説明

ディスク装置

【課題】 重量バランスの不均衡によるトラバースの捩れ変形を阻止することによってチャッキング状態でのディスクの振れ動きを抑制する。
【解決手段】 トラバース20が正方向又は逆方向に揺動することにより、クランパ40とターンテーブル24との共働によるディスクチャッキング動作又はディスクチャッキング解除動作が行われる。ディスクチャッキング状態で、重量バランスの不均衡によるトラバース20の捩れ変形を修正してその姿勢の安定化を助けるトラバース姿勢保持手段50を追加する。トラバース姿勢保持手段20が、トラバースの前端部の幅方向片側端に設けられた孔部でなる受部51と、受部51を押さえてその片側端の高さレベルをトラバース20の前端部の幅方向他側端の高さレベルに合わせる押圧部55とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク装置、特に、シャーシとこのシャーシに揺動可能に取り付けられた樹脂成形体でなるトラバースとを備えて、トラバースの揺動を通じてトラバースに装備されているターンテーブルがシャーシ側に設けられているクランパと共働してディスクチャッキング状態を作り出すようになっているディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のディスク装置の従来例を図4〜図8を参照して次に説明する。
【0003】
図4はディスク装置の全体構成を一部省略して示した概略平面図である。また、図5及び図6はカム機構の説明図、図7はディスクチャッキング状態を一部断面で示した概略側面図、図8はディスクチャッキング解除状態を一部断面で示した概略側面図である。
【0004】
図4には、矩形枠形のシャーシ10、板状のトラバース20、カム機構30などが示されている。シャーシ10やトラバース20は樹脂成形体でなり、そのうちシャーシ10には、図7又は図8に示した樹脂製の横架片11が幅方向に横切る形態で一体成形されていて、この横架片11に円板形のクランパ40が保持されている。このクランパ40は、シャーシ10に対する垂直方向に一定範囲内で変位可能になっていると共に、傾き方向にも一定範囲内で変位可能になっている。
【0005】
図4に示したように、トラバース20は、その基端部の幅方向両端部の2箇所でシャーシ10に連結されている。具体的には、2箇所のそれぞれの連結箇所aでは、図7又は図8に示したように、トラバース20を挟む一対のゴム緩衝体21,22を介してそのトラバース20がシャーシ10に取付けビス23を用いてビス止めされている。そして、このトラバース20は、2箇所の連結箇所aが位置している基端部を支点として、ゴム緩衝体21,22の弾性変形を伴いながら、上記したクランパ40に接近する正方向揺動(図例では上動)とクランパ40から離反する逆方向揺動(図例では下動)とが可能になっている。
【0006】
また、トラバース20の前端部は図5及び図6に示したカム機構30によってシャーシ10に連結されている。図5及び図6のように、カム機構30は、単一のカムピン31とカムスライダでなるカム板32とを備えていて、カム板32のカム溝33にカムピン31が相対摺動可能に係合されている。そして、図4のように、カムピン31がトラバース20の前端部の1箇所から前向きに突き出し、かつ、カム板32がシャーシ10に幅方向スライド自在に取り付けられている。さらに、カム板32に備わっているラック34がシャーシ10に取り付けられているピニオン35に対応している。このため、ラック34の噛み合ったピニオン35が正方向又は逆方向に回転駆動されることを通じて、カム板32がシャーシ10の幅方向に往動又は復動する。そして、図例では、図5の矢印X1のようにカム板32が往動すると、カムピン31がカム溝33の作用で垂直方向に上動されてトラバース20を正方向揺動させるのに対し、図6の矢印X2のようにカム板32が復動すると、カムピン31がカム溝33の作用で垂直方向に下動されてトラバース20を逆方向揺動させるようになっている。
【0007】
次に、図4や図5又は図6に示したように、トラバース20には、ターンテーブル24を装備したモータ25、ガイドシャフト26、ガイドシャフト26により案内されて矢印Yのようにディスク径方向に走行される光ピックアップ27のほか、光ピックアップ27に走行力を付与するためのモータ28などが搭載されている。
【0008】
