説明

ディスク装置

【課題】前面パネルの通常時のデザインを変えることなく、排出されるディスクの取り出しを容易に行い得る[ディスク装置]を提供することである。
【解決手段】ディスク再生駆動機構100の前方に配置された前面パネル10に形成されるディスク挿排口11を通してディスク50のディスク再生駆動機構100への引き込み及びディスク再生駆動機構100からの排出がなされるディスク装置であって、前面パネル100から突出し、前面にディスク挿排口11aの形成された突出形状部11と、突出形状部11において前記ディスク挿排口11aの少なくとも一部の前後方向位置を可変にする挿排口位置可変機構(12、13)とを有する構成となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク再生駆動機構の前方に配置された前面パネルに形成されるディスク挿排口を通してCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等のディスク状記録媒体の前記ディスク再生駆動機構への引き込み及び前記ディスク再生駆動機構からの排出がなされるようにしたディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスク再生駆動機構を有するディスク装置では、そのディスク再生駆動機構の前方にディスク挿排口の形成された前面パネルが配置されている。そして、ディスク挿排口に挿入されたCD等のディスク状記録媒体(以下、単にディスクという)が前記ディスク再生駆動機構に引き込まれ、該ディスク再生駆動機構によって前記ディスクから音楽、映像等のオーディオコンテンツが再生される。また、前記ディスク再生駆動機構から送り出されるディスクは前面パネルの前記ディスク挿排口を通して排出される。
【0003】
ディスク装置の前面パネルは、一般的にその表面が概ねフラットとなるようにデザインされるものであるが、デザインの多様化にともない、例えば、図1(a)に示すように、ディスク再生駆動機構100の前方に配置される前面パネル10に、前面にディスク挿排口11aの形成された突出形状部11を形成することが考えられる。このように通常表面が概ねフラットである前面パネル10に突出形状部11を形成することで、利用者に対してデザイン的なインパクトを与えることができるようになる。
【0004】
ところで、前述したように前面パネル10に突出形状部11を形成した場合、ディスク再生駆動機構100から定量だけ送り出されるディスク50のディスク挿排口11aからの排出量が十分でなく、そのディスク50の手作業による取出しが難しくなる可能性がある。そこで、例えば、特許文献1に記載されるような考え方を利用して、突出形状部11の前面に部分的に窪みを形成することが考えられる。このようにすれば、突出形状部11に形成されたディスク挿排口11aからディスク50が十分に排出されなくても、その突出形状部11に部分的に形成された窪みに指を差し入れてディスク50を取出すことができるようになる。
【特許文献1】特開平10−154390号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述したように突出形状部11は、前面パネル10のデザイン的なインパクトを利用者に与えるために形成されるものであり、その突出形状部11に窪みを形成することは、もともとのデザインコンセプトに合致しなくなってしまう。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、前面パネルの通常時のデザインを変えることなく、排出されるディスクの取り出しを容易に行い得るディスク装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るディスク装置は、ディスク再生駆動機構の前方に配置された前面パネルに形成されるディスク挿排口を通してディスク状記録媒体の前記ディスク再生駆動機構への引き込み及び前記ディスク再生駆動機構からの排出がなされるディスク装置であって、前記前面パネルから突出し、前面に前記ディスク挿排口の形成された突出形状部と、前記突出形状部において前記ディスク挿排口の少なくとも一部の前後方向位置を可変にする挿排口位置可変機構とを有する構成となる。
【0008】
このような構成により、前面パネルから突出する突出形状部に形成されたディスク挿排口の少なくとも一部の前後方向位置が可変となるので、ディスク状記録媒体がディスク挿排口を通して排出された際に、前記ディスク挿排口の少なくとも一部の位置を後方(ディスク再生駆動機構側)に変えることにより、相対的にその部分でのディスク状記録媒体の排出量(露出量)を多くすることができる。また、前記ディスク挿排口の少なくとも一部の位置を前記後方の位置より前方の元の位置に戻すことにより、前記ディスク挿排口の少なくとも一部の位置を後方に変えたことにより変形した前記突出形状部を元の形状に戻すことができる。
