ディスク記憶装置及びサーボ書込み方法
【課題】サーボ書込み時間の短縮化を可能とし、かつ、ディスク媒体上に記録されたサーボデータを使用してヘッドの位置決め制御を確実に行なうことができるディスク記憶装置を提供することにある。
【解決手段】1サーボトラックピッチでサーボバーストパターンが書き込まれて、このサーボバーストパターンの記録部分の一部が無効化(トリミング)された状態でサーボデータが記録されているディスク媒体11と、当該サーボデータを使用してディスク媒体11上の目標位置にヘッド12を位置決め制御するCPU19とを有するディスクドライブ10が開示されている。
【解決手段】1サーボトラックピッチでサーボバーストパターンが書き込まれて、このサーボバーストパターンの記録部分の一部が無効化(トリミング)された状態でサーボデータが記録されているディスク媒体11と、当該サーボデータを使用してディスク媒体11上の目標位置にヘッド12を位置決め制御するCPU19とを有するディスクドライブ10が開示されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク媒体上に記録されたサーボデータを使用して、ヘッドの位置決め制御を行なうディスク記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ハードディスクドライブを代表とするディスク記憶装置(以下、ディスクドライブと表記する場合がある)では、データの記録媒体であるディスク媒体上には、ヘッドの位置決め制御に使用されるサーボデータ(サーボパターン)が記録されている。ディスクドライブでは、ヘッドにより読出されたサーボデータを使用して、ディスク媒体上での目標位置(目標トラック又は目標シリンダ)にヘッドが位置決め制御される。
【0003】
サーボ情報は、ディスクドライブの製造工程でのサーボ書込み工程で、ディスクドライブに組み込む前のディスク媒体またはディスクドライブに組み込みされたディスク媒体に記録される。通常では、サーボ書込み工程では、サーボデータをディスク媒体に書き込むための専用装置(サーボトラックライタ:STW)が使用される。
【0004】
ところで、近年のディスクドライブは、記憶容量の増大化に伴って、トラック密度が高くなっている。このため、サーボ書込み工程では、サーボデータをディスク媒体上に書き込むための処理時間が長時間になりつつある。このようなサーボ書込み工程での処理時間の増大化は、ディスクドライブの製造工程全体の効率低下を招く問題になっている。
【0005】
そこで、サーボ書込み工程の効率を向上させるための各種の方法が、提案されている。具体的には、基礎サーボパターン(第1のサーボパターン)を1/2ピッチ以外のトラックピッチで書き込み、この基礎サーボパターンに基づいて製品のドライブで使用する第2のサーボパターンを1/2ピッチでセルフサーボライト方法により書き込む方法が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2001−143416号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
基礎サーボパターンを1/2ピッチ以外のトラックピッチで書き込む方法は、例えば1/1トラックピッチ(1トラックピッチ)で書き込むことにより、サーボ書込み時間の短縮化を図ることが可能である。しかしながら、通常の製品化されたディスクドライブでは、1/2ピッチ以外のトラックピッチで記録されたサーボデータでは、サーボトラックの中心線上に、ヘッドを位置決め制御することはできない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、サーボ書込み時間の短縮化を可能とし、かつ、ディスク媒体上に記録されたサーボデータを使用してヘッドの位置決め制御を確実に行なうことができるディスク記憶装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の観点は、例えば1トラックピッチ(1/1トラックピッチ)でサーボバーストパターンが書き込まれて、このサーボバーストパターンの記録部分の一部が無効化(トリミング)された状態でサーボデータが記録されているディスク媒体と、当該サーボデータを使用してディスク媒体上の目標位置にヘッドを位置決め制御する制御手段とを有するディスク記憶装置である。
【0009】
本発明の観点に従ったディスク記憶装置は、データの書き込みを行なうライトヘッド素子と、データの読出しを行なうリードヘッド素子とを有するヘッドと、前記リードヘッド素子により読出されるサーボデータが記録されているサーボ領域と、前記ライトヘッド素子によりユーザデータが記録されるデータ領域とが設けられて、前記サーボ領域のサーボトラックの中心線と前記データ領域のデータトラックの中心線とが一致し、前記サーボデータは、前記サーボトラックを識別するアドレスコード及び前記サーボトラック内の位置を検出するためのサーボバーストデータを含み、当該サーボバーストデータは各相のバーストパターンが前記サーボトラックのトラック幅を超える記録幅を有するサーボバーストパターン及び当該トラック幅を超える記録部分が無効化されたサーボバーストパターンが混在している構成のディスク媒体と、前記リードヘッド素子により前記サーボ領域から読出されたサーボデータを使用して、前記ヘッドの位置決め制御を実行する制御手段とを備えた構成である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、サーボデータをディスク媒体上に記録するためのサーボ書込み時間の短縮化を可能とし、かつ、ディスク媒体上に記録されたサーボデータを使用してヘッドの位置決め制御を確実に行なうことができるディスク記憶装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0012】
(ディスクドライブの構成)
図1は、本実施形態に関するディスクドライブの要部を示すブロック図である。
【0013】
本実施形態のディスクドライブ10は、ヘッド12と、磁気記録媒体であるディスク媒体11を保持して高速回転させるスピンドルモータ(SPM)13とを有する。ヘッド12は、ディスク媒体11からデータを読出すリードヘッド12Rと、ディスク媒体11にデータを書き込むためのライトヘッド12Wを含む。
【0014】
ここで、データは、ヘッド12の位置決め制御に使用されるサーボデータ、及びユーザデータを含む。
【0015】
ヘッド12は、ボイスコイルモータ(VCM)15により駆動されるアクチュエータ14に搭載されている。VCM15は、VCMドライバ21により駆動電流が供給されて、駆動制御される。アクチュエータ14は、後述するマイクロプロセッサ(CPU)19により駆動制御されて、ヘッド12をディスク媒体11上の目標位置(目標トラック)に位置決めするための機構である。
【0016】
このようなヘッド・ディスクアセンブリ以外に、ディスクドライブ10は、プリアンプ回路16と、信号処理ユニット17と、ディスクコントローラ(HDC)18と、CPU19と、メモリ20とを有する。
【0017】
プリアンプ回路16は、ヘッド12のリードヘッド12Rから出力されるリードデータ信号を増幅するリードアンプ、及びライトデータ信号をライトヘッド12Wに供給するためのライトアンプを有する。即ち、ライトアンプは、信号処理ユニット17から出力されるライトデータ信号をライト電流信号に変換して、ライトヘッド12Wに送出する。
【0018】
信号処理ユニット17は、リード/ライトデータ信号(サーボデータに対応するサーボ信号を含む)を処理する信号処理回路であり、リード/ライトチャネルとも呼ばれている。信号処理ユニット17は、サーボ信号からサーボデータを再生するためのサーボデコーダを含む。
【0019】
HDC18は、ドライブ10とホストシステム22(例えばパーソナルコンピュータや各種のディジタル機器)とのインターフェース機能を有する。HDC18は、ディスク11とホストシステム22間のリード/ライトデータの転送制御を実行する。
【0020】
CPU19は、ドライブ10のメインコントローラであり、VCMドライバ21を介してアクチュエータ14を制御し、ヘッド12の位置決め制御を実行する。CPU19は、ディスク媒体11上に記録されたサーボデータを使用して、ヘッド12の位置決め制御を実行する。メモリ20は、不揮発性メモリであるフラッシュメモリ(EEPROM)以外に、RAM及びROMなどを含み、CPU19の制御に必要な各種データ及びプログラムを保存する。
【0021】
(サーボパターン)
一般的に、ディスクドライブでは、ディスク媒体11上に記録されるサーボデータとしては、図2に示すように、同心円状のサーボトラック110を構成する同心円状サーボパターンがある。同心円状サーボパターンは、放射線状に記録されたサーボデータ100を、各セクタ間で結ぶサーボトラック110が同心円状になるサーボパターンである。ここで、セクタとは、サーボデータ100が記録されたサーボエリアを意味する。
【0022】
一方、サーボデータとして、図3に示すように、螺旋状(スパイラル)のサーボトラック120を構成するスパイラルサーボパターンがある。スパイラルサーボパターンは、放射線状に記録されたサーボデータ100を、各セクタ間で結ぶサーボトラック120がスパイラルになるサーボパターンである。
