説明

ディスプレイ兼用包装箱

【課題】商品包装体の収納効率が向上するとともに、下段に積まれた包装箱についても、内部の商品包装体をディスプレイできるようにする。
【解決手段】箱本体3と箱本体の上面開口を開閉可能な蓋体4とを備える。箱本体3は、前板部32および後板部33と、左右の側板部34と、平面視において長方形状をなす底板部31と、底板部31上に載置した各商品包装体2の商品収容部20上に他の商品包装体2の商品収容部20をそれぞれ載置して上下二段に並べた複数の商品包装体2を収納可能な収納空間35とを有する。前板部32は裂開可能に形成され、前板部32の裂開により収納された商品包装体2を露出可能にする開口部38が形成されるとともに、開口部38には、最前列上段の商品包装体2を支持して開口部38からの転落を防ぐ転落防止手段が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品を収容する商品収容部に隣接してヘッダ部が設けられてなる商品包装体を収納して搬送するための包装箱として使用した後、搬送先である販売店で収納された商品包装体をそのまま展示することができるディスプレイ兼用包装箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、包装した個々の商品を搬送用の包装箱から取り出さずに、店頭においてそのまま展示できるように構成されたディスプレイ兼用包装箱が知られている。この種のディスプレイ兼用包装箱としては、段ボールや厚紙からなる包装箱の胴部に全周に亘って開封用の切目線を刻設しておき、この切目線を切り取り、箱の上半部を切り離して、その下半部をそのままトレーとして使用することで、箱の内部に複数並べられた商品包装体を展示するようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
店頭での展示に際しては、包装箱が何段か上下に積み重ねられるのが一般的である。この特許文献1に記載のディスプレイ兼用包装箱では、最上段の包装箱については箱上半部を切離してトレー状とする一方、最上段を除く下段の包装箱については、胴部の正面部に設けられたミシン目を切り取って窓状に開口することで、開口部から内部の商品包装体を見ることが可能で、積み重ねられるようになっている。
【0004】
しかしながら、上記した引用文献1に記載のディスプレイ兼用包装箱では、商品包装体を一列に並べて収納するものであるため、包装箱内の商品収容部の上部に無駄な空隙が生じてしまい、包装箱としては商品包装体の収納効率が悪いものとなっていた。
【0005】
そこで、包装箱の内部に、商品包装体を横向きの状態にして、商品収容部がそれぞれ互い違いで向き合うように交互に入れるようにしたものも提案されている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2に記載のディスプレイ兼用包装箱では、包装箱の中央部分に設けられた切目線を切り取った後、包装箱を観音開きして開封することにより、開封により左右2つに分割された半割状の包装箱に複数の商品包装体がそれぞれ起立した状態で収容される結果、これらを設置することで、商品包装体を展示できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第2599790号公報
【特許文献2】特許第4253545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した特許文献2に記載のディスプレイ兼用包装箱では、包装箱内の無駄な空隙が削減されるので、商品包装体の収納効率を上げることができるが、商品包装体を展示可能な状態で上下に積み重ねると、不安定になり、積み重ねることができなかった。