【0009】
また、本発明に係るディスク装置において、前記挿排口位置可変機構は、前記ディスク挿排口のその中央部を含む少なくとも一部の前後方向位置を可変にする構成とすることができる。
【0010】
このような構成により、ディスク状記録媒体がディスク挿排口を通して排出された際に、前記ディスク挿排口のその中央部を含む少なくとも一部の位置を後方に変えることにより、相対的にその部分に対応したディスク状記録媒体の中央部を露出させることができるようになる。その結果、通常その中央部に孔の形成されたディスク状記録媒体をその孔に指をかけて容易に取出すことができるようになる。
【0011】
また、本発明に係るディスク装置において、前記挿排口位置可変機構は、前記突出形状部の少なくとも一部であって、前記ディスク再生駆動機構側の引き込み位置と初期位置との間で移動可能となる可動部を有する構成とすることができる。
【0012】
このような構成により、突出形状部の少なくとも一部となる可動部が引き込み位置と初期位置との間で移動可能となるので、ディスク状記録媒体がディスク挿排口を通して排出された際に、可動部が引き込み位置に移動すると、ディスク挿排口の前記可動部に対応した部分の位置が後方に変わり、相対的にその部分でのディスク状記録媒体の排出量(露出量)を多くすることができる。
【0013】
また、本発明に係るディスク装置において、前記可動部は、前記突出形状部における前記ディスク挿排口から上方及び下方の少なくとも一方の部位となる構成とすることができる。
【0014】
このような構成により、突出形状部におけるディスク挿排口から上方及び下方の少なくとも一方の部位が可動部として構成されるので、ディスク状記録媒体がディスク挿排口を通して排出された際に、可動部が引き込み位置に移動すると、相対的にその部分でのディスク状記録媒体の表面及び裏面の少なくとも一方の露出量を多くすることができるようになる。
【0015】
更に、本発明に係るディスク装置において、前記挿排口位置可変機構は、前記可動部を前記初期位置に付勢する付勢手段とを有する構成とすることができる。
【0016】
このような構成により、可動部が初期位置に付勢されているので、その付勢に抗して前記可動部を引き込み位置に移動させた後に、その付勢に対して抗することを止めると、前記付勢により前記可動部を自動的に初期位置に復帰させることができるようになる。
【0017】
また、本発明に係るディスク装置において、前記挿排口位置可変機構は、前記ディスク再生駆動機構から前記ディスク挿排口を通して排出される前記ディスク状記録媒体に係合し、その移動するディスク状記録媒体の動きに応じて前記可動部を前記引き込み位置に移動させる駆動機構を有する構成とすることができる。
【0018】
このような構成により、ディスク状記録媒体がディスク再生駆動機構からディスク排出口を通して排出される過程で、そのディスク状記録媒体の動きに応じて可動部が引き込み位置に移動させられるので、専用の動力源を用いることなく可動部を引き込み位置に移動させることができるようになる。そして、可動部が引き込み位置となったときに、相対的にディスク挿排口の前記可動部に対応した部分でのディスク状記録媒体の排出量(露出量)を多くすることができるようになる。
【0019】
また、本発明に係るディスク装置において、前記挿排口位置可変機構は、前記可動部を前記初期位置に付勢する付勢手段と、前記引き込み位置に移動された前記可動部を当該引き込み位置にてロックするロック機構と、前記ディスク再生駆動機構から前記ディスク挿排口を通して排出された前記ディスク状記録媒体に係合し、ディスク状記録媒体を前記ディスク挿排口から引き出す際の当該ディスク状記録媒体の動きに応じて前記ロック機構による前記ディスク状記録媒体のロック状態を解除するロック解除機構とを有する構成とすることができる。
【0020】
このような構成により、初期位置への付勢に抗して可動部を引き込み位置に移動させると当該可動部が当該引き込み位置にてロックされ、その状態で、ディスク再生駆動機構からディスク挿排口通してディスク状記録媒体が排出され得る。このようにディスク状記録媒体が排出されると、可動部が引き込み位置にロックされているので、相対的にディスク挿排口の前記可動部に対応した部分でのディスク状記録媒体の排出量(露出量)を多くすることができるようになる。また、ディスク状記録媒体がディスク挿排口から引き出される際に前記可動部の前記引き込み位置でのロック状態が解除されると、前記付勢によって可動部が初期位置に移動復帰する。
【0021】
更に、本発明に係るディスク装置において、前記可動部は、前記ディスク再生駆動機構からディスク状記録媒体の排出指示を行なうための排出スイッチを兼ねる構成とすることができる。
