説明

ディールスアルダー反応によるフェニル置換フルオランテンの合成及びその使用

一般式I[式中、記号は以下の意味を有する:R、R、R、R、Rはそれぞれ水素、アルキル、芳香族基、縮合芳香環系、複素芳香族基又は−CH=CH、(E)−CH=CH−C又は(Z)−CH=CH−C、アクリロイル、メタクリロイル、メチルスチリル、−O−CH=CH又はグリシジルであり;基R、R及び/又はRの少なくとも一つは水素ではなく;Xはアルキル基、芳香族基、縮合芳香環系、複素芳香族基又は式(I’)の基又はオリゴフェニル基であり;nは1〜10であるか、又はXがオリゴフェニル基である場合には1〜20であるが;但し、R及びRが水素である場合にR、R、R及びXが同時にフェニルであることはない]のフルオランテン誘導体。更に、本発明は、該フルオランテン誘導体の製造法、及び、有機発光ダイオード(OLED)における発光体分子としての該フルオランテン誘導体の使用、発光体分子として本発明のフルオランテン誘導体を含む発光層、本発明の発光層を含むOLED、及び本発明のOLEDを含む装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルオランテン誘導体、該フルオランテン誘導体の製造法、及び、有機発光ダイオード(OLED)における発光体分子としての該フルオランテン誘導体の使用、発光体分子として本発明のフルオランテン誘導体を含む発光層、本発明の発光層を含むOLED、及び本発明のOLEDを含む装置に関する。
【0002】
有機発光ダイオード(OLED)は電流により励起された際に発光する材料の特性を利用している。OLEDは、特にブラウン管及び液晶ディスプレイの代替として平面ディスプレイの製造のために関心が持たれている。
【0003】
電流による励起の際に発光する多数の材料が提案されてきた。
【0004】
有機発光ダイオードについての概要は、例えばM. T. Bernius et al., Adv. Mat. 2000, 12, 1737に開示されている。使用される化合物は過酷な要求を満たさねばならず、公知の材料は通常課された全ての要求を満たすことは不可能である。
【0005】
US5,281,489には、特に3,4−ベンゾフルオランテン又はモノマーの非置換フルオランテンを蛍光材料として含有してよいOLEDが開示されている。しかしながら、モノマーの非置換フルオランテンは使用中にOLED中で優勢である条件下でマイグレーションを起こすことがある。モノマーの非置換フルオランテンの層は不安定であり、ダイオードの短い寿命を招く。
【0006】
特別なフルオランテン誘導体の使用はUS2002/0022151A1及びEP−A1138745に開示されている。
【0007】
EP−A1138745は帯赤色光を放射するOLEDに関する。このOLEDはフルオランテン骨格を有する化合物を含有する有機層を含み、その際、このフルオランテン骨格は少なくとも1つのアミノ基及びアルケニル基により置換されている。詳細な説明によれば、少なくとも5縮合の、有利には少なくとも6縮合の環を有するフルオランテン誘導体は有利である。この化合物は比較的長波長の光を放射するため、黄色ないし帯赤色の光を放射し得る。EP−A1138745に開示されているフルオランテン誘導体は、フルオランテン誘導体の寿命の向上のために有利にアミノ基を有している。
【0008】
US2002/0022151A1は同様に、発光材料として特定のフルオランテン化合物を含有するOLEDに関する。このフルオランテン化合物は少なくとも1つのジアリールアミノ基を有する。
【0009】
JP−A10−169992はベンゾフルオランテン誘導体及び特に有機発光ダイオードにおける該ベンゾフルオランテン誘導体の使用に関する。JP−A10−169992のベンゾフルオランテン誘導体は、約410nmで、即ち青紫色領域内で吸収極大を示す。
【0010】
本発明の課題は、OLEDにおける発光体分子として適当であり、長い寿命を有し、OLEDにおいて高効率であり、青色領域内で発光極大を有し、かつ高い量子効率を示す化合物を提供することである。
【0011】
上記課題は、一般式I
【0012】
【化1】

[式中、記号は以下の意味を有する:
、R、R、R、Rはそれぞれ水素、アルキル、芳香族基、縮合芳香環系、複素芳香族基又は−CH=CH、(E)−CH=CH−C又は(Z)−CH=CH−C、アクリロイル、メタクリロイル、メチルスチリル、−O−CH=CH又はグリシジルであり;
基R、R及び/又はRの少なくとも一つは水素ではなく;
Xはアルキル基、芳香族基、縮合芳香環系、複素芳香族基又は式(I’)
【0013】
【化2】

