説明

ディスク装置

【課題】
コストを低減できるディスク装置を提供する。
【解決手段】
トレイ搬送動作およびチャッキング動作およびピックアップ搬送動作の各動作をモータ
14の駆動により切り換えて行うディスク装置において、モータ電流検出部23が検出し
たモータ電流に基づき、トレイ搬送動作からチャッキング動作への切り換えおよびチャッ
キング動作からピックアップ搬送動作への切り換えが正常にされ、ピックアップ搬送動作
が正常にされていることを制御部24が検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク装置の動作制御に関わり、特にディスクの装置内搬送からディスク
読み取り開始までの動作制御に関わる。
【背景技術】
【0002】
従来から、CDやDVD等のディスクを用いたデータの記録や再生を行う様々なディス
ク装置が開発されてきている。
【0003】
ここでディスク装置のうち、ディスクをトレイ等で装置内へ搬送するディスク搬送動作
、装置内へ搬送されたディスクがスピンドルモータにより回転できるようディスクをター
ンテーブルとクランパとで挟み込むチャッキング動作、およびディスクに光を照射するピ
ックアップをディスク半径方向に搬送するピックアップ搬送動作のそれぞれの動作を一つ
のモータの駆動により行うものが開発されている。
【0004】
このようなディスク装置の動作について説明する。トレイにディスクを載せ、トレイ開
閉ボタンを押すと、モータが逆回転駆動し、ディスクを載せたトレイが装置内へ搬送され
る。トレイが閉まりきると、さらなるモータの回転駆動によりターンテーブルがディスク
の下方から徐々にディスクに向かって上昇し、ディスクがターンテーブルとディスク上方
に位置するクランパとに挟み込まれチャッキングされる。さらにモータが回転駆動すると
、ピックアップ搬送動作に切り換えられ、ピックアップが初期位置から移動する。この初
期位置とは、ピックアップが有する対物レンズがディスク最内周側の特定位置と対向する
ようなピックアップの位置である。ピックアップが初期位置に位置する状態で、ピックア
ップはディスク装置に設けられたマイクロスイッチを押圧して、マイクロスイッチはオン
となっている。上記のピックアップ搬送動作によりピックアップが初期位置から移動する
と、ピックアップに押圧されていたマイクロスイッチが押圧されなくなりオフとなる。こ
のマイクロスイッチのオンからオフへの切り換えを検出することで、チャッキング動作か
らピックアップ搬送動作へ切り換えられたことが検出できる。これにより、チャッキング
が完了したことが検出されたことにもなり、ディスクを回転させることができる。
【0005】
ピックアップ搬送動作へ切り換えられたことが検出されると、ディスクからの読み取り
を開始するために、モータを正回転させ、ピックアップを再び初期位置へ向かって移動さ
せる。そして、ピックアップが初期位置に到達するとマイクロスイッチが押圧されオンと
なる。このマイクロスイッチのオフからオンへの切り換えが検出されると、モータの回転
駆動が停止する。この状態でピックアップは初期状態に位置し、ディスクの読み取りが開
始される。
【0006】
しかし、上記のようなディスク装置では、ピックアップ搬送動作へ切り換えられたこと
の検出やピックアップを初期位置で停止させるためにマイクロスイッチが必要であり、構
造が複雑となり部品点数が増えコストアップの要因となっていた。
【0007】
なお、特許文献1には、ピックアップを初期位置に停止させるディスク装置として、モ
ータを駆動しピックアップを初期位置へ向かって移動させている間、常時モータ電流を監
視し、モータ電流がしきい値を越えたことを検出することで、ピックアップの突起部がピ
ックアップベースの突起部に当接しピックアップが初期位置に到達したことを検出し、モ
ータの回転駆動を停止するものが開示されている。
【特許文献1】特開2004−273062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記問題点を鑑みなされたものであり、コストを低減できるディスク装置を提
供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明のディスク装置は、ディスク搬送動作およびチャッキ
ング動作およびピックアップ搬送動作の各動作を一つのモータの駆動により切り換えて行
うディスク装置において、
前記モータに流れる電流を検出するモータ電流検出手段と、
該モータ電流検出手段が検出したモータ電流に基づき、前記ディスク搬送動作から前記
チャッキング動作への切り換えおよび前記チャッキング動作から前記ピックアップ搬送動
作への切り換えが正常にされ、前記ピックアップ搬送動作が正常にされていることを検出
する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、従来のようにマイクロスイッチを用いることなく、ピックア
ップ搬送動作に正常に切り換えられていることが検出でき、構造が簡単となり部品点数も
減り、コストを低減できる。
【0011】
上記ディスク装置において例えば、前記制御手段は、前記ピックアップ搬送動作がされ
るであろう予測されるタイミングにおいて前記モータ電流検出手段が検出したモータ電流
に基づき、前記ディスク搬送動作から前記チャッキング動作への切り換えおよび前記チャ
ッキング動作から前記ピックアップ搬送動作への切り換えが正常にされ、前記ピックアッ
プ搬送動作が正常にされていることを検出するようにすればよい。
【0012】
より具体的には、前記制御手段は、前記ディスク搬送動作が開始されてから第一の所定
時間経過後において前記モータ電流検出手段が検出したモータ電流に基づき、前記ディス
ク搬送動作から前記チャッキング動作への切り換えおよび前記チャッキング動作から前記
ピックアップ搬送動作への切り換えが正常にされ、前記ピックアップ搬送動作が正常にさ
れていることを検出すればよい。ここで、前記ディスク搬送動作が開始されてから前記第
一の所定時間経過後、第二の所定時間が経過する間に前記モータ電流検出手段が検出した
モータ電流に基づき、前記ディスク搬送動作から前記チャッキング動作への切り換えおよ
び前記チャッキング動作から前記ピックアップ搬送動作への切り換えが正常にされ、前記
ピックアップ搬送動作が正常にされていることを検出するようにすることが望ましい。こ
れにより、より確実にピックアップ搬送動作に正常に切り換えられていることが検出でき
る。
【0013】
また、前記制御手段は、前記チャッキング動作中に前記モータにかかる逆負荷を前記モ
ータ電流検出手段が検出したモータ電流に基づき検出し、該検出時から第一の所定時間経
過後において前記モータ電流検出手段が検出したモータ電流に基づき、前記ディスク搬送
動作から前記チャッキング動作への切り換えおよび前記チャッキング動作から前記ピック
アップ搬送動作への切り換えが正常にされ、前記ピックアップ搬送動作が正常にされてい
ることを検出するようにしてもよい。ここで、前記逆負荷の検出時から前記第一の所定時
