デコード処理プログラム、デコード処理方法およびデコード処理装置
【課題】取得画像データの画質を適正化して、デコード性能を向上することを課題とする。
【解決手段】デコード処理装置10は、入力機器11(例えば、カメラなど)によって撮影された画像の画像データをデコード対象として取得し、その画像データのデコード処理を行う。そして、デコード処理装置10は、コードのデコード処理が成功したか否かを判定する。その結果、デコード処理装置10は、デコード処理が成功しなかったと判定された場合には、画像データ取得時の画像取得特性を調整する。
【解決手段】デコード処理装置10は、入力機器11(例えば、カメラなど)によって撮影された画像の画像データをデコード対象として取得し、その画像データのデコード処理を行う。そして、デコード処理装置10は、コードのデコード処理が成功したか否かを判定する。その結果、デコード処理装置10は、デコード処理が成功しなかったと判定された場合には、画像データ取得時の画像取得特性を調整する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、入力機器によって撮影された画像データを取得し、当該画像データに埋め込まれたコードのデコード処理を行うデコード処理プログラム、デコード処理方法およびデコード処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、隣接ブロックの平均濃度の差を使用して隣接ブロックのペアにコードを埋め込むコード埋め込み技術がある。例えば、特許文献1に開示された画像処理装置では、コード埋め込み技術により画像にステガノグラフィコードを埋め込んだ後、カメラ等の入力装置によって撮影された画像データを取得してデコード処理を行う。このデコード処理においては、入力画像データの隣接ブロックの階調レベルの差から元のコードをデコードする処理を行っている(図10参照)。
【0003】
このデコードする処理について具体的に説明すると、カメラ等の入力機器のデフォルトの固定設定値(例えば、適正焦点距離や視野範囲など)を用いて画像取得を行い、取得された画像に対して、コードの埋め込まれた画像領域(コード領域)を検出し、検出領域を複数のブロックに分割し、各ブロックの階調レベルを算出し、隣接ブロック(ブロックペア)の階調レベルの大小関係(レベル差)から埋め込まれたデータを取り出す。
【0004】
【特許文献1】特開2006−191665号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記した従来の技術では、入力機器のデフォルトの固定設定値を用いて画像データの取得を行っていたので、適正焦点距離での撮影画像データ中のコード埋め込み領域の大きさを調整できないため、画素解像度が不足してデコードに失敗したり、撮影時の入力機器の入出力特性の設定が不適切なため、一部のブロックの階調レベル差を正しく取得できずにデコードに失敗するという問題があった。
【0006】
つまり、入力機器の適正焦点距離や視野範囲を固定設定値としているため、印刷紙面上のコード領域の大きさと撮影距離によって画像中のコード領域のサイズとボケ具合が変わる。例えば、適正焦点距離での視野範囲が広い場合には、入力画像中のコード領域のサイズが小さく、デコードに必要な画素解像度(コード領域に含まれる画素数)が不足し、階調レベルを正しく算出できずデコードに失敗する(図11の(1)参照)。一方、撮影距離を近づけて、入力画像中のコード領域が適正サイズになるよう撮影距離を近づけると、画像がボケてしまい、階調レベルを正しく算出できずデコードに失敗する(図11の(2)参照)。
【0007】
また、図12に示すように、入力機器の入出力特性の非線形性(明るさ、コントラスト調整による明暗部分の階調潰れ)により、入力画像におけるブロックペアの階調レベルの差が撮影画像では平坦になってしまう領域(不感領域)が生じ、本来あるはずの階調レベル差が無くなってしまいデコードに失敗する。
【0008】
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、取得画像データの画質を適正化して、デコード性能を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、入力機器によって撮影された画像データを取得し、当該画像データに埋め込まれたコードのデコード処理を行うデコード処理方法をコンピュータに実行させるデコード処理プログラムであって、コードのデコード処理が成功したか否かを判定するデコード判定手順と、前記デコード判定手順によって前記デコード処理が成功しなかったと判定された場合には、前記画像データ取得時の画像取得特性を調整する画像取得特性調整手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記の発明において、前記画像取得特性調整手順は、前記画像取得特性として、前記画像データに埋め込まれたコードの領域の大きさが所定の範囲内となるように、前記入力機器のズーム値を調整することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記の発明において、前記画像取得特性調整手順は、前記画像取得特性として、前記画像データに埋め込まれたコードの領域をブロック分割し、各ブロックの階調レベルを算出し、当該階調レベルが所定範囲内にあるブロックの数が、所定の割合より小さくなるように、前記入力機器の入出力特性を調整することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記の発明において、前記画像取得特性調整手順によって前記画像取得特性の調整が行われた後の設定パラメータを設定パラメータ記憶部に格納する設定パラメータ記憶手順をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記の発明において、前記デコード判定手順は、前記画像取得特性調整手順によって前記画像取得特性の調整が行われた後に、コードのデコード処理が成功したか否かを再度判定することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記の発明において、入力機器によって撮影された画像データを取得し、当該画像データに埋め込まれたコードのデコード処理を行うデコード処理方法であって、コードのデコード処理が成功したか否かを判定するデコード判定ステップと、前記デコード判定ステップによって前記デコード処理が成功しなかったと判定された場合には、前記画像データ取得時の画像取得特性を調整する画像取得特性調整ステップと、を含んだことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記の発明において、前記画像取得特性調整ステップは、前記画像取得特性として、前記画像データに埋め込まれたコードの領域の大きさが所定の範囲内となるように、前記入力機器のズーム値を調整することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記の発明において、前記画像取得特性調整ステップは、前記画像取得特性として、前記画像データに埋め込まれたコードの領域をブロック分割し、各ブロックの階調レベルを算出し、当該階調レベルが所定範囲内にあるブロックの数が、所定の割合より小さくなるように、前記入力機器の入出力特性を調整することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記の発明において、前記画像取得特性調整ステップによって前記画像取得特性の調整が行われた後の設定パラメータを設定パラメータ記憶部に格納する設定パラメータ記憶ステップをさらに含んだことを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上記の発明において、入力機器によって撮影された画像データを取得し、当該画像データに埋め込まれたコードのデコード処理を行うデコード処理装置であって、コードのデコード処理が成功したか否かを判定するデコード判定手段と、前記デコード判定手段によって前記デコード処理が成功しなかったと判定された場合には、前記画像データ取得時の画像取得特性を調整する画像取得特性調整手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、デコード処理の結果に応じて、撮影画像中のコード埋め込み領域の大きさや、入力機器の階調レベルの入出力特性を調整しながらデコード処理を行い、従来の固定設定値を用いたまま撮影を行った場合にはデコードできなかった印刷画像や撮影条件でのデコード成功率が向上する結果、取得画像データの画質を適正化して、デコード性能を向上することが可能である。
【0020】
また、本発明によれば、入力機器からの画像データから抽出したコード埋め込み領域の大きさが所定の範囲に満たないもしくは所定の範囲より大きい場合には、所定の範囲内になるように入力機器の視野範囲(ズーム)の設定値を変更する結果、次回のデコード時にはコード埋め込み領域の大きさが適正サイズに近づき、デコード成功率を向上することが可能である。
【0021】
また、本発明によれば、算出したコード領域の各ブロックの階調レベルからその分布を求め、全ブロックの個数のうち予め決められた所定の割合が不感領域に含まれている場合には、不感領域に含まれるブロックが減少するように入力機器の入出力特性(明るさ、コントラスト)の設定値を変更して次回の入力画像の取得時に用いる結果、次回のデコード時には不感領域に含まれるブロックが減少し、デコード成功率を向上することが可能である。
【0022】