そのため、包装箱が上下に複数段積み重ねられた状態では、最上段の包装箱のみが開封されて、下段については開封して展示することができず、ただの包装箱が積まれているだけとなり、店頭での陳列の際に、来店者に視覚的に与える商品陳列ボリューム感が少ないものになるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、商品包装体の収納効率が向上するとともに、下段に積まれた包装箱についても、内部の商品包装体をディスプレイすることができるディスプレイ兼用包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、商品を収容した商品収容部とヘッダ部とからなる商品包装体を複数収納するディスプレイ兼用包装箱であって、互いに対向する前板部および後板部と、互いに対向する左右の側板部と、平面視において長方形状をなし、所定数の商品包装体を起立状態で前後方向に載置することが可能な底板部と、前記底板部上に載置した各商品包装体の商品収容部上に他の商品包装体の商品収容部をそれぞれ載置して上下2段に並べた複数の商品包装体を収納可能な収納空間とを少なくとも有する箱本体を備え、前記前板部は、少なくともその一部が裂開可能に形成され、前記前板部の裂開により収納された商品包装体を露出可能にする開口部が形成されるとともに、前記開口部には、最前列上段の商品包装体を支持して前記開口部からの転落を防ぐ転落防止手段が設けられるディスプレイ兼用包装箱により達成される。
【0010】
本発明の好ましい実施態様においては、前記箱本体は、上面に開口を有しており、前記上面開口は蓋体により開閉可能であることを特徴としている。
【0011】
本発明の好ましい実施態様においては、前記商品包装体の商品収容部は、その上面に、上段に位置する商品包装体が下段に位置する商品包装体の商品収容部上を前方に滑ることが可能なように、前方に向けて低く傾斜する湾曲部分を備えることを特徴としている。
【0012】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記商品包装体の商品収容部は、その上面に平面部分と前記平面部分と連続する前記湾曲部分とを備え、上段に位置する商品包装体は、下段に位置する商品包装体の商品収容部上に、その重心が前記平面部分の中央位置よりも前方側へ偏るように配置されていることを特徴としている。
【0013】
本発明の好ましい他の実施態様においては前記商品包装体の商品収容部は、その上面が凸状の湾曲面に形成されており、上段に位置する商品包装体は、下段に位置する商品包装体の商品収容部上に、その重心が、前記商品収容部上面の頂部位置よりも前方側へ偏るように配置されていることを特徴としている。
【0014】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記転落防止手段は、前記前板部の一部の裂開により形成される前記前板部の残存部により構成されることを特徴としている。
【0015】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記前板部の残存部は、前記前板部の上縁から下方の所定領域を遊離させることにより形成されることを特徴としている。
【0016】
本発明のさらに好ましい他の実施態様においては、前記前板部の残存部の上端縁には、前記最前列上段の商品包装体の商品収容部下面の先端部が進入することが可能な切欠部が形成されることを特徴としている。
【0017】
本発明のさらに好ましい他の実施態様においては、前記前板部の残存部は、前記前板部の両側縁から所定領域を残して遊離させることにより形成されることを特徴としている。
【0018】
本発明のさらに好ましい他の実施態様においては、前記転落防止手段は、前記両側板部の一部分を切り欠いて形成した一対の支持片により構成され、各支持片を前記開口部側に折り曲げて前記最前列上段の商品包装体に当接させることで該商品包装体を支持することを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明のディスプレイ兼用包装箱によれば、商品包装体の収納効率を向上できるとともに、最上段だけでなく、下段に積まれた包装箱についても、内部の商品包装体をディスプレイすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態であるディスプレイ兼用包装箱の外観を示す斜視図である。
【図2】図1のディスプレイ兼用包装箱の断面図である。
【図3】箱本体の斜視図である。
【図4】箱本体の前板部を裂開した状態の斜視図である。
