説明

ディスク装置

【課題】 クランプ部材の回転支点部を支持する低摩擦部材が設けられており、クランプ部材が回転したときに、低摩擦部材が外れにくく変形しにくい構造で支持されている「ディスク装置」を提供する。
【解決手段】 クランプ支持部材16に低摩擦部材18と板ばねで形成された付勢部材19が取付けられている。低摩擦部材18の基部である固定支持部18aは、クランプ支持部材16と付勢部材19の固定片19aとで挟まれ、カシメ凸部16f,16fによって、低摩擦部材18と付勢部材19が一緒に固定されている。低摩擦部材18がクランプ部材20の回転支点部22と付勢部材19の付勢片19bとの間に挟まれた状態でクランプ部材20が回転するが、低摩擦部材18がしっかりと固定されているため、外れるなどの問題が生じにくくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータで回転駆動されるターンテーブルとクランプ部材との間に、ディスクの中心部が挟まれてクランプされるディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
筐体に形成されたスリット状の挿入口からディスクが挿入されるいわゆるスロットインタイプのディスク装置は、車載用などとして使用されている。このディスク装置は、筐体の内部に、ターンテーブルとこれに対向するクランプ部材とが設けられている。クランプ部材はクランプ支持部材に回転自在に支持されている。クランプ支持部材には板ばねが取り付けられており、クランプ部材の中心の軸部が前記板ばねによってターンテーブルに向けて付勢されている。
【0003】
挿入口から挿入されたディスクが、搬送ローラなどを有する搬送機構によって筐体の内部に向けて搬入され、ディスクの中心部が、ターンテーブルの上に移動すると、クランプ支持部材がターンテーブルに向けて移動させられ、クランプ部材とターンテーブルとでディスクの中心部が挟持されてクランプされる。
【0004】
以下の特許文献1に記載されたディスク装置は、クランプ支持部材に取付けられた前記板ばねの下面とクランプ部材の軸部との間に薄い円形の合成樹脂軸受が設けられ、軸部の上端部が合成樹脂軸受と摺動して回転する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実願昭62−130511号(実開昭64−37944号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されたディスク装置は、薄い合成樹脂軸受が、クランプ部材の軸部と板ばねとの間に挟まれており、ディスクが回転しているときに、クランプ部材の軸部が合成樹脂軸受に常に摺動している。そのため、合成樹脂軸受が板ばねの下面から外れるおそれがある。
【0007】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、クランプ部材の回転支持部を低摩擦部材にて回転自在に支持でき、且つ低摩擦部材がクランプ部材と摺動する位置から外れにくい構造のディスク装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ディスクの中心部が設置されるターンテーブルと、前記ターンテーブルを回転させるモータと、前記ターンテーブルにディスクを押し付けるクランプ部材と、前記クランプ部材を回転自在に支持するクランプ支持部材とを有するディスク装置において、
前記クランプ支持部材に、前記クランプ部材の中心に設けられた回転支点部を前記ターンテーブルに向けて付勢する付勢部材と、板状またはシート状の低摩擦部材とが設けられ、
前記低摩擦部材が支点当接部と固定支持部とを有し、前記支点当接部が前記回転支点部と前記付勢部材との間に挟まれ、前記固定支持部が、前記クランプ支持部材と前記付勢部材の基部との間に挟まれて固定されていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明のディスク装置は、低摩擦部材の固定支持部が、クランプ支持部材と付勢部材との間に挟まれて固定されているため、回転するクランプ部材の回転支点部が低摩擦部材と長時間摺動しても、低摩擦部材がクランプ支持部材から離脱することが生じにくい。
【0010】
