説明

ディスク装置およびディスク排出方法

【課題】スロットローディング方式のディスク装置からディスクを簡単な操作で確実に排出する。
【解決手段】シャーシ外装23のフロント面にディスクを直接挿入するディスク装置に、ディスクのスピンドルモータ31との装着状態を解除して装置外部にディスクを排出するディスク排出手段44と、ディスクが排出された状態を検出するディスク排出状態検出手段45と、ディスクのローディング動作が可能な状態を検出するディスクローディング待機状態検出手段25とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体であるディスクを回転駆動して信号を再生するスロットローディング式のディスク装置およびこのディスク装置内のディスクを排出するするディスク排出方法に関するものである。
ここで、ディスクとは中心孔を有する円板状記録媒体で、CD、DVDなどの光ディスク、光磁気ディスク、及びアナログレコード盤等を含み、これらを包括する総称として単にディスクと表記するものとする。また、特に断らない限り、ジャケットに収納されていないベアディスクを表わすものとする。
【背景技術】
【0002】
スロットローディング式のディスク装置としては、ベース本体と蓋体とからシャーシ外装のフロント面にディスクを直接挿入するディスク挿入口を形成するとともにベース本体にトラバースを設け、スピンドルモータとピックアップとピックアップを移動させる駆動手段とをトラバースによって保持する構成において、スピンドルモータがベース本体の中央部に位置し、トラバースをピックアップの往復動範囲がスピンドルモータよりもディスク挿入口側に位置するように配設し、トラバースをベース本体に支持する一対のインシュレータがスピンドルモータの位置よりもピックアップの静止位置側に位置するように配設し、スピンドルモータがベース本体側または蓋体側に近接するようにトラバースを変位させるカム機構をメインスライダーとサブスライダーにそれぞれ設け、メインスライダーをトラバースの側方に一端がシャーシ本体のフロント面側、他端がシャーシ本体のリア面側となる方向に配設し、サブスライダーをメインスライダーと直交する方向に配設し、メインスライダーの一端側にローディングモータを配設し、メインスライダーの一端側とローディングモータの駆動軸とをギアを介して連結し、ローディングモータの駆動によってメインスライダーを長手方向に摺動させることにより、薄型化と小型化を図った構成が提案されている。(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−236711公報((0004)〜(0005)および図1など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に記載されているスロットローディング式のディスク装置においては、ディスクを排出する際の各機械要素の連係動作については詳細に記載されているが、ディスクを簡単な操作で確実に排出するための制御方法についての記載はない。
【0004】
そこで本発明はスロットローディング式のディスク装置において、ディスクを簡単な操作で確実に排出するための構成およびその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明のディスク装置は、シャーシ外装のフロント面にディスクを直接挿入するディスク装置であって、前記ディスクがディスク装置内部に挿入されたことを検出するディスク挿入検出手段と、前記ディスクのスピンドルモータへの装着状態を解除して前記ディスク装置外部に前記ディスクを排出するディスク排出手段と、前記ディスク排出手段により前記ディスクが排出された状態を検出するディスク排出状態検出手段と、ディスクローディング状態と、ディスク排出状態の間で、前記ディスクを挿入してローディング動作を行うことが可能な状態を検出するディスクローディング待機状態検出手段とを備えることを特徴とする。
請求項2記載の本発明のディスク排出方法は、請求項1に記載のディスク装置におけるディスク排出方法であって、前記ディスク挿入検出手段により前記ディスクが前記ディスク装置内部に挿入されていることを検出した後、前記ディスク排出手段により前記ディスクと前記スピンドルモータとの装着状態を解除して前記ディスク装置外部に排出するディスク排出ステップと、前記ディスク排出状態検出手段によりディスク排出状態を検出するディスク排出状態検出ステップと、前記ディスクローディング待機状態検出手段によりディスクローディング待機状態を検出するディスクローディング待機状態検出ステップとを備えることを特徴とする。