【0023】
なお、サーボデータは、いずれの場合でも、トラックとセクタを識別するアドレスコード、及びトラック内の位置を検出するためのサーボバーストデータ(バーストパターンA,B,C,D)のそれぞれを含む。
【0024】
(サーボ書込みプロセス)
次に、本実施形態のサーボ書込みプロセスを、図4から図7を参照して説明する。
【0025】
本実施形態のサーボ書込み方法は、ディスクドライブの製造工程において、サーボ書込み用の専用装置であるサーボトラックライタ(STW)を使用する。サーボトラックライタは、ディスクドライブ10に組み込まれたディスク媒体11上に、サーボデータ(サーボパターン)200を記録する。
【0026】
サーボデータ200は、アドレスコード210及びサーボバーストデータ220(バーストパターンA,B,C,D)を含む。アドレスコード210は、トラック(シリンダ)を識別するトラックアドレス(シリンダコード)、及びセクタを識別するセクタコードを含む。サーボバーストデータ220は、トラック内の位置(トラック中心線に対するヘッドの位置誤差)を検出するためのデータである。
【0027】
ここで、サーボトラックライタは、図4に示すように、サーボデータ200に基づいて構成されるサーボトラックのトラック幅より、約1.5倍の記録幅を有するサーボ用ライトヘッド340Wを有する。図4において、TR1〜TR4は、ディスク媒体11上に構成されるサーボトラックのトラック中心線を意味する。
【0028】
なお、ディスクドライブ10のライトヘッド12Wが、サーボトラックのトラック中心に位置決めされて、ユーザデータを記録すると、データトラックが構成される。即ち、サーボトラックのトラック中心線と、データトラックのトラック中心線は一致することになる。
【0029】
本実施形態のサーボ書込みプロセスでは、サーボトラックライタは、サーボトラックのトラック幅と同じピッチ、即ち1トラックピッチ(1/1トラックピッチ)単位でサーボ用ライトヘッド340Wを移動させながら、ディスク媒体11上にサーボデータ200を書き込む。これにより、図4に示すように、ディスク媒体11上には、同心円状サーボパターンからなるサーボトラック(TR1〜TR4)を構成するように、周方向に一定の間隔をもって、サーボデータ200が記録されたサーボ領域が設けられる。
【0030】
このようなサーボ書込み方法であれば、例えば4サーボトラック(シリンダ)分のサーボデータを書き込む場合に、STWは、サーボ用ライトヘッド340Wの移動と停止を4回繰り返すだけでよい。これに対して、従来のサーボ書込み方法では、1/2トラックピッチ単位でライトヘッドを移動させながら、サーボデータを書き込む。このため、例えば4サーボトラック分のサーボデータを書き込む場合には、ライトヘッドの移動と停止を8回繰り返すことになる。従って、本実施形態のサーボ書込み方法であれば、サーボ書込み時間を、従来の方法より約半分程度に短縮することができる。
【0031】
図5は、本実施形態のサーボ書込み方法により、ディスク媒体11上に、スパイラル状サーボパターンからなるサーボトラック(TR1〜TR4)を構成するように、サーボデータ200が記録された場合である。この場合には、本実施形態のサーボ書込み方法であれば、ライトヘッドを等角速度で送りながら、ディスク媒体11を4回転すればよい。
【0032】
通常のスパイラルサーボパターンのサーボ書込み方法では、ヘッドを等角速度で送りながら、例えばディスク媒体11の8回転分で、4サーボトラック分のサーボデータを書き込むことになる。従って、本実施形態のサーボ書込み方法であれば、スパイラルサーボパターンの場合でも、サーボ書込み時間を、通常の方法より約半分程度に短縮することができる。
【0033】
図6は、本実施形態のサーボ書込みプロセスを詳細に説明するための図である。なお、図6は、同心円状サーボパターンの書き込みプロセスを示す。
【0034】
サーボトラックライタは、サーボトラックのトラック幅より、約1.5倍の記録幅(ライトヘッド幅)を有するサーボ用ライトヘッド340W、及びサーボ用リードヘッド340Rを有する。サーボトラックライタは、サーボ用ライトヘッド340Wによりサーボデータを書き込む。また、サーボ用リードヘッド340Rにより当該サーボデータを読出すことで、サーボ用ライトヘッド340Wの位置決め制御を実行する。
【0035】
まず、図6(A)に示すように、サーボ用ライトヘッド340Wにより、アドレスコード210と、サーボバーストデータ220のバーストパターンA,Cを書き込む。
【0036】
次に、図6(B)に示すように、サーボトラックライタは、サーボ用ライトヘッド340Wを、1サーボトラックピッチ分だけ、ディスク媒体11上の半径方向に移動させて、アドレスコード210と、サーボバーストデータ220のバーストパターンB,Dを書き込む。
【0037】
ここで、図6(A)に示すように、1サーボトラックピッチ300とは、トラック中心線TCを中心とする1サーボトラックのトラック幅に相当する範囲300である。また、範囲310は、サーボ用ライトヘッド340Wのライトヘッド幅に相当し、1サーボトラックのトラック幅の1.5倍の範囲である。
【0038】
ここで、図6(B)に示すように、サーボトラックライタは、バーストパターンB,Dを書き込むと共に、バーストパターンCの一部330をトリミングする。このトリミングとは、記録データを無効化する処理であり、例えば信号の削除に相当する処理である。これにより、図6(A)に示すプロセスで書き込まれたバーストパターンCは、1サーボトラック分だけ残存する。即ち、記録データとして有効なバーストパターンCの範囲が、1サーボトラック分である。なお、このプロセスでは、バーストパターンAはトリミングせずに、1サーボトラックピッチの1.5倍分の記録範囲のまま残存する。
【0039】
次に、図6(C)に示すように、サーボトラックライタは、サーボ用ライトヘッド340Wを、さらに1サーボトラックピッチ分だけ、ディスク媒体11上の半径方向に移動させて、アドレスコード210と、サーボバーストデータ220のバーストパターンA,Cを書き込む。このとき、サーボトラックライタは、バーストパターンA,Cを書き込むと共に、バーストパターンDの一部330をトリミングする。これにより、図6(B)に示すプロセスで書き込まれたバーストパターンDは、1サーボトラック分だけ残存する。なお、このプロセスでは、バーストパターンBはトリミングせずに、1サーボトラックピッチの1.5倍分の記録範囲のまま残存する。
【0040】
以上のようなサーボ書込み方法により、サーボトラックピッチ単位でサーボ用ライトヘッド340Wを移動させながら、サーボトラック(トラック中心TC)を構成するサーボデータ200を、ディスク媒体11上に記録することができる。この場合、サーボバーストデータ220は、サーボトラックピッチ300の約1.5倍の記録範囲を有するサーボバーストパターンA、B、及びトリミングされて、サーボトラック幅と同じ記録範囲を有するサーボバーストパターンC、Dが混在することになる。即ち、サーボバーストパターンC、Dは、サーボトラックピッチ300と同じ記録範囲のデータである。
【0041】
図7(A)〜(D)は、本実施形態のサーボ書込み方法により、ディスク媒体11上に記録されるサーボデータの各種のパターン形態の一例を示す図である。
【0042】
即ち、図7(A)は、サーボバーストデータ220として、サーボトラックピッチの約1.5倍の記録範囲を有するサーボバーストパターンB,D,F、及びトリミングされて、サーボトラック幅と同じ記録範囲を有するサーボバーストパターンA,C,Eが混在しているパターン形態である。図7(B)は、サーボバーストデータ220として、サーボトラックピッチの約1.5倍の記録範囲を有するサーボバーストパターンA,B,C、及びトリミングされて、サーボトラック幅と同じ記録範囲を有するサーボバーストパターンD,E,Fが混在しているパターン形態である。
【0043】
図7(C)は、サーボバーストデータ220として、サーボトラックピッチの約1.5倍の記録範囲を有するサーボバーストパターンB,D、及びトリミングされて、サーボトラック幅と同じ記録範囲を有するサーボバーストパターンA,Cが混在しているパターン形態である。図7(D)は、サーボバーストデータ220として、サーボトラックピッチの約1.5倍の記録範囲を有するサーボバーストパターンA,B、及びトリミングされて、サーボトラック幅と同じ記録範囲を有するサーボバーストパターンC,Dが混在しているパターン形態である。
【0044】
(ヘッド位置決め制御)
次に、図8から図11を参照して、ディスクドライブ10において、本実施形態のサーボデータ200を使用したヘッド位置決め制御の動作を説明する。
【0045】
ディスクドライブ10では、CPU19は、VCMドライバ21を介してアクチュエータ14を制御し、ヘッド12の位置決め制御を実行する。この場合、CPU19は、ディスク媒体11上に記録されたサーボデータ200を使用して、ヘッド12の現在位置を検出し、ディスク媒体11上の目標位置(目標トラック)にヘッド12を位置決めする。
【0046】