本発明は、前記付勢部材の前記基部に形成された取付け穴と前記低摩擦部材の前記固定支持部に形成された取付け穴とが互いに重ねられて、前記付勢部材と前記低摩擦手段とが、同じ固定手段によって前記クランプ支持部材に固定されているものとして構成できる。
【0011】
上記のように、付勢部材と低摩擦部材とが同じ固定手段でクランプ支持部材に固定されていると、固定手段の数を減らすことができる。
【0012】
また、本発明は、前記低摩擦部材は、前記支点当接部と前記固定支持部との間を結ぶ2つの連結部を有しているものが好ましい。
【0013】
上記構造では、低摩擦部材の支点当接部が2つの連結部によって両側から支えられた構造であるため、クランプ部材の回転力が支点当接部に作用したときに、低摩擦部材全体が回転したり捩れたりするのを防止しやすい。
【0014】
本発明は、前記付勢部材の全体を板ばねで構成できる。ただし、前記付勢部材を、薄い板材やシート材と板ばねとの複合材で構成することも可能である。
【発明の効果】
【0015】
本発明のディスク装置は、クランプ部材と板ばねとの当接部に低摩擦部材が介在しているので、クランプ部材が回転するときの摩擦の影響を低減できる。さらに、クランプ部材と板ばねとの間に位置する低摩擦部材が、外れたり捩れ変形する問題が発生しにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態のディスク装置の内部構造の主要部を示す平面図、
【図2】ディスクが挿入されていないときの、回転駆動部とクランプ支持部材およびクランプ部材を拡大して示す部分斜視図、
【図3】クランプ支持部材からクランプ部材を外した状態の部分分解斜視図、
【図4】ディスクがクランプされているときの、回転駆動部とクランプ支持部材およびクランプ部材を示す断面図、
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示すディスク装置1は、金属製の筐体2を有しており、筐体2のY1方向に向く前面2aに操作パネル3が固定されている。筐体2は1DINなどの大きさの直方体であり、自動車の車室内のインストルメントパネルなどに埋設される。操作パネル3は、インストルメントパネルの表面に露出するように設置される。
【0018】
操作パネル3のY1方向に向く前面3aには、横方向に細長く延びる挿入口4が開口している。挿入口4は、筐体2の内部に通じている。操作パネル3の前面3aには、液晶表示パネルなどのディスプレイと操作部6,7,8とが設けられている。
【0019】
筐体2の内部に機構部10が収納されている。機構部10は、金属板で形成された機構シャーシ11を有している。筐体2の内部で、機構シャーシ11が、複数のダンパー12によって弾性支持されている。
【0020】
機構シャーシ11の中央部に回転駆動部13が設けられている。図2と図4に示すように、回転駆動部13は、機構シャーシ11に固定されたスピンドルモータMsと、その回転軸に固定されたターンテーブル14とを有している。ターンテーブル14は、装填されたディスクDの下面が設置される設置面14aと、設置面14aの中央部から上方へ突出する位置決め凸部14bとを有している。
【0021】
機構シャーシ11に、クランプアーム15が支持されている。クランプアーム15は金属板で形成されており、装置奥側(Y2側)の両側部に設けられた軸受部15a,15aが、機構シャーシ11に固定された支持軸に回動自在に支持されている。
【0022】
図2と図3に示すように、クランプアーム15のY1側の先部に、縁部が円形の凹部15bが形成されている。また、クランプアーム15の先部に、前記凹部15b内に延びるクランプ支持部材16と、前記凹部15bの下側に取り付けられたクランプ受け部材17とが設けられている。
【0023】
クランプ支持部材16は、クランプアーム15を構成する金属板の一部によってクランプアーム15と一体に形成されている。クランプ支持部材16は、凹部15bの縁部においてクランプアーム15から一体に延びる延出部16aと、延出部16aの両側部から互いに間隔を空けてY1方向に延びる腕部16b,16bと、Y1側の先部において腕部16b,16bどうしを連結する連結支持部16cとを有している。連結支持部16cの一部は板厚寸法が小さくなっており、その下面が支持面16dとなっている。
【0024】