また、本発明によれば、デコードに成功した場合には、その時の画像データの撮影に使用した入力機器の設定値を保存し、次のデコード時に初期値として用いる。これにより、次回のデコード時にはデフォルト設定値よりも適正な設定値を用いた撮影条件からデコードを開始できる結果、デコード成功率を向上することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に添付図面を参照して、この発明に係るデコード処理プログラム、デコード処理方法およびデコード処理装置の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0024】
以下の実施例では、実施例1に係るデコード処理装置の概要および特徴、デコード処理装置の構成および処理の流れを順に説明し、最後に実施例1による効果を説明する。なお、以下では、コード埋め込み技術によりステガノグラフィコードが埋め込まれた画像の画像データをデコード処理する場合に適用する例を説明する。
【0025】
[実施例1に係るデコード処理装置の概要および特徴]
まず最初に、図1を用いて、実施例1に係るデコード処理装置の概要および特徴を説明する。図1は、実施例1に係るデコード処理装置の概要および特徴を説明するための図である。
【0026】
実施例1のデコード処理装置10では、入力機器によって撮影された画像データを取得し、その画像データに埋め込まれたコードのデコード処理を行うことを概要とする。そして、このデコード処理装置10では、取得画像データの画質を適正化して、デコード性能を向上する点に主たる特徴がある。
【0027】
この主たる特徴について具体的に説明すると、デコード処理装置10は、入力機器11(例えば、カメラなど)によって撮影された画像の画像データをデコード対象として取得し(図1の(1)参照)、その画像データのデコード処理を行う(図1の(2)参照)。具体的には、デコード処理装置10は、このデコード処理では、まずコード埋め込み領域を抽出して求め、コード埋め込み領域をブロックに分割し、各ブロックの階調レベルを求めて、各ブロックの階調レベルから埋め込まれているコードを算出する。
【0028】
そして、デコード処理装置10は、コードのデコード処理が成功したか否かを判定する(図1の(3)参照)。その結果、デコード処理装置10は、デコード処理が成功しなかったと判定された場合には、画像データ取得時の画像取得特性を調整する(図1の(4)参照)。図1の例を用いて具体的に説明すると、デコード処理装置10は、コード埋め込み領域の大きさを求め、コード埋め込み領域の大きさと予め決定している適正サイズとなる大きさとを比較し、コード埋め込み領域が適正サイズで無い場合には、ズーム値の設定値を変更して、適正サイズとなるように調整を行う。
【0029】
このように、デコード処理装置10は、デコード処理の結果に応じて、撮影画像中のコード埋め込み領域の大きさや、入力機器の階調レベルの入出力特性を調整しながらデコード処理を行い、固定設定値を用いたまま撮影を行った場合にはデコードできなかった印刷画像や撮影条件でのデコード成功率が向上する結果、上記した主たる特徴のごとく、取得画像データの画質を適正化して、デコード性能を向上することが可能である。
【0030】
[デコード処理装置の構成]
次に、図2を用いて、図1に示したデコード処理装置10の構成を説明する。図2は、実施例1に係るデコード処理装置10の構成を示すブロック図である。同図に示すように、このデコード処理装置10は、入力機器11、制御部12、記憶部13を備える。以下にこれらの各部の処理を説明する。
【0031】
入力機器11は、カメラなどの画像を撮影するものであり、ユーザによって起動されると、画像を撮影する。また、入力機器11は、後述する画像取得特性調整部12dによって視野範囲(ズーム)の設定値および入出力特性の設定値が調整される。
【0032】
記憶部13は、制御部12による各種処理に必要なデータおよびプログラムを格納するが、特に本発明に密接に関連するものとしては、設定パラメータ記憶部13aを備える。なお、設定パラメータ記憶部13aは、特許請求の範囲に記載の「設定パラメータ記憶部」に対応する。
【0033】
設定パラメータ記憶部13aは、デコードが成功した場合に、画像取得特性の調整が行われた後の設定パラメータを記憶する。具体的には、設定パラメータ記憶部13aは、デコードに成功した場合には、その時の画像サイズの設定値および入出力特性の設定値を保存し、次回の処理が開始された際に初期値として使用する。
【0034】
制御部12は、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行するが、特に本発明に密接に関連するものとしては、画像取得部12a、デコード処理部12b、デコード結果判定部12c、画像取得特性調整部12dを備える。なお、デコード結果判定部12cは、特許請求の範囲に記載の「デコード判定手段」に対応し、画像取得特性調整部12dは、特許請求の範囲に記載の「画像取得特性調整手段」に対応する。
【0035】
画像取得部12aは、入力機器11によって撮影された画像の画像データをデコード対象として取得する。具体的には、画像取得部12aは、ユーザによってアプリケーションが起動されると、入力機器11によって撮影された画像の画像データを取得し、その画像データをデコード対象としてデコード処理部12bに通知する。
【0036】
デコード処理部12bは、画像データのデコード処理を行う。具体的には、デコード処理部12bは、画像取得部12aから画像データを受信すると、その画像データのコード埋め込み領域を抽出して求め、コード埋め込み領域をブロックに分割し、各ブロックの階調レベルを求めて、各ブロックの階調レベルから埋め込まれているコードを算出する。
【0037】
デコード結果判定部12cは、コードのデコード処理が成功したか否かを判定する。具体的には、デコード結果判定部12cは、デコード処理部12bによって行われたデコード処理が成功したか否かを判定し、判定結果を画像取得特性調整部12dに通知する。また、デコード結果判定部12cは、デコードに成功した場合には、その時の画像サイズの設定値および入出力特性の設定値を設定パラメータ記憶部13aに記憶させる。
【0038】
画像取得特性調整部12dは、デコード処理が成功しなかったと判定された場合には、画像データ取得時の画像取得特性(視野範囲の設定値、入出力特性の設定値)を調整する。具体的には、画像取得特性調整部12dは、図3に示すように、コード埋め込み領域の大きさを求め、コード埋め込み領域の大きさと予め決定している適正サイズとなる大きさとを比較する。ここで、適正サイズとは、ブロック当りに割当てられる画素の数が所定の必要数より多くなるコード埋め込み領域の範囲(下限:α1)とコード埋め込み領域とデコードに必要な余白領域を含んだ範囲が画像データからはみ出さないコード埋め込み領域の範囲(上限:α2)の間の任意の範囲と定義する。
【0039】
そして、画像取得特性調整部12dは、コード埋め込み領域が適正サイズの範囲で無い場合には、ズームの設定値を変更して、適正サイズの範囲内となるように調整を行う。例えば、画像取得特性調整部12dは、埋め込み領域が適正サイズより大きかった場合には、撮影される埋め込み領域が小さくなるように、すなわち入力デバイスの撮影視野範囲が広くなるように画像サイズ(ズーム)の設定値を変更する。逆に、画像取得特性調整部12dは、埋め込み領域が適正サイズより小さかった場合には、撮影される埋め込み領域が大きくなるように、すなわち入力デバイスの撮影視野範囲が狭くなるように画像サイズ(ズーム)の設定値を変更する。なお、ズームの設定値を調整する方法として、段階的に調整してもよいし、一度に調整してもよい。
【0040】
また、画像取得特性調整部12dは、ステガノグラフィが埋め込まれている長方形領域を抽出し、この領域を縦n個×横m個のブロックに分割する。そして、画像取得特性調整部12dは、各ブロックの基準階調レベルを算出し、各ブロックの基準階調レベルの頻度ヒストグラムを作成する。
【0041】
続いて、画像取得特性調整部12dは、頻度ヒストグラムより、明側および暗側の不感帯に属するブロックの数bをカウントする。そして、画像取得特性調整部12dは、不感帯に属するブロックの数bが不感帯に属してもよいブロック数の上限βより少ないかを判定する。
【0042】
その結果、画像取得特性調整部12dは、不感帯に属するブロックの数bが不感帯に属してもよいブロック数の上限βより少ない場合には、画像入出力特性調整処理を終了する。一方、画像取得特性調整部12dは、不感帯に属するブロックの数bが不感帯に属してもよいブロック数の上限β以上である場合には、この数が小さくなるように入力機器11の入出力特性の設定値の調整を行う。
【0043】
つまり、ステガノグラフィにおける各ブロックの操作では、コアと呼ぶブロック中央部の一定の割合の部分に含まれる画素の階調レベルから算出する基準階調レベルが、隣接ブロック間で予め決めたレベル差になるように行っており、デコードに成功するためには、隣接ブロック間のレベル差を検出できるようにする必要がある。
【0044】
そこで、画像取得特性調整部12dは、図4に示すように、算出したコード領域の各ブロックの階調レベルから、その分布を求め、全ブロックの個数のうち予め決められた所定の割合が不感領域に含まれている場合には、不感領域に含まれるブロックが減少するように入力機器の入出力特性(明るさ、コントラスト)の設定値を調整する。
【0045】
ここで、カメラの入出力特性調整の調整例について、図5を用いて説明する。画像取得特性調整部12dは、明側の不感帯にのみブロックが含まれており、その数がβ個以上の場合には、全体が明るくなって不感帯から出るようにカメラの明るさ調整パラメータを1段階変更する(図5(1)参照)。
【0046】