間経過後、第二の所定時間が経過する間に前記モータ電流検出手段が検出したモータ電流
に基づき、前記ディスク搬送動作から前記チャッキング動作への切り換えおよび前記チャ
ッキング動作から前記ピックアップ搬送動作への切り換えが正常にされ、前記ピックアッ
プ搬送動作が正常にされていることを検出するようにすることが望ましい。これにより、
より確実にピックアップ搬送動作に正常に切り換えられていることが検出できる。
【0014】
また、前記逆負荷を前記ディスク搬送動作が開始してから所定時間が経過するまでに検
出しなければ前記モータの駆動を停止させるようにするとよい。これにより、トレイ搬送
動作またはチャッキング動作の異常を早い段階で検出でき、モータに無理な負荷がかかる
時間を抑えられ、モータの破損を防げる。
【0015】
また、本発明のディスク装置は、ピックアップと、該ピックアップを搬送するモータと
、前記ピックアップと一体として搬送される接触手段と、該接触手段と接触することによ
り前記モータに負荷を与える負荷手段と、を備えるディスク装置であって、
前記負荷手段は、前記接触手段と接触すると、前記ピックアップが有する対物レンズが
ディスク最内周側の特定位置と対向するような前記ピックアップの位置である初期位置に
前記ピックアップが位置するよう配置され、
前記接触手段が前記負荷手段と接触し前記負荷手段を乗り越えられないような駆動電圧
を前記モータに印加することで前記接触手段が前記負荷手段に近づく方向に前記ピックア
ップを搬送することを開始し、そこから所定時間経過するまで前記駆動電圧を前記モータ
に印加するような制御手段を備えることを特徴とする。
【0016】
このような構成によれば、従来のようにマイクロスイッチを用いずにピックアップを初
期位置に停止させることができるので、ディスク装置のコストを低減できる。また、上記
特許文献1に開示されたディスク装置のようにモータ電流を検出する検出器も必要なく、
ディスク装置のコストを低減できる。
【0017】
上記ディスク装置において、前記接触手段と接触することにより前記ピックアップの搬
送動作からチャッキングされたディスクを解放するディスク解放動作への切り換えを行う
切り換え手段を備える場合は、前記負荷手段は、前記ピックアップの搬送動作から前記デ
ィスク解放動作への切り換えが起こる前記切り換え手段が有する前記接触手段との接触部
分に前記接触手段が到達する前に前記接触手段と接触するように配置すればよい。
【0018】
また、本発明のディスク装置は、ピックアップと、該ピックアップを搬送するモータと
、前記ピックアップと一体として搬送される接触手段と、該接触手段と接触することによ
り前記モータに負荷を与える負荷手段と、前記接触手段と接触することにより前記ピック
アップの搬送動作からチャッキングされたディスクを解放するディスク解放動作への切り
換えを行う切り換え手段と、前記モータに流れる電流を検出するモータ電流検出手段と、
を備えるディスク装置であって、
前記負荷手段は、前記接触手段と接触すると、前記ピックアップが有する対物レンズが
ディスク最内周側の特定位置と対向するような前記ピックアップの位置である初期位置に
前記ピックアップが位置するように、かつ、前記ピックアップの搬送動作から前記ディス
ク解放動作への切り換えが起こる前記切り換え手段が有する前記接触手段との接触部分に
前記接触手段が到達する前に前記接触手段と接触するように配置され、
前記接触手段が前記負荷手段と接触し前記負荷手段を乗り越えられないような駆動電圧
を前記モータに印加することで前記接触手段が前記負荷手段に近づく方向に前記ピックア
ップを搬送することを開始し、前記モータ電流検出手段が検出したモータ電流に基づき、
前記接触手段が前記負荷手段と接触し前記ピックアップが前記初期位置に位置することを
検出するような制御手段を備えることを特徴とする。
【0019】
このような構成によれば、従来のようにマイクロスイッチを用いずにピックアップを初
期位置に停止させることができるので、ディスク装置のコストを低減できる。また、先に
述べたディスク装置よりもディスクの読み取りまでの時間を短縮できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のディスク装置によれば、コストを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施形態について以下図面を参照しつつ説明する。
【0022】
まず、本発明のディスク装置の機械的な構造について説明する。図1は、トレイの上面
図である。図2は、各種部品が取り付けられたメインシャーシの上面図である。図3は、
各種部品が取り付けられたドライブシャーシの上面図である。また、図4は、ピックアッ
プ、ピーユーラックおよびプレートトリガの要部拡大上面図である。いずれの図において
も、紙面下方が装置の前方、紙面上方が装置の後方、紙面右方が装置の左方、紙面左方が
装置の右方、紙面手前が装置の上方、紙面裏側が装置の下方であるとする。
【0023】
トレイ1の上面には、ディスクを載せる凹部であるディスク搭載部1cが形成され、下
面にはラック1aおよびガイド溝1bが形成される。なお、ラック1aおよびガイド溝1
bは図1において上面から透過しているとした図である。
【0024】
メインシャーシ2の前方には、回転自在なトレイギヤ3および左右方向に移動可能なカ
ムスライダ4が取り付けられる。また、メインシャーシ2前方の左右方向中央下面には、
ディスクを挟み込むためのクランパ5が取り付けられている。
【0025】
ドライブシャーシ6の前端部には、左右方向に移動可能なプレートトリガ7が取り付け
られる。また、ドライブシャーシ6の左側には前後に並ぶように、ギヤ9〜13が回転自
在に取り付けられる。ギヤ11、12、13は一体として同軸周りに回転する。ドライブ
シャーシ6の左後方にはモータ14が取り付けられる。モータ14は、右斜め前下方向に
傾いてドライブシャーシ6に取り付けられ、モータ14の回転軸にはギヤ15が固定され
る。ギヤ15は常にギヤ11に噛み合い、ギヤ12は常にギヤ10に噛み合い、ギヤ10
は常にギヤ9に噛み合う。
【0026】
ピックアップ16は対物レンズ8を備える。ドライブシャーシ6の左側には前後方向に
金属棒17が設置される。ピックアップ16の左端部下方には前後方向に貫通した不図示
の孔が形成され、この孔に金属棒17が嵌合する。また、ピックアップ16の右端部下方
には円周方向に溝をもったガイド部材18が取り付けられ、ガイド部材18の溝がドライ
ブシャーシ6の右側壁部に内側へ略垂直に形成されるリブ6aにはめられる。これにより
、ピックアップ16はドライブシャーシ6内を前後方向に移動可能となる。また、ピック
アップ16の左側面には不図示のラックが形成され、ギヤ13と噛み合うことができる。
【0027】
ピックアップ16の左端部上面には前後方向に移動可能なピーユーラック19が取り付
けられる。ピーユーラック19の左側面にはラック19aが形成され、ギヤ13に噛み合
