説明

デザインテンプレート生成装置、レシピ生成装置及び顕微像マッチング装置

【課題】信頼性の低いパターンと信頼性の高いパターンを均一に評価されるため、パターンマッチングの成功率が低い場合がある。
【解決手段】パターンマッチングに使用するデザインパターン又はデザインテンプレートのパターンに重みを付し、信頼性の低いパターンの領域と信頼性の高いパターンの領域を重みにより区別可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体プロセスのパターンマッチング処理に適したデザインテンプレートの生成技術、レシピの生成技術及び生成されたデザインテンプレートと顕微像とのマッチング技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体プロセスでは、SEM(scanning electron microscope)像、OM(Optical Microscope)像等の取得時や取得画像に対する信号処理において、各画像とデザインテンプレートとの間でパターンマッチング処理が実行される。
【0003】
ところが、デザインテンプレートには、信頼性の低いパターンが含まれている。例えば繰り返し性の高いパターンや半導体プロセスに必要なダミーパターン等が含まれている。このため、パターンマッチング処理の成功率の低下が問題となっている。また、従来のパターンマッチング処理は、信頼性の低いパターンと信頼性の高いパターンを均一に評価する。このため、パターンマッチング処理の成功率が必ずしも高くなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、パターンマッチング処理においては、パターンのユニーク性に基づくアルゴリズムが使用される。しかし、このアルゴリズムによっても、デザインテンプレートに含まれる非ユニークなパターン(繰返し性の高いパターン)の影響を無くすことはできず、デザインテンプレートにユニーク性の高いパターンが含まれていたとしても、正しい位置でパターンマッチングを実現できない場合がある。
【0005】
この他、ダミーパターンに固有の問題もある。ダミーパターンには、半導体プロセス上、実際には解像されないパターンがあり、パターン形状の正確さを求めれられていない。このため、ダミーパターンが誤ってマッチング基準に用いられた場合、正しい位置にパターンマッチングできない問題がある。
【0006】
本発明は、以上の点に考慮してなされたものであり、パターンマッチングの成功率を低下させる要因となる信頼性の低いパターンへのパターンマッチングを回避し、パターンマッチングの成功率を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明者らは、パターンマッチングに使用するデザインパターン又はデザインテンプレートを構成する各パターンを重み付けし、信頼性の低いパターンの領域と信頼性の高いパターンの領域を重みにより区別可能にする。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、顕微像(荷電粒子線像又はOM像)とデザインパターンとのパターンマッチングの成功率を向上することができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】顕微鏡システムの形態例を示す図。
【図2】レシピの生成イメージを説明する図。
【図3】マッチング処理の形態例を示す図。
【図4】信頼性を加味した重み付け処理を説明する図。
【図5】重み付け処理のイメージを説明する図。
【図6】重み付け結果を用いた注目領域の設定例を示す図。
【図7】重み付け結果を用いたマスク処理を説明する図。
【図8】極細ダミーパターンに対する処理例を示す図。
【図9】研磨プロセス用のダミーパターンに対する重み付け処理を説明する図。
【図10】重み設定画面と設定結果の確認画面の例を示す図。
【図11】顕微鏡システムの他の形態例を示す図。
【図12】マッチング処理の形態例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて、本発明に係るレシピ生成装置(方法)及びデザインテンプレート生成装置(方法)の形態例を説明する。
【0011】
<形態例1>
(システム構成)
図1に、形態例に係る顕微鏡システムのシステム構成例を示す。図1に示す顕微鏡システムは、レシピ生成用計算機(レシピ生成装置)1と、走査型電子顕微鏡11とで構成される。
【0012】