また、画像取得特性調整部12dは、暗側の不感帯にのみブロックが含まれており、その数がβ個以上の場合には、全体が暗くなって不感帯から出るように、カメラの明るさ調整パラメータを1段階変更する(図5(2)参照)。また、画像取得特性調整部12dは、明側および暗側の不感帯の両方にブロックが含まれており、その数の和がβ個以上の場合には、基準階調レベルの分布が両者の間に集まって不感帯から出るように、カメラのコントラスト調整パラメータを1段階変更する(図5(3)参照)。
【0047】
[デコード処理装置による処理]
次に、図6を用いて、実施例1に係るデコード処理装置10による処理を説明する。図6は、実施例1に係るデコード処理装置10の処理動作を示すフローチャートである。
【0048】
同図に示すように、デコード処理装置10の画像取得部12aは、ユーザによってアプリケーションが起動されると(ステップS101肯定)、入力機器11によって撮影された画像の画像データを取得する(ステップS102)。続いて、デコード処理部12bは、画像データのコード埋め込み領域を抽出して求め(ステップS103)、コード埋め込み領域をブロックに分割して各ブロックの階調レベルを求め(ステップS104)、各ブロックの階調レベルから埋め込まれているコードを算出する(ステップS105)。
【0049】
そして、デコード結果判定部12cは、デコード処理部12bによって行われたデコード処理が成功したか否かを判定する(ステップS106)。その結果、デコード結果判定部12cは、デコードに成功した場合には(ステップS106肯定)、その時の画像サイズの設定値および入出力特性の設定値を設定パラメータ記憶部13aに保存する(ステップS107)。
【0050】
また、デコード処理が成功しなかったと判定された場合には(ステップS106否定)、画像取得特性調整部12dは、画像データ取得時の画像取得特性(視野範囲の設定値、入出力特性の設定値)を調整する処理として、画像サイズ調整処理(後に図7を用いて詳述)を行い(ステップS108)、画像入出力特性調整処理(後に図8を用いて詳述)を行って(ステップS109)、ステップS102に戻る。その後、調整された画像取得特性で入力機器11が画像を撮影する。
【0051】
ここで、図7を用いて、実施例1に係るデコード処理装置10による画像サイズ調整処理を説明する。図7は、実施例1に係るデコード処理装置のズーム値の調整処理を示すフローチャートである。
【0052】
同図に示すように、画像取得特性調整部12dは、コード埋め込み領域を抽出し(ステップS201)、そのコード埋め込み領域の大きさを算出して(ステップS202)、コード埋め込み領域の大きさと予め決定している適正サイズとなる大きさとを比較する(ステップS203)。
【0053】
そして、画像取得特性調整部12dは、コード埋め込み領域が適正サイズの範囲内である場合には(ステップS204肯定)、画像サイズ調整処理を終了する。一方、画像取得特性調整部12dは、コード埋め込み領域が適正サイズの範囲で無い場合には(ステップS204否定)、ズームの設定値を変更し、適正サイズの範囲内となるように調整を行って(ステップS205)、画像サイズ調整処理を終了する。
【0054】
ここで、図8を用いて、実施例1に係るデコード処理装置10による画像入出力特性調整処理を説明する。図8は、実施例1に係るデコード処理装置の入出力特性の調整処理を示すフローチャートである。
【0055】
同図に示すように、画像取得特性調整部12dは、ステガノグラフィが埋め込まれている長方形領域を抽出し(ステップS301)、この領域を縦n個×横m個のブロックに分割する(ステップS302)。そして、画像取得特性調整部12dは、各ブロックの基準階調レベルを算出し(ステップS303)、各ブロックの基準階調レベルの頻度ヒストグラムを作成する(ステップS304)。
【0056】
続いて、画像取得特性調整部12dは、頻度ヒストグラムより、明側および暗側の不感帯に属するブロックの数bをカウントする(ステップS305)。そして、画像取得特性調整部12dは、不感帯に属するブロックの数bが不感帯に属してもよいブロック数の上限βより少ないかを判定する(ステップS306)。
【0057】
その結果、画像取得特性調整部12dは、不感帯に属するブロックの数bが不感帯に属してもよいブロック数の上限βより少ない場合には(ステップS306肯定)、画像入出力特性調整処理を終了する。一方、画像取得特性調整部12dは、不感帯に属するブロックの数bが不感帯に属してもよいブロック数の上限β以上である場合には(ステップS306否定)、この数が小さくなるように入力機器11の入出力特性の設定値の調整を行う(ステップS307)。
【0058】
[実施例1の効果]
上述してきたように、デコード処理装置10は、デコード処理の結果に応じて、撮影画像中のコード埋め込み領域の大きさや、入力機器の階調レベルの入出力特性を調整しながらデコード処理を行い、従来の固定設定値を用いたまま撮影を行った場合にはデコードできなかった印刷画像や撮影条件でのデコード成功率が向上する結果、取得画像データの画質を適正化して、デコード性能を向上することが可能である。
【0059】
また、実施例1によれば、入力機器からの画像データから抽出したコード埋め込み領域の大きさが所定の範囲に満たないもしくは所定の範囲より大きい場合には、所定の範囲内になるように入力機器の視野範囲(ズーム)の設定値を変更する結果、次回のデコード時にはコード埋め込み領域の大きさが適正サイズに近づき、デコード成功率を向上することが可能である。
【0060】
また、実施例1によれば、算出したコード領域の各ブロックの階調レベルからその分布を求め、全ブロックの個数のうち予め決められた所定の割合が不感領域に含まれている場合には、不感領域に含まれるブロックが減少するように入力機器の入出力特性(明るさ、コントラスト)の設定値を変更して次回の入力画像の取得時に用いる結果、次回のデコード時には不感領域に含まれるブロックが減少し、デコード成功率を向上することが可能である。
【0061】
また、実施例1によれば、デコードに成功した場合には、その時の画像データの撮影に使用した入力機器の設定値を保存し、次のデコード時に初期値として用いる。これにより、次回のデコード時にはデフォルト設定値よりも適正な設定値を用いた撮影条件からデコードを開始できる結果、デコード成功率を向上することが可能である。
【実施例2】
【0062】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では実施例2として本発明に含まれる他の実施例を説明する。
【0063】
(1)システム構成等
図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、画像取得部12aとデコード処理部12bを統合してもよい。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0064】
(2)プログラム
ところで、上記の実施例で説明した各種の処理は、あらかじめ用意されたプログラムをコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、図9を用いて、上記の実施例と同様の機能を有するプログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。図9は、デコード処理プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【0065】
同図に示すように、デコード処理装置としてのコンピュータ600は、入力機器11、出力部20、HDD610、RAM620、ROM630およびCPU640をバス650で接続して構成される。
【0066】
そして、ROM630には、上記の実施例と同様の機能を発揮するデコード処理プログラム、つまり、図9に示すように、画像取得プログラム631、デコード処理プログラム632、デコード結果判定プログラム633および画像取得特性調整プログラム634が予め記憶されている。なお、プログラム631〜634については、図2に示したデコード処理装置の各構成要素と同様、適宜統合または分散してもよい。
【0067】
そして、CPU640が、これらのプログラム631〜634をROM630から読み出して実行することで、図9に示すように、各プログラム631〜634は、画像取得プロセス641、デコード処理プロセス642、デコード結果判定プロセス643、画像取得特性調整プロセス644として機能するようになる。各プロセス641〜644は、図2に示した画像取得部12a、デコード処理部12b、デコード結果判定部12c、画像取得特性調整部12dにそれぞれ対応する。
【0068】
また、HDD610には、図9に示すように、設定パラメータテーブル611が設けられる。なお、設定パラメータテーブル611は、図2に示した設定パラメータ記憶部13aに対応する。そして、CPU640は、設定パラメータテーブル611に対してデータを登録するとともに、設定パラメータテーブル611から設定パラメータデータ621を読み出してRAM620に格納し、RAM620に格納された設定パラメータデータ621に基づいて処理を実行する。
【0069】
(付記1)入力機器によって撮影された画像データを取得し、当該画像データに埋め込まれたコードのデコード処理を行うデコード処理方法をコンピュータに実行させるデコード処理プログラムであって、
コードのデコード処理が成功したか否かを判定するデコード判定手順と、
前記デコード判定手順によって前記デコード処理が成功しなかったと判定された場合には、前記画像データ取得時の画像取得特性を調整する画像取得特性調整手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするデコード処理プログラム。
【0070】
(付記2)前記画像取得特性調整手順は、前記画像取得特性として、前記画像データに埋め込まれたコードの領域の大きさが所定の範囲内となるように、前記入力機器のズーム値を調整することを特徴とする付記1に記載のデコード処理プログラム。