【図5】箱本体を形成する型紙の平面図である。
【図6】商品包装体が収納された箱本体の前板部を裂開した状態の斜視図である。
【図7】商品包装体が収納された箱本体の前板部を裂開した状態の正面図である。
【図8】商品包装体の側面図である。
【図9】ディスプレイ兼用包装箱を積み上げた使用状態を説明する斜視図である。
【図10】ディスプレイ兼用包装箱の他の実施形態を示す正面図である。
【図11】ディスプレイ兼用包装箱の他の実施形態を示す正面図である。
【図12】ディスプレイ兼用包装箱の他の実施形態を示す正面図である。
【図13】ディスプレイ兼用包装箱の他の実施形態を示す正面図である。
【図14】商品包装体の他の実施形態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態であるディスプレイ兼用包装箱1の外観構成を、図2は、図1のディスプレイ兼用包装箱1の内部構成を、それぞれ示している。図示例のディスプレイ兼用包装箱1は、複数個の商品包装体2を収納して搬送することが可能な包装箱として機能するとともに、店頭において、収納された個々の商品包装体2を包装箱から取り出すことなく、そのまま展示することが可能なディスプレイ箱としても機能するものである。
【0022】
このディスプレイ兼用包装箱1は、段ボールなどの紙材料からなり、上面に開口30を有する箱本体3と、箱本体3の上面開口30を塞ぐ取り外し可能な蓋体4とにより構成されている。
【0023】
箱本体3は、図3および図4に示すように、長方形状の底板部31と、互いに対向する前板部32および後板部33と、互いに対向する左右一対の側板部34,34とが一体に設けられた箱型の容器である。箱本体3の上面は開口しており、この上面開口30から商品包装体2を取り出すことも可能となっている。底板部31、前板部32、後板部33、および両側板部34とで囲まれた空間が商品包装体2の収納空間35である。本発明に係るディスプレイ兼用包装箱1では、箱本体3の収納空間35内に、商品包装体2が上下二段に配置された状態で、前後方向に複数並べられる。
【0024】
商品包装体2は、図8に示すように、商品21を収容した商品収容部20に隣接してヘッダ部22が設けられた構成のものであり、商品収容部20が、ヘッダ部22の一方の表面に対して外側へ突き出た形状となっている。この商品収容部20上に他の商品包装体2の商品収容部20を載せた状態で、これを箱本体3の底板部31上に複数配列することにより、複数の商品包装体2を上下二段で収納可能となっている。この商品包装体2は、本実施形態では、商品21をシュリンクフィルムなどの筒状の樹脂製フィルム(図示せず)で厚紙材からなる略矩形状の台紙23に巻き付けて一体に包装した構成のものである。
【0025】
商品21としては、本実施形態では、薬液、化粧品、香料、飲料水などの内容物が内部に充填された容器21Aが用いられている。この容器21Aは、頭部21Bと内容物を貯留する胴部21Cとの間に、内側にくびれた首部21Dを有している。この首部21Dを台紙23に形成された容器保持孔(図示せず)に嵌合させることにより、容器21Aが横倒しの状態で台紙23に支持されている。
【0026】
台紙23の下端部には、支持片24が一体に連設されている。この支持片24は、折り曲げ線(図示せず)によって前方側へ折り曲げることができるように構成されており、水平にして横倒しの状態で支持された容器21Aの下側側面に当接させることにより、商品包装体2を、箱本体3の底板部31上に起立状態で載置することが可能となっている。
【0027】
なお、上記した形態の商品包装体2では、容器21Aが樹脂製フィルムに包装された状態で台紙23に支持されている部分が商品収容部20を構成し、台紙23の容器21Aから上方に突き出る部分がヘッダ部22を構成しているが、必ずしも上記した形態のものに限られるものではない。例えば、台紙の上に商品を載せた後、商品を収納可能な凹部を有する透明のプラスチックカバーを商品の上から被せて包装するブリスタパック式の商品包装体や、ヘッダ部を有する箱体内に商品を包装した形式の商品包装体など、商品を収容した商品収容部20がヘッダ部22に対して外側へ突き出た形状となっているものであれば、種々の形態のものを想定できる。