レシピ生成用計算機1は、測長座標情報2及びデザインデータ3を記憶装置(不図示)から入力し、レシピ4とデザインテンプレート5を生成する。レシピ4は、走査型電子顕微鏡11に対する命令、設定、パラメータで構成される。レシピ4には、走査型電子顕微鏡11により撮像する領域の座標情報を含む。デザインテンプレート5は、SEM像の撮像領域に対応するデザインデータ3の部分領域である。この形態例の場合、デザインテンプレート5には、各領域にパターンマッチング用の重みが付与される。レシピ4は、レシピ生成用計算機1により自動的に生成される。もっとも、レシピ4は、レシピ生成用計算機1に対するユーザのマニュアル操作を通じて生成しても良い。レシピ4及びデザインテンプレート5は、走査型電子顕微鏡11に転送される。
【0013】
走査型電子顕微鏡11は、レシピ4を不図示の制御装置に取り込み、レシピ4に基づいて以下に示す処理を実行する。なお、不図示の制御装置は、走査型電子顕微鏡11の全体動作を制御する。例えば後述する偏向器14やステージ19を制御し、SEM像の取得領域の位置合わせを制御する。
【0014】
まず、走査型電子顕微鏡11は、電子銃12から電子線13を放射する。電子線13は偏向器14により偏向され、ウェハ15上の指定領域を走査する。電子線13が照射された領域からは反射電子が発生する。反射電子は、反射電子検出器16により検出され、増幅器17において増幅される。この増幅により、SEM画像が生成される。なお、二次電子を検出してSEM像を形成しても良い。画像処理ユニット18は、SEM画像上で指定された領域の長さを測定する。なお、ウェハ15はX軸及びY軸方向に可動するステージ19上に載置される。ここで、画像処理ユニット18による測長処理は、デザインデータ3の全体又は測長座標として指定された領域周辺について限定的に実行される。
【0015】
(レシピの自動生成処理)
図2に、レシピ生成用計算機1によるレシピ4の生成処理手順を示す。図2に示すように、この形態例の場合、レシピ生成用計算機1は、レシピ4の生成前に重み付きのデザインテンプレート5を生成する。
【0016】
まず、レシピ生成用計算機1は、オリジナルのデザインデータ3を入力する。図2には、オリジナルのデザインデータ3から切り出されるパターン領域24(測長座標情報2の指定領域に対応する部分)を示している。この段階において、パターン領域24は各パターンの信頼性の違いによらず、全てのパターンが均一に扱われる。このため、パターン領域24のパターンは全て同じ濃度で表されている。
【0017】
次に、レシピ生成用計算機1は、後述する規則に基づいてパターン領域24内の各パターンに重みを付ける(ステップ21)。基本的には、信頼性の低いパターンに低い重みを付け、信頼性の高いパターンに高い重みを付ける。この結果、重み付きのデザインデータ22(デザインテンプレート5)が生成される。図2では、重み付けの効果を、デザインテンプレート5を構成する個々のパターンの濃度の違いで表現している。図に示すように、信頼性の低いパターンほど低濃度で表される。なお、重み付けの方法には、濃度の違いとして表現する方法他(オペレータによる確認には便利)、数値データとして各パターンに埋め込む又は関連付ける方法もある。図2の場合、重みは、エッジの数だけでなく、パターンの幅、パターン面積その他のパターンのユニーク性も考慮して付与される。
【0018】
重み付けされたデザインデータ22が得られると、レシピ生成用計算機1は、重み付けを考慮したレシピ4の自動生成処理を実行する(ステップ23)。ここで、レシピ生成用計算機1は、例えばデザインデータ22内の各パターンのエッジ数等を評価値として使用する。従来は、信頼性の高い/低いを考慮せずに、単純にエッジ数のみを求め、これを評価値に用いていた。しかし、本形態例に係るレシピ生成用計算機1の場合には、エッジ数に重み係数(n)を乗算し、エッジの評価値を算出する。図2においては、エッジ数と重み係数(n)との乗算値を重みの種類の数だけ加算する汎用式により表している。レシピ生成用計算機1は、算出されたエッジの評価値に基づいて、パターンマッチングで使用するパターンを決定し、その座標をレシピ4に登録する。
【0019】
この形態例の場合、レシピ生成用計算機1は、算出されたエッジの評価値が最も高いパターンをパターンマッチング用のパターンに決定する。もっとも、エッジの評価値の算出は全てのパターンを対象とするのではなく、従来手法により定めたパターンマッチング用のパターン候補についてのみエッジの評価値を算出し、当該複数のパターン候補のうちで最も評価値が高い候補を最終解に定めても良い。
【0020】
(マッチング処理)
図3に、画像処理ユニット18において実行されるSEM像に対するマッチング処理手順を示す。本形態例の場合、画像処理ユニット18は、従来通り、SEM像と重み無しのデザインテンプレートをマッチング処理し、一致度の高い複数候補を求める処理を実行する(ステップ31)。