【0022】
このような構成により、ディスク再生駆動機構からディスク挿排口を通してディスク状記録媒体を排出させようとする際に必ず可動部の操作がなされるようにすることができるので、ディスク状記録媒体が排出される際に必ず前記可動部を引き込み位置に移動させることができるようになる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るディスク装置によれば、ディスク状記録媒体がディスク挿排口を通して排出された際に、前記ディスク挿排口の少なくとも一部の位置を後方に変えることにより、相対的にその部分でのディスク状記録媒体の排出量(露出量)を多くすることができるので、その排出量(露出量)の多くなったディスク状記録媒体の部分を利用して当該ディスク状記録媒体の取り出しをより容易にすることができるようになる。また、前記ディスク挿排口の少なくとも一部の位置が前記後方の位置より前方の元の位置に戻すことにより、前記ディスク挿排口の少なくとも一部の位置を後方に変えたことにより変形した前記突出形状部を元の形状に戻すことができるので、ディスク状記録媒体を取出した後での前面パネルの突出形状部の変形をなくすことができる。このように本発明に係るディスク装置によれば、前面パネルの定常時のデザインを変えることなく、排出されるディスクの取り出しを容易に行なうことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0025】
本発明の第1の実施の形態に係るディスク装置は、図1及び図2に示すように構成される。なお、図1は、本発明の第1の実施の形態に係るディスク装置の要部の斜視図(a)及び正面図(b)であり、図2は、図1におけるA−A断面図(a)及び可動部が引き込み位置となった状態の同A−A断面図(b)である。
【0026】
図1(a)において、このディスク装置は、ディスク再生駆動機構100の前方に前面パネル10が配置されている。前面パネル10にはその表面から突出する突出形状部11が形成され、更に突出形状部11の前面にはディスク挿排口11aが形成されている。このディスク装置では、ディスク挿排口11aを通してCD等のディスク50のディスク再生駆動機構100への引き込み及びディスク再生駆動機構100から送り出されたディスク50の排出がなされるようになっている。
【0027】
図1(b)に示すように、前面パネル10に形成された突出形状部11の略中央部分におけるディスク挿排口11aから下方の部分は前後方向(図1(b)の紙面に垂直な方向)に摺動自在となる可動部12となっている。そして、図2(a)に示すように、可動部12の背面と前面パネル10の背後に配置されたディスク再生駆動機構100のフロントシャーシ板101との間にスプリングを含む付勢機構13が設けられている。この付勢機構13によって可動部12が突出形状部11の本来の形状を維持する位置(以下、初期位置という)に向けて付勢されている。この状態で、ディスク挿排口11aの可動部12に対応した部分は、他の部分と同様に突出形状部11の前面位置P1となる。
【0028】
例えば、排出スイッチ(図示略)の操作等、イジェクト操作がなされると、ディスク50が搬送ローラ110によってディスク再生駆動機構100から送り出されて前面パネル10の突出形状部11に形成されたディスク挿排口11aから排出される。ディスク50が搬送ローラ110の送り限界に達したところで、ディスク50の排出動が停止する。この状態で、ディスク50の中央部に形成された孔51は突出形状部11の前面(位置P1)から前方に進み出ていない(図2(b)参照)。
【0029】
そこで、図2(b)に示すように、付勢機構13による付勢に抗して可動部12を所定の引き込み位置まで押し下げて、ディスク挿排口11aの可動部12に対応した部分を位置P2まで後退させると、相対的にその部分でのディスク50の露出量が多くなり、ディスク50の中央部に形成された孔51が露出するようになる。このため、その露出した孔51に指をかけてディスク50を容易に取り出すことができるようになる。また、このディスク50の取り出しに際して可動部12の押し込みを解除すると、付勢機構13による付勢によって可動部12は初期位置に戻ってディスク挿排口11aの可動部12に対応した部分は突出形状部11の前面位置P1に戻る(図2(a)参照)。その結果、突出形状部11は元の形状に戻り、前面パネル10の定常時のデザインが維持されるようになる。
【0030】
前述したように本発明の第1の実施の形態に係るディスク装置によれば、前面パネル10の定常時のデザインを変えることなく、排出されるディスク50の取り出しを容易に行えるようになる。
【0031】
