ディスク装置
【課題】記録媒体の搬送動作の繰り返しによらず記録媒体の搬出完了位置を一定にすることが可能なディスク装置の提供。
【解決手段】ディスク装置は、ローディング回数の計数結果に基づき調整搬出時間Taを調整して、ディスクの搬出時における搬送手段の動作量を制御する。このため、ディスクの搬送動作が繰り返されることでシートやローラが劣化してしまい、劣化前と同じ動作量だけ搬送手段を動作させるとディスクの搬出完了位置が基準搬出完了位置からずれてしまうような状態になったとしても、シートなどの劣化状態に対応するローディング回数に応じて搬送手段の動作量を制御することで、ディスクを基準搬出完了位置に位置決めすることができる。
【解決手段】ディスク装置は、ローディング回数の計数結果に基づき調整搬出時間Taを調整して、ディスクの搬出時における搬送手段の動作量を制御する。このため、ディスクの搬送動作が繰り返されることでシートやローラが劣化してしまい、劣化前と同じ動作量だけ搬送手段を動作させるとディスクの搬出完了位置が基準搬出完了位置からずれてしまうような状態になったとしても、シートなどの劣化状態に対応するローディング回数に応じて搬送手段の動作量を制御することで、ディスクを基準搬出完了位置に位置決めすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)あるいはBD(Blu-ray Disc)などの記録媒体に記録されている情報を記録したり、または記録されている情報を再生したりするディスク装置が知られている。(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1に記載のものは、2個のメインギヤと1個のサブギヤとを備えている。メインギヤおよびサブギヤには、ディスク状記録媒体の外周面に接するゴム製の送りローラがそれぞれ1個ずつ設けられている。そして、ディスク状記録媒体を搬出する際には、メインギヤおよびサブギヤを回転させ、ディスク状記録媒体の外周面に接する送りローラの摩擦力を利用して搬出している。
【0004】
特許文献2に記載のものは、筐体の前面に取り付けられるフロントパネルを備えている。このフロントパネルには、搬出後のディスクを摩擦力により保持するカーテンが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−151193号公報
【特許文献2】特開2006−302399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1,2のような構成では、記録媒体の搬入、搬出動作が繰り返されると、以下のような問題点がある。すなわち、特許文献1の構成では、送りローラが変形したり削れたりしてしまい、記録媒体を保持する力が弱まり、記録媒体の搬出完了位置が変化してしまうおそれがある。また、特許文献2の構成では、カーテンの劣化に伴い摩擦力が変化してしまい、記録媒体の搬出完了位置が変化してしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、記録媒体の搬送動作の繰り返しによらず記録媒体の搬出完了位置を一定にすることが可能なディスク装置を提供することを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、ディスク状の記録媒体が面方向に沿って通過可能な開口部を有するケース体と、このケース体内に搬入されている前記記録媒体を前記ケース体外に搬出する搬送手段と、この搬送手段の動作を制御する搬送制御手段と、前記記録媒体よりも軟らかい材料により形成され、前記搬送手段により搬出される前記記録媒体を前記ケース体から突出する状態で位置決めする位置決め手段と、を具備し、前記搬送制御手段は、前記記録媒体の前記ケース体内への搬入回数および前記ケース体外への搬出回数のうちの少なくともいずれか一方を計数する計数手段と、この計数手段での計数結果に基づいて、前記記録媒体の搬出時における前記搬送手段の動作量を制御する動作量制御手段と、を備えていることを特徴とするディスク装置である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係るディスク装置のディスク搬入前の内部構成を示す平面図である。
【図2】前記一実施形態における開口部からディスクが搬出される状態を示す断面図である。
【図3】前記一実施形態における駆動伝達部を示す平面図である。
【図4】前記一実施形態における未劣化状態でのローラによるディスクの挟持状態を示す断面図である。
【図5】前記一実施形態におけるディスクが情報処理可能位置に存在するときの内部構成を示す平面図である。
【図6】前記一実施形態におけるディスクが基準搬出完了位置に位置決めされたときの内部構成を示す平面図である。
【図7】前記一実施形態における劣化状態でのローラによるディスクの挟持状態を示す断面図である。
【図8】前記一実施形態における制御回路部の概略構成を示すブロック図である。
【図9】前記一実施形態におけるローディング回数と搬出初期値からの搬出量変化との関係を示すグラフである。
【図10】前記一実施形態におけるディスク装置の搬出動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る一実施形態のディスク装置について説明する。この一実施形態では、搬送手段により記録媒体をケース体内に搬送する回数に応じて、搬送手段の動作量を制御するディスク装置を例示して説明する。
【0011】
[ディスク装置の構成]
まず、ディスク装置の構成を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るディスク装置のディスク搬入前の内部構成を示す平面図である。図2は、開口部からディスクが搬出される状態を示す断面図である。図3は、駆動伝達部を示す平面図である。図4は、未劣化状態でのローラによるディスクの挟持状態を示す断面図である。図5は、ディスクが情報処理可能位置に存在するときの内部構成を示す平面図である。図6は、ディスクが基準搬出完了位置に位置決めされたときの内部構成を示す平面図である。図7は、劣化状態でのローラによるディスクの挟持状態を示す断面図である。図8は、制御回路部の概略構成を示すブロック図である。図9は、ローディング回数と搬出初期値からの搬出量変化との関係を示すグラフである。
【0012】
図1において、ディスク装置100は、例えばノート型のパーソナルコンピュータなどの携帯型の電気機器や、車両などに搭載される電気機器などに装着される、いわゆるスロットインタイプと称されるものである。
このディスク装置100は、ディスク状の記録媒体としてのディスク10の記録面11(図2参照)に記録された情報を読み込む読込処理、および記録面11へ各種情報を記録する記録処理のうち少なくとも一方の情報処理を実施する。
このディスク装置100は、ディスク10として、直径8cmの小径ディスク10Aと、直径12cmの大径ディスク10Bと、を収納することができる。
そして、ディスク装置100は、略箱形状のケース体110を有している。このケース体110は、正面および上面が開口する下ケース111と、この下ケース111の上面を略閉塞する上ケース112と、を備えている。
なお、以下において、図1における上方向、下方向、右方向、左方向、紙面の手前方向、紙面の奥方向を、それぞれ背面方向、正面方向、右面方向、左面方向、上面方向、下面方向と適宜称して説明する。
【0013】
下ケース111の背面方向側には、ベースプレート113が設けられている。また、ケース体110の正面には、この正面の開口を略閉塞するフロントパネル114が設けられている。このフロントパネル114には、図2に示すように、ディスク10が面方向に沿って通過可能な開口部114Aが設けられている。また、フロントパネル114のケース体110の内部側には、開口部114Aを閉塞するように開口部閉塞手段としてのシート115が設けられている。このシート115は、ディスク10よりも軟らかい材料により形成され、ディスク10が通過可能なスリット115Aを有している。そして、シート115は、ディスク10の記録面11およびラベル面12に当接し、この当接による摩擦力でディスク10を位置決めする。
さらに、ケース体110内には、図1に示すように、いわゆるトラバースメカと称されるディスク処理部200と、ディスク処理部200を回動させる駆動部400と、ディスク10を搬送する搬送手段500と、搬送制御手段としての制御回路部600と、が配設されている。
【0014】
ディスク処理部200は、台座部210を有している。
この台座部210は、正面側かつ左面側の隅部から中央にかけて延びる枠状の台座基部211を備えている。この台座基部211は、正面側の2箇所において、弾性部材212を介してねじ部材213により下ケース111に取り付けられ、仮想回動軸C1を中心に回動可能にケース体110に軸支されている。