請求項3記載の本発明は請求項2に記載のディスク排出方法において、前記ディスク挿入検出手段のポーリングを監視して前記ディスクが前記ディスク装置内部に挿入されたことを検出することを特徴とする。
請求項4記載の本発明は請求項2に記載のディスク排出方法において、チャタリング除去を行った後、前記ディスク排出状態検出ステップを行うことを特徴とする。
請求項5記載の本発明は請求項2に記載のディスク排出において、チャタリング除去を行った後、前記ディスク排出待機状態検出ステップを行うことを特徴とする。
請求項6記載の本発明は請求項2に記載のディスク排出において、前記ディスク挿入検出手段の状態を検出するディスク検出状態検出ステップ、前記ディスク排出状態検出ステップおよび前記ディスクローディング待機状態検出ステップの結果をモニタしながらローディングモータを駆動するローディングモータ駆動ステップとを有することを特徴とする。
請求項7記載の本発明は請求項6に記載のディスク排出方法において、前記モニタの結果により前記ディスク排出手段のメカ位置を把握し、前記メカ位置の状態に応じて異なる駆動電圧を使って前記ローディングモータを駆動するローディングステップとを有することを特徴とする。
請求項8記載の本発明は請求項2に記載のディスク排出方法において、前記ディスク排出状態検出ステップにより前記ディスクが排出されたことを検出した後に、ローディングメカ位置をディスク挿入可能位置へ移動させることを特徴とする。
請求項9記載の本発明は請求項2に記載のディスク排出方法において、前記ディスク排出ステップを実行中に、さらに前記ディスクを排出する指示を受けたとき、現在実行中のディスク排出ステップを継続することを特徴とする。
請求項10記載の本発明は請求項2に記載のディスク排出方法において、前記ディスク排出ステップの前に前記ピックアップを前記ディスクの外周方向に移動させることを特徴とする。
請求項11記載の本発明は請求項10に記載のディスク排出方法において、ピックアップの現在位置に応じて、前記ピックアップの外周方向への移動量を制御することを特徴とする。
請求項12記載の本発明は請求項11に記載のディスク排出方法において、前記ピックアップの移動量をエンコーダによりモニタし、前記エンコーダ出力が所定量以上変化しなくなった時点で前記ピックアップの移動を停止させることを特徴とする。
請求項13記載の本発明は請求項10記載のディスク排出方法において、前記ピックアップの現在位置が取得できないとき、前記ピックアップを最内周に移動させた後、所定の移動量だけ外周方向に移動させることを特徴とする。
請求項14記載の本発明は請求項10に記載のディスク排出方法において、前記ディスク装置内に前記ディスクが無い場合は、前記ピックアップの外周方向への移動を行わないことを特徴とする。
請求項15記載の本発明は請求項2に記載のディスク排出方法において、前記ディスク排出ステップを行う前に前記ピックアップのレンズを所定位置に動かすことを特徴とする。
請求項16記載の本発明は請求項2に記載のディスク排出方法において、前記ディスク排出状態検出ステップで前記ディスクの排出を検出した後、前記ローディングモータを逆転動作することを特徴とする。
請求項17記載の本発明は請求項16に記載のディスク排出方法において、前記ローディングモータの逆転動作の前に前記ローディングモータのブレーキ動作を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、スロットローディング式としてディスク装置全体の小型軽量化、薄型化が図れるとともに、ディスクの排出に際して、ディスクがディスク装置内部に挿入されていることを検出した後、ディスクとスピンドルモータとの装着状態を解除し、ディスクの排出状態を検出するとともにディスクローディング待機状態を検出することにより、ディスクを簡単な操作で確実に排出させることができる。