ディスク媒体11上に記録されたサーボデータ200は、リードヘッド12Rにより読出されて、信号処理ユニット17に含まれるサーボデコーダにより再生される。CPU19は、再生されたサーボデータ200の中で、アドレスコード210により、リードヘッド12Rが現在位置するトラックを検出する。
【0047】
また、CPU19は、再生されたサーボデータ200の中で、サーボバーストデータ220により、リードヘッド12Rが位置するトラック内の位置を検出する。サーボバーストデータ220は、一定間隔で、かつ位相が異なる各バーストパターンA〜Dからなる。
【0048】
サーボデコーダは、リードヘッド12Rにより読出された各バーストパターンA〜Dに対応するリード信号から、サーボトラック内のリードヘッド12Rの位置を示す位置データ(振幅値A〜D又はバーストA〜Dと表記)を再生する。CPU19は、後述するように、再生された位置データA,Bを使用する位置検出演算を実行して、リードヘッド12Rのサーボトラック中心からの位置誤差を検出する。さらに、CPU19は、再生された位置データC,Dを使用する位置検出演算を実行して、リードヘッド12Rのサーボトラックと隣接サーボトラックとの境界からの位置誤差を検出する。
【0049】
但し、図7(A),(B)に示すように、サーボバーストデータ220には、各バーストパターンA〜Fからなるパターン形態もある。
【0050】
本実施形態では、図8(A)に示すように、ディスク媒体11上には、サーボバーストデータ220として、サーボトラックピッチの約1.5倍の記録範囲を有するサーボバーストパターンA,B、及びトリミングされて、サーボトラック幅と同じ記録範囲を有するサーボバーストパターンC,Dが混在しているバーストパターンが記録されている。
【0051】
図8(B)は、リードヘッド12Rにより、サーボバーストデータ220が読出されたときのリード信号波形を示す。図8(B)において、横軸はトラック位置を示し、縦軸がサーボバーストパターンA〜Dに対するリード信号SA〜SDの振幅値を示す。即ち、例えばトラック位置「1」とは、図8(A)に示すトラックTR1の中心線上の位置に対応している。以下同様にして、トラック位置「2」〜「4」はそれぞれ、トラックTR2〜TR4の中心線上の位置に対応している。
【0052】
CPU19は、バーストパターンA〜Dに対応するリード信号SA〜SDの各振幅値(A〜Dと表記する)のディジタル値を使用した位置検出演算(位置誤差演算)を実行して、リードヘッド12Rの位置を検出する。具体的には、CPU19は、演算式「(A−B)/(A+B)」を実行して、トラックの中心線からの位置誤差を算出する。即ち、CPU19は、振幅値A,Bにおいて、「A=B」の場合にリードヘッド12Rがトラックの中心線上に位置していることを検出する。また、CPU19は、演算式「(C−D)/(C+D)」を実行して、トラックの境界からの位置誤差を算出する。即ち、CPU19は、振幅値C,Dにおいて、「C=D」の場合にリードヘッド12Rがトラックの境界に位置していることを検出する。
【0053】
なお、位置検出演算式としては、演算式「(A−B)*|A−B|^(n−1)」/(|A−B|^n+|C−D|^n)」を使用してもよい。ここで、nは、「1≦n≦2」の範囲である。
【0054】
ところで、図8(A)に示すように、本実施形態のサーボバーストデータ220は、として、サーボトラックピッチの約1.5倍の記録範囲を有するサーボバーストパターンA,B、及びサーボトラックピッチと同じ記録範囲を有するサーボバーストパターンC,Dが混在している。従って、前述のような位置検出演算では、CPU19は、リードヘッド12Rの位置を検出できない。具体的には、図8(A)において、例えば、リードヘッド12RがトラックTR1の中心線上に位置している場合に、リード信号SA,SBの各振幅値A,Bが「A=B」にならない。即ち、各振幅値A,Bは、図8(B)の横軸のトラック位置「1」に対応する縦軸のリード信号SA,SBの振幅値となる。
【0055】
そこで、本実施形態のCPU19は、リードヘッド12Rから読出されるバーストパターンA〜Dに対応するリード信号SA〜SDの各振幅値を補正して、前述のような位置検出演算式によりリードヘッド12Rの位置を検出する。
【0056】
図9(B)は、リード信号SA〜SDの各振幅値を補正した場合のリード信号波形を示す。図9(A)は、当該リード信号波形を得るための補正に関する図で、本実施形態のサーボバーストパターンA〜Dにおいて、サーボトラックピッチの約1.5倍の記録範囲を有するサーボバーストパターンA,Bの不要部分900を示す。
【0057】
具体的には、CPU19は、サーボバーストパターンA,Bに対応する各振幅値A,Bから、図9(A)に示す不要部分900に対応する各振幅値を除いた(トリミング)値を補正値A,Bとして使用する。
【0058】
図11は、CPU19が行なうサーボバーストデータ220の補正処理、即ち、リード信号SA〜SDの各振幅値の補正処理を行なう手順を示すフローチャートである。図11では、便宜的に、リードヘッド12Rにより読出されたリード信号SA〜SDの各振幅値を、バーストA〜Dと表記し、補正した振幅値A,Bを補正バーストA,Bと表記している。
【0059】
ここで、図9(A)に示すように、ヘッド12が、例えばトラックTR1〜TR3の近傍に位置していると想定する。
【0060】
まず、CPU19は、リードヘッド12RからのバーストA〜Bの中で、バーストC,Dの大小を比較する(ステップS1)。CPU19は、バーストDの方が相対的に大きい場合には、リードヘッド12Rが、トラックTR2の境界に対してTR1又はTR3の範囲内の方に位置していると認識できる(ステップS1のYES)。
【0061】
次に、CPU19は、バーストC,Dの加算値とバーストAの大小を比較する(ステップS2)。バーストC,Dの加算値がバーストA以下の場合には、CPU19は、リードヘッド12RがトラックTR1の範囲内に位置していると認識できる(ステップS2のYES)。この場合、CPU19は、バーストパターンBの不要部分900をトリミングするために、「補正バーストB=バーストB−バーストD」の演算を実行して、バーストBを補正する(ステップS3)。
【0062】
一方、バーストC,Dの加算値がバーストAを超える場合には、CPU19は、リードヘッド12RがトラックTR3の範囲内に位置していると認識できる(ステップS2のNO)。この場合、CPU19は、「補正バーストB=バーストB−|バーストA−バーストC|」の演算を実行するため、補正バーストBとバーストBは同一である(ステップS4)。
【0063】
次に、CPU19は、補正バーストBとバーストAの大小を比較する(ステップS5)。補正バーストBがバーストAより小さい場合には、CPU19は、リードヘッド12RがトラックTR1の範囲内に位置していると認識できる。この場合、CPU19は、バーストAを補正しない(ステップS6)。
【0064】
一方、補正バーストBがバーストAより大きい場合には、CPU19は、リードヘッド12RがトラックTR3の範囲内に位置していると認識できる。この場合、CPU19は、「補正バーストA=バーストA−|バーストB−バーストD|」の演算を実行するため、補正バーストAとバーストAは同一である(ステップS7)。
【0065】
以上の場合には、CPU19は、バーストAと補正バーストB(不要部分900をトリミングしたバーストB)を使用した位置検出演算を実行して、ヘッド12をトラックTR1またはTR3の中心線TC1またはTC3上にヘッド12を位置決めする。
【0066】
一方、CPU19は、バーストC,Dの大小を比較により、バーストCの方が相対的に大きい場合には、リードヘッド12Rが、トラックTR2の範囲内に位置していると認識できる(ステップS1のNO)。
【0067】
次に、CPU19は、バーストC,Dの加算値とバーストBの大小を比較する(ステップS8)。バーストC,Dの加算値がバーストB以下の場合には、CPU19は、リードヘッド12RがトラックTR2の範囲内でTR3の方向に位置していると認識できる(ステップS8のYES)。この場合、CPU19は、バーストパターンAの不要部分900をトリミングするために、「補正バーストA=バーストA−バーストC」の演算を実行して、バーストAを補正する(ステップS9)。
【0068】
一方、バーストC,Dの加算値がバーストBを超える場合には、CPU19は、リードヘッド12RがトラックTR3の範囲内でTR1の方向に位置していると認識できる(ステップS8のNO)。この場合、CPU19は、「補正バーストA=バーストA−|バーストB−バーストD|」の演算を実行するため、補正バーストAとバーストAは同一である(ステップS10)。
【0069】
次に、CPU19は、補正バーストAとバーストBの大小を比較する(ステップS11)。補正バーストAがバーストBより小さい場合には、CPU19は、リードヘッド12RがトラックTR2の範囲内でTR3の方向に位置していると認識できる。この場合、CPU19は、バーストBを補正しない(ステップS12)。
【0070】
一方、補正バーストAがバーストBより大きい場合には、CPU19は、リードヘッド12RがトラックTR2の範囲内でTR1の方向に位置していると認識できる。この場合、CPU19は、「補正バーストB=バーストB−|バーストA−バーストC|」の演算を実行するため、補正バーストBとバーストBは同一である(ステップS13)。