また、台座基部211におけるケース体110の中央に位置する部分には、背面側および右面側に向けてそれぞれ略棒状に突出する、第1の台座係合部214と、第2の台座係合部215と、が設けられている。
また、台座基部211には、ディスク10を着脱自在に保持して回転させるターンテーブル220と、この台座基部211内で移動可能に設けられてディスク10に対する処理をする情報処理部230と、が配設されている。
【0015】
駆動部400は、例えば制御回路部600に動作制御される電動モータ410と、この電動モータ410の回転駆動を伝達する駆動伝達部420と、この駆動伝達部420により伝達される駆動により移動する長手状の第1の移動カム430と、この第1の移動カム430の移動に伴い移動する長手状の第2の移動カム440と、を備えている。
電動モータ410は、下ケース111の正面側かつ右面側に設けられている。
駆動伝達部420は、図3に示すように、第1〜第4の伝達ギア421〜424を備えている。
【0016】
第1の伝達ギア421は、雄型ギア421Aと、この雄型ギア421Aの上面側に配置された雌型ギア421Bとを備えている。
雄型ギア421Aは、電動モータ410のウォームギア411に噛み合う第1の大径伝達ギア421A1と、この第1の大径伝達ギア421A1の下面側に一体的に設けられた第1の小径伝達ギア421A2とを備えている。
雌型ギア421Bは、雄型ギア421Aに対して所定角度だけ相対的に回転可能に、かつ、第4の伝達ギア424に噛み合うように設けられている。
第2の伝達ギア422は、第1の小径伝達ギア421A2と噛み合う第2の大径伝達ギア422Aと、この第2の大径伝達ギア422Aの下面側に配置された第2の小径伝達ギア422Bとを備えている。
第3の伝達ギア423は、第2の小径伝達ギア422Bと噛み合う第3の大径伝達ギア423Aと、この第3の大径伝達ギア423Aの上面側に配置された第3の小径伝達ギア423Bとを備えている。
第4の伝達ギア424は、後述する第1のローラ駆動ギア511に噛み合うように設けられている。
【0017】
第1の移動カム430は、図1にも示すように、台座部210の第1の台座係合部214に対向する位置に配置され、下ケース111の前後方向に移動可能に設けられている。
この第1の移動カム430の左面における正面側には、第3の小径伝達ギア423Bに係合可能なラック431が形成されている。さらに、第1の移動カム430におけるラック431よりも背面側には、第1の台座係合部214が係合された図示しない第1の押付昇降溝が形成されている。
第2の移動カム440は、台座部210の第2の台座係合部215に対向する位置に配置され、下ケース111の左右方向に移動可能に設けられている。この第2の移動カム440の正面には、第2の台座係合部215が係合された図示しない第2の押付昇降溝が形成されている。
【0018】
そして、第1の移動カム430が進退すると、第1の台座係合部214が第1の押付昇降溝により上下方向に案内される。また、第1の移動カム430の進退に伴い、第2の移動カム440が左右方向に移動して、第2の台座係合部215が上下方向に案内される。
そして、第1,第2の台座係合部214,215の上下方向への案内により、台座部210が仮想回動軸C1を中心に回動し、ターンテーブル220にディスク10が着脱される。
【0019】
搬送手段500は、ローディングアーム510と、ローディングリンク機構520と、正面側かつ左面側の位置を中心に回動可能なサブローディングアーム530と、サブアームスライドプレート540と、リンクプレート550と、左面側かつ前後方向略中央の位置を中心に回動可能なガイドアーム560と、背面側かつ左右方向略中央の位置を中心に回動可能な第1のイジェクトアーム570と、第1のイジェクトアーム570の回動中心に対して左面側の位置を中心に回動可能な第2のイジェクトアーム580と、ガイドアーム560をディスク10の搬出方向側に付勢するガイド付勢手段590と、を備えている。
【0020】
ローディングアーム510は、図3にも示すように、ケース体110の正面側かつ右面側の位置に設けられた軸支部510Aを中心に回動可能に設けられている。このローディングアーム510の回動中心側の円弧面状の外周面には、複数のギア歯510Bが設けられている。また、ローディングアーム510の下面側には、回動中心側から回動先端側にかけて略円弧状に並ぶ第1,第2,第3,第4,第5のローラ駆動ギア511,512,513,514,515が設けられている。第1〜第5のローラ駆動ギア511〜515は、互いに隣り合うギアに噛み合っている。
また、第1のローラ駆動ギア511は、軸支部510Aを中心に回転可能であるとともに第4の伝達ギア424に噛み合っており、電動モータ410から第1,第4の伝達ギア421,424を介して伝達される駆動力を第5のローラ駆動ギア515に伝達する。
第5のローラ駆動ギア515の上面側には、図4に示すように、第5のローラ駆動ギア515とともに回転するギア取付部材516が設けられている。このギア取付部材516には、ディスク10を搬送するためのディスク挟持手段としてのローラ517が取り付けられている。このローラ517は、ディスク10よりも軟らかい材料である弾性部材により略円筒状に形成されている。ローラ517の軸方向略中央には、くびれた形状の挟持部517Aが周方向に沿って設けられている。そして、ローラ517は、挟持部517A内にディスク10の外縁が押し込まれたときの弾性変形力を利用して、ディスク10を挟持する。なお、以下において、図4に示すようなローラ517が摩耗していない状態におけるディスク10を挟持する力を、ローラ初期挟持力と称す。
【0021】
ローディングリンク機構520は、図1に示すように、ローディングアーム510のギア歯510Bに噛み合うギア歯521Aを有しローディングアーム510の回動に伴い回動するローディングリンクアーム521と、このローディングリンクアーム521の回動に伴い前後方向に移動するローディングスライドプレート522と、を備えている。
サブアームスライドプレート540には、サブローディングアーム530が接続されている。そして、サブアームスライドプレート540がリンクプレート550の移動に伴い前後方向に移動すると、サブローディングアーム530が回動する。
リンクプレート550は、ディスク10が挿入されていない初期状態では、ケース体110の背面側において最も右側に移動した状態で配置されている。また、ディスク10が挿入されてローディングアーム510およびローディングリンクアーム521が回動したときに、ローディングスライドプレート522の正面方向への移動に伴い左側に移動する。
ガイドアーム560の回動先端には、ディスク10をガイドするガイド部材561が設けられている。
【0022】
ガイド付勢手段590は、略L字状の付勢アーム591と、付勢ばね592と、を備えている。
付勢アーム591の一端側には、ベースプレート113の案内溝113Aに係合する移動規制突部591Aが設けられている。また、付勢アーム591の他端側には、ガイドアーム560の回動軸560Aよりも若干回動先端側に接続された回動規制軸部591Bが設けられている。
付勢ばね592は、付勢アーム591の略中央における左面側端縁と、ベースプレート113における台座基部211に対向する部分と、に引っ掛けられている。この付勢ばね592には、前記引っ掛け部分を互いに近づけるような力が作用している。この力により、移動規制突部591Aが案内溝113Aの正面側端部まで移動するように付勢アーム591が移動して、この付勢アーム591の移動に伴いガイドアーム560が正面側つまり搬出方向側に付勢される。
【0023】
そして、搬送手段500は、制御回路部600の制御により動作し、各アーム510,530,560,570,580をディスク10の周縁に当接させて、図5に示すように、ディスク10を情報処理可能位置に搬入する。また、搬送手段500は、図6に示すように、ディスク10がケース体110から突出した基準搬出完了位置に位置決めされるように搬出する。
【0024】
ここで、ディスク10の搬出時の動作について詳細に説明する。
まず、フロントパネル114のシート115と、ローディングアーム510のローラ517は、搬送手段500で搬送されるディスク10を位置決めする本発明の位置決め手段を構成している。
これらシート115とローラ517は、ディスク10よりも軟らかい材料により形成されているため、ディスク10の搬送動作が繰り返されると、劣化してしまい以下のような現象が発生する。
シート115は、スリット115Aが摩耗してしまう。このため、搬送中のディスク10には、摩耗前の摩擦力(以下、シート初期摩擦力と称す)よりも大きい摩擦力(以下、シート摩耗後摩擦力と称す)が作用する。