したがって使用者のディスク装置に対するディスクの排出や固定操作が必要なくなると共に、ディスク装置内でディスクを適切に取扱うことができ、エラーの発生を抑えられるという有利な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の第1の実施の形態によるディスク装置は、スロットローディング式のディスク装置の内部にディスクが挿入されたことを検出するディスク挿入検出手段と、ディスクのスピンドルモータへの装着状態を解除してディスク装置外部にディスクを排出するディスク排出手段と、ディスクが排出された状態を検出するディスク排出状態検出手段と、ディスクを挿入してローディング動作を行うことが可能な状態を検出するディスクローディング待機状態検出手段とを備えたもので、ディスク装置全体の小型軽量化、薄型化を図ったスロットローディング式のディスク装置からディスクを簡単な操作で確実に排出することができる。したがって、ディスク装置内でディスクを適切に取扱うことができ、エラーの発生を抑えることができる。
本発明の第2の実施の形態のディスク排出方法は、第1の実施の形態によるディスク装置におけるディスク排出に際して、ディスクがディスク装置内部に挿入されていることを検出した後に、ディスクとスピンドルモータとの装着状態を解除してディスク装置外部に排出し、ディスク排出状態検出手段によりディスク排出状態を検出し、ディスクローディング待機状態検出手段によりディスクローディング待機状態を検出するもので、ディスク装置全体の小型軽量化、薄型化を図ったスロットローディング式のディスク装置からディスクを簡単な操作で確実に排出することができる。したがって、ディスク装置内でディスクを適切に取扱うことができ、エラーの発生を抑えることができる。
本発明の第3の実施の形態は、第2の実施の形態によるディスクローディング方法において、ディスクのディスク装置内部への挿入をディスク挿入検出手段のポーリングを監視しておこなうもので、電気的な簡単な方法でディスクのディスク装置内部への挿入を検出することができる。
本発明の第4の実施の形態は、第2の実施の形態によるディスクローディング方法において、チャタリング除去後にディスク排出状態を検出するもので、ディスク排出状態を正確に検出することができる。
本発明の第5の実施の形態は、第2の実施の形態によるディスクローディング方法において、チャタリング除去後にディスク排出待機状態を検出するもので、ディスク排出待機状態を正確に検出することができる。
本発明の第6の実施の形態は、第2の実施の形態によるディスクローディング方法において、ディスク検出状態検出ステップ、ディスク排出状態検出ステップおよびディスクローディング待機状態検出ステップの結果をモニタしながらローディングモータを駆動して排出するもので、ローディングモータの駆動動作を適切に制御しながら排出させることができる。
本発明の第7の実施の形態は、第6の実施の形態によるディスクローディング方法において、モニタの結果によりディスク排出手段のメカ位置を把握し、そのメカ位置に応じて異なる駆動電圧を使ってローディングモータを駆動するもので、メカ位置に対応してローディングモータの駆動動作を最適に制御しながら排出させることができる。
本発明の第8の実施の形態は、第2実施の形態によるディスクローディング方法において、ディスクが排出されたことを検出した後に、ローディングメカ位置をディスク挿入可能位置へ移動させるもので、ディスク排出後、直ちに次のディスクの挿入に備えることができる。
本発明の第9の実施の形態は、第2実施の形態によるディスクローディング方法において、ディスク排出ステップを実行中に、さらにディスクを排出する指示を受けても、現在実行中のディスク排出ステップをそのまま継続するもので、無駄なディスク排出操作の繰り返しとディスク排出の失敗を防止することができる。
本発明の第10の実施の形態は、第2実施の形態によるディスクローディング方法において、ディスク排出ステップの前にピックアップをディスクの外周方向に移動させるもので、ディスクの排出レバーとピックアップが衝突してピックアップを傷つけてしまうことを防止することができる。
本発明の第11の実施の形態は、第10実施の形態によるディスクローディング方法において、ピックアップの外周方向への移動量をピックアップの現在位置に応じて制御するもので、ピックアップの位置にかかわらず最適位置に移動させることができる。
本発明の第12の実施の形態は、第11実施の形態によるディスクローディング方法において、ピックアップの移動量をエンコーダによりモニタし、エンコーダ出力が所定量以上変化しなくなった時点でピックアップの移動を停止させるもので、ピックアップの位置にかかわらず確実に最適位置に移動させることができる。