の基又はオリゴフェニル基であり;
nは1〜10であるか、又はXがオリゴフェニル基である場合には1〜20であるが;
但し、R及びRが水素である場合にR、R、R及びXが同時にフェニルであることはない]
のフルオランテン誘導体により達成される。
【0014】
本発明のフルオランテン誘導体は、C−C単結合を介してフルオランテン骨格に結合している置換基を有する。意想外にも、本発明のフルオランテン誘導体は、長い寿命を有するOLEDにおける発光層において使用するのに十分に安定である。更に、本発明の化合物は、OLEDにおいて使用する場合に光酸化に対して極めて高い安定性を有する。
【0015】
意想外にも、本発明のフルオランテン誘導体は可視的な電磁スペクトルの青色領域で発光を示すことが見出された。これは、本発明のフルオランテン誘導体が一般に430〜480nm、有利に440〜470nm、特に有利に450〜470nmの可視的な電磁スペクトルの領域で発光を示すことを意味する。
【0016】
全ての可視スペクトルの色を含むディスプレイの製造のために、可視的な電磁スペクトルの赤色領域で発光を示すOLED、可視的な電磁スペクトルの緑色領域で発光を示すOLED及び可視的な電磁スペクトルの青色領域で発光を示すOLEDを提供することが必要である。特に、可視的な電磁スペクトルの青色領域で発光を示す効率的なOLEDの準備に問題があることが強調される。
【0017】
本発明のフルオランテン誘導体は、可視的な電磁スペクトルの青色領域で発光を示すOLEDを製造するのに適当である。
【0018】
本発明の意味において、「アルキル」という用語は、直鎖、分枝鎖又は環式の、置換又は非置換のC〜C20アルキル基、有利にC〜Cアルキル基を指す。X及びRがアルキル基である場合、これは有利に直鎖又は分枝鎖のC〜C10アルキル基、特に有利にC〜Cアルキル基である。アルキル基は非置換であるか、又は芳香族基、ハロゲン、ニトロ、エーテル又はカルボキシル基により置換されていてよい。アルキル基は特に有利に非置換であるか又は芳香族基により置換されている。有利な芳香族基を以下に記載する。更に、フルオランテン骨格に直接結合していないアルキル基の1個以上の隣接していない炭素原子は、Si、P、O又はSにより、有利にO又はSにより置換されていてよい。
【0019】
本発明の意味において、「芳香族基」という用語は、有利にCアリール基(フェニル基)を指す。前記のアリール基は非置換であるか、又は、またもハロゲン、ニトロ、エーテル又はカルボキシル基により、又は式I’の1個以上の基により置換されていてよい直鎖、分枝鎖又は環式のC〜C20アルキル基、有利にC〜Cアルキル基により置換されていてよい。更に、アルキル基の1個以上の炭素原子はSi、P、O、S又はNにより、有利にO又はSにより置換されていてよい。更に、アリール基又はヘテロアリール基は、ハロゲン、ニトロ、カルボキシル基、アミノ基又はアルコキシ基又はC〜C14アリール基、有利にC〜C10アリール基、特にフェニル基又はナフチル基により置換されていてよい。「芳香族基」という用語は、特に有利に、式I’の1個以上の基により、ハロゲン、有利にBr、Cl又はF、アミノ基、有利にNAr’Ar’’(Ar’及びAr’’は相互に独立して、上記に定義されている通り非置換又は置換されていてよいCアリール基であり、アリール基Ar’及びAr’’は上記の基以外に、それぞれ式I’の少なくとも1個の基により置換されていてよい)及び/又はニトロ基により置換されていてよいCアリール基を指す。前記のアリール基は極めて特に有利に非置換であるか、又はNAr’Ar’’により置換されている。
【0020】
本発明の意味において、「縮合芳香環系」という用語は、一般に10〜20個の炭素原子、有利に10〜14個の炭素原子を有する縮合芳香環系を指す。前記の縮合芳香環系は非置換であるか、又は、またもハロゲン、ニトロ、エーテル又はカルボキシル基により置換されていてよい直鎖、分枝鎖又は環式のC〜C20アルキル基、有利にC〜Cアルキル基により置換されていてよい。更に、アルキル基の1個以上の炭素原子はSi、P、O、S又はNにより、有利にO又はSにより置換されていてよい。更に、縮合芳香族基は、ハロゲン、ニトロ、カルボキシル基、アミノ基又はアルコキシ基又はC〜C14アリール基、有利にC〜C10アリール基、特にフェニル基又はナフチル基により置換されていてよい。「縮合芳香環系」という用語は、有利に、ハロゲン、有利にBr、Cl又はF、アミノ基、有利にNAr’Ar’’(Ar’及びAr’’は相互に独立して、上記に定義されている通り非置換又は置換されていてよいCアリール基であり、アリール基Ar’及びAr’’は上記の基以外に、それぞれ式I’の少なくとも1個の基により置換されていてよい)又はニトロ基により置換されていてよい縮合芳香環系を指す。極めて特に有利に、縮合芳香環系は非置換である。適当な縮合芳香環系は、例えばナフタレン、アントラセン、ピレン、フェナントレン又はペリレンである。
【0021】
本発明の意味において、「複素芳香族基」という用語は、少なくとも1個のN又はS原子を含むC〜C14ヘテロアリール基、有利にC〜C10ヘテロアリール基、特に有利にC〜Cヘテロアリール基を指す。前記のヘテロアリール基は、非置換であるか、又は、またもハロゲン、ニトロ、エーテル又はカルボキシル基により置換されていてよい直鎖、分枝鎖又は環式のC〜C20アルキル基、有利にC〜Cアルキル基により置換されていてよい。更に、アルキル基の1個以上の炭素原子はSi、P、O、S又はNにより、有利にO又はSにより置換されていてよい。更に、ヘテロアリール基は、ハロゲン、ニトロ、カルボキシル基、アミノ基又はアルコキシ基又はC〜C14アリール基、有利にC〜C10アリール基により置換されていてよい。「複素芳香族基」という用語は、特に有利に、ハロゲン、有利にBr、Cl又はF、アミノ基、有利にNArAr’(Ar及びAr’は相互に独立して、上記に定義されている通り非置換又は置換されていてよいCアリール基である)又はニトロ基により置換されていてよいヘテロアリール基を指す。極めて特に有利に、ヘテロアリール基は非置換である。
【0022】
本発明の意味において、「オリゴフェニル」という用語は、一般式(IV)
【0023】
【化3】