ローラ517の挟持部517Aは、図7に示すように、ディスク10の隅部13により削られてしまう。このため、図4に示すような挟持部517Aが削られる前の状態と比べて、ディスク10が挟持部517Aに押し込まれたときの弾性変形量が小さくなり、ディスク10の挟持力(以下、ローラ劣化後挟持力と称す)もローラ初期挟持力より小さくなる。
このようにシート115の摩擦力やローラ517の挟持力が変化すると、搬出時に電動モータ410が基準時間Ts(秒)だけ駆動するような構成にした場合、ディスク10の搬出量が変化してしまう。以下に詳細に説明する。
【0025】
シート115とローラ517とが劣化していない状態(以下、未劣化状態と称す)では、電動モータ410は、制御回路部600により、基準時間Tsだけ駆動するように制御される。この基準時間Tsは、搬送手段500を予め設定された基準動作量だけ動作させて、情報処理可能位置のディスク10を、基準搬出完了位置よりも若干ケース体110の内側の位置(以下、モータ駆動完了位置と称す)まで搬出する長さに設定されている。また、基準時間Tsは、付勢ばね592が延びている状態で電動モータ410の駆動が停止する長さに設定されている。
このため、ディスク10がモータ駆動完了位置に位置する状態では、付勢ばね592が縮もうとするため、ガイドアーム560は、ディスク10をさらに搬出するように付勢される。よって、ディスク10には、少なくともガイドアーム560による付勢力や搬出時の慣性力から構成される搬出方向への力(以下、搬送手段作用力と称す)が作用する。
しかし、ディスク10には、図2に示すように、シート115との当接により、搬出方向への力を打ち消すようなシート初期摩擦力が作用する。
このため、ディスク10は、ローラ517によりローラ初期挟持力でしっかりと挟持された状態を維持しつつ、電動モータ410の駆動によりモータ駆動完了位置まで搬出された後、搬送手段作用力により搬出方向へ若干移動するが、シート初期摩擦力により、最終的には基準搬出完了位置に位置決めされる。
【0026】
一方、シート115とローラ517とが劣化している状態(以下、劣化状態と称す)では、電動モータ410が基準時間Tsだけ駆動するように制御されると、ローディングアーム510が回動してディスク10に当接したとき、まず、ディスク10は、ローラ初期挟持力よりも弱いローラ劣化後挟持力により、図7の二点鎖線で示す位置で挟持される。この後、ローディングアーム510がさらに回動すると、ディスク10は、搬出方向と反対側(搬入方向)に相対的にずれて実線で示す位置で挟持される。このため、電動モータ410の駆動が終了したときのディスク10の位置は、モータ駆動完了位置よりも搬入方向にずれる。また、ディスク10は、この状態から搬送手段作用力により搬出方向に付勢されるが、シート初期摩擦力よりも大きいシート劣化後摩擦力で搬出方向への移動が妨げられる。
このため、ディスク10は、最終的には、基準搬出完了位置よりも搬入方向にずれた位置に、つまりケース体110からの突出量(搬出量)が未劣化状態のときよりも少なくなる位置で位置決めされる。
【0027】
また、下ケース111の背面側には、スイッチ610が設けられている。このスイッチ610は、正面方向に突出可能な可動片611を有している。この可動片611は、リンクプレート550の当接片551に接触可能に設けられている。
そして、スイッチ610は、ディスク10が利用者により挿入されてローディングアーム510が背面側に回動すると、リンクプレート550が左側に移動して可動片611が押し込まれることで、ディスク10の挿入を検知する。また、ディスク10が搬送手段500により搬出されてローディングアーム510が正面側に回動すると、リンクプレート550が右側に移動して可動片611が突出することで、ディスク10の搬出完了、すなわち搬送手段500が基準動作量だけ動作したことを検知する。スイッチ610は、ディスク10の挿入や搬出を検知すると、その旨の信号を制御回路部600へ出力する。
【0028】
制御回路部600は、各種電気部品が搭載された回路基板に回路構成として構成され、ディスク装置100全体の動作を制御する。また、制御回路部600は、ディスク10のローディング回数に基づいて、電動モータ410の駆動を制御する。そして、制御回路部600は、図8に示すように、計数手段601と、動作量制御手段としての搬送量制御手段602と、を備えている。なお、制御回路部600は、ディスク10に対する読込処理や記録処理を制御する機能を有しているが、ここでは説明を省略する。また、搬送量制御手段602は、ディスク10の搬入時に電動モータ410を制御するが、この搬入時における制御動作についても説明を省略する。
【0029】
計数手段601は、スイッチ610から搬出完了を検知した旨の信号を取得すると、その信号の取得回数、すなわちローディング回数Nを計数する。
搬送量制御手段602は、電動モータ410を制御して、ディスク10を搬出する。具体的には、搬送量制御手段602は、ディスク10が図5に示す情報処理可能位置に存在するときに、フロントパネル114の図示しないイジェクトボタンが操作されるとディスク10の搬出要求を検出する。そして、計数手段601で計数しているローディング回数Nが2500回を超えていると判断すると、以下の式(1)に基づき追加駆動時間ΔT(秒)を算出し、2500回以下であると判断すると、追加駆動時間ΔTを0と算出する。
【0030】
(数1)
ΔT=0.167−217/N … (1)
【0031】
ここで、上記式(1)は、以下のような実験結果から求められている。
まず、搬送動作が行われていないディスク装置100、つまりシート115とローラ517が劣化していないディスク装置100を準備して、ディスク10の搬送動作を20000回繰り返した。そして、搬送動作が10000回までは2500回ごとに、それ以後は5000回ごとに、ディスク10の搬出量(ケース体110からの突出量)を測定した。ここで、ディスク10の搬出時には、電動モータ410を基準時間Tsだけ駆動させ、搬送手段500を基準動作量だけ動作させた。
そして、以下の式(2)に基づく搬出変化量ΔL(mm)を算出した。
なお、Ls(mm)は初めて行った搬出動作によるディスク10の搬出量であり、Lm(mm)は2500,5000,7500,10000,15000,20000回目の搬出動作によるディスク10の搬出量である。
【0032】
(数2)
ΔL=Lm−Ls … (2)
【0033】
さらに、同様の実験を10台のディスク装置100について行った。ローディング回数Nと搬出変化量ΔLとの関係は、図9のグラフのように表される。この図9に示す関係から、以下の式(3)を得ることができる。
【0034】
(数3)
ΔL=−5+6500/N … (3)
ただし、N>2500。
【0035】
また、基準搬出完了位置付近でのディスク10の搬出量Lと電動モータ410の駆動時間Tとは、以下の式(4)に示す関係があることがわかっている。
【0036】
(数4)
L=30×T … (4)
【0037】
以上の式(3),(4)に基づいて、ローディング回数Nが2500回以上の劣化状態において、電動モータ410を基準時間Tsだけ駆動させたときのディスク10を、基準搬出完了位置まで移動させるために必要な電動モータ410の追加駆動時間ΔTを算出する式として、上述の式(1)を得ることができる。
【0038】
搬送量制御手段602は、追加駆動時間ΔTを算出すると、以下の式(5)で算出される調整搬出時間Taだけ、電動モータ410を予め設定された回転速度で駆動させる。なお、電動モータ410が追加駆動時間ΔTだけ駆動したときの搬送手段500の動作量を、計数対応動作量と称す。
【0039】
(数5)
Ta=Ts+ΔT … (5)
【0040】
[ディスク装置の動作]
次に、ディスク装置の搬出動作を図面に基づいて説明する。
図10は、ディスク装置の搬出動作を示すフローチャートである。
【0041】
制御回路部600の計数手段601は、搬送量制御手段602にて、搬出要求を検出すると(ステップS1)、ローディング回数Nをカウント、すなわち現在の回数Nに1を加える(ステップS2)。そして、搬送量制御手段602は、ローディング回数Nが2500回を超えているか否かを判断する(ステップS3)。
このステップS3において、2500回を超えていると判断すると、上記式(1)に基づきローディング回数Nに対応する追加駆動時間ΔTを算出し(ステップS4)、2500回以下であると判断すると、追加駆動時間ΔTを0と算出する(ステップS5)。この後、搬送量制御手段602は、ステップS3,S4で算出した追加駆動時間ΔTと、上記式(5)とに基づき調整搬出時間Taを算出し(ステップS6)、この算出した調整搬出時間Taだけ電動モータ410を駆動させる搬出処理を実施する(ステップS7)。
