説明

ディーゼルエンジン排気ガスから煤粒子を取り除くためのプロセスおよびデバイス

【課題】環境を保護するために、ディーゼル車の分野においてディーゼルエンジンからの窒素酸化物および煤の放出物を同時に減少すること。
【解決手段】ディーゼルエンジンからの排気ガスから煤粒子を取り除くためのデバイスであって、ディープベッド粒子フィルターであって、該ディープベッド粒子フィルターは、一酸化窒素を二酸化窒素へと酸化するための触媒コーティングでコーティングされている、ディープベッド粒子フィルター;および95%を超える濾過効率を有する第二の粒子フィルターであって、該第二の粒子フィルターは、該ディープベッド粒子フィルターから下流に存在する、第二のフィルター、
を備える、デバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジンからの排気ガスから煤粒子を取り除くためのプロセスおよびデバイスを提供する。
【背景技術】
【0002】
環境を保護するために、ディーゼル車の分野における新たな開発は、ディーゼルエンジンからの窒素酸化物および煤の放出物の同時減少に向けられる。
【0003】
ディーゼルエンジンの問題は、それらが窒素酸化物および煤放出物の両方を同時に減少させる能力を有しないことである。ディーゼルエンジンにおいて言及される有毒成分の一つの量を低下させる設計工程を行うとき、他の有毒成分の量は同時に上昇する。例えば、煤放出物は、ディーゼルエンジンにおいて燃焼温度を上昇させることによって低下するとき、窒素酸化物の生成の増加が生じる。別の例では、窒素酸化物放出が減少すると(例えば、排気ガスをリサイクルすることによる)、煤放出物は増加する。
【0004】
従ってディーゼルエンジンを最適化するためにとられる設計工程は、煤放出物を最適化することと、窒素酸化物放出物を最適化することとの間の妥協点を形成する。
【0005】
煤放出物を除去するために、排気ガスの後処理が必要である。この目的のため、フィルター、特に壁流(wall−flow)フィルターが、排気ガスに含まれる煤粒子を濾去するために現在使用されている。これらの型のフィルターを用いて、95%を超える濾過程度が得られており、それにより、ディーゼルエンジンからの排気ガスにおいて煤放出物の効率的な減少が確実になる。しかし、これらの型のフィルターは、煤粒子の連続的な堆積に起因して目詰まりを起こすようになる。従って、このフィルターは、煤粒子の燃焼によって再生されねばならない。
【0006】
原理的には、フィルターの再生は、熱プロセスによって達成され得る。ついで、煤粒子は、排気ガスに存在する酸素の助けにより燃焼される。しかし、これの欠点は、550℃から600℃の範囲における温度がこれらの型の燃焼プロセスに必要であることである。
【0007】
しかし、これらの型の温度は、ディーゼルエンジンが全負荷で作動している場合にのみ、ディーゼルエンジンからの排気ガスにおいて得られる。通常作動下でのフィルターの再生は、そのフィルターがさらなる加熱要素により加熱される場合にのみ可能である。しかし、これはエネルギーへの要求を増大し、したがってまた燃料の消費を増大する。
【0008】
フィルターを再生するための触媒プロセスが、熱プロセスの代わりに使用されることは当該分野で公知である。例えば、ディーゼルエンジンからの排気ガスは、濾過されずに第一プロセス工程において触媒上を通過させられる。好ましくは、ハニカム状のモノリスに配置された白金群金属を含む触媒により、排気ガス中に存在する一酸化窒素は、二酸化窒素に変換される。排気ガスから煤粒子を濾過するためのフィルターは、触媒の下流に配置される。触媒において生成された二酸化窒素は、400℃未満の温度でフィルター上に堆積した煤粒子を燃焼するためにフィルターを再生するために使用される。しかし、このプロセスでの問題は、フィルターの再生を完了するために十分である二酸化窒素の量が、必要とされることである。
【0009】
排気ガスリサイクルシステムを備えたいくつかの現代的ディーゼルエンジンは、窒素酸化物の放出に関して最適化されており、そのため、排気ガス中に存在する二酸化窒素の量は、フィルターの再生を完了するために十分ではない。代表的には、50%〜70%の煤粒子のみの燃焼がこれらの型のディーゼルエンジンでは達成される。
【0010】