本発明の第13の実施の形態は、第10実施の形態によるディスクローディング方法において、ピックアップの現在位置が取得できないときには、ピックアップを一度最内周に移動させてから所定の移動量だけ外周方向に移動させるもので、ピックアップの現在位置がわからなくてもメカ的にハトビを起こすことなく最適位置に移動させることができる。
本発明の第14の実施の形態は、第10実施の形態によるディスクローディング方法において、ディスク装置内にディスクが無い場合は、ピックアップの外周方向への移動を行わないもので、無駄なピックアップ移動操作を行わないようにすることができる。
本発明の第15の実施の形態は、第12実施の形態によるディスクローディング方法において、ディスク排出ステップを行う前にピックアップのレンズを所定位置に動かすもので、排出レバーがピックアップレンズに当たることを確実に防止することができる。
本発明の第16の実施の形態は、第12の実施の形態によるディスクローディング方法において、ディスクの排出を検出した後、ローディングモータを逆転動作させるもので、ローディングモータが惰力で回転する惰力の排出動作を即時に停止させることができる。
本発明の第17の実施の形態は、第16の実施の形態によるディスクローディング方法において、ローディングモータの逆転動作の前にローディングモータのブレーキ動作を行うもので、ローディングモータの逆起電圧発生を防止して速やかに逆転動作に移行することができる。
【実施例】
【0008】
以下本発明の一実施例によるディスク装置について説明する。図1は本実施例によるディスク装置のブロック図である。ディスク装置の基本構成は、ベース本体10、蓋体19、シャーシ外装23、ディスク挿入口11、コネクタ12、トラバース30、プリント基板14、スピンドルモータ31、ピックアップ32および駆動手段33から構成されている。シャーシ外装23はベース本体10と蓋体19とから構成されている。蓋体19のフロント面にはディスクを直接挿入するディスク挿入口11が形成されており、シャーシ外装23のリア面にはコネクタ12が配設されている。ベース本体10にはトラバース30とプリント基板14が設けられている。トラバース30はスピンドルモータ31とディスクを保持しこのディスクを回転駆動することによりディスクに対し記録再生動作を行い、また、保持状態からディスクを解放するピックアップ32とピックアップ32を移動させる駆動手段33とを保持している。
【0009】
ディスク装置は、さらに、ディスクローディング制御系として、ディスクがディスク装置内部に挿入されたことを検出するディスク挿入検出手段24と、ディスクを挿入してローディング動作を行うことが可能な状態を検出するディスクローディング待機状態検出手段25と、ディスク挿入検出手段24によりディスクがディスク装置内部に挿入されたことを検出した検出情報によりディスク装置内部にディスクをローディングモータの駆動により移動させてスピンドルモータ31に回転可能に装着するディスクローディング手段26と、ディスクローディング手段26がディスクのローディング動作を完了した状態を検出するローディング完了検出手段27と、ディスク装置内部のディスク有無を検出するディスク有無検出手段28と、ディスクローディング手段26のメカ位置を検出するメカ位置検出手段29とを有している。
【0010】
ディスク挿入検出手段24は、ディスクが挿入されるとオフになり、ディスクが挿入されていないときはオンになるスイッチで構成される。ディスクローディング待機状態検出手段25はディスクのローディング待機状態になったときにオンになり、ローディング待機状態以外の状態でオフになるスイッチで構成される。ローディング完了検出手段27はディスクのローディング状態を監視してディスクが完全にローディングされたときにオンになり、それ以外の場合はオフになるスイッチで構成される。ディスク有無検出手段28はディスク装置の内部にディスクがあるときはオフ、無いときはオンになるスイッチで構成される。メカ位置検出手段29はディスクローディング手段26のメカがローディング動作中に移動しているときのメカ位置を検出し、メカがローディング完了位置とエジェクト完了位置の間にあるスタンバイ位置とローディング完了位置の間にあるときにオンになり、それ以外の場合はオフになるスイッチで構成される。