【0042】
以上の動作により、ローディング回数Nが2500回以下の未劣化状態では、電動モータ410は、基準時間Tsだけ駆動して、搬送手段500を基準動作量だけ動作させる。この動作により、ディスク10は、電動モータ410の駆動に伴い、ローラ初期挟持力で挟持された状態を維持しつつ移動して、搬送手段作用力とシート初期摩擦力との作用により基準搬出完了位置に位置決めされる。
【0043】
一方、ローディング回数Nが2500回を超える劣化状態では、電動モータ410は、基準時間Tsよりも長い調整搬出時間Taだけ駆動して、搬送手段500を基準動作量と計数対応動作量とを合計した動作量だけ動作させる。このとき、ディスク10は、ローラ初期挟持力よりも弱いローラ劣化後挟持力で挟持されているため、電動モータ410の駆動に伴い、ローラ517に対して搬入方向にずれながら移動する。さらに、ディスク10には、シート初期摩擦力よりも大きいシート劣化後摩擦力が搬入方向に作用する。しかし、電動モータ410の駆動により搬送手段500の動作量を未劣化状態よりも多くして、ディスク10をより搬出方向に移動させるようにしているため、ディスク10は、搬入方向にずれながら搬出されたり、シート劣化後摩擦力が作用したとしても、結果的に基準搬出完了位置に位置決めされる。
【0044】
[ディスク装置の作用効果]
以上のディスク装置100によれば、以下の作用効果が期待できる。
(1)ディスク装置100の制御回路部600は、ローディング回数Nを計数し、この計数結果に基づき調整搬出時間Taを調整して、ディスク10の搬出時における搬送手段500の動作量を制御する。
このため、ディスク10の搬送動作が繰り返されることでシート115やローラ517が劣化してしまい、劣化前と同じ動作量だけ搬送手段500を動作させるとディスク10の搬出完了位置が基準搬出完了位置からずれてしまうような状態になったとしても、シート115やローラ517の劣化状態に対応するローディング回数Nに応じて搬送手段500の動作量を制御することで、ディスク10を基準搬出完了位置に位置決めすることができる。
また、電動モータ410の駆動時間を制御しているため、基準搬出完了位置や搬送手段500の機構の変更を加えることなく、ディスク10を基準搬出完了位置に安定して位置決めすることができる。よって、部品寸法の追い込みを容易に設定できる。さらに、ローディング回数Nを用いて、ディスク装置100の寿命を判断したり、不良解析に活用することができる。
【0045】
(2)制御回路部600は、ローディング回数Nが2500回を超えたときに、搬送手段500を基準動作量と計数対応動作量とを合計した動作量だけ動作させる。
このため、ディスク10がローラ初期挟持力よりも弱いローラ劣化後挟持力で挟持されることで搬入方向にずれながら搬出されたり、シート初期摩擦力よりも大きいシート劣化後摩擦力で搬出方向への移動が妨げられたとしても、ディスク10を基準搬出完了位置に位置決めすることができる。
【0046】
(3)制御回路部600は、ローディング回数Nが2500回を超えたときに、上記式(1)に基づいて、ローディング回数Nが多くなるほど計数対応動作量を連続的に多くする。
このため、シート115やローラ517の劣化が進むにしたがって、計数対応動作量を多くすることができ、ディスク装置100を長期間使用してもディスク10を基準搬出完了位置に位置決めすることができる。
【0047】
(4)ローラ517を、本発明の位置決め手段として機能させている。
このため、ローラ517の弾性変形によるディスク10の挟持により、ディスク10の搬送動作を安定させることができるとともに、ローラ517が劣化してもディスク10を基準搬出完了位置に位置決めすることができる。
【0048】
(5)シート115を、本発明の位置決め手段として機能させている。
このため、シート115によりケース体110の防塵効果を発揮できるとともに、シート115が劣化してもディスク10を基準搬出完了位置に位置決めすることができる。
【0049】
[他の実施形態]
なお、本発明は前述の一実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれるものである。
【0050】
すなわち、シート115を設けていないディスク装置や、ローラ517を有さない機構を用いてディスク10を搬出してシート115の摩擦力でディスク10を基準搬出完了位置に位置決めするディスク装置に、本発明を適用しても良い。
そして、ディスク10の搬入完了の検知に基づいて、ローディング回数Nを計数しても良い。また、ローディング回数Nを計数する専用のカウンタを設けても良い。
さらに、ローディング回数Nが2500回以下の場合でも、ローディング回数Nに応じて追加駆動時間ΔTを長くしても良い。また、追加駆動時間ΔTをローディング回数Nが所定回数増えるごとに長くしても良い。そして、ローディング回数Nが例えば2500回に到達したときに、予め設定された追加駆動時間ΔTを追加した調整搬出時間Taを算出し、それ以降は調整搬出時間Taを変更しなくても良い。また、電動モータ410を基準時間Tsだけ駆動させて一旦停止させた後に、さらに追加駆動時間ΔTだけ駆動させても良い。
【0051】
また、ローディング回数Nに応じて電動モータ410の駆動時間を調整したが、メカ的な不具合が生じないならば、電動モータ410の駆動時間を変更せずに回転速度を変更することで、搬送手段500の動作量を制御しても良い。
そして、搬送動作が繰り返されたときに、ディスク10の搬出量が増える(ディスク10の突出量が多くなる)ようなディスク装置に対しても、本発明を適用することができる。このようなディスク装置に対しては、搬送動作回数に応じて調整搬出時間Taを短くして、搬送手段500の動作量を少なくすれば良い。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
【0052】
[実施形態の作用効果]
上記したように、ディスク装置100は、ローディング回数Nの計数結果に基づき調整搬出時間Taを調整して、ディスク10の搬出時における搬送手段500の動作量を制御する。
このため、ディスク10の搬送動作が繰り返されることでシート115などが劣化してしまい、劣化前と同じ動作量だけ搬送手段500を動作させるとディスク10の搬出完了位置が基準搬出完了位置からずれてしまうような状態になったとしても、シート115などの劣化状態に対応するローディング回数Nに応じて搬送手段500の動作量を制御することで、ディスク10を基準搬出完了位置に位置決めすることができる。
【符号の説明】
【0053】
10…記録媒体としてのディスク
100…ディスク装置
110…ケース体
114A…開口部
115…位置決め手段を構成する開口部閉塞手段としてのシート
500…搬送手段
517…位置決め手段を構成するディスク挟持手段としてのローラ
600…搬送制御手段としての制御回路部
601…計数手段
602…動作量制御手段としての搬送量制御手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)あるいはBD(Blu-ray Disc)などの記録媒体に記録されている情報を記録したり、または記録されている情報を再生したりするディスク装置が知られている。(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1に記載のものは、2個のメインギヤと1個のサブギヤとを備えている。メインギヤおよびサブギヤには、ディスク状記録媒体の外周面に接するゴム製の送りローラがそれぞれ1個ずつ設けられている。そして、ディスク状記録媒体を搬出する際には、メインギヤおよびサブギヤを回転させ、ディスク状記録媒体の外周面に接する送りローラの摩擦力を利用して搬出している。
【0004】
特許文献2に記載のものは、筐体の前面に取り付けられるフロントパネルを備えている。このフロントパネルには、搬出後のディスクを摩擦力により保持するカーテンが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−151193号公報