次に本発明の第2の実施の形態に係るディスク装置について説明する。この第2の実施の形態に係るディスク装置は、図3乃至図5に示すように構成される。なお、図3は、本発明の第2の実施の形態に係るディスク装置の要部の斜視図(a)及び正面図(b)であり、図4は、第1可動部を引き込み位置と初期位置との間で往復動させるための駆動機構を示す平面図であり、図5は、第1可動部を引き込み位置にした状態の駆動機構を示す平面図である。
【0032】
図3(a)において、このディスク装置は、前述した例(図1(a)参照)と同様に、ディスク再生駆動機構100の前方に前面パネル10が配置され、その前面パネル10には突出形状部11が形成され、更に、その突出形状部11の前面にディスク挿排口11aが形成されている。そして、図3(b)に示すように、前面パネル10に形成された突出形状部11の略中央部におけるディスク挿排口11aから上方の部分が前後方向(図3(b)の紙面に垂直な方向)に摺動自在となる第1可動部14(1)となっており、突出形状部11のディスク挿排口11aを挟んで前記可動部14(1)の逆側となる部分が同様に前後方向に摺動自在となる第2可動部14(2)となっている。前記第1可動部14(1)は、ディスク再生駆動機構100からディスク50を排出させるための排出スイッチ(イジェクト釦)を兼ねている。
【0033】
突出形状部11の形成された前面パネル10内には図4に示すような第1可動部14(1)を引き込み位置と初期位置との間で往復動させるための駆動機構が設けられている。この駆動機構は、第1可動部14(1)を挟んで左右対称となるように配置された第1レバーユニット20aと第2レバーユニット20bとを有している。第1レバーユニット20aは、駆動レバー21aとディスク係合レバー22aとが略直角にて連結され、それらの連結部が回動自在に回動軸ピン23aにて支持された構造となっている。第1可動部14(1)には、略弧状のガイド溝15aが形成されており、駆動レバー21aのディスク係合レバー22aとの連結部と逆側の端部に固定されたピン24aがガイド溝15aに摺動自在に係合している。また、回動軸ピン23aにはねじりバネ25aが巻きかけられており、このねじりバネ25aによって第1レバーユニット20aが常に時計回り方向に付勢されている。第1レバーユニット20aは、排出されるディスク50の外周部にディスク係合レバー22aが当接係合するように配置されており、ねじりバネ25aによって時計回り方向に付勢される第1レバーユニット20aのディスク係合レバー22aがディスク50の外周部に押圧されるようになっている。
【0034】
第2レバーユニット20bも、前述した第1レバーユニット20aと同様に、駆動レバー21bとディスク係合レバー22bとが連結した構造となり、それらの連結部が回動軸ピン23bにて回動自在に支持されている。そして、回動軸ピン23bにねじりバネ25bが巻きかけられて、第2レバーユニット20bが常に反時計回り方向に付勢されている。第2レバーユニット20bは、排出されるディスク50の外周部にディスク係合レバー22bが当接係合するように配置されており、ねじりバネ25bによって反時計回り方向に付勢される第2レバーユニット20bのディスク係合レバー22bがディスク50の外周部に押圧されるようになっている。
【0035】
なお、図示されてはいないが、第2可動部14(2)に対しても、ディスク係合レバー22a、22bを前記第1可動部14(1)に対するものと共用して同様の構造となる駆動機構が設けられている。第1可動部14(1)及び第2可動部14(2)が図4に示す初期位置にある状態では、ディスク挿排口11aの第1可動部14(1)(第2可動部14(2))に対応した部分は、他の部分と同様に突出形状部11の前面位置P1となっている。
【0036】
このようなディスク装置では、第1可動部14(1)を押動してディスク50の排出操作がなされると、ディスク50が搬送ローラ110によってディスク再生駆動機構100から送り出されて前面パネル10の突出形状部11のディスク挿排口11aから排出される。その過程で、ディスク50の外周部が第1レバーユニット20a及び第2レバーユニット20bのディスク係合レバー22a、22bに当接しつつ前方(図4における下方向)に移動していくと、第1レバーユニット20aのディスク係合レバー22aが外方に押されて、第1レバーユニット20aがねじりバネ25aによる付勢に抗して回動軸ピン23aを中心にして反時計回り方向に回動すると共に、第2レバーユニット20bのディスク係合レバー22bが外方に押されて、第2レバーユニット20bがねじりバネ25bによる付勢に抗して回動軸ピン23bを中心にして時計回り方向に回動する。
【0037】
このようにディスク50が排出される過程で、第1レバーユニット20aが反時計回り方向に、第2レバーユニット20bが時計回り方向にそれぞれ回動すると、第1レバーユニット20aにおける駆動レバー21aの反時計回り方向への回動及び第2レバーユニット20bにおける駆動レバー21bの時計回り方向への回動によって、ガイド溝15a、15bに係合するピン24a、24bを介して各駆動レバー21a、21bに連結される第1可動部14(1)が後方(図4における上方向)に移動させられる。