うことができる。また、ピーユーラック19の上面後方に略垂直に突設された壁部19b
と、ピックアップ16の左端部上面に略垂直に突設された壁部16aとの間に、ばねであ
るラックスプリング20が配置される。
【0028】
ドライブシャーシ6の前方には不図示のスピンドルモータが取り付けられ、スピンドル
モータの回転軸にターンテーブル21が固定される。
【0029】
以上の各部はディスク装置として次のように構成される。トレイ1のラック1aがトレ
イギヤ3に噛み合い、ガイド溝1bがカムスライダ4の上面に突設されたピン4aにはま
るよう、トレイ1とメインシャーシ2は一体化され、トレイ1はメインシャーシ2内を前
後方向に移動可能である。
【0030】
ここで図5に、カムスライダ4を後方から見た平面図を示す。このようにガイド孔4b
およびガイド孔4cがカムスライダ4に設けられる。ドライブシャーシ6の前面に略垂直
に突設された突起部6aがカムスライダ4に設けられたガイド孔4bにはまり、プレート
トリガ7の前面に略垂直に突設された突起部7aがカムスライダ4に設けられたガイド孔
4cにはまり、ギヤ9がトレイギヤ3に噛み合うよう、ドライブシャーシ6をメインシャ
ーシ2の下方に配置し、ドライブシャーシ6の後方左右側面に突設された軸部6bをメイ
ンシャーシ2後方左右に設けられた係止部2aによってメインシャーシ2に係止させるこ
とで、ドライブシャーシ6がメインシャーシ2の下方で一体化する。そして、ドライブシ
ャーシ6はメインシャーシ2に係止された軸部6b周りに回転自在であり、ドライブシャ
ーシ6の前方は上下方向に可動となる。
【0031】
本発明のディスク装置は、一つのモータの駆動によりトレイ搬送動作、チャッキング動
作およびピックアップ搬送動作の各動作を切り換えて行うものであり、この動作について
以下説明する。
【0032】
トレイ1がメインシャーシ2から前方に飛び出した状態で、トレイ1のディスク搭載部
1c上にディスクが載せられ、モータ14が逆回転を開始すると、モータ14の回転駆動
力がギヤ15、ギヤ11、ギヤ12、ギヤ10、ギヤ9、トレイギヤ3およびラック1a
の噛み合いによりトレイ1の直線運動として伝えられ、トレイ1がメインシャーシ2内へ
後方に搬送開始される。このとき、カムスライダ4は最も左側に位置し、カムスライダ4
に形成されたラック4dとトレイギヤ3とは噛み合っていない。そして、カムスライダ4
のピン4aはトレイ1のガイド溝1bのうちトレイ搬送方向と平行な部分にはまりつつト
レイ1に対して相対的に移動する。
【0033】
トレイ1の搬送が進み、ピン4aがガイド溝1bのうち右方向へ湾曲する部分に到達し
ピン4aがガイド溝1bの湾曲部分を移動すると、カムスライダ4が右方向へ移動し、カ
ムスライダ4のラック4dがトレイギヤ3に噛み合い、以降モータ14の駆動力がカムス
ライダ4に伝えられ、カムスライダ4が右方向へ駆動される。
【0034】
カムスライダ4が上記により右方向へ移動し、ドライブシャーシ6の突起部6aとプレ
ートトリガ7の突起部7aが、カムスライダ4に設けられたガイド孔4bおよびガイド孔
4cのうち下方の左右方向に形成された部分(図5)に対して相対的に左方向へ移動する
間に、トレイ1のラック1aとトレイギヤ3の噛み合いが外れ、トレイ搬送動作が完了す
る。
【0035】
カムスライダ4がさらに右方向へ移動し、ドライブシャーシ6の突起部6aとプレート
トリガ7の突起部7aが、カムスライダ4に設けられたガイド孔4bおよびガイド孔4c
のうち左斜め上方に向かって形成される部分(図5)を移動開始すると、ドライブシャー
シ6はメインシャーシ2に係止された軸部6b周りに回動し、ドライブシャーシ6の前方
が上方へ持ち上がり始める。これにより、ドライブシャーシ6に取り付けられたターンテ
ーブル21がディスクおよびクランパ5に接近を始め、チャッキング動作が開始する。
【0036】
そして、ドライブシャーシ6の前方が最も上方へ持ち上がる直前で、ターンテーブル2
1の中央に設けられた金属部21aがクランパ5下面中央に設けられた不図示のマグネッ
トに引き寄せられることにより、ドライブシャーシ6前方が上方へ引っ張られ、ドライブ
シャーシ6前方が最も持ち上がったところで金属部21aとマグネットが結合し、ディス
クがターンテーブル21とクランパ5とで挟み込まれ、ディスクがスピンドルモータによ
り回転可能となる。これで、チャッキング動作が完了する。
【0037】
チャッキング動作完了時には、ドライブシャーシ6の突起部6aは、カムスライダ4に
設けられたガイド孔4bのうち上方の左右方向に形成された部分の右端に位置し、プレー
トトリガ7の突起部7aは、カムスライダ4に設けられたガイド孔4cのうち上端に位置
する(図5)。モータ14の駆動により、カムスライダ4がさらに右方向へ移動すると、
ドライブシャーシ6の突起部6aはガイド孔4bに対して相対的に移動するが、プレート
トリガ7の突起部7aはガイド孔4cに対して相対的に移動できないため、プレートトリ
ガ7はカムスライダ4と共に右方向へ移動する。
【0038】
プレートトリガ7が右方向へ移動開始時、プレートトリガ7に形成され下方に開口した
溝部7cの右端部に左右方向に形成された奥部7dに、ピーユーラック19の先端に突設
されたボス19cが位置する状態であり、この状態でピーユーラック19が有する壁部1
9bとピックアップ16が有する壁部16aとに挟まれたラックスプリング20は圧縮さ
れた状態である。そして、プレートトリガ7が右方向へ移動すると、ボス19cが奥部7
dを離れ、ラックスプリング20のばね力によりピーユーラック19が後方へ移動する。
さらにプレートトリガ7がカムスライダ4と共に右方向へ移動すると、カムスライダ4の
ラック4dとトレイギヤ3との噛み合いが外れ、プレートトリガ7とカムスライダ4は停
止する。
【0039】
上記のようにラックスプリング20のばね力によりピーユーラック19が後方へ移動す
ると、ピーユーラック19のラック19aの後端がギヤ13と噛み合い、以降モータ14
の駆動によりピーユーラック19が後方へ駆動される。ピーユーラック19がさらに後方
へ移動すると、ピーユーラック19に形成された孔19dの前端がピックアップの壁部1
6aと接触し、ピックアップ16も後方へ移動する。これにより、ピックアップ16の左
側面に設けられた不図示のラックがギヤ13と噛み合い、以降モータ14の駆動によりピ
ーユーラック19とピックアップ16とが一体として後方へ駆動される。
【0040】
ピーユーラック19とピックアップ16とが一体として後方へ移動中に、ボス19cは
溝部7c先端に設けられた開口部7eから外部へ抜け出す。ここで、プレートトリガ7に
は板ばねである突起部7bが形成されている。開口部7eから抜け出したボス19cは、
この突起部7b先端に形成された面7fに接触する。モータ14の駆動によりボス19c
は突起部7bを変形させて後方に乗り越える。突起部7bは弾性により元の形状に戻る。
ボス19cが突起部7bを乗り越えると、モータ14の駆動によりピーユーラック19と
ピックアップ16とが一体として後方に搬送され、ピックアップ搬送動作が行われる。