【0028】
上記した形態の商品包装体2を、商品収容部20(容器部分)が同一方向に突出するように、箱本体3の底板部31上に複数並べて配列した後、底板部31上に並べた各商品包装体2の商品収容部20(容器部分)上に、別の新たな商品包装体2の商品収容部20(容器部分)を、それぞれ前後の下段の商品包装体2のヘッダ部22で挟んだ状態で載置する。これにより、複数の商品包装体2が上下二段を維持した状態で箱本体3内に収納される(図2参照)。なお、最前列上段の商品包装体2は、箱本体3の前板部32と、一つ後の下段に位置する商品包装体2のヘッダ部22とで挟まれた状態で収納される。この収納状態では、各商品包装体2の台紙23の両側縁と箱本体3の各側板部34との間に、外部衝撃が直接各商品包装体2に伝わることがないよう、各商品包装体2ががたつくことがない程度の僅かな隙間がそれぞれ設けられるとともに、上段に位置する各商品包装体2の台紙23の上縁と箱本体3のフラップ34aとの間にも、それぞれ僅かな隙間が設けられるように、箱本体3の寸法が適宜設定されている。
【0029】
ここで、本実施形態では、図8に示すように、商品収容部20の上面(本実施形態では、容器2の上側側面)には、上段に載置される商品包装体2の商品収容部20を受けるための平面部分25に加えて、前記平面部分25から前方に向けて低く傾斜する湾曲部分26が形成されている。図2に示すように、上段に載置される各商品包装体2は、下段に載置される各商品包装体2の商品収容部20(容器部分)上に、その重心位置が前記平面部分25の中央位置よりも前方側へ偏るように配置され、これにより、商品包装体2を自然に段積みした状態では、上段に載置された商品包装体2は、下段に載置された商品包装体2の商品収容部20(容器部分)上を前記湾曲部分26を介して前方に滑るようになっている。本実施形態では、上段に位置する商品包装体2の台紙23から突き出た容器21Aの頭部21Bが、下段に位置する商品包装体2のヘッダ部22に突き当たることにより、その重心位置が前記平面部分25の中央位置よりも前方側へ偏るようになっている。
【0030】
上段に位置する各商品包装体2は、箱本体3内に上下二段積みされた状態では、一つ前の下段に位置する商品包装体2のヘッダ部22がストッパーとなって、前方に滑り落ちることが防止されるために、上段位置に保持されている。一方、一つ前の下段に位置する商品包装体2が取り除かれると、上段に位置する商品包装体2は、上記したストッパーが無くなるために、自然と前方に滑り落ち、箱本体3の底板部31上に落下する。このとき、商品収容部20は、その下面の支持片24が水平面に形成されているため、箱本体3の底板部31上に起立状態で着地する。このように、本実施形態では、上段に位置する商品包装体2は、一つ前の下段に位置する商品包装体2が取り出されると、自然に箱本体3の底板部31上に落下して、少しでも箱本体3内の前方位置に配置されるようになる。よって、後列側に収納された商品包装体2についても箱本体3から取り出し易くなるとともに、箱本体3内に残っている商品包装体2が見易くなるため、商品の陳列効果の向上を図ることができる。
【0031】
図1および図2に戻って、蓋体4は、箱本体3の上面開口30を塞ぐことが可能な大きさを有する天面部40を有し、天面部40の短辺側にはそれぞれ折り目42を介して側面部41a,41bが連設されている。各側面部41a,41bは、箱本体3の前板部32および後板部33の一部分をそれぞれ覆っており、前記部分を補強している。なお、蓋体4は、必ずしも箱本体3と別体である必要はなく、箱本体3に、その上面開口30を開閉可能なように、一体形成されていてもよい。
【0032】
箱本体3は、図3および図4に示すように、各側板部34の上縁に、それぞれフラップ34a,34aが一体形成されている。各フラップ34aは、折り目14a,14aに沿ってそれぞれ屈曲可能に形成されており、蓋体4の天面部40を糊付けなどで貼着するための貼着面として機能する。
【0033】