クランプ支持部材16は、延出部16aと腕部16b,16bおよび連結支持部16cとで囲まれた開口部16eを有している。それぞれの腕部16b,16bには、上方へ突出するカシメ凸部16f,16fが一体に形成されている。
【0025】
クランプ受け部材17は、金属板によってクランプアーム15とは別体に形成されている。クランプ受け部材17は、縁部が円形の中央凹部17aを有している。中央凹部17aの周囲は、リング状の受け面17bであり、その周囲に段差部17cを介して取付け面17dが形成されている。クランプ受け部材17の取付け面17dは、クランプアーム15の下面に密着して、ねじ止めや溶接などで固定されている。クランプ受け部材17がクランプアーム15の下面に取付けられると、中央凹部17aの中心とクランプアーム15の凹部15bの中心とが一致する。
【0026】
クランプ支持部材16の支持面16dは、中央凹部17aおよび凹部15bのそれぞれの中心に対向している。図4に示すように、クランプ受け部材17に形成された受け面17bは、クランプ支持部材16に形成された支持面16dよりも下側、すなわちターンテーブル14の設置面14aに近い側に位置している。
【0027】
図2と図4に示すように、クランプ支持部材16に、低摩擦部材18と付勢部材19とが重ねられて取付けられている。
【0028】
低摩擦部材18は合成樹脂材料で形成されている。後に説明するクランプ部材20と低摩擦係数18との間の摩擦係数が、クランプ部材20とクランプ支持部材16との摩擦係数よりも小さくなるように、前記合成樹脂材料が選ばれている。この実施の形態では、低摩擦部材18がナイロン6やナイロン66を主体とする合成樹脂シートであり、厚さが0.1〜0.8mm程度のものが使用される。低摩擦部材18は1種類の合成樹脂材料で1枚のシートが形成されたものである。または、樹脂シートや合成紙などの表面にフッ化エチレンなどの低摩擦の合成樹脂材料がコーティングされた複合シートで形成されていてもよい。また、樹脂シートや合成紙の表面に二流化モリブデンのように低摩擦で耐摩耗性に優れた材料層を形成した複合シートであってもよい。
【0029】
低摩擦部材18は、Y2側に固定支持部18aがY1側に支点当接部18bが形成され、固定支持部18aと支点当接部18bを連結する一対の連結部18c,18cが、Y1−Y2方向と直交する向きに間隔を空けて形成されている。固定支持部18aには、Y1−Y2方向と直交する向きに間隔を空けて取付け穴18d,18dが貫通して形成されている。また、固定支持部18aと支点当接部18bおよび一対の連結部18c,18cで囲まれた開口部18eが形成されている。
【0030】
付勢部材19は、ばね性のステンレス鋼板やリン青銅板などの板ばね材料で形成されている。または、プレスチックシートと板ばね材料が積層された積層材で形成されている。あるいは、2つのプラスチックシートが板ばね部材を介して連結されて全体として弾性力を発揮できる複合材で形成されてもよい。
【0031】
付勢部材19は、Y2側に位置する固定片19aと、固定片19aからY1方向へ一体に延びる付勢片19bとが一体に形成されている。固定片19aには、Y1−Y2方向と直交する向きに間隔を空けて取付け穴19c,19cが形成されている。
【0032】
図2と図3に示すように、低摩擦部材18の固定支持部18aがクランプ支持部材16の腕部16b,16bの上に設置され、腕部16b,16bと一体に形成されたカシメ凸部16f,16fが、固定支持部18aに形成された取付け穴18d,18dに挿通される。低摩擦部材18の一対の連結部18c,18cは、クランプ支持部材16の開口部16eを上から下に向けて通過し、低摩擦部材18の支点当接部18bが、クランプ支持部材16の連結支持部16cの下面である支持面16dの下側に設置される。
【0033】
付勢部材19の固定片19aは、低摩擦部材18の固定支持部18aの上に設置され、カシメ凸部16f,16fが固定片19aに形成された取付け穴19c,19cに挿通される。付勢部材19の付勢片19bは、クランプ支持部材16の開口部16eを上から下に向けて通過し、図4に示すように、付勢片19bが、クランプ支持部材16の連結支持部16cの下面である支持面16dの下で、且つ低摩擦部材18の支点当接部18bの上に位置する。すなわち、付勢片19bは、支点当接部18bと支持面16dとの間に位置している。