[式中、
Phはそれぞれ、置換可能な5つ全ての箇所でまたも式(IV)の基により置換されていてよいフェニルであり;
、m、m、m及びmはそれぞれ相互に独立して0又は1であり、その際、指数m、m、m、m又はmの少なくとも1つは少なくとも1である]
の基を指す。
【0024】
、m及びmがそれぞれ0であり、m、mがそれぞれ1であるオリゴフェニル、又は、m、m、m及びmがそれぞれ0であり、mが1であるオリゴフェニル、並びに、m及びmがそれぞれ0であり、m、m及びmがそれぞれ1であるオリゴフェニルは有利である。
【0025】
このように、オリゴフェニル基は、樹状基、即ち超分枝鎖基であってよく、特に、m、m及びmがそれぞれ0であり、m及びmがそれぞれ1であるか、又はm及びmがそれぞれ0であり、m、m及びmがそれぞれ1であり、フェニル基がまたもその置換可能な1〜5箇所で、有利に2又は3箇所で、特に有利に、2箇所での置換の場合にはそれぞれ式(IV)の基礎構造への結合点に対してメタ位で、3箇所での置換の場合にはそれぞれ式(IV)の基礎構造への結合点に対してオルト位及びパラ位で、式(IV)の基により置換されている。
【0026】
しかしながら、オリゴフェニル基は、特に指数m、m、m、m及びmのうちの1つだけが1である場合には実質的に非分枝鎖であってもよく、非分枝鎖の場合にはmが1であり、m、m、m及びmが0であるのが有利である。フェニル基はまたもその置換可能な1〜5箇所で式(IV)の基により置換されていてよく;フェニル基は有利にその置換可能な1箇所で、特に有利に基礎構造への結合点に対してパラ位で、式(IV)の基により置換されている。以下で、基礎構造に直接結合している置換基を第一の置換基世代と呼称する。式(IV)の基はまたも上記に定義されている通り置換されていてよい。以下で、第一の置換基世代に結合している置換基を第二の置換基世代と呼称する。
【0027】
第一及び第二の置換基世代と類似する全ての他の所望の多数の置換基世代が可能である。上記の置換基パターンを有し、かつ第一の置換基世代及び第二の置換基世代を有するオリゴフェニル基、又は第一の置換基世代のみを有するオリゴフェニル基は有利である。
【0028】
本発明の意味において、「オリゴフェニル基」という用語は、式V、VI及びVII:
【0029】
【化4】

[式中、
Qはそれぞれ式I’の基又は式VIII:
【0030】
【化5】

の基への結合である]
のうちの1つの基礎構造をベースとする基をも指し、
ここで、Phはそれぞれまたも式VIIIの基の中央のフェニル環の置換パターンに相応して最高4箇所で式VIIIの基により置換されていてよいフェニル基であり;
、n、n及びnはそれぞれ相互に独立して0又は1であり、n、n、n及びnは有利に1である。
【0031】
このように、式V、VI及びVIIのオリゴフェニル基は樹状基、即ち超分枝鎖基であってよい。
【0032】
式IV、V、VI及びVIIのオリゴフェニルは、式(I’)の1〜20個、有利に4〜16個、特に有利に4〜8個の基により置換されており、その際、1つのフェニル基は式(I’)の1個、0個又は複数個の基により置換されていてよい。フェニル基は有利に式(I’)の1個又は0個の基により置換されており、少なくとも1個のフェニル基は式(I’)の基により置換されている。
【0033】
Xが一般式IVのオリゴフェニル基である式Iの極めて特に有利な化合物を以下に示す:
【0034】
【化6】

【0035】
Xが一般式V、VI又はVIIのオリゴフェニル基である式Iの極めて特に有利な化合物を以下に示す:
【0036】
【化7】

【0037】
【化8】

【0038】
基R、R、R、R、R及びXは上記の基から独立して選択されていてよいが、但し、基R、R及び/又はRの少なくとも一つは水素ではなく、R及びRが水素である場合にR、R、R及びXが同時にフェニルであることはない。
【0039】
及びRは有利に水素である。
【0040】
及びRはそれぞれ有利に芳香族基、縮合芳香環系又は式I’の基であり、特に有利に芳香族基であり、ここで、芳香族基の有利な実施態様は上記されている。極めて特に有利に、R及びRはフェニル基である。
【0041】
は有利に水素、アルキル(ここで、アルキル基の有利な実施態様は上記されており、特に有利にC〜Cアルキルであり、該基は極めて特に有利に非置換でかつ直鎖である)、芳香族基(ここで、有利な芳香族基は上記されており、特に有利にフェニル基である)である。
【0042】
Xは有利に芳香族基(ここで、有利な芳香族基は上記されており、特に有利に、nに依って1〜3個のフルオランテニル基により置換されているCアリール基である)、又は縮合芳香環系(ここで、有利な縮合芳香環系は上記されており、特に有利にC10〜C14縮合芳香環系、極めて特に有利にナフチル又はアントラセニルであり、ここで、縮合芳香環系は、nに依って1〜3個のフルオランテニル基により置換されている)である。Xが6個の炭素原子を有する芳香族基である場合、該芳香族基は有利にフルオランテニル基により1位及び4位で、又は1位、3位及び5位で置換されている。Xが例えばアントラセニル基である場合、該基は有利に9位及び10位でフルオランテニル基により置換されている。本発明の意味において、フルオランテニル基は式I’
【0043】
【化9】