【0021】
図3の場合、画像処理ユニット18は、オリジナルのデザインテンプレート3のうちSEM像に対応する領域の各パターンに信頼性に基づいた重みを付し、重み付きのデザインテンプレート5を生成する(ステップ32)。このステップ32の内容は、レシピ生成用計算機1で実行されるステップ21の内容と同じである。この場合、図1には表していないが、オリジナルのデザインテンプレート3が画像処理ユニット18に入力される。もっとも、図1に示すように、走査型電子顕微鏡11には重み付きのデザインテンプレート5がレシピ生成用計算機1から入力されているので、当該デザインテンプレート5をそのまま用いても良い。
【0022】
この後、画像処理ユニット18は重み付きのデザインテンプレート5を使用し、複数のパターン候補のそれぞれについて一致度を計算する(ステップ33)。一致度の計算は、例えばエッジの評価値の算出と同様の演算処理により行う。また、このステップ33において、画像処理ユニット18は、最も一致度の高い候補を検索し、最終解とする。
【0023】
(信頼性を加味したパターンの重み付け処理)
図4に、信頼性を加味したパターンの重み付け処理の具体例を示す。この形態例の場合、パターンの重み付け処理はレシピ生成用計算機1及び画像処理ユニット18のそれぞれにおいて実行される。従って、以下では実行主体を単に計算機という。
【0024】
計算機には、オリジナルのデザインデータ3又はデザインテンプレート5と、ユーザが事前に指定した信頼度が低いパターンを検出するためのパラメータと、当該パターンへの重み付けを組み合わせた複数のパラメータセット(重みの集合)が入力される(ステップ41)。ここで、特定のパターンを信頼度の低いパターンとして検出するためのパラメータには、例えばダミーデータに固有のパターン幅がある。
【0025】
次に、計算機は、信頼性の低いパターンとして指定されたパラメータに従い、デザインデータ3又はデザインテンプレート5から対応するパターンを検出し、当該パターンに対して、指定された重みを付加する(ステップ42)。
【0026】
計算機は、このステップ42の処理を、信頼性の低いパターンとして指定されたパラメータが無くなるまで繰り返し実行する(ステップ43)。
【0027】
ステップ43で否定結果が得られると、計算機は、信頼性が低い指定パターンに指定の重みを付したデザインデータ又はデザインテンプレートを記憶装置(不図示)に出力する(ステップ44)。なお、入出力されるデザインデータ又はデザインテンプレートは画像でも良い。また、重みをゼロに指定することにより、そのパターンを削除することもできる。
【0028】
(信頼性の低いパターンの具体例)
図5に、信頼性の低いパターンの具体例を示す。この形態例の場合、繰返し性の高いパターンを信頼性の低いパターンとして扱い、小さい重みを付ける。この形態例では、繰り返し周期が短いほど又は繰り返し数が多いほど、信頼性が低いパターンとして扱う。
【0029】
このため、計算機は、パターン領域51の縦方向(y方向)及び横方向(x方向)のそれぞれについてプロファイルを取得する。そして、計算機は、各々のプロファイルにおいて周期性の高いパターンを信頼性の低いパターンとして検出し、重み付けをする。パターン領域52は、横方向(x方向)についてプロファイルを取得した結果、縦方向(y方向)に伸びる複数本のパターンの重みが低く設定された様子を表している。パターン領域53は、縦方向(y方向)についてプロファイルを取得した結果、横方向(x方向)に伸びる複数本のパターンの重みが低く設定された様子を表している。
【0030】
次に、計算機は、これら2つのパターン領域52及び53のそれぞれにおいて重み付けの低い方の重みを優先して合成し、パターン領域54を生成する。なお、パターン領域54を見て分かるように、パターンは3通りの濃度で表現されている。これは、縦方向(y方向)に延びるパターンの出現間隔に比して、横方向(x方向)に延びるパターンの出現間隔が広いためである。従って、出現間隔が最も狭い縦方向(y方向)に延びるパターンの信頼度が最も低く設定され、次に出現間隔が狭い横方向(x方向)に延びるパターンの信頼度が次に低く設定される。図5では、十字パターンの信頼度が最も高い。
【0031】