【0071】
(付記3)前記画像取得特性調整手順は、前記画像取得特性として、前記画像データに埋め込まれたコードの領域をブロック分割し、各ブロックの階調レベルを算出し、当該階調レベルが所定範囲内にあるブロックの数が、所定の割合より小さくなるように、前記入力機器の入出力特性を調整することを特徴とする付記1に記載のデコード処理プログラム。
【0072】
(付記4)前記画像取得特性調整手順によって前記画像取得特性の調整が行われた後の設定パラメータを設定パラメータ記憶部に格納する設定パラメータ記憶手順をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載のデコード処理プログラム。
【0073】
(付記5)前記デコード判定手順は、前記画像取得特性調整手順によって前記画像取得特性の調整が行われた後に、コードのデコード処理が成功したか否かを再度判定することを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載のデコード処理プログラム。
【0074】
(付記6)入力機器によって撮影された画像データを取得し、当該画像データに埋め込まれたコードのデコード処理を行うデコード処理方法であって、
コードのデコード処理が成功したか否かを判定するデコード判定ステップと、
前記デコード判定ステップによって前記デコード処理が成功しなかったと判定された場合には、前記画像データ取得時の画像取得特性を調整する画像取得特性調整ステップと、
を含んだことを特徴とするデコード処理方法。
【0075】
(付記7)前記画像取得特性調整ステップは、前記画像取得特性として、前記画像データに埋め込まれたコードの領域の大きさが所定の範囲内となるように、前記入力機器のズーム値を調整することを特徴とする付記6に記載のデコード処理方法。
【0076】
(付記8)前記画像取得特性調整ステップは、前記画像取得特性として、前記画像データに埋め込まれたコードの領域をブロック分割し、各ブロックの階調レベルを算出し、当該階調レベルが所定範囲内にあるブロックの数が、所定の割合より小さくなるように、前記入力機器の入出力特性を調整することを特徴とする付記6に記載のデコード処理方法。
【0077】
(付記9)前記画像取得特性調整ステップによって前記画像取得特性の調整が行われた後の設定パラメータを設定パラメータ記憶部に格納する設定パラメータ記憶ステップをさらに含んだことを特徴とする付記6〜8のいずれか一つに記載のデコード処理方法。
【0078】
(付記10)前記デコード判定ステップは、前記画像取得特性調整ステップによって前記画像取得特性の調整が行われた後に、コードのデコード処理が成功したか否かを再度判定することを特徴とする付記6〜9のいずれか一つに記載のデコード処理方法。
【0079】
(付記11)入力機器によって撮影された画像データを取得し、当該画像データに埋め込まれたコードのデコード処理を行うデコード処理装置であって、
コードのデコード処理が成功したか否かを判定するデコード判定手段と、
前記デコード判定手段によって前記デコード処理が成功しなかったと判定された場合には、前記画像データ取得時の画像取得特性を調整する画像取得特性調整手段と、
を備えたことを特徴とするデコード処理装置。
【0080】
(付記12)前記画像取得特性調整手段は、前記画像取得特性として、前記画像データに埋め込まれたコードの領域の大きさが所定の範囲内となるように、前記入力機器のズーム値を調整することを特徴とする付記11に記載のデコード処理装置。
【0081】
(付記13)前記画像取得特性調整手段は、前記画像取得特性として、前記画像データに埋め込まれたコードの領域をブロック分割し、各ブロックの階調レベルを算出し、当該階調レベルが所定範囲内にあるブロックの数が、所定の割合より小さくなるように、前記入力機器の入出力特性を調整することを特徴とする付記11に記載のデコード処理装置。
【0082】
(付記14)前記画像取得特性調整手段によって前記画像取得特性の調整が行われた後の設定パラメータを設定パラメータ記憶部に格納する設定パラメータ記憶手段をさらに備えたことを特徴とする付記11〜13のいずれか一つに記載のデコード処理装置。
【0083】
(付記15)前記デコード判定手段は、前記画像取得特性調整手段によって前記画像取得特性の調整が行われた後に、コードのデコード処理が成功したか否かを再度判定することを特徴とする付記11〜14のいずれか一つに記載のデコード処理装置。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上のように、本発明に係るデコード処理プログラム、デコード処理方法およびデコード処理装置は入力機器によって撮影された画像データを取得し、当該画像データに埋め込まれたコードのデコード処理を行う場合に有用であり、特に、取得画像データの画質を適正化して、デコード性能を向上することに適する。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】実施例1に係るデコード処理装置の概要および特徴を説明するための図である。
【図2】実施例1に係るデコード処理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】画像サイズの調整原理を説明するための図である。
【図4】入出力特性の調整原理を説明するための図である。
【図5】入力機器の入出力特性調整の調整例を説明するための図である。
【図6】実施例1に係るデコード処理装置の全体の処理動作を示すフローチャートである。
【図7】実施例1に係るデコード処理装置のズーム値の調整処理を示すフローチャートである。
【図8】実施例1に係るデコード処理装置の入出力特性の調整処理を示すフローチャートである。
【図9】デコード処理プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【図10】従来技術を説明するための図である。
【図11】従来技術を説明するための図である。
【図12】従来技術を説明するための図である。
【符号の説明】
【0086】
10 デコード処理装置
11 入力機器
12 制御部
12a 画像取得部
12b デコード処理部
12c デコード結果判定部
12d 画像取得特性調整部
13 記憶部
13a 設定パラメータ記憶部
【技術分野】
【0001】
この発明は、入力機器によって撮影された画像データを取得し、当該画像データに埋め込まれたコードのデコード処理を行うデコード処理プログラム、デコード処理方法およびデコード処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、隣接ブロックの平均濃度の差を使用して隣接ブロックのペアにコードを埋め込むコード埋め込み技術がある。例えば、特許文献1に開示された画像処理装置では、コード埋め込み技術により画像にステガノグラフィコードを埋め込んだ後、カメラ等の入力装置によって撮影された画像データを取得してデコード処理を行う。このデコード処理においては、入力画像データの隣接ブロックの階調レベルの差から元のコードをデコードする処理を行っている(図10参照)。
【0003】
このデコードする処理について具体的に説明すると、カメラ等の入力機器のデフォルトの固定設定値(例えば、適正焦点距離や視野範囲など)を用いて画像取得を行い、取得された画像に対して、コードの埋め込まれた画像領域(コード領域)を検出し、検出領域を複数のブロックに分割し、各ブロックの階調レベルを算出し、隣接ブロック(ブロックペア)の階調レベルの大小関係(レベル差)から埋め込まれたデータを取り出す。
【0004】
【特許文献1】特開2006−191665号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記した従来の技術では、入力機器のデフォルトの固定設定値を用いて画像データの取得を行っていたので、適正焦点距離での撮影画像データ中のコード埋め込み領域の大きさを調整できないため、画素解像度が不足してデコードに失敗したり、撮影時の入力機器の入出力特性の設定が不適切なため、一部のブロックの階調レベル差を正しく取得できずにデコードに失敗するという問題があった。
【0006】
つまり、入力機器の適正焦点距離や視野範囲を固定設定値としているため、印刷紙面上のコード領域の大きさと撮影距離によって画像中のコード領域のサイズとボケ具合が変わる。例えば、適正焦点距離での視野範囲が広い場合には、入力画像中のコード領域のサイズが小さく、デコードに必要な画素解像度(コード領域に含まれる画素数)が不足し、階調レベルを正しく算出できずデコードに失敗する(図11の(1)参照)。一方、撮影距離を近づけて、入力画像中のコード領域が適正サイズになるよう撮影距離を近づけると、画像がボケてしまい、階調レベルを正しく算出できずデコードに失敗する(図11の(2)参照)。
【0007】
また、図12に示すように、入力機器の入出力特性の非線形性(明るさ、コントラスト調整による明暗部分の階調潰れ)により、入力画像におけるブロックペアの階調レベルの差が撮影画像では平坦になってしまう領域(不感領域)が生じ、本来あるはずの階調レベル差が無くなってしまいデコードに失敗する。
【0008】