ディーゼルエンジンの排気ガス流から煤粒子を取り除くための装置が、互いに連続して配置された複数のディーゼル粒子フィルターおよび各粒子フィルターの上流に配置された複数の酸化触媒から構成されるべきことが示唆されている。
【0011】
酸化触媒および粒子フィルターの複数の配置により、一酸化窒素の二酸化窒素への複数の酸化そして回収された煤を同時に燃焼させながらの再び下流のフィルターでの一酸化窒素への引き続く還元が可能となる。例えば、4つの酸化触媒および4つの粒子フィルターを備え、それにより各下流のフィルターのその孔径が、近接する上流のフィルターの孔径よりも小さい装置。その装置は、高度の濾過作用を有する壁流フィルターによって終わる。
【0012】
各ユニットが酸化触媒および粒子フィルターから構成される多数の処理ユニットが連続して配置されるものを使用することが、ディーゼルエンジンからの排気ガスから煤粒子を取り除くことについて提案されている。その処理ユニットは、排気ガスからの特定の割合の煤粒子のみが、フィルターに堆積し、そしてこれが、そのフィルターを再生するために関連する触媒において生成される二酸化窒素を使用して燃焼され得るようになされる。
【0013】
1つの設計において、処理ユニットは、関連するフィルターおよび関連する触媒が、完全な構成要素を形成するように作製され得る。この型の構成要素は、特に、関連する触媒によって被覆されているフィルター(特に、ディープベッド(deep−bed)粒子フィルター)から形成され得る。
【0014】
最後の2つのプロセスの欠点は、処理ユニットの必要な数に対して比較的経費が大きいことである。選択されたプロセス段階の数が、ディーゼルエンジンの特定の作動条件に依存することが当該分野で公知である。したがって、好ましい数として引用される2〜4個のプロセス工程の数は、特定の操作条件のために適切なものとして推奨される譲歩である。このことから、煤粒子の完全な除去および同時の完全なフィルター再生のために、かなりの数の処理ユニットが必要とされることが導かれる。したがって、排気ガス流から煤粒子を取り除くための費用は、望ましくないが高くなる。
【0015】
上記に基づいて、比較的簡単であり、そしてディーゼルエンジンからの排気ガスから煤粒子を効率的かつ実質的に完全に取り除くことを可能にするプロセスおよびデバイスについての当該分野での必要性が存在する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の課題は、環境を保護するために、ディーゼル車の分野においてディーゼルエンジンからの窒素酸化物および煤の放出物を同時に減少することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、ディーゼルエンジンから実質的に煤なしの排気ガスを生成するためのプロセスを提供し、このプロセスは、
a.ディープベッド粒子フィルターを用いて、煤粒子を含む排気ガスを濾過し、初期濾過排気ガスを生成する工程であって、このディープベッド粒子フィルターは、煤粒子のための濾過効率を有し、そして一酸化窒素を二酸化窒素へと酸化するための触媒コーティングでコーティングされている、工程;
b.このディープベッド粒子フィルター上に収集された煤粒子を、二酸化窒素を用いて連続的に燃焼する工程であって、この二酸化窒素は、排気ガスに含まれる一酸化窒素の触媒酸化によって生成され、そして煤粒子の燃焼によって一酸化窒素に還元され、これによって、一酸化窒素の酸化および還元のプロセスが、排気ガスがフィルターを通過する間に連続的に繰り返される、工程;および
c.第二の粒子フィルターを通じてディープベッド粒子フィルターから初期濾過排気ガスをさらに濾過する工程であって、この第二の粒子フィルターは、煤バリアとして働き、実質的に煤なしの排気ガスを生成するために少なくとも10%の濾過効率を有する、工程、
を包含する。
【0018】
1つの実施形態において、上記ディープベッド粒子フィルターは、約10%と約95%との間の濾過効率を有する。
【0019】
1つの実施形態において、上記ディープベッド粒子フィルターは、約50%と約80%との間の濾過効率を有する。
【0020】
1つの実施形態において、上記煤バリアは、約98%を超える濾過効率を有する。
【0021】
本発明はさらに、ディーゼルエンジンからの排気ガスから煤粒子を取り除くためのデバイスを提供し、このデバイスは、