【0071】
以上の場合には、CPU19は、バーストBと補正バーストA(不要部分900をトリミングしたバーストA)を使用した位置検出演算を実行して、ヘッド12をトラックTR2の中心線TC2上にヘッド12を位置決めする。
【0072】
以上のように本実施形態によれば、サーボトラックのトラック幅より、約1.5倍の記録幅を有するサーボ用ライトヘッド340Wを使用したサーボトラックライタにより、サーボデータ200が記録されたディスク媒体11を組み込んだディスクドライブ10を提供することができる。
【0073】
この場合、サーボトラックのトラック幅と同じピッチ、即ち1トラックピッチ(1/1トラックピッチ)単位でサーボ用ライトヘッド340Wを移動させながら、ディスク媒体11上にサーボデータ200を書き込むことができる。このため、例えば4サーボトラック(シリンダ)分のサーボデータを書き込む場合に、サーボ用ライトヘッド340Wの移動と停止を4回繰り返すだけでよい。従って、従来の1/2トラックピッチ単位でライトヘッドを移動させながら、サーボデータを書き込む方法と比較して、本実施形態のサーボ書込み方法であれば、サーボ書込み時間を、従来の方法より約半分程度に短縮することができる。
【0074】
また、本実施形態のディスク媒体11上には、サーボデータ200に含まれるサーボバーストデータ220として、サーボトラックピッチの約1.5倍の記録範囲を有するサーボバーストパターンA,B、及びトリミングされて、サーボトラック幅と同じ記録範囲を有するサーボバーストパターンC,Dが混在しているバーストパターンが記録された状態となる。本実施形態のCPU19が実行するヘッド位置決め制御では、約1.5倍の記録範囲を有するサーボバーストパターンA,Bに対するバースト補正処理を実行することにより、従来の位置検出演算(位置誤差演算)を利用して、ヘッド位置決め処理を実行することができる。従って、図10に示すように、従来と同様の位置検出演算結果(位置誤差演算結果)を得ることができる。
【0075】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施形態に関するディスクドライブの要部を示すブロック図。
【図2】本実施形態に関する同心円状サーボパターンを説明するための図。
【図3】本実施形態に関するスパイラルサーボパターンを説明するための図。
【図4】本実施形態に関する同心円状サーボパターンの書き込みプロセスを説明するための図。
【図5】本実施形態に関するスパイラルサーボパターンの書き込みプロセスを説明するための図。
【図6】本実施形態に関するサーボ書込みプロセスを詳細に説明するための図。
【図7】本実施形態に関するサーボデータの各種パターン形態の一例を示す図。
【図8】本実施形態に関するサーボバーストデータのリード信号波形を示す図。
【図9】本実施形態に関するサーボバーストデータを補正したときのリード信号波形を示す図。
【図10】本実施形態に関するヘッド位置演算結果を示す図。
【図11】本実施形態に関するサーボバーストデータの補正処理の手順を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0077】
10…ディスクドライブ、11…ディスク媒体、12…ヘッド、
12R…リードヘッド、12W…ライトヘッド、13…スピンドルモータ(SPM)、
14…アクチュエータ、15…ボイスコイルモータ(VCM)、16…プリアンプ回路、
17…信号処理ユニット(サーボデコーダを含む)、
18…ディスクコントローラ(HDC)、19…マイクロプロセッサ(CPU)、
20…メモリ、21…VCMドライバ、22…ホストシステム。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク媒体上に記録されたサーボデータを使用して、ヘッドの位置決め制御を行なうディスク記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ハードディスクドライブを代表とするディスク記憶装置(以下、ディスクドライブと表記する場合がある)では、データの記録媒体であるディスク媒体上には、ヘッドの位置決め制御に使用されるサーボデータ(サーボパターン)が記録されている。ディスクドライブでは、ヘッドにより読出されたサーボデータを使用して、ディスク媒体上での目標位置(目標トラック又は目標シリンダ)にヘッドが位置決め制御される。
【0003】
サーボ情報は、ディスクドライブの製造工程でのサーボ書込み工程で、ディスクドライブに組み込む前のディスク媒体またはディスクドライブに組み込みされたディスク媒体に記録される。通常では、サーボ書込み工程では、サーボデータをディスク媒体に書き込むための専用装置(サーボトラックライタ:STW)が使用される。
【0004】
ところで、近年のディスクドライブは、記憶容量の増大化に伴って、トラック密度が高くなっている。このため、サーボ書込み工程では、サーボデータをディスク媒体上に書き込むための処理時間が長時間になりつつある。このようなサーボ書込み工程での処理時間の増大化は、ディスクドライブの製造工程全体の効率低下を招く問題になっている。
【0005】
そこで、サーボ書込み工程の効率を向上させるための各種の方法が、提案されている。具体的には、基礎サーボパターン(第1のサーボパターン)を1/2ピッチ以外のトラックピッチで書き込み、この基礎サーボパターンに基づいて製品のドライブで使用する第2のサーボパターンを1/2ピッチでセルフサーボライト方法により書き込む方法が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2001−143416号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
基礎サーボパターンを1/2ピッチ以外のトラックピッチで書き込む方法は、例えば1/1トラックピッチ(1トラックピッチ)で書き込むことにより、サーボ書込み時間の短縮化を図ることが可能である。しかしながら、通常の製品化されたディスクドライブでは、1/2ピッチ以外のトラックピッチで記録されたサーボデータでは、サーボトラックの中心線上に、ヘッドを位置決め制御することはできない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、サーボ書込み時間の短縮化を可能とし、かつ、ディスク媒体上に記録されたサーボデータを使用してヘッドの位置決め制御を確実に行なうことができるディスク記憶装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の観点は、例えば1トラックピッチ(1/1トラックピッチ)でサーボバーストパターンが書き込まれて、このサーボバーストパターンの記録部分の一部が無効化(トリミング)された状態でサーボデータが記録されているディスク媒体と、当該サーボデータを使用してディスク媒体上の目標位置にヘッドを位置決め制御する制御手段とを有するディスク記憶装置である。
【0009】
本発明の観点に従ったディスク記憶装置は、データの書き込みを行なうライトヘッド素子と、データの読出しを行なうリードヘッド素子とを有するヘッドと、前記リードヘッド素子により読出されるサーボデータが記録されているサーボ領域と、前記ライトヘッド素子によりユーザデータが記録されるデータ領域とが設けられて、前記サーボ領域のサーボトラックの中心線と前記データ領域のデータトラックの中心線とが一致し、前記サーボデータは、前記サーボトラックを識別するアドレスコード及び前記サーボトラック内の位置を検出するためのサーボバーストデータを含み、当該サーボバーストデータは各相のバーストパターンが前記サーボトラックのトラック幅を超える記録幅を有するサーボバーストパターン及び当該トラック幅を超える記録部分が無効化されたサーボバーストパターンが混在している構成のディスク媒体と、前記リードヘッド素子により前記サーボ領域から読出されたサーボデータを使用して、前記ヘッドの位置決め制御を実行する制御手段とを備えた構成である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、サーボデータをディスク媒体上に記録するためのサーボ書込み時間の短縮化を可能とし、かつ、ディスク媒体上に記録されたサーボデータを使用してヘッドの位置決め制御を確実に行なうことができるディスク記憶装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0012】
(ディスクドライブの構成)
図1は、本実施形態に関するディスクドライブの要部を示すブロック図である。
【0013】
本実施形態のディスクドライブ10は、ヘッド12と、磁気記録媒体であるディスク媒体11を保持して高速回転させるスピンドルモータ(SPM)13とを有する。ヘッド12は、ディスク媒体11からデータを読出すリードヘッド12Rと、ディスク媒体11にデータを書き込むためのライトヘッド12Wを含む。
【0014】
ここで、データは、ヘッド12の位置決め制御に使用されるサーボデータ、及びユーザデータを含む。
【0015】
