説明

ディスク装置

【課題】構成部材同志の衝突に起因した衝突音がユーザに感知されにくいディスク装置を提供する。
【解決手段】ディスク装置は、A1方向にスライドしながらディスクの取り込みをガイドするとともにコイルバネ58の復元力により回動アーム56を介してガイドプレート54のバネ取り付け部60の位置に向かってA2方向に復帰可能なディスクガイド部材55と、バネ取り付け部60に配置され、ディスクガイド部材55がコイルバネ58の復元力によりバネ取り付け部60の位置に復帰する際に、バネ取り付け部60の位置でディスクガイド部材55のスライド動作を制止するとともに、ディスクガイド部材55の制止時の衝突による衝撃力を吸収するねじりコイルバネ65とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ディスク装置に関し、特に、ディスクをガイドするディスクガイド部を備えたディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスクをガイドするディスクガイド部を備えたディスク装置が知られている(たとえば、特許文献1〜4参照)。
【0003】
上記特許文献1および2には、ディスクを搬送する搬送ローラと、ディスクとともにスライドしながらディスクの搬送をガイドするディスクストッパ(ディスクガイド部)と、内側面に沿ってディスクストッパのボス部が所定範囲をスライドするための案内溝が形成されたシャーシとを含むディスク搬送機構を備えたディスク搬送装置が開示されている。この特許文献1および2に記載のディスク搬送装置(ディスク装置)では、ディスクが装置本体内部に装填される際、ディスクの縁に当接するディスクストッパの直線移動に伴って、シャーシ上で回動可能に固定されるとともに互いに係合状態にある複数のアーム部材が順次回動することにより、ディスクがターンテーブル上に適宜載置されるように構成されている。なお、ディスク回転時(ディスク再生時)は、アーム部材の回動により、ディスクとディスクストッパとの接触は一時的に解除される。また、ディスクが装置本体外部に排出される際、ディスクストッパおよび複数のアーム部材は、複数のアーム部材とシャーシとを接続するコイルバネの復元力を利用して元の位置に復帰されるように構成されている。この際、まず、排出中のディスクの縁が1つのアーム部材に当接してこのアーム部材を回動させることにより他のアーム部材との係合状態が解除される。その後、係合状態が解除されたアーム部材とディスクストッパとが、共に、コイルバネの復元力により元の位置までスライドされる。
【0004】
また、上記特許文献3には、ディスク搬送手段と、ディスク側面に当接する当接片を有するとともにディスクの移動に伴ってスライドされる一対のアーム(ディスクガイド部)と、内側面に沿ってアームの当接片が揺動可能に形成された案内部(略円弧形状の長穴)を有する取り付け体(シャーシ)とを備えたディスク装置が開示されている。この特許文献3に記載のディスク装置では、ディスクが装置本体内部に装填される際、ディスク側面に押された一対のアームが各々の回動軸を中心として回動されることにより、ディスクがターンテーブル上に適宜載置されるように構成されている。なお、ディスク回転時は、ディスクとアーム(アームの当接片)との接触は一時的に解除される。また、ディスクが装置本体外部に排出される際、一対のアームは、取り付け体とアームとを接続するバネの復元力を利用して元の位置に復帰されるように構成されている。なお、アームの復帰動作については、上記特許文献1および2に記載のディスク搬送装置におけるディスクストッパの復帰動作と略同じである。
【0005】
また、上記特許文献4には、ディスクを搬送する挿入排出ローラと、駆動源の駆動力を伝達する略L字形状のレバーと、レバーの回動軸に接続されるとともにディスクの移動に伴って回動されることによりディスクの位置を規制するストッパ部材(ディスクガイド部)と、内側面に沿ってレバーの当接ピンが揺動可能に形成されたガイド溝部(略円弧形状の長穴)を有する側板(シャーシ)とを備えたディスクプレーヤが開示されている。この特許文献4に記載のディスクプレーヤ(ディスク装置)では、ディスクが装置本体内部に装填される際、レバーとともに回動されたストッパ部材の当接部材がディスクの側面に当接してディスクがターンテーブル上に適宜載置されるように構成されている。なお、ディスク回転時は、ディスクとストッパ部材(ストッパ部材の当接部材)との接触は一時的に解除される。また、ディスクが装置本体外部に排出される際、レバーは、側板とレバーとを接続するねじりバネの復元力を利用して元の位置に復帰されるように構成されている。
【0006】
【特許文献1】特開2006−302384号公報
【特許文献2】特開2006−190407号公報
【特許文献3】特開2002−8291号公報