ディープベッド粒子フィルターであって、このディープベッド粒子フィルターは、一酸化窒素を二酸化窒素へと酸化するための触媒コーティングでコーティングされている、ディープベッド粒子フィルター;および
95%を超える濾過効率を有する第二の粒子フィルターであって、この第二の粒子フィルターは、ディープベッド粒子フィルターから下流に存在する、第二の粒子フィルター、
を備える。
【0022】
1つの実施形態において、上記ディープベッド粒子フィルターは、セラミクスファイバー、膨張セラミック材料およびワイヤメッシュからなる群より選択される材料である。
【0023】
1つの実施形態において、上記触媒コーティングは、少なくとも1つの貴金属を含む。
【0024】
1つの実施形態において、上記触媒コーティングは、白金を含む。
【0025】
1つの実施形態において、上記触媒コーティングは、各々の貴金属のための少なくとも1つの酸化支持材料を含む。
【0026】
1つの実施形態において、上記各酸化支持材料は、酸化アルミニウムから形成される。
【0027】
1つの実施形態において、上記触媒コーティングは、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化テルビウム、酸化プラセオジムおよびそれらの混合物からなる群より選択される材料をさらに含む。
【0028】
1つの実施形態において、上記第二粒子フィルターは、煤バリアである。
【0029】
1つの実施形態において、上記煤バリアは、上記ディープベッド粒子フィルターの下流に位置する壁流フィルターから形成される。
【0030】
1つの実施形態において、上記ディープベッド粒子フィルターの下流に位置する煤バリアをさらに含み、この煤バリアは、金属焼結品から形成される。
【0031】
1つの実施形態において、上記ディープベッド粒子フィルターは、上記触媒を含む複数の並行に配置されたフィルター要素をさらに含み、このフィルター要素を通じて、上記排気ガスが流れ、このフィルター要素は、流出面の上に焼結金属板が配置されている。
【0032】
本発明はさらに、排気ガスに含まれる一酸化窒素の触媒酸化によって生成される二酸化窒素の補助による、粒子フィルターにより収集される煤粒子の連続燃焼によって、ディーゼルエンジンから実質的に煤なしの排気ガスを生成するためのプロセスを提供し、ここで、改良が、
a.ディープベッド粒子フィルターを用いて、煤粒子を含む排気ガスを濾過し、初期濾過排気ガスを生成する工程であって、このディープベッド粒子フィルターは、煤粒子のための濾過効率を有し、そして一酸化窒素を二酸化窒素へと酸化するための触媒コーティングでコーティングされている、工程;
b.連続的に、ディープベッド粒子フィルター内に収集された煤粒子を二酸化窒素の補助によって燃焼し、そしてこの煤粒子を燃焼しながらこの二酸化窒素を一酸化窒素に還元する工程であって、この二酸化窒素は、フィルターの触媒コーティングにおいて、排気ガスに含まれる一酸化窒素の酸化によって得られ、これによって、一酸化窒素の酸化および還元のプロセスが、排気ガスがフィルターを通過する間に連続的に繰り返される、工程;および
c.第二の粒子フィルターを通じてディープベッド粒子フィルターから初期濾過排気ガスをさらに濾過する工程であって、この第二の粒子フィルターは、煤バリアとして働き、実質的に煤なしの排気ガスを生成するために少なくとも10%の濾過効率を有する、工程、
を包含する。
【0033】
本発明は、粒子フィルター、およびそのフィルターにおいて回収された煤粒子の、排気ガス中に含まれる一酸化窒素の触媒酸化により生成された二酸化窒素の助けをかりた連続的な燃焼を使用して、ディーゼルエンジンからの排気ガスから煤粒子を取り除くためのプロセスを提供する。このプロセスは、ディープベッド粒子フィルターであって、煤粒子に対する濾過効率を有し、そして一酸化窒素を二酸化窒素に酸化するための触媒性被覆によって被覆されているディープベッド粒子フィルターを使用する工程を含み、そしてその粒子フィルターを離れた排気ガスは、引き続いて更なるフィルターを通され、そのフィルターは、煤バリアとして作用し、そして95%を超える濾過効率を有する。
【0034】