の基である。
【0044】
基X自体が式I’のフルオランテニル基であることも可能である。
【0045】
更に、Xはオリゴフェニル基であってよく、その際、有利なオリゴフェニル基は上記されている。m、m、m、m及びmがそれぞれ0又は1であり、指数m、m、m、m及びmの少なくとも1つが1である一般式(IV)のオリゴフェニル基は有利である。
【0046】
nは1〜10、有利に1〜4、特に有利に1〜3、極めて特に有利に2〜3の整数である。これは、一般式Iのフルオランテン誘導体が有利に一般式I’の1個より多いフルオランテニル基を有することを意味する。従って、X自体がフルオランテニル基である化合物も同様に有利である。Xがオリゴフェニル基である場合、nは1〜20、有利に4〜16の整数である。
【0047】
ヘテロ原子を含まない一般式Iのフルオランテン誘導体は極めて特に有利である。
【0048】
極めて特に有利な実施態様において、Xは場合により置換されたフェニル基であり、nは2又は3である。これは、フェニル基が式I’の2又は3個の基により置換されていることを意味する。フェニル基は有利に他の置換基を含まない。nが2である場合、式I’の基は相互にパラ位にある。nが3である場合、該基は相互にメタ位にある。
【0049】
他の有利な実施態様において、Xは場合により置換されたフェニル基であり、nは1であり、即ちフェニル基は式I’の1個の基により置換されている。
【0050】
Xがアントラセニル基であり、nが2であるのも有利である。これは、アントラセニル基が式I’の2個の基により置換されていることを意味する。前記基は有利にアントラセニル基の9位及び10位に位置している。
【0051】
一般式Iの新規のフルオランテン誘導体の製造は、当業者に公知の全ての適当な方法により実施することができる。有利な実施態様において、式Iのフルオランテン誘導体は、シクロペンタアセナフテノン誘導体の反応により製造される(以下、アセシクロン誘導体と呼称する)。nが1である式Iの化合物の適当な製造法は、例えばDilthey et al., Chem. Ber. 1938, 71, 974 及びVan Allen et al., J. Am. Chem. Soc., 1940, 62, 656に開示されている。
【0052】
有利な実施態様において、一般式Iの新規のフルオランテン誘導体は、アセシクロン誘導体をアルキニル化合物と反応させることにより製造される。
【0053】
従って本発明は更に、式(II)
【0054】
【化10】

の化合物を式(III)
【0055】
【化11】

[式中、記号は以下の意味を有する:
、R、R、R、Rはそれぞれ水素、アルキル、芳香族基、縮合芳香環系、複素芳香族基又は−CH=CH、(E)−CH=CH−C又は(Z)−CH=CH−C、アクリロイル、メタクリロイル、メチルスチリル、−O−CH=CH又はグリシジルであり;
基R、R及び/又はRの少なくとも一つは水素ではなく;
Xはアルキル基、芳香族基、縮合芳香環系、複素芳香族基又は式(I’)
【0056】
【化12】

の基又はオリゴフェニル基であり;かつ
nは1〜10であるか、又はXがオリゴフェニル基である場合には1〜20である]
のアルキニル化合物と反応させ、引き続き一酸化炭素を脱離させることによる、本発明のフルオランテン誘導体の製造法を提供する。
【0057】
式IIのアセシクロン誘導体は先行技術から公知である方法により、例えば、アセシクロン(7,9−ジフェニル−シクロペンタ[a]アセナフチレン−8−オン)の合成が開示されている、Dilthey et al., J. prakt. Chem. 1935,143, 189における方法により製造される。アセシクロンの誘導体は同様の方法で得ることができる。
【0058】
式IIIのアルキニル化合物は同様に当業者に公知の方法により製造することができる。適当な方法は、例えばHagihara et al., Synthesis (1980), 627及びL. Cassar, J. Organomet. Chem. 93 (1979), 253に開示されている。
【0059】
式IIのアセシクロン誘導体と式IIIのアルキニル化合物との比は、式Iの所望のフルオランテン誘導体が有するべきフルオランテニル基の数に依存しており、即ち、式IIのアセシクロン誘導体と式IIIのアルキニル化合物との比はnに依存している。一般に、アセシクロン誘導体(II)及びアルキニル化合物(III)はn:1〜n+15%:1、有利にn:1〜n+10%:1のモル比で使用される。n=1である場合にほぼ等モルが有利であり、n>1である場合にはアセシクロン誘導体(II)対アルキニル化合物(III)=n+10%:1の比が有利に用いられる。nの適当な値は上記されている。
【0060】
式IIのアセシクロン誘導体と式IIIのアルキニル化合物(n=1)との反応において、反応は、一般に式IIのアセシクロン誘導体:式IIIのアルキニル化合物=1:1〜1.3:1、有利に1:1〜1.1:1のモル比で実施される。
【0061】
式IIのアセシクロン誘導体と式IIIのアルキニル化合物(n=2)との反応において、反応は、一般に式IIのアセシクロン化合物:式IIIのアルキニル化合物=2:1〜2.5:1、有利に2.1:1〜2.3:1のモル比で実施される。
【0062】
式IIのアセシクロン化合物と式IIIのアルキニル化合物(n=3)との反応において、反応は、一般に式IIのアセシクロン化合物:式IIIのアルキニル化合物=3:1〜3.5:1、有利に3.2:1〜3.4:1のモル比で実施される。
【0063】
式IIのアセシクロン誘導体の有利な基R、R、R及びR、及び式IIIのアルキニル化合物の有利な基X及びR、及び式IIIのアルキニル化合物の有利な指数nは、一般式Iの新規のフルオランテン誘導体に関して述べた有利な基R、R、R、R、R及びX及び有利な指数nに相応する。
【0064】
極めて特に有利な実施態様において、R及びRはそれぞれ水素であり、R及びRはそれぞれフェニルである。従って、用いられる式IIのアセシクロンの誘導体は極めて特に有利にアセシクロン自体である。
【0065】
極めて特に有利なアルキニル化合物は、例えばnが1であるアルキニル化合物、例えば9−ノナデシン、1−オクチン、1−デシン及び1−オクタデシン、nが2であるアルキニル化合物、例えば1,4−ジエチニルベンゼン及び9,10−ビスフェニルエチニルアントラセン、更に2,4−ヘキサジイン、及びnが3であるアルキニル化合物、例えば1,3,5−トリエチニルベンゼンである。
【0066】
Xがオリゴフェニルである場合、使用されるアルキニル化合物は、厳密にnを含まないアセチレン基(−C≡C−H)を有するオリゴフェニル誘導体である。
【0067】
本発明の方法における反応は、ディールスアルダー反応及び引き続く一酸化炭素の脱離である。
【0068】
反応は一般に、溶剤中で、有利に有機非極性溶剤中で、特に有利に一般に100℃を上回る、有利に140℃を上回る、特に有利に260℃を上回る沸点を有する有機非極性溶剤中で実施される。
【0069】
適当な溶剤は、例えばトルエン、キシレン、ジフェニルエーテル、メチルナフタレン、メシチレン、グリコール及びそのエーテル、デカリン及び前記溶剤の混合物である。
【0070】
本発明の方法の有利な実施態様において、式IIのアセシクロン誘導体及び式IIIのアルキニル化合物は一緒に有機溶剤中に導入され、一般に140〜260℃、有利に140〜170℃、又は240〜260℃の温度に加熱される。温度は出発材料の反応性に依存する。末端アルキン(式(II)においてR=H)は一般に比較的低温で、有利に140〜190℃で、特に有利に140〜170℃で、極めて特に有利に140〜160℃で反応し、一方で内部のアルキン(式(III)においてR≠H)は一般により高い温度で、有利に190〜260℃で、有利に220〜260℃で、特に有利に240〜260℃で反応する。反応時間は一般に8〜30時間である。反応時間はRの嵩高性及び式IIIにおけるnに依存する。n=1の場合の反応時間は有利に8〜18時間、特に有利に10〜16時間、極めて特に有利に14〜16時間である。n=2である場合、反応時間は有利に18〜28時間、特に有利に20〜26時間、極めて特に有利に22〜26時間である。n=3である場合、反応時間は有利に24〜30時間、特に有利に26〜30時間、極めて特に有利に28〜30時間である。
【0071】
得られた反応混合物は極性溶媒中で、例えばメタノール又はエタノール中で、又は適当であれば非極性溶媒、例えばシクロヘキサン中で沈殿される。特に可溶性のフルオランテン誘導体の場合、沈殿工程を省略することができる。得られた生成物を当業者に公知の方法により後処理する。後処理は有利にカラムクロマトグラフィーにより、特に有利にシリカゲル上で実施される。溶離液として、全ての適当な溶離液又は溶離液混合物を使用することができる。エチルアセタート/シクロヘキサン混合物を使用するのが極めて特に有利である。
【0072】
得られた一般式Iの新規のフルオランテン誘導体は、電磁スペクトルの紫外領域内で吸収極大を有し、電磁スペクトルの青色領域内で発光極大を有する。本発明のフルオランテン誘導体の量子効率は、トルエン中で一般に20〜75%である。nが2又は3である一般式Iのフルオランテン誘導体は50%を上回る特に高い量子効率を示すことが見出された。
【0073】
本発明のフルオランテン誘導体は、有機発光ダイオード(OLED)において使用される場合に、可視的な電磁スペクトルの青色領域の電磁線の放射に適当である。
【0074】
従って本発明は更に、有機発光ダイオード(OLED)における発光体分子としての、一般式(I)
【0075】
【化13】