【特許文献4】特開平5−151677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1および2に記載のディスク搬送装置では、ディスクが装置本体外部に排出される際、ディスクストッパは、アーム部材とシャーシとを接続するコイルバネの復元力を利用して元の位置に戻されるため、シャーシの案内溝に沿ってスライドするディスクストッパのボス部が、案内溝の端部の内側面に衝突すると考えられる。この場合、ボス部が案内溝の端部の内側面に衝突してスライド動作が止まる瞬間に、衝突に起因した衝突音が発生する。なお、この衝突音は、ボス部が案内溝の内側面に衝突する際にシャーシや複数のアーム部材にも伝播するため、衝突音がユーザに感知されやすいという問題点がある。
【0008】
また、上記特許文献3に記載のディスク装置では、ディスクが装置本体外部に排出される際、一対のアームは、アームと取り付け体とを接続するバネの復元力を利用して元の位置に戻されるため、取り付け体の案内部(略円弧形状の長穴)に沿ってスライドするアームの当接片が、案内部の端部の内側面に衝突すると考えられる。この場合、当接片が案内部の端部の内側面に衝突してスライド動作が止まる瞬間に、衝突に起因した衝突音が発生する。なお、この衝突音は、当接片が案内部の内側面に衝突する際に取り付け体やアームにも伝播するため、衝突音がユーザに感知されやすいという問題点がある。
【0009】
また、上記特許文献4に記載のディスクプレーヤにおいても、ディスクの排出時に、ストッパ部材は、ストッパ部材と側板とを接続するねじりバネの復元力を利用して元の位置に戻されるため、側板のガイド溝部(略円弧形状の長穴)に沿ってスライドするレバーの当接ピンが、ガイド溝部の端部の内側面に衝突すると考えられる。この場合、当接ピンがガイド溝部の端部の内側面に衝突してスライド動作が止まる瞬間に、衝突に起因した衝突音が発生するため、上記特許文献1〜3のディスク搬送装置などと同様の問題点が生じる。
【0010】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、構成部材同志の衝突に起因した衝突音がユーザに感知されにくいディスク装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0011】
この発明の一の局面によるディスク装置は、スライドしながらディスクの取り込みをガイドするとともに弾性体の復元力により所定の位置に復帰可能なディスクガイド部と、所定の位置に配置され、ディスクガイド部が弾性体の復元力により所定の位置に復帰する際に、所定の位置でディスクガイド部を制止するとともに、ディスクガイド部の制止時の衝突による衝撃力を吸収するバネ部材とを備える。
【0012】
この発明の一の局面によるディスク装置では、上記のように、ディスクガイド部が弾性体の復元力により所定の位置に復帰する際に、所定の位置でディスクガイド部を制止するとともに、ディスクガイド部の制止時の衝突による衝撃力を吸収するバネ部材を備えることによって、ディスクガイド部が弾性体の復元力により所定の位置に復帰する際、ディスクガイド部の衝突による衝撃がバネ部材によって適切に吸収される。したがって、たとえば、硬くて変形しにくい部材に衝突させてディスクガイド部のスライド動作を制止する場合と異なり、ディスクガイド部とバネ部材との衝突に伴う衝撃音がバネ部材に吸収されて低減される。これにより、衝撃音がディスク装置を構成する他の部材に伝播されにくくなるので、ディスクガイド部とバネ部材との衝突による衝撃音をユーザに感知されにくくすることができる。
【0013】
上記一の局面によるディスク装置において、好ましくは、バネ部材は、コイル部と、コイル部の一方端部に設けられた腕部とを有するねじりコイルバネを含み、バネ部材は、ディスクガイド部がねじりコイルバネの腕部に衝突することにより、腕部を弾性変形させてディスクガイド部の制止時の衝突による衝撃力を吸収するように構成されている。このように構成すれば、バネ部材としてねじりコイルバネを用いた場合、ねじりコイルバネの腕部により衝突時の音を容易に吸収させることができる。
【0014】
上記一の局面によるディスク装置において、好ましくは、ディスクガイド部がスライド可能に取り付けられたシャーシをさらに備え、シャーシは、ねじりコイルバネのコイル部が固定されることにより、ディスクガイド部の制止時の衝突に起因してねじりコイルバネが所定の位置から位置ずれを起こすのを抑制する第1固定部を含む。このように構成すれば、ディスクガイド部がねじりコイルバネの腕部に衝突する際に、コイル部はシャーシの第1固定部に固定されて位置ずれを起こさないので、衝突に伴う衝撃力がねじりコイルバネの腕部に適切に伝達されて腕部を弾性変形させることができる。これにより、衝突に伴う衝撃音を、ねじりコイルバネにより確実に吸収させることができる。