図5の場合、パターン領域内のパターン全てに重みを付けたデザインテンプレート(パターン領域54)の例を説明したが、重みに対して閾値を設定し、閾値より小さい重みの付されたパターンを領域内から消去しても良い。図6に一例を示す。この場合、パターン領域61から十字パターンを除く2つのパターンが消去され、パターン領域62が最終出力となる。ここで、十字パターンを注目領域(ROI:Region Of Interest)に設定すれば良い。このように1個の注目領域のみを含むパターン領域62をパターンマッチング処理に用いれば、パターンマッチング時における誤検出の可能性は格段に低下する。もっとも、パターン領域62内に複数の注目領域が隣接して出現する場合には、必ずしも誤検出の低下効果が実現できない場合もある。このように、誤検出の低下効果は、注目領域の周囲に位置する他のパターンにより変動する。
【0032】
この他、信頼性の低い領域にマスクを設定し、パターンマッチングに使用されないようにすることもできる。図7に一例を示す。パターン領域71はオリジナルのデザインデータに対応し、パターン領域72は重み付け後のデザインデータに対応する。ここで、所定の閾値より低いパターンだけを隠すようにマスク(図中斜線領域)を設定するとパターン領域73が得られる。このパターン領域73をデザインテンプレート5に用いることで、パターンマッチング処理の一致精度を高めることができる。
【0033】
なお、パターンのサイズが小さいものほど信頼性が低く、反対にサイズが大きいほど信頼性が高いとして扱うこともできる。また、凹凸の繰返し回数が多いほど信頼性が低く、繰り返し回数が少ないほど信頼性が高いとして扱うこともできる。また、連結性を指定するマージンが大きいほど信頼性が低く、連結性を指定するマージンが小さいほど信頼性が高いとして扱うこともできる。
【0034】
この他、信頼性の低いパターンには、半導体プロセス上に必要なダミーパターンがある。ダミーパターンには、図8に示すようなSRAF(sub resolution assist features)パターン81がある。SRAFパターン81は、非常に細く試料に解像されない種類のダミーパターンである。また、ダミーパターンには、図9に示すような試料を研磨処理(CMP:chemical Mechanical Polishing)する際にストレスを分散させるために付加されるタイル状のダミーパターン91がある。
【0035】
例えばステップ41でSRAF用のダミーパターンの幅をパラメータとして登録し、当該パラメータ以下の幅のパターンに対して低い重み(ゼロを含む)を付加すれば、パターンマッチングに使用されるデザインテンプレート5から対応するパターンを除去することができる。
【0036】
この形態例の場合、例えばデザインデータ3又はデザインテンプレート5を指定された線幅になるまで膨張又は収縮させた際に消滅するようなパターンの位置にあるパターンに対して低い重みを付けることにする。もっとも、一般には、SRAFパターンのような非常に細いパターンに対しては、当初から重みをゼロに設定し、該当するパターンを削除することが好ましい。
【0037】
また、CMP用等のタイル状のダミーパターンがSEM像に含まれる場合には、ステップ41において、その縦横サイズをそれぞれパラメータとして登録しておき、当該パラメータに当てはまるパターンに小さい値を重み付けることが望ましい。これらの重み付け処理は、例えば計算機の画像処理によるダミーパターンの検出に基づいて実行する。
【0038】
(重み設定用のGUI)
ここでは、ユーザが重みの設定に使用するGUIの一例を示す。なお、GUIの表示機能は、不図示の計算機上で実行されるプログラムとして実現されても良いし、レシピ生成用計算機1や画像処理ユニット18において実行されても良い。因みに、各計算機には表示装置が接続されており、当該表示装置の画面上にGUIが表示される。ここでの計算機が表示制御装置として機能する。
【0039】
図10に、GUIの表示例を示す。図10に示すパラメータ設定ウインドウ101は、重み付け確認ウインドウ102、繰り返しパターン設定ウインドウ111、極細パターン設定ウインドウ121、タイリングパターン設定ウインドウ131で構成される。
【0040】
重み付け確認ウインドウ102は、入力パターン欄103と出力パターン欄104で構成される。出力パターン欄104には、設定されたパラメータを入力パターン欄103の画像に適用した結果が例えばパターンの濃度の違いで示される。すなわち、出力パターン欄104は、重み付け結果の確認画面を構成する。設定されたパラメータの違いにより現われる画像例を105、106及び107に示す。パラメータの違いにより、表示されるパターンが変化する様子が分かる。なお、図10の場合、信頼性の低いパターンを濃淡ではなく、低密度の網掛けで表している。これは、特許出願上の視認性を考慮したためである。
【0041】