以上の構成を備えたディスク装置において、カム機構30の作用によってトラバース20が正方向揺動されると、図7矢印Cのように、トラバース20と共にターンテーブル24が上動してそのターンテーブル24にあらかじめ載架されているディスクDがクランパ40に押し付けられ、そのクランパ40がターンテーブル24と共働してディスクDをチャッキングしてディスクチャッキング状態になる。このチャッキング状態が作り出されるまでのトラバース20の正方向揺動動作がディスクチャッキング動作である。そして、ディスクチャッキング状態では、ディスクDを押し付けているクランパ40が横架片11に非接触状態で回転可能である。一方、カム機構30の作用によってトラバース20が逆方向揺動されると、図8矢印Uのように、トラバース20と共にターンテーブル24が下動してそのターンテーブル24に載架されているディスクDがクランパ40から離れてディスクチャッキング解除状態になる。このディスクチャッキング解除状態が作り出されるまでのトラバース20の逆方向揺動動作がディスクチャッキング解除動作である。そして、ディスクチャッキング解除動作が行われる過程では、ターンテーブル24に載架されているディスクがクランパ40から離れた後、ターンテーブル24から図示していないディスクトレイに受け渡され、その後、ディスクトレイが図8の矢印L1のようにターンテーブル24とクランパ40との隙間から後退することができるようになる。なお、図8の矢印L2は、ディスクチャッキング解除状態でクランパ40とターンテーブル24との隙間に進入されるディスクトレイの移動方向を示している。
【0009】
ところで、以上説明したディスク装置において、ディスクチャッキング状態でディスクDがその正規姿勢に対して傾いていると、クランパ40とターンテーブル24との共働によるディスクチャッキング状態が不安定になってターンテーブル24と共に回転するディスクDが振れ動き、光ピックアップ27による走査の安定性が阻害されて画像品質が低下するおそれがある。このようなディスクDの振れ動きを抑制して画像品質の低下を回避するためには、ディスクチャッキング状態でのディスクDの傾きをできるだけ少なくしておくことが有益であると云える。
【0010】
一方、トラバースベースを備えるディスク装置において、ディスクチャッキング時のトラバースベースの移動のさせ方に工夫を講じることによって当該ディスク装置の薄形化を図るという提案が従来よりなされている(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−312955号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図4〜図8を参照して説明したディスク装置の従来例では、トラバース20が、その基端部が2箇所の連結箇所a,aでシャーシ10に連結され、かつ、その前端部がカム機構30の単一のカムピン31によって1箇所でシャーシ10に連結されているという3点支持構造でシャーシ10に取り付けられていることに加えて、トラバース20に光ピックアップ27やモータ25,28などの重量の重い部品が搭載されている。そのため、トラバース20は、重量バランスの不均衡による捩れ変形が生じやすい状況下に置かれていると云える。ましてや、図例のディスク装置のようにトラバース20に耐変形強度のそれほど大きくない樹脂成形体が用いられているものでは、重量バランスの不均衡による捩れ変形が生じやすいということが云える。このため、トラバース20が捩れ変形を起こしたままディスクDがクランパ40とターンテーブル24との共働によりチャッキングされるという事態の生じるおそれがあり、そのときにはディスクDの振れ動きを生じるおそれがある。
【0012】
図9にはディスクチャッキング状態でトラバース20が捩れ変形を起こしている状態を説明的に示してあり、ディスクチャッキング解除状態でのトラバース20を仮想線で示し、ディスクチャッキング状態でのトラバース20を実線で示してある。同図のように、ディスクチャッキング状態でトラバース20が正規姿勢(一点鎖線20’で示した水平姿勢)に対して捩れ変形を起こしていると、クランパ40が傾き方向に変位可能であるために、図7に示したディスクチャッキング状態では、ディスクが傾いて不安定な状態になる。そのため、回転中のディスクDが振れ動いて光ピックアップ27による走査の安定性が阻害され、画像品質が低下するおそれがある。
【0013】
本発明は以上の状況の下でなされたものであり、重量バランスの不均衡によるトラバースの捩れ変形を阻止することによってディスクチャッキング状態でのディスクの振れ動きを抑制する機能を備えたディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るディスク装置は、シャーシと、このシャーシに取り付けられてそのシャーシに対する垂直方向及び傾き方向に変位可能なクランパと、上記シャーシに連結された基端部を支点として上記クランパに接近する方向の正方向揺動とそのクランパから離反する方向の逆方向揺動とが可能な板状の樹脂成形体でなるトラバースと、このトラバースに装備されたターンテーブルと、上記トラバースの前端部に装備されたカムピンと上記シャーシに取り付けられて上記カムピンの変位動作を通じて上記トラバースを正方向又は逆方向に揺動させるカム板とでなるカム機構と、を備えている。また、上記トラバースが正方向揺動するのに伴って上記クランパと上記ターンテーブルとの共働によるディスクチャッキング動作が行われ、上記トラバースが逆方向揺動するのに伴って上記クランパと上記ターンテーブルとの共働によるディスクチャッキング状態を解除するディスクチャッキング解除動作が行われるように構成されている。そして、上記クランパと上記ターンテーブルとの共働によるディスクチャッキング状態で、重量バランスの不均衡による上記トラバースの捩れ変形を修正してその姿勢の安定化を助けるトラバース姿勢保持手段が追加されている。