【0015】
上記シャーシをさらに備える構成において、好ましくは、シャーシは、ディスクガイド部の制止時の衝突によってねじりコイルバネの腕部が弾性変形する際に、腕部のコイル部とは反対側の端部が移動可能に係合される長穴部をさらに含む。このように構成すれば、腕部のコイル部とは反対側の端部は、衝撃を受けた腕部の弾性変形時に長穴部の内部を移動することができるので、ねじりコイルバネの腕部をより弾性変形しやすくさせることができる。これにより、ディスクガイド部の衝突による衝撃を、バネ部材に効果的に吸収させることができる。
【0016】
上記シャーシをさらに備える構成において、好ましくは、シャーシは、ねじりコイルバネの腕部に弾性力を生じさせた状態で、ねじりコイルバネを所定の位置に配置する第2固定部をさらに含む。このように構成すれば、第2固定部によって予め復元力を生じさせた状態のねじりコイルバネをシャーシの所定の位置に固定することができるので、ディスクガイド部の衝突に起因して、ねじりコイルバネがシャーシから脱落するのを容易に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態によるディスク装置を備えた液晶テレビジョンの全体構成を示した斜視図である。図2は、図1に示した一実施形態によるディスク装置の分解斜視図である。図3〜図9は、図1に示した一実施形態によるディスク装置の詳細構造を示した図である。まず、図1〜図9を参照して、本発明の一実施形態によるディスク装置40を備えた液晶テレビジョン100の構造について説明する。
【0019】
本発明の一実施形態によるディスク装置40を備えた液晶テレビジョン100は、図1に示すように、ディスプレイ本体10と、ディスプレイ本体10を前後方向に所定の角度だけ傾けることが可能なスタンド30とを備えている。また、図1および図2に示すように、ディスプレイ本体10は、樹脂製のフロントキャビネット11と、金属製のシャーシ12に液晶パネル(図示せず)が取り付けられた液晶モジュール13(図2参照)と、樹脂製のリアキャビネット14とから構成されている。また、図2に示すように、ディスプレイ本体10の下部には、板金製のブラケット部材15が、液晶モジュール13およびフロントキャビネット11に跨る状態でネジ90(4個)によって取り付けられている。
【0020】
また、液晶モジュール13は、図2に示すように、フロントキャビネット11およびリアキャビネット14によって取り囲まれるように構成されている。また、液晶モジュール13の金属製のシャーシ12の周囲には、複数のネジ挿入孔(図示せず)が設けられ、液晶モジュール13は、ネジ90(7個)によって、フロントキャビネット11に固定されている。また、フロントキャビネット11の内側面11aには、リアキャビネット14を取り付けるための複数の取付部11b(7個所)が形成されている。また、リアキャビネット14には、図1に示すように、後述するスタンド部材33が取り付けられたブラケット部材15を覆い隠して配置するための切り欠き部14aが一体的に設けられている。また、リアキャビネット14の外周部には、図2に示すように、複数のネジ挿入孔14b(本実施形態では7個所)が設けられ、ネジ91(7個)によってリアキャビネット14がフロントキャビネット11に取り付けられるように構成されている。また、リアキャビネット14の側面部14cには、図2に示すように、短形状の凹部14dが形成されており、短形状の凹部14dには、開口部16aを有する略L字形状の蓋部材16が嵌め込まれている。
【0021】
また、図1および図2に示すように、液晶テレビジョン100は、上記構成に加えて、リアキャビネット14の内側に取り付けられたディスク装置40を備えている。したがって、この液晶テレビジョン100では、DVDなどのディスク70に記録された情報をディスク装置40を介して再生することが可能に構成されている。
【0022】
また、図3および図4に示すように、ディスク装置40には、ディスク挿入口40a(図1参照)からディスク70を装置本体内に取り込んだり装置本体外に排出したりするディスク搬送部50が設けられている。なお、図3および図4では、リアキャビネット14(図1参照)の背面側からディスク装置40を見た場合のディスク搬送部50の構造を示している。また、ディスク搬送部50は、ディスク70を搬送するモータ駆動の搬送ローラ51(破線で示す)と、ディスク70の搬送をガイドする搬送ガイド機構部52とから構成されている。
【0023】
また、搬送ガイド機構部52は、板金製のベースプレート53と、ベースプレート53の穴部53aの内側に固定された板金製のガイドプレート54と、ガイドプレート54の裏面側(図6参照)にA方向に沿ってスライド可能に配置された樹脂製のディスクガイド部材55(図6参照)と、回動軸56aが設けられた板金製の回動アーム56と、回動軸57aが設けられた板金製のロックアーム57とを備えている。なお、ガイドプレート54およびディスクガイド部材55は、それぞれ、本発明の「シャーシ」および「ディスクガイド部」の一例である。