ヘッド12は、ボイスコイルモータ(VCM)15により駆動されるアクチュエータ14に搭載されている。VCM15は、VCMドライバ21により駆動電流が供給されて、駆動制御される。アクチュエータ14は、後述するマイクロプロセッサ(CPU)19により駆動制御されて、ヘッド12をディスク媒体11上の目標位置(目標トラック)に位置決めするための機構である。
【0016】
このようなヘッド・ディスクアセンブリ以外に、ディスクドライブ10は、プリアンプ回路16と、信号処理ユニット17と、ディスクコントローラ(HDC)18と、CPU19と、メモリ20とを有する。
【0017】
プリアンプ回路16は、ヘッド12のリードヘッド12Rから出力されるリードデータ信号を増幅するリードアンプ、及びライトデータ信号をライトヘッド12Wに供給するためのライトアンプを有する。即ち、ライトアンプは、信号処理ユニット17から出力されるライトデータ信号をライト電流信号に変換して、ライトヘッド12Wに送出する。
【0018】
信号処理ユニット17は、リード/ライトデータ信号(サーボデータに対応するサーボ信号を含む)を処理する信号処理回路であり、リード/ライトチャネルとも呼ばれている。信号処理ユニット17は、サーボ信号からサーボデータを再生するためのサーボデコーダを含む。
【0019】
HDC18は、ドライブ10とホストシステム22(例えばパーソナルコンピュータや各種のディジタル機器)とのインターフェース機能を有する。HDC18は、ディスク11とホストシステム22間のリード/ライトデータの転送制御を実行する。
【0020】
CPU19は、ドライブ10のメインコントローラであり、VCMドライバ21を介してアクチュエータ14を制御し、ヘッド12の位置決め制御を実行する。CPU19は、ディスク媒体11上に記録されたサーボデータを使用して、ヘッド12の位置決め制御を実行する。メモリ20は、不揮発性メモリであるフラッシュメモリ(EEPROM)以外に、RAM及びROMなどを含み、CPU19の制御に必要な各種データ及びプログラムを保存する。
【0021】
(サーボパターン)
一般的に、ディスクドライブでは、ディスク媒体11上に記録されるサーボデータとしては、図2に示すように、同心円状のサーボトラック110を構成する同心円状サーボパターンがある。同心円状サーボパターンは、放射線状に記録されたサーボデータ100を、各セクタ間で結ぶサーボトラック110が同心円状になるサーボパターンである。ここで、セクタとは、サーボデータ100が記録されたサーボエリアを意味する。
【0022】
一方、サーボデータとして、図3に示すように、螺旋状(スパイラル)のサーボトラック120を構成するスパイラルサーボパターンがある。スパイラルサーボパターンは、放射線状に記録されたサーボデータ100を、各セクタ間で結ぶサーボトラック120がスパイラルになるサーボパターンである。
【0023】
なお、サーボデータは、いずれの場合でも、トラックとセクタを識別するアドレスコード、及びトラック内の位置を検出するためのサーボバーストデータ(バーストパターンA,B,C,D)のそれぞれを含む。
【0024】
(サーボ書込みプロセス)
次に、本実施形態のサーボ書込みプロセスを、図4から図7を参照して説明する。
【0025】
本実施形態のサーボ書込み方法は、ディスクドライブの製造工程において、サーボ書込み用の専用装置であるサーボトラックライタ(STW)を使用する。サーボトラックライタは、ディスクドライブ10に組み込まれたディスク媒体11上に、サーボデータ(サーボパターン)200を記録する。
【0026】
サーボデータ200は、アドレスコード210及びサーボバーストデータ220(バーストパターンA,B,C,D)を含む。アドレスコード210は、トラック(シリンダ)を識別するトラックアドレス(シリンダコード)、及びセクタを識別するセクタコードを含む。サーボバーストデータ220は、トラック内の位置(トラック中心線に対するヘッドの位置誤差)を検出するためのデータである。
【0027】
ここで、サーボトラックライタは、図4に示すように、サーボデータ200に基づいて構成されるサーボトラックのトラック幅より、約1.5倍の記録幅を有するサーボ用ライトヘッド340Wを有する。図4において、TR1〜TR4は、ディスク媒体11上に構成されるサーボトラックのトラック中心線を意味する。
【0028】
なお、ディスクドライブ10のライトヘッド12Wが、サーボトラックのトラック中心に位置決めされて、ユーザデータを記録すると、データトラックが構成される。即ち、サーボトラックのトラック中心線と、データトラックのトラック中心線は一致することになる。
【0029】
本実施形態のサーボ書込みプロセスでは、サーボトラックライタは、サーボトラックのトラック幅と同じピッチ、即ち1トラックピッチ(1/1トラックピッチ)単位でサーボ用ライトヘッド340Wを移動させながら、ディスク媒体11上にサーボデータ200を書き込む。これにより、図4に示すように、ディスク媒体11上には、同心円状サーボパターンからなるサーボトラック(TR1〜TR4)を構成するように、周方向に一定の間隔をもって、サーボデータ200が記録されたサーボ領域が設けられる。
【0030】
このようなサーボ書込み方法であれば、例えば4サーボトラック(シリンダ)分のサーボデータを書き込む場合に、STWは、サーボ用ライトヘッド340Wの移動と停止を4回繰り返すだけでよい。これに対して、従来のサーボ書込み方法では、1/2トラックピッチ単位でライトヘッドを移動させながら、サーボデータを書き込む。このため、例えば4サーボトラック分のサーボデータを書き込む場合には、ライトヘッドの移動と停止を8回繰り返すことになる。従って、本実施形態のサーボ書込み方法であれば、サーボ書込み時間を、従来の方法より約半分程度に短縮することができる。
【0031】
図5は、本実施形態のサーボ書込み方法により、ディスク媒体11上に、スパイラル状サーボパターンからなるサーボトラック(TR1〜TR4)を構成するように、サーボデータ200が記録された場合である。この場合には、本実施形態のサーボ書込み方法であれば、ライトヘッドを等角速度で送りながら、ディスク媒体11を4回転すればよい。
【0032】
通常のスパイラルサーボパターンのサーボ書込み方法では、ヘッドを等角速度で送りながら、例えばディスク媒体11の8回転分で、4サーボトラック分のサーボデータを書き込むことになる。従って、本実施形態のサーボ書込み方法であれば、スパイラルサーボパターンの場合でも、サーボ書込み時間を、通常の方法より約半分程度に短縮することができる。
【0033】
図6は、本実施形態のサーボ書込みプロセスを詳細に説明するための図である。なお、図6は、同心円状サーボパターンの書き込みプロセスを示す。
【0034】
サーボトラックライタは、サーボトラックのトラック幅より、約1.5倍の記録幅(ライトヘッド幅)を有するサーボ用ライトヘッド340W、及びサーボ用リードヘッド340Rを有する。サーボトラックライタは、サーボ用ライトヘッド340Wによりサーボデータを書き込む。また、サーボ用リードヘッド340Rにより当該サーボデータを読出すことで、サーボ用ライトヘッド340Wの位置決め制御を実行する。
【0035】
まず、図6(A)に示すように、サーボ用ライトヘッド340Wにより、アドレスコード210と、サーボバーストデータ220のバーストパターンA,Cを書き込む。
【0036】
次に、図6(B)に示すように、サーボトラックライタは、サーボ用ライトヘッド340Wを、1サーボトラックピッチ分だけ、ディスク媒体11上の半径方向に移動させて、アドレスコード210と、サーボバーストデータ220のバーストパターンB,Dを書き込む。
【0037】
ここで、図6(A)に示すように、1サーボトラックピッチ300とは、トラック中心線TCを中心とする1サーボトラックのトラック幅に相当する範囲300である。また、範囲310は、サーボ用ライトヘッド340Wのライトヘッド幅に相当し、1サーボトラックのトラック幅の1.5倍の範囲である。
【0038】
ここで、図6(B)に示すように、サーボトラックライタは、バーストパターンB,Dを書き込むと共に、バーストパターンCの一部330をトリミングする。このトリミングとは、記録データを無効化する処理であり、例えば信号の削除に相当する処理である。これにより、図6(A)に示すプロセスで書き込まれたバーストパターンCは、1サーボトラック分だけ残存する。即ち、記録データとして有効なバーストパターンCの範囲が、1サーボトラック分である。なお、このプロセスでは、バーストパターンAはトリミングせずに、1サーボトラックピッチの1.5倍分の記録範囲のまま残存する。
【0039】
次に、図6(C)に示すように、サーボトラックライタは、サーボ用ライトヘッド340Wを、さらに1サーボトラックピッチ分だけ、ディスク媒体11上の半径方向に移動させて、アドレスコード210と、サーボバーストデータ220のバーストパターンA,Cを書き込む。このとき、サーボトラックライタは、バーストパターンA,Cを書き込むと共に、バーストパターンDの一部330をトリミングする。これにより、図6(B)に示すプロセスで書き込まれたバーストパターンDは、1サーボトラック分だけ残存する。なお、このプロセスでは、バーストパターンBはトリミングせずに、1サーボトラックピッチの1.5倍分の記録範囲のまま残存する。