【0041】
以上がトレイ搬送動作〜チャッキング動作〜ピックアップ搬送動作の動作手順である。
次に、逆の動作であるピックアップ搬送動作〜ディスク解放動作〜ピックアップ搬送動作
の動作手順について説明する。
【0042】
ピーユーラック19のラック19aとピックアップの左側面に形成されたラックとがギ
ヤ13に噛み合った状態でモータ14を正回転させ、ピーユーラック19とピックアップ
16とが一体で前方に搬送されると、ボス19cが突起部7b先端に形成される面7gに
接触する。ここでモータ14に負荷がかかるが、モータ14の駆動によりボス19cは、
突起部7bを変形させて前方に乗り越える。変形した突起部7bは元の形状に戻る。突起
部7bを前方に乗り越えたボス19cは、開口部7eから溝部7cへ入り込む。そして、
ピックアップ19の左側面に形成されたラックとギヤ13との噛み合いが外れ、ピックア
ップ19は停止し、以降ピーユーラック19のみがモータ14により前方に駆動される。
【0043】
ピーユーラック19のボス19cがモータ14の駆動により溝部7cのうち右斜め前方
向に形成された傾斜部7hに接触しながら前方に移動すると、プレートトリガ7が左方向
へ移動する。プレートトリガ7が左方向へ移動開始時、プレートトリガ7の突起部7aは
カムスライダ4に形成されたガイド孔4cの上端部に位置し、ドライブシャーシ6の突起
部6aはカムスライダ4に形成されたガイド孔4b上方に左右方向に形成された部分の左
端に位置し、プレートトリガ7が左方向へ移動するとそれに伴いカムスライダ4も左方向
へ移動する。カムスライダ4が左方向へ移動するとラック4dがトレイギヤ3に噛み合い
、カムスライダ4がモータ14により左方向へ駆動され、ディスク解放動作への切り換え
が行われる。
【0044】
カムスライダ4がモータ14の駆動により左方向へ移動し、それに伴いプレートトリガ
7が左方向へ移動すると、ボス19cがラックスプリング20のばね力に対抗して溝部7
cが有する奥部7dに移動し、ラック19aとギヤ13との噛み合いが外れ、ラックスプ
リング20は壁部19bと壁部19dに挟まれ圧縮された状態となり、ピーユーラック1
9は停止する。
【0045】
この状態で、プレートトリガ7の突起部7aはカムスライダ4に形成されたガイド孔4
cの上端部に位置し、ドライブシャーシ6の突起部6aはカムスライダ4に形成されたガ
イド孔4b上方に左右方向に形成された部分の右端に位置する。カムスライダ4がモータ
14の駆動によりさらに左方向へ移動すると、突起部7aおよび突起部6aがガイド孔4
cおよびガイド孔4bを右斜め下方向に移動し、ドライブシャーシ6はメインシャーシ2
に係止された軸部6b周りに回動し、ドライブシャーシ6の前方が下方へ持ち下がる。こ
れにより、磁力により結合していたターンテーブル21の金属部21aとクランパ5のマ
グネットが引き離され、ターンテーブル21とクランパ5に挟まれていたディスクが解放
される。突起部7aおよび突起部6aがガイド孔4cおよびガイド孔4bを右斜め下方向
に移動し、ガイド孔4cおよびガイド孔4bの下方に左右方向に形成された部分の左端に
到達すると、ドライブシャーシ6前方の持ち下がり動作が停止する。
【0046】
さらにカムスライダ4がモータ14の駆動により左方向へ移動すると、ピン4aがトレ
イ1のガイド溝1bのうち右方向へ湾曲する部分を左斜め後方に移動し、トレイ1が前方
に移動する。そして、ラック1aがトレイギヤ3と噛み合い、以降モータ14の駆動によ
りディスクが載せられたトレイ1が前方に搬送される。トレイ1の前方への移動によりピ
ン4aがガイド溝1bのうちトレイの搬送方向に平行な部分に移動すると、カムスライダ
4のラック4dとトレイギヤ3との噛み合いが外れ、カムスライダ4は停止する。
【0047】
次に、以上のような本発明のディスク装置における動作制御について説明する。
【0048】
図6に、本発明のディスク装置における動作制御に関わる構成のブロック図を示す。駆
動部22は制御部24からの指令に基づきモータ14に駆動電圧を印加する。モータ電流
検出部23はモータ14に流れる電流の大きさを検出し、モータ電流信号を出力する。制
御部24はマイクロコンピュータ等で構成され、モータ電流検出部23が出力するモータ
電流信号を参照したり、駆動部22に指令を送る。
(ピックアップ搬送動作切り換え検出)
ここでは、トレイ搬送動作からチャッキング動作、およびチャッキング動作からピック
アップ搬送動作への切り換えが正常に行われ、ピックアップ搬送動作が正常に行われてい
ることを検出(以下、ピックアップ搬送動作切り換え検出)する動作制御について説明す
る。
【0049】
図7に、トレイ搬送動作からチャッキング動作、およびチャッキング動作からピックア
ップ搬送動作への切り換えが正常に行われた場合のモータ電圧信号およびモータ電流信号
の波形を示す。
【0050】
トレイ1がメインシャーシ2より前方に飛び出した状態で、モータ14に逆回転をさせ
る一定電圧の印加を開始すると、トレイ1が後方に移動を開始する。トレイ1の移動開始
時は速度が0の状態から加速させるためにモータ14にかかる負荷が大きくなり、図7中
P1のようにモータ電流信号がマイナス値で現れる。その後、トレイ1は一定速度の移動
となるので、モータ14の負荷が下がり、図7中P2のようにモータ電流信号がプラス方
向へ戻り時間的にほぼ一定となる。
【0051】
そして、トレイ1搬送終了直前のカムスライダ4移動開始時における速度が0の状態か
らの加速、およびトレイ1搬送後のドライブシャーシ6前方の持ち上げ開始時(チャッキ
ング動作開始時)における速度が0の状態からの加速のため、モータ14にかかる負荷が
大きくなり、図7中P3のようにモータ電流信号がP2の状態よりもマイナス方向へ現れ
る。その後、カムスライダ4の移動とドライブシャーシ6前方の持ち上がりが一定速度と
なり、モータ14の負荷が下がる。その後、ドライブシャーシ6の前方が最も上方へ持ち
上がる直前で、ターンテーブル21に設けられた金属部21aがクランパ5に設けられた
マグネットに引き寄せられることにより、ドライブシャーシ6前方が上方へ引っ張られ、
モータ14に逆負荷がかかり、図7中P4のようにモータ電流信号がプラス値で現れる。
【0052】
ドライブシャーシ6前方の持ち上がりが停止しチャッキング動作が完了すると、カムス
ライダ4を移動させてピーユーラック19をプレートトリガ7から切り離すためにモータ
14に負荷がかかり、図7中P5のようにモータ電流信号が再びマイナス値で現れる。そ
の後、ピーユーラック19のボス19cが突起部7bに形成される面7fに接触し、これ
を乗り越えるためにモータ14に負荷がかかり、図7中P6のように時間的にほぼ一定の
マイナス値のモータ電流信号が現れる。
【0053】
ボス19cが突起部7bを乗り越えると、ピックアップ搬送動作に切り換わる。ここで
のモータ14にかかる負荷は、上記のボス19cが突起部7bを乗り越える際の負荷より
も小さく、図7中P7のようにP6よりもプラス方向のマイナス値でほぼ一定のモータ電