【0024】
また、ガイドプレート54は、図3、図4および図6に示すように、ディスクガイド部材55(図5参照)のスライド部55b(図5参照)が移動可能な長穴形状を有するガイド溝54aと、ガイド溝54aの両側にディスクガイド部材55をスライド可能に取り付けるための一対の取り付け溝54bとが形成されている。また、取り付け溝54bは、ガイド溝54aの延びる方向(A方向)と略同じ方向に延びるように形成されている。
【0025】
また、ディスクガイド部材55には、図5に示すように、本体部55aと、本体部55aの略中央部からB2方向に突出するとともにA方向に延びる前述のスライド部55bと、本体部55aの裏面側からB1方向に突出するディスクガイド部55c(4箇所)と、スライド部55bからB2方向に突出する略円柱形状の係合ボス部55dと、本体部55aの上面からB2方向に突出する一対のスライド係合部55eとが一体的に形成されている。これにより、図6に示すように、ディスクガイド部材55は、スライド部55bがガイドプレート54のガイド溝54aに嵌め込まれるとともに、一対のスライド係合部55eがガイドプレート54の取り付け溝54bに係合された状態でA1方向およびA2方向にスライドされるように構成されている。
【0026】
また、図3および図4に示すように、回動アーム56は、ガイドプレート54上において回動軸56aを中心にP1方向およびP2方向に回動されるように構成されている。また、回動アーム56は、回動軸56aの近傍領域に設けられたフック部56bと、回動軸56aから見て一方端部に設けられた係合穴56cと、他方端部に設けられた係合穴56dとを含んでいる。これにより、回動アーム56は、ガイドプレート54を切り起こして形成されたフック部54cと回動アーム56のフック部56bとを繋ぐコイルバネ58の伸び縮みによる弾性力を利用して、図3に示した状態から図4に示した状態へと回動軸56aを中心にP1方向へ所定の角度範囲で回動することが可能に構成されている。この際、ディスクガイド部材55の係合ボス部55dが回動アーム56の係合穴56cに対して揺動可能に係合しているので、回動アーム56のP1方向への回動が、ディスクガイド部材55(図6参照)のA2方向へのスライド動作に変換されるように構成されている。なお、コイルバネ58は、本発明の「弾性体」の一例である。
【0027】
ここで、本実施形態では、図3に示すように、ガイドプレート54のガイド溝54aのA2方向の端部に、ガイド溝54aから続くバネ取り付け部60が形成されている。より詳細には、図7に示すように、バネ取り付け部60は、板金のプレス加工によりディスクガイド部材55(図6参照)がA方向にスライドするスライド面54dよりも板金の厚み方向に段差54eが施されてオフセットされた(ずらされた)平面54fの一部の領域に形成されている。また、バネ取り付け部60には、板金の切り起こしにより固定部61とバネ当接部62および63とが一体的に形成されている。そして、線材からなる1つのねじりコイルバネ65が、バネ取り付け部60に固定されている。この際、ねじりコイルバネ65は、円環状のコイル部65aが平面54fから起立する固定部61に差し込まれることにより、コイル部65aの水平面内における位置ずれが生じないように固定されている。なお、固定部61は、本発明の「第1固定部」の一例であり、バネ当接部62および63は、本発明の「第2固定部」の一例である。
【0028】
また、本実施形態では、図7に示すように、ねじりコイルバネ65は、コイル部65aから延びる2本の腕部65bおよび65cが、バネ取り付け部60のバネ当接部62および63にそれぞれ当接した状態で配置されている。したがって、ねじりコイルバネ65は、平面的に見て形状が略U字形状に矯正された状態でバネ取り付け部60に嵌め込まれている。これにより、ねじりコイルバネ65には、自然状態に戻るための復元力が生じるように構成されている。また、ねじりコイルバネ65は、腕部65cの端部65dが、腕部65cの延びる方向と略直交する方向(ガイドプレート54の厚み方向)に曲げられた状態で、バネ取り付け部60の近傍に設けられた長穴部64に係合されている。これにより、腕部65cが外力を受けてA2方向に瞬間的に撓んだ場合においても、端部65dが長穴部64の内部をA方向に適宜移動することが可能に構成されている。
【0029】