【0034】
カシメ凸部16f,16fが押し潰されると、低摩擦部材18の固定支持部18aが、クランプ支持部材16の腕部16b,16bと付勢部材19の固定片19aとの間に挟まれた状態で、固定支持部18aと固定片19aとが、クランプ支持部材16の腕部16b,16bの上面に一緒に固定される。付勢部材19がクランプ支持部材16に固定されると、付勢片19bが、クランプ支持部材16の連結支持部16cの下面である支持面16dから下方向へ離れる向きに弾性変形しようとする。
【0035】
図2ないし図4に示すように、クランプアーム15の先部において、クランプ支持部材16とクランプ受け部材17とで、クランプ部材20が回転自在に支持されている。クランプ部材20はポリアセタールなどの合成樹脂材料で形成されている。
【0036】
クランプ部材20は、外周部に薄い板状のフランジ部21が一体に形成され、上面の中央部に、上方に突出するピボット状の回転支点部22が設けられている。図4に示すように、クランプ部材20は、フランジ部21から下向きに突出する押圧凸部23を有している。押圧凸部23の下面は、ディスクDの上面を押さえる押圧部23aであり、それよりも中央部に、上向きに窪む嵌合凹部23bが一体に形成されている。
【0037】
図2と図4に示すように、クランプ部材20は、押圧凸部23が、クランプ受け部材17の円形の中央凹部17aに挿入され、フランジ部21が、リング状の受け面17bの上に設置された状態で、回転支点部22が、低摩擦部材18の支点当接部18bの下面に当接する。低摩擦部材18の支点当接部18bが、付勢部材19の付勢片19bとクランプ部材20の回転支点部22との間に挟まれた状態で、付勢片19bから回転支点部22に対して下向きの弾性押圧力が作用する。
【0038】
図1に示すように、クランプアーム15の側部にトーションばねのクランプばね25が設けられている。クランプばね25の一方の腕部25aがクランプアーム15に掛けられ、他方の腕部25bが機構シャーシ11に掛けられて、クランプアーム15は、クランプ部材20がターンテーブル14に圧接する方向へ付勢されている。
【0039】
図1に示すように、機構シャーシ11の左側部に、切換え部材30が設けられている。切換え部材30はY1−Y2方向へ往復移動自在に支持されている。切換え部材30には、クランプ制御突起31が上方(図1の紙面手前方向)に向けて突出している。切換え部材30がY2方向へ移動すると、クランプ制御突起31によって、クランプアーム15の持ち上げ部15cが持ち上げられ、クランプ部材20がターンテーブル14から離れるクランプ解除状態となる。切換え部材30がY1方向へ移動して、クランプ制御突起31が持ち上げ部15cから外れると、クランプばね25によってクランプアーム15が回動させられ、クランプ部材20がターンテーブル14に圧接してクランプ状態に設定される。
【0040】
図1に示すように、操作パネル3と回転駆動部13との間に、搬送機構35が設けられている。搬送機構35は、ローラ軸36と、ローラ軸36の外周部に設けられた合成ゴム製の搬送ローラ37,37を有している。筐体2の内部に、搬送ローラ37,37に対向する合成樹脂製の挟持部材が設けられており、ローラ軸36が、搬送ばねによって、挟持部材に圧接する方向へ付勢されている。挿入口4から挿入されたディスクDは、搬送ローラ37,37と挟持部材とで挟持され、搬送ローラ37,37の回転力でY2方向へ搬入され、あるいはY1方向へ搬出される。
【0041】
機構シャーシ11には光ヘッド(図示せず)が設けられている。光ヘッドは、ターンテーブル14にクランプされているディスクDの記録面に沿ってディスクの半径方向へ移動し、ディスクDに記録されているデータの再生またはデータの記録が行われる。
【0042】
次に、前記ディスク装置1の動作を説明する。
筐体2の内部にディスクDが装填されていないディスク待機状態では、切換え部材30がY2方向へ移動しており、クランプ制御突起31によって、クランプアーム15の持ち上げ部15cが持ち上げられて、クランプ解除状態となっている。
【0043】