流信号が現れる。
【0054】
また、図8にトレイ搬送動作中にトレイが止まった場合のモータ電圧信号およびモータ
電流信号の波形を、図9にトレイ搬送動作は完了したがチャッキング動作中にドライブシ
ャーシが止まった場合のモータ電圧信号およびモータ電流信号の波形を示す。いずれもモ
ータ14の回転がロックされるため負荷が非常に大きくなり、図8、図9中P8のように
モータ電流信号が非常に大きなマイナス値で現れる。
【0055】
以上のようなモータ電流の挙動を利用して本発明のディスク装置はピックアップ搬送動
作切り換え検出を行う。
【0056】
図10は、ピックアップ搬送動作切り換え検出の動作手順を示すフローチャートである
。トレイ1がメインシャーシ2より前方に飛び出しディスクをトレイ1に載せた状態でユ
ーザがディスク装置のトレイ開閉ボタンを押すと、ステップS1で、制御部24は駆動部
22に対してモータ14を逆回転させるよう指令し、駆動部22はモータ14への一定の
駆動電圧の印加を開始する。これによりトレイ1の後方への搬送が開始される。ここで同
時に制御部24はタイムカウントを開始する。
【0057】
そして、制御部24はステップS2でタイムカウントを開始してから所定時間が経過し
たかを常時判定する。この所定時間は、トレイ搬送開始からピックアップ搬送動作が行わ
れるタイミング(図7中P7の任意のタイミング)までの予め測定しておいた時間として
設定すればよい。なお、以下所定時間の設定値は不図示のメモリに予め記憶され、制御部
24が参照するものとする。ステップS2で制御部24が所定の時間が経過したと判定す
ると(ステップS2のY)、ステップS3で制御部24はタイムカウントをリセットし、
改めてタイムカウントを開始する。
【0058】
そして、ステップS4で制御部24はモータ電流検出部23が出力するモータ電流信号
を参照する。そして、ステップS5で制御部24は参照したモータ電流信号がしきい値よ
りも大きいかを判定する。このしきい値は、ピックアップ搬送時のモータ電流信号(図7
中P7)と駆動電圧を印加しながらモータ14の回転をロックした場合のモータ電流信号
(図8、図9中P8)との中間値として設定すればよい。なお、以下しきい値の設定値は
不図示のメモリに予め記憶され、制御部24が参照するものとする。
【0059】
ステップS5で参照したモータ電流信号がしきい値よりも大きい場合(ステップS5の
Y)、ステップS6に進む。ステップS6で制御部24はステップS3のタイムカウント
開始から所定時間が経過したかを判定する。この所定時間は、モータ電流信号を確認する
ための時間であり例えば0.3sと設定する。ステップS6で所定時間が経過していなけ
れば(ステップS6のN)、ステップS4の手前に戻り、制御部24は再びモータ電流信
号を参照する。参照するモータ電流信号が常にしきい値より大きく、ステップS6で所定
時間が経過したと判定された場合(ステップS6のY)、ピックアップ搬送動作に正常に
切り換えられ、ピックアップ搬送動作が正常に行われているとして、ステップS7で制御
部24は駆動部22にモータ14の駆動停止を指令し、駆動部22はモータ14への駆動
電圧印加を停止し、後述するピックアップの最内周位置停止動作へ移行する。
【0060】
また、ステップS5で所定時間が経過するまでにモータ電流信号がしきい値以下である
と判定されると(ステップS5のN)、制御部24は駆動部22にモータ14の駆動停止
を指令し、駆動部22はモータ14への駆動電圧印加を停止する。
【0061】
以上のような方法によれば、ピックアップ搬送動作が行われるであろう予測されるタイ
ミングにおけるモータ電流の検出結果に基づきピックアップ搬送動作切り換え検出をする
ので、従来のようなマイクロスイッチを用いずにピックアップ搬送動作切り換え検出をす
ることができ、従来よりも構造が簡単となり部品点数を減らし、ディスク装置のコストを
低減できる。また、所定時間モータ電流信号を確認するので、ピックアップ搬送動作切り
換え検出をより確実なものとできる。
【0062】
図11は、ピックアップ搬送動作切り換え検出の別の動作手順を示すフローチャートで
ある。トレイ1がメインシャーシ2より前方に飛び出しディスクをトレイ1に載せた状態
でユーザがディスク装置のトレイ開閉ボタンを押すと、ステップS1で、制御部24は駆
動部22に対してモータ14を逆回転させるよう指令し、駆動部22はモータ14への一
定の駆動電圧の印加を開始する。これによりトレイ1の後方への搬送が開始される。ここ
で同時に制御部24はタイムカウントを開始する。
【0063】
そして、ステップS2で制御部24はモータ電流検出部23が出力するモータ電流信号
を参照し、ステップS3で、参照したモータ電流信号がしきい値αよりも大きいか判定す
る。このしきい値αは、図7のようにチャッキング動作中にモータ14にかかる逆負荷に
より現れるモータ電流信号のプラス値ピーク付近の値として設定すればよい。
【0064】
ステップS3で参照されたモータ電流信号がしきい値α以下であれば(ステップS3の
N)、ステップS4で制御部24はステップS1のタイムカウント開始時から所定時間経
過したかを判定する。この所定時間は、トレイ搬送開始からモータ電流信号がしきい値α
を越えるまでの経過時間を予め測定し、これに若干の余裕を加えたものとして設定すれば
よい。
【0065】
ステップS4で所定時間経過していないと判定されると(ステップS4のN)、ステッ
プS2の手前に戻り、制御部24は再びモータ電流信号を参照する。所定時間が経過する
までにステップS3で、参照されるモータ電流信号がしきい値αよりも大きいと判定され
ると(ステップS3のY)、ステップS5に進む。モータ電流信号がしきい値αよりも大
きいと判定されないままステップS4で所定時間が経過したと判定されると(ステップS
4のY)、制御部24は駆動部22にモータ14の駆動停止を指令し、駆動部22はモー
タ14への駆動電圧印加を停止する。
【0066】
ステップS5で、制御部24はタイムカウントをリセットし、改めてタイムカウントを
開始する。そして、制御部24はステップS6で、ステップS5でタイムカウントを開始
してから所定時間が経過したかを常時判定する。この所定時間は、モータ電流信号が上記
しきい値αを越えてからピックアップ搬送動作が行われるタイミング(図7中P7の任意
のタイミング)までの予め測定しておいた時間として設定すればよい。ステップS6で制
御部24が所定時間経過したと判定すると(ステップS6のY)、ステップS7に進む。
【0067】
ステップS7で、制御部24はタイムカウントをリセットし、改めてタイムカウントを
開始する。そして、ステップS8で制御部24はモータ電流検出部23が出力するモータ
電流信号を参照する。そして、ステップS9で制御部24は参照したモータ電流信号がし
きい値βよりも大きいかを判定する。このしきい値βは、ピックアップ搬送時のモータ電
流信号(図7中P7)と駆動電圧を印加しながらモータ14の回転をロックした場合のモ
ータ電流信号(図8、図9中P8)との中間値として設定すればよい。