これにより、本実施形態では、図8に示すように、回動アーム56によってディスクガイド部材55(図6参照)がA2方向にスライドされた場合、スライド部55bのA2側の端部55fが、ねじりコイルバネ65のガイド溝54aを横切る部分の腕部65cに当接することが可能に構成されている。すなわち、図8に示すように、ディスクガイド部材55がコイルバネ58(図4参照)が縮む際の復元力により所定の速度を有した状態でねじりコイルバネ65の腕部65cに衝突した場合、ねじりコイルバネ65は、腕部65cおよびコイル部65aの弾性を利用してスライド部55bの端部55fの衝突に伴う衝撃力を吸収することが可能に構成されている。これにより、ディスクガイド部材55は、ガイド溝54aのA2方向の端部でねじりコイルバネ65に衝突する際に発生する衝突音が低減された状態で、A2方向のスライド動作が制止されるように構成されている。
【0030】
また、図3に示すように、ロックアーム57は、ベースプレート53上において回動軸57aを中心にQ1方向およびQ2方向に回動するように構成されている。また、ロックアーム57は、回動軸57aの近傍領域に設けられたフック部57bと、回動軸57aから見て一方端部に設けられた係合ピン57cと、他方端部に設けられた係合ピン57dとを含んでいる。これにより、ロックアーム57は、ベースプレート53を切り起こして形成されたフック部53bとロックアーム57のフック部57bとを接続するコイルバネ59の伸び縮みによる弾性力を利用して、回動軸57aを中心にQ2方向に回動することが可能に構成されている。
【0031】
なお、ロックアーム57は、ディスク70が係合ピン57dの近傍をA1方向またはA2方向に通過する際、ディスク70の外側面70aが係合ピン57dに一時的に当接することにより、Q1方向またはQ2方向に回動するように構成されている。この際、ロックアーム57の係合ピン57cが回動アーム56の係合穴56dに対して揺動可能に係合しているので、回動アーム56は、ロックアーム57の回動位置(係合ピン57cと係合穴56dとの係合位置)によってP1方向およびP2方向に回動可能な状態と回動可能でない状態とを有するように構成されている。
【0032】
また、ディスク装置40は、ディスプレイ本体10の内部において、主制御基板17(図2参照)に伝送ケーブル(図示せず)を用いて接続されている。これにより、ディスク装置40は、主制御基板17からの制御信号に基づいてディスク70の取り込み、再生および排出などの各種動作が行われるように構成されている。
【0033】
また、スタンド30は、図2に示すように、板金製の台座31と、一対の垂直支持部材32と、板金製のスタンド部材33と、樹脂製のカバー部材34とから構成されている。また、図2に示すように、スタンド30の一対の垂直支持部材32は、図示しないネジにより台座31に固定されている。また、スタンド部材33は、垂直支持部材32に所定のトルク以上で回動可能となるように取り付けられている。また、台座31は、図2に示すように、台座31の強度を維持するための3種類の異なる形状を有する凸状の補強部31c、31dおよび31eがそれぞれプレス加工によって所定の位置に設けられている。また、図2に示すように、カバー部材34は、ネジ95(6個)によって、台座31に取り付けられている。また、カバー部材34には、穴部34a(2箇所)が設けられており、スタンド部材33が前後に回動する際に、カバー部材34と干渉しないように構成されている。
【0034】
図9は、図1に示した一実施形態によるディスク装置のディスク搬送動作を説明するための図である。次に、図1〜図4、図6および図9を参照して、本発明の一実施形態による液晶テレビジョン100を構成するディスク装置40のディスク搬送動作について説明する。
【0035】
まず、図1に示すように、ユーザがディスク70をディスク装置40のディスク挿入口40aに挿入した場合、ディスク挿入口40a近傍に設けられたセンサ(図示せず)によりディスク70のA1方向の挿入が検知される。これにより、ディスク装置40は、主制御基板17(図2参照)からの制御信号に基づいて搬送ローラ51(図3参照)を駆動して、ディスク70の搬送が開始される。
【0036】
この際、ディスク70のA1方向の搬送に伴って、ロックアーム57は、図3に示した状態から図9に示した状態までQ1方向に回動される。すなわち、図9に示すように、ディスク70の外側面70aがロックアーム57の係合ピン57dに当接することにより、係合ピン57dがディスク70のA1方向への移動に合わせてQ1方向に徐々に移動する。また、この際、ロックアーム57の係合ピン57cもQ1方向に移動されるので、係合ピン57cと回動アーム56の係合穴56dとの係合状態が解除される。
【0037】