【0011】
また、ディスク排出制御系として、ディスク排出を指示する排出スイッチ43と、排出スイッチ43の指示によりディスクのスピンドルモータ31への装着状態を解除してディスク装置の外部にディスクをローディングモータの駆動により排出するディスク排出手段44と、ディスク排出手段44によりディスクが排出された状態を検出するディスク排出状態検出手段45とを有している。ディスク排出状態検出手段45は、ディスクの排出が完了したときにオンになり、ディスクの排出が完了していないときにオフになるスイッチで構成される。
【0012】
つぎに動作を図2とともに説明する。図2は本発明の実施例によるディスク装置の初期化動作処理を説明するフローチャートである。まず、電源投入や初期化動作を要求されるとディスク装置における基本初期化動作処理を行う。スロットローディング式では、電源オン直後に一度エジェクト動作を行って初期化動作を行う必要がある。目的はディスクが無い場合に、異常な位置で停止しているかもしれないディスクローデイングメカを通常のスタンバイ位置に戻すためである。初期化動作では、図2に示すように、まず、ディスク有無検出手段27でディスク装置内にディスクが存在するかどうかを判別し(ステップ1)、ディスクが装置内に存在することを検出したときには、メカ位置は必ずローディング完了位置にあるので、エジェクト方向への初期化処理は行わず、スピンアップ処理を行って記録再生が可能な状態にする(ステップ2)。
【0013】
一方、ディスクが無い場合は、エジェクト動作を開始し(ステップ3)、ディスク排出手段43を動作させてディスク排出状態検出手段44がディスク排出状態を検出するまでディスク排出動作を行う(ステップ4)。ディスク排出手段43のディスク排出動作によりディスク排出状態を検出すると、ディスクローディング手段26を動作させてローディング動作に移り(ステップ5)、ディスクローディング待機状態検出手段25がディスクローディング待機状態を検出するまで動作させてディスクローディング待機状態とし(ステップ6)、初期化を終了する。
【0014】
なお、電源オン時に必ずスタンバイ位置に戻すためのメカ移動動作が発生するので、電源オン時にローディング音がうるさく感じられる。したがって、初期化処理におけるローディングモータ60の駆動電圧は通常のディスクローディング処理あるいは排出処理の駆動電圧よりも低く設定することが好ましい。実際の処理では、排出処理ルーチンをそのまま使用し、排出時の駆動電圧を低下させればよい。なお、電源オン時から初期化処理に移行する間は、排出スイッチまたはディスク検出スイッチを検出してもイベント発行せずにホールドして初期化動作させ、初期化動作が終了するとホールド解除を行う。
【0015】
つぎに、ディスク装置のローディング動作処理を図3とともに説明する。図3はローディング動作処理の制御フローチャートである。ディスク挿入口14にディスクが挿入されると、ディスク挿入検出手段24としてのディスク検出スイッチはディスクが挿入されるとオフになり、ディスクが挿入されていないときはオンになるので、そのポーリングを監視することによりディスクの挿入を検出する(ステップ11)。つぎに、ディスクのチャタリング除去後、ディスクローディング手段26のローディングモータ60をローディング側へ駆動してローディング処理を開始する(ステップ12)。なお、チャタリング除去の後にディスクの挿入を検出する(ステップ11)ようにしてもよい。ローディング処理中に、ローディング完了検出手段27およびディスク有無検出手段28を監視しながらローディングモータ60の駆動動作を制御しながら駆動する。また、メカ位置検出手段29を監視しながらその時点でのローディングメカの位置を把握し、ローディングメカの位置毎にローディングモータ60の駆動電圧を異ならせて細かなローディング制御を行う。
【0016】