【0015】
この構成であると、ディスクチャッキング状態では、トラバース姿勢保持手段が重量バランスの不均衡によるトラバースの捩れ変形を修正してその姿勢を安定化させる。そのために、クランパとターンテーブルとの共働によるディスクチャッキング状態が安定し、ターンテーブルと共に回転するディスクの振れ動きが抑制されて光ピックアップによる走査の安定性が向上し、画像品質が向上することになる。
【0016】
本発明では、上記トラバースがその基端部の幅方向両端部の2箇所で上記シャーシに連結され、上記カム機構は単一のカムピンがそのカム板のカム溝に摺動可能に係合されていると共に、上記2箇所の連結箇所では、トラバースを挟む一対のゴム緩衝体を介してそのトラバースが上記シャーシにビス止めされている、という構成を採用することが可能である。このようなディスク装置では、トラバースが図4などを参照して説明ところと同様に3点支持されているに過ぎないけれども、上記したトラバース姿勢保持手段の作用によってディスクチャッキング状態が安定して回転中のディスクの振れ動きが抑制される。
【0017】
本発明では、上記トラバース姿勢保持手段が、上記トラバースの前端部の幅方向片側端に設けられた受部と、この受部を押さえてその片側端の高さレベルを上記トラバースの前端部の幅方向他側端の高さレベルに合わせる押圧部と、を有して、その押圧部が上記シャーシに設けられている、という構成を採用することが可能である。この構成であると、トラバース姿勢保持手段がトラバース側の受部とシャーシ側の押圧部とによって構成されるために、トラバース姿勢保持手段の構成を簡素にすることができるという利点がある。
【0018】
本発明において、上記トラバース姿勢保持手段は、その受部が円錐面を有する孔部によって形成され、その押圧部が、トラバースの正方向又は逆方向の揺動によって上記孔部に嵌脱され、かつ、嵌合状態で上記円錐面を押さえる円錐部を備えていることが望ましい。この構成であると、シャーシ側の押圧部がトラバース側の受部の孔部に嵌合してトラバースの捩れ変形を抑制するだけでなく、トラバースをその幅方向及び前後方向(奥行方向)の互いに直交する2軸方向で位置決めする作用をも発揮するので、ディスクチャッキング状態でのトラバースの姿勢を安定化させる作用と共に、落下や振動などの衝撃に伴うトラバースの位置ずれや破損を防ぐことにも役立つようになる。
【0019】
本発明では、上記トラバース姿勢保持手段の押圧部が、樹脂成形体でなる上記シャーシに一体成形された片持ちアームの先端に樹脂で一体成形されていることが望ましい。この構成を採用すると、トラバース姿勢保持手段を構成するための余分な部品を追加する必要がなくなるので、ディスク装置の組立工数が増加しなくなって量産性の低下を回避することができることになる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、トラバース姿勢保持手段の作用により、ディスクチャッキング状態で、重量バランスの不均衡によるトラバースの捩れ変形が阻止されるために、ディスクチャッキング状態での回転中のディスクの振れ動きが抑制されて光ピックアップによる走査の安定性が向上し、画像品質が向上する。そのため、特に、トラバースに樹脂成形体を用いたディスク装置のように、トラバースが変形しやすいディスク装置において、回転中のディスクの振れ動きを抑制したり、衝撃によるトラバースの位置ずれや破損を防止したりする上で有益であると云える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は本発明の実施形態に係るディスク装置の全体構成を一部省略して示した概略平面図であり、図2は図1の要部の拡大図である。また、図3はトラバース姿勢保持手段50の作用を示した説明図である。
【0022】
この実施形態のディスク装置において、図4などを参照して説明した従来例の構成と異なる構成は、図1に示したトラバース姿勢保持手段50を追加してある点だけであり、その他の構成は従来例と同様である。このようなディスク装置のトラバース20では、カム機構30のカムピン31の位置を境として、重量の重いモータ24,28などが搭載されている幅方向他側がそれらが搭載されていない幅方向片側よりも重いという重量バランスの不均衡が生じている。そのため、ディスクチャッキング動作中にトラバース20が捩じれ変形を起こしたときには、トラバース20の前端部において、軽量の幅方向片側がそれよりも重い幅方向他側に先行して正方向揺動し、重量の重い幅方向他側は軽量の幅方向片側に追従して正方向揺動することがある。
【0023】