【特許文献2】特開2006−302399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1,2のような構成では、記録媒体の搬入、搬出動作が繰り返されると、以下のような問題点がある。すなわち、特許文献1の構成では、送りローラが変形したり削れたりしてしまい、記録媒体を保持する力が弱まり、記録媒体の搬出完了位置が変化してしまうおそれがある。また、特許文献2の構成では、カーテンの劣化に伴い摩擦力が変化してしまい、記録媒体の搬出完了位置が変化してしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、記録媒体の搬送動作の繰り返しによらず記録媒体の搬出完了位置を一定にすることが可能なディスク装置を提供することを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、ディスク状の記録媒体が面方向に沿って通過可能な開口部を有するケース体と、このケース体内に搬入されている前記記録媒体を前記ケース体外に搬出する搬送手段と、この搬送手段の動作を制御する搬送制御手段と、前記記録媒体よりも軟らかい材料により形成され、前記搬送手段により搬出される前記記録媒体を前記ケース体から突出する状態で位置決めする位置決め手段と、を具備し、前記搬送制御手段は、前記記録媒体の前記ケース体内への搬入回数および前記ケース体外への搬出回数のうちの少なくともいずれか一方を計数する計数手段と、この計数手段での計数結果に基づいて、前記記録媒体の搬出時における前記搬送手段の動作量を制御する動作量制御手段と、を備えていることを特徴とするディスク装置である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係るディスク装置のディスク搬入前の内部構成を示す平面図である。
【図2】前記一実施形態における開口部からディスクが搬出される状態を示す断面図である。
【図3】前記一実施形態における駆動伝達部を示す平面図である。
【図4】前記一実施形態における未劣化状態でのローラによるディスクの挟持状態を示す断面図である。
【図5】前記一実施形態におけるディスクが情報処理可能位置に存在するときの内部構成を示す平面図である。
【図6】前記一実施形態におけるディスクが基準搬出完了位置に位置決めされたときの内部構成を示す平面図である。
【図7】前記一実施形態における劣化状態でのローラによるディスクの挟持状態を示す断面図である。
【図8】前記一実施形態における制御回路部の概略構成を示すブロック図である。
【図9】前記一実施形態におけるローディング回数と搬出初期値からの搬出量変化との関係を示すグラフである。
【図10】前記一実施形態におけるディスク装置の搬出動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る一実施形態のディスク装置について説明する。この一実施形態では、搬送手段により記録媒体をケース体内に搬送する回数に応じて、搬送手段の動作量を制御するディスク装置を例示して説明する。
【0011】
[ディスク装置の構成]
まず、ディスク装置の構成を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るディスク装置のディスク搬入前の内部構成を示す平面図である。図2は、開口部からディスクが搬出される状態を示す断面図である。図3は、駆動伝達部を示す平面図である。図4は、未劣化状態でのローラによるディスクの挟持状態を示す断面図である。図5は、ディスクが情報処理可能位置に存在するときの内部構成を示す平面図である。図6は、ディスクが基準搬出完了位置に位置決めされたときの内部構成を示す平面図である。図7は、劣化状態でのローラによるディスクの挟持状態を示す断面図である。図8は、制御回路部の概略構成を示すブロック図である。図9は、ローディング回数と搬出初期値からの搬出量変化との関係を示すグラフである。
【0012】
図1において、ディスク装置100は、例えばノート型のパーソナルコンピュータなどの携帯型の電気機器や、車両などに搭載される電気機器などに装着される、いわゆるスロットインタイプと称されるものである。
このディスク装置100は、ディスク状の記録媒体としてのディスク10の記録面11(図2参照)に記録された情報を読み込む読込処理、および記録面11へ各種情報を記録する記録処理のうち少なくとも一方の情報処理を実施する。
このディスク装置100は、ディスク10として、直径8cmの小径ディスク10Aと、直径12cmの大径ディスク10Bと、を収納することができる。
そして、ディスク装置100は、略箱形状のケース体110を有している。このケース体110は、正面および上面が開口する下ケース111と、この下ケース111の上面を略閉塞する上ケース112と、を備えている。
なお、以下において、図1における上方向、下方向、右方向、左方向、紙面の手前方向、紙面の奥方向を、それぞれ背面方向、正面方向、右面方向、左面方向、上面方向、下面方向と適宜称して説明する。
【0013】
下ケース111の背面方向側には、ベースプレート113が設けられている。また、ケース体110の正面には、この正面の開口を略閉塞するフロントパネル114が設けられている。このフロントパネル114には、図2に示すように、ディスク10が面方向に沿って通過可能な開口部114Aが設けられている。また、フロントパネル114のケース体110の内部側には、開口部114Aを閉塞するように開口部閉塞手段としてのシート115が設けられている。このシート115は、ディスク10よりも軟らかい材料により形成され、ディスク10が通過可能なスリット115Aを有している。そして、シート115は、ディスク10の記録面11およびラベル面12に当接し、この当接による摩擦力でディスク10を位置決めする。
さらに、ケース体110内には、図1に示すように、いわゆるトラバースメカと称されるディスク処理部200と、ディスク処理部200を回動させる駆動部400と、ディスク10を搬送する搬送手段500と、搬送制御手段としての制御回路部600と、が配設されている。
【0014】
ディスク処理部200は、台座部210を有している。
この台座部210は、正面側かつ左面側の隅部から中央にかけて延びる枠状の台座基部211を備えている。この台座基部211は、正面側の2箇所において、弾性部材212を介してねじ部材213により下ケース111に取り付けられ、仮想回動軸C1を中心に回動可能にケース体110に軸支されている。
また、台座基部211におけるケース体110の中央に位置する部分には、背面側および右面側に向けてそれぞれ略棒状に突出する、第1の台座係合部214と、第2の台座係合部215と、が設けられている。
また、台座基部211には、ディスク10を着脱自在に保持して回転させるターンテーブル220と、この台座基部211内で移動可能に設けられてディスク10に対する処理をする情報処理部230と、が配設されている。
【0015】
駆動部400は、例えば制御回路部600に動作制御される電動モータ410と、この電動モータ410の回転駆動を伝達する駆動伝達部420と、この駆動伝達部420により伝達される駆動により移動する長手状の第1の移動カム430と、この第1の移動カム430の移動に伴い移動する長手状の第2の移動カム440と、を備えている。
電動モータ410は、下ケース111の正面側かつ右面側に設けられている。
駆動伝達部420は、図3に示すように、第1〜第4の伝達ギア421〜424を備えている。
【0016】
第1の伝達ギア421は、雄型ギア421Aと、この雄型ギア421Aの上面側に配置された雌型ギア421Bとを備えている。
雄型ギア421Aは、電動モータ410のウォームギア411に噛み合う第1の大径伝達ギア421A1と、この第1の大径伝達ギア421A1の下面側に一体的に設けられた第1の小径伝達ギア421A2とを備えている。
雌型ギア421Bは、雄型ギア421Aに対して所定角度だけ相対的に回転可能に、かつ、第4の伝達ギア424に噛み合うように設けられている。
第2の伝達ギア422は、第1の小径伝達ギア421A2と噛み合う第2の大径伝達ギア422Aと、この第2の大径伝達ギア422Aの下面側に配置された第2の小径伝達ギア422Bとを備えている。
第3の伝達ギア423は、第2の小径伝達ギア422Bと噛み合う第3の大径伝達ギア423Aと、この第3の大径伝達ギア423Aの上面側に配置された第3の小径伝達ギア423Bとを備えている。
第4の伝達ギア424は、後述する第1のローラ駆動ギア511に噛み合うように設けられている。
【0017】
第1の移動カム430は、図1にも示すように、台座部210の第1の台座係合部214に対向する位置に配置され、下ケース111の前後方向に移動可能に設けられている。
この第1の移動カム430の左面における正面側には、第3の小径伝達ギア423Bに係合可能なラック431が形成されている。さらに、第1の移動カム430におけるラック431よりも背面側には、第1の台座係合部214が係合された図示しない第1の押付昇降溝が形成されている。
第2の移動カム440は、台座部210の第2の台座係合部215に対向する位置に配置され、下ケース111の左右方向に移動可能に設けられている。この第2の移動カム440の正面には、第2の台座係合部215が係合された図示しない第2の押付昇降溝が形成されている。