ローディング処理実行中に、ローディングモータ60の駆動と並行してディスク回転処理(ステップ13)およびピックアップ内周送り処理(ステップ14)を行う。ディスク回転処理は、複数回チャッキング動作を行うために行う。すなわち、一度だけのチャッキング動作ではチャッキングに失敗する恐れがあるので、ローディング処理中にローディングメカがチャッキングを行う位置に到達後、一旦ローディングメカを排出方向へ戻し、再度ローディング方向へ駆動して2度目のチャッキング動作を行い、以下必要に応じてこの操作を繰り返して複数回のチャッキング動作を行うようにローディングモータ60を駆動する。このとき、ディスク回転処理は1回目のチャッキング動作と2回目のチャッキング動作の間にスピンドルモータ31でディスクを回転させ、チャッキングしにくいチャッキング爪位置で繰り返しチャッキング動作を繰り返すことがないようにする。ピックアップ内周送り処理は、ディスクのスピンアップ時間を短縮するために、ローディング処理中にピックアップをディスクの内周方向に移動させる処理である。
【0017】
ローディング完了検出手段27はローディングが完了したか否かを判定し(ステップ15)、ローディングの完了を検出すると、ローディングモータ60の逆起電圧発生を防止するために、0ボルトの駆動でローディングモータ60のブレーキ動作を行い(ステップ16)、惰力のローディング動作を即時に停止させるためにローディングモータ60を逆転動作させる(ステップ17)。最後に、次のディスクを挿入できないように、また、再度ローディングの要求があってもローディング動作を行わないようにディスクローディング手段26のメカをロックする(ステップ18)。
なお、必要に応じて、ステップ16でローディングの完了を検出した後に、さらにローディング動作を続けてディスクが外れないように念のためにさらに押し込むようにしてもよい。
【0018】
つぎに、ディスク装置のディスク排出処理を図4とともに説明する。図4はディスク排出処理の制御フローチャートである。排出処理が起動されるのは、排出スイッチ43が押下された場合または排出コマンドを受信した場合のいずれかである。排出スイッチ43が押下または排出コマンドが検出されると(ステップ21)、ディスクのスピンドルモータ31への装着状態が解除され(ステップ22)、ローディングモータ60がローディング方向とは逆の排出方向に駆動して排出処理を行う(ステップ23)。
排出処理中に、ディスク検出手段24、ディスク排出状態検出手段45および待機位置検出手段25を監視しながらローディングモータ60を駆動してローディングメカの位置を移動させる。このとき、メカ位置検出手段29を監視しながらその時点でのローディングメカの位置を把握し、ローディングメカの位置毎にローディングモータ60の駆動電圧を異ならせて細かな排出制御を行う。実際の排出処理は、ローディングメカの排出方向への移動とスタンバイ位置への復帰の2動作から構成される。排出方向への移動を行った後では、ローディングメカがロックしており、ディスクを挿入しようとしてもメカが動かない。次のディスクを挿入できるようにするためには、ローディングメカ位置を再度ローディング方向へ移動させてスタンバイ位置への復帰を行う必要がある。排出処理を行っている途中に排出スイッチ43を検出した場合は、イベント発行は行わずに、現在実行中の排出動作を継続する。また、排出処理中に新たなディスク排出指示を受けたときは現在実行中の排出処理をそのまま継続する。
【0019】
ディスク排出状態検出手段45はディスク排出手段44によりディスクの排出が完了したか否かを判定し(ステップ24)、ディスクの排出が完了したことを検出すると、ディスクローディング待機状態検出手段25によりディスクローディング動作を行うことが可能な状態であるか否かを判定する(ステップ25)。ステップ24でディスクの排出が完了していないことを検出すると排出処理(ステップ23)を繰り返す。ステップ25でディスクローディング動作を行うことが可能な状態であると判定されると、ローディングモータ60の逆起電圧発生を防止するために、0ボルトの駆動でローディングモータ60のブレーキ動作を行い(ステップ26)、惰力のローディング動作を即時に停止させるために逆転動作を行う(ステップ27)。最後に、次のディスクを挿入できるように、ローディングメカのメカ位置をディスク挿入可能位置へ移動させてディスクローディング待機状態とする(ステップ28)。
ステップ25でディスクローディング動作を行うことが可能な状態ではないと判定された場合は、ディスクの排出が完了していないと判定して再度排出処理(ステップ23)を繰り返す。
なお、ステップ24のディスク排出状態検出手段45によるディスクの排出完了の判定またはステップ25のディスクローディング待機状態検出手段25によるディスクローディング動作が可能な状態の判定を行う前に必要に応じてチャタリング除去を行うことが好ましい。
【0020】