繰り返しパターン設定ウインドウ111は、繰り返しパターン別にパラメータの設定画面である。図10の場合、3つの繰り返しパターンについて設定画面が用意されている。個々の設定画面には、対応パターンに与える重みの入力欄、対応パターンの周期、繰り返し数、サイズ、マージンなどの入力欄が配置されている。この例の場合、各入力欄には、数値を直接入力する。ただし、事前にプルダウン形式やスライド形式で用意された複数の候補の中から選択入力可能であっても良い。また、繰り返しパターンの登録数は、「追加ボタン」や「削除ボタン」により増減することができる。
【0042】
極細パターン設定ウインドウ121は、SRAFなど極細のダミーパターンを取り除くためのパラメータの設定画面である。図10の場合、極細パターン設定ウインドウ121には、対応パターンに与える重みの入力欄、判定に使用するサイズの入力欄が配置されている。この場合も、事前にプルダウン形式やスライド形式で用意された複数の候補の中から選択入力可能であっても良い。
【0043】
タイリングパターン設定ウインドウ131は、CMP用のタイリングパターン用パラメータの設定画面である。図10の場合、2つのタイリングパターンについて設定画面が用意されている。個々の設定画面には、対応パターンに与える重みの入力欄、判定に使用するサイズの入力欄が配置されている。この場合も、事前にプルダウン形式で用意された複数の候補の中から選択入力可能であっても良い。また、繰り返しパターンの登録数は、「追加ボタン」や「削除ボタン」の操作により増減することができる。
【0044】
図10に示すGUIを用いれば、ユーザは、設定の効果を確認しながら各パターンに対する重みを調整することができる。また、ユーザは、現在使用している重みが適切であるかを確認するのに用いることもできる。
【0045】
なお、各設定ウインドウでは、サイズと重みを独立に入力できるものとしているが、サイズが決まると自動的に他の条件に基づいて重みが設定される仕組みを採用しても良い。
【0046】
(まとめ)
以上説明したように、本実施形態に係る顕微鏡システムを用いれば、レシピ4に登録する位置合わせ座標の最適化や撮像されたSEM像のパターンマッチング時の位置合わせ座標の最適化を実現できる。この結果、パターンマッチング処理の際に信頼性の低いパターンを用いる可能性を低減でき、パターンマッチングの精度を高めることができる。
【0047】
<形態例2>
前述の形態例の場合には、レシピ生成用計算機1と画像処理ユニット18のそれぞれにおいて、重み付け処理後のデザインテンプレート5を用いる場合について説明した。しかしながら、レシピ生成用計算機1と画像処理ユニット18のいずれか一方でのみ、前述した重み付け処理後のデザインテンプレート5を用いても良い。
【0048】
図11に、走査型電子顕微鏡151にのみデザインテンプレート生成用計算機152を搭載する場合について説明する。なお、図11には図1との対応部分に同一符号を付して示している。また、図11では説明の都合上、デザインテンプレート生成用計算機152を画像処理ユニット18と別装置として表しているが、デザインテンプレート生成用計算機152の機能を画像処理ユニット18で実行しても良い。
【0049】
<形態例3>
前述の形態例の説明では、図3に示すように、予め従来手法により複数の候補に絞り込んだ後のパターンに重み付きのデザインテンプレート5を適用し、最終的に1つパターンを特定する場合について説明した。しかし、図12に示すように、重み付け後のデザインテンプレート5とSEM像を直接比較してマッチングに使用するパターンを決定しても良い(ステップ161)。
【0050】
<他の形態例>
前述の形態例においては、走査型電子顕微鏡に本発明を適用する場合について説明した。しかしながら、電子以外の荷電粒子線を使用する顕微鏡システムや光学式の顕微鏡システムにおけるレシピ作成や撮像画像に対するパターンマッチングにも応用できる。
【0051】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成を追加・削除・置換することが可能である。
【0052】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部や全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現しても良い。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現しても良い。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリやハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0053】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を必要とするとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えても良い。