【0040】
以上のようなサーボ書込み方法により、サーボトラックピッチ単位でサーボ用ライトヘッド340Wを移動させながら、サーボトラック(トラック中心TC)を構成するサーボデータ200を、ディスク媒体11上に記録することができる。この場合、サーボバーストデータ220は、サーボトラックピッチ300の約1.5倍の記録範囲を有するサーボバーストパターンA、B、及びトリミングされて、サーボトラック幅と同じ記録範囲を有するサーボバーストパターンC、Dが混在することになる。即ち、サーボバーストパターンC、Dは、サーボトラックピッチ300と同じ記録範囲のデータである。
【0041】
図7(A)〜(D)は、本実施形態のサーボ書込み方法により、ディスク媒体11上に記録されるサーボデータの各種のパターン形態の一例を示す図である。
【0042】
即ち、図7(A)は、サーボバーストデータ220として、サーボトラックピッチの約1.5倍の記録範囲を有するサーボバーストパターンB,D,F、及びトリミングされて、サーボトラック幅と同じ記録範囲を有するサーボバーストパターンA,C,Eが混在しているパターン形態である。図7(B)は、サーボバーストデータ220として、サーボトラックピッチの約1.5倍の記録範囲を有するサーボバーストパターンA,B,C、及びトリミングされて、サーボトラック幅と同じ記録範囲を有するサーボバーストパターンD,E,Fが混在しているパターン形態である。
【0043】
図7(C)は、サーボバーストデータ220として、サーボトラックピッチの約1.5倍の記録範囲を有するサーボバーストパターンB,D、及びトリミングされて、サーボトラック幅と同じ記録範囲を有するサーボバーストパターンA,Cが混在しているパターン形態である。図7(D)は、サーボバーストデータ220として、サーボトラックピッチの約1.5倍の記録範囲を有するサーボバーストパターンA,B、及びトリミングされて、サーボトラック幅と同じ記録範囲を有するサーボバーストパターンC,Dが混在しているパターン形態である。
【0044】
(ヘッド位置決め制御)
次に、図8から図11を参照して、ディスクドライブ10において、本実施形態のサーボデータ200を使用したヘッド位置決め制御の動作を説明する。
【0045】
ディスクドライブ10では、CPU19は、VCMドライバ21を介してアクチュエータ14を制御し、ヘッド12の位置決め制御を実行する。この場合、CPU19は、ディスク媒体11上に記録されたサーボデータ200を使用して、ヘッド12の現在位置を検出し、ディスク媒体11上の目標位置(目標トラック)にヘッド12を位置決めする。
【0046】
ディスク媒体11上に記録されたサーボデータ200は、リードヘッド12Rにより読出されて、信号処理ユニット17に含まれるサーボデコーダにより再生される。CPU19は、再生されたサーボデータ200の中で、アドレスコード210により、リードヘッド12Rが現在位置するトラックを検出する。
【0047】
また、CPU19は、再生されたサーボデータ200の中で、サーボバーストデータ220により、リードヘッド12Rが位置するトラック内の位置を検出する。サーボバーストデータ220は、一定間隔で、かつ位相が異なる各バーストパターンA〜Dからなる。
【0048】
サーボデコーダは、リードヘッド12Rにより読出された各バーストパターンA〜Dに対応するリード信号から、サーボトラック内のリードヘッド12Rの位置を示す位置データ(振幅値A〜D又はバーストA〜Dと表記)を再生する。CPU19は、後述するように、再生された位置データA,Bを使用する位置検出演算を実行して、リードヘッド12Rのサーボトラック中心からの位置誤差を検出する。さらに、CPU19は、再生された位置データC,Dを使用する位置検出演算を実行して、リードヘッド12Rのサーボトラックと隣接サーボトラックとの境界からの位置誤差を検出する。
【0049】
但し、図7(A),(B)に示すように、サーボバーストデータ220には、各バーストパターンA〜Fからなるパターン形態もある。
【0050】
本実施形態では、図8(A)に示すように、ディスク媒体11上には、サーボバーストデータ220として、サーボトラックピッチの約1.5倍の記録範囲を有するサーボバーストパターンA,B、及びトリミングされて、サーボトラック幅と同じ記録範囲を有するサーボバーストパターンC,Dが混在しているバーストパターンが記録されている。
【0051】
図8(B)は、リードヘッド12Rにより、サーボバーストデータ220が読出されたときのリード信号波形を示す。図8(B)において、横軸はトラック位置を示し、縦軸がサーボバーストパターンA〜Dに対するリード信号SA〜SDの振幅値を示す。即ち、例えばトラック位置「1」とは、図8(A)に示すトラックTR1の中心線上の位置に対応している。以下同様にして、トラック位置「2」〜「4」はそれぞれ、トラックTR2〜TR4の中心線上の位置に対応している。
【0052】
CPU19は、バーストパターンA〜Dに対応するリード信号SA〜SDの各振幅値(A〜Dと表記する)のディジタル値を使用した位置検出演算(位置誤差演算)を実行して、リードヘッド12Rの位置を検出する。具体的には、CPU19は、演算式「(A−B)/(A+B)」を実行して、トラックの中心線からの位置誤差を算出する。即ち、CPU19は、振幅値A,Bにおいて、「A=B」の場合にリードヘッド12Rがトラックの中心線上に位置していることを検出する。また、CPU19は、演算式「(C−D)/(C+D)」を実行して、トラックの境界からの位置誤差を算出する。即ち、CPU19は、振幅値C,Dにおいて、「C=D」の場合にリードヘッド12Rがトラックの境界に位置していることを検出する。
【0053】
なお、位置検出演算式としては、演算式「(A−B)*|A−B|^(n−1)」/(|A−B|^n+|C−D|^n)」を使用してもよい。ここで、nは、「1≦n≦2」の範囲である。
【0054】
ところで、図8(A)に示すように、本実施形態のサーボバーストデータ220は、として、サーボトラックピッチの約1.5倍の記録範囲を有するサーボバーストパターンA,B、及びサーボトラックピッチと同じ記録範囲を有するサーボバーストパターンC,Dが混在している。従って、前述のような位置検出演算では、CPU19は、リードヘッド12Rの位置を検出できない。具体的には、図8(A)において、例えば、リードヘッド12RがトラックTR1の中心線上に位置している場合に、リード信号SA,SBの各振幅値A,Bが「A=B」にならない。即ち、各振幅値A,Bは、図8(B)の横軸のトラック位置「1」に対応する縦軸のリード信号SA,SBの振幅値となる。
【0055】
そこで、本実施形態のCPU19は、リードヘッド12Rから読出されるバーストパターンA〜Dに対応するリード信号SA〜SDの各振幅値を補正して、前述のような位置検出演算式によりリードヘッド12Rの位置を検出する。
【0056】
図9(B)は、リード信号SA〜SDの各振幅値を補正した場合のリード信号波形を示す。図9(A)は、当該リード信号波形を得るための補正に関する図で、本実施形態のサーボバーストパターンA〜Dにおいて、サーボトラックピッチの約1.5倍の記録範囲を有するサーボバーストパターンA,Bの不要部分900を示す。
【0057】
具体的には、CPU19は、サーボバーストパターンA,Bに対応する各振幅値A,Bから、図9(A)に示す不要部分900に対応する各振幅値を除いた(トリミング)値を補正値A,Bとして使用する。
【0058】
図11は、CPU19が行なうサーボバーストデータ220の補正処理、即ち、リード信号SA〜SDの各振幅値の補正処理を行なう手順を示すフローチャートである。図11では、便宜的に、リードヘッド12Rにより読出されたリード信号SA〜SDの各振幅値を、バーストA〜Dと表記し、補正した振幅値A,Bを補正バーストA,Bと表記している。
【0059】
ここで、図9(A)に示すように、ヘッド12が、例えばトラックTR1〜TR3の近傍に位置していると想定する。
【0060】
まず、CPU19は、リードヘッド12RからのバーストA〜Bの中で、バーストC,Dの大小を比較する(ステップS1)。CPU19は、バーストDの方が相対的に大きい場合には、リードヘッド12Rが、トラックTR2の境界に対してTR1又はTR3の範囲内の方に位置していると認識できる(ステップS1のYES)。
【0061】
次に、CPU19は、バーストC,Dの加算値とバーストAの大小を比較する(ステップS2)。バーストC,Dの加算値がバーストA以下の場合には、CPU19は、リードヘッド12RがトラックTR1の範囲内に位置していると認識できる(ステップS2のYES)。この場合、CPU19は、バーストパターンBの不要部分900をトリミングするために、「補正バーストB=バーストB−バーストD」の演算を実行して、バーストBを補正する(ステップS3)。
【0062】
一方、バーストC,Dの加算値がバーストAを超える場合には、CPU19は、リードヘッド12RがトラックTR3の範囲内に位置していると認識できる(ステップS2のNO)。この場合、CPU19は、「補正バーストB=バーストB−|バーストA−バーストC|」の演算を実行するため、補正バーストBとバーストBは同一である(ステップS4)。