本発明の好ましい実施形態は、例示および説明のために選択されるが、本発明の範囲を制限することは決して意図されない。本発明の特定の局面の好ましい実施形態は、添付の図面に以下のように示される。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、環境を保護するために、ディーゼル車の分野においてディーゼルエンジンからの窒素酸化物および煤の放出物を同時に減少させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明は、本明細書中で、好ましい実施形態と関連付けて記載される。これらの実施形態は、本発明の理解を補助するために提供され、いかなる様式においても本発明を限定することが意図されず、限定するように解釈されるべきではない。本開示を読む際に当業者に明らかとなり得る全ての代替物、改変物および等価物は、本発明の精神および範囲内に含まれる。
【0037】
本開示は、ディーゼルエンジンからの排気ガスから煤粒子を取り除くための方法についての入門書ではなく、当業者に公知の基本的概念は、詳細に記載されていない。
【0038】
本発明は、ディープベッド粒子フィルターを含む。ディープベッド粒子フィルターは、フィルターの全体積内に煤粒子を収集する濾過デバイスである。このフィルターは、セラミックファイバー、セラミックフォーム、ワイヤメッシュまたは同様の構造体を含み得る。一般に、ディープベッド粒子フィルターは、主に、慣性効果および/または拡散効果によって、排気ガスから煤粒子を取り除く大きな孔材料を含む。ディープベッド粒子フィルターと対照的に、いわゆる壁流フィルターは、フィルター材料の表面上に煤粒子を収集する。
【0039】
本発明によれば、一酸化窒素は、二酸化窒素に酸化される。二酸化窒素は、フィルター上に堆積した煤粒子を燃焼し、一酸化窒素に還元され、この一酸化窒素は、次いで再び二酸化窒素などに酸化される。従って、一酸化窒素は、ディープベッド粒子フィルターを通して流れる間、連続的にリサイクルされる。1つのこのようなサイクルは、以下で触媒サイクルと呼ばれる。一酸化窒素のこのリサイクルのために、排気ガス中の比較的低い濃度の一酸化窒素は、ディープベッド粒子フィルター内に収集される全ての煤粒子の連続的燃焼に十分である。
【0040】
残留煤の放出を回避するために、95%を超える濾過効率を有する第2の粒子フィルターが、ディープベッド粒子フィルターの裏に配置され、いわゆる煤バリアの機能を達成する。粒子フィルターの濾過効率は、排気ガスによってフィルター内に運ばれる全粒子量に対する、フィルターによって収集される粒子量の比であると理解される。ディープベッド粒子フィルターは、急激な圧力変化の際に、収集された煤粒子を排気ガス流へ飛沫する傾向にある。煤バリアは、排気ガス中の圧力変化の際の急激な煤放出を防止することが意図される。
【0041】
排気ガス内に含まれる一酸化窒素が複数サイクル中で二酸化窒素に酸化され、次いで収集された煤との反応によって一酸化窒素に還元されることは、本発明に従うプロセスにとって必須である。従って、このような触媒サイクルは、以下の反応:
NOからNOへの酸化:
NO+1/2O→NO (1)
煤の燃焼およびNOからNOへの還元:
C+2NO→CO+2NO (2)
を含む。
触媒サイクル(これは、2つの反応(1)および(2)を含む)を、複数回、通す間、排気ガスは、ディープベッド粒子フィルターを移動し、それによってディープベッド粒子フィルターを連続的に再生する。
【0042】
ディープベッド粒子フィルターおよび触媒(これは、好ましくは、触媒コーティングとしてディープベッド粒子フィルターに適用される)は、記載された触媒サイクルが、フィルターが煤によって遮蔽されることを防止するような方法で、互いに調整され得る。この目的のために、ディープベッド粒子フィルターの濾過効率は、10%と95%との間、好ましくは、50%と80%との間の値を有する。
【0043】
進行する触媒サイクルの数は、特に、プロセス温度に依存する。一酸化窒素から二酸化窒素への触媒酸化および形成された二酸化窒素の補助による煤の燃焼に対して、200℃の最低排気ガス温度が必要である。好ましくは、ディープベッド粒子フィルターの領域内の温度は、350℃と450℃との間に存在する。
【0044】
組み合わせたフィルター効果および連続再生プロセスのために、排気ガス中に存在する煤粒子のほとんどは、ディープベッド粒子フィルター内で排除される。ディープベッド粒子フィルターからの放出の際に存在する残留煤粒子は、煤バリア上に収集され、このバリアは、ディープベッド粒子フィルターの後方に位置づけされ、例えば、壁流フィルターまたは焼結金属板によって形成される。