【0038】
そして、図5に示すように、ディスク50が搬送ローラ110の送り限界に達すると、ディスク50の排出動が停止し、第1可動部14(1)(第2可動部14(2))が引き込み位置に達する。この状態で、ディスク挿排口11aの第1可動部14(1)(第2可動部14(2))に対応した部分が位置P2に後退しており、その結果、相対的にその部分でのディスク50の露出量が多くなって、ディスク50の中央部に形成された孔51が露出するようになる。このため、その露出した孔51に指をかけてディスク50を容易に取出すことができるようになる。
【0039】
また、ディスク50をディスク挿排口11aから引抜くようにして取出す際に、ねじりバネ23aの付勢によってディスク係合レバー22aがディスク50の外周部との当接状態を維持しつつ第1レバーユニット20aが時計回り方向に回動すると共に、ねじりバネ23bの付勢によってディスク係合レバー22bがディスク50の外周部との当接状態を維持しつつ第2レバーユニット20bが反時計回り方向に回動する。このようにディスク50が取出される過程で、第1レバーユニット20aが時計回り方向に、第2レバーユニット20bが反時計回り方向にそれぞれ回動すると、第1レバーユニット20aにおける駆動レバー21aの時計回り方向への回動及び第2のレバーユニット20bにおける駆動レバー21bの反時計回り方向への回動により、各駆動レバー21a、21bに連結する第1可動部14(1)が前方に移動させられる。そして、ディスク50がディスク挿排口11aから完全に取出されると、第1可動部14(1)(第2可動部14(2))は初期位置に戻ってディスク挿排口11aの第1可動部14(1)(第2可動部14(2))に対応した部分は突出形状部11の前面位置P1に戻る(図4参照)。その結果、突出形状部11は元の形状に戻り、前面パネル10の定常時のデザインが維持されるようになる。
【0040】
前述したように本発明の第2の実施の形態に係るディスク装置によれば、前面パネル10の定常時のデザインを変えることなく、排出されるディスク50の取り出しを容易に行えるようになる。また、第1可動部14(1)がディスク50の排出スイッチ(イジェクト釦)を兼ねていることから、ディスク50の排出時に余分な操作を行なうことなく、容易にディスク50の取り出しを行なうことができるようになる。
【0041】
なお、ディスク50をディスク挿排口11aから挿入する場合、前述した駆動機構が動作して第1可動部14(1)(第2可動部14(2))が初期位置と引き込み位置との間で往復動してしまう。しかし、ディスク50がディスク再生駆動機構100にセットされた状態では、第1可動部14(1)(第2可動部14(2)は初期位置となるので、突出形状部11は元の形状となって、前面パネル10の定常時のデザインが維持されるようになる。
【0042】
更に、本発明の第3の実施の形態に係るディスク装置について説明する。この第3の実施の形態に係るディスク装置は、図6乃至図12に示すように構成される。なお、図6は、本発明の第3の実施の形態に係るディスク装置における前面パネルを示す正面図であり、図7乃至図12は、駆動部に対するロック・アンロック機構を示す平面図である。
【0043】
図6において、このディスク装置は、前面パネル10には突出形状部11が形成され、その突出形状部11の前面にディスク挿排口11aが形成されている。また、前面パネル10に形成された突出形状部11の略中央部におけるディスク挿排口11aから上方の部分が前後方向(図6の紙面に垂直な方向)に摺動自在となる可動部14となっている。なお、図示されていないが、前面パネルユニット10の背後には、前述した各実施の形態と同様に、ディスク再生駆動機構100が配置されており、ディスク挿排口11aを通してディスク50のディスク再生駆動機構100への引き込み及びディスク再生駆動機構からの排出がなされるようになっている。また、前記可動部14は、ディスク再生駆動機構100からディスク50を排出させるための排出スイッチ(イジェクト釦)を兼ねている。
【0044】
突出形状部11の形成された前面パネル10内には図7に示すような可動部14を引き込み位置にロックし、ディスク50の取り出しに応じてそのロックを解除するロック・アンロック機構が設けられている。このロック・アンロック機構は、第1レバーユニット30aと第2レバーユニットとが可動部14を挟むように配置された構造となっている。前面パネル10より内側(後方側)の端部が回動支持ピン31a、31bにより回動自在に支持されており、その支持される端部と逆側の端部(前方側)にディスク係合爪33a、33bが形成されている。また、第1レバーユニット30a及び第2レバーユニット30bにおける回動支持ピン31a、31bとディスク係合爪33a、33bとの間の所定位置にはロック爪32a、32bが形成されている。各ロック爪32a、32bの手前側面が傾斜面となっており、その後ろ側面は、前面パネル10の表面と略平行となっている。