トラバース姿勢保持手段50は、ディスクチャッキング状態で、重量バランスの不均衡によるトラバース20の捩れ変形を修正してその姿勢の安定化を助ける機能を発揮する。このトラバース姿勢保持手段50の具体的構成が図3に詳細に示されている。図例のトラバース姿勢保持手段50は、トラバース20の前端部の幅方向片側端に設けられた受部51と、シャーシ10側に設けられた押圧部55とでなる。さらに具体的には、受部51が円錐面52を有する孔部によって形成されているのに対し、押圧部55が、受部51を形成している孔部に嵌脱可能で、かつ、嵌合状態で上記円錐面52に重なり合って受部51を押さえる円錐部56を備えている。そして、押圧部55が、樹脂成形体でなるシャーシ10に一体成形されてそのシャーシ10の片側壁12から延び出た片持ちアーム57の先端に樹脂で一体成形されている。
【0024】
この実施形態において、重量バランスの不均衡によるトラバース20の捩れ変形を修正してその姿勢の安定化を助けるというトラバース姿勢保持手段50の機能は、ディスクチャッキング状態で発揮されていればよい。したがって、ディスクチャッキング動作中、すなわちトラバース20の正方向揺動中にその機能が発揮されている必要性は必ずしもない。したがって、この実施形態では、トラバース20が正方向揺動してディスクチャッキング動作を行う過程でトラバース姿勢保持手段50の押圧部55がトラバース20側の受部51を形成している孔部に嵌合し、ディスクチャッキング状態が作られたときに、押圧部55の円錐部56が受部51の円錐面52に重なり合うことによって、重量バランスの不均衡によるトラバース20の捩れ変形が修正されるようにしてある。
【0025】
この点を図3を参照して具体的に説明する。図3には、ディスクチャッキング解除状態でのトラバース20を仮想線で示し、ディスクチャッキング状態でのトラバース20を実線で示してある。また、図3には、トラバース20の正規の水平姿勢を一点鎖線20’で説明的に示してある。同図によって判るように、仮想線で示されているディスクチャッキング解除状態でのトラバース20が矢印Cのように正方向揺動してディスクチャッキング動作が行われる過程でトラバース姿勢保持手段50の押圧部55がトラバース20側の受部51を形成している孔部に嵌合する。このように押圧部55が受部51に嵌合しても、押圧部55の円錐部56が受部51の円錐面52に重なりあっていない状態では、同図に破線で示したようにトラバース20の前端部の幅方向片側がその幅方向他側に先行して正方向揺動している。そして、トラバース20のディスクチャッキング動作が完了してディスクチャッキング状態になったときには、実線で示したように押圧部55の円錐部56が受部51の円錐面52に重なり合う。こうして押圧部55の円錐部56が受部51の円錐面52に重なり合うと、トラバース20の前端部の幅方向片側の正方向揺動が阻止されている状態のまま、その前端部の幅方向他側の正方向揺動が続行されるために、トラバース20の前端部の幅方向片側端の高さレベルがトラバース20の前端部の幅方向他側端の高さレベルに合う。したがって、重量バランスの不均衡によるトラバース20の捩れ変形が修正され、ターンテーブル24とクランパ40との共働によるディスクチャッキング状態が安定する。
【0026】
こうして安定したディスクチャッキング状態が保たれていると、クランパ40が傾き変位可能に横架片11に保持されているとしても、クランパ40が傾かない。そのため、図7などに示したクランパ40とターンテーブル24との共働によってチャッキングされたディスクが回転しても、ディスクの振れ動きが抑制されて光ピックアップによる走査の安定性が向上し、画像品質が向上する。
【0027】
ところで、重量バランスの不均衡によるトラバース20の捩れ変形を修正して、ターンテーブル24とクランパ40との共働によるディスクチャッキング状態を安定させる機能は、トラバース姿勢保持手段の押圧部55が受部51を押さえてトラバース20の前端部の片側端の高さレベルをトラバースの前端部の幅方向他側端の高さレベルに合わせるという作用か行われるだけで発揮される。しかし、この実施形態では、特に、押圧部55の円錐部56が受部51の円錐面52に重なり合う構成を採用している。そのため、シャーシ10側の押圧部55がトラバース20をその幅方向及び前後方向(奥行方向)の互いに直交する2軸方向で位置決めする作用を発揮する。このことは、トラバース20がゴム緩衝体22を介してシャーシ10にビス止めされていることを勘案すると、ディスクチャッキング状態でディスクDの回転中に生じる振動の影響を受けて、ゴム緩衝体22が微少な撓み変形を起こしてトラバース20が位置ずれするという事態を抑制することにもなり、そのことがディスクDの回転中の振れ動きをいっそう抑制することにつながるという利点がある。さらに、ディスク装置において、トラバース20の初期位置はクランパ40にターンテーブル24が重なり合う位置、すなわち、ディスクチャッキング状態に相応する位置であって、ディスク装置の搬送時などには、トラバース20がその初期位置に保たれている。したがって、ディスク装置の搬送時の衝撃によってトラバース20が位置ずれするという事態をも抑制することにも役立つ。