図2に示すように、クランプ解除状態では、クランプ部材20がターンテーブル14から上方に離れており、クランプアーム15に設けられた付勢部材19の付勢片19bによって、クランプ部材20の回転支点部22が下向きに押されている。付勢片19bの下向きの付勢力が、低摩擦部材18の支点当接部18bを介して回転支点部22に与えられ、クランプ部材20のフランジ部21が、クランプ受け部材17の受け面17bに押し付けられている。このとき、付勢部材19の付勢片19bが、クランプ支持部材16に形成された連結支持部16cの下面である支持面16dから下方へ離れている。
【0044】
クランプ解除状態では、ターンテーブル14から離れているクランプ部材20が、付勢部材19で下向きに押され、フランジ部21が、クランプ受け部材17の受け面17bに当接しているので、クランプアーム15の先部でクランプ部材20ががたつきを生じることがない。よって、車体振動などが作用しても、クランプ部材20のがたつき音が発生するのを防止できる。
【0045】
ディスク装置1の挿入口4から筐体2の内部にディスクDが挿入され、操作パネル3の内側に設けられた検知部材によってディスクDの挿入が検知されると、モータが始動してローラ軸36が搬入方向へ回転し始める。ディスクDは、搬送ローラ37,37と挟持部材とで挟持され、搬送ローラ37,37の回転力によってY2方向へ搬入される。
【0046】
機構部10に装填検知部材が設けられており、搬入されるディスクDが図1に示す装填完了位置(i)に至ると、ディスクDの外周縁で装填検知部材が押され、装填検知部材の移動力によって、切換えモータが始動し、切換え部材30がY1方向へ移動し始める。クランプ制御突起31が持ち上げ部15cから離れると、クランプばね25の付勢力でクランプアーム15が下降方向へ回転させられる。
【0047】
クランプ動作とほぼ同時に、切換え部材30のY1方向への移動力によって、ローラ軸36および搬送ローラ37,37が下降させられる。さらに、切換え部材30のY1方向への移動力により、筐体2内での機構シャーシ11のロックが解除されて、機構シャーシ11がダンパー12で弾性支持された状態となる。
【0048】
搬送ローラ37,37が下降すると、図4に示すように、ディスクDの中心穴Daが、ターンテーブル14の位置決め凸部14bに嵌合する。クランプばね25の付勢力によって、クランプアーム15が回転駆動部13に向けて下降させられると、ターンテーブル14の位置決め凸部14bがクランプ部材20の嵌合凹部23bに入り込み、クランプ部材20の押圧部23aがディスクDの上面に当たる。
【0049】
クランプばね25からクランプアーム15に与えられる回動付勢力は、付勢部材19からクランプ部材20に与えられる付勢力よりも十分に大きい。そのため、クランプアーム15が回転駆動部13に接近すると、図4に示すように、付勢部材19の付勢片19bが、クランプ支持部材16の連結支持部16cの下面である支持面16dに密着するように変形する。そして、クランプばね25がクランプアーム15を回動させる力によって、クランプ支持部材16の連結支持部16cが、付勢部材19の付勢片19bと低摩擦部材18の支点当接部18bを介して、回転支点部22を下向きに押圧し、クランプ部材20の押圧部23aによって、ディスクDがターンテーブル14の設置面14aに押し付けられる。
【0050】
このとき、図4に示すように、クランプ部材20のフランジ部21は、クランプ受け部材17の受け面17bからわずかな距離δだけ上方へ離れる。
【0051】
ディスクDの記録されたデータを再生し、またはディスクDにデータを書き込むときは、回転駆動部13のスピンドルモータMsが始動し、ターンテーブル14が回転する。クランプばね25の付勢力によって、クランプ部材20がディスクDをターンテーブル14に押し付けているので、ターンテーブル14と共に、ディスクDとクランプ部材20が一緒に回転する。
【0052】
図4に示すように、クランプ部材20は、フランジ部21がクランプ受け部材17の受け面17bから浮き上がり、ピボット状の回転支点部22が低摩擦部材18の支点当接部18bに圧接された状態で回転する。回転支点部22の頂部が低摩擦部材18の支点当接部18bに常に回転力を与え続けるが、低摩擦部材18は、固定支持部18aがクランプ支持部材16の腕部16b,16bと付勢部材19の固定片19aとで挟まれて強固に固定されているため、低摩擦部材18が回転支点部22との当接部から外れて離脱することが生じにくい。