【符号の説明】
【0054】
1:レシピ生成用計算機
2:測長座標情報
3:デザインデータ(オリジナル)
4:レシピ
5:デザインテンプレート(重み付き)
11:走査型電子顕微鏡
12:電子銃
13:電子線
14:偏向器
15:ウェハ
16:反射電子検出器
17:増幅器
18:画像処理ユニット
19:ステージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微像とのパターンマッチングに使用するデザインテンプレートを生成する装置において、
デザインデータ又はデザインテンプレートを第1の記憶領域から読み出す手段と、
信頼性が低い少なくとも1つのパターンを規定するパラメータと、各パターンに対応付けられた重みとを第2の記憶領域から読み出す手段と、
前記パラメータに基づいて、前記デザインデータ又は前記デザインテンプレートに含まれる前記信頼性の低いパターンを検出する手段と、
検出されたパターンに、対応する前記重みを付加する手段と
を有することを特徴とするデザインテンプレート生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載のデザインテンプレート生成装置において、
信頼性が低い前記パターンは、繰り返し性を有するパターンである
ことを特徴とするデザインテンプレート生成装置。
【請求項3】
請求項1に記載のデザインテンプレート生成装置において、
信頼性が低い前記パターンは、ダミーパターンである
ことを特徴とするデザインテンプレート生成装置。
【請求項4】
請求項3に記載のデザインテンプレート生成装置において、
前記ダミーパターンは、半導体プロセス用のパターンである
ことを特徴とするデザインテンプレート生成装置。
【請求項5】
請求項1に記載のデザインテンプレート生成装置において、
前記パラメータ及び又は重みの値を入力する操作画面を表示装置に出力する表示制御手段を有する
ことを特徴とするデザインテンプレート生成装置。
【請求項6】
請求項5に記載のデザインテンプレート生成装置において、
前記表示制御手段は、入力された前記パラメータ及び又は重みの値による重み付け結果の確認画面を前記操作画面上に表示する
ことを特徴とするデザインテンプレート生成装置。
【請求項7】
顕微像の取得に使用するレシピを生成する装置において、
デザインデータ又はデザインテンプレートを第1の記憶領域から読み出す手段と、
信頼性が低い少なくとも1つのパターンを規定するパラメータと、各パターンに対応付けられた重みとを第2の記憶領域から読み出す手段と、
前記パラメータに基づいて、前記デザインデータ又は前記デザインテンプレートに含まれる前記信頼性の低いパターンを検出する手段と、
検出されたパターンに、対応する前記重みを付加する手段と、
重み付け後の各パターンのエッジ数と対応する重みとの乗算処理結果を評価値に用い、顕微像の取得に使用するパターンを決定する手段と、
決定されたパターンの座標をレシピに登録する手段と
を有することを特徴とするレシピ生成装置。
【請求項8】
デザインテンプレートと顕微像とをマッチングする装置において、
デザインデータ又はデザインテンプレートを第1の記憶領域から読み出す手段と、
信頼性が低い少なくとも1つのパターンを規定するパラメータと、各パターンに対応付けられた重みとを第2の記憶領域から読み出す手段と、
前記パラメータに基づいて、前記デザインデータ又は前記デザインテンプレートに含まれる前記信頼性の低いパターンを検出する手段と、
検出されたパターンに、対応する前記重みを付加する手段と、
重み付け後のデザインテンプレートと顕微像とをマッチングする手段と
を有することを特徴とする顕微像マッチング装置。
【請求項9】
請求項8に記載の顕微像マッチング装置において、
前記顕微像は、重み付け前のデザインテンプレートとのマッチングにより候補として絞り込まれた複数の顕微像である
ことを特徴とする顕微像マッチング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−99754(P2012−99754A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248332(P2010−248332)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】