前板部32には、両側縁の略中央位置に、前板部32を裂開可能なように、上縁から下方に向かって延びる裂開補助線36が設けられている。この裂開補助線36は、本実施形態では、詳細は後述するが、前板部32を構成する2つの半割板部32a,32bを、その端面を付き合わせることによって設けられる継ぎ目によって形成されている。なお、裂開補助線36の構成は、本実施形態のものに限られず、例えば、前板部32の両側縁の略中央位置に、切目線を上縁から下方に向かって延びるように設けることにより、形成してもよい。また、前板部32の下方位置には、裂開補助線36に対して左右方向に向かって延びる横切目線37が形成されている。この横切目線37は、本実施形態では、中央部が下方に凹んだ段差を有する形状に形成されている。
【0034】
これらの裂開補助線36および横切目線37を介して前板部32の一部を裂開し、裂開によって形成された一対の裂開板部53a,53bを、前板部32の各側縁に沿って観音開きさせることにより、図4に示すように、箱本体3の前面には開口部38が形成される。この開口部38により、箱本体3内部に収納された商品包装体2が露出し、これをディスプレイすることが可能となっている。
【0035】
また、各側板部34および後板部33には、前板部32の横切目線37と連続する切目線39が形成されている。この切目線39は、本実施形態では、前板部32の横切目線37との接続位置から後方に向かうにつれ徐々に上昇した後、その後は水平を保った状態で後板部33まで延びており、前板部32の横切目線37と、側板部34および後板部33の切目線39とで、箱本体3の上方部分を切り離すことができるようになっている。これにより、箱本体3内部に収納された商品包装体2をさらに露出して、より効果的に商品包装体2をディスプレイすることができるとともに、商品包装体2を上方から円滑に取り出すことが可能となる。
【0036】
なお、この切目線39の形状は、本実施形態のものに限られるものではなく、前板部32の横切目線37との接続位置から後板部33まで水平に延びる形状や、前板部32の横切目線37との接続位置から後板部33まで上方に向けて傾斜する形状など、種々の形状を採用することができる。また、必ずしも、前板部32の横切目線37と連続している必要もない。
【0037】
上記した前板部32の一部が裂開した状態では、裂開板部53a,53bが前板部32から遊離することにより、箱本体3の前面には、上端縁中央にコ字状に切り欠かれた切欠部50を有する前板部32の残存部51が形成される。この前板部32の残存部51は、切欠部50の底部が、箱本体3内部の最前列上段に配置された商品包装体2の商品収容部20の下面(本実施形態では支持片24)とほぼ同じ高さに位置するように、寸法設定されている。前板部32の一部を裂開して、箱本体3内部の商品包装体2を露出させた際、図6および図7に示すように、先細りに形成された支持片24の先端部分が、この前板部32の残存部51の切欠部50に進入して嵌まり込み、前記最前列上段の商品包装体2が前板部32の残存部51により堰き止められることにより、前記最前列上段の商品包装体2は前方に傾くのが防止されるとともに、前板部32の残存部51を乗り越えて開口部38から外部に転落するのが防止される。
【0038】
このように、本実施形態のディスプレイ兼用包装箱1では、前板部32の一部を裂開することで、内部に収納された商品包装体2をディスプレイ可能にしているとともに、前板部32の残存部51を、前記最前列上段の商品包装体2の商品収容部20を支持可能に残すことで、開口部38から外部に転落するのを防止する転落防止手段として機能させている。
【0039】
上記した構成の箱本体3は、例えば図5に示されるような、所定の肉厚を有する1枚の段ボール製の型紙10を所定の折り目に沿って折り曲げることにより組み立てられる。なお、箱本体3は、この実施形態では段ボール製であるが、これに限られるものではなく、種々の素材を用いて形成することができる。
【0040】
箱本体3を組み立てるための型紙10は、長方形状の底板部31を中心として、両側板部34が底板部31の長辺側にそれぞれ折り目11a,11bを介して連設されている。各側板部34には、その短辺側に、それぞれ前板部32および後板部33を構成する半割板部32a,32b,33a,33bが折り目12a,12b,13a,13bを介して連設されている。底板部31の両端にはフラップ34b,34cが、また、各側板部34の一端にはフラップ34a,34aが、それぞれ折り目14a〜14cを介して設けられている。なお、各折り目14aは、切断部分と非切断部分が一定間隔で連続したミシン目状の切断ラインからなり、各フラップ34aを各側板部34から容易に切り離すことができるようになっている。