【0068】
ステップS9で、参照したモータ電流信号がしきい値βよりも大きい場合(ステップS
9のY)、ステップS10に進む。ステップS10で制御部24はステップS7のタイム
カウント開始から所定時間が経過したかを判定する。この所定時間は、モータ電流信号を
確認するための時間であり例えば0.3sと設定する。ステップS10で所定時間が経過
していなければ(ステップS10のN)、ステップS8の手前に戻り、制御部24は再び
モータ電流信号を参照する。参照するモータ電流信号が常にしきい値βより大きく、ステ
ップS10で所定時間が経過したと判定された場合(ステップS10のY)、ピックアッ
プ搬送動作に正常に切り換えられ、ピックアップ搬送動作が正常に行われているとして、
ステップS11で制御部24は駆動部22にモータ14の駆動停止を指令し、駆動部22
はモータ14への駆動電圧印加を停止し、後述するピックアップの最内周位置停止動作へ
移行する。
【0069】
また、ステップS9で所定時間が経過するまでにモータ電流信号がしきい値β以下であ
ると判定されると(ステップS9のN)、制御部24は駆動部22にモータ14の駆動停
止を指令し、駆動部22はモータ14への駆動電圧印加を停止する。
【0070】
以上のような方法によれば、ピックアップ搬送動作が行われるであろう予測されるタイ
ミングにおけるモータ電流の検出結果に基づきピックアップ搬送動作切り換え検出をする
ので、従来のようなマイクロスイッチを用いずにピックアップ搬送動作切り換え検出をす
ることができ、従来よりも構造が簡単となり部品点数を減らし、ディスク装置のコストを
低減できる。また、所定時間モータ電流信号を確認するので、ピックアップ搬送動作切り
換え検出をより確実なものとできる。
【0071】
また、本方法ではチャッキング動作中のモータにかかる逆負荷をトレイ搬送開始から所
定時間経過するまで検出できなければモータの駆動を停止させる。この逆負荷は前述した
ようにトレイ1前方が最も上方に持ち上がる直前にトレイ1がクランパ5のマグネットに
より引き寄せられるために発生するから、逆負荷を検出できないことにより、図8、図9
のようなトレイ搬送動作またはチャッキング動作の異常を早い段階で検出でき、モータに
無理な負荷がかかる時間を抑えられ、モータの破損を防げる。
(ピックアップの最内周位置停止動作)
上記のようにピックアップ搬送動作切り換え検出がされると、ディスクからの読み取り
を開始するために、ピックアップを初期位置に移動させ停止させる必要がある。ここで初
期位置とは、前述したように、ピックアップが有する対物レンズがディスク最内周側の特
定位置と対向するようなピックアップの位置である。以下、このようなピックアップの最
内周位置停止動作について説明する。
【0072】
図12に、本発明のディスク装置におけるピックアップの最内周位置停止動作の動作手
順を示すフローチャートを示す。
【0073】
ここで、前述したピックアップ搬送動作切り換え検出が完了し、ピックアップ16の左
側面に形成されるラックとピーユーラック19のラック19aとがギヤ13に噛み合い、
ピックアップ16とピーユーラック19とが一体としてモータ14により駆動可能な状態
で停止しているとする。そして、ステップS1で制御部24は駆動部22に対してモータ
14を正回転させるよう指令し、駆動部22はモータ14への一定の駆動電圧の印加を開
始する。これによりピックアップ16とピーユーラック19とが一体で前方へ搬送開始さ
れる。ここで駆動電圧は、ピックアップ16とピーユーラック19とが一体で前方へ搬送
され、ピーユーラック19のボス19cがプレートトリガ7の突起部7bに形成された面
7gに接触した後、突起部7bを乗り越えられないような電圧とする。また、ボス19c
が突起部7bに形成された面7gに接触する状態でピックアップ16が初期位置に位置す
るよう、突起部7bは形成されている。また、ステップS1で制御部24はタイムカウン
トを開始する。
【0074】
そして、ステップS2で制御部24は、ステップS1でタイムカウント開始してから所
定時間経過したかを常時判定する。この所定時間は、ピックアップ16とピーユーラック
19とがプレートトリガ7から最も遠い後方の位置に位置する状態でモータ14に上記一
定の駆動電圧を印加し、ピーユーラック19のボス19cがプレートトリガ7の突起部7
bに形成された面7gに接触するまでの時間を予め測定し、この測定時間に若干余裕を加
えたものとして設定すればよい。これにより、ステップS1の状態でピックアップ16が
どこの位置に位置しても、確実にピックアップ16を初期位置に停止させることができる

【0075】
ステップS2で所定時間が経過したことが判定されると(ステップS2のY)、ステッ
プS3で制御部24は駆動部22にモータ14の駆動停止を指令し、駆動部22はモータ
14への駆動電圧印加を停止する。この状態で、ピックアップ16は初期位置に停止し、
対物レンズ8がディスク最内周側の特定位置と対向する状態となり、ディスクの読み取り
を開始できる。
【0076】
以上のような方法によれば、従来のようにマイクロスイッチを用いずにピックアップを
初期位置に停止させることができるので、ディスク装置のコストを低減できる。また、上
記特許文献1に開示されたディスク装置のようにモータ電流を検出する検出器も必要なく
、ディスク装置のコストを低減できる。
【0077】
次に、ピックアップの最内周位置停止動作の別方法について説明する。図13に、ピッ
クアップ16とピーユーラック19とを一体で前方に搬送させ、ピーユーラック19のボ
ス19cが突起部7bに接触したときのモータ電圧信号およびモータ電流信号の波形を示
す。
【0078】
モータ14への一定の駆動電圧印加を開始し正逆転駆動させ、ピックアップ16とピー
ユーラック19とが一体で前方へ搬送開始される。この駆動電圧は、ピックアップ16と
ピーユーラック19とが一体で前方へ搬送され、ピーユーラック19のボス19cがプレ
ートトリガ7の突起部7bに形成された面7gに接触した後、突起部7bを乗り越えられ
ないような電圧とする。このとき、ピックアップ16およびピーユーラック19を速度が
0の状態から加速させるため、モータ14に負荷がかかり、図13中P9のようにモータ
電流信号がプラス値で現れる。
【0079】
その後、ピックアップ16およびピーユーラック19は一定速度となるので、モータ1
4にかかる負荷が下がり、図13中P10のようにモータ電流信号がマイナス方向に戻り
、時間的にほぼ一定となる。
【0080】
ピックアップ16およびピーユーラック19の搬送が進み、ピーユーラック19のボス
19cがプレートトリガ7の突起部7bに形成された面7gに接触すると、それ以上は乗
り越えられないため、モータ14の回転がロックされた状態となり、図13中P11のよ
うにモータ電流信号がP10の状態から一気に増大する。
【0081】
ここでは、このようなモータ電流の挙動を利用してピックアップの最内周位置停止動作
を行う。その方法を図14のフローチャートに示す。
【0082】