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、取得画像データの画質を適正化して、デコード性能を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、入力機器によって撮影された画像データを取得し、当該画像データに埋め込まれたコードのデコード処理を行うデコード処理方法をコンピュータに実行させるデコード処理プログラムであって、コードのデコード処理が成功したか否かを判定するデコード判定手順と、前記デコード判定手順によって前記デコード処理が成功しなかったと判定された場合には、前記画像データ取得時の画像取得特性を調整する画像取得特性調整手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記の発明において、前記画像取得特性調整手順は、前記画像取得特性として、前記画像データに埋め込まれたコードの領域の大きさが所定の範囲内となるように、前記入力機器のズーム値を調整することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記の発明において、前記画像取得特性調整手順は、前記画像取得特性として、前記画像データに埋め込まれたコードの領域をブロック分割し、各ブロックの階調レベルを算出し、当該階調レベルが所定範囲内にあるブロックの数が、所定の割合より小さくなるように、前記入力機器の入出力特性を調整することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記の発明において、前記画像取得特性調整手順によって前記画像取得特性の調整が行われた後の設定パラメータを設定パラメータ記憶部に格納する設定パラメータ記憶手順をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記の発明において、前記デコード判定手順は、前記画像取得特性調整手順によって前記画像取得特性の調整が行われた後に、コードのデコード処理が成功したか否かを再度判定することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記の発明において、入力機器によって撮影された画像データを取得し、当該画像データに埋め込まれたコードのデコード処理を行うデコード処理方法であって、コードのデコード処理が成功したか否かを判定するデコード判定ステップと、前記デコード判定ステップによって前記デコード処理が成功しなかったと判定された場合には、前記画像データ取得時の画像取得特性を調整する画像取得特性調整ステップと、を含んだことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記の発明において、前記画像取得特性調整ステップは、前記画像取得特性として、前記画像データに埋め込まれたコードの領域の大きさが所定の範囲内となるように、前記入力機器のズーム値を調整することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記の発明において、前記画像取得特性調整ステップは、前記画像取得特性として、前記画像データに埋め込まれたコードの領域をブロック分割し、各ブロックの階調レベルを算出し、当該階調レベルが所定範囲内にあるブロックの数が、所定の割合より小さくなるように、前記入力機器の入出力特性を調整することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記の発明において、前記画像取得特性調整ステップによって前記画像取得特性の調整が行われた後の設定パラメータを設定パラメータ記憶部に格納する設定パラメータ記憶ステップをさらに含んだことを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上記の発明において、入力機器によって撮影された画像データを取得し、当該画像データに埋め込まれたコードのデコード処理を行うデコード処理装置であって、コードのデコード処理が成功したか否かを判定するデコード判定手段と、前記デコード判定手段によって前記デコード処理が成功しなかったと判定された場合には、前記画像データ取得時の画像取得特性を調整する画像取得特性調整手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、デコード処理の結果に応じて、撮影画像中のコード埋め込み領域の大きさや、入力機器の階調レベルの入出力特性を調整しながらデコード処理を行い、従来の固定設定値を用いたまま撮影を行った場合にはデコードできなかった印刷画像や撮影条件でのデコード成功率が向上する結果、取得画像データの画質を適正化して、デコード性能を向上することが可能である。
【0020】
また、本発明によれば、入力機器からの画像データから抽出したコード埋め込み領域の大きさが所定の範囲に満たないもしくは所定の範囲より大きい場合には、所定の範囲内になるように入力機器の視野範囲(ズーム)の設定値を変更する結果、次回のデコード時にはコード埋め込み領域の大きさが適正サイズに近づき、デコード成功率を向上することが可能である。
【0021】
また、本発明によれば、算出したコード領域の各ブロックの階調レベルからその分布を求め、全ブロックの個数のうち予め決められた所定の割合が不感領域に含まれている場合には、不感領域に含まれるブロックが減少するように入力機器の入出力特性(明るさ、コントラスト)の設定値を変更して次回の入力画像の取得時に用いる結果、次回のデコード時には不感領域に含まれるブロックが減少し、デコード成功率を向上することが可能である。
【0022】
また、本発明によれば、デコードに成功した場合には、その時の画像データの撮影に使用した入力機器の設定値を保存し、次のデコード時に初期値として用いる。これにより、次回のデコード時にはデフォルト設定値よりも適正な設定値を用いた撮影条件からデコードを開始できる結果、デコード成功率を向上することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に添付図面を参照して、この発明に係るデコード処理プログラム、デコード処理方法およびデコード処理装置の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0024】
以下の実施例では、実施例1に係るデコード処理装置の概要および特徴、デコード処理装置の構成および処理の流れを順に説明し、最後に実施例1による効果を説明する。なお、以下では、コード埋め込み技術によりステガノグラフィコードが埋め込まれた画像の画像データをデコード処理する場合に適用する例を説明する。
【0025】
[実施例1に係るデコード処理装置の概要および特徴]
まず最初に、図1を用いて、実施例1に係るデコード処理装置の概要および特徴を説明する。図1は、実施例1に係るデコード処理装置の概要および特徴を説明するための図である。
【0026】
実施例1のデコード処理装置10では、入力機器によって撮影された画像データを取得し、その画像データに埋め込まれたコードのデコード処理を行うことを概要とする。そして、このデコード処理装置10では、取得画像データの画質を適正化して、デコード性能を向上する点に主たる特徴がある。
【0027】
この主たる特徴について具体的に説明すると、デコード処理装置10は、入力機器11(例えば、カメラなど)によって撮影された画像の画像データをデコード対象として取得し(図1の(1)参照)、その画像データのデコード処理を行う(図1の(2)参照)。具体的には、デコード処理装置10は、このデコード処理では、まずコード埋め込み領域を抽出して求め、コード埋め込み領域をブロックに分割し、各ブロックの階調レベルを求めて、各ブロックの階調レベルから埋め込まれているコードを算出する。
【0028】
そして、デコード処理装置10は、コードのデコード処理が成功したか否かを判定する(図1の(3)参照)。その結果、デコード処理装置10は、デコード処理が成功しなかったと判定された場合には、画像データ取得時の画像取得特性を調整する(図1の(4)参照)。図1の例を用いて具体的に説明すると、デコード処理装置10は、コード埋め込み領域の大きさを求め、コード埋め込み領域の大きさと予め決定している適正サイズとなる大きさとを比較し、コード埋め込み領域が適正サイズで無い場合には、ズーム値の設定値を変更して、適正サイズとなるように調整を行う。
【0029】
このように、デコード処理装置10は、デコード処理の結果に応じて、撮影画像中のコード埋め込み領域の大きさや、入力機器の階調レベルの入出力特性を調整しながらデコード処理を行い、固定設定値を用いたまま撮影を行った場合にはデコードできなかった印刷画像や撮影条件でのデコード成功率が向上する結果、上記した主たる特徴のごとく、取得画像データの画質を適正化して、デコード性能を向上することが可能である。
【0030】
[デコード処理装置の構成]
次に、図2を用いて、図1に示したデコード処理装置10の構成を説明する。図2は、実施例1に係るデコード処理装置10の構成を示すブロック図である。同図に示すように、このデコード処理装置10は、入力機器11、制御部12、記憶部13を備える。以下にこれらの各部の処理を説明する。
【0031】
入力機器11は、カメラなどの画像を撮影するものであり、ユーザによって起動されると、画像を撮影する。また、入力機器11は、後述する画像取得特性調整部12dによって視野範囲(ズーム)の設定値および入出力特性の設定値が調整される。
【0032】
記憶部13は、制御部12による各種処理に必要なデータおよびプログラムを格納するが、特に本発明に密接に関連するものとしては、設定パラメータ記憶部13aを備える。なお、設定パラメータ記憶部13aは、特許請求の範囲に記載の「設定パラメータ記憶部」に対応する。
【0033】
設定パラメータ記憶部13aは、デコードが成功した場合に、画像取得特性の調整が行われた後の設定パラメータを記憶する。具体的には、設定パラメータ記憶部13aは、デコードに成功した場合には、その時の画像サイズの設定値および入出力特性の設定値を保存し、次回の処理が開始された際に初期値として使用する。
【0034】
制御部12は、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行するが、特に本発明に密接に関連するものとしては、画像取得部12a、デコード処理部12b、デコード結果判定部12c、画像取得特性調整部12dを備える。なお、デコード結果判定部12cは、特許請求の範囲に記載の「デコード判定手段」に対応し、画像取得特性調整部12dは、特許請求の範囲に記載の「画像取得特性調整手段」に対応する。