[式中、記号は以下の意味を有する:
、R、R、R、Rはそれぞれ水素、アルキル、芳香族基、縮合芳香環系、複素芳香族基又は−CH=CH、(E)−CH=CH−C又は(Z)−CH=CH−C、アクリロイル、メタクリロイル、メチルスチリル、−O−CH=CH又はグリシジルであり;
基R、R及び/又はRの少なくとも一つは水素ではなく;
Xはアルキル基、芳香族基、縮合芳香環系、複素芳香族基又は式(I’)
【0076】
【化14】

の基又はオリゴフェニル基であり;
nは1〜10であるか、又はXがオリゴフェニル基である場合には1〜20である]
のフルオランテン誘導体の使用を提供する。有利なフルオランテン誘導体及びその製造法は上記されている。
【0077】
有機発光ダイオードは基本的に複数の層から構成されている。例えば以下のような種々の層配列が可能である:
−アノード/正孔輸送層/発光層/カソード;
−アノード/発光層/電子輸送層/カソード;
−アノード/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/カソード。
【0078】
一般式Iの新規のフルオランテン誘導体は、有利に発光層における発光体分子として使用される。従って本発明は更に、一般式I
【0079】
【化15】

[式中、記号は以下の意味を有する:
、R、R、R、Rはそれぞれ水素、アルキル、芳香族基、縮合芳香環系、複素芳香族基又は−CH=CH、(E)−CH=CH−C又は(Z)−CH=CH−C、アクリロイル、メタクリロイル、メチルスチリル、−O−CH=CH又はグリシジルであり;
基R、R及び/又はRの少なくとも一つは水素ではなく;
Xはアルキル基、芳香族基、縮合芳香環系、複素芳香族基又は式(I’)
【0080】
【化16】