ここで、前述したピックアップ搬送動作切り換え検出が完了し、ピックアップ16の左
側面に形成されるラックとピーユーラック19のラック19aとがギヤ13に噛み合い、
ピックアップ16とピーユーラック19とが一体としてモータ14により駆動可能な状態
で停止しているとする。そして、ステップS1で制御部24は駆動部22に対してモータ
14を正回転させるよう指令し、駆動部22はモータ14への一定の駆動電圧の印加を開
始する。これによりピックアップ16とピーユーラック19とが一体で前方へ搬送開始さ
れる。ここで駆動電圧は、ピックアップ16とピーユーラック19とが一体で前方へ搬送
され、ピーユーラック19のボス19cがプレートトリガ7の突起部7bに形成された面
7gに接触した後、突起部7bを乗り越えられないような電圧とする。また、ボス19c
が突起部7bに形成された面7gに接触する状態でピックアップ16が初期位置に位置す
るよう、突起部7bは形成されている。
【0083】
そして、ステップS2で制御部24はモータ電流検出部23が出力するモータ電流信号
を参照し、ステップS3で制御部24は参照されたモータ電流信号がしきい値γより大き
いかを判定する。このしきい値γは、図13のようにモータ14に上記駆動電圧を印加し
ながらモータ14の回転をロックさせたときのモータ電流信号のピーク値付近の値として
設定すればよい。
【0084】
ステップS3でモータ電流信号がしきい値γ以下であると判定されると(ステップS3
のN)、ステップS2の手前まで戻り、制御部24は再びモータ電流信号を参照する。そ
して、ステップS3でモータ電流信号がしきい値γよりも大きいと判定されると(ステッ
プS3のY)、ステップS4で制御部24は駆動部22にモータ14の駆動停止を指令し
、駆動部22はモータ14への駆動電圧印加を停止する。この状態で、ピックアップ16
は初期位置に停止し、対物レンズ8がディスク最内周側の特定位置と対向する状態となり
、ディスクの読み取りを開始できる。
【0085】
以上のような方法によれば、従来のようにマイクロスイッチを用いずにピックアップを
初期位置に停止させることができるので、ディスク装置のコストを低減できる。また、先
に図12で述べた方法よりも動作時間を短縮でき、ひいてはディスクの読み取りまでの時
間を短縮できる。
【0086】
以上実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨
を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、モータ14に負荷を与える負荷手
段として上記実施形態ではプレートトリガ7に突起部7bを設けたが、ボス19cと板面
が接触するような板状部材をドライブシャーシ6に設けてもよい。この場合、板状部材は
プレートトリガ7の開口部7eよりも後方に設ければよい。
【0087】
また、プレートトリガ7が有する開口部7eをボス19cの径よりも若干狭いように形
成してもよい。これにより、ボス19cが傾斜部7hに接触してディスク解放動作が起こ
る前に開口部7eとの接触によって負荷を与えることができる。
【0088】
また、ピックアップ16の右側面に略垂直に突起部を設け、この突起部と板面が接触す
るような板状部材をドライブシャーシ6の右側面壁から略垂直に突設するようにしてもよ
い。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】は、本発明のディスク装置におけるトレイの上面図である。
【図2】は、本発明のディスク装置における各種部品が取り付けられたメインシャーシの上面図である。
【図3】は、本発明のディスク装置における各種部品が取り付けられたドライブシャーシの上面図である。
【図4】は、ピックアップ、ピーユーラックおよびプレートトリガの要部拡大上面図である。
【図5】は、カムスライダを後方から見た平面図である。
【図6】は、本発明のディスク装置における動作制御に関わる構成のブロック図である。
【図7】は、トレイ搬送動作からチャッキング動作、およびチャッキング動作からピックアップ搬送動作への切り換えが正常に行われた場合のモータ電圧信号およびモータ電流信号の波形を示す図である。
【図8】は、トレイ搬送動作中にトレイが止まった場合のモータ電圧信号およびモータ電流信号の波形を示す図である。
【図9】は、チャッキング動作中にドライブシャーシが止まった場合のモータ電圧信号およびモータ電流信号の波形を示す図である。
【図10】は、ピックアップ搬送動作切り換え検出の動作手順を示すフローチャートである。
【図11】は、ピックアップ搬送動作切り換え検出の別の動作手順を示すフローチャートである。
【図12】は、ピックアップの最内周位置停止動作の動作手順を示すフローチャートである。
【図13】は、ピックアップ16とピーユーラック19とを一体で前方に搬送させ、ピーユーラック19のボス19cが突起部7bに接触したときのモータ電圧信号およびモータ電流信号の波形を示す図である。
【図14】は、ピックアップの最内周位置停止動作の別の動作手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0090】
1 トレイ
2 メインシャーシ
3 トレイギヤ
4 カムスライダ
5 クランパ
6 ドライブシャーシ
7 プレートトリガ
8 対物レンズ
9、10、11、12、13 ギヤ
14 モータ
15 ギヤ
16 ピックアップ
17 金属棒
18 ガイド部材
19 ピーユーラック
20 ラックスプリング
21 ターンテーブル
22 駆動部
23 モータ電流検出部
24 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク搬送動作およびチャッキング動作およびピックアップ搬送動作の各動作を一つ
のモータの駆動により切り換えて行うディスク装置において、
前記モータに流れる電流を検出するモータ電流検出手段と、
前記ディスク搬送動作が開始されてから第一の所定時間経過後、第二の所定時間が経過
する間に前記モータ電流検出手段が検出したモータ電流に基づき、前記ディスク搬送動作
から前記チャッキング動作への切り換えおよび前記チャッキング動作から前記ピックアッ
プ搬送動作への切り換えが正常にされ、前記ピックアップ搬送動作が正常にされているこ
とを検出する制御手段と、を備えることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
ディスク搬送動作およびチャッキング動作およびピックアップ搬送動作の各動作を一つ
のモータの駆動により切り換えて行うディスク装置において、
前記モータに流れる電流を検出するモータ電流検出手段と、
前記チャッキング動作中に前記モータにかかる逆負荷を前記ディスク搬送動作が開始し
てから第一の所定時間が経過するまでに前記モータ電流検出手段が検出したモータ電流に
基づき検出しなければ前記モータの駆動を停止させ、
そうでない場合は、前記逆負荷の検出時から第二の所定時間経過後、第三の所定時間が経