【0035】
画像取得部12aは、入力機器11によって撮影された画像の画像データをデコード対象として取得する。具体的には、画像取得部12aは、ユーザによってアプリケーションが起動されると、入力機器11によって撮影された画像の画像データを取得し、その画像データをデコード対象としてデコード処理部12bに通知する。
【0036】
デコード処理部12bは、画像データのデコード処理を行う。具体的には、デコード処理部12bは、画像取得部12aから画像データを受信すると、その画像データのコード埋め込み領域を抽出して求め、コード埋め込み領域をブロックに分割し、各ブロックの階調レベルを求めて、各ブロックの階調レベルから埋め込まれているコードを算出する。
【0037】
デコード結果判定部12cは、コードのデコード処理が成功したか否かを判定する。具体的には、デコード結果判定部12cは、デコード処理部12bによって行われたデコード処理が成功したか否かを判定し、判定結果を画像取得特性調整部12dに通知する。また、デコード結果判定部12cは、デコードに成功した場合には、その時の画像サイズの設定値および入出力特性の設定値を設定パラメータ記憶部13aに記憶させる。
【0038】
画像取得特性調整部12dは、デコード処理が成功しなかったと判定された場合には、画像データ取得時の画像取得特性(視野範囲の設定値、入出力特性の設定値)を調整する。具体的には、画像取得特性調整部12dは、図3に示すように、コード埋め込み領域の大きさを求め、コード埋め込み領域の大きさと予め決定している適正サイズとなる大きさとを比較する。ここで、適正サイズとは、ブロック当りに割当てられる画素の数が所定の必要数より多くなるコード埋め込み領域の範囲(下限:α1)とコード埋め込み領域とデコードに必要な余白領域を含んだ範囲が画像データからはみ出さないコード埋め込み領域の範囲(上限:α2)の間の任意の範囲と定義する。
【0039】
そして、画像取得特性調整部12dは、コード埋め込み領域が適正サイズの範囲で無い場合には、ズームの設定値を変更して、適正サイズの範囲内となるように調整を行う。例えば、画像取得特性調整部12dは、埋め込み領域が適正サイズより大きかった場合には、撮影される埋め込み領域が小さくなるように、すなわち入力デバイスの撮影視野範囲が広くなるように画像サイズ(ズーム)の設定値を変更する。逆に、画像取得特性調整部12dは、埋め込み領域が適正サイズより小さかった場合には、撮影される埋め込み領域が大きくなるように、すなわち入力デバイスの撮影視野範囲が狭くなるように画像サイズ(ズーム)の設定値を変更する。なお、ズームの設定値を調整する方法として、段階的に調整してもよいし、一度に調整してもよい。
【0040】
また、画像取得特性調整部12dは、ステガノグラフィが埋め込まれている長方形領域を抽出し、この領域を縦n個×横m個のブロックに分割する。そして、画像取得特性調整部12dは、各ブロックの基準階調レベルを算出し、各ブロックの基準階調レベルの頻度ヒストグラムを作成する。
【0041】
続いて、画像取得特性調整部12dは、頻度ヒストグラムより、明側および暗側の不感帯に属するブロックの数bをカウントする。そして、画像取得特性調整部12dは、不感帯に属するブロックの数bが不感帯に属してもよいブロック数の上限βより少ないかを判定する。
【0042】
その結果、画像取得特性調整部12dは、不感帯に属するブロックの数bが不感帯に属してもよいブロック数の上限βより少ない場合には、画像入出力特性調整処理を終了する。一方、画像取得特性調整部12dは、不感帯に属するブロックの数bが不感帯に属してもよいブロック数の上限β以上である場合には、この数が小さくなるように入力機器11の入出力特性の設定値の調整を行う。
【0043】
つまり、ステガノグラフィにおける各ブロックの操作では、コアと呼ぶブロック中央部の一定の割合の部分に含まれる画素の階調レベルから算出する基準階調レベルが、隣接ブロック間で予め決めたレベル差になるように行っており、デコードに成功するためには、隣接ブロック間のレベル差を検出できるようにする必要がある。
【0044】
そこで、画像取得特性調整部12dは、図4に示すように、算出したコード領域の各ブロックの階調レベルから、その分布を求め、全ブロックの個数のうち予め決められた所定の割合が不感領域に含まれている場合には、不感領域に含まれるブロックが減少するように入力機器の入出力特性(明るさ、コントラスト)の設定値を調整する。
【0045】
ここで、カメラの入出力特性調整の調整例について、図5を用いて説明する。画像取得特性調整部12dは、明側の不感帯にのみブロックが含まれており、その数がβ個以上の場合には、全体が明るくなって不感帯から出るようにカメラの明るさ調整パラメータを1段階変更する(図5(1)参照)。
【0046】
また、画像取得特性調整部12dは、暗側の不感帯にのみブロックが含まれており、その数がβ個以上の場合には、全体が暗くなって不感帯から出るように、カメラの明るさ調整パラメータを1段階変更する(図5(2)参照)。また、画像取得特性調整部12dは、明側および暗側の不感帯の両方にブロックが含まれており、その数の和がβ個以上の場合には、基準階調レベルの分布が両者の間に集まって不感帯から出るように、カメラのコントラスト調整パラメータを1段階変更する(図5(3)参照)。
【0047】
[デコード処理装置による処理]
次に、図6を用いて、実施例1に係るデコード処理装置10による処理を説明する。図6は、実施例1に係るデコード処理装置10の処理動作を示すフローチャートである。
【0048】
同図に示すように、デコード処理装置10の画像取得部12aは、ユーザによってアプリケーションが起動されると(ステップS101肯定)、入力機器11によって撮影された画像の画像データを取得する(ステップS102)。続いて、デコード処理部12bは、画像データのコード埋め込み領域を抽出して求め(ステップS103)、コード埋め込み領域をブロックに分割して各ブロックの階調レベルを求め(ステップS104)、各ブロックの階調レベルから埋め込まれているコードを算出する(ステップS105)。
【0049】
そして、デコード結果判定部12cは、デコード処理部12bによって行われたデコード処理が成功したか否かを判定する(ステップS106)。その結果、デコード結果判定部12cは、デコードに成功した場合には(ステップS106肯定)、その時の画像サイズの設定値および入出力特性の設定値を設定パラメータ記憶部13aに保存する(ステップS107)。
【0050】
また、デコード処理が成功しなかったと判定された場合には(ステップS106否定)、画像取得特性調整部12dは、画像データ取得時の画像取得特性(視野範囲の設定値、入出力特性の設定値)を調整する処理として、画像サイズ調整処理(後に図7を用いて詳述)を行い(ステップS108)、画像入出力特性調整処理(後に図8を用いて詳述)を行って(ステップS109)、ステップS102に戻る。その後、調整された画像取得特性で入力機器11が画像を撮影する。
【0051】
ここで、図7を用いて、実施例1に係るデコード処理装置10による画像サイズ調整処理を説明する。図7は、実施例1に係るデコード処理装置のズーム値の調整処理を示すフローチャートである。
【0052】
同図に示すように、画像取得特性調整部12dは、コード埋め込み領域を抽出し(ステップS201)、そのコード埋め込み領域の大きさを算出して(ステップS202)、コード埋め込み領域の大きさと予め決定している適正サイズとなる大きさとを比較する(ステップS203)。
【0053】
そして、画像取得特性調整部12dは、コード埋め込み領域が適正サイズの範囲内である場合には(ステップS204肯定)、画像サイズ調整処理を終了する。一方、画像取得特性調整部12dは、コード埋め込み領域が適正サイズの範囲で無い場合には(ステップS204否定)、ズームの設定値を変更し、適正サイズの範囲内となるように調整を行って(ステップS205)、画像サイズ調整処理を終了する。
【0054】
ここで、図8を用いて、実施例1に係るデコード処理装置10による画像入出力特性調整処理を説明する。図8は、実施例1に係るデコード処理装置の入出力特性の調整処理を示すフローチャートである。
【0055】
同図に示すように、画像取得特性調整部12dは、ステガノグラフィが埋め込まれている長方形領域を抽出し(ステップS301)、この領域を縦n個×横m個のブロックに分割する(ステップS302)。そして、画像取得特性調整部12dは、各ブロックの基準階調レベルを算出し(ステップS303)、各ブロックの基準階調レベルの頻度ヒストグラムを作成する(ステップS304)。
【0056】
続いて、画像取得特性調整部12dは、頻度ヒストグラムより、明側および暗側の不感帯に属するブロックの数bをカウントする(ステップS305)。そして、画像取得特性調整部12dは、不感帯に属するブロックの数bが不感帯に属してもよいブロック数の上限βより少ないかを判定する(ステップS306)。
【0057】
その結果、画像取得特性調整部12dは、不感帯に属するブロックの数bが不感帯に属してもよいブロック数の上限βより少ない場合には(ステップS306肯定)、画像入出力特性調整処理を終了する。一方、画像取得特性調整部12dは、不感帯に属するブロックの数bが不感帯に属してもよいブロック数の上限β以上である場合には(ステップS306否定)、この数が小さくなるように入力機器11の入出力特性の設定値の調整を行う(ステップS307)。
【0058】
[実施例1の効果]