【0018】
そして、第1の移動カム430が進退すると、第1の台座係合部214が第1の押付昇降溝により上下方向に案内される。また、第1の移動カム430の進退に伴い、第2の移動カム440が左右方向に移動して、第2の台座係合部215が上下方向に案内される。
そして、第1,第2の台座係合部214,215の上下方向への案内により、台座部210が仮想回動軸C1を中心に回動し、ターンテーブル220にディスク10が着脱される。
【0019】
搬送手段500は、ローディングアーム510と、ローディングリンク機構520と、正面側かつ左面側の位置を中心に回動可能なサブローディングアーム530と、サブアームスライドプレート540と、リンクプレート550と、左面側かつ前後方向略中央の位置を中心に回動可能なガイドアーム560と、背面側かつ左右方向略中央の位置を中心に回動可能な第1のイジェクトアーム570と、第1のイジェクトアーム570の回動中心に対して左面側の位置を中心に回動可能な第2のイジェクトアーム580と、ガイドアーム560をディスク10の搬出方向側に付勢するガイド付勢手段590と、を備えている。
【0020】
ローディングアーム510は、図3にも示すように、ケース体110の正面側かつ右面側の位置に設けられた軸支部510Aを中心に回動可能に設けられている。このローディングアーム510の回動中心側の円弧面状の外周面には、複数のギア歯510Bが設けられている。また、ローディングアーム510の下面側には、回動中心側から回動先端側にかけて略円弧状に並ぶ第1,第2,第3,第4,第5のローラ駆動ギア511,512,513,514,515が設けられている。第1〜第5のローラ駆動ギア511〜515は、互いに隣り合うギアに噛み合っている。
また、第1のローラ駆動ギア511は、軸支部510Aを中心に回転可能であるとともに第4の伝達ギア424に噛み合っており、電動モータ410から第1,第4の伝達ギア421,424を介して伝達される駆動力を第5のローラ駆動ギア515に伝達する。
第5のローラ駆動ギア515の上面側には、図4に示すように、第5のローラ駆動ギア515とともに回転するギア取付部材516が設けられている。このギア取付部材516には、ディスク10を搬送するためのディスク挟持手段としてのローラ517が取り付けられている。このローラ517は、ディスク10よりも軟らかい材料である弾性部材により略円筒状に形成されている。ローラ517の軸方向略中央には、くびれた形状の挟持部517Aが周方向に沿って設けられている。そして、ローラ517は、挟持部517A内にディスク10の外縁が押し込まれたときの弾性変形力を利用して、ディスク10を挟持する。なお、以下において、図4に示すようなローラ517が摩耗していない状態におけるディスク10を挟持する力を、ローラ初期挟持力と称す。
【0021】
ローディングリンク機構520は、図1に示すように、ローディングアーム510のギア歯510Bに噛み合うギア歯521Aを有しローディングアーム510の回動に伴い回動するローディングリンクアーム521と、このローディングリンクアーム521の回動に伴い前後方向に移動するローディングスライドプレート522と、を備えている。
サブアームスライドプレート540には、サブローディングアーム530が接続されている。そして、サブアームスライドプレート540がリンクプレート550の移動に伴い前後方向に移動すると、サブローディングアーム530が回動する。
リンクプレート550は、ディスク10が挿入されていない初期状態では、ケース体110の背面側において最も右側に移動した状態で配置されている。また、ディスク10が挿入されてローディングアーム510およびローディングリンクアーム521が回動したときに、ローディングスライドプレート522の正面方向への移動に伴い左側に移動する。
ガイドアーム560の回動先端には、ディスク10をガイドするガイド部材561が設けられている。
【0022】
ガイド付勢手段590は、略L字状の付勢アーム591と、付勢ばね592と、を備えている。
付勢アーム591の一端側には、ベースプレート113の案内溝113Aに係合する移動規制突部591Aが設けられている。また、付勢アーム591の他端側には、ガイドアーム560の回動軸560Aよりも若干回動先端側に接続された回動規制軸部591Bが設けられている。
付勢ばね592は、付勢アーム591の略中央における左面側端縁と、ベースプレート113における台座基部211に対向する部分と、に引っ掛けられている。この付勢ばね592には、前記引っ掛け部分を互いに近づけるような力が作用している。この力により、移動規制突部591Aが案内溝113Aの正面側端部まで移動するように付勢アーム591が移動して、この付勢アーム591の移動に伴いガイドアーム560が正面側つまり搬出方向側に付勢される。
【0023】
そして、搬送手段500は、制御回路部600の制御により動作し、各アーム510,530,560,570,580をディスク10の周縁に当接させて、図5に示すように、ディスク10を情報処理可能位置に搬入する。また、搬送手段500は、図6に示すように、ディスク10がケース体110から突出した基準搬出完了位置に位置決めされるように搬出する。
【0024】
ここで、ディスク10の搬出時の動作について詳細に説明する。
まず、フロントパネル114のシート115と、ローディングアーム510のローラ517は、搬送手段500で搬送されるディスク10を位置決めする本発明の位置決め手段を構成している。
これらシート115とローラ517は、ディスク10よりも軟らかい材料により形成されているため、ディスク10の搬送動作が繰り返されると、劣化してしまい以下のような現象が発生する。
シート115は、スリット115Aが摩耗してしまう。このため、搬送中のディスク10には、摩耗前の摩擦力(以下、シート初期摩擦力と称す)よりも大きい摩擦力(以下、シート摩耗後摩擦力と称す)が作用する。
ローラ517の挟持部517Aは、図7に示すように、ディスク10の隅部13により削られてしまう。このため、図4に示すような挟持部517Aが削られる前の状態と比べて、ディスク10が挟持部517Aに押し込まれたときの弾性変形量が小さくなり、ディスク10の挟持力(以下、ローラ劣化後挟持力と称す)もローラ初期挟持力より小さくなる。
このようにシート115の摩擦力やローラ517の挟持力が変化すると、搬出時に電動モータ410が基準時間Ts(秒)だけ駆動するような構成にした場合、ディスク10の搬出量が変化してしまう。以下に詳細に説明する。
【0025】
シート115とローラ517とが劣化していない状態(以下、未劣化状態と称す)では、電動モータ410は、制御回路部600により、基準時間Tsだけ駆動するように制御される。この基準時間Tsは、搬送手段500を予め設定された基準動作量だけ動作させて、情報処理可能位置のディスク10を、基準搬出完了位置よりも若干ケース体110の内側の位置(以下、モータ駆動完了位置と称す)まで搬出する長さに設定されている。また、基準時間Tsは、付勢ばね592が延びている状態で電動モータ410の駆動が停止する長さに設定されている。
このため、ディスク10がモータ駆動完了位置に位置する状態では、付勢ばね592が縮もうとするため、ガイドアーム560は、ディスク10をさらに搬出するように付勢される。よって、ディスク10には、少なくともガイドアーム560による付勢力や搬出時の慣性力から構成される搬出方向への力(以下、搬送手段作用力と称す)が作用する。
しかし、ディスク10には、図2に示すように、シート115との当接により、搬出方向への力を打ち消すようなシート初期摩擦力が作用する。
このため、ディスク10は、ローラ517によりローラ初期挟持力でしっかりと挟持された状態を維持しつつ、電動モータ410の駆動によりモータ駆動完了位置まで搬出された後、搬送手段作用力により搬出方向へ若干移動するが、シート初期摩擦力により、最終的には基準搬出完了位置に位置決めされる。
【0026】
一方、シート115とローラ517とが劣化している状態(以下、劣化状態と称す)では、電動モータ410が基準時間Tsだけ駆動するように制御されると、ローディングアーム510が回動してディスク10に当接したとき、まず、ディスク10は、ローラ初期挟持力よりも弱いローラ劣化後挟持力により、図7の二点鎖線で示す位置で挟持される。この後、ローディングアーム510がさらに回動すると、ディスク10は、搬出方向と反対側(搬入方向)に相対的にずれて実線で示す位置で挟持される。このため、電動モータ410の駆動が終了したときのディスク10の位置は、モータ駆動完了位置よりも搬入方向にずれる。また、ディスク10は、この状態から搬送手段作用力により搬出方向に付勢されるが、シート初期摩擦力よりも大きいシート劣化後摩擦力で搬出方向への移動が妨げられる。