【0041】
型紙10から箱本体3を組み立てるには、まず、両側板部34を折り目11aに沿って折り曲げて垂直に立ち上げた後、各半割板部32a,32b,33a,33bを折り目12a,12b,13a,13bに沿って内向きにそれぞれ90度折り曲げる。そして、隣り合う2つの半割板部32a,32b(および33a,33b)について、その端面同士を付き合わせることによって、前板部32および後板部33をそれぞれ形成する。なお、フラップ34b,34cは、前板部32および後板部33にそれぞれ貼着することにより、これらを補強する補強壁として機能する。
【0042】
次に、商品包装体2をディスプレイ用包装箱1に収納する方法について説明する。まず、所定数の商品包装体2を商品収容部20が同一方向に突出するように配列した後、一対の挟持部材(図示せず)により、商品収容部20の前部を隣接する商品収容部20の背面に突き合わせた状態で挟持して、これを、図5に示す箱本体3の型紙10の底板部31上に起立状態で並べる。次に、同じく所定数の商品包装体2を商品収容部20が同一方向に突出するように配列した後、一対の挟持部材(図示せず)により、商品収容部20の前部を隣接する商品収容部20の背面に突き合わせた状態で挟持する。そして、各挟持部材で挟持した状態で、この所定数の商品包装体2を、各商品収容部20が既に型紙10の底板部31上に起立状態で載置されている各商品包装体2の商品収容部20上に載置する。
【0043】
そして、複数の商品包装体2を上下二段に配列すると、両側板部34を折り目11aに沿って折り曲げて垂直に立ち上げた後、各半割板部32a,32b,33a,33bを折り目12a,12b,13a,13bに沿って内向きにそれぞれ90度折り曲げ、隣り合う2つの半割板部32a,32b(および33a,33b)を糊付けなどで接着して接続することによって、前板部32および後板部33をそれぞれ形成する。そして、各挟持部材を上方から抜き出した後、フラップ34b,34cを前板部32および後板部33に重ね合せて貼着するとともに、フラップ34a,34aを折り曲げて、蓋体4をフラップ34a,34a、前板部32および後板部33に重ね合せて貼着することで、上下二段積みされた複数の商品包装体2がディスプレイ兼用包装箱1に収納される。
【0044】
次に、このディスプレイ兼用包装箱1の使用状態を説明する。ディスプレイ兼用包装箱1が搬送されると、図9に示すように、複数箱を積み上げた状態で店頭などに置かれる。最上部に位置するディスプレイ兼用包装箱1は、蓋体4を取り去るとともに、前板部32を裂開補助線36および横切目線37によって裂開して、前板部32の一部である裂開板部53a,53bを観音開き状に開放するとともに、各側板部34および後板部33を切目線39によって切断して、箱本体3の上方部分を箱本体3から取り外す。これにより、収納されていた商品包装体2が露出し、これをディスプレイすることができる。
【0045】
最上部ではない箇所に位置するディスプレイ兼用包装箱1は、蓋体4の側面部41aを開けて切り取り、次いで、前板部32を裂開補助線36および横切目線37によって裂開して、裂開板部53a,53bを観音開き状に開放するとともに、各裂開板部53a,53bを折り目12a,12bに沿って取り去る。これにより、収納された商品包装体2が外部から視認可能な状態となる。
【0046】
また、最上部のディスプレイ兼用包装箱1に収納されている商品包装体2が全て取り出されると、このディスプレイ兼用包装箱1を取り除き、その下のディスプレイ兼用包装箱1の蓋体4を取り外すとともに、前板部32の各裂開板部53a,53bを開放して箱本体3の上方部分を取り外せば、このディスプレイ兼用包装箱1の内部に収納されている商品包装体2の取り出しが可能になる。
【0047】