の基又はオリゴフェニル基であり;
nは1〜10であるか、又はXがオリゴフェニル基である場合には1〜20である]
の1種以上のフルオランテン誘導体を発光体分子として含む発光層をも提供する。有利なフルオランテン誘導体及びその製造法は上記されている。
【0081】
本発明のフルオランテン誘導体は、発光層、電子輸送層及び正孔輸送層のうちから選択された上記の層のいずれにおいても使用することができる。本発明のフルオランテン誘導体は有利に発光層における発光体として使用される。発光層において、フルオランテン誘導体は有利にそのままで、即ち他の物質を添加することなく使用される。しかしながら、慣用の発光材料、ドーパント、正孔輸送物質及び/又は電子輸送物質を、本発明のフルオランテン誘導体に加えて使用することもできる。本発明のフルオランテン誘導体をそのままで使用しない場合には、本発明のフルオランテン誘導体を、1〜70質量%、有利に1〜20質量%の濃度で上記の層のいずれにも導入することができる。
【0082】
OLEDの個々の上記の層は、またも2つ以上の層から構成されていてよい。例えば、正孔輸送層は、中に電極から正孔が注入される層(以下、正孔注入層と呼称する)と、正孔を正孔注入層から発光層へと輸送する層とから構成されていてよい。この層を以下で正孔輸送層と呼称する。電子輸送層も、同様に複数の層、例えば、電子が電極により注入される層(以下で電子注入層と呼称する)と、電子を電子注入層から受け取り、この電子を発光層へ輸送する層(以下で電子輸送層と呼称する)とから構成されている。前記の各層は、例えばエネルギー準位、耐熱性及び電荷担体移動度、更には、上記層と有機層又は金属電極との間のエネルギー差といった因子に応じて選択される。
【0083】
基礎材料として一般式Iの新規のフルオランテン誘導体と組み合わせて発光層において使用することができる適当な材料は、アントラセン、ナフタレン、フェナントレン、ピレン、テトラセン、コロネン、クリセン、フルオレセイン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ペリノン、フタロペリノン、ナフタロペリノン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、アルダジン、ビスベンゾオキサゾリン、ビススチリル、ピラジン、シクロペンタジエン、キノリンの金属錯体、アミノキノリンの金属錯体、ベンゾキノリンの金属錯体、イミン、ジフェニルエチレン、ビニルアントラセン、ジアミノカルバゾール、ピラン、チオピラン、ポリメチン、メロシアニン、オキシノイド化合物とイミダゾールとのキレート、キナクリドン、ルブレン、スチルベン誘導体及び蛍光顔料である。
【0084】
正孔輸送材料として、一般に、アノードから正孔を取り込み、かつ正孔を輸送することができ、かつ同時に発光層に正孔を注入するのに適当である化合物が使用される。適当な正孔輸送材料は、例えば、フタロシアニンの金属錯体、ナフタロシアニンの金属錯体、ポルフィリンの金属錯体、ピラゾロン、テトラヒドロイミダゾール、ヒドラゾン、アシルヒドラゾン、ポリアリールアルカン、チオフェン、3級芳香族アミン、例えばベンジジン型のトリフェニルアミン、スチリルアミン型のトリフェニルアミン、ジアミン型のトリフェニルアミン、前記化合物の誘導体、シラナミン、特にトリフェニルシリル基を有するシラナミン、及び高分子化合物、例えばポリビニルカルバゾール、ポリビニルシラン、ポリチオフェン、ポリ(p−フェニレン)及び伝導性高分子である。特に有利な正孔輸送材料は、例えばEP−A1138745及び Chen et al. Macromol. Symp. 125, 9-15 (1997)に開示されている。
【0085】
適当な電子輸送材料は、電子を輸送して電子を発光層に注入さえもできる化合物である。適当な電子輸送材料は、例えばオキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロン、イミダゾールチオン、フルオレノン、アントラキノンジメタン、ジフェノキノン、チオピランジオキシド、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロン、イミダゾールチオン、フルオレノン、アントラキノンジメタン、ジフェノキノン、チオピランジオキシド、ペリレンテトラカルボン酸、フルオレニリデンメタン、ジスチリルアリーレン、アリーレン、クマリン及び前記化合物の誘導体、更に金属キレートである。特に有用な化合物は、AlQ(トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム)、BeBq、1,3,4−オキシダゾール誘導体(OXD)、例えばPBD及び1,2,4−トリアゾール(TAZ)である。更に適当な化合物は、ペリレンジカルボキシイミド(PD)、ナフタレンジカルボキシイミド(ND)及びチオピランスルホン(TPS)のビス(ベンゾイミダゾリル)誘導体である。有利な電子輸送材料は、例えばEP−A1138745に開示されている。
【0086】
熱、湿気及び他の影響に対する本発明のOLEDの安定性を向上させるために、OLEDはOLEDの表面上の保護層により保護されてよく、その際、この保護層は例えば樹脂又はシリコーン油から成る。
【0087】
本発明のOLEDのアノードのために適当な伝導性材料として、≧4eVの仕事関数を有する材料を用いるのが有利である。アノードのための適当な材料は、例えば炭素、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、タングステン、金、白金、パラジウム及び前記材料の合金、ITO基板(ITO=インジウム−スズ酸化物)及びNESA基板のために使用されるような金属酸化物、例えば酸化スズ及び酸化インジウム、及び有機伝導性ポリマー、例えばポリチオフェン及びポリピロールである。
【0088】
カソードのための適当な伝導性材料は、<4eVの仕事関数を有する材料である。カソードのための適当な材料は、例えばマグネシウム、カルシウム、スズ、鉛、チタン、イットリウム、リチウム、ルテニウム、マンガン、アルミニウム及び前記材料の合金である。
【0089】
アノード及びカソードは、適当であれば2つか又はそれ以上の層から成る多層構造を有してよい。
【0090】
本発明のOLEDは有利に更にカルコゲニド、金属ハロゲン化物又は金属酸化物の層を少なくとも1つの電極対の表面上に有する。金属、例えばケイ素又はアルミニウムのカルコゲニド(酸化物を含む)の層を、発光層の方向を指す側のアノードの表面に施与するのが特に有利である。金属ハロゲン化物又は金属酸化物の層は、有利に発光層の方向を指すカソードの表面に施与される。前記の2つの層により、OLEDの安定性を改善することができる。上記の層のための有利な材料は、例えばEP−A1138745に記載されている。
【0091】
OLEDの個々の層の更に有利な実施態様は、同様にEP−A1138745に開示されている。
【0092】
一般に、本発明のOLEDの少なくとも1つの面は、発光すべき波長で効率的な発光を可能にするために透明である。透明な電極は一般に蒸着又はスパッタリングにより施与される。電極は有利にOLEDの発光面上で≧10%の透光度を有する。適当な材料は当業者に公知である。例えば、ガラス基板又は透明なポリマーフィルムを使用することができる。
【0093】
本発明のOLEDの製造は当業者に公知である。OLEDの各層を、薄膜形成のためのドライプロセス、例えば蒸着、スパッタリング、プラズマプレーティング又はイオンプレーティング、又は薄膜形成のためのウェットプロセス、例えばスピンコート、浸漬又はフローコートにより製造することができる。個々の層厚は制限されず、通常の厚さは当業者に公知である。層の適当な厚さは一般に5nm〜10μmの範囲内である。10nm〜0.2μmの厚さは有利である。薄膜形成のためのドライプロセス又はウェットプロセスを実施するための手順は当業者に公知である。
【0094】
従って本発明は更に、一般式(I)
【0095】
【化17】