その後、図6に示すように、ディスク70のA1方向への搬送に伴って、ディスク70の外側面70aがディスクガイド部材55のディスクガイド部55cに当接した状態で、ディスク70とディスクガイド部材55とが共にA1方向に移動する。そして、ディスク70の中心が、ディスク装置40のターンテーブル(図示せず)の回転中心と一致する位置まで搬送された場合、搬送ローラ51の駆動が停止される。なお、ディスク70が完全に装置本体内に搬送された場合、ロックアーム57は、コイルバネ59の復元力を利用して、図9に示した状態から図3に示した状態までQ2方向に回動される。これにより、ロックアーム57の係合ピン57cもQ2方向に移動されるので、係合ピン57cと回動アーム56の係合穴56dとの係合状態が再開される。したがって、回動アーム56およびディスクガイド部材55は、図3に示した状態(スライド位置)に保持される。この際、コイルバネ58は、回動アーム56のP2方向の回動により自然状態から引き伸ばされた状態に保持されている。
【0038】
その後、ディスク70が、図示しない駆動機構を用いてターンテーブル(図示せず)上に載置されることにより、ディスク70の再生が可能な状態に移行される。なお、ディスク70がターンテーブル上に載置されることにより、ディスク70の外側面70aとディスクガイド部55cとの当接状態は解除される。このようにして、ディスク70のディスク装置40への取り込み動作が行われる。
【0039】
次に、ユーザが、リモコンなどに設けられた操作ボタンを操作してディスク70を取り出す信号を送信した場合、ディスク装置40は、主制御基板17からの制御信号に基づいてディスク70の排出動作を開始する。
【0040】
まず、図示しない駆動機構を用いてターンテーブル上に載置されたディスク70が、搬送ローラ51によって排出可能な位置まで移動される。その後、搬送ローラ51を駆動することにより、ディスク70のA2方向への搬送が開始される。
【0041】
そして、ディスク70が図9に示した位置まで搬送された際、ディスク70の外側面70aがロックアーム57の係合ピン57dに当接するとともにディスク70のA2方向への搬送にあわせてQ1方向に徐々に移動する。同時に、係合ピン57cがQ1方向に移動して、回動アーム56の係合穴56dとの係合状態が解除される。これにより、回動アーム56は、コイルバネ58が縮む方向の復元力により所定の速度を有した状態でP1方向に即座に回動される。これと同時に、回動アーム56に係合するディスクガイド部材55が所定の速度を有した状態でA2方向にスライドされる。
【0042】
ここで、本実施形態では、図8に示すように、A2方向にスライドされたディスクガイド部材55は、スライド部55bの端部55fが、ねじりコイルバネ65の腕部65cに衝突する。この際、ねじりコイルバネ65は、腕部65cの弾性を利用してスライド部55bの端部55fの衝突に伴う衝撃力を吸収するので、ディスクガイド部材55がねじりコイルバネ65に衝突する際の衝突音がコイルバネ65に吸収されて低減される。これにより、衝撃音がガイドプレート54や回動アーム56などに伝播されにくくなるので、ディスクガイド部材55のスライドが停止する際の音はユーザに感知されにくくなる。
【0043】
その後、ディスク70の外側面70aが係合ピン57dに当接しない位置まで排出されると、図4に示すように、係合ピン57cがQ2方向に移動して、回動アーム56の係合穴56dとの係合状態が再開される。したがって、回動アーム56およびディスクガイド部材55は、図4に示した位置に保持される。このようにして、ディスク70のディスク装置40外部への排出動作が行われる。
【0044】
本実施形態では、上記のように、ディスクガイド部材55がコイルバネ58の復元力により回動アーム56を介してガイドプレート54のバネ取り付け部60の位置までA2方向にスライドして復帰する際に、バネ取り付け部60の位置でディスクガイド部材55を制止するとともに、ディスクガイド部材55(端部55f)の制止時の衝突による衝撃力を吸収するねじりコイルバネ65を備えることによって、ディスクガイド部材55がコイルバネ58の復元力によりバネ取り付け部60の位置まで復帰する際、ディスクガイド部材55の衝突による衝撃がねじりコイルバネ65によって適切に吸収される。したがって、たとえば、硬くて変形しにくい部材に衝突させてディスクガイド部材55のスライド動作を制止する場合と異なり、ディスクガイド部材55とねじりコイルバネ65との衝突に伴う衝撃音をねじりコイルバネ65に吸収させて低減させることができる。これにより、衝撃音がディスク装置40を構成する他の部材(ガイドプレート54や回動アーム56など)に伝播されにくくなるので、ディスクガイド部材55とねじりコイルバネ65との衝突による衝撃音をユーザに感知されにくくすることができる。
【0045】
また、本実施形態では、ディスクガイド部材55(端部55f)がねじりコイルバネ65の腕部65cに衝突することにより、腕部65cを弾性変形させてディスクガイド部材55の制止時の衝突による衝撃力を吸収することによって、ねじりコイルバネ65の腕部65cにより衝突時の音を容易に吸収させることができる。