【0045】
第1レバーユニット30aの近傍には、時計回り方向に回動しようとする第1レバーユニット30aの回動支持ピン31aとロック爪32aとの間の所定部位を押圧付勢する第1押圧機構35aが設けられている。また、第2レバーユニット30bの近傍には、反時計回り方向に回動しようとする第2レバーユニット30bの回動支持ピン31bとロック爪32bとの間の所定部位を押圧付勢する第2押圧機構35bが設けられている。
【0046】
前面パネル10の突出形状部11内において前後動可能となる可動部14の背面にはロックプレート16が設けられている。ロックプレート16の幅は、第1レバーユニット30aのロック爪32aと第2レバーユニット30bのロック爪32bとの間の隙間より僅かに広く設定されている。また、ロックプレート16の背後には、ロックプレート16の略中央部に押圧力を作用させる付勢機構38が設けられている。
【0047】
図7に示すように、可動部14が初期位置にある状態では、ディスク挿排口11aの可動部14に対応した部分は、他の部分と同様に突出形状部11の前面位置P1となっている。
【0048】
このようなディスク装置では、利用者の押し込み操作によって可動部14が付勢機構38による付勢に抗して後退する過程で、図8に示すように、ロックプレート16の両端部が第1レバーユニット30a及び第2レバーユニット30bの各ロック爪32a、32bの傾斜面となる手前側面を摺動しつつ押してゆく。すると、第1レバーユニット30aが第1押圧機構35aからの押圧付勢に抗して回動支持ピン31aを中心に時計回り方向に回動すると共に、第2レバーユニット30bが第2押圧機構35bからの押圧付勢に抗して回動支持ピン31bを中心に反時計回り方向に回動する。
【0049】
そして、可動部14が引き込み位置に達すると、図9に示すように、ロックプレート16が第1レバーユニット30a及び第2レバーユニット30bの各ロック爪32a、32bの傾斜面となる手前側面から後ろ側面に移る。このとき、第1レバーユニット30a及び第2レバーユニット30bは第1押圧機構35a及び第2押圧機構35bによって押圧付勢されて、元の状態に回動復帰する。その結果、各ロック爪32a、32bがロックプレート16の端部の前方に位置するようになって、ロックプレート16の前方への移動が阻止された状態となる。これにより、ロックプレート16と一体となる可動部14が前記引き込み位置にロックされた状態となる。この状態で、ディスク挿排口11aの可動部14に対応した部分の位置が前記前面位置P1より後方の位置P2となる。
【0050】
ディスクの排出スイッチ(イジェクト釦)を兼ねる可動部14の前記押し込み操作によってディスク50の排出指示がなされている。これにより、ディスク50が搬送ローラ110によってディスク再生駆動機構100から送り出され、前面パネル10の突出形状部11に形成されたディスク挿排口11aから排出される。そして、ディスク50が搬送ローラ110の送り限界に達すると、ディスク50の排出動が停止する。このようにディスク50の排出動が停止すると、図10に示すように、既に可動部14が引き込み位置まで後退してディスク挿排口11aの可動部14に対応した部分が位置P2に後退しているので、相対的にその部分でのディスク50の露出量が多くなり、ディスク50の中央部に形成された孔51が露出するようになる。このため、図11に示すように、その露出した孔51に指Fをかけて容易に取出すことができるようになる。
【0051】
このようにディスク50が取出される際に、ディスク挿排口11aを通って移動するディスク50の外周部が第1レバーユニット30a及び第2レバーユニット30bのディスク係合爪33a、33bに摺接し、それらディスク係合爪33a、33bの間が押し広げられていく。これにより、第1レバーユニット30aが第1押圧機構35aによる押圧付勢に抗して時計回り方向に回動すると共に、第2レバーユニット30bが第2押圧機構35bによる押圧付勢に抗して反時計回り方向に回動する。
【0052】
このような第1レバーユニット30a及び第2レバーユニット30bの回動支持ピン31a、31bを中心とした回動によって、各ロック爪32a、32b間の距離が広がると、各ロック爪32a、32bとロックプレート16の端部との引っ掛かりがはずれる。すると、図12に示すように、付勢機構38からの付勢によって可動部14が前方に押出される。そして、可動部14が初期位置に戻ってディスク挿排口11aの可動部14に対応した部分は突出形状部11の前面位置P1に戻ることにより(図7参照)、突出形状部11は元の形状となり、前面パネル10の定常時のデザインが維持される。