上記した構成のディスプレイ兼用包装箱1によると、実際に商品包装体2の取り出しが可能な状態となっている最上段のディスプレイ兼用包装箱1のみならず、下段に位置する待機中のディスプレイ兼用包装箱1においても、前板部32の一部を裂開することにより、内部に収納された商品包装体2を外部から視認可能とすることができるので、来店者に与える印象を賑やかなものとすることができる。
【0048】
また、下段に位置する待機中のディスプレイ兼用包装箱1は、その上面に、蓋体4の天面部40(蓋体4を全て取り外した場合には、箱本体3のフラップ34a,34a)が存在しているので、その上方にディスプレイ兼用包装箱1を安定した状態で積み重ねることができるようになっている。
【0049】
また、ディスプレイ兼用包装箱1内に、商品包装体2が上下2段に積み重ねられた状態で収納されているので、包装箱内の無駄な空隙を削減でき、商品包装体2の収納効率を上げることができる。
【0050】
また、上段に位置する各商品包装体2は、一つ前の下段に位置する商品包装体2が取り除かれると、下方に位置する商品包装体2の商品収容部20の湾曲部分26をつたって前方に滑り落ち、自然に箱本体3の底板部31上に落下する。このように、少しでも箱本体3内の前方位置に配置されるようになるので、後列側に収納された商品包装体2についても箱本体3から取り出し易くなるとともに、箱本体3内に残っている商品包装体2が見易くなるため、商品の陳列効果の向上を図ることができる。
【0051】
また、箱本体3内部の最前列上段に配置された商品包装体2は、前板部32の一部が裂開されて露出する際、この前板部32の残存部51により、前方に傾くのが防止されるので、開口部38から外部に転落するのを防止することができる。
【0052】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の具体的な態様は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態では、前記転落防止手段は、前板部32の残存部51に設けたコ字状の切欠部50に、最前列上段の容器包装体2の商品収容部20の下面(支持片24)の先端を嵌入係合させることで、開口部38から外部に転落するのを防止しているが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、図10に示すように、前板部32の残存部51を、その上端縁に切欠部50を設けることなく直線状となるように形成するとともに、最前列上段の容器包装体2の商品収容部20の少なくとも一部(図示例では下半部)を支持できるように、その上端縁の高さ位置を寸法設定することで、最前列上段の商品包装体2の開口部38からの転落を堰き止めるように防止してもよい。また、図11に示すように、図10に示した前板部32の残存部51の上端縁をV字状に切り欠いて、商品収容部20の左右両側を支持するように構成してもよい。
【0053】
また、図12に示すように、前板部32に、その両側縁からそれぞれ所定間隔を空けて平行に延びる一対の縦折目線54と、両縦折目線54A,54bの略中央位置に、前側板32の上縁から下縁に向かって延びる縦切目線(図示せず)と、前記縦切目線の下端から左右方向に向かって延びる横切目線(図示せず)とを形成する。そして、この縦折目線54A,54bに沿って前側板32の一部を裂開して観音開き状に遊離させて、開口部38の両側位置に左右一対の前板部32の残存部51を形成することにより、最前列上段の商品包装体2の商品収容部20の左右両側を支持して、開口部38からの転落を防止するように構成してもよい。
【0054】
また、図13に示すように、各側板部34の一部分を略コ字状に切り欠くことで、一対の支持片55a,55bを形成し、各支持片55a,55bを開口部38側に折り曲げて最前列上段の商品包装体2の商品収容部20に当接させることで、これを支持して、開口部38からの転落を防止するように構成してもよい。
【0055】
また、本実施形態では、各商品包装体2の商品収容部20の上面(本実施形態では、容器2の上側側面)に、平面部分25および前記平面部分25から前方に向けて低く傾斜する湾曲部分26が連設されているが、図14に示すように、各商品包装体2の商品収容部20の上面を凸状の湾曲面に形成してもよい。この実施形態では、上段に位置する商品包装体2を、下段に位置する商品包装体2の商品収容部20上に、その重心位置が、前記商品収容部上面の凸曲面の頂部位置Oよりも前方側へ偏るように配置することで、上段に載置された商品包装体2は、下段に載置された商品包装体2の商品収容部20上を前方に向けて滑って、箱本体3の底板部32上に落下するようになる。