[式中、記号は以下の意味を有する:
、R、R、R、Rはそれぞれ水素、アルキル、芳香族基、縮合芳香環系、複素芳香族基又は−CH=CH、(E)−CH=CH−C又は(Z)−CH=CH−C、アクリロイル、メタクリロイル、メチルスチリル、−O−CH=CH又はグリシジルであり;
基R、R及び/又はRの少なくとも一つは水素ではなく;
Xはアルキル基、芳香族基、縮合芳香環系、複素芳香族基又は式(I’)
【0096】
【化18】

の基又はオリゴフェニル基であり;
nは1〜10であるか、又はXがオリゴフェニル基である場合には1〜20である]
の1種以上のフルオランテン誘導体を発光体分子として含む発光層を含むOLEDをも提供する。
【0097】
本発明のOLEDは種々の装置において使用することができる。従って、本発明は更に、定置型VDU、例えばコンピュータ、テレビのVDU、プリンタ、台所用品及び広告掲示板、照明、案内標識板中のVDU、及び可動型VDU、例えば携帯電話、ラップトップ、車両及びバス及び電車の行先表示板におけるVDUから成る群から選択された装置を提供する。
【0098】
以下の実施例により本発明を説明する。
【0099】
実施例
7,8,9,10−テトラフェニルフルオランテン:
【0100】
【化19】

【0101】
7,8,9,10−テトラフェニルフルオランテンをDilthey et al., Chem. Ber. 1938, 71, 974及びVan Allen et al., J. Am. Chem. Soc., 1940, 62, 656により記載された通りに合成した。
λmax,em(トルエン)=462nm、量子効率(トルエン):35%;λmax,em(薄膜)=472nm
【0102】
8−ナフチル−2−イル−7,10−ジフェニルフルオランテン:
【0103】
【化20】

【0104】
1−エチニルナフタレン1.281g及び7,9−ジフェニルシクロペンタ[a]アセナフチレン−8−オン(アセシクロン、Dilthey et al., J. prakt. Chem. 1935,143, 189により記載された通りに合成したもの)3gをキシレン20g中に溶解させ、16時間還流させた。メタノール中での沈殿及びシリカゲル(Merck社シリカゲル60、エチルアセタート/シクロヘキサン)上でのクロマトグラフィーにより、ベージュ色の固形物3.1gを得た。
λmax,em(トルエン)=468nm、量子効率(トルエン):31%;λmax,em(薄膜)=466nm
【0105】
8−ノニル−9−オクチル−7,10−ジフェニルフルオランテン:
【0106】
【化21】

【0107】
9−ノナデシン1.484g及びアセシクロン2gをジフェニルエーテル15g中に溶解させ、16時間還流させた。メタノール中での沈殿及びシリカゲル(Merck社シリカゲル60、エチルアセタート/シクロヘキサン)上でのクロマトグラフィーにより、8−ノニル−9−オクチル−7,10−ジフェニルフルオランテンを帯茶色の固形物として得た。
λmax,em(トルエン)=468nm、量子効率(トルエン):21%
【0108】
ベンゼン−1,4−ビス−(2,9−ジフェニルフルオラント−1−イル):
【0109】
【化22】

【0110】
1,4−ジエチニルベンゼン1g及びアセシクロン6.5をキシレン22g中に溶解させ、16時間還流させた。シリカゲル(Merck社シリカゲル60、エチルアセタート/シクロヘキサン)上でのクロマトグラフィーにより、ベンゼン−1,4−ビス(2,9−ジフェニルフルオラント−1−イル)を帯黄色の固形物として得た。
λmax,em(トルエン)=461nm、量子効率(トルエン):59%;λmax,em(薄膜)=467nm
【0111】
ベンゼン−1,3,5−トリス(2,9−ジフェニルフルオラント−1−イル):
【0112】
【化23】

【0113】
1,3,5−トリエチニルベンゼン0.2g及びアセシクロン2gをキシレン20g中に溶解させ、24時間還流させた。メタノール中での沈殿及びシリカゲル(Merck社シリカゲル60、エチルアセタート/シクロヘキサン)による濾過により、ベージュ色の固形物0.6gを得た。
λmax,em(トルエン)=459nm、量子効率(トルエン):51%;λmax,em(薄膜)=467nm
【0114】
9,9’−ジメチル−7,10,7’,10’−テトラフェニル−[8,8’]ビフルオランテン:
【0115】
【化24】