【0053】
低摩擦部材18は、厚さが0.1〜0.8mm程度の厚さ寸法を有する比較的剛性の高い合成樹脂シートで形成されている。そして、支点当接部18bは、Y1−Y2方向と直交する向きに間隔を空けて形成された一対の連結部18c,18cによって支持されている。支点当接部18bが一対の連結部18c,18cによって両側から支持されているため、クランプ部材20から常に回転力を受けている低摩擦部材18が捩れ変形などしにくくなる。したがって、クランプ部材20が、低摩擦で回転することが可能になる。
【0054】
低摩擦部材18は剛性を有する合成樹脂シートで形成されて、捩れ変形などが生じないため、支点当接部18bと付勢部材19の付勢片19bとを接着しなくても、支点当接部18bでクランプ部材20の回転支点部22を受けることができる。ただし、支点当接部18bと付勢片19bとが接着剤で固定されてもよい。
【0055】
前記実施の形態では、クランプ解除状態のときに、クランプ支持部材16に取付けられた付勢部材19が、クランプ部材20のフランジ部21をクランプ受け部材17の受け面17bに押し付けて、クランプ部材20ががたつくのを防止するように機能している。そして、図4に示すように、ディスクDがクランプされたときに、クランプばね25からクランプアーム15に与えられる力がクランプ部材20に作用して、ディスクDを挟持する力が発揮されている。
【0056】
ただし、本発明では、付勢部材19の弾性力が大きく設定されて、付勢部材19の弾性力によって、クランプ部材20がディスクDに押し付けられ、この押し付け力によって、ディスクDがターンテーブル14とクランプ部材20とで挟持される構造であってもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 ディスク装置
2 筐体
3 操作パネル
4 挿入口
10 機構部
11 機構シャーシ
13 回転駆動部
14 ターンテーブル
15 クランプアーム
16 クランプ支持部材
16d 支持面
16f カシメ凸部
17 クランプ受け部材
17b 受け面
18 低摩擦部材
18a 固定支持部
18b 支点当接部
18c 連結部
18d 取付け穴
19 付勢部材
19a 固定片
19b 付勢片
19c 取付け穴
20 クランプ部材
21 フランジ部
22 回転支点部
25 クランプばね
D ディスク
Da 中心穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクの中心部が設置されるターンテーブルと、前記ターンテーブルを回転させるモータと、前記ターンテーブルにディスクを押し付けるクランプ部材と、前記クランプ部材を回転自在に支持するクランプ支持部材とを有するディスク装置において、
前記クランプ支持部材に、前記クランプ部材の中心に設けられた回転支点部を前記ターンテーブルに向けて付勢する付勢部材と、板状またはシート状の低摩擦部材とが設けられ、
前記低摩擦部材が支点当接部と固定支持部とを有し、前記支点当接部が前記回転支点部と前記付勢部材との間に挟まれ、前記固定支持部が、前記クランプ支持部材と前記付勢部材の基部との間に挟まれて固定されていることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記付勢部材の前記基部に形成された取付け穴と前記低摩擦部材の前記固定支持部に形成された取付け穴とが互いに重ねられて、前記付勢部材と前記低摩擦手段とが、同じ固定手段によって前記クランプ支持部材に固定されている請求項1記載のディスク装置。
【請求項3】
前記低摩擦部材は、前記支点当接部と前記固定支持部との間を結ぶ2つの連結部を有している請求項1または2記載のディスク装置。
【請求項4】
前記付勢部材は、板ばねである請求項1ないし3のいずれかに記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−22744(P2012−22744A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159613(P2010−159613)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】