【0063】
次に、CPU19は、補正バーストBとバーストAの大小を比較する(ステップS5)。補正バーストBがバーストAより小さい場合には、CPU19は、リードヘッド12RがトラックTR1の範囲内に位置していると認識できる。この場合、CPU19は、バーストAを補正しない(ステップS6)。
【0064】
一方、補正バーストBがバーストAより大きい場合には、CPU19は、リードヘッド12RがトラックTR3の範囲内に位置していると認識できる。この場合、CPU19は、「補正バーストA=バーストA−|バーストB−バーストD|」の演算を実行するため、補正バーストAとバーストAは同一である(ステップS7)。
【0065】
以上の場合には、CPU19は、バーストAと補正バーストB(不要部分900をトリミングしたバーストB)を使用した位置検出演算を実行して、ヘッド12をトラックTR1またはTR3の中心線TC1またはTC3上にヘッド12を位置決めする。
【0066】
一方、CPU19は、バーストC,Dの大小を比較により、バーストCの方が相対的に大きい場合には、リードヘッド12Rが、トラックTR2の範囲内に位置していると認識できる(ステップS1のNO)。
【0067】
次に、CPU19は、バーストC,Dの加算値とバーストBの大小を比較する(ステップS8)。バーストC,Dの加算値がバーストB以下の場合には、CPU19は、リードヘッド12RがトラックTR2の範囲内でTR3の方向に位置していると認識できる(ステップS8のYES)。この場合、CPU19は、バーストパターンAの不要部分900をトリミングするために、「補正バーストA=バーストA−バーストC」の演算を実行して、バーストAを補正する(ステップS9)。
【0068】
一方、バーストC,Dの加算値がバーストBを超える場合には、CPU19は、リードヘッド12RがトラックTR3の範囲内でTR1の方向に位置していると認識できる(ステップS8のNO)。この場合、CPU19は、「補正バーストA=バーストA−|バーストB−バーストD|」の演算を実行するため、補正バーストAとバーストAは同一である(ステップS10)。
【0069】
次に、CPU19は、補正バーストAとバーストBの大小を比較する(ステップS11)。補正バーストAがバーストBより小さい場合には、CPU19は、リードヘッド12RがトラックTR2の範囲内でTR3の方向に位置していると認識できる。この場合、CPU19は、バーストBを補正しない(ステップS12)。
【0070】
一方、補正バーストAがバーストBより大きい場合には、CPU19は、リードヘッド12RがトラックTR2の範囲内でTR1の方向に位置していると認識できる。この場合、CPU19は、「補正バーストB=バーストB−|バーストA−バーストC|」の演算を実行するため、補正バーストBとバーストBは同一である(ステップS13)。
【0071】
以上の場合には、CPU19は、バーストBと補正バーストA(不要部分900をトリミングしたバーストA)を使用した位置検出演算を実行して、ヘッド12をトラックTR2の中心線TC2上にヘッド12を位置決めする。
【0072】
以上のように本実施形態によれば、サーボトラックのトラック幅より、約1.5倍の記録幅を有するサーボ用ライトヘッド340Wを使用したサーボトラックライタにより、サーボデータ200が記録されたディスク媒体11を組み込んだディスクドライブ10を提供することができる。
【0073】
この場合、サーボトラックのトラック幅と同じピッチ、即ち1トラックピッチ(1/1トラックピッチ)単位でサーボ用ライトヘッド340Wを移動させながら、ディスク媒体11上にサーボデータ200を書き込むことができる。このため、例えば4サーボトラック(シリンダ)分のサーボデータを書き込む場合に、サーボ用ライトヘッド340Wの移動と停止を4回繰り返すだけでよい。従って、従来の1/2トラックピッチ単位でライトヘッドを移動させながら、サーボデータを書き込む方法と比較して、本実施形態のサーボ書込み方法であれば、サーボ書込み時間を、従来の方法より約半分程度に短縮することができる。
【0074】
また、本実施形態のディスク媒体11上には、サーボデータ200に含まれるサーボバーストデータ220として、サーボトラックピッチの約1.5倍の記録範囲を有するサーボバーストパターンA,B、及びトリミングされて、サーボトラック幅と同じ記録範囲を有するサーボバーストパターンC,Dが混在しているバーストパターンが記録された状態となる。本実施形態のCPU19が実行するヘッド位置決め制御では、約1.5倍の記録範囲を有するサーボバーストパターンA,Bに対するバースト補正処理を実行することにより、従来の位置検出演算(位置誤差演算)を利用して、ヘッド位置決め処理を実行することができる。従って、図10に示すように、従来と同様の位置検出演算結果(位置誤差演算結果)を得ることができる。
【0075】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施形態に関するディスクドライブの要部を示すブロック図。
【図2】本実施形態に関する同心円状サーボパターンを説明するための図。
【図3】本実施形態に関するスパイラルサーボパターンを説明するための図。
【図4】本実施形態に関する同心円状サーボパターンの書き込みプロセスを説明するための図。
【図5】本実施形態に関するスパイラルサーボパターンの書き込みプロセスを説明するための図。
【図6】本実施形態に関するサーボ書込みプロセスを詳細に説明するための図。
【図7】本実施形態に関するサーボデータの各種パターン形態の一例を示す図。
【図8】本実施形態に関するサーボバーストデータのリード信号波形を示す図。
【図9】本実施形態に関するサーボバーストデータを補正したときのリード信号波形を示す図。
【図10】本実施形態に関するヘッド位置演算結果を示す図。
【図11】本実施形態に関するサーボバーストデータの補正処理の手順を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0077】
10…ディスクドライブ、11…ディスク媒体、12…ヘッド、
12R…リードヘッド、12W…ライトヘッド、13…スピンドルモータ(SPM)、
14…アクチュエータ、15…ボイスコイルモータ(VCM)、16…プリアンプ回路、
17…信号処理ユニット(サーボデコーダを含む)、
18…ディスクコントローラ(HDC)、19…マイクロプロセッサ(CPU)、
20…メモリ、21…VCMドライバ、22…ホストシステム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データの書き込みを行なうライトヘッド素子と、データの読出しを行なうリードヘッド素子とを有するヘッドと、
前記データの記録媒体であるディスク媒体であって、サーボデータが記録されているサーボ領域が設けられて、前記サーボデータには前記サーボ領域の各サーボトラックを識別するアドレスコード及び前記各サーボトラック内の位置を検出するためのサーボバーストデータを含み、当該サーボバーストデータは、前記サーボトラックのトラック幅を超える記録幅を有するバーストパターン及び当該トラック幅を超える記録部分が無効化されたバーストパターンが混在している各相のバーストパターンからなるディスク媒体と、
前記リードヘッド素子により前記サーボ領域から読出されたサーボデータを使用して、前記ヘッドの位置決め制御を実行する制御手段と
を具備したことを特徴とするディスク記憶装置。
【請求項2】
前記ディスク媒体には、
前記サーボトラックのトラック幅を超える記録幅を有するバーストパターンA,B、及び当該トラック幅を超える記録部分が無効化されたバーストパターンC,Dが混在している前記サーボバーストデータが記録されていることを特徴とする請求項1に記載のディスク記憶装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記リードヘッド素子により読出されたサーボバーストデータを使用して、前記ヘッドを前記アドレスコードにより指定されたサーボトラックの中心線上に位置決めするときに、前記サーボトラックのトラック幅を超える記録幅を有するバーストパターンに対応する位置データを補正し、
前記補正位置データを含み、前記サーボバーストデータから再生される位置データを使用した位置検出演算を実行して、当該演算結果に基づいて前記ヘッドのサーボトラック内の位置を検出することを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載のディスク記憶装置。
【請求項4】
前記ディスク媒体には、
前記サーボトラックのトラック幅の略1.5倍の記録幅を有するバーストパターン、及び当該トラック幅を超える記録部分が無効化されたバーストパターンが混在している前記サーボバーストデータが記録されていることを特徴とする請求項1に記載のディスク記憶装置。
【請求項5】
前記ディスク媒体には、前記サーボトラックのトラック幅の略1.5倍の記録幅を有するバーストパターンA,B、及び当該トラック幅を超える記録部分が無効化されたバーストパターンC,Dが混在している前記サーボバーストデータが記録されており、
前記制御手段は、