【0116】
2,4−ヘキサジイン0.61g及びアセシクロン8gをジフェニルエーテル15g中に溶解させ、26時間還流させた。溶剤の留去及びシリカゲル(Merck社シリカゲル60、エチルアセタート/シクロヘキサン)上でのクロマトグラフィーにより、ベージュ色の固形物4.2gを得た。
λmax,em(トルエン)=463nm、量子効率(トルエン):34%
【0117】
9,10−ビス(2,9,10−トリフェニルフルオランテン−1−イル)アントラセン、9,10−ビス(9,10−ジフェニル−2−オクチルフルオランテン−1−イル)アントラセン:
【0118】
【化25】

【0119】
R=フェニル、オクチル
フェニル誘導体:9,10−ビスフェニルエチニルアントラセン0.92g及びアセシクロン2gをジフェニルエーテル15g中に溶解させ、14時間還流させた。溶剤の留去及びメタノール中での沈殿により、灰色の固形物0.7gを得た。
λmax,em(トルエン)=456nm、量子効率(トルエン):72%;λmax,em(薄膜)=461nm
【0120】
アルキル誘導体:9,10−ビス(4−オクチルフェニルエチニル)アントラセン0.91g(Hagihara et al., Synthesis 1980,627により記載された通りに、Pd(0)触媒を用いた、1−デシンと9,10−ジブロモアントラセンとのハギハラ−ソノガシラカップリング2回により合成したもの)及びアセシクロン2.1gをジフェニルエーテル15g中に溶解させ、10時間還流させた。溶剤の留去、エタノール中での沈殿及びシリカゲル(Merck社シリカゲル60、エチルアセタート/シクロヘキサン)上でのクロマトグラフィーにより、9,10−ビス(9,10−ジフェニル−2−オクチルフルオランテン−1−イル)アントラセン(1.8g)が得られた。
λmax,em(トルエン)=455nm、量子効率(トルエン):44%

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I
【化1】

[式中、記号は以下の意味を有する:
、R、R、R、Rはそれぞれ水素、アルキル、芳香族基、縮合芳香環系、複素芳香族基又は−CH=CH、(E)−CH=CH−C又は(Z)−CH=CH−C、アクリロイル、メタクリロイル、メチルスチリル、−O−CH=CH又はグリシジルであり;
基R、R及び/又はRの少なくとも一つは水素ではなく;
Xはアルキル基、芳香族基、縮合芳香環系、複素芳香族基又は式(I’)
【化2】

の基又はオリゴフェニル基であり;
nは1〜10であるか、又はXがオリゴフェニル基である場合には1〜20であるが;
但し、R及びRが水素である場合にR、R、R及びXが同時にフェニルであることはない]
のフルオランテン誘導体。
【請求項2】
及びRがそれぞれ水素である、請求項1記載のフルオランテン誘導体。
【請求項3】
及びRがそれぞれフェニル基である、請求項1又は2記載のフルオランテン誘導体。
【請求項4】
Xが芳香族基、縮合芳香環系又は式I’の基又はオリゴフェニル基である、請求項1から3までのいずれか1項記載のフルオランテン誘導体。
【請求項5】
nが2又は3であるか、又はXがオリゴフェニル基である場合には1〜20である、請求項4記載のフルオランテン誘導体。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項記載のフルオランテン誘導体の製造法において、式II
【化3】

の化合物を式(III)
【化4】

[式中、記号は以下の意味を有する:
、R、R、R、Rはそれぞれ水素、アルキル、芳香族基、縮合芳香環系、複素芳香族基又は−CH=CH、(E)−CH=CH−C又は(Z)−CH=CH−C、アクリロイル、メタクリロイル、メチルスチリル、−O−CH=CH又はグリシジルであり;
基R、R及び/又はRの少なくとも一つは水素ではなく;
Xはアルキル基、芳香族基、縮合芳香環系、複素芳香族基又は式(I’)
【化5】

の基又はオリゴフェニル基であり;
nは1〜10であるか、又はXがオリゴフェニル基である場合には1〜20である]
のアルキニル化合物と反応させ、引き続き一酸化炭素を脱離させることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のフルオランテン誘導体の製造法。
【請求項7】
式(II)の化合物がアセシクロンである、請求項6記載の方法。
【請求項8】
有機発光ダイオード(OLED)における発光体分子としての、一般式(I)
【化6】

[式中、記号は以下の意味を有する:
、R、R、R、Rはそれぞれ水素、アルキル、芳香族基、縮合芳香環系、複素芳香族基又は−CH=CH、(E)−CH=CH−C又は(Z)−CH=CH−C、アクリロイル、メタクリロイル、メチルスチリル、−O−CH=CH又はグリシジルであり;
基R、R及び/又はRの少なくとも一つは水素ではなく;
Xはアルキル基、芳香族基、縮合芳香環系、複素芳香族基又は式(I’)
【化7】

の基又はオリゴフェニル基であり;
nは1〜10であるか、又はXがオリゴフェニル基である場合には1〜20である]
のフルオランテン誘導体又は請求項1から5までのいずれか1項記載のフルオランテン誘導体の使用。
【請求項9】
請求項1から5までのいずれか1項記載の、又は請求項8記載の、一般式(I)の1種以上のフルオランテン誘導体を発光体分子として含む発光層。
【請求項10】
請求項9記載の発光層を含むOLED。
【請求項11】
請求項10記載のOLEDを含む、定置型VDU、例えばコンピュータ、テレビのVDU、プリンタ、台所用品及び広告掲示板、照明、案内標識板中のVDU、及び可動型VDU、例えば携帯電話、ラップトップ、車両及びバス及び電車の行先表示板におけるVDUから成る群から選択された装置。

【公表番号】特表2007−507449(P2007−507449A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530032(P2006−530032)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【国際出願番号】PCT/EP2004/010850
【国際公開番号】WO2005/033051
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】