【0053】
前述したように本発明の第3の実施の形態に係るディスク装置によれば、前面パネル10の定常時のデザインを変えることなく、排出されるディスク50の取り出しを容易に行なえるようになる。また、この場合も、可動部14がディスク50の排出スイッチ(イジェクト釦)を兼ねていることから、ディスク50の排出時に余分な操作を行なうことなく、容易にディスク50の取り出しを行なうことができるようになる。
【0054】
なお、前述した本発明の第3の実施の形態に係るディスク装置では、ディスク再生駆動機構100にディスク50がセットされていない状態で、可動部14を押し込むとロックされてしまう。この場合、ディスク50をディスク挿排口11aから挿入すると、ディスク係合爪33a、33bが挿入されるディスク50の外周部を摺動して第1レバーユニット30a及び第2レバーユニット30bが開くことから、前記ロックが解除される。これにより、可動部14は付勢機構38によって自動的に初期位置に復帰する。
【0055】
可動部14のロック状態を強制的に解除するために、図13(a)、(b)に示すような機構を設けることもできる。この機構は、第1レバーユニット30aのロック爪32aとディスク係合爪33aとの間の部位に接続され、突出形状部11の下方に突出する第1強制ロック解除レバー39aと、第2レバーユニット30bのロック爪32bとディスク係合爪33aとの間の部位に接続され、突出形状部11の下方に突出する第2強制ロック解除レバー39bとを有している。第1レバーユニット30a及び第2レバーユニット30bが回動支持ピン31a、31bを回動する際における第1強制ロック解除レバー39a及び第2強制ロック解除レバー39bの動きが阻止されないように突出形状部11には第1強制ロック解除レバー39a及び第2強制ロック解除レバー39bが通る長孔が形成されている。
【0056】
このようなロック状態の強制解除機構によれば、第1強制ロック解除レバー39a及び第2強制ロック解除レバー39bをそれぞれ離れるように外方に移動させると、それに伴って第1レバーユニット30a及び第2レバーユニット30bが広がって可動部14のロック状態が強制的に解除されるようになる。
【0057】
なお、前述した各例では、突出形成部11を部分的(12、14(1)、14(2)、14)に引き込み位置と初期位置との間で前後動させるようにしたが、突出形成部11全体を引き込み位置と初期位置との間で前後動させるように構成することもできる。この場合、突出形成部11全体が可動部となる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上、説明したように、本発明に係るディスク装置は、前面パネルの定常時のデザインを変えることなく、排出されるディスクの取り出しを容易に行い得るという効果を有し、ディスク再生駆動機構の前方に配置された前面パネルに形成されるディスク挿排口を通してCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等のディスクの前記ディスク再生駆動機構への引き込み及び前記ディスク再生駆動機構からの排出がなされるようにしたディスク装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るディスク装置の要部の斜視図(a)及び正面図(b)である。
【図2】図1におけるA−A断面図(a)及び可動部が引き込み位置となった状態の同A−A断面図(b)である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係るディスク装置の要部の斜視図(a)及び正面図(b)である。
【図4】図3に示すディスク装置における第1可動部を引き込み位置と初期位置との間で往復動させるための駆動機構を示す平面図(その1)である。
【図5】図3に示すディスク装置における第1可動部を引き込み位置と初期位置との間で往復動させるための動機構を示す平面図(その2)である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係るディスク装置の要部の正面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係るディスク装置における可動部のロック・アンロック機構を示す平面図(その1)である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係るディスク装置における可動部のロック・アンロック機構を示す平面図(その2)である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係るディスク装置における可動部のロック・アンロック機構を示す平面図(その3)である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係るディスク装置における可動部のロック・アンロック機構を示す平面図(その4)である。