【0046】
また、本実施形態では、ガイドプレート54を、ねじりコイルバネ65のコイル部65aが差し込まれることにより、ディスクガイド部材55の制止時の衝突に起因してねじりコイルバネ65がバネ取り付け部60から位置ずれを起こすのを抑制する固定部61を含むことによって、ディスクガイド部材55がねじりコイルバネ65の腕部65cに衝突する際に、コイル部65aはガイドプレート54の固定部61に固定されて位置ずれを起こさないので、衝突に伴う衝撃力が効率的にねじりコイルバネ65の腕部65cに伝達されて腕部65cを弾性変形させることができる。これにより、衝突に伴う衝撃音を、ねじりコイルバネ65により確実に吸収させることができる。
【0047】
また、本実施形態では、ガイドプレート54を、ディスクガイド部材55の制止時の衝突によってねじりコイルバネ65の腕部65cが弾性変形する際に、腕部65cのコイル部65aとは反対側の端部65dがA方向に移動可能に係合される長穴部64を含むことによって、端部65dは、衝撃を受けた腕部65cの弾性変形時に長穴部64の内部をA方向に移動することができるので、ねじりコイルバネ65の腕部65cをより弾性変形しやすくさせることができる。これにより、ディスクガイド部材55の衝突による衝撃を、ねじりコイルバネ65に効果的に吸収させることができる。
【0048】
また、本実施形態では、ガイドプレート54のバネ取り付け部60が、ねじりコイルバネ65の腕部65cに弾性力を生じさせた状態でねじりコイルバネ65をバネ取り付け部60に配置するバネ当接部62および63を含むことによって、バネ当接部62および63によって予め復元力を生じさせた状態のねじりコイルバネ65をガイドプレート54の所定の位置に固定することができるので、ディスクガイド部材55の衝突に起因して、ねじりコイルバネ65がガイドプレート54から脱落するのを容易に抑制することができる。
【0049】
[確認実験]
図10は、図1に示した一実施形態の比較例によるディスク装置の構造を示した図である。図11は、図1に示した一実施形態の効果を確認するために行った比較実験の結果を示した図である。次に、図3、図10および図11を参照して、上記実施形態の効果を確認するために行った比較実験について説明する。
【0050】
この比較実験では、まず、上記実施形態に対応する実施例によるディスク装置40(図3参照)を実際に組み立てた。
【0051】
また、比較例として、図10に示すようなディスク装置140を組み立てた。この比較例では、ガイドプレート54のガイド溝54aのA2方向の端部に、当接面165aを有する樹脂製のクッション部材165を取り付けた。したがって、ディスクガイド部材55がA2方向にスライドした場合、スライド部55bのA2側の端部55fが、クッション部材165の当接面165aに面接触しながら衝突するように構成した。なお、比較例によるディスク装置140の上記した以外の構造は、実施例によるディスク装置40の構造と同様になるように組み立てた。
【0052】
そして、上記実施例および比較例によるディスク装置40および140において、ディスク70を装置本体から外部に排出する際の騒音値を計測した。
【0053】
図11を参照して、比較例におけるディスクガイド部材55とクッション部材165との衝突音よりも、上記実施例におけるディスクガイド部材55とねじりコイルバネ65との衝突音が4.4dBだけ小さくなる測定結果が得られた。このことから、ディスクガイド部材55がねじりコイルバネ65に衝突する際に、衝突の衝撃力がねじりコイルバネ65側に適切に吸収されることによってディスクガイド部材55とねじりコイルバネ65との衝突音が低減できることが確認できた。
【0054】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0055】
たとえば、上記実施形態では、ディスク装置40を備えた液晶テレビジョン100に本発明を適用した例について示したが、本発明はこれに限らず、有機ELパネルなどの液晶パネル以外の表示画面部を有するテレビジョン装置に内蔵されたディスク装置に本発明を適用してもよいし、テレビジョン装置以外の表示装置に内蔵されたディスク装置に本発明を適用してもよい。