このため、ディスク10は、最終的には、基準搬出完了位置よりも搬入方向にずれた位置に、つまりケース体110からの突出量(搬出量)が未劣化状態のときよりも少なくなる位置で位置決めされる。
【0027】
また、下ケース111の背面側には、スイッチ610が設けられている。このスイッチ610は、正面方向に突出可能な可動片611を有している。この可動片611は、リンクプレート550の当接片551に接触可能に設けられている。
そして、スイッチ610は、ディスク10が利用者により挿入されてローディングアーム510が背面側に回動すると、リンクプレート550が左側に移動して可動片611が押し込まれることで、ディスク10の挿入を検知する。また、ディスク10が搬送手段500により搬出されてローディングアーム510が正面側に回動すると、リンクプレート550が右側に移動して可動片611が突出することで、ディスク10の搬出完了、すなわち搬送手段500が基準動作量だけ動作したことを検知する。スイッチ610は、ディスク10の挿入や搬出を検知すると、その旨の信号を制御回路部600へ出力する。
【0028】
制御回路部600は、各種電気部品が搭載された回路基板に回路構成として構成され、ディスク装置100全体の動作を制御する。また、制御回路部600は、ディスク10のローディング回数に基づいて、電動モータ410の駆動を制御する。そして、制御回路部600は、図8に示すように、計数手段601と、動作量制御手段としての搬送量制御手段602と、を備えている。なお、制御回路部600は、ディスク10に対する読込処理や記録処理を制御する機能を有しているが、ここでは説明を省略する。また、搬送量制御手段602は、ディスク10の搬入時に電動モータ410を制御するが、この搬入時における制御動作についても説明を省略する。
【0029】
計数手段601は、スイッチ610から搬出完了を検知した旨の信号を取得すると、その信号の取得回数、すなわちローディング回数Nを計数する。
搬送量制御手段602は、電動モータ410を制御して、ディスク10を搬出する。具体的には、搬送量制御手段602は、ディスク10が図5に示す情報処理可能位置に存在するときに、フロントパネル114の図示しないイジェクトボタンが操作されるとディスク10の搬出要求を検出する。そして、計数手段601で計数しているローディング回数Nが2500回を超えていると判断すると、以下の式(1)に基づき追加駆動時間ΔT(秒)を算出し、2500回以下であると判断すると、追加駆動時間ΔTを0と算出する。
【0030】
(数1)
ΔT=0.167−217/N … (1)
【0031】
ここで、上記式(1)は、以下のような実験結果から求められている。
まず、搬送動作が行われていないディスク装置100、つまりシート115とローラ517が劣化していないディスク装置100を準備して、ディスク10の搬送動作を20000回繰り返した。そして、搬送動作が10000回までは2500回ごとに、それ以後は5000回ごとに、ディスク10の搬出量(ケース体110からの突出量)を測定した。ここで、ディスク10の搬出時には、電動モータ410を基準時間Tsだけ駆動させ、搬送手段500を基準動作量だけ動作させた。
そして、以下の式(2)に基づく搬出変化量ΔL(mm)を算出した。
なお、Ls(mm)は初めて行った搬出動作によるディスク10の搬出量であり、Lm(mm)は2500,5000,7500,10000,15000,20000回目の搬出動作によるディスク10の搬出量である。
【0032】
(数2)
ΔL=Lm−Ls … (2)
【0033】
さらに、同様の実験を10台のディスク装置100について行った。ローディング回数Nと搬出変化量ΔLとの関係は、図9のグラフのように表される。この図9に示す関係から、以下の式(3)を得ることができる。
【0034】
(数3)
ΔL=−5+6500/N … (3)
ただし、N>2500。
【0035】
また、基準搬出完了位置付近でのディスク10の搬出量Lと電動モータ410の駆動時間Tとは、以下の式(4)に示す関係があることがわかっている。
【0036】
(数4)
L=30×T … (4)
【0037】
以上の式(3),(4)に基づいて、ローディング回数Nが2500回以上の劣化状態において、電動モータ410を基準時間Tsだけ駆動させたときのディスク10を、基準搬出完了位置まで移動させるために必要な電動モータ410の追加駆動時間ΔTを算出する式として、上述の式(1)を得ることができる。
【0038】
搬送量制御手段602は、追加駆動時間ΔTを算出すると、以下の式(5)で算出される調整搬出時間Taだけ、電動モータ410を予め設定された回転速度で駆動させる。なお、電動モータ410が追加駆動時間ΔTだけ駆動したときの搬送手段500の動作量を、計数対応動作量と称す。
【0039】
(数5)
Ta=Ts+ΔT … (5)
【0040】
[ディスク装置の動作]
次に、ディスク装置の搬出動作を図面に基づいて説明する。
図10は、ディスク装置の搬出動作を示すフローチャートである。
【0041】
制御回路部600の計数手段601は、搬送量制御手段602にて、搬出要求を検出すると(ステップS1)、ローディング回数Nをカウント、すなわち現在の回数Nに1を加える(ステップS2)。そして、搬送量制御手段602は、ローディング回数Nが2500回を超えているか否かを判断する(ステップS3)。
このステップS3において、2500回を超えていると判断すると、上記式(1)に基づきローディング回数Nに対応する追加駆動時間ΔTを算出し(ステップS4)、2500回以下であると判断すると、追加駆動時間ΔTを0と算出する(ステップS5)。この後、搬送量制御手段602は、ステップS3,S4で算出した追加駆動時間ΔTと、上記式(5)とに基づき調整搬出時間Taを算出し(ステップS6)、この算出した調整搬出時間Taだけ電動モータ410を駆動させる搬出処理を実施する(ステップS7)。
【0042】
以上の動作により、ローディング回数Nが2500回以下の未劣化状態では、電動モータ410は、基準時間Tsだけ駆動して、搬送手段500を基準動作量だけ動作させる。この動作により、ディスク10は、電動モータ410の駆動に伴い、ローラ初期挟持力で挟持された状態を維持しつつ移動して、搬送手段作用力とシート初期摩擦力との作用により基準搬出完了位置に位置決めされる。
【0043】
一方、ローディング回数Nが2500回を超える劣化状態では、電動モータ410は、基準時間Tsよりも長い調整搬出時間Taだけ駆動して、搬送手段500を基準動作量と計数対応動作量とを合計した動作量だけ動作させる。このとき、ディスク10は、ローラ初期挟持力よりも弱いローラ劣化後挟持力で挟持されているため、電動モータ410の駆動に伴い、ローラ517に対して搬入方向にずれながら移動する。さらに、ディスク10には、シート初期摩擦力よりも大きいシート劣化後摩擦力が搬入方向に作用する。しかし、電動モータ410の駆動により搬送手段500の動作量を未劣化状態よりも多くして、ディスク10をより搬出方向に移動させるようにしているため、ディスク10は、搬入方向にずれながら搬出されたり、シート劣化後摩擦力が作用したとしても、結果的に基準搬出完了位置に位置決めされる。
【0044】
[ディスク装置の作用効果]
以上のディスク装置100によれば、以下の作用効果が期待できる。
(1)ディスク装置100の制御回路部600は、ローディング回数Nを計数し、この計数結果に基づき調整搬出時間Taを調整して、ディスク10の搬出時における搬送手段500の動作量を制御する。
このため、ディスク10の搬送動作が繰り返されることでシート115やローラ517が劣化してしまい、劣化前と同じ動作量だけ搬送手段500を動作させるとディスク10の搬出完了位置が基準搬出完了位置からずれてしまうような状態になったとしても、シート115やローラ517の劣化状態に対応するローディング回数Nに応じて搬送手段500の動作量を制御することで、ディスク10を基準搬出完了位置に位置決めすることができる。
また、電動モータ410の駆動時間を制御しているため、基準搬出完了位置や搬送手段500の機構の変更を加えることなく、ディスク10を基準搬出完了位置に安定して位置決めすることができる。よって、部品寸法の追い込みを容易に設定できる。さらに、ローディング回数Nを用いて、ディスク装置100の寿命を判断したり、不良解析に活用することができる。
【0045】
(2)制御回路部600は、ローディング回数Nが2500回を超えたときに、搬送手段500を基準動作量と計数対応動作量とを合計した動作量だけ動作させる。
このため、ディスク10がローラ初期挟持力よりも弱いローラ劣化後挟持力で挟持されることで搬入方向にずれながら搬出されたり、シート初期摩擦力よりも大きいシート劣化後摩擦力で搬出方向への移動が妨げられたとしても、ディスク10を基準搬出完了位置に位置決めすることができる。