過する間に前記モータ電流検出手段が検出したモータ電流に基づき、前記ディスク搬送動
作から前記チャッキング動作への切り換えおよび前記チャッキング動作から前記ピックア
ップ搬送動作への切り換えが正常にされ、前記ピックアップ搬送動作が正常にされている
ことを検出することを特徴とするディスク装置。
【請求項3】
ピックアップと、該ピックアップを搬送するモータと、前記ピックアップと一体として
搬送される接触手段と、該接触手段と接触することにより前記モータに負荷を与える負荷
手段と、前記接触手段と接触することにより前記ピックアップの搬送動作からチャッキン
グされたディスクを解放するディスク解放動作への切り換えを行う切り換え手段と、を備
えるディスク装置であって、
前記負荷手段は、前記接触手段と接触すると、前記ピックアップが有する対物レンズが
ディスク最内周側の特定位置と対向するような前記ピックアップの位置である初期位置に
前記ピックアップが位置するよう、かつ、前記ピックアップの搬送動作から前記ディスク
解放動作への切り換えが起こる前記切り換え手段が有する前記接触手段との接触部分に前
記接触手段が到達する前に前記接触手段と接触するように配置され、
前記接触手段が前記負荷手段と接触し前記負荷手段を乗り越えられないような駆動電圧
を前記モータに印加することで前記接触手段が前記負荷手段に近づく方向に前記ピックア
ップを搬送することを開始し、そこから所定時間経過するまで前記駆動電圧を前記モータ
に印加するような制御手段を備えることを特徴とするディスク装置。
【請求項4】
ピックアップと、該ピックアップを搬送するモータと、前記ピックアップと一体として
搬送される接触手段と、該接触手段と接触することにより前記モータに負荷を与える負荷
手段と、前記接触手段と接触することにより前記ピックアップの搬送動作からチャッキン
グされたディスクを解放するディスク解放動作への切り換えを行う切り換え手段と、前記
モータに流れる電流を検出するモータ電流検出手段と、を備えるディスク装置であって、
前記負荷手段は、前記接触手段と接触すると、前記ピックアップが有する対物レンズが
ディスク最内周側の特定位置と対向するような前記ピックアップの位置である初期位置に
前記ピックアップが位置するように、かつ、前記ピックアップの搬送動作から前記ディス
ク解放動作への切り換えが起こる前記切り換え手段が有する前記接触手段との接触部分に
前記接触手段が到達する前に前記接触手段と接触するように配置され、
前記接触手段が前記負荷手段と接触し前記負荷手段を乗り越えられないような駆動電圧
を前記モータに印加することで前記接触手段が前記負荷手段に近づく方向に前記ピックア
ップを搬送することを開始し、前記モータ電流検出手段が検出したモータ電流に基づき、
前記接触手段が前記負荷手段と接触し前記ピックアップが前記初期位置に位置することを
検出するような制御手段を備えることを特徴とするディスク装置。
【請求項5】
ディスク搬送動作およびチャッキング動作およびピックアップ搬送動作の各動作を一つ
のモータの駆動により切り換えて行うディスク装置において、
前記モータに流れる電流を検出するモータ電流検出手段と、
該モータ電流検出手段が検出したモータ電流に基づき、前記ディスク搬送動作から前記
チャッキング動作への切り換えおよび前記チャッキング動作から前記ピックアップ搬送動
作への切り換えが正常にされ、前記ピックアップ搬送動作が正常にされていることを検出
する制御手段と、を備えることを特徴とするディスク装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記ピックアップ搬送動作がされるであろう予測されるタイミングに
おいて前記モータ電流検出手段が検出したモータ電流に基づき、前記ディスク搬送動作か
ら前記チャッキング動作への切り換えおよび前記チャッキング動作から前記ピックアップ
搬送動作への切り換えが正常にされ、前記ピックアップ搬送動作が正常にされていること
を検出することを特徴とする請求項5に記載のディスク装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記ディスク搬送動作が開始されてから第一の所定時間経過後におい
て前記モータ電流検出手段が検出したモータ電流に基づき、前記ディスク搬送動作から前
記チャッキング動作への切り換えおよび前記チャッキング動作から前記ピックアップ搬送
動作への切り換えが正常にされ、前記ピックアップ搬送動作が正常にされていることを検
出することを特徴とする請求項5または請求項6に記載のディスク装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記チャッキング動作中に前記モータにかかる逆負荷を前記モータ電
流検出手段が検出したモータ電流に基づき検出し、該検出時から第一の所定時間経過後に
おいて前記モータ電流検出手段が検出したモータ電流に基づき、前記ディスク搬送動作か
ら前記チャッキング動作への切り換えおよび前記チャッキング動作から前記ピックアップ
搬送動作への切り換えが正常にされ、前記ピックアップ搬送動作が正常にされていること
を検出することを特徴とする請求項5または請求項6に記載のディスク装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記逆負荷の検出時から前記第一の所定時間経過後、第二の所定時間
が経過する間に前記モータ電流検出手段が検出したモータ電流に基づき、前記ディスク搬
送動作から前記チャッキング動作への切り換えおよび前記チャッキング動作から前記ピッ
クアップ搬送動作への切り換えが正常にされ、前記ピックアップ搬送動作が正常にされて
いることを検出することを特徴とする請求項8に記載のディスク装置。
【請求項10】
ピックアップと、該ピックアップを搬送するモータと、前記ピックアップと一体として
搬送される接触手段と、該接触手段と接触することにより前記モータに負荷を与える負荷
手段と、を備えるディスク装置であって、
前記負荷手段は、前記接触手段と接触すると、前記ピックアップが有する対物レンズが
ディスク最内周側の特定位置と対向するような前記ピックアップの位置である初期位置に
前記ピックアップが位置するよう配置され、
前記接触手段が前記負荷手段と接触し前記負荷手段を乗り越えられないような駆動電圧
を前記モータに印加することで前記接触手段が前記負荷手段に近づく方向に前記ピックア
ップを搬送することを開始し、そこから所定時間経過するまで前記駆動電圧を前記モータ
に印加するような制御手段を備えることを特徴とするディスク装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2007−58896(P2007−58896A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−239561(P2005−239561)
【出願日】平成17年8月22日(2005.8.22)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】