデータを書き込むことができる。このデータの書き込みは、例えば、ハードディスクドライブ40内部における他の領域、又は上位装置に接続された他のハードディスクドライブおける所定の領域に行われる。このようにデータ書き込み時に書き込み障害が発生することが検出された場合は、テスト領域以外の代替領域へデータを移動することができるため、ハードディスク制御装置1は、データ書き込み時に書き込み障害の発生によって生じる処理性能の低下を回避することができる。
【0026】
このようにテスト領域以外の代替領域へデータを移動する処理を、所定のタイミング、或いは、定期的に実行する結果、ハードディスク制御装置1は、データ書き込み時に障害が発生する可能性がある領域を事前に検出し、書き込み障害が発生する領域へデータを書き込む事態を回避することが可能になる。
【0027】
更に、読み出し制御部11がハードディスクドライブ40のテスト領域から読み出したデータと初期フォーマットパターンとが同一であった場合、書き込み制御部12が初期フォーマットパターンを当該テスト領域へ書き込む処理を行うことで、読み出したデータをキャッシュメモリ30に一時保存する処理を行わなくても、ハードディスク制御装置1は、既述の効果と同様の効果を奏することができる。
【0028】
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、その実施に際して様々な変形が可能である。
【0029】
上記実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0030】
(付記1)
データをディスク上の領域に記憶する記憶部と、
データを一時的に保存する保存部と、
前記記憶部の所定の領域に記憶されたデータを読み出し、前記保存部に一時保存し、当該一時保存したデータを前記所定の領域に書き込み、前記データの書き込み障害の有無を検出する制御部と、
を備えることを特徴とするディスク制御装置。
【0031】
(付記2)
前記制御部は、前記データの書き込み障害を検出した場合、前記所定の領域以外の領域に前記データを書き込む、ことを特徴とする付記1に記載のディスク制御装置。
【0032】
(付記3)
前記制御部は、前記所定の領域から読み出したデータが初期フォーマットデータであった場合、当該データの前記保存部への一時処理を行わず、初期フォーマットデータを前記所定の領域へ書き込む、ことを特徴とする付記1又は2記載のディスク制御装置。
【0033】
(付記4)
ディスクの所定の領域に記憶されたデータを読み出すステップと、
読み出したデータを一時保存するステップと、
当該一時保存したデータを前記所定の領域に書き込むステップと、
前記データの書き込み障害の有無を検出するステップと、
を有することを特徴とするディスク制御装置の障害検出方法。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、データの書き込み障害を検出するディスク制御装置及びディスク制御装置の障害検出方法に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0035】
1・・・ハードディスク制御装置
10・・・ハードディスク制御部
11・・・読み出し制御部
12・・・書き込み制御部
20・・・インタフェース制御部
30・・・キャッシュメモリ
40・・・ハードディスクドライブ(HDD)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データをディスク上の領域に記憶する記憶部と、
データを一時的に保存する保存部と、
前記記憶部の所定の領域に記憶されたデータを読み出し、前記保存部に一時保存し、当該一時保存したデータを前記所定の領域に書き込み、前記データの書き込み障害の有無を検出する制御部と、
を備えることを特徴とするディスク制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記データの書き込み障害を検出した場合、前記所定の領域以外の領域に前記データを書き込む、ことを特徴とする請求項1記載のディスク制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記所定の領域から読み出したデータが初期フォーマットデータであった場合、当該データの前記保存部への一時処理を行わず、初期フォーマットデータを前記所定の領域へ書き込む、ことを特徴とする請求項1又は2記載のディスク制御装置。
【請求項4】
ディスクの所定の領域に記憶されたデータを読み出すステップと、
読み出したデータを一時保存するステップと、
当該一時保存したデータを前記所定の領域に書き込むステップと、
前記データの書き込み障害の有無を検出するステップと、
を有することを特徴とするディスク制御装置の障害検出方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−83980(P2012−83980A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230336(P2010−230336)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】