ところで、排出処理時にピックアップ32が外周に移動していない場合は、ディスク排出手段44の排出レバー100がピックアップ32に衝突してピックアップ32を傷つけてしまう恐れがある。そこで排出処理前にあらかじめピックアップ32を外周位置に移動させておく必要がある。本実施例においては、排出処理を行う前にスピンダウン処理を行ってピックアップ32を外周方向に移動させる。スピンダウン時にピックアップ32の外周移動を行うか否かはディスク有無検出手段28がディスクを検出したか否かで判定し、ディスクを検出した場合にピックアップ32の外周移動を行い、検出しない場合は行わない。このときのディスク有無検出手段28におけるディスク検出ではチャタリング除去は行わない。
【0021】
ピックアップ32の外周移動は、直流モータを使用して行い、スピンダウン処理中に記録再生用のレーザーやフォーカスをオフするとともに、スピンドルモータ31をオフする。スピンドルモータ31のオフ時にディスクに対してピックアップ外周移動を並行して行うようにパラメータを渡す。現在アドレスが取得可能な場合は、現在位置から外周までの距離を求め、その距離に対応した移送量に必要な直流モータ駆動パルス数を算出し、その駆動パルス数だけピックアップ31を外周にパルス送りで移動させる。このときエンコーダによりピックアップの移動量をモニタし、エンコーダ出力が所定量以上変化しなくなった時点でモータ駆動を停止させる。
【0022】
現在位置が取得不可能な場合は、一度ピックアップ32を最内周に移動させ、最内周からエンコーダの出力をモニタしながら所定の固定パルス数だけピックアップ31を外周にパルス送りで移動させる。ピックアップ31を最内周に移動させる場合もエンコーダの出力をモニタしながら移動させる。現在位置が取得不可能な場合にピックアップを最内周に移動させてから外周移動させる理由は、ピックアップ32を直接外周移動させると内周移動させるよりもメカ的にハトビが起こりやすいからである。
なお、ディスクの排出時に排出レバーがピックアップレンズに当たることを防止するためにピックアップレンズを下向きに動かして排出レバーが当たらない所定の位置に移動させることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明のディスク装置およびディスク排出方法は、CDやDVDなどにより映像や音声を記録再生する映像音声記録再生装置、CD、DVDなどにより大型コンピュータやパソコンなどのコンピュータのデータを記録再生するデータ用のデータ記録装置、スロットローディング式のアナログレコードカッティング装置やレコードプレーヤなどの光ディスクや光磁気ディスクを利用した各種の記録再生装置に適用して好適である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例によるディスク装置のブロック図
【図2】本発明の実施例によるディスク装置の初期化動作処理を説明するフローチャート
【図3】本発明の実施例によるディスク装置のディスクローディング方法を説明するフローチャート
【図4】本発明の実施例によるディスク装置のディスク排出処理を説明するフローチャート
【符号の説明】
【0025】
10 ベース本体
11 ディスク挿入口
12 コネクタ
14 プリント基板
19 蓋体
23 シャーシ外装
24 ディスク挿入検出手段
25 ディスクローディング待機状態検出手段
26 ディスクローディング手段
27 ローディング完了検出手段
28 ディスク有無検出手段
29 メカ位置検出手段
30 トラバース
31 スピンドルモータ
32 ピックアップ32
33 駆動手段
43 排出スイッチ
44 ディスク排出手段
45 ディスク排出状態検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャーシ外装のフロント面にディスクを直接挿入するディスク装置であって、
前記ディスクがディスク装置内部に挿入されたことを検出するディスク挿入検出手段と、
前記ディスクのスピンドルモータへの装着状態を解除して前記ディスク装置外部に前記ディスクを排出するディスク排出手段と、
前記ディスク排出手段により前記ディスクが排出された状態を検出するディスク排出状態検出手段と、
ディスクローディング状態と、ディスク排出状態の間で、前記ディスクを挿入してローディング動作を行うことが可能な状態を検出するディスクローディング待機状態検出手段と