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係るディスク装置における可動部のロック・アンロック構を示す平面図(その5)である。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係るディスク装置における可動部のロック・アンロック機構を示す平面図(その6)である。
【図13】可動部のロック状態を強制的に解除のための機構の一例を示す正面図(a)及び側面図(b)である。
【符号の説明】
【0060】
10 前面パネル
11 突出形状部
11a ディスク挿排口
12 可動部
13 付勢機構(スプリング)
14(1) 第1可動部(イジェクト釦)
14(2) 第2可動部
15a、15b ガイド溝
16 ロックプレート
20a 第1レバーユニット
20b 第2レバーユニット
21a、21b 駆動レバー
22a、22b ディスク係合レバー
23a、23b 回動軸ピン
24a、24b ピン
25a、25b ねじりスプリング
30a、30b ロック・アンロック機構
31a、31b 回動支持ピン
32a、32b ロック爪
33a、33b ディスク係合爪
35a 第1押圧機構
35b 第2押圧機構
38 付勢機構(スプリング)
39a 第1強制ロック解除レバー
39b 第2強制ロック解除レバー
50 ディスク(ディスク状記録媒体)
51 孔
100 ディスク再生駆動機構
101 フロントシャーシ板
110 搬送ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク再生駆動機構の前方に配置された前面パネルに形成されるディスク挿排口を通してディスク状記録媒体の前記ディスク再生駆動機構への引き込み及び前記ディスク再生駆動機構からの排出がなされるディスク装置であって、
前記前面パネルから突出し、前面に前記ディスク挿排口の形成された突出形状部と、
前記突出形状部において前記ディスク挿排口の少なくとも一部の前後方向位置を可変にする挿排口位置可変機構とを有することを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記挿排口位置可変機構は、前記ディスク挿排口のその中央部を含む少なくとも一部の前後方向位置を可変にすることを特徴とする請求項1記載のディスク装置。
【請求項3】
前記挿排口位置可変機構は、前記突出形状部の少なくとも一部であって、前記ディスク再生駆動機構側の引き込み位置と初期位置との間で移動可能となる可動部を有することを特徴とする請求項1または2記載のディスク装置。
【請求項4】
前記可動部は、前記突出形状部における前記ディスク挿排口から上方及び下方の少なくとも一方の部位となることを特徴とする請求項3記載のディスク装置。
【請求項5】
前記挿排口位置可変機構は、前記可動部を前記初期位置に付勢する付勢手段とを有することを特徴とする請求項3または4記載のディスク装置。
【請求項6】
前記挿排口位置可変機構は、前記ディスク再生駆動機構から前記ディスク挿排口を通して排出される前記ディスク状記録媒体に係合し、その移動するディスク状記録媒体の動きに応じて前記可動部を前記引き込み位置に移動させる駆動機構を有することを特徴とする請求項3または4記載のディスク装置。
【請求項7】
前記挿排口位置可変機構は、
前記可動部を前記初期位置に付勢する付勢手段と、
前記引き込み位置に移動された前記可動部を当該引き込み位置にてロックするロック機構と、
前記ディスク再生駆動機構から前記ディスク挿排口を通して排出された前記ディスク状記録媒体に係合し、ディスク状記録媒体を前記ディスク挿排口から引き出す際の当該ディスク状記録媒体の動きに応じて前記ロック機構による前記ディスク状記録媒体のロック状態を解除するロック解除機構とを有することを特徴とする請求項3または4記載のディスク装置。
【請求項8】
前記可動部は、前記ディスク再生駆動機構からディスク状記録媒体の排出指示を行なうための排出スイッチを兼ねることを特徴とする請求項6または7記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−234138(P2007−234138A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−55734(P2006−55734)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】