【0045】
煤バリア上に堆積された残留煤粒子はまた、好ましくは、ディープベッド粒子フィルター内に生成される二酸化窒素の補助によって、連続的に取り除かれる。
【0046】
ここで、本発明を一般的に記載してきたが、本発明は、以下の実施例を参照してより容易に理解され得、実施例は、特定されない限り、例示のために提供され、本発明を限定することが意図されない。
【実施例】
【0047】
実施例は、ディーゼルエンジンの排気ガスから煤粒子を取り除くための、本発明によるデバイスの実施例である。
【0048】
(実施例1)
図1は、ディーゼルエンジンの排気ガスから煤粒子を取り除くための、本発明によるデバイスの実施例を示す。このデバイスは、触媒を有するディープベッド粒子フィルター1を有し、ここで、この触媒は、ディープベッド粒子フィルター1に、触媒的に活性なコーティング2として適用される。原理的には、この触媒はまた、ディープベッド粒子フィルター1自体のフィルター材料を形成し得る。このデバイスはまた、煤バリア3を有する。煤バリア3は、矢印で印されるディーゼルエンジンの排気ガス流内に、ディープベッド粒子フィルター1の下流に位置する。本発明の実施例において、煤バリア3は、壁流フィルターからなる。
【0049】
ディープベッド粒子フィルター1は、セラミックファイバー、膨張セラミック材料、ワイヤメッシュなどを含む。一般に、ディープベッド粒子フィルター1は、粗い細孔のフィルター材料を備え、主として慣性力および/または拡散効果に起因して、この中に、排気ガス流からの煤粒子が堆積する。
【0050】
触媒コーティング2は、便宜上、ディープベッド粒子フィルター1の全長にわたって適用される。さらに、原理的には、少なくとも局在化した触媒コーティング構造体もまた、ディープベッド粒子フィルター1の入口面および出口面に提供され得る。
【0051】
ディープベッド粒子フィルター1の断面は、下流の壁流フィルターの断面にフィットし、その結果、ディープベッド粒子フィルター1からの出口における排気ガス流全体が、壁流フィルターに供給される。原理的には、この壁流フィルターはまた、ディープベッド粒子フィルター1の出口面に設置され得る。
【0052】
触媒コーティング2は、少なくとも1つの貴金属を有し、ここで、この場合には、触媒コーティング2は、白金を含む。さらに、触媒コーティング2は、少なくとも1つの酸化物の支持材料(この場合には、酸化アルミニウム)を含み、この上に、貴金属が堆積される。触媒コーティング2における触媒は、便宜上、活性物質を含み得、これが、煤の点火温度を低下させることによって、煤粒子の酸化を支持する。酸化セリウムおよび/または酸化ジルコニウムおよび/または酸化テルビウムおよび/または酸化プラセオジムが、特に、これらの型の物質として使用され得る。触媒サイクルの結果として、堆積した煤粒子の完全な酸化、従って、ディープベッド粒子フィルター1の再生に達するために十分な二酸化窒素が提供される。
【0053】
ディープベッド粒子フィルター1の濾過効果に起因して、煤粒子の大部分が、排気ガス流から濾別されることもまた確実となる。残りの残留煤粒子は、煤バリア3内に堆積する。堆積した煤粒子の連続的な酸化もまた、煤バリア3において起こり、ここで、ディープベッド粒子フィルター1において発生した過剰の二酸化窒素が、好ましくは、この目的で使用される。
【0054】
(実施例2)
図2は、ディーゼルエンジンの排気ガスから煤粒子を取り除くためのデバイスの第二の実施例を示す。このデバイス、および特にディープベッド粒子フィルター1は、この場合には、実質的に中空円筒の形状を有する。図2における排気ガス流の流れの方向は、再度、矢印によって示される。中空円筒の外側のケーシング表面は、ディープベッド粒子フィルター1の流入面を形成し、これを介して、排気ガスがディープベッド粒子フィルター1に供給される。ディープベッド粒子フィルター1およびその下流に位置する煤バリア3を通って流れた後に、排気ガス流は、中空円筒の長手方向に延びる中央排出チャネルを通って排出される。
【0055】
ディープベッド粒子フィルター1中のフィルター材料は、好ましくは、図1に示す実施例によるフィルター材料に対応する。ディープベッド粒子フィルター1に適用される触媒コーティング2中の触媒材料もまた、図1に示す実施例における材料に対応する。