【0046】
(3)制御回路部600は、ローディング回数Nが2500回を超えたときに、上記式(1)に基づいて、ローディング回数Nが多くなるほど計数対応動作量を連続的に多くする。
このため、シート115やローラ517の劣化が進むにしたがって、計数対応動作量を多くすることができ、ディスク装置100を長期間使用してもディスク10を基準搬出完了位置に位置決めすることができる。
【0047】
(4)ローラ517を、本発明の位置決め手段として機能させている。
このため、ローラ517の弾性変形によるディスク10の挟持により、ディスク10の搬送動作を安定させることができるとともに、ローラ517が劣化してもディスク10を基準搬出完了位置に位置決めすることができる。
【0048】
(5)シート115を、本発明の位置決め手段として機能させている。
このため、シート115によりケース体110の防塵効果を発揮できるとともに、シート115が劣化してもディスク10を基準搬出完了位置に位置決めすることができる。
【0049】
[他の実施形態]
なお、本発明は前述の一実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれるものである。
【0050】
すなわち、シート115を設けていないディスク装置や、ローラ517を有さない機構を用いてディスク10を搬出してシート115の摩擦力でディスク10を基準搬出完了位置に位置決めするディスク装置に、本発明を適用しても良い。
そして、ディスク10の搬入完了の検知に基づいて、ローディング回数Nを計数しても良い。また、ローディング回数Nを計数する専用のカウンタを設けても良い。
さらに、ローディング回数Nが2500回以下の場合でも、ローディング回数Nに応じて追加駆動時間ΔTを長くしても良い。また、追加駆動時間ΔTをローディング回数Nが所定回数増えるごとに長くしても良い。そして、ローディング回数Nが例えば2500回に到達したときに、予め設定された追加駆動時間ΔTを追加した調整搬出時間Taを算出し、それ以降は調整搬出時間Taを変更しなくても良い。また、電動モータ410を基準時間Tsだけ駆動させて一旦停止させた後に、さらに追加駆動時間ΔTだけ駆動させても良い。
【0051】
また、ローディング回数Nに応じて電動モータ410の駆動時間を調整したが、メカ的な不具合が生じないならば、電動モータ410の駆動時間を変更せずに回転速度を変更することで、搬送手段500の動作量を制御しても良い。
そして、搬送動作が繰り返されたときに、ディスク10の搬出量が増える(ディスク10の突出量が多くなる)ようなディスク装置に対しても、本発明を適用することができる。このようなディスク装置に対しては、搬送動作回数に応じて調整搬出時間Taを短くして、搬送手段500の動作量を少なくすれば良い。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
【0052】
[実施形態の作用効果]
上記したように、ディスク装置100は、ローディング回数Nの計数結果に基づき調整搬出時間Taを調整して、ディスク10の搬出時における搬送手段500の動作量を制御する。
このため、ディスク10の搬送動作が繰り返されることでシート115などが劣化してしまい、劣化前と同じ動作量だけ搬送手段500を動作させるとディスク10の搬出完了位置が基準搬出完了位置からずれてしまうような状態になったとしても、シート115などの劣化状態に対応するローディング回数Nに応じて搬送手段500の動作量を制御することで、ディスク10を基準搬出完了位置に位置決めすることができる。
【符号の説明】
【0053】
10…記録媒体としてのディスク
100…ディスク装置
110…ケース体
114A…開口部
115…位置決め手段を構成する開口部閉塞手段としてのシート
500…搬送手段
517…位置決め手段を構成するディスク挟持手段としてのローラ
600…搬送制御手段としての制御回路部
601…計数手段
602…動作量制御手段としての搬送量制御手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク状の記録媒体が面方向に沿って通過可能な開口部を有するケース体と、
このケース体内に搬入されている前記記録媒体を前記ケース体外に搬出する搬送手段と、
この搬送手段の動作を制御する搬送制御手段と、
前記記録媒体よりも軟らかい材料により形成され、前記搬送手段により搬出される前記記録媒体を前記ケース体から突出する状態で位置決めする位置決め手段と、を具備し、
前記搬送制御手段は、
前記記録媒体の前記ケース体内への搬入回数および前記ケース体外への搬出回数のうちの少なくともいずれか一方を計数する計数手段と、
この計数手段での計数結果に基づいて、前記記録媒体の搬出時における前記搬送手段の動作量を制御する動作量制御手段と、
を備えていることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
請求項1に記載のディスク装置において、
前記動作量制御手段は、予め設定された基準動作量と前記計数手段での計数結果に対応する計数対応動作量とを合計した動作量だけ前記搬送手段を動作させる
ことを特徴とするディスク装置。
【請求項3】
請求項2に記載のディスク装置において、
前記動作量制御手段は、前記計数手段で計数した回数が多くなるほど、前記計数対応動作量を連続的にまたは段階的に多くする
ことを特徴とするディスク装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のディスク装置において、
前記位置決め手段は、弾性変形した状態で前記記録媒体の外縁部を挟持するディスク挟持手段を備えている
ことを特徴とするディスク装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のディスク装置において、
前記位置決め手段は、前記開口部を略閉塞し、かつ、前記記録媒体の搬出時に前記記録媒体の一面および他面のうちの少なくともいずれか一方に当接する状態で設けられた開口部閉塞手段を備えている
ことを特徴とするディスク装置。
【請求項1】
ディスク状の記録媒体が面方向に沿って通過可能な開口部を有するケース体と、
このケース体内に搬入されている前記記録媒体を前記ケース体外に搬出する搬送手段と、
この搬送手段の動作を制御する搬送制御手段と、
前記記録媒体よりも軟らかい材料により形成され、前記搬送手段により搬出される前記記録媒体を前記ケース体から突出する状態で位置決めする位置決め手段と、を具備し、
前記搬送制御手段は、
前記記録媒体の前記ケース体内への搬入回数および前記ケース体外への搬出回数のうちの少なくともいずれか一方を計数する計数手段と、
この計数手段での計数結果に基づいて、前記記録媒体の搬出時における前記搬送手段の動作量を制御する動作量制御手段と、
を備えていることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
請求項1に記載のディスク装置において、
前記動作量制御手段は、予め設定された基準動作量と前記計数手段での計数結果に対応する計数対応動作量とを合計した動作量だけ前記搬送手段を動作させる
ことを特徴とするディスク装置。
【請求項3】
請求項2に記載のディスク装置において、
前記動作量制御手段は、前記計数手段で計数した回数が多くなるほど、前記計数対応動作量を連続的にまたは段階的に多くする
ことを特徴とするディスク装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のディスク装置において、
前記位置決め手段は、弾性変形した状態で前記記録媒体の外縁部を挟持するディスク挟持手段を備えている
ことを特徴とするディスク装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のディスク装置において、
前記位置決め手段は、前記開口部を略閉塞し、かつ、前記記録媒体の搬出時に前記記録媒体の一面および他面のうちの少なくともいずれか一方に当接する状態で設けられた開口部閉塞手段を備えている
ことを特徴とするディスク装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−70743(P2011−70743A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−222494(P2009−222494)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】
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