あるいは、PCなどの情報処理機器に内蔵されたディスク装置に本発明を適用してもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、DVDの再生が可能なディスク装置40に本発明を適用した例について示したが、本発明はこれに限らず、DVDへ映像データや音声データなどを記録することが可能なディスク装置に本発明を適用してもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、DVDに対応したディスク装置40に本発明を適用した例について示したが、本発明はこれに限らず、たとえばCDの再生に対応したディスク装置に本発明を適用してもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、本発明の「バネ部材」としてねじりコイルバネ65を用いた例について示したが、本発明はこれに限らず、弾性変形によってディスクガイド部材55の制止時の衝突による衝撃力を吸収するバネ部材であれば、上記ねじりコイルバネ以外のバネ部材を適用してもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、板金製のガイドプレート54に板金の切り起こし加工を施して固定部61やバネ当接部62および63を含むバネ取り付け部60を形成した例について示したが、本発明はこれに限らず、樹脂成形技術により上記のバネ取り付け部を一体的に形成した樹脂製のガイドプレートを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態によるディスク装置を備えた液晶テレビジョンの全体構成を示した斜視図である。
【図2】図1に示した一実施形態によるディスク装置を備えた液晶テレビジョンの分解斜視図である。
【図3】図1に示した一実施形態によるディスク装置の詳細構造を示した平面図である。
【図4】図1に示した一実施形態によるディスク装置の詳細構造を示した平面図である。
【図5】図1に示した一実施形態によるディスク装置のディスクガイド部材の構造を示した斜視図である。
【図6】図1に示した一実施形態によるディスク装置を裏面側から見た場合の詳細構造を示した平面図である。
【図7】図1に示した一実施形態によるディスク装置のガイドプレートの詳細構造を示した斜視図である。
【図8】図1に示した一実施形態によるディスク装置の詳細構造を示した斜視図である。
【図9】図1に示した一実施形態によるディスク装置のディスク搬送動作を説明するための図である。
【図10】図1に示した一実施形態の比較例によるディスク装置の構造を示した図である。
【図11】図11は、図1に示した一実施形態の効果を確認するために行った比較実験の結果を示した図である。
【符号の説明】
【0061】
54 ガイドプレート(シャーシ)
55 ディスクガイド部材(ディスクガイド部)
58 コイルバネ(弾性体)
61 固定部(第1固定部)
62、63 バネ当接部(第2固定部)
64 長穴部
65 ねじりコイルバネ(バネ部材)
65a コイル部
65b、65c 腕部
65d 端部
70 ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライドしながらディスクの取り込みをガイドするとともに弾性体の復元力により所定の位置に復帰可能なディスクガイド部と、
前記所定の位置に配置され、前記ディスクガイド部が前記弾性体の復元力により前記所定の位置に復帰する際に、前記所定の位置で前記ディスクガイド部を制止するとともに、前記ディスクガイド部の制止時の衝突による衝撃力を吸収するバネ部材とを備えた、ディスク装置。
【請求項2】
前記バネ部材は、コイル部と、前記コイル部の一方端部に設けられた腕部とを有するねじりコイルバネを含み、
前記バネ部材は、前記ディスクガイド部が前記ねじりコイルバネの前記腕部に衝突することにより、前記腕部を弾性変形させて前記ディスクガイド部の制止時の衝突による前記衝撃力を吸収するように構成されている、請求項1に記載のディスク装置。
【請求項3】
前記ディスクガイド部がスライド可能に取り付けられたシャーシをさらに備え、
前記シャーシは、前記ねじりコイルバネの前記コイル部が固定されることにより、前記ディスクガイド部の制止時の衝突に起因して前記ねじりコイルバネが前記所定の位置から位置ずれを起こすのを抑制する第1固定部を含む、請求項2に記載のディスク装置。
【請求項4】
前記シャーシは、前記ディスクガイド部の制止時の衝突によって前記ねじりコイルバネの前記腕部が弾性変形する際に、前記腕部の前記コイル部とは反対側の端部が移動可能に係合される長穴部をさらに含む、請求項3に記載のディスク装置。
【請求項5】
前記シャーシは、前記ねじりコイルバネの前記腕部に弾性力を生じさせた状態で、前記ねじりコイルバネを前記所定の位置に配置する第2固定部をさらに含む、請求項3または4に記載のディスク装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2010−152947(P2010−152947A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327044(P2008−327044)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】