【0056】
図2によるディープベッド粒子フィルター1は、同様に設計されたいくつかのフィルター要素4の配置からなる。フィルター要素4は、実質的に円形の形状に設計され、そして中空円筒の周囲の方向で周りに延びる。フィルター要素4は、中空円筒の長手方向に互いに接近して追従し、その結果、フィルター要素4の後面は、閉じた表面を形成し、これが、中空円筒の外側表面および従ってディープベッド粒子フィルター1の流入面を形成する。個々のフィルター要素4は、触媒を含み、この触媒は、各フィルター要素4の全容量にわたって分配される。各フィルター要素4は、三角形の断面を有する。焼結された金属板が、煤バリア3として、各フィルター要素4の側面に適用され、従って、排出チャネル内に突出する鋭角の要素を形成する。
【0057】
排気ガスは、個々のフィルター要素4のディープベッド粒子フィルター1の流入面を介して供給される。フィルター要素4中の触媒は、図1に示す実施例においてと同様の様式で使用されて、排気ガスに含まれる一酸化窒素を酸化する。従って、排気ガス流からの煤粒子の連続的除去のための、複数の触媒サイクルが、再度、フィルター要素4内で確立される。
【0058】
残留煤粒子の堆積が、再度、煤バリア3において起こる。フィルター要素4中の触媒が煤バリア3にすぐ隣接することが、ここで特に有利である。触媒との大きな接触面積が、煤バリア3の二次元設計に起因して、提供される。このことは、触媒中に発生する二酸化窒素もまた、煤バリア3において、煤粒子を酸化するに十分な量で利用可能であることを確実にする。
【0059】
本発明は、ディーゼルエンジンによって生成される排気ガスから煤粒子を取り除くためのプロセスを提供する。このプロセスは、排気ガスに含まれる一酸化窒素の触媒酸化により生成される二酸化窒素の助けを借りて煤粒子を収集する粒子フィルターを使用する。このプロセスは、その粒子フィルターがディープベッド粒子フィルターであって、煤粒子のための濾過効率を有することを特徴とする。この粒子フィルターは、一酸化窒素を二酸化窒素に酸化するための触媒コーティングでコーティングされ、そして粒子フィルターを離れるその排気ガスは、煤バリアとして働く粒子フィルターを通じて続いて濾過される。このフィルターは、95%を超える濾過効率を有し得る。
【0060】
本発明を、その特定の実施形態に関連付けて記載したが、さらなる改変が可能であること、ならびに本願が、一般的に本発明の原理に従い、そして本発明が属する技術の範囲内での公知または慣用的な実施に達するような、そして本明細書中および添付の特許請求の範囲に記載される本質的な特徴に適用され得るような、本開示からの逸脱を含めて、本発明の任意の変更、使用または適用を網羅することが意図されることが、理解される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は、ディーゼルエンジンからの排気ガスから煤粒子を取り除くための装置の第一の実施例の概略図である。
【図2】図2は、ディーゼルエンジンからの排気ガスをから煤粒子を取り除くための装置の第二の実施例の概略図である。
【符号の説明】
【0062】
1 ディープベッド粒子フィルター
2 触媒コーティング
3 煤バリア
4 フィルター要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−13994(P2009−13994A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−261160(P2008−261160)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【分割の表示】特願2002−116780(P2002−116780)の分割
【原出願日】平成14年4月18日(2002.4.18)
【出願人】(501399500)ユミコア・アクチエンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト (139)
【氏名又は名称原語表記】Umicore AG & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Rodenbacher Chaussee 4,D−63457 Hanau,Germany
【Fターム(参考)】