上述してきたように、デコード処理装置10は、デコード処理の結果に応じて、撮影画像中のコード埋め込み領域の大きさや、入力機器の階調レベルの入出力特性を調整しながらデコード処理を行い、従来の固定設定値を用いたまま撮影を行った場合にはデコードできなかった印刷画像や撮影条件でのデコード成功率が向上する結果、取得画像データの画質を適正化して、デコード性能を向上することが可能である。
【0059】
また、実施例1によれば、入力機器からの画像データから抽出したコード埋め込み領域の大きさが所定の範囲に満たないもしくは所定の範囲より大きい場合には、所定の範囲内になるように入力機器の視野範囲(ズーム)の設定値を変更する結果、次回のデコード時にはコード埋め込み領域の大きさが適正サイズに近づき、デコード成功率を向上することが可能である。
【0060】
また、実施例1によれば、算出したコード領域の各ブロックの階調レベルからその分布を求め、全ブロックの個数のうち予め決められた所定の割合が不感領域に含まれている場合には、不感領域に含まれるブロックが減少するように入力機器の入出力特性(明るさ、コントラスト)の設定値を変更して次回の入力画像の取得時に用いる結果、次回のデコード時には不感領域に含まれるブロックが減少し、デコード成功率を向上することが可能である。
【0061】
また、実施例1によれば、デコードに成功した場合には、その時の画像データの撮影に使用した入力機器の設定値を保存し、次のデコード時に初期値として用いる。これにより、次回のデコード時にはデフォルト設定値よりも適正な設定値を用いた撮影条件からデコードを開始できる結果、デコード成功率を向上することが可能である。
【実施例2】
【0062】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では実施例2として本発明に含まれる他の実施例を説明する。
【0063】
(1)システム構成等
図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、画像取得部12aとデコード処理部12bを統合してもよい。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0064】
(2)プログラム
ところで、上記の実施例で説明した各種の処理は、あらかじめ用意されたプログラムをコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、図9を用いて、上記の実施例と同様の機能を有するプログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。図9は、デコード処理プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【0065】
同図に示すように、デコード処理装置としてのコンピュータ600は、入力機器11、出力部20、HDD610、RAM620、ROM630およびCPU640をバス650で接続して構成される。
【0066】
そして、ROM630には、上記の実施例と同様の機能を発揮するデコード処理プログラム、つまり、図9に示すように、画像取得プログラム631、デコード処理プログラム632、デコード結果判定プログラム633および画像取得特性調整プログラム634が予め記憶されている。なお、プログラム631〜634については、図2に示したデコード処理装置の各構成要素と同様、適宜統合または分散してもよい。
【0067】
そして、CPU640が、これらのプログラム631〜634をROM630から読み出して実行することで、図9に示すように、各プログラム631〜634は、画像取得プロセス641、デコード処理プロセス642、デコード結果判定プロセス643、画像取得特性調整プロセス644として機能するようになる。各プロセス641〜644は、図2に示した画像取得部12a、デコード処理部12b、デコード結果判定部12c、画像取得特性調整部12dにそれぞれ対応する。
【0068】
また、HDD610には、図9に示すように、設定パラメータテーブル611が設けられる。なお、設定パラメータテーブル611は、図2に示した設定パラメータ記憶部13aに対応する。そして、CPU640は、設定パラメータテーブル611に対してデータを登録するとともに、設定パラメータテーブル611から設定パラメータデータ621を読み出してRAM620に格納し、RAM620に格納された設定パラメータデータ621に基づいて処理を実行する。
【0069】
(付記1)入力機器によって撮影された画像データを取得し、当該画像データに埋め込まれたコードのデコード処理を行うデコード処理方法をコンピュータに実行させるデコード処理プログラムであって、
コードのデコード処理が成功したか否かを判定するデコード判定手順と、
前記デコード判定手順によって前記デコード処理が成功しなかったと判定された場合には、前記画像データ取得時の画像取得特性を調整する画像取得特性調整手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするデコード処理プログラム。
【0070】
(付記2)前記画像取得特性調整手順は、前記画像取得特性として、前記画像データに埋め込まれたコードの領域の大きさが所定の範囲内となるように、前記入力機器のズーム値を調整することを特徴とする付記1に記載のデコード処理プログラム。
【0071】
(付記3)前記画像取得特性調整手順は、前記画像取得特性として、前記画像データに埋め込まれたコードの領域をブロック分割し、各ブロックの階調レベルを算出し、当該階調レベルが所定範囲内にあるブロックの数が、所定の割合より小さくなるように、前記入力機器の入出力特性を調整することを特徴とする付記1に記載のデコード処理プログラム。
【0072】
(付記4)前記画像取得特性調整手順によって前記画像取得特性の調整が行われた後の設定パラメータを設定パラメータ記憶部に格納する設定パラメータ記憶手順をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載のデコード処理プログラム。
【0073】
(付記5)前記デコード判定手順は、前記画像取得特性調整手順によって前記画像取得特性の調整が行われた後に、コードのデコード処理が成功したか否かを再度判定することを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載のデコード処理プログラム。
【0074】
(付記6)入力機器によって撮影された画像データを取得し、当該画像データに埋め込まれたコードのデコード処理を行うデコード処理方法であって、
コードのデコード処理が成功したか否かを判定するデコード判定ステップと、
前記デコード判定ステップによって前記デコード処理が成功しなかったと判定された場合には、前記画像データ取得時の画像取得特性を調整する画像取得特性調整ステップと、
を含んだことを特徴とするデコード処理方法。
【0075】
(付記7)前記画像取得特性調整ステップは、前記画像取得特性として、前記画像データに埋め込まれたコードの領域の大きさが所定の範囲内となるように、前記入力機器のズーム値を調整することを特徴とする付記6に記載のデコード処理方法。
【0076】
(付記8)前記画像取得特性調整ステップは、前記画像取得特性として、前記画像データに埋め込まれたコードの領域をブロック分割し、各ブロックの階調レベルを算出し、当該階調レベルが所定範囲内にあるブロックの数が、所定の割合より小さくなるように、前記入力機器の入出力特性を調整することを特徴とする付記6に記載のデコード処理方法。
【0077】
(付記9)前記画像取得特性調整ステップによって前記画像取得特性の調整が行われた後の設定パラメータを設定パラメータ記憶部に格納する設定パラメータ記憶ステップをさらに含んだことを特徴とする付記6〜8のいずれか一つに記載のデコード処理方法。
【0078】
(付記10)前記デコード判定ステップは、前記画像取得特性調整ステップによって前記画像取得特性の調整が行われた後に、コードのデコード処理が成功したか否かを再度判定することを特徴とする付記6〜9のいずれか一つに記載のデコード処理方法。
【0079】
(付記11)入力機器によって撮影された画像データを取得し、当該画像データに埋め込まれたコードのデコード処理を行うデコード処理装置であって、
コードのデコード処理が成功したか否かを判定するデコード判定手段と、
前記デコード判定手段によって前記デコード処理が成功しなかったと判定された場合には、前記画像データ取得時の画像取得特性を調整する画像取得特性調整手段と、
を備えたことを特徴とするデコード処理装置。
【0080】
(付記12)前記画像取得特性調整手段は、前記画像取得特性として、前記画像データに埋め込まれたコードの領域の大きさが所定の範囲内となるように、前記入力機器のズーム値を調整することを特徴とする付記11に記載のデコード処理装置。
【0081】
(付記13)前記画像取得特性調整手段は、前記画像取得特性として、前記画像データに埋め込まれたコードの領域をブロック分割し、各ブロックの階調レベルを算出し、当該階調レベルが所定範囲内にあるブロックの数が、所定の割合より小さくなるように、前記入力機器の入出力特性を調整することを特徴とする付記11に記載のデコード処理装置。
【0082】
(付記14)前記画像取得特性調整手段によって前記画像取得特性の調整が行われた後の設定パラメータを設定パラメータ記憶部に格納する設定パラメータ記憶手段をさらに備えたことを特徴とする付記11〜13のいずれか一つに記載のデコード処理装置。
【0083】