前記リードヘッド素子により読出されたサーボバーストデータを使用して、前記ヘッドを前記アドレスコードにより指定されたサーボトラックの中心線上に位置決めするときに、前記バーストパターンAまたはBに対応する位置データを補正し、
前記補正位置データを含み、前記バーストパターンA,Bに対応する位置データを使用した位置検出演算を実行して、当該演算結果に基づいて前記サーボトラックの中心線に対する前記ヘッドの位置誤差を検出し、前記バーストパターンC,Dに対応する位置データを使用した位置検出演算を実行して、当該演算結果に基づいて前記サーボトラックの隣接トラックとの境界に対する前記ヘッドの位置誤差を検出することを特徴とする請求項1に記載のディスク記憶装置。
【請求項6】
ディスクドライブに使用されるディスク媒体上に、アドレスコード及びサーボバーストデータを含むサーボデータを記録するサーボ書込み方法であって、
前記ディスク媒体上に構成するサーボトラックのトラック幅より大きい記録幅を有するサーボ用ライトヘッドを使用し、
前記サーボ用ライトヘッドを1サーボトラックピッチ単位で前記ディスク媒体上を移動させながら、前記サーボデータを書き込むことを特徴とするサーボ書込み方法。
【請求項7】
前記サーボデータには、前記サーボ領域の各サーボトラックを識別するアドレスコード及び前記各サーボトラック内の位置を検出するためのサーボバーストデータを含み、
前記サーボバーストデータは、前記サーボトラックのトラック幅を超える記録幅を有するバーストパターン及び当該トラック幅を超える記録部分が無効化されたバーストパターンが混在している各相のバーストパターンからなることを特徴とする請求項6に記載のサーボ書込み方法。
【請求項8】
前記サーボトラックのトラック幅を超える記録幅を有するバーストパターンA,B、及び当該トラック幅を超える記録部分が無効化されたバーストパターンC,Dが混在する前記サーボバーストデータを記録することを特徴とする請求項7に記載のサーボ書込み方法。
【請求項9】
前記サーボ用ライトヘッドは、前記サーボトラックのトラック幅よりほぼ1.5倍の記録幅を有することを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか1項に記載のサーボ書込み方法。
【請求項10】
前記サーボ用ライトヘッドは、前記サーボトラックのトラック幅よりほぼ1.5倍の記録幅を有し、
前記サーボトラックのトラック幅の略1.5倍の記録幅を有するバーストパターン、及び当該トラック幅を超える記録部分が無効化されたバーストパターンが混在している前記サーボバーストデータを記録することを特徴とする請求項7に記載のサーボ書込み方法。
【請求項11】
前記サーボ用ライトヘッドは、前記サーボトラックのトラック幅よりほぼ1.5倍の記録幅を有し、
前記サーボトラックのトラック幅の略1.5倍の記録幅を有するバーストパターンA,B、及び当該トラック幅を超える記録部分が無効化されたバーストパターンC,Dが混在している前記サーボバーストデータを記録することを特徴とする請求項7に記載のサーボ書込み方法。
【請求項1】
データの書き込みを行なうライトヘッド素子と、データの読出しを行なうリードヘッド素子とを有するヘッドと、
前記データの記録媒体であるディスク媒体であって、サーボデータが記録されているサーボ領域が設けられて、前記サーボデータには前記サーボ領域の各サーボトラックを識別するアドレスコード及び前記各サーボトラック内の位置を検出するためのサーボバーストデータを含み、当該サーボバーストデータは、前記サーボトラックのトラック幅を超える記録幅を有するバーストパターン及び当該トラック幅を超える記録部分が無効化されたバーストパターンが混在している各相のバーストパターンからなるディスク媒体と、
前記リードヘッド素子により前記サーボ領域から読出されたサーボデータを使用して、前記ヘッドの位置決め制御を実行する制御手段と
を具備したことを特徴とするディスク記憶装置。
【請求項2】
前記ディスク媒体には、
前記サーボトラックのトラック幅を超える記録幅を有するバーストパターンA,B、及び当該トラック幅を超える記録部分が無効化されたバーストパターンC,Dが混在している前記サーボバーストデータが記録されていることを特徴とする請求項1に記載のディスク記憶装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記リードヘッド素子により読出されたサーボバーストデータを使用して、前記ヘッドを前記アドレスコードにより指定されたサーボトラックの中心線上に位置決めするときに、前記サーボトラックのトラック幅を超える記録幅を有するバーストパターンに対応する位置データを補正し、
前記補正位置データを含み、前記サーボバーストデータから再生される位置データを使用した位置検出演算を実行して、当該演算結果に基づいて前記ヘッドのサーボトラック内の位置を検出することを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載のディスク記憶装置。
【請求項4】
前記ディスク媒体には、
前記サーボトラックのトラック幅の略1.5倍の記録幅を有するバーストパターン、及び当該トラック幅を超える記録部分が無効化されたバーストパターンが混在している前記サーボバーストデータが記録されていることを特徴とする請求項1に記載のディスク記憶装置。
【請求項5】
前記ディスク媒体には、前記サーボトラックのトラック幅の略1.5倍の記録幅を有するバーストパターンA,B、及び当該トラック幅を超える記録部分が無効化されたバーストパターンC,Dが混在している前記サーボバーストデータが記録されており、
前記制御手段は、
前記リードヘッド素子により読出されたサーボバーストデータを使用して、前記ヘッドを前記アドレスコードにより指定されたサーボトラックの中心線上に位置決めするときに、前記バーストパターンAまたはBに対応する位置データを補正し、
前記補正位置データを含み、前記バーストパターンA,Bに対応する位置データを使用した位置検出演算を実行して、当該演算結果に基づいて前記サーボトラックの中心線に対する前記ヘッドの位置誤差を検出し、前記バーストパターンC,Dに対応する位置データを使用した位置検出演算を実行して、当該演算結果に基づいて前記サーボトラックの隣接トラックとの境界に対する前記ヘッドの位置誤差を検出することを特徴とする請求項1に記載のディスク記憶装置。
【請求項6】
ディスクドライブに使用されるディスク媒体上に、アドレスコード及びサーボバーストデータを含むサーボデータを記録するサーボ書込み方法であって、
前記ディスク媒体上に構成するサーボトラックのトラック幅より大きい記録幅を有するサーボ用ライトヘッドを使用し、
前記サーボ用ライトヘッドを1サーボトラックピッチ単位で前記ディスク媒体上を移動させながら、前記サーボデータを書き込むことを特徴とするサーボ書込み方法。
【請求項7】
前記サーボデータには、前記サーボ領域の各サーボトラックを識別するアドレスコード及び前記各サーボトラック内の位置を検出するためのサーボバーストデータを含み、
前記サーボバーストデータは、前記サーボトラックのトラック幅を超える記録幅を有するバーストパターン及び当該トラック幅を超える記録部分が無効化されたバーストパターンが混在している各相のバーストパターンからなることを特徴とする請求項6に記載のサーボ書込み方法。
【請求項8】
前記サーボトラックのトラック幅を超える記録幅を有するバーストパターンA,B、及び当該トラック幅を超える記録部分が無効化されたバーストパターンC,Dが混在する前記サーボバーストデータを記録することを特徴とする請求項7に記載のサーボ書込み方法。
【請求項9】
前記サーボ用ライトヘッドは、前記サーボトラックのトラック幅よりほぼ1.5倍の記録幅を有することを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか1項に記載のサーボ書込み方法。
【請求項10】
前記サーボ用ライトヘッドは、前記サーボトラックのトラック幅よりほぼ1.5倍の記録幅を有し、
前記サーボトラックのトラック幅の略1.5倍の記録幅を有するバーストパターン、及び当該トラック幅を超える記録部分が無効化されたバーストパターンが混在している前記サーボバーストデータを記録することを特徴とする請求項7に記載のサーボ書込み方法。
【請求項11】
前記サーボ用ライトヘッドは、前記サーボトラックのトラック幅よりほぼ1.5倍の記録幅を有し、
前記サーボトラックのトラック幅の略1.5倍の記録幅を有するバーストパターンA,B、及び当該トラック幅を超える記録部分が無効化されたバーストパターンC,Dが混在している前記サーボバーストデータを記録することを特徴とする請求項7に記載のサーボ書込み方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−71438(P2008−71438A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−249824(P2006−249824)
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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