【符号の説明】
【0056】
1 ディスプレイ兼用包装箱
2 商品包装体
3 箱本体
4 蓋体
20 商品収容部
21 商品
22 ヘッダ部
25 平面部分
26 湾曲部分
30 上面開口
31 底板部
32 前板部
33 後板部
34 側板部
35 収納空間
38 開口部
50 切欠部
51 残存部
55a,55b 支持片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を収容した商品収容部とヘッダ部とからなる商品包装体を複数収納するディスプレイ兼用包装箱であって、
互いに対向する前板部および後板部と、互いに対向する左右の側板部と、平面視において長方形状をなし、所定数の商品包装体を起立状態で前後方向に載置することが可能な底板部と、前記底板部上に載置した各商品包装体の商品収容部上に他の商品包装体の商品収容部をそれぞれ載置して上下2段に並べた複数の商品包装体を収納可能な収納空間とを少なくとも有する箱本体を備え、
前記前板部は、少なくともその一部が裂開可能に形成され、前記前板部の裂開により収納された商品包装体を露出可能にする開口部が形成されるとともに、前記開口部には、最前列上段の商品包装体を支持して前記開口部からの転落を防ぐ転落防止手段が設けられるディスプレイ兼用包装箱。
【請求項2】
前記箱本体は、上面に開口を有しており、前記上面開口は蓋体により開閉可能である請求項1に記載のディスプレイ兼用包装箱。
【請求項3】
前記商品包装体の商品収容部は、その上面に、上段に位置する商品包装体が下段に位置する商品包装体の商品収容部上を前方に滑ることが可能なように、前方に向けて低く傾斜する湾曲部分を備える請求項1または2に記載のディスプレイ兼用包装箱。
【請求項4】
前記商品包装体の商品収容部は、その上面に平面部分と前記平面部分と連続する前記湾曲部分とを備え、上段に位置する商品包装体は、下段に位置する商品包装体の商品収容部上に、その重心が前記平面部分の中央位置よりも前方側へ偏るように配置されている請求項3に記載のディスプレイ兼用包装箱。
【請求項5】
前記商品包装体の商品収容部は、その上面が凸状の湾曲面に形成されており、上段に位置する商品包装体は、下段に位置する商品包装体の商品収容部上に、その重心が、前記商品収容部上面の頂部位置よりも前方側へ偏るように配置されている請求項1または2に記載のディスプレイ兼用包装箱。
【請求項6】
前記転落防止手段は、前記前板部の一部の裂開により形成される前記前板部の残存部により構成される請求項1〜5のいずれかに記載のディスプレイ兼用包装箱。
【請求項7】
前記前板部の残存部は、前記前板部の上縁から下方の所定領域を遊離させることにより形成される請求項6に記載のディスプレイ兼用包装箱。
【請求項8】
前記前板部の残存部の上端縁には、前記最前列上段の商品包装体の商品収容部下面の先端部が進入することが可能な切欠部が形成される請求項7に記載のディスプレイ兼用包装箱。
【請求項9】
前記前板部の残存部は、前記前板部の両側縁から所定領域を残して遊離させることにより形成される請求項6に記載のディスプレイ兼用包装箱。
【請求項10】
前記転落防止手段は、前記両側板部の一部分を切り欠いて形成した一対の支持片により構成され、各支持片を前記開口部側に折り曲げて前記最前列上段の商品包装体に当接させることで該商品包装体を支持する請求項1〜5のいずれかに記載のディスプレイ兼用包装箱。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2012−6611(P2012−6611A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142356(P2010−142356)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】