(付記15)前記デコード判定手段は、前記画像取得特性調整手段によって前記画像取得特性の調整が行われた後に、コードのデコード処理が成功したか否かを再度判定することを特徴とする付記11〜14のいずれか一つに記載のデコード処理装置。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上のように、本発明に係るデコード処理プログラム、デコード処理方法およびデコード処理装置は入力機器によって撮影された画像データを取得し、当該画像データに埋め込まれたコードのデコード処理を行う場合に有用であり、特に、取得画像データの画質を適正化して、デコード性能を向上することに適する。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】実施例1に係るデコード処理装置の概要および特徴を説明するための図である。
【図2】実施例1に係るデコード処理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】画像サイズの調整原理を説明するための図である。
【図4】入出力特性の調整原理を説明するための図である。
【図5】入力機器の入出力特性調整の調整例を説明するための図である。
【図6】実施例1に係るデコード処理装置の全体の処理動作を示すフローチャートである。
【図7】実施例1に係るデコード処理装置のズーム値の調整処理を示すフローチャートである。
【図8】実施例1に係るデコード処理装置の入出力特性の調整処理を示すフローチャートである。
【図9】デコード処理プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【図10】従来技術を説明するための図である。
【図11】従来技術を説明するための図である。
【図12】従来技術を説明するための図である。
【符号の説明】
【0086】
10 デコード処理装置
11 入力機器
12 制御部
12a 画像取得部
12b デコード処理部
12c デコード結果判定部
12d 画像取得特性調整部
13 記憶部
13a 設定パラメータ記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力機器によって撮影された画像データを取得し、当該画像データに埋め込まれたコードのデコード処理を行うデコード処理方法をコンピュータに実行させるデコード処理プログラムであって、
コードのデコード処理が成功したか否かを判定するデコード判定手順と、
前記デコード判定手順によって前記デコード処理が成功しなかったと判定された場合には、前記画像データ取得時の画像取得特性を調整する画像取得特性調整手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするデコード処理プログラム。
【請求項2】
前記画像取得特性調整手順は、前記画像取得特性として、前記画像データに埋め込まれたコードの領域の大きさが所定の範囲内となるように、前記入力機器のズーム値を調整することを特徴とする請求項1に記載のデコード処理プログラム。
【請求項3】
前記画像取得特性調整手順は、前記画像取得特性として、前記画像データに埋め込まれたコードの領域をブロック分割し、各ブロックの階調レベルを算出し、当該階調レベルが所定範囲内にあるブロックの数が、所定の割合より小さくなるように、前記入力機器の入出力特性を調整することを特徴とする請求項1に記載のデコード処理プログラム。
【請求項4】
前記画像取得特性調整手順によって前記画像取得特性の調整が行われた後の設定パラメータを設定パラメータ記憶部に格納する設定パラメータ記憶手順をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のデコード処理プログラム。
【請求項5】
前記デコード判定手順は、前記画像取得特性調整手順によって前記画像取得特性の調整が行われた後に、コードのデコード処理が成功したか否かを再度判定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のデコード処理プログラム。
【請求項6】
入力機器によって撮影された画像データを取得し、当該画像データに埋め込まれたコードのデコード処理を行うデコード処理方法であって、
コードのデコード処理が成功したか否かを判定するデコード判定ステップと、
前記デコード判定ステップによって前記デコード処理が成功しなかったと判定された場合には、前記画像データ取得時の画像取得特性を調整する画像取得特性調整ステップと、
を含んだことを特徴とするデコード処理方法。
【請求項7】
前記画像取得特性調整ステップは、前記画像取得特性として、前記画像データに埋め込まれたコードの領域の大きさが所定の範囲内となるように、前記入力機器のズーム値を調整することを特徴とする請求項6に記載のデコード処理方法。
【請求項8】
前記画像取得特性調整ステップは、前記画像取得特性として、前記画像データに埋め込まれたコードの領域をブロック分割し、各ブロックの階調レベルを算出し、当該階調レベルが所定範囲内にあるブロックの数が、所定の割合より小さくなるように、前記入力機器の入出力特性を調整することを特徴とする請求項6に記載のデコード処理方法。
【請求項9】
前記画像取得特性調整ステップによって前記画像取得特性の調整が行われた後の設定パラメータを設定パラメータ記憶部に格納する設定パラメータ記憶ステップをさらに含んだことを特徴とする請求項6〜8のいずれか一つに記載のデコード処理方法。
【請求項10】
入力機器によって撮影された画像データを取得し、当該画像データに埋め込まれたコードのデコード処理を行うデコード処理装置であって、
コードのデコード処理が成功したか否かを判定するデコード判定手段と、
前記デコード判定手段によって前記デコード処理が成功しなかったと判定された場合には、前記画像データ取得時の画像取得特性を調整する画像取得特性調整手段と、
を備えたことを特徴とするデコード処理装置。
【請求項1】
入力機器によって撮影された画像データを取得し、当該画像データに埋め込まれたコードのデコード処理を行うデコード処理方法をコンピュータに実行させるデコード処理プログラムであって、
コードのデコード処理が成功したか否かを判定するデコード判定手順と、
前記デコード判定手順によって前記デコード処理が成功しなかったと判定された場合には、前記画像データ取得時の画像取得特性を調整する画像取得特性調整手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするデコード処理プログラム。
【請求項2】
前記画像取得特性調整手順は、前記画像取得特性として、前記画像データに埋め込まれたコードの領域の大きさが所定の範囲内となるように、前記入力機器のズーム値を調整することを特徴とする請求項1に記載のデコード処理プログラム。
【請求項3】
前記画像取得特性調整手順は、前記画像取得特性として、前記画像データに埋め込まれたコードの領域をブロック分割し、各ブロックの階調レベルを算出し、当該階調レベルが所定範囲内にあるブロックの数が、所定の割合より小さくなるように、前記入力機器の入出力特性を調整することを特徴とする請求項1に記載のデコード処理プログラム。
【請求項4】
前記画像取得特性調整手順によって前記画像取得特性の調整が行われた後の設定パラメータを設定パラメータ記憶部に格納する設定パラメータ記憶手順をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のデコード処理プログラム。
【請求項5】
前記デコード判定手順は、前記画像取得特性調整手順によって前記画像取得特性の調整が行われた後に、コードのデコード処理が成功したか否かを再度判定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のデコード処理プログラム。
【請求項6】
入力機器によって撮影された画像データを取得し、当該画像データに埋め込まれたコードのデコード処理を行うデコード処理方法であって、
コードのデコード処理が成功したか否かを判定するデコード判定ステップと、
前記デコード判定ステップによって前記デコード処理が成功しなかったと判定された場合には、前記画像データ取得時の画像取得特性を調整する画像取得特性調整ステップと、
を含んだことを特徴とするデコード処理方法。
【請求項7】
前記画像取得特性調整ステップは、前記画像取得特性として、前記画像データに埋め込まれたコードの領域の大きさが所定の範囲内となるように、前記入力機器のズーム値を調整することを特徴とする請求項6に記載のデコード処理方法。
【請求項8】
前記画像取得特性調整ステップは、前記画像取得特性として、前記画像データに埋め込まれたコードの領域をブロック分割し、各ブロックの階調レベルを算出し、当該階調レベルが所定範囲内にあるブロックの数が、所定の割合より小さくなるように、前記入力機器の入出力特性を調整することを特徴とする請求項6に記載のデコード処理方法。
【請求項9】
前記画像取得特性調整ステップによって前記画像取得特性の調整が行われた後の設定パラメータを設定パラメータ記憶部に格納する設定パラメータ記憶ステップをさらに含んだことを特徴とする請求項6〜8のいずれか一つに記載のデコード処理方法。
【請求項10】
入力機器によって撮影された画像データを取得し、当該画像データに埋め込まれたコードのデコード処理を行うデコード処理装置であって、
コードのデコード処理が成功したか否かを判定するデコード判定手段と、
前記デコード判定手段によって前記デコード処理が成功しなかったと判定された場合には、前記画像データ取得時の画像取得特性を調整する画像取得特性調整手段と、
を備えたことを特徴とするデコード処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−88923(P2009−88923A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−255194(P2007−255194)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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