【0028】
この実施形態では、トラバース姿勢保持手段50を受部51と押圧部55とによって構成し、受部51をトラバース20の孔部によって形成し、かつ、押圧部55をシャーシ10に樹脂で一体成形してあるので、トラバース姿勢保持手段50を設けたことによる部品点数の増加が回避されている。そのため、当該ディスク装置の組立工数が従来例と同等になり、そのことがディスク装置の量産性の低下を防ぐことに役立っている。
【0029】
なお、図1〜図3では、図4〜図9に示した部分と同一又は相応する部分に同一符号を付することによってその説明を簡略化した。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態に係るディスク装置の全体構成を一部省略して示した概略平面図である。
【図2】図1の要部の拡大図である。
【図3】トラバース姿勢保持手段の作用を示した説明図である。
【図4】従来例によるディスク装置の全体構成を一部省略して示した概略平面図である。
【図5】ディスクチャッキング状態でのカム機構の状態を示した説明図である。
【図6】ディスクチャッキング解除状態でのカム機構の状態を示した説明図である。
【図7】ディスクチャッキング状態を一部断面で示した概略側面図である。
【図8】ディスクチャッキング解除状態を一部断面で示した概略側面図である。
【図9】ディスクチャッキング状態でトラバースが捩れ変形を起こしている状態の説明図である。
【符号の説明】
【0031】
10 シャーシ
20 トラバース
22 ゴム緩衝体
24 ターンテーブル
30 カム機構
31 カムピン
32 カム板
40 クランパ
50 トラバース姿勢保持手段
51 受部
52 円錐面
55 押圧部
56 円錐部
57 片持ちアーム
a トラバースの連結箇所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャーシと、このシャーシに取り付けられてそのシャーシに対する垂直方向及び傾き方向に変位可能なクランパと、上記シャーシに連結された基端部を支点として上記クランパに接近する方向の正方向揺動とそのクランパから離反する方向の逆方向揺動とが可能な板状の樹脂成形体でなるトラバースと、このトラバースに装備されたターンテーブルと、上記トラバースの前端部に装備されたカムピンと上記シャーシに取り付けられて上記カムピンの変位動作を通じて上記トラバースを正方向又は逆方向に揺動させるカム板とでなるカム機構と、を備えて、
上記トラバースが正方向揺動するのに伴って上記クランパと上記ターンテーブルとの共働によるディスクチャッキング動作が行われ、上記トラバースが逆方向揺動するのに伴って上記クランパと上記ターンテーブルとの共働によるディスクチャッキング状態を解除するディスクチャッキング解除動作が行われるように構成されているディスク装置において、
上記クランパと上記ターンテーブルとの共働によるディスクチャッキング状態で、重量バランスの不均衡による上記トラバースの捩れ変形を修正してその姿勢の安定化を助けるトラバース姿勢保持手段が追加されていることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
上記トラバースがその基端部の幅方向両端部の2箇所で上記シャーシに連結され、上記カム機構は単一のカムピンがそのカム板のカム溝に摺動可能に係合されていると共に、上記2箇所の連結箇所では、トラバースを挟む一対のゴム緩衝体を介してそのトラバースが上記シャーシにビス止めされている請求項1に記載したディスク装置。
ディスク装置。
【請求項3】
上記トラバース姿勢保持手段が、上記トラバースの前端部の幅方向片側端に設けられた受部と、この受部を押さえてその片側端の高さレベルを上記トラバースの前端部の幅方向他側端の高さレベルに合わせる押圧部と、を有して、その押圧部が上記シャーシに設けられている請求項1又は請求項2に記載したディスク装置。
【請求項4】
上記トラバース姿勢保持手段は、その受部が円錐面を有する孔部によって形成され、その押圧部が、トラバースの正方向又は逆方向の揺動によって上記孔部に嵌脱され、かつ、嵌合状態で上記円錐面を押さえる円錐部を備えている請求項3に記載したディスク装置。
【請求項5】
上記トラバース姿勢保持手段の押圧部が、樹脂成形体でなる上記シャーシに一体成形された片持ちアームの先端に樹脂で一体成形されている請求項4に記載したディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−4016(P2009−4016A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−163257(P2007−163257)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】