を備えることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
請求項1に記載のディスク装置におけるディスク排出方法であって、
前記ディスク挿入検出手段により前記ディスクが前記ディスク装置内部に挿入されていることを検出した後、前記ディスク排出手段により前記ディスクと前記スピンドルモータとの装着状態を解除して前記ディスク装置外部に排出するディスク排出ステップと、
前記ディスク排出状態検出手段によりディスク排出状態を検出するディスク排出状態検出ステップと、
前記ディスクローディング待機状態検出手段によりディスクローディング待機状態を検出するディスクローディング待機状態検出ステップと
を備えることを特徴とするディスク排出方法。
【請求項3】
前記ディスク挿入検出手段のポーリングを監視して前記ディスクが前記ディスク装置内部に挿入されたことを検出することを特徴とする請求項2に記載のディスク排出方法。
【請求項4】
チャタリング除去を行った後、前記ディスク排出状態検出ステップを行うことを特徴とする請求項2に記載のディスク排出方法。
【請求項5】
チャタリング除去を行った後、前記ディスク排出待機状態検出ステップを行うことを特徴とする請求項2に記載のディスク排出方法。
【請求項6】
前記ディスク挿入検出手段の状態を検出するディスク検出状態検出ステップ、前記ディスク排出状態検出ステップ、および前記ディスクローディング待機状態検出ステップの結果をモニタしながらローディングモータを駆動するローディングモータ駆動ステップとを有することを特徴とする請求項2に記載のディスクローディング方法。
【請求項7】
前記モニタの結果により前記ディスク排出手段のメカ位置を把握し、前記メカ位置の状態に応じて異なる駆動電圧を使って前記ローディングモータを駆動するローディングステップとを有することを特徴とする請求項6に記載のディスク排出方法。
【請求項8】
前記ディスク排出状態検出ステップにより前記ディスクが排出されたことを検出した後に、ローディングメカ位置をディスク挿入可能位置へ移動させることを特徴とする請求項2に記載のディスク排出方法。
【請求項9】
前記ディスク排出ステップを実行中に、さらに前記ディスクを排出する指示を受けたとき、現在実行中のディスク排出ステップを継続することを特徴とする請求項2に記載のディスク排出方法。
【請求項10】
前記ディスク排出ステップの前にピックアップを前記ディスクの外周方向に移動させることを特徴とする請求項2に記載のディスク排出方法。
【請求項11】
前記ピックアップの現在位置に応じて、前記ピックアップの外周方向への移動量を制御することを特徴とする請求項10に記載のディスク排出方法。
【請求項12】
前記ピックアップの移動量をエンコーダによりモニタし、前記エンコーダ出力が所定量以上変化しなくなった時点で前記ピックアップの移動を停止させることを特徴とする請求項11に記載のディスク排出方法。
【請求項13】
前記ピックアップの現在位置が取得できないとき、前記ピックアップを最内周に移動させた後、所定の移動量だけ外周方向に移動させることを特徴とする請求項10に記載のディスク排出方法。
【請求項14】
前記ディスク装置内に前記ディスクが無い場合は、前記ピックアップの外周方向への移動を行わないことを特徴とする請求項10に記載のディスク排出方法。
【請求項15】
前記ディスク排出ステップを行う前に前記ピックアップのレンズを所定位置に動かすことを特徴とする請求項2に記載のディスク排出方法。
【請求項16】
前記ディスク排出状態検出ステップで前記ディスクの排出を検出した後、前記ローディングモータを逆転動作することを特徴とする請求項2に記載のディスク排出方法。
【請求項17】
前記ローディングモータの逆転動作の前に前記ローディングモータのブレーキ動作を行うことを特徴とする請求項16に記載のディスク排出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−323902(P2006−323